JP4674936B2 - 疎水性微粒子及びその応用 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高い疎水性と負帯電性を有し、複写機やレーザープリンター等の複写画像を形成するための電子写真用トナーの外添剤等として有用な疎水性微粒と、この疎水性微粒子を含有することにより、流動性、環境変動に対する帯電安定性及び画像特性を大幅に改善した電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子のシリカ粉末は、複写機やレーザープリンター等の複写画像を形成するための電子写真用トナーにおいて、流動性改善や帯電制御を目的とした外添剤として広く使用されている。しかしながら、シリカ粉末は酸性物質であり、負帯電性が強すぎること、また、表面水酸基の影響によって水分を吸着しやすく、環境変動に対する帯電変化が大きい等の欠点を有していた。これを防止するため、特公平6−19583号公報の様にシリカ粉末表面を例えばシランカップリング剤の様な疎水化剤を用いて表面処理を施したり、さらにアミノ基含有有機化合物を付加して負帯電性を低減することが行われているが、疎水化処理が不完全であったり、アミノ基を含有することで水に対する親和力が強い影響で発現し、トナーの流動性改善や帯電性制御という目的を十分達成するには至っていない。
【0003】
また、酸化チタン、アルミナ等の微粒子に、上記と同様の疎水化処理を施した粉末をトナー外添剤として使用した場合には、水分の吸着性がシリカに比べて非常に低いことから、環境変動に対する帯電変化は小さく良好であるが、例えば特公平7−3601号公報に記載されている様に、物質としての負帯電性がシリカに比べて非常に小さく、帯電を付与するための調整剤としての能力は劣るものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題点を解決し、高い疎水性及び負帯電性を有する電子写真用トナー外添剤として有用な疎水性微粒子を提供することを目的とする。本発明はまた、この様な疎水性微粒子を含有することにより、流動性、環境変動に対する帯電安定性及び画像特性を大幅に改善した電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の方法で生成した疎水性微粒子が特定の疎水化度、鉄粉に対する摩擦帯電量及び比表面積を有し、この疎水性微粒子がトナー外添剤として使用した際に、流動性及び環境変動に対する帯電安定性に優れることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0006】
本発明者等はまず、シリカに比べて環境変動に対する帯電安定性に優れた酸化チタン微粒子を核に用い、疎水化処理を含めた種々の検討を行った。その結果、疎水化剤の種類の検討あるいは被覆量を高めることにより疎水性の高い粉末を得ることは可能であった。しかし、上記従来の技術でも触れたように比表面積の低下による外添トナーの流動性低下、あるいは疎水化剤による負帯電性の低下等の問題が発生した。そこで、次の手段として負帯電性の高いシリカ微粒子を核に用い、均一な表面処理を目的とした水系での疎水化処理を試みた。しかしながら、シリカ微粒子を単体で使用した場合の疎水化剤の被覆率は非常に低く、そのために目標とする高い疎水性は得られず、なおかつ負帯電性についても疎水化剤の被覆状態が不均一なためにシリカ本来の高い負帯電性が発現してしまい、トナー外添剤としては使用しにくいものであった。この問題を解決するべく検討を継続した結果、次の知見に至った。
(1)良好な負帯電性を得るため、シリカ微粒子を核とした。
(2)シリカ微粒子に対する疎水化剤の被覆率向上のため、シリカ微粒子に予め金属水酸化物又は金属酸化物を被覆したものを基体顔料とした。
(3)金属水酸化物又は金属酸化物の被覆を均一かつ良好にするため、水系で行った。水系の被覆処理では、酸又はアルカリ溶液として扱える金属化合物を用いた。
(4)高い疎水性を付与するため、前記基体顔料に被覆する疎水化剤としてアルコキシシランを用いた。
すなわち、シリカ微粒子に対して特定の金属水酸化物又は酸化物を先に被覆させることにより、次に被覆させる疎水化剤の被覆率を飛躍的に向上させることができた。また、被覆率が向上したことから被覆状態についても均一となり、さらにシリカ表面の水酸化物あるいは酸化物によって負帯電性も調整可能になることが見いだされた。本発明は、上記知見に基づいて完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明の疎水性微粒子は、シリカ微粒子にチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物を水系で被覆した基体顔料に、アルコキシシランを被覆したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の疎水性微粒子は、疎水化度が40〜90%、比表面積が40〜350m2/gであり、かつ、鉄粉に対する摩擦帯電量が−50〜−500μC/gであることを特徴とする。
【0009】
また、前記シリカ微粒子に被覆されたチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物の被覆量の和を前記シリカ微粒子に対して、1〜30重量%とすることができる。
【0010】
また、前記アルコキシシランは一般式RnSiR’m(R:炭化水素基、グリシドキシ基、メタクリル基又はメルカプト基、R’:アルコキシ基、n=1〜3の整数、m=1〜3の整数、n+m=4)で表され、被覆量は前記基体顔料に対して、3〜50重量%とすることができる。
【0011】
さらに、前記疎水性微粒子を外添剤として用いて電子写真用トナーを製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の疎水性微粒子の核となるシリカ微粒子の比表面積は、50〜400m2/g、好ましくは70〜380m2/gである。50m2/g未満の場合は、トナー外添剤として使用した際に挙動する粒径が大きくなり、流動性付与の面において充分な役割を果たすことができなくなるため好ましくない。また、400m2/gを超えると、トナー表面で挙動する粒径が小さくなりすぎてしまい、撹拌によるキャリアとの摩擦、あるいはブレードやスリーブとの摩擦によってトナー表面の微粒子が徐々に埋没し、流動性や帯電性が変化するため好ましくない。
【0013】
また、本発明の疎水性微粒子は疎水化度が40〜90%、比表面積が40〜350m2/gであり、かつ、鉄粉に対する摩擦帯電量が−50〜−500μC/gであることが好ましく、さらに好ましくは、−50〜−400μC/gである。ただし、「疎水化度」は、所定の濃度のメタノールを含有する水溶液を2.5重量%刻みで用意し、測定する粉末をその液に少量添加し、目視による沈降開始により判断する。その表示は、沈降開始のメタノール濃度である。
【0014】
前記疎水化度は、さらに好ましくは50〜90%、特に好ましくは60〜90%である。40%未満の場合、トナーに外添した際、吸着水分に由来する高湿下での帯電変化が大きく好ましくない。また、90%を超える場合には、処理剤の添加量あるいは炭素数を増加させる必要があり、分子鎖の絡みによって凝集が強くなるとともに比表面積の低下が起こり、なおかつ核となるシリカ微粒子の負帯電性が減少するため好ましくない。
【0015】
また、疎水化処理後の比表面積が40〜350m2/gであることも重要である。すなわち、40m2/g未満の場合、トナー外添剤として使用した際に挙動する粒径が大きくなり、流動性付与等の面において充分な役割を果たすことができなくなるため好ましくない。また、350m2/gを超えると、外添したトナー表面で挙動する粒径が小さくなりすぎてしまい、撹拌によるキャリアとの摩擦、あるいはブレードやスリーブとの摩擦によってトナー表面の微粒子が徐々に埋没し、流動性や帯電性が変化するため好ましくない。
【0016】
さらに、負帯電性が高いことも重要である。例えば酸化チタン、アルミナ等の微粒子に疎水化処理を施した粉末をトナー外添剤として使用した場合には、流動性あるいは環境変動に対する帯電変化等は小さく良好であるが、物質としての負帯電性がシリカに比べて非常に低いため、それを補うためにさらにシリカ等の負帯電性が強い物質を付加することが一般的に行われているが、シリカを付加することにより環境変動に対する帯電変化が大きくなるという悪影響がある。また、最近の傾向として複写機やプリンター等の電子写真複写画像は、モノクロからフルカラーへ移行しており、この際に要求される色調再現性、透明性といった画像特性を満足させるため、トナー樹脂は一般的に負帯電性のポリエステル系樹脂へ移行している。このため、外添剤として使用される粉末も高い負帯電性を持つことが重要となっており、鉄粉に対する摩擦帯電量が−50〜−500μC/gである本発明の疎水性微粒子は好適である。
【0017】
また、本発明の疎水性微粒子は、前記シリカ微粒子に被覆されたチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物の被覆量の和が前記シリカ微粒子に対して、1〜30重量%であることが好ましく、3〜25重量%であることがさらに好ましい。1重量%未満の場合には、シリカ微粒子の負帯電性を抑制する効果が得られないこと、及び、引き続き処理を行う疎水化剤の被覆率が向上しないため好ましくない。また、30重量%を超える場合には、シリカ微粒子同士の凝集が発生し、比表面積が低下するため好ましくない。
【0018】
また、本発明の疎水性微粒子は、前記のアルコキシシランが、一般式RnSiR’m(R:炭化水素基、グリシドキシ基、メタクリル基又はメルカプト基、R’:アルコキシ基、n=1〜3の整数、m=1〜3の整数、n+m=4)で表され、その被覆量が前記基顔に対して、3〜50重量%であることが好ましい。
【0019】
アルコキシシランとしては、一般式
RnSiR’m
R :アルキル基、フェニル基などのアリール基、ビニル基などのアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基若しくはシクロアルケニル基などの炭化水素基、または、グリシドキシ基、メタクリル基若しくはメルカプト基
n :1〜3の整数
R’:アルコキシ基
m :1〜3の整数
n+m=4
で表されるものであり、例えばビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、炭化水素基Rの炭素数が1〜10のものが好ましい。炭素数が11以上のものは疎水化度は高くなるが、分子鎖長が長すぎて分子鎖が絡み、凝集が強くなるとともに比表面積の低下が起こり、なおかつ核となるシリカ微粒子の負帯電性が減少するため好ましくない。また、疎水化度を上げるためには、ポリジメチルシロキサン等シリコーンオイルのエマルションやチタネート系のカップリング剤も有効であるが、同様の理由から好ましくない。なお、アルコキシシランは二種以上を併用して用いることもできる。
【0020】
アルコキシシランの被覆量は、前記基体顔料に対し、3〜50重量%であり、好ましくは3〜40重量%である。3重量%未満の場合には、疎水化度が低くなるため好ましくない。また、50重量%を超える場合には、比表面積が低下し、粒径が大きくなるため好ましくない。
【0021】
本発明における疎水性微粒子の製造方法は、代表的には、50〜400m2/gの比表面積を有するシリカ微粒子を、水系でチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物を前記シリカ微粒子に対し、1〜30重量%被覆したスラリーとし、引き続いて前記スラリー中の固形分に対し、アルコキシシランを3〜50重量%被覆した後、アルカリで中和し、ろ過、洗浄、乾燥及び粉砕を行うことを特徴とする。
【0022】
核となるシリカ微粒子は50〜400m2/gの比表面積を有していれば、湿式法あるいは気相法で製造されたいずれの粒子を使用しても良い。
【0023】
前記シリカ微粒子を、水系でチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物を被覆する際のスラリー温度は、20〜90℃で行う。スラリー温度を前記値とすることによって、シリカ表面への無機金属水和物の被覆が良好となり、引き続き被覆する疎水化剤の被覆率が向上する。
【0024】
また、シリカ微粒子に水系で被覆するチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウム源としては、酸あるいはアルカリ溶液として取り扱える物質であればいかなるものでも良く、例えばチタン源としては硫酸チタン、四塩化チタン等、錫源としては塩化錫、硫酸第一錫等、ジルコニウム源としてはオキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等、アルミニウム源としては硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を、単独又は任意の組み合わせで併用できる。
【0025】
さらに、引き続いてアルコキシシランを被覆する際は、スラリーのpHを2〜6、好ましくはpH3〜6に調整した後、アルコキシシランを所定量添加し、スラリーの温度を20〜100℃、好ましくは30〜70℃に調整し、加水分解及び縮合反応を行う。アルコキシシランは、前記のものを単独で使用するか、二種以上を併用する。
【0026】
また、前記スラリーを撹拌保持した後、縮合反応を促進する目的で、アルカリを用いてpH4〜9、好ましくは5〜7になるように中和を行う。中和に用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水、アンモニアガス等を使用することができる。この様に処理を行うことで、再凝集のない、均一に疎水化剤が被覆された疎水性微粒子が得られる。
【0027】
ろ過、水洗後の乾燥温度は100〜190℃、好ましくは110〜170℃である。100℃未満だと乾燥効率が悪く疎水化度が低くなるので、好ましくない。また、190℃を超えると、炭化水素基の熱分解により変色と疎水化度の低下が起こるので好ましくない。
【0028】
本発明における疎水性微粒子の製造方法の別の形態として、50〜400m2/gの比表面積を有するシリカ微粒子を、水系でチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物を前記シリカ微粒子に対し、1〜30重量%被覆したスラリーとし、これをろ過、洗浄及び乾燥、必要ならさらに焼成した後、前記アルコキシシランを乾式でヘンシェルミキサー等を用いて被覆することもできる。
【0029】
乾燥が終了した処理物は、疎水化剤が良好に被覆されているため柔らかく、そのままトナー外添剤として使用しても良いが、さらにハンマーミル、流体エネルギーミル等の微粉砕機にて粉砕することにより、トナー表面での分散性が大幅に向上する。
【0030】
また、本発明の疎水性微粒子を外添し、電子写真用トナーを製造することもできる。トナーとしては磁性一成分、非磁性一成分、二成分等のいずれの電子写真用トナーにも使用でき、トナーの構成成分に関しては公知のものを任意に使用することができる。
【0031】
本発明の疎水性微粒子のトナーに対する添加量は、得られるトナーが所望する特性となるような量であれば良く、特に制限はされないが、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%とするのが好ましく、公知の方法でトナーに添加できる。0.05重量%未満の場合には、トナーの流動性や帯電性の改善が認められず好ましくない。また、5重量%を超える場合には、本発明の疎水性微粒子がトナー表面から離脱し、単独で挙動する粒子が増加するため感光体やキャリアの汚染原因となり、画像特性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0032】
また、トナーを製造する際には本発明の疎水性微粒子は単独で使用されるものとは限られず、必要に応じて本発明に属する疎水性微粒子を二種類以上組み合わせたり、酸化チタン、アルミナ等の酸化物微粒子や、テフロン(登録商標)、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン等の定着助剤等の他の添加剤を併用することもできる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは単に例示のために記すものであり、これらによって本発明の範囲が制限されるものではない。
【0034】
【実施例1】
気相法シリカ微粒子(アエロジル#130、基体シリカの比表面積130m2/g、日本アエロジル製)100gを2Lの水に分散し、液温を70℃に加温し、TiO2として100g/Lの硫酸チタン溶液30mLと5N水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0となるように同時に滴下した(以下、単に「無機処理」とも称する)。滴下終了後、液温を40℃まで冷却し、pHを4.0に調整した後、引き続いてn−ヘキシルトリメトキシシラン25gを添加した。4時間撹拌保持後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを6.5に調整し、更に2時間撹拌保持した後、ろ過、水洗を行った。ろ過、水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0035】
【実施例2】
実施例1において、硫酸チタン溶液の添加量を100mLとしたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0036】
【実施例3】
実施例1において、硫酸チタン溶液の添加量を250mLとしたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0037】
【実施例4】
実施例2において、気相法シリカ微粒子をアエロジル#200(基体シリカの比表面積200m2/g、日本アエロジル製)としたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0038】
【実施例5】
気相法シリカ微粒子(アエロジル#380、基体シリカの比表面積380m2/g、日本アエロジル製)100gを4Lの水に分散し、液温を70℃に加温し、TiO2として100g/Lの硫酸チタン溶液200mLと5N水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0となるように同時に滴下した。滴下終了後、液温を40℃まで冷却し、pHを4.0に調整した後、引き続いてn−ヘキシルトリメトキシシラン40gを添加した。4時間撹拌保持後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを6.5に調整し、更に2時間撹拌保持した後、ろ過、水洗を行った。ろ過、水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0039】
【実施例6】
実施例1において、硫酸チタン溶液の代わりに、SnO2として100g/Lの塩化第二錫溶液100mLを滴下したほかは、実施例1と同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0040】
【実施例7】
実施例1において、硫酸チタン溶液の代わりに、ZrO2として100g/Lのオキシ塩化ジルコニウム溶液100mLを滴下したほかは、実施例1と同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0041】
【実施例8】
実施例4において、硫酸チタン溶液の添加量を300mLとし、n−ヘキシルトリメトキシシラン25gをn−ブチルトリメトキシシラン30gとしたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0042】
【実施例9】
実施例4において、n−ヘキシルトリメトキシシラン25gをn−デシルトリメトキシシラン15gとし、乾燥温度を120℃としたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0043】
【実施例10】
実施例3において、n−ヘキシルトリメトキシシラン25gをn−デシルトリメトキシシラン5gとし、乾燥温度を120℃としたほかは、同様に処理して、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0044】
【実施例11】
気相法シリカ微粒子(アエロジルOX50、基体シリカの比表面積50m2/g、日本アエロジル製)100gを2Lの水に分散し、液温を70℃に加温し、SnO2として100g/Lの塩化第二錫溶液30mLと5N水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0となるように同時に滴下した。滴下終了後、液温を40℃まで冷却し、pHを4.0に調整した後、引き続いてn−ヘキシルトリメトキシシラン10gを添加した。4時間撹拌保持後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを6.5に調整し、更に2時間撹拌保持した後、ろ過、水洗を行った。ろ過、水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0045】
【実施例12】
気相法シリカ微粒子(アエロジル#200、基体シリカの比表面積200m2/g、日本アエロジル製)100gを2Lの水に分散し、液温を70℃に加温し、Al23として100g/Lのアルミン酸ナトリウム溶液50mLと5N水酸化ナトリウム水溶液をpHが6.0となるように同時に滴下した。滴下終了後、液温を40℃まで冷却し、pHを5.0に調整した後、引き続いてn−ヘキシルトリメトキシシラン20gを添加した。4時間撹拌保持後、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを6.5に調整し、更に2時間撹拌保持した後、ろ過、水洗を行った。ろ過、水洗済ケーキは130℃で乾燥した後、エアジェット方式による微粉砕機で微粉砕し、目的とする疎水性微粒子を得た。
【0046】
【比較例1】
実施例1において、硫酸チタン溶液及びn−ヘキシルトリメトキシシランを加えないほかは、同様に処理して、微粒子を得た。
【0047】
【比較例2】
実施例1において、硫酸チタン溶液を加えないほかは、同様に処理して、疎水性微粒子を得た。
【0048】
【比較例3】
実施例2において、n−ヘキシルトリメトキシシランを加えないほかは、同様に処理して、微粒子を得た。
【0049】
【比較例4】
無機処理なし、ジメチルジクロロシラン処理の気相法シリカ微粒子(R−972、日本アエロジル製)を本発明の疎水性微粒子の比較物質とした。
【0050】
以上、実施例1〜12及び比較例1〜4の試料の測定結果を表1に示す。同表において、疎水性微粒子の核となるシリカ微粒子を「基体シリカ」と表記し、また、比較例4の記号「−」は、入手時の被検物が既にジメチルジクロロシランを被覆済みであり、基体シリカの比表面積及びその被覆量を測定できなかったことを示す。なお、表1の諸特性は、以下の要領で測定した。
【0051】
[疎水化度]所定の濃度のメタノールを含有する水溶液を2.5重量%刻みで用意し、測定する粉末をその液に少量添加し、目視による沈降開始により判断する。疎水化度としては、沈降開始のメタノール濃度を表示した。
【0052】
[比表面積]マイクロメリティックス社製ジェミニ2375型比表面積測定装置を用い、BET1点法にて測定した。
【0053】
[摩擦帯電量]硬質ポリエチレン製ネジ付き広口瓶(容量100mL)に鉄粉キャリア(TEFV200/300、パウダーテック社製)と該疎水性微粒子を重量比で99.5:0.5となるように採取し、腕振り型振とう混合機にて5分間振とう後、ブローオフ帯電量測定装置(TB−200型、東芝ケミカル社製)を用いて帯電量を測定した。
【0054】
[トナーの製造]ポリエステル樹脂、カーボンブラック、オフセット防止剤、帯電調整剤をブレンダーで混合した後、KRCニーダー(栗本鉄工所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、粗粉砕機にて粗粉砕した後、エアジェット方式による微粉砕機にて微粉砕し、更に風力分級機で分級して着色樹脂粉体を得た。この粉体100部に対して、実施例1〜12及び比較例1〜4で得られた試料を1.0部外添し、平均粒径8μmの黒色トナーを製造した。
【0055】
[流動性評価方法]JIS K−5101 18.「かさ」測定方法に準じ、各トナーのかさ密度(g/mL)を測定した。結果は表1に併記した。なお、かさ密度が高いほど、流動性が良好である。
【0056】
[帯電安定性評価方法]硬質ポリエチレン製ネジ付き広口瓶(容量100mL)に鉄粉キャリア(TEFV200/300、パウダーテック社製)とトナーを重量比で96:4となるように採取し、低温低湿環境下(LL、15℃/20%RH)及び高温高湿下(HH、35℃/90%RH)に開封したまま24時間放置した。放置終了した広口瓶を密封し、腕振り型振とう混合機にて2分間振とう後、ブローオフ帯電量測定装置(TB−200型、東芝ケミカル社製)を用いて各環境下のトナー帯電量を測定した。結果は表1に併記した。なお、LL及びHHの環境における帯電量の差が小さいほど、帯電安定性が良好である。
【0057】
【表1】
Figure 0004674936
【0058】
表1の結果から、主に下記の評価を得ることができた。
(1)無機処理をしていない比較例2との比較で明らかなように、実施例1〜12では、無機処理により被覆率が改善され、いずれの粉体も高い疎水化度が得られた。
(2)そのように高疎水性でありながらも、シリカ微粒子が本来持つ高い負帯電性を大きく減じることなく、良好な摩擦帯電量を付与できる粉体が得られた。
(3)トナー特性では、各実験例では比較例よりも、かさ密度がいずれもΔ0.1g/mL前後高く、流動性は確実に改善された。
(4)そして、LLとHHとの帯電量の差は、いずれも比較例より小さく、きわめて帯電安定性に優れたトナーが得られた。

Claims (2)

  1. シリカ微粒子にチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物を水系で被覆した基体顔料に、アルコキシシランを被覆した疎水性微粒子であって、
    前記シリカ微粒子に被覆されたチタン、錫、ジルコニウム及びアルミニウムの一種以上の水酸化物あるいは酸化物の被覆量の和が前記シリカ微粒子に対し、1〜30重量%であり、
    前記アルコキシシランが、一般式RnSiR’m(R:炭化水素基、グリシドキシ基、メタクリル基又はメルカプト基、R’:アルコキシ基、n=1〜3の整数、m=1〜3の整数、n+m=4)で表され、その被覆量が前記基体顔料に対し、3〜50重量%であり、
    疎水化度が40〜90%、比表面積が40〜350m /gであり、かつ、鉄粉に対する摩擦帯電量が−50〜−500μC/gであることを特徴とする前記疎水性微粒子。
  2. 請求項1に記載の疎水性微粒子を外添剤として用いた電子写真用トナー。
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