JP5999029B2 - シリカ複合粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献4には、シリカで表面修飾された結晶性アルミナ微粒子が開示されている。
また、特許文献5には、アルミニウムがAlとして3ppm以下である高純度シリカが開示されている。
請求項1に係る発明は、
アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物により表面処理されたシリカ粒子であって、
蛍光X線分析によって元素分析して求められるアルミニウム原子量が0.01原子%以上30原子%以下であり、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。
アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ粒子であって、
蛍光X線分析によって元素分析して求められるアルミニウム原子量が0.01原子%以上30原子%以下であり、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。
平均円形度が0.5以上0.85以下である請求項1又は請求項2に記載のシリカ複合粒子。
アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物とアルコールとの混合液であって、前記アルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下である混合液を供給して、前記アルミニウム化合物により前記シリカ粒子を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランの1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下の供給量でアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物とアルコールとの混合液であって、前記アルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下である混合液を供給して、前記アルミニウム化合物により前記シリカ粒子を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
更に、前記アルミニウム化合物により表面処理された前記シリカ粒子を、疎水化処理剤により表面処理する工程を有する請求項4又は請求項5に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
前記疎水化処理剤により表面処理する工程を、超臨界二酸化炭素中で実施する請求項6に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、シリカ粒子が、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物により表面処理されたシリカ複合粒子である。
そして、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、表面のアルミニウム被覆率が0.01原子%以上30原子%以下であり、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下である。
上記シリカ複合粒子においては、上記被覆率でアルミニウムにより被覆された表面が、最表面を構成している。
上記シリカ複合粒子においては、上記被覆率でアルミニウムにより被覆された表面が、疎水化処理された最表面を構成している。
以上の機序により、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、まず粒子の形状の点で、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいと考えられる。
以上の機序により、本実施形態に係るシリカ複合粒子は平均円形度が上記範囲であると、付着対象物に対する分散性により優れ、且つ、付着対象物の流動をより妨げにくいと考えられる。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、酸化ケイ素(二酸化ケイ素、シリカ)で構成された粒子の表面を、アルミニウム化合物により表面処理した複合粒子、つまり、シリカ粒子の内部に比べて表層部に多くアルミニウムが存在する複合粒子である。
アルミニウムの被覆率が0.01原子%未満では、静電気を逃がす除電効果が得られにくく、その結果、シリカ複合粒子が互いに凝集する場合がある。
一方、アルミニウムの被覆率が30原子%超では、シリカ粒子をアルミニウム化合物で表面処理する際に、アルミニウム化合物の反応が激しいことに起因して、過大な粗粉の発生や、粒度分布の拡大、形状の過剰な異形化が起こり易い。このシリカ複合粒子は、機械的負荷がかかった場合に欠損し易く、付着対象物の流動を妨げる要因となる。
上記の理由から、シリカ複合粒子の表面のアルミニウム被覆率は、望ましくは0.05原子%以上20原子%以下であり、より望ましくは0.1原子%以上10原子%以下である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、平均粒径が30nm以上500nm以下である。
シリカ複合粒子の平均粒径が30nm未満では、シリカ複合粒子の形状が球状(平均円形度が0.85を超える形状)となり易く、シリカ複合粒子の平均円形度を0.5以上0.85以下とすることが難しい。また、平均粒径が30nm未満では、シリカ複合粒子の形状が異形状であっても、付着対象物に対するシリカ複合粒子の埋没を抑制することが難しく、付着対象物の流動を妨げ易い。
一方、シリカ複合粒子の平均粒径が500nm超では、シリカ複合粒子に機械的負荷がかかった場合に欠損しやすく、その結果、付着対象物の流動を妨げ易い。
上記の理由から、シリカ複合粒子の平均粒径は、望ましくは60nm以上500nm以下であり、より望ましくは100nm以上350nm以下であり、更に望ましくは100nm以上250nm以下である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、粒度分布指標が1.1以上1.5以下である。
粒度分布指標が1.1未満であるシリカ複合粒子は製造するのが難しい。
一方、シリカ複合粒子の粒度分布指標が1.5超の場合、粗大粒子の発生や粒径のばらつきにより付着対象物への分散性が悪化し、また、粗大粒子の存在が増えるに伴い機械的負荷による欠損粒子が増えるため、付着対象物の流動を妨げ易い。
上記の理由から、シリカ複合粒子の粒度分布指標は、望ましくは1.25以上1.4以下である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、平均円形度が0.5以上0.85以下であることが望ましい。
シリカ複合粒子の平均円形度が0.5以上であると、シリカ複合粒子の長径/短径比が大きくなり過ぎないので、シリカ複合粒子に機械的負荷が加わった場合に応力が集中しにくく、従って欠損しにくく、付着対象物の流動を妨げる要因となりにくい。
一方、シリカ複合粒子の平均円形度が0.85以下であると、形状が異形状であるので、付着対象物へのシリカ複合粒子の付着に偏りが生じにくく、また、シリカ複合粒子の付着対象物からの脱離が生じにくい。
上記の理由から、シリカ複合粒子の平均円形度は、望ましくは0.6以上0.8以下である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、上記本実施形態に係るシリカ複合粒子を得るための製造方法の一例であり、具体的には、以下の通りである。
また、前記アルコール希釈液におけるアルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下であることにより、目的とするアルミニウム被覆率のシリカ複合粒子が生成されると考えられる。
一方で、本実施形態に係るシリカ複合粒子を得るためには、以下に示す方法を採用することがよく、特に平均円形度0.5以上0.85以下の異形状のシリカ複合粒子を得るためには、以下に示す方法を採用することが望ましい。
以下、この異形状のシリカ複合粒子の製造方法を、「本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法」と称して説明する。
・アルカリ触媒溶液準備工程:アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程。
・シリカ粒子生成工程:アルカリ触媒溶液中に、アルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランを供給すると共に、テトラアルコキシシランの1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下の供給量でアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程。
・表面処理工程:シリカ粒子が生成したアルカリ触媒溶液中に、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物とアルコールとの混合液であって、前記アルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下である混合液を供給して、アルミニウム化合物によりシリカ粒子を表面処理する工程。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、上記手法により、粗大凝集物の発生が少なく、異形状のシリカ複合粒子が得られる。この理由は、定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
そして、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、シリカ複合粒子が得られる。この両者の供給を上記範囲の供給量を維持しつつ行うことで、核粒子の分散を維持しつつも、核粒子表面における張力及び化学的親和性の部分的な偏りも維持されることから、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子がその異形状を保ったまま粒子成長し、その結果、異形状のシリカ複合粒子が生成されると考えられる。
なお、シリカ複合粒子の平均粒径は、テトラアルコキシシランを添加するときの初期温度に依存すると考えられ、低い温度ほど小さい粒径になる。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、この溶媒とアルカリ触媒とを混合して、アルカリ触媒溶液を準備する工程である。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒の濃度が0.6mol/L未満であると、核粒子の成長過程における分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたりゲル状化したりして、シリカ複合粒子の粒度分布が広くなったり複数の分布ピークを示したりすることがある。
一方、アルカリ触媒の濃度が0.85mol/L超であると、生成した核粒子の安定性が過大となり、球状の核粒子が形成され、異形状の核粒子が得られにくく、その結果、平均円形度が0.85以下の異形状のシリカ粒子及びシリカ複合粒子を得ることが難しい。
アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルコールを含む溶媒とアルカリ触媒との総量)に対する濃度である。
シリカ粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ前記供給量で供給し、アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、シリカ粒子を生成する工程である。
このシリカ粒子生成工程では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により、核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、シリカ粒子が生成する。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.0005mol以上0.01mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
テトラアルコキシシランの供給量が0.0005mol/(mol・min)未満であると、滴下されたテトラアルコキシシラン同士の接触確率を下げることにはなるが、テトラアルコキシシランの総供給量を滴下し終わるまでに長時間を要し、生産効率が悪い。
テトラアルコキシシランの供給量が0.01mol/(mol・min)超であると、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子とが反応する前に、テトラアルコキシシラン同士の反応を生じさせることになると考えられる。そのため、核粒子へのテトラアルコキシシラン供給の偏在化を助長し、粒子成長のばらつきをもたらすことから、粒径及び形状の分布幅が拡大することとなる。
上記の理由で、テトラアルコキシシランの供給量は、望ましくは0.001mol/(mol・min)以上0.009mol/(mol・min)以下であり、より望ましくは0.002mol/(mol・min)以上0.008mol/(mol・min)以下であり、更に望ましくは0.003mol/(mol・min)以上0.007mol/(mol・min)以下である。
これは、テトラアルコキシシランの1分間当たりの総供給量の1mol当たりに対して、1分間当たり0.001mol以上0.01mol以下の供給量で、アルカリ触媒を供給することを意味する。
アルカリ触媒の供給量が0.1mol/(mol・min)未満であると、成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたりゲル状化したりして、シリカ複合粒子の粒度分布の制御や円形度の制御が困難になることがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が0.4mol/(mol・min)超であると、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で異形状の核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、異形状のシリカ粒子及びシリカ複合粒子を得ることが難しい。
上記の理由で、アルカリ触媒の供給量は、望ましくは0.14mol/(mol・min)以上0.35mol/(mol・min)以下であり、より望ましくは0.18mol/(mol・min)以上0.3mol/(mol・min)以上である。
表面処理工程は、シリカ粒子生成工程を経てシリカ粒子が生成したアルカリ触媒溶液中に、アルミニウム化合物とアルコールとの混合液を供給し、アルミニウム化合物によりシリカ粒子を表面処理する工程である。
具体的には、例えば、アルミニウム化合物の有機基(例えばアルコシキ基)とシリカ粒子の表面のシラノール基とを反応させて、アルミニウム化合物によりシリカ粒子の表面を処理する。
アルミニウム化合物がアルコキシ基を有する化合物である場合、アルミニウム化合物の反応速度の制御や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の観点から、アルコールは、アルミニウム化合物のアルコキシ基の炭素数よりも小さい炭素数(具体的には、例えば、炭素数差が2以上4以下)のアルコールであることがよい。
アルコールは、アルカリ触媒溶液に含まれるアルコールと同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、同じ種類であることがより好ましい。
アルミニウム化合物とアルコールとの混合液の供給量は、例えば、シリカ粒子100部に対しアルミニウム化合物の総量が1.0部以上55部以下(望ましくは1.5部以上40部以下、より望ましくは2.0部以上20部以下)となる量がよい。
本混合液の供給量を上記範囲とすると、アルミニウム化合物の反応速度が制御され、ゲル化が起こりにくく、目的とするシリカ複合粒子のアルミニウム被覆率、粒径、粒度分布、形状が得られ易い。
乾燥されたシリカ複合粒子は、解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミル等の乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機等公知のものにより行う。
超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度及び圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を示す二酸化炭素である。超臨界二酸化炭素は、界面張力が極めて低いという特性を有する。
疎水化処理剤によりシリカ複合粒子の表面を疎水化処理する工程を超臨界二酸化炭素中で行うと、疎水化処理剤は超臨界二酸化炭素に溶解した状態になり、界面張力が極めて低い超臨界二酸化炭素と共にシリカ複合粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられる。その結果、疎水化処理剤によって、シリカ複合粒子の表面のみならず孔部の奥深くまで疎水化処理がなされるものと考えられる。
したがって、超臨界二酸化炭素中で表面に疎水化処理が施されたシリカ複合粒子は、孔部の奥深くまで疎水化処理が施されていることから、吸着し保持する水の量が少なく、よって、疎水性の付着対象物(疎水性の樹脂、疎水性の溶媒など)に対する分散性に優れると考えられる。
以下、超臨界二酸化炭素中での疎水化処理工程について説明する。
本工程では、具合的には、例えば、密閉反応容器内にシリカ複合粒子を投入し、次いで疎水化処理剤を加える。その後、密閉反応容器内に、液化二酸化炭素を導入して加熱し、高圧ポンプにより密閉反応容器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤を反応させ、シリカ複合粒子の疎水化処理を行う。反応終了後は、密閉反応容器内を減圧し冷却する。
超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力により調整される。
疎水化処理の温度条件、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは100℃以上300℃以下であり、より望ましくは150℃以上250℃以下である。
疎水化処理の圧力条件、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、上記密度を満足する条件であればよいが、例えば、8MPa以上30MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上25MPa以下であり、より望ましく15MPa以上20MPa以下である。
疎水化処理剤の使用量は、シリカ複合粒子に対し1質量%以上60質量%以下がよく、望ましくは5質量%以上40質量%以下であり、より望ましくは10質量%以上30質量%以下である。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のトリメチル基を有する有機ケイ素化合物が好適である。
−アルカリ触媒溶液準備工程(アルカリ触媒溶液の調製)−
攪拌翼、滴下ノズル、及び温度計を有するガラス製反応容器にメタノール400部、10%アンモニア水(NH4OH)70部を入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。このアルカリ触媒溶液のアルカリ触媒の濃度(即ちNH3の濃度。NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.71mol/Lであった。
テトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン(TMOS)を準備した。また、アルカリ触媒として、触媒(NH3)濃度3.8%のアンモニア水(NH4OH)を準備した。
この際、TMOSの1分間当たりの供給量は、アルカリ触媒溶液中のメタノール総量(mol)に対して、0.0018mol/(mol・min)とした。
3.8%アンモニア水の供給量は、TMOSの1分間当たりの総供給量に対して0.27mol/(mol・min)とした。
アルミニウム化合物(アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、和光純薬工業社製)が1質量%となるようにブタノールで希釈したアルコール希釈液を作製した。
シリカ粒子懸濁液の温度を25℃に調整し、25℃に調整したアルコール希釈液を添加した。この際、アルコール希釈液の添加は、シリカ粒子100部に対して上記アルミニウム化合物が8.6部となるように行った。
続いて、30分間攪拌することにより、シリカ粒子の表面に上記アルミニウム化合物を反応させて表面処理を行い、シリカ複合粒子の懸濁液(シリカ複合粒子懸濁液)を得た。
シリカ複合粒子懸濁液が収容された密閉反応容器内をヒーターにより80℃まで昇温後、二酸化炭素ポンプにより20MPaまで昇圧して、密閉反応容器内に超臨界二酸化炭素を流通させ(導入及び排出量170L/分/m3)、シリカ複合粒子懸濁液の溶媒除去を行い、シリカ複合粒子の粉末を得た。
表1に従って、アルカリ触媒溶液準備工程、シリカ粒子生成工程、表面処理工程、及び疎水化処理工程での各種条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、疎水性シリカ複合粒子を得た。但し、比較例3では、シリカ粒子の表面処理工程を行わなかった。
実施例19では、アルミニウム化合物として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートに代えて、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(和光純薬工業社製)を用いて、疎水性シリカ複合粒子を得た。
実施例20では、アルミニウム化合物として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートに代えて、アルミニウムn−プロポキシド(和光純薬工業社製)を用いて、疎水性シリカ複合粒子を得た。
〔シリカ複合粒子の物性〕
各実施例及び各比較例の疎水性シリカ複合粒子について、既述の方法に従って、アルミニウム被覆率、平均粒径、粒度分布指標、平均円形度を求めた。結果を表2に示す。
疎水性シリカ複合粒子について、蛍光X線分析装置(島津製作所製XRF1500)を用い、粒子中の構成元素のNET強度によりアルミニウム含有率を定量し、SEM−EDX(日立製作所製S−3400N)によりマッピング処理を行って調べたところ、アルミニウムがシリカ複合粒子の表層部に存在していることが確認された。
各実施例及び各比較例の疎水性シリカ複合粒子を樹脂粒子へ分散した際の樹脂粒子に対する分散性を評価した。
具体的には、疎水性シリカ複合粒子を温度25℃/湿度55%RHの環境下に17時間放置した後、粒径100μmのポリスチレン樹脂粒子(綜研化学社製、重量平均分子量80000)25gに疎水性シリカ複合粒子0.2gを添加し、振とう機を用いて5分間振とうして混合した後、SEMにより樹脂粒子表面の観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した。A、B、及びCが実用上問題ない。結果を表2に示す。
−評価基準−
A:シリカ複合粒子の凝集体が確認できず、且つ、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められない。
B:シリカ複合粒子の凝集体が確認できないが、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められる。
C:わずかにシリカ複合粒子の凝集体が確認でき、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められる。
D:シリカ複合粒子の凝集体が散見され、且つ、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に明らかに偏りが認められる。
前記付着対象物に対する分散性の評価を行った樹脂粒子(ポリスチレン樹脂粒子の表面をシリカ複合粒子が被覆した粒子)について、流動性を評価した。
具体的には、前記樹脂粒子10gを目開き75μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、篩上に残った樹脂粒子(残留分)の量を下記評価基準に基づいて評価した。残留分の量は、篩の重さと残留分込みの篩の重さとを測定し、後者から前者を減じて算出した。A、B、及びCが実用上問題ない。結果を表2に示す。
−評価基準−
A:残留分が篩にのせた量の10質量%以下である。
B:残留分が篩にのせた量の10質量%を超え15質量%以下である。
C:残留分が篩にのせた量の15質量%を超え20質量%以下である。
D:残留分が篩にのせた量の20質量%を超える。
実施例1〜30において、疎水化処理を行わない以外は同様にして、シリカ複合粒子を作製した。
〔シリカ複合粒子の物性〕
実施例31〜60のシリカ複合粒子について、既述の方法に従って、アルミニウム被覆率、平均粒径、粒度分布指標、平均円形度を求めた。結果を表3に示す。
前述と同様の方法で、付着対象物に対する分散性と、付着対象物の流動性とを評価した。結果を表3に示す。
Claims (7)
- アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物により表面処理されたシリカ粒子であって、
蛍光X線分析によって元素分析して求められるアルミニウム原子量が0.01原子%以上30原子%以下であり、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。 - アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物、及び疎水化処理剤により順次表面処理されたシリカ粒子であって、
蛍光X線分析によって元素分析して求められるアルミニウム原子量が0.01原子%以上30原子%以下であり、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であるシリカ複合粒子。 - 平均円形度が0.5以上0.85以下である請求項1又は請求項2に記載のシリカ複合粒子。
- アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物とアルコールとの混合液であって、前記アルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下である混合液を供給して、前記アルミニウム化合物により前記シリカ粒子を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。 - アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランの1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下の供給量でアルカリ触媒を供給して、シリカ粒子を生成する工程と、
前記シリカ粒子が生成した前記アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物とアルコールとの混合液であって、前記アルミニウム化合物の濃度が0.05質量%以上10質量%以下である混合液を供給して、前記アルミニウム化合物により前記シリカ粒子を表面処理する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。 - 更に、前記アルミニウム化合物により表面処理された前記シリカ粒子を、疎水化処理剤により表面処理する工程を有する請求項4又は請求項5に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
- 前記疎水化処理剤により表面処理する工程を、超臨界二酸化炭素中で実施する請求項6に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
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