JP6142689B2 - シリカ複合粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ複合粒子及びその製造方法に関する。
シリカ粒子は、トナー、化粧品、ゴム、研磨剤等の添加成分または主成分として用いられ、例えば、樹脂の強度向上、粉体の流動性向上、パッキング抑制などの役割を担っている。シリカ粒子の有する性質は、シリカ粒子の形状と表面性状に依存すると考えられ、シリカ粒子の異形化や、シリカ粒子の表面処理、シリカと金属又は金属化合物との複合化が提案されている。
例えば、特許文献1には、異形シリカ粒子の製造方法が開示されており、特許文献2には、1次粒子が2個以上会合した会合シリカ粒子の製造方法が開示されている。
また、特許文献3及び4には、金属アルコキシド等の金属化合物で表面処理されたシリカ粒子が開示されている。
また、特許文献5乃至8には、シリカと酸化アルミニウム等とを複合化したシリカ複合粒子が開示されている。
特開2012−101953号公報 特開2012−025596号公報 特開2009−062274号公報 特許第4346403号公報 特開2003−280248号公報 特開2007−140093号公報 特許第4190985号公報 特許第4636709号公報
本発明は、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいシリカ複合粒子を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、
酸化ケイ素と、含有率が0.001質量%以上3質量%以下のアルミニウムと、を含み、
平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であるシリカ複合粒子。
請求項2に係る発明は、
表面が、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤により疎水化処理されている請求項1に記載のシリカ複合粒子。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法の一例は、
アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランとアルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物との混合液を供給すると共に、前記テトラアルコキシシラン及び前記アルミニウム化合物の1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下の供給量でアルカリ触媒を供給して、酸化ケイ素及びアルミニウムを含む粒子を生成する工程と、
を有するシリカ複合粒子の製造方法。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法の一例は、
更に、前記酸化ケイ素及びアルミニウムを含む粒子の表面を、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤により疎水化処理する工程を有する前段落に記載のシリカ複合粒子の製造方法。
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、アルミニウム含有率、平均粒径、粒度分布指標、及び平均円形度のうち少なくとも1つが上記範囲を満たさないシリカ複合粒子に比べて、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいシリカ複合粒子が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
<シリカ複合粒子>
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、酸化ケイ素と、アルミニウムと、を含んで構成さており、アルミニウムの含有率(シリカ複合粒子全体に対する含有率)が0.001質量%以上3質量%以下である。
そして、本実施形態に係る複合粒子は、平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、上記の構成により、付着対象物(例えば、樹脂粒子、鉄粉、その他粉体等)に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくい。
この理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
上記の平均粒径、粒度分布指標及び平均円形度を持つシリカ複合粒子は、適度な大きさで、粒度分布が狭く、しかも、真球に比べ凹凸の有る異形状である。
このシリカ複合粒子は、適度な大きさで、粒度分布が狭いことにより、粒度分布が広い粒子群よりも粒子同士の密着度が低いため、粒子同士の摩擦が生じにくいと考えられる。その結果、シリカ複合粒子自体の流動性に優れると考えられる。
また、このシリカ複合粒子は、適度な大きさで、異形状であることにより、球状(平均円形度が0.85を超える形状)の場合に比べ、付着対象物に付着した際に、付着対象物への埋まり込みや、転がりによる偏在及び離脱が生じにくいと考えられる。それと共に、このシリカ複合粒子は、平均円形度が0.5未満の形状に比べ、機械的負荷による破壊が生じにくいと考えられる。
以上の機序により、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、まず粒子の大きさ及び形状の点で、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいと考えられる。
そして、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、アルミニウムを適度に含むことから、酸化ケイ素単独で構成されたシリカ粒子に比べ、静電気を逃がし易く、その結果、互いに凝集しにくいと考えられる。このため、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいと考えられる。
このように、本実施形態に係るシリカ複合粒子は、粒子の大きさ及び形状とアルミニウム含有率との相乗的効果により、付着対象物に対する分散性に優れ、且つ、付着対象物の流動を妨げにくいと考えられる。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、表面に疎水化処理が施されたシリカ複合粒子であってもよい。この場合も、シリカ複合粒子のアルミニウム含有率、平均粒径、粒度分布指標、及び平均円形度の各範囲は上記のとおりである。
以下、本実施形態に係るシリカ複合粒子について詳細に説明する。
−アルミニウム含有率−
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、酸化ケイ素(二酸化ケイ素、シリカ)と、アルミニウムとが混合した複合粒子であり、酸化ケイ素で構成された粒子中にアルミニウムが分散して存在する複合粒子であることが望ましい。
シリカ複合粒子全体に対するアルミニウムの含有率は、0.001質量%以上3質量%以下である。
アルミニウムの含有率が0.001質量%未満では、静電気を逃がす除電効果が得られにくく、その結果、シリカ複合粒子が互いに凝集する場合がある。
一方、アルミニウムの含有率が3質量%超では、シリカ複合粒子を作製する際、アルミニウム化合物の反応が激しいことに起因して、過大な粗粉の発生や、粒度分布の拡大、形状の過剰な異形化が起こり易い。このシリカ複合粒子は、機械的負荷がかかった場合に欠損し易く、付着対象物の流動を妨げる要因となる。
上記の理由から、シリカ複合粒子全体に対するアルミニウムの含有率は、望ましくは0.01質量%以上2質量%以下であり、より望ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
粒子中のアルミニウムの含有率は、蛍光X線分析装置(例えば、島津製作所製XRF1500)を用いて、粒子中の構成元素のNET強度を求め、そのNET強度とアルミニウム0%及び100%のNET強度の検量線とにより定量する。なお、アルミニウムは極めて酸化されやすく100%は通常ありえないが、金属アルミニウムを検量線用の100%試料とし、ここに含まれる酸素やその他の微量元素は無視する。
−平均粒径−
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、平均粒径が30nm以上500nm以下である。
シリカ複合粒子の平均粒径が30nm未満では、シリカ複合粒子の形状が球状(平均円形度が0.85を超える形状)となり易く、シリカ複合粒子の平均円形度を0.5以上0.85以下とすることが難しい。また、平均粒径が30nm未満では、シリカ複合粒子の形状が異形状であっても、付着対象物に対するシリカ複合粒子の埋没を抑制することが難しく、付着対象物の流動を妨げ易い。
一方、シリカ複合粒子の平均粒径が500nm超では、シリカ複合粒子に機械的負荷がかかった場合に欠損しやすく、その結果、付着対象物の流動を妨げ易い。
上記の理由から、シリカ複合粒子の平均粒径は、望ましくは60nm以上500nm以下であり、より望ましくは100nm以上350nm以下であり、更に望ましくは100nm以上250nm以下である。
シリカ複合粒子の平均粒径は、一次粒子の平均粒径である。具体的には、粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量50000)にシリカ複合粒子を分散させた際の一次粒子100個を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像解析によって一次粒子100個それぞれの円相当径を求め、その個数基準の分布における小径側から個数累積50%(50個目)の円相当径を平均粒径とする。
−粒度分布指標−
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、粒度分布指標が1.1以上1.5以下である。
粒度分布指標が1.1未満であるシリカ複合粒子は製造が難しい。
一方、シリカ複合粒子の粒度分布指標が1.5超の場合、粗大粒子の発生や粒径のばらつきにより付着対象物への分散性が悪化し、また、粗大粒子の存在が増えるに伴い機械的負荷による欠損粒子が増えるため、付着対象物の流動を妨げ易い。
上記の理由から、シリカ複合粒子の粒度分布指標は、望ましくは1.25以上1.4以下である。
シリカ複合粒子の粒度分布指標は、一次粒子の粒度分布指標である。具体的には、粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量50000)にシリカ複合粒子を分散させた際の一次粒子100個をSEMにより観察し、画像解析によって一次粒子100個それぞれの円相当径を求め、その個数基準の分布における小径側から個数累積84%(84個目)の円相当径を、同じく個数累積16%(16個目)の円相当径で除した値の平方根を粒度分布指標とする。
−平均円形度−
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、平均円形度が0.5以上0.85以下である。
シリカ複合粒子の平均円形度が0.5未満では、シリカ複合粒子の長径/短径比が大きくなり、シリカ複合粒子に機械的負荷が加わった場合に応力集中が生じて欠損し易く、その結果、付着対象物の流動を妨げ易い。
一方、シリカ複合粒子の平均円形度が0.85超では、シリカ複合粒子の形状は球に近づく。そのため、付着対象物と混合する際の攪拌の機械的負荷などによってシリカ複合粒子が偏って付着したり、経時保存後にシリカ複合粒子が偏って付着したりして、付着対象物への分散性が悪化し、また、シリカ複合粒子の付着対象物からの脱離が生じ易い。
上記の理由から、シリカ複合粒子の平均円形度は、望ましくは0.6以上0.8以下である。
シリカ複合粒子の平均円形度は、一次粒子の平均円形度である。具体的には、粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量50000)にシリカ複合粒子を分散させた際の一次粒子100個をSEMにより観察し、画像解析によって一次粒子100個それぞれの周囲長(I)及び投影面積(A)を求め、式「4π×(A/I)」により一次粒子100個それぞれの円形度を算出する。そして、一次粒子100個の円形度の個数基準の分布における小径側から個数累積50%(50個目)の円形度を平均円形度とする。
一次粒子100個の円相当径、周囲長、投影面積を求める上記画像解析は、例えば、以下の方法で行う。解析装置(エリオニクス社製ERA−8900)を用いて、倍率10,000倍の二次元画像を撮影し、画像解析ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて、0.010000μm/pixel条件で投影面積及び周囲長を求める。円相当径は、2√(投影面積/π)とする。
本実施形態に係るシリカ複合粒子は、トナー、化粧品、研磨剤等の種々の分野に適用し得る。
<シリカ複合粒子の製造方法>
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、上記本実施形態に係るシリカ複合粒子を得るための製造方法の一例であり、具体的には、以下の通りである。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、下記のアルカリ触媒溶液準備工程と、下記の粒子生成工程とを有する。
・アルカリ触媒溶液準備工程:アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程。
・粒子生成工程:アルカリ触媒溶液中に、アルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下の供給量で、テトラアルコキシシランとアルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物との混合液を供給すると共に、前記テトラアルコキシシラン及び前記アルミニウム化合物の1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下の供給量でアルカリ触媒を供給して、酸化ケイ素及びアルミニウムを含む粒子を生成する工程。
以下、「テトラアルコキシシランとアルミニウム化合物との混合液」を「アルミニウム混合液」と称し、「テトラアルコキシシラン及びアルミニウム化合物」を「含アルミニウムシリカ化合物」と称して説明する。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、上記濃度のアルカリ触媒とアルコールとが含まれるアルカリ触媒溶液に、アルミニウム混合液と、触媒であるアルカリ触媒とをそれぞれ上記供給量で供給して、含アルミニウムシリカ化合物を反応させて、酸化ケイ素及びアルミニウムを含む粒子(シリカ複合粒子)を生成する方法である。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、上記手法により、粗大凝集物の発生が少なく、異形状のシリカ複合粒子が得られる。この理由は、定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
まず、アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液に、アルミニウム混合液とアルカリ触媒とをそれぞれ供給すると、アルカリ触媒溶液中に供給された含アルミニウムシリカ化合物が反応して、核粒子が生成する。このとき、アルカリ触媒溶液中のアルカリ触媒濃度が上記範囲であると、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子が生成すると考えられる。この機序として、アルカリ触媒は、触媒作用を示すほかに、生成した核粒子の表面に配位し、核粒子の形状形成と分散安定性に寄与するところ、その供給量が上記範囲であると、アルカリ触媒が核粒子の表面を覆う際にムラが生じるため(つまりアルカリ触媒が核粒子の表面に偏在して付着するため)、核粒子の分散安定性を保ちつつも、核粒子表面における張力及び化学的親和性に部分的な偏りが生じ、異形状の核粒子が生成すると考えられる。
そして、アルミニウム混合液とアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、含アルミニウムシリカ化合物の反応により、生成した核粒子が成長し、シリカ複合粒子が得られる。この両者の供給を上記範囲の供給量を維持しつつ行うことで、核粒子の分散を維持しつつも、核粒子表面における張力及び化学的親和性の部分的な偏りも維持されることから、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子がその異形状を保ったまま粒子成長し、その結果、異形状のシリカ複合粒子が生成されると考えられる。
ここで、核粒子の成長過程において、アルミニウム混合液の供給量が、シリカ複合粒子の粒度分布や円形度に関係すると考えられる。アルミニウム混合液の供給量を、上記範囲とすることで、滴下されたテトラアルコキシシラン同士の接触確率を下げ、テトラアルコキシシラン同士の反応が起こる前に、含アルミニウムシリカ化合物(テトラアルコキシシラン及びアルミニウム化合物)が個々の核粒子に偏りなく供給され、含アルミニウムシリカ化合物と核粒子との反応を偏り無く生じさせ得ると考えられる。その結果、粒子成長のばらつきを抑制し、粒径及び形状の分布幅の狭いシリカ複合粒子を製造し得ると考えられる。
なお、シリカ複合粒子の平均粒径は、含アルミニウムシリカ化合物の総供給量に依存すると考えられる。
以上の機序によって、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法によれば、本実施形態に係るシリカ複合粒子が得られると考えられる。
また、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法によれば、異形状の核粒子を生成させ、この異形状を保ったまま核粒子を成長させてシリカ複合粒子が生成されると考えられる。このことから、機械的負荷に強く壊れにくく、したがって、機械的負荷に対する形状安定性が高い異形状のシリカ複合粒子が得られると考えられる。
さらに、本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法では、アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム混合液とアルカリ触媒とをそれぞれ供給し、含アルミニウムシリカ化合物の反応を生じさせることで、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法により異形状のシリカ複合粒子を製造する場合に比べ、アルカリ触媒の総使用量が少なく、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品にシリカ複合粒子を適用する場合に有利である。
以下、アルカリ触媒溶液準備工程及び粒子生成工程について説明する。
−アルカリ触媒溶液準備工程−
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、この溶媒とアルカリ触媒とを混合して、アルカリ触媒溶液を準備する工程である。
アルコールを含む溶媒は、アルコール単独の溶媒であってもよいし、アルコールとその他の溶媒との混合溶媒であってもよい。その他の溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;などが挙げられる。混合溶媒の場合、アルコールの割合は80質量%以上(望ましくは90質量%以上)がよい。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒は、含アルミニウムシリカ化合物の反応(加水分解反応、縮合反応)を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素、モノアミン、四級アンモニウム塩等の塩基性触媒が挙げられ、特にアンモニアが望ましい。
アルカリ触媒の濃度(含有量)は、0.6mol/L以上0.85mol/L以下であり、望ましくは0.63mol/L以上0.78mol/L以下であり、より望ましくは0.66mol/L以上0.75mol/L以下である。
アルカリ触媒の濃度が0.6mol/L未満であると、核粒子の成長過程における分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたりゲル状化したりして、シリカ複合粒子の粒度分布が広くなったり複数の分布ピークを示したりすることがある。
一方、アルカリ触媒の濃度が0.85mol/L超であると、生成した核粒子の安定性が過大となり、球状の核粒子が形成され、異形状の核粒子が得られにくく、その結果、平均円形度が0.85以下の異形状のシリカ複合粒子を得ることが難しい。
アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルコールを含む溶媒とアルカリ触媒との総量)に対する濃度である。
−粒子生成工程−
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、アルミニウム混合液とアルカリ触媒とをそれぞれ前記供給量で供給し、アルカリ触媒溶液中で、含アルミニウムシリカ化合物を反応(加水分解反応、縮合反応)させて、酸化ケイ素及びアルミニウムを含む粒子(シリカ複合粒子)を生成する工程である。
この粒子生成工程では、アルミニウム混合液の供給初期に、含アルミニウムシリカ化合物の反応により、核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、シリカ複合粒子が生成する。
アルカリ触媒溶液中に供給するアルミニウム混合液において、含アルミニウムシリカ化合物(テトラアルコキシシランとアルミニウム化合物との混合物)は、アルミニウム化合物の種類にもよるが、テトラアルコキシシランとアルミニウム化合物の総量に占めるアルミニウム化合物の割合が、0.005質量%以上10質量%以下であることが望ましく、0.01質量%以上8質量%以下であることがより望ましく、0.1質量%以上7質量%以下であることが更に望ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることが更に望ましい。
アルミニウム混合液において、アルミニウム化合物が少ないと、シリカ複合粒子中のアルミニウムの含有率が少なくなり、アルミニウム化合物が多いと、シリカ複合粒子中のアルミニウムの含有率が多くなる。
アルミニウム化合物が多過ぎると、アルミニウム化合物の反応が激しいことに起因して、過大な粗粉の発生や、粒度分布の拡大、形状の過剰な異形化が起こり易く、得られたシリカ複合粒子は、機械的負荷がかかった場合に欠損し易く、付着対象物の流動を妨げる要因となる。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが望ましい。
アルミニウム化合物(アルミニウム原子に酸素原子を介して有機基が結合しているアルミニウム化合物)としては、例えば、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムn−プロポキシド、アルミニウムi−プロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムi−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類;アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等のキレート類;アルミニウムオキサイド2−エチルヘキサノエート、アルミニウムオキサイドラウレート等のアルミニウムオキサイドアシレート類;アセチルアセトナート等のβ−ジケトン類とアルミニウムの錯体;エチルアセトアセテート等のβ−ケトエステル類とアルミニウムの錯体;トリエタノールアミン等のアミン類とアルミニウムの錯体;酢酸、酪酸、乳酸、クエン酸等のカルボン酸類とアルミニウムの錯体;などが挙げられる。
アルミニウム化合物は、反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、アルコキシ基を1個以上(望ましくは2個以上)有するアルミニウム化合物であることが望ましい。つまり、アルミニウム化合物は、アルコキシ基(酸素原子1個を介してアルミニウム原子に結合するアルキル基)がアルミニウム原子に1個以上(望ましくは2個以上)結合しているアルミニウム化合物であることが望ましい。アルコキシ基の炭素数は、反応速度の制御性や得られるシリカ複合粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、8以下が望ましく、より望ましくは2以上4以下である。
アルミニウム化合物の望ましい具体例としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等のキレート類が挙げられる。
アルミニウム混合液の供給量は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.0005mol/(mol・min)以上0.01mol/(mol・min)以下である。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.0005mol以上0.01mol以下の供給量で、含アルミニウムシリカ化合物(テトラアルコキシシラン及びアルミニウム化合物の混合物)を供給することを意味し、上記の供給量はテトラアルコキシシランとアルミニウム化合物とを合わせた量である。
アルミニウム混合液の供給量が0.0005mol/(mol・min)未満であると、滴下されたテトラアルコキシシラン同士の接触確率を下げることにはなるが、アルミニウム混合液の総供給量を滴下し終わるまでに長時間を要し、生産効率が悪い。
アルミニウム混合液の供給量が0.01mol/(mol・min)超であると、滴下された含アルミニウムシリカ化合物と核粒子とが反応する前に、含アルミニウムシリカ化合物同士の反応を生じさせることになると考えられる。そのため、核粒子への含アルミニウムシリカ化合物供給の偏在化を助長し、粒子成長のばらつきをもたらすことから、粒径及び形状の分布幅が拡大することとなる。
上記の理由で、アルミニウム混合液の供給量は、望ましくは0.001mol/(mol・min)以上0.009mol/(mol・min)以下であり、より望ましくは0.002mol/(mol・min)以上0.008mol/(mol・min)以下であり、更に望ましくは0.003mol/(mol・min)以上0.007mol/(mol・min)以下である。
シリカ複合粒子の粒径は、アルミニウム化合物の種類や、反応条件にもよるが、含アルミニウムシリカ化合物の総供給量を、例えばシリカ複合粒子分散液1Lに対し1.08mol以上とすることで、粒径が100nm以上の一次粒子が得られ易く、シリカ複合粒子分散液1Lに対し5.49mol以下とすることで、粒径が500nm以下の一次粒子が得られ易い。
アルカリ触媒溶液中に供給するアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液準備工程の項において例示したものが挙げられる。アルミニウム混合液と共に供給されるアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液中に予め含まれるアルカリ触媒と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることがよい。
アルカリ触媒の供給量は、前記テトラアルコキシシラン及び前記アルミニウム化合物の1分間当たりの総供給量に対して、0.1mol/(mol・min)以上0.4mol/(mol・min)以下である。
これは、含アルミニウムシリカ化合物(テトラアルコキシシラン及びアルミニウム化合物の混合物)の1分間当たりの総供給量の1mol当たりに対して、1分間当たり0.1mol以上0.4mol以下の供給量で、アルカリ触媒を供給することを意味する。
アルカリ触媒の供給量が0.1mol/(mol・min)未満であると、成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたりゲル状化したりして、シリカ複合粒子の粒度分布が広くなったり複数の分布ピークを示したりすることがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が0.4mol/(mol・min)超であると、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で異形状の核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、異形状のシリカ複合粒子を得ることが難しい。
上記の理由で、アルカリ触媒の供給量は、望ましくは0.14mol/(mol・min)以上0.35mol/(mol・min)以下であり、より望ましくは0.18mol/(mol・min)以上0.3mol/(mol・min)以上である。
アルカリ触媒溶液中にアルミニウム混合液とアルカリ触媒とをそれぞれ供給する供給方法は、連続的に供給する方式であってもよいし、間欠的に供給する方式であってもよい。
粒子生成工程において、アルカリ触媒溶液の温度(供給時の温度)は、例えば、5℃以上50℃以下がよく、望ましくは15℃以上40℃以下である。
粒子生成工程を経て得られるシリカ複合粒子は、分散液の状態で得られるが、そのままシリカ複合粒子分散液として用いてもよいし、溶媒を除去してシリカ複合粒子の粉体として取り出して用いてもよい。
シリカ複合粒子分散液として用いる場合は、水やアルコールで希釈したり濃縮したりして、シリカ複合粒子の固形分濃度の調整を行ってもよい。シリカ複合粒子分散液は、その他のアルコール類、エステル類、ケトン類等の水溶性有機溶媒などに溶媒置換して用いてもよい。
シリカ複合粒子の粉体として用いる場合、シリカ複合粒子分散液から溶媒を除去する。この溶媒除去方法としては、例えば、1)濾過、遠心分離、蒸留等により溶媒を除去した後、真空乾燥機、棚段乾燥機等により乾燥する方法、2)流動層乾燥機、スプレードライヤー等によりスラリーを直接乾燥する方法、が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、望ましくは200℃以下である。200℃より高いとシリカ複合粒子表面に残存するシラノール基の縮合による一次粒子同士の結合や粗大粒子の発生が起こり易くなる。
乾燥されたシリカ複合粒子は、解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミル等の乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機等公知のものにより行う。
シリカ複合粒子分散液の溶媒除去方法としては、超臨界二酸化炭素をシリカ複合粒子分散液に接触させて溶媒を除去する方法も挙げられる。具合的には、例えば、密閉反応容器にシリカ複合粒子分散液を投入後、液化二酸化炭素を導入して加熱し、高圧ポンプにより反応容器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応容器内の温度及び圧力を二酸化炭素の臨界点以上に維持しながら、密閉反応容器内に超臨界二酸化炭素を導入すると共に排出することで、シリカ複合粒子分散液に超臨界二酸化炭素を流通させる。これにより、超臨界二酸化炭素が、溶媒(アルコール及び水)を溶解しつつ、これを同伴してシリカ複合粒子分散液の外部(密閉反応容器内の外部)へと排出され、溶媒が除去される。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法は、更に、シリカ複合粒子の表面を疎水化処理剤により疎水化処理する工程(疎水化処理工程)を有してもよい。疎水化処理の方法としては、例えば、1)シリカ複合粒子分散液に疎水化処理剤を添加し、攪拌下において例えば30℃以上80℃以下の温度範囲で反応させる方法、2)ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体のシリカ複合粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を例えば80℃以上300℃以下に加熱することで疎水化処理剤をガス化して反応させる方法、が挙げられる。
本実施形態に係るシリカ複合粒子の製造方法が疎水化処理工程を有する場合、疎水化処理工程は、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤により表面を疎水化処理する工程であることが望ましい。
超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度及び圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を示す二酸化炭素である。超臨界二酸化炭素は、界面張力が極めて低いという特性を有する。
疎水化処理剤によりシリカ複合粒子の表面を疎水化処理する工程を超臨界二酸化炭素中で行うと、疎水化処理剤は超臨界二酸化炭素に溶解した状態になり、界面張力が極めて低い超臨界二酸化炭素と共にシリカ複合粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられる。その結果、疎水化処理剤によって、シリカ複合粒子の表面のみならず孔部の奥深くまで疎水化処理がなされるものと考えられる。
したがって、超臨界二酸化炭素中で表面に疎水化処理が施されたシリカ複合粒子は、孔部の奥深くまで疎水化処理が施されていることから、吸着し保持する水の量が少なく、よって、疎水性の付着対象物(疎水性の樹脂、疎水性の溶媒など)に対する分散性に優れると考えられる。
以下、超臨界二酸化炭素中での疎水化処理工程について説明する。
−超臨界二酸化炭素中での疎水化処理工程−
本工程では、具合的には、例えば、密閉反応容器内にシリカ複合粒子を投入し、次いで疎水化処理剤を加える。その後、密閉反応容器内に、液化二酸化炭素を導入して加熱し、高圧ポンプにより密閉反応容器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤を反応させ、シリカ複合粒子の疎水化処理を行う。反応終了後は、密閉反応容器内を減圧し冷却する。
超臨界二酸化炭素の密度は、例えば、0.1g/ml以上0.6g/ml以下がよく、望ましくは0.1g/ml以上0.5g/ml以下であり、より望ましくは0.2g/ml以上0.3g/ml以下)である。
超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力により調整される。
疎水化処理の温度条件、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは100℃以上300℃以下であり、より望ましくは150℃以上250℃以下である。
疎水化処理の圧力条件、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、上記密度を満足する条件であればよいが、例えば、8MPa以上30MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上25MPa以下であり、より望ましく15MPa以上20MPa以下である。
密閉反応容器の容積に対するシリカ複合粒子の量(仕込み量)は、例えば、50g/L以上600g/L以下がよく、望ましくは100g/L以上500g/L以下であり、より望ましくは150g/L以上400g/L以下である。
疎水化処理剤の使用量は、シリカ複合粒子に対し1質量%以上60質量%以下がよく、望ましくは5質量%以上40質量%以下であり、より望ましくは10質量%以上30質量%以下である。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を持つ公知の有機ケイ素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン等のシラン化合物;ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等のシラザン化合物;などが挙げられる。疎水化処理剤は、1種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のトリメチル基を有する有機ケイ素化合物が好適である。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。また、「部」、「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
<実施例1>
−アルカリ触媒溶液準備工程(アルカリ触媒溶液の調製)−
攪拌翼、滴下ノズル、及び温度計を有する容積2.5Lのガラス製反応容器にメタノール400部、10%アンモニア水(NHOH)70部を入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。このアルカリ触媒溶液のアルカリ触媒の濃度(即ちNHの濃度。NH〔mol〕/(NH+メタノール+水)〔L〕)は、0.71mol/Lであった。
−粒子生成工程(シリカ複合粒子懸濁液の調製)−
テトラメトキシシラン(TMOS)197部に対して、アルミニウム化合物としてアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(和光純薬工業社製)を3部添加して、アルミニウム化合物濃度1.5%のアルミニウム混合液を準備した。
また、アルカリ触媒として、触媒(NH)濃度3.8%のアンモニア水(NHOH)を準備した。
アルカリ触媒溶液の温度を17℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を120rpmで攪拌しながら、アルミニウム混合液200部と、3.8%アンモニア水152部とを、同時に滴下を開始して60分かけて滴下し、シリカ複合粒子の懸濁液(シリカ複合粒子懸濁液)を得た。
この際、アルミニウム混合液の1分間当たりの供給量は、アルカリ触媒溶液中のメタノール総量(mol)に対して、0.0018mol/(mol・min)とした。
3.8%アンモニア水の供給量は、含アルミニウムシリカ化合物(TMOS及びアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートの混合物)の1分間当たりの総供給量に対して0.27mol/(mol・min)とした。
−疎水化処理工程(超臨界二酸化炭素中での疎水化処理)−
シリカ複合粒子懸濁液が収容された密閉反応容器内をヒーターにより80℃まで昇温後、二酸化炭素ポンプにより20MPaまで昇圧して、密閉反応容器内に超臨界二酸化炭素を流通させ(導入及び排出量170L/分/m)、シリカ複合粒子懸濁液の溶媒除去を行い、シリカ複合粒子の粉末を得た。
シリカ複合粒子の粉末が収容された密閉反応容器内(容器の容積に対するシリカ複合粒子の仕込み量200g/L)に、ヘキサメチルジシラザンを40部投入した。次いで、密閉反応容器内を液化二酸化炭素で満たした。ヒーターにより160℃まで昇温後、二酸化炭素ポンプにより20MPaまで昇圧した。温度160℃及び圧力20MPaに達し、二酸化炭素が超臨界状態(超臨界二酸化炭素の密度0.163g/ml)となった時点で攪拌機を200rpmで運転しながら、30分間保持した。続いて、圧力を大気圧まで開放し室温(25℃)まで冷却した。その後、攪拌機を停止し、表面が疎水化処理されたシリカ複合粒子の粉体を取り出した。
<実施例2〜30、比較例1〜5>
表1に従って、アルカリ触媒溶液準備工程、粒子生成工程での各条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、表面が疎水化処理されたシリカ複合粒子を得た。
各実施例及び比較例において、アルミニウム混合液は、表1に記載にされたテトラメトキシシラン(TMOS)の総供給量とアルミニウム化合物の総供給量とに従って、TMOSにアルミニウム化合物を添加して準備した。
実施例18では、アルミニウム化合物として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートに代えて、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート(和光純薬工業社製)を用いて、表面が疎水化処理されたシリカ複合粒子を得た。
実施例19では、アルミニウム化合物として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートに代えて、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(和光純薬工業社製)を用いて、表面が疎水化処理されたシリカ複合粒子を得た。
実施例20では、アルミニウム化合物として、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートに代えて、アルミニウムn−プロポキシド(和光純薬工業社製)を用いて、表面が疎水化処理されたシリカ複合粒子を得た。
表1中、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートはALCH、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートはALCH−TR、アルミニウムトリスアセチルアセトネートはALTAA、アルミニウムn−プロポキシドはALnPと略記する。
<実施例1〜30、比較例1〜5の評価>
〔シリカ複合粒子の物性〕
各実施例及び各比較例のシリカ複合粒子について、既述の方法に従って、アルミニウム含有率、平均粒径、粒度分布指標、平均円形度を求めた。結果を表2に示す。
〔付着対象物に対する分散性〕
各実施例及び各比較例のシリカ複合粒子を樹脂粒子へ分散した際の樹脂粒子に対する分散性について評価した。
具体的には、シリカ複合粒子を温度25℃/湿度55%RHの環境下に17時間放置した後、粒径10μmの樹脂粒子(ポリエステル粒子、綜研化学社製)50gにシリカ複合粒子0.8gを添加し、振とう機を用いて5分間振とうして混合した後、SEMにより樹脂粒子表面の観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
−評価基準−
A:シリカ複合粒子の凝集体が確認できず、且つ、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められない。
B:シリカ複合粒子の凝集体が確認できないが、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められる。
C:わずかにシリカ複合粒子の凝集体が確認でき、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に偏りが認められるが、実用上問題ない。
D:シリカ複合粒子の凝集体が散見され、且つ、シリカ複合粒子による樹脂粒子表面の被覆に明らかに偏りが認められる。
〔付着対象物の流動性〕
前記付着対象物に対する分散性の評価を行った樹脂粒子(ポリエステル樹脂粒子の表面をシリカ複合粒子が被覆した粒子)について、流動性を評価した。
具体的には、前記樹脂粒子10gを目開き105μm及び75μmの篩にそれぞれのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、各篩上に残った樹脂粒子(残留分)の量を、下記の指標及び評価基準に基づいて評価した。下記の指標は、樹脂粒子の流動性をより明らかにするため、より目の粗い篩上の残留分を強調したものである。各櫛上の残留分の量は、篩の重さと残留分込みの篩の重さとを測定し、後者から前者を減じて算出した。A、B、及びCが実用上問題ない。結果を表2に示す。
指標=100×{(105μmの篩の残留分)×1.5+(75μmの篩の残留分)×0.5)}/(樹脂粒子の全量)
−評価基準−
A:指標が3未満である。
B:指標が3以上6未満である。
C:指標が6以上10未満である。
D:指標が10以上である。
上記の結果から、本実施例のシリカ複合粒子は、比較例のシリカ複合粒子に比べ、付着対象物(ポリエステル粒子)に対する分散性に優れ、付着対象物(ポリエステル粒子)の流動性を妨げにくいことが分かる。

Claims (2)

  1. 酸化ケイ素と、含有率が0.001質量%以上3質量%以下のアルミニウムと、を含み、
    平均粒径が30nm以上500nm以下であり、粒度分布指標が1.1以上1.5以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であるシリカ複合粒子。
  2. 表面が、超臨界二酸化炭素中で疎水化処理剤により疎水化処理されている請求項1に記載のシリカ複合粒子。
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