JP5966968B2 - ゾルゲルシリカ粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、ゾルゲルシリカ粒子に関する。
シリカ粒子は、トナー、化粧品、ゴム、研磨剤等の添加成分または主成分として用いられ、例えば、樹脂の強度向上、粉体の流動性向上、パッキング抑制などの役割を担っている。シリカ粒子の有する性質は、シリカ粒子の形状に依存し易いと考えられ、種々の形状のシリカ粒子が提案されている。
例えば、特許文献1では、「疎水率95%以上および疎水化度が76%以上であって、粒径10〜70μmの範囲に集中した分布密度を有することを特徴とする高分散高疎水性シリカ粉末」が開示されている。
また、特許文献2には、「反応性変性シリコーンオイルにより表面処理された無機酸化物粉末であって、カーボン固定化率が90%以上で、疎水率が95%以上であることを特徴とする表面改質無機酸化物粉末」が開示されている。
特開2004−168559号公報 特開2009−292915号公報
本発明の課題は、付着対象物の流動性を向上するゾルゲルシリカ粒子を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
体積平均粒径が80nm以上300nm以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であり、
立体画像解析により求められる最大高さHに対する平面画像解析により求められる円相当径Daの比(Da/H)の平均値が、1.6以上1.85以下であり、
且つ、超臨界二酸化炭素中で25℃における粘度が50cSt以上300cSt以下であるジメチルシリコーンオイルにより表面処理されたゾルゲルシリカ粒子。
請求項1に係る発明によれば、オイルにより表面処理されたヒュームドシリカ粒子に比べ、また、円相当径Daの比(Da/H)が上記範囲外の場合に比べ、更に、大気開放下で、オイルにより表面処理されている場合に比べ、付着対象物の流動性を向上するゾルゲルシリカ粒子が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
<シリカ粒子>
本実施形態に係るゾルゲルシリカ粒子(以下、単に「シリカ粒子」と称することがある)は、体積平均粒径が80nm以上300nm以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であり、立体画像解析により求められる最大高さHに対する平面画像解析により求められる円相当径Daの比(Da/H)の平均値が、1.6以上1.85以下であり、且つ、超臨界二酸化炭素中で25℃における粘度が50cSt以上300cSt以下であるジメチルシリコーンオイルにより表面処理されている。
なお、平均円形度は、シリカ粒子の球の度合いを示し、円形度が1であるときに粒子が真球であることを示す。そして、平均円形度が0.85以下とは、真球に比べ凹凸の多い形状であることを意味する。以下、平均円形度が0.85以下である形状を「異形状」と称し、平均円形度が0.85を超える形状を「球状」と称する。
ここで、未処理のシリカ粒子は、親水性が高く、樹脂への親和性や粉体への付着分散性が悪いことから、しばしば各種シラン系の処理剤やオイル(例えばシリコーンオイル)などの表面処理が施されて使用されている。特に、オイル(特にシリコーンオイル)により表面処理されたシリカ粒子は、疎水性が高まり易く、有利である。
しかしながら、オイルは、シラン系の処理剤に比べ比較的粘度が高いことから、オイルむらが発生し易く、シリカ粒子の表面に対して均一に近い状態で表面処理を施すことが難しい。このため、オイルにより表面処理されたシリカ粒子は、付着対象物の流動性が悪化し易くなる。これは、シリカ粒子の表面に対して、オイルが均一に近い状態で表面処理されていないと、オイルの遊離や、シリカ粒子の凝集が発生し易く、これに起因して、シリカ粒子自体の流動性が悪化し、シリカ粒子の付着対象物に対する分散性が悪化し、その結果シリカ粒子の付着対象物の流動性も悪化するためと考えられる。
これに対して、本実施形態に係るシリカ粒子では、オイルによる表面処理の対象となるシリカ粒子を、上記範囲の体積平均粒径を持つ小径で、且つ上記範囲の平均円形度を持つ異形状としたゾルゲルシリカ粒子とする。このゾルゲルシリカ粒子は、小径且つ異形状であることに加え、ゾルゲル法で作製されることから表面に細孔が多数存在するため、比表面積が高い。また、異形状とすることで、小径であっても、ゾルゲルシリカ粒子自体の流動性も向上すると考えられる。
このため、この特性を持つゾルゲルシリカ粒子の表面に対して、オイルにより表面処理を施すと、ゾルゲルシリカ粒子にオイルが均一に近い状態に表面処理された状態になると考えられる。つまり、ゾルゲルシリカ粒子の表面全体に対して、オイルが薄膜状に適切な量で付着すると考えられる。
以上から、本実施形態に係るシリカ粒子は、オイルの遊離や、凝集の発生が抑制され、その結果、付着対象物の流動性の向上が実現される。
加えて、シリカ粒子は、体積平均粒径が小さいほど球形になり易く、付着対象物の表面に分散しにくくなり、大きいほど外部からの機械的負荷に対して欠損し易い。また、シリカ粒子は、平均円形度が大きくなるほど球形に近くなり、シリカ粒子を付着対象物に添加した場合に、付着対象物への密着性が悪く、付着対象物の流動性を維持しにくくなる。一方、シリカ粒子の平均円形度が小さくなるほど異形の度合いが大きくなるため、外部からの機械的負荷が加わった場合に欠損しやすくなる。
このため、本実施形態に係るシリカ粒子は、上記範囲の体積平均粒径を持つ小径で、且つ上記範囲の平均円形度を持つ異形状とすることで、付着対象物に付着した場合において、外部から機械的負荷がかかっても、欠損したり外れたりしにくくなり易い。
また、本実施形態に係るシリカ粒子は、立体画像解析により求められる最大高さHに対する平面画像解析により求められる円相当径Daの比(Da/H)の平均値が、1.5を超え1.9未満とすることがよい。シリカ粒子の円相当径Daの比(Da/H)の平均値を上記範囲とすると、付着対象物の流動性が向上し易くなる。この理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えらえる。
まず、シリカに限らず、扁平状の粒子が平面上に乗るとき、一般に、粒子はぐらつきにくい状態で平面上に乗る。鋭利な角や、辺の端部等の平面を覆う被覆面積が小さくなる表面を平面に接触させて平面上に載ることはあっても、粒子に力を加えると倒れ、または傾き、力を加えても倒れない状態で平面上に乗る傾向にある。換言すると、粒子の表面のうち、平面の被覆面積が大きくなる面、ないし、平面との接着面積が大きくなる面を平面に接触させて、平面上に乗る傾向にある。
ここで、立体画像解析により求められるシリカ粒子の最大高さHは、そのような、シリカ粒子の表面のうち、平面の被覆面積が大きくなる面、または、平面との接着面積が大きくなる面を底辺Hとし、シリカ粒子の表面を、粗さ解析装置でスキャニングしたときに、Hから最も高い位置Hmaxを測定することにより求められる。すなわち、立体画像解析により求められるシリカ粒子の最大高さHは、HmaxからHまでの距離、つまり扁平状シリカ粒子の厚みを表す。
一方、平面画像解析により求められるシリカ粒子の円相当径Daは、Hと同じく、シリカ粒子の表面のうち、平面の被覆面積が大きくなる面、または、平面との接着面積が大きくなる面を底辺として、平面に接触しているシリカ粒子の投影面積からの2次解析から測定される円相当径である。
したがって、立体画像解析により求められるシリカ粒子の最大高さHに対する平面画像解析により求められるシリカ粒子の円相当径Daの比(Da/H)の平均値が、1であるときは球状となり、Da/Hが大きいほど厚みの薄い鱗片状粒子となる。
つまり、シリカ粒子の円相当径Daの比(Da/H)の平均値を上記範囲とするとは、一定の厚み扁平状である構成のシリカ粒子であることを意味する。
扁平状のシリカ粒子は、その扁平形状ゆえに付着対象物の表面に接着し易いものの、厚みが大きいほど外力を受けたときに壊れ易く、また、付着対象物から外れ易くなる。一方で、厚みがあまり薄いと粒子が華奢になり、粒子自体の耐久性が損なわれる。
このため、上記範囲の円相当径Daの比(Da/H)の平均値を持つシリカ粒子は、付着対象物の流動性が向上し易くなる。また、シリカ粒子が付着対象物に付着した場合において、外部から機械的負荷がかかっても、欠損したり外れたりしにくくなる。
以下、本実施形態に係るシリカ粒子について詳細に説明する。
−体積平均粒径−
本実施形態に係るシリカ粒子は、体積平均粒径が80nm以上300nm以下であり、望ましくは90nm以上250nm以下、より望ましくは100nm以上200nm以下である。
シリカ粒子の体積平均粒径を上記範囲とすることで、比表面積が高まり、オイルによる均一に近い表面処理が実現される。
ここで、シリカ粒子の体積平均粒径を80nm以上とすると、シリカ粒子の平均円形度を0.5以上0.85以下の異形状とし易い。また、シリカ粒子を樹脂粒子、鉄粉等の付着対象物に被覆する場合に、付着対象物に対する分散性が高まる。一方、シリカ粒子の体積平均粒径を300nm以下とすると、シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合に、欠損し難くなる。また、シリカ粒子を付着対象物に被覆した場合に、付着対象物の強度が向上し易く、シリカ粒子を付着する付着対象物の流動性を上げ易くなる。
本実施形態に係るシリカ粒子の体積平均粒径は、LSコールター(ベックマン-コールター社製粒度測定装置)によって測定した体積粒径の累積頻度における50%径(D50v)として得られる。
−平均円形度−
本実施形態に係るシリカ粒子は、平均円形度が0.5以上0.85以下であり、望ましくは0.6以上0.8以下である。
シリカ粒子の平均円形度を上記範囲とすることで、比表面積が高まり、オイルによる均一に近い表面処理が実現される。
ここで、シリカ粒子の平均円形度を0.85以下とすると、シリカ粒子を樹脂粒子や粉体等の付着対象物へ添加した際に、混合性や、付着対象物への密着性が高まり、機械的負荷に強く、流動性が維持され易くなる。そのため、例えば、シリカ粒子と樹脂粒子とを混合し攪拌した場合や、経時保存後に、シリカ粒子が均一に近い状態で樹脂粒子等に付着し、樹脂粒子等から脱離が抑制される。一方、シリカ粒子の平均円形度を0.5以上とすると、粒子の縦/横比が適切な異形状となり、シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合に応力集中が抑制され、欠損し難くなる。
なお、シリカ粒子をゾルゲル法により製造するには、平均円形度が0.5未満であるシリカ粒子の製造が困難である。
本実施形態に係るシリカ粒子の平均円形度の測定方法は次の通りである。
まず、シリカ粒子の円形度は、円形度は、粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)にシリカ粒子を分散させた後の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I
〔式(1)中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
そして、シリカ粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
−円相当径Daの比(Da/H)−
本実施形態に係るシリカ粒子は、「立体画像解析により求められるシリカ粒子の最大高さH」に対する「平面画像解析により求められるシリカ粒子の円相当径Da」の比(Da/H)の平均値が、1.5を超え1.9未満であることがよく、望ましくは、1.6以上1.85以下であり、より望ましくは1.65以上1.8以下である。
Da/Hの平均値は、シリカ粒子それぞれについてDaおよびHを測定して得たシリカ粒子それぞれのDa/Hの平均値である。
ここで、Da/Hの平均値を1.9以下とすると、シリカ粒子の形状が鱗片状に近付き難く、シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合に欠損し難くなり、結果として、付着対象物の流動性を維持し易くなる。Da/Hの平均値を1.5以上とすると、扁平状粒子の厚みが適度に小さくなり、シリカ粒子の形状が扁平状となって、付着対象物に対する付着面積の向上に加え、シリカ粒子の高さHが低減し、外部からの機械的負荷を受け難い構造となる。その結果、付着対象物の流動性が維持され易くなる。
シリカ粒子の最大高さHと円相当径Daは、以下の手順で求める。
粒径100μmの表面が平滑なジルコニアビーズにシリカ粒子を分散付着させた粒子を、電子線三次元粗さ解析装置(ERA−8900:エリオニクス社製)を用いて、倍率10,000倍の視野で10nm毎にX−Y軸方向の高さ解析を行い、高さを求めると同時に、同視野での倍率10,000倍の二次元画像を撮影する。
次に、前記二次元画像を、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて、0.010000μm/pixel条件で求めた面積から、下記式で円相当径Daを求め、粒子毎に粒子番号を付ける。
・式:円相当径=2√(面積/π)
更に、前記高さ解析数値を表計算ソフトMicrosoft Excel(Microsoft社製)を用いて、条件付き書式(二色スケール)により画像化することで、粒子毎の前記粒子番号との整合を図り、個々の粒子における粒子番号毎の最大高さHを求める。
なお、Da/Hの平均値は、測定したシリカ粒子100個の平均である。
−用途−
本実施形態に係るシリカ粒子は、既述のように、付着対象物(例えば、樹脂粒子、鉄粉など)の流動性を向上する異形状のシリカ粒子である。そのため、本実施形態に係るシリカ粒子は、トナー、化粧品、研磨剤等の種々の分野に適用し得る。
<シリカ粒子の製造方法>
本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法は、例えば、ゾルゲル法によりシリカ粒子分散液を準備後、溶媒除去を行い、溶媒が除去されたシリカ粒子に対してオイルによる表面処理を施すことで得られる。
ここで、本実施形態に係るシリカ粒子の製造では、超臨界二酸化炭素を利用し、超臨界二酸化炭素中でオイルによる表面処理を施すことがよい。また、シリカ粒子の他の製造過程(例えば、溶媒除去工程等)において、超臨界二酸化炭素を利用してもよい。
他の製造過程において超臨界二酸化炭素を利用するシリカ粒子の製造方法としては、例えば、ゾルゲル法によって、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する工程(以下、「分散液準備工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液から溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素中で、オイルにより、溶媒を除去した後のシリカ粒子の表面を表面処理する工程(以下、「表面処理工程」と称する)と、を有するシリカ粒子の製造方法が挙げられる。
オイルによるシリカ粒子の表面処理を超臨界二酸化炭素中で行うと、超臨界二酸化炭素中に疎水性処理剤が溶解した状態となる。超臨界二酸化炭素は界面張力が低いという特性を持つことから、超臨界二酸化炭素中に溶解した状態のオイルは、超臨界二酸化炭素と共に、シリカ粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられ、シリカ粒子の表面のみならず、孔部の奥深くまで、オイルによる表面処理がなされると考えられる。
このため、超臨界二酸化炭素中でオイルにより表面処理されたシリカ粒子は、オイルにより表面が均一に近い状態に処理されたシリカ粒子になると考えられる。
オイルにより表面処理されたシリカ粒子の利点はオイル処理されたシリカ粒子と材料系と接触させた際に、材料系にオイルを供給できることである。例えば、オイル処理されたシリカ粒子の遊離オイルを材料系と接触させる事で材料系に潤滑性を付与する事ができる。超臨界二酸化炭素中で表面処理されたオイル処理シリカ粒子は、大気中処理したシリカ等と比較して遊離オイルが少量であるが、オイル処理シリカ粒子と接触した材料系に十分なオイル量を付与することができる。これは、大気中での表面処理に比べてシリカ粒子の表面に均一に近い状態でオイル処理されるためだと考えられる。
また、シリカ粒子分散液からの溶媒除去を、超臨界二酸化炭素を利用して行うと、粗粉の発生が抑えられ易くなる。
この理由は定かではないが、1)シリカ粒子分散液の溶媒を除去する場合、超臨界二酸化炭素が「界面張力が働かない」という性質から、溶媒を除去する際の液架橋力による粒子同士の凝集もなく溶媒を除去できるものと考えられる点、2)超臨界二酸化炭素の「臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つ」といった性質により、比較的低温(例えば250℃以下)で、超臨界二酸化炭素に効率良く接触し、溶媒を溶解することから、この溶媒を溶解した超臨界二酸化炭素を除去することで、シラノール基の縮合による2次凝集体等の粗粉を生じることなく大径シリカ粒子分散液中の溶媒を除去できるものと考えられる点、等が理由として考えられる。
ここで、溶媒除去工程、及び表面処理工程は、個別に行なってもよいが、連続(つまり大気圧下に開放しない状態で各工程を実施)して行うことが望ましい。これら各工程を連続して行うことと、溶媒除去工程後において、シリカ粒子が水分を吸着する機会を無くし、シリカ粒子への過剰な水分の吸着が抑えられた状態で、表面処理工程を行える。これにより、大量のオイルを使用したり、過剰な加熱を行い高温で、溶媒除去工程及び表面処理工程を行う必要がなくなる。その結果、より効果的に、粗粉の発生が抑えられ易くなる。
以下、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法の詳細について、各工程別に詳細に説明する。
なお、本実施形態に係る大径シリカ粒子の製造方法は、これに限られるわけではなく、例えば、1)表面処理工程のみ超臨界二酸化炭素を使用する態様、2)各工程を個別に行う態様等であってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
〔分散液準備工程〕
分散液準備工程では、例えば、小径且つ異形状のシリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する。特に、付着対象物の流動性を向上する観点から、得られるシリカ粒子は小径且つ異形状であって円相当径Daの比(Da/H)が上記範囲を満たすことがよいため、このシリカ粒子分散液を得る工程について、説明する。
分散液準備工程は、例えば、アルコールを含む溶媒中に、アルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランの供給量が、前記準備工程における前記アルコールの量に対し、0.002mol/mol以上0.008mol/mol以下となるまで前記テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給する第1の供給工程と、前記第1の供給工程の後、前記テトラアルコキシシラン及び前記アルカリ触媒の供給を0.5min以上10min以下の時間停止する供給停止工程と、前記供給停止工程後、前記アルカリ触媒溶液中に、さらに、前記テトラアルコキシシラン及び前記アルカリ触媒を供給する第2の供給工程と、を有して構成される。
つまり、分散液準備工程では、アルカリ触媒が含まれるアルコールの存在下に、原料であるテトラアルコキシシランと、別途、触媒であるアルカリ触媒とをそれぞれ供給しつつ、テトラアルコキシシランを反応させる途中で、少なくとも1度両者の供給を停止し、その後、両者の供給を再開して、扁平状の異形シリカ粒子を生成する方法である。
分散液準備工程では、上記工程を経ることにより、小径且つ異形状であって円相当径Daの比(Da/H)が上記範囲を満たすシリカ粒子が生成する。
この理由は、定かではないが以下の理由によるものと考えられる。
まず、アルコールを含む溶媒中に、アルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備し、この溶液中にテトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給すると、アルカリ触媒溶液中に供給されたテトラアルコキシシランが反応して、核粒子が生成される。このとき、アルカリ触媒は、触媒作用の他に、生成される核粒子の表面に配位し、核粒子の形状、分散安定性に寄与するが、アルカリ触媒が核粒子の表面を均一に覆わないため(つまりアルカリ触媒が核粒子の表面に偏在して付着するため)、核粒子の分散安定性は保持するものの、核粒子の表面張力及び化学的親和性に部分的な偏りが生じ、異形状の核粒子が生成されると考えられる。
そして、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長する。
このとき、テトラアルコキシシランの供給量が、上記した特定の濃度となったときに、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を上記した特定の時間だけ停止し、その後、供給を開始する。
テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を停止することで、理由は定かではないが、反応系中の粒子が扁平状に凝集すると考えられる。ここで、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給の停止が早すぎると、すなわち、テトラアルコキシシランの供給量が少ないと、反応系中の粒子濃度が希薄で、粒子同士が衝突する確立が低く、凝集が進みにくいと考えられる。一方、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給の停止が遅く、テトラアルコキシシランの供給量が多いと、核粒子の成長が進み過ぎ、粒子自体が安定し、凝集しないため、扁平状の粒子が形成されないと考えられる。
また、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を停止する時間が短いと、粒子の凝集量が足りず、停止時間が長いと、凝集しすぎてゲル状になる傾向にある。
さらに、供給停止工程で異形シリカ粒子を扁平状にすると共に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を再開して、粒子成長を進めることで、円相当径Daの比(Da/H)が上記範囲となる扁平形状を有し、小径で異形状のシリカ粒子が得られるものと考えられる。
また、本分散液準備工程では、異形状の核粒子を生成させ、この異形状を保ったまま核粒子を成長させてシリカ粒子が生成されると考えられることから、機械的負荷に対する形状安定性が高い異形状のシリカ粒子が得られると考えられる。
その上、分散液準備工程では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、シリカ粒子が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いシリカ粒子が得られると考えられる。
さらに、分散液準備工程では、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給し、テトラアルコキシシランの反応を生じさせることで、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法により異形状のシリカ粒子を製造する場合に比べ、総使用アルカリ触媒量が少なくなり、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品にシリカ粒子を適用する場合に有利である。
分散液準備工程は、主として、大きく2つの工程に分けられる。1つが、アルカリ触媒溶液を準備する工程(アルカリ溶媒準備工程)であり、もう1つが、アルカリ触媒溶液に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給してシリカ粒子を生成する工程(粒子生成工程)である。
粒子生成工程は、さらに、少なくとも、3段階に別れ、アルカリ触媒溶液に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給してシリカ粒子の生成を開始する第1の供給工程と、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を停止する供給停止工程(熟成工程ともいう)と、その後、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を再開する第2の供給工程とを有する。
−アルカリ溶媒準備工程−
アルカリ溶媒準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
アルコールを含む溶媒は、アルコール単独の溶媒であってもよいし、必要に応じて水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の他の溶媒との混合溶媒であってもよい。混合溶媒の場合、アルコールの他の溶媒に対する量は80質量%以上(望ましくは90質量%以上)であることがよい。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
一方、アルカリ触媒としては、テトラアルコキシシランの反応(加水分解反応、縮合反応)を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素、モノアミン、四級アンモニウム塩等の塩基性触媒が挙げられ、特にアンモニアが望ましい。
アルカリ触媒の濃度(含有量)は、0.6mol/L以上0.85mol/Lであることが好ましく、0.63mol/L以上0.78mol/Lであることがより好ましく、0.66mol/L以上0.75mol/Lであることがさらに好ましい。
アルカリ触媒の濃度が、0.6mol/L以上であると、粒子生成工程でテトラアルコキシシランを供給したときに、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成を抑制し、ゲル化状となることを抑制し得る。
一方、アルカリ触媒の濃度が、0.85mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.85以下の異形状の核粒子が得られず、その結果、異形状のシリカ粒子が得られ難くなることがある。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
−粒子生成工程−
次に、粒子生成工程について説明する。
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、シリカ粒子を生成する工程である。本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法では、このように粒子成長を進ませる中で、添加成分の供給を止めて、凝集させ、扁平状の異形粒子を形成する。
・第1の供給工程
第1の供給工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給する工程である。テトラアルコキシシランは、準備工程におけるアルコールの量に対し、0.002mol/mol以上0.008mol/mol以下となるまで供給する。
ここで、「準備工程におけるアルコールの量に対し、0.002mol/mol以上0.008mol/mol以下の濃度」とは、『準備工程で用意したアルカリ触媒溶液中のアルコールの単位モル量(1mol)に対して、0.002mol以上0.008mol以下』を意味する。
第1の供給工程におけるテトラアルコキシシランの供給量が、準備工程で準備したアルカリ触媒溶液中のアルコールの量に対し0.002mol/molより少ないと、核粒子形成過程での粒子濃度が低いため、粒子同士の合一が進まず、異形化度の低い粒子が形成され、流動維持性が損なわれ易くなることがある。
一方、テトラアルコキシシランの供給量が、準備工程で準備したアルカリ触媒溶液中のアルコールの量に対し0.008mol/molより多いと、核粒子が安定してしまうため粒子同士の合一が進まず、異形化度の低い粒子が形成され、流動維持性が損なわれ易くなることがある。
第1の供給工程におけるテトラアルコキシシランの供給量は、準備工程で準備したアルカリ触媒溶液中のアルコールの量に対し、0.003mol/mol以上0.008mol/mol以下であることが好ましく、0.006mol/mol以上0.008mol/mol以下であることがより好ましい。
アルカリ触媒溶液中に供給するテトラアルコキシシランとしては、例えば、4官能性シラン化合物のごときシラン化合物を用いればよい。
具体的には、テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがよい。
第1の供給工程では、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により、核粒子が形成された後(核粒子形成段階)、さらに供給を進めることで、核粒子が成長する(核粒子成長段階)。
既述のように、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給する対象であるアルカリ触媒溶液は、アルカリ触媒の濃度(含有量)が、0.6mol/L以上0.85mol/L以下であることがこのましい。
従って、第1の供給工程は、0.6mol/L以上0.85mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給して、核粒子を形成する核粒子形成工程を含むことが好ましい。アルカリ触媒溶液のアルカリ触媒の濃度の好ましい範囲は、既述のとおりである。
テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下とすることが好ましい。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.001mol以上0.010mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
テトラアルコキシシランの供給速度を上記範囲とすることで、平均円形度が0.5以上0.85以下の異形状のシリカ粒子が、高い割合(例えば95個数%以上)で生成され易くなる。
なお、シリカ粒子の粒径については、テトラアルコキシシランの種類や、反応条件にもよるが、粒子生成の反応に用いるテトラアルコキシシランの総供給量を、例えばシリカ粒子分散液1Lに対し0.804mol以上とすることで、粒径が80nm以上の一次粒子が得られ、シリカ粒子分散液1Lに対し3.29mol以下とすることで、粒径が300nm以下の一次粒子が得られる。
テトラアルコキシシランの供給速度が、0.001mol/(mol・min)より少ないと、核粒子とテトラアルコキシシランとの反応前に、核粒子にテトラアルコキシシランが偏りなく供給され得るため、粒径と形状共に偏りがなく、類似の形状のシリカ粒子が生成すると考えられる。
テトラアルコキシシランの供給速度が0.010mol/(mol・min)以下であれば、核粒子形成段階におけるテトラアルコキシシラン同士の反応や、粒子成長におけるテトラアルコキシシランと核粒子との反応に対する供給量が過大とならず、反応系がゲル化しにくく、核粒子形成及び粒子成長を阻害しにくい。
テトラアルコキシシランの供給速度は、0.0065mol/(mol・min)以上0.0085mol/(mol・min)以下が好ましく、0.007mol/(mol・min)以上0.008mol/(mol・min)以下であることがより好ましい。
一方、アルカリ触媒溶液中に供給するアルカリ触媒は、上記例示したものが挙げられる。この供給するアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液中に予め含まれるアルカリ触媒と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることがよい。
アルカリ触媒の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して、0.1mol以上0.4mol以下とすることが好ましく、0.14mol以上0.35mol以下であることがより好ましく、0.18mol以上0.30mol以下であることがさらに好ましい。
アルカリ触媒の供給量が、0.1mol以上であることで、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が安定し、2次凝集物等の粗大凝集物が生成しにくく、ゲル化状となることが抑制される。
一方、アルカリ触媒の供給量が、0.4mol以下であることで、生成した核粒子の安定性が過大となりにくく、核粒子生成段階で形成した異形状の核粒子が核粒子成長段階で球状に成長することを抑制する。
・供給停止工程(熟成工程)
供給停止工程では、第1の供給工程により、テトラアルコキシシランが既述の濃度となるまでテトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給した後、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を0.5min以上10min以下の時間停止するものである。
供給停止工程は、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を一度停止して、核粒子の凝集を進めて熟成させる、いわば熟成工程である。
熟成工程における、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給停止時間を0.5minより短くした場合には、粒子同士の合一が充分に行われないため、異形化度の低い粒子が形成され、流動維持性が損なわれる。
熟成工程における、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給停止時間を10minより長くした場合には、粒子同士の合一が進み過ぎてしまうことから、粒子の分散が損なわれ、良好な異形シリカが得られ難い。
熟成工程における、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給停止時間は、0.6min以上5min以下であることが好ましく、0.8min以上3min以下であることがより好ましい。
・第2の供給工程
第2の供給工程は、供給停止工程の後、さらに、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給するものである。供給停止工程によって停止していたテトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒の供給を、再開することで、核粒子の凝集体を、さらに粒子成長させ、扁平状、異形シリカ粒子の体積平均粒径をさらに大きくする。
第2の供給工程において、反応系に供給するテトラアルコキシシランの濃度および供給量、ならびに、アルカリ触媒の濃度および供給量の好ましい範囲は、第1の供給工程と同様である。
第2の供給工程において、反応系に供給するテトラアルコキシシランの濃度および供給量、ならびに、アルカリ触媒の濃度および供給量は、第1の供給工程において、反応系に供給するテトラアルコキシシランの濃度および供給量、ならびに、アルカリ触媒の濃度および供給量と異なっていてもよい。
なお、粒子生成工程(第1の供給工程、熟成工程、第2の供給工程を含む)において、アルカリ触媒溶液中の温度(供給時の温度)は、例えば、5℃以上50℃以下であることが好ましく、15℃以上40℃以下の範囲であることがより好ましい。
また、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法は、第2の供給工程の後に、1回以上の供給停止工程を有していてもよいし、さらにテトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給する供給工程を有していてもよい。
以上の工程を経て、シリカ粒子が生成し、シリカ粒子分散液が得られる。
ここで、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、そのアルコールに対する水の質量比が例えば0.1以上1.0以下であることがよく、望ましくは0.15以上0.5以下、より望ましくは0.2以上0.3以下である。
シリカ粒子分散液において、そのアルコールに対する水の質量比を上記範囲とすると、表面化処理後にシリカ粒子の粗粉の発生が少なく、良好な電気抵抗を有するシリカ粒子が得られ易くなる。
アルコールに対する水の質量比が0.1を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際のシリカ粒子表面のシラノール基の縮合が少なくなることから、溶媒除去後のシリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、表面化処理後のシリカ粒子の電気抵抗が低くなり過ぎることがある。また、水の質量比が1.0を超えると、溶媒除去工程において、シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力によるシリカ粒子同士の凝集が生じ易く、表面処理後に粗粉として存在することがある。
また、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、そのシリカ粒子に対する水の質量比が例えば0.02以上3以下であることがよく、望ましくは0.05以上1以下、より望ましくは0.1以上0.5以下である。
シリカ粒子分散液において、そのシリカ粒子に対する水の質量比を上記範囲とすると、シリカ粒子の粗粉の発生が少なく、良好な電気抵抗を有するシリカ粒子が得られ易くなる。
シリカ粒子に対する水の質量比が0.02を下回ると、溶媒除去工程において、溶媒を除去する際のシリカ粒子表面のシラノール基の縮合が極端に少なくなることから、溶媒除去後のシリカ粒子表面への吸着水分が多くなることで、シリカ粒子の電気抵抗が低くなり過ぎることがある。
また、水の質量比が3を超えると、溶媒除去工程において、シリカ粒子分散液中の溶媒除去の終点付近で水が多く残留し、液架橋力によるシリカ粒子同士の凝集が生じ易くなることがある。
また、溶媒除去工程に移行する際、準備するシリカ粒子分散液は、当該シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が例えば0.05以上0.7以下がよく、望ましくは0.2以上0.65以下、より望ましくは0.3以上0.6以下である。
シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.05を下回ると、溶媒除去工程において、使用する超臨界二酸化炭素の量が多くなり、生産性が悪くなってしまうことがある。
また、シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.7を超えると、シリカ粒子分散液中においてシリカ粒子間距離が近くなり、シリカ粒子の凝集やゲル化による粗粉が発生し易くなることがある。
〔溶媒除去工程〕
溶媒除去工程は、例えば、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液の溶媒を除去する工程である。
つまり、溶媒除去工程では、超臨界二酸化炭素を流通させることにより、超臨界二酸化炭素をシリカ粒子分散液に接触させて、溶媒を除去する工程である。
具合的には、溶媒除去工程では、例えば、密閉反応器内に、シリカ粒子分散液を投入する。その後、密閉反応器内に、液化二酸化炭素を加えて加熱し、高圧ポンプにより反応器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応器内に超臨界二酸化炭素を導入すると共に、排出し、密閉反応器内、つまりシリカ粒子分散液に流通させる。
これにより、超臨界二酸化炭素が溶媒(アルコール及び水)を溶解しつつ、これを同伴してシリカ粒子分散液の外部(密閉反応器内の外部)へと排出され、溶媒が除去される。
ここで、超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つものである。
溶媒除去の温度条件、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、31℃以上350℃以下がよく、望ましくは60℃以上300℃以下、より望ましくは、80℃以上250℃以下である。
この温度が上記範囲未満であると、溶媒が超臨界二酸化炭素に溶解し難くなるため、溶媒の除去がし難くなることがある。また溶媒や超臨界二酸化炭素の液架橋力により粗粉が生じ易くなることがあると考える。一方、この温度が上記範囲を超えると、シリカ粒子表面のシラノール基の縮合により2次凝集体等の粗粉が生じやすくなることがあると考えられる。
溶媒除去の圧力条件、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、例えば、7.38MPa以上40MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上35MPa以下、より望ましく15MPa以上25MPa以下である。
この圧力が上記範囲未満であると、超臨界二酸化炭素に溶媒が溶解し難くなる傾向にあり、一方、圧力が上記範囲を超えると、設備が高額となる傾向となる。
また、密閉反応器内への超臨界二酸化炭素の導入・排出量は、例えば、15.4L/分/m以上1540L/分/m以下であることがよく、望ましくは77L/分/m以上770L/分/m以下である。
導入・排出量が15.4L/分/m未満であると、溶媒除去に時間がかかるため生産性が悪くなり易くなる傾向となる。
一方、導入・排出量が1540L/分/m以上であると、超臨界二酸化炭素がショートパスし、シリカ粒子分散液の接触時間が短くなってしまい、効率的に溶媒除去でき難くなる傾向となる。
〔表面処理工程〕
表面処理工程は、溶媒除去工程と連続して、超臨界二酸化炭素中で、オイルによりシリカ粒子を表面処理する工程である。
つまり、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程から移行する前に、大気開放を行わず、超臨界二酸化炭素中で、オイルによりシリカ粒子の表面を処理する。
具体的には、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程における密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出を停止した後、密閉反応器内の温度、圧力を調整し、密閉反応器内に、超臨界二酸化炭素が存在する状態で、シリカ粒子に対して一定の割合のオイルを投入する。そして、この状態を維持した状態、つまり超臨界二酸化炭素中で、オイルをシリカ粒子の表面に接触させて、シリカ粒子の表面処理を行う。反応終了後は、密閉反応器内を減圧、冷却させる。
ここで、表面処理工程は、超臨界二酸化炭素中で(つまり超臨界二酸化炭素の雰囲気下で)、表面処理を行えばよく、超臨界二酸化炭素を流通(つまり密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出)させながら表面処理を行ってよいし、非流通で表面処理を行ってもよい。
表面処理工程において、反応器の容積に対するシリカ粒子の量(つまり仕込み量)は、例えば、30g/L以上600g/L以下がよく、望ましくは50g/L以上500g/L以下、より望ましくは80g/L以上400g/L以下である。
この量が上記範囲より少ないとオイルの超臨界二酸化炭素に対する濃度が低くなりシリカ表面との接触確率が低下し、均一に近いオイル処理が実現され難くなることがある。一方で、この量が上記範囲よりも多いと、オイルの超臨界二酸化炭素に対する濃度が高くなり、オイルが超臨界二酸化炭素へ溶解しきれず分散不良となり、粗大凝集物を発生させやすくなる。
超臨界二酸化炭素の密度は、例えば、0.10g/ml以上0.80g/ml以下がよく、望ましくは0.10g/ml以上0.60g/ml以下、より望ましくは0.2g/ml以上0.50g/ml以下)である。
この密度が上記範囲より低いと、超臨界二酸化炭素に対するオイルの溶解度が低下し、凝集物を発生させる傾向がある。一方で、密度が上記範囲よりも高いと、シリカ細孔への拡散性が低下するため、表面処理が不十分となる場合がある。
なお、超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力等により調整される。
オイルとしては、一般に潤滑油または油脂として用いられるものが挙げられ、より具体的には、目的に応じて、例えば、潤滑油であれば鉱物油、合成油が挙げられ、油脂であれば植物油、動物油が挙げられる。
鉱物油の具体例としては、例えば、シリコーンオイル、ナフサ、軽油、灯油、重油等の石油類;、パラフィン、流動パラフィン、セレシン、琥珀油、クレソート油等が挙げられる。
合成油の具体例としては、例えば、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、合成ナフテン油等が挙げられる。
植物油の具体例としては、例えば、ひまし油、桐油、亜麻仁油、ショートニング、コーン油、大豆油、胡麻油、菜種油、ひまわり油、こめ油、椿油、ヤシ油、パーム油、クルミ油、オリーブ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、ホホバ油、カカオバター、シアバター、ニーム油、ベニバナ油、木蝋、キャンデリラワックス、カルナウバワックス等が挙げられる。
動物油の具体例としては、例えば、ラード、牛脂、魚油、馬油、ラノリン、バター、スクワラン、蜜蝋等が挙げられる。
なお、植物油や動物油には以下の脂肪酸を含むものがあるが、オイルとしては、これら脂肪酸単独で用いても、脂肪酸とグリセリン、高級アルコール又は低級アルコールとのエステルを用いてもよい。脂肪酸としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等の飽和脂肪酸類;、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、シスパクセン酸、パクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸類が挙げられる。
オイルは、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これらの中も、シリコーンオイルがよく、具体的には、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、αメチルスチレン変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーンオイルを適用すると、高い疎水性を持つシリカ粒子が得られ、付着対象物の流動性の向上が高まり易くなる。
オイルの粘度は、例えば、25℃において1cSt以上1000cSt以下がよく、望ましくは10cSt以上500cSt以下、より望ましくは50cSt以上300cStである。
このオイルの粘度が上記範囲より少ないとオイルの反応性が低くなりシリカ粒子の表面への処理性が低下し、十分なオイル処理が実現され難くなることがある。一方で、このオイルの粘度が上記範囲よりも多いと、オイルの反応性、粘度が高いことで分散不良となり、粗大凝集物を発生し易くなることがある。
オイルの使用量は、特に限定はされないが、例えば、シリカ粒子に対し、例えば、3質量%以上20質量%以下がよく、望ましくは5質量%以上15質量%以下、より望ましくは7質量%以上12質量%以下である。
なお、オイルは、単独で使用してもよいが、オイルが溶解しやすい溶媒との混合液として使用してもよい。この溶媒としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
ここで、表面処理の温度条件、つまり超臨界二酸化炭素の温度は、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは100℃以上250℃以下、より望ましくは120℃以上200℃以下である。
この温度が上記範囲未満であると、オイルによる表面処理能力が低下することがある。一方で、温度が上記範囲を超えると、シリカ粒子のシラノール基間による縮合反応が進み、粒子凝集が発生することがある。
一方、表面化処理の圧力条件、つまり超臨界二酸化炭素の圧力は、上記密度を満足する条件であればよいが、例えば、8MPa以上30MPa以下がよく、望ましくは10MPa以上25MPa以下、より望ましく15MPa以上20MPa以下である。
以上説明した各工程を経て、本実施形態に係るシリカ粒子が得られる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。また、「部」、「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。尚、本実施例において、「実施例2、6、8〜11」を「参考例2、6、8〜11」に置き換えるものとする。
〔実施例1〕
−準備工程〔アルカリ触媒溶液(1)の調製〕−
攪拌翼、滴下ノズル、温度計を有したガラス製反応容器にメタノール200部、10%アンモニア水36部を入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液(1)を得た。こときのアルカリ触媒溶液(1)のアンモニア触媒量:NH量(NH〔mol〕/(NH+メタノール+水)〔L〕)は、0.73mol/Lであった。
−粒子生成工程〔シリカ粒子分散液(1)の調製〕−
(第1の供給工程)
次に、アルカリ触媒溶液(1)の温度を30℃に調整し、アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を120rpmで撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)と、触媒(NH)濃度が3.7%のアンモニア水とを、それぞれ4部/minと、2.4部/minの流量で滴下し、同時に供給を開始した。
テトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給開始後1.5min経過した時点で、テテトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給を同時に停止した。テトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給を停止した時点でのテトラメトキシシランの供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して0.0063mol/molであった。
(熟成工程)
テテトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給停止時間は、1minとした。
(第2の供給工程)
テテトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給停止から1min後に、テトラメトキシシラン及びアンモニア水の供給を再開した。なお、供給にあたっては、テトラメトキシシラン及びアンモニア水の流量が、それぞれ、4部/min及び2.4部/minになるように調整を行い、テテトラメトキシシラン及びアンモニア水を滴下した。
第1の供給工程および第2の供給工程を含めた全工程におけるテトラメトキシシラン及び3.7%アンモニア水の全添加量は、テトラメトキシシランを90部、3.7%アンモニア水を54部とした。
テトラメトキシシラン90部及び3.7%アンモニア水54部を滴下した後、シリカ粒子分散液(1)を得た。
−シリカ粒子分散液の溶媒除去工程、表面処理工程−
以下に示すようにして、シリカ粒子分散液(1)の溶媒除去工程と共に、シリカ粒子に対して、オイルによる表面処理を行った。なお、各工程には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
まず、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、シリカ粒子分散液(1)を300部投入し、攪拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を150℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら二酸化炭素ポンプより超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液(1)からメタノールと水を除去した。
次に、流通した超臨界二酸化炭素の流通量(積算量:標準状態の二酸化炭素の流通量として測定)が100部となった時点で、超臨界二酸化炭素の流通を停止した。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、オイルとしてジメチルシリコーンオイル(DSO:商品名「KF−96−100cs(25℃における粘度は100cSt(信越化学工業社製)」10部をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に添加し、撹拌しながら、30分間保持した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、オイルによる表面処理を順次行い、シリカ粒子(1)を得た。
〔実施例1〜11、比較例1〜6〕
実施例1のシリカ粒子の作製において、表1及び表2に従って、第1供給工程(供給時間、供給停止時のTMOS量)、熟成工程(供給停止時間)、第2供給工程(第1供給工程と第2供給工程のTMOS全添加量)、溶媒除去工程(雰囲気)、表面処理工程(雰囲気、処理剤種及びその部数、並びに、処理時間)の各条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、シリカ粒子を得た。
但し、比較例1は、気相法によって得られた市販のヒュームドシリカ(「OX50(日本アエロジル製)」)を使用し、このシリカ粉末に超臨界二酸化炭素を流通させず、大気雰囲気でオイル処理を行った以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子を得た。
また、比較例2は、ゾルゲル法によって得られた市販のゾルゲルシリカ(「X24(信越化学工業社製)」)を使用し、このシリカ粉末に超臨界二酸化炭素を流通させず、大気雰囲気でオイル処理を行った以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子を得た。
〔評価〕
(粗大粒子数)
各例で得られたシリカ粒子の粗大粒子数を、次のようにして求めた。
粗大粒子数は、LSコールター(ベックマンコールター社製)より測定し、1μm以上の粒子の割合として求めた。1%以下が良く、0.1%以下がより良い。なお、0に近いものが良いのは言うまでもないが、0.1%以下は<0.1%と表記した。
(オイル遊離量)
各例で得られたシリカ粒子の遊離オイル量を、次のようにして求めた。
日本電子(JEOL)製AL−400(磁場9.4T(H核400MHz))を用い、プロトンNMRの測定を行うことによって、遊離オイル量を求めた。具体的には、サンプル、重クロロホルム溶媒、基準物質としてTMS(テトラメチルシリコン)をジルコニア製サンプルチューブ(直径5mm)に充填する。このサンプルチューブをセットして、例えば、周波数:Δ87kHz/400MHz(=Δ20ppm)、測定温度:25℃、積算回数:16回、分解能0.24Hz(32000point)で測定を行い、オイル由来のピーク強度から検量線を用いて遊離オイル量に換算する。なお、未処理の無機酸化物粒子とシリコーンオイル(5水準程度量を振る)のNMR測定を行い、遊離オイル量とNMRピーク強度との検量線を作成した上で、上記測定を行った。なお許容できる範囲は5%未満である。
(オイル供給量)
各例で得られたシリカ粒子のオイル供給量を次のようにして求めた。
オイル処理されたシリカ粒子1gと100μmのガラスビーズ17gを100mlのプラスティック容器に入れ、ボールミル(入江商会製)にて120rpmで60秒間混合した後、75μmの篩でオイルシリカとガラスビーズを分離した。回収したガラスビーズのオイル量を上記オイル遊離量測定方法と同様に評価した。
(流動性)
各例で得られたシリカ粒子を付着対象物(樹脂粒子)に分散させたときの流動性を、下記手法により評価した。
粒径10μmの樹脂粒子2gに、シリカ粒子0.05gを添加し、振とう機を用いて60分間振とうして混合した後、75μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、樹脂粒子の落下の様子を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。Bまでが許容範囲である。
−評価基準(流動性)−
A:篩上に樹脂粒子が全く残らない。
B:篩上に樹脂粒子がほとんど残らない。(全量の0%を超え5%未満)
C:篩上に樹脂粒子が若干残る。 (全量の5%以上20%未満)
D:篩上にかなりの樹脂粒子が残る。 (全量の20%以上)
Figure 0005966968
Figure 0005966968
〔実施例12〜31〕
実施例1のシリカ粒子の作製において、表3に従って、オイルによる表面処理工程(オイルの種類)を変更する以外は実施例1と同様にして、シリカ粒子を得た。
Figure 0005966968
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、粗大粒子数、流動性の各評価共に良好な結果が得られたことがわかる。またシリコーンオイルを用いた実施例で好ましい結果が得られたことがわかる。
なお、実施例12〜31で使用したオイルの種類と25℃における粘度は以下の通りである。
・DSO2:KF−96L−0.65cs(0.65cSt)
・DSO3:KF−96L−1cs(1cSt)
・DSO4:KF−96A−6cs(6cSt)
・DSO5:KF−96−10cs(10cSt)
・DSO6:KF−96−30cs(30cSt)
・DSO7:KF−96−50cs(50cSt)
・DSO8:KF−96−300cs(300cSt)
・DSO9:KF−96−500cs(500cSt)
・DSO10:KF−96−1000cs(1000cSt)
・DSO11:KF−96−3000cs(3000cSt)
以上、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製)
・DSO12:KF−50−100cs(100cSt)
・DSO13:KF−50−300cs(300cSt)
以上、側鎖の一部がフェニル基を含むジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製)
・DSO14:KF−868(90cSt)、アミノ変性シリコーンオイル
・DSO15:KF99(20cSt)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル
・DSO16:X−22−4741(350cSt)、エポキシ−ポリエーテル変性シリコーンオイル
・DSO17:KF−353(430cSt)、ポリエーテル変性シリコーンオイル
・DSO18:X−22−822(100cSt)、フッ素変性シリコーンオイル
・DSO19:KF−412(500cSt)、アルキル変性シリコーンオイル
以上、信越化学工業社製
・O20:NIKKOLホホバ油S(1200cSt)
・O21:NIKKOL BS(930cSt)ステアリン酸ブチル
以上、日光ケミカルズ社製

Claims (1)

  1. 体積平均粒径が80nm以上300nm以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であり、
    立体画像解析により求められる最大高さHに対する平面画像解析により求められる円相当径Daの比(Da/H)の平均値が、1.6以上1.85以下であり、
    且つ、超臨界二酸化炭素中で25℃における粘度が50cSt以上300cSt以下であるジメチルシリコーンオイルにより表面処理されたゾルゲルシリカ粒子。
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