JP6645237B2 - 樹脂粒子組成物 - Google Patents
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Description
ここで、樹脂粒子組成物は、例えば、樹脂粒子の強度向上及び流動性向上、パッキングを抑制等の機能化のため、樹脂粒子と共にシリカ粒子を用いることがある。特に、樹脂粒子のような粉体は、配管内を流れる空気により輸送する輸送方法(以下、「空送」するとも称する)に供されることが多く、この輸送方法に適用する上で、樹脂粒子の流動性の向上は重要である。
樹脂粒子とオイル処理無機粒子とを有する樹脂粒子組成物は、例えば、空送される場合、オイル処理無機粒子の樹脂粒子に対する分散性が低下することで、配管内における輸送軌跡の偏り、及び配管内への付着等の現象が発生し易く、配管内での固着が生じ易くなる。
<1>に係る発明は、
樹脂粒子と、
オイルにより表面処理された無機粒子と、
圧縮凝集度が60%以上95%以下、粒子圧縮比が0.20以上0.40以下であるシリカ粒子と、
を含む樹脂粒子組成物である。
前記シリカ粒子の平均円相当径が、40nm以上200nm以下である<1>に記載の樹脂粒子組成物である。
前記シリカ粒子の粒子分散度が、90%以上100%以下である<1>又は<2>に記載の樹脂粒子組成物である。
前記シリカ粒子が、粘度1000cSt以上50000cSt以下のシロキサン化合物により表面処理され、前記シロキサン化合物の表面付着量が0.01質量%以上5質量%以下である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の樹脂粒子組成物である。
前記シロキサン化合物が、シリコーンオイルである<4>に記載の樹脂粒子組成物である。
前記無機粒子が、シリカ粒子である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の樹脂粒子組成物である。
<3>に係る発明によれば、粒子分散度が90%未満であるシリカ粒子を用いた場合に比べ、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される樹脂粒子組成物が提供される。
<4>又は<5>に係る発明によれば、粘度が1000cSt未満若しくは50000cStを超えるシロキサン化合物により表面処理されたシリカ粒子、又は、シロキサン化合物の表面付着量が0.01質量%未満若しくは5質量%を超えるシリカ粒子を用いた場合に比べ、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される樹脂粒子組成物が提供される。
<6>に係る発明によれば、圧縮凝集度が60%未満若しくは95%を超えるシリカ粒子、又は、粒子圧縮比が0.20未満若しくは0.40を超えるシリカ粒子を用いた場合に比べ、オイルによって表面処理された無機粒子の無機粒子がシリカ粒子であり、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される樹脂粒子組成物が提供される。
本実施形態に係る樹脂粒子組成物は、樹脂粒子と、オイル処理無機粒子と、圧縮凝集度が60%以上95%以下、粒子圧縮比が0.20以上0.40以下であるシリカ粒子(以下、「特定シリカ粒子」とも称する)と、を含む樹脂粒子組成物である。
圧縮凝集度は、シリカ粒子の凝集性及び樹脂粒子への付着性を示す指標となる。この指標は、シリカ粒子を圧縮することでシリカ粒子の成形体を得た後、このシリカ粒子の成形体を落下させた際の前記成形体のほぐれにくさの程度で示される。
よって、圧縮凝集度が高い程、シリカ粒子は、凝集力(分子間力)が強まる傾向があり、かつ樹脂粒子への付着力も強まる傾向があることを示す。なお、圧縮凝集度の算出方法の詳細については後述する。
このため、圧縮凝集度を60%以上95%以下と高く制御された特定シリカ粒子は、樹脂粒子への付着性及び凝集性が良好となる。但し、トナー粒子への付着性及び凝集性を良好にしつつ、流動性、及び樹脂粒子への分散性を確保する観点から、圧縮凝集度の上限値は95%としている。
粒子圧縮比は、シリカ粒子の流動性を示す指標となる。具体的に、粒子圧縮比は、シリカ粒子の固め見掛け比重及びゆるみ見掛け比重の差と、固め見掛け比重との比((固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/固め見掛け比重)で示される。
よって、粒子圧縮比が低い程、シリカ粒子は流動性が高いことを示す。また、流動性が高いと、樹脂粒子への分散性も高まる傾向がある。なお、粒子圧縮比の算出方法の詳細については後述する。
このため、粒子圧縮比が0.20以上0.40以下と低く制御された特定シリカ粒子は、流動性及び樹脂粒子への分散性が良好となる。但し、流動性及び樹脂粒子への分散性を良好にしつつ、樹脂粒子への付着性及び凝集性を向上させる観点から、粒子圧縮比の下限値を0.20としている。
以上のことから、特定シリカ粒子は、流動し易く、樹脂粒子に分散しやすい上、さらに凝集力、樹脂粒子への付着力が高いという特異な性質を有する。したがって、圧縮凝集度及び粒子圧縮比が上記範囲を満たす特定シリカ粒子は、流動性及び樹脂粒子への分散性が高く、かつ凝集性及び樹脂粒子への付着性も高いという性質を有するシリカ粒子となる。
まず、特定シリカ粒子は、流動性及び樹脂粒子への分散性が高いため、樹脂粒子と混合すると、樹脂粒子の表面に、均一に近い状態で付着され易い。
そして、樹脂粒子とオイル処理無機粒子とを用い、さらに、特定シリカ粒子を用いると、オイル処理無機粒子(オイル処理無機粒子から遊離したオイルを含む)は、特定シリカ粒子に連れまわって、樹脂粒子に付着し易くなる。そのため、樹脂粒子に対するオイル処理無機粒子の分散性が高まり易くなることにより、オイル処理無機粒子は、樹脂粒子に対し、均一に近い状態で付着し易い。
一方、一旦、樹脂粒子の表面に付着した特定シリカ粒子は、樹脂粒子への付着性が高いため、樹脂粒子組成物を空送したときの空気流による負荷では、樹脂粒子上での移動及び樹脂粒子からの遊離が生じ難くなる。
そして、特定シリカ粒子に連れまわって樹脂粒子に付着したオイル処理無機粒子(オイル処理無機粒子から遊離したオイルを含む)も表面のオイルによって、樹脂粒子に対して固定化され易くなる。そのため、樹脂粒子組成物は、特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子が樹脂粒子に付着している構造の変化が生じ難くなる。
その結果として、本実施形態の樹脂粒子組成物は、潤滑機能が高まることにより、樹脂粒子組成物を空気により輸送する場合に、配管内での固着が抑制されると考えられる。
樹脂粒子とオイル処理無機粒子と共に、さらに特定シリカ粒子を混合することにより、樹脂粒子に特定シリカ粒子が付着していることで、樹脂粒子組成物は空気中に舞い難くなる。また、樹脂粒子に特定シリカ粒子が付着していることで、樹脂粒子組成物に凝集が生じた場合でも、樹脂粒子組成物を空送するときの空気流によって、樹脂粒子組成物の凝集が解れ易く、再流動し易い。
粒子分散度は、シリカ粒子の分散性を示す指標となる。この指標は、一次粒子状態でのシリカ粒子の樹脂粒子への分散のしやすさの程度で示される。具体的に、粒子分散度は、シリカ粒子による樹脂粒子への計算上の被覆率をC0とし、実測の被覆率をCとしたとき、樹脂粒子への実測の被覆率Cと、計算上の被覆率C0との比(実測の被覆率C/計算上の被覆率C0)で示される。
よって、粒子分散度が高い程、シリカ粒子は凝集しにくく、一次粒子の状態で、樹脂粒子に分散しやすいことを示す。なお、粒子分散度の算出方法の詳細については後述する。
ここで、表面付着量は、シリカ粒子の表面を表面処理する前のシリカ粒子(未処理のシリカ粒子)に対する割合とする。以下、表面処理前のシリカ粒子(つまり未処理のシリカ粒子)を単に、「シリカ粒子」とも称する。
一方で、シリカ粒子が加圧されたときは、シリカ粒子の表面のシロキサン化合物の長い分子鎖が絡み合い、シリカ粒子の最密充填性が高まり、シリカ粒子同士の凝集力が強まる。そして、このシロキサン化合物の長い分子鎖が絡み合うことによるシリカ粒子の凝集力は、シリカ粒子を流動させると解除されると考えられる。これに加え、シリカ粒子の表面のシロキサン化合物の長い分子鎖により、樹脂粒子への付着力も高まる。
まず、特定シリカ粒子について説明する。
特定シリカ粒子は、圧縮凝集度が60%以上95%以下であり、粒子圧縮比が0.20以上0.40以下である。
まず、シリカ粒子の特性について詳細に説明する。
特定シリカ粒子の圧縮凝集度は、特定シリカ粒子における、凝集性及び樹脂粒子への付着性を良好にしつつ、流動性及び樹脂粒子への分散性を確保する観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、60%以上95%以下であり、好ましくは65%以上95%以下、より好ましくは70%以上95%以下である。
圧縮凝集度は、以下に示す方法により算出される。
直径6cm、円盤状(ディスク状)の金型に、特定シリカ粒子を6.0g充填する。次いで、圧縮成型機(前川試験機製作所社製)を用いて圧力5.0t/cm2で金型を60秒圧縮し、圧縮された円盤状の特定シリカ粒子の成形体(以下、「落下前の成形体」と称する)を得る。その後、落下前の成形体の質量を測定する。
次いで、落下前の成形体を目開き600μmのふるい網上に配置し、振動ふるい機(筒井理化学器械社製:品番VIBRATING MVB−1)により、落下前の成形体を振幅1mm、振動時間1分の条件下で落下させる。これにより、落下前の成形体から前記ふるい網を介して特定シリカ粒子が落下し、前記ふるい網上に特定シリカ粒子の成形体が残存する。その後、残存した特定シリカ粒子の成形体(以下、「落下後の成形体」と称する)の質量を測定する。
そして、以下の式(1)を用いて、落下後の成形体の質量と落下前の成形体の質量との比から、圧縮凝集度を算出する。
・式(1):圧縮凝集度=(落下後の成形体の質量/落下前の成形体の質量)×100
特定シリカ粒子の粒子圧縮比は、特定シリカ粒子における、流動性及び樹脂粒子への付着性を良好にしつつ、凝集性及び樹脂粒子への分散性を確保する観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、0.20以上0.40以下であり、好ましくは0.24以上0.38以下、より好ましくは0.28以上0.36以下である。
粒子圧縮比は、以下に示す方法により算出される。
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製、品番PT−S型)を用いて、シリカ粒子のゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重とを測定する。そして、以下の式(2)を用いて、シリカ粒子の固め見掛け比重及びゆるみ見掛け比重の差と、固め見掛け比重との比から粒子圧縮比を算出する。
・式(2):粒子圧縮比=(固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/固め見掛け比重
特定シリカ粒子の粒子分散度は、樹脂粒子への分散性をさらに良好にする観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、好ましくは90%以上100%以下であり、より好ましくは95%以上100%以下である。
・式(3):粒子分散度=実測の被覆率C/計算上の被覆率C0
・式(3−1):計算上の被覆率C0=√3/(2π)×(ρt/ρa)×(dt/da)×(Wa/Wt)×100(%)
(式(3−2)中、xは、樹脂粒子のみの特定シリカ粒子に由来するケイ素原子のシグナル強度を示す。yは、特定シリカ粒子のみの特定シリカ粒子に由来するケイ素原子のシグナル強度を示す。zは、特定シリカ粒子が付着(被覆)した樹脂粒子についての特定シリカ粒子に由来するケイ素原子のシグナル強度を示す。)
特定シリカ粒子の平均円相当径は、特定シリカ粒子における、流動性、樹脂粒子への分散性、凝集性、及び樹脂粒子への付着性を良好にする観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、40nm以上200nm以下が好ましく、50nm以上180nm以下がより好ましく、60nm以上160nm以下がさらに好ましい。
特定シリカ粒子の形状は、球形状、異形状のいずれであってもよいが、特定シリカ粒子の平均円形度は、特定シリカ粒子における、流動性、樹脂粒子への分散性、凝集性、及び樹脂粒子への付着性を良好にする観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、0.85以上0.98以下が好ましく、0.90以上0.98以下がより好ましく、0.93以上0.98以下がさらに好ましい。
まず、特定シリカ粒子の円形度は、樹脂粒子の表面にシリカ粒子を付着させた後の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I2)
〔式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
そして、特定シリカ粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
まず、樹脂粒子組成物から特定シリカ粒子とオイル処理無機粒子とを次のように分離する。メタノール中に樹脂粒子組成物を入れて分散させ、撹拌後、超音波バスにて超音波処理することで、樹脂粒子組成物から特定シリカ粒子およびオイル処理無機粒子を分離する。その分離のしやすさは特定シリカ粒子およびオイル処理無機粒子の粒径・比重により決まり、大径である特定シリカ粒子が分離しやすい為、超音波処理条件を弱条件に設定することで特定シリカ粒子のみを分離する。
次に、超音波処理を強条件に変更して、オイル処理無機粒子を樹脂粒子の表面から分離する。それらを都度、遠心分離によって樹脂粒子を沈降させて、特定シリカ粒子またはオイル処理無機粒子を分散したメタノールのみを回収し、その後、メタノールを揮発させることで特定シリカ粒子またはオイル処理無機粒子を取り出すことができる。この超音波処理条件は、特定シリカ粒子とオイル処理無機粒子とで分離条件を調整する。
そして、分離した特定シリカ粒子を用いて、上記各特性を測定する。
特定シリカ粒子は、シリカ(即ちSiO2)を主成分とする粒子であり、結晶性でも非晶性でもよい。特定シリカ粒子は、水ガラスやアルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
特定シリカ粒子として、具体的には、ゾルゲル法で作製されるシリカ粒子(以下「ゾルゲルシリカ粒子」)、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子等が挙げられ、これらの中でも、ゾルゲルシリカ粒子が好ましい。
特定シリカ粒子は、圧縮凝集度、粒子圧縮比、及び粒子分散度を上記特定の範囲とするためには、シロキサン化合物により表面処理されていることが好ましい。
表面処理方法としては、超臨界二酸化炭素を利用し、超臨界二酸化炭素中でシリカ粒子の表面を表面処理することが好ましい。なお、表面処理方法については後述する。
シロキサン化合物としては、分子構造中にシロキサン骨格を有するものであれば特に制限されない。
シロキサン化合物としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン樹脂が挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子表面を均一に近い状態で表面処理する観点から、シリコーンオイルが好ましい。
上記シロキサン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
シロキサン化合物の粘度(動粘度)は、特定シリカ粒子における、流動性、樹脂粒子への分散性、凝集性、及び樹脂粒子への付着性を良好にする観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、1000cSt以上50000cSt以下が好ましく、2000cSt以上30000cSt以下がより好ましく、3000cSt以上10000cSt以下がさらに好ましい。
(η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度)
・式(B):ηsp=〔η〕+K’〔η〕2
(K’:Hugginsの定数 K’=0.3(〔η〕=1〜3の適応時))
・式(C):〔η〕=0.215×10−4M0.65
・式(D):logη=1.00+0.0123M0.5
シロキサン化合物の特定シリカ粒子表面への表面付着量は、特定シリカ粒子における、流動性、樹脂粒子への分散性、凝集性、及び樹脂粒子への付着性を良好にする観点(特に、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着が抑制される観点)から、シリカ粒子(表面処理前のシリカ粒子)に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.10質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。
特定シリカ粒子100mgを、クロロホルム1mL中に分散し、内部標準液としてDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を1μL加えた後、超音波洗浄機で30分間超音波処理し、クロロホルム溶媒中へシロキサン化合物の抽出を行う。その後、JNM−AL400型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)で水素核スペクトル測定を行い、DMF由来ピーク面積に対するシロキサン化合物由来ピーク面積の比からシロキサン化合物の量を求める。そして、求められたシロキサン化合物の量及びシロキサン化合物が遊離したシリカ粒子(表面にシロキサン化合物が付着していないシリカ粒子)の量から、表面付着量が算出される。
なお、特定シリカ粒子のシロキサン化合物の粘度、及び表面付着量の測定は、樹脂粒子組成物から特定シリカ粒子とオイル処理無機粒子とを既述の方法で分離して、測定する。
上記要件を満たすことで、流動性及び樹脂粒子への分散性が良好であると共に、凝集性、及び樹脂粒子への付着性が向上した特定シリカ粒子が得られ易くなる。
次に、樹脂粒子について説明する。
樹脂粒子は、特定シリカ粒子が樹脂粒子に付着し得る形状、粒径、及び材料(成分)であれば特に制限されず、本実施形態に係る樹脂粒子組成物の用途など使用目的に応じて決定すればよい。
試料を懸濁した電解液は超音波分散機で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲にある粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム状(共)重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;塩化ビニル樹脂、ビニル芳香族樹脂、ポリビニル樹脂等のビニル系樹脂;エポキシ樹脂;共役ジエン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;熱可塑性ポリウレタン樹脂;フッ素樹脂;などが挙げられる。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、オイル処理無機粒子について説明する。オイル処理無機粒子は、無機粒子の表面をオイルにより処理することで得られる無機粒子である。つまり、未処理の無機粒子の表面にオイルが付着した無機粒子である。
オイルにより表面処理するための無機粒子としては、特に限定されない。例えば、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等の粒子が挙げられる。潤滑性付与効果を高める点で、無機粒子は真比重が小さいこと(例えば、1.1以上2.5以下、好ましくは1.1以上2.3以下)が好ましい。この点から、上記の無機粒子の中でも、シリカ(SiO2)粒子が好ましい。
具体的には、シリカ粒子としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子が挙げられる。
無機粒子を表面処理するオイルとしては、一般に潤滑油または油脂として用いられるものが挙げられる。より具体的には、例えば、鉱物油、合成油等の潤滑油;植物油、動物油等の油脂が挙げられる。オイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
合成油の具体例としては、例えば、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、合成ナフテン油等が挙げられる。
植物油の具体例としては、例えば、ひまし油、桐油、亜麻仁油、ショートニング、コーン油、大豆油、胡麻油、菜種油、ひまわり油、こめ油、椿油、ヤシ油、パーム油、クルミ油、オリーブ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、ホホバ油、カカオバター、シアバター、ニーム油、ベニバナ油、木蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス等が挙げられる。
動物油の具体例としては、例えば、ラード、牛脂、魚油、馬油、ラノリン、バター、スクワラン、蜜蝋等が挙げられる。
具体的には、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
このオイルの粘度が上記範囲内であると、樹脂粒子組成物への潤滑付与効果が実現されるとともに、オイル処理無機粒子の粗大凝集物の発生を抑制し易くなる。
超臨界二酸化炭素中でオイル処理を行う場合、例えば、次の工程を有する方法によって処理することが挙げられる。まず、ゾルゲル法によって、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する。次に、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液から溶媒を除去する。その後、超臨界二酸化炭素中で溶媒を除去した後のシリカ粒子の表面を、オイルにより表面処理する。
オイル処理無機粒子に対して、日本電子(JEOL)製AL−400(磁場9.4T(H核400MHz))を用い、プロトンNMRの測定を行う。サンプル、重クロロホルム溶媒、基準物質としてTMSをジルコニア製サンプルチューブ(直径5mm)に充填する。このサンプルチューブをセットして、例えば、周波数:Δ87kHz/400MHz(=Δ20ppm)、測定温度:25℃、積算回数:16回、分解能0.24Hz(32000point)で測定を行い、遊離したオイル由来のピーク強度から検量線を用いて遊離オイル量に換算する。
例えば、オイルとしてジメチルシリコーンオイルが用いられている場合には、未処理の無機粒子とジメチルシリコーンオイル(5水準程度量を振る)のNMR測定を行い、オイル遊離量とNMRピーク強度との検量線を作成する。そして、検量線を用いて、遊離オイル量を算出する。
樹脂粒子組成物から、オイル処理無機粒子を分離し、既述の特定シリカ粒子の円相当径の測定方法と同様の方法で、オイル処理無機粒子の平均円相当径を測定する。
樹脂粒子組成物から特定シリカ粒子とオイル処理無機粒子とを分離する方法は既述のとおりである。すなわち、まず、メタノール中に樹脂粒子組成物を入れて分散させ、撹拌後、超音波バスにて超音波処理条件を弱条件に設定して超音波処理することで、樹脂粒子組成物から特定シリカ粒子のみを分離する。次に超音波処理を強条件に変更して、オイル処理無機粒子を樹脂粒子の表面から剥がす。それらを都度、遠心分離によってトナーを沈降させて特定シリカ粒子またはオイル処理無機粒子を分散したメタノールのみを回収し、その後、メタノールを揮発させることでオイル処理無機粒子を取り出す。
そして、分離したオイル処理無機粒子を用いて、上記特性を測定する。
樹脂粒子組成物中の特定シリカ粒子とオイル処理無機粒子との含有量としては、樹脂粒子組成物を空送するときの配管内への固着を抑制する点で、以下の範囲が好ましい。
特定シリカ粒子の含有量は、樹脂粒子100質量部に対し、0.1質量部以上6質量部以下が好ましく、0.3質量部以上4質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上2.5質量部以下が更に好ましい。
また、オイル処理無機粒子の含有量は、樹脂粒子100質量部に対し、0.1質量部以上6質量部以下が好ましく、0.3質量部以上4質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上2.5質量部以下が更に好ましい。
本実施形態に係る樹脂粒子組成物は、例えば、以下の方法により製造される。
本実施形態に係る樹脂粒子組成物は、特定シリカ粒子、オイル処理無機粒子、及び樹脂粒子を準備する工程(以下、「粒子準備工程」と称することがある)と、粒子準備工程で準備した、特定シリカ粒子、オイル処理無機粒子、及び樹脂粒子を混合する工程(以下、「粒子混合工程」と称することがある)と、を有する製造方法によって得られる。
まず、粒子準備工程では、本実施形態に係る樹脂粒子組成物に含まれる、特定シリカ粒子、オイル処理無機粒子、及び樹脂粒子を準備する。
ここで、特定シリカ粒子は、既述の圧縮凝集度及び粒子圧縮比を満たすシリカ粒子を入手したものを準備してもよく、既述の圧縮凝集度及び粒子圧縮比を満たすように製造したものを準備してもよい。特定シリカ粒子を製造したものを準備する場合、その製造方法は特に限定されないが、例えば、以下で説明する工程によって製造してもよい。
また、オイル処理無機粒子および樹脂粒子は、市販品を準備してもよく、製造したものを準備してもよい。
特定シリカ粒子は、例えば、シリカ粒子に対して、表面付着量が0.01質量%以上5質量%以下となるように、粘度1000cSt以上50000cSt以下のシロキサン化合物により、シリカ粒子の表面を表面処理することで得られる。
シリカ粒子準備工程によれば、流動性及び樹脂粒子への分散性が良好であると共に、凝集性及び樹脂粒子への付着性が向上したシリカ粒子が得られる。
前記表面処理方法としては、具体的に、例えば、超臨界二酸化炭素を利用して、超臨界二酸化炭素中にシロキサン化合物を溶解させて、シリカ粒子表面にシロキサン化合物を付着させる方法;大気中において、シロキサン化合物とシロキサン化合物を溶解する溶媒とを含む溶液をシリカ粒子表面に付与(例えば噴霧、塗布)して、シリカ粒子表面にシロキサン化合物を付着させる方法;大気中において、シリカ粒子分散液にシロキサン化合物とシロキサン化合物を溶解する溶媒とを含む溶液を添加して保持した後、シリカ粒子分散液及び前記溶液の混合溶液を乾燥させる方法;が挙げられる。
ここで、「超臨界二酸化炭素」とは、臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つものである。
表面処理を超臨界二酸化炭素中で行うと、超臨界二酸化炭素中にシロキサン化合物が溶解した状態となる。超臨界二酸化炭素は界面張力が低いという特性を持つことから、超臨界二酸化炭素中に溶解した状態のシロキサン化合物は、超臨界二酸化炭素と共に、シリカ粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられ、シリカ粒子の表面のみならず、孔部の奥深くまで、シロキサン化合物による表面処理がなされると考えられる。
このため、超臨界二酸化炭素中でシロキサン化合物により表面処理されたシリカ粒子は、シロキサン化合物により表面が均一に近い状態(例えば薄膜状に表面処理層が形成されている状態)に処理されたシリカ粒子になると考えられる。
この場合、超臨界二酸化炭素中にシロキサン化合物と共に疎水化処理剤が溶解した状態となり、超臨界二酸化炭素中に溶解した状態のシロキサン化合物及び疎水化処理剤は、超臨界二酸化炭素と共に、シリカ粒子の表面の孔部の深くまで拡散して到達し易くなるものと考えられ、シリカ粒子の表面のみならず、孔部の奥深くまで、シロキサン化合物及び疎水化処理剤による表面処理がなされると考えられる。
この結果、超臨界二酸化炭素中でシロキサン化合物及び疎水化処理剤により表面処理されたシリカ粒子は、シロキサン化合物及び疎水化処理剤により表面が均一に近い状態で付着し、高い疎水性が付与され易くなる。
特定シリカ粒子は、例えば、ゾルゲル法によって、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する工程(以下、「分散液準備工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液から溶媒を除去する工程(以下、「溶媒除去工程」と称する)と、超臨界二酸化炭素中で、溶媒を除去した後のシリカ粒子の表面をシロキサン化合物により表面処理する工程(以下、「表面処理工程」と称する)と、を有するシリカ粒子の製造方法が挙げられる。
この理由は定かではないが、1)シリカ粒子分散液の溶媒を除去する場合、超臨界二酸化炭素が「界面張力が働かない」という性質から、溶媒を除去する際の液架橋力による粒子同士の凝集もなく溶媒を除去できるものと考えられる点、2)超臨界二酸化炭素の「臨界点以上の温度・圧力下においた状態の二酸化炭素であり、気体の拡散性と液体の溶解性との双方を持つ」といった性質により、比較的低温(例えば250℃以下)で、超臨界二酸化炭素に効率良く接触し、溶媒を溶解することから、この溶媒を溶解した超臨界二酸化炭素を除去することで、シラノール基の縮合による2次凝集体等の粗粉を生じることなくシリカ粒子分散液中の溶媒を除去できるものと考えられる点、等が理由として考えられる。
これにより、大量のシロキサン化合物を使用すること、過剰な加熱を行い高温で、溶媒除去工程及び表面処理工程を行う必要がなくなる。その結果、より効果的に、粗粉の発生が抑えられ易くなる。
なお、特定シリカ粒子の製造方法は、上記3つの工程で行われる方法に限られるわけではなく、例えば、1)表面処理工程のみ超臨界二酸化炭素を使用する態様、2)各工程を個別に行う態様等であってもよい。
分散液準備工程では、例えば、シリカ粒子とアルコール及び水を含む溶媒とを含有するシリカ粒子分散液を準備する。
具体的には、分散液準備工程は、例えば、湿式(例えば、ゾルゲル法等)によりシリカ粒子分散液を作製して、これを準備する。特に、シリカ粒子分散液は、湿式としてゾルゲル法、具体的には、テトラアルコキシシランを、アルコール及び水の溶媒にアルカリ触媒存在下で、反応(加水分解反応、縮合反応)を生じさせてシリカ粒子を生成し、シリカ粒子分散液を作製することがよい。
分散液準備工程において、例えば、シリカ粒子を湿式により得る場合、シリカ粒子が溶媒に分散された分散液(シリカ粒子分散液)の状態で得られる。
シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.05を下回ると、溶媒除去工程において、使用する超臨界二酸化炭素の量が多くなり、生産性が悪くなってしまうことがある。
また、シリカ粒子分散液に対するシリカ粒子の質量比が0.7を超えると、シリカ粒子分散液中においてシリカ粒子間距離が近くなり、シリカ粒子の凝集やゲル化による粗粉が発生し易くなることがある。
溶媒除去工程は、例えば、超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液の溶媒を除去する工程である。
つまり、溶媒除去工程では、超臨界二酸化炭素を流通させることにより、超臨界二酸化炭素をシリカ粒子分散液に接触させて、溶媒を除去する工程である。
具体的には、溶媒除去工程では、例えば、密閉反応器内に、シリカ粒子分散液を投入する。その後、密閉反応器内に、液化二酸化炭素を加えて加熱し、高圧ポンプにより反応器内を昇圧させ、二酸化炭素を超臨界状態とする。そして、密閉反応器内に超臨界二酸化炭素を導入すると共に、排出し、密閉反応器内、つまりシリカ粒子分散液に流通させる。
これにより、超臨界二酸化炭素が溶媒(アルコール及び水)を溶解しつつ、これを同伴してシリカ粒子分散液の外部(密閉反応器内の外部)へと排出され、溶媒が除去される。
この温度が、31℃未満であると、溶媒が超臨界二酸化炭素に溶解し難くなるため、溶媒の除去がし難くなることがある。また溶媒や超臨界二酸化炭素の液架橋力により粗粉が生じ易くなることがあると考える。一方、この温度が350℃を超えると、シリカ粒子表面のシラノール基の縮合により2次凝集体等の粗粉が生じ易くなることがあると考えられる。
この圧力が7.38MPa未満であると、超臨界二酸化炭素に溶媒が溶解し難くなる傾向にあり、一方、圧力が40MPaを超えると、設備が高額となる傾向となる。
導入・排出量が15.4L/分/m3未満であると、溶媒除去に時間がかかるため生産性が悪くなり易くなる傾向となる。一方、導入・排出量が1540L/分/m3を超えると、超臨界二酸化炭素がショートパスし、シリカ粒子分散液の接触時間が短くなってしまい、効率的に溶媒除去でき難くなる傾向となる。
表面処理工程は、例えば、溶媒除去工程と連続して、超臨界二酸化炭素中で、シロキサン化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する工程である。
つまり、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程から移行する前に、大気開放を行わず、超臨界二酸化炭素中で、シロキサン化合物によりシリカ粒子の表面を表面処理する。
具体的には、表面処理工程では、例えば、溶媒除去工程における密閉反応器内への超臨界二酸化炭素を導入・排出を停止した後、密閉反応器内の温度、圧力を調整し、密閉反応器内に、超臨界二酸化炭素が存在する状態で、シリカ粒子に対して一定の割合のシロキサン化合物を投入する。そして、この状態を維持した状態、つまり超臨界二酸化炭素中で、シロキサン化合物を反応させて、シリカ粒子の表面処理を行う。
この量が上記範囲より少ないとシロキサン化合物の超臨界二酸化炭素に対する濃度が低くなりシリカ表面との接触確率が低下し、反応が進み難くなることがある。一方で、この量が上記範囲よりも多いと、シロキサン化合物の超臨界二酸化炭素に対する濃度が高くなり、シロキサン化合物が超臨界二酸化炭素へ溶解しきれず分散不良となり、粗大凝集物を発生させ易くなる。
この密度が0.10g/mlより低いと、超臨界二酸化炭素に対するシロキサン化合物の溶解度が低下し、凝集物を発生させる傾向がある。一方で、密度が0.80g/mlよりも高いと、シリカ粒子の孔部への拡散性が低下するため、表面処理が不十分となる場合がある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記密度範囲での表面処理を行うことがよい。
なお、超臨界二酸化炭素の密度は、温度及び圧力等により調整される。
この温度が80℃未満であると、シロキサン化合物による表面処理能力が低下することがある。一方で、温度が300℃を超えると、シリカ粒子のシラノール基間による縮合反応が進み、粒子凝集が発生することがある。特に、シラノール基を多く含有しているゾルゲルシリカ粒子に対しては上記温度範囲での表面処理を行うことがよい。
シロキサン化合物の中でも、シリコーンオイルを適用すると、シリカ粒子の表面にシリコーンオイルが均一に近い状態で付着され易くなり、シリカ粒子の流動性、分散性及び取り扱い性が向上し易くなる。
シラン系疎水化処理剤の中でも、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などのトリメチル基を有する珪素化合物、特にヘキサメチルジシラザン(HMDS)が好適である。
オイル処理無機粒子は、無機粒子をオイルで表面処理されることができれば、特に限定されない。気相中で浮遊している無機粒子に対し、オイルを含む溶液を噴霧するスプレードライ法による乾式法;オイルを含む溶液中に無機粒子を浸漬し、乾燥する湿式法;などが挙げられる。さらに上記処理後、エタノール等の有機溶剤に無機粒子を浸漬して、過剰なオイルを取り除いてもよい。
樹脂粒子は、例えば、樹脂を、溶融混練した後、粉砕、分級する方法(混練粉砕法)、樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した油相を、分散剤を含む水相中にて懸濁分散した後、溶剤を除去する方法(溶解懸濁法)、樹脂モノマーから乳化重合等にて得られた樹脂を、凝集させて粒子化する方法(乳化重合凝集法)で樹脂粒子を製造してもよい。
樹脂粒子に、無機粒子等の前記各成分を含有させる場合は、予め、樹脂と前記各成分とを混合しておけばよい。乳化重合凝集法による場合は、樹脂モノマーと前記各成分とを混合して乳化重合しておけばよい。
粒子混合工程では、粒子準備工程で準備した、特定シリカ粒子、オイル処理無機粒子、及び樹脂粒子を混合する工程である。この工程によって、樹脂粒子の表面に特定シリカ粒子が付着され、特定シリカ粒子に連れまわって、オイル処理無機粒子も付着される。
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール300部、10%アンモニア水70部を添加して混合し、アルカリ触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン185部と8.0%アンモニア水50部とを同時に滴下を行い、親水性のシリカ粒子分散液(固形分濃度12.0質量%)を得た。ここで、滴下時間は30分とした。
その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR−ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮した。この濃縮したものをシリカ粒子分散液(1)とした。
シリカ粒子分散液(1)の調製において、表1に従って、アルカリ触媒溶液(メタノール量、及び10%アンモニア水量)、シリカ粒子生成条件(アルカリ触媒溶液へのテトラメトキシシラン(TMOSと表記)及び8%アンモニア水の総滴下量、並びに、滴下時間)を変更した以外は、シリカ粒子分散液(1)と同様にして、シリカ粒子分散液(2)〜(8)を調製した。
シリカ粒子分散液(1)を用いて、以下に示すようにして、シリカ粒子に対し超臨界二酸化炭素雰囲気下でシロキサン化合物による表面処理を行った。なお、表面処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、上記シリカ粒子(未処理のシリカ粒子)100部に対して、予め疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)20部に、シロキサン化合物として、粘度10000cStであるジメチルシリコーンオイル(DSO:商品名「KF-96」:信越化学工業社製)0.3部を溶解した処理剤溶液をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に注入した後、撹拌しながら、180℃で20分間反応させた。その後、再度超臨界二酸化炭素を流通させ、余剰の処理剤溶液を除去した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、シロキサン化合物による表面処理を順次行い、表面処理シリカ粒子(S1)を得た。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製において、表2に従って、シリカ粒子分散液、表面処理条件(処理雰囲気、シロキサン化合物(種、粘度及びその添加量)、疎水化処理剤及びその添加量)を変更した以外は、表面処理シリカ粒子(S1)の作製と同様にして、表面処理シリカ粒子(S2)〜(S5)、(S7)〜(S9)、(S12)〜(S17)を作製した。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製で用いたシリカ粒子分散液(1)と同様の分散液を用いて、以下に示すようにして、シリカ粒子に対し大気雰囲気下でシロキサン化合物による表面処理を行った。
シリカ粒子分散液(1)の作製に用いた反応容器にエステルアダプターと冷却管を取り付け、シリカ粒子分散液(1)を60℃〜70℃に加熱しメタノールを留去したところで水を添加し、さらに70℃〜90℃に加熱しメタノールを留去し、シリカ粒子の水性分散液を得た。この水性分散液中のシリカ粒子の固形分100部に対し、室温でメチルトリメトキシシラン(MTMS:信越化学工業社製)3部を添加し、2時間反応させてシリカ粒子表面の処理を行った。この表面処理分散液にメチルイソブチルケトンを添加した後、80℃〜110℃に加熱しメタノール水を留去し、得られた分散液中のシリカ粒子の固形分100部に対し、室温でヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)80部と、シロキサン化合物として粘度10000cStであるジメチルシリコーンオイル(DSO:商品名「KF-96」:信越化学工業社製)1.0部を添加し、120℃で3時間反応させ、冷却した後、噴霧乾燥(スプレードライ)により乾燥し、表面処理シリカ粒子(S6)を得た。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製において、シリカ粒子分散液(1)からメタノールと水を除去して得られたシリカ粒子(未処理のシリカ粒子)の代わりに、ヒュームドシリカ(「AEROSIL OX50」:日本アエロジル社製)を用いた以外は、表面処理シリカ粒子(S1)の作製と同様の方法で表面処理シリカ粒子(S10)を作製した。
すなわち、表面処理シリカ粒子(S1)の作製と同じ撹拌機付きオートクレーブへ、AEROSIL OX50を100部投入し、撹拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を180℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら、予め疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)20部に、シロキサン化合物として粘度10000cStであるジメチルシリコーンオイル(DSO:商品名「KF-96」:信越化学工業社製)0.3部を溶解した処理剤溶液をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に注入した後、撹拌しながら、180℃で20分間反応させ、その後、超臨界二酸化炭素を流通させ、余剰の処理剤溶液を除去し、表面処理シリカ粒子(S10)を得た。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製において、シリカ粒子分散液(1)からメタノールと水を除去して得られたシリカ粒子(未処理のシリカ粒子)の代わりに、ヒュームドシリカ(「AEROSIL A50」:日本アエロジル社製)を用いた以外は、表面処理シリカ粒子(S1)の作製と同様の方法で表面処理シリカ粒子(S11)を作製した。
すなわち、表面処理シリカ粒子(S1)の作製と同じ撹拌機付きオートクレーブへ、AEROSIL A50を100部投入し、撹拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を180℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら、予め疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)40部に、シロキサン化合物として粘度10000cStであるジメチルシリコーンオイル(DSO:商品名「KF-96」:信越化学工業社製)1.0部を溶解した処理剤溶液をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に注入した後、撹拌しながら、180℃で20分間反応させ、その後、超臨界二酸化炭素を流通させ、余剰の処理剤溶液を除去し、表面処理シリカ粒子(S11)を得た。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製において、シロキサン化合物を添加しない以外は、表面処理シリカ粒子(S1)と同様にして表面処理シリカ粒子(SC1)を作製した。
表面処理シリカ粒子(S1)の作製において、表3に従って、シリカ粒子分散液、表面処理条件(処理雰囲気、シロキサン化合物(種、粘度及びその添加量)、疎水化処理剤及びその添加量)を変更した以外は、表面処理シリカ粒子(S1)と同様にして、表面処理シリカ粒子(SC2)〜(SC4)を作製した。
表面処理シリカ粒子(S6)の作製において、シロキサン化合物を添加しない以外は、表面処理シリカ粒子(S6)と同様にして表面処理シリカ粒子(SC5)を作製した。
シリカ粒子分散液(8)を濾過、120℃で乾燥後、電気炉に入れ、400℃にて6時間焼成し、その後、HMDSをシリカ粒子100部に対して10部、スプレードライにて噴霧乾燥して表面処理シリカ粒子(SC6)を作製した。
撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、テレフタル酸ジメチル23mol%、イソフタル酸10mol%、ドデセニルコハク酸無水物15mol%、トリメリット酸無水物3mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物5mol%、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物45mol%の割合で投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド0.06mol%の割合で加え、窒素ガス気流下約190℃で約7時間撹拌反応させ、更に温度を約250℃に上げて約5.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間撹拌反応させて、分子内に極性基を有するポリエステル樹脂を得た。
次に、ポリエステル樹脂100部を、バンバリーミキサー型混練機で溶融混練した。混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機で微粉砕を行った後、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径7μmの樹脂粒子(A)を得た。
樹脂粒子(A)の製造において、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径1μmの樹脂粒子(B)、体積平均粒径15μmの樹脂粒子(C)を得た。
樹脂粒子Aのポリエステル樹脂の代わりにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体(共重合比(質量比)=80:20、重量平均分子量Mw=13万、ガラス転移温度Tg=59℃)を用いる以外は樹脂粒子Aと同様に分級して体積平均粒径8μmの樹脂粒子(D)を得た。
エタノール50質量部にジメチルシリコーンオイル(「KF−96−100cs」:信越化学工業社製、25℃粘度100cSt)30質量部を混合した溶液を作製し、気相法によって得られた市販のヒュームドシリカ(「OX50」:日本アエロジル社製)100質量部にスプレードライにより噴霧し、シリカ粒子の表面処理を行った。80℃でエタノールを乾燥除去させた後250℃で5時間撹拌しながらシリコーンオイル処理を行った。シリコーンオイル処理されたシリカを再びエタノールに溶解(エタノール処理)させて、遊離オイルを分離させた。その後乾燥させ、オイル処理無機粒子(a)を得た。
このオイル処理無機粒子(a)の平均円相当径は50nmであった。また、遊離オイル量は3.1質量%であった。また、このオイル処理無機粒子(a)の粒子凝集度は91%、粒子圧縮比は0.43であった。
SiCl4、水素ガス、酸素ガスを燃焼バーナーの混合室内で混合後に、1000℃以上3000℃以下の温度で燃焼させる。燃焼後のガスからシリカ粉末を取りだすことでシリカ粒子を得た。この時、水素ガスと酸素ガスのモル比を1.5:1にしてシリカ粒子を得た。このシリカ粒子100部とエタノール500部とをエバポレーターに入れ、温度を40℃に維持したまま15分間撹拌した。次に、シリカ粒子100部に対して6部のジメチルシリコーンオイル(「KF−96−1000cs」:信越化学工業社製,25℃粘度1000cSt)を入れ15分間撹拌し、更にシリカ粒子100部に対して6部のジメチルシリコーンオイルを入れ15分撹拌した。最後に温度を90℃に上げエタノールを減圧乾燥させた、その後、処理物を取り出して更に120℃で30分間真空乾燥を行うことで、オイル処理無機粒子(b)を得た。
このオイル処理無機粒子(b)の平均円相当径は30nmであった。また、遊離オイル量は4.2質量%であった。また、このオイル処理無機粒子(b)の粒子凝集度は92%、粒子圧縮比は0.42であった。
気相法によって得られた市販のヒュームドシリカ(「OX50」:日本アエロジル社製)100質量部に対して15重量部の電気絶縁オイル(「ダイヤラオイルB」昭和シェル石油社製、25℃粘度30cSt)をスプレードライにより噴霧し、シリカ粒子の表面処理を行った。その後200℃で5時間撹拌しながらオイル処理を行い、オイル処理無機粒子(c)を得た。
このオイル処理無機粒子(c)の平均円相当径は、45nmであった。また、遊離オイル量は7.0質量%であった。また、このオイル処理無機粒子(c)の粒子凝集度は94%、粒子圧縮比は0.45であった。
市販のヒュームドシリカの代わりに、アナタース型酸化チタン(「TAF1500」富士チタン工業社製)を用いる以外は、オイル処理無機粒子(c)と同様にしてオイル処理無機粒子(d)を得た。
このオイル処理無機粒子(d)の平均円相当径は、60nmであった。また、遊離オイル量は4.2質量%であった。また、このオイル処理無機粒子(d)の粒子凝集度は91%、粒子圧縮比は0.44であった。
上記製造方法で得られた樹脂粒子(A)の100部、オイル処理無機粒子(a)を1部、表面処理シリカ粒子(S1)2部を添加した。その後、1000Lヘンシェルミキサーにて900rpmで10分間混合し、その後45μmの目開きの網にて篩い、実施例1の樹脂粒子組成物を得た。
表4、及び表5にしたがって、表面処理シリカの種類と量、樹脂粒子の種類、及びオイル処理無機粒子の種類と量を変更した他は、実施例1と同様にして、実施例2〜25、及び比較例1〜7の樹脂粒子組成物を得た。なお、比較例7はオイル処理無機粒子の代わりに市販のヒュームドシリカ(「R972」ジメチルジクロロシラン処理、アエロジル社製)を用いて樹脂粒子組成物を得た。
実施例1〜25、及び比較例1〜7で得られた樹脂粒子組成物の分散性、脱離性、及び配管付着量について、以下の方法にて評価した。結果を表4、及び表5に示す。
樹脂粒子組成物について、SEM装置により樹脂粒子組成物の表面を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の凝集体無し
B:特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の凝集体10個以下
C:特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の凝集体10個より多く20個以下
D:特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の凝集体20個より多い
樹脂粒子組成物に機械的負荷をかけた後の特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の脱離性(耐脱離性の維持性)について評価した。具体的には、次のようにして評価した。
樹脂粒子組成物5gと、100μmの鉄粉200gとをガラス瓶に入れ、ターブラ振とう機で60分間混合した後、鉄粉に移行した特定シリカ粒子及びオイル処理無機粒子の量を蛍光X線で分析し、下記基準に基づいて評価した。
A:樹脂粒子組成物から鉄粉へのシリカ及び無機粒子移行量が5質量%未満である。
B:樹脂粒子組成物から鉄粉へのシリカ及び無機粒子移行量が5質量%以上10質量%未満である。
C:樹脂粒子組成物から鉄粉へのシリカ及び無機粒子移行量が10質量%以上である。
配管内径φ47.8mm、長さ10m、吸入口から5mの位置にR90°のエルボ部分を要したSUS304製試験配管を用意し、排出口からフィルターを介しブロワーを用いて粉体吸引試験にて樹脂粒子組成物の空送を行った。その際、配管内線速度が5.0m/min、固気比0.5条件下で、樹脂粒子組成物100kg空送し、回収した樹脂粒子組成物を用いて再度同じ配管にて同様の空送を9回繰り返し、空送前後の樹脂重量で配管付着量を下記の評価基準に基づいて評価した。
なお、テスト途中で配管が詰まった場合には評価を中止した。
A:配管付着量が0.5%未満
B:配管付着量が0.5%以上1.0%未満
C:配管付着量が1.0%以上2.0%未満
D:配管付着量が2.0%以上3.0%未満
E:配管付着量が3.0%以上
Claims (4)
- 樹脂粒子と、
オイルにより表面処理された無機粒子と、
圧縮凝集度が60%以上95%以下、粒子圧縮比が0.20以上0.40以下であるシリカ粒子と、
を含み、
前記シリカ粒子の平均円相当径が、40nm以上200nm以下であり、
前記シリカ粒子の平均円形度が0.85以上0.98以下であり、
前記シリカ粒子が、粘度1000cSt以上50000cSt以下のシロキサン化合物により表面処理され、前記シロキサン化合物の表面付着量が0.01質量%以上5質量%以下である樹脂粒子組成物。 - 前記シリカ粒子の粒子分散度が、90%以上100%以下である請求項1に記載の樹脂粒子組成物。
- 前記シロキサン化合物が、シリコーンオイルである請求項1又は請求項2に記載の樹脂粒子組成物。
- 前記無機粒子が、シリカ粒子である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂粒子組成物。
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