JP6036448B2 - 樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、樹脂粒子及びその製造方法に関する。
樹脂粒子は、トナー、粉体塗料、スラッシュ成形材料等の結着剤等として用いられる。ここで、例えば、樹脂の強度や、粉体の流動性を向上させたり、パッキングを抑制するために、樹脂粒子にシリカ粒子を付着させて、樹脂粒子の機能化を図ることがある。かかる機能は、樹脂粒子の外添剤となるシリカ粒子の形状や付着状態に依存し易いと考えられ、種々の形状のシリカ粒子や付着態様が提案されている。
例えば、特許文献1には、イソシアネート末端ウレタンプレポリマー(1)と、活性水素含有ポリブタジエン誘導体などを含むウレタン樹脂系分散剤(2)と、低分子ポリアミン(3)とから誘導される懸濁重合体(A)に、粒径20μm以下の無機系ブロッキング防止剤が添加された熱可塑性樹脂粉末組成物が開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも水酸基を含有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを主成分とし、かつポリオレフィンワックスを含有する粒子粉体の粒子径が、体積50%径が7〜230μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20%以下、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が60%以下であって、かつ該粉体粒子の表面に、BET法による比表面積が70m/g以上で、表面に存在するシラノール基が1.5個nm以上あるシリカ微粉末を付着させた粉体塗料が開示されている。
また、特許文献3には、樹脂粒子本体と、前記樹脂粒子本体の表面に付着したシリカ粒子であって、体積平均粒径が100nm以上500nm以下、粒度分布指標が1.40以上1.80以下、かつ、平均円形度が0.5以上0.85以下である一次粒子が、円形度と体積平均粒径(nm)について、式:円形度=α×体積平均粒径/1000+β(−2.5≦α≦−0.9、0.8≦β≦1.2)で表される回帰直線を有するシリカ粒子と、を含む樹脂粒子が開示されている。
また、特許文献4には、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板11,21と、当該基板間に封入された所定の帯電極性を有する表示粒子群5とを備え、基板間に電界を印加して表示粒子群を移動させることにより画像表示を行なう画像表示媒体10に用いられる表示粒子であって、表示粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤とから形成された着色樹脂粒子と、平均粒径が6nm〜50nmの無機微粒子と平均粒径が0.08μm〜5μmの有機微粒子とが、結着樹脂の軟化点よりも130℃〜200℃高い温度の熱風を用いた処理により着色樹脂粒子の表面に固着されている表示粒子が開示されている。
特開平04−255755号公報 特開平09−143401号公報 特開2012−149169号公報 特開2011−158781号公報
本発明の課題は、流動性に優れた樹脂粒子を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
樹脂粒子本体と、
前記樹脂粒子本体の表面に付着したシリカ粒子であって、個数粒度分布に遊離した粒子からなる2つの極大値を持ち、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.12以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が1以上100以下であり、前記シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下、かつ、平均収縮率が10以上50以下であるシリカ粒子と、
を含む樹脂粒子である。
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の樹脂粒子を製造する方法であって、
アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給し、前記テトラアルコキシシランの全供給量をA、前記テトラアルコキシシランの供給流量/前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給した溶液の総液量をB、反応系内の水濃度をCとしたときに、前記テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の間のいずれかの時点で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上50(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態を経てシリカ粒子を作製する工程と、
作製された前記シリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着する工程と、
を有する樹脂粒子の製造方法である。
請求項1に係る発明によれば、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比及び個数比が上記範囲であり、個数粒度分布の前記大径側から10%の範囲内における粒子の平均円形度及び平均収縮率が上記範囲であるシリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着しない場合に比べ、流動性に優れる樹脂粒子を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、前記アルカリ触媒溶液中にテトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給する工程において、前記テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の間のいずれかの時点で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上50(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態を経ない場合に比べ、流動性に優れる樹脂粒子の製造方法を提供できる。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
<樹脂粒子>
本実施形態に係る樹脂粒子は、樹脂粒子本体と、樹脂粒子本体の表面に付着したシリカ粒子であって、個数粒度分布に2つの極大値を持ち、2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.02以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が1以上100以下であり、シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下、かつ、平均収縮率が10以上50以下であるシリカ粒子と、を含む樹脂粒子である。
本実施形態に係る樹脂粒子は、樹脂粒子本体の表面に特定シリカ粒子を付着する構成とすることより、流動性に優れる。なお、「樹脂粒子本体」とは、樹脂粒子のうち、特定シリカ粒子が付着していない樹脂粒子を指す。「特定シリカ粒子」とは、樹脂粒子本体の表面に付着する上記構成のシリカ粒子を指す。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
特定シリカ粒子は、特定の個数粒度分布、粒径比、個数比、平均円形度、及び平均収縮率を有することにより、以下に示す作用を及ぼすと考えられる。
上記個数粒度分布に2つの極大値(大径側と小径側)を持つシリカ粒子は、2つの異なる粒子径と個数を有するシリカ粒子である。上記粒子径比及び個数比を有するシリカ粒子は、大径側のシリカ粒子は小径側のシリカ粒子に対して10/3倍以上50倍以下の粒子径を有し、かつ、小径側のシリカ粒子は大径側のシリカ粒子に対して1倍以上100倍以下の個数を有するシリカ粒子であると考えられる。
このシリカ粒子は、大径側のシリカ粒子が樹脂粒子本体に付着した際、その付着した大径側のシリカ粒子間に露出する樹脂粒子本体の表面に小径側のシリカ粒子が付着しやすくなり、樹脂粒子本体の被覆率を向上させると考えられる。このように大径側のシリカ粒子によるスペーサー機能が発揮されると共に、小径側のシリカ粒子により樹脂粒子本体の露出が抑制されることから、樹脂粒子本体同士の密着が抑制されると考えられる。
また、上記シリカ粒子の大径側から10%の範囲内のシリカ粒子は、真球のシリカ粒子に比べシリカ粒子全体として凹凸が多く異形状であり、かつ、真球のシリカ粒子に比べシリカ粒子の表面の平滑性が低く表面積が大きいため、この特性を持つシリカ粒子が樹脂粒子本体へ付着した状態では、樹脂粒子本体の凹部への移動(偏在)や埋まり込みの発生が抑制され、樹脂粒子本体へのシリカ粒子の付着が維持されると考えられる。また、上記シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合の応力集中による欠損を抑制すると考えられる。
以上から、本実施形態に係る樹脂粒子は、流動性に優れると考えられる。
また、樹脂粒子に機械的負荷が加わった状態でも、樹脂粒子本体の表面に付着した特定シリカ粒子は樹脂粒子本体の凹部への移動(偏在)や埋まりこみを起こしにくく、樹脂粒子の流動性の低下を抑制すると考えられる。
以下、本実施形態の樹脂粒子について説明する。
本実施形態に係る樹脂粒子は、樹脂粒子本体と、樹脂粒子本体の表面に付着する特定シリカ粒子と、を含む。
まず、樹脂粒子本体に付着する特定シリカ粒子について説明する。
[特定シリカ粒子]
−粒子径比−
特定シリカ粒子において、個数粒度分布の2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値の粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)は、0.02以上0.3以下であるが、0.03以上0.2以下が望ましく、0.04以上0.1以下がより望ましい。
特定シリカ粒子の粒子径比が0.02未満では、特定シリカ粒子による樹脂粒子本体への被覆がされ難くなり、樹脂粒子本体同士の密着がしやすくなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
一方、特定シリカ粒子の粒子径比が0.3を超えると、特定シリカ粒子による樹脂粒子本体への被覆がされ難くなり、樹脂粒子本体同士の密着がしやすくなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
特定シリカ粒子の大径側の極大値における粒子径は、50nm以上500nm以下がよく、80nm以上400nm以下が望ましく、100nm以上300nm以下がより望ましい。小径側の極大値における粒子径は、2nm以上100nm以下がよく、5nm以上80nm以下が望ましく、10nm以上50nm以下がより望ましい。
特定シリカ粒子の粒子径比は、特定シリカ粒子の個数粒度分布における大径側の極大値での粒子径に対する、小径側の極大値の粒子径の比で定義される。そして、特定シリカ粒子の粒子径比は、次のようにして算出される。まず、特定シリカ粒子の個数粒度分布は、体積平均粒径100μmの樹脂粒子本体(例えば、ポリエステル樹脂、重量平均分子量Mw=50000)に、特定シリカ粒子を分散させた後SEM装置により観察し、得られた粒子画像の画像解析から得る。次に、この分布の形状に基づき、大径側の極大値及び小径側の極大値から、それぞれ、大径側の粒子の粒子径及び小径側の粒子の粒子径を得る。最後に、得られた大径側の粒子の粒子径及び小径側の粒子の粒子径から、特定シリカ粒子の粒子径比が算出される。
−個数比−
特定シリカ粒子は、個数粒度分布の2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値の個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)は1以上100以下であるが、10以上80以下が望ましく、30以上60以下が望ましい。
特定シリカ粒子の個数比が1未満では、特定シリカ粒子による樹脂粒子本体への被覆がされ難くなり、樹脂粒子本体同士の密着がしやすくなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
一方、特定シリカ粒子の個数比が100を超えると、大径側の粒子の個数が小径側の粒子に対して非常に少なく、大径側の粒子のスペーサー機能が働き難くなり、樹脂粒子本体同士の密着がしやすくなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
特定シリカ粒子の個数比は、上述の特定シリカ粒子の粒子径比で得た個数粒度分布における大径側の極大値での粒子径の個数に対する、小径側の極大値での粒子径の個数の比で定義される。そして、特定シリカ粒子の個数比は、次のようにして得られる。まず、体積平均粒径100μmの樹脂粒子本体(例えば、ポリエステル樹脂、重量平均分子量Mw=50000)に、特定シリカ粒子を分散させた後SEM装置により観察し、得られた粒子画像の画像解析から粒子径の個数分布を得る。次に、大径側の極大値の粒子径±10%(−10%以上+10%以下の範囲)の粒子数と小径側の極大値の粒子径±10%(−10%以上+10%以下の範囲)の粒子数を導き出す。最後に、得られた大径側の粒子の粒子数及び小径側の粒子の粒子数から、特定シリカ粒子の個数比が算出される。
−平均円形度−
特定シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における一次粒子の平均円形度は、0.65以上0.90以下であるが、0.70以上0.85以下が望ましい、0.75以上0.80以下がより望ましい。
特定シリカ粒子の平均円形度が0.65未満では、特定シリカ粒子の縦/横比が大きな異形状となり、特定シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合に応力集中が生じ欠損しやすくなる。そして、樹脂粒子の流動維持性が実現され難くなる。また、特定シリカ粒子をゾルゲル法で製造する場合、一次粒子の平均円形度が0.65未満の特定シリカ粒子を製造することは難しい。
一方、特定シリカ粒子の平均円形度が0.90を超えると、特定シリカ粒子はその形状が球状に近づくため、特定シリカ粒子を樹脂粒子本体に付着した際に、凹部の偏在や埋まり込みが発生し、樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
なお、特定シリカ粒子の円形度は、粒径100μmの樹脂粒子本体(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)に特定シリカ粒子を分散させた後の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I
〔上記式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
そして、特定シリカ粒子の一次粒子の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円相当径の累積頻度における50%円形度として得られる。
−平均収縮率−
特定シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における一次粒子の平均収縮率は、10以上50以下であるが、20以上45以下が望ましく、30以上40以下がより望ましい。
特定シリカ粒子の平均収縮率が10未満では、特定シリカ粒子の表面が平滑で、特定シリカ粒子の表面のシラノール基の量が、表面が平滑でない特定シリカ粒子のシラノール基の量に対して少なくなり、その表面に保持する水量が少なくなる。また、樹脂粒子本体への付着を維持し難くなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
一方、特定シリカ粒子の平均収縮率が50を超えると、特定シリカ粒子をゾルゲル法で製造することが困難となる。また、特定シリカ粒子を樹脂粒子本体に食い込みにくくなる。その結果、特定シリカ粒子は樹脂粒子の流動性を向上し難くなる。
なお、特定シリカ粒子の収縮度は、体積平均粒径100μmの樹脂粒子本体(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)に特定シリカ粒子を分散させた後の特定シリカ粒子の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の平面画像解析から、下記式により算出される。
・式:収縮率=(1−H/I)×100
〔上記式中、Hは、画像上における特定シリカ粒子の包絡周囲長を表し、Iは、画像上における特定シリカ粒子の周囲長を表す。包絡周囲長とは、平面画像における特定シリカ粒子の凸部の頂点を最短の距離をもって結んだときの周囲の長さを表し、周囲長とは、平面画像における特定シリカ粒子の輪郭そのものの長さを表す。収縮率は、凸閉包に対していったいどの位収縮しているかを表し指標で,大きいほど表面が粗く、表面積が大きいことを示す。〕
そして、特定シリカ粒子の平均収縮度は、100個の特定シリカ粒子について、上記式から算出される各特定シリカ粒子の収縮率の平均として算出される。
なお、特定シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における粒子の平均円形度および平均収縮率は、画像解析から測定された個数粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、大径側から累積分布を描き、個数で大径側から累積10%の範囲となる粒径を測定し、その累積10%の粒子範囲の平均円形度および平均収縮率を測定することにより決定される。
−個数平均粒子径−
特定シリカ粒子全体の個数平均粒子径は、例えば、100nm以上200nm以下がよく、105nm以上180nm以下が望ましく、110nm以上160nm以下がより望ましい。
個数平均粒子径D50pは、測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個数について小径側から累積分布を描き、個数で累積50%となる粒径で定義される。具体的に、個数平均粒子径D50pは、次のようにして得る。画像解析によって得られた個数分布を用いて、累積分布を描き、個数で累積50%となる粒子径D50pを得る。
[樹脂粒子本体]
次に、樹脂粒子本体について説明する。
特定シリカ粒子の付着対象となる樹脂粒子本体は、特定シリカ粒子が樹脂粒子本体の表面に付着しうる形状、粒子径、及び材料(成分)であれば特に制限されず、本実施形態に係る樹脂粒子の使用の用途や特定シリカ粒子との関係に応じて、決定されればよい。
樹脂粒子本体の形状は特に制限されないが、樹脂粒子本体の体積平均粒径が、1μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがより好ましく、3μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子本体の体積平均粒径が1μmであることで、樹脂粒子の流動性の低下を抑制する。また、樹脂粒子本体の体積平均粒径が15μm以下であることで、本実施形態に係る樹脂粒子を、粉体塗料やスラッシュ成形、記録材料の用途に用いた場合に、本実施形態に係る樹脂粒子を含有して形成する塗膜又は画像の均一性が低下しにくい。
ここで、樹脂粒子本体の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下の範囲で加える。これを電解液100mlないし150mlの中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲にある粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
体積平均粒径D50Vは、測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小径側から累積分布を描き、体積で累積50%となる粒径で定義される。具体的に、体積平均粒径D50Vは、次のようにして得る。画像解析によって得られた体積分布を用いて、累積分布を描き、体積で累積50%となる粒子径D50Vを得る。
樹脂粒子本体は、樹脂を含有していればよい。以下、樹脂粒子本体が含有する樹脂を、「本体樹脂」とも称する。
本体樹脂は、各種の天然または合成高分子物質よりなる熱可塑性樹脂を用い得る。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム状(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ビニル芳香族樹脂、ポリビニル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、共役ジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂などが、単独または混合して用いられる。
代表的には、重量平均分子量5,000以上10万以下のエポキシ樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂などが単独または混合して用いられる。
本実施形態に係る樹脂粒子を、粉体塗料用途に適用する場合には、本体樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂が好適である。
本実施形態に係る樹脂粒子を、スラッシュ成形用途に適用する場合には、本体樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリレート系樹脂粉末、ビニル芳香族樹脂、及び共役ジエン樹脂が好適である。
本実施形態に係る樹脂粒子を、記録材料(例えば、トナー)用途に適用する場合には、本体樹脂としては、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂が好適である。
樹脂粒子本体は、目的の用途に応じて、特定シリカ粒子以外の無機粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤をさらに含有(内添)していてもよい。
樹脂粒子本体の表面に付着した特定シリカ粒子の付着量は、樹脂粒子本体の表面積に対する特定シリカ粒子の計算上の被覆率(「計算被覆率」とも称する)が5%以上80%以下となる範囲であることが好ましい。
計算被覆率(%)は、樹脂粒子本体の添加量をA(g)、樹脂粒子本体の比重をB(g/cm)、樹脂粒子本体の体積平均粒径をC(μm)、特定シリカ粒子の添加量をD(g)、特定シリカ粒子の比重をE(g/cm)、特定シリカ粒子の体積平均粒径をF(nm)とした場合、〔(√3×B×C×D/(2×π×F×E×0.001×A))×100〕として算出される。
計算被覆率が、5%以上であることで、本実施形態に係る樹脂粒子の流動性の低下を抑制し、80%以下であることで特定シリカの離脱による汚染等各種障害の回避が可能である。
特定シリカ粒子の付着量は、計算被覆率が30%以上70%以下となる範囲であることがより好ましい。
[樹脂粒子の製造方法]
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法は、上記実施形態に係る樹脂粒子を得るための製造方法であり、具体的には以下の通りである。
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法は、アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程(以下、「アルカリ触媒溶液準備工程」と称することがある)と、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給し、テトラアルコキシシランの全供給量をA、テトラアルコキシシランの供給流量/アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給した溶液の総液量をB、反応系内の水濃度をCとしたときに、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の間のいずれかの時点で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上60(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態を経てシリカ粒子を作製する工程(以下、「シリカ粒子作製工程」と称することがある)と、作製されたシリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着する工程(以下、「シリカ粒子付着工程」と称することがある)と、を有する樹脂粒子の製造方法である。
つまり、本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、上記濃度のアルカリ触媒が含まれるアルコール存在下に、原料であるアルコキシシランと別途、触媒であるアルカリ触媒と、をそれぞれ上記の関係(水濃度が低く、かつ初期仕込みアルカリ触媒溶液に対するテトラアルコキシシラン供給量が多い状態で滴下することにより新しい核粒子を形成する関係)で供給しつつ、テトラアルコキシシランを反応させて、ゾルゲル法により特定シリカ粒子を生成し、樹脂粒子本体の表面に付着して樹脂粒子を作製する方法である。
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、上記手法により、流動性に優れた樹脂粒子を得られ易くなる。具体的には、例えば、樹脂粒子本体と、樹脂粒子本体の表面に付着したシリカ粒子であって、個数粒度分布に2つの極大値を持ち、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.02以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が1以上100以下であり、前記シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下、かつ、平均収縮率が10以上50以下であるシリカ粒子と、を含む樹脂粒子が得られ易くなる。この理由は、定かではないが以下の理由によるものと考えられる。
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法において、シリカ粒子作製工程は2つの段階に分けられる。2つの段階とは、テトラアルコキシシランの供給量が0以上A/2未満の段階、及びA/2以上A以下の段階である。
まず、テトラアルコキシシランの供給量が0以上A/2未満の段階について説明する。
アルコールを含む溶媒中に、アルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液中にテトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給すると、アルカリ触媒溶液中に供給されたテトラアルコキシシランが反応して、核粒子が生成される。このとき、アルカリ触媒溶液中のアルカリ触媒濃度が上記範囲にあると、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子が生成すると考えられる。これは、アルカリ触媒は、触媒作用の他に、生成される核粒子の表面に配位し、核粒子の形状、分散安定性に寄与するが、その量が上記範囲内であると、アルカリ触媒が核粒子の表面をムラなくに覆わないため(つまりアルカリ触媒が核粒子の表面に偏在して付着するため)、核粒子の分散安定性は保持するものの、核粒子の表面張力及び化学的親和性に部分的な偏りが生じ、異形状の核粒子が生成されると考えられる。
そして、テトラアルコキシシランの供給と、アルカリ触媒の供給とをそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、特定シリカ粒子が得られる。ここで、このテトラアルコキシシランの供給とアルカリ触媒の供給とを、その供給量を上記関係で維持しつつ行うことで、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、異形状の核粒子がその異形状を保ったまま粒子成長すると考えられる。これは、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給量を上記関係とすることで、核粒子の分散を保持しつつも、核粒子表面における張力と化学的親和性の部分的な偏りが保持されることから、異形状を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じるためと考えられる。
次に、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の段階について説明する。
異形状の大径側の粒子が成長した段階で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上60(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態、つまり、シリカ粒子が生成される溶液中の水の濃度を、真球のシリカ粒子が生成する場合に比べ低い状態させると共に、アルカリ触媒溶液へのテトラアルコキシシラン供給量を、シリカ粒子作製工程の初期に比べ多い状態で、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給する。この状態でテトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給すると、水が少ない状態であるため加水分解反応が遅くなる。そのため未反応モノマー(テトラアルコキシシラン)の濃度が上昇し、モノマー同士の衝突確率が上昇すると考えられる。このため、小径側の粒子の元となる新たな核粒子が形成され易くなると考えられる。なお、A/2以上A以下の段階のいずれかの時点において、上記状態で、テトラアルコキシシラン及びアルカリ触媒を供給すれば、小径側の粒子の元となる新たな核粒子が形成され易くなると考えられる。
つまり、本実施形態では、二段階の核生成期を得ること及び小径側の粒子の核生成の時期が大径側の粒子に比べより遅いことにより、粒子径の異なる2つのシリカ粒子(大径側の粒子と小径側の粒子)が生成され、樹脂粒子本体の表面に付着し、樹脂粒子が作製され易くなると考えられる。
以上から、本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、上記手法により、流動性に優れる樹脂粒子を得られ易くなる。
また、シリカ粒子の小径核粒子が発生する条件である低い水濃度下でシリカ粒子を生成することにより、大径側のシリカ粒子の表面積が大きくなり、大径側のシリカ粒子の表面のシラノール基が増えることにより、特定シリカ粒子への水分吸着量の制御幅が広くなり、特定シリカ粒子を含有した樹脂粒子の帯電性の制御幅を大きくし易くなると考えられる。これにより、例えば、用途に応じて、樹脂粒子の帯電量を最適化し易くなると考えられる。
また、本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、特定シリカ粒子が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難い特定シリカ粒子が得られ、流動性に優れた樹脂粒子が得られると考えられる。
また、本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給し、テトラアルコキシシランの反応を生じさせることで、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法により異形状のシリカ粒子を製造する場合に比べ、総使用アルカリ触媒量が少なくなり、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品に樹脂粒子を適用する場合に有利であると考えられる。
以下、各工程について説明する。
―アルカリ触媒溶液準備工程―
まず、アルカリ触媒溶液準備工程について説明する。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
アルコールを含む溶媒は、例えば、アルコール単独の溶媒であってもよいし、必要に応じて水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の他の溶媒との混合溶媒等が挙げられる。混合溶媒の場合、アルコールの他の溶媒に対する量は、80質量%以上であることがよく、90質量%以上であることが望ましい。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒としては、テトラアルコキシシランの反応(加水分解反応、縮合反応)を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素、モノアミン、四級アンモニウム塩等の塩基性触媒等が挙げられ、特にアンモニアがよい。
アルカリ触媒の濃度(含有量)は、0.6mol/L以上1.0mol/L以下がよく、0.63mol/L以上0.78mol/L以下が望ましく、0.66mol/L以上0.75mol/L以下がより望ましい。
アルカリ触媒の濃度が、0.6mol/L未満の場合、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたり、ゲル化状となったりして、シリカ粒子が得られない。
一方、アルカリ触媒の濃度が、1.0mol/Lを超えると、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.90以下の異形状の核粒子が得られず、その結果、異形状のシリカ粒子が得られない。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
―シリカ粒子作製工程―
次に、シリカ粒子作製工程について説明する。
シリカ粒子作製工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、特定シリカ粒子を生成する工程である。
また、このシリカ粒子作製工程は、2つの段階に分けられる。テトラアルコキシシランの供給量が0以上A/2未満の段階及びA/2以上A以下の段階である。以下、シリカ粒子作製工程における2つの段階について説明する。
<1)テトラアルコキシシランの供給量が0以上A/2未満の段階>
この段階では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランを反応により、大径側の粒子の元となる核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子が成長する(核粒子成長段階)。この段階では、C/Bは60(mol/L)/{(mol/min)/L)}を超えた状態とすることがよい。
<2)テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の段階>
この段階では、継続して、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、テトラアルコキシシランの供給量が上記のいずれかの時点で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上60(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態とする。小径側の粒子の元となる核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、成長する(核粒子成長段階)。併せて、大径側の粒子となる核粒子も成長する。そして、特定シリカ粒子が生成する。
C/Bは、特定シリカ粒子が生成するアルカリ触媒溶液中における、B(テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給した溶液の総液量に対するテトラアルコキシシランの供給流量)に対する反応系内のC(水の濃度)で定義され、C/Bの値は、ある反応スケールにおいて、新たに滴下されて反応系内に入ってきたテトラアルコキシシランに対する水の割合を示す指標である。
ここで、CとBの値は、各々C/Bの値を求める各時点での値であり、総液量とは、供給するアルカリ触媒を溶媒に溶解させた溶液の当該溶媒を含む量である。また、反応系内とは、特定シリカ粒子を作製するアルカリ触媒溶液を示す。
C/Bは、15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上60(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下であるが、20(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上50(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下が望ましく、25(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上40(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下がより望ましい。
C/Bが15未満の場合、シリカ粒子の分散性が不安定となり、シリカスラリーがゲル化する。一方、C/Bが60を超えると、核生成期を二段階持たないため、得られるシリカ粒子は、個数粒度分布の2つの極大値を持たなくなる。
ここで、C/Bを上記範囲にするには、例えば、1)テトラアルコキシシランの滴下流量を大きくする、2)滴下アンモニア水濃度を高くして反応途中の水濃度を低くする、3)初期仕込みの水の量を少なくする等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法では、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下のいずれかの時点でC/Bが上記範囲の状態を経る。C/Bが上記範囲を経る割合は、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下において20%以上がよく、50%以上が望ましく、80%以上がより望ましい。最も望ましくは、100%である。
そして、上記C/Bが上記範囲を経る状態の割合は、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下のいずれかの時点であればよく、例えば、連続的でも断続的でもよい。具体的には、例えば、C/Bが上記範囲である割合が50%である場合、テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の初期の連続した時点(例えば、A/2以上3A/4以下)、後の連続した時点(例えば、3A/4以上A以下)、途中の連続した時点(例えば、5A/8以上7A/8以下等)等が挙げられる。
アルカリ触媒溶液中に供給するテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。このうち、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシランがよい。
テトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液中のアルコールのモル数に対して、0.002mol/(mol・min)以上0.006mol/(mol・min)未満がよく、0.002mol/(mol・min)以上0.0033mol/(mol・min)以下が望ましい。
このテトラアルコキシシランの供給量を上記範囲とすることで、個数粒度分布の大径側から10%の範囲内における一次粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下とし易い。
また、テトラアルコキシシランの供給量が、0.002mol/(mol・min)未満の場合、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子との接触確率をより下げることにはなるが、テトラアルコキシシランの総供給量を滴下し終わるまでに長時間を要し、生産効率が悪くなることがある。
一方、テトラアルコキシシランの供給量が0.006mol/(mol・min)以上であると、滴下されたテトラアルコキシシランと核粒子とが反応する前に、テトラアルコキシシラン同士の反応を生じさせることになると考えられる。そのため、核粒子へのテトラアルコキシシラン供給の偏在化を助長し、核粒子形成のバラツキをもたらすことから、粒径、形状分布の分布幅が拡大し、個数粒度分布の大径側から10%の範囲内の一次粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下のシリカ粒子を製造し難くなる。
なお、このテトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液におけるアルコール1mol当たりに対する、1分間当たりにテトラアルコキシシランを供給するmol数を示している。
一方、アルカリ触媒溶液中に供給するアルカリ触媒は、上記例示したものが挙げられる。この供給するアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液中に予め含まれるアルカリ触媒と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることがよい。
アルカリ触媒の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して、0.1mol以上0.4mol以下がよく、0.14mol以上0.35mol以下が望ましく、0.18mol以上0.30mol以下がより望ましい。
アルカリ触媒の供給量が、0.1mol未満の場合、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成さたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が、0.4molを超えると、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で異形状の核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、異形状のシリカ粒子が得られ難くなる。
ここで、シリカ粒子作製工程において、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給するが、この供給方法は、連続的に供給する方式であってもよいし、間欠的に供給する方式であってもよい。
また、シリカ粒子作製工程において、アルカリ触媒溶液中の温度(供給時の温度)は、例えば、5℃以上50℃以下がよく、15℃以上40℃以下が望ましい。
また、A/Bは1mol/((mol/min)/L)以上5mol/((mol/min)/L)以下であることがよい。A/Bが1mol/((mol/min)/L)未満であると、核生成期を二段階持たず個数粒度分布に2つの極大値を持たなくなることがある。一方、A/Bが5mol/((mol/min)/L)を超えると、シリカ粒子の分散性が不安定となり、シリカスラリーがゲル化してしまうことがある。
A/Bは、特定シリカ粒子が生成するアルカリ触媒溶液中における、B(テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給した溶液の総液量に対するテトラアルコキシシランの供給流量)に対するA(テトラアルコキシシランの全供給量)で定義され、A/Bの値は、スケールに対する滴下モノマー量を示す指標である。
以上の工程を経て、特定シリカ粒子が得られる。この状態で、得られる特定シリカ粒子は、分散液の状態で得られるが、そのままシリカ粒子分散液として用いてもよいし、溶媒を除去して特定シリカ粒子の粉体として取り出して用いてもよい。
シリカ粒子分散液として用いる場合は、必要に応じて水やアルコールで希釈したり濃縮することによりシリカ粒子固形分濃度の調整を行ってもよい。また、シリカ粒子分散液は、その他のアルコール類、エステル類、ケトン類などの水溶性有機溶媒などに溶媒置換して用いてもよい。
一方、特定シリカ粒子の粉体として用いる場合、シリカ粒子分散液からの溶媒を除去する必要があるが、この溶媒除去方法としては、1)濾過、遠心分離、蒸留などにより溶媒を除去した後、真空乾燥機、棚段乾燥機などにより乾燥する方法、2)流動層乾燥機、スプレードライヤーなどによりスラリーを直接乾燥する方法など、公知の方法が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、望ましくは200℃以下である。200℃より高いとシリカ粒子表面に残存するシラノール基の縮合による一次粒子同士の結合や粗大粒子の発生が起こり易くなる。
乾燥された特定シリカ粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
本実施形態に係る樹脂粒子の製造方法により得られる特定シリカ粒子は、疎水化処理剤により特定シリカ粒子の表面を疎水化処理して用いていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中でも、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
疎水化処理剤の使用量は、特に限定はされないが、疎水化の効果を得るためには、例えば、シリカ粒子に対し、1質量%以上100質量%以下がよく、5質量%以上80質量%以下が望ましい。
疎水化処理剤による疎水化処理が施された疎水性シリカ粒子分散液を得る方法としては、例えば、シリカ粒子分散液に疎水化処理剤を必要量添加し、攪拌下において30℃以上80℃以下の温度範囲で反応させることで、シリカ粒子に疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子分散液を得る方法が挙げられる。この反応温度が30℃より低温では疎水化反応が進行し難く、80℃を越えた温度では疎水化処理剤の自己縮合による分散液のゲル化や特定シリカ粒子同士の凝集などが起り易くなることがある。
一方、粉体の疎水性シリカ粒子を得る方法としては、例えば、上記方法で疎水性シリカ粒子分散液を得た後、上記方法で乾燥して疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法、シリカ粒子分散液を乾燥して親水性シリカ粒子の粉体を得た後、疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法、疎水性シリカ粒子分散液を得た後、乾燥して疎水性シリカ粒子の粉体を得た後、更に疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性シリカ粒子の粉体を得る方法等が挙げられる。
ここで、粉体のシリカ粒子を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ粒子の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、120℃以上200℃以下が望ましい。
―シリカ粒子付着工程―
シリカ粒子付着工程では、シリカ粒子作製工程で得られたシリカ粒子(特定シリカ粒子)を、樹脂粒子本体の表面に付着する。
特定シリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着させる方法としては、例えば、特定シリカ粒子と、樹脂粒子本体と、必要に応じて付着する成分とをV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等に添加して攪拌する方法が挙げられ、段階を分けて特定シリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着させてもよい。
本実施形態に係る樹脂粒子は、既述のとおり、樹脂粒子本体の表面に計算被覆率が5%以上80%以下となる範囲で特定シリカ粒子を付着していることが好ましい。
特定シリカ粒子の付着量を上記範囲とするには、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等には、樹脂粒子本体の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の特定シリカ粒子を添加すればよい。
(樹脂粒子本体の製造)
樹脂粒子本体は、例えば、本体樹脂を、熱溶融混練した後、粉砕、分級する方法(混練粉砕法)、本体樹脂を水溶性有機溶剤に溶解した油相を、分散剤を含む水相中にて懸濁分散した後、溶剤を除去する方法(溶解懸濁法)、本体樹脂モノマーから乳化重合等にて得られた本体樹脂を、凝集させて粒子化する方法(乳化重合凝集法)で樹脂粒子本体を製造してもよい。
樹脂粒子本体に、無機粒子等の前記各成分を含有させる場合は、予め、本体樹脂と前記各成分とを混合しておけばよい。乳化重合凝集法による場合は、本体樹脂モノマーと前記各成分とを混合して乳化重合しておけばよい。
以下、本発明を、実施例を挙げて更に具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、実施例1、2、4及び6〜11は参考例である。また、「部」、「%」は、特に断りがない限り、質量基準である。
なお、以下で使用した各成分の分子量は、メタノール:32.04、NH:17.03、テトラメトキシシラン(TMOS):152.22とした。また、メタノールの比重:0.79、アンモニア水の比重:1.00とした。
[実施例1]
−アルカリ触媒溶液準備工程−
容積1Lのガラス製反応容器に、金属製攪拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、温度計を備えたものを実験装置として用意した。
この実験装置の反応容器に、初期仕込み量としてメタノール210.5部、25.7部の13.4%アンモニア水を入れて撹拌混合してアルカリ触媒溶液(1)を得た。この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒の濃度、即ち、NH(mol)/〔NH+メタノール+水(L)〕は0.70mol/Lであった。
−シリカ粒子作製工程(シリカ粒子1の生成)−
アルカリ触媒溶液(1)の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)92.2部と、触媒(NH)濃度が9.7質量%のアンモニア水21.7部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、シリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液(1))を得た。
ここで、テトラメトキシシラン(TMOS)の供給量は、アルカリ触媒溶液(1)中のメタノール総mol数に対して、8.1部/minとした。
また、9.7質量%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量(8.1部/min)に対して、1.90部/minとした。これは、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.205mol/minに相当する。
ここで、シリカ粒子作製工程におけるTMOS供給量がA/8、A/4、A/2、5A/8、6A/8、7A/8及びAの時点でのC/Bの値を算出した。C/Bの値は、以下のようにして算出した。まず、反応系内の水濃度(C)の値を仕込み水量と滴下アルコキシシラン量と滴下アンモニア水量から、アルコキシシランが100%反応しているとして算出した。次に、テトラアルコキシシランの供給流量(各時点での流量)とアルカリ触媒溶液液量(各時点でのTMOSとアルカリ触媒とが供給された溶液の総液量)からBを算出した。そして、得られたCとBからC/Bを算出した。得られたC/Bの値を表2に示す。
−疎水化処理工程−
その後得られた懸濁液にトリメチルシラン37.6部を添加し、100℃ホットプレートで10分間加熱させて疎水化処理行った後、100℃20分間乾燥させることで疎水性シリカ粒子(特定シリカ粒子1)を生成した。
−樹脂粒子本体の製造(不定形樹脂粒子Aの製造)−
撹拌機、温度計、コンデンサー、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、テレフタル酸ジメチル23mol%、イソフタル酸10mol%、ドデセニルコハク酸無水物15mol%、トリメリット酸無水物3mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物5mol%、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物45mol%の割合で投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド0.06mol%の割合で加え、窒素ガス気流下約190℃で約7時間撹拌反応させ、更に温度を約250℃に上げて約5.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間攪拌反応させて、分子内に極性基を有するポリエステル樹脂を得た。
次に、ポリエステル樹脂100部を、バンバリーミキサー型混練機で溶融混練した。混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機で微粉砕を行った後、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子(樹脂粒子本体A)を得た。
−シリカ粒子付着工程−
上記製造方法で得られた体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子20部に、得られた疎水化シリカ粒子(特定シリカ粒子1)を被覆率が50%となるように添加し、0.4Lサンプルミルにて15000rpmで30秒間混合し、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子を得た。この際、樹脂粒子本体である不定形樹脂粒子の比重は1.05、得られた特定シリカ粒子1である疎水化シリカ粒子の比重は1.5とした。
[実施例2]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を18.1%、27.2部にした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子2を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例3]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を11.8%、25.2部にした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子3を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例4]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するアンモニア水を60.0部、滴下するアンモニア水流量を5.25部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子4を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例5]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するアンモニア水を4.7部、滴下するアンモニア水流量を0.41部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子5を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例6]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を4.1部/minに、滴下するアンモニア水流量を0.97部/minした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子6を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例7]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を12.7部/minに、滴下するアンモニア水流量を2.99部/minした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子7を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例8]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を7.0部/minに、滴下するアンモニア水を72.0部に、アンモニア水流量を5.47部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子8を作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[実施例9]
実施例1の樹脂粒子本体の製造において、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径1μmの不定形樹脂粒子(樹脂粒子本体B)を得た。 この不定形樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。なお、この際、樹脂粒子本体の表面積に対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子を用いた。
[実施例10]
実施例1の樹脂粒子本体の製造において、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径15μmの不定形樹脂粒子(樹脂粒子本体C)を得た。 この不定形樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。なお、この際、樹脂粒子本体の表面積に対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子を用いた。
[実施例11]
実施例1の樹脂粒子本体の製造において得られたポリエステル樹脂を用い、このポリエステル樹脂95部とカルナバワックス(東亜化成株式会社製)5部とを、バンバリーミキサー型混練機で溶融混練した。混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS型粉砕機で微粉砕を行った後、エルボー型分級機で分級を順次行い、体積平均粒径7μmの不定形樹脂粒子(樹脂粒子本体D)を得た。
この樹脂粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。なお、この際、樹脂粒子本体の表面積に対して計算被覆率が50%となるように疎水化シリカ粒子を用いた。
[比較例1]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を8.8%、68.0部にした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子1bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例2]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を17.5%、14.5部にした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子2bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例3]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するアンモニア水を96.2部に、滴下するアンモニア水流量を8.42部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子3bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例4]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を13.5%、25.6部にして、滴下するアンモニア水を0.0部に、滴下するアンモニア水流量を0.00部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子4bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例5]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を3.6部/minに、滴下するアンモニア水流量を1.13部/min、滴下するアンモニア水を28.9部にした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子5bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例6]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を24.5部/minに、滴下するアンモニア水流量を5.78部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子6bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例7]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、滴下するテトラメトキシシラン流量を19.0部/minに、滴下するアンモンニア水流量を4.48部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子7bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[比較例8]
特定シリカ粒子1を製造する工程において、初期仕込みのアンモニア水を13.5%、25.6部に、滴下するテトラメトキシシラン流量を10.0部/minに、滴下するアンモニア水を4.0部に、滴下するアンモニア水流量を0.43部/minにした以外は、実施例1と同様にして特定シリカ粒子8bを作製し、シリカ粒子含有樹脂粒子を作製した。
[評価]
(シリカ粒子の物性)
各例で得られた疎水化シリカ粒子の、粒子径比(小径側の粒子/大径側の粒子)と個数比(小径側の粒子/大径側の粒子)、及び個数粒度分布の大径側から10%の範囲内における平均円形度と平均収縮率は、上述した方法により算出した。
(樹脂粒子の評価)
実施例1〜11、及び比較例1〜8で得られた特定シリカ粒子を樹脂粒子本体へ分散した際の分散性、及び特定シリカ粒子を付着させた樹脂粒子の流動性、流動維持性、機械的強度(攪拌などのストレスからの耐性)、及び帯電性について、以下の方法にて評価した。結果を表3に示す。
−分散性の評価−
製造後の疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子について、SEM観察により表面を観察した。更に、画像解析により疎水化シリカ粒子の付着面積を測定し、疎水化シリカ粒子の被覆率を樹脂粒子本体の表面積Cに対する特定シリカ粒子の総付着面積Dの割合〔(D/C)×100〕から算出して、下記の評価基準に基づいて評価した。
A:シリカ粒子が、被覆率45%以上で、偏在せずに樹脂粒子本体表面に付着し、凝集体も殆ど見られない。
B:わずかにシリカ粒子の凝集体が見られるものの、シリカ粒子が、被覆率45%以上で、偏在せずに樹脂粒子本体表面に付着している。
C:わずかにシリカ粒子の凝集体が見られるものの、シリカ粒子が、被覆率40%以上45%未満で、偏在せずに樹脂粒子本体表面に付着している
D:シリカ粒子の凝集体が散見され、かつ、樹脂粒子本体表面のシリカ粒子の被覆率が40%未満で、分散不良である。
−流動性の評価−
シリカ粒子含有樹脂粒子について、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて樹脂粒子のゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重とを測定し、以下の式を用いてゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重との比から圧縮比を求め、算出された圧縮比から、樹脂粒子の流動性を評価した。
・式:圧縮比=〔(固め見掛け比重)−(ゆるみ見掛け比重)〕/固め見掛け比重
なお、「ゆるみ見掛け比重」とは、容量が100cmの試料カップへ樹脂粒子を充填し、秤量する事で導き出される測定値であって、樹脂粒子を試料カップ中に自然落下させた状態の充填比重をいう。「固め見掛け比重」とは、ゆるみ見掛け比重の状態からタッピングすることにより、脱気され、樹脂粒子が再配列し、より密に充填された、見掛け比重をいう。
また、流動性評価でも分散維持性の評価と同様に、測定前にターブラ振とう機で60分間混合行って機械的負荷を与えている。
評価基準は以下の通りである。
A:圧縮比が0.2未満
B:圧縮比が0.2以上0.3未満
C:圧縮比が0.3以上0.4未満
D:圧縮比が0.4以上
−機械的強度の評価−
疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子を振とう機を用いて10分間振とうして混合した後、SEM観察用に試料を採取した。採取した試料を試料(1)とした。試料(1)について更に振盪機を用いて30分間振盪を行った後採取した試料を、試料(2)とした。得られた試料(1)と試料(2)それぞれについて、SEM観察及び画像解析により、一次粒子100個の円相当径を求め、両者の比較により、下記の評価基準に基づいて評価した。
A:試料(1)と試料(2)との円相当径に差異が見られずシリカ粒子の欠損が無いもの
B:試料(2)で円相当径の若干の低下が見られるが実用上問題の無いもの
C:試料(2)で試料(1)と比較して円相当径の低下が、10%以上20%以下であるもの
D:試料(2)で試料(1)と比較して円相当径が20%以上の低下が見られ、強度不足であるもの
−帯電性−
得られたシリカ粒子の帯電性について次のように評価した。鉄粉キャリア19.8gと、疎水化シリカ粒子含有樹脂粒子0.2gを正しく測り、サンプル瓶に入れて、あらかじめ10℃、50%RHに調整した恒温恒湿器(C)と、28℃、85%RHに調整した恒温恒湿器(A)と、それぞれの中で蓋を開けたまま、3時間以上調湿させた。調湿後、蓋をして振とう機を用いて30分間振とう混合させた。混合したサンプルを1.00g正しく秤り取り、帯電量測定装置:ブローオフ粉体帯電量測定装置を用いて、C、Aそれぞれの恒温恒湿器で調湿したサンプルの帯電量を測定した。恒温恒湿器(C)の帯電量をc、恒温恒湿器(A)の帯電量をaとしたとき、下記の評価基準に基づいて評価した。
A:c/a=1
B:1>c/a≧0.8
C:0.8>c/a≧0.5
D:0.5>c/a
表3に特定シリカ粒子の特徴と共に評価結果を、一覧にして示す。なお、比較例2、4、6については、シリカ粒子がゲル化してしまい、評価を行うことができなかった。
Figure 0006036448
Figure 0006036448
Figure 0006036448
上記結果から、本実施例は、分散性、流動性、機械的強度及び帯電性の各評価について共に良好な結果が得られたことが分かる。

Claims (2)

  1. 樹脂粒子本体と、
    前記樹脂粒子本体の表面に付着したシリカ粒子であって、個数粒度分布に遊離した粒子からなる2つの極大値を持ち、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.12以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が1以上100以下であり、前記シリカ粒子の大径側から10%の範囲内における粒子の、平均円形度が0.65以上0.90以下、かつ、平均収縮率が10以上50以下であるシリカ粒子と、
    を含む樹脂粒子。
  2. 請求項1に記載の樹脂粒子を製造する方法であって、
    アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
    前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給し、前記テトラアルコキシシランの全供給量をA、前記テトラアルコキシシランの供給流量/前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とを供給した溶液の総液量をB、反応系内の水濃度をCとしたときに、前記テトラアルコキシシランの供給量がA/2以上A以下の間のいずれかの時点で、C/Bが15(mol/L)/{(mol/min)/L)}以上50(mol/L)/{(mol/min)/L)}以下である状態を経てシリカ粒子を作製する工程と、
    作製された前記シリカ粒子を樹脂粒子本体の表面に付着する工程と、
    を有する樹脂粒子の製造方法。
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