JP6772697B2 - シリカ粒子およびシリカ粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、「1次粒子の体積基準メジアン径が0.005〜0.030ミクロンの球状の疎水性シリカ微粒子であり、かつその微粒子の粒度分布D90/D10の値が3以下であり、平均円形度が0.8〜1であることを特徴とする強負帯電付与性疎水性球状シリカ微粒子。」が開示されている。
特許文献3には、「合着率が0.1%以下の非合着・非凝集性真球状シリカ粒子の集合体であって、平均粒子径が0.6〜6μm、粒子径の分布幅が0.3〜10μmおよび粒度分布の分散度(CV値)が10%以上であることを特徴とする真球状シリカ粒子集合体。」が開示されている。
特許文献4には、「反シラノール基を有し、平均粒子径が1〜10μmであり、且つ下式で表わされる粒度分布の幾何標準偏差σが1.5以下であることを特徴とする球状シリカ。σ=(D1/D2)0.5 D1:累積84重量%の時の粒子径 D2:累積16重量%の時の粒子径」が開示されている。
特許文献5には、「体積平均粒子径が80nm以上300nm以下であり、平均円形度が0.5以上0.85以下であり、且つ、オイルにより表面処理されたゾルゲルシリカ粒子」が開示されている。
個数粒度分布に2つの極大値を持ち、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.02以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が0.1以上100以下であり、
前記小径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以下であり、
前記大径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以上であるシリカ粒子。
アルコールを含む溶媒中に、0.9mol/L以上1.2mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルコールに対して、0.003mol/(mol・min)以上0.004mol/(mol・min)以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給すると共に、前記テトラアルコキシシランに対して、0.15以上0.45以下の流量比でアルカリ触媒を供給する工程と、
を有する樹脂粒子の製造方法。
本実施形態に係るシリカ粒子は、個数粒度分布に2つの極大値を持ち、2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.02以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が0.1以上100以下である。
また、シリカ粒子は、小径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以下であり、大径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以上である。
粒子径の異なる複数種のシリカ粒子を併用する場合、スペーサー効果(緩衝効果)による付着対象物どうしの耐凝集性を向上する目的で、大径のシリカ粒子(例えば、個数平均粒子径80nm以上160nm以下)を用い、また、流動性向上の目的で、小径のシリカ粒子(例えば、個数平均粒子径30nm以上80nm以下)を用いることがある。この場合、粒子径の異なる2種のシリカ粒子の間で、帯電列の差が大きい(帯電の大きさの関係が異なる)ことから、両者のシリカ粒子どうしの凝集等の現象、及び付着対象物に対する分散性低下等の現象が発生しやすい。
このように、大径のシリカ粒子と小径のシリカ粒子とを併用した場合には、大径のシリカ粒子と小径のシリカ粒子との凝集、凝集した小径のシリカ粒子が大径のシリカ粒子に付着するなどによって、付着対象物の流動性が低下するとともに、耐凝集性の低下が発生することがある。
また、シリカ粒子は、前述のように、小径側の個数粒度分布指標および平均円形度が特定の範囲、かつ、大径側の個数粒度分布指標および平均円形度が特定の範囲であることを示す。これらの特性を示すシリカ粒子は、小径側の粒子と大径側の粒子との間で、シリカ粒子どうしの凝集が発生しにくく、単分散に近い状態であり、小径側および大径側ともに、粒度分布が狭く(先鋭)であり、かつ、球形に近い形状をなしている。
本実施形態に係るシリカ粒子は、個数粒度分布の2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値の粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)は、0.02以上0.3以下である。付着対象物の流動性および耐凝集性を抑制する点で、0.03以上0.2以下が望ましく、0.04以上0.1以下がより望ましい。
本実施形態に係るシリカ粒子は、個数粒度分布の2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値の個数比(小径側の粒子の個数/大径側の粒子の個数)は0.1以上100以下である。付着対象物の流動性の低下および耐凝集性の低下がともに抑制する点で、10以上70以下が望ましく、30以上60以下が望ましい。
シリカ粒子は、小径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以下であり、大径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以上である。付着対象物の流動性の低下および耐凝集性の低下がともに抑制する点で、小径側の粒度および大径側の粒子ともに、個数粒度分布指標は、1.0以上1.15以下が望ましく、1.0以上1.1以下がより望ましい。
また、同様の点で、小径側の粒度および大径側の粒子ともに、平均円形度は、0.92以上0.97以下が望ましく、0.93以上0.96以下がより望ましい。
なお、小径側および大径側の粒子の個数粒度分布指標がともに1.0未満であるシリカ粒子は製造し難い。
シリカ粒子の個数粒度分布指標は、一次粒子の個数粒度分布指標である。具体的には、粒子径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量50000)にシリカ粒子を分散させたとき、大径側および小径側の各々の一次粒子100個を上記SEMにより観察し、得られた大径側および小径側の各々の一次粒子の画像の画像解析から粒子径(円相当径)の個数分布を得る。次に、この分布に基づいて、小径側の極大値の粒子径±10%(−10%以上+10%以下の範囲)における小径側から大径側に向かって、個数累積84%(84個目)の円相当径を、同じく個数累積16%(16個目)の円相当径で除した値の平方根を小径側の粒子の個数粒度分布指標とする。また、大径側の極大値の粒子径±10%(−10%以上+10%以下の範囲)における小径側から大径側に向かって、個数累積84%(84個目)の円相当径を、同じく個数累積16%(16個目)の円相当径で除した値の平方根を小径側の粒子の個数粒度分布指標とする。
シリカ粒子の円形度は、粒子径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)にシリカ粒子を分散させた後の一次粒子を、SEM装置により観察し、得られた一次粒子の画像解析から、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
・式:円形度(100/SF2)=4π×(A/I2)
〔上記式中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
そして、シリカ粒子の平均円形度は、前述の個数粒度分布指標の測定方法で示す画像解析によって得られた一次粒子100個について、小径側および大径側のそれぞれについて、円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
・個数平均粒子径
シリカ粒子全体の個数平均粒子径は、例えば、10nm以上80nm以下がよく、20nm以上70nm以下が望ましく、30nm以上60nm以下がより望ましい。
個数平均粒子径D50pは、シリカ粒子全体の個数粒度分布における累積50%となる粒子径で定義される。個数平均粒子径D50pは、次のようにして得る。まず、体積平均粒子径100μmの樹脂粒子(例えば、ポリエステル樹脂、重量平均分子量Mw=50000)に、シリカ粒子を分散させた後、上記SEM装置により観察し、得られた粒子画像の画像解析から粒子径(円相当径)の個数分布を得る。この個数分布を用いて、累積分布を描き、個数で累積50%となる粒子径D50pを得る。
・シリカ粒子全体の平均円形度
シリカ粒子全体の平均円形度は、例えば、0.90以上0.98以下(望ましくは0.93以上0.96以下)であることがよい。測定方法は、前述の大径側および小径側の粒子の平均円形度を測定する方法と同様にして行い、画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
本実施形態に係るシリカ粒子は、樹脂粒子に分散させたとき、樹脂粒子の表面を被覆する被覆率が向上し、大径側の粒子の脱離が生じ難いため、付着対象物の流動性低下および耐凝集性低下をともに抑制する。したがって、シリカ粒子は、無機粉体材料および有機粉体材料の各材料に付着させて使用する用途に好適に適用し得る。例えば、有機粉体材料に付着させて使用する用途としては、樹脂粒子に付着させて使用する用途が挙げられる。樹脂粒子に付着させて使用する場合、例えば、粉体塗料およびトナーに代表される記録材料等の種々の用途が挙げられる。また、加熱された成形金型に樹脂粒子を流し込んで溶融成形する、いわゆるスラッシュ成形(パウダースラッシュ成形ともいう)の用途も挙げられる。
本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法は、上記実施形態に係るシリカ粒子を得るための製造方法として好適である。具体的には以下の通りである。
そして、テトラアルコキシシランの供給と、アルカリ触媒の供給とをそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、大径側のシリカ粒子が得られる。ここで、このテトラアルコキシシランの供給とアルカリ触媒の供給とを、上記範囲の流量比とすることで、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、球形に近い形状の核粒子がその球形に近い形状を保ったまま粒子成長すると考えられる。これは、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給量を上記関係とすることで、核粒子の分散を保持しつつ、球形に近い形状を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じるためと考えられる。
まず、アルカリ触媒溶液準備工程について説明する。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒の濃度が、0.9mol/L未満の場合、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたり、ゲル化状となったりして、シリカ粒子が得られない。
一方、アルカリ触媒の濃度が、1.2mol/Lを超えると、アルカリイオンがシリカ粒子表面へ残留しやすくなり結果として乾燥後の分散不良や凝集、流動性悪化に繋がる。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
次に、粒子生成工程について説明する。
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、シリカ粒子を生成する工程である。
この粒子生成工程では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により、核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、大径側のシリカ粒子が生成する。そして、アルカリ濃度が低下し、核粒子の成長のためのアルカリ濃度が不足した時点から、小径側のシリカ粒子が生成する。
このテトラアルコキシシランの供給量を上記範囲とすることで、単分散に近い状態であり、粒度分布が狭く、かつ、球形に近い形状を有するシリカ粒子が生成され易くなる。
なお、このテトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液におけるアルコール1mol当たりに対する、1分間当たりにテトラアルコキシシランを供給するmol数を示している。
アルカリ触媒の流量比(供給量)が、0.15未満の場合、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成したり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の流量比(供給量)が、0.45を超えると、アルカリイオンがシリカ粒子表面へ残留しやすくなり乾燥後の分散不良や凝集、流動性悪化に繋がることがある。また生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で小径側の粒子が生成され難くなる。
乾燥されたシリカ粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中でも、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
ここで、粉体のシリカ粒子を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ粒子を撹拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ粒子の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、120℃以上200℃以下が望ましい。
−アルカリ触媒溶液準備工程(アルカリ触媒溶液(1)の調製)−
容積1Lのガラス製反応容器に、金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、温度計を備えたものを実験装置として用意した。
この実験装置の反応容器に、初期仕込み量としてメタノール984.49部、10%アンモニア水255.2部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液(1)を得た。この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒の濃度、即ち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、1.00mol/Lであった。
次に、アルカリ触媒溶液(1)の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)605.30部と、触媒(NH3)濃度が7.8質量%のアンモニア水111.8部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、シリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液(1))を得た。
また、7.8質量%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量に対して、10.2部/minとした。アンモニア水中のアンモニア供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.41mol/minに相当する。つまり、テトラメトキシシランに対するアンモニア水の流量比は0.41である。
その後、得られたシリカ粒子懸濁液(1)にトリメチルシランを添加し、100℃ホットプレートで加熱及び乾燥させることで、実施例1のシリカ粒子(1)を得た。
表1に示す値となるように、アンモニア水量、供給アンモニア触媒の濃度、テトラメトキシシラン供給量、及びテトラメトキシシランに対するアンモニア水の流量比を変更した以外は、実施例1と同様にして、各例のシリカ粒子を作製した。
−アルカリ触媒溶液準備工程(アルカリ触媒溶液(C1)の調製)−
容積1Lのガラス製反応容器に、金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、温度計を備えたものを実験装置として用意した。
この実験装置の反応容器に、初期仕込み量としてメタノール984.49部、10%アンモニア水255.2部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液(C1)を得た。この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒の濃度、即ち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、1.00mol/Lであった。
次に、アルカリ触媒溶液(C1)の温度を40℃に調整し、アルカリ触媒溶液(C1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(C1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)605.3部と、触媒(NH3)濃度が2.7質量%のアンモニア水111.8部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、シリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液(C1))を得た。
また、2.7質量%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量に対して、10.2部/minとした。アンモニア水中のアンモニア供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.14mol/minに相当する。つまり、テトラメトキシシランに対するアンモニアの流量比は0.14である。
その後、得られたシリカ粒子懸濁液(C1)にトリメチルシランを添加し、100℃ホットプレートで加熱及び乾燥させることで、比較例1のシリカ粒子(C1)を得た。
粒子生成工程においてアルカリ触媒溶液(C1)の温度を25℃に調整し、表1に示す値となるように、供給アンモニア触媒の濃度、テトラメトキシシラン供給量、及びテトラメトキシシランに対するアンモニアの流量比を変更した以外は、実施例1と同様にして、各例のシリカ粒子を作製した。
一次粒子径30nmの気相法シリカ粒子である疎水性シリカ粒子(NAX50、日本アエロジル社製)と、比較例2で作製したシリカ粒子とを用意し、比較例3のシリカ粒子とした。
比較例1で作製したシリカ粒子(個数平均粒子径50nm)と、比較例2で作製したシリカ粒子(個数平均粒子径130nm)とを用意し、比較例4のシリカ粒子とした。
表1に示す値となるように、供給アンモニア触媒の濃度、テトラメトキシシラン供給量、及びテトラメトキシシランに対するアンモニアの流量比を変更した以外は、実施例1と同様にして、各例のシリカ粒子を作製した。
−アルカリ触媒溶液準備工程(アルカリ触媒溶液(C6)の調製)−
容積1Lのガラス製反応容器に、金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、温度計を備えたものを実験装置として用意した。
この実験装置の反応容器に、初期仕込み量としてメタノール210.5部、8.8%アンモニア水68.0部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液(C1)を得た。この時のアルカリ触媒溶液中のアンモニア触媒の濃度、即ち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.70mol/Lであった。
次に、アルカリ触媒溶液(C6)の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液(C6)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(C6)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)92.2部と、触媒(NH3)濃度が9.7質量%のアンモニア水21.7部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、シリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液(C6))を得た。
ここで、テトラメトキシシラン(TMOS)の供給量は、アルカリ触媒溶液(1)中の
メタノール総mol数に対して、8.1部/minとした。
また、9.7質量%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たり
に供給される総供給量(8.1部/min)に対して、1.90部/minとした。これ
は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0
.205mol/minに相当する。疎水化処理は実施例1と同様にして行った。
(シリカ粒子の物性)
各例で得られた疎水化処理後のシリカ粒子の粒子径比(小径側/大径側)と個数比(小径側/大径側)、大径側及び小径側の各粒子の個数粒度分布指数と平均円形度について、既述の方法により算出した。結果を表2に示す。
−樹脂粒子の製造−
・樹脂粒子分散液の調製
スチレン285部、n−ブチルアクリレート115部、アクリル酸8部、ドデカンチオール24部、を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10部をイオン交換水550部に溶解したフラスコ中で乳化させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒子径が150nmであり、ガラス転移温度(Tg)=53℃、重量平均分子量Mw=32000の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液が得られた。この分散液の固形分濃度は40%であった。
Cyan顔料B15:3 60部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)5部、イオン交換水240部を混合して、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して平均粒子径が250nmである着色剤(Cyan顔料)粒子が分散された着色剤分散液を調製した。
パラフィンワックス HNP9(融解温度75℃:日本精鑞製)45部、アニオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬)5部、イオン交換水:200部を混合し100℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子の中心粒径が196nm、固形分量が22.0%の離型剤分散液を得た。
樹脂粒子分散液234部、着色剤分散液30部、離型剤分散液40部、ポリ水酸化アルミニウム(浅田化学社製、Paho2S)0.5部、イオン交換水600部を、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50:IKA社製)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、平均粒径(D50)が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。更に加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持し、D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に26部の樹脂粒子分散液を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃で30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に、1N水酸化ナトリウムを追加して、系のpHを5.0に調整した後ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱し、4時間保持した。冷却後、トナー粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー粒子を得た。トナー粒子のD50が5.8μm、平均円形度は0.96であった。
上記製造方法で得られた樹脂粒子20部に、各例のシリカ粒子を被覆率が50%となるように添加し、0.4Lサンプルミルにて15000rpmで30秒間混合し、シリカ粒子付着樹脂粒子を得た。なお、このときの樹脂粒子の比重は1.05、各例で得られたシリカ粒子の比重は1.5とした。
各例で得られたシリカ粒子を樹脂粒子へ付着させたときのシリカ粒子の分散性、移行性、流動性、及び熱凝集度について、以下の方法にて評価した。
上記付着法で作製した樹脂粒子付着シリカについて、SEM装置により樹脂粒子表面の観察を行い、下記評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
−評価基準(分散性)−
A:樹脂粒子表面にシリカ粒子が均一に分散しているもの
B:わずかにシリカ粒子の凝集体は見られるものの、樹脂粒子表面へのカバレッジ(被覆量)の低下は見られず、実用上問題ないもの
C:シリカ粒子の凝集体が散見され、かつ、明らかな樹脂粒子表面へのカバレッジ(被覆量)の低下が見られ、分散不良であるもの
樹脂粒子に付着したシリカ粒子の移行性(脱離性)について評価した。具体的には、次のようにして評価した。
各例のシリカ粒子を付着させた各シリカ粒子付着樹脂粒子5gと、100μmのフェライト粉200gとをガラス瓶に入れ、ターブラ振とう機で1時間混合した後、フェライト粉に移行したシリカ粒子の量をSEM観察及び蛍光X線で分析し、下記基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
−評価基準(移行性(脱離性))−
A:樹脂粒子から鉄粉へのシリカ移行量が10質量%未満である。
B:樹脂粒子から鉄粉へのシリカ移行量が10質量%以上30質量%未満である。
C:樹脂粒子から鉄粉へのシリカ移行量が30質量%以上である。
シリカ粒子付着樹脂粒子について、ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用い、シリカ粒子付着樹脂粒子のゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重とを測定し、以下の式を用いてゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重との比から圧縮比を求めた。算出された圧縮比から、樹脂粒子の流動性を評価した。結果を表2に示す。
・式:圧縮比=〔(固め見掛け比重)−(ゆるみ見掛け比重)〕/固め見掛け比重
−評価基準(流動性)−
A:圧縮比が0.35未満
B:圧縮比が0.35以上0.45未満
C:圧縮比が0.45以上
シリカ粒子付着樹脂粒子を、50℃、90%RHの環境下に18時間放置し、放置前後のシリカ粒子付着樹脂粒子について、以下の測定を行うことにより行った。
具体的には、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い、上段より目開き53μm、45μm、及び38μmの各ふるいを直列的に配置し、目開き53μmのふるい上に正確に秤量した2gのシリカ粒子付着樹脂粒子を投入し、振幅1mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のシリカ粒子付着樹脂粒子の質量を測定し、以下の式から求めることで評価した。結果を表2に示す。
・熱保管性=[(目開き53μmのふるい上のシリカ粒子付着樹脂粒子の質量)×0.5+(目開き45μmのふるい上のシリカ粒子付着樹脂粒子の質量)×0.3+(目開き38μmのふるい上のシリカ粒子付着樹脂粒子の質量)×0.1]×100/(測定に用いたシリカ粒子付着樹脂粒子の質量)(%)。
−評価基準(熱凝集度)−
A:20%以下
B:20%以上30%未満
C:30%以上
Claims (1)
- 個数粒度分布に2つの極大値を持ち、前記2つの極大値のうち、大径側の極大値と小径側の極大値との粒子径比(小径側の極大値/大径側の極大値)が0.02以上0.3以下、かつ、個数比(小径側の極大値を有するシリカ粒子の個数/大径側の極大値を有するシリカ粒子の個数)が0.1以上100以下であり、
前記小径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以下であり、
前記大径側の個数粒度分布指標が1.0以上1.2以下、かつ、平均円形度が0.90以上0.98以上であるシリカ粒子。
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