JP2016126099A - トナー外添剤、トナー及びトナー外添剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できるシリカ粒子を含むトナー外添剤を提供する。【解決手段】トナー外添剤は、式:Si(OR1)4(但し、各R1は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含む。この粒子は、その表面に凸部を有し、散乱平均粒子径は100nm以上200nm以下、真密度は1.8g/cm3以上2.0g/cm3以下、平均アスペクト比が1.00以上1.25以下である。凸部の平均最大長さは25nm以上45nm以下、その変動係数は10%以上35%以下、平均最大長さ/平均粒子径は0.12以上0.30以下、凸部の平均最大高さは5nm以上15nm以下、その変動係数は20%以上45%以下、平均最大高さ/平均粒子径は0.05以上0.15以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法などにより画像を形成する複写機等の画像形成装置に用いられるトナーに外添して使用されるトナー外添剤及びその製造方法、並びに、該トナー外添剤を含むトナーに関する。
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電工程、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電荷像を現像し、転写工程、定着工程を経て、その静電荷像が可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、いずれも、トナーの流動性やクリーニング性を改善するための無機化合物や有機化合物からなる粒子がトナー粒子表面に添加される。このような粒子は、トナー外添剤(以下、単に外添剤という場合がある)と呼ばれる。トナー粒子と外添剤とは、静電気力(クーロン力)と物理的な作用(ファンデルワールス力)によって付着しており、支配的な力はクーロン力である。
近年、電子写真法の技術は高速化、低エネルギー消費の方向に進んでおり、トナーには従来よりも高い劣化耐性が求められるようになった。トナーが高い劣化耐性をもたないと、使用開始直後から終了時までトナーの転写効率を高い状態に維持できない。その対策の一つとして、大粒径外添剤のスペーサ効果を利用したトナーの劣化抑制技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
外添剤として、小粒径外添剤と大粒径外添剤を併用すると、トナー粒子表面に付着した大粒径外添剤の存在により、その近傍の、トナー粒子表面上に付着した小粒径外添剤が直接、せん断力や衝撃力などの外力を受ける頻度が低下し、その外力による小粒径外添剤のトナー粒子表面への埋没を防止できる(スペーサ効果)ことから、トナーの劣化を抑制できる。また、大粒径外添剤を外添することで、感光体からトナーが離れ易くなり、感光体上に乗ったトナーが速やかに紙上に転写され、転写効率を高い状態に維持できることから、大粒径外添剤は転写助剤としても機能する。
スペーサ効果が期待される大粒径外添剤にも、数nm〜30nm程度の小粒径外添剤と同様に従来の燃焼法を適用して製造されたシリカ粒子が使用されてきた。その後、近年においては、ゾルゲル法によって粒度分布の揃った大粒径の球形シリカ粒子が得られるようになってきたことから、50nm〜150nm程度の平均粒子径の球形シリカ粒子を外添剤として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。球形シリカ粒子は球形ゆえに分散性が良好であるため、トナー粒子表面に均一に付着してトナー粒子のどの位置でも、一定のスペーサ効果が得られることから、トナーの劣化耐性を高めることができる。
ここで、表面に尖った角部分を有するシリカ粒子では、尖った角部分に異常集中した電荷によりトナーが感光体等の部材に強く付着する。このため、尖った角部分を有するシリカ粒子では、感光体の変質や削れ、及び、感光体・帯電ロール・現像ロールなどへの部材汚染が生じる。これに対し、尖った角部分を有しない球形シリカ粒子では、そのような部材汚染を抑制できる。
しかし、球形シリカ粒子の粒子径を大きくすると、そのシリカ粒子の単位質量当たりの表面積(以下、比表面積という)が減少するので、帯電量が減り、シリカ粒子とトナー粒子との付着力に支配的なクーロン力が弱くなるため、トナー粒子への付着性が低下してトナー粒子から外れ易くなる。シリカ粒子がトナー粒子から外れると、外れたシリカ粒子やトナー粒子によって感光体・帯電ロール・現像ロールの汚染やクリーニングブレードの欠けなどが発生し、その部材汚染等に起因した画像欠陥を引き起こすことが知られている(例えば、特許文献3参照)。
大粒径球形シリカ粒子のトナー粒子からの脱離を防ぐ手段としては、粒子中心部となる母材粒子の表面上に複数の凸部を形成する技術が提案されており(例えば、特許文献4参照)、複数の凸部によりトナー粒子との接触点を増やすことで、トナー粒子への付着性の向上を図っている。
特許文献4は、母材粒子を四官能シラン化合物で形成し、凸部を三官能シラン化合物で形成するシリカ粒子の製造方法を開示している(同文献の段落0087〜0089参照)。
特開平06-027718号公報 特開平11-143118号公報 特開2007-264142号公報 特開2013-137508号公報
上述したように、表面に凸部を有するシリカ粒子は、トナー粒子への付着性を高めることが可能な点で、表面に凸部を有しないシリカ粒子よりも有利である。
しかし、特許文献4に開示された、母材粒子の原材料となる四官能シラン化合物と凸部の原材料となる三官能シラン化合物は、ケイ素原子とこれに結合する官能基の結合数が異なるため、後者の機械強度が前者より弱い。このシリカ粒子では、凸部が母材粒子より脆いため、シリカ粒子に対して圧縮力やせん断力などの物理的な外力が加わると、組成の異なる母材粒子と凸部との界面で、粒子構造が破壊される可能性がある。このように内部に機械強度差をもつシリカ粒子は、トナー粒子に外添されて現像剤として使用した際に、キャリアとの衝突や現像ロール等の部材との摩擦により破壊され易くなり、トナー粒子との付着力を維持することが困難となり、トナー粒子から遊離し易くなる。シリカ粒子がトナー粒子から遊離すると、遊離したシリカ粒子やトナー粒子によって感光体・帯電ロール・現像ロールの汚染(例えば、高温高湿環境下におけるシリカ粒子又はその破片による感光体フィルミング、高温高湿環境下における感光体上のトナー融着)やクリーニングブレードの欠けなどが発生し、その部材汚染に起因した、像ボケ、カブリ、ハーフトーン抜けなどの画像欠陥を引き起こす可能性がある。
このような点において、従来技術には、改善の余地が残されている。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できるシリカ粒子を含むトナー外添剤およびその製造方法、並びに、該トナー外添剤を含むトナーを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤であって、
前記粒子は、
表面に凸部を有し、
動的光散乱法により求めた平均粒子径が100nm以上200nm以下、
真密度が1.8g/cm以上2.0g/cm以下、
平均アスペクト比が1.00以上1.25以下であり、
前記粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円を設定し、前記最大内接円より外部に存在する領域を凸部とした場合において、
前記凸部は、
前記領域に対する前記最大内接円の円弧部分の両端を最短距離で結ぶ弦の長さである最大長さの平均が25nm以上45nm以下、前記最大長さの変動係数が10%以上35%以下、前記平均粒子径に対する前記最大長さの平均の比が0.12以上0.30以下であり、
且つ、
前記弦から前記最大内接円の半径方向外方へ離れた前記領域の最遠部分までの長さである最大高さの平均が5nm以上15nm以下、前記最大高さの変動係数が20%以上45%以下、前記平均粒子径に対する前記最大高さの平均の比が0.05以上0.15以下であるトナー外添剤。
(構成2)
前記粒子は、室温から500℃まで昇温したときの加熱減量が3%以上10%以下である構成1に記載のトナー外添剤。
(構成3)
前記粒子は、疎水化度が30%以上80以下である構成1又は2に記載のトナー外添剤。
(構成4)
前記粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス吸着時間が3分以上10分未満である構成1から3のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
(構成5)
前記粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス脱着時間に対するガス吸着時間の比が0.5以上1.0以下である構成4に記載のトナー外添剤。
(構成6)
前記凸部は、前記最大長さの平均に対する前記最大高さの平均の比が0.2以上0.4以下である構成1から5のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
(構成7)
前記粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積が15.0m/g以上90m/g以下である構成1から6のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
(構成8)
前記粒子は、前記ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、その後、前記混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持することによって前記ケイ素化合物を縮重合反応させて得られ、
前記第一の液温T1と前記第一の反応時間t1との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、前記第二の液温T2と前記第二の反応時間t2との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、
前記第一の液温T1と前記第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たす構成1から7のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
(a)5℃≦T1≦15℃
(b)30℃≦T2≦50℃
(c)15℃≦T2−T1≦45℃
(構成9)
前記ケイ素含有成分と前記触媒含有成分とを混合するときの前記ケイ素含有成分の温度TA(℃)と前記触媒含有成分の温度TB(℃)とが次の関係式(a)〜(c)を満たす構成8に記載のトナー外添剤。
(a)0℃≦TA≦10℃
(b)20℃≦TB≦50℃
(c)10℃≦TB−TA≦50℃
(構成10)
前記第一の液温T1から前記第二の液温T2に移行する際の昇温速度が0.5℃/分以上10℃/分以下である構成8又は9に記載のトナー外添剤。
(構成11)
構成1から10のいずれか1項に記載のトナー外添剤を含むトナー。
(構成12)
式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤の製造方法であって、
前記ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を調製する混合溶液調製工程と、
前記混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、その後、前記混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持することによって前記ケイ素化合物を縮重合反応させて前記混合溶液中に分散した、表面に凸部を有する粒子を形成する粒子形成工程と、
を含み、
前記第一の液温T1と前記第一の反応時間t1との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、前記第二の液温T2と前記第二の反応時間t2との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、
前記第一の液温T1と前記第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たすトナー外添剤の製造方法。
(a)5℃≦T1≦15℃
(b)30℃≦T2≦50℃
(c)15℃≦T2−T1≦45℃
(構成13)
前記ケイ素含有成分と前記触媒含有成分とを混合するときの前記ケイ素含有成分の温度TA(℃)と前記触媒含有成分の温度TB(℃)とが次の関係式(a)〜(c)を満たす構成12に記載のトナー外添剤の製造方法。
(a)0℃≦TA≦10℃
(b)20℃≦TB≦50℃
(c)10℃≦TB−TA≦50℃
(構成14)
前記第一の液温T1から前記第二の液温T2に移行する際の昇温速度が0.5℃/分以上10℃/分以下である構成12又は13に記載のトナー外添剤の製造方法。
本発明に係るトナー外添剤によれば、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含む。この粒子は、表面に凸部を有し、動的光散乱法により求めた平均粒子径が100nm以上200nm以下、真密度が1.8g/cm以上2.0g/cm以下、平均アスペクト比が1.00以上1.25以下であって、粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円を設定し、最大内接円より外部に存在する領域を凸部とした場合において、領域に対する最大内接円の円弧部分の両端を最短距離で結ぶ弦の長さである最大長さの平均が25nm以上45nm以下、最大長さの変動係数が10%以上35%以下、平均粒子径に対する最大長さの平均の比が0.12以上0.30以下であり、且つ、弦から最大内接円の半径方向外方へ離れた領域の最遠部分までの長さである最大高さの平均が5nm以上15nm以下、最大高さの変動係数が20%以上45%以下、平均粒子径に対する最大高さの平均の比が0.05以上0.15以下である。
上述した平均粒子径及び真密度の物性、並びに、上述した凸部の寸法を併せもつ粒子を含むトナー外添剤は、以下のような効果を有する。
(i)表面に凸部を有する外添剤粒子は、母材粒子とその表面上の凸部を上述の式で示されるケイ素化合物によって一体的に形成したものであるので、母材粒子と凸部との界面での機械強度差がない。従って、粒子は、従来よりも粒子の機械強度に優れているので、圧縮力やせん断力などの物理的な外力を受けても、破壊されにくい。
(ii)表面に凸部を有する外添剤粒子は、母材粒子と実質的に一体に形成され、機械強度に優れた凸部によってトナー粒子との接触点を確保できるので、トナー粒子への付着性を高くすることができる。
(iii)表面に凸部を有する外添剤粒子は、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れているので、トナー粒子から遊離しにくい。このため、遊離した外添剤粒子やトナー粒子による感光体・帯電ロール・現像ロールの汚染(例えば、高温高湿環境下における外添剤粒子又は破片による感光体フィルミング、高温高湿環境下における感光体上のトナー融着)やクリーニングブレードの欠けなどの発生を抑制できる。従って、その部材汚染に起因した、像ボケ、カブリ、ハーフトーン抜けなどの画像欠陥も抑制できる。
(iv)表面に凸部を有する外添剤粒子は、トナー粒子に外添されたときに、スペーサ効果を発揮できる程度の適切な範囲の平均粒子径を有するので、トナーの劣化を抑制できる。
(v)表面に凸部を有する外添剤粒子は、従来よりも低い真密度を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力を軽減し、トナー粒子へのダメージを緩和してトナーの劣化を抑制できる。
従って、本発明に係るトナー外添剤によれば、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できる。
本発明に係るトナー外添剤の製造方法によれば、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤を製造する際に、ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を調製する混合溶液調製工程と、混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、その後、混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持することによってケイ素化合物を縮重合反応させて混合溶液中に分散した、表面に凸部を有する粒子を形成する粒子形成工程と、を含み、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、第一の液温T1と第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たすようにする。
(a)5℃≦T1≦15℃
(b)30℃≦T2≦50℃
(c)15℃≦T2−T1≦45℃
このような粒子形成工程における混合溶液の液温、液温と反応時間との積を特定範囲とする反応条件によって、上述した平均粒子径及び真密度の物性、並びに、上述した凸部の寸法を併せもつ粒子を製造することができる。
従って、本発明に係るトナー外添剤の製造方法によれば、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できるトナー外添剤を製造することができる。
本発明に係るトナーによれば、上述したトナー外添剤を含む。従って、このトナーは、従来よりも高い劣化耐性をもつので、使用開始直後から終了時までの長期間にわたってトナー外添剤とトナー粒子との付着性を維持でき、転写効率を高い状態で維持できると共に、トナー外添剤がトナー粒子から遊離しにくいので、感光体上へのトナー融着現象等の部材汚染に起因する画像欠陥を抑制、安定した画像品質を提供することができる。
透過型電子顕微鏡による透過画像(TEM画像)から得られた二値化処理画像に基づくシリカ粒子の投影画像を示す模式図である。 図1に示したシリカ粒子の表面構造の一部を拡大して示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
A.トナー外添剤
この実施の形態によるトナー外添剤は、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含み、
この粒子は、
表面に凸部を有し、
動的光散乱法により求めた平均粒子径が100nm以上200nm以下、
真密度が1.8g/cm以上2.0g/cm以下、
平均アスペクト比が1.00以上1.25以下であり、
上述の粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円を設定し、最大内接円より外部に存在する領域を凸部とした場合において、領域に対する最大内接円の円弧部分の両端を最短距離で結ぶ弦の長さである最大長さの平均が25nm以上45nm以下、最大長さの変動係数が10%以上35%以下、平均粒子径に対する最大長さの平均の比が0.12以上0.30以下であり、且つ、弦から最大内接円の半径方向外方へ離れた領域の最遠部分までの長さである最大高さの平均が5nm以上15nm以下、最大高さの変動係数が20%以上45%以下、平均粒子径に対する最大高さの平均の比が0.05以上0.15以下であるという物性及び凸部寸法を有する。
粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、テトラエトキシシラン、などのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようなケイ素化合物を単独又は適宜組み合わせて行うケイ素化合物の縮重合反応によって、上述の式で示されるケイ素化合物のORで示されるアルコキシ基の一部がOH基となり、OH基となった部分同士が縮合してHOが脱離し、シラノール基を経てSi−O−Si結合を生じる一連の過程によって得られるシリカポリマーからなる粒子(以下、シリカ粒子という)が形成される。このように形成されたシリカ粒子は、そのシリカポリマーの強度に依存した、外添剤として必要な強度をもつ。また、上述の縮重合反応後においては、シリカ粒子表面の一部にOH基が残った状態となっている。このシリカ粒子表面に残ったOH基は、後述する疎水基と結合することで、シリカ粒子表面が疎水化され得る。
上述のシリカ粒子が併せもつ物性のうち、動的光散乱法により求めた平均粒子径の数値範囲は、シリカ粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着性をシリカ粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度の、シリカ粒子の適切な粒子径を示している。
この平均粒子径の数値範囲は、上述のように、100nm以上200nm以下であり、好ましくは、110nm以上150nm以下である(以下、物性(1)という)。
ここで、シリカ粒子の平均粒子径が100nmを下回ると、粒子径が小さいものも混在することになるため、小さな粒子径のものはスペーサ効果を十分に発揮できない点で好ましくない。また、シリカ粒子の平均粒子径が200nmを上回ると、極めて大きな粒子径のものも混在することになるため、表面上に凸部を有していても、トナー粒子への付着力が低下する点で好ましくない。
物性(1)の平均粒子径は、動的光散乱法によって測定されるシリカ粒子の粒度分布から求めることができる。動的光散乱法は、レーザー光をシリカ粒子に照射し、得られた散乱光の散乱強度がシリカ粒子の粒子径によって変わることを利用して、散乱強度から換算して粒子径を求める方法である。
動的光散乱法によってシリカ粒子の粒度分布を測定するために使用される測定装置としては、例えば、動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして粒度分布を測定し、平均粒子径を求めることができる。
所定量のシリカ粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ粒子を分散させた分散液を得る。この分散液をガラス製の測定セルに入れ、測定装置に入れる。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度を測定する。この散乱強度から換算した粒度分布を、縦軸に散乱強度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表したときに、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子径(メジアン径:D50)を平均粒子径とする。
尚、上述の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していくことで求められる、累積90%となる粒子径(D90)と累積10%となる粒子径(D10)との比(D90/D10)は動的光散乱粒度分布のばらつきを示しており、粒度分布がシャープとなる2.30以下であることが望ましい。D90/D10が2.30を上回ると、粒度分布がブロードとなり、物性(1)の平均粒子径の粒度分布のばらつきが大きくなる点で好ましくない。もっとも、シリカ粒子をゾルゲル法によって製造する場合、物性(1)の平均粒子径の粒度分布がシャープとなる傾向がある。
尚、平均粒子径は、上述の動的光散乱法に限らず、これ以外のレーザー回折・散乱法、画像イメージング法などの周知の方法によっても求めることができる。ここで、本発明のシリカ粒子以外の特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法以外の測定方法から求められる粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法によって粒度分布が測定され、その測定結果から求められる平均粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ粒子は物性(1)をもつものとして認識することができる。
上述のシリカ粒子が併せもつ物性のうち、真密度の数値範囲は、シリカ粒子の体積とその質量の各測定値から算出する比重の範囲である。この数値範囲は、シリカ粒子が従来よりも低く軽量であることから、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力を従来よりも軽減し、トナー粒子へのダメージを緩和してトナーの劣化を抑制できる程度の、シリカ粒子の適切な比重を示している。
この真密度の数値範囲は、上述のように、1.8g/cm以上2.0g/cm以下であり、好ましくは、1.85g/cm以上1.95g/cm以下である(以下、物性(2)という)。
ここで、真密度が1.8g/cmを下回ると、シリカ粒子が軽量であるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力を軽減できるが、シリカ粒子自体の強度が低下する点で好ましくない。また、真密度が2.0g/cmを上回ると、シリカ粒子が重すぎるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力を軽減できない点で好ましくない。
物性(2)の真密度は、シリカ粒子の体積とその質量を測定できる測定装置によって算出することができる。
シリカ粒子の体積とその質量を測定し、その測定値から真密度を算出するために使用される比重測定装置としては、例えば、乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を挙げることができる。この密度計を用いた場合、所定量のシリカ粒子を密度計内に入れて真密度を自動測定することができる。
尚、真密度は、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ粒子以外の特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(2)の真密度の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法によって測定され、その測定結果が物性(2)の真密度の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ粒子は物性(2)をもつものとして認識することができる。
上述のシリカ粒子が併せもつ物性のうち、平均アスペクト比は一次粒子の平均アスペクト比であり、その数値範囲はシリカ粒子の適正な形状を示している。
この平均アスペクトの数値範囲は、上述のように、1.00以上1.25以下である(以下、物性(3)という)。
平均アスペクト比が1.25を上回ると、粒子形状が楕円状のものが多くなり、印字中や外添時に受ける衝撃によりトナー表面に埋没しやすい形状となる。
物性(3)の平均アスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM)によるシリカ粒子の透過画像の画像解析によって算出することができる。
シリカ粒子の透過画像の輪郭に対してシリカ粒子に外接する長方形を設定し、この外接長方形の長辺長÷短辺長をアスペクト比とする。そして、視野を変えながらシリカ粒子100個程度について、それぞれのアスペクト比を求め、その平均値を平均アスペクト比として求めることができる。
物性(1)〜(3)を併せもつシリカ粒子は、その表面上に、上述のような寸法の凸部を有する。
凸部の最大長さの平均(以下、平均最大長さという場合がある)の数値範囲は、シリカ粒子の表面上の凸部の長さ寸法の適切な範囲を示している。
この平均最大長さの数値範囲は、上述のように、25nm以上45nm以下であり、好ましくは、20nm以上40nm以下である(以下、凸部寸法(1)という)。
ここで、平均最大長さが25nmを下回ると、物性(1)の平均粒子径を有する母材粒子表面の凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。平均最大長さが45nmを上回ると、物性(1)の平均粒子径を有する母材粒子の大きさに対して相対的に長くなりすぎるため、母材粒子に対する凸部の適切な大きさを超えており、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
凸部の最大長さの変動係数の数値範囲は、最大長さのばらつきの実用上適切な範囲を示している。この変動係数は凸部の最大長さの測定値分布の標準偏差÷平均最大長さ×100より算出される。
この平均最大長さの変動係数の数値範囲は、上述のように、10%以上35%以下であり、好ましくは、15%以上30%以下である(以下、凸部寸法(2)という)。
ここで、平均最大長さの変動係数が10%を下回る場合は、凸部の長さが揃いすぎているため、現実的ではない。平均最大長さの変動係数が35%を上回ると、凸部の長さのばらつきが大きすぎるため、凸部寸法(1)の平均最大長さの数値範囲外に属する平均最大長さのものを含む可能性が高く、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない場合がある点で好ましくない。
物性(1)の平均粒子径に対する平均最大長さの比(平均最大長さ/平均粒子径)の数値範囲は、シリカ粒子の大きさに対する凸部の平均最大長さの適切な範囲を示している。
この平均最大長さ/平均粒子径の数値範囲は、上述のように、0.12以上0.30以下であり、好ましくは、0.20以上0.30以下である(以下、凸部寸法(3)という)。
ここで、平均最大長さ/平均粒子径が0.12を下回ると、凸部の平均最大長さが物性(1)の平均粒子径に対して相対的に小さすぎるため、凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。平均最大長さ/平均粒子径が0.30を上回ると、凸部の平均最大長さが物性(1)の平均粒子径に対して相対的に大きすぎるため、母材粒子に対する凸部の適切な大きさを超えており、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
凸部の最大高さの平均(以下、平均最大高さという場合がある)の数値範囲は、シリカ粒子の表面上の凸部の高さ寸法の適切な範囲を示している。
この平均最大高さの数値範囲は、上述のように、5nm以上15nm以下であり、好ましくは、7nm以上12nm以下である(以下、凸部寸法(4)という)。
ここで、平均最大高さが5nmを下回ると、物性(1)の平均粒子径を有する母材粒子表面の凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。平均最大高さが15nmを上回ると、物性(1)の平均粒子径を有する母材粒子の大きさに対して相対的に高くなりすぎるため、母材粒子に対する凸部の適切な大きさを超えており、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
凸部の最大高さの変動係数の数値範囲は、最大高さのばらつきの実用上適切な範囲を示している。この変動係数は凸部の最大高さの測定値分布の標準偏差÷平均最大高さ×100より算出される。
この平均最大高さの変動係数の数値範囲は、上述のように、20%以上45%以下であり、好ましくは、20%以上30%以下である(以下、凸部寸法(5)という)。
ここで、平均最大高さの変動係数が20%を下回る場合は、凸部の高さが揃いすぎているため、現実的ではない。平均最大高さの変動係数が45%を上回ると、凸部の高さのばらつきが大きすぎるため、凸部寸法(4)の平均最大高さの数値範囲外に属する平均最大高さのものを含む可能性が高く、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない場合がある点で好ましくない。
物性(1)の平均粒子径に対する平均最大高さの比(平均最大高さ/平均粒子径)の数値範囲は、シリカ粒子の大きさに対する凸部の平均最大高さの適切な範囲を示している。
この平均最大高さ/平均粒子径の数値範囲は、上述のように、0.05以上0.15以下であり、好ましくは、0.07以上0.13以下である(以下、凸部寸法(6)という)。
ここで、平均最大高さ/平均粒子径が0.05を下回ると、凸部の平均最大高さが物性(1)の平均粒子径に対して相対的に小さすぎるため、凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。平均最大高さ/平均粒子径が0.15を上回ると、凸部の平均最大高さが物性(1)の平均粒子径に対して相対的に大きすぎるため、母材粒子に対する凸部の適切な大きさを超えており、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもつ凸部は、凸部寸法(1)の凸部の最大長さの平均に対する凸部寸法(4)の凸部の最大高さの平均の比(平均最大高さ/平均最大長さ)が0.2以上0.4以下であるという凸部寸法をさらに併せもつことが望ましい。
この平均最大長さに対する平均最大高さの比の数値範囲は、シリカ粒子の表面上の凸部の長さ寸法と凸部の高さ寸法の適切な関係を示している。
この平均最大長さに対する平均最大高さの比は、上述のように、0.2以上0.4以下であり、好ましくは、0.25以上0.35以下である(以下、凸部寸法(7)という)。
ここで、平均最大高さ/平均最大長さが0.2を下回ると、凸部の平均最大長さによって決まる凸部の大きさに対して凸部の平均最大高さが低すぎるため、凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。平均最大高さ/平均最大長さが0.4を上回ると、凸部の平均最大長さによって決まる凸部の大きさに対して凸部の平均最大高さが高すぎるため、母材粒子に対する凸部の適切な高さを超えており、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
上述した凸部寸法(1)〜(7)に関係する凸部の長さ及び高さは、凸部が形成されるシリカ粒子の母材粒子がナノメートル単位の球形粒子であることから、正確に測定することは困難であり、実際の寸法と実測値との間には必ず誤差が生じる。誤差が生じるのであれば、その誤差のばらつきを小さくする必要がある。
そこで、シリカ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察して得られるTEM画像を二値化処理し、得られた粒子1個分の二値化処理画像を利用する。図1は、TEM画像から得られた二値化処理画像に基づくシリカ粒子の投影画像を示す模式図であり、図2は、図1に示したシリカ粒子の表面構造の一部を拡大して示す模式図である。
図1に示すように、シリカ粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円C1を設定し、最大内接円C1の外部に存在する領域(以下、外部領域P1という)を凸部と設定する。
このように最大内接円C1及び外部領域P1を設定した上で、凸部の長さ及び高さを以下のようにして求める。
<凸部の最大長さ>
図2に示すように、凸部の最大長さは、本来的には、外部領域P1に対する最大内接円C1の円弧部分Aの両端間の曲線部分の道程であるが、上述の理由により、正確な測定が困難である。
そこで、凸部の最大長さの近似値として、外部領域P1に対する最大内接円C1の円弧部分Aの両端を最短距離で結ぶ線の長さ、すなわち、最大内接円C1の弦C2の長さを用いる。弦C2の長さは、円弧部分Aの長さより比較的正確に測定することが可能であり、物性(1)の平均粒子径がナノレベルで極めて小さいために、円弧部分Aの長さとの差も極めて小さく、また、その差が物性(1)の平均粒子径の数値範囲内で、大きくなればなるほど減少する傾向にある点から、凸部の最大長さの近似値とすることができる。
このように、凸部の最大長さの近似値である弦C2の長さは、図1において凸部最大長として示される。凸部最大長は、上述したTEM画像を二値化処理する画像処理プログラムにより、測定対象のシリカ粒子ごとに求められる。合計100個程度のシリカ粒子を測定対象とした場合、凸部の最大長の平均(平均最大長)は、その100個程度の母集団における平均値として求めることができる。
<凸部の最大高さ>
図2に示すように、凸部の最大高さは、本来的には、外部領域P1の円弧部分Aと、この円弧部分Aから最大内接円の半径方向外方へ離れた外部領域P1の最遠部分P2との距離H1であるが、上述の理由により、正確な測定が困難である。
そこで、凸部の最大高さの近似値として、上述した弦C2と最遠部分P2との距離H2を用いる。距離H2は、弦C2の長さが上述のように比較的正確に測定することが可能であり、物性(1)の平均粒子径がナノレベルで極めて小さいために、距離H1との差も極めて小さく、また、その差が物性(1)の平均粒子径の数値範囲内で、大きくなればなるほど減少する傾向にある点から、凸部の高さの近似値とすることができる。
このように、凸部の最大高さの近似値である距離H2は、図1において凸部最大高さとして示される。凸部最大高さは、上述したTEM画像を二値化処理する画像処理プログラムにより、測定対象のシリカ粒子ごとに求められる。合計100個程度のシリカ粒子を測定対象とした場合、凸部の最大高さの平均(平均最大高さ)は、その100個程度の母集団における平均値として求めることができる。
上述した物性(1)〜(3)及び上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもち、又は、これらの物性及び凸部寸法に凸部寸法(7)をさらに併せもつシリカ粒子は、室温から500℃まで昇温したときの加熱減量が3重量%以上10重量%以下であるという物性(以下、物性(4)という)をさらに併せもつことが望ましい。
物性(4)の加熱減量は、室温でのシリカ粒子の乾燥重量に対する500℃でのシリカ粒子の乾燥重量の減少割合であり、その減少分は、主に、シリカ粒子内部に保持される水分量と、ケイ素化合物の縮重合反応に与らなかった反応残渣量に相当すると考えられる。シリカ粒子内部に保持される水分量は帯電性に影響を与え、その帯電性はトナー粒子への付着性に影響を与える。従って、この数値範囲は、トナー粒子への付着性を適切なレベルにしてトナーの劣化を抑制でき、また、特に低温低湿下で、シリカ粒子に対して過剰に電荷が与えられた場合でも水分量が適度に保持されることで、過剰帯電(チャージアップ)を抑制して画像劣化を抑制でき、さらに、部材汚染の原因となる感光体表面上へのトナー融着現象や現像部材上への下層形成の発生などを抑制して画像劣化を抑制できる程度のシリカ粒子の適切な帯電量を示している。また、反応残渣量は、ケイ素化合物の縮重合反応の進行状況を示している。
物性(4)のシリカ粒子の加熱減量は、上述のように、3重量%以上10重量%以下であり、好ましくは、3重量%以上8重量%以下である。
ここで、加熱減量が3重量%を下回ると、特に低温低湿下で、シリカ粒子に対して過剰に電荷が与えられた場合に過剰帯電(チャージアップ)を抑制できないことから画像劣化を十分に抑制できない点で好ましくない。さらに、感光体表面上へのトナー融着現象や現像部材上への下層形成の発生などを抑制できず画像劣化を十分に抑制できない点で好ましくない。また、加熱減量が10重量%を上回ると、シリカ粒子の帯電量が低くなりすぎるため、シリカ粒子がトナー粒子から離脱し易くなり、トナーの劣化を十分に抑制できず、さらに、加熱減量が10重量%を上回るレベルでは、ケイ素化合物の縮重合反応に与らなかった反応残渣量が多いと考えられるため、その反応によって形成されるシリカ粒子自体の強度が低下する可能性がある点でも好ましくない。
物性(4)の加熱減量は、示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によって測定することができる。
示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によってシリカ粒子の加熱減量を測定するために使用される示差熱・熱重量同時測定装置としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA6200を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして加熱減量を測定することができる。
アルゴン雰囲気中で、所定量のシリカ粒子をアルミ容器に入れ、室温から500℃まで、10℃/分の昇温速度で加熱する。加熱中のアルミ容器重量は装置内部にある精秤天秤により秤量されている。加熱前の質量に対する加熱後の質量の減量割合(加熱減量)を算出する。
尚、加熱減量は、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ粒子以外の特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(4)の加熱減量の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によって測定され、その測定結果が物性(4)の加熱減量の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ粒子は物性(4)をもつものとして認識することができる。
上述した物性(1)〜(3)及び上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもち、又は、これらの物性及び凸部寸法に上述した物性(4)及び凸部寸法(7)の少なくとも一方をさらに併せもつシリカ粒子は、その表面に疎水基を有し、その表面の疎水化度が30体積%以上80体積%以下であるという物性(以下、物性(5)という)を併せもつことが望ましい。
シリカ粒子表面に導入される疎水基は、シリカ粒子の表面に疎水性を付与し、シリカ粒子の吸湿性を低減することができるので、外添したトナーの帯電量を適切なものとすることができる。
疎水基としては、シリカ粒子の表面に疎水性を付与するのに適したものであれば特に限定されないが、例えば、トリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルモノアルキルシリル基、ジアルキルモノフェニルシリル基等を挙げることができる。疎水基としてトリアルキルシリル基を用いる場合、他の疎水基と比べて、シリカ粒子の吸湿性の低減効果が高く、外添するトナーの適切な帯電量を維持することができる点で有利である。
また、物性(5)の疎水化度の数値範囲は、上述のように、30体積%以上80体積%以下であり、好ましくは、50体積%以上80体積%以下である。この範囲の疎水化度を有するシリカ粒子は、このシリカ粒子を外添したトナーの帯電量を適切なものとすることができる。疎水化度が30体積%を下回ると、シリカ粒子の吸湿性が高くなり、トナーの適切な帯電性を妨げる点で好ましくない。疎水化度が80体積%を上回る場合は、現実的でない。
疎水化度の測定方法としては、以下のような条件で行うメタノール滴定法を挙げることができる。
ビーカーに、所定量のイオン交換水及び疎水性シリカ微粉体を入れ、ビーカー内の疎水性シリカ微粉体の分散液を例えばマグネティックスターラーによって攪拌しながら、ビュレットからメタノールを滴下する。ビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ、微粉体は徐々に沈降していき、微粉体の全量が沈んだ終点におけるメタノール−水混合溶液中のメタノールの体積分率を疎水性シリカ微粉体の疎水化度(体積%)とする。
上述した物性(1)〜(3)及び上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもち、又は、これらの物性及び凸部寸法に上述した物性(4)、(5)及び凸部寸法(7)の少なくとも一つをさらに併せもつシリカ粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積が15.0m/g以上90m/g以下であるという物性(以下、物性(6)という)を併せもつことが望ましい。
物性(6)の比表面積の数値範囲は、シリカ粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着性をシリカ粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度の、シリカ粒子の適切な表面構造及び粒子径の大きさを示している。
物性(6)の比表面積は、上述のように、15.0m/g以上90m/g以下であり、好ましくは、20m/g以上50m/g以下である。
ここで、比表面積が15.0m/gを下回るとシリカ粒子の粒子径が大きくなりすぎるため、帯電量が極端に減少し、トナー粒子への付着力が低下しすぎる点で好ましくない。また、比表面積が90m/gを上回るとシリカ粒子の粒子径が小さくなりすぎるため、スペーサ効果を十分に発揮できず、画像劣化を抑制する効果が低減する点で好ましくない。
上述した物性(1)〜(3)及び上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもち、又は、これらの物性及び凸部寸法に上述した物性(4)〜(6)及び凸部寸法(7)の少なくとも一つをさらに併せもつシリカ粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス吸着時間が3分以上10分未満であるという物性(以下、物性(7)という)を併せもつことが望ましい。この物性(7)のガス吸着時間は、測定に供されるシリカ粒子の質量を2gとし、且つ、吸着用ガスの流量を25ml/分とした場合の測定値である。シリカ粒子の質量を2gより多くすると、そのシリカ粒子全量の総表面積が増えることになるため、ガス吸着時間は長くなり、逆に、2gより少なくすると、ガス吸着時間は短くなる。また、吸着用ガスの流量を25ml/分より多くすると、2gのシリカ粒子表面に吸着した吸着用ガスの吸着を促進することになるため、ガス吸着時間は短くなる。逆に、25ml/分より少なくすると、ガス吸着時間は長くなる。
ここで、シリカ粒子の粒子径が小さいと、粒子径が大きい場合と比べて、同一質量でのシリカ粒子全量の総表面積が増えるので、ガス吸着時間は長くなる。シリカ粒子の表面が微細な凹凸部分を有する場合であっても、表面が微細な凹凸部分を有しない場合と比べて、同一質量でのシリカ粒子全量の総表面積が増えるので、ガス吸着時間は長くなる。その逆の場合は、ガス吸着時間は短くなる。また、シリカ粒子の粒子径が小さいと、トナー粒子への付着性が高くなるが、高すぎる場合には、画像劣化を抑制する効果が低下する。シリカ粒子の粒子径が大きいと、帯電量が下がり、トナー粒子への付着性が低下する。シリカ粒子の表面構造が微細になると、その強度が低下する。従って、物性(7)のガス吸着時間の数値範囲は、シリカ粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制や画像劣化の抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着性や強度をシリカ粒子に付与できる程度の、シリカ粒子の適切な表面構造及び粒子径を示し、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度の、シリカ粒子の適切な粒子径の大きさを示している。
物性(7)のシリカ粒子のガス吸着時間は、上述のように、3分以上10分未満であり、好ましくは、3分以上6分以下である。
ここで、ガス吸着時間が3分を下回ると、シリカ粒子の粒子径が大きすぎるため、トナー粒子への付着性が低下する点で好ましくない。また、ガス吸着時間が10分を上回ると、シリカ粒子の粒子径が小さすぎるため、トナー粒子への付着性が高くなりすぎて画像劣化を十分に抑制できず、また、シリカ粒子の強度が低下する点で好ましくない。
上述した物性(1)〜(3)及び上述した凸部寸法(1)〜(6)を併せもち、又は、これらの物性及び凸部寸法に上述した物性(4)〜(7)及び凸部寸法(7)の少なくとも一つをさらに併せもつシリカ粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス脱着時間に対するガス吸着時間の比(ガス吸着時間/ガス脱着時間)が0.5以上1.0以下であるという物性(以下、物性(8)という)を併せもつことが望ましい。
物性(8)のガス吸着時間/ガス脱着時間の数値範囲は、シリカ粒子の表面構造によってガスの吸着や脱着の仕方が異なるため、シリカ粒子の表面構造の状態を示している。表面に凹凸のないシリカ粒子では、吸着時間や脱着時間が短い。一般に、ガス吸着時間がガス脱着時間より長くなるが、本発明に係るシリカ粒子では、ガス脱着時間がガス吸着時間より長くなる傾向がある。
物性(8)のガス吸着時間/ガス脱着時間は、上述のように、0.5以上1.0以下であり、好ましくは、0.7以上0.9以下である。
ここで、ガス吸着時間/ガス脱着時間が0.5を下回ると、シリカ粒子の表面上の凸部の大きさが上述した凸部寸法(1)〜(6)で規定する適切なレベルより小さいため、凸部として機能せず、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない可能性がある点で好ましくない。ガス吸着時間/ガス脱着時間が1.0を上回ると、シリカ粒子の表面上の凸部の大きさが上述した凸部寸法(1)〜(6)で規定する適切なレベルより大きいため、やはり、トナー粒子への付着性を高める効果を得られない点で好ましくない。
物性(6)の比表面積、物性(7)のガス吸着時間、物性(8)におけるガス脱着時間を測定するために用いられるガス吸着法は、例えば、測定セル内にシリカ粒子を入れ、吸着用ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、吸着用ガスをシリカ粒子表面に接触するように流し、例えば液体窒素温度まで冷却することで、吸着用ガスを粒子表面に吸着させ、その後、例えば室温まで戻すことで、粒子表面に吸着した吸着用ガスを脱着させる方法である。吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも低いときはガス吸着過程にあり、ガス吸着時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より低下し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。また、吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも高いときはガス脱着過程にあり、ガス脱着時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より上昇し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。
この方法では、冷却時の吸着用ガスがシリカ粒子表面に単分子層状に吸着されることを利用して、シリカ粒子表面の構造や大きさを反映すると考えられるガス吸着時間やガス脱着時間を求めることができる。このため、ガス吸着時間やガス脱着時間は、粒子の比表面積に比例する。例えば、ガス吸着時間からシリカ粒子の比表面積を求めるためには、縦軸に窒素ガスの相対圧力をとり、横軸に時間をとるときに、相対圧力が初期値より減少するガス吸着過程を示す略U字状の曲線と相対圧力が初期値より増加するガス脱着過程を示す略逆U字状の曲線を含むプロファイルを得る。得られたプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ粒子の比表面積を算出することができる。
尚、上述の吸着用ガスとしては、上述のシリカ粒子とガス分子との間のファンデルワールス力によって、例えば液体窒素温度で、シリカ粒子表面に単分子層状にガス分子が吸着できるガスであれば、いかなるガスを用いてもよい。具体的には、吸着用ガスとしては、窒素ガス、クリプトンガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどを挙げることができ、これらのガスから1種又はそれ以上選択して使用することができる。窒素ガスを用いたガス吸着法は一般にBET法と呼ばれる。
吸着用ガスとして窒素ガスを用いるBET法によってシリカ粒子の比表面積、ガス吸着時間、ガス脱着時間を測定するために使用される測定装置としては、例えば、BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして比表面積、ガス吸着時間、ガス脱着時間を測定することができる。
測定セルとしては、例えば、ガス導入口とガス排出口を有する略U字状のものを用い、測定セルに流すガスとしては、例えば、窒素ガス(吸着用ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガスを用いることができる。混合ガスの流量は、25ml/分が好ましい。
尚、物性(6)の比表面積、物性(7)のガス吸着時間、物性(8)におけるガス脱着時間は、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ粒子以外の特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(6)〜(8)の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法によって測定され、その測定結果が物性(6)〜(8)の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ粒子は物性(6)〜(8)をもつものとして認識することができる。
上述したように、シリカ粒子は、以下の物性及び凸部寸法を併せもつ。
物性(1):平均粒子径:100nm以上200nm以下
物性(2):真密度:1.8g/cm以上2.0g/cm以下
物性(3):平均アスペクト比:1.00以上1.25以下
凸部寸法(1):平均最大長さ:25nm以上45nm以下
凸部寸法(2):平均最大長さの変動係数:10%以上35%以下
凸部寸法(3):平均最大長さ/平均粒子径:0.12以上0.30以下
凸部寸法(4):平均最大高さ:5nm以上15nm以下
凸部寸法(5):平均最大高さの変動係数:20%以上45%以下
凸部寸法(6):平均最大高さ/平均粒子径:0.05以上0.15以下
また、シリカ粒子は、上述の物性(1)〜(3)、凸部寸法(1)〜(6)に加えて、さらに、以下の物性及び凸部寸法を併せもつことが望ましい。
物性(4):加熱減量:3%以上10%以下
物性(5):疎水化度:30%以上80%以下
物性(6):比表面積:15.0m/g以上90m/g以下
物性(7):ガス吸着時間:3分以上10分未満
物性(8):ガス吸着時間/ガス脱着時間:0.5以上1.0以下
凸部寸法(7):平均最大高さ/平均最大長さ:0.2以上0.4以下
この実施の形態によるトナー外添剤は、上述の物性及び凸部寸法を併せもつシリカ粒子と、このシリカ粒子とは別の材料で形成された粒子を含めることができる。別の材料で形成された粒子としては、上述の物性及び凸部寸法を併せもつ上述のシリカ粒子の特性を損なわない限り、いかなる材料で形成された粒子であっても使用可能であり、例えば、上述の物性及び凸部寸法を併せもつシリカ粒子よりも小粒径のシリカ粒子を挙げることができる。小粒径のシリカ粒子としては、トナーに流動性を付与するために外添される、表面に疎水基を有する疎水性シリカ粒子を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
B.トナー外添剤の製造方法
このトナー外添剤の製造方法は、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られるシリカ粒子を含むトナー外添剤の製造方法であって、混合溶液調製工程と、粒子形成工程を含む。尚、この製造方法は、上述のAで説明した物性を併せもつ、表面に凸部を有するシリカ粒子を製造することができる製造方法の一例である。
以下、工程ごとに説明する。
1.混合溶液調製工程
この混合溶液調製工程では、上述のケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を調製する。混合溶液では、ケイ素含有成分と触媒含有成分の混合時からケイ素化合物の縮重合反応が実質的に開始され、粒子形成工程でのシリカ粒子の成長プロセスの方向付けを担うことになる点で、混合溶液調製工程は、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応の初期段階として位置付けられる。
先ず、混合溶液調製工程に先立ち、その事前準備として、以下のようにして、ケイ素含有成分と触媒含有成分を個別に調製する。
<(i)ケイ素含有成分の調製>
ケイ素含有成分は、上述の式で示されるケイ素化合物と、有機溶媒を含む溶液である。
シリカ粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有成分中のケイ素化合物の含有率は、ケイ素化合物の種類、使用可能なレベルのシリカ粒子を得るために必要な混合溶液全量に対するケイ素化合物の配合量などを考慮して適宜決められる。具体的には、ケイ素化合物の含有率は、1重量%以上30重量%以下であり、好ましくは、3重量%以上25重量%以下である。
ここで、ケイ素化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、混合溶液中に含有するケイ素化合物の絶対量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ粒子の原材料が不足し、使用に耐え得るシリカ粒子を製造することが困難となる点で好ましくない。また、上限値の30重量%を上回ると、ケイ素化合物の含有量が多すぎるため、縮重合反応に与らないケイ素化合物の反応残渣が混合溶液中に残存する可能性がある点で好ましくない。
ケイ素含有成分中の有機溶媒の含有率は、使用されるケイ素化合物の種類、使用されるケイ素化合物との相溶性、使用可能なレベルのシリカ粒子を得るために必要な混合溶液全量に対するケイ素化合物の配合量などを考慮して適宜決められる。具体的には、有機溶媒の含有率は、70重量%以上99重量%以下であり、好ましくは、75重量%以上97重量%以下である。
ここで、有機溶媒の含有率が下限値の70重量%を下回ると、ケイ素化合物の含有量が多すぎるため、ケイ素化合物の反応残渣が混合溶液中に残存する可能性がある点で好ましくない。また、上限値の99重量%を上回ると、混合溶液中のケイ素化合物の絶対量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ粒子の原材料が不足し、使用に耐え得るシリカ粒子を製造することが困難となる点で好ましくない。
有機溶媒としては、使用されるケイ素化合物の種類、触媒含有成分との相溶性などを考慮して適宜決められる。具体的には、有機溶媒としては、プロトン型溶媒、非プロトン型溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。プロトン型溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。非プロトン型溶媒としては、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
また、ケイ素含有成分にプロトン型溶媒と非プロトン型溶媒を共存させる場合、両溶媒のバランスがケイ素化合物の縮重合反応を進行させる上で重要である。非プロトン型溶媒とプロトン型溶媒の含有割合(重量比)は、30:70〜50:50が好ましい。両溶媒の含有割合がその下限値や上限値を外れると、両溶媒のバランスが悪く、ケイ素化合物の縮重合反応の進行に支障を与える可能性がある点で好ましくない。
<(ii)触媒含有成分の調製>
触媒含有成分は、上述の塩基性化合物と、上述のケイ素含有成分との相溶性を示す溶媒を含む溶液である。
塩基性化合物としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、溶媒としては、水、メタノール、エタノールなどの水性溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
触媒含有成分中の塩基性化合物の含有率は、使用されるケイ素化合物との相溶性、使用可能なレベルのシリカ粒子を得るために必要な混合溶液全量に対するケイ素化合物の配合量などを考慮して決められる。具体的には、塩基性化合物の含有率は、1重量%以上40重量%以下であり、好ましくは、3重量%以上30重量%以下である。
ここで、塩基性化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、塩基性化合物の含有量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応を触媒するのに必要な塩基性化合物の含有量が不足する点で好ましくない。上限値の40重量%を上回ると、塩基性化合物の含有量が多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
上述のケイ素含有成分と触媒含有成分は、それぞれ個別に調製する。各成分の調製量は、使用可能なレベルのシリカ粒子を得るために必要な両成分の配合割合に応じて決められる。
混合溶液中でのケイ素含有成分と触媒含有成分の配合割合(重量比)は、10:90〜90:10が好ましい。混合溶液全量に対するケイ素含有成分の配合量が少ないと、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ粒子の原材料が不足する点で好ましくない。逆に、混合溶液全量に対する触媒含有成分の配合量が少ないと、ケイ素化合物の縮重合反応の進行に必要な触媒が不足する点で好ましくない。
<ケイ素含有成分と触媒含有成分との混合>
次に、上述のように個別に調製されたケイ素含有成分と触媒含有成分を混合して混合溶液を調製する。
この混合溶液調製工程では、個別に調製した、ケイ素含有成分の温度TAと触媒含有成分の温度TBが次の関係式(a)〜(c)を満たすように、両成分の液温を個別に調整する。
(a)0℃≦TA≦10℃
(b)20℃≦TB≦50℃
(c)10℃≦TB−TA≦50℃
このような関係式(a)〜(c)を満たすことによって、ケイ素含有成分の温度TAは、触媒含有成分の温度TBより低温に設定される。温度TAと温度TBとの関係は、混合溶液調製工程から粒子形成工程へ円滑に移行させ、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応を進行させるために重要である。混合溶液調製工程から粒子形成工程への円滑な移行のためには、ケイ素含有成分と触媒含有成分との混合によって得られる混合溶液の液温を、その後の粒子形成工程での混合溶液の第一の液温T1(℃)となるように設定することが望ましい。尚、このような関係式(a)〜(c)は、使用可能なレベルのシリカ粒子を形成するのに必要な混合割合で、所定量のケイ素含有成分及び触媒含有成分を混合することを前提としている。
ここで、関係式(a)に示すように、ケイ素含有成分の温度TAは、0℃以上10℃以下である。温度TAが0℃を下回ると、ケイ素含有成分中のケイ素化合物の温度が粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応に適した温度よりも低くなりすぎるため、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなり、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されにくくなる点で好ましくない。温度TAが10℃を上回ると、ケイ素含有成分中のケイ素化合物の温度が粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応に適した温度よりも高くなりすぎるため、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難になり、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されにくくなる点で好ましくない。
関係式(b)に示すように、触媒含有成分の温度TBは、20℃以上50℃以下である。温度TBが20℃を下回ると、触媒含有成分中の塩基性化合物の温度が粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応に適した温度よりも低くなりすぎるため、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなり、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されにくくなる点で好ましくない。温度TBが50℃を上回ると、触媒含有成分中の塩基性化合物の温度が粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応に適した温度よりも高くなりすぎるため、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難になり、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されにくくなる点で好ましくない。
関係式(c)に示すように、温度TAと温度TBとの差は、10℃以上50℃以下である。温度TAと温度TBとの差が10℃を下回ると、温度差が小さすぎるため、混合溶液調製工程から粒子形成工程への円滑な移行が図れず、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなり、結果として、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されない可能性がある点で好ましくない。温度TAと温度TBとの差が50℃を上回ると、温度差が大きすぎるため、混合溶液調製工程から粒子形成工程への円滑な移行が図れず、混合溶液調製工程においてケイ素化合物の縮重合反応が実質的に始まってしまうことから、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難になり、結果として、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されない可能性がある点で好ましくない。
関係式(a)〜(c)を満たすように個別に温度調整した直後に、ケイ素含有成分と触媒含有成分を混合する際には、ケイ素含有成分に対して触媒含有成分を一気に添加して両成分を混合する。
このように、両成分に温度差をつけ、低温のケイ素含有成分に対して高温の触媒含有成分を一気に添加して混合することにより、ケイ素含有成分中のケイ素化合物と触媒含有成分中の塩基性化合物を一瞬のうちに接触させ、その混合直後から進行し始めるケイ素化合物の縮重合反応の初期段階で、その後に更に進行していくシリカ粒子の成長プロセスを方向付けし、得られるシリカ粒子の素性を決定付けることができると考えられる。
このようなケイ素含有成分と触媒含有成分の混合により得られる混合溶液の液温は、上述したように、混合時のケイ素含有成分の温度TAと混合時の触媒含有成分の温度TBとの間の温度であって、粒子形成工程での混合溶液の第一の液温T1(℃)となることが望ましい。この場合、混合後の混合溶液の液温が第一の液温T1となるようにするため、混合溶液調製工程でのケイ素含有成分量及び触媒含有成分量を加味して、その混合時の温度TA、温度TBを調整する。混合後は、ケイ素含有成分の温度TAが第一の液温T1まで上昇し、触媒含有成分の温度TBが第一の液温T1まで低下する。
混合溶液調製工程における混合溶液の調製時の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上250rpm以下である。
ここで、撹拌速度が下限値の50rpmを下回ると、遅すぎるため、ケイ素含有成分中のケイ素化合物と触媒含有成分中の塩基性化合物との接触機会が少なく、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応に影響を与える可能性がある点で好ましくない。また、撹拌速度が上限値の300rpmを上回ると、速すぎるため、成長中のシリカ粒子同士の接触機会が多くなり、シリカ粒子を十分に成長させないまま、縮重合反応が進行する可能性がある点で好ましくない。撹拌速度は、混合溶液調製工程での両成分の混合前、混合時、混合後を通じて一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ粒子の成長プロセスを阻害しない程度に変化させてもよい。
2.粒子形成工程
この粒子形成工程では、上述の混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し(以下、第一反応ステップという)、その後、上述の混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持する(以下、第二反応ステップという)ことによって上述のケイ素化合物を縮重合反応させて上述の混合溶液中に分散した上述のシリカ粒子を形成する。
この粒子形成工程におけるケイ素化合物の縮重合反応は、第一反応ステップと、その後の第二反応ステップを経て進行する。
以下、粒子形成工程をステップごとに説明する。
<b.第一反応ステップ>
この第一反応ステップは、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応の前半段階であり、この第一反応ステップでは、後半の第二反応ステップで十分な熱量をかけて表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子が形成されるようにするために、第二反応ステップよりもあまり熱量をかけないようにしてケイ素化合物の縮重合反応を進行させ、所望の粒子径を有するシリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子を成長させる。
第一反応ステップは、撹拌状態の混合溶液を第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を5℃時間以上30℃時間以下とする反応条件で行う。尚、積Q1は、第一反応ステップでの、撹拌状態の混合溶液に付与される熱量を示すパラメータである。
ここで、積Q1が5℃時間を下回ると、第一反応ステップにおいて混合溶液に付与される熱量としては少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応を十分に進行させることができず、シリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子の粒子径が所望の粒子径よりも小さくなる可能性がある点で好ましくない。また、積Q1が30℃時間を上回ると、第一反応ステップにおいて混合溶液に付与される熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎることから、シリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子の粒子径が所望の粒子径よりも大きくなる可能性がある点で好ましくない。
第一の液温T1は、次の関係式(a)を満たす。
(a)5℃≦T1≦15℃
第一反応ステップでは、混合溶液調製工程によって調製された混合溶液の液温を第一の液温T1まで一旦、下げるか、又は、混合溶液の液温が第一の液温T1と等しくなるため、第一の液温T1はその混合溶液の液温以下の温度に設定される。具体的には、第一の液温T1は、上述のように、5℃以上15℃以下が好ましい。
ここで、第一の液温T1が5℃を下回ると、第一反応ステップでの反応温度としては低すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなる点で好ましくない。第一の液温T1が15℃を上回ると、第一反応ステップでの反応温度としては高すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難となる点で好ましくない。
また、第一の液温T1は、上述のように、混合溶液調製工程での混合時のケイ素含有成分の温度TAと同様に、比較的低温の範囲内に設定される。この場合、ケイ素化合物の縮重合反応の前半段階までの混合溶液調製工程及び第一反応ステップを通じて、ケイ素含有成分の温度を比較的低温の範囲内で調整することで、混合溶液中でのシリカ粒子の成長プロセスにおいて、最終的に得られるシリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子の形状及び大きさを調整することができる。
第一の反応時間t1は、ケイ素含有成分と触媒含有成分を一気に混合して混合溶液を得た後の時間であり、第二反応ステップへの移行時間を含まない。第一の反応時間t1は、反応後半の第二反応ステップよりもあまり熱量をかけないようにするため、第二の反応時間t2より短く設定されることが望ましい。具体的には、第一の反応時間t1は、0.3時間以上6時間以下であり、好ましくは、1時間以上2時間以下である。
ここで、第一の反応時間t1が下限値の0.3時間を下回ると、第一反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなる点で好ましくない。また、第一の反応時間t1が上限値の6時間を上回ると、第一反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
第一反応ステップにおける混合溶液の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上260rpm以下である。撹拌速度は、第一反応ステップを通じて一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ粒子の成長プロセスにおいて、所望の粒子径を有するシリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子の形状及び大きさの調整過程を阻害しない程度に変化させてもよい。
第一反応ステップの終了後から次の第二反応ステップまでの間は、混合溶液の第一の液温T1を第二の液温T2まで変える移行ステップである。移行ステップでは、後述するように、第一の液温T1をそれより高温の第二の液温T2までゆっくり上げていく。
移行ステップの昇温速度は、0.5℃/分以上10℃/分以下であり、好ましくは、3℃/分以上5℃/分以下である。
ここで、昇温速度が下限値の0.5℃/分を下回ると、第一反応ステップから第二反応ステップへの移行時間が長すぎるため、第二反応ステップへ早く移行できない点で好ましくない。また、昇温速度が上限値の10℃/分を上回ると、昇温による温度変化が大きすぎるため、その温度変化がケイ素化合物の縮重合反応に対するストレスとなり、その縮重合反応を十分に進行させることができない点で好ましくない。
<c.第二反応ステップ>
この第二反応ステップは、第一反応ステップ以降でのケイ素化合物の縮重合反応の後半段階であり、この第二反応ステップでは、第一反応ステップよりも多くの熱量をかけて、第一反応ステップではケイ素化合物の縮重合反応が十分に進んでいなかった反応部位をしっかり反応させることによって、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子の分散液を得る。
第二反応ステップは、第一反応ステップ後、撹拌状態の混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持し、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積Q2を200℃時間以上500℃時間以下とする反応条件で行う。尚、積Q2は、第二反応ステップでの、撹拌状態の混合溶液に付与される熱量を示すパラメータである。
ここで、積Q2が200℃時間を下回ると、第一反応ステップの反応条件を満たしたとしても、第二反応ステップでの混合溶液に付与される熱量としては少なすぎるため、第一反応ステップ後のケイ素化合物の縮重合反応を十分に進行させることができない点で好ましくない。また、積Q2が500℃時間を上回ると、第一反応ステップの反応条件を満たしたとしても、第二反応ステップでの混合溶液に付与される熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
第二の液温T2は、上述のように、次の関係式(b)を満たす。
(b)30℃≦T2≦50℃
第二反応ステップでは、第一反応ステップ後のケイ素化合物の縮重合反応の後半でしっかりと熱量をかけるために、第一の液温T1より高く設定される。具体的には、第二の液温T2は、上述のように、30℃以上50℃以下が好ましい。
ここで、第二の液温T2が30℃を下回ると、第二反応ステップにおける反応温度としては低すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなる点で好ましくない。また、第二の液温T2が50℃を上回ると、第二反応ステップにおける反応温度としては高すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難となる点で好ましくない。
また、第二の液温T2は、上述のように、混合溶液調製工程での混合時の触媒含有成分の温度TBと同様に、比較的高温の範囲内に設定される。この場合、混合溶液調製工程、第一反応ステップ及び第二反応ステップを通じて、ケイ素含有成分の温度を比較的高温の範囲内で調整することで、第一反応ステップでのシリカ粒子の成長プロセスにおいて得られた母材粒子の表面上に形成される凸部を所望の形状及び大きさに調整することができる。
第二の反応時間t2は、上述のように、第二反応ステップでのケイ素化合物の縮重合反応の後半でしっかりと熱量をかけるために、第一の反応時間t1より長く設定されることが望ましい。具体的には、第二の反応時間t2は、4時間以上17時間以下であり、好ましくは、8時間以上14時間以下である。
ここで、第二の反応時間t2が下限値の4時間を下回ると、第二反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が十分に進行しなくなる点で好ましくない。また、第二の反応時間t2が上限値の17時間を上回ると、第二反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
積Q2は、第二反応ステップでの熱量を第一反応ステップより多くするために、上述のように、第二の液温T2を第一の液温より高く設定し、さらに、第二の反応時間t2を第一の反応時間t1より長い時間に設定することによって、積Q1よりも大きく設定される。
第二反応ステップにおける混合溶液の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上250rpm以下である。撹拌速度は、第二反応ステップを通じて一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ粒子の成長プロセスにおいて、母材粒子の表面上への所望の凸部の形成過程を阻害しない程度に変化させてもよい。
第一の液温T1と第二の液温T2の関係では、上述の関係式(a)及び(b)を満たし、さらに、次の関係式(c)を満たす。
(c)15℃≦T2−T1≦45℃
この関係式(c)に示すように、第二の液温T2と第一の液温T1との差は、15℃以上45℃以下である。この温度差は、第一反応ステップでのシリカ粒子の成長プロセスにより形成された球形の母材粒子の表面上に、第二反応ステップでのシリカ粒子の成長プロセスにより、所望の凸部を形成する上で、重要なパラメータである。
ここで、第二の液温T2と第一の液温T1との差が15℃を下回ると、球形の母材粒子の表面上への凸部の形成過程が進行しにくくなることで、形成される凸部が所望の凸部よりも小さくなる可能性がある点で好ましくない。第二の液温T2と第一の液温T1との差が45℃を上回ると、球形の母材粒子の表面上への凸部の形成過程が進行しすぎることで、形成される凸部が所望の凸部よりも大きくなる可能性がある点で好ましくない。
上述した粒子形成工程において、シリカ粒子の原材料であるケイ素化合物を含むケイ素含有成分の温度は、混合時の温度TAから、それより高い触媒含有成分の温度TBとの混合を行う混合ステップで上昇し、その後、第一反応ステップで第一の液温T1まで一旦、下げるか、又は、混合ステップでの上昇により第一の液温T1と等しくしてから、移行ステップでゆっくり上昇し、第二反応ステップで第二の液温T2まで更に上昇するという変遷を辿る。このようにケイ素含有成分の温度が変遷する反応系の多段階の温度制御によって、粒子形成工程でのケイ素化合物の縮重合反応は、混合溶液調製工程においてシリカ粒子の成長プロセスを方向付けし、その後、第一反応ステップにおいて混合溶液に熱量をかけていくことでシリカ粒子の成長プロセスを進行させ、その後、第二反応ステップにおいて混合溶液にしっかりと熱量をかけて、ケイ素化合物の縮重合反応が進んでいない反応部位をしっかり反応させてシリカ粒子の成長プロセスを更に進行させることで、表面上に所望の凸部を有するシリカ粒子の分散液を得るというプロファイルで進行する。
尚、上述した粒子形成工程によって上述のAで説明した物性をもつシリカ粒子を得るためには、上述した(i)ケイ素含有成分の調製で説明したケイ素含有成分中のケイ素化合物の含有率、及び、(ii)触媒含有成分の調製で説明した触媒含有成分中の塩基性化合物の含有率で説明した混合溶液中のケイ素含有成分と触媒含有成分の配合割合など、使用可能なレベルのシリカ粒子を得るための基本的な製造条件を満たすことが前提となる。
3.粒子回収工程
この粒子回収工程は、上述の粒子形成工程で得られたシリカ粒子の分散液からシリカ粒子を回収する工程として行うことができる。
この工程では、シリカ粒子の分散液からシリカ粒子のみを分離して回収する。回収方法としては、分散液中のシリカ粒子の表面やその表面上に有する凸部の形状を変形させず、且つ、シリカ粒子に損傷を与えない方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、エバポレーターを用いた加熱濃縮、遠心沈降機による固液分離、凍結乾燥を挙げることができる。
粒子回収工程によって回収されたシリカ粒子は、上述のAで説明した物性及び凸部寸法を併せもつことができる。
4.粒子疎水化工程
この粒子疎水化工程は、シリカ粒子表面の一部に残るOH基と疎水化剤を反応させて、上述のシリカ粒子表面に疎水基を導入することにより、上述のシリカ粒子の表面を疎水化する工程である。尚、この粒子疎水化工程は、疎水化されるシリカ粒子をトナー粒子表面に外添して製造されるトナーの用途などに応じて任意に行われる。
この粒子疎水化工程で疎水化されるシリカ粒子としては、上述の粒子回収工程で回収されたシリカ粒子、又は、上述の粒子形成工程で形成されたシリカ粒子の分散液中に分散するゾル状態のシリカ粒子のいずれでもよい。前者の場合は、粒子形成工程、粒子回収工程、粒子疎水化工程の順で、シリカ粒子を製造する。後者の場合は、粒子形成工程、粒子疎水化工程、粒子回収工程の順で、シリカ粒子を製造する。
シリカ粒子の表面に導入される疎水基としては、シリカ粒子の表面を疎水化するのに適したものであれば特に限定されないが、例えば、トリアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルモノアルキルシリル基、ジアルキルモノフェニルシリル基等を挙げることができる。
ここで、疎水基としてトリアルキルシリル基を導入する場合における粒子疎水化工程の一例を説明する。
この一例の粒子疎水化工程では、式:R SiNHSiR (但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラザン化合物、及び、式:R SiX(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である)で示されるシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を上述のシリカ粒子の表面に接触させてシリカ粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入することにより、シリカ粒子の表面を疎水化する。
上述の少なくとも1種の化合物は、ケイ素化合物の縮重合反応後にシリカ粒子の表面上に残るOH基をトリアルキルシリル化する疎水化剤として作用する。疎水化剤と上述のシリカ粒子の表面との接触の例としては、上述の粒子形成工程で形成されたシリカ粒子の分散液と疎水化剤を含む溶液との混合、上述の粒子回収工程で回収されたシリカ粒子を含む溶液と疎水化剤を含む溶液との混合、上述の粒子回収工程で回収されたシリカ粒子表面への疎水化剤を含む溶液の添加を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
尚、シリカ粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する粒子疎水化工程における反応温度は、20℃以上90℃以下であり、好ましくは、30℃以上85℃以下である。このような反応温度の範囲でシリカ粒子の疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
また、シリカ粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する粒子疎水化工程を行う際に使用する反応容器の内部圧力(以下、反応容器内圧力という)は、常圧でよいが、常圧又はそれ以上の高い圧力である、例えば760mmHg以上850mmHg以下であってもよい。このような反応容器内圧力でシリカ粒子の疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
シリカ粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する粒子疎水化工程において、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ヘキサエチルジシラザンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシランなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。尚、シラン化合物を示す上述の式中のXで示される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このような疎水化剤として機能する、シラザン化合物又はシラン化合物の溶媒としては、水などの水性溶媒を挙げることができる。
上述したトナー外添剤の製造方法によって得られるシリカ粒子は、上述のAで説明したシリカ粒子の物性及び凸部寸法を併せもつことができる。
C.トナー
このトナーは、上述のAで説明したトナー外添剤をトナー母粒子表面に外添することによって得ることができる。
トナーを製造するには、先ず、トナー母粒子を製造する。トナー母粒子は、樹脂粒子であり、周知の方法で製造することが可能である。例えば、先ず、製造原料として用いる樹脂を製造する。その後、樹脂と、着色剤と、必要に応じて含められる荷電制御剤及び離型剤の少なくとも一方を混合して混合物を得る。得られた混合物を溶融混練し、混練物を得る。混練物を粗砕し、その粗砕物を粉砕・分級を行い、特定の平均粒子径をもつトナー母粒子を得る。
得られたトナー母粒子に対し、トナー外添剤と、必要に応じて含められる疎水性シリカを添加し、ブレンドして、トナー粒子を得ることができる。
ここで、トナー母粒子の製造原料に用いられる樹脂としては、1種類又はそれ以上の種類の樹脂を挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、複数の樹脂材料を用いる場合は、例えば、組成の異なる2種類以上のポリエステル樹脂を混合して用いることができる。
着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン用の顔料、黒色用のカーボンブラックなどの周知の顔料を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
荷電制御剤(charge control agent:CCA)は、トナーの極性、帯電性を制御する添加剤である。正帯電用の荷電制御剤としては、アジン系化合物、4級アンモニウム塩などの周知の化合物を挙げることができ、負帯電の荷電制御剤としては、アゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物などの周知の化合物を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
離型剤としては、周知のワックスなどの天然油、シリコーンオイルなどの合成油を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
また、疎水性シリカは、得られるトナーが投入される画像形成装置の種類に応じて、トナー粒子の流動性を調整するために適宜添加されるものであり、小粒径(例えば、20nm程度)のシリカ系粒子である。
この実施の形態によるトナー外添剤によれば、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含む。この粒子は、表面に凸部を有し、動的光散乱法により求めた平均粒子径が100nm以上200nm以下、真密度が1.8g/cm以上2.0g/cm以下、平均アスペクト比が1.00以上1.25以下であって、粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円を設定し、最大内接円より外部に存在する領域を凸部とした場合において、領域に対する最大内接円の円弧部分の両端を最短距離で結ぶ弦の長さである最大長さの平均が25nm以上45nm以下、最大長さの変動係数が10%以上35%以下、平均粒子径に対する最大長さの平均の比が0.12以上0.30以下であり、且つ、弦から最大内接円の半径方向外方へ離れた領域の最遠部分までの長さである最大高さの平均が5nm以上15nm以下、最大高さの変動係数が20%以上45%以下、平均粒子径に対する最大高さの平均の比が0.05以上0.15以下である。
上述した平均粒子径及び真密度の物性、並びに、上述した凸部寸法を併せもつ粒子を含むトナー外添剤は、以下のような効果を有する。
(i)表面に凸部を有する粒子は、母材粒子とその表面上の凸部を上述の式で示されるケイ素化合物によって一体的に形成したものであるので、母材粒子と凸部との界面での機械強度差がない。従って、シリカ粒子は、従来のシリカ粒子よりも機械強度に優れているので、圧縮力やせん断力などの物理的な外力を受けても、破壊されにくい。
(ii)表面に凸部を有するシリカ粒子は、母材粒子と実質的に一体に形成され、機械強度に優れた凸部によってトナー粒子との接触点を確保できるので、トナー粒子への付着性を高くすることができる。
(iii)表面に凸部を有するシリカ粒子は、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れているので、トナー粒子から遊離しにくい。このため、遊離したシリカ粒子やトナー粒子による感光体・帯電ロール・現像ロールの汚染(例えば、高温高湿環境下におけるシリカ粒子又は破片による感光体フィルミング、高温高湿環境下における感光体上のトナー融着)やクリーニングブレードの欠けなどの発生を抑制できる。従って、その部材汚染に起因した、像ボケ、カブリ、ハーフトーン抜けなどの画像欠陥も抑制できる。
(iv)表面に凸部を有するシリカ粒子は、トナー粒子に外添されたときに、スペーサ効果を発揮できる程度の適切な範囲の平均粒子径を有するので、トナーの劣化を抑制できる。
(v)表面に凸部を有するシリカ粒子は、従来よりも低い真密度を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力を軽減し、トナー粒子へのダメージを緩和してトナーの劣化を抑制できる。
(vi)表面に凸部を有するシリカ粒子は、特定範囲の加熱減量を有するので、部材汚染の原因となる現像部材上への下層形成の発生などを抑制して画像劣化を抑制できる程度の適切な帯電量を有することができる。
(vii)表面に凸部を有するシリカ粒子は、特定範囲の疎水化度を有するので、シリカ粒子の吸湿性を低減することができ、外添したトナーの帯電量を適切なものとすることができる。
従って、この実施の形態によるトナー外添剤によれば、トナー外添剤は、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できる。
この実施の形態によるトナー外添剤の製造方法によれば、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤を製造する際に、ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を調製する混合溶液調製工程と、混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間(時間)保持し、その後、混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間(時間)保持することによってケイ素化合物を縮重合反応させて混合溶液中に分散した、表面に凸部を有する粒子を形成する粒子形成工程と、を含み、第一の液温T1と第一の反応時間との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、第二の液温T2と第二の反応時間との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、第一の液温T1と第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たすようにする。
(a)5℃≦T1≦15℃
(b)30℃≦T2≦50℃
(c)15℃≦T2−T1≦45℃
このような粒子形成工程における混合溶液の液温、液温と反応時間との積Q1、Q2を特定範囲とする反応条件によって、上述した平均粒子径及び真密度の物性、並びに、上述した凸部寸法を併せもつシリカ粒子を製造することができる。
従って、この実施の形態によるトナー外添剤の製造方法によれば、トナー粒子への付着性が高く、機械強度に優れ、部材汚染を抑制できるトナー外添剤を製造することができる。
この実施の形態によるトナーによれば、上述のトナー外添剤を用いる。従って、このトナーは、従来よりも高い劣化耐性をもつので、使用開始直後から終了時までの長期間にわたって付着性を維持でき、転写効率を高い状態で維持できると共に、外添剤が遊離しにくいので、感光体上へのトナー融着現象等の部材汚染に起因する画像欠陥を抑制し、安定した画像品質を提供することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、各実施例は本発明を限定するものではない。尚、以下の説明においては、別途、特定しない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
以下の実施例1では、外添剤1の製造、この製造した外添剤1の物性の確認、外添剤1を用いるトナー1の製造、この製造したトナー1の特性の評価の順で説明する。実施例2〜9及び比較例1〜5についても、実施例1と同様の順で説明する。
実施例及び比較例の説明に先立って、実施例及び比較例における種々の測定方法、耐久試験、評価テストの内容を説明する。
<平均粒子径の測定>
動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて、以下の測定条件で行う動的光散乱法により、粒子の粒度分布を求め、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子径(メジアン径:D50)を平均粒子径(nm)とした。
所定量のシリカ粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ粒子を分散させた分散液を得た。その後、分散液をガラス製の測定セルに入れ、測定装置に入れた。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度を測定した。この散乱強度から換算した粒子径分布を、縦軸に散乱強度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表したときに、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子径(メジアン径:D50)を平均粒子径とした。
また、上述の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積90%となる粒子径(D90)と累積10%となる粒子径(D10)を求め、その比(D90/D10)を求めた。
<真密度の測定>
乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を用い、この密度計内にシリカ粒子1gを入れて、その真密度を自動測定した。
<透過型電子顕微鏡(TEM)による観察に基づく凸部の寸法測定方法及び平均アスペクト比の求め方>
先ず、製造されたままで乾燥状態にあり、凝集した外添剤の粒子をエタノール中に分散させて分散液を調製し、その分散液を数滴、銅グリッド上に滴下した。その後、分散液を滴下した銅グリッドをホットプレート上に乗せ、150℃で乾燥させてエタノールを除去した。その後、銅グリッドを炭素蒸着装置に入れて外添剤の粒子に対して導通処理のための炭素蒸着処理を行った。
その後、透過型電子顕微鏡(JEM−1400、日本電子株式会社製)にて、外添剤の粒子の表面構造及び表面上の凸部の寸法のばらつきをみるため、顕微鏡の視野を変えながら、合計100個程度の粒子を観察し、画像解析を行った。具体的には、複数個の粒子が投影されたTEM画像を画像処理プログラムにより二値化処理することで、投影画像にコントラスをつけて、粒子の表面及び凸部として見える部分と、それ以外の部分とに分けた二値化処理画像を得た。この二値化処理画像に基づき、凸部の平均最大長さ、平均最大長さ/平均粒子径、平均最大長さの変動係数、平均最大高さ、平均最大高さ/平均粒子径、平均最大高さの変動係数、平均最大高さ/平均最大長さを求めた。
また、上述と同様の炭素蒸着処理を行った外添剤のシリカ粒子の形状をみるため、透過型電子顕微鏡(JEM−1400、日本電子株式会社製)にて、シリカ粒子を観察し、そのシリカ粒子が投影されたTEM画像に基づく二値化処理画像に対してシリカ粒子に外接する長方形を設定し、この外接長方形の長辺長÷短辺長をアスペクト比とした。そして、視野を変えながらシリカ粒子100個程度について、それぞれのアスペクト比を求め、その平均値を平均アスペクト比とした。
<加熱減量の測定>
示差熱・熱重量同時測定装置(TG/DTA6200(商品名)、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、以下のようにして示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)により、粒子を室温から500℃まで昇温させて加熱したときの加熱減量(重量%)を測定した。
大気雰囲気中で、所定量のシリカ粒子をアルミ容器に入れ、室温から500℃まで、3℃/分の昇温速度で加熱した。その後、アルミ容器ごと秤量してシリカ粒子の質量を測定し、加熱前の質量に対する加熱後の質量の減量割合(加熱減量)を算出した。
<ガス吸着時間及びガス脱着時間の測定、並びに、比表面積(実測BET値)の算出>
BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を用いて、以下のBET法により、トナー外添剤として作製したシリカ粒子についてのガス吸着時間(時間)及びガス脱着時間(時間)を測定し、比表面積(m/g)を求めた。
ガス導入口とガス排出口を有する略U字状の測定セルを用い、この測定セル内に2gのシリカ粒子を入れ、ガス導入口から、窒素ガス(吸着ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガス(混合ガス流量:25ml/分)を測定セル内に導入し、シリカ粒子に接触させるように流し、ガス排出口から排出させた。その後、窒素ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、測定セルを液体窒素温度まで冷却することで窒素ガスを粉末表面に吸着させ(ガス吸着過程)、その後、測定セルを室温に戻すことで窒素ガスを脱着させた(ガス脱着過程)。窒素ガスの相対圧力が初期値から低下し始め、その後、初期値に戻るまでの時間をガス吸着時間とし、ガス吸着過程終了直後の、窒素ガスの相対圧力が初期値から上昇し始め、その後、初期値に戻るまでの時間をガス脱着時間とした。ガス吸着時間及びガス脱着時間を示すプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ粒子の比表面積を算出した。
<メタノール疎水化度の測定>
ビーカーに、イオン交換水50ml、疎水性シリカ微粉体0.2gを入れ、ビーカー内の疎水性シリカ微粉体の分散液をマグネティックスターラーによって攪拌しながら、ビュレットからメタノールを滴下する。ビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ、微粉体は徐々に沈降していき、微粉体の全量が沈んだ終点におけるメタノール−水混合溶液中のメタノールの体積分率を疎水性シリカ微粉体の疎水化度(体積%)とした。
<耐久試験>
以下の方法によって、トナーを用いた耐久試験を行った。
画像形成装置として、一成分現像方式を採用した「サムスン電子社製カラーレーザープリンターCLP−610ND(プリント速度:21枚/分)」を用いた。
画像形成装置のブラック色の画像形成ユニットに、トナーを投入し、転写材として「富士ゼロックス社製フルカラー複写機用紙J(82g/cm、A4サイズ)」を用い、低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)、常温/常湿(N/N)環境(23℃/55%RH)及び高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)のそれぞれの印字環境下において、印字比率を5%に調整したテキスト画像を単色モードにより2枚印刷する度に1分休止する方式で1500枚分をプリントアウトとする条件での耐久試験を実施した。その後、後述する評価テスト(1.画像濃度、2.カブリ、3.ハーフトーン抜け、4.感光体フィルミング)を実施した。
<評価テスト>
以下に説明する評価テストのうち「画像濃度」及び「カブリ」の評価テストの評価は、上述した低温低湿、常温常湿及び高温高湿の3環境での耐久試験ごとに行った。また、「ハーフトーン抜け」及び「感光体フィルミング」の評価テストの評価は、当該3環境での耐久試験ごとの評価をまとめたものである。
尚、以下の評価テストは、各評価テストに対応する耐久試験と同様の環境で行った。
<1.画像濃度>
上述の耐久試験後に、評価対象のトナーを用いて、正方形のソリッドパッチ(一辺5mm)を四隅付近と中央部分に有する画像を1枚プリントアウトした。その後、出力した画像に照射光を当て、その反射光の反射率からパッチの反射濃度を「SpectroEye」(GretagMacbeth社製)で計測し、得られた計測値の平均値を、下記の判断基準に基づいて評価し、A〜Dのいずれに相当するかを判定した。ここで、トナーの帯電量が高いと、現像段階において感光体上から離れにくくなるため、紙上へ転写されるトナー量が減少する。このため、画像濃度が低い場合、トナーの帯電量が高いことになる。
A:反射濃度の計測値の平均値が1.20以上である(好適に使用可)。
B:反射濃度の計測値の平均値が1.05以上1.20未満である(使用可)。
C:反射濃度の計測値の平均値が0.90以上1.05未満である(使用不可)。
D:反射濃度の計測値の平均値が0.90未満である(使用不可)。
<2.カブリ>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、白地部分と印字部分の両方を含む画像を1枚出力した。この出力画像を「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した、画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを下記の判断基準に基づいて評価し、A〜Dのいずれに相当するかを判定した。カブリとは、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低い場合、現像段階において感光体上に付着しにくいため、プリンタ内を回り、紙上に飛散して、その白地部分にトナーが乗り、画像を劣化させる現象である。このため、カブリ濃度が高い場合、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低いことになる。
A:カブリ濃度が1.0%以下である(好適に使用可)。
B:カブリ濃度が1.0%以上、2.0%未満である(使用可)。
C:カブリ濃度が2.0%以上、3.0%未満である(使用不可)。
D:カブリ濃度が3.0%以上である(使用不可)。
<3.ハーフトーン抜け>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、画像濃度25%のハーフトーン画像を1枚出力した。この出力画像について、ハーフトーン抜けの有無及びその程度を目視で観察し、下記の判断基準に基づいて評価し、A〜Dのいずれに相当するかを判定した。ここで、ハーフトーン抜けは、トナー外添剤の吸湿性が高い場合に生じるトナーの帯電不良により、トナーによって画像形成すべき紙上の一部の画像濃度が極端に薄くなる現象であり、画像欠陥の有無の判断材料となる。このため、ハーフトーン抜けが発生した場合、トナーの帯電不良が生じていることになる。
A:3環境のいずれにおいても、ハーフトーン抜けが全く発生していない(好適に使用可)。
B:いずれか一つの環境でハーフトーン抜けが発生しているが、ハーフトーン抜けの程度がわずかであるので、実使用上の問題はない(使用可)。
C:いずれか一つの環境でハーフトーン抜けが発生しており、ハーフトーン抜けの程度が際立っているので、実使用上の問題がある(使用不可)。
D:3環境のすべてにおいてハーフトーン抜けが発生している(使用不可)。
<4.感光体フィルミング>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、ハーフトーン画像を1枚出力し、その出力画像と感光体表面の観察を行った。感光体表面の観察の際には、エアブローにて感光体表面のトナーを取り除いた。画像欠陥の有無と感光体表面上へのトナー外添剤融着(フィルミング)の発生を目視で観察し、下記の判断基準に基づいて評価し、A〜Dのいずれに相当するかを判定した。ここで、フィルミングは、トナーの帯電量が低いために、トナー粒子と外添剤との粒子間の付着力が低下した場合に物理的な力によって外れた外添剤が感光体表面上に付着し、熱によって融着して膜が形成される現象である。このため、フィルミングが発生した場合、トナーの帯電量が低いことになる。
A:3環境のいずれにおいても、フィルミングが全く発生していない(好適に使用可)。
B:いずれか一つの環境でフィルミングが発生しているが、フィルミングの程度がわずかであるので、実使用上の問題はない(使用可)。
C:いずれか一つの環境でフィルミングが発生しており、フィルミングの程度が際立っているので、実使用上の問題がある(使用不可)
D:3環境のすべてにおいてフィルミングが発生している(使用不可)。
上述した評価テストにおける判断基準では、「A」判定が好適に使用可能であるとの判断となり、「B」判定が十分に使用可能であるとの判断となる。「C」判定や「D」判定が1項目でもあれば、それだけで使用不可の判断となる。
実施例1.
<外添剤1の製造>
先ず、この実施例1に係るトナー外添剤(外添剤1)を製造した。
<1.混合溶液調製工程>
窒素雰囲気下、反応容器に、エタノール80部とアセトニトリル60部とテトラエトキシシラン40部を入れ、これら3成分を含むケイ素含有成分を150rpmで撹拌しながら、その温度TAを5℃に制御した。このケイ素含有成分の調整とは別に、蒸留水40部と10重量%アンモニア水5部の混合物を含む触媒含有成分をその温度TBが30℃になるまで加温した。その後、温度TBを維持したままの触媒含有成分の全量を、撹拌状態のケイ素含有成分中に一気に添加して混合溶液を得た。混合溶液の混合時の液温は10℃であった。
<2.粒子形成工程>
その後、混合溶液調製工程によって調製された混合溶液を150rpmで撹拌しながら、10℃(第一の液温T1)で2時間(第一の反応時間t1)保持する第一反応ステップを行った。
その後、第一の液温T1を5℃/分の昇温速度で40℃(第二の液温)になるまで昇温する昇温ステップを行った。
その後、40℃(第二の液温)で10時間(第二の反応時間t2)保持する第二反応ステップを行って、ケイ素含有成分中のテトラエトキシシランの縮重合反応を完了させ、混合溶液中に分散した状態で、シリカ粒子を形成した。
尚、第一反応ステップは、第一の液温T1(10℃)と第一の反応時間t1(2時間)との積Q1を20℃時間とする反応条件で行い、第二反応ステップは、第二の液温T2(40℃)と第二の反応時間t2(10時間)との積Q2を400℃時間とする反応条件で行った。反応時間の合計を12時間とした。
<3.粒子回収工程>
その後、粒子形成工程によって得られたシリカ粒子を分散した混合溶液に蒸留水を100部添加し、液量が半分になるまでエバポレーターを用いて加熱濃縮し、遠心沈降機により濃縮物を固液分離した。上澄み液をデカンテーションで除去した後、沈降物に蒸留水300部を加えて、同様に遠心沈降機により固液分離を行った。その後、このような蒸留水の添加、遠心沈降機による固液分離、デカンテーションを含む一連のステップをさらに2度繰り返した後、沈殿物を24時間凍結乾燥させることにより、白色粉末を得た。
<4.粒子疎水化工程>
その後、粒子回収工程によって回収された白色粉末10部を、水200部とヘキサメチルジシラザン(HMDS)5部の混合物に加え、常圧の反応容器内圧力下、30分間室温で150rpmで撹拌し、更に、60℃、150rpmで4時間撹拌した後、固液分離を行い、得られた沈降物をメタノールで洗浄し、その後、48時間乾燥させることにより、表面を疎水化したシリカ粒子の白色粉末を得た。
この外添剤1の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤1の物性等の確認>
得られた外添剤1の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤1は、動的光散乱平均粒子径(D50)110nm、粒度分布(D90/D10)2.00、真密度1.97g/cm、平均アスペクト比1.10、BET比表面積38.4m/g、加熱減量8重量%、疎水化度65体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分13秒、窒素ガス脱着時間4分36秒、吸着時間/脱着時間0.70の物性をもつことを確認した。
上述した透過型電子顕微鏡(TEM)による観察に基づく凸部の寸法測定方法に従って、外添剤1のTEM画像(倍率:1万倍)を二値化処理し、得られた二値化処理画像から外添剤1の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求めたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは32nmであり、その変動係数は17%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.29であった。凸部の平均最大高さは10nmであり、その変動係数は24%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.09であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.31であった。
これらの結果から、外添剤1は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
次に、上述のようにして得られた白色粉末(外添剤1)を外添する対象となるトナー母粒子を以下のようにして製造した。
<樹脂1の製造>
トナー母粒子の製造原料として用いる樹脂1を以下のようにして製造した。
ディーン・スターク・トラップ(Dean-Stark trap)を取り付けた反応容器に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)10800g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)4300g、テレフタル酸5040g及びn−ドデセニル無水コハク酸700gを入れ、窒素雰囲気下230℃で撹拌し、反応により生成する水が流出しなくなった時点を、上述のトラップ内に溜まる液量が増えなくなることで確認した上で無水トリメリット酸2112gを添加し、軟化点が148℃に達するまで反応させた。得られた樹脂をポリエステルAとする。反応後に測定したポリエステルAの軟化点は148℃であった。ガラス転移点は74℃、融解熱の最大ピーク温度は81℃、酸価は27mgKOH/g、水酸基価は29mgKOH/gであった。
<樹脂2の製造>
トナー母粒子の製造原料として用いる樹脂2を以下のようにして製造した。
反応溶液に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)12250g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを入れ、窒素雰囲気下230℃で撹拌し、軟化点が120℃に達するまで反応させた。得られた樹脂をポリエステルBとする。反応後に測定したポリエステルBの軟化点は119℃であった。ガラス転移点は64℃、融解熱の最大ピーク温度は69℃、酸価は3.4mgKOH/g、水酸基価23.2mgKOH/gであった。
<トナー母粒子1の製造>
樹脂1(ポリエステルA)及び樹脂2(ポリエステルB)を用いて、トナー母粒子1を以下のようにして製造した。
ポリエステルA 2880g、ポリエステルB 4320g、着色剤「ピグメントブルー15:3(顔料名)」(大日精化工業(株)製)300g、荷電制御剤「LR−147(商品名)」(日本カーリット(株)製)86.5g及びヒドロキシ酸エステル含有の離型剤「カルナウバワックス(商品名)」((株)加藤洋行製、融点:83℃)504gをヘンシェルミキサーに投入し、3000rpmで15分間撹拌混合して混合物を得た。得られた混合物を、オープンロール型連続混練機を用いて溶融混練し、混練物を得た。
使用したオープンロール型連続混練機は、ロール外径0.14m、有効ロール長0.8mのものであり、運転条件は、加熱ロール(前ロール)の回転速度は33m/分、冷却ロール(後ロール)の回転速度は11m/分、ロール間隙は0.1mmであった。また、ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、加熱ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を115℃、冷却ロールの原料投入側の温度を35℃、混練物排出側の温度を30℃に設定した。
混練物はロートプレックスにて粗砕し、さらにその粗砕物を衝突板式粉砕機(IDS−2型、日本ニューマチック工業株式会社製)、ディスパージョンセパレータを用いて粉砕・分級を行い、体積平均粒粒子径が7.8μmの未処理シアントナー(トナー母粒子1)を得た。尚、体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(マルチサイザー(登録商標)、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
<トナー1の製造>
得られたトナー粒子1 50部に対し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で疎水化処理した粒子径20nm程度の小粒径疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)を1.0部、外添剤1を0.4部添加し、サンプルミルにて10,000rpmで30秒間ブレンドして、シアントナー(トナー1)を得た。
<トナー1の評価>
得られたトナー1の特性について、上述した評価テストによって評価し、評価に基づく判定結果を以下の表3に示す。
表3に示すように、トナー1は、評価テストの全8項目で、いずれも「A」判定であった。この評価結果から、「A」判定が好適に使用可能であるとする判断基準に照らすと、トナー1は、劣化耐性等に優れた静電荷像現像用トナーとして使用可能であることを確認できた。この結果は、トナー1に外添した本発明に係る外添剤1が併せもつ上述の物性に依存する特性によるものであると考えられる。
実施例2.
<外添剤2の製造>
昇温工程における昇温速度を5℃/分から1℃/分に遅くした以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤2を製造した。
この外添剤2の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤2の物性等の確認>
得られた外添剤2の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤2は、動的光散乱平均粒子径(D50)103nm、粒度分布(D90/D10)1.99、真密度1.96g/cm、平均アスペクト比1.07、BET比表面積38.6m/g、加熱減量7重量%、疎水化度63体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分14秒、窒素ガス脱着時間4分19秒、吸着時間/脱着時間0.75の物性をもつことを確認した。
外添剤2のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤2の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは30nmであり、その変動係数は20%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.29であった。凸部の平均最大高さは10nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.10であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.33であった。
これらの結果から、外添剤2は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例3.
<外添剤3の製造>
昇温工程における昇温速度を5℃/分から10℃/分に速くした以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤3を製造した。
この外添剤3の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤3の物性等の確認>
得られた外添剤3の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤3は、動的光散乱平均粒子径(D50)106nm、粒度分布(D90/D10)2.10、真密度1.98g/cm、平均アスペクト比1.08、BET比表面積37.4m/g、加熱減量7重量%、疎水化度67体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分14秒、窒素ガス脱着時間4分26秒、吸着時間/脱着時間0.73の物性をもつことを確認した。
外添剤3のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤3の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは31nmであり、その変動係数は18%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.29であった。凸部の平均最大高さは11nmであり、その変動係数は24%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.10であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.35であった。
これらの結果から、外添剤3は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例4.
<外添剤4の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤4を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から2℃に下げた。
(ロ)混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から50℃に上げた。
(ハ)上述の(イ)及び(ロ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から48℃に大きくした。
(ニ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から11.6℃に上げることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から23.2℃時間に増やした。
(ホ)上述の(ニ)における第一の液温T1の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から28.4℃に小さくした。
この外添剤4の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤4の物性等の確認>
得られた外添剤4の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤4は、動的光散乱平均粒子径(D50)130nm、粒度分布(D90/D10)2.02、真密度1.94g/cm、平均アスペクト比1.15、BET比表面積30.7m/g、加熱減量10重量%、疎水化度58体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分03秒、窒素ガス脱着時間4分01秒、吸着時間/脱着時間0.76の物性をもつことを確認した。
外添剤4のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤4の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは33nmであり、その変動係数は20%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.25であった。凸部の平均最大高さは12nmであり、その変動係数は25%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.09であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.36であった。
これらの結果から、外添剤4は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例5.
<外添剤5の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤5を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から10℃に上げた。
(ロ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から20℃に下げた。
(ハ)上述の(イ)及び(ロ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から10℃に小さくした。
(ニ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から12℃に上げることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から24℃時間に増やした。
(ホ)上述の(ニ)における第一の液温T1の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から28℃に小さくした。
この外添剤5の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤5の物性等の確認>
得られた外添剤5の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤5は、動的光散乱平均粒子径(D50)109nm、粒度分布(D90/D10)2.05、真密度2.00g/cm、平均アスペクト比1.10、BET比表面積35.2m/g、加熱減量3重量%、疎水化度62体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分14秒、窒素ガス脱着時間4分09秒、吸着時間/脱着時間0.78の物性をもつことを確認した。
外添剤5のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤5の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは30nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.28であった。凸部の平均最大高さは10nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.09であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.33であった。
これらの結果から、外添剤5は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例6.
<外添剤6の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤6を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から2℃に下げた。
(ロ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から20℃に下げた。
(ハ)上述の(イ)及び(ロ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から18℃に小さくした。
(ニ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から5.6℃に下げることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から11.2℃時間に減らした。
(ホ)第二反応ステップにおける第二の液温T2を40℃から30℃に下げることで、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から300℃時間に減らした。
(ヘ)上述の(ニ)における第一の液温T1の変更及び(ホ)における第二の液温T2の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から24.4℃に小さくした。
この外添剤6の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤6の物性等の確認>
得られた外添剤6の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤6は、動的光散乱平均粒子径(D50)130nm、粒度分布(D90/D10)2.02、真密度1.94g/cm、平均アスペクト比1.16、BET比表面積28.8m/g、加熱減量9重量%、疎水化度65体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分06秒、窒素ガス脱着時間3分53秒、吸着時間/脱着時間0.80の物性をもつことを確認した。
外添剤6のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤6の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは29nmであり、その変動係数は21%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.22であった。凸部の平均最大高さは9nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.07であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.31であった。
これらの結果から、外添剤6は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例7.
<外添剤7の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤7を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から10℃に上げた。
(ロ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から35℃に上げた。
(ハ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から15℃に上げることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から30℃時間に増やした。
(ニ)第二反応ステップにおける第二の液温T2を40℃から50℃に上げることで、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から500℃時間に増やした。
(ホ)上述の(ハ)における第一の液温T1の変更及び(ニ)における第二の液温T2の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から35℃に大きくした。
この外添剤7の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤7の物性等の確認>
得られた外添剤7の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤7は、動的光散乱平均粒子径(D50)103nm、粒度分布(D90/D10)2.02、真密度1.94g/cm、平均アスペクト比1.09、BET比表面積36.8m/g、加熱減量3重量%、疎水化度61体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分20秒、窒素ガス脱着時間4分04秒、吸着時間/脱着時間0.82の物性をもつことを確認した。
外添剤7のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤7の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは30nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.29であった。凸部の平均最大高さは10nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.10であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.33であった。
これらの結果から、外添剤7は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例8.
<外添剤8の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤8を製造した。
(イ)第一反応ステップにおける第一の反応時間t1を2時間から3時間に長くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から30℃時間に増やした。
(ロ)第二反応ステップにおける第二の反応時間t2を10時間から5時間に短くすることで、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から200℃時間に減らした。
(ハ)上述の(イ)における第一の反応時間t1の変更及び(ロ)における第二の反応時間t2の変更により、第一の反応時間t1と第二の反応時間t2の合計を12時間から8時間に短くした。
この外添剤8の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤8の物性等の確認>
得られた外添剤8の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤8は、動的光散乱平均粒子径(D50)110nm、粒度分布(D90/D10)2.02、真密度1.97g/cm、平均アスペクト比1.10、BET比表面積32.0m/g、加熱減量6重量%、疎水化度57体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分14秒、窒素ガス脱着時間3分54秒、吸着時間/脱着時間0.83の物性をもつことを確認した。
外添剤8のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤8の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは27nmであり、その変動係数は32%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.25であった。凸部の平均最大高さは8nmであり、その変動係数は22%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.07であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.30であった。
これらの結果から、外添剤8は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
実施例9.
<外添剤9の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤9を製造した。
(イ)第一反応ステップにおける第一の反応時間t1を2時間から0.5時間に短くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から5℃時間に減らした。
(ロ)第二反応ステップにおける第二の液温T2を40℃から45℃に上げ、第二の反応時間t2を10時間から11時間に長くすることで、第二の液温T2と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から495℃時間に増やした。
(ハ)上述の(イ)における第一の反応時間t1の変更及び(ロ)における第二の反応時間t2の変更により、第一の反応時間t1と第二の反応時間t2の合計を12時間から11.5時間に短くした。
(ニ)上述の(ロ)における第二の液温T2の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から35℃に大きくした。
この外添剤9の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤9の物性等の確認>
得られた外添剤9の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤9は、動的光散乱平均粒子径(D50)112nm、粒度分布(D90/D10)2.02、真密度1.95g/cm、平均アスペクト比1.14、BET比表面積31.9m/g、加熱減量6重量%、疎水化度59体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間3分14秒、窒素ガス脱着時間3分57秒、吸着時間/脱着時間0.82の物性をもつことを確認した。
外添剤9のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤9の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上の凸部の平均最大長さは26nmであり、その変動係数は31%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.23であった。凸部の平均最大高さは7nmであり、その変動係数は23%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.06であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.27であった。
これらの結果から、外添剤9は、上述した物性(1)〜(8)及び凸部寸法(1)〜(7)を併せもつことを確認した。
<実施例2〜9のトナー2〜9の製造>
外添剤の種類を外添剤1から外添剤2〜9に代えた以外は、トナー1と同様の方法でトナー2〜9を得た。
<実施例2〜9のトナー2〜9の評価>
得られたトナー2〜9の特性について、トナー1と同様の方法で評価し、評価に基づく判定結果を以下の表3に示す。
表3に示すように、トナー2〜9についての判定は以下のようなものであった。
トナー2及び3は、いずれも、評価テストの全8項目のうち、7項目で「A」判定であり、残りの1項目(高温高湿下での画像濃度)で「B」判定であった。従って、トナー2及び3は、いずれも、好適に使用可能であった。
トナー4及び5は、いずれも、評価テストの全8項目のうち、6項目で「A」判定であり、残りの2項目(高温高湿下での画像濃度・カブリ)で「B」判定であった。従って、トナー4及び5は、いずれも、好適に使用可能であった。
トナー6及び7は、いずれも、評価テストの全8項目のうち、4項目で「A」判定であり、残りの4項目(低温低湿下でのカブリ、高温高湿下での画像濃度・カブリ、3環境下での感光体フィルミング)で「B」判定であった。従って、トナー6及び7は、いずれも、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能であった。
トナー8は、評価テストの全8項目のうち、4項目で「A」判定であり、残りの4項目(高温高湿下での画像濃度・カブリ、3環境下でのハーフトーン抜け・感光体フィルミング)で「B」判定であった。従って、トナー8は、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能であった。
トナー9は、評価テストの全8項目のうち、2項目で「A」判定であり、残りの6項目(低温低湿下でのカブリ、常温常湿下でのカブリ、高温高湿下での画像濃度・カブリ、3環境下でのハーフトーン抜け・感光体フィルミング)で「B」判定であった。従って、トナー8は、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能であった。
比較例1.
<外添剤10の製造>
窒素雰囲気下、反応容器に、テトラエトキシシラン40部とエタノール127部と純水40部を入れ、65℃に制御し150rpmで撹拌しているところに、0.25重量%アンモニア水44部を、滴下ロートを使って12時間かけて添加して混合し、その混合溶液中で、テトラエトキシシランの縮重合反応を行った。その後、混合溶液から、未反応のテトラエトキシシラン、エタノール、アンモニアを限外濾過膜により除去し、固形分濃度が4.6質量%の分散液を得た。その後、分散液にアンモニア水を加えて、その分散液のpHを11.5に調整した。その後、分散液を液温65℃に調整したところに、20重量%メチルトリメトキシシラン−エタノール溶液3.8部を添加し2時間反応させた。続けて、テトラエトキシシラン68部と5重量%のアンモニア水溶液29部の混合物を6時間かけて添加して更に反応させて、シリカ粒子の分散液を得た。
得られたシリカ粒子の分散液に蒸留水100部を添加し、液量が半分になるまでエバポレーターを用いて加熱濃縮し、遠心沈降機により生成物を固液分離した。上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水300部を加え同様に固液分離を行った。これを3度繰り返した後、沈殿物を24時間凍結乾燥させることにより、白色粉末を得た。この白色粉末10部を、水200部、テトラメチルジシラザン(HMDS)5部の混合物に加え、30分間室温で撹拌した後に60℃で4時間撹拌し、固液分離を行い、得られた粉末を48時間乾燥させることにより、白色粉末(外添剤10)を得た。
<外添剤10の物性等の確認>
得られた外添剤10の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤10は、動的光散乱平均粒子径(D50)120nm、粒度分布(D90/D10)2.21、真密度2.10g/cm、平均アスペクト比1.10、BET比表面積26.8m/g、加熱減量5重量%、疎水化度68体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間2分45秒、窒素ガス脱着時間2分16秒、吸着時間/脱着時間1.21という物性をもつことを確認した。
外添剤10のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤10の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上凸部の平均最大長は12nmであり、その変動変数は11%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.10であった。凸部の平均最大高さは4nmであり、その変動係数は16%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.03であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.33であった。
これらの結果から、外添剤10は、上述した物性(2)真密度、(7)ガス吸着時間、(8)ガス吸着時間/ガス脱着時間、及び、凸部寸法(1)平均最大長さ、(3)平均最大長さ/平均粒子径、(4)平均最大高さ、(5)平均最大高さの変動係数、(6)平均最大高さ/平均粒子径の各数値範囲外の物性及び凸部寸法をもつことを確認した。
外添剤10が上述した物性(2)、(7)、(8)、凸部寸法(1)、(3)〜(6)を満たさない理由としては、外添剤10では、本発明に係るトナー外添剤の製造条件と異なり、シリカ粒子の粒子中心部となる母材粒子を四官能シラン化合物(テトラエトキシシラン)で形成し、凸部を三官能シラン化合物(メチルトリメトキシシラン)で形成したことに起因していると考えられる。
尚、この比較例1の外添剤10は、特許文献4の段落0087〜0089に記載の「特定形状のシリカ微粒子の製造例1」をベースとしたものである。
比較例2.
<外添剤11の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤11を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から15℃に上げた。
(ロ)混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から60℃に上げた。
(ハ)上述の(イ)及び(ロ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から45℃に大きくした。
(ニ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から24℃に上げ、第一の反応時間t1を2時間から1時間に短くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から24℃時間に増やした。
(ホ)上述の(ニ)における第一の液温T1の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から16℃に小さくした。
この比較例2の外添剤11の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤11の物性等の確認>
得られた外添剤11の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤11は、動的光散乱平均粒子径(D50)40nm、粒度分布(D90/D10)2.30、真密度1.94g/cm、平均アスペクト比1.02、BET比表面積83.5m/g、加熱減量12重量%、疎水化度50体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間2分50秒、窒素ガス脱着時間2分15秒、吸着時間/脱着時間1.26という物性をもつことを確認した。
外添剤11のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤11の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上凸部の平均最大長は6nmであり、その変動変数は10%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.15であった。凸部の平均最大高さは2nmであり、その変動係数は15%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.05であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.33であった。
これらの結果から、外添剤11は、上述した物性(1)平均粒子径、(4)加熱減量、(7)ガス吸着時間、(8)ガス吸着時間/ガス脱着時間、及び、凸部寸法(1)平均最大長さ、(4)平均最大高さ、(5)平均最大高さ/平均最大長さの各数値範囲外の物性及び凸部寸法をもつことを確認した。
外添剤11が上述した物性(1)、(4)、(7)、(8)、凸部寸法(1)、(4)、(5)を満たさない理由としては、外添剤11では、本発明に係るトナー外添剤の製造条件と異なり、(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の「温度TA」を関係式0℃≦TA≦10℃の右辺を満たさない「15℃」とし、(ロ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の「温度TB」を関係式20℃≦TB≦50℃の右辺を満たさない「60℃」とし、(ニ)第一反応ステップにおける「第一の液温T1」を関係式5℃≦T1≦15℃の右辺を満たさない「24℃」としたことに起因していると考えられる。
比較例3.
<外添剤12の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤12を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時のケイ素含有成分の温度TAを5℃から0℃に下げた。
(ロ)混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から15℃に下げた。
(ハ)上述の(イ)及び(ロ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から15℃に小さくした。
(ニ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から3℃に下げ、第一の反応時間t1を2時間から1時間に短くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から3℃時間に減らした。
(ホ)上述の(ニ)における第一の液温T1の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から37℃に大きくした。
この比較例3の外添剤12の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤12の物性等の確認>
得られた外添剤12の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤12は、動的光散乱平均粒子径(D50)230nm、粒度分布(D90/D10)2.15、真密度2.00g/cm、平均アスペクト比1.26、BET比表面積14.0m/g、加熱減量7重量%、疎水化度43体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間1分45秒、窒素ガス脱着時間1分22秒、吸着時間/脱着時間1.28という物性をもつことを確認した。
外添剤12のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤12の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上凸部の平均最大長は48nmであり、その変動変数は53%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.21であった。凸部の平均最大高さは5nmであり、その変動係数は16%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.02であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.10であった。
これらの結果から、外添剤12は、上述した物性(1)平均粒子径、(3)平均アスペクト比、(6)比表面積、(7)ガス吸着時間、(8)ガス吸着時間/ガス脱着時間、及び、凸部寸法(1)平均最大長さ、(2)平均最大長さの変動係数、(5)平均最大高さの変動係数、(6)平均最大高さ/平均粒子径、(7)平均最大高さ/平均最大長さの各数値範囲外の物性及び凸部寸法をもつことを確認した。
外添剤12が上述した物性(1)、(3)、(6)〜(8)、凸部寸法(1)、(2)、(5)〜(7)を満たさない理由としては、外添剤12では、本発明に係るトナー外添剤の製造条件と異なり、(ロ)混合時の触媒含有成分の「温度TB」を関係式20℃≦TB≦50℃の左辺を満たさない「15℃」とし、(ニ)第一反応ステップにおける「第一の液温T1」を関係式5℃≦T1≦15℃の左辺を満たさない「3℃」とし、第一の液温T1と第一の反応時間t1との「積Q1」を5℃時間以上30℃時間以下とする反応条件の下限値を満たさない「3℃時間」としたことに起因していると考えられる。
比較例4.
<外添剤13の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤13を製造した。
(イ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の温度TBを30℃から60℃に上げた。
(ロ)上述の(イ)の変更により、温度TBと温度TAの差を25℃から55℃に大きくした。
(ハ)第一反応ステップにおける第一の液温T1を10℃から16℃に上げ、第一の反応時間t1を2時間から1時間に短くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から16℃時間に減らした。
(ニ)第二反応ステップにおける第二の液温T2を40℃から70℃に上げる一方、第二の反応時間t2を10時間から7時間に短くすることで、第二の液温T1と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から490℃時間に増やした。
(ホ)上述の(ハ)における第一の液温T1の変更及び上述の(ニ)の第二の液温T2の変更により、第二の液温T2と第一の液温T1との差を30℃から54℃に大きくした。
この比較例4の外添剤13の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤13の物性等の確認>
得られた外添剤13の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤13は、動的光散乱平均粒子径(D50)60nm、粒度分布(D90/D10)2.00、真密度2.15g/cm、平均アスペクト比1.02、BET比表面積49.3m/g、加熱減量1重量%、疎水化度55体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間2分24秒、窒素ガス脱着時間1分49秒、吸着時間/脱着時間1.32という物性をもつことを確認した。
外添剤13のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤13の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上凸部の平均最大長は42nmであり、その変動変数は45%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.70であった。凸部の平均最大高さは3nmであり、その変動係数は15%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.05であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.07であった。
これらの結果から、外添剤13は、上述した物性(1)平均粒子径、(2)真密度、(4)加熱減量、(7)ガス吸着時間、(8)ガス吸着時間/ガス脱着時間、及び、凸部寸法(2)平均最大長さの変動係数、(3)平均最大長さ/平均粒子径、(4)平均最大高さ、(5)平均最大高さの変動係数、(7)平均最大高さ/平均最大長さの各数値範囲外の物性及び凸部寸法をもつことを確認した。
外添剤13が上述した物性(1)、(2)、(4)、(7)、(8)、凸部寸法(2)、(3)〜(5)、(7)を満たさない理由としては、外添剤13では、本発明に係るトナー外添剤の製造条件と異なり、(イ)混合溶液調製工程における混合時の触媒含有成分の「温度TB」を関係式20℃≦TB≦50℃の右辺を満たさない「60℃」とし、(ロ)「温度TBと温度TAの差」を関係式10℃≦TB−TA≦50℃の右辺を満たさない「55℃」とし、(ハ)第一反応ステップにおける「第一の液温T1」を関係式5℃≦T1≦15℃の右辺を満たさない「16℃」とし、(ニ)第二反応ステップにおける「第二の液温T2」を関係式30℃≦T2≦50℃の右辺を満たさない「70℃」とし、(ホ)「第二の液温T2と第一の液温T1との差」を関係式15℃≦T2−T1≦45℃の右辺を満たさない「54℃」としたことに起因していると考えられる。
比較例5.
<外添剤14の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様の方法で外添剤14を製造した。
(イ)第一反応ステップにおける第一の反応時間t1を2時間から5時間に長くすることで、第一の液温T1と第一の反応時間t1との積Q1を20℃時間から50℃時間に増やした。
(ロ)第二反応ステップにおける第二の反応時間t2を10時間から15時間に長くすることで、第二の液温T1と第二の反応時間t2との積Q2を400℃時間から600℃時間に増やした。
この比較例5の外添剤14の原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤14の物性等の確認>
得られた外添剤14の物性及び凸部の寸法の一覧を以下の表2に示す。
表2に示すように、外添剤14は、動的光散乱平均粒子径(D50)220nm、粒度分布(D90/D10)2.10、真密度2.10g/cm、平均アスペクト比1.27、BET比表面積13.4m/g、加熱減量2重量%、疎水化度45体積%、BET測定時の窒素ガス吸着時間1分53秒、窒素ガス脱着時間1分27秒、吸着時間/脱着時間1.30という物性をもつことを確認した。
外添剤14のTEM画像(倍率:1万倍)から、外添剤1と同様の方法で、外添剤14の粒子表面上の凸部の寸法の近似値を求められたところ、以下の結果を得た。
粒子表面上凸部の平均最大長は51nmであり、その変動変数は54%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大長さの比は0.23であった。凸部の平均最大高さは8nmであり、その変動係数は14%であり、上述の平均粒子径に対する平均最大高さの比は0.04であった。平均最大長さに対する平均最大高さの比(平均最大長さ/平均最大高さ)は0.16であった。
これらの結果から、外添剤14は、上述した物性(1)平均粒子径、(2)真密度、(3)平均アスペクト比、(4)加熱減量、(6)比表面積、(7)ガス吸着時間、(8)ガス吸着時間/ガス脱着時間、及び、凸部寸法(1)平均最大長さ、(2)平均最大長さの変動係数、(3)平均最大長さ/平均粒子径、(5)平均最大高さの変動係数、(6)平均最大高さ/平均粒子径、(7)平均最大高さ/平均最大長さの各数値範囲外の物性及び凸部寸法をもつことを確認した。
外添剤14が上述した物性(1)〜(4)、(6)〜(8)、凸部寸法(1)〜(3)、(5)〜(7)を満たさない理由としては、外添剤14では、本発明に係るトナー外添剤の製造条件と異なり、(イ)第一の液温T1と第一の反応時間t1との「積Q1」を5℃時間以上30℃時間以下とする反応条件の上限値を満たさない「50℃時間」とし、(ロ)第二の液温T1と第二の反応時間t2との「積Q2」を200℃時間以上500℃時間以下とする反応条件の上限値を満たさない「600℃時間」としたことに起因していると考えられる。
<比較例1〜5のトナー10〜14の評価>
得られたトナー10〜14の特性について、トナー1と同様の方法で評価し、評価に基づく判定結果を以下の表3に示す。
表3に示すように、トナー10〜14についての判定は以下のようなものであった。
比較例1のトナー10は、評価テストのうち、1項目(3環境下での感光体フィルミング)で「C」判定であった。「C」判定の判断基準によれば、比較例1のトナー10は、使用不可のレベルであった。
比較例2のトナー11は、評価テストのうち、2項目(低温低湿下での画像濃度、3環境下での感光体フィルミング)で「C」判定であり、1項目(低温低湿下でのカブリ)で「D」判定であった。「C」判定及び「D」判定の判断基準によれば、比較例2のトナー11は、使用不可のレベルであった。
比較例3のトナー12は、評価テストのうち、3項目(高温高湿下での画像濃度、3環境下でのハーフトーン抜け・感光体フィルミング)で「C」判定であり、1項目(高温高湿下でのカブリ)で「D」判定であった。「C」判定及び「D」判定の判断基準によれば、比較例3のトナー12は、使用不可のレベルであった。
比較例4のトナー13は、評価テストのうち、3項目(高温高湿下での画像濃度・カブリ、3環境下でのハーフトーン抜け)で「C」判定であり、1項目(3環境下での感光体フィルミング)で「D」判定であった。「C」判定及び「D」判定の判断基準によれば、比較例4のトナー13は、使用不可のレベルであった。
比較例5のトナー14は、評価テストのうち、4項目(低温低湿下での画像濃度・カブリ、常温常湿下での画像濃度・カブリ)で「C」判定であり、4項目(高温高湿下での画像濃度・カブリ、3環境下でのハーフトーン抜け・感光体フィルミング)で「D」判定であった。「C」判定及び「D」判定の判断基準によれば、比較例5のトナー14は、使用不可のレベルであった。
以上の評価により、比較例1〜5のトナー10〜14は、いずれも使用不可のレベルであり、実施例1〜9のトナー1〜9よりも劣る特性をもつことを確認できた。この結果、実施例1〜9のトナー1〜9に外添された外添剤1〜9がいずれも上述の物性を併せもつのに対し、比較例1〜5のトナー10〜14に外添された外添剤10〜14が上述の物性を併せもたないことに起因しているためであると考えられる。
Figure 2016126099
Figure 2016126099
Figure 2016126099
C1 最大内接円, C2 弦, A 円弧部分,
P1 外部領域, P2 最遠部分, H1,H2 距離。

Claims (14)

  1. 式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤であって、
    前記粒子は、
    表面に凸部を有し、
    動的光散乱法により求めた平均粒子径が100nm以上200nm以下、
    真密度が1.8g/cm以上2.0g/cm以下、
    平均アスペクト比が1.00以上1.25以下であり、
    前記粒子の透過画像の輪郭に対して最大内接円を設定し、前記最大内接円より外部に存在する領域を凸部とした場合において、
    前記凸部は、
    前記領域に対する前記最大内接円の円弧部分の両端を最短距離で結ぶ弦の長さである最大長さの平均が25nm以上45nm以下、前記最大長さの変動係数が10%以上35%以下、前記平均粒子径に対する前記最大長さの平均の比が0.12以上0.30以下であり、
    且つ、
    前記弦から前記最大内接円の半径方向外方へ離れた前記領域の最遠部分までの長さである最大高さの平均が5nm以上15nm以下、前記最大高さの変動係数が20%以上45%以下、前記平均粒子径に対する前記最大高さの平均の比が0.05以上0.15以下であるトナー外添剤。
  2. 前記粒子は、室温から500℃まで昇温したときの加熱減量が3%以上10%以下である請求項1に記載のトナー外添剤。
  3. 前記粒子は、疎水化度が30%以上80以下である請求項1又は2に記載のトナー外添剤。
  4. 前記粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス吸着時間が3分以上10分未満である請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
  5. 前記粒子は、ガス吸着法による比表面積の測定時におけるガス脱着時間に対するガス吸着時間の比が0.5以上1.0以下である請求項4に記載のトナー外添剤。
  6. 前記凸部は、前記最大長さの平均に対する前記最大高さの平均の比が0.2以上0.4以下である請求項1から5のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
  7. 前記粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積が15.0m/g以上90m/g以下である請求項1から6のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
  8. 前記粒子は、前記ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、その後、前記混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持することによって前記ケイ素化合物を縮重合反応させて得られ、
    前記第一の液温T1と前記第一の反応時間t1との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、前記第二の液温T2と前記第二の反応時間t2との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、
    前記第一の液温T1と前記第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たす請求項1から7のいずれか1項に記載のトナー外添剤。
    (a)5℃≦T1≦15℃
    (b)30℃≦T2≦50℃
    (c)15℃≦T2−T1≦45℃
  9. 前記ケイ素含有成分と前記触媒含有成分とを混合するときの前記ケイ素含有成分の温度TA(℃)と前記触媒含有成分の温度TB(℃)とが次の関係式(a)〜(c)を満たす請求項8に記載のトナー外添剤。
    (a)0℃≦TA≦10℃
    (b)20℃≦TB≦50℃
    (c)10℃≦TB−TA≦50℃
  10. 前記第一の液温T1から前記第二の液温T2に移行する際の昇温速度が0.5℃/分以上10℃/分以下である請求項8又は9に記載のトナー外添剤。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のトナー外添剤を含むトナー。
  12. 式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる粒子を含むトナー外添剤の製造方法であって、
    前記ケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分との混合溶液を調製する混合溶液調製工程と、
    前記混合溶液を、第一の液温T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持し、その後、前記混合溶液を第二の液温T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持することによって前記ケイ素化合物を縮重合反応させて前記混合溶液中に分散した、表面に凸部を有する粒子を形成する粒子形成工程と、
    を含み、
    前記第一の液温T1と前記第一の反応時間t1との積が5℃時間以上30℃時間以下であり、前記第二の液温T2と前記第二の反応時間t2との積が200℃時間以上500℃時間以下であり、
    前記第一の液温T1と前記第二の液温T2とが次の関係式(a)〜(c)を満たすトナー外添剤の製造方法。
    (a)5℃≦T1≦15℃
    (b)30℃≦T2≦50℃
    (c)15℃≦T2−T1≦45℃
  13. 前記ケイ素含有成分と前記触媒含有成分とを混合するときの前記ケイ素含有成分の温度TA(℃)と前記触媒含有成分の温度TB(℃)とが次の関係式(a)〜(c)を満たす請求項12に記載のトナー外添剤の製造方法。
    (a)0℃≦TA≦10℃
    (b)20℃≦TB≦50℃
    (c)10℃≦TB−TA≦50℃
  14. 前記第一の液温T1から前記第二の液温T2に移行する際の昇温速度が0.5℃/分以上10℃/分以下である請求項12又は13に記載のトナー外添剤の製造方法。
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