JP2017156393A - トナー用外添剤及びその製造方法、並びにトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿というような過酷な環境においても、トナー粒子への付着性が強く、熱保管性に優れ、且つ部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できるトナー用外添剤を提供する。【解決手段】トナー用外添剤は、式:Si(OR1)4(但し、各R1は炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含む。該微粒子は、(1)個数平均粒子径が60nm以上200nm以下、(2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m2/g以上40m2/g以下、(3)真密度が1.9g/cm3以上2.1g/cm3以下、(4)前記微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下という物性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法などにより画像を形成する複写機等の画像形成装置に用いられるトナーに外添して使用されるトナー用外添剤、及びその製造方法、並びに該トナー用外添剤を含むトナーに関する。
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電工程、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電荷像を現像し、転写工程、定着工程を経て、その静電荷像が可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、いずれも、トナーの流動性やクリーニング性を改善するための無機化合物や有機化合物からなる微粒子がトナー粒子表面に添加される。このような微粒子は、トナー用外添剤(以下、単に外添剤という場合がある)と呼ばれる。トナー粒子と外添剤とは、静電気力(クーロン力)と物理的な作用(ファンデルワールス力)によって付着している。このうちの支配的な力はクーロン力である。
近年、電子写真法の技術は高速化、低エネルギー消費の方向に進んでおり、トナーには従来よりも高い劣化耐性が求められるようになった。トナーが高い劣化耐性をもたないと、使用開始直後から終了時までトナーの転写効率を高い状態に維持できない。その対策の一つとして、大粒径外添剤によるトナーの劣化抑制技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
外添剤として、小粒径外添剤と大粒径外添剤を併用すると、トナー粒子表面に付着した大粒径外添剤の存在により、その近傍の、トナー粒子表面上に付着した小粒径外添剤が直接、せん断力や衝撃力などの外力を受ける頻度が低下する。このことにより小粒径外添剤がトナー粒子表面に埋没することを防止できる(スペーサ効果)ので、トナーの劣化を抑制できる。又、大粒径外添剤を外添することで、感光体からトナーが離れ易くなり、感光体上に載ったトナーが速やかに紙上に転写される。転写効率を高い状態に維持できることから、大粒径外添剤は転写助剤としても機能する。
スペーサ効果が期待される大粒径外添剤にも、数nmから30nm程度の小粒径外添剤と同様に、従来の燃焼法を適用して製造されたシリカ粒子が使用されてきた(例えば、特許文献2、3参照)。その後、近年においては、ゾルゲル法によって粒度分布の揃った大粒子径の球形シリカ粒子が得られるようになってきたことから、平均粒子径が50nmから150nm程度の球形シリカ粒子を外添剤として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献4から6参照)。
ここで、外添剤として使用される場合の、球形シリカ粒子と不定形シリカ粒子との特性を比較する。
球形シリカ粒子は、球形ゆえに分散性が良好であるため、トナー粒子表面に均一に付着し、トナー粒子のどの位置でも一定のスペーサ効果が得られる。このことから、球形シリカ粒子はトナーの劣化耐性を高めることができる。これに対して、不定形シリカ粒子は、球形シリカ粒子よりも分散性がよくない。このため、不定形シリカ粒子は、トナー粒子表面に不均一に付着することがあり、スペーサ効果がトナー粒子の一部のみに偏り、トナーの劣化耐性を高めることが難しい。
又、不定形シリカ粒子は、その表面上の尖った角部分の存在により、均一に帯電しにくい。尖った角部分に電荷が異常集中すると、その電荷の異常集中した部分が感光体等の部材に強く付着し、感光体の変質や削れ、及び、感光体、帯電ロール、現像ロールなどへの部材汚染を引き起こすことがある。これに対して、球形シリカ粒子の場合は、電荷が異常集中する部位がない均一な帯電となる。ことから、球形シリカ粒子の場合は、不定形シリカ粒子の場合において生じるような、感光体の変質や削れ、及び、感光体、帯電ロール、現像ロールなどへの部材汚染を抑制でき、結果として画像欠陥を抑制することができる。
又、不定形シリカ粒子がトナー粒子から外れた場合、その不定形シリカ粒子の尖った角部分が感光体表面に引っ掛かることがある。その尖った角部分に電荷が異常集中していると、その高い付着力のため、不定形シリカ粒子は、感光体表面に強固に付着する。感光体が回転している間に、感光体表面に強固に付着した不定形の外添剤に別のトナーが付着することで、感光体表面上にトナー融着現象が起こる。尚、このトナー融着現象は、画像欠陥の一因となり、外添剤の角部分に電荷が異常集中し易い低温低湿環境下において顕著に発生する傾向がある。これに対して、球形シリカ粒子は、その表面に電荷が異常集中する角部分がないため、感光体表面上へのトナー融着の発生を抑制できる。
又、不定形シリカ粒子の場合、相互に離れた外添剤やトナーは、トナーと逆帯電する現像ロールに強固に付着する上に現像ロールの回転に伴って摩擦され、一層、帯電量が増して、益々外れにくくなって下層が形成されることがある。このような下層が形成されると、現像ロールを介して帯電するトナーが正規帯電できなくなるので、画像劣化を招く。尚、この下層形成は、画像欠陥の一因となり、外添剤やトナーの帯電量が増加し易い低温低湿環境下において顕著に発生する傾向がある。これに対して、球形シリカ粒子は均一に帯電するので、現像ロール等の現像部材上への下層形成の発生を抑制できる。
上述したように、外添剤として使用されるシリカ粒子は、均一な帯電性により部材汚染の原因となる感光体表面上へのトナー融着現象や現像部材上への下層形成の発生を抑制できる点で、不定形より球形のものが有利である。さらに、その球形のもののうち、大粒子径のものがスペーサ効果を期待できる点で有利である。
しかし、球形シリカ粒子の場合でも、その粒子径を大きくすると、シリカ粒子の単位質量当たりの表面積(以下、比表面積という)が減少するので帯電量が減り、シリカ粒子とトナー粒子との付着力に支配的なクーロン力が弱くなる。このため、シリカ粒子はトナー粒子から外れ易くなる。シリカ粒子がトナー粒子から外れると、外れたシリカ粒子やトナー粒子によって感光体、帯電ロール、現像ロールの汚染やクリーニングブレードの欠けが発生し、その部材汚染等に起因した画像欠陥を引き起こすことが知られている(例えば、特許文献4から6参照)。
シリカ粒子のトナー粒子への付着力は、上述した帯電量に依存する。トナーや電子写真システムが使用される環境は、低温低湿から高温高湿まで変化する。この環境変化によってトナーやシリカ粒子の帯電量が変わる。低温低湿では、帯電量が過剰に高くなって、トナーに帯電していた電荷が他のものに移り、画像劣化が起こり易い。高温高湿では、帯電量が低下してシリカ粒子のトナー粒子への付着力が低下する。大粒子径で球形のシリカ外添剤は、元々、トナー粒子への付着力は小さい。帯電量が低下する高温高湿下では、トナーへの付着力はさらに低下するため、シリカ粒子は一層トナー粒子から外れ易くなる。
外れたシリカ粒子は、感光体表面上に付着し、熱によって感光体表面上に融着して膜が形成されるフィルミングが生じる場合がある。このフィルミングも画像欠陥の一因となる。
このように、トナーや外添剤として用いられるシリカ粒子は、低温低湿や高温高湿の環境下で様々なストレスを受けるため、そのストレスに起因して画像欠陥が発生することがある。
又、ゾルゲル法による合成は、燃焼法と比較して粒度分布は均一であるが、粒子合成時に粒子径が1μm以上の粗大微粒子が発生することがある。粗大微粒子はトナー粒子から脱離しやすい上に、それがトナーから脱離することにより、トナー粒子の表面が大きく露出し、熱保管時の流動性が低下する。表面が露出したトナーや遊離した粗大微粒子は、感光体、帯電ロール、及び現像ロールなどの汚染やクリーニングブレード欠けを引き起こしやすい。これらのことから、粗大微粒子が多く混在したシリカ粒子をトナー用の外添剤として用いると、低温低湿や高温高湿の環境下でトナーや電子写真システムが受ける様々なストレスに起因して、画像欠陥が発生しやすい。
特開平06−027718号公報 特開平11−143118号公報 特開2004−067475号公報 特開2007−264142号公報 特開2000−330328号公報 特開2001−194824号公報
上述したように、トナー用外添剤として大粒子径の球形シリカ粒子は不定形シリカ粒子よりも有利である。
しかし、従来の大粒子径の球形シリカ粒子は、トナー粒子への付着性が低下し、トナーの劣化や画像欠陥が発生しやすいという問題があった。特に、低温低湿や高温高湿といった過酷環境下では、これらの問題が大きな問題となっていた。
これらの問題を引き起こす原因の1つは粗大シリカ微粒子の存在であることは知られていたが、低温低湿や高温高湿といった過酷環境下でのトナーの劣化や画像欠陥の観点から、トナー用外添剤として許容できる粗大シリカ微粒子の定量化や数値管理化はできていなかった。又、粗大微粒子の存在比率を許容範囲に収めるトナー用外添剤の製造方法も確立されていなかった。
このような点において、従来技術には、改善の余地が残されていた。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、低温低湿や高温高湿といった過酷環境下においても、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できるシリカからなる微粒子を含むトナー用外添剤、及び、該トナー用外添剤を含むトナーを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数が1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含むトナー用外添剤であって、
前記微粒子は、
(1)個数平均粒子径が60nm以上200nm以下であり、
(2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m/g以上40m/g以下であり、
(3)真密度が1.9g/cm以上2.1g/cm以下であり、
(4)前記微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下である、
ことを特徴とするトナー用外添剤。
(構成2)
前記微粒子は、前記微粒子を、倍率が1万倍、視野面積が110μmの条件で、走査型電子顕微鏡により観察して前記微粒子の外接円を求め、観察した視野の面積に対する、前記外接円の直径が1μm以上である外接円の面積の比を粗大微粒子の存在比率としたとき、前記粗大微粒子の存在比率が10視野分の平均で3%以下であることを特徴とする構成1に記載のトナー用外添剤。
(構成3)
前記微粒子は、個数平均粒子径から算出される比表面積(β)に対する前記比表面積(α)の比(α/β)が0.4以上1.0以下であることを特徴とする構成1又は2に記載のトナー用外添剤。
(構成4)
前記微粒子の表面の疎水化度は、30%以上80%以下であることを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載のトナー用外添剤。
(構成5)
式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物を、有機溶媒を含む溶液に溶解させて、ケイ素化合物溶液を得る第1の工程、
触媒としての塩基性化合物と前記ケイ素化合物溶液を、水を含む溶液中で混合して、混合液を得る第2の工程、
前記混合液に、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合して微粒子分散液を得る操作を少なくとも1回行う第3の工程、
を包含することを特徴とするトナー用外添剤の製造方法。
(構成6)
前記第3の工程において、ケイ素化合物及び塩基性化合物の両方を添加する場合、前記ケイ素化合物、前記塩基性化合物の順に添加が行われることを特徴とする構成5に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成7)
前記第1の工程における有機溶媒の重量をWoとし、前記第1の工程及び前記第3の工程中で1回に添加する前記ケイ素化合物の最大の重量をWsとしたときの重量比(Ws/Wo)は、0.15以下であることを特徴とする構成5又は6に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成8)
前記微粒子分散液から、前記塩基性化合物を除去する第4の工程をさらに包含することを特徴とする構成5から7のいずれか1項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成9)
前記第4の工程は、除去温度(T1)が60℃以上100℃以下、除去時間(t1)は8時間以下で行われることを特徴とする構成8に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成10)
前記第4の工程により得られた微粒子に対して、該微粒子の表面の極性基同士を結合する疎水化処理を行って第1の疎水化微粒子を得る第5の工程をさらに包含することを特徴とする構成8又は9に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成11)
前記第5の工程は、処理温度(T2)が80℃以上150℃以下、処理時間(t2)は12時間以下で行われることを特徴とする構成10に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成12)
前記第4の工程における前記除去温度(T1)及び前記除去時間(t1)、並びに前記第5の工程における前記処理温度(T2)及び前記処理時間(t2)が、以下の関係式を満たすことを特徴とする構成11に記載のトナー用外添剤の製造方法。
480≦(T1×t1)+(T2×t2)≦2600
(構成13)
前記微粒子の疎水化処理剤として、式:R SiNHSiR (但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラザン化合物、及び、式:R SiX(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である)で示されるシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を用いて、前記第1の疎水化微粒子の表面をさらに疎水化することにより、第2の疎水化微粒子を得る第6の工程をさらに包含することを特徴とする構成10から12のいずれか1項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
(構成14)
構成5から13のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするトナー用外添剤。
(構成15)
構成1から4、14のいずれか1項に記載のトナー用外添剤を含むことを特徴とするトナー。
本発明に係るトナー用外添剤によれば、上述した式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である)で示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含むトナー用外添剤である。この微粒子は、(1)平均粒子径が60nm以上200nm以下であり、(2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m/g以上40m/g以下であり、(3)真密度(真比重)が1.9g/cm以上2.1g/cm以下であり、(4)この微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下である。
このように、微粒子が(1)から(4)の物性を併せもち、特に、この微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率を80%以上、且つヘイズ値を10%以下とすることにより、この微粒子を含むトナー用外添剤は、以下のような効果を奏する。
(i)微粒子が、トナー粒子表面に付着したときに、スペーサ効果を発揮できる程度の適切な範囲の平均粒子径を有するので、トナーの劣化を抑制できる。
(ii)微粒子が上述の範囲の比表面積を有するので、微粒子は適度な帯電量となり、トナー粒子によく付着する。又、微粒子の機械的強度も適度なものとなることから、微粒子による部材の削れや汚染を抑制できる。
(iii)微粒子が上述の範囲の真密度を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が少なく、トナー粒子へのダメージを緩和してトナーの劣化を抑制できる。
(iv)微粒子のうち粗大な大きさの粒子の比率が少なく、このため微粒子のトナーからの脱離が少ない。微粒子がトナーから脱離してトナーの表面が露出すると、トナーの熱保管時の流動性が低下し、保管安定性が低下する。又、表面が露出したトナーや遊離した粗大微粒子は、感光体、帯電ロール、及び現像ロールなどの汚染やクリーニングブレード欠けを引き起こしやすい。
以上のことから、本発明のトナー用外添剤は、トナー表面からの脱離が少なく、適度なスペーサ効果を発揮し、且つ高温高湿下での保管性に優れる外添剤である。このため、本発明のトナー用外添剤を使用すると、種々の温度、湿度環境下においても、部材汚染やクリーニングブレード欠けが少なく、画像濃度の低下、カブリ、ハーフトーン抜けといった画像形成不良、及びこれらの原因となる感光体のフィルミングの発生を抑制できる。
又、本発明に係るトナー用外添剤の製造方法によれば、上述した式:Si(ORで示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物を、有機溶媒を含むに溶液に溶解させて、ケイ素化合物溶液を得る第1の工程と、触媒としての塩基性化合物と前記ケイ素化合物溶液を、水を含む溶液中で混合して、混合液を得る第2の工程と、前記混合液に、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合して微粒子分散液を得る操作を少なくとも1回行う第3の工程、を包含する。
このような製造方法で作製されたシリカ微粒子は、トナー粒子に外添して製造されたトナーに適切な特性をもたせることができる物性(1)から(4)をもつ。
従って、本発明に係るトナー用外添剤の製造方法によれば、高温高湿というような過酷な環境下でも、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できるトナー用外添剤を製造することができる。
本発明に係るトナーによれば、上述のトナー用外添剤を用いる。従って、このトナーは、高温高湿というような過酷な環境下でも従来よりも高い劣化耐性をもつ。又、高温高湿というような過酷な環境下でも外添剤が遊離しにくいので、感光体上のトナー融着の発生は極めて少なく、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
A.トナー用外添剤
この実施の形態によるトナー用外添剤は、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含み、この微粒子は、
(1)個数平均粒子径が60nm以上200nm以下であり、
(2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m/g以上40m/g以下であり、
(3)真密度が1.9g/cm以上2.1g/cm以下であり、
(4)この微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下であるという物性を有する。
微粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基、プロキシ基、ブトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようなケイ素化合物を単独又は適宜組み合わせて行うケイ素化合物の縮重合反応によって、上述の式で示されるケイ素化合物のORで示されるアルコキシ基の一部がOH基となり、OH基となった部分同士が縮合してHOが脱離し、シラノール基を経てSi−O−Si結合を生じる一連の過程によって得られるシリカポリマーからなる微粒子(以下、シリカ微粒子という)が形成される。このように形成されたシリカ微粒子は、そのシリカポリマーの強度に依存した、外添剤として必要な強度をもつ。又、上述の縮重合反応後においては、シリカ微粒子表面の一部にOH基が残った状態となっている。このシリカ微粒子表面に残ったOH基は、後述する極性基同士の結合や疎水基との結合を行うことで、シリカ微粒子表面が疎水化され得る。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(1)の平均粒子径の数値範囲は、個数平均粒子径の数値範囲である。この数値範囲は、シリカ微粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着性をシリカ微粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度の、シリカ微粒子の適切な粒子径を示している。
物性(1)の平均粒子径の数値範囲は、上述のように、60nm以上200nm以下であり、好ましくは、80nm以上150nm以下である。
ここで、シリカ微粒子の平均粒子径が60nmを下回ると、粒子径が小さいものも混在することになるため、極めて小さな粒子径のものはスペーサ効果を十分に発揮できない点で好ましくない。又、シリカ微粒子の平均粒子径が200nmを上回ると、極めて大きな粒子径のものも混在することになるため、帯電量が減少し、トナー粒子への付着力が低下し、スペーサ効果を発揮する外添剤の比率が低下する点で好ましくない。
物性(1)の平均粒子径は、動的光散乱法によって測定されるシリカ微粒子の粒度分布から求めることができる。動的光散乱法は、レーザー光をシリカ微粒子に照射し、得られた散乱光の時間的ゆらぎがシリカ微粒子のブラウン運動によって変わることを利用して、粒度分布を求める方法である。微粒子のブラウン運動の速さはその微粒子の大きさに依存する。
動的光散乱法によってシリカ微粒子の粒度分布を測定するために使用される測定装置としては、例えば、動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして粒度分布を測定し、平均粒子径を求めることができる。
所定量のシリカ微粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ微粒子を分散させた分散液を得る。この分散液をガラス製の測定セルに入れ、測定装置に入れる。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度の変化を測定する。この散乱光強度の時間的変化(ゆらぎ)から求めた粒子径分布を、縦軸に個数頻度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表したときに、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を平均粒子径とする。
尚、平均粒子径は、上述の動的光散乱法に限らず、これ以外のレーザー回折・散乱法、画像イメージング法などの周知の方法によっても求めることができる。ここで、本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法以外の測定方法から求められる粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法によって粒度分布が測定され、その測定結果から求められる平均粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(1)をもつものとして認識することができる。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(2)は、ガス吸着法によって測定された比表面積(α)の測定値の範囲である。この数値範囲は、シリカ微粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着力をシリカ微粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度のシリカ微粒子の適切な表面構造及び粒子径の大きさを示している。
物性(2)の比表面積(α)は、上述のように、15m/g以上40m/g以下である。
ここで、比表面積(α)が15m/gを下回ると、シリカ微粒子の粒子径が大きくなりすぎるため、シリカ微粒子の帯電量が減少し、トナー粒子への付着力が低下する。その結果、トナー粒子から十分なスペーサ効果を発揮するシリカ粒子が脱離し、トナーの保管安定性が低下するとともに、感光体、帯電ロール、現像ロールの汚染やクリーニングブレード欠けの原因となる。
又、比表面積(α)が40m/gを上回ると、シリカ微粒子の表面には多くの微細な凹凸部分が生じ、シリカ微粒子の強度が低下すると共に、外添剤による部材の削れや汚染を引き起こしやすくなる。
物性(2)の比表面積(α)を測定するために用いられるガス吸着法は、例えば、測定セル内にシリカ微粒子を入れ、吸着用ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、吸着用ガスをシリカ微粒子表面に接触するように流し、液体窒素温度まで冷却することで、吸着用ガスを微粒子表面に吸着させ、その後、室温まで戻すことで、微粒子表面に吸着した吸着用ガスを脱離させる方法である。吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも低いときはガス吸着過程にある。ガス吸着時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より低下し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。又、吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも高いときはガス脱離過程にある。ガス脱離時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より上昇し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。
この方法は、冷却時の吸着用ガスがシリカ微粒子表面に単分子層状に吸着されることを利用していて、ガス吸着時間やガス脱離時間は、微粒子の比表面積に比例する。例えば、ガス吸着時間からシリカ微粒子の比表面積(α)を求めるためには、縦軸に窒素ガスの相対圧力をとり、横軸に時間をとるときに、相対圧力が初期値より減少するガス吸着過程を示す略U字状の曲線と、相対圧力が初期値より増加するガス脱離過程を示す略逆U字状の曲線を含むプロファイルを得る。得られたプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ微粒子の比表面積(α)を算出することができる。
尚、上述の吸着用ガスとしては、例えば液体窒素温度で、上述のシリカ微粒子とガス分子との間のファンデルワールス力によって、シリカ微粒子表面に単分子層状にガス分子が吸着されるガスであればいかなるガスを用いてもよい。具体的には、吸着用ガスとしては、窒素ガス、クリプトンガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどを挙げることができ、これらのガスから1種又はそれ以上選択して使用することができる。一般に、このガス吸着法はBET法と呼ばれる。
吸着用ガスとして窒素ガスを用い、BET法によってシリカ微粒子の比表面積(α)を求めるために使用される測定装置としては、例えば、BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、例えば、測定セルとしては、ガス導入口とガス排出口を有する略U字状のものを用い、測定セルに流すガスとしては、例えば、窒素ガス(吸着用ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガスを用いることができる。
尚、比表面積は、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(2)の比表面積(α)の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法によって測定され、その測定結果が物性(2)の比表面積(α)の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(2)をもつものと見なす。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(3)は、シリカ微粒子の体積とその質量の各測定値から算出する密度の範囲である。この数値範囲は、従来のシリカ系外添剤の代表値(2.2g/m程度)より低い値である。本発明のシリカ粒子は、同じ大きさの従来のシリカ系外添剤より軽いため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力は従来よりも少なく、トナーの劣化を抑制できる。
物性(3)の真密度の数値範囲は、上述のように、1.9g/cm以上2.1g/cm以下である。
ここで、真密度が1.9g/cmを下回ると、シリカ一粒子あたりの重量が軽くなるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力は小さくなるが、シリカ微粒子自体の強度が低下するので好ましくない。又、真密度が2.1g/cmを上回ると、シリカ一粒子あたりの重量が重くなるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が大きくなり、好ましくない。
物性(3)の真密度を測定するための装置としては、例えば、乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を挙げることができる。この密度計を用いた場合、所定量のシリカ微粒子を密度計内に入れて真密度を自動測定することができる。
尚、真密度は、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(3)の真密度の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法によって測定され、その測定結果が物性(3)の真密度の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(3)をもつものと見なす。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(4)は、シリカ微粒子からなる膜を作製したときの膜の全光線透過率とヘイズ値の数値範囲を規定したものである。その数値は、シリカ微粒子を厚さ100μmに成膜したとき、その膜の全光線透過率を80%以上、且つヘイズ値を10%以下とするものである。この規定により、トナー表面からの脱離を起こしやすく、保管性を劣化させる粗大シリカ微粒子の存在比率が所定値以下に定量的に管理され、低温低湿や高温高湿といった過酷環境下でも実用上十分なトナー保管やプリント品質が得られるようになる。ここで、ヘイズ値とは、全光線透過率における拡散透過率の割合のことであり、微粒子などによる微視的な光散乱の度合いを示すものである。
尚、シリカ微粒子を厚さ90μmで成膜した場合は、その膜の全光線透過率を81%以上、且つヘイズ値を9%以下とする。シリカ微粒子を厚さ110μmで成膜した場合は、その膜の全光線透過率を78%以上、且つヘイズ値を12%以下とする。
トナー表面からの脱離を起こしやすく、保管性を劣化させる粗大シリカ微粒子の粒子径は略1μm以上であり、可視光の波長(0.38から0.78μm)に対して大きく、粗大シリカ微粒子の量は、全光線透過率やヘイズ値に大きな影響を与える。一方、物性(1)で規定されているシリカ微粒子の大きさ(個数平均粒子径)は0.2μm以下で、可視光の波長に対して十分小さく、全光線透過率やヘイズ値に与える影響は相対的に少ない。このため、この物性(4)により、精度よく粗大シリカ微粒子の存在比率を所望値以下に管理することが可能となる。
全光線透過率やヘイズ値の測定において、被測定物としてシリカ粒子を分散させた液体を用いると、物性(2)に示されるような比重の重いシリカ粒子は沈降してしまい精度よく測定することが困難となる。一方で、シリカ粒子からなる膜を被測定物とすると、この沈降の問題がなくなるので精度よく測定することが可能となる。
シリカ微粒子からなる被測定用の膜の作製方法としては、例えば、被測定対象のシリカ微粉体をメチルイソブチルケトン等の液体に混ぜてシリカ分散液を調整した後、アプリケーター等を用いて塗工し、熱処理乾燥させる方法などがある。但しこれは一例であって、例えば塗工に関しては、ディップ法、スピン塗布法及びインクジェット法などを用いることもできる。膜厚は触針式膜厚計や光学式膜厚計などで管理する。得られた塗膜の全光線透過率及びヘイズ値の測定は、Haze Meter NDH 5000W(スガ試験機製)などによって行われる。
尚、全光線透過率及びヘイズ値は、上述の測定装置以外の装置によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の被測定試料作製方法以外の試料作製方法や上述の測定装置以外の測定装置によって測定され、その測定結果が物性(4)の全光線透過率及びヘイズ値の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の被測定試料作製方法及び測定装置を用いた測定により、その測定結果が物性(4)の全光線透過率及びヘイズ値の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(4)をもつものと見なす。
上述の物性(1)、(4)を併せもつシリカ微粒子は、シリカ微粒子を、倍率が1万倍、視野面積が110μmの条件で、走査型電子顕微鏡により観察してシリカ微粒子の外接円を求め、観察した視野の面積に対する、前記外接円の直径が1μm以上である外接円の面積の比を粗大微粒子の存在比率としたとき、前記粗大微粒子の存在比率が10視野分の平均で3%以下である物性(以下、物性(5)という)をもつことが望ましい。このことは詳細な検討を行って得られた結果であり、物性(5)をもつシリカ粒子をトナーの外添剤として使用することにより、低温低湿や高温高湿といった過酷環境下でも、トナーの保管安定性やプリント品質は実用上十分なものとなる。
ゾルゲル法で異常生成された粗大シリカ微粒子の多くは、凝集体の様態である。凝集体の形をした粗大シリカ微粒子は不定形をしているが、その形状に対し外接円を描き、その外接円の直径を粒子径と定義する。そして、観察した視野の全面積に対して、粒子径が1μm以上のシリカ粒子(凝集体)の占める面積比から粗大微粒子の存在比率を求める。
粗大微粒子の存在確率が3%以上の場合、トナーから脱離した外添剤が多くなるため、保管安定性が低下する。又、凝集体は凹凸をもった形状であるため、クリーニングブレードや感光体の欠けを誘発し、フィルミング等が発生しやすくなる。
上述の物性(1)から(4)を併せもつシリカ粒子、又は、物性(1)から(5)を併せもつシリカ粒子は、平均粒子径から算出される理論値である比表面積(β)に対して、測定値である物性(2)の比表面積(α)の比をとった比表面積の比(α/β)が、0.4以上1.0以下であるという物性(以下、物性(6)という)をもつことが望ましい。比表面積の比(α/β)は0.5以上0.8以下であるとさらに好ましい。
ここで、比表面積(β)(単位はm/g)は、シリカ微粒子の平均粒子径をDn50(単位はnm)、真密度をρ(単位はg/cm)としたときに、下記の式で算出される。
β={6/(Dn50×ρ)}×1000 ・・・(式1)
比表面積の比(α/β)が0.4を下回ると、シリカ微粒子は、粒子径が小さくなりすぎ、スペーサ効果を十分に発揮できなくなるので好ましくない。又、比表面積の比(α/β)が1.0を上回ると、シリカ微粒子の表面に電荷が異常集中し易い尖った角部分が生じる。その電荷の異常集中した部分が感光体等の部材に強く付着し、感光体の変質や削れ、及び、感光体・帯電ロール・現像ロールなどへの部材汚染を引き起こすことがあるので好ましくない。
又、この比表面積の比(α/β)をもつシリカ微粒子は、従来よりも低い上述の物性(3)の数値範囲の真密度を併せもつので、従来よりも軽量であっても、トナー用外添剤としての必要強度を維持することができる。
上述の物性(1)から(4)を併せもつシリカ微粒子、又は、物性(1)から(4)に物性(5)及び(6)の少なくとも一方を更に併せもつシリカ微粒子は、その表面の疎水化度が30%以上80%以下、より好ましくは50%以上80%以下となる物性(以下、物性(7)という)をもつことが望ましい。この範囲の疎水化度を有するシリカ微粒子は、このシリカ微粒子を外添したトナーの帯電量を適切なものとすることができる。疎水化度が30%を下回ると、シリカ微粒子の吸湿性が高くなり、トナーの適切な帯電性を妨げる点で好ましくない。疎水化度が80%を上回ると、帯電量が高くなりすぎて、電荷が他のものに移り、画像劣化を起こす要因の一つとなる。
尚、疎水化度の測定方法としては、メタノール滴定法を挙げることができる。
尚、この実施の形態によるトナー用外添剤は、上述の物性を併せもつシリカ微粒子に加え、このシリカ微粒子とは別の材料で形成された微粒子を含めることができる。別の材料で形成された微粒子としては、上述の物性を併せもつ上述のシリカ微粒子の特性を損なわない限り、いかなる材料で形成された微粒子であっても使用可能である。例えば、上述の物性を併せもつシリカ微粒子よりも小粒子径のシリカ微粒子を挙げることができる。小粒子径のシリカ微粒子としては、トナーに流動性を付与するために外添される表面に疎水基を有する疎水性シリカ微粒子を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
B.トナー用外添剤の製造方法
このトナー用外添剤の製造方法は、微粒子分散液作製工程と、微粒子疎水化工程を含む。尚、この製造方法は、上述のAで説明した物性を併せもつシリカ微粒子を製造することができる製造方法の一例である。
以下、工程ごとに説明する。
1.微粒子分散液作製工程
この微粒子分散液作製工程は、式:Si(ORで示されたケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分とを混合し、ケイ素含有成分と触媒含有成分との混合溶液中で、ケイ素化合物を縮重合反応させてシリカ微粒子の分散液を形成する工程である。ここで、Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である。
この微粒子分散液作製工程におけるケイ素化合物の縮重合反応は、ケイ素化合物溶液を得る第1の工程、混合液を得る第2の工程、及び微粒子分散液を得る第3の工程を経て進行する。
以下、微粒子分散液作製工程をステップごとに説明する。
<a.ケイ素化合物溶液の作製(第1の工程)>
ケイ素化合物溶液は、上述の式で示されるケイ素化合物(ここでは、成分A1とも呼ぶ)を、有機溶媒を含む溶液に溶解させて作製された溶液である。
シリカ微粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のケイ素化合物溶液は、粒子物性を調整するため、ケイ素化合物骨格を含むことが可能である。ケイ素化合物溶液中のケイ素化合物の含有率は、ケイ素化合物の種類、シリカ微粒子を得るために必要なケイ素化合物の配合量などを考慮して適宜決められる。具体的には、混合溶液全量に対するケイ素化合物の含有率の下限は、1重量%であり、好ましくは、3重量%である。ケイ素化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、第2の工程での混合溶液中に含有するケイ素化合物の絶対量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ微粒子の原材料が不足し、使用に耐え得るシリカ微粒子を製造することが困難となるため好ましくない。ケイ素化合物の含有率の上限については、第3の工程のところで述べる。
有機溶媒は、使用されるケイ素化合物の種類、触媒含有成分との相溶性などを考慮して適宜決められる。具体的には、有機溶媒としては、プロトン型溶媒、非プロトン型溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。プロトン型溶媒としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。非プロトン型溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
ケイ素含有成分中の有機溶媒の含有率は、使用されるケイ素化合物の種類、使用されるケイ素化合物との相溶性、使用可能なレベルのシリカ微粒子を得るために必要なケイ素化合物の配合量などを考慮して適宜決められる。具体的には、微粒子分散液を得る第3の工程を終えるまでの混合溶液全量に対する有機溶媒の含有率は、50重量%以上99重量%以下であり、好ましくは、50重量%以上95重量%以下である。有機溶媒の含有率が下限値の50重量%を下回ると、ケイ素化合物の含有量が多すぎるため、ケイ素化合物の反応残渣が混合溶液中に残存する可能性がある点で好ましくない。又、上限値の99重量%を上回ると、混合溶液中のケイ素化合物の絶対量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ微粒子の原材料が不足し、使用に耐え得るシリカ微粒子を製造することが困難となる点で好ましくない。
<b.混合液の作製(第2の工程)>
この混合液を作製する第2の工程では、上述のケイ素化合物溶液に対して、触媒としての塩基性化合物(ここでは、成分B1とも呼ぶ)と水を含む溶液を添加して、混合液を作製する。
塩基性化合物としては、後述の第4の工程で除去しやすいように揮発性が高いものが好ましく、この種のものとしては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、成分B1の溶媒としては水に加えて、使用する塩基性化合物及びケイ素化合物に対して相溶性を示す溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどの水性溶媒を用いることもできる。
塩基性化合物の含有率は、使用されるケイ素化合物との相溶性、使用可能なレベルのシリカ微粒子を得るために必要な混合溶液全量に対するケイ素化合物の配合量などを考慮して決められる。具体的には、塩基性化合物の含有率は、第2の工程及び後述の微粒子分散液を得る第3の工程の各段階で、0.1重量%以上40重量%以下であり、好ましくは、0.5重量%以上20重量%以下である。塩基性化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、塩基性化合物の含有量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応を触媒するのに必要な塩基性化合物の含有量が不足する点で好ましくない。上限値の40重量%を上回ると、塩基性化合物の含有量が多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
混合液を作製する第2の工程では、混合液作製中、混合液を攪拌することが好ましい。その混合液の撹拌速度は、使用する混合容器の形状や大きさにもよるが、一般に、30rpm以上600rpm以下が好ましく、より好ましくは、80rpm以上300rpm以下である。撹拌速度が下限値の30rpmを下回ると、遅くすぎるため、ケイ素含有成分中のケイ素化合物と触媒含有成分中の塩基性化合物との接触機会が少なく、ケイ素化合物の縮重合反応を十分に進行させることが困難になるので好ましくない。又、撹拌速度が上限値の600rpmを上回ると、速すぎるため、成長中のシリカ微粒子同士の接触機会が多くなり、シリカ微粒子を十分に成長させにくくなるので好ましくない。撹拌速度は、混合前、混合時、混合後を通じて一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ微粒子の成長プロセスを阻害しない程度に変化させてもよい。
混合液を作製するときの各溶液の温度は、同じ温度であることが望ましく、混合過程中も同じ温度で管理されることが望ましい。その温度は0℃以上、60℃以下が好ましい。これは、0℃未満ではシリカ微粒子を形成するための縮重合反応が遅く、生産性に問題が生じ、60℃を超えると生成されるシリカ微粒子の大きさなどの分布が拡がり、又、粗大微粒子の生成比率が高まるという問題が発生するためである。
<c.微粒子分散液の作製(第3の工程)>
第3の工程は、上述の混合液に、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合して、微粒子が溶液中に分散した微粒子分散液を作製する操作(ステップ)を1回以上行う工程である。
粒子径が1μm以上のシリカからなる粗大微粒子の多くは、凝集体の様態をしており、その発生率は微粒子の濃度と相関する。本発明では、シリカ微粒子は、第2の工程である混合液の作製段階と第3の工程である微粒子分散液の作製段階で形成される。少量ずつ複数のステップ(操作)に分けて微粒子分散液を作製することにより、第3の工程が終了するまでの過程中で、微粒子濃度が、粗大微粒子を多数発生させる値以上に高まることを防いでいる。又、分散液中で、局所的に微粒子濃度の高い場所が発生することを抑制している。このため、第3の工程を経て作製されたシリカ微粒子の分散液は、粗大微粒子の存在比率が低い分散液となる。
ここで、第3の工程における、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合する回数に関しては、特に上限はなく、無限の回数に相当する連続添加でも構わない。
尚、第1の工程から第3の工程終了時までにケイ素化合物を添加する回数をm、塩基性化合物を添加する回数をnとすると、本発明では、微粒子分散液作製工程終了時までに、ケイ素化合物及び塩基性化合物を添加する回数m+nは3以上となる。
第3の工程で添加されるケイ素化合物は、式:Si(ORで示された四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物である。ここでは、これらを成分Aiとも呼ぶ。iは添加順を表し、2から始まる。尚、Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である。
上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、第1の工程で用いたケイ素化合物(成分A1)と同じものを用いても、異なるものを用いても構わない。例えば、第1の工程でケイ素化合物(成分A1)としてテトラエトキシシランを用いた場合、第3の工程で添加する最初のケイ素化合物(成分A2)として、テトラエトキシシランを用いることもできるし、テトラメトキシシランを用いることもできる。第3の工程内で複数回に分けてケイ素化合物を添加する場合も、上記ケイ素化合物の中から選んだ同じものを用いることもできるし、異なるものを用いることもできる。例えば、成分A2として、テトラエトキシシランを用いた場合、成分A3として、テトラエトキシシランを用いることも、テトラメトキシシランを用いることもできる。
第3の工程で添加される塩基性化合物(これを成分Bjとも呼ぶ。jは添加順を表し、2から始まる。)としては、後述の第4の工程で除去しやすいように揮発性が高いものが好ましく、この種のものとしては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、第1の工程で用いた塩基性化合物(成分B1)と同じものを用いても、異なるものを用いても構わない。例えば、塩基性化合物(成分B1)としてアンモニアを用いた場合、第3の工程で添加する最初の塩基性化合物(成分B2)として、アンモニアを用いることもできるし、ジメチルアミンを用いることもできる。第3の工程内で複数回に分けて塩基性化合物を添加する場合も、同じものを用いることもできるし、異なるものを用いることもできる。例えば、成分B2として、アンモニアを用いた場合、成分B3として、アンモニアを用いることも、ジメチルアミンを用いることもできる。尚、第3の工程における塩基性化合物の添加に際しては、水や水溶性の溶媒と合わせて添加してもよい。
微粒子分散液を作製する第3の工程において、ケイ素化合物及び塩基性化合物の両方を添加する場合は、ケイ素化合物、塩基性化合物の順に添加されることが好ましい。ケイ素化合物を塩基性化合物より早く添加する方が、粒子径が揃ったシリカ微粒子が形成されるためである。
ケイ素化合物の添加量に関しては、第1の工程における有機溶媒の重量をWoとし、第1の工程及び第3の工程中で1回に添加するケイ素化合物の最大の重量をWsとしたときの重量比(Ws/Wo)が0.15以下、となる添加量にすることが望ましい。これは、各添加ごとのケイ素化合物の濃度を低くして、十分な分散を確保し、凝集体の発生を抑えるためである。このことにより、作製された微粒子分散液は、シリカからなる粗大微粒子の存在比率が低い分散液となる。
尚、微粒子分散液を作製するときの各溶液の温度は、第2の工程で得られた混合液の温度と同じであることが望ましく、混合過程中も同じ温度で管理されることが望ましい。その温度は0℃以上、60℃以下が好ましい。これは、0℃未満ではシリカ微粒子を形成するための縮重合反応が遅く、生産性に問題が生じ、60℃を超えると生成されるシリカ微粒子の大きさなどの分布が拡がり、又、粗大微粒子の生成比率が高まるという問題が発生するためである。
2.微粒子疎水化工程
この疎水化処理工程は、前述の微粒子分散液から疎水化されたシリカ微粒子を得る工程で、塩基性化合物を除去する第4の工程、微粒子表面の極性基同士を結合させる第5の工程、及び微粒子表面に疎水基を導入して疎水化を図る第6の工程を含む。以下、第4、第5及び第6の工程について説明する。
<a.塩基性化合物除去工程(第4の工程)>
微粒子の表面に塩基性化合物が存在すると、外添剤として十分機能する上で重要な微粒子の帯電が妨げられ、又疎水化の障害になる。そこで、微粒子を液体中で熱処理して微粒子の表面に存在する塩基性化合物を除去する第4の工程を行う。ここで使用する液体は蒸留水などの水であるが、非塩基性の水溶液を用いることもできる。
塩基性化合物の除去工程は、例えば、次のようにして行う。
第3の微粒子分散液作製工程を経て得られた微粒子分散液(シリカゾル)に対して、遠心分離やデカンテーションを行って、微粒子分散液から固形物と液体を分離する。その後、固形物に水を加えて、シリカからなる粒子の水分散ゾルを得る。得られたゾルに対して熱処理を行った後、遠心沈降などにより固液分離を行う。複数回、水添加と固液分離を行って塩基性化合物を含んだ液体を取り除いた後、凍結乾燥法など凝集体を作りにくい乾燥法で乾燥させ、微粒子からなる粉末を得る。
第4の工程における熱処理の温度(除去温度)T1は、60℃以上100℃以下で、熱処理の時間(除去時間)t1は、8時間以内、より好ましくは3時間以上8時間以内である。除去温度T1が60℃未満の場合には、塩基性化合物が、微粒子の表面から脱離しにくく、又水からも離脱(蒸散)しにくいので、塩基性化合物を十分に除去することが難しい。又、水を使用しているので、除去温度T1の上限は100℃になる。除去時間t1が8時間を超えると微粒子が凝集体を形成しやすく、その結果、粗大微粒子の存在比率が高まるので好ましくない。除去時間t1は、3時間以上で、塩基性化合物の脱離率が高まる。尚、第4の工程により、微粒子の表面から塩基性化合物が除去されるとともに、微粒子表面にある結合基同士が一部結合し、表面の疎水化が進む。
<b.極性基結合工程(第5の工程)>
微粒子の表面に極性基が存在すると親水性化する。そこで、第5の工程では、第4の工程で得られた微粒子を液体中で熱処理し、微粒子の表面に存在する極性基同士を結合させ、疎水化を進める。極性基は、主にシラノール基などである。又、ここで使用する液体は、水、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどである。
熱処理の温度(処理温度)T2は、80℃以上150℃以下で、より好ましくは100℃以上120℃以下である。熱処理の時間(処理時間)t2は、12時間以内、より好ましくは3時間以上12時間以内である。処理温度T2が80℃未満の場合は、シリカ表面の極性基同士の結合が不十分で、十分な疎水化効果が得られない。一方、処理温度T2が150℃を超えるとシリカ微粒子同士の結合が進んで、凝集体を形成しやすくなる。すなわち、粗大微粒子の存在比率が高まりやすくなる。処理温度T2が100℃以上120℃以下の場合は、必要にして十分なシリカ表面の極性基同士の結合が得られ、シリカ微粒子同士の結合は抑えられる。処理時間t2が12時間を超えると微粒子が凝集体を形成しやすく、その結果、粗大微粒子の存在比率が高まるので好ましくない。処理時間t2は、3時間以上で、シリカ表面の極性基同士の結合が高まる。
尚、表面極性基同士の結合度合いを評価する方法としては、メチルレッド滴定法がある。
上述のように、シリカ表面の極性基同士の結合は、塩基性化合物を除去する第4の工程中でも起こる。このため、シリカ表面の極性基同士の結合を進め、十分な疎水化を行いつつ、一方で、微粒子同士の結合を抑えるためには、第4の工程と第5の工程の両者を合わせた熱量の管理が重要となる。詳細な検討を行った結果、(T1×t1)+(T2×t2)が、480℃・hr以上、2600℃・hr以下の関係を満たすとき、十分な疎水化を行いつつ、凝集体からなる粗大微粒子の発生を抑えることが可能になることがわかった。(T1×t1)+(T2×t2)が480℃・hr未満の場合、シリカ表面の極性基同士の結合が不十分になって、十分な疎水化が行われない。一方、(T1×t1)+(T2×t2)が2600℃・hrを超える場合は、微粒子同士の結合が起こって凝集体が生成され、粗大微粒子の存在比率が高まる。
<c.疎水基導入工程(第6の工程)>
この微粒子疎水化工程は、第5の工程を経たシリカ微粒子に対して、その微粒子の表面の一部に残るOH基と疎水化剤を反応させて疎水基を導入することにより、微粒子を疎水化する工程である。
シリカ微粒子の表面に導入される疎水基としては、シリカ微粒子の表面を疎水化するのに適したものであれば特に限定されないが、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、フェニル基含有シリル基を挙げることができる。
ここで、疎水基としてトリアルキルシリル基を導入する場合における微粒子疎水化工程の一例を説明する。
この一例の微粒子疎水化工程では、式:R SiNHSiR で示されるシラザン化合物、及び、式:R SiXで示されるシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を上述のシリカ微粒子の表面に接触させて、微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入することにより、シリカ微粒子の表面を疎水化する。ここで、Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である。又、Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である。
上述の少なくとも1種の化合物は、ケイ素化合物の縮重合反応後にシリカ微粒子の表面上に残るOH基をトリアルキルシリル化する疎水化剤として作用する。
尚、シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程における反応温度は、20℃以上150℃以下であり、好ましくは、30℃以上120℃以下である。このような反応温度の範囲でシリカ微粒子の疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
又、シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程を行う際に使用する反応容器の内部圧力(以下、反応容器内圧力という)は、常圧でよいが、常圧以上の圧力、例えば760mmHg以上850mmHg以下であってもよい。このような反応容器内圧力で疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程において、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルクロリドなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。又、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。尚、シラン化合物を示す上述の式中のXで示される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブチル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このような疎水化剤として機能する、シラザン化合物又はシラン化合物の溶媒としては、水などの水性溶媒やアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを挙げることができる。
上述したトナー用外添剤の製造方法によって得られるシリカ微粒子は、上述のAで説明したシリカ微粒子の物性(1)から(4)、又は、物性(1)から(4)に物性(5)、(6)及び(7)の少なくとも1つを更に併せもつことができる。
C.トナー
このトナーは、上述のAで説明したトナー用外添剤をトナー母粒子表面に外添することによって得ることができる。
トナーを製造するには、先ず、トナー母粒子を製造する。トナー母粒子は、樹脂粒子であり、周知の方法で製造することが可能である。例えば、先ず、製造原料として用いる樹脂を製造する。その後、樹脂と、着色剤と、必要に応じて含められる荷電制御剤及び離型剤の少なくとも一方を混合して混合物を得る。得られた混合物を溶融混練し、混練物を得る。混練物を粗砕し、その粗砕物を粉砕・分級を行い、特定の平均粒子径をもつトナー母粒子を得る。
得られたトナー母粒子に対し、トナー用外添剤と、必要に応じて含められる疎水性シリカを添加し、ブレンドして、トナー粒子を得ることができる。
ここで、トナー母粒子の製造原料に用いられる樹脂としては、1種類又はそれ以上の種類の樹脂を挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂を挙げることができるが、これに限定されるものではない。又、複数の樹脂材料を用いる場合は、例えば、組成の異なる2種類以上のポリエステル樹脂を混合して用いることができる。
着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン用の顔料、黒色用のカーボンブラックや四三酸化鉄などの周知の顔料を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
荷電制御剤(charge control agent:CCA)は、トナーの極性、帯電性を制御する添加剤である。正帯電用の荷電制御剤としては、アジン系化合物、4級アンモニウム塩などの周知の化合物を挙げることができ、負帯電の荷電制御剤としては、アゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物などの周知の化合物を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
離型剤としては、周知のワックスなどの天然油、シリコーンオイルなどの合成油を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
又、疎水性シリカは、得られるトナーが投入される画像形成装置の種類に応じて、トナー粒子の流動性を調製するために適宜添加されるものであり、小粒子径(例えば、20nm程度)のシリカ系粒子である。
この実施の形態によるトナー用外添剤によれば、上述した式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である)で示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含むトナー用外添剤である。この微粒子は、(1)平均粒子径が60nm以上200nm以下であり、(2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m/g以上40m/g以下であり、(3)真密度(真比重)が1.9g/cm以上2.1g/cm以下であり、(4)この微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下である。
このように、微粒子が(1)から(4)の物性を併せもち、特に、この微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下であることにより、この微粒子を含むトナー用外添剤は、以下のような効果を奏する。
(i)微粒子が、トナー粒子表面に付着したときに、スペーサ効果を発揮できる程度の適切な範囲の平均粒子径を有するので、トナーの劣化を抑制できる。
(ii)微粒子が上述の範囲の比表面積を有するので、微粒子は適度な帯電量となり、トナー粒子によく付着する。又、微粒子の機械的強度も適度なものとなることから、微粒子による部材の削れや汚染を抑制できる。
(iii)微粒子が上述の範囲の真密度を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が少なく、トナー粒子へのダメージを緩和してトナーの劣化を抑制できる。
(iv)微粒子のうち粗大な大きさの粒子の比率は少ない。このため、高温高湿というような過酷な環境下でも、微粒子のトナーからの脱離が少なく、感光体、帯電ロール、及び現像ロールなどの汚染やクリーニングブレード欠けを引き起こしにくい。
これらのことから、トナー用外添剤は、高温高湿というような過酷な環境下でも、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
この実施の形態によるトナー用外添剤の製造方法によれば、上述した式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である)で示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物を、有機溶媒を含むに溶液に溶解させて、ケイ素化合物溶液を得る第1の工程と、触媒としての塩基性化合物と前記ケイ素化合物溶液を、水を含む溶液中で混合して、混合液を得る第2の工程と、前記混合液に、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合して微粒子分散液を得る操作を少なくとも1回行う第3の工程、を包含する。
このような製造方法で作製されたシリカ微粒子は、トナー粒子に外添して製造されたトナーに適切な特性をもたせることができる物性(1)から(4)、又は、物性(1)から(4)に物性(5)、(6)及び(7)の少なくとも1つを更に併せもつことができる。
従って、本発明に係るトナー用外添剤の製造方法によれば、高温高湿というような過酷な環境下でも、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できるトナー用外添剤を製造することができる。
この実施の形態によるトナーによれば、上述のトナー用外添剤を用いる。従って、このトナーは、高温高湿というような過酷な環境下でも従来よりも高い劣化耐性をもつ。又、高温高湿というような過酷な環境下でも外添剤が遊離しにくいので、感光体上のトナー融着の発生は極めて少なく、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、各実施例は本発明を限定するものではない。尚、以下の説明においては、別途、特定しない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
以下の実施例1では、外添剤1の製造、製造した外添剤1の物性の確認、外添剤1を用いるトナー1の製造、製造したトナー1の特性の評価の順で説明する。実施例2から7及び比較例1から4についても、実施例1と同様の順で説明する。
実施例及び比較例の説明に先立って、実施例及び比較例における種々の測定方法、耐久試験、及び評価テストの内容を説明する。
<個数平均粒子径の測定>
動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて、以下の測定条件で行う動的光散乱法により、微粒子の粒度分布を求め、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を個数平均粒子径(nm)とした。
手順は下記のとおりである。
最初に、所定量のシリカ微粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ微粒子を分散させた分散液を得た。その後、分散液をガラス製の測定セルに入れ、測定装置に入れた。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度を測定した。この散乱強度から換算した粒子径の分布を、縦軸に個数頻度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表し、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を平均粒子径(Dn50)とした。
<比表面積(実測BET値)、ガス脱離時間の測定>
BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を用いて、以下のBET法により、トナー用外添剤として作製したシリカ微粒子についてのガス脱離時間(時間)を測定し、比表面積(α:m/g)を求めた。
ガス導入口とガス排出口を有する略U字状の測定セルを用い、この測定セル内に2gのシリカ微粒子を入れ、ガス導入口から、窒素ガス(吸着用ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガス(窒素ガス流量:25ml/min)を測定セル内に導入し、シリカ微粒子に接触させるように流し、ガス排出口から排出させた。その後、窒素ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、測定セルを液体窒素温度まで冷却することで窒素ガスを粉末表面に吸着させ(ガス吸着過程)、その後、測定セルを室温に戻すことで窒素ガスを脱離させた(ガス脱離過程)。窒素ガスの相対圧力が初期値から低下し、その後、初期値に戻るまでの時間をガス吸着時間とし、ガス吸着過程終了直後の、窒素ガスの相対圧力が初期値から上昇し、その後、初期値に戻るまでの時間をガス脱離時間とした。ガス吸着時間及びガス脱離時間を示すプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ微粒子の比表面積(α)を算出した。
<真密度の測定>
乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を用い、この密度計内にシリカ微粒子1.5gを入れて、その真密度ρを自動測定した。
<比表面積の比の算出>
上述のBET法によって測定された平均粒子径Dn50と、上述の測定によって求めた真密度ρを使って、前述の式1から比表面積(β:m/g)を計算し、その比表面積(β)に対して上述のBET法によって測定された比表面積(α)の比をとって、比表面積の比(α/β)を算出した。
<全光線透過率、ヘイズ値の測定>
疎水性シリカ微粉体1.2gをサンプル管に入れ、メチルイソブチルケトンを1.8g加えた後、30分超音波を照射し、固形分が40重量%であるシリカ分散液を調整した。その後、ガラス基板上にアプリケーターを用いて250μmのギャップで分散液を塗工し、80℃で15分間乾燥させることにより膜厚が100μmのシリカ粒子の塗膜を得た。膜厚の測定は触針式膜厚計である定圧厚さ測定器(TECLOCK製)を用いて行った。得られた塗膜をHaze Meter NDH 5000W(スガ試験機製)を用いて、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。この装置で使用している光源はD65であり、主に波長380nmから780nmの帯域の光が使われている。
<走査型電子顕微鏡による粗大微粒子の測定>
疎水性シリカ微粉体をカーボンテープ上にテープ面が露出しないように、なおかつ均一に載せた試料を準備した後、走査型電子顕微鏡SU8020(日立製)を用いて、1万倍の倍率で観察した。そして、1視野内に占める1μm以上の凝集体の存在比率Er(%)を、S1を1μm以上の大きさの凝集体の占める面積、S2を、観察面の視野面積として、式(2)に従って計算した。尚、ここでは視野面積S2を110μmとした。
Er=(S1/S2)×100 ・・・(式2)
ここで、凝集体は、一般に、不定形をしているので、外接円を使った見なし面積法によって凝集体の占める面積S1を求めた。具体的には、走査型電子顕微鏡による観察像上で凝集体に対して外接円を描き、外接円の直径が1μm以上となる外接円を抽出した後、その外接円の面積から凝集体の占める面積S1を求めた。ここで、直径が1μm以上となる外接円が複数個存在したときは、その外接円の面積の総和を凝集体の占める面積S1とした。この視野観察を無作為に選んだ10箇所について行ない、その単純平均をとって凝集体の存在比率とした。
<メタノール疎水化度の測定>
ビーカーに、イオン交換水50ml、疎水性シリカ微粉体0.2gを入れ、ビーカー内の疎水性シリカ微粉体の分散液をマグネティックスターラーによって攪拌しながら、ビュレットからメタノールを滴下した。ビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ、微粉体は徐々に沈降していき、微粉体の全量が沈んだ終点におけるメタノール−水混合溶液中のメタノールの体積分率を疎水性シリカ微粉体の疎水化度(体積%)とした。
<帯電性の評価>
後述のトナー製造例1で得られたトナー粒子を1.4部、スチレンとメチルメタクリレートの共重合体からなる樹脂で被覆されたフェライト粒子(体積平均粒子径:35μm)を18.6部計量し、50mlのポリプロピレン(PP)製容器に入れ、低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)、及び高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)に24時間静置した。その後ターブラーミキサーで30分撹拌振盪することにより、トナーに対してフェライト粒子との衝突による摩擦帯電を生じさせる負荷を与えた。この粒子の帯電量(μC/g)を飛翔式帯電量測定装置(電界飛翔式帯電量測定装置II−DC電界(商品名)、ディーアイティー株式会社製)で測定し、L/L環境での帯電量とH/H環境での帯電量の比(H/L比)を測定した。H/L比が0.4以上であれば実用上問題なく使用でき、より好ましくは0.5以上である。尚、フェライト粒子の体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(マルチサイザー(登録商標)、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
<トナー凝集度の評価>
トナーを100mlのポリプロピレン(PP)製のサンプル瓶に入れ、23℃50%RHの常温常湿環境下で24時間静置した。その後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い、上段より目開き53μm、45μm、及び、38μmのふるいを直列的に配置し、53μmのふるい上に正確に秤量した2gの前記静置サンプルを投入した。しかる後、振幅1mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のトナー重量を測定し、それぞれに0.5、0.3、及び、0.1の重みをかけて加算し、得られた数値に100を乗じたものの値を凝集度とした。
<耐熱保管性の評価>
耐熱保管性は以下のようにして測定した。
後述のトナー製造例1で得られたトナー粒子を7.0部、スチレンとメチルメタクリレートの共重合体からなる樹脂で被覆されたフェライト粒子(体積平均粒子径:35μm)を93部計量し、250mlのポリプロピレン(PP)製容器に入れ、高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)に24時間静置した。ターブラーミキサーで30分間浸透した後、磁石を用いてフェライト粒子を取り除いた後、トナーの凝集度を測定し、その値を(イ)とした。残りのトナーを3cm×3cmの箱に入れ、80g/cmになるように加重をかけた状態で、50℃/50%RHの環境下で24時間放置して放置サンプルを得た。得られたサンプルの凝集度を測定し、その値を(ロ)とし、(イ)/(ロ)を計算して以下のように評価した
A:(イ)/(ロ)が0.8以上
B:(イ)/(ロ)が0.7以上0.8未満
C:(イ)/(ロ)が0.6以上0.7未満
D:(イ)/(ロ)が0.6未満
(イ)/(ロ)が0.7以上すなわち判定がB以上であれば実用上問題なく使用できるが、より好ましくは0.8以上である。
<実機耐久試験>
以下の方法によって、実際のプリンターを用いて耐久試験を行った。
画像形成装置として、一成分現像方式を採用した「サムスン電子社製カラーレーザープリンターCLP−610ND(プリント速度:21枚/分)」を用いた。
画像形成装置のブラック色の画像形成ユニットに、トナーを投入し、転写材として「富士ゼロックス社製フルカラー複写機用紙J(82g/cm、A4サイズ)」を用い、低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)、常温/常湿(N/N)環境(23℃/55%RH)及び高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)のそれぞれの印字環境下において試験評価を行った。そこでは、印字比率を5%に調整したテキスト画像を単色モードにより2枚印刷する度に1分休止する方式で、1500枚分をプリントアウトとする条件で耐久試験をした。その後、後述する評価テスト(1.画像濃度、2.カブリ、3.ハーフトーン抜け、4.感光体フィルミング)を実施した。
<評価テスト>
以下に説明する評価テストのうち「画像濃度」及び「カブリ」の評価テストの評価は、上述した低温低湿、常温常湿及び高温高湿の3環境での耐久試験ごとに行った。又、「ハーフトーン抜け」及び「感光体フィルミング」の評価テストの評価は、当該3環境での耐久試験ごとの評価をまとめたものである。
尚、以下の評価テストは、各評価テストに対応する耐久試験と同様の環境で行った。
<1.画像濃度>
上述の耐久試験後に、評価対象のトナーを用いて、正方形のソリッドパッチ(一辺5mm)を四隅付近と中央部分に有する画像を1枚プリントアウトした。その後、出力した画像に照射光を当て、その反射光の反射率からパッチの反射濃度を「SpectroEye」(GretagMacbeth社製)で計測し、得られた計測値の平均値を、下記の判断基準に基づいて評価し、AからDのいずれに相当するかを判定した。ここで、トナーの帯電量が高いと、現像段階においてトナーは感光体上から離れにくくなるため、紙上へ転写されるトナー量が減少する。このため、画像濃度が低い場合、トナーの帯電量が高いことになる。
A:反射濃度の計測値の平均値が1.20以上である(好適に使用可)。
B:反射濃度の計測値の平均値が1.05以上1.20未満である(使用可)。
C:反射濃度の計測値の平均値が0.90以上1.05未満である(使用不可)。
D:反射濃度の計測値の平均値が0.90未満である(使用不可)。
<2.カブリ>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、白地部分と印字部分の両方を含む画像を1枚出力した。この出力画像を「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した。そして、画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを下記の判断基準に基づいて評価して、AからDのいずれに相当するかを判定した。ここで、カブリとは、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低い場合、現像段階において感光体上に付着しにくいため、プリンター内を回り、紙上に飛散して、その白地部分にトナーが乗り、画像を劣化させる現象である。このため、カブリ濃度が高い場合は、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低いことになる。
A:カブリ濃度が1.0%以下である(好適に使用可)。
B:カブリ濃度が1.0%以上、2.0%未満である(使用可)。
C:カブリ濃度が2.0%以上、3.0%未満である(使用不可)。
D:カブリ濃度が3.0%以上である(使用不可)。
<3.ハーフトーン抜け>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、画像濃度25%のハーフトーン画像を1枚出力した。この出力画像について、ハーフトーン抜けの有無及びその程度を目視で観察し、下記の判断基準に基づいて評価し、AからDのいずれに相当するかを判定した。ここで、ハーフトーン抜けとは、トナー外添剤の吸湿性が高い場合に生じるトナーの帯電不良により、トナーによって画像形成すべき紙上の一部の画像濃度が極端に薄くなる現象であり、画像欠陥の有無の判断材料となる。このため、ハーフトーン抜けが発生した場合は、トナーの帯電不良が生じていることになる。
A:3環境のいずれにおいても、ハーフトーン抜けが全く発生していない(好適に使用可)。
B:いずれか一つの環境でハーフトーン抜けが発生しているが、ハーフトーン抜けの程度が僅かであるので、実使用上の問題はない(使用可)。
C:いずれか一つの環境でハーフトーン抜けが発生しており、ハーフトーン抜けの程度が際立っているので、実使用上の問題がある(使用不可)。
D:3環境のすべてにおいてハーフトーン抜けが発生している(使用不可)。
<4.感光体フィルミング>
上述の耐久試験後に、上述と同じトナーを用いて、ハーフトーン画像を1枚出力し、その出力画像と感光体表面の観察を行った。感光体表面の観察の際には、エアブローにて感光体表面のトナーを取り除いた。画像欠陥の有無と感光体表面上へのトナー外添剤融着(フィルミング)の発生を目視で観察し、下記の判断基準に基づいて評価し、AからDのいずれに相当するかを判定した。ここで、フィルミングとは、トナーの帯電量が低いために、トナー粒子と外添剤との粒子間の付着力が低下した場合に物理的な力によって外れた外添剤が感光体表面上に付着し、熱によって融着して膜が形成される現象である。このため、フィルミングが発生した場合は、トナーの帯電量が低いことになる。
A:3環境のいずれにおいても、フィルミングが全く発生していない(好適に使用可)。
B:いずれか一つの環境でフィルミングが発生しているが、フィルミングの程度がわずかであるので、実使用上の問題はない(使用可)。
C:いずれか一つの環境でフィルミングが発生しており、フィルミングの程度が際立っているので、実使用上の問題がある(使用不可)
D:3環境のすべてにおいてフィルミングが発生している(使用不可)。
上述した評価テストにおける判断基準では、「A」判定が好適に使用可能であるとの判断となり、「B」判定が十分に使用可能であるとの判断となる。「C」判定や「D」判定が1項目でもあれば、それだけで使用不可の判断となる。
実施例1.
<外添剤1の製造>
先ず、この実施例1に係るトナー用外添剤(外添剤1)を製造した。
<1.微粒子分散液作製工程>
還流管を備えた反応容器にエタノール400部を入れ、35℃に制御し、150rpmで撹拌しているところに、テトラエトキシシラン(TEOS)40部(有機溶媒に対して0.1(g/g))を入れ30分撹拌した。その後蒸留水100部と40%メチルアミン水溶液8部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン40部を加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水100部と40%メチルアミン水溶液8部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温したテトラエトキシシラン40部を加え、10分撹拌後、蒸留水100部と40%メチルアミン水溶液8部の混合物を35℃に加温後、添加した。その後5時間35℃で撹拌し、固形分が3.98%であるシリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを遠心沈降により固液分離し、上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水200部を加え。シリカ粒子の水分散ゾルを得た。
<2.微粒子疎水化工程>
得られた水分散ゾルを90℃に加温し、3時間撹拌して、塩基性化合物を取り除くとともに、表面を疎水化した。その後遠心沈降により生成物を固液分離し、上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水200部を加え同様に固液分離を行った。これを3度繰り返した後、沈殿物を24時間凍結乾燥させることにより、白色粉末を得た。この白色粉末30部に蒸留水170部を加え100℃で7時間撹拌し、さらに表面を疎水化した。得られたゾルを室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部を加え100℃で5時間撹拌した。その後固液分離を行い、得られた粉末を24時間減圧乾燥させることにより、白色粉末状のシリカ微粒子を得た。
尚、この際の(T1×t1)+(T2×t2)は、970℃・hrであった。
この外添剤1の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤1の物性の確認>
得られた外添剤1は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が123nm、実測比表面積(α)が23m/g、真密度が2.01g/cm、全光線透過率が84%、ヘイズ値が5.3%、粗大微粒子比率が1.0%、比表面積の比(α/β)が0.9、そして疎水化度が65%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤1の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
次に、上述のようにして得られた白色粉末(トナー用外添剤)を外添する対象となるトナー母粒子を以下のようにして製造した。
<樹脂1の製造>
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)10800g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)4300g、テレフタル酸5040g及びn−ドデセニル無水コハク酸700gを入れ、窒素雰囲気下230℃で攪拌した。反応により生成する水が流出しなくなった時点で、無水トリメリット酸2112gを添加し、軟化点が147℃に達するまで反応させた。得られた樹脂をポリエステルAとする。ポリエステルAの軟化点は145℃、ガラス転移点は73℃、融解熱の最大ピーク温度は80℃、酸価は26mgKOH/g、水酸基価は27mgKOH/gであった。
<樹脂2の製造>
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)12250g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを入れ、窒素雰囲気下230℃で攪拌し、軟化点が121℃に達するまで反応させた。得られた樹脂をポリエステルBとする。ポリエステルBの軟化点は120℃、ガラス転移点は65℃、融解熱の最大ピーク温度は70℃、酸価は3.6mgKOH/g、水酸基価23.7mgKOH/gであった。
<トナー母粒子1の製造>
ポリエステルAを2880g、ポリエステルBを4320g、着色剤「ピグメントブルー15:3」(大日精化工業(株)製)を300g、荷電制御剤「LR−147」(日本カーリット(株)製)を86.5g、及びヒドロキシ酸エステル含有の離型剤「カルナウバワックス(商品名)」((株)加藤洋行製、融点:83℃)を504gヘンシェルミキサーに投入し、15分間攪拌混合して混合物を得た。得られた混合物をオープンロール型連続混練機で溶融混練し、混練物を得た。
使用したオープンロール型連続混練機は、ロール外径0.14m、有効ロール長0.8mのものであり、運転条件は、加熱ロール(前ロール)の回転速度33m/min、冷却ロール(後ロール)の回転速度11m/min、ロール間隙0.1mmであった。又、ロール内の加熱及び冷却媒体温度に関しては、加熱ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を115℃、冷却ロールの原料投入側の温度を35℃、及び混練物排出側の温度を30℃に設定した。
混練物はロートプレックスにて粗砕し、さらにその粗砕物を衝突板式粉砕機(IDS−2型、日本ニューマチック工業株式会社製)、ディスパージョンセパレータを用いて粉砕・分級を行い、体積平均粒子径が約8.0μmの未処理トナーを得た。
<トナー1の製造>
上記作製したトナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)を1.0部、外添剤1を0.4部添加し、サンプルミルにて10000rpmで30秒間ブレンドしてトナー1とした。
<トナー1の評価>
得られたトナー1の特性について、上述した評価テストによって評価した。評価結果の一覧を以下の表3に示す。
表3に示すように、トナー1は、評価テストの全10項目で、H/L特性は良好であり、低温低湿下での耐久後のカブリとハーフトーン抜けの2項目のみ「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。2項目「B」判定はあるが、使用に差し支えるレベルはなく、好適に使用可能である。この評価結果から、「B」判定以上が実用上問題なく使用可能であるとする判断基準に照らすと、トナー1は、常温常湿はもとより、低温低湿から高温高湿に至るまでの過酷な環境下においても、劣化耐性等に優れ、高品質なプリントが可能な静電荷像現像用トナーであることが確認できた。この結果は、トナー1に外添した本発明に係る外添剤1が併せもつ上述の物性に依存する特性によるものと考えられる。
実施例2.
<外添剤2の製造>
微粒子分散液作製工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤2を得た。
実施例1と同様に還流管を備えた反応容器にエタノール400部を入れ、35℃に制御し、150rpmで撹拌しているところに、テトラエトキシシラン(TEOS)60部を入れ30分撹拌した。その後蒸留水300部と40%メチルアミン水溶液24部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン60部を添加し、その後5時間35℃で撹拌し、固形分が3.98%であるシリカゾルを得た。
この外添剤2の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤2の物性の確認>
得られた外添剤2は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が198nm、実測比表面積(α)が15m/g、真密度が2.03g/cm、全光線透過率が80%、ヘイズ値が9.4%、粗大微粒子比率が2.8%、比表面積の比(α/β)が1.0、そして疎水化度が63%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤2の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例3.
<外添剤3の製造>
微粒子分散液作製工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤2を得た。
還流管を備えた反応容器にエタノール400部を入れ、35℃に制御し、150rpmで撹拌しているところに、テトラエトキシシラン(TEOS)20部(有機溶媒に対して0.05(g/g))を入れ30分撹拌した。その後蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、10分撹拌後、蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、10分撹拌後、蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。すなわち、テトラエトキシシラン20部を添加後、10分遅れて蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加する工程を6回行った。その後5時間35℃で撹拌し、固形分が3.98%であるシリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを遠心沈降により固液分離し、上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水200部を加え。シリカ粒子の水分散ゾルを得た。
この外添剤3の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤3の物性の確認>
得られた外添剤3は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が93nm、実測比表面積(α)が21m/g、真密度が1.98g/cm、全光線透過率が85%、ヘイズ値が2.9%、粗大微粒子比率が0.2%、比表面積の比(α/β)が0.6、そして疎水化度が67%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤3の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例4.
<外添剤4の製造>
以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤4を得た。
(1)微粒子分散液作製工程
微粒子分散液作製工程を以下に示す。
還流管を備えた反応容器にエタノール400部を入れ、35℃に制御し、150rpmで撹拌しているところに、テトラエトキシシラン(TEOS)60部(有機溶媒に対して0.15(g/g))を入れ30分撹拌した。その後蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温したテトラエトキシシラン60部を加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を35℃に加温後、添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温した蒸留水50部と40%メチルアミン水溶液4部の混合物を添加した。その後5時間35℃で撹拌し、固形分が3.98%であるシリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを遠心沈降により固液分離し、上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水200部を加え。シリカ粒子の水分散ゾルを得た。
(2)微粒子疎水化工程
微粒子疎水化工程における実施例1からの変更点は以下の通りである。
(イ)第5の工程の熱処理温度T2を100℃から118℃へ変更した。その結果、
(T1×t1)+(T2×t2)は970℃・hrから1096℃・hrに変わった。
(ロ)第5の工程で使用する溶媒を水からメチルイソブチルケトンに変更した。
この外添剤4の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤4の物性の確認>
得られた外添剤4は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が80nm、実測比表面積(α)が18m/g、真密度が1.94g/cm、全光線透過率が83%、ヘイズ値が8.8%、粗大微粒子比率が0.6%、比表面積の比(α/β)が0.5、そして疎水化度が58%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤4の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例5.
<外添剤5の製造>
外添剤5の製造方法は、実施例4の外添剤4の製造方法をベースに、微粒子分散液作製工程を下記ように変更したものである。微粒子疎水化工程に関しては、外添剤4の製造方法と同じである。
外添剤5の微粒子分散液作製工程を以下に示す。
還流管を備えた反応容器にエタノール400部を入れ、35℃に制御し、150rpmで撹拌しているところに、テトラエトキシシラン(TEOS)20部(有機溶媒に対して0.05(g/g))を入れ30分撹拌した。その後、35℃に加温された蒸留水150部と40%メチルアミン水溶液12部の混合物を添加した。反応溶液を35℃で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加えて1時間撹拌を行い、その後、35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を再度加え、35℃で1時間撹拌を行った。しかる後、35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を再度加え、10分撹拌後、35℃に加温した蒸留水150部と40%メチルアミン水溶液12部の混合物を添加した。さらに反応溶液35℃で1時間撹拌を行った後、35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加え、35℃に保った状態で1時間撹拌を行った後、再び35℃に加温したテトラエトキシシラン20部を加えた。その後5時間35℃で撹拌し、固形分が3.98%であるシリカゾルを得た。
得られたシリカゾルを遠心沈降により固液分離し、上澄み液をデカンテーションで除去した後、蒸留水200部を加え。シリカ粒子の水分散ゾルを得た。
この外添剤5の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤5の物性の確認>
得られた外添剤5は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が61nm、実測比表面積(α)が38m/g、真密度が2.00g/cm、全光線透過率が86%、ヘイズ値が4.1%、粗大微粒子比率が0.1%、比表面積の比(α/β)が0.8、そして疎水化度が62%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤5の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例6.
<外添剤6の製造>
微粒子疎水化工程の以下の点を変更した以外は、外添剤3と同様にして外添剤6を得た。
(イ)第4の工程の熱処理温度T1を90℃から60℃に下げた。
(ロ)第4の工程の熱処理時間t1を3時間から8時間に変更した。
(ハ)第5の工程を省いた。その結果、(T1×t1)+(T2×t2)は、970℃・hrから480℃・hrに変わった。
この外添剤6の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤6の物性の確認>
得られた外添剤6は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が98nm、実測比表面積(α)が26m/g、真密度が1.94g/cm、全光線透過率が88%、ヘイズ値が2.6%、粗大微粒子比率が0.2%、比表面積の比(α/β)が0.8、そして疎水化度が38%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤6の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例7.
<外添剤7の製造>
微粒子疎水化工程に関して以下の点を変更した以外は、外添剤3と同様にして外添剤7を得た。
(イ)第4の工程の熱処理温度T1を90℃から100℃に上げた。
(ロ)第4の工程の熱処理時間t1を3時間から8時間に変更した。
(ハ)第5の工程の熱処理温度T2を100℃から150℃に上げた。
(ハ)第5の工程の熱処理時間t2を7時間から12時間に変更した。その結果、
(T1×t1)+(T2×t2)は、970℃・hrから2600℃・hrに変わった。
(ニ)第5の工程で使用する溶媒を水からジイソブチルケトンに変更した。
この外添剤7の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤7の物性の確認>
得られた外添剤7は、上記手法による評価から、個数平均粒子径Dn50が95nm、実測比表面積(α)が16m/g、真密度が1.94g/cm、全光線透過率が83%、ヘイズ値が5.8%、粗大微粒子比率が1.1%、比表面積の比(α/β)が0.5、そして疎水化度が72%であり、上述のシリカ微粒子の物性(1)から(7)を満たすことを確認した。参考までに、外添剤7の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
<トナー2から7の製造>
外添剤の種類を外添剤1から外添剤2から7に代えた以外は、トナー1と同様にしてトナー2から7を得た。
<トナー2から7の評価>
トナー2から7について、トナー1と同様にして評価した。評価結果の一覧を以下の表3に示す。表3に示すように、トナー2から7についての評価は以下のようなものであった。
トナー2は、評価テストの全10項目のうち、H/L比は良好で、高温高湿下での耐久後の画像濃度のみ「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。1項目「B」判定はあるが、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能である。
トナー3は、評価テストのうち、H/L比は良好で、低温低湿耐久後のカブリと高温高湿耐久後のカブリの2項目のみ「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。2項目「B」判定はあるものの、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能である。
トナー4は、評価テストのうち、H/L比は良好で、低温低湿耐久後の画像濃度と高温高湿耐久後のカブリの2項目のみ「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。2項目「B」判定はあるものの、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能である。
トナー5は、評価テストのうち、H/L比は良好で、耐熱保管性の項目のみ「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。1項目「B」判定はあるものの、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能である。
トナー6は、評価テストのうち、H/L比は良好で、耐熱保管性、低温低湿耐久後の画像濃度、高温高湿耐久後のカブリ、ハーフトーン抜け、及び感光体フィルミングの5項目が「B」判定であり、残りの項目はすべて「A」判定であった。5項目「B」判定はあるものの、使用に差し支えるレベルはなく、好適に使用可能である。
トナー7は、評価テストのうち、H/L比は良好で、耐熱保管性とハーフトーン抜けの2項目が「B」判定であり、残りの項目はすべて「A」判定であった。2項目「B」判定はあるものの、使用に差し支えるレベルではなく、好適に使用可能である。
以上の評価結果から、「A」判定が好適に使用可能であり、「B」判定が十分に使用可能であるとする判断基準に照らすと、トナー2から7は、いずれも、常温常湿はもとより、低温低湿から高温高湿に至るまでの過酷な環境下においても、劣化耐性等に優れ、高品質なプリントが可能な静電荷像現像用トナーであることが確認できた。この結果は、トナーに外添した本発明に係る外添剤2から7が併せもつ上述の物性に依存する特性によるものと考えられる。
比較例1から4.
以下の比較例1から4は、外添剤として比較外添剤1から4を用いたこと以外実施例1と同様にしてトナーを作製したものである。外添剤及びトナーの評価方法も実施例1と同じである。従って、実施例と比較例の評価結果の差は、外添剤の差によるものである。
<比較外添剤1の製造>
微粒子分散作製成工程に関して以下の点を変更した以外は、外添剤4と同様にして比較外添剤1を得た。
(イ)第2の工程における蒸留水の量を50部から150部に変更した。
(ロ)第2の工程における40%メチルアミン水溶液の量を4部から12部に変更した。
(ハ)第3の工程を省いた。これらの変更により、固形分は3.98%から2.70%に下がった。又、ケイ素化合物及び塩基性化合物の添加回数m+nは2になった。
この比較外添剤1の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤1の物性の確認>
得られた比較外添剤1の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤1は、個数平均粒子径Dn50が132nm、実測比表面積(α)が31m/g、真密度が2.13g/cm、全光線透過率が72%、ヘイズ値が12.3%、粗大微粒子比率が3.2%、比表面積の比(α/β)が1.5、そして疎水化度が50%であった。この結果は、上述の物性(3)から(6)を満たさないことを確認した。
比較外添剤1が上述の物性(3)から(6)を満たさない理由としては、比較外添剤1では、本発明に係るトナー用外添剤の製造条件と異なり、ケイ素化合物や塩基性化合物をさらに添加、混合する第3の工程が省かれて、添加回数m+nが2になっていることに起因していると考えられる。
<比較外添剤2の製造>
微粒子分散作製成工程に関して以下の点を変更した以外は、外添剤4と同様にして比較外添剤2を得た。
(イ)第1の工程で使用する成分A1であるテトラエトキシシラン(TEOS)の量を、外添剤4を作製するときの60部から80部に変更した。
(ロ)第2の工程で使用する成分B1である40%メチルアミン水溶液の量を、外添剤4を作製するときの4部から16部に変更した。
(ハ)第2の工程で使用する水の量を、外添剤4を作製するときの50部から200部に変更した。
(ニ)第3の工程を、40部のTEOSからなる成分A2、8部の40%メチルアミン水溶液からなる成分B2、及び100部の水を添加、混合する1ステップの工程のみに変更した。尚、成分A2を添加してから、成分B2及び水を添加するまで10分の時間差を設けた。
以上の変更により、有機溶媒の量に対するケイ素化合物の一回に添加する最大の添加量の重量比(Ws/Wo)は、外添剤4のときの0.15から0.2に変わった。
この比較外添剤2の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤2の物性の確認>
得られた比較外添剤2の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤2は、個数平均粒子径Dn50が230nm、実測比表面積(α)が18m/g、真密度が2.00g/cm、全光線透過率が76%、ヘイズ値が14.8%、粗大微粒子比率が4.5%、比表面積の比(α/β)が1.4、そして疎水化度が43%であった。この結果は、上述の物性(1)、(4)、(5)及び(6)を満たさないことを確認した。
比較外添剤2が上述の物性(1)、(4)、(5)及び(6)を満たさない理由としては、比較外添剤2では、本発明に係るトナー用外添剤の製造条件と異なり、有機溶媒に対する一度に添加するケイ素化合物の最大の添加量の重量比(Ws/Wo)が、0.2に変わったことに起因していると考えられる。
<比較外添剤3の製造>
微粒子疎水化工程に関して以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様にして比較外添剤3を得た。
微粒子表面の極性基同士を結合させる第5の工程を省いた。その結果、
(T1×t1)+(T2×t2)は、970℃・hrから270℃・hrに変わった。
この比較外添剤3の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤3の物性の確認>
得られた比較外添剤3の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤3は、個数平均粒子径Dn50が121nm、実測比表面積(α)が26m/g、真密度が2.01g/cm、全光線透過率が80%、ヘイズ値が11.5%、粗大微粒子比率が3.6%、比表面積の比(α/β)が1.6、そして疎水化度が28%であった。この結果は、上述の物性(4)、(5)及び(7)を満たさないことを確認した。
比較外添剤3が上述の物性(4)、(5)及び(7)を満たさない理由としては、比較外添剤3では、本発明に係るトナー用外添剤の製造条件と異なり、第5の工程を省いたことと、その結果、微粒子表面の極性基同士を結合させて疎水化を起こすための熱量である(T1×t1)+(T2×t2)が480℃・hrを下回る270℃・hrになったことに起因していると考えられる。
<比較外添剤4の製造>
微粒子疎水化工程に関して以下の点を変更した以外は、外添剤1と同様にして比較外添剤4を得た。
(イ)第4の工程の熱処理温度T1を90℃から100℃に上げた。
(ロ)第4の工程の熱処理時間t1を3時間から12時間に伸ばした。
(ハ)第5の工程の熱処理温度T2を100℃から150℃に上げた。
(ハ)第5の工程の熱処理時間t2を7時間から15時間に伸ばした。その結果、
(T1×t1)+(T2×t2)は、970℃・hrから3450℃・hrに変わった。
(ニ)第5の工程で使用する溶媒を水からジイソブチルケトンに変更した。
<比較外添剤4の物性の確認>
得られた比較外添剤1の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤4は、個数平均粒子径Dn50が114nm、実測比表面積(α)が41m/g、真密度が2.11g/cm、全光線透過率が78%、ヘイズ値が20.3%、粗大微粒子比率が3.2%、比表面積の比(α/β)が1.6、そして疎水化度が75%であった。この結果は、上述の物性(2)から(5)を満たさないことを確認した。
比較外添剤4が上述の物性(2)から(5)を満たさない理由としては、比較外添剤4では、本発明に係るトナー用外添剤の製造条件と異なり、第4の工程の熱処理時間t1が8時間を超える12時間であり、第5の工程の熱処理時間t2も12時間を超える15時間であり、その結果、疎水化を起こすための熱量である(T1×t1)+(T2×t2)が2600℃・hrを上回る3450℃・hrになったことに起因していると考えられる。
<比較トナー1から4の製造>
外添剤の種類を外添剤1から比較外添剤1から4に代えた以外は、トナー1と同様にして比較トナー1から4を得た。
<比較トナー1から4の評価>
比較トナー1から4については、トナー1と同様にして評価した。判定結果の一覧を以下の表3に示す。表3に示すように、比較トナー1から4についての評価は以下のようなものであった。
比較トナー1は、評価テストの全10項目のうち、1項目が「A」判定、3項目が「B」判定、4項目が「C」判定、1項目が「D」判定、そしてH/L比も不適であった。「D」判定の判断基準によれば、この比較トナー1は、使用不可のレベルである。
比較トナー2は、評価テストのうち、2項目が「D」判定であった。「D」判定の判断基準によれば、この比較トナー2は、使用不可のレベルである。
比較トナー3は、評価テストのうち、1項目が「D」判定であった。「D」判定の判断基準によれば、この比較トナー3は、使用不可のレベルである。
比較トナー4は、評価テストのうち、全10項目のうち、4項目が「B」判定、5項目が「C」判定、そしてH/L比は良好であった。この比較トナー4は、「C」判定が全体の50%を占めることから、使用不可のレベルである。
以上の評価により、比較トナー1から4は、いずれも使用不可のレベルであり、本発明のトナー1から7よりも劣る特性をもつことを確認できた。この結果は、本発明のトナー1から7に外添された外添剤1から7がいずれも上述の物性(1)から(7)を併せもつのに対し、比較トナー1から4に外添された比較外添剤1から4が上述の物性(1)から(4)をも併せもたないことに起因しているためであると考えられる。
Figure 2017156393
Figure 2017156393
Figure 2017156393
尚、上述した実施例1から7では、外添剤1から7をトナー母粒子1に外添してトナー1から7を製造したが、このトナー母粒子1に外添される外添剤として外添剤1から7に加えて他の外添剤を外添してもよい。

Claims (15)

  1. 式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数が1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含むトナー用外添剤であって、
    前記微粒子は、
    (1)個数平均粒子径が60nm以上200nm以下であり、
    (2)ガス吸着法により測定される比表面積(α)が15m/g以上40m/g以下であり、
    (3)真密度が1.9g/cm以上2.1g/cm以下であり、
    (4)前記微粒子を厚さ100μmに成膜したときの膜の全光線透過率が80%以上、且つヘイズ値が10%以下である、
    ことを特徴とするトナー用外添剤。
  2. 前記微粒子は、前記微粒子を、倍率が1万倍、視野面積が110μmの条件で、走査型電子顕微鏡により観察して前記微粒子の外接円を求め、観察した視野の面積に対する、前記外接円の直径が1μm以上である外接円の面積の比を粗大微粒子の存在比率としたとき、前記粗大微粒子の存在比率が10視野分の平均で3%以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用外添剤。
  3. 前記微粒子は、個数平均粒子径から算出される比表面積(β)に対する前記比表面積(α)の比(α/β)が0.4以上1.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー用外添剤。
  4. 前記微粒子の表面の疎水化度は、30%以上80%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー用外添剤。
  5. 式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物を、有機溶媒を含む溶液に溶解させて、ケイ素化合物溶液を得る第1の工程、
    触媒としての塩基性化合物と前記ケイ素化合物溶液を、水を含む溶液中で混合して、混合液を得る第2の工程、
    前記混合液に、ケイ素化合物及び塩基性化合物の少なくとも1つをさらに添加、混合して微粒子分散液を得る操作を少なくとも1回行う第3の工程、
    を包含することを特徴とするトナー用外添剤の製造方法。
  6. 前記第3の工程において、ケイ素化合物及び塩基性化合物の両方を添加する場合、前記ケイ素化合物、前記塩基性化合物の順に添加が行われることを特徴とする請求項5に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  7. 前記第1の工程における有機溶媒の重量をWoとし、前記第1の工程及び前記第3の工程中で1回に添加する前記ケイ素化合物の最大の重量をWsとしたときの重量比(Ws/Wo)は、0.15以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  8. 前記微粒子分散液から、前記塩基性化合物を除去する第4の工程をさらに包含することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  9. 前記第4の工程は、除去温度(T1)が60℃以上100℃以下、除去時間(t1)は8時間以下で行われることを特徴とする請求項8に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  10. 前記第4の工程により得られた微粒子に対して、該微粒子の表面の極性基同士を結合する疎水化処理を行って第1の疎水化微粒子を得る第5の工程をさらに包含することを特徴とする請求項8又は9に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  11. 前記第5の工程は、処理温度(T2)が80℃以上150℃以下、処理時間(t2)は12時間以下で行われることを特徴とする請求項10に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  12. 前記第4の工程における前記除去温度(T1)及び前記除去時間(t1)、並びに前記第5の工程における前記処理温度(T2)及び前記処理時間(t2)が、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項11に記載のトナー用外添剤の製造方法。
    480≦(T1×t1)+(T2×t2)≦2600
  13. 前記微粒子の疎水化処理剤として、式:R SiNHSiR (但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラザン化合物、及び、式:R SiX(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である)で示されるシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を用いて、前記第1の疎水化微粒子の表面をさらに疎水化することにより、第2の疎水化微粒子を得る第6の工程をさらに包含することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のトナー用外添剤の製造方法。
  14. 請求項5から13のいずれか1項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするトナー用外添剤。
  15. 請求項1から4、14のいずれか1項に記載のトナー用外添剤を含むことを特徴とするトナー。
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CN111474084A (zh) * 2020-04-07 2020-07-31 河北科技大学 一种硅溶胶中二氧化硅颗粒的致密度的表征方法

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