JP2017142319A - トナー用外添剤及びトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】微粒子の強度、帯電性、流動性が適度に確保され、トナー粒子への付着性が強く、且つ低温低湿というような過酷な環境下での長期使用でも、部材汚染等起因の画像欠陥を抑制できるトナー用外添剤を提供する。【解決手段】トナー用外添剤は、式:Si(OR1)4(各R1は炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含む。該微粒子は、(1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下、(2)気相置換法による真比重が1.90以上2.10以下、(3)該真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下、(4)該真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下、という物性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法などにより画像を形成する複写機等の画像形成装置に用いられるトナーに外添して使用されるトナー用外添剤、及び該トナー用外添剤を含むトナーに関する。
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電工程、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電荷像を現像し、転写工程、定着工程を経て、その静電荷像が可視化される。
ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られているが、いずれも、トナーの流動性やクリーニング性を改善するための無機化合物や有機化合物からなる微粒子がトナー粒子表面に添加される。このような微粒子は、トナー用外添剤(以下、単に外添剤という場合がある)と呼ばれる。トナー粒子と外添剤とは、静電気力(クーロン力)と物理的な作用(ファンデルワールス力)によって付着している。このうちクーロン力の影響が大きい。
近年、電子写真法の技術は高速化、低エネルギー消費の方向に進んでおり、それに対応するために、トナーを従来よりも軟化させる方向で設計するようになってきた。それに伴い、トナーには従来よりも高い劣化耐性技術が求められるようになった。それは、例えばトナーが高い劣化耐性をもたないと、使用開始直後から終了時までトナーの転写効率を高い状態に維持できないからである。その対策の一つとして、大粒径外添剤によるトナーの劣化抑制技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
外添剤として、小粒径外添剤と大粒径外添剤を併用すると、トナー粒子表面に付着した大粒径外添剤の存在により、その近傍の、トナー粒子表面上に付着した小粒径外添剤が直接、せん断力や衝撃力などの外力を受ける頻度が低下する。このことにより小粒径外添剤がトナー粒子表面に埋没することを防止できる(スペーサ効果)ので、トナーの劣化を抑制できる。又、大粒径外添剤を外添することで、感光体からトナーが離れ易くなり、感光体上に載ったトナーが速やかに紙上に転写される。転写効率を高い状態に維持できることから、大粒径外添剤は転写助剤としても機能する。
スペーサ効果が期待される大粒径外添剤にも、数nmから30nm程度の小粒径外添剤と同様に、従来の燃焼法を適用して製造されたシリカ粒子が使用されてきた(例えば、特許文献2参照)。その後、近年においては、ゾルゲル法によって粒度分布の揃った大粒子径の球形シリカ粒子が得られるようになってきたことから、平均粒子径が50nmから150nm程度の球形シリカ粒子を外添剤として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。球形シリカは分散性が良好であるため、均一にトナー粒子に付着しトナーの劣化耐性を高めることができる。又、角がないため、感光体の変質や不均一な削れの抑制にもつながる。
しかし、球形シリカ粒子の場合でもその粒子径を大きくすると、シリカ粒子の単位質量当たりの表面積(以下、比表面積という)が減少するので帯電量が減り、シリカ粒子とトナー粒子との間に作用するクーロン力が相対的に弱まる。又、形状が不定形のシリカ粒子と比べると、その形状に起因して、シリカ粒子とトナー粒子の接触面積が小さくなるため、シリカ粒子とトナー粒子との付着力が低下する。そのため、シリカ粒子はトナー粒子から外れ易くなる。シリカ粒子がトナー粒子から外れると、外れたシリカ粒子やトナー粒子によって感光体、帯電ロール、現像ロールの汚染やクリーニングブレードの欠けが発生し、その部材汚染等に起因した画像欠陥を引き起こすことが知られている(例えば、特許文献3参照)。
シリカ粒子のトナー粒子への付着力は、上述のように外添剤の帯電量に影響される。トナーや電子写真システムが使用される環境は、低温低湿から高温高湿まで様々であり、さらにその環境は、使用開始時から終了時に至るまで経時的に変化し得る。この環境変化によってトナーやシリカ粒子の帯電量が変わる。低温低湿では、通常の環境下よりも帯電量が過剰に高くなって、トナー粒子に付着していた外添剤粒子が他のものに移行することがあり、それによって画像劣化が起こる。高温高湿では、帯電量が低下してシリカ粒子のトナー粒子への付着力が低下してトナー粒子から遊離することによって、トナー粒子の劣化耐性が低下するだけでなく、外れたシリカ粒子が感光体表面上に付着し、熱によって感光体表面上に融着して膜が形成されるフィルミングが生じる場合がある。このフィルミングも画像欠陥の一因となる。
このように、トナーや外添剤として用いられるシリカ粒子は、低温低湿や高温高湿の環境下で様々な要因の影響を受けるため、その影響によって画像欠陥が発生することがあった。
トナー製造工程でのトナー粒子、及び得られたトナーの劣化抑制を目的として、特定の大きさの大粒径シリカ微粒子を添加する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、実施例中に記載の外添剤の真比重に代表される物性は従来技術と同等であり、その特性を最大限に活かした物性の最適化は行われてはおらず、この技術には改善の余地が残されていた。このような状況から、トナー粒子への付着性が高く、且つ部材汚染の少ない大粒径シリカ微粒子及びそれを含むトナーが待望されている。
特開平06−027718号公報 特開平11−143118号公報 特開2007−264142号公報 特開2012−163623号公報
上述したように、トナー用外添剤として大粒子径の球形シリカ粒子は不定形シリカ粒子よりも有利である。
しかし、従来の大粒子径の球形シリカ粒子は、トナー粒子への付着力が十分ではない上に、外添時にトナー粒子に機械的ダメージを与えやすく、トナーの劣化や画像欠陥及び部材汚染が発生しやすいという問題があった。特に、シリカ微粒子の帯電量が大きく変化する低温低湿や高温高湿といった過酷環境下での長期使用では、これらの問題が顕在化する。そのため、そのような状況下では特に、部材汚染や画像欠陥が実用上十分に少なく、画質の高い印刷を行うことが難しかった。
本発明は、従来における上記諸問題を解決するものであって、機械的強度、帯電性、流動性が適度に確保されるように、シリカ微粒子の物性を規定することにより、トナー粒子への付着性が強く、且つ低温低湿というような過酷な環境下での長期使用においても、トナーの劣化や部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できるトナー用外添剤、及び、該トナー用外添剤を含むトナーを提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数が1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含むトナー用外添剤であって、
前記微粒子は、
(1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、
(2)気相置換法により測定される真比重が1.90以上2.10以下であり、
(3)所定の比重の溶液中で比重差により微粒子を分画し、所定の比重領域に含まれる微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下であり、
(4)前記微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下である、
ことを特徴とするトナー用外添剤。
(構成2)
前記微粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積(α)が13m/g以上80m/g以下であり、
個数平均粒子径から算出される比表面積(β)に対する前記比表面積(α)の比(α/β)が0.85以上1.75以下であることを特徴とする構成1に記載のトナー用外添剤。
(構成3)
前記微粒子は、加熱減量が3重量%以上10重量%以下であることを特徴とする構成1又は2に記載のトナー用外添剤。
(構成4)
構成1から3のいずれか1項に記載のトナー用外添剤を含むことを特徴とするトナー。
本発明に係るトナー用外添剤によれば、上述した式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である)で示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含むトナー用外添剤である。この微粒子は、(1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、(2)気相置換法により測定される真比重が1.90以上2.10以下であり、(3)所定の比重の溶液中で比重差により微粒子を分画し、所定の比重領域に含まれる微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下であり、(4)前記微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下である。
このように、微粒子が(1)から(4)の物性を併せもち、特に、(3)と(4)で規定された比重分布を有することにより、この微粒子を含むトナー用外添剤は、以下のような効果を奏する。
(i)このシリカ微粒子は、適切な範囲の個数平均粒子径を有するため、トナー粒子表面に付着したときに十分なスペーサ効果を発揮するとともに、適度な帯電性も併せもつ。このため、このシリカ微粒子は、高い流動性をもつとともに、低温低湿や高温高湿といった過酷な環境下でも、トナーの劣化を抑制できる外添剤となる。
(ii)このシリカ微粒子は、上述の範囲の適度な真比重を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が小さく、トナーの劣化が抑制される。又、微粒子の機械的強度も適度なものとなることから、十分な耐久性を有しつつ、微粒子による部材の削れや汚染を抑制できる。
(iii)このシリカ微粒子は、上述の範囲の適切な分散の比重分布を有するので、実用上十分な強度をもち、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が小さく、さらに帯電量の分布幅も狭い。このため、十分な耐久性や流動性を保ちつつトナー粒子へのダメージを緩和でき、低温低湿や高温高湿などの過酷環境下での使用や長期使用でのトナーの劣化、及び部材汚染が抑制される。
これらのことから、このトナー用外添剤は、低温低湿や高温高湿というような過酷な環境下でも、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
この実施の形態によるトナーによれば、上述のトナー用外添剤を用いる。従って、このトナーは、低温低湿や高温高湿というような過酷な環境下でも従来よりも高い劣化耐性をもつ。又、そのような過酷な環境下でも、感光体上のトナー融着の発生は極めて少なく、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について、具体的に説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
A.トナー用外添剤
この実施の形態によるトナー用外添剤は、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含み、この微粒子は、
(1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、
(2)気相置換法により測定される真比重が1.90以上2.10以下であり、
(3)所定の比重の溶液中で比重差により微粒子を分画し、所定の比重領域に含まれる微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下であり、
(4)前記微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下であるという物性を有する。
微粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようなケイ素化合物を単独又は適宜組み合わせて行うケイ素化合物の縮重合反応によって、上述の式で示されるケイ素化合物のORで示されるアルコキシ基の一部がOH基となり、OH基となった部分同士が縮合してHOが脱離し、シラノール基を経てSi−O−Si結合を生じる一連の過程によって得られるシリカポリマーからなる微粒子(以下、シリカ微粒子という)が形成される。このように形成されたシリカ微粒子は、そのシリカポリマーの強度に依存した、外添剤として必要な強度をもつ。又、上述の縮重合反応後においては、シリカ微粒子表面の一部にOH基が残った状態となっていが、このシリカ微粒子表面に残ったOH基を疎水基と結合させることにより、シリカ微粒子表面は、トナー用外添剤として適度な状態に疎水化され得る。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(1)の平均粒子径の数値範囲は、個数平均粒子径の数値範囲である。この数値範囲は、シリカ微粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着性をシリカ微粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度の、シリカ微粒子の適切な粒子径を示している。
物性(1)の平均粒子径の数値範囲は、上述のように、50nm以上250nm以下であり、好ましくは、70nm以上230nm以下である。
ここで、シリカ微粒子の平均粒子径が50nmを下回ると、粒子径が小さいものも混在することになるため、極めて小さな粒子径のものはスペーサ効果を十分に発揮できない点で好ましくない。又、シリカ微粒子の平均粒子径が250nmを上回ると、極めて大きな粒子径のものも混在することになるため、帯電量が減少し、トナー粒子への付着力が低下し、スペーサ効果を発揮する外添剤の比率が低下する点で好ましくない。
物性(1)の平均粒子径は、動的光散乱法によって測定されるシリカ微粒子の粒度分布から求めることができる。動的光散乱法は、レーザー光をシリカ微粒子に照射し、得られた散乱光の時間的ゆらぎがシリカ微粒子のブラウン運動によって変わることを利用して、粒度分布を求める方法である。微粒子のブラウン運動の速さはその微粒子の大きさに依存する。
動的光散乱法によってシリカ微粒子の粒度分布を測定するために使用される測定装置としては、例えば、動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして粒度分布を測定し、平均粒子径を求めることができる。
所定量のシリカ微粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ微粒子を分散させた分散液を得る。この分散液をガラス製の測定セルに入れ、その測定セルを測定装置に装着する。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度の変化を測定する。この散乱光強度の時間的変化(ゆらぎ)から求めた粒子径分布を、縦軸に個数頻度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表したときに、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を平均粒子径とする。
尚、平均粒子径は、上述の動的光散乱法に限らず、これ以外のレーザー回折・散乱法、画像イメージング法などの周知の方法によっても求めることができる。ここで、本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法以外の測定方法から求められる粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた動的光散乱法によって粒度分布が測定され、その測定結果から求められる平均粒子径が物性(1)の平均粒子径の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(1)をもつものとして認識することができる。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(2)は、シリカ微粒子の体積とその質量の各測定値から算出される、シリカ微粒子群の平均の比重の範囲であり、気相置換法(定容積膨張法)により測定される。この数値範囲は、従来のシリカ系外添剤の代表値(2.2程度)より低い値である。本発明のシリカ粒子は、同じ大きさの従来のシリカ系外添剤より軽いため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力は従来よりも少なく、トナーの劣化を抑制できる。
物性(2)の気相置換法により測定される真比重(以下、真比重とも呼ぶ)の数値範囲は、上述のように、1.9以上2.1以下である。
ここで、真比重が1.9を下回ると、シリカ一粒子あたりの重量が軽くなるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力は小さくなるが、シリカ微粒子自体の強度が低下するので好ましくない。又、真比重が2.1を上回ると、シリカ一粒子あたりの重量が重くなるため、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が大きくなり、好ましくない。
物性(2)の真比重を測定するための装置としては、例えば、乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を挙げることができる。この密度計を用いた場合、所定量のシリカ微粒子を密度計内に入れて真比重を自動測定することができる。
尚、真比重は、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(2)の真比重の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた方法によって測定され、その測定結果が物性(2)の真比重の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(2)をもつものとして認識することができる。
上述のシリカ微粒子が併せもつ物性のうち、物性(3)と(4)は、前述の真比重値を基準とした比重分布を規定している。そして、その比重分布は、所定の比重の溶液中で比重差によりシリカ微粒子を分画し、所定の比重に含まれるシリカ微粒子の比率を測定することにより求められる。
その数値範囲は、物性(3)では、真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる成分の比率が0.5重量%以上9重量%以下、物性(4)では、真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる成分の比率が0.5重量%以上6重量%以下となっている。
これらの比重分布の数値範囲は、実験に基づく詳細な検討の結果得られたものであり、シリカ微粒子が物性(3)と(4)を満たすことにより、シリカ微粒子は、実用上十分な強度を有しながら外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が小さく、帯電量の分布幅も狭いものとなる。このため、十分な耐久性や流動性を保ちつつトナー粒子へのダメージを緩和でき、低温低湿や高温高湿などの過酷環境下での使用や長期使用によるトナーの劣化や、部材の汚染が抑制される。
詳細には、真比重に対して95%を超え100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%未満の場合、想定以上の力が瞬間的にトナーに作用するとトナーを劣化させやすく、9重量%を超えるとフィルミングが悪化する。真比重に対する比重が前述の範囲にあると、想定以上の力がトナーに作用するときにこの数値範囲内の外添剤が優先的に破壊され、この犠牲的な働きによってトナーの劣化が抑制されるものと発明者らは考えている。
又、同様に、真比重に対して90%を超え95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%未満の場合、想定以上の力が瞬間的にトナーに作用するとトナーを劣化させやすく、6重量%を超えるとフィルミングが悪化する。
本願の比重分布の規定の仕方の1つの特徴は、真比重に対して95%を超えて100%以下の比重領域と、90%を超えて95%以下の比重領域という2つの領域のみの規定となっていることである。代表値となる2つの領域のみの規定であるため、比重分布の測定が簡便化され、効率的に特性を把握できる。
物性(3)及び(4)の比重領域に含まれる成分の比率は、下記のようにして測定する。まず、真比重の値(d1.001.00)を基準として、基準の比重(d1.001.00)の水溶液と、d1.001.00の0.95倍の比重(d0.95)の水溶液と、d1.00の0.9倍の比重(d0.90)の水溶液の3つ(3水準)の水溶液を準備する。この3つの水溶液の各々に、精秤した外添剤であるシリカ微粒子を添加し、各液中にシリカ微粒子を分散させる。このとき、シリカ微粒子の凝集を防止して、シリカ微粒子が各水溶液に十分に分散するように、シリカ微粒子を界面活性剤及びアセトンなどの有機溶媒を含有する液体に浸潤させて、その表面をあらかじめ親水性化させておくことが望ましい。又、シリカ微粒子が添加された各水準の水溶液に対しては、超音波を印加し、分散を促進させることが望ましい。
一次粒子にまで分散されたことを確認した後、遠心分離法で固液分離を行う。一次粒子にまで分散されたことの確認は、例えば、粒度分布測定装置やSEMなどで行う。粒度分布測定装置の例としては、ELSZ1000ZS(大塚電子株式会社製)があり、SEMの例としては、SU8020(日立製作所製)がある。その後、上澄みのデカンテーションと、イオン交換水などを用いた洗浄を複数回繰り返す。十分な洗浄が終わった後で、フリーズドライ法などで沈降したシリカ微粒子を乾燥させ、乾燥したシリカ微粒子の重量を精秤する。
その後、上述の3水準の水溶液を用いて得られた各沈降微粒子の重量を用いて、物性(3)及び(4)の各比重領域における成分比率を計算により求める。
具体的には、下記のようにして、各比重領域における成分比率を求める。ここで、各測定における微粒子の総重量Wは、上記3水準の比重の水溶液を用いた各々の測定に対して、全て同じ値にしておくと簡単化される。
真比重d1.00に対して、比重が95%を超えて100%以下の比重領域dr0.95に含まれる比率は、真比重d1.001.00の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W1.01.000から、真比重d1.001.00の0.95倍である比重(d0.95)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.95を引き、その差重量(W1.01.000−W0.95)を微粒子の総重量Wで割って求める。
同様にして、真比重d1.001.00に対して、比重が90%を超えて95%以下の比重領域dr0.90に含まれる比率は、真比重d1.00の0.95倍である比重(d0.95)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.95から、真比重d1.00の0.90倍である比重(d0.90)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.90を引き、その差重量(W0.95−W0.90)を微粒子の総重量Wで割って求める。
尚、上記2つの領域に区分された比重分布は、上述の方法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の方法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(3)及び(4)の比重分布の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の方法によって測定され、その測定結果が物性(3)及び(4)の比重分布の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(3)及び(4)をもつものとして認識することができる。
上述の物性(1)から(4)を併せもつシリカ微粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積(α)が13m/g以上80m/g以下であり、且つ、個数平均粒子径から算出される比表面積(β)に対する前記比表面積(α)の比(α/β)が0.85以上1.75以下であるという物性(以下、物性(5)という)をさらにもつことが望ましい。
このガス吸着法によって測定された比表面積(α)の測定値の数値範囲は、シリカ微粒子がトナー粒子に外添されたときに、トナーの劣化抑制に寄与するに十分なトナー粒子への付着力をシリカ微粒子に付与でき、且つ、スペーサ効果を発揮できる程度のシリカ微粒子の適切な表面構造及び粒子径の大きさを示している。そして、その比表面積(α)の数値範囲は、上述のように13m/g以上80m/g以下であり、さらに好ましくは20m/g以上75m/g以下である。
ここで、比表面積(α)が13m/gを下回ると、シリカ微粒子の粒子径が大きくなりすぎるため、シリカ微粒子の帯電量が減少し、トナー粒子への付着力が低下する。その結果、トナー粒子から十分なスペーサ効果を発揮するシリカ粒子が脱離し、トナーの保管安定性が低下するとともに、感光体、帯電ロール、現像ロールの汚染やクリーニングブレード欠けの原因となる。
又、比表面積(α)が80m/gを上回ると、シリカ微粒子の表面には多くの微細な凹凸部分が生じ、シリカ微粒子の強度が低下すると共に、外添剤による部材の削れや汚染を引き起こしやすくなる。
物性(5)の比表面積(α)を測定するために用いられるガス吸着法は、例えば、測定セル内にシリカ微粒子を入れ、吸着用ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、吸着用ガスをシリカ微粒子表面に接触するように流し、液体窒素温度まで冷却することで、吸着用ガスを微粒子表面に吸着させ、その後、室温まで戻すことで、微粒子表面に吸着した吸着用ガスを脱離させる方法である。吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも低いときはガス吸着過程にある。ガス吸着時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より低下し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。又、吸着用ガスの相対圧力がその初期値よりも高いときはガス脱離過程にある。ガス脱離時間は、吸着用ガスの相対圧力が初期値より上昇し始めてから、初期値に戻るまでの時間である。
この方法は、冷却時の吸着用ガスがシリカ微粒子表面に単分子層状に吸着されることを利用していて、ガス吸着時間やガス脱離時間は、微粒子の比表面積に比例する。例えば、ガス吸着時間からシリカ微粒子の比表面積(α)を求めるためには、縦軸に窒素ガスの相対圧力をとり、横軸に時間をとるときに、相対圧力が初期値より減少するガス吸着過程を示す略U字状の曲線と、相対圧力が初期値より増加するガス脱離過程を示す略逆U字状の曲線を含むプロファイルを得る。得られたプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ微粒子の比表面積(α)を算出することができる。
尚、上述の吸着用ガスとしては、例えば液体窒素温度で、上述のシリカ微粒子とガス分子との間のファンデルワールス力によって、シリカ微粒子表面に単分子層状にガス分子が吸着されるガスであればいかなるガスを用いてもよい。具体的には、吸着用ガスとしては、窒素ガス、クリプトンガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどを挙げることができ、これらのガスから1種又はそれ以上選択して使用することができる。一般に、このガス吸着法はBET法と呼ばれる。
吸着用ガスとして窒素ガスを用い、BET法によってシリカ微粒子の比表面積(α)を求めるために使用される測定装置としては、例えば、BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、例えば、測定セルとしては、ガス導入口とガス排出口を有する略U字状のものを用い、測定セルに流すガスとしては、例えば、窒素ガス(吸着用ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガスを用いることができる。
尚、比表面積は、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(5)の比表面積(α)の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いたガス吸着法によって測定され、その測定結果が物性(5)の比表面積(α)の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(5)の比表面積(α)をもつものとして認識することができる。
平均粒子径から算出される理論値である比表面積(β)(単位はm/g)は、シリカ微粒子の平均粒子径をDn50(単位はnm)、真密度をρ(単位はg/cm)としたときに、下記の式で算出される。
β={6/(Dn50×ρ)}×1000 ・・・(式1)
そして、上述のように、物性(1)から(4)を併せもつシリカ粒子は、平均粒子径から算出される理論値である比表面積(β)に対して、測定値である比表面積(α)の比をとった比表面積の比(α/β)が、0.85以上1.75以下であるという物性をもつことが望ましい。
比表面積の比(α/β)が0.85を下回ると、シリカ微粒子は、粒子径が小さくなりすぎ、スペーサ効果を十分に発揮できなくなるので好ましくない。又、比表面積の比(α/β)が1.75を上回ると、シリカ微粒子の表面に電荷が異常集中し易い尖った角部分が生じる。その電荷の異常集中した部分が感光体等の部材に強く付着し、感光体の変質や削れ、及び、感光体・帯電ロール・現像ロールなどへの部材汚染を引き起こすことがあるので好ましくない。
又、この比表面積の比(α/β)をもつシリカ微粒子は、従来よりも低い上述の物性(2)の数値範囲の真密度を併せもつので、従来よりも軽量であっても、トナー用外添剤としての必要強度を維持することができる。
物性(1)から(4)を併せもつシリカ粒子、又は、物性(1)から(4)に物性(5)を併せもつシリカ粒子は、室温から昇温したときの加熱減量が3重量%以上10重量%以下であるという物性(以下、物性(6)という)をもつことが望ましい。ここで、室温は、一般的に23℃であるが、20℃から25℃の範囲であれば構わない。昇温到達温度は、シリカ微粒子の材料や製法によって値は多少変わり得るがそれらは支配的なものではなく、代表的には、500℃である。
物性(6)の加熱減量は、室温でのシリカ微粒子の乾燥重量に対する、代表的な値でいって、500℃でのシリカ微粒子の乾燥重量の減量割合であり、その減少分は、主に、シリカ微粒子内部に保持される水分量と、ケイ素化合物の縮重合反応に与らなかった反応残渣量に相当すると考えられる。シリカ微粒子内部に保持される水分量は帯電性に影響を与え、その帯電性はトナー粒子への付着性に影響を与える。従って、この数値範囲は、トナー粒子への付着性を適切なレベルにしてトナーの劣化を抑制でき、又、特に低温低湿下で、シリカ微粒子に対して過剰に電荷が与えられた場合でも水分量が適度に保持されることで、過剰帯電(チャージアップ)を抑制して画像劣化を抑制でき、さらに、部材汚染の原因となる感光体表面上へのトナー融着現象や現像部材上での下層形成の発生などを抑制して画像劣化を抑制できる程度のシリカ微粒子の適切な帯電量を示している。
物性(6)のシリカ微粒子の加熱減量は、上述のように、3重量%以上10重量%である。
ここで、加熱減量が3重量%を下回ると、シリカ微粒子の帯電量が高くなりすぎるため、感光体表面上へのトナー融着現象や現像部材上への下層形成の発生などを抑制できず画像劣化を十分に抑制できない点で好ましくない。又、加熱減量が10重量%を上回ると、シリカ微粒子の帯電量が低くなりすぎて、シリカ微粒子がトナー粒子から離脱し易くなり、トナーの劣化を抑制することが困難になる。特に、低温低湿の環境下で、シリカ微粒子に対して過剰に電荷が与えられた場合に、過剰帯電(チャージアップ)を抑制できないことから、画像劣化が起こりやすくなる点で好ましくない。さらに、加熱減量が10重量%を上回るレベルでは、ケイ素化合物の縮重合反応に与らなかった反応残渣量が多すぎるため、その反応によって形成されるシリカ微粒子自体の強度が低下する可能性がある点でも好ましくない。
物性(6)の加熱減量は、示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によって測定することができる。
示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によってシリカ微粒子の加熱減量を測定するために使用される測定装置としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA6200を挙げることができる。この測定装置を用いた場合、以下のようにして加熱減量を測定することができる。
アルゴン雰囲気中で、所定量のシリカ微粒子をアルミ容器に入れ、室温から500℃まで、10℃/分の昇温速度で加熱する。加熱中のアルミ容器の重量は装置内部にある精密天秤により秤量されている。そして、加熱前の質量に対する加熱後の質量の減量割合(加熱減量)を算出する。
尚、加熱減量は、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)以外の方法によっても測定することができる。本発明のシリカ微粒子以外の特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)以外の測定方法によって測定され、その測定結果が物性(6)の加熱減量の数値範囲と異なる場合であっても、当該特定のシリカ微粒子について、上述の測定装置及び測定条件を用いた示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)によって測定され、その測定結果が物性(6)の加熱減量の数値範囲に含まれるときは、当該特定のシリカ微粒子は物性(6)をもつものとして認識することができる。
尚、この実施の形態によるトナー用外添剤は、上述の物性を併せもつシリカ微粒子に加え、このシリカ微粒子とは別の材料で形成された微粒子を含めることができる。別の材料で形成された微粒子としては、上述の物性を併せもつ上述のシリカ微粒子の特性を損なわない限り、いかなる材料で形成された微粒子であっても使用可能である。例えば、上述の物性を併せもつシリカ微粒子よりも小粒子径のシリカ微粒子を挙げることができる。小粒子径のシリカ微粒子としては、トナーに流動性を付与するために外添される表面に疎水基を有する疎水性シリカ微粒子を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
B.トナー用外添剤の製造方法
このトナー用外添剤の製造方法は、微粒子形成工程、微粒子回収工程、及び微粒子疎水化工程を含む。尚、この製造方法は、上述のAで説明した物性を併せもつシリカ微粒子を製造することができる製造方法の一例である。
以下、工程ごとに説明する。
1.微粒子形成工程
この微粒子形成工程は、式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されたケイ素化合物を含むケイ素含有成分と塩基性化合物を含む触媒含有成分とを混合し、ケイ素含有成分と触媒含有成分との混合溶液中で、ケイ素化合物を縮重合反応させてシリカ微粒子の分散液を形成する工程である。
この微粒子形成工程におけるケイ素化合物の縮重合反応は、混合ステップ、第一の反応工程(以下、第一反応ステップという場合がある)、第二の反応工程(以下、第二反応ステップという場合がある)を経て進行する。
以下、微粒子形成工程をステップごとに説明する。
先ず、混合ステップに先立ち、その事前準備として、以下のようにして、ケイ素含有成分と触媒含有成分を個別に調製する。
<(i)ケイ素含有成分の調製>
ケイ素含有成分は、上述の式で示されるケイ素化合物と、有機溶媒を含む溶液である。
シリカ微粒子の原材料であるケイ素化合物は、上述の式で示される四官能シラン化合物又はその加水分解縮合物を含む。上述の四官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのシラン化合物(モノマー成分)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上述の四官能シラン化合物の加水分解縮合物としては、上述の四官能シラン化合物中の加水分解性基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)を縮合して得られる加水分解縮合物(ダイマーやオリゴマーなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有成分中のケイ素化合物の含有率は、ケイ素化合物の種類、使用可能なレベルのシリカ微粒子を得るために必要なケイ素化合物の配合量などを考慮して適宜決められる。具体的には、混合溶液全体に対するケイ素化合物の含有率は、1重量%以上50重量%以下であり、好ましくは、3重量%以上45重量%以下である。ケイ素化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、混合溶液中に含有するケイ素化合物の絶対量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ微粒子の原材料が不足し、使用に耐え得るシリカ微粒子を製造することが困難となる点で好ましくない。又、上限値の50重量%を上回ると、ケイ素化合物の含有量が多すぎるため、縮重合反応に与らないケイ素化合物の反応残渣が混合溶液中に残存する可能性がある点で好ましくない。
有機溶媒としては、使用されるケイ素化合物の種類、触媒含有成分との相溶性などを考慮して適宜決められる。具体的には、有機溶媒としては、プロトン型溶媒、非プロトン型溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。プロトン型溶媒としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。非プロトン型溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
又、ケイ素含有成分にプロトン型溶媒と非プロトン型溶媒を共存させる場合、両溶媒のバランスがケイ素化合物の縮重合反応を進行させる上で重要である。非プロトン型溶媒とプロトン型溶媒の含有割合(重量比)は、1:99から99:1であり、好ましくは、5:95から95:5である。両溶媒の含有割合がその下限値や上限値を外れると、両溶媒のバランスが悪く、ケイ素化合物の縮重合反応の進行に支障を与える可能性がある点で好ましくない。
<(ii)触媒含有成分の調製>
触媒含有成分は、上述の塩基性化合物と、上述のケイ素含有成分との相溶性を示す溶媒を含む溶液である。
塩基性化合物としては、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、溶媒としては、水、メタノール、エタノールなどの水性溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
触媒含有成分中の塩基性化合物の含有率は、使用されるケイ素化合物との相溶性、使用可能なレベルのシリカ微粒子を得るために必要な混合溶液全体に対するケイ素化合物の配合量などを考慮して決められる。具体的には、塩基性化合物の含有率は、1重量%以上40重量%以下であり、好ましくは、3重量%以上30重量%以下である。塩基性化合物の含有率が下限値の1重量%を下回ると、塩基性化合物の含有量が少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応を触媒するのに必要な塩基性化合物の含有量が不足する点で好ましくない。上限値の40重量%を上回ると、塩基性化合物の含有量が多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
上述のケイ素含有成分と触媒含有成分は、それぞれ個別に調製する。各成分の調製量は、使用可能なレベルのシリカ微粒子を得るために必要な両成分の配合割合に応じて決められる。
混合溶液中でのケイ素含有成分と触媒含有成分の配合割合(重量比)は、10:90から90:10であり、好ましくは、30:70から85:15である。混合溶液全体に対するケイ素含有成分の配合量が少ないと、ケイ素化合物の縮重合反応によって製造されるシリカ微粒子の原材料が不足する点で好ましくない。逆に、混合溶液全体に対する触媒含有成分の配合量が少ないと、ケイ素化合物の縮重合反応の進行に必要な触媒が不足する点で好ましくない。
<a.混合ステップ>
この混合ステップは、ケイ素化合物の縮重合反応の初期段階であり、ケイ素含有成分の温度TAと触媒含有成分(塩基性化合物成分)の温度TBを混合する前に調整しておく。
ここで、ケイ素含有成分の温度TAは、2℃以上60℃以下であり、好ましくは、5℃以上45℃以下である。温度TAが2℃を下回ると、反応温度が低すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなること、個数平均粒子径Dn50、及び比表面積比α/βを所望の範囲に制御しにくくなる点で好ましくない。温度TAが60℃を上回ると、反応温度が高すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難となること、個数平均粒子径Dn50、及び比表面積比α/βを所望の範囲に制御しにくくなる点で好ましくない。
又、触媒含有成分の温度TBは、2℃以上60℃以下であり、好ましくは、5℃以上45℃以下であり、ケイ素含有成分の温度TAと同温がさらに望ましい。
次に、ケイ素含有成分と触媒含有成分を混合する際には、ケイ素含有成分に対して触媒含有成分を添加して両成分を混合する。この添加開始から添加終了までの混合状態によって、ケイ素含有成分中のケイ素化合物と触媒含有成分中の塩基性化合物を適切に接触させ、その直後から進行し始めるケイ素化合物の縮重合反応を初期段階から、その後に更に進行していくシリカ微粒子の成長プロセスを制御し、得られるシリカ微粒子の特性を決定付けることができると考えられる。
混合ステップにおける混合溶液の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上250rpm以下である。撹拌速度が下限値の50rpmを下回ると、遅くすぎるため、ケイ素含有成分中のケイ素化合物と触媒含有成分中の塩基性化合物との接触機会が少なく、ケイ素化合物の縮重合反応を十分に進行させることができない点で好ましくない。又、撹拌速度が上限値の300rpmを上回ると、速すぎるため、成長中のシリカ微粒子同士の接触機会が多くなり、シリカ微粒子を十分に成長させることができない点で好ましくない。撹拌速度は、混合前、混合時、混合後を通じて一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ微粒子の成長プロセスを阻害しない程度に変化させてもよい。
<b.第一反応ステップ>
この第一反応ステップは、混合ステップ以降の縮重合反応の前半段階であり、この第一反応ステップでは、後半の第二反応ステップで十分な熱量を付与して外添剤粒子の詳細構造を制御する上で必要な外添剤粒子構造の骨格を構築するため、第二反応ステップよりも付与する熱量を小さくする。
第一反応ステップでは、撹拌状態の混合溶液を第一の温度(液温)T1(℃)で第一の反応時間t1(時間)保持する。
第一の温度T1は、2℃以上60℃以下であり、好ましくは、5℃以上45℃以下である。T1が2℃を下回ると、この第一ステップで目的とする粒子骨格が得られにくくなり、T1が60℃を超えると粒子骨格が固定化されてしまい、第二ステップでの精密制御に支障をきたす。
第一の温度T1は、混合ステップでの混合時のケイ素含有成分の温度TA及び触媒含有成分の温度TBと同一の温度に設定することができる。この場合、混合ステップ及び第一反応ステップを通じて、混合溶液中で成長するシリカ微粒子が受ける熱的なストレスを最小限に抑制できる。
尚、上述の混合ステップで得られた混合溶液の液温から第一の温度T1への温度調整は、ケイ素化合物の縮重合反応に影響を与えずに、混合ステップから第一反応ステップへの移行を速やかに行えるのであれば、いかなる方法を用いることができる。
第一の反応時間t1は、ケイ素含有成分と触媒含有成分とを一気に混合して混合溶液を得た後の時間であり、第二反応ステップへの移行時間を含まない。第一の反応時間t1は、反応後半の第二反応ステップよりも熱量をかけないようにするため、第二の反応時間t2と同一又はそれよりも短く設定されることが望ましい。具体的には、第一の反応時間t1は、1時間以上10時間以下であり、好ましくは、1時間以上5時間以下である。
第一の反応時間t1が下限値の1時間を下回ると、第一反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなる点で好ましくない。又、第一の反応時間t1が上限値の10時間を上回ると、第一反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
第一反応ステップにおける混合溶液の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上250rpm以下である。撹拌速度は、第一反応ステップで一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ微粒子の成長プロセスを阻害しない程度に変化させてもよい。
第一反応ステップの終了後から次の第二反応ステップまでの間は、混合溶液を第一の温度T1から第二の温度T2まで変える移行ステップである。移行ステップでは、混合溶液の温度を、第一の液温T1からそれより高温の第二の温度T2までゆっくり上げていく。
移行ステップの昇温速度は、0.1℃/分以上5℃/分以下であり、好ましくは、0.3℃/分以上3℃/分以下である。昇温速度が下限値を下回ると、第一反応ステップから第二反応ステップへの移行時間が長すぎるため、第二反応ステップへ早く移行できない点で好ましくない。又、昇温速度が上限値を上回ると、昇温による温度変化が大きくすぎるため、その温度変化が縮重合反応に対するストレスとなり、縮重合反応を十分に進行させることができない点で好ましくない。
<c.第二反応ステップ>
この第二反応ステップは、第一反応ステップ以降の縮重合反応の後半段階であり、この第二反応ステップでは、第一反応ステップよりも多くの熱量を付与して、第一反応ステップで得られる骨格中の縮重合反応をさらに進行させることによって、粒子構造を精密に制御して所望の特性に調整したシリカ微粒子の分散液を得る。
第二反応ステップでは、第一反応ステップ後、撹拌状態の混合溶液を、第二の温度(液温)T2(℃)で第二の反応時間t2(時間)保持する。この第二ステップにおいて、縮重合反応を着実に進めるために、第二の温度T2は第一の温度T1より高く設定される。具体的には、第二の温度T2は、5℃以上70℃以下であり、好ましくは、15℃以上70℃以下である。
ここで、第二の温度T2が5℃を下回ると、第二反応ステップにおける反応温度としては低すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進行しにくくなる点で好ましくない。又、第二の温度T2が70℃を上回ると、第二反応ステップにおける反応温度としては高すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応の進行速度を制御することが困難となる点で好ましくない。
第二の反応時間t2は、上述のように、縮重合反応の後半でしっかりと熱量をかけるために、第一の反応時間と同一又はそれより長く設定されることが望ましい。具体的には、第二の反応時間は、1時間以上20時間以下であり、好ましくは、2時間以上15時間以下である。
第二の反応時間t2が下限値の1時間を下回ると、第二反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては少なすぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が十分に進行しなくなる点で好ましくはない。又、第二の反応時間が上限値の20時間を上回ると、第二反応ステップでの混合溶液にかける熱量としては多すぎるため、ケイ素化合物の縮重合反応が進みすぎる点で好ましくない。
第二反応ステップにおける混合溶液の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下であり、好ましくは、80rpm以上250rpm以下である。撹拌速度は、第二反応ステップで一定であることが望ましいが、必要に応じて、シリカ微粒子の成長プロセスを阻害しない程度に変化させてもよい。
この微粒子形成工程では、混合ステップによってシリカ微粒子の成長プロセスを方向付けし、その後の第一反応ステップによって混合溶液に熱量をかけていくことでシリカ微粒子の成長プロセスを進行させ、さらに、第二反応ステップによって混合溶液に十分な熱量を与えて、縮重合反応が進んでいない反応部位をも十分に反応させてシリカ微粒子の成長を更に進めている。得られる分散液中のシリカ微粒子は、上述のAで説明した物性(1)から(4)、又は、物性(1)から(4)に加えて、物性(5)及び(6)の少なくとも一方を更に併せもつことができる。
2.微粒子回収工程
この微粒子回収工程は、上述の微粒子形成工程で得られたシリカ微粒子の分散液からシリカ微粒子を回収する工程である。
この工程では、シリカ微粒子の分散液からシリカ微粒子のみを分離して回収する。回収方法としては、分散液中のシリカ微粒子の表面や形状を変形させず、且つ、シリカ微粒子に損傷を与えない方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、エバポレーターを用いた加熱濃縮、遠心沈降機による固液分離、凍結乾燥を挙げることができる。
微粒子回収工程によって回収されたシリカ微粒子は、上述のAで説明した物性をもつことができる。
3.微粒子疎水化工程
この微粒子疎水化工程は、シリカ微粒子表面の一部に残るOH基と疎水化剤を反応させて、上述のシリカ微粒子表面に疎水基を導入することにより、上述のシリカ微粒子の表面を疎水化する工程である。尚、この微粒子疎水化工程は、疎水化されるシリカ微粒子をトナー粒子表面に外添して製造されるトナーの用途などに応じて任意に行われる。
この微粒子疎水化工程で疎水化されるシリカ微粒子としては、上述の微粒子回収工程で回収されたシリカ微粒子、又は、上述の微粒子形成工程で形成されたシリカ微粒子の分散液中に分散するゾル状態のシリカ微粒子のいずれでもよい。前者の場合は、微粒子形成工程、微粒子回収工程、微粒子疎水化工程の順で、シリカ微粒子を製造する。後者の場合は、微粒子形成工程、微粒子疎水化工程、微粒子回収工程の順で、シリカ微粒子を製造する。
シリカ微粒子の表面に導入される疎水基としては、シリカ微粒子の表面を疎水化するのに適したものであれば特に限定されないが、例えば、トリアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、モノアルキルシリル基、フェニル基含有シリル基を挙げることができる。
ここで、疎水基としてトリアルキルシリル基を導入する場合における微粒子疎水化工程の一例を説明する。
この一例の微粒子疎水化工程では、式:R SiNHSiR (但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である)で示されるシラザン化合物、及び、式:R SiX(但し、各Rは炭素原子数1〜6の1価炭化水素基であり、XはOH基又は加水分解性基である)で示されるシラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を上述のシリカ微粒子の表面に接触させてシリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入することにより、シリカ微粒子の表面を疎水化する。
上述の少なくとも1種の化合物は、ケイ素化合物の縮重合反応後にシリカ微粒子の表面上に残るOH基をトリアルキルシリル化する疎水化剤として作用する。疎水化剤と上述のシリカ微粒子の表面との接触の例としては、上述の微粒子形成工程で形成されたシリカ微粒子の分散液と疎水化剤を含む溶液との混合、上述の微粒子回収工程で回収されたシリカ微粒子を含む溶液と疎水化剤を含む溶液との混合、上述の微粒子回収工程で回収されたシリカ微粒子表面への疎水化剤を含む溶液の添加を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
尚、シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程における反応温度は20℃以上120℃以下であり、好ましくは、30℃以上95℃以下である。
このような反応温度の範囲でシリカ微粒子の疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
又、シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程を行う際に使用する反応容器の内部圧力(以下、反応容器内圧力という)は、常圧でよいが、常圧以上の高い圧力でもよい。例えば760mmHg以上850mmHg以下でよい。このような反応容器内圧力でシリカ微粒子の疎水化反応を行うことで、トリアルキルシリル基の導入を速やかに且つ十分に進行させることができる。
シリカ微粒子の表面にトリアルキルシリル基を導入する微粒子疎水化工程において、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラザン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルシリルクロリドなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。又、上述の少なくとも1種の化合物として選択され、疎水化剤として機能する、上述の式で示されるシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。尚、シラン化合物を示す上述の式中のXで示される加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、ブチル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このような疎水化剤として機能する、シラザン化合物又はシラン化合物の溶媒としては、水などの水性溶媒やアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどを挙げることができる。
尚、シリカ微粒子表面の疎水化を、疎水化剤を含有する液体を用いて行う場合、その液体の撹拌速度は、50rpm以上300rpm以下、好ましくは、80rpm以上250rpm以下とする。撹拌速度は、疎水化反応工程で一定であることが望ましいが、必要に応じて、疎水化反応を阻害しない程度に変化させてもよい。
上述したトナー用外添剤の製造方法によって得られるシリカ微粒子は、上述のAで説明したシリカ微粒子の物性(1)から(4)、又は、物性(1)から(4)に加えて、物性(5)及び(6)の少なくとも1つを更に併せもつことができる。
C.トナー
このトナーは、上述のAで説明したトナー用外添剤をトナー母粒子表面に外添することによって得ることができる。
トナーを製造するには、先ず、トナー母粒子を製造する。トナー母粒子は、樹脂粒子であり、周知の方法で製造することが可能である。例えば、先ず、製造原料として用いる樹脂を製造する。その後、樹脂と、着色剤と、必要に応じて含められる荷電制御剤及び離型剤の少なくとも一方を混合して混合物を得る。得られた混合物を溶融混練し、混練物を得る。混練物を粗砕し、その粗砕物を粉砕・分級を行い、特定の平均粒子径をもつトナー母粒子を得る。
得られたトナー母粒子に対し、トナー用外添剤と、必要に応じて含められる疎水性シリカを添加し、ブレンドして、トナー粒子を得ることができる。
ここで、トナー母粒子の製造原料に用いられる樹脂としては、1種類又はそれ以上の種類の樹脂を挙げることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂を挙げることができるが、これに限定されるものではない。又、複数の樹脂材料を用いる場合は、例えば、組成の異なる2種類以上のポリエステル樹脂を混合して用いることができる。
着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン用の顔料、黒色用のカーボンブラックや四三酸化鉄などの周知の顔料を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
荷電制御剤(charge control agent:CCA)は、トナーの極性、帯電性を制御する添加剤である。正帯電用の荷電制御剤としては、アジン系化合物、4級アンモニウム塩などの周知の化合物を挙げることができ、負帯電の荷電制御剤としては、アゾ含金属化合物、サリチル酸系化合物などの周知の化合物を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
離型剤としては、周知のワックスなどの天然油、シリコーンオイルなどの合成油を挙げることができ、トナーの用途に応じて適宜選択して使用することができる。
又、疎水性シリカは、得られるトナーが投入される画像形成装置の種類に応じて、トナー粒子の流動性を調製するために適宜添加されるものであり、小粒子径(例えば、20nm程度)のシリカ系粒子である。
この実施の形態によるトナー用外添剤によれば、上述した式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数1から6の1価炭化水素基である)で示されたシラン化合物及びその加水分解縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のケイ素化合物から得られる微粒子を含むトナー用外添剤である。この微粒子は、(1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、(2)気相置換法により測定される真比重が1.90以上2.10以下であり、(3)所定の比重の溶液中で比重差により微粒子を分画し、所定の比重領域に含まれる微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下であり、(4)前記微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下である。
このように、微粒子が(1)から(4)の物性を併せもち、特に、(3)と(4)で規定された比重分布を有することにより、この微粒子を含むトナー用外添剤は、以下のような効果を奏する。
(i)このシリカ微粒子は、適切な範囲の個数平均粒子径を有するため、トナー粒子表面に付着したときに十分なスペーサ効果を発揮するとともに、適度な帯電性も併せもつ。このため、このシリカ微粒子は、高い流動性をもつとともに、低温低湿といった過酷な環境下でも、トナーの劣化を抑制できる外添剤となる。
(ii)このシリカ微粒子は、上述の範囲の適度な真比重を有するので、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が小さく、トナーの劣化が抑制される。又、微粒子の機械的強度も適度なものとなることから、十分な耐久性を有しつつ、微粒子による部材の削れや汚染を抑制できる。
(iii)このシリカ微粒子は、上述の範囲の適切な分散の比重分布を有するので、実用上十分な強度でありながら、外添時などに与えるトナー粒子への衝撃力が小さく、帯電量の分布幅も狭い。このため、十分な耐久性や流動性を保ちつつトナー粒子へのダメージを緩和でき、低温低湿や高温高湿などの過酷環境下での使用や長期使用でのトナーの劣化や部材の汚染が抑制される。
これらのことから、このトナー用外添剤は、低温低湿や高温高湿というような過酷な環境下でも、外添時などでのトナーの劣化を抑制でき、且つ、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
この実施の形態によるトナーによれば、上述のトナー用外添剤を用いる。従って、このトナーは、低温低湿や高温高湿というような過酷な環境下でも従来よりも高い劣化耐性をもつ。又、そのような過酷な環境下でも、感光体上のトナー融着の発生は極めて少なく、部材汚染等に起因する画像欠陥を抑制できる。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、各実施例は本発明を限定するものではない。尚、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
以下の実施例1では、外添剤1の製造、製造した外添剤1の物性の確認、外添剤1を用いるトナー1の製造、製造したトナー1の特性の評価の順で説明する。実施例2から5及び比較例1から3についても、実施例1と同様の順で説明する。
実施例及び比較例の説明に先立って、実施例及び比較例における種々の測定方法、耐久試験、及び評価テストの内容を説明する。
<個数平均粒子径の測定>
動的光散乱粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて、以下の測定条件で行う動的光散乱法により、微粒子の粒度分布を求め、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を個数平均粒子径(nm)とした。
手順は下記のとおりである。
最初に、所定量のシリカ微粒子をメタノール溶媒中に入れ、超音波をあてて、シリカ微粒子を分散させた分散液を得た。その後、分散液をガラス製の測定セルに入れ、その測定セルを測定装置に装着した。この測定装置では、測定セルにレーザー光を照射し、その動的光散乱強度とその時間的ゆらぎを測定した。この散乱強度とその時間的ゆらぎから換算した粒子径の分布を、縦軸に個数頻度をとり、横軸に粒子径をとる座標上に表し、その粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子個数を小径側から累積していき、累積50%となる粒子の径を平均粒子径(Dn50)とした。
<真比重d1.001.00の測定>
乾式自動密度計(アキュピックII1340型、株式会社島津製作所製)を用い、この密度計内にシリカ微粒子1.5gを入れて、その真比重d1.001.00を自動測定した。
<比重分布の測定>
本発明では、比重分布の基準を決定するために前述の真比重を用いた。まず、真比重の値(d1.001.00)を基準として、基準の比重(d1.001.00)の水溶液と、d1.001.00の0.95倍の比重(d0.95)の水溶液と、d1.001.00の0.9倍の比重(d0.90)の水溶液の3つ(3水準)の水溶液を準備した。
次にシリカ微粒子100mgを精秤し、シリカ微粒子に、上記所定の比重の水溶液10mLに対して固形分0.5重量%のノニオン性界面活性剤(コンタミノンN)を混合させた界面活性剤入り水溶液を添加して、シリカ微粒子を湿潤させた。尚、上述の手順でシリカ微粒子が湿潤しない場合には、次の手順によってシリカ微粒子を湿潤させた。まず500mgのアセトンを添加してシリカ微粒子を湿潤させて、次に上記界面活性剤入り水溶液を添加し、均一に混合し、内温45℃で保持してアセトンを留去した後に、次の工程へ移行した。超音波をかけてシリカ微粒子の分散を促進させ、一次粒子にまで分散したことを粒度分布測定装置(ELSZ1000ZS、大塚電子株式会社製)及びSEM(SU8020、日立製作所製)にて確認した。SEMでは、目視観察で凝集体が形成されていないことを確認した。しかる後、回転数20000rpmで30分の条件下で遠心分離を行い、固液分離させた。その後、上澄みをデカンテーションし、イオン交換水を添加して洗浄する工程を3回繰り返した。しかる後、沈降したシリカ微粒子をフリーズドライ法にて乾燥させ、乾燥したシリカ微粒子の重量を精秤した。尚、上記工程は、上記比重の異なる3つの水溶液各々に対して行った。
本発明では、各比重の水溶液で沈降する外添剤はその水溶液を超えた比重を有していることに着目して、隣接している比重を有する水溶液で沈降する外添剤の重量の差を使って、以下のようにして比重分布を求めた。
真比重d1.001.00に対して、比重が95%を超えて100%以下の比重領域dr0.95に含まれる比率は、真比重d1.001.00の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W1.01.000から、真比重d1.001.00の0.95倍である比重(d0.95)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.95を引き、その差重量(W1.01.000−W0.95)を微粒子の総重量Wで割って求めた。同様にして、真比重d1.001.00に対して、比重が90%を超えて95%以下の比重領域dr0.90に含まれる比率は、真比重d1.001.00の0.95倍である比重(d0.95)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.95から、真比重d1.001.00の0.90倍である比重(d0.90)の水溶液を用いて測定された沈降微粒子の重量W0.90を引き、その差重量(W0.95−W0.90)を微粒子の総重量Wで割って求めた。
<比表面積(実測BET値)の測定>
BET流動法比表面積計(MODEL HM1201、マウンテック社製)を用いて、以下のBET法により、トナー用外添剤として作製したシリカ微粒子についてのガス脱離時間(時間)を測定し、比表面積(α:m/g)を求めた。
ガス導入口とガス排出口を有する略U字状の測定セルを用い、この測定セル内に2gのシリカ微粒子を入れ、ガス導入口から、窒素ガス(吸着用ガス)とヘリウムガス(キャリアガス)の混合ガス(窒素ガス流量:25ml/min)を測定セル内に導入し、シリカ微粒子に接触させるように流し、ガス排出口から排出させた。その後、窒素ガスの相対圧力の変化をモニタしながら、測定セルを液体窒素温度まで冷却することで窒素ガスを粉末表面に吸着させ(ガス吸着過程)、その後、測定セルを室温に戻すことで窒素ガスを脱離させた(ガス脱離過程)。窒素ガスの相対圧力が初期値から低下し、その後、初期値に戻るまでの時間をガス吸着時間とし、ガス吸着過程終了直後の、窒素ガスの相対圧力が初期値から上昇し、その後、初期値に戻るまでの時間をガス脱離時間とした。ガス吸着時間及びガス脱離時間を示すプロファイルに基づき、時間軸とガス吸着過程を示す曲線との間の面積からシリカ微粒子の比表面積(α)を算出した。
<比表面積の比の算出>
上述のBET法によって測定された平均粒子径Dn50と、上述の測定によって求めた真比重d1.001.00を使って、下記の式(1)から比表面積(β:m/g)を計算し、その比表面積(β)に対して上述のBET法によって測定された比表面積(α)の比をとって、比表面積の比(α/β)を算出した。
β={6/(Dn50×ρ)}×1000 ・・・(式1)
<加熱減量の測定>
加熱減量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、以下のようにして示差熱・熱重量同時測定法(TGDTA)により、シリカ微粒子を室温から500℃まで昇温させて加熱したときの加熱減量(重量%)を測定した。
大気雰囲気中で、所定量のシリカ微粒子をアルミ容器に入れ、室温から500℃まで、3℃/分の昇温速度で加熱した。その後、アルミ容器ごと秤量してシリカ微粒子の質量を測定し、加熱前の質量に対する加熱後の質量の減量割合(加熱減量)を算出した。
<耐久試験>
以下の方法によって、トナーを用いた耐久試験1、2を行った。
<耐久試験1>
画像形成装置として、一成分現像方式を採用した「サムスン電子社製カラーレーザープリンターCLP−610ND(プリント速度:21枚/分)」を用いた。
画像形成装置のブラック色の画像形成ユニットに、トナーを投入し、転写紙として「富士ゼロックス社製フルカラー複写機用紙J(82g/cm、A4サイズ)」を用い、常温/常湿(N/N)環境(23℃/55%RH)、高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)、及び低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)のそれぞれの印字環境下において、印字比率を5%に調整したテキスト画像を単色モードにより2枚印刷する度に1分休止する方式で5000枚分をプリントアウトするという条件での耐久試験1を実施した。その後、後述するように、評価テスト(1.画像濃度、2.カブリ、3.細線再現性)を実施した。又、低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)において、後述する評価テスト(5.部材汚染)を実施した。
<耐久試験2>
印字画像を中央部10cmの幅のベタ黒画像に代え、印字環境を高温/高湿(H/H)環境(32℃/80%RH)と低温/低湿(L/L)環境(15℃/10%RH)の2環境とし、プリントアウトの方式を連続印字に代えた以外は、上述の耐久試験1と同様の条件で行うという条件での耐久試験2を実施した。その後、同じ装置を用いて、後述するように、評価テスト(4.耐フィルミング性)を実施した。
<評価テスト>
画像濃度、カブリ及び細線再現性に関しては、以下に説明する評価テストを、耐久試験を行わずに実施する初期と、5000枚出力(プリントアウト)後に実施する耐久試験1後の各々に対して行った。又、耐フィルミング評価に関しては、耐久試験2後のみに対して行い、部材汚染評価に関しては耐久試験1後のみに対して行った。
<1.画像濃度>
使用初期段階の評価テストとして、上述の耐久試験1を行わずに、評価対象のトナーを用いて、正方形のソリッドパッチ(一辺5mm)を四隅付近と中央部分に有する画像を1枚プリントアウトした。その後、出力した画像に照射光を当て、その反射光の反射率からパッチの反射濃度を「SpectroEye」(GretagMacbeth社製)で計測し、得られた計測値の平均値を、下記の判定基準に基づいて評価し、AからDのいずれに相当するかを判定した。以下、このような使用初期段階の評価テストを「初期の評価テスト」と呼ぶ。又、同じトナーを用いて、上述の耐久試験1を行った後に、上述の「初期」で行った評価テストと同様の評価テストを行った。以下、このような耐久試験1後の評価テストを「耐久後の評価テスト」と呼ぶ。ここで、トナーの帯電量が高いと、現像段階において現像部材から離れにくくなるため、感光体上へ現像されるトナー量が減少する。このため、画像濃度が低い場合、トナーの帯電量が高いことになる。
A:反射濃度の計測値の平均値が1.20以上である。
B:反射濃度の計測値の平均値が1.05以上1.20未満である。
C:反射濃度の計測値の平均値が0.90以上1.05未満である。
D:反射濃度の計測値の平均値が0.90未満である。
<2.カブリ>
初期の評価テストとして、上述の耐久試験1を行わずに、上述と同じトナーを用いて、白地部分と印刷部分の両方を含む画像を1枚出力した。この出力画像を「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した、画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを下記の判定基準に基づいて評価し、AからDのいずれに相当するかを判定した。又、上述と同じトナーを用いて、耐久後の評価テストを行った。ここで、カブリとは、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低い場合、或いはトナーが反対極性に帯電している場合には、現像段階においてトナーを感光体上の潜像上に移行せずに非画像部である白地部分にトナーが乗り、画質を低下させる現象である。このため、カブリ濃度が高い場合、トナーが帯電していないか、又は、トナーの帯電量が低い、或いはトナーが反対極性に帯電していることになる。
A:カブリ濃度が1.0%以下である。
B:カブリ濃度が1.0%以上2.0%未満である。
C:カブリ濃度が2.0%以上3.0%未満である。
D:カブリ濃度が3.0%以上である。
<3.細線再現性>
初期の評価テストとして、上述の耐久試験1を行わずに、感光体上に線幅が150μmになるように細線の画像を形成させ、それを定着した。この細線の画像を倍率50倍のルーペで観察し、下記の評価基準に従って判定した。又、上述と同じトナーを用いて、耐久後も同様の評価テストを行った。
A:細線がトナーに均一に埋まり、エッジ部の乱れは認められない。
B:細線がトナーに均一に埋まっているが、エッジ部に僅かな乱れ(ぎざぎざ)が認められる。
C:細線がトナーに均一に埋まっているが、エッジ部に目立った乱れ(ぎざぎざ)が認められる。
D:細線がトナーに均一に埋まっておらず、エッジ部には非常に目立った乱れ(ぎざぎざ)が認められる。
<4.耐フィルミング性>
上述と同じトナーを用いて、上述の耐久試験2を行った後に、ハーフトーン画像を1枚出力し、その出力画像と感光体表面の観察を行った。感光体表面の観察の際には、エアブローにて感光体表面のトナーを取り除いた。画像欠陥の有無と感光体表面上への外添剤融着(フィルミング)の発生を目視で観察し、下記の判定基準に基づいて評価し、AからDのいずれかに相当するかを判定した。ここで、フィルミングとは、トナーの帯電量が低いために、トナー粒子と外添剤との粒子間の付着力が低下した場合に物理的な力によって外れた外添剤が感光体表面上に付着し、熱によって融着して膜が形成される現象である。このため、フィルミングは高温高湿環境下で発生しやすい。又、画像欠陥の有無は、ハーフトーン画像にハーフトーン抜けの発生の有無、あるいはハーフトーンが濃く印字される個所の有無により判断される。
A:感光体表面にフィルミングが全く汚染しておらず、画像欠陥も全く発生していない。
B:感光体表面にフィルミングが僅かに発生しているが、画像欠陥は全く発生していない。
C:感光体表面にフィルミングが発生しており、画像欠陥も僅かに発生している。
D:感光体表面のフィルミングが目立ち、画像欠陥も目立つ。(使用不可)
<5.部材汚染>
部材汚染として代表的な現像ロールの表面の汚染は、外添剤のトナー粒子への付着性が低いなどの理由による、トナー粒子から遊離した外添剤微粒子起因のトナーを含めた汚染である。その部材汚染評価、判定は下記のようにして行った。
上述の耐久試験1を行った後、上述と同じトナーを用い、べた黒画像、次いでべた白画像の順で1枚ずつ出力した後に、ハーフトーン画像を1枚出力し、その出力画像と現像ロール表面の観察を行った。現像ロール表面の観察の際には、エアブローにて各部材の表面のトナーを取り除いた。そして、画像欠陥の有無と、現像ロール表面の汚染の状況を下記の判定基準に基づいて評価し、AからDのいずれかに相当するかを判定した。
A:現像ロールの表面は全く汚染しておらず、画像欠陥も全く発生していない。
B:現像ロールの表面は僅かに汚染しているが、画像欠陥は全く発生していない。
C:現像ロールの表面は汚染しており、画像欠陥も僅かに発生している。
D:現像ロールの表面は汚染が目立ち、画像欠陥も目立つ。(使用不可)
上述した評価テストにおける判定基準では、「A」判定が好適に使用可能であるとの判断となり、「B」判定が十分に使用可能であるとの判断となる。「C」判定は使用が許容されるか否かのボーダーライン上にあり、「A」判定や「B」判定の他に「C」判定が1項目であれば使用可能であるとの判断となるが、その「C」判定の数が1項目より多い場合には、使用不可の判断となる。「D」判定は使用不可の判定であり、1項目でも「D」判定があれば、それだけで使用不可の判断となる。これらの判定結果を以下の表3に示す。
尚、表3に示すように、耐フィルミング性に関しては、高温高湿及び低温低湿下で耐久を含めた試験を行い、常温常湿下での試験を行っていない。これは、耐フィルミング性は、高温高湿及び低温低湿下で特に起こりやすく、これらの環境条件で問題がなければ常温常湿下でも問題が起こりにくいためである。
又、部材汚染に関しては、低温低湿環境でのみ耐久試験評価を行っている。これは、低温低湿下で部材汚染による画像劣化が起こりやすいという理由に基づいており、低温低湿条件で問題が起こらなければ、他の環境条件でも問題が起こりにくいためである。
又、耐フィルミングと部材汚染は使用中に起こる問題なので、初期評価は行わず、耐久試験後のみで評価した。
<外添剤1の製造>
先ず、この実施例1に係るトナー用外添剤(外添剤1)を製造した。
<<1.微粒子形成工程>>
窒素雰囲気下で、反応容器にイソプロパノール65部、アセトニトリル65部及びテトラプロポキシシラン64部を入れ、これら3成分を含むケイ素含有成分を回転数150rpmで撹拌しながら、その温度TAを20℃に制御した。又、このケイ素含有成分の調製とは別に、蒸留水115部と10重量%アンモニア水5部の混合物を含む、温度TBが20℃の触媒含有成分を準備した。その後、温度TBを20℃に維持した状態で触媒含有成分の全量を、撹拌状態のケイ素含有成分中に一気に添加して混合溶液を得た。
その後、混合溶液の液温を20℃となるように制御し、回転数150rpmで撹拌しながら、第一の反応工程として、20℃(第一の温度T1)で5時間(第一の反応時間t1)保持した。しかる後、50℃まで加温し、第二の反応工程として、50℃(第二の温度T2)で48時間(第二の反応時間t2)保持し、シリカ微粒子の分散液を得た。
<<2.微粒子回収工程>>
次に、微粒子形成工程によって得られたシリカ微粒子の分散液に蒸留水を100部添加した。その後、液量が半分になるまでエバポレーターを用いて加熱濃縮し、遠心沈降機により濃縮液を固液分離した。上澄み液をデカンテーションで除去した後、沈降物に蒸留水300部を加えて、同様に遠心沈降機により固液分離を行った。その後、上述の蒸留水の添加、遠心沈降機による固液分離、デカンテーションを含む一連のステップをさらに2度繰り返した後、沈降物を24時間凍結乾燥させることにより、白色粉末を得た。
<<3.微粒子疎水化工程>>
この白色粉末10部を水100部、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)15部の混合物に加え、850mmHgの反応容器内圧力下で、23℃(第三の温度T3)、回転数200rpmで2時間(第三の反応時間t3)撹拌した。その後、更に、70℃(第四の温度T4)、回転数200rpmで4時間(第四の反応時間t4)撹拌した後、固液分離を行った。そして、得られた沈降物をメタノールで洗浄し、80℃で48時間乾燥させて、表面が疎水化されたシリカ微粒子の白色粉末(外添剤1)を得た。
この外添剤1の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤1の物性の確認>
得られた外添剤1は、(a)個数平均粒子径Dn50が120nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.95、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が4.5重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が2.6重量%、(e)比表面積(α)が23.1m/gで、比表面積の比(α/β)は0.9、(f)加熱減量が7.0重量%、の物性をもつことを確認した。従って、外添剤1は、前述の物性(1)から(6)までの全てを満たしている。
参考までに、外添剤1の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
次に、上述のようにして得られた白色粉末(トナー用外添剤)を外添する対象となるトナー母粒子を以下のようにして製造した。
<樹脂1の製造>
トナー母粒子の製造原料として用いる樹脂1を以下のようにして製造した。
ディーン・スターク・トラップ(Dean−Stark trap)を取り付けた反応容器に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)10800g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)4300g、テレフタル酸5040g及びn−ドデセニル無水コハク酸700gを入れ、窒素雰囲気下230℃で撹拌した。反応により生成する水が流出しなくなった時点を、上述のトラップ内に溜まる液量が増えなくなることを確認した上で、無水トリメリット酸2112gを添加し、軟化点が147℃に達するまで反応させて樹脂1を得た。得られた樹脂をポリエステルAとする。ポリエステルAの軟化点は145℃、ガラス転移点は73℃、融解熱の最大ピーク温度は80℃、酸価は26mgKOH/g、水酸基価は27mgKOH/gであった。
<樹脂2の製造>
トナー母粒子の製造原料として用いる樹脂2を以下のようにして製造した。
反応容器にビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.2モル)12250g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数:2.0モル)21125g、テレフタル酸14940g及び酸化ジブチル錫15gを入れ、窒素雰囲気下230℃で撹拌し、軟化点が121℃に達するまで反応させて樹脂2を得た。得られた樹脂をポリエステルBとする。ポリエステルBの軟化点は120℃、ガラス転移点は65℃、融解熱の最大ピーク温度は70℃、酸価は3.6mgKOH/g、水酸基価23.7mgKOH/gであった。
<トナー母粒子1の製造>
樹脂1(ポリエステルA)及び樹脂2(ポリエステルB)を用いて、トナー母粒子1を以下のようにして製造した。
ポリエステルAを2880g、ポリエステルBを4320g、着色剤「シアニンブルー4920(商品名)」(大日精化工業(株)製)を300g、荷電制御剤「LR−147(商品名)」(日本カーリット(株)製)を86.5g、及びヒドロキシ酸エステル含有の離型剤「カルナウバワックス(商品名)」((株)加藤洋行製、融点:83℃)を504g、ヘンシェルミキサーに投入し、回転数3000rpmで15分間撹拌混合して混合物を得た。得られた混合物をオープンロール型連続混練機で溶融混練し、混練物を得た。
使用したオープンロール型連続混練機は、ロール外径0.14m、有効ロール長0.8mのものであり、運転条件は、加熱ロール(前ロール)の回転速度を33m/分、冷却ロール(後ロール)の回転速度を11m/分、そしてロール間隙を0.1mmとした。又、ロール内の加熱及び冷却媒体温度に関しては、加熱ロールの原料投入側の温度を150℃、混練物排出側の温度を115℃、冷却ロールの原料投入側の温度を35℃、及び混練物排出側の温度を30℃に設定した。
混練物はロートプレックスにて粗砕し、さらにその粗砕物を衝突板式粉砕機(IDS−2型、日本ニューマチック工業株式会社製)、ディスパージョンセパレータを用いて粉砕・分級を行い、体積平均粒子径が約8.0μmの未処理シアントナー粒子(トナー母粒子1)を得た。尚、体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(マルチサイザー(登録商標)、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
<トナー1の製造>
上記作製したトナー粒子(トナー母粒子1)50部に対し、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で疎水化処理した粒径20nm程度の小粒径疎水性シリカ(TS720:キャボット社製)を1.0部、外添剤1を0.4部添加し、サンプルミルにて回転数10000rpmで30秒間ブレンドしてシアントナー(トナー1)を得た。
<トナー1の評価>
得られたトナー1の特性について、上述した評価テストによって評価した。評価結果の一覧を以下の表3に示す。
表3に示すように、トナー1は、評価テストの全20項目で、全項目「A」判定であった。「A」判定が好適に使用可能であるとする判定基準に照らすと、トナー1は、常温常湿はもとより、高温高湿から低温低湿に至るまでの過酷な環境下においても、耐久を含めた劣化耐性等に優れ、高品質なプリントが可能な静電荷像現像用トナーであることが確認できた。この結果は、トナー1に外添した本発明に係る外添剤1が併せもつ上述の物性に依存する特性によるものと考えられる。
実施例2.
<外添剤2の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤2を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から30部に変更。
(2)微粒子形成工程におけるケイ素含有成分の温度TAを20℃から10℃に変更。
(3)微粒子形成工程における触媒含有成分の温度TBを20℃から10℃に変更。
(4)微粒子形成工程における第一の温度T1を20℃から10℃に変更。
(5)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から30℃に変更。
(6)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から80時間に変更。
(7)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から6部に変更。
この外添剤2の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤2の物性の確認>
得られた外添剤2は、(a)個数平均粒子径Dn50が240nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.92、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が1.3重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が1.1重量%、(e)比表面積(α)が9.1m/gで、比表面積の比(α/β)は0.7、(f)加熱減量が9.0重量%、の物性をもつことを確認した。従って、外添剤2は、前述の物性(5)以外を満たしている。
参考までに、外添剤2の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例3.
<外添剤3の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤3を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から1部に変更。
(2)微粒子形成工程におけるケイ素含有成分の温度TAを20℃から30℃に変更。
(3)微粒子形成工程における触媒含有成分の温度TBを20℃から30℃に変更。
(4)微粒子形成工程における第一の温度T1を20℃から30℃に変更。
(5)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から70℃に変更。
(6)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から34時間に変更。
(7)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から33部に変更。
この外添剤3の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤3の物性の確認>
得られた外添剤3は、(a)個数平均粒子径Dn50が60nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.98、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が7.2重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が4.2重量%、(e)比表面積(α)が50.5m/gで、比表面積の比(α/β)は1.0、(f)加熱減量が3.0重量%、の物性をもつことを確認した。従って、外添剤3は、前述の物性(1)から(6)までの全てを満たしている。
参考までに、外添剤3の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例4.
<外添剤4の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤4を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から17部に変更。
(2)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から35℃に変更。
(3)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から69時間に変更。
(4)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から9部に変更。
この外添剤4の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤4の物性の確認>
得られた外添剤4は、(a)個数平均粒子径Dn50が180nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.93、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が6.3重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が3.1重量%、(e)比表面積(α)が13.8m/gで、比表面積の比(α/β)は0.8、(f)加熱減量が8.5重量%、の物性をもつことを確認した。従って、外添剤4は、前述の物性(5)以外を満たしている。
参考までに、外添剤4の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
実施例5.
<外添剤5の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして外添剤5を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から2部に変更。
(2)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から60℃に変更。
(3)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から40時間に変更。
(4)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から20部に変更。
この外添剤5の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<外添剤5の物性の確認>
得られた外添剤5は、(a)個数平均粒子径Dn50が90nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.96、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が8.5重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が4.9重量%、(e)比表面積(α)が30.6m/gで、比表面積の比(α/β)は0.9、(f)加熱減量が6.0重量%、の物性をもつことを確認した。従って、外添剤5は、前述の物性(1)から(6)までの全てを満たしている。
参考までに、外添剤5の物性の評価結果一覧を以下の表2に示す。
<トナー2から5の製造>
外添剤の種類を外添剤1から外添剤2から5に代えた以外は、トナー1と同様にしてトナー2から5を得た。
<トナー2から5の評価>
トナー2から5について、トナー1と同様にして評価した。評価結果の一覧を以下の表3に示す。表3に示すように、トナー2から5についての評価は以下のようなものであった。
トナー2は、評価テストの全20項目のうち、高温高湿下での5000枚プリントアウトによる耐久試験後の「耐フィルミング性」が「B」判定、低温低湿下での耐久試験後の「部材汚染」が「C」判定、残りの項目はすべて「A」判定であった。1項目「C」判定はあるが、「B」及び「C」の判定基準に従うと、トナー2は好適に使用可能である。
トナー3は、評価テストの全20項目のうち、高温高湿下での5000枚プリントアウトによる耐久試験後の「細線再現性」が「C」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。1項目「C」判定はあるが、「C」の判定基準に従うと、トナー3は好適に使用可能である。
トナー4は、評価テストの全20項目のうち、高温高湿下での5000枚プリントアウトによる耐久試験後の「耐フィルミング性」が「B」判定、低温低湿下での耐久試験後の「部材汚染」が「B」判定、残りの項目はすべて「A」判定であった。2項目「B」判定はあるが、「B」の判定基準に従うと、トナー4は好適に使用可能である。
トナー5は、評価テストの全20項目のうち、高温高湿下での5000枚プリントアウトによる耐久試験後の「細線再現性」が「B」判定で、残りの項目はすべて「A」判定であった。1項目「B」判定はあるが、「B」の判定基準に従うと、トナー5は好適に使用可能である。
<比較外添剤1の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして比較外添剤1を得た。
(1)微粒子形成工程において、ケイ素含有成分をテトラプロポキシシラン64部からテトラメトキシシラン37部に変更。
(2)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から11部に変更。
この比較外添剤1の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤1の物性の確認>
得られた比較外添剤1の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤1は、(a)個数平均粒子径Dn50が120nm、(b)真比重(d1.001.00)が2.05、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が10.5重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が0.2重量%、(e)比表面積(α)が17.1m/gで、比表面積の比(α/β)は0.7、(f)加熱減量が0.1重量%、であった。この結果は、前述の物性(3)から(6)を満たさないことを確認した。
<比較外添剤2の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして比較外添剤2を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から0.5部に変更。
(2)微粒子形成工程におけるケイ素含有成分の温度TAを20℃から40℃に変更。
(3)微粒子形成工程における触媒含有成分の温度TBを20℃から40℃に変更。
(4)微粒子形成工程における第一の温度T1を20℃から40℃に変更。
(5)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から60℃に変更。
(6)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から40時間に変更。
(7)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から74部に変更。
この比較外添剤2の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤2の物性の確認>
得られた比較外添剤2の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤2は、(a)個数平均粒子径Dn50が30nm、(b)真比重(d1.001.00)が2.10、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が0.1重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が0.1重量%、(e)比表面積(α)が114.3m/gで、比表面積の比(α/β)は1.2、(f)加熱減量が0.0重量%、であった。この結果は、前述の物性(1)と(3)から(6)を満たさないことを確認した。
<比較外添剤3の製造>
外添剤の製造工程を以下のように変更した以外は、外添剤1と同様にして比較外添剤3を得た。
(1)微粒子形成工程において、触媒含有成分である10重量%のアンモニア水の量を5部から35部に変更。
(2)微粒子形成工程におけるケイ素含有成分の温度TAを20℃から5℃に変更。
(3)微粒子形成工程における触媒含有成分の温度TBを20℃から5℃に変更。
(4)微粒子形成工程における第一の温度T1を20℃から5℃に変更。
(5)微粒子形成工程における第二の温度T2を50℃から20℃に変更。
(6)微粒子形成工程における第二の反応時間t2を48時間から120時間に変更。
(7)微粒子疎水化工程において、HMDSの量を15部から5部に変更。
この比較外添剤3の上述した原材料の種類及び量、製造条件の一覧を以下の表1に示す。
<比較外添剤3の物性の確認>
得られた比較外添剤3の物性を以下の表2に示す。
表2に示すように、比較外添剤3は、(a)個数平均粒子径Dn50が270nm、(b)真比重(d1.001.00)が1.92、(c)真比重(d1.001.00)に対して、95%を超えて100%以下の比重領域(dr0.95)に含まれる比率が0.3重量%、(d)真比重(d1.001.00)に対して、90%を超えて95%以下の比重領域(dr0.90)に含まれる比率が0.2重量%、(e)比表面積(α)が6.9m/gで、比表面積の比(α/β)は0.6、(f)加熱減量が10.3重量%、であった。この結果は、前述の物性(1)と(3)から(6)を満たさないことを確認した。
<比較トナー1から3の製造>
外添剤の種類を外添剤1から比較外添剤1から3に代えた以外は、トナー1と同様にして比較トナー1から3を得た。
<比較トナー1から3の評価>
比較トナー1から3については、トナー1と同様にして評価した。判定結果の一覧を以下の表3に示す。表3に示すように、比較トナー1から3についての評価は以下のようなものであった。
比較トナー1は、評価テストの全20項目のうち、16項目が「A」判定、低温低湿環境下で5000枚プリントアウト後の4項目が「C」判定であった。1個を超える「C」判定があると使用に適さないという「C」判定の判定基準によれば、この比較トナー1は、使用不可のレベルである。この結果は、比較トナー1に添加されている比較外添剤1が、前述の物性(3)及び(4)を満たさないことに起因していると考えられる。加えて、前述の物性(5)及び(6)も満たさないことが一因になっていると考えられる。
比較トナー2は、評価テストのうち、高温高湿環境下で5000枚プリントアウト後、「耐フィルミング性」以外の3項目が「D」判定であった。1項目でも「D」判定があれば、それだけで使用不可の判断となる「D」判定の判定基準によれば、この比較トナー2は、使用不可のレベルである。この結果は、比較トナー2に添加されている比較外添剤2が、前述の物性(1)、(3)及び(4)を満たさないことに起因していると考えられる。加えて、前述の物性(5)及び(6)も満たさないことが一因になっていると考えられる。
比較トナー3は、評価テストのうち、高温高湿環境下で5000枚プリントアウト後の「耐フィルミング性」と、低温低湿環境下で5000枚プリントアウト後の「部材汚染」の2項目が「D」判定であった。「D」判定の判定基準によれば、この比較トナー3は、使用不可のレベルである。この結果は、比較トナー3に添加されている比較外添剤3が、前述の物性(1)、(3)及び(4)を満たさないことに起因していると考えられる。加えて、前述の物性(5)及び(6)も満たさないことが一因になっていると考えられる。
以上の評価により、比較トナー1から3は、いずれも使用不可のレベルであり、本発明のトナー1から3よりも劣る特性をもつことを確認できた。この結果は、本発明のトナー1から5に外添された外添剤1から5がいずれも、少なくとも前述の物性(1)から(4)を併せもつのに対し、比較トナー1から3に外添された比較外添剤1から3が前述の物性(1)から(4)の少なくともいずれかを併せもたないことに起因しているためであると考えられる。
Figure 2017142319
Figure 2017142319
Figure 2017142319
尚、上述した実施例1から5では、外添剤1から5をトナー母粒子1に外添してトナー1から5を製造したが、このトナー母粒子1に外添される外添剤として外添剤1から5に加えて他の外添剤を外添してもよい。

Claims (4)

  1. 式:Si(OR(但し、各Rは炭素原子数が1以上6以下の1価炭化水素基である)で示されるシラン化合物及びその加水分解縮合物から選択される少なくとも1種のケイ素化合物の重合物である微粒子を含むトナー用外添剤であって、
    前記微粒子は、
    (1)個数平均粒子径が50nm以上250nm以下であり、
    (2)気相置換法により測定される真比重が1.90以上2.10以下であり、
    (3)所定の比重の溶液中で比重差により微粒子を分画し、所定の比重領域に含まれる微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、95%を超えて100%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上9重量%以下であり、
    (4)前記微粒子の比率を求める方法において、前記真比重に対して、90%を超えて95%以下の比重領域に含まれる比率が0.5重量%以上6重量%以下である、
    ことを特徴とするトナー用外添剤。
  2. 前記微粒子は、ガス吸着法により測定される比表面積(α)が13m/g以上80m/g以下であり、
    個数平均粒子径から算出される比表面積(β)に対する前記比表面積(α)の比(α/β)が0.85以上1.75以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用外添剤。
  3. 前記微粒子は、加熱減量が3重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー用外添剤。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のトナー用外添剤を含むことを特徴とするトナー。
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