JP6366568B2 - 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体及び分離方法 - Google Patents
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Description
近年、これらの方法に代わる分離方法として、高分子膜やゼオライト膜などの膜を用いた膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜は加工性に優れるものであり、例えば平膜や中空糸膜などがある。しかし高分子膜は、耐熱性が低く、また耐薬品性が低く、特に有機溶媒や有機酸といった有機物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適用範囲が限定的である。
膜複合体を用いてアルコールと水の混合系から水を選択的に透過させてアルコールを濃縮する方法(特許文献2)や、フェリエライト型ゼオライト膜複合体を用いて酢酸と水の混合系から水を選択的に透過させて酢酸を分離・濃縮する方法(特許文献3)などが提案されている。
濃縮において、実用上十分な処理量と分離性能を両立する多孔質支持体−ゼオライト膜複合体、該ゼオライト膜複合体を用いる分離、濃縮方法を提供することにある。
[1]多孔質支持体上に、CHA型ゼオライトを有するゼオライト膜が形成されてなる多孔質支持体―ゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜複合体が下記(1)ないし(3)の少なくとも一つの性質を有するものであることを特徴とする多孔質支持体―ゼオライト膜複合体。
(1)含水率30質量%の2−プロパノールと水の混合物を、温度70℃、1気圧(1.01×105Pa)の圧力差で透過させた場合の透過流束が1kg/(m2・h)以上である。
(2)含水率30質量%の2−プロパノールと水の混合物を、温度70℃、1気圧(1.01×105Pa)の圧力差で透過させた場合の水のパーミエンスが3×10−7mol/(m2・s・Pa)以上である。
(3)含水率30質量%の2−プロパノールと水の混合物を、温度70℃、1気圧(1.01×105Pa)の圧力差で透過させた場合の分離係数が1000以上である。
[2]上記[2]に記載の多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に、有機化合物を含む気体または液体の混合物を接触させて、該混合物から、透過性の高い物質を透過させて分離することを特徴とする分離方法。
く、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書において、本発明の「多孔質支持体−ゼオライト膜複合体」を単に「ゼオライト膜複合体」または「膜複合体」と、また「多孔質支持体」を単に「支持体」と略称することがある。
本発明において、ゼオライト膜とは、後に詳述するとおり、多孔質支持体上に固着されている膜状のゼオライトを意味する。該ゼオライト膜は、支持体を有する(支持体上に固着される)ことによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、全て無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れる。
ゼオライト膜の厚さは特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20μm以下である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性が低下する傾向がある。
ゼオライト膜の分離機能の一つは、分子ふるいとしての分離であり、用いるゼオライトの有効細孔径以上の大きさを有する気体分子または液体分子とそれ以下の気体または液体分子とを好適に分離することができる。なお分離に供される分子に上限はないが、分子の大きさは、通常100Å程度以下である。
本発明において、ゼオライト膜を構成するゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。また上限は、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。
なお、SiO2/Al2O3モル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光
法(SEM−EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
本発明において、CHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(I
ZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものであり、天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
ここで、フレームワーク密度(T/1000Å3)とは、ゼオライトの1000Å3あたりの、骨格を構成する酸素以外の元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
本発明において、多孔質支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に固着、好ましくは結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば如何なるものであってもよい。例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体(セラミックス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなるのでより好ましい。
本発明において、多孔質支持体上、すなわち支持体の表面などにゼオライトを結晶化させるのが好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
本発明において、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体とは、多孔質支持体上にゼオライトが膜状に固着しているものである。ゼオライトは、支持体の表面のみならず、ゼオライトの一部が、多孔質支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
ゼオライト膜複合体としては、多孔質支持体上にCHA型ゼオライトを水熱合成により膜状に結晶化させたものが特に好ましい。
ゼオライト膜の多孔質支持体上の位置は特に限定されず、管状の多孔質支持体を用いる場合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面につけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけてもよい。また、多孔質支持体の表面に積層させてもよいし、多孔質支持体の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分離性を向上することになる。
°付近のピークの強度の0.5倍以上の大きさであることが好ましい。
ここで、ピークの強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表
されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比A」ということがある。)でいえば、通常0.5以上、好ましくは1以上、より好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
クの強度の4倍以上の大きさであることが好ましい。
(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で
表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比B」ということがある。)でいえば、通常4以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、特に好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
Kαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。測定するサンプルの形状としては、膜複合体のゼオライトが主として付着している側の表面にX線が照射できるような形状なら何でもよく、膜複合体の特徴をよく表すものとして、作成した膜複合体そのままのもの、あるいは装置によって制約される適切な大きさに切断したものが好ましい。
ここで、2θ=17.9°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=9.6°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
また、X線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedral settingで空間群を
(1,0,0)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比B)は、COLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによれば2.5である。
そのため、この比が0.5以上であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
CHA型ゼオライト結晶が配向して成長している緻密なゼオライト膜は、次に述べる通り、ゼオライト膜を水熱合成により形成する際に、例えば、特定の有機テンプレートを用い、水性反応混合液中にK+イオンを共存させることにより達成することができる。
本発明において、上記支持体上に、水熱合成によりゼオライトを膜状に固着、好ましくは結晶化させ、ゼオライト膜を形成する。結晶化の方法に特に制限はないが、多孔質支持体を、ゼオライト製造に用いる水熱合成用の反応混合物(以下これを「水性反応混合物」ということがある。)中に入れて、直接水熱合成することで支持体上にゼオライトを結晶化させる方法が好ましい。
水性反応混合物としては、Si元素源、Al元素源、有機テンプレート(構造規定剤)、および水を含み、さらにアルカリ源を含むものであり、アルカリ源としては、少なくともカリウム(K)を含むものである。
Al元素源としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等を用いることができる。なお、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
有機テンプレートとしては、CHA型ゼオライト膜を形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種類以上を組
み合わせて使用してもよい。
具体的には、例えば、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオン、3−キナクリジナールから誘導されるカチオン、3−exo−アミノノルボルネンから誘導されるカチオン等の脂環式アミンから誘導されるカチオンが挙げられる。これらの中で、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。
1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンのうち、N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンの3つのアルキル基は、通常、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で最も好ましい化合物は、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンである。
また、その他の有機テンプレートとしては、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も好ましい化合物は、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。
また、このカチオンが伴うアニオンは上記と同様である。
アルカリ源としては、少なくともKを含むものであれば特に限定されず、通常、Kと、Na、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含むものである。これらの中で、NaとKが好ましく、Kがより好ましい。また、アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとKを併用するのが好ましい。
SiO2/Al2O3比は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であり、通常10000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは300以下、特に好ましくは100以下である。
られる。
特に、SiO2/Al2O3比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトを結晶化させることができる。また、膜が水を選択的に透過するのに十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成し得るほか、耐酸性に優れたCHA型ゼオライトが得られる。
有機テンプレート/SiO2比がこの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうることに加えて、生成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。また、この条件において、特に緻密で耐酸性のCHA型ゼオライトを形成させることができる。
水性反応混合物中のアルカリ源とカリウムの比は、アルカリ源となる金属(アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属)の全量に対するカリウムのモル比で、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上であり、通常1以下、好ましくは0.8以下である。
水性反応混合物中へのKの添加は、前記のとおり、rhombohedral settingで空間群を
水性反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうる。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して緻密な膜ができやすい傾向にある。
さらに、水熱合成に際して、必ずしも反応系内に種結晶を存在さる必要は無いが、種結晶を加えることで、支持体上にゼオライトの結晶化を促進できる。種結晶を加える方法と
しては特に限定されず、粉末のゼオライトの合成時のように、水性反応混合物中に種結晶を加える方法や、支持体上に種結晶を付着させておく方法などを用いることができる。ゼオライト膜複合体を製造する場合は、支持体上に種結晶を付着させておくことが好ましい。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能良好なゼオライト膜が生成しやすくなる。
種結晶の粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。粒径は、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
支持体上に予め付着させておく種結晶の量は特に限定されず、基材1m2あたりの質量で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、更に好ましくは8g以下である。
ゼオライト膜を形成させる際の温度は特に限定されないが、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下である。反応温度が低すぎると、ゼオライトが結晶化し難くなることがある。また、反応温度が高すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプ・BR>フゼオライトが生成し易くなることがある。
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥させる。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
加熱時間は、ゼオライト膜が十分に乾燥、またはテンプレートが焼成する時間であれば特に限定されず、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。上限は特に限定されず、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内である。
焼成温度は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以上、特に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。焼成温度が低すぎると有機テンプレートが残っている割合が多くなる傾向があり、ゼオライトの細孔が少なく、そのために分離濃縮の際の透過流束が減少する可能性がある。焼成温度が高すぎると支持体とゼオライトの熱膨張率の差が大きくなるためゼオライト膜に亀裂が生じやすくなる可能性があり、ゼオライト膜の緻密性が失われ分離性能が低くなることがある。
0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要があり、昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、通常5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
加熱処理後のゼオライト膜複合体の空気透過量は、通常1400L/(m2・h)以下、好ましくは1000L/(m2・h)以下、より好ましくは700L/(m2・h)以下、より好ましくは600L/(m2・h)以下、さらに好ましくは500L/(m2・h)以下、特に好ましくは300L/(m2・h)以下、もっとも好ましくは200L/(m2・h)以下である。透過量の下限は特に限定されないが、通常0.01L/(m2・h)以上、好ましくは0.1L/(m2・h)以上、より好ましくは1L/(m2・h)以上である。
かくして製造されるゼオライト膜複合体は、優れた分離性能をもつものであり、本発明における膜分離手段として好適に用いることができる。
本発明の分離方法は、上記ゼオライト膜複合体を膜分離手段として用いるものであり、さらに詳しくは、有機化合物を含む気体または液体の混合物を、上記多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に接触させて、該混合物から、透過性の高い物質を透過させて分離することに特徴をもつものである。この発明において、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体は、上記と同様のものが用いられる。また、好ましいものも上記と同様である。
前記多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、含水率が20質量%以上の含水有機化合物を処理した場合でも、高い透過性能、選択性を発揮し、耐久性に優れた分離膜としての性能を持つ。
選択性は分離係数により表される。分離係数は膜分離で一般的に用いられる選択性を表す以下の指標である。
[ここで、Pαは透過液中の主成分の質量パーセント濃度、Pβは透過液中の副成分の質
量パーセント濃度、Fαは透過液において主成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度、Fβは透過液において副成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度である。]
分離係数は、例えば含水率30%の2−プロパノールと水の混合物を、70℃において、1気圧(1.01×105Pa)の圧力差で透過させた場合、通常1000以上、好ましくは4000以上、より好ましくは10000以上、特に好ましくは20000以上である。分離係数の上限は完全に水しか透過しない場合でありその場合は無限大となるが、好ましくは10000000以下、より好ましくは1000000以下である。
本発明において、分離対象が、水と有機化合物の混合物(以下これを「含水有機化合物」ということがある。)の場合、混合物中の含水率は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
少なくなると処理量が低下するため効率的でない。また含水率が多すぎると濃縮に必要な膜が大面積となり(膜が管状に形成されている場合は数が多くなり)経済的な効果が小さくなる。
含水有機化合物としては、適当な水分調節方法により、予め含水率を調節したものであってもよい。この場合、好ましい含水率は上記と同様である。また、水分調節方法としては、それ自体既知の方法、例えば、蒸留、圧力スイング吸着(PSA)、温度スイング吸着(TSA)、デシカントシステムなどが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、蟻酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸類や、スルフォン酸、スルフィン酸、ハビツル酸、尿酸、フェノール、エノール、ジケトン型化合物、チオフェノール、イミド、オキシム、芳香族スルフォンアミド、第1級および第2級ニトロ化合物などの有機酸類;メタノール、エタノール、イソプロパノール(2−プロパノール)などのアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドなどの窒素を含む有機化合物(N含有有機化合物);酢酸エステル、アクリル酸エステル等のエステル類などが挙げられる。
また有機化合物としては、水と混合物(混合溶液)を形成し得る高分子化合物でもよい。かかる高分子化合物としては、分子内に極性基を有するもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどのポリオール類;ポリアミン類;ポリスルホン酸類;ポリアクリル酸などのポリカルボン酸類;ポリアクリル酸エステルなどのポリカルボン酸エステル類;グラフト重合等によってポリマー類を変性させた変性高分子化合物類;オレフィンなどの非極性モノマーとカルボキシル基等の極性基を有する極性モノマーとの共重合によって得られる共重合高分子化合物類などが挙げられる。
本発明の分離方法は、前記ゼオライト膜複合体を用いて、適当な分離装置を作製し、それに有機化合物を含む気体または液体の混合物を導入することにより行えばよい。これら分離装置は、それ自体既知の部材により作製することができる。
<ゼオライト膜の物性及び分離性能の測定>
以下の実験例において、ゼオライト膜の物性及び分離性能は、次の方法で測定した。
XRD測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit (Valiable Slit)
試料台:XYZステージ
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
Soller Slit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:240mm
・測定条件 X線出力(CuKα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):5.0−70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS):1mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
また、照射幅を自動可変スリットによって1mmに固定して測定し、Materials Data, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変ス
リット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
SEM−EDX測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
・加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
SEM測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4100
・加速電圧:10kV
多孔質支持体―ゼオライト膜複合体の一端を封止し、他端を、密閉状態で5kPaの真空ラインに接続して、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで空気の流量を測定し、空気透過量[L/(m2・h)]とした。マスフローメーターと
してはKOFLOC社製8300、N2ガス用、最大流量500ml/min(20℃、
1気圧換算)を用いた。KOFLOC社製8300においてマスフローメーターの表示が10ml/min(20℃、1気圧換算)以下であるときはLintec社製MM−21
00M、Airガス用、最大流量20ml/min(0℃、1気圧換算)を用いて測定し
た。
パーベーパレーション法に用いた装置の概略図を図1に示す。図1において多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5は真空ポンプ9によって内側が減圧され、被分離液4が接触している外側と圧力差が約1気圧(1.01×105Pa)になっている。この圧力差によって、被分離液4中の透過物質(水)が多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5に浸透気化して透過する。透過した物質はトラップ7で捕集される。一方、被分離液4中の有機化合物は、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体5の外側に滞留する。
以下の製造例1〜12において、CHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を製造した。
CHA型ゼオライト膜の作成のために、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」ということがある。)水溶液を、米国特許第4544538明細書に記載の方法に準じて次のとおり調製した。
5.5gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を75mlのメタノールに溶解し、24.2gの炭酸カリウムを加え、30分攪拌した。これに、10mlのヨードメタンを滴下させ、1昼夜攪拌した。その後、塩化メチレンを50ml加えて固体をろ過した。得られた溶液の溶媒をエバポレーターにより除去して固体を得た。この固体に塩化メチレン130ml加えてろ過、溶媒の除去を2回繰り返した。その後、得られた固体をメタノールを用いて再結晶した。再結晶された固体をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、乾燥してN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヨーダイド(TMADI)を得た。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
無機多孔質支持体としては、ニッカトー社製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、外表面を耐水性紙やすりを用いて滑らかにして、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
033/0.1/40/0.1のゲル組成(モル比)で、160℃、2日間水熱合成して結晶化させたものを、ろ過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。種結晶の粒径は0.5μm程度であった。
この種結晶を1質量%水中に分散させたものに、上記支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は3g/m2であった。
テンプレート焼成前の状態(以下これを「as−made」ということがある。)のゼオライト膜複合体を、電気炉で、550℃、10時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は50L/(m2・h)であった。
生成した膜のXRD測定をしたところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
付近のピークの強度)=2.9であり、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
短冊状に切断した無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体をSEMで観測した結果、表面に結晶が緻密に生成していた。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は22であった。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとしてTMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.95gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体としては、製造例1と同様のものを、同様に処理して用いた。
種結晶として、製造例1と同様の条件で水熱合成して結晶化させた粒径0.5μm程度のCHA型ゼオライトを用いた。
種結晶を付着させた支持体を、製造例1と同様に、上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し、160℃で48時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は50L/(m2・h)であった。
生成した膜のXRDパターンと種結晶として使用した粉末のCHA型ゼオライト[米国特許第4544538号明細書においてSSZ−13と呼称されるゼオライト(以下これを「SSZ−13」ということがある。)]のXRDパターンを図2に示す。図2において、a)は製造例2の膜のXRDパターン、b)はSSZ−13のXRDパターンである。また、図中の*は支持体由来のピークである。
の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)
=12.6であり、rhombohedral settingにおける(1,1,1)
面への配向が推測された。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.4gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O353.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとしてTMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.37gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体としては、製造例1と同様のものを、同様に処理して用いた。
種結晶として、TMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)を用いて、SiO2/Al2O3/NaOH/KOH/H2O/TMADAOH=1/
0.066/0.15/0.1/100/0.1のゲル組成(モル比)で、160℃、2日間水熱合成をして結晶化させたものを、ろ過、水洗、乾燥して得られたCHA型ゼオライトを用いた。この種結晶の粒径は2μm程度であった。
種結晶を付着させた支持体を、製造例1と同様に、上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し、160℃で48時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後に放冷し、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は432L/(m2・h)であった。
生成した膜のXRD測定をしたところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
のピークの強度)=1.0であった。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は20であった。
無機多孔質支持体として多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を用いた以外は、製造例3と同様の方法で、無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は285L/(m2・h)であった。
XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°
付近のピークの強度)=1.2であることがわかった。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液32gと1mol/L−KOH水溶液48gと水457gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)4.0gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、TMADAOH水溶液(TMADAOH25
質量%含有、セイケム社製)13.5gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製
スノーテック−40)48gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体としては、製造例1と同様のものを、同様に処理して用いた。
種結晶として、製造例3と同様の条件で水熱合成して結晶化させた粒径が2μm程度のCHA型ゼオライトを用いた。
この種結晶を、製造例1と同様の方法で、上記支持体に付着させた。付着した種結晶の質量は5g/m2であった。
生成した膜のXRD測定をしたところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDパターンを図3に示す。図中の*は支持体由来のピークである。
とCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERに記載の粉末のCHA型ゼオライトのXRDパターンにおけるピーク強度
比(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=
2.5にくらべ著しく大きく、rhombohedral settingにおける(1,0,0)面への配向が推測された。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液30.1gと水66.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.057gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、TMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)12.7gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)23.6gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
/TMADAOH=1/0.002/0.2/44/0.1、SiO2/Al2O3=500である。
無機多孔質支持体としては、製造例1と同様のものを、同様に処理して用いた。
種結晶として、製造例1と同様の条件で水熱合成して結晶化させた粒径0.5μm程度のCHA型ゼオライトを用いた。
この種結晶を、製造例1と同様の方法で、上記支持体に付着させた。付着した種結晶の質量は3g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は500L/(m2・h)であった。
生成した膜のXRD測定をしたところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDパターンを図4に示す。図中の*は支持体由来のピークである。
近のピークの強度)=1.7であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.3であることがわかった。
このように、生成した膜のXRDピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedral settingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれにも配向していないことが推測される。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを用いた以外は製造例2と同様の条件で無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
水熱合成用の反応混合物は、1mol/L−NaOH水溶液12.9gと1mol/L−KOH水溶液8.6gと水92.4gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O353.5質量%含有、アルドリッチ社製)1.16gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とし、これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.91gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)12.9gを加えて2時間撹拌することにより調製した。
得られたゼオライト膜複合体の焼成後の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は150g/m2であった。
近のピークの強度)=12.8であることがわかった。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は15であった。
水熱合成用の反応混合物を次のとおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液3.5gと1mol/L−KOH水溶液14.0gと水100.5gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.37gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体として、製造例1と同様のものを同様に処理して用いた。
製造例1で用いた種結晶を3質量%で水に分散させたスラリーに、上記支持体を浸漬した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は1.4g/m2であった。
テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉に入れ、500℃で5時間焼成した。焼成後のゼオライト膜複合体1の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は130g/m2であった。
生成したゼオライト膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=2.1であり、種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
(1)種結晶の合成
組成(モル比)が、SiO2/Al2O3/NaOH/KOH/H2O/TMADAOH=1/0.033/0.1/0.06/40/0.07の水熱合成用の反応混合物を次の
とおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液50gと1mol/L−KOH水溶液30gと水213gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)3.2gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)29.6gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)75gを加えさらに、製造例1で種結晶として用いたゼオライト結晶を0.6g加え2時間撹拌し、反応混合物とした。
水熱合成用の反応混合物を次のとおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.4gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.36gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体として、ニッカトー社製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を、80mmの長さに切断した後、超音波洗浄機で洗浄し、乾燥させたものを用いた。
種結晶を付着させた支持体上に、製造例2と同様の条件で、ゼオライト膜を形成させた後に焼成することにより、ゼオライト膜複合体を得た。焼成後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は130g/m2であった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=2.9であり、種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
(1)種結晶の合成
組成(モル比)が、SiO2/Al2O3/NaOH/KOH/H2O/TMADAOH=1/0.033/0.1/0.06/40/0.07の水熱合成用の反応混合物を次の
とおり調製した。
ウ乳鉢を用いて粉砕し、ゼオライト膜複合体製造用の種結晶とした。この種結晶のD50(メディアン径)は2.6μm、(D90−D10)/D50は1.4であった。なお、D90、D50、D10は、製造例9と同様の方法で測定した値である。
水熱合成用の反応混合物を次のとおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液8.8gと1mol/L−KOH水溶液17.6gと水90.2gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)1.68gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.99gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)13.2gを加えて2時間撹拌して調製した。
無機多孔質支持体として、製造例9と同様のものを同様に処理したものを用いた。
上記で合成した種結晶を1質量%で水に分散させたスラリーに、上記支持体を浸漬した後、製造例1と同様の条件で乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は1.6g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気の透過量は440L/(m2・min)であった。
XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°
付近のピークの強度)=0.7であり、種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
また短冊状に切断した無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体をSEMで観測した結果、表面に結晶が緻密に生成していた。
水熱合成用の反応混合物を次のとおり調製した。
1mol/L−KOH水溶液10.5gと水107.5gを混合したものに水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O キシダ化学社製)0.30g、水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌して白濁したスラリーとした。これにTMADAOH水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.37gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体として製造例9と同様のものを同様に処理して用いた。
製造例9で用いた種結晶を1質量%で水に分散させたスラリーに、上記支持体を浸漬し
た後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は0.7g/m2であった。
テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉に入れ、500℃で5時間焼成した。焼成後のゼオライト膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は170g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は60L/(m2・h)であった。
生成したゼオライト膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。
水熱合成用の反応混合物を次のとおり調製した。
1mol/L−NaOH水溶液17.5gと水100.1gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダ5マンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADOH)水溶液(TMADAOH2重量%含有、セイケム社製)2.96gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物とした。
無機多孔質支持体として製造例1と同様のものを同様に処理して用いた。
製造例1と同様にして合成した種結晶を1質量%で水に分散させたスラリーに、上記支持体を浸漬した後、製造例1と同様の条件で乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は2.1g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの質量は70g/m2であった。
製造例12と6は、ともにアルカリ源としてKを含まない水熱合成用の反応混合物を用いてゼオライト膜を形成したものである。この場合、空気透過量の結果のとおり、反応混合物のSiO2/Al2O3モル比を高くすれば(製造例6のモル比=500)空気透過量の少ない膜が形成されるが、SiO2/Al2O3モル比が低い(製造例12のモル比=15)と、膜に欠陥が生じ、空気透過量が多くなると推測される。
以下の試験例1〜22において、上記製造例1〜12で作製した無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体の分離性能を、パーベーパレーション法で測定した。
[試験例1]
製造例1で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/酢酸混合溶液(50/
50質量%)から、水を選択的に透過させる分離を行った。
[試験例2]
製造例2で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/酢酸混合溶液(50/
50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
また、分離を長時間継続し、透過流束の経時変化を調べた。開始から約10時間後の変化を開始60分後の透過流束を1としてプロットしたものを図5に示した。これから透過流束は、約5時間後はほぼ安定していることがわかる。
製造例2で得られたゼオライト膜複合体を用いて、80℃の水/酢酸混合溶液(50/
50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は6.0kg/(m2・h)、分離係数は649、透過液中の水の濃度は99.84質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.5×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例3で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/酢酸混合溶液(50/
50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.6kg/(m2・h)、分離係数は230、透過液中の水の濃度は99.57質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.5×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例4で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/2−プロパノール水溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は7.7kg/(m2・h)、分離係数は3000、透過液中の水の濃度は99.92質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、4.3×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例5で得られたゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.6kg/(m2・h)、分離係数は64、透過液中の水の濃度は98.46質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.9×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例6で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/酢酸混合溶液(50/
50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。この例では、透過開始から約3
時間で、透過流束、分離係数、透過液中の水の濃度が安定したので、3時間後の透過成績を示す。
透過流束は0.9kg/(m2・h)、分離係数は26、透過液中の水の濃度は96.30質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、5.5×10−7mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例7で得られたゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.5kg/(m2・h)、分離係数は180、透過液中の水の濃度は99.43質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.8×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.8kg/(m2・h)、分離係数は31000、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.3×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、50℃の水/2−プロパノール溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は2.5kg/(m2・h)、分離係数は29000、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.6×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、50℃の水/テトラヒドロフラン溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は3.1kg/(m2・h)、分離係数は3100、透過液中の水の濃度は99.97質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、4.2×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られた膜複合体を用いて、40℃の水/アセトン溶液(50/
50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.6kg/(m2・h)、分離係数は14600、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.8×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/N−メチル−2−ピロリドン溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.6kg/(m2・h)、分離係数は10300、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.3×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/エタノール溶液(86/14質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.3kg/(m2・h)、分離係数は500、透過液中の水の濃度は99.97質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、6.8×10−7mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/N−メチル−2−ピロリドン溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
その結果、透過流束は4.3kg/(m2・h)、分離係数は23100、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.1×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例2と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いて、有機酸を添加することによりpH4〜5に調整した70℃の水/N−メチル−2−ピロリドン溶液(30/70質
量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.3kg/(m2・h)、分離係数は23600、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.1×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例4で得られたゼオライト膜複合体を用いて、70℃の水/N−メチル−2−ピロリドン溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は7.7kg/(m2・h)、分離係数は25100、透過液中の水の濃度は99.99質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、5.7×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例8で得られたゼオライト膜複合体を用いて、パーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.5kg/(m2・h)、分離係数は230、透過液中の水の濃度は99.56質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.8×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例9で得られたゼオライト膜複合体を用いて、パーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.5kg/(m2・h)、分離係数は2100、透過液中の水の濃度は99.95質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.5×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例10で得られたゼオライト膜複合体をもちいてパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.4kg/(m2・h)、分離係数は420、透過液中の水の濃度は99.76重量%であった。水のパーミエンスであらわすと、3.4×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例11で作製したゼオライト膜複合体を用いて、パーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.9kg/(m2・h)、分離係数は520、透過液中の水の濃度は99.81質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、1.2×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
製造例6と同様にして得られたゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール溶液(30/70質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
分離係数は550、透過液中の水の濃度は99.57質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、1.4×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
上記試験例1〜22における測定結果を表2に示す。表2中、2−PrOHは2−プロパノールを、NMPはN−メチルピロリドンを、EtOHはエタノールを示す。なお、上記の測定において、試験例16を除いて、含水有機物のpH調整は行っていない。
[比較例1]
無機多孔質支持体−MOR型ゼオライト膜複合体を、MOR型ゼオライトをムライトチューブ上に直接水熱合成することで作製し、70℃の水/酢酸混合溶液(50/50質量
%)から水を選択的に透過させる分離評価を次のとおり行った。
水酸化ナトリウム(97.0質量%、純正化学社製)14.9gと水69.5gを混合
したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、Aldrich社製)1.09gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)90.0gを加えて2時間撹拌し、水性反応混合物とした。
種結晶として、MOR型ゼオライトTSZ−640NAA(東ソー社製)を用いた。この種結晶を5質量%水に分散させたスラリーを、上記支持体上に塗りこんで付着させた。付着した種結晶の質量は6g/m2であった。
種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒(200ml)に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し、160℃で8時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後に放冷し、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。
乾燥後の膜複合体の質量と支持体の質量の差から求めた、支持体状に結晶化したMOR型ゼオライトの質量は35g/m2であった。
0−7mol/(m2・s・Pa)であった。
この比較例1と試験例2(製造例2のゼオライト膜)の結果から、CHA型ゼオライト膜複合体はMOR型ゼオライト膜複合体と同等の高い選択透過性を有し、かつMOR型ゼオライト膜複合体の10倍以上の高い透過流束を持つことがわかる。
無機多孔質支持体−A型ゼオライト膜複合体を、特開平7−185275の実施例1(合成例1)の記載に準じて、無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製し、70℃の水/2−プロパノール溶液(50/50質量%)から水を選択的に透過させる分離評価を、次のとおり行った。
無機多孔質支持体として、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を用い、あらかじめ支持体上にA型ゼオライトの種結晶を担持させた。
ゼオライト膜のXRD測定をしたところ、A型ゼオライト膜が生成していることが分かった。なお、A型ゼオライトは、SiO2/Al2O3モル比が2、骨格構造として酸素
8員環構造を有し、フレームワーク密度(T/1000Å3)が12.9である。
分離評価の結果、3時間後の透過液中の水の濃度は53.0質量%となり、選択性が非常に低下していた。
2 湯浴
3 撹拌子
4 被分離液
5 無機多孔質支持体―ゼオライト膜複合体
6 ピラニゲージ
7 透過液捕集用トラップ
8 コールドトラップ
9 真空ポンプ
Claims (4)
- 多孔質支持体上にCHA型ゼオライトを有するゼオライト膜が形成されてなる、空気透
過量が1400L/(m2・h)以下の多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法で
あって、
多孔質支持体が平均厚さ0.5mm以上の円筒状のセラミックス支持体であり、
ゼオライト膜がSi元素源、Al元素源及びアルカリ源を含む水性反応混合物を用いる
水熱合成により形成され、
該アルカリ源がNaであり、該水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比がSi
O2/Al2O3モル比で50以上1000以下、Si元素源とアルカリ源の比がM(2
/n)O/SiO2(ただし、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはそ
の価数を示す。)で0.02〜0.5、Si元素源と水のモル比がH 2 O/SiO 2 モル
比で40以上150以下である
ことを特徴とする多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 多孔質支持体に予め種結晶を付着させた後に水熱合成を行う、請求項1に記載の多孔質
支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、
アミドから選ばれる少なくとも一種を含有する有機化合物と水との分離に用いられる、請
求項1または2に記載の多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が、含水率20質量%以上の水と有機化合物の混合
物の分離に用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質支持体−ゼオライト
膜複合体の製造方法。
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