JP2000237561A - Fer型ゼオライト膜、その製造方法及びそれを用いた有機酸の濃縮方法 - Google Patents

Fer型ゼオライト膜、その製造方法及びそれを用いた有機酸の濃縮方法

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JP2000237561A
JP2000237561A JP11001606A JP160699A JP2000237561A JP 2000237561 A JP2000237561 A JP 2000237561A JP 11001606 A JP11001606 A JP 11001606A JP 160699 A JP160699 A JP 160699A JP 2000237561 A JP2000237561 A JP 2000237561A
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porous alumina
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Keiji Itabashi
慶治 板橋
Hiroyuki Fujisaki
浩之 藤崎
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】気体又は液体混合物を分離する際に、従来技術
である蒸溜法や溶媒抽出/蒸留法に見られるような高い
エネルギーコストを要することなく経済的で、かつ分離
処理においても耐久性があり、特に有機酸/水の混合水
溶液から選択的に水を透過させて有機酸を濃縮・分離す
ることができるFER型ゼオライト膜、その製造方法及
びそれを用いた有機酸の濃縮方法を提供する。 【解決の手段】無機系多孔質支持体表面層にFER型ゼ
オライトを有することを特徴とする気体又は液体混合物
分離用FER型ゼオライト膜、その製造方法及びそれを
用いた有機酸の濃縮方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体又は液体混合
物の分離、濃縮に好適であり、従来の方法では分離が困
難であった気体混合物又は液体混合物の分離あるいは濃
縮に使用されるFER型ゼオライト膜及びその製造方
法、さらにこのFER型ゼオライト膜を用いた有機酸の
濃縮方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より気体混合物又は液体混合物の分
離には、それぞれ分離対象とする物質の性質に応じて固
体吸着剤、例えばゼオライトモレキュラーシーブ、カー
ボンモレキュラーシーブや、平膜状高分子膜や中空糸状
高分子膜等の高分子膜が用いられてきた。また、それに
代る方法としては蒸留が工業的に使用されてきた。しか
しながら、これらの従来法では、吸着剤の再生や蒸留の
ために多くのエネルギーを必要としたり、高分子膜では
耐熱性や耐薬品性に難点があるために適用範囲が限定さ
れるという欠点があった。
【0003】有機酸の代表的化合物である酢酸の水溶液
から酢酸を分離回収する方法は、現在蒸溜法、共沸蒸溜
法、溶媒抽出/蒸溜法などの方法で行なわれている。し
かしながらこの濃縮分離には多くのエネルギーを必要と
する。エネルギー原単位を低減する工夫が種々行なわれ
ているが、酢酸と水はその性質が類似しているため、大
幅にエネルギー原単位を低減させるには限界がある。
【0004】近年、膜分離における膜の性質向上によ
り、蒸溜法に代る分離法として実用化された例もある
が、高分子膜は有機溶剤への耐久性に乏しいため、酢酸
水溶液からの酢酸の分離回収には使用することができな
い。一方、無機膜においては、A型ゼオライトの親水性
を利用してアルコール水溶液から水を選択的に透過させ
て、アルコールを回収する方法(特開平7−18527
5号公報)などが提案されている。しかしながら、A型
ゼオライトは酸と接触するとその構造が破壊されるた
め、酢酸と水の分離には使用することが困難であるとい
う課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの課題
を解決することを目的としてなされたものであり、気体
又は液体混合物を分離する際に、従来技術である蒸溜法
や溶媒抽出/蒸留法に見られるような高いエネルギーコ
ストを要することなく経済的で、かつ分離処理において
も耐久性があり、特に有機酸/水の混合水溶液から選択
的に水を透過させて有機酸を濃縮・分離することができ
るFER型ゼオライト膜とその製造方法およびそれを用
いた有機酸水溶液の濃縮方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、気体又は液体の
混合物より特定の化合物を濃縮、精製などの分離処理を
行うにあたり、無機系多孔質支持体表面層にFER型ゼ
オライトを膜状に結晶化してなるFER型ゼオライト膜
を用いることで以下の知見を見出した。
【0007】1)無機系の材料を用いた表面層にゼオラ
イトを膜状に結晶化することで高強度とすることがで
き、分離処理において耐久性に優れていること。
【0008】2)支持体として多孔質の材料を用いるこ
とでゼオライト膜という密部分を通過した分離対象物が
疎な支持体を速やかに通過することができ、そのため分
離処理の時間を短縮できると共に分離の際に必要な圧力
も小さくて済みエネルギーコストが低減できて経済的で
あること。
【0009】3)ゼオライト膜としてFER型ゼオライ
ト膜を用いることで分離処理において混合物が濃縮され
てもその構造が破壊されることがなく耐久性があり、特
に酸と接触してもその構造が破壊されることがなく、例
えば酢酸と水の分離にも好適であること。
【0010】4)ゼオライトの製造の際に、その製造原
料の組成を変えることで疎水性、親水性の性質を制御す
ることができ、さらにFER型ゼオライト構造が有する
細孔径による分子篩効果もあるため、多種多様の気体混
合物や液体混合物の分離が可能となること。
【0011】このように、本発明のFER型ゼオライト
膜及びその製造方法を用いることでこれらの優れた点を
見出だし、本発明を完成するに至った。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する.本発明の
FER型ゼオライト膜は、無機系多孔質支持体表面層に
FER型ゼオライトを膜状に結晶化されてなるものであ
る。
【0013】ここで、本発明のFER型ゼオライト膜に
用いられる無機系多孔質支持体としては、表面層にFE
R型ゼオライトを膜状に結晶化できるような耐熱性があ
り、多孔質であれば特に制限されるものではなく、例え
ばシリカ,アルミナ,ムライト,ジルコニア,窒化珪
素,炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄,ブロン
ズ,ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型
体などが用いられる。また、これらの無機系多孔質支持
体の形状は気体混合物や液体混合物を有効に分離できる
ものであれば制限されるものではなく、平板状、管状、
円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状
などいずれの形状のものでもよい。
【0014】FER型ゼオライトを結晶化させるこれら
の支持体表面層の細孔径は制御されていることが好まし
く、0.02〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5
μmの範囲である。なお、支持体表面層とは、FER型
ゼオライトを結晶化する支持体表面部分を意味する。ま
た、ゼオライトを結晶化させる支持体表面層以外の部分
の細孔径は特に制御される必要はないが、その部分の気
孔率は気体や液体を分離する際の強度及び透過流量を左
右するため、20〜60%程度の気孔率を有するものが
好ましく使用される。
【0015】FER型ゼオライトとは、天然に産出する
フェリエライト(Ferrierite)と同等の結晶
構造を有するゼオライトを指す。その特徴は4.2×
5.4オングストロームの径を有する10員環から成る
細孔と3.5×4.8オングストロームの径を有する8
員環から成る細孔が直交する二次元細孔を有し、人工的
に合成されたFER型ゼオライトの骨格のSiO2/A
23比は10〜無限大まで変化することが知られてい
る(ATLAS OF ZEOLITE STRUCT
URE TYPES,Fourth Revised
Edition,Zeolites,Vol.17,
P.106−107,1996)。その構造は表1に示
すX線回折データにより特徴づけられる。
【0016】
【表1】
【0017】無機系多孔質支持体表面層にFER型ゼオ
ライト膜を結晶化させる方法としては、特に限定される
ものではない。FER型ゼオライトを合成する方法は種
々提案されているので、これらの方法、条件を基に支持
体表面層にFER型ゼオライト膜を結晶化させることが
できる。
【0018】例えば、有機テンプレート剤を用いない方
法として、特公平2−47403号公報、特公平3−3
9971号公報及び特公平3−45009号公報に開示
された方法などが有効である。また有機テンプレート剤
を用いる方法としては、エチレンジアミンを用いる方法
(米国特許第4016245号)、N−メチルピリジニ
ウムヒドロキシドを用いる方法(特開昭50−1278
98号公報)、β−ジケトンを用いる方法(米国特許第
4323481号)、ピリジンを用いる方法(特開平8
−188414号公報、米国特許第4578259号)
などが知られている。
【0019】このFER型ゼオライトを用いて有機酸水
溶液から水を選択的にこの細孔を拡散させて分離し、有
機酸を濃縮分離することができる。骨格のSiO2/A
23比が大きくなると疎水的性質が表われるので、S
iO2/Al23比を可能な限り小さくし親水性を強く
することによって、より好ましい結果が得られる。
【0020】FER型ゼオライト膜を効率よく結晶化さ
せるには、100℃以上の温度が必要なのでオートクレ
ーブなどの耐熱耐圧容器中で結晶化を行なう。結晶化速
度の促進と膜厚の均一化のため、結晶化のためのスラリ
ー状反応混合物を撹拌などにより流動化させることが必
要である。
【0021】以下、特公平3−45009号公報に開示
された方法を参考にして、有機テンプレート剤を用いな
い反応混合物からFER型ゼオライト膜を結晶化させる
方法について詳細に説明する。
【0022】FER型ゼオライト膜を結晶化させるため
の主要な反応混合物としては、シリカ源、アルミナ源、
アルカリ源(OHと記載)及び水からなり、かつ酸化物
のモル比で表して SiO2/Al23=10〜30 OH/SiO2=0.06〜0.35 K2O/(K2O+Na2O)=0.05〜0.8 H2O/SiO2=10〜100 の範囲になるように調製することが好ましい。この範囲
内にあれば、FER型以外のゼオライトが同時に生成す
ることを抑制したり、FER型ゼオライト膜の結晶性が
低下することを避けることができ、気体又は液体混合物
を良好に分離することができる。また、必要に応じて有
機テンプレート剤等の添加物を反応混合物に加えること
もできる。
【0023】本発明のFER型ゼオライト膜を製造する
際に使用されるシリカ源としては、無定形シリカ、シリ
カゾル、珪酸ナトリウム、シリカゲル、無定形アルミノ
シリケートゲル、珪砂等のいずれでも用いることができ
るが、これらの内でも、無定形シリカ、無定形アルミノ
シリケートゲルは溶解性の面や、反応速度が高く結晶化
し易いため好ましく用いられる。
【0024】アルミナ源としては、アルミン酸ナトリウ
ム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アル
ミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケー
トゲル等のいずれでも用いることができるが、これらの
内でも、アルミン酸ナトリウム、無定形アルミノシリケ
ートゲルは溶解性の面や、反応速度が高く結晶化し易い
など反応性が高く好ましく用いられる。
【0025】アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムを用いることが好ましい。また、珪酸ナ
トリウム、アルミン酸ナトリウムなどのアルカリ成分を
含むシリカ源、アルミナ源を用いた場合は、その中に含
まれるアルカリ成分は原料の一部として計算される。ま
たその中に含まれるアルカリ量が上記の組成範囲にある
反応混合物を調製するのに必要なアルカリ量を超える場
合は、硫酸,塩酸,硝酸,燐酸等の鉱酸などを用いてア
ルカリ量を調整することもできる。また逆に、アルカリ
量は十分であるがK2O/(K2O+Na2O)比の調製
が困難な場合は、塩類例えば、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の
無機、有機塩類を使用してその比を調整することもでき
る。
【0026】組成を調整して均一化した水性反応混合物
を、無機系多孔質支持体を内部に固定したオートクレー
ブなどの耐熱耐圧容器に入れ密閉して加熱する。無機系
多孔質支持体を固定するにあたっては、支持体の形状に
もよるが縦置き、横置きなどあらゆる態様を採用するこ
とができる。またこの際、結晶化速度を速めて膜厚、膜
構造の均一化を図るために反応混合物を撹拌するなどし
て流動化させ、多孔質支持体の全表面に常に均一な反応
混合物を接触させることが必要である。
【0027】反応混合物を撹拌又は流動化させる方法と
しては、無機系多孔質支持体を内部に固定したオートク
レーブを回転させる方法、反応混合物のみを撹拌する方
法及び反応混合物を循環しながら無機系多孔質支持体と
接触させる方法などがあり、特に限定されるものではな
く、支持体の大きさ、形状、数などに応じて最適な方法
を適宜選択すればよい。
【0028】膜厚を厚くするには、H2O/SiO2比を
小さくしてスラリー濃度を高くするか、スラリー濃度の
低い反応混合物を用いて2回以上の複数回の結晶化を行
なう方法が採用される。本発明のFER型ゼオライト膜
の厚さとしては5〜150μm、さらに5〜100μm
の範囲が好ましく、管状無機系多孔質支持体を用いる場
合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面に
つけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけ
てもよい。また、多孔質支持体の表面に積層させてもよ
いし、多孔質支持体の表面層の細孔内を埋めるようにF
ER型ゼオライトを結晶化させてもよい。この場合に、
結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔がないこ
とが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分
離特性を向上させることになる。
【0029】結晶化温度としては、結晶化速度が比較的
速く効率よく結晶化させるために100℃以上が好まし
く、さらに高温高圧型反応容器を必要とすることもなく
工業的生産規模においても経済的とするために100〜
200℃の範囲が好ましい。また、結晶化処理の時間と
しては10時間から10日間程度で十分である。
【0030】さらに、繰り返し結晶化の回数を減らして
膜厚を制御し、かつ緻密なゼオライト膜を結晶化させる
方法として、FER型ゼオライトの種結晶又はFER型
ゼオライト合成反応過程に生ずるスラリー、すなわち反
応スラリーを無機系多孔質支持体表面に塗付した後、F
ER型ゼオライトを結晶化させる方法が好ましく用いら
れる。種結晶又は反応スラリーを塗布する方法は特に限
定されるものではなく、これらを支持体表面に摺込む方
法、適度な濃度のスラリー中に多孔質支持体を入れて減
圧にして表面に結晶又は反応過程のアルミノシリケート
化合物を積層させる方法などが採用できる。種結晶の粒
子径、反応過程の化合物粒子径は小さいほうが好まし
く、必要に応じて粉砕して用いてもよい。また、塗布さ
れる反応スラリーは結晶化過程中のいかなる時間経過し
たものでもよい。例えば、結晶化が始まる前のものでも
よいし、結晶化途上のものでもよい。さらに、これらの
種結晶又は反応スラリーを支持体表面に塗布、乾燥し、
その後膜の合成を行うことが好ましい。
【0031】本発明のFER型ゼオライト膜の分離機能
のひとつは、分子篩としての分離であり、FER型ゼオ
ライトの有効細孔径4オングストローム以上の気体又は
液体分子と、4オングストローム以下の気体又は液体分
子との分離に好適に使用される。
【0032】また、もうひとつの機能は親疎水性を利用
した分離である。一般的にゼオライト骨格中のSiO2
/Al23比が30よりも小さい場合は親水的性質が現
われる。FER型ゼオライト膜の結晶化条件を制御すれ
ば、結晶中のSiO2/Al23比を10〜30の範囲
に制御することは容易に可能である。この様な膜を用い
れば、親水性分子と疎水性分子との混合物から親水性分
子を選択的に膜透過させることにより疎水性分子と分離
することができる。
【0033】さらに、ゼオライト骨格中のSiO2/A
23比が30よりも大きい場合には、一般的にゼオラ
イトは疎水的性質を示す。FER型ゼオライト膜の結晶
化に際し、反応混合物中にピリジンなどの有機テンプレ
ート剤を添加することによって、このようなハイシリカ
FER型ゼオライト膜を容易に得ることができる。この
ような膜を用いて、親水性分子と疎水性分子の混合物か
ら疎水性分子を選択的に膜透過させることにより親水性
分子と分離することができる。
【0034】以上のようにFER型ゼオライト膜はいく
つかの分離機能を有する。その中で、特にパーベーパレ
ーション法による液体混合物の分離、さらには有機酸と
水との混合物から水を選択的に透過させ、濃縮された有
機酸を分離、回収することに有効に使用することができ
る。
【0035】本発明のFER型ゼオライト膜を用いて有
機酸を濃縮する方法としては、FER型ゼオライト膜を
備えた無機系多孔質支持体を介し、一方の側に有機酸を
含む混合物を接触させ、その逆側を減圧して有機酸を含
む混合物よりFER型ゼオライト膜に透過性の物質(以
下、「膜透過物質」という)を選択的に透過させ、その
結果、有機酸を含む混合物中の有機酸の濃度を高めるこ
とで有機酸を分離、回収することができる。FER型ゼ
オライト膜を備えた無機系多孔質支持体の形状、大きさ
は特に限定されるものではなく、例えば、管状、フォロ
ーファイバー型、ハニカム型などあらゆる形状を採用で
きる。要はFER型ゼオライト膜の一方の側を減圧し
て、有機酸を含む混合物よりFER型ゼオライト膜に透
過性の物質を透過させる機構を備えたものであればよ
く、その他については公知の方法を用いればよい。
【0036】また、有機酸と接触させる前に、FER型
ゼオライト膜中のイオン交換可能な陽イオンをプロトン
型に交換しておくことが好ましい。しかしながら、合成
したままのアルカリ金属陽イオンが残存していても、有
機酸との接触によりプロトンとのイオン交換がおこり、
アルカリ金属陽イオンは水と共に系外へ排出される。
【0037】本発明の方法により分離できる有機酸の例
としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸な
どのカルボン酸類、スルフォン酸、スルフィン酸、フェ
ノール、エノール、ジケトン型化合物、チオフェノー
ル、イミド、オキシム、芳香属スルフォンアミド、第一
級及び第二級ニトロ化合物、バルビツル酸、尿酸などが
挙げられる。
【0038】特に現在蒸留法以外に有効な分離手段のな
い酢酸水溶液から水を選択的に透過させ、酢酸を分離、
回収するには本発明の方法は非常に有効で、経済的方法
である。
【0039】酢酸の分離、回収におけるFER型ゼオラ
イト膜の高い分離特性は、SiO2/Al23比が低い
ことによる親水性と、分子篩効果の二重の効果と推定さ
れる。
【0040】しかしながらこのような推定は本発明をな
んら拘束するものではない。
【0041】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。なお、X線回折分析は以下に示した方法によ
って実施した。
【0042】〜X線回折分析〜 X線回折装置(マックサイエンス社製、型式:MXP−
3)を用い、支持体については短冊状に切断して測定し
た。
【0043】実施例1 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、アルミン酸ナト
リウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シリカ
工業社製、Nipsil VN−3)を撹拌しながら添
加して、次の組成の反応混合物を調製した。
【0044】SiO2/Al23=15 OH/SiO2=0.20 K2O/(K2O+Na2O)=0.40 H2O/SiO2=30 オートクレーブに平板状の多孔質アルミナ支持体
((株)ノリタケカンパニーリミテド製造、40×30
mm、厚さ3mm、細孔径4.9μm、気孔率44%)
を縦向きになるように固定し、上記反応混合物を容器体
積の60%まで入れ、オートクレーブを回転軸に固定し
て50rpmにて回転しながら165℃で72時間結晶
化させた。その後、合成スラリーと多孔質アルミナを別
々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0045】ICP法による粉末状生成物のSiO2
Al23比は16.1であり、上記記載のX線回折分析
の結果、粉末状生成物、多孔質アルミナ支持体表面層に
FER型ゼオライトが生成していることを確認した。ま
た、SEM(走査型電子顕微鏡)による多孔質アルミナ
の断面観察では、膜厚は約10μmであった。図1に結
晶化前、後の多孔質アルミナ支持体及び粉末状生成物の
X線回折図を示す。
【0046】実施例2 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0047】SiO2/Al23=15 OH/SiO2=0.20 K2O/(K2O+Na2O)=0.40 H2O/SiO2=18 オートクレーブに管状の多孔質アルミナ支持体((株)
ノリタケカンパニーリミテド製造、直径10mm、肉厚
1.5mm、長さ90mm、細孔径0.2μm、気孔率
35%)を縦向きになるように固定し、上記反応混合物
を容器体積の50%まで入れ、オートクレーブを回転軸
に固定して50rpmにて回転しながら165℃で72
時間結晶化させた。その後、スラリーと管状多孔質アル
ミナ支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥し
た。
【0048】ICP法による粉末状生成物のSiO2
Al23比は14.2であり、上記記載のX線回折分析
の結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面
層にFER型ゼオライトが生成していることを確認し
た。また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断
面観察では、膜厚は約5μmであった。
【0049】実施例3 実施例2で得られた管状多孔質アルミナ支持体を水洗、
乾燥後、再度実施例2の操作を繰返して結晶化を行っ
た。その後、合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体
を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0050】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は14.3であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約10μmであった。
【0051】実施例4 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0052】SiO2/Al23=15 OH/SiO2=0.20 K2O/(K2O+Na2O)=0.40 H2O/SiO2=17 オートクレーブに管状の多孔質アルミナ支持体((株)
ノリタケカンパニーリミテド製造、直径10mm、肉厚
1.5mm、長さ90mm、細孔径1.0μm、気孔率
35%)を縦向きになるように固定し、上記反応混合物
を容器体積の50%まで入れ、オートクレーブを回転軸
に固定して50rpmにて回転しながら165℃で72
時間結晶化させた。その後、合成スラリーと管状多孔質
アルミナ支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥
した。
【0053】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は14.2であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約10μmであった。図2に結晶化前、
後の管状多孔質アルミナ支持体及び粉末状生成物のX線
回折図を示す。
【0054】実施例5 実施例4で得られた多孔質アルミナを水洗、乾燥後、再
度実施例4の操作を繰返して結晶化を行った。その後、
合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体をを別々に水
洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0055】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は14.3であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約40μmであった。図3に結晶化前、
後の管状多孔質アルミナ支持体及び粉末状生成物のX線
回折図を示す。
【0056】実施例6 実施例5で得られた管状多孔質アルミナ支持体を水洗、
乾燥後、再度実施例4の操作を繰返して結晶化を行っ
た。その後、合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体
を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0057】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は13.4であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していた。また、SEMに
よる多管状多孔質アルミナ支持体の断面観察では、膜厚
は約150μmであった。
【0058】実施例7 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0059】SiO2/Al23=12 OH/SiO2=0.20 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=20 オートクレーブに管状の多孔質アルミナ支持体(三井研
削砥石(株)製造、商品名:マルチポアロン、直径10
mm、肉厚1mm、長さ90mm、細孔径1μm、気孔
率40%)を縦向きになるように固定し、上記反応混合
物を容器体積の50%まで入れ、オートクレーブを回転
軸に固定して50rpmにて回転しながら165℃で4
8時間結晶化させた。合成スラリーと管状多孔質アルミ
ナ支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0060】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は11.8であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約5μmであった。
【0061】実施例8 実施例7で得られた管状多孔質アルミナ支持体を水洗、
乾燥後、再度実施例7の操作を繰返して結晶化を行っ
た。その後、合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体
をを別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0062】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は12.1であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
に結晶性にフェリエライトが生成していることを確認し
た。また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断
面観察では、膜厚は約20μmであった。
【0063】実施例9 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0064】SiO2/Al23=25 OH/SiO2=0.18 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=30 オートクレーブに管状の多孔質アルミナ支持体(三井研
削砥石(株)製造、商品名:マルチポアロン、直径10
mm、肉厚1mm、長さ90mm、細孔径1μm、気孔
率40%)を縦向きになるように固定し、上記反応混合
物を容器体積の50%まで入れ、撹拌しながら165℃
で48時間結晶化させた。合成スラリーと管状多孔質ア
ルミナ支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥し
た。
【0065】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は24.0であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約5μmであった。
【0066】実施例10 実施例9で得られた管状多孔質アルミナ支持体を水洗、
乾燥後、再度実施例9の操作を繰返して結晶化を行っ
た。その後、合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体
を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0067】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は24.2であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、膜厚は約25μmであった。
【0068】実施例11 水に水酸化ナトリウムとアルミン酸ナトリウムを溶解
し、次いで無定形固形シリカ(日本シリカ工業社製のN
ipsil VN−3)、ピリジン(和光純薬株式会社
製)を撹拌しながら添加して、次の反応混合物を調製し
た。
【0069】SiO2/Al23=46 OH/SiO2=0.15 ピリジン/SiO2=0.60 H2O/SiO2=20 オートクレーブに管状のステンレス製多孔質支持体(S
MC(株)、商品名:焼結金属エレメント、直径10m
m、肉厚1mm、長さ90mm、公称径1μm)を縦向
きになるように固定し、上記反応混合物を容器体積の5
0%まで入れ、オートクレーブを回転軸に固定して50
rpmにて回転しながら165℃で72時間結晶化させ
た。合成スラリーと管状ステンレス多孔質支持体を別々
に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。この操作を4回
繰り返し行った。
【0070】ICP法による4回目の合成生成物のSi
2/Al23比は43.9であり、上記記載のX線回
折分析の結果、粉末状生成物、管状ステンレス多孔質支
持体表面層にFER型ゼオライトが生成していることを
確認した。また、SEMによる管状ステンレス多孔質支
持体の断面観察では、膜厚は約6μmであった。
【0071】実施例12 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0072】SiO2/Al23=14 OH/SiO2=0.18 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=20 オートクレーブに管状の多孔質カーボン支持体(日本カ
ーボン(株)製造、商品名:ビトロカーボン(VCP−
5)、直径10mm、肉厚2mm、長さ90mm、孔径
4μm)を縦向きになるように固定し、上記反応混合物
を容器体積の50%まで入れ、撹拌しながら165℃で
72時間結晶化させた。合成スラリーと管状多孔質カー
ボン支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥し
た。この操作を4回繰り返し行なった。
【0073】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は13.6であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質カーボン支持体の断面観
察では、膜厚は約8μmであった。
【0074】実施例13 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0075】SiO2/Al23=14 OH/SiO2=0.18 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=20 上記反応混合物を撹拌しながら165℃で24時間反応
させ、反応スラリーを得た。一部を濾過,水洗,乾燥し
たもののX線回折分析の結果、粉末状生成物はアモルフ
ァスであった。管状の多孔質アルミナ支持体(三井研削
砥石(株)製造、商品名:マルチポアロン、直径10m
m、肉厚1mm、長さ90mm、細孔径1μm、気孔率
40%)の一方をシリコンゴム栓で塞ぎ、他方をアスピ
レーターで支持体内部を減圧にして、上記反応スラリー
中に浸漬させ、直ちに反応スラリーから引き抜いた。そ
の後70℃で乾燥した。この操作を3回繰り返し行なっ
た。
【0076】オートクレーブに上記の処理を行なった管
状の多孔質アルミナ支持体を縦向きになるように固定
し、新たに調製した上記反応混合物を容器体積の50%
まで入れ、撹拌しながら165℃で72時間結晶化させ
た。合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体を別々に
水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。
【0077】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は13.6であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、ゼオライト層の厚みは約60μmであった。
【0078】実施例14 水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及びアルミン酸
ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シリカ(日本シ
リカ工業社製のNipsil VN−3)を撹拌しなが
ら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0079】SiO2/Al23=14 OH/SiO2=0.18 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=20 上記反応混合物を撹拌しながら165℃で40時間反応
させ、反応スラリーを得た。一部を濾過,水洗し,乾燥
したもののX線回折分析の結果、粉末状生成物は結晶度
約60%のFER型ゼオライトであった。管状の多孔質
アルミナ支持体(三井研削砥石(株)製造、商品名:マ
ルチポアロン、直径10mm、肉厚1mm、長さ90m
m、細孔径1μm、気孔率40%)の一方をシリコンゴ
ム栓で塞ぎ、他方をアスピレーターで支持体内部を減圧
にして、上記反応スラリー中に浸漬させ、直ちに反応ス
ラリーから引き抜いた。その後70℃で乾燥した。
【0080】オートクレーブに上記の処理を行なった管
状の多孔質アルミナ支持体を縦向きになるように固定
し、新たに調製をした上記反応混合物を容器体積の50
%まで入れ、撹拌しながら165℃で72時間結晶化さ
せた。合成スラリーと管状多孔質アルミナ支持体を別々
に水洗し、それぞれ70℃で乾燥した。この操作を3回
繰り返し行なった。
【0081】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は13.6であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、ゼオライト層の厚みは約60μmであった。
【0082】実施例15 管状の多孔質アルミナ支持体(三井研削砥石(株)製
造、商品名:マルチポアロン、直径10mm、肉厚1m
m、長さ90mm、細孔径1μm、気孔率40%)の一
方をシリコンゴム栓で塞ぎ、他方をアスピレーターで支
持体内部を減圧にして、実施例13で165℃、72時
間結晶化して得られたFER型ゼオライトに水を加えて
スラリー状にした中に浸漬させ、直ちに引き抜いた。そ
の後70℃で乾燥した。
【0083】水に水酸化ナトリウム、塩化カリウム、及
びアルミン酸ナトリウムを溶解し、次いで無定形固形シ
リカ(日本シリカ工業社製のNipsil VN−3)
を撹拌しながら添加して、次の反応混合物を調製した。
【0084】SiO2/Al23=14 OH/SiO2=0.18 K2O/(K2O+Na2O)=0.20 H2O/SiO2=20 オートクレーブに上記の処理を行なった管状の多孔質ア
ルミナ支持体を縦向きになるように固定し、上記反応混
合物を容器体積の50%まで入れ、撹拌しながら165
℃で72時間結晶化させた。合成スラリーと管状多孔質
アルミナ支持体を別々に水洗し、それぞれ70℃で乾燥
した。
【0085】ICP法による合成生成物のSiO2/A
23比は13.7であり、上記記載のX線回折分析の
結果、粉末状生成物、管状多孔質アルミナ支持体表面層
にFER型ゼオライトが生成していることを確認した。
また、SEMによる管状多孔質アルミナ支持体の断面観
察では、ゼオライト層の厚みは約40μmであった。
【0086】実施例16 実施例3で得られたFER膜を用いて、パーベーパレー
ション法により酢酸水溶液から水を選択的に透過させる
分離を行なった。パーベーパレーション測定に使用した
装置の概略図を図5に示す。図5では、セル6にゼオラ
イト膜5を備えた無機系多孔質支持体を設置し、この支
持体の一方の側は真空ポンプ1により減圧できる機構と
なっている。そして、実際の測定では、符号7で示され
る酢酸水溶液(入口)をセル6へ通液し、それとともに
真空ポンプ1より減圧することでゼオライト膜5を境に
透過気化して透過液9が得られる。一方、酢酸は実質的
にゼオライト膜5を通過せず、ゼオライト膜5の外側に
滞留し、通液量の増加とともに酢酸水溶液(出口)8よ
り排出される。
【0087】液組成の測定はガスクロマトグラフにより
行ない、分離膜の透過性能は単位時間、単位面積当りの
透過量として透過流束と分離係数によって比較した。分
離係数は以下の式により求めた。
【0088】 分離係数=(PW/PA)/(FW/FA) 尚、PW、PAはそれぞれ透過液9中の水分濃度(重量
%)と酢酸濃度(重量%)であり、FW、FAはそれぞ
れ分離された酢酸水溶液(出口)8中の水分濃度(重量
%)と酢酸濃度(重量%)である。
【0089】75重量%酢酸水溶液を被分離液(図5で
は酢酸水溶液(入口)7)として、処理温度100℃で
パーベーパレーション測定を行なった。表2には、透過
流束及び、上記の式による分離係数を示した。
【0090】実施例17 実施例5で得られたFER膜を用い、実施例16と同様
に、75重量%酢酸水溶液を被分離液として、処理温度
100℃でパーベーパレーション測定を行なった。透過
流束、分離係数を表2に示す。
【0091】実施例18 実施例10で得られたFER膜を用い、実施例16と同
様に、75重量%酢酸水溶液を被分離液として、処理温
度100℃でパーベーパレーション測定を行なった。透
過流束、分離係数を表2に示す。
【0092】実施例19 実施例15で得られたFER膜を用い、実施例16と同
様に、75重量%酢酸水溶液を被分離液として、処理温
度100℃でパーベーパレーション測定を行なった。透
過流束、分離係数を表2に示す。
【0093】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における結晶化前後の多孔質アルミナ
支持体及び粉末生成物のX線回折図を示す。図中、
(a)は結晶化前の多孔質アルミナ支持体の、(b)は
粉末生成物の、(c)は結晶化後の多孔質アルミナ支持
体の結果である。図の横軸(X軸)はX線回折における
2θ値(単位はdeg)を示し、縦軸(Y軸)はX線回
折におけるピークの強度(Intensity)を示し
スケールは任意である。
【図2】実施例4における結晶化前後の多孔質アルミナ
支持体及び粉末生成物のX線回折図を示す。図中、
(a)は結晶化前の多孔質アルミナ支持体の、(b)は
粉末生成物の、(c)は結晶化後の多孔質アルミナ支持
体の結果である。図の横軸(X軸)はX線回折における
2θ値(単位はdeg)を示し、縦軸(Y軸)はX線回
折におけるピークの強度(Intensity)を示し
スケールは任意である。
【図3】実施例5における結晶化前後の多孔質アルミナ
支持体及び粉末生成物のX線回折図を示す。図中、
(a)は結晶化前の多孔質アルミナ支持体の、(b)は
粉末生成物の、(c)は結晶化後の多孔質アルミナ支持
体の結果である。図の横軸(X軸)はX線回折における
2θ値(単位はdeg)を示し、縦軸(Y軸)はX線回
折におけるピークの強度(Intensity)を示し
スケールは任意である。
【図4】実施例15における結晶化前後の多孔質アルミ
ナ支持体及び粉末生成物のX線回折図を示す。図中、
(a)は結晶化前の多孔質アルミナ支持体の、(b)は
粉末生成物の、(c)は結晶化後の多孔質アルミナ支持
体の結果である。図の横軸(X軸)はX線回折における
2θ値(単位はdeg)を示し、縦軸(Y軸)はX線回
折におけるピークの強度(Intensity)を示し
スケールは任意である。
【図5】実施例16〜19で用いたパーベーパレーショ
ン測定装置概略図である。
【符号の説明】
1:真空ポンプ 2:トラップ 3:透過液捕集用トラップ 4:真空度計 5:ゼオライト膜 6:セル 7:酢酸水溶液(入口) 8:酢酸水溶液(出口) 9:透過液

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機系多孔質支持体表面層にFER型ゼオ
    ライトを有することを特徴とする気体又は液体混合物分
    離用FER型ゼオライト膜。
  2. 【請求項2】液体混合物が有機酸水溶液であることを特
    徴とする請求項1に記載のFER型ゼオライト膜。
  3. 【請求項3】反応容器に無機系多孔質支持体を設置し、
    FER型ゼオライトを結晶化させるための反応混合物を
    加え、前記反応混合物を流動させつつ加熱しながら前記
    無機系多孔質支持体と接触させ、無機系多孔質支持体表
    面層にFER型ゼオライトを結晶化させることを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載のFER型ゼオライト
    膜の製造方法。
  4. 【請求項4】無機系多孔質支持体表面にFER型ゼオラ
    イトの種結晶又はFER型ゼオライト合成反応過程の反
    応スラリーを塗付した後、FER型ゼオライトを結晶化
    させることを特徴とする請求項3に記載のFER型ゼオ
    ライト膜の製造方法。
  5. 【請求項5】開気孔を有しかつ請求項1又は請求項2に
    記載のFER型ゼオライト膜を備えた無機系多孔質支持
    体を、密閉できるセルに設置し、前記支持体の一方の側
    に有機酸を含む混合物を接触させ、それと同時に前記支
    持体の逆側を減圧して前記有機酸を含む混合物より前記
    FER型ゼオライト膜に透過性の物質を透過させて有機
    酸を含む混合物中の有機酸の濃度を高めることを特徴と
    する有機酸の濃縮方法。
  6. 【請求項6】有機酸を含む混合物が酢酸水溶液であるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の有機酸の濃縮方法。
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