JP7321260B2 - ゼオライト膜複合体およびその製造方法、並びに流体分離方法 - Google Patents

ゼオライト膜複合体およびその製造方法、並びに流体分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、LTA型結晶構造を有するゼオライト膜を含むゼオライト膜複合体に関する。
ガスおよび/または液体(以下、流体と総称する)を分離し、精製する技術として、吸着分離法、吸収分離法、蒸留分離法、深冷分離法、膜分離法などが知られている。これらの中では、膜分離法が、省エネルギーの観点から有望視されている。膜分離法によれば、相変化を伴わずに分子を分離でき、装置のコンパクト化も可能である。
膜分離法で用いる分離膜として、高分子膜、有機無機複合膜なども開発されているが、耐熱性、耐圧性および耐久性に優れる点で無機膜が望ましい。
無機膜であるゼオライト膜は、微小な均一細孔を有しており、細孔径よりも小さな分子を透過させ、大きな分子の透過を阻害するため、分子ふるい膜として利用できる。一般的なゼオライトは、結晶性アルミノシリケートとして知られており、シリカ(二酸化ケイ素)とアルミナ(酸化アルミニウム)を主成分とし、電荷補償としてアルカリ金属カチオンを含む多孔質材料である。
ゼオライトには、種々の骨格構造があり、その構造により性質が異なる。そのため、ゼオライト膜は、膜を構成するゼオライトの構造によって異なる性質を示す。例えば、LTA型結晶構造を有するゼオライト膜は、高い水選択性および水透過性を有しており、水分離に用いられる。
特許文献1では、多孔質支持体上にLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を成膜した液体混合物分離膜が提案されており、水とアルコール類、水とケトン類、水とハロゲン化炭化水素類などの液体混合物における水選択透過性について検討されている。
また、特許文献2では、基材上にゼオライト粒子を含む前駆体ゲルの層を形成し、水蒸気存在下で加熱することにより、緻密かつ薄いゼオライト分離膜を製造する方法が提案されている。LTA型のゼオライト粒子を用いて得られるゼオライト分離膜について、水蒸気を含む2種類以上の気体を含んだ混合ガスから水蒸気を分離する性能が検討されている。
ところで、ゼオライトは、骨格構造だけでなく、アルミノシリケート中のシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との原子比:Si/Alによっても異なる性質を示すことが知られている。例えば、Si/Al比が小さくなるほど親水性は高くなる。一方、Si/Alの値が大きくなるほど熱安定性および耐酸性は高くなり、さらには高温下での水熱安定性が高くなる。
アルミノシリケート中の原子比:Si/Alの値がある程度大きくなるとLTA型ゼオライトは構造が不安定になるため、Si/Alの値が大きいLTA型ゼオライトの合成は困難であるとされていた。ただし、非特許文献1には、原子比:Si/Alが1.7~2.1のLTA型のゼオライトの合成に成功したことが報告されている。
特開平7-185275号公報 特開2018-38977号公報
Marlon T.Conato et al., Chem. Commun., 2015, 51, 269-272
通常、LTA型結晶構造を有するゼオライト膜に含まれるシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との原子比:Si/Alは約1である。このような膜は、分離膜としては、熱安定性および水熱安定性の点で不充分である。優れた性能を有する分離膜を得るためには、Si/Al比をより大きくすることが望ましい。しかし、LTA型ゼオライトの構造が不安定になるため、Si/Al比が1より大きい所望のゼオライト膜を得ることは困難であった。
なお、非特許文献1において、Si/Al比が1.7~2.1のLTA型のゼオライト(粉体)の合成については報告があるものの、このようにSi/Al比が大きいLTA型結晶構造を有するゼオライト膜の製造例は、現在のところ報告されていない。
本発明の一側面は、多孔質基材と、前記多孔質基材の表面に形成されたゼオライト膜と、を具備し、前記ゼオライト膜が、LTA型結晶構造を有し、前記ゼオライト膜に含まれるシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第1原子比:Si/Alが、1.29以上、1.60以下である、ゼオライト膜複合体に関する。
本発明の他の側面は、(i)第1表面および第2表面を有するとともに、前記第1表面と前記第2表面とを連通させる細孔を有する多孔質基材を準備する工程と、(ii)前記第1表面および前記第2表面から選択される少なくとも一方に、LTA型結晶構造を有する種結晶を塗布する工程と、(iii)シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)を含むゲル溶液を調製する工程と、(iv)前記ゲル溶液に、前記多孔質基材の前記種結晶が塗布された前記表面を接触させ、水熱合成により、前記表面にLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を成長させる工程と、を含み、前記ゲル溶液中に含まれる前記Siおよび前記Alが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合に、前記ゲル溶液中に含まれる前記SiOと前記Alとのモル比:SiO/Alが、3以上、9以下であり、前記HOと前記SiOとのモル比:HO/SiOが、10より大きく、100以下であり、前記SiOと前記OHとのモル比:SiO/OHが、1.3以上、2.5未満である、ゼオライト膜複合体の製造方法に関する。
本発明の更に他の側面は、上記ゼオライト膜複合体を用いて混合流体から特定成分を分離する流体分離方法であって、(i)前記第1表面および前記第2表面の一方で前記細孔と連通する第1空間に、前記ゼオライト膜に対するパーミアンスが互いに異なる第1成分と第2成分とを含む流体を供給する工程と、(ii)前記第1表面および前記第2表面の他方で前記細孔と連通する第2空間から、前記ゼオライト膜を透過した透過流体を回収し、前記第1空間から非透過流体を回収する工程と、を有する、流体分離方法に関する。
本発明によれば、シリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との原子比:Si/Alが1より大きいLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を提供することができる。
ゼオライト膜複合体の構造の一例を概念的に示す拡大断面図である。 筒状のゼオライト膜複合体の一例を概念的に示す斜視図である。 実施例1で合成した種結晶の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)である。 実施例1で生成した膜の表面のSEM像である。 実施例1で生成した膜の断面のSEM像である。 実施例1で合成した種結晶および生成した膜のX線回折パターンである。 浸透気化分離による脱水性能評価を行うための装置の概略図である。 蒸気透過分離による脱水性能評価を行うための装置の概略図である。 膜の第1原子比:Si/Alと水熱安定性との関係を示す図である。 透過流束および透過流体中の水濃度の経時変化を示す図である。 水とメタノールのパーミアンスおよび水選択性の経時変化を示す図である。 高温下における透過流束および透過流体中の水濃度の経時変化を示す図である。 高温下における水とメタノールのパーミアンスおよび水選択性の経時変化を示す図である。
本発明に係るゼオライト膜複合体は、多孔質基材と、多孔質基材の表面に形成されたゼオライト膜と、を具備する。ここで、ゼオライト膜は、LTA型結晶構造を有し、ゼオライト膜に含まれるシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第1原子比:Si/Alが、1.29以上、1.60以下である。このとき、ゼオライト膜は、安定なLTA型結晶構造を有し、高い熱安定性、耐酸性および水熱安定性を示し得る。すなわち、第1原子比が上記範囲を満たすLTA型結晶構造を有するゼオライト膜は、水選択性および水透過性が高いだけでなく、熱安定性、耐酸性および水熱安定性の点でも優れる。そのため、様々な流体分離方法に適用することができる。第1原子比:Si/Alは、1.45以上であることが好ましく、1.49以上、1.54以下であることがより好ましい。
第1原子比:Si/Alは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)-エネルギー分散型X線分光法(EDX、energy-dispersive X-ray spectroscopy)により測定することができる。膜の表面および断面のSEM画像から分析されるシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との組成より、第1原子比:Si/Alが求められる。
なお、ゼオライトの構造を表すLTA型とは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードである。
ゼオライト膜の厚さは、特に限定されないが、高いパーミアンスを達成する観点からは、20μm以下、更には10μm以下であることが好ましい。また、欠陥の小さい膜を形成するとともに、高い選択性を実現する観点から、ゼオライト膜の厚さは、2μm以上であることがより好ましい。なお、多孔質基材の表面に形成されたゼオライト膜は、通常、多孔質基材とシリカもしくはアルミナもしくはゼオライトとの複合層を有する。ゼオライト膜の厚さの好ましい範囲は、このような複合層を除いた場合の厚さの範囲である。膜の厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡写真の解析データから測定される。
多孔質基材の形状は、特に限定されないが、通常、第1表面および第2表面を有するとともに、第1表面と第2表面とを連通させる細孔を有する。このとき、第1表面および第2表面の少なくとも一方に、LTA型結晶構造を有するゼオライト膜が形成されていればよい。
多孔質基材の材質は、耐久性の観点から、無機材料であることが望ましく、通気性を有するセラミックスや金属の焼結多孔質体であることが好ましい。セラミックスとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、チタニアなどの金属酸化物を用いることができる。さらには、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタンなどの金属、窒化ケイ素などの窒化物、炭化ケイ素などの炭化物も用いることができる。なかでも、成型が容易で安価に入手しやすいという観点から、ムライト、シリカ、アルミナおよびステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔質基材の平均細孔径は、特に限定されないが、耐久性とガス透過性の点から、例えば0.1μm以上であればよく、10μm以下であってもよい。多孔質基材の平均細孔径は、例えば、水銀圧入法により測定することができる。
多孔質基材の気孔率は、特に限定されないが、耐久性とガス透過性の点から、例えば30%以上であればよく、60%以下であってもよい。多孔質基材の気孔率は、例えば、水銀圧入法や密度測定により求めることができる。
図1に、第1表面11と第2表面12とを有する多孔質基材13と、第1表面11に形成されたゼオライト膜14と、を具備するゼオライト膜複合体10の拡大断面図を概念図で示す。図2には、筒状の多孔質基材13Aと、その外周面に形成されたゼオライト膜14Aと、を具備するゼオライト膜複合体10Aの斜視図を概念図で示す。
ゼオライト膜複合体は、混合流体から特定成分を分離する流体分離方法に使用することができる。例えば、第1表面および第2表面の一方で多孔質基材の細孔と連通する第1空間に、ゼオライト膜に対するパーミアンス(流体透過速度)が互いに異なる第1成分と第2成分とを含む混合流体を供給すると、第1成分および第2成分のいずれかが優先的にゼオライト膜と多孔質基材の細孔を通過する。その結果、第1空間に供給された混合流体とは組成の異なる透過流体が、第1表面および第2表面の他方で多孔質基材の細孔と連通する第2空間に移動する。透過流体を回収し、必要に応じて、同様の操作を繰り返せば、第1成分または第2成分を分離することができる。
第1成分および第2成分は、特に限定されないが、第1成分としては水が、第2成分としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、アリルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテルなどのエーテル類などを挙げることができる。第2成分が、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であるとき、本発明に係るゼオライト膜複合体は特に高い分離能を発揮し得る。
ゼオライト膜複合体は、例えば、酢酸製造工程における酢酸(第2成分)と水(第1成分)とを含む混合流体からの水の分離、バイオエタノール製造工程におけるエタノール(第2成分)と水(第1成分)とを含む混合流体からの水の分離、半導体洗浄に用いられるイソプロピルアルコール(第2成分)と水(第1成分)とを含む混合流体からの水の分離、バイオイソブタノール製造工程におけるイソブタノール(第2成分)と水(第1成分)とを含む混合流体からの水の分離など、様々な脱水工程にも適用できる。
また、その他の用途としては、反応器内に膜を組み込んだ膜反応器(メンブレンリアクター、Membrane Reactor)などが挙げられる。例えば、二酸化炭素からメタノールを合成するメンブレンリアクターに適用することができる。二酸化炭素からメタノールを合成する反応は、次の式(1)で表すことができる。
CO + 3H → CHOH + HO (1)
メンブレンリアクターに、水の選択性および透過性に優れた膜を用いることにより、反応系から水が選択的に効率良く除去される。したがって、反応の平衡が右に移動し、二酸化炭素と水素の転化率を向上させることが可能となる。
ゼオライト膜複合体は、例えば、メタノール濃度が50質量%の60℃のメタノール水溶液中に配置され、供給側圧力を0.1MPaとし、透過側圧力を1kPaとしたとき、全透過流束が、0.5kg/m2・h以上、1.0kg/m2・h以下であり得る。このとき、水のパーミアンスは、例えば、1×10-7mol/m2・s・Pa以上、5×10-7mol/m2・s・Pa以下であり得る。また、メタノールのパーミアンスは、1×10-10mol/m2・s・Pa以上、5×10-10mol/m2・s・Pa以下であり得る。そして、水のパーミアンスとメタノールのパーミアンスとの比である水選択性は、600以上を達成し得る。
次に、本発明に係るゼオライト膜複合体の製造方法について説明する。
製造方法は、(i)第1表面および第2表面を有するとともに、第1表面と第2表面とを連通させる細孔を有する多孔質基材を準備する工程と、(ii)第1表面および第2表面から選択される少なくとも一方に、LTA型結晶構造を有する種結晶を塗布する工程と、(iii)シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)を含むゲル溶液を調製する工程と、(iv)ゲル溶液に、多孔質基材の種結晶が塗布された表面を接触させ、水熱合成により、表面にLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を成長させる工程と、を含む。
LTA型結晶構造を有するゼオライト膜を多孔質基材に形成するには、液相側ではなく多孔質基材の表面で優先的に結晶を成長させる必要がある。そのためには、工程(iv)の水熱合成を行う前に、多孔質基材の表面に、予め調製しておいた種結晶を付着させる工程(ii)が重要である。種結晶は、第1表面および第2表面の少なくとも一方に塗布すればよい。
工程(iv)において、種結晶を付着させた多孔質基材の表面に接触させるゲル溶液は、所定量のシリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)を含む。このようなゲル溶液を用いることにより、水熱合成後に得られるゼオライト膜は、シリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第1原子比:Si/Alが1より大きい膜になる。すなわち、高い熱安定性、耐酸性および水熱安定性を有するゼオライト膜を得ることができる。
以下、工程(ii)~(iv)について、詳細に説明する。
(種結晶)
種結晶としては、LTA型結晶構造を有するゼオライト粉末であれば、特に限定されずに用いることができる。
しかし、工程(iv)によって、高い熱安定性、耐酸性および水熱安定性を有するゼオライト膜を得るためには、種結晶のシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第2原子比:Si/Alは、1.0以上、2.2以下であることが好ましく、2.0以上、2.2以下であることがより好ましい。
(種結晶の合成)
種結晶として用いるLTA型結晶構造を有するゼオライト粉末の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、ゼオライト粉末は、シリコン元素(Si)源、アルミニウム元素(Al)源およびナトリウム元素(Na)源を原料として含むゲル溶液から合成することができる。ここで、NaはLTA型結晶構造を有するゼオライトの構造規定剤として作用する。
シリコン元素(Si)源としては、例えば、シリカコロイド、ケイ酸ナトリウム、フュームドシリカ、加水分解性基(アルコキシ基など)を有するケイ素化合物などが挙げられる。アルミニウム元素(Al)源としては、例えば、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、加水分解性基(アルコキシ基など)を有するアルミニウム化合物、アルミニウム粉などが挙げられる。また、構造規定剤として作用するナトリウム元素(Na)源としては、例えば、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウムなどが挙げられる。
第2原子比:Si/Alが1.0以上、2.2以下のゼオライト粉末は、例えば、以下の方法により合成することができる。
まず、水(HO)に水酸化ナトリウム(NaOH)とアルミン酸ナトリウム(NaAlO)とを加えて、室温で攪拌する。アルミン酸ナトリウムとしては、例えば、アルミニウム(Al)と水酸化ナトリウム(NaOH)のモル比が0.6~1.0(好ましくは0.8)であるアルミン酸ナトリウムを用いることができる。
得られる溶液に、シリカコロイド(SiO)を加え、室温下で6時間~24時間攪拌することにより、半透明のゲル溶液を調製する。このとき、ゲル溶液中には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)が含まれる。
ゲル溶液中のSiおよびAlが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合に、SiOとAlとのモル比:SiO/Alは、好ましくは3以上、10以下、より好ましくは3以上、5以下である。これにより、LTA型ゼオライトの生成に充分な量のシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)とが供給され、結晶性の高いLTA型ゼオライトを得ることができる。
ゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOは、ゼオライトを効率的かつ高収率で生成させる観点から、5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。また、ゲル溶液中のSiの濃度が低くなり過ぎてゼオライトの生成速度が遅くなることを防ぐために、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
ゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHは、1.3以上、2.5以下、より好ましくは、1.3以上、2.0以下である。この場合、ゲル溶液は弱アルカリ性を示す。このようなゲル溶液から得られるゼオライトは、LTA型結晶構造を有するとともに、第2原子比:Si/Alが1.0以上、2.2以下となりやすい。
なお、モル比:SiO/Al、モル比:HO/SiOおよびモル比:SiO/OHは、例えば、ゲル溶液に含まれる原料のそれぞれの質量から計算される組成比により求められる。
続いて、調製したゲル溶液を、例えば、60℃~110℃で12時間~148時間加熱して水熱合成することにより、結晶生成物を得る。水熱合成後、結晶生成物を濾過し、中性になるまで水で洗浄した後、60℃~80℃で乾燥させることにより、種結晶となるLTA型結晶構造を有するゼオライト粉末を得ることができる。
ここで、水熱合成とは、一般に、高温かつ高圧下で、水の存在下で行われる物質の合成反応の総称であり、ゼオライトの製造方法として適している。水熱合成は、通常、オートクレーブ内で、加熱により生じる水蒸気の加圧下で行われる。オートクレーブは、例えば、ステンレス鋼の外装で覆われたフッ素樹脂製の密閉容器であればよい。圧力は、通常、0.1MPa~3MPa、好ましくは0.4MPa~2MPaである。
LTA型結晶構造を有するゼオライト粉末の第2原子比:Si/Alは、例えば、粉末を酸で溶解した後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES、Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)により、測定される。
ゼオライト粉末は、平均粒子径100nm~200nm程度になるまで粉砕してから種結晶として用いても良い。
ここで、平均粒子径とは、体積基準の粒度分布におけるメディアン径であり、例えばレーザ回折式の粒度分布測定装置により測定することができる。
(種結晶の塗布)
種結晶の多孔質基材への塗布方法は、特に限定されない。例えば、スラリーコート法を用いて塗布することができる。
(膜生成用ゲル溶液の調製)
工程(iv)において、種結晶を付着させた多孔質基材の表面にゲル溶液を接触させることにより、ゼオライト膜が生成する。ゲル溶液には、シリコン元素(Si)源およびアルミニウム元素(Al)源が原料として含まれる。さらに、LTA型結晶構造を有するゼオライトにおいて構造規定剤として作用するナトリウム元素(Na)源も原料として含まれる。
シリコン元素(Si)源、アルミニウム元素(Al)源およびナトリウム元素(Na)源としては、例えば、種結晶の合成に使用される化合物と同様の化合物を用いることができる。Naの使用量も種結晶の合成に準じればよい。
調製されるゲル溶液中には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)が含まれる。ゲル溶液中のSiおよびAlが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合に、ゲル溶液中に含まれるSiOとAlとのモル比:SiO/Alは、3以上、9以下であり、好ましくは4以上、7以下、より好ましくは4以上、5以下である。これにより、LTA型ゼオライトの生成に充分な量のシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)とが供給され、結晶性の高いLTA型ゼオライトの膜を生成することができる。
ゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOは、10より大きく、100以下であり、好ましくは20以上、60以下、より好ましくは30以上、40以下である。この場合、ゼオライト膜が効率的かつ高収率で生成し、さらに、Siの濃度が低くなり過ぎないことから膜の生成速度も速くなる。
ゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHは、1.3以上、2.5未満であり、好ましくは1.3以上、2.0以下、より好ましくは1.5以上、2.0以下である。この場合、ゲル溶液は弱アルカリ性を示す。このようなゲル溶液から得られるゼオライト膜は、安定なLTA型結晶構造を有するとともに、第1原子比:Si/Alが高くなりやすい。
なお、モル比:SiO/Al、モル比:HO/SiOおよびモル比:SiO/OHは、例えば、ゲル溶液に含まれる原料のそれぞれの質量から計算される組成比により求められる。
(LTA型結晶構造を有するゼオライト膜の形成)
膜生成用ゲル溶液に、種結晶粉末が塗布された多孔質基材を浸漬し、水熱合成を行うことにより、多孔質基材の表面にLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を形成することができる。水熱合成の条件は、特に限定されないが、例えば、80℃以上、160℃以下で行われ、100℃以上、130℃以下で行ってもよい。水熱合成時間は、例えば、1時間以上、96時間以下であり、24時間以上、72時間以下であってもよい。
水熱合成で生成する膜生成物を、水で中性になるまで洗浄した後、例えば、60℃~80℃で、6時間~24時間乾燥させることにより、LTA型結晶構造を有するゼオライト膜を含むゼオライト膜複合体を得ることができる。
[実施例]
以下、本開示に係るゼオライト膜複合体を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
[ゼオライト膜複合体の作製]
工程(i)
(多孔質基材の準備)
第1表面および第2表面を有するとともに、第1表面と第2表面とを連通させる細孔を有する多孔質基材として、平均細孔径1.3μm、外径12mm、内径10mm、気孔率約30%、長さ30mmのアルミナ製チューブ((株)ニッカトー製、以下、アルミナ基材)を用いた。アルミナ基材は、超純水で煮沸洗浄後、乾燥して用いた。アルミナ基材の外周面は第1表面に、内周面は第2表面に対応する。
工程(ii)
以下の要領で合成したLTA型結晶構造を有するゼオライト粉末(種結晶)を、アルミナ基材の外周面(第1表面)に、スラリーコート法で塗布し、80℃で2時間乾燥させた。
(種結晶の合成)
ここでは、非特許文献1(Marlon T.Conato et al., Chem. Commun., 2015, 51, 269-272)に記載されている方法に準じて、種結晶となるLTA型結晶構造を有するゼオライトを合成した。
ガラスビーカーに入れた30.4gの蒸留水に、0.21gの水酸化ナトリウム(97質量%、1級、和光純薬工業(株)製)とアルミン酸ナトリウム粉末(AlとNaOHとのモル比:Al/NaOH=0.80、和光純薬工業(株)製)とを加え、室温で20分間攪拌した。得られた溶液に、55.08gのシリカコロイド(SiO、LUDOX AS-40、40質量%水中懸濁液、シグマアルドリッチ社製)を加え、室温下で24時間攪拌しながら均一なゲル溶液になるまで熟成させた。調製したゲル溶液中には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)が含まれる。ゲル溶液中のSiおよびAlが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合、ゲル溶液中のSiOとAlとのモル比:SiO/Alは4.6、HOとSiOとのモル比:HO/SiOは9.6、SiOとOHとのモル比:SiO/OHは1.8であった。
ゲル溶液を、フッ素樹脂製内筒付きステンレス鋼製耐圧容器に入れ、100℃で24時間加熱して、水熱合成を行った。その後、生成物を濾過し、中性になるまで蒸留水で洗浄した後、80℃で一晩乾燥させた。
得られた粉末の平均粒子径は0.5μm程度であった。この粉末をそのまま種結晶として用いた。
工程(iii)
(膜生成用ゲル溶液の調製)
ガラスビーカーに入れた40.00gの蒸留水に、29.50gのアルミン酸ナトリウム粉末(AlとNaOHとのモル比:Al/NaOH=0.80、和光純薬工業(株)製)を加えた。室温で20分間攪拌し、アルミン酸ナトリウム溶液を得た。
フッ素樹脂製容器に入れた416.34gの蒸留水に、113.74gのシリカコロイド(SiO、LUDOX AS-40、40質量%水中懸濁液、シグマアルドリッチ社製)を加えた。パドルミキサーで攪拌しながら前記したアルミン酸ナトリウム溶液をゆっくりと加えた。このとき、ムラができないよう、室温下で6時間攪拌しながら均一なゲルになるまで熟成させた。調製したゲル溶液中には、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)が含まれる。ゲル溶液中のSiおよびAlが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合、ゲル溶液中のSiOとAlとのモル比:SiO/Alは4.6、HOとSiOとのモル比:HO/SiOは38、SiOとOHとのモル比:SiO/OHは1.8であった。
工程(iv)
(ゼオライト膜の形成)
工程(iii)で得られたゲル溶液に、工程(ii)で得られた第1表面に種結晶を塗布したアルミナ基材を浸漬させ、120℃で48時間加熱して水熱合成を行い、第1表面でゼオライト膜を成長させた。その後、ゼオライト膜を含む膜生成物をゲル溶液中から取り出し、純水で中性になるまで洗浄した。80℃で一晩乾燥させて、ゼオライト膜複合体M1を得た。同様の方法で、ゼオライト膜複合体M2およびゼオライト膜複合体M3を作製した。
[種結晶およびゼオライト膜複合体の構造の評価]
合成した種結晶および作製したゼオライト膜複合体について、走査型電子顕微鏡(SU9000、日立ハイテク(株)製)、X線回折装置(RINT2000、(株)リガク製)および誘導結合プラズマ発光分析装置(Agilent 5110、アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて構造を評価した。
(走査型電子顕微鏡観察)
種結晶となるゼオライト粉末およびゼオライト膜複合体M1のゼオライト膜表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。また、ゼオライト膜については、破砕した断面についても観察した。図3に、種結晶のSEM像を、図4に、ゼオライト膜の表面のSEM像を示す。図5は、ゼオライト膜の破砕した断面のSEM像である。
図4および図5より、M1のゼオライト膜は、緻密な膜構造を有していることがわかった。なお、観察範囲内では、膜にピンホールおよびクラックは確認されなかった。膜厚は7μmであった。
(X線回折測定)
X線回折測定により、種結晶となるゼオライト粉末およびゼオライト膜複合体M1の膜の回折パターンを分析した。図6は、種結晶(Si-rich LTA seed)および生成した膜(Si-rich LTA membrane)のX線回折パターンである。種結晶となるゼオライト粉末およびゼオライト膜複合体M1の膜の回折パターンがLTA型トポロジー(Simulated LTA framework)と一致していることを確認した。
(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)
走査型電子顕微鏡(SEM)-エネルギー分散型X線分光法(EDX、energy-dispersive X-ray spectroscopy)により、膜の表面および断面のSEM画像からシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との組成を測定した。ゼオライト膜複合体M1、M2およびM3の膜の第1原子比:Si/Alは、M1が1.54、M2が1.52、M3が1.49であった。
(誘導結合プラズマ発光分析法)
誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES、Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)により、種結晶のゼオライト粉末の第2原子比:Si/Alを求めた。
分析に用いる試料は、次のようにして調製した。まず、0.1gの種結晶のゼオライト粉末を、1.3gのフッ化水素酸(46~48質量%、和光純薬工業(株)製)および10.0mlの超純水を含有する酸溶液に完全に溶解させ、室温下で5分間撹拌した。次に、2.7gの塩酸(35~37質量%、和光純薬工業(株)製)を滴下して過剰のフッ化水素を反応させた。得られた透明溶液を100mlの標準ポリプロピレン(PP)容器に入れ、超純水を加えて100mlの希釈溶液を調製した。この希釈溶液を試料として分析したところ、種結晶のゼオライト粉末の第2原子比:Si/Alは2.0であった。
実施例2
工程(iv)における水熱合成の時間を36時間とした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体M4を作製した。
実施例3
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHを1.5にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体M5を作製した。
実施例4
工程(iii)で調製するゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOを100にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体M6を作製した。
実施例5
工程(iii)で調製するゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOを20にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体M7を作製した。
比較例1
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHを1.0にしてゲル溶液のアルカリ性を高くした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例2
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHを1.25にしてゲル溶液のアルカリ性を高くした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例3
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHを2.5にしてゲル溶液のアルカリ性を低くした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例4
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとOHとのモル比:SiO/OHを3.0にしてゲル溶液のアルカリ性を低くした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例5
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとAlとのモル比:SiO/Alを2.0にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例6
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとAlとのモル比:SiO/Alを10にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例7
工程(iii)で調製するゲル溶液中のSiOとAlとのモル比:SiO/Alを15にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例8
工程(iii)で調製するゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOを10にした以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
比較例9
工程(iii)で調製するゲル溶液中のHOとSiOとのモル比:HO/SiOを10にし、100℃で168時間水熱合成を行った以外は、実施例1と同様にして、ゼオライト膜複合体を作製した。
実施例2~5および比較例1~9で作製したゼオライト膜複合体の構造についても、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007321260000001
工程(iii)で調製するゲル溶液に含まれるSiOとAlとのモル比:SiO/Alが、3以上、9以下であり、HOとSiOとのモル比:HO/SiOが、10より大きく、100以下であり、SiOとOHとのモル比:SiO/OHが、1.3以上、2.5未満である、実施例1~5で得られたゼオライト膜複合体M1~M7の膜は、LTA型結晶構造を有し、第1原子比:Si/Alが1.29~1.60であった。
ゲル溶液のアルカリ性が高い比較例1および比較例2では、LTA型結晶構造を有する膜を作製することができなかった。また、ゲル溶液のアルカリ性が低い比較例3で得られた膜は、LTA型結晶構造を有していたが、第1原子比:Si/Alが1.70と高く、脆弱な膜であった。さらにゲル溶液のアルカリ性が低い比較例4では膜が得られず、アモルファス状であった。
SiOとAlとのモル比:SiO/Alの値が3未満と小さい比較例5と、9より大きい比較例6では、LTA型結晶構造を有する膜は作製できるものの第1原子比:Si/Alは1.29~1.60にはならなかった。SiO/Alの値が比較例6よりさらに大きい比較例7の膜は、LTA型結晶構造を有する部分と、アモルファス状の部分とが混在していた。
OとSiOとのモル比:HO/SiOの値が10以下と低い比較例8および比較例9においても、LTA型結晶構造を有する膜は作製できるものの脆弱であり、第1原子比:Si/Alも1.29~1.60にはならなかった。
[脱水性能評価]
実施例1で作製したゼオライト膜複合体について、水(HO)-メタノール(MeOH)混合液、水(HO)-エタノール(EtOH)混合液、水(HO)-イソプロピルアルコール(IPA)混合液における膜の脱水性能を、浸透気化分離(PV:Pervaporation)および蒸気透過分離(VP:Vapor Permeation)により評価した。浸透気化分離にはゼオライト膜複合体M1を、蒸気透過分離にはゼオライト膜複合体M1、M2、M3およびM4を用いた。
(浸透気化分離)
浸透気化分離試験を行う装置について、その一例の概略を示す図7を参照しながら説明する。装置100は、水-アルコール混合液101を収容するチャンバ102と、チャンバ102内の混合液101の液面に対して垂直に浸漬される筒状のゼオライト膜複合体103と、ゼオライト膜複合体103の中空から蒸気が導入されるパイプ104と、パイプ104から導入される蒸気を冷却する2つのコールドトラップ105と、コールドトラップ105とパイプ104を介して、ゼオライト膜複合体103の中空内を減圧する真空ポンプ106と、を具備する。真空ポンプ106には、水-アルコール混合液101の混入を防ぐために、真空ポンプ用コールドトラップ107が備えられている。チャンバ102は恒温槽109内に設置されており、恒温槽109には水-アルコール混合液101の温度を制御する加熱装置108が設けられている。
浸透気化分離試験は、次のようにして行った。まず、水-アルコール混合液101の温度を、加熱装置108により所定温度にまで昇温した。その後、ゼオライト膜複合体103の中空内を真空ポンプ106で減圧し、蒸気をゼオライト膜複合体103の外側から内側に透過させ、透過蒸気をコールドトラップ105のいずれか一方で捕集した。
単位時間・単位面積当たりの回収量である透過流束(kg/mh)を質量変化から求めた。また、回収量と回収物中の水濃度(透過側の水濃度、質量%)とを測定し、水のパーミアンス(mol/(m・s・Pa))を算出した。さらに、水のパーミアンスとアルコールのパーミアンスとの比である水選択性αを求めた。αの値が大きいほど、水選択性が高くなることを意味する。なお、回収物中の水とアルコールの組成は、ガスクロマトグラフ(GC3200、ジーエルサイエンス(株)製)を用いて測定した。
浸透気化分離試験により、水-メタノール混合液、水-エタノール混合液、水-イソプロピルアルコール混合液における50℃、60℃または75℃での脱水性能を評価した。ゼオライト膜複合体103の外側の圧力(供給側圧力)は0.1MPa(常圧)とし、ゼオライト膜複合体103の中空内の圧力(透過側圧力)を真空ポンプ106によって1kPa未満に減圧した。有効膜面積は22.60cmとした。結果を、表2に示す。
また、特許文献1(特開平7-185275号公報)に記載されているLTA型ゼオライト膜の試験結果を参考例1、特許文献3(国際公開第2015/159986号パンフレット)に記載されているCHA型ゼオライト膜の試験結果を参考例2、参考例5および参考例8、特許文献4(特開2003-210950号公報)に記載されているLTA型ゼオライト膜の試験結果を参考例3、特許文献5(特開2000-042387号公報)に記載されているT型ゼオライト膜の試験結果を参考例4、非特許文献2(Kita et al., J. Membr. Sci., 2004, 236, 17-27)に記載されているLTA型ゼオライト膜およびT型ゼオライト膜の試験結果を、それぞれ参考例6および参考例7、特許文献6(特開2010-247150号公報)に記載されているMOR型ゼオライト膜の試験結果を参考例9、特許文献7(特開2012-50930号公報)に記載されているMFI型ゼオライト膜の試験結果を参考例10として、これらも表2に示す。なお、これらの参考例では全て膜の基材としてアルミナ製チューブが使用されていた。
Figure 0007321260000002
(蒸気透過分離)
蒸気透過分離試験を行う装置について、その一例の概略を示す図8を参照しながら説明する。装置200は、水-アルコール混合液201を収容するチャンバ202と、チャンバ202内の水-アルコール混合液201から発生する水-アルコール混合蒸気210に接触するように配置された筒状のゼオライト膜複合体203と、ゼオライト膜複合体203を加熱する加熱装置208と、チャンバ202および加熱装置208に取り付けられた熱電対212と、ゼオライト膜複合体203の中空から蒸気が導入されるパイプ204と、パイプ204から導入される蒸気を冷却する2つのコールドトラップ205と、コールドトラップ205とパイプ204を介して、ゼオライト膜複合体203の中空内を減圧する真空ポンプ206と、ゼオライト膜複合体203を透過しなかった未透過蒸気を冷却し、冷却後の溶液211をチャンバ202内に戻すコンデンサー213とを具備する。真空ポンプ206には、水-アルコール混合液201の混入を防ぐために、真空ポンプ用コールドトラップ207が備えられている。チャンバ202は、マントルヒータースターラー214内に設置されている。
蒸気透過分離試験は、次のようにして行った。チャンバ202内に水-アルコール混合液201を注ぎ、所定温度に設定したマントルヒータースターラー214で加熱することにより水-アルコール混合液201を沸騰させ、水-アルコール混合蒸気210を発生させた。
ゼオライト膜複合体203を所定の位置にセットし、蒸気発生部をアルミホイルで保温し、膜表面温度が所定の温度になるまで待った。その後、ゼオライト膜複合体203の内側を真空ポンプ206で減圧することにより、水-アルコール混合蒸気210をゼオライト膜複合体203の外側から内側に透過させ、透過蒸気をコールドトラップ205のいずれか一方で捕集した。
透過流束(kg/mh)、水濃度(質量%)、水のパーミアンス(mol/(m・s・Pa))および水選択性αを、浸透気化分離試験の場合と同様にして求めた。
蒸気透過分離試験により、水-メタノール混合液におけるゼオライト膜複合体M1、M2、M3およびM4の105℃での脱水性能を評価した。M1については、さらに200℃までの脱水性能を評価した。チャンバ202内の水-アルコール混合液201は800mlとし、有効膜面積は22.60cmとした。
なお、105℃における脱水性能の評価で用いる水-メタノール混合液は、蒸気組成がHO/MeOH=10/90(質量比)になるように、HO/MeOH=24/76(質量比)に調製した。マントルヒータースターラー214の設定温度は130℃とした。
125℃、150℃、175℃および200℃における評価も、マントルヒータースターラー214の温度を適宜設定した以外は、105℃での評価と同様にして行った。評価結果を、表3に示す。
市販のLTA型ゼオライト膜複合体m1(Lot.1267-007、三井造船(株)製)を用いて同様の試験を行った。これらの結果も表3に示す。また、特許文献4(特開2003-210950号公報)に記載されているLTA型ゼオライト膜の試験結果を参考例11として示した。なお、これらのゼオライト膜複合体では、全て膜の基材としてアルミナ製チューブが使用されていた。
Figure 0007321260000003
表2および表3より、実施例1および実施例2で作製したゼオライト膜複合体M1、M2、M3およびM4は、水-メタノール混合液、水-エタノール混合液、水-イソプロピルアルコール混合液の全てにおいて、高い水選択性を示した。また、105℃~200℃の高温下でも、水選択性が高くなることが明らかになった。一方、参考例として示した従来のゼオライト膜複合体は、特に水-メタノール混合液において、高い水選択性を得ることが困難であった。したがって、ゼオライト膜複合体M1、M2、M3およびM4は、参考例として示した従来のゼオライト膜複合体と比較しても、優れた分離性能を有することがわかった。
(水熱安定性)
浸透気化分離装置を用いて、作製したゼオライト膜複合体M2、M5、M6およびM7と市販のLTA型ゼオライト膜複合体m1(Lot.1267-007、三井造船(株)製)の水熱安定性を評価した。
水-メタノール混合液(水濃度50質量%)中にゼオライト膜複合体を配置し、60℃で2日間浸透気化分離試験を行った。X線回折測定により、試験前後の構造の変化を観察した。2θ=7.18°、10.16°、12.44°および16.10°におけるピーク強度の合計を、試験前後で測定し、試験前のピーク強度の合計を100%としたときの試験後のピーク強度の合計を相対強度(%)として求めた。結果を図9に示す。横軸は、ゼオライト膜の原子比:Si/Al(Framework Si/Al ratio)、縦軸は、相対強度(Relative Intensity)である。
膜の第1原子比:Si/Alが高くなるほど、試験後にも構造が維持され、水熱安定性が高くなっていることがわかった。特にSi/Alが1.4から1.5付近で、顕著な結果が出た。
(長期水熱安定性)
浸透気化分離装置を用いて、実施例1で作製したゼオライト膜複合体M1の長期水熱安定性を評価した。
水-メタノール混合液(水濃度50質量%)中にゼオライト膜複合体を配置し、60℃で174時間浸透気化分離試験を行った。有効膜面積、供給側圧力および透過側圧力は脱水性能評価試験と同様にし、全透過流束(kg/mh)、水濃度(質量%)、水とメタノールのパーミアンス(mol/(m・s・Pa))および水選択性を求めた。
結果を図10Aおよび図10Bに示す。図10Aにおいて、横軸は、測定時間(Measurement time)、縦軸は、全透過流束(Total flux)および透過流体中の水濃度(Water content in permeate)である。図10Bにおいて、横軸は、測定時間(Measurement time)、縦軸は、水とメタノールのパーミアンス(Permeance)および水選択性(Separation selectivity)である。
図10Aおよび図10Bより、水透過性と水選択性がいずれも174時間一定に保たれていたことがわかった。これより、ゼオライト膜複合体M1は、長期にわたって高い水熱安定性を有することが確認された。
第1原子比:Si/Alが低いゼオライト膜は、水濃度が高い条件においてゼオライト層が崩壊される可能性があると報告されている(Li et al., J. Membr. Sci., 2007, 297, 10-15)。上記した水熱安定性試験において、市販のLTA型ゼオライト膜複合体m1の相対強度が低くなったのも、そのためであると考えられる。
一方、Si/Al比の高いゼオライト膜複合体は、水濃度の高い高温の溶液中でも安定な構造が長期間維持されるものと考えられる。
次に、蒸気透過分離装置を用いて、実施例1で作製したゼオライト膜複合体M3の高温下での長期水熱安定性について評価した。
水-メタノール混合蒸気(水濃度50モル%)中にゼオライト膜複合体を配置し、150℃で174時間蒸気透過分離試験を行った。有効膜面積、供給側圧力および透過側圧力は脱水性能評価試験と同様にし、全透過流束(kg/mh)、水濃度(質量%)、水とメタノールのパーミアンス(mol/(m・s・Pa))および水選択性を求めた。
結果を図11Aおよび図11Bに示す。図11Aにおいて、横軸は、測定時間(Measurement time)、縦軸は、全透過流束(Total flux)および透過流体中の水濃度(Water content in permeate)である。図11Bにおいて、横軸は、測定時間(Measurement time)、縦軸は、水とメタノールのパーミアンス(Permeance)および水選択性(Separation selectivity)である。
図11Aおよび図11Bより、水透過性と水選択性がいずれも174時間一定に保たれていたことがわかった。これより、ゼオライト膜複合体M3は、水濃度の高い高温蒸気混合物に対しても、高い水熱安定性および熱安定性を長期的に有することが確認された。Si/Al比の高いゼオライト膜複合体は、水濃度の高い高温蒸気混合物中でも安定な構造が長期間維持されるものと考えられる。
本発明に係るLTA型結晶構造を有するゼオライト膜複合体は、膜のシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との原子比:Si/Alが1より大きいため、水選択性および水透過性に優れるだけでなく、熱安定性、耐酸性および水熱安定性にも優れる。そのため、様々な流体分離方法および分離精製装置への利用が期待できる。
10、10A ゼオライト膜複合体
11 第1表面
12 第2表面
13、13A:多孔質基材
14、14A:ゼオライト
100 浸透気化分離装置
101、201 水-アルコール混合液
102、202 チャンバ
103、203 ゼオライト膜複合体
104、204 パイプ
105、205 コールドトラップ
106、206 真空ポンプ
107、207 真空ポンプ用コールドトラップ
108、208 加熱装置
109 恒温槽
200 蒸気透過分離装置
210 水-アルコール混合蒸気
211 冷却後の溶液
212 熱電対
213 コンデンサー
214 マントルヒータースターラー

Claims (10)

  1. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の表面に形成されたゼオライト膜と、を具備し、
    前記ゼオライト膜が、LTA型結晶構造を有し、
    前記ゼオライト膜に含まれるシリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第1原子比:Si/Alが、1.29以上、1.60以下であり、
    前記多孔質基材が、第1表面および第2表面を有するとともに、前記第1表面と前記第2表面とを連通させる細孔を有し、前記第1表面および前記第2表面から選択される少なくとも一方の表面に、前記ゼオライト膜が形成されている、ゼオライト膜複合体であって、
    前記第1表面および前記第2表面の一方で、前記細孔と連通する第1空間に、メタノール濃度が50質量%の60℃のメタノール水溶液を配置して供給側とし、前記供給側の他方を透過側として、前記供給側の圧力を0.1MPaとし、前記透過側の圧力を1kPaとしたときに観測される、水のパーミアンスとメタノールのパーミアンスとの比である水選択性が、600以上である、ゼオライト膜複合体。
  2. 前記第1原子比:Si/Alが、1.45以上である、請求項1に記載のゼオライト膜複合体。
  3. 前記第1原子比:Si/Alが、1.49以上、1.54以下である、請求項1または2に記載のゼオライト膜複合体。
  4. 前記ゼオライト膜の厚さが、20μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
  5. 前記多孔質基材の材質が、ムライト、シリカ、アルミナおよびステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
  6. さらに前記供給側圧力を0.1MPaとし、前記透過側圧力を1kPaとしたときに観測される、
    全透過流束が0.5kg/m2・h以上、1.0kg/m2・h以下であり、
    水のパーミアンスが1×10-7mol/m2・s・Pa以上、5×10-7mol/m2・s・Pa以下であり、
    メタノールのパーミアンスが1×10-10mol/m2・s・Pa以上、5×10-10mol/m2・s・Pa以下である、請求項1~のいずれか1項に記載のゼオライト膜複合体。
  7. (i)第1表面および第2表面を有するとともに、前記第1表面と前記第2表面とを連通させる細孔を有する多孔質基材を準備する工程と、
    (ii)前記第1表面および前記第2表面から選択される少なくとも一方の表面に、LTA型結晶構造を有する種結晶のスラリーを塗布し、乾燥する工程と、
    (iii)シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、水酸化物イオン(OH)および水(HO)を含むゲル溶液を調製する工程と、
    (iv)前記ゲル溶液に、前記多孔質基材の前記種結晶が塗布された前記表面を接触させ、水熱合成により、前記表面にLTA型結晶構造を有するゼオライト膜を成長させる工程と、を含み、
    前記ゲル溶液中に含まれる前記Siおよび前記Alが、全て二酸化ケイ素(SiO)および酸化アルミニウム(Al)を形成していると仮定した場合に、
    前記ゲル溶液中に含まれる前記SiOと前記Alとのモル比:SiO/Alが、3以上、9以下であり、
    前記HOと前記SiOとのモル比:HO/SiOが、10より大きく、100以下であり、
    前記SiOと前記OHとのモル比:SiO/OHが、1.3以上、2.5未満である、ゼオライト膜複合体の製造方法。
  8. 前記種結晶が、シリコン元素(Si)とアルミニウム元素(Al)との第2原子比:Si/Alが、1.0以上、2.2以下のゼオライト骨格を有する、請求項に記載のゼオライト膜複合体の製造方法。
  9. 請求項に記載のゼオライト膜複合体を用いて混合流体から特定成分を分離する流体分離方法であって、
    (i)前記第1表面および前記第2表面の一方で前記細孔と連通する第1空間に、前記ゼオライト膜に対するパーミアンスが互いに異なる第1成分と第2成分とを含む流体を供給する工程と、
    (ii)前記第1表面および前記第2表面の他方で前記細孔と連通する第2空間から、前記ゼオライト膜を透過した透過流体を回収し、前記第1空間から非透過流体を回収する工程と、を有する、流体分離方法。
  10. 前記第1成分が、水であり、
    前記第2成分が、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項に記載の流体分離方法。
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