JP6167484B2 - 多孔質支持体−ゼオライト膜複合体 - Google Patents
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Description
近年、これらの方法に代わる分離方法として、高分子膜やゼオライト膜などの膜を用いた膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜は加工性に優れ、例えば平膜や中空糸膜などがあるが、耐熱性が低いという欠点がある。また高分子膜は、耐薬品性が低く、特に有機溶媒や有機酸といった有機化合物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適用範囲が限定的である。
しかしながら、より高い処理量と分離性能を両立する多孔質支持体−ゼオライト膜複合体、該ゼオライト膜複合体を用いる分離、濃縮方法、該ゼオライト膜複合体の製造方法を提供することが求められていた。
即ち、本発明の要旨は、下記の〔1〕〜〔16〕に存する。
〔1〕無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜としてCHA型ゼオライト結晶層を有し、かつゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の15
倍以上であることを特徴とする無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体。
〔2〕ゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=9.6°付近のピーク強度の4.5倍以上である〔1〕に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体。
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体に、複数の成分
からなる気体または液体の混合物を接触させて、該混合物のうち透過性の高い物質を透過させることにより、該混合物から該透過性の高い物質を分離する、または、該混合物から透過性の高い物質を透過させることにより、透過性の低い物質を濃縮することを特徴とする分離または濃縮方法。
〔4〕複数の成分からなる気体または液体の混合物が、有機化合物と水との混合物である〔3〕に記載の方法。
〔5〕有機化合物が、有機酸、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステルおよび窒素を含む有機化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、〔4
〕に記載の方法。
〔6〕〔1〕又は〔2〕に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を製造する方法であって、Si元素源、Al元素源およびアルカリ源を含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、無機多孔質支持体表面にCHA型ゼオライトを結晶化させる工程を含むことを特徴とする無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
〔7〕無機多孔質支持体表面にゼオライトの種結晶を付着させた後、CHA型ゼオライトを結晶化させる〔6〕に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
〔8〕ゼオライトの種結晶が、CHA型ゼオライトである〔7〕に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
〔9〕水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比が、Al元素の酸化物に対するSi元素の酸化物のモル比(SiO2/Al2O3モル比)として、5以上10000以下である、〔6〕ないし〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕水性反応混合物が有機テンプレートを含む、〔6〕ないし〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕水性反応混合物中のSi元素源と有機テンプレートの比が、Si元素の酸化物に対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiO2モル比)として、0.005以上1以下である、〔10〕に記載の方法。
〔12〕水性反応混合物中のSi元素源とアルカリ源の比が、Si元素の酸化物に対するM(2/n)O(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)のモル比(M(2/n)O/SiO2モル比)として、0.02以上0.5以下である、〔6〕ないし〔11〕のいずれかに記載の方法。
〔13〕アルカリ源がカリウムを含有する、〔6〕ないし〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕水性反応混合物中のアルカリ源とカリウムの比が、アルカリ源となる金属の全量に対するカリウムのモル比として、0.01以上1以下である、〔13〕に記載の方法。〔15〕有機テンプレートが、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンである、〔10〕ないし〔14〕のいずれかに記載の方法。
〔16〕水熱合成が、種結晶を付着させた無機多孔質支持体を、水性反応混合物に浸漬させた状態で0〜120℃で0.5時間以上72時間以下保持した後に加熱することにより行われることを特徴とする〔6〕ないし〔15〕のいずれかに記載の方法。
本発明の無機多孔質支持体―ゼオライト膜複合体は、無機多孔質支持体上にゼオライト膜が形成されてなる多孔質支持体−ゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜としてCHA型ゼオライト結晶層を有し、かつゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=9.6°付近のピーク強度の4.5倍以上であることに特徴を有するものである。
本発明において、無機多孔質支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に固着、好ましくは結晶化できるような化学的安定性がある、多孔質の無機の支持体であれば如何なるものであってもよい。例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体(セラミックス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなるのでより好ましい。
無機多孔質支持体の形状は、気体や液体の混合物を有効に分離できるものであれば特に
制限されず、具体的には、例えば、平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられる。
無機多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて表面をやすり等で研磨してもよい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
本発明において、ゼオライト膜とは、後に詳述するとおり、無機多孔質支持体上に固着されている膜状のゼオライトを意味する。該ゼオライト膜は、支持体を有する(支持体上に固着される)ことによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、全て無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れる。
膜である。ゼオライト膜中のゼオライトの含有率は、通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、通常は100質量%以下である。
ゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向がある。それ故、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合がより好ましい。ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなる。後に述べる水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので特に好ましい。
ゼオライト膜の分離機能の一つは、分子ふるいとしての分離であり、用いるゼオライトの有効細孔径以上の大きさを有する気体分子または液体分子とそれ以下の気体または液体分子とを好適に分離することができる。なお分離に供される分子に上限はないが、分子の大きさは、通常100Å程度以下である。
本発明において、ゼオライト膜を構成するゼオライトとしては、アルミノ珪酸塩であるものが好ましく、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。また上限は、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。
なお、SiO2/Al2O3モル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
の構造を規定するコードでCHA構造のものであり、天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
く、酸素6〜8員環の細孔構造を有するゼオライトを含むものがより好ましい。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、酸素6員環よりも小さいゼオライトではH2O分子のKinetic直径半径よりも細孔径が小さくなるため透過流束が小さくなり実用的でない場合がある。また、酸素8員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな有機化合物では分離性能が低下することがあり、用途が限定的になる場合がある。
ゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å3)は特に制限されないが、通常17以下、好ましくは16以下、より好ましくは15.5以下、特に好ましくは15以下であり、通常10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。
CHA型ゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å3)は14.5である。また、CHA型ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は、上記と同様である。
本発明において、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体とは、無機多孔質支持体上にゼオライトが膜状に固着しているものである。ゼオライトは、支持体の表面のみならず、ゼオライトの一部が、無機多孔質支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
ゼオライト膜複合体としては、多孔質支持体上にCHA型ゼオライトを、水熱合成により膜状に結晶化させたものが好ましい。
るゼオライトが成長する方向がそろいやすくなり、特定の面への配向がおこりやすくなるので、外表面にゼオライト膜をつけることが好ましい。また、多孔質支持体の表面に積層させてもよいし、多孔質支持体の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分離性を向上することになる。
本明細書において、ピークの強度とは、測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=9.6°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比(以下これを「ピーク強度比A」ということがある。)でいえば、通常4.5以上、好ましくは4.6以上である。ピーク強度比Aは大きければ大きいほどよく、上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
また、ゼオライト膜複合体は、ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含み、ゼオライト膜表面のX線回折パターンにおいて、2θ=17.9°付近のピークの強度が2θ=20.8°付近のピークの強度の13.0倍以上の大きさであることが好ましい。
で表される強度比(以下これを「ピーク強度比B」ということがある。)でいえば、通常13.0以上、好ましくは13.2以上、より好ましくは13.5以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは14.5以上、特に好ましくは15以上である。ピーク強度比Bは大きければ大きいほどよく、上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
ここで、2θ=17.9°付近のピークとは、基材に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
2θ=20.8°付近のピークとは、基材に由来しないピークのうち20.8°±0.6°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークはCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIER(以下これを、「非特
許文献1」ということがある。)によればrhombohedral settingで空間群を
また、X線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークは非特許文献1によればrhombohedral settingで空間群を
X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークは非特許文献1によればrhombohedral settingで空間群を
(1,1,1)面由来のピークの強度と(1,0,0)の面に由来のピーク強度の典型的な比(ピーク強度比A)は、Halil Kalipcilar et al., "Synthesis and Separation Performance of SSZ-13 Zeolite Membranes on Tubular Supports", Chem. Mater. 2002, 14, 3458-3464(以下これを、「非特許文献2」ということがある。)によれば1未満で
ある。
そのため、この比が0.5以上であるということは、例えば、CHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。さらに、この比が13.0以上であるということは、膜複合体の表面と平行な面の大部分がCHA構造をrhombohedral settingとした場合の(1,1,1)面で占められていて、(1,1,1)面へ強く配向していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が(1,1,1)面へ配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行になるように配向して成長し、分離性能の高い緻密なゼオライト膜が形成されていることを示すものである。
ピーク強度比A、Bはその値が大きいほど(1,1,1)面への配向の程度が強いことを示し、一般的に配向の程度が強いほど緻密な膜が形成されていることを示す。一般的には配向が強いほど分離性能が高い傾向がある。
本発明において、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、多孔質支持体を、水熱合成用の反応混合物(以下これを「水性反応混合物」ということがある。)中に入れて(浸漬して)直接水熱合成することで、支持体上にゼオライトを膜状に固着、好ましくは結晶化させることにより、多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を製造する方法が好ましい。
水性反応混合物としては、Si元素源、Al元素源、アルカリ源、および水を含み、さらに必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)等を含むものである。
Al元素源としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等を用いることができる。なお、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
アルカリの種類は特に限定されず、通常、Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Baなどが用いられる。これらの中で、Na、Kが好ましく、Kがより好ましい。また、アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとKを併用するのが好ましい。
有機テンプレートとしては、CHA型ゼオライト膜を形成しうるものであれば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、例えば、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオン、3−キナクリジナールから誘導されるカチオン、3−exo−アミノノルボルネンから誘導されるカチオン等の脂環式アミンから誘導されるカチオンが挙げられる。これらの中で、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。
1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンのうち、N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンの3つのアルキル基は、通常、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で最も好ましい化合物は、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンである。
また、その他の有機テンプレートとしては、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も好ましい化合物は、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。
水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比は、通常、それぞれの元素の酸化物のモル比、すなわちSiO2/Al2O3モル比として表わす。
SiO2/Al2O3比は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であり、通常10000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは300以下、特に好ましくは100以下である。
特に、SiO2/Al2O3比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトを結晶化させることができる。また、膜が水を選択的に透過するのに十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成し得るほか、耐酸性に優れたCHA型ゼオライトが得られる。
有機テンプレート/SiO2比がこの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうることに加えて、生成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。また、この条件において、特に緻密で耐酸性のCHA型ゼオライトを形成させることができる。
CHA型ゼオライト膜を形成する場合、アルカリ金属の中でKを含む場合がより緻密で結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。その場合のKと、Kを含むすべてのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属とのモル比は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上であり、通常1以下、好ましくは0.8以下である。
水性反応混合物中へのKの添加は、前記のとおり、rhombohedral settingで空間群を
水性反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成しうる。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが緻密な膜ができやすい傾向にある。
さらに、ゼオライト膜複合体を製造する場合は、水熱合成に際し、支持体上に種結晶を付着させておくことが好ましい。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで、支持体上でのゼオライトの結晶化を促進でき、緻密で分離性能良好なゼオライト膜が生成しやすくなる。
種結晶の粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。粒径は、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、通常20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
支持体上に予め付着させておく種結晶の量は特に限定されず、基材1m2あたりの質量で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、更に好ましくは8g以下である。
さらに、ゼオライト膜複合体を製造する場合は、水熱合成に際し、ゼオライト膜を形成させる前に、種結晶を付着させた多孔質支持体を、水性反応混合物に浸漬させた状態で0〜120℃で0.5時間以上72時間以下保持する処理を行ってもよい。
種結晶を付着させた支持体を浸漬させた水性反応混合物を保持する際には、濃度分布や温度分布が大きくならないように必要に応じて、撹拌や反応液の循環などを行っても良いが、静置状態で保持しても良い。
の保持温度よりも高い温度にすることが好ましい。水熱合成時の加熱温度は、予め保持した温度よりも通常5℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上高い。水熱合成時の加熱温度と予め保持した温度の差の上限は特に限定されないが通常200℃以下である。また、その際、水性反応混合物は、そのまま用いても良いし、新しく調製したものと交換しても良い。
また、種結晶を付着させた支持体を反応混合物に浸漬し上記条件で予め保持することにより、前記のとおり、rhombohedral settingで空間群を
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理する。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
テンプレートの焼成を目的とする加熱処理の際の昇温速度は、支持体とゼオライトの熱膨張率の差がゼオライト膜に亀裂を生じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。昇温速度は、通常5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
加熱処理後のゼオライト膜複合体の空気透過量は、通常1400L/(m2・h)以下、好ましくは1000L/(m2・h)以下、より好ましくは700L/(m2・h)以下、より好ましくは600L/(m2・h)以下、さらに好ましくは500L/(m2・h)以下、特に好ましくは300L/(m2・h)以下、もっとも好ましくは200L/(m2・h)以下である。透過量の下限は特に限定されないが、通常0.01L/(m2
・h)以上、好ましくは0.1L/(m2・h)以上、より好ましくは1L/(m2・h)以上である。
かくして製造される本発明のゼオライト膜複合体は、優れた分離性能をもつものであり、本発明における膜分離手段として好適に用いることができる。
本発明の分離または濃縮方法は、上記ゼオライト膜複合体を膜分離手段として用いるものであり、さらに詳しくは、複数の成分からなる気体または液体の混合物を、上記多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に接触させて、該混合物から、透過性の高い成分(物質)を透過させて分離する、または、透過性の高い物質を透過させて分離することにより透過性の低い物質を濃縮することに特徴をもつものである。
分離または濃縮の対象となる混合物としては、本発明における多孔質支持体−ゼオライト膜複合体によって分離または濃縮が可能な複数の成分からなる気体または液体の混合物であれば特に制限はない。
られる無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、高温条件下でも分離が可能な耐久性を有しているのでベーパーパーミエーション法に好適である。
ここでいう高い透過性能とは、十分な処理量を示し、例えば、膜を透過する物質の透過流束が、例えば含水率30%の2−プロパノールと水の混合物を、70℃において、1気圧(1.01×105Pa)の圧力差で透過させた場合、通常1kg/(m2・h)以上、好ましくは3kg/(m2・h)以上、より好ましくは5kg/(m2・h)以上、特に好ましくは6kg/(m2・h)であることをいう。透過流束の上限は特に限定されず、通常20kg/(m2・h)以下、好ましくは15kg/(m2・h)以下である。
選択性は分離係数により表される。分離係数は膜分離で一般的に用いられる選択性を表す以下の指標である。
[ここで、Pαは透過液中の主成分の質量パーセント濃度、Pβは透過液中の副成分の質
量パーセント濃度、Fαは透過液において主成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度、Fβは透過液において副成分となる成分の被分離混合物中の質量パーセント濃度である。]
、特に好ましくは40000以上である。分離係数の上限は完全に水しか透過しない場合でありその場合は無限大となるが、好ましくは10000000以下、より好ましくは1000000以下である。
さらに、ゼオライト膜複合体によって水が分離された含水有機化合物から、さらに水を分離してもよい。これにより、より高度に水を分離し、含水有機化合物をさらに高度に濃縮することができる。
また、有機酸以外の有機化合物と水との混合物から、有機化合物と水を分離する場合の有機化合物は、特にアルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、アミドから選ばれる少なくとも一種を含有する有機化合物が望ましい。これら有機化合物の中で、炭素数が2から10のものが好ましく、炭素数が3から8のものがより好ましい。
混合物;ギ酸、イソ酪酸、吉草酸等のカルボン酸類と水の混合物;フェノールやアニリン等の芳香族有機化合物と水の混合物;アセトニトリル、アクリロニトリル等の窒素含有物と水との混合物等が挙げられる。
本発明において、分離または濃縮の対象となる混合物が気体の混合物である場合、該混合物としては、例えば、二酸化炭素、水素、酸素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、1−ブテン、2-ブテン、イソブテ
ン、六フッ化硫黄、ヘリウム、一酸化炭素、一酸化窒素、水などから選ばれる少なくとも1種の成分を含むものが挙げられる。前記ガスを含む気体混合物の成分のうち、パーミエンスの高い気体成分は、ゼオライト膜複合体を透過し分離され、パーミエンスの低い気体成分は供給ガス側に濃縮される。
気体(ガス)分離の条件は、対象とするガス種や組成、膜の性能により異なるが、温度は、通常0〜300℃、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは室温〜150℃である。
供給ガスの圧力は特に制限されないが、通常大気圧若しくは大気圧より大きく、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは、0.11MPa以上である。また、通常上限値は20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは1MPa以下である。
ここで、差圧とは、当該ガスの供給側の分圧と透過側の分圧の差をいう。また、圧力[Pa]は、特に断りのない限り、絶対圧を指す。
上であり、上限は特に制限なく、通常、1m/sec以下、好ましくは0.5m/sec以下である。
スイープガスの圧力は、通常大気圧であるが特に制限はなく、好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、更に好ましくは1MPa以下であり、下限は、好ましくは0.09MPa以上、より好ましくは、0.1MPa以上である。場合によっては、減圧にして用いても良い。
本発明の分離または濃縮方法は、前記ゼオライト膜複合体を用いて、適当な分離装置を作製し、それに気体または液体の混合物を導入することにより行えばよい。これら分離装置は、それ自体既知の部材により作製することができる。
以下の実験例において、物性や分離性能等の測定は、特に明記しない限り次のとおり行った。
(1)X線回折(XRD)測定
ゼオライト膜のXRD測定を、以下の条件で行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit (Valiable Slit)
試料台:XYZステージ
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
Soller Slit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:240mm
・測定条件 X線出力(CuKα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):5.0−70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS):1mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面ではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
また、照射幅を自動可変スリットによって1mmに固定して測定し、Materials Data, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変スリット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
ゼオライト膜複合体の一端を封止し、他端を、密閉状態で5kPaの真空ラインに接続して、真空ラインとゼオライト膜複合体の間に設置したマスフローメーターで空気の流量を測定し、空気透過量[L/(m2・h)]とした。マスフローメーターとしてはKOFLOC社製8300、N2ガス用、最大流量500ml/min(20℃、1気圧換算)を用いた。KOFLOC社製8300においてマスフローメーターの表示が10ml/min(20℃、1気圧換算)以下であるときはLintec社製MM−2100M、Airガス用、最大流量20ml/min(0℃、1気圧換算)を用いて測定した。
SEM測定は以下の条件に基づき行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4100
・加速電圧:10kV
ゼオライト膜のSEM−EDX測定を、以下の条件で行った。
・装置名:SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
・加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
パーベーパレーション法に用いた装置の概略図を図1に示す。図1においてゼオライト膜複合体5は真空ポンプ9によって内側が減圧され、被分離液4が接触している外側と圧力差が約1気圧になっている。この圧力差によって被分離液4中、透過物質の水がゼオライト膜複合体5に浸透気化して透過する。透過した物質はトラップ7で捕集される。一方、被分離液4中の有機化合物は、ゼオライト膜複合体5の外側に滞留する。
一定時間ごとに、トラップ7に捕集した透過液の質量測定および組成分析、被分離液4の組成分析を行い、それらの値を用いて各時間の分離係数、透過流束、水のパーミエンスなどを前記のとおり算出した。なお、組成分析はガスクロマトグラフにより行った。
ベーパーパーミエーション法に用いた装置の概略図を図2に示す。図2において、被分離液10は送液ポンプ11によって気化器12に所定流量で送られ、気化器12での加熱により全量が気化され、被分離ガスとなる。被分離ガスは恒温槽13内のゼオライト膜複合体モジュール14に導入され、ゼオライト膜複合体の外側に供給される。ゼオライト膜複合体モジュール14は、ゼオライト膜複合体を筐体中に納めたものである。ゼオライト膜複合体は真空ポンプ18によって内側が減圧され、被分離ガスとの圧力差が約1気圧になっている。内側の圧力は、図示はしないがピラニーゲージで測定することができる。この圧力差によって被分離ガス中、透過物質の水がゼオライト膜複合体を透過する。透過した物質は透過液捕集用トラップ16で捕集される。一方、被分離ガス中の透過しなかった成分は、被分離液回収用トラップ15で液化、捕集される。
一定時間ごとに、透過液捕集用トラップ16に捕集した透過液の質量測定および組成分
析を行い、それらの値を用いて各時間の分離係数、透過流束、水のパーミエンスなどを前記の通り算出した。なお、組成分析はガスクロマトグラフにより行った。
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体は、CHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで次のとおり作製した。
水熱合成用の反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.5gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5質量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(以下これを「TMADAOH」という。)水溶液(TMADAOH25質量%含有、セイケム社製)2.36gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、反応混合物とした。
無機多孔質支持体として、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、気孔率40%)を80mmの長さに切断し、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。
日間水熱合成して結晶化させたCHA型ゼオライトを用いた。この種結晶の粒径は0.5μm程度であった。
この種結晶を0.3質量%水中に分散させた分散液に、上記支持体を所定時間浸漬した後、100℃で5時間乾燥させて、種結晶を付着させた。付着した種結晶の質量は0.6g/m2であった。
テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/m2であった。
生成した膜のXRDを測定したところ(図3)、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRDパターンから、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=9.6°付近のピークの強度)=1.5であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=4.9であり種結晶に用いた粉末のCHA型ゼオライトのXRDに比べ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きく、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
SEM−EDXにより測定した、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比は17であった。
得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いてベーパーパーミエーション法により、水/イソプロパノール(IPA)混合溶液(10/90質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体は120℃の恒温槽内に設置し、水/IPA混合溶液を1.2cm3/minの流量で気化器に送液し、全量を気化させて無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体に供給した。
4時間後の透過成績は、透過流束:2.50kg/(m2・h)、分離係数:800、透過液中の水の濃度:98.85質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、1.4×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
比較例1と同じ条件で無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて、パーベーパレーション法により、90℃の水/フェノール(PhOH)混合溶液(10/90質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
5時間後の透過成績は、透過流束:7.52kg/(m2・h)、分離係数:16000、透過液中の水の濃度:99.91質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.5×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
種結晶を付着させる際に、種結晶を1質量%水中に分散させた分散液を用いたことと種結晶を付着させた支持体を、水熱合成用の反応混合物に浸漬した後、50℃で4時間保持した後に160℃48時間、自生圧力下で加熱した以外は、比較例1と同様に無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。付着した種結晶の質量は1.4g/m2であった。
焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から求めた、支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/m2であった。
焼成後のゼオライト膜複合体の空気透過量は70L/(m2・h)であった。
SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO2/Al2O3モル比を測定した結果、生成した膜のSiO2/Al2O3モル比は19であった。
得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて、ベーパーパーミエーション法により、水/IPA混合溶液(10/90質量%)から水を選択的に透過させる分離を比較例1と同様に行った。
4時間後の透過成績は、透過流束:2.28kg/(m2・h)、分離係数:23800、透過液中の水の濃度:99.96質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、1.3×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
実施例1と同じ条件で無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作製した。
得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて、パーベーパレーション法により、90℃の水/PhOH混合溶液(10/90質量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
5時間後の透過成績は、透過流束:7.58kg/(m2・h)、分離係数:41800、透過液中の水の濃度:99.97質量%であった。水のパーミエンスであらわすと、2.6×10−6mol/(m2・s・Pa)であった。
上記比較例1〜2、実施例1〜2の結果を表1に示す。
2 湯浴
3 撹拌子
4 被分離液
5 ゼオライト膜複合体
6 ピラニゲージ
7 透過液捕集用トラップ
8 コールドトラップ
9 真空ポンプ
10 被分離液
11 送液ポンプ
12 気化器
13 恒温槽
14 ゼオライト膜複合体モジュール
15 被分離液回収用トラップ
16 透過液捕集用トラップ
17 コールドトラップ
18 真空ポンプ
Claims (16)
- 無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体であって、ゼオライト膜としてCHA型ゼオライト結晶層を有し、該ゼオライト膜はSiO 2 /Al 2 O 3 モル比が5以上2000以下であり、かつゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の15倍以上であるこ
とを特徴とする無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体。 - ゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=9.6°付近のピーク強度の4.5倍以上である請求項1に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体。
- 請求項1又は2に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体に、複数の成分からなる気体または液体の混合物を接触させて、該混合物のうち透過性の高い物質を透過させることにより、該混合物から該透過性の高い物質を分離する、または、該混合物から透過性の高い物質を透過させることにより、透過性の低い物質を濃縮することを特徴とする分離または濃縮方法。
- 複数の成分からなる気体または液体の混合物が、有機化合物と水との混合物である請求項3に記載の方法。
- 有機化合物が、有機酸、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、エステルおよび窒素を含む有機化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項4に記載の方法。
- 請求項1又は2に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を製造する方法であって、Si元素源、Al元素源およびアルカリ源を含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、無機多孔質支持体表面にCHA型ゼオライトを結晶化させる工程を含むことを特徴とする無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- 無機多孔質支持体表面にゼオライトの種結晶を付着させた後、CHA型ゼオライトを結晶化させる請求項6に記載の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の製造方法。
- ゼオライトの種結晶が、CHA型ゼオライトである請求項7に記載の無機多孔質支持体
−ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比が、Al元素の酸化物に対するSi元素の酸化物のモル比(SiO2/Al2O3モル比)として、5以上10000以下である、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の方法。
- 水性反応混合物が有機テンプレートを含む、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の
方法。 - 水性反応混合物中のSi元素源と有機テンプレートの比が、Si元素の酸化物に対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiO2モル比)として、0.005以上1以下である、請求項10に記載の方法。
- 水性反応混合物中のSi元素源とアルカリ源の比が、Si元素の酸化物に対するM(2/n)O(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)のモル比(M(2/n)O/SiO2モル比)として、0.02以上0.5以下である、請求項6ないし11のいずれか1項に記載の方法。
- アルカリ源がカリウムを含有する、請求項6ないし12のいずれか1項に記載の方法。
- 水性反応混合物中のアルカリ源とカリウムの比が、アルカリ源となる金属の全量に対するカリウムのモル比として、0.01以上1以下である、請求項13に記載の方法。
- 有機テンプレートが、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンである、請求項10ないし14のいずれか1項に記載の方法。
- 水熱合成が、種結晶を付着させた無機多孔質支持体を、水性反応混合物に浸漬させた状態で0〜120℃で0.5時間以上72時間以下保持した後に、種結晶を付着させた支持体を浸漬させた水性反応混合物の保持温度よりも高い温度に加熱することにより行われることを特徴とする請求項6ないし15のいずれか1項に記載の方法。
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