JP7167462B2 - アルカリ性含水有機化合物の水分離方法 - Google Patents

アルカリ性含水有機化合物の水分離方法 Download PDF

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Description

本発明は含水有機化合物から水を分離する方法に関し、特にアルカリ性の含水有機化合
物からゼオライト膜を用いて含水有機化合物から水を分離する方法に関する。
従来、有機化合物を含有する気体または液体の混合物の分離、濃縮は、対象となる物質
の性質に応じて、蒸留法、共沸蒸留法、溶媒抽出/蒸留法、吸着剤などにより行われてい
る。しかしながら、これらの方法は、多くのエネルギーを必要とする、あるいは分離、濃
縮対象の適用範囲が限定的であるといった欠点がある。
近年、これらの方法に代わる分離方法として、高分子膜やゼオライト膜などの膜を用い
た膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜、例えば平膜や中空糸膜などは、加工性
に優れるが、耐熱性が低いという欠点がある。また高分子膜は、耐薬品性が低く、特に有
機溶媒や有機酸といった有機物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適
用範囲が限定的である。
また、ゼオライト膜は、通常、支持体上に膜状にゼオライトを形成させたゼオライト膜
複合体として分離、濃縮に用いられている。例えば特許文献1では、有機化合物と水との
混合物を、ゼオライト膜複合体に接触させ、水を選択的に透過させることにより、水を分
離している。無機材料の膜を用いた分離、濃縮は、蒸留や吸着剤による分離に比べ、エネ
ルギーの使用量を削減できるほか、高分子膜よりも広い温度範囲で分離、濃縮を実施でき
、更に有機物を含む混合物の分離にも適用できる。
特開2011-121040号公報
しかしながら、ゼオライトは骨格のうちSi-O結合部位が、アルカリ性溶液中では加
水分解されやすく、骨格が壊れてゼオライトが溶解してしまうため、アルカリ性の含水有
機化合物からの水の分離は難しいと考えられていた。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定のゼオライト膜であれば、アルカリ性の含水有機
化合物であっても、ゼオライトが溶解せず、水を選択的に分離できることがわかり本発明
に到達した。
アルカリ性の含水有機化合物であっても、ゼオライト膜を用いて水を選択的に分離でき
ることができる。
実施例においてパーベーパレーションに用いた装置の概略図
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これら
の内容に特定はされない。
本発明のアルカリ性含水有機化合物の水分離方法は、pH8~13の含水有機化合物か
ら分離膜を用いて水を分離する方法であって、該分離膜としてゼオライト膜を用い、該ゼ
オライト膜を構成するゼオライトがSiO/Alモル比が5~40であるCHA
型ゼオライトであることを特徴とする。
SiO/Alモル比が5~40であるCHA型ゼオライトはSi-O結合部位
が少ないため、他のゼオライト膜に比べて耐アルカリ性が優れ、アルカリ性含水有機化合
物から水を選択的に分離することが可能であると考えられる。
本発明において分離膜として使用されるゼオライト膜は、通常、多孔質支持体上に形成
されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体である。以下ゼオライト
膜が多孔質支持体-ゼオライト膜複合体である場合について記載する。
本明細書において、本発明の「多孔質支持体-ゼオライト膜複合体」を単に「ゼオライ
ト膜複合体」または「膜複合体」と、また「多孔質支持体」を単に「支持体」と略称する
ことがある。
(多孔質支持体)
ゼオライト膜複合体に使用される支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に
結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質の支持体であれば如何なるものであって
もよい。例えば、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナなどのアルミナ、ムライト、ジル
コニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体(セラミ
ックス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体な
どが挙げられる。
これら多孔質支持体の中で、基本的成分あるいはその大部分が無機の非金属物質から構
成されている固体材料であるセラミックスを焼結したもの(セラミックス支持体)を含む
無機多孔質支持体が好ましい。この無機多孔質支持体を用いれば、その一部がゼオライト
膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果がある。
具体的には、例えば、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミナ、ムライト、ジルコニア、
チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミック
ス支持体)が挙げられる。それらの中で、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも
1種を含む無機多孔質支持体が好ましいものとして挙げられる。これらの支持体を用いれ
ば、部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻
密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる。
多孔質支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に分離できるものであれば特に
制限されず、具体的には、例えば、平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状
の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられる。
ゼオライト膜複合体は、多孔質支持体の表面などにゼオライトを膜状に結晶化させるが
、支持体の表面は、支持体の形状に応じて、どの表面であってもよく、複数の面であって
も良い。例えば、円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合に
よっては外側と内側の両方の表面であってよい。
支持体の平均厚さ(肉厚) は、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、よ
り好ましくは0.5mm以上であり、通常7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ま
しくは3mm以下である。支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用してい
るが、支持体の平均厚さが薄すぎるとゼオライト膜複合体が十分な強度を持たずゼオライ
ト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなることがある。支持体の平均厚さが厚すぎると透過し
た物質の拡散が悪くなり透過流束が低くなることがある。
支持体の気孔率は、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以
上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、下限未満では透過物の
拡散を阻害する傾向があり、上限を超えると支持体の強度が低下する傾向がある。
(ゼオライト膜複合体)
本発明において、ゼオライト膜を構成するゼオライトとしては、具体的にはケイ酸塩と
リン酸塩が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、
フェリケイ酸塩、チタノケイ酸塩、ボロケイ酸塩等が、リン酸塩としては、アルミニウム
と燐からなるアルミノリン酸塩(ALPO-5などのALPOと称されるもの)、ケイ素
とアルミニウムと燐からなるシリコアルミノリン酸塩(SAPO-34などのSAPOと
称されるもの)、Feなどの元素を含むFAPO-5などのMeAPOと称されるメタロ
アルミノリ
ン酸塩、等が挙げられる。これらの中で、アルミノケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩が
好ましく、アルミノケイ酸塩がより好ましい。
ゼオライト膜の厚さは特に制限されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.6μ
m以上、より好ましくは1.0μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは60μ
m以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下の範囲である。膜
厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性が低下したり、膜強
度が低下する傾向がある。
ゼオライトの粒子径は特に限定されないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透
過選択性などを低下させる傾向がある。それゆえ、通常30nm以上、好ましくは50n
m以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼ
オライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合が特に好ましい。ゼオライトの粒子径が膜
の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなるためである。
ゼオライトのSiO/Alモル比(「SAR」という場合がある)は、好まし
くは5以上、より好ましくは6以上、40以下、好ましくは30以下、より好ましくは2
5以下、さらに好ましくは19以下、特に好ましくは16以下、最も好ましくは12以下
、極めて好ましくは10以下である。SiO/Alモル比が下限未満では水に対
する耐久性が低下する傾向がある。また、上限を超えると疎水性が強すぎるため、透過流
束が小さくなる傾向があり、Si-O結合部位が増えて耐アルカリ性が悪化する。
なお、本発明におけるSiO/Alモル比は、走査型電子顕微鏡-エネルギー
分散型X線分光法(SEM-EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの
情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
本発明のゼオライト膜を構成するゼオライトはCHA型ゼオライトである。CHA型ゼ
オライトは、構造的に安定性が高く、またゼオライト中の物質の拡散速度が速いと考えら
れるため、当該支持体と組み合わせることで透過流束を大きくすることが可能となる点で
、好ましい。
ここで、CHA型のゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が
定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチ
ャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×
3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をと
り、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
本発明において、ゼオライト膜中にCHA型のゼオライトが50体積%以上、より好ま
しくは75体積%以上、さらに好ましくは90%体積以上、特に好ましくは98体積%以
上含まれていることであり、最も好ましくはCHA型ゼオライト膜からなることである。
尚、ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの
無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤
などを必要に応じ含んでいてもよい。また、本発明におけるゼオライト膜は、一部アモル
ファス成分などを含んでいてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成される
ゼオライト膜である。
(ゼオライト膜複合体の製造方法)
本発明において、ゼオライト膜の製造方法は、ゼオライトを含む膜が形成可能な方法で
あれば特に制限されず、例えば、(1)多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる
方法、(2)多孔質支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなど
で固着させる方法、(3)ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、(4)ゼ
オライトのスラリーを多孔質支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼ
オライトを多孔質支持体に固着させる方法などの何れの方法も用いることができる。
これらの中で、多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる方法が特に好ましい。
結晶化の方法に特に制限はないが、多孔質支持体を、ゼオライト製造に用いる水熱合成用
の反応混合物(以下これを「水性反応混合物」ということがある。)中に入れて、直接水
熱合成することで支持体の表面などにゼオライトを結晶化させる方法が好ましい。
具体的には、例えば、組成を調整して均一化した水性反応混合物を、多孔質支持体を内
部に緩やかに固定した、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉して、一定時間
加熱すればよい。
水性反応混合物としては、Si元素源、Al元素源、必要に応じて有機テンプレート、
および水を含み、さらに必要に応じてアルカリ源を含むものが好ましい。
水性反応混合物に用いるSi元素源としては、例えば、無定形シリカ、コロイダルシリ
カ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミのシリケートゲル、テトラエトキシシ
ラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等を用いることができる。
Al元素源としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アル
ミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等を用
いることができる。なお、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、
Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いる
ことができる。有機テンプレートとしては、所望のゼオライト膜を形成し得るものであれ
ば種類は問わず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種
類以上を組み合わせて使用してもよい。
ゼオライトがCHA型の場合、有機テンプレートとしては、通常、アミン類、4級アン
モニウム塩が用いられる。例えば、米国特許第4544538号明細書、米国特許公開第
2008/0075656号明細書に記載の有機テンプレートが好ましいものとして挙げ
られる。
具体的には、例えば、1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオン、3-キナクリ
ジナールから誘導されるカチオン、3-exo-アミノノルボルネンから誘導されるカチ
オン等の脂環式アミンから誘導されるカチオンが挙げられる。これらの中で、1-アダマ
ンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。
1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンを有機テンプレートとしたとき、緻密
な膜を形成し得るCHA型ゼオライトが結晶化する。また、膜が水を選択的に透過するの
に十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成し得るほか、耐酸性に優れたCHA型
ゼオライトが得られる。
1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンのうち、N,N,N-トリアルキル-1
-アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N-トリアルキル-1-
アダマンタンアンモニウムカチオンの3つのアルキル基は、通常、それぞれ独立したアル
キル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中
で最も好ましい化合物は、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムカチオ
ンである。
このようなカチオンは、CHA型ゼオライトの形成に害を及ぼさないアニオンを伴う。
このようなアニオンを代表するものには、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオンや
水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。これらの中で、水酸
化物イオンが特に好適に用いられる。
その他の有機テンプレートとしては、N,N,N-トリアルキルベンジルアンモニウムカ
チオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基で
あり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も
好ましい化合物は、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。また、
このカチオンが伴うアニオンは上記と同様である。
水性反応混合物に用いるアルカリ源としては、有機テンプレートのカウンターアニオン
の水酸化物イオン、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)などの
アルカリ土類金属水酸化物などを用いることができる。
アルカリの種類は特に限定されず、通常、Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、
Sr、Baなどが用いられる。これらの中で、Na、Kが好ましく、Kがより好ましい。
また、アルカリは2種類以上を併用してもよい。
水性反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比は、通常、それぞれの元素の酸化物の
モル比、すなわちSiO/Alモル比として表わす。
SiO/Alモル比は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは6以上、
より好ましくは7以上、更に好ましくは7.5以上である。また、通常10000以下、
好ましくは1000以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下である。
SiO/Alモル比がこの範囲にあるときゼオライト膜が緻密に生成し、更に
生成したゼオライトが強い親水性を示し、有機物を含有する混合物中から親水性の化合物
、特に水を選択的に透過することができる。また耐酸性に強く脱Alしにくいゼオライト
膜が得られる。さらに耐アルアリ性を有し、アルカリ性の含水有機化合物の分離において
も劣化することなく使用できる。
水性反応混合物中のシリカ源と有機テンプレートの比は、SiOに対する有機テンプ
レートのモル比(有機テンプレート/SiOモル比)で、通常0.005以上、好まし
くは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、通常1以下、好ましくは0.4
以下、より好ましくは0.2以下である。
このモル比が上記範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生成し得ることに加えて、生
成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。また、この条件において、特に緻
密で耐酸性のCHA型ゼオライトを形成させることができる。
Si元素源とアルカリ源の比は、M(2/n)O/SiO(ここで、Mはアルカリ金
属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)モル比で、通常0
.05以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、通常1.0以下
、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下である。
CHA型ゼオライト膜を形成する場合、アルカリ金属の中でKを含む場合がより緻密で
結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。
Si元素源と水の比は、SiOに対する水のモル比(HO/SiOモル比)で、
通常10以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、特に好ましくは50以上
であり、通常1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは200以下、特に好
ましくは150以下である。
水性反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なゼオライト膜が生
成し得る。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の
一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して緻密な膜
ができやすい傾向にある。
一般的に、粉末のCHA型ゼオライトを合成する際の水の量は、HO/SiOモル
比で、15~50程度である。HO/SiOモル比が高い(50以上1000以下)
、すなわち水が多い条件にすることにより、支持体上にCHA型ゼオライトが緻密な膜状
に結晶化した分離性能の高いゼオライト膜複合体を得ることができる。
さらに、水熱合成に際して、必ずしも反応系内に種結晶を存在させる必要は無いが、種
結晶を加えることで、支持体上にゼオライトの結晶化を促進できる。種結晶を加える方法
としては特に限定されず、粉末のゼオライトの合成時のように、水性反応混合物中に種結
晶を加える方法や、支持体上に種結晶を付着させておく方法などを用いることができる。
ゼオライト膜複合体を製造する場合は、支持体上に種結晶を付着させておくことが好まし
い。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能良好なゼオライト膜が
生成しやすくなる。
使用する種結晶としては、結晶化を促進するゼオライトであれば種類は問わないが、効
率よく結晶化させるためには形成するゼオライト膜と同じ結晶型であることが好ましい。
有機テンプレートを用いてCHA型ゼオライト膜を形成する場合は、CHA型ゼオライト
の種結晶を用いることが好ましい。また有機テンプレートを用いずに、SARを適切に制
御した、透過流束と分離係数の高く耐アルカリ性に優れたCHA型ゼオライト膜を短時間
で製造するためには、FAU型ゼオライトを種結晶として用いることが好ましい。
種結晶として用いるFAU型ゼオライトは構造がFAU型のゼオライトであれば何でも
よい。
FAU型ゼオライトとしては、例えば、ケイ酸塩とリン酸塩が挙げられる。ケイ酸塩と
しては、例えば、アルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ酸塩、チタノケイ酸塩、
ボロケイ酸塩等が挙げられる。リン酸塩としては、アルミニウムと燐からなるアルミノリ
ン酸塩(ALPO-5などのALPOと称されるもの)、ケイ素とアルミニウムと燐から
なるシリコアルミノリン酸塩(SAPO-34などのSAPOと称されるもの)、Feな
どの元素を含むメタロアルミノリン酸塩(FAPO-5などのMeAPOと称されるもの
)等が挙げられる。これらの中で、アルミノケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩が好まし
く、アルミノケイ酸塩がより好ましい。
FAU型ゼオライトとしては一般にX型ゼオライトとY型ゼオライトがあり、どちらを
用いても、それらの混合物でも構わないが、Y型ゼオライトを用いることが望ましい。
種結晶として用いるFAU型ゼオライトは市販のX型ゼオライトやY型ゼオライトを用
いてもよいし、合成してもよい。一般的な合成方法はVERIFIED SYNTHES
ES OF ZEOLITIC MATERIALS Second Revised
Edition 2001 ELSEVIERのP157などに記載されている。
また、用いるFAU型ゼオライトはプロトン型でも、アルカリ金属イオンやアルカリ土
類金属イオン、遷移金属イオンにイオン交換したものでも構わず、それらの混合物でもよ
い。これらのアルカリ金属イオンとしてはNa、K、Liなどが、アルカリ土類金
属イオンとしてはCa2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+などが、遷移金属イオンとし
てはFe、Cu、Znなどがあげられる。これらの中で、Na、K、Liなどのア
ルカリ金属イオンが好ましい。
イオン交換は、FAU型ゼオライトを、NHNO、NaNOなどのアンモニウム
塩、NaOHなどの水酸化物塩、CHCOONaなどの酢酸塩あるいは交換するイオン
を含む水溶液、場合によっては塩酸などの酸で処理後、水洗する方法などにより行えばよ
い。
該水溶液の濃度は、通常、0.00001mol/L以上、好ましくは0.0001m
ol/L以上、さらに好ましくは0.001mol/L以上、通常10mol/L以下、
好ましくは5mol/L以下、さらに好ましくは2mol/L以下である。
また、処理時の温度は、通常10℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは50
℃以上、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下であ
る。
処理時間は、通常2時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、
さらに好ましくは20時間以上、通常10日以下、好ましくは7日以下、より好ましくは
4日以下である。さらに、必要に応じて200~500℃で焼成してもよい。
最終的には特にプロトン型、Na型、K型およびそれらの混合物になっていることが望
ましく、Na型あるいはプロトン型あるいはそれらの混合物であることがさらに好ましい

種結晶のICP発光分光分析法によって測定されるSiO/Al比は、通常1
5未満、好ましくは12未満、より好ましくは10未満であり、通常1以上、好ましくは
3以上である。
種結晶の粒子径は特に規定されないが、粒度分布測定により得られる粒子径の極大値の
少なくとも一つが特定の大きさの範囲に入っていることが望ましい。
なお、極大値は粒度分布測定により得られた粒度分布図(横軸に粒子径を縦軸に体積基
準の相対粒子量をとった図)の極大値を指す。極大値は好ましくは5μm以下、より好ま
しくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下、特に好ましくは1.8μm以下であり
、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上であ
る。粒子径が前記上限以下であることにより、基材への種結晶の担持が良好で、欠陥の少
ないゼオライト膜が形成しやすい。粒子径が前記下限以上であることにより、合成中に種
結晶が溶解しにくく欠陥の少ないゼオライト膜が形成しやすい。
種結晶の粒子径の分布については特に限定されないが、粒度分布測定により得られた累
積分布図(体積基準、粒子径の小さいものから積算)で、50%の高さを与える直径、D
50が通常0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、好ましくは5.0μm以下、よ
り好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下、特に好ましくは2.0
μm以下であることが望ましい。
また、支持体の平均細孔径の0.5倍以上20倍以下の範囲に存在する種結晶の割合が
通常5%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上であり、通常100
%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。この範囲にあるとき
基材への種結晶の担持が良好に行われ緻密で性能の高いゼオライト膜を合成することがで
きる。
このように種結晶の粒子径を制御することによって、基材に担持される種結晶の状態を
制御することが可能になり、欠陥の少ない緻密な膜が形成される。
種結晶を好ましいサイズにするために、市販のFAU型ゼオライトや合成によって得ら
れたFAU型ゼオライト、イオン交換したFAU型ゼオライトの結晶を乳鉢やボールミル
、ジェットミルなどで粉砕しても構わない。
種結晶を加える方法としては、支持体上に種結晶を付着させておく方法などを用いるこ
とが好ましい。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能が良好なゼ
オライト膜が生成しやすくなる。
支持体上に種結晶を付着させる方法は特に限定されず、例えば、種結晶を水などの溶媒
に分散させてその分散液に支持体を浸けて表面に種結晶を付着させるディップ法やディッ
プ法において支持体内部を吸引しながら行う吸引ディップ法、種結晶を水などの溶媒と混
合してスラリー状にしたものを支持体上に塗りこむ方法などを用いることができる。種結
晶の付着量を制御し、再現性良く膜複合体を製造するにはディップ法、吸引ディップ法が
望ましい。
種結晶を分散させる溶媒は特に限定されないが、特に水が好ましい。必要に応じて塩酸
や水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶性の物質を加えて分散液のpHを調整し
てもよい。pHを調整する場合は、分散液のpHを通常7.5以上、好ましくは8以上、
通常14以下、好ましくは12以下にすることが望ましい。分散液のpHをこの範囲にす
ることによって種結晶の付着量を好ましい範囲としやすい。分散させる種結晶の量は特に
限定されず、分散液の全重量に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重
量%以上、より好ましくは0.1重量%以上である。また、通常20重量%以下、好まし
くは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に
好ましくは3重量%以下である。
分散させる種結晶の量が少なすぎると、支持体上に付着する種結晶の量が少ないため、
水熱合成時に支持体表面に部分的にゼオライトが生成しない箇所ができ、欠陥のある膜と
なる可能性がある。分散液中の種結晶の量が多すぎると、ディップ法によって支持体上に
付着する種結晶の量は分散液中の種結晶の量がある程度以上でほぼ一定となるため、分散
液中の種結晶の量が多すぎると、種結晶の無駄が多くなりコスト面で不利である。
支持体にディップ法あるいはスラリーの塗りこみによって種結晶を付着させ、乾燥した
後にゼオライト膜の形成を行うことが望ましい。
支持体上に予め付着させておく種結晶の量は特に限定されず、基材1mあたりの重量
で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であ
り、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、更に好まし
くは8g以下である。
種結晶の量が下限未満の場合には、結晶ができにくくなり、膜の成長が不十分になる場
合や、膜の成長が不均一になったりする傾向がある。また、種結晶の量が上限を超える場
合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、支持体から落ちた種結晶によって自
発核が成長しやすくなって支持体上の膜成長が阻害されたりする場合がある。何れの場合
も、緻密なゼオライト膜が生成しにくくなる傾向となる。
水熱合成により支持体上にゼオライト膜を形成する場合、支持体の固定化方法に特に制
限はなく、縦置き、横置きなどあらゆる形態をとることができる。この場合、静置法でゼ
オライト膜を形成させてもよいし、水性反応混合物を攪拌させてゼオライト膜を形成させ
てもよい。
ゼオライト膜を形成させる際の温度は特に限定されないが、通常100℃以上、好まし
くは120℃以上、更に好ましくは140℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは
190℃以下である。反応温度が低すぎると、ゼオライトが結晶化し難くなることがある
。また、反応温度が高すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライ
トが生成し易くなることがある。
加熱時間は特に限定されないが、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、更に好まし
くは10時間以上であり、通常10日間以下、好ましくは5日以下、より好ましくは3日
以下、さらに好ましくは2日以下である。反応時間が短すぎるとゼオライトが結晶化し難
しくなることがある。
反応時間が長すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライトが生
成し易くなることがある。
ゼオライト膜形成時の圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた水性反応混合物を、
この温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分である。さらに必要に応じて、窒素
などの不活性ガスを加えても差し支えない。
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥さ
せてもよい。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレ
ートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
加熱処理の温度は、乾燥を目的とする場合は通常50℃以上、好ましくは80℃以上、
より好ましくは100℃以上、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。加熱
処理の温度はテンプレートの焼成を目的とする場合通常350℃以上、好ましくは400
℃以上、より好ましくは430℃以上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900
℃以下、好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは75
0℃以下である。
加熱時間は、ゼオライト膜が十分に乾燥、またはテンプレートが焼成する時間であれば
特に限定されず、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。上限は
特に限定されず、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは10
0時間以内である。より好ましくは5時間以内である。
水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたゼオライト膜複合体を、
水洗した後に、例えば、加熱処理や抽出などにより、好ましくは加熱処理、すなわち焼成
により有機テンプレートを取り除くことが適当である。
焼成温度は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以
上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、
さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。焼成温度が低すぎ
ると有機テンプレートが残っている割合が多くなる傾向があり、ゼオライトの細孔が少な
く、そのために分離濃縮の際の透過流束が減少する可能性がある。焼成温度が高すぎると
支持体とゼオライトの熱膨張率の差が大きくなるためゼオライト膜に亀裂が生じやすくな
る可能性があり、ゼオライト膜の緻密性が失われ分離性能が低くなることがある。
焼成時間は、昇温速度や降温速度により変動するが、有機テンプレートが十分に取り除
かれる時間であれば特に限定されず、好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上
である。
上限は特に限定されず、例えば、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、よ
り好ましくは100時間以内、最も好ましくは24時間以内である。焼成は空気雰囲気で
行えばよいが、酸素を付加した雰囲気で行ってもよい。
焼成の際の昇温速度は、支持体とゼオライトの熱膨張率の差がゼオライト膜に亀裂を生
じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。昇温速度は、通常
5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましく
は0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロー
ルする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、通常5℃
/分以下、好ましくは2℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.
5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
ゼオライト膜は、必要に応じてイオン交換しても良い。イオン交換は、テンプレートを
用いて合成した場合は、通常、テンプレートを除去した後に行う。イオン交換するイオン
としては、プロトン、Na、K、Liなどのアルカリ金属イオン、Ca2+、Mg
2+、Sr2+、Ba2+などのアルカリ土類金属イオン、Fe、Cu、Znなどの遷移
金属のイオンなどが挙げられる。これらの中で、プロトン、Na、K、Liなどの
アルカリ金属イオンが好ましい。
イオン交換は、焼成後(テンプレートを使用した場合など)のゼオライト膜を、NH
NO、NaNOなどアンモニウム塩あるいは交換するイオンを含む水溶液、場合によ
っては塩酸などの酸で、通常、室温から100℃の温度で処理後、水洗する方法などによ
り行えばよい。さらに、必要に応じて200℃~500℃で焼成してもよい。
ゼオライト膜は、必要に応じてシリル化剤を用いてシリル化処理をしてもよい。シリル
化処理に用いるシリル化剤としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ラプロキシシラン、テトライソプロキシシラン、テトラブトキシシランなどのアルコキシ
シラン、メチルシリケートオリゴマー、エチルシリケートオリゴマーなどのシリケートオ
リゴマーなどが挙げられる。これらの中でテトラエトキシシランやメチルシリケートオリ
ゴマーが好ましい。
シリル化処理としては、加熱処理後のゼオライト膜をシリル化剤を含む溶液に浸漬し、
室温から通常150℃以下、好ましくは100℃以下で加熱処理した後、水洗することに
より得る方法や、加熱処理後のゼオライト膜にシリル化剤を塗布し、水蒸気共存下で通常
、室温から150℃以下で加熱処理することにより得る方法などが挙げられる。
また、必要に応じ、後処理として、高濃度エタノール水溶液に浸漬して、表面処理を行
ってもよい。浸漬温度は室温から通常150℃以下、好ましくは130℃以下、さらに好
ましくは120以下である。
(分離方法)
本発明の分離方法は、含水有機化合物を、前記多孔質支持体―ゼオライト膜複合体に接
触させて、含水有機化合物から、透過性の高い物質を透過させて分離することに特徴を有
するものである。この発明において、多孔質支持体―ゼオライト膜複合体は、前記と同様
のものが用いられる。また、好ましいものも前記と同様である。
本発明の分離方法において、ゼオライト膜を備えた多孔質支持体を介し支持体側又はゼ
オライト膜側の一方の側に含水有機化合物を接触させ、その逆側を含水有機化合物が接触
している側よりも低い圧力とすることによって含水有機化合物から、水を選択的に、すな
わち透過物質の主成分として透過させる。これにより、含水有機化合物から水を分離する
ことができる。通常水がゼオライト膜に対する透過性が高いので、混合物から水が分離さ
れ、有機物は元の混合物中で濃縮される。パーベーパレーション法(浸透気化法)、ベー
パーパーミエーション法(蒸気透過法)と呼ばれる分離・濃縮方法のどちらを使用しても
よい。
本発明の分離方法はアルカリ性の含水有機化合物であっても、高温で分離を行うことが
できる。例えば、パーベーパレーション法の場合、含水有機化合物を分離する際は含水有
機化合物を通常40℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、特に好
ましくは100℃以上、最も好ましくは120℃以上の温度とすることができる。通常は
150℃以下で実施する。
前記多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を分離膜として用いることにより、実用上も十
分な処理量をもち、十分な分離性能をもつ膜分離が可能となる。
ここで、十分な処理量とは、膜を透過する物質の透過流束が1kg/(m・h)以上
であることをいう。また十分な分離の性能とは、次式で表される分離係数が50以上であ
ること、あるいは透過液中の主成分の濃度が90重量%以上であることをいう。
分離係数=(Pα/Pβ)/(Fα/Fβ)
[ここで、Pαは透過液中の主成分の重量パーセント濃度示し、Pβは透過液中の副成分
の重量パーセント濃度を示し、Fαは透過液において主成分となる成分の被分離混合物中
の重量パーセント濃度を示し、Fβは透過液において副成分となる成分の被分離混合物中
の重量パーセント濃度を示す。]
さらに具体的には、透過流束は、例えば、含水率30重量%の2-プロパノールと水の
混合物を70℃において、1気圧(1.01×10Pa)の圧力差で透過させた場合、
1kg/(m・h)以上、好ましくは3kg/(m・h)以上、より好ましくは5k
g/(m・h)以上であることをいう。透過流束の上限は特に限定されず、通常20k
g/(m・h)以下、好ましくは15kg/(m・h)以下である。
また、高い透過性能をパーミエンスで表す事もできる。パーミエンスとは、透過する物
質の物重量を膜面積と時間と透過する物質の分圧差の積で割ったものである。パーミエン
スの単位で表した場合、例えば、含水率30重量%の2-プロパノールと水の混合物を7
0℃において、1気圧(1.01×10Pa)の圧力差で透過させた場合の水のパーミ
エンスは、通常3×10-7mol/(m・s・Pa)以上、好ましくは5×10-7
mol/(m・s・Pa)以上、より好ましくは1×10-6mol/(m・s・P
a)以上、特に好ましくは2×10-6mol/(m・s・Pa)以上である。水のパ
ーミエンスの上限は特に限定されず、通常1×10-4mol/(m・s・Pa)以下
、好ましくは5×10-5mol/(m・s・Pa)以下である。
さらに、分離係数は、例えば、含水率30重量%の2-プロパノールと水の混合物を7
0℃において、1気圧(1.01×10Pa)の圧力差で透過させた場合、通常100
0以上、好ましくは4000以上、より好ましくは10000以上、特に好ましくは20
000以上である。分離係数の上限は完全に水しか透過しない場合であり、その場合は無
限大となるが、好ましくは10000000以下、より好ましくは1000000以下で
ある。
含水有機化合物の含水率は、通常1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好まし
くは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、最
も好ましくは15重量%以上であり、通常95重量%以下、好ましくは80重量%以下、
より好ましくは70重量%以下である。
含水有機化合物としては、適当な水分調節方法により、予め含水率を調節したものであ
ってもよい。この場合、好ましい含水率は上記と同様である。また、水分調節方法として
は、それ自体既知の方法、例えば、蒸留、圧力スイング吸着(PSA)、温度スイング吸
着(TSA)、デシカントシステムなどが挙げられる。
さらに、ゼオライト膜複合体によって水が分離された含水有機化合物から、さらに水を
分離してもよい。これにより、より高度に水を分離し、含水有機化合物をさらに高度に濃
縮することができる。
含水有機化合物はアルカリ性であるが、ここでアルカリ性とはpHが8以上、好ましく
は8.5以上、より好ましくは9以上、通常13以下、好ましくは12以下、より好まし
くは11以下である。このpHはガラス電極pH計で測定したものをいう。電極はスリー
ブ型を使用することが好ましい。
有機化合物としては、例えば、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、蟻酸、乳酸、シュウ
酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸類や、スルフォン酸、スルフィン酸、ハビツル酸
、尿酸、フェノール、エノール、ジケトン型化合物、チオフェノール、イミド、オキシム
、芳香族スルフォンアミド、第1級および第2級ニトロ化合物などの有機酸類;メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール(2-プロパノール)などのアルコール類;アセトン
、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリド
ン等のアミドなどの窒素を含む有機化合物(N含有有機化合物)、酢酸エステル、アクリ
ル酸エステル等のエステル類などが挙げられる。特にアルコール、エーテル、ケトン、ア
ルデヒド、アミドから選ばれる少なくとも一種を含有する有機化合物が望ましい。これら
有機化合物の中で、炭素数が2から10のものが好ましく、炭素数が3から8のものがよ
り好ましい。
また有機化合物としては、水と混合物(混合溶液)を形成し得る高分子化合物でもよい
。かかる高分子化合物としては、分子内に極性基を有するもの、例えば、ポリエチレング
リコール、ポリビニルアルコールなどのポリオール類;ポリアミン類;ポリスルホン酸類
;ポリアクリル酸などのポリカルボン酸類;ポリアクリル酸エステルなどのポリカルボン
酸エステル類;グラフト重合等によってポリマー類を変性させた変性高分子化合物類;オ
レフィンなどの非極性モノマーとカルボキシル基等の極性基を有する極性モノマーとの共
重合によって得られる共重合高分子化合物類などが挙げられる。
前記含水混合物としては、水とフェノールの混合物のように、共沸混合物を形成する混
合物でもよく、共沸混合物を形成する混合物の分離においては、水を選択的にかつ、効率
よく分離可能な面で好ましい。
さらに、含水有機化合物としては、水とポリマーエマルジョンとの混合物でもよい。こ
こで、ポリマーエマルジョンとは、接着剤や塗料等で通常使用される、界面活性剤とポリ
マーとの混合物である。ポリマーエマルジョンに用いられるポリマーとしては、例えば、
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリオレフィン、エチレン-ビ
ニルアルコール共重合体などのオレフィン-極性モノマー共重合体、ポリスチレン、ポリ
ビニルエーテル、ポリアミド、ポリエステル、セルロース誘導体等の熱可塑性樹脂;尿素
樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂;天然ゴム、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合体などのブタジエン共重合
体等のゴム等が挙げられる。また界面活性剤としては、それ自体既知のものを用いればよ
い。
本発明の分離方法は、前記ゼオライト膜複合体を用いて、適当な分離装置を作製し、そ
れに有機化合物を含む気体または液体の混合物を導入することにより行えばよい。これら
分離装置は、それ自体既知の部材により作製することができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(SEM-EDXの測定方法)
装置:
SEM:FE-SEM Hitachi:S-4800
EDX:EDAX Genesis
加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行って、
SiO/Alモル比を算出した。
(pH測定方法)
HORIBA製pHメータD-51を使用した。比較電極内部液に3.3M塩化カリウ
ム溶液を使用した。次に電極の3点校正を行った。まず、pH6.86の標準緩衝液で校
正を行い、次に4.01の標準緩衝液で校正を行った。さらに9.01の標準緩衝液で校
正を行った。校正は溶液を渦巻かせ、静置して行った。ガラス電極の校正又はpH測定の
際は、その前後で必ず電極を脱塩水で洗浄し、紙で拭き取った。
含水有機物化合物をあらかじめ作製し、ビーカに約50~100ml取り分けた。電極を
入れ、軽く撹拌した後静置してpH測定を行った。2回測定し平均をとった。取り分けを
行わず、直接、含水有機化合物中に電極を入れて測定してもよい。
(実施例1)ゼオライト膜複合体の製造1
無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長
さ120cm)を用いた。
プロトン型のY型ゼオライト(HY(SAR=5)、日揮触媒化成社製)10.0gに
NaOH5.00gと水100gを混合したものを100℃で3日間加熱した後、ろ過、
懸洗、乾燥することによりFAU型ゼオライトを得た。このFAU型ゼオライトを種結晶
として使用した。
この種結晶を水に0.15重量%分散させたものに、上記支持体内部を吸引しながら1
0秒浸した後、乾燥させて種結晶を付着させた。この支持体の表面をラビングして種晶を
落とし均一化させた。種晶の付着量は、1.08g/mであった。
水熱合成のための水性反応混合物として以下のものを調製した。
水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)にKOH
水溶液と水を加え、混合撹拌して溶解させ、溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産
化学社製 スノーテック-40)を加えて2時間撹拌し、水熱合成用水性反応混合物とし
た。
この混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/KOH/HO=1/0.1
25/0.7/80/、SiO/Al=8であった。
種結晶を付着させた支持体を、オートクレーブに入れた上記水熱合成用水性反応混合物
に浸漬し、その後、オートクレーブを密閉し、5時間かけて室温から180℃まで昇温し
た。昇温完了後、180℃で24時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経
過後に放冷し、ゼオライト膜複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で
4時間乾燥させた。乾燥後の支持体をオートクレーブに入れた脱塩水に浸漬しその後、オ
ートクレーブを密閉し、120℃まで昇温した。昇温完了後、120℃で20時間、静置
状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後に放冷し、ゼオライト膜を取り出した。
乾燥後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオラ
イトの重量は58g/mであった。また、SEM-EDXにより測定したこのゼオライ
ト膜のSiO/Alモル比は6であった。
(実施例2)
実施例1で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したもの
を使用して、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノール水溶液(15/8
5重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
パーベーパレーションに用いた装置の概略図を図1に示す。図1において5のゼオラ
イト膜複合体は10の真空ポンプによって内側が減圧され、4の被分離液が接触している
外と圧力差が約4.5気圧になっている。この圧力差によって4の被分離液中透過物質の
水が5のゼオライト膜複合体に浸透気化して透過する。透過した物質は8のトラップで捕
集される。一方、エタノールは5のゼオライト膜の外側に滞留する。一定時間ごとにトラ
ップに捕集された透過液の重量を測り、濃度を測定した。
トラップに捕集した透過液、被分離液の組成分析はガスクロマトグラフによって行っ
た。被分離液の組成が水/エタノール=15/85重量%である点の透過液中水濃度と透
過流束を求めた。
透過流束は10.98kg/(m・h)、分離係数は86、透過液中の水の濃度は9
3.8重量%であった。
水/エタノール=30/70重量%にNaHCOとNaCOを加えてpH=1
2.35として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
測定後のサンプルの一端にU字型配管を接続し、もう一端にはエンドピースを接続し
た。エンドピースが上になるようにオートクレーブ内に設置した。上記アルカリ性含水有
機化合物をオートクレーブに入れた。U字配管の膜接続部でない側は、液面より上になる
ようにし、膜内部へ液浸入がないようにした。
オートクレーブを150℃に加熱し、2日間浸漬を行った。
アルカリ浸漬後の膜を洗浄した後、再び、パーベーパレーション法により130℃の
水/エタノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行うことで
、アルカリに対する耐久性を確認した。
アルカリ浸漬後の膜を使った分離試験の、透過流束は14.52kg/(m・h)、分
離係数は334、透過液中の水の濃度は98.3重量%であった。また浸漬後の液のpH
は12.50であった。
アルカリ浸漬後の膜の透過液中の水濃度が高く、本発明で特定するゼオライト膜は、ア
ルカリ性の含水有機化合物に対する、耐久性に優れることが分かった。
(実施例3)
実施例1で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したもの
を使用して、実施例2と同様の方法でパーベーパレーション法により130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は10.49kg/(m・h)、分離係数は356、透過液中の水の濃度は
98.4重量%であった。
水/エタノール=50/50重量%にNaHCOとNaCOを加えてpH=1
1.49として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
実施例2と同様の方法で浸漬し、オートクレーブを150℃に加熱し、5日間浸漬を
行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノ
ール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
アルカリ浸漬後の膜を使った分離試験の、透過流束は10.03kg/(m・h)、
分離係数は123、透過液中の水の濃度は95.6重量%であった。また浸漬後の液のp
Hは9.21であった。本発明で特定するゼオライト膜は、アルカリ性の含水有機化合物
に対する、耐久性に優れることが分かった。
(実施例4)
実施例1で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したもの
を使用して、実施例2と同様の方法でパーベーパレーション法により130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は9.82kg/(m・h)、分離係数は336、透過液中の水の濃度は9
8.3重量%であった。
水/エタノール=30/70重量%にNaHCOとNaCOを加えてpH=1
2.46として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
実施例2と同様の方法で浸漬し、オートクレーブを150℃に加熱し、3日間浸漬を
行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノ
ール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
アルカリ浸漬後の膜を使った分離試験の、透過流束は11.32kg/(m・h)、
分離係数は273、透過液中の水の濃度は98.0重量%であった。また浸漬後の液のp
Hは12.58であった。本発明で特定するゼオライト膜は、アルカリ性の含水有機化合
物に対する、耐久性に優れることが分かった。
(実施例5) ゼオライト膜複合体の製造2
実施例1において100℃で4時間乾燥以降の操作を行わないこと以外は実施例1と
同様の方法でゼオライト膜を合成した。
種晶の付着量は、1.53g/mであった。CHA型ゼオライトの重量は54g/
であった。
(実施例6)
水/エタノール=100/0重量%にKOHを加えてpH=11.25として、アル
カリ性含水化合物を作製した。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したもの
をオートクレーブ内に設置し、上記アルカリ性含水化合物をオートクレーブに入れた。こ
の場合膜内部に液の侵入がある。
オートクレーブを120℃に加熱し、20時間浸漬を行って、アルカリ性での耐久性
を確認した。
浸漬後の膜は、洗浄後、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノール水
溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
アルカリ浸漬後の膜を使った分離試験の、透過流束は8.89kg/(m・h)、分
離係数は127、透過液中の水の濃度は95.7重量%であった。また浸漬後の液のpH
は11.00であった。本発明で特定するゼオライト膜は、アルカリ性の含水有機化合物
に対する、耐久性に優れることが分かった。
(比較例1)
A型ゼオライト膜複合体(長さ8cm、SiO/Alモル比:2)を用いて
、パーベーパレーション法により60℃の水/エタノール水溶液(20/80重量%)から
水を選択的に透過させる分離を行った。
3時間測定時の透過流束は3.51kg/(m・h)、分離係数は4767、透過液
中の水の濃度は99.9重量%であった。
サンプルの1端をエンドピースに接続し、エンドピースが下になるようにオートクレ
ーブ内に設置し、脱塩水を加えた。膜上部が液面より上になるようにし、内部に液が入ら
ないようにした。液のpHは6.5であった。
オートクレーブを100℃に加熱し、1日間浸漬を行って、耐久性を確認した。アル
カリ浸漬後の膜は、洗浄後、パーベーパレーション法により60℃の水/エタノール水溶
液(20/80重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。測定直後より、透過側
に大量に液が漏れてきて、測定不可であった。膜が大きく壊れていた。
(実施例7) ゼオライト膜複合体の製造3
無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長
さ80cm)を用いた。
水熱合成のための水性反応混合物として、以下のものを調製した。
水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)、NaO
H、KOH、水を加え混合撹拌して溶解させ、溶液とした。これに有機テンプレートとし
て、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAO
H)水溶液(TMADAOH 25重量%含有、セイケム社製)、コロイダルシリカ(日
産化学社製 スノーテックス-S)を加えて2時間撹拌し、水熱合成用水性反応混合物と
した。
この混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/
TMADAOH=1/0.063/0.08/0.15/100/0.04であった。
支持体上には水熱合成に先立ち、ディップ法で上記の方法と同様の方法によりSiO
/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.033/0.1/0
.06/20/0.07のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた0.9μ
m程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。
この種結晶を水に約0.5重量%に分散させたものに、支持体を所定時間浸した後、4
0℃で3時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約0.6g/
であった。
この種結晶を付着させた支持体をオートクレーブに入れた上記水熱合成用水性混合物に
垂直方向に浸漬して、その後、オートクレーブを密閉し180℃で24時間、静置状態で
、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に、ゼオライト膜複合体を水性反
応混合物から取り出し、洗浄後、120℃で6時間以上乾燥させた。乾燥後、テンプレー
ト焼成前のゼオライトの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ライ
ンに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定し
たところ透過量は0ml/(m・分)であった。
テンプレート焼成前のゼオライト膜複合体を電気炉で500℃、10時間焼成した。焼
成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライト
の重量は104g/mであった。
さらに、焼成後のゼオライト膜複合体をオートクレーブに入れた脱塩水に浸漬しその後
、オートクレーブを密閉し、120℃まで昇温した。昇温完了後、120℃で20時間、
静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後に放冷し、ゼオライト膜を取り出し
た。
尚、SEM-EDXにより測定したこのゼオライト膜のSiO/Alモル比は
17であった。
(実施例8)
実施例7で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したもの
を使用して、パーベーパレーション法により60℃の水/エタノール水溶液(20/80
重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
2時間測定時の透過流束は0.79kg/(m・h)、分離係数は153、透過液中の
水の濃度は97.5重量%であった。
水/エタノール=50/50重量%にNaHCOとNaCOを加えてpH=1
2.13として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
実施例2と同様の方法で浸漬し、オートクレーブを130℃に加熱し、2日間浸漬を
行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により60℃の水/エタノー
ル水溶液(20/80重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
アルカリ浸漬後の膜を使った分離試験の、5時間測定時の透過流束は1.88kg/(
・h)、分離係数は52、透過液中の水の濃度は92.9重量%であった。また浸漬
後の液のpHは12.18であった。
本発明で特定するゼオライト膜は、アルカリ性の含水有機化合物に対する、耐久性に優
れることが分かった。
(比較例2)ゼオライト膜複合体の製造4
無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長
さ8cm)を用いた。
水熱合成のための水性反応混合物として、以下のものを調製した。
水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)、1mo
l/L-NaOH水溶液、1mol/L-KOH、水を加え混合撹拌して溶解させ、溶液
とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアン
モニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH 25重量%含有、セイ
ケム社製)、コロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック-40)を加えて2時間撹
拌し、水熱合成用水性反応混合物とした。
この混合物の組成(モル比)は、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/
TMADAOH=1/0.002/0.018/0.073/100/0.04であった。
実施例7と同様の種結晶を水に3重量%分散させたものに、支持体を所定時間浸した
後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。この支持体の表面をラビング
して種晶を落とし均一化させた。付着した種結晶の重量は約2.5g/mであった。
この種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒
に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し、70℃15時間、続いて180℃で48
時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に、ゼオライト
膜複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で5時間以上乾燥させた。乾
燥後、テンプレート焼成前のゼオライトの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他
の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気
の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・分)であった。
テンプレート焼成前のゼオライト膜複合体を電気炉で500℃、10時間焼成した。焼
成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライト
の重量は59g/mであった。また、SEM-EDXにより測定したこのゼオライト膜
のSiO/Alモル比は100であった。
(比較例3)
比較例2で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を、実施例2と同様の方法で
パーベーパレーション法により130℃の水/エタノール水溶液(15/85重量%)から
水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.88kg/(m・h)、分離係数は1440、透過液中の水の濃度は
99.6重量%であった。
水/エタノール=50/50重量%にNaHCOとNaCOを加えてpH=1
2.18として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
実施例2と同様の方法で浸漬し、オートクレーブを130℃に加熱し、2日間浸漬を
行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノ
ール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
測定直後より、透過側に大量に液が漏れてきて、測定不可であった。膜が大きく壊れ
ていた。また浸漬後の液のpHは12.15であった。
1 スターラー
2 ヒーター
3 撹拌子
4 被分離液
5 ゼオライト膜複合体
6 安全弁
7 圧力計
8 透過液捕集用トラップ
9 コールドトラップ
10 真空ポンプ

Claims (10)

  1. pH8~13の含水有機化合物から分離膜を用いて水を分離する方法であって、
    該含水有機化合物が、水、有機化合物、及び、該有機化合物以外の塩基性化合物を含み

    該分離膜としてゼオライト膜を用い、該ゼオライト膜を構成するゼオライトがSiO
    /Alモル比が5~40であるCHA型ゼオライトであり、
    該塩基性化合物が炭酸塩である、アルカリ性含水有機化合物の水分離方法。
  2. 前記塩基性化合物がNaカチオンを含む、請求項1に記載のアルカリ性含水有機化合物
    の水分離方法。
  3. pHが10を超え、13以下である含水有機化合物から分離膜を用いて水を分離する方
    法であって、
    該分離膜としてゼオライト膜を用い、該ゼオライト膜を構成するゼオライトがSiO
    /Alモル比が5~40であるCHA型ゼオライトであることを特徴とする、アル
    カリ性含水有機化合物の水分離方法。
  4. 前記含水有機化合物が、水、有機化合物、及び、該有機化合物以外の塩基性化合物を含
    む、請求項に記載のアルカリ性含水有機化合物の水分離方法。
  5. 前記塩基性化合物がNaカチオンを含む、請求項に記載のアルカリ性含水有機化合物
    の水分離方法。
  6. 前記塩基性化合物が炭酸塩である、請求項またはに記載のアルカリ性含水有機化合
    物の水分離方法。
  7. 前記含水有機化合物の含水率が1重量%以上である、請求項1~のいずれか一項に記
    載のアルカリ性含水有機化合物の水分離方法。
  8. パーベーパレーション法を用いて分離を行う、請求項1~のいずれか一項に記載のア
    ルカリ性含水有機化合物の水分離方法。
  9. 分離の際の前記含水有機化合物の温度が40~150℃である、請求項に記載のアル
    カリ性含水有機化合物の水分離方法。
  10. 前記含水有機化合物がエタノールを含有する、請求項1~のいずれか一項に記載のア
    ルカリ性含水有機化合物の水分離方法。
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