JP7353017B2 - 多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
にくいゼオライト膜を製造する方法に関する。
の性質に応じて、蒸留法、共沸蒸留法、溶媒抽出/蒸留法、吸着剤などにより行われてい
る。しかしながら、これらの方法は、多くのエネルギーを必要とする、あるいは分離、濃
縮対象の適用範囲が限定的であるといった欠点がある。
近年、これらの方法に代わる分離方法として、高分子膜やゼオライト膜などの膜を用い
た膜分離、濃縮方法が提案されている。高分子膜、例えば平膜や中空糸膜などは、加工性
に優れるが、耐熱性が低いという欠点がある。また高分子膜は、耐薬品性が低く、特に有
機溶媒や有機酸といった有機物との接触で膨潤するものが多いため、分離、濃縮対象の適
用範囲が限定的である。
複合体として分離、濃縮に用いられている。例えば特許文献1では、有機化合物と水との
混合物を、ゼオライト膜複合体に接触させ、水を選択的に透過させることにより、水を分
離している。無機材料の膜を用いた分離、濃縮は、蒸留や吸着剤による分離に比べ、エネ
ルギーの使用量を削減できるほか、高分子膜よりも広い温度範囲で分離、濃縮を実施でき
、更に有機物を含む混合物の分離にも適用できる。また、特許文献2では、水熱合成後に
、加熱し乾燥させる工程や、焼成する工程により、ゼオライト膜の分離性能を向上する方
法が示されている。
溶解してしまうため、酸性の含水有機化合物からの水の分離は難しいと考えられていた。
本発明では、欠陥が少なく耐久性に優れた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を製造す
ることを課題とする。特に酸性の溶液を適用させても使用可能な耐久性の高いゼオライト
膜複合体を提供する。
溶液中でも耐久性を向上することができることがわかった。ゼオライト膜を水や有機溶媒
のないところで加熱すると、ゼオライト結晶の収縮や乾燥が起こり、結晶やアモルファス
に亀裂や欠陥が生じやすくなる。
より具体的には、ゼオライト結晶やアモルファスに含まれている水が脱離することによ
り空隙ができたり、ゼオライト結晶と支持体との熱膨張係数差による圧縮応力が生じたり
することが、亀裂や欠陥の生成の原因となる。亀裂や欠陥が生成すると、そこから膜内部
に液が浸透し、酸や水によるゼオライト結晶の加水分解は促進されることになる。逆に、
亀裂や欠陥の少ないゼオライト膜であれば、酸や水による膜の劣化は抑えられ、結果的に
優れた耐久性を示すことになる。
空下に置いたりすると、加熱した場合と同様に、欠陥や亀裂が生じやすくなる。
特定の方法でゼオライト膜を作製すれば、緻密で欠陥や亀裂がなく、酸性の含水有機化
合物に対しても適用可能で、優れた耐久性をもつゼオライト膜を製造できることがわかり
本発明に到達した。
(1)水熱合成により多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法であって、該ゼオライト膜はSiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含み、該ゼオライト膜を形成するゼオライトは、酸素6~8員環構造を有するゼオライトを含み、該ゼオライト膜を、有機テンプレートを用いずに合成した後、該ゼオライト膜複合体を30℃以上の水に浸漬する浸漬処理工程を含み、該ゼオライト膜の合成後、加熱乾燥または真空乾燥を施さず、該ゼオライト膜の合成後、該浸漬処理工程以外では、該ゼオライト膜複合体が50℃以下かつ相対湿度1%以上の環境下に保持されることを特徴とする、多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。
(2)水熱合成により多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法であって、該ゼオライト膜はSiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含み、該ゼオライト膜を形成するゼオライトは、酸素6~8員環構造を有するゼオライトを含み、該ゼオライト膜を、有機テンプレートを用いずに合成した後、該ゼオライト膜複合体を30℃以上の水に浸漬する浸漬処理工程を含み、該ゼオライト膜の合成後、加熱乾燥または真空乾燥を施さず、該ゼオライト膜の合成後、該ゼオライト膜複合体が相対湿度1%以上の環境下に保持されることを特徴とする、多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。
(3)前記浸漬処理工程における水が、Siを含む(1)または(2)に記載の多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。
。
の内容に特定はされない。
本発明の多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法は、水熱合成により多孔質支持
体上に形成されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法で
あって、該ゼオライト膜はSiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含み、ゼ
オライト膜の合成後、該ゼオライト膜複合体を30℃以上の水に浸漬する浸漬処理工程を
含み、ゼオライト膜の合成後、該浸漬処理工程以外では、該ゼオライト膜複合体が50℃
以下の環境下に保持されることを特徴とする。
ト膜複合体」または「膜複合体」と、また「多孔質支持体」を単に「支持体」と略称する
ことがある。
ゼオライト膜複合体に使用される支持体としては、その表面などにゼオライトを膜状に
結晶化できるような化学的安定性があり、無機の多孔質よりなる支持体(無機多孔質支持
体)であれば如何なるものであってもよい。例えば、シリカ、α-アルミナ、γ-アルミ
ナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミッ
クス焼結体(セラミックス支持体)、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス
、カーボン成型体などが挙げられる。
成されている固体材料であるセラミックスを焼結したもの(セラミックス支持体)を含む
無機多孔質支持体が好ましい。この無機多孔質支持体を用いれば、その一部がゼオライト
膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果がある。
チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミック
ス支持体)が挙げられる。それらの中で、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも
1種を含む無機多孔質支持体が好ましいものとして挙げられる。これらの支持体を用いれ
ば、部分的なゼオライト化が容易であるため、支持体とゼオライトの結合が強固になり緻
密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる。
制限されず、具体的には、例えば、平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状
の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられる。
本発明において、多孔質支持体の表面などにゼオライトを膜状に結晶化させる。支持体
の表面は、支持体の形状に応じて、どの表面であってもよく、複数の面であっても良い。
例えば、円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては
外側と内側の両方の表面であってよい。
り好ましくは0.5mm以上であり、通常7mm以下、好ましくは5mm以下、より好ま
しくは3mm以下である。支持体はゼオライト膜に機械的強度を与える目的で使用してい
るが、支持体の平均厚さが薄すぎるとゼオライト膜複合体が十分な強度を持たずゼオライ
ト膜複合体が衝撃や振動等に弱くなることがある。支持体の平均厚さが厚すぎると透過し
た物質の拡散が悪くなり透過流束が低くなることがある。
上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。
支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、下限未満では透過物の
拡散を阻害する傾向があり、上限を超えると支持体の強度が低下する傾向がある。
本発明においては、前記多孔質支持体上にゼオライト膜を形成させ、多孔質支持体-ゼ
オライト膜複合体とする。
本発明において、膜を構成するゼオライトとしては、具体的にはケイ酸塩とリン酸塩が
挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ガロケイ酸塩、フェリケイ
酸塩、チタノケイ酸塩、ボロケイ酸塩等が、リン酸塩としては、アルミニウムと燐からな
るアルミノリン酸塩(ALPO-5などのALPOと称されるもの)、ケイ素とアルミニ
ウムと燐からなるシリコアルミノリン酸塩(SAPO-34などのSAPOと称されるも
の)、Feなどの元素を含むFAPO-5などのMeAPOと称されるメタロアルミノリ
ン酸塩、等が挙げられる。これらの中で、アルミノケイ酸塩、シリコアルミノリン酸塩が
好ましく、アルミノケイ酸塩がより好ましい。
バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤など
を必要に応じ含んでいてもよい。また、本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファ
ス成分などを含んでいてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオ
ライト膜である。
m以上、より好ましくは1.0μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは60μ
m以下、より好ましくは20μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下す
る傾向があり、小さすぎると選択性が低下したり、膜強度が低下する傾向がある。膜厚が
大きすぎると透過量が低下する傾向がある。
過選択性などを低下させる傾向がある。それゆえ、通常30nm以上、好ましくは50n
m以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに、ゼ
オライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合が特に好ましい。ゼオライトの粒子径が膜
の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなるためである。
くは5以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは12以
上であり、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さ
らに好ましくは100以下、特に好ましくは50以下、最も好ましくは25以下、極めて
好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。SiO2/Al2O3モル比が
下限未満では耐久性が低下する傾向があり、上限を超えると疎水性が強すぎるため、透過
流束が小さくなる傾向がある。
分散型X線分光法(SEM-EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの
情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
ゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、好ましくは酸素6~10員環構造を有す
るゼオライトを含むもの、より好ましくは酸素6~8員環構造を有するゼオライトを含む
ものである。ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形
成する酸素とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素
の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の
細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DAC、DDR、DOH、EAB、EPI
、ESV、EUO、FAR、FRA、FER、GIS、GIU、GOO、HEU、IMF
、ITE、ITH、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、MEP、MER
、MEL、MFI、MFS、MON、MSO、MTF、MTN、MTT、MWW、NAT
、NES、NON、PAU、PHI、RHO、RRO、RTE、RTH、RUT、SGT
、SOD、STF、STI、STT、TER、TOL、TON、TSC、TUN、UFI
、VNI、VSV、WEI、YUGなどが挙げられる。
CHA、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、
LIO、LOS、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、STI、TOL、
UFIなどが挙げられる。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、6員環よりも小さ
いゼオライトではH2O分子のKinetic半径よりも細孔径が小さくなるため透過流
束が小さくなり実用的でない場合がある。また、酸素10員環構造よりも大きい場合は細
孔径が大きくなり、サイズの小さな有機物では分離性能が低下することがあり、用途が限
定的になる場合がある。
細孔サイズより小さく、かつH2O分子よりも大きい分子を分離することが困難になるた
め酸素6~8員環構造を有するゼオライトが特に望ましい。
ゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å3)は特に制限されないが、通常1
7以下、好ましくは16以下、より好ましくは15.5以下、特に好ましくは、15以下
であり、通常10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上である。
る元素(T元素)の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まる。したがってフ
レームワーク密度が小さいほど1000Å3あたりの空間が広いことを意味するため、フ
レームワーク密度が小さいほどゼオライト中の物質の拡散速度が速く、ゼオライト膜にし
た場合に透過流束が大きくなる。したがってフレームワーク密度が小さいことが望ましい
。
造が壊れやすくなるため通常10以上であることが望ましい。なおフレームワーク密度と
ゼオライトとの構造の関係はATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition
2001 ELSEVIERに示されている。
RI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、L
TN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、STI、TOL、UFIであり、より
好ましい構造は、8員環構造を有し、かつ2次元または3次元構造を有するAEI、CH
A、ERI、KFI、LEV、PAU、RHO、RTH、UFIであり、さらに好ましい
構造は、CHA、LEVであり、最も好ましい構造はCHA型である。前記のゼオライト
は、構造的に安定性が高く、またゼオライト中の物質の拡散速度が速いと考えられるため
、当該支持体と組み合わせることで透過流束を大きくすることが可能となる点で、好まし
い。
定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチ
ャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×
3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をと
り、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
CHA型ゼオライトのフレームワーク密度(T/1000Å3)は14.5である。ま
た、SiO2/Al2O3モル比は上記と同様である。
本発明において、ゼオライト膜の製造方法は、ゼオライトを含む膜が形成可能な方法で
あれば特に制限されず、例えば、(1)多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる
方法、(2)多孔質支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなど
で固着させる方法、(3)ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、(4)ゼ
オライトのスラリーを多孔質支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼ
オライトを多孔質支持体に固着させる方法などの何れの方法も用いることができる。
結晶化の方法に特に制限はないが、多孔質支持体を、ゼオライト製造に用いる水熱合成用
の反応混合物(以下これを「水性反応混合物」ということがある。)中に入れて、直接水
熱合成することで支持体の表面などにゼオライトを結晶化させる方法が好ましい。
具体的には、例えば、組成を調整して均一化した水性反応混合物を、多孔質支持体を内
部に緩やかに固定した、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉して、一定時間
加熱すればよい。
および水を含み、さらに必要に応じてアルカリ源を含むものが好ましい。
水性反応混合物に用いるSi元素源としては、例えば、無定形シリカ、コロイダルシリ
カ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミのシリケートゲル、テトラエトキシシ
ラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等を用いることができる。
ミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等を用
いることができる。なお、Al元素源以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、
Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
ゼオライトの結晶化において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いる
ことができるが、有機テンプレートを用いて合成したものが好ましい。有機テンプレート
を用いて合成することにより、結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素
原子の割合が高くなり、耐酸性が向上する。
ず、如何なるものであってもよい。また、テンプレートは1種類でも、2種類以上を組み
合わせて使用してもよい。
ゼオライトがCHA型の場合、有機テンプレートとしては、通常、アミン類、4級アン
モニウム塩が用いられる。例えば、米国特許第4544538号明細書、米国特許公開第
2008/0075656号明細書に記載の有機テンプレートが好ましいものとして挙げ
られる。
ジナールから誘導されるカチオン、3-exo-アミノノルボルネンから誘導されるカチ
オン等の脂環式アミンから誘導されるカチオンが挙げられる。これらの中で、1-アダマ
ンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。
1-アダマンタンアミンから誘導されるカチオンを有機テンプレートとしたとき、緻密
な膜を形成し得るCHA型ゼオライトが結晶化する。また、膜が水を選択的に透過するの
に十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成し得るほか、耐酸性に優れたCHA型
ゼオライトが得られる。
-アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N-トリアルキル-1-
アダマンタンアンモニウムカチオンの3つのアルキル基は、通常、それぞれ独立したアル
キル基であり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中
で最も好ましい化合物は、N,N,N-トリメチル-1-アダマンタンアンモニウムカチオ
ンである。
このようなアニオンを代表するものには、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンや
水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。これらの中で、水酸
化物イオンが特に好適に用いられる。
その他の有機テンプレートとしては、N,N,N-トリアルキルベンジルアンモニウムカ
チオンも用いることができる。この場合もアルキル基は、それぞれ独立したアルキル基で
あり、好ましくは低級アルキル基、より好ましくはメチル基である。それらの中で、最も
好ましい化合物は、N,N,N-トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。また、
このカチオンが伴うアニオンは上記と同様である。
の水酸化物イオン、NaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)2などの
アルカリ土類金属水酸化物などを用いることができる。
アルカリの種類は特に限定されず、通常、Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、
Sr、Baなどが用いられる。これらの中で、Na、Kが好ましく、Kがより好ましい。
また、アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的には、NaとKを併用するのが
好ましい。
モル比、すなわちSiO2/Al2O3モル比として表わす。
SiO2/Al2O3モル比は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは8以上、
より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上である。また、通常10000以下、
好ましくは1000以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは100以下である
。
生成したゼオライトが強い親水性を示し、有機物を含有する混合物中から親水性の化合物
、特に水を選択的に透過することができる。また耐酸性に強く脱Alしにくいゼオライト
膜が得られる。
特に、SiO2/Al2O3モル比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成し得るCH
A型ゼオライトを結晶化させることができる。また、膜が水を選択的に透過するのに十分
な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成し得るほか耐酸性に優れたCHA型ゼオライ
トが得られる。
レートのモル比(有機テンプレート/SiO2モル比)で、通常0.005以上、好まし
くは0.01以上、より好ましくは0.02以上であり、通常1以下、好ましくは0.4
以下、より好ましくは0.2以下である。
成したゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。また、この条件において、特に緻
密で耐酸性のCHA型ゼオライトを形成させることができる。
Si元素源とアルカリ源の比は、M(2/n)O/SiO2(ここで、Mはアルカリ金
属またはアルカリ土類金属を示し、nはその価数1または2を示す。)モル比で、通常0
.02以上、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.05以上であり、通常0.5
以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下である。
結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。その場合のKと、Kを含むすべてのア
ルカリ金属および/またはアルカリ土類金属とのモル比は通常0.01以上1以下、好ま
しくは0.1以上1以下、さらに好ましくは0.3以上1以下である。
Si元素源と水の比は、SiO2に対する水のモル比(H2O/SiO2モル比)で、
通常10以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上、特に好ましくは50以上
であり、通常1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは200以下、特に好
ましくは150以下である。
成し得る。水の量は緻密なゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の
一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して緻密な膜
ができやすい傾向にある。
比で、15~50程度である。H2O/SiO2モル比が高い(50以上1000以下)
、すなわち水が多い条件にすることにより、支持体上にCHA型ゼオライトが緻密な膜状
に結晶化した分離性能の高いゼオライト膜複合体を得ることができる。
結晶を加えることで、支持体上にゼオライトの結晶化を促進できる。種結晶を加える方法
としては特に限定されず、粉末のゼオライトの合成時のように、水性反応混合物中に種結
晶を加える方法や、支持体上に種結晶を付着させておく方法などを用いることができる。
ゼオライト膜複合体を製造する場合は、支持体上に種結晶を付着させておくことが好まし
い。支持体上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能良好なゼオライト膜が
生成しやすくなる。
率よく結晶化させるためには形成するゼオライト膜と同じ結晶型であることが好ましい。
CHA型ゼオライト膜を形成する場合は、CHA型ゼオライトの種結晶を用いることが好
ましい。
種結晶の粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いてもよい。粒径は
、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、通常
20μm以下、好ましくは、15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好まし
くは5μm以下である。
に分散させてその分散液に支持体を浸けて表面に種結晶を付着させるディップ法や、種結
晶を水などの溶媒と混合してスラリー状にしたものを支持体上に塗りこむ方法などを用い
ることができる。種結晶の付着量を制御し、再現性良く膜複合体を製造するにはディップ
法が望ましい。
の量は特に限定されず、分散液の全質量に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは
0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、通常20質量%以下
、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以
下、特に好ましくは3質量%以下である。
水熱合成時に支持体表面に部分的にゼオライトが生成しない箇所ができ、欠陥のある膜と
なる可能性がある。分散液中の種結晶の量が多すぎると、ディップ法によって支持体上に
付着する種結晶の量は分散液中の種結晶の量がある程度以上でほぼ一定となるため、分散
液中の種結晶の量が多すぎると、種結晶の無駄が多くなりコスト面で不利である。
後にゼオライト膜の形成を行うことが望ましい。
支持体上に予め付着させておく種結晶の量は特に限定されず、基材1m2あたりの質量
で、通常0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であ
り、通常100g以下、好ましくは50g以下、より好ましくは10g以下、更に好まし
くは8g以下である。
合や、膜の成長が不均一になったりする傾向がある。また、種結晶の量が上限を超える場
合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、支持体から落ちた種結晶によって自
発核が成長しやすくなって支持体上の膜成長が阻害されたりする場合がある。何れの場合
も、緻密なゼオライト膜が生成しにくくなる傾向となる。
限はなく、縦置き、横置きなどあらゆる形態をとることができる。この場合、静置法でゼ
オライト膜を形成させてもよいし、水性反応混合物を攪拌させてゼオライト膜を形成させ
てもよい。
ゼオライト膜を形成させる際の温度は特に限定されないが、通常100℃以上、好まし
くは120℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは
190℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。反応温度が低すぎると、ゼオライ
トが結晶化し難くなることがある。また、反応温度が高すぎると、本発明におけるゼオラ
イトとは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなることがある。
くは10時間以上であり、通常10日間以下、好ましくは5日以下、より好ましくは3日
以下、さらに好ましくは2日以下である。反応時間が短すぎるとゼオライトが結晶化し難
しくなることがある。
反応時間が長すぎると、本発明におけるゼオライトとは異なるタイプのゼオライトが生
成し易くなることがある。
この温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分である。さらに必要に応じて、窒素
などの不活性ガスを加えても差し支えない。
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗される。
水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたゼオライト膜複合体を、
水洗した後に、例えば、焼成や抽出により有機テンプレートを取り除くことが適当である
。テンプレートの焼成は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは
430℃以上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは85
0℃以下、さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。
特に限定されず、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。上限は
特に限定されず、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは10
0時間以内である。
焼成温度は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以
上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、
さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。焼成温度が低すぎ
ると有機テンプレートが残っている割合が多くなる傾向があり、ゼオライトの細孔が少な
く、そのために分離濃縮の際の透過流束が減少する可能性がある。焼成温度が高すぎると
支持体とゼオライトの熱膨張率の差が大きくなるためゼオライト膜に亀裂が生じやすくな
る可能性があり、ゼオライト膜の緻密性が失われ分離性能が低くなることがある。
かれる時間であれば特に限定されず、好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上
である。
上限は特に限定されず、例えば、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、よ
り好ましくは100時間以内、最も好ましくは24時間以内である。焼成は空気雰囲気で
行えばよいが、酸素を付加した雰囲気で行ってもよい。
じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。昇温速度は、通常
5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましく
は0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロー
ルする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。降温速度は、通常5℃
/分以下、好ましくは2℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.
5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
用いて合成した場合は、通常、テンプレートを除去した後に行う。イオン交換するイオン
としては、プロトン、Na+、K+、Li+などのアルカリ金属イオン、Ca2+、Mg
2+、Sr2+、Ba2+などのアルカリ土類金属イオン、Fe、Cu、Znなどの遷移
金属のイオンなどが挙げられる。これらの中で、プロトン、Na+、K+、Li+などの
アルカリ金属イオンが好ましい。
イオン交換は、焼成後(テンプレートを使用した場合など)のゼオライト膜を、NH4
NO3、NaNO3などアンモニウム塩あるいは交換するイオンを含む水溶液、場合によ
っては塩酸などの酸で、通常、室温から100℃の温度で処理後、水洗する方法などによ
り行えばよい。さらに、必要に応じて200℃~500℃で焼成してもよい。
、本発明においてゼオライト膜の合成とは、上記のように有機テンプレートを使用して合
成された場合は、有機テンプレートを焼成完了した時点までを含む。
本発明では合成されたゼオライト膜複合体に対し加熱乾燥や真空乾燥を施さないことが
重要である。
この加熱乾燥とは、通常50℃以上、例えば70℃以上、さらには100℃以上、通常
150℃以下の環境下にゼオライト膜複合体を一定時間以上晒すことを意味する。
また、真空乾燥とは、絶対圧力として通常50kPa以下、例えば20kPa以下、さ
らには5kPa以下の環境下にゼオライト膜複合体を一定時間以上晒すことを意味する。
尚、一定時間とは通常10分以上、さらには30分以上を意味する。
である。温度は30℃以上であればよいが、好ましくは50℃以上、より好ましくは80
℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以
下である。この水には水以外のものが品質に影響を与えない程度に含まれていてもよく、
例えば、Si、Al、Na,K、酸などが挙げられ、中でもSiが好ましい。
浸漬時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは3時間以上、上
限は特に限定されず、通常10時間以内、好ましくは5時間以内である。
浸漬に際しては、膜複合体の全体を浸漬してもよく、ゼオライト膜複合体の使用時に供
給液に接する外側のみの浸漬でもよいが、ゼオライト膜複合体の全体を浸漬する方が好ま
しい。
されることを第一の特徴とする。50℃以下であればよいが、好ましくは40℃以下であ
る。
また、本発明では、ゼオライト膜の合成後、ゼオライト膜複合体が相対湿度で1%以上
の環境下に保持されることを第二の特徴とする。相対湿度は1%以上であればよく、好ま
しくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。湿度
を保つために、膜を保管する空間に加湿した空気を流してもよいし、塩化リチウム等を用
いた飽和塩法で湿度を保ってもよいし、密閉空間に膜を保管して乾燥を防いでもよい。
このようにして、合成されたゼオライト膜複合体を浸漬処理した後、できる限り、乾燥
させないようにすることにより、欠陥が少なく、耐久性に優れた多孔質支持体-ゼオライ
ト膜複合体を製造することができる。
g以上が好ましく、80μmol/g以上がより好ましく、100μmol/g以上がさ
らに好ましく、110μmol/g以上が特に好ましい。
この水分含量はTPD-MSにより測定されるもので、例えばゼオライト膜複合体をP
t製ボートに乗せ、石英管加熱部に設置し、Heを40cc/minでフローしながら、
40℃/minの昇温速度で500℃以上まで昇温し、その際の石英管出口ガスを質量分
析計に引き込んで分析するものである。H2Oの定量は測定で得られたH2Oのピーク面
積と、シュウ酸カルシウム一水和物を同一条件で昇温した時に得られるH2Oのピーク面
積とを比較して計算する。
以下の実施例の記載に限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、SEM測定は以下の条件に基づき行った。
断面の測定を行う際にはクロスセクションポリッシャーで平滑化した断面を用いた。
機種名:ULTRA55(Zeiss社製)
加速電圧:6kV
検出器:チャンバーSE検出器、反射電子検出器(Centaurus)
無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長
さ80cm)を用いた。
プロトン型のY型ゼオライト(HY(SAR=5)、日揮触媒化成社製)10.0gに
NaOH5.00gと水100gを混合したものを100℃で3日間加熱した後、ろ過、
懸洗、乾燥することによりFAU型ゼオライトを得た。このFAU型ゼオライトを種結晶
として使用した。
この種結晶を水に0.15重量%分散させたものに、上記支持体内部を吸引しながら5
秒浸した後、乾燥させて種結晶を付着させた。この支持体の表面をラビングして種結晶を
落とし均一化させた。種結晶の付着量は、0.61g/m2であった。
水酸化アルミニウム(Al2O3 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)にKOH
水溶液と水を加え、混合撹拌して溶解させ、溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産
化学社製 スノーテック-40)を加えて2時間撹拌し、水熱合成用水性反応混合物とし
た。
この混合物の組成(モル比)は、SiO2/Al2O3/KOH/H2O=1/0.1
25/0.7/80/、SiO2/Al2O3=8であった。
に浸漬し、その後、オートクレーブを密閉し、5時間かけて室温から180℃まで昇温し
た。昇温完了後、180℃で24時間、静置状態で、自生圧力下で加熱した。所定時間経
過後に放冷し、ゼオライト膜複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄した。
洗浄後、オートクレーブに入れた脱塩水に浸漬した後、オートクレーブを密閉し、12
0℃まで昇温した。昇温完了後、120℃で20時間、静置状態で、自生圧力下で加熱し
た(浸漬処理工程)。
所定時間経過後に放冷しゼオライト膜を取り出し、常温で乾燥させた。乾燥後の膜複合
体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は64
.5g/m2であった。
実施例1で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したものを
使用して、パーベーパレーション法により130℃の水/エタノール水溶液(15/85
重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
パーベーパレーションに用いた装置の概略図を図1に示す。図1において5のゼオライ
ト膜複合体は10の真空ポンプによって内側が減圧され、4の被分離液が接触している外
と圧力差が約4.5気圧になっている。この圧力差によって4の被分離液中透過物質の水
が5のゼオライト膜複合体に浸透気化して透過する。透過した物質は8のトラップで捕集
される。一方、エタノールは5のゼオライト膜の外側に滞留する。一定時間ごとにトラッ
プに捕集された透過液の重量を測り、濃度を測定した。
。被分離液の組成が水/エタノール=15/85重量%である点の透過液中水濃度と透過
流束を求めた。
透過流束は12.2kg/(m2・h)、分離係数は105、透過液中の水の濃度は94
.9重量%であった。
水/エタノール=30/70重量%に酢酸を加えてpH=3.6として、酸性含水有機
化合物を作製した。
。エンドピースが下になるようにオートクレーブ内に設置した。膜内部へ液が浸入しない
ようにSUS配管の先にPFAの袋を取り付け、上記酸性含水有機化合物をオートクレーブ
に入れた。オートクレーブを150℃に加熱し、2日間浸漬試験を行って、酸性での耐久
性を確認した。
浸漬試験後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は9.5kg/(m2・h)、分離係数は75、透過液中の水の濃度は92.9
重量%であった。また、浸漬試験後の液のpHは4.0であった。酸性での耐久性に優れ
ていることが分かった。結果を表1に示す。
無機多孔質支持体としては、多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm、長
さ120cm)を用いたこと、種結晶を水に0.1重量%分散させたこと、ゼオライト膜
複合体を水性反応混合物から取り出し、洗浄後、100℃で4時間乾燥させたこと以外は
実施例1と同様に作製した。
尚、100℃での乾燥は、乾燥機内の相対湿度が2%であったと算出される(20℃で
相対湿度100%空気中の水分含量と同じ水分含量を有する空気が、100℃で乾燥して
いる時の乾燥器内に入り込むとすると乾燥機内の相対湿度は2%と算出される)。実際は
、乾燥器により熱エネルギーが与えられるので、上記相対湿度値2%の半分の相対湿度1
%環境下で保持するより遥かに過酷な乾燥条件となっていたと想定される。
種結晶の付着量は、0.76g/m2、CHA型ゼオライトの重量は61.6g/m2
であった。
また、比較例1と同様の方法で得られたゼオライト膜複合体の一部分の断面を切り出し
クロスセクションポリッシャーにて作製した平滑面を、倍率2000倍でSEM測定した
ところ、ゼオライト膜複合体には欠陥、亀裂が多数生じていた。
比較例1で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したものを
使用して、パーベーパレーション法により実施例2と同様にして、130℃の水/エタノ
ール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は13.4kg/(m2・h)、分離係数は804、透過液中の水の濃度は99
.3重量%であった。
水/エタノール=30/70重量%に酢酸を加えてpH=3.6として、酸性含水有機
化合物を作製した。実施例2と同様に、測定後の膜を上記酸性含水有機化合物に浸漬し、
オートクレーブを150℃に加熱し、2日間浸漬試験を行って、酸性での耐久性を確認し
た。
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は14.4kg/(m2・h)、分離係数は17、透過液中の水の濃度は74.
9重量%であった。また、浸漬試験後の液のpHは4.1であった。酸性での耐久性が低
かった。測定結果を表1に示す。
いことにより、例えば酸を含む液に使用しても、ゼオライト膜の分離性能は十分に維持で
きることが確認できた。
無機多孔質支持体として長さ120cmの多孔質アルミナチューブを使用した以外は実
施例1と同様の方法で多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を作製した。種結晶の付着量は
、1.13g/m2、CHA型ゼオライトの重量は52.0g/m2であった。
実施例3で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したものを
使用して、実施例2と同様の方法で、パーベーパレーション法により130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は13.2kg/(m2・h)、分離係数は86、透過液中の水の濃度は93.
8重量%であった。
水/エタノール=50/50重量%にNaHCO3とNa2CO3を加えてpH=11
.4として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。
。エンドピースが上になるようにオートクレーブ内に設置した。上記アルカリ性含水有機
化合物をオートクレーブに入れた。U字配管の膜接続部でない側は、液面より上になるよ
うにし、膜内部へ液浸入がないようにした。オートクレーブを150℃に加熱し、3日間
浸漬試験を行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬試験後の膜は、洗浄後、再び、パーベーパレーション法により130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は12.3kg/(m2・h)、分離係数は67、透過液中の水の濃度は92.
1重量%であった。また浸漬試験後の液のpHは11.0であった。アルカリ性での耐久
性に優れていた。測定結果を表2に示す。
無機多孔質支持体として長さ120cmの多孔質アルミナチューブを用いたこと、種結
晶を水に0.15重量%分散させたものに、上記支持体内部を吸引しながら10秒浸した
後、乾燥させて種結晶を付着させたこと、ゼオライト膜複合体を水性反応混合物から取り
出し、洗浄後、100℃で4時間乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして多孔質支持
体-ゼオライト膜複合体を作製した。
種結晶の付着量は、1.08g/m2、CHA型ゼオライトの重量は58.2g/m2
であった。
比較例1と同様に、100℃で乾燥する際は、膜を相対湿度1%環境下で保持するより
遥かに過酷な乾燥条件となっていたと想定される。
比較例3で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を長さ8cmに切断したものを
使用して、パーベーパレーション法により、実施例2と同様にして、130℃の水/エタ
ノール水溶液(15/85重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は11.5kg/(m2・h)、分離係数は136、透過液中の水の濃度は96
.0重量%であった。
水/エタノール=70/30重量%にNaHCO3とNa2CO3を加えてpH=11
.1として、アルカリ性含水有機化合物を作製した。比較例2と同様に、測定後の膜を上
記アルカリ性含水有機化合物に浸漬し、オートクレーブを150℃に加熱し、2日間浸漬
試験を行って、アルカリ性での耐久性を確認した。
浸漬試験後の取り出し時に確認された。
また、浸漬試験後のpHは11.1であった。浸漬試験で膜が破壊したことが確認され
たため、浸漬試験後のパーベーパレーション法による測定は行わなかった。結果を表2に
示す。
いことにより、例えばアルカリを含む液に使用しても、ゼオライト膜の分離性能は十分に
維持できることが確認できた。
無機多孔質支持体として長さ120cmの多孔質アルミナチューブを用いたこと、種結
晶を水に0.15重量%分散させたものに、上記支持体内部を吸引しながら10秒浸した
後、乾燥させて種結晶を付着させたこと以外は実施例1と同様にして、浸漬処理工程を経
て放冷、常温乾燥をした多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を作製した。
種結晶の付着量は、1.56g/m2、CHA型ゼオライトの重量は54.7g/m2
であった。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を所定の大きさに切断し、室温
で相対湿度45%の大気下に12時間以上静置した。
この静置後のゼオライト膜複合体に含まれる水分含量をTPD-MSにより測定した。
ゼオライト膜複合体をPt製ボートに乗せ、石英管加熱部に設置した。Heを40cc/
minでフローしながら、40℃/minの昇温速度で500℃以上まで昇温し、その際
の石英管出口ガスを質量分析計(日本電子社製:T-200)に引き込んで分析した。
H2Oの定量は測定で得られたH2Oのピーク面積と、シュウ酸カルシウム一水和物を
同一条件で昇温した時に得られるH2Oのピーク面積とを比較して計算した。その結果、
このゼオライト膜複合体の単位重量あたりの水分含量は、111μmol/gであった。
また、実施例5と同様の方法で得られたゼオライト膜複合体を上記と同様の環境下に静
置したものを比較例1と同様にSEM測定をしたところ、静置後のゼオライト膜複合体に
は欠陥、亀裂は生じていなかった。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を所定の大きさに切断し、相対
湿度10%に調整したガス(Heを水バブリングしたガスを別途Heで希釈して調製)を
室温下40cc/minで61時間流通させた環境下に静置した。
その後、実施例6と同様にしてゼオライト膜複合体に含まれる水分含量をTPD-MS
により測定した。
ゼオライト膜複合体の単位重量あたりの水分含量は、102μmol/gであった。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を所定の大きさに切断し、He
ガスを室温下で10時間、40cc/minで流通させた環境下に静置した。
その後、実施例6と同様にしてゼオライト膜複合体に含まれる水分含量をTPD-MS
により測定した。
ゼオライト膜複合体の単位重量あたりの水分含量は、44μmol/gであった。実施
例6と比較して、相対湿度0%の雰囲気にさらすと、ゼオライト膜複合体中の水分含量が
著しく減少していた。
また、実施例5と同様の方法で得られたゼオライト膜複合体を上記と同様の環境下に静
置したものを比較例1と同様にSEM測定したところ、静置後のゼオライト膜複合体には
欠陥、亀裂が生じていた。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を所定の大きさに切断し、He
ガスを室温下で24時間、40cc/minで流通させた環境下に静置した。
ゼオライト膜複合体の単位重量あたりの水分含量は、30μmol/gであった。比較
例5と比較して、相対湿度0%の雰囲気により長時間さらすと、ゼオライト膜複合体中の
水分含量がさらに減少した。
実施例5で得られた多孔質支持体-ゼオライト膜複合体を所定の大きさに切断し、圧力
0.5~3kPaの真空下に室温で10時間静置した。
ゼオライト膜複合体の単位重量あたりの水分含量は、5μmol/gであった。比較例
5、6と比較して、真空乾燥すると、ゼオライト膜複合体中の水分含量がさらに減少した
。
り空隙ができたり、ゼオライト結晶と支持体との熱膨張係数差による圧縮応力が生じ、亀
裂や欠陥の生成の原因となると考えられる。亀裂や欠陥が生成すると、そこから膜内部に
液が浸透し、酸や水によるゼオライト結晶の加水分解は促進され、分離性能が低下すると
考えられる。
従って、本発明の方法を用いればこのような亀裂や欠陥を生じにくくし、分離性能の低
下を防止することが可能となる。
2.ヒーター
3.撹拌子
4.被分離液
5.ゼオライト膜複合体
6.安全弁
7.圧力計
8.透過液捕集用トラップ
9.コールドトラップ
10.真空ポンプ
Claims (3)
- 水熱合成により多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法であって、
該ゼオライト膜はSiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含み、
該ゼオライト膜を形成するゼオライトは、酸素6~8員環構造を有するゼオライトを含み、
該ゼオライト膜を、有機テンプレートを用いずに合成した後、該ゼオライト膜複合体を30℃以上の水に浸漬する浸漬処理工程を含み、
該ゼオライト膜の合成後、加熱乾燥または真空乾燥を施さず、
該ゼオライト膜の合成後、該浸漬処理工程以外では、該ゼオライト膜複合体が50℃以下かつ相対湿度1%以上の環境下に保持されることを特徴とする、多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 水熱合成により多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜を有する多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法であって、
該ゼオライト膜はSiO2/Al2O3モル比が5以上のゼオライトを含み、
該ゼオライト膜を形成するゼオライトは、酸素6~8員環構造を有するゼオライトを含み、
該ゼオライト膜を、有機テンプレートを用いずに合成した後、該ゼオライト膜複合体を30℃以上の水に浸漬する浸漬処理工程を含み、
該ゼオライト膜の合成後、加熱乾燥または真空乾燥を施さず、
該ゼオライト膜の合成後、該ゼオライト膜複合体が相対湿度1%以上の環境下に保持されることを特徴とする、多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。 - 前記浸漬処理工程における水が、Siを含む請求項1または2に記載の多孔質支持体-ゼオライト膜複合体の製造方法。
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
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C22 | Notice of designation (change) of administrative judge |
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