JP2012045462A - Vocの回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】VOC(揮発性有機化合物)に同伴されている酸によって性能低下を惹起することがないように改良されたVOCの回収装置を提供する。
【解決手段】被処理気体中のVOCを吸着剤によって捕集する吸着装置(1)と、VOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器(2)と、凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽(3)と、被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置(6)とから主に構成されるVOCの回収装置は、膜分離装置(6)の分離膜として無機多孔質支持体表面にゼオライト膜から成る膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体から成り、ゼオライトのSiO/Alモル比が5以上である多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、揮発性有機化合物(以下、「VOC」と言う。)の回収装置に関するものであり、詳しくは、ラミネート,印刷,塗工,塗装設備の排出ガス等からVOCを再利用できる様に回収するVOCの回収装置の改良に関するものである。
ラミネート,印刷,塗工,塗装などを行う設備においては、溶剤として使用されるVOCが気体として放出されるため、作業環境対策として、VOCの大気中への拡散防止と共に、分解または回収が不可欠となっている。VOCとしては、一般的に、ベンゼン,シクロヘキサノン,トルエン,ジクロロメタン,メチルイソブチルケトン,メチルエチルケトン,酢酸メチル,酢酸エチル,メタノール,エタノール,プロピルアルコール,アセトンテトラヒドロフラン(THF)等が代表的である。
VOCの回収装置として、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置とから主に構成されたものが提案されている(特許文献1)。そして、この提案においては、上記の膜分離装置の膜モジュール(膜分離装置の構成単位となる分離膜装置)として、三井物産社製の商品名「セラミック膜モジュール」が挙げられている。
上記のこのセラミック膜は、無機多孔質支持体表面にゼオライト結晶層から成る膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体から成り、ゼオライト結晶層は、一般的にA型ゼオライト結晶層であり、SiO/Alモル比は1程度である。
特開2009−66530号公報
ところで、回収するVOCには酢酸などの揮発性の酸が同伴されている場合が多く、前記のVOCの回収装置では、濃縮された酸によって膜分離装置の性能が低下するという問題がある。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、VOCに同伴されている酸によって性能低下を惹起することがないように改良されたVOCの回収装置を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、特定のゼオライト結晶層から成る膜が顕著な耐酸性を有することを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の要旨は、揮発性有機化合物(以下、「VOC」と言う。)が含まれる被処理気体からVOCを回収する回収装置であって、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置とから主に構成されるVOCの回収装置において、膜分離装置の分離膜として、無機多孔質支持体表面にゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体から成り、ゼオライト膜がSiO/Alモル比が5以上であるゼオライトを含むことを特徴とする、VOCの回収装置に存する。
本発明に係るVOCの回収装置によれば、吸着装置において被処理気体から捕集したVOCを凝縮器で凝縮し、分離槽において比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離して水を除去した後、更に膜分離装置において分離膜により水分を除去するため、再利用可能なより高純度のVOCを濃縮液として回収でき、しかも、回収するVOCに同伴され且つ濃縮された酸によって膜分離装置の性能が低下するという問題もない。
図1は本発明に係るVOCの回収装置の主な構成要素を示すフロー図である。 図2は参考例および実施例において分離膜の分離性能を求めるために使用したパーベーパレーション法の簡易試験装置の説明図である。 図3は参考例2に記載のゼオライト膜のXRD測定結果である。 図4は参考例5に記載のゼオライト膜のXRD測定結果である。 図5は参考例6に記載のゼオライト膜のXRD測定結果である。
本発明に係るVOCの回収装置は、基本的には、膜分離装置に特定の分離膜を使用する点を除き、前述の特開2009−66530号公報に記載されたVOCの回収装置と同じである。
先ず、本発明に係るVOCの回収装置(以下、「回収装置」と略記する。)の基本的構成および上記の回収装置を使用したVOCの回収方法を説明する。
図1は、本発明の回収装置の主な構成要素を示すフロー図である。なお、図中、送風機、ポンプ、弁類については図示を省略する。
本発明の回収装置は、VOCが含まれる被処理気体からVOCをリサイクル用に回収する回収装置である。被処理気体としては、前述のラミネート,印刷,塗工,塗装などを行う設備などから排出される気体であって、溶剤として使用されたVOCを含む空気やシール用の窒素が挙げられる。被処理気体中のVOCの濃度は500〜3000ppm程度が好ましい。
本発明の回収装置は、図1に示す様に、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置(1)と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器(2)と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽(3)と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置(6)とから主に構成される。
吸着装置(1)としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等の粉粒体状の吸着剤を利用した装置、活性炭素繊維などの繊維状の吸着剤を利用した装置、ハニカムの通気構造を有する回転ローターを利用した装置などの各種の吸着装置を使用できる。
例えば、活性炭素繊維を吸着剤として利用した吸着装置としては、活性炭素繊維から成
る円筒状の吸着剤ユニットが装填された円筒型吸着槽と、被処理気体を導入するための送風機、吸着/脱着操作の切替え用の流路とを備えた装置であって、吸着操作において、吸着槽に供給した被処理気体を吸着剤ユニットの外周部から内周部に通気させることにより、活性炭素繊維にVOCを吸着し、脱着操作において、吸着槽の上部から供給した水蒸気を吸着剤ユニットの内周部から外周部に通気させることにより、活性炭素繊維に吸着されたVOCを脱着し、吸着槽から水蒸気と共にVOCを取り出す様に構成された装置が挙げられる。
上記の吸着装置は、1基の吸着槽を2室に分割して各室に吸着剤ユニットを装填し、吸着/脱着の操作を室単位で交互に切り替える様にしたもの、あるいは、2基以上の吸着槽を設置して各槽に吸着剤ユニットを装填し、吸着/脱着の操作を槽単位で交互に又は順次タイミングをずらして切り替える様にしたものがあり、これらは、東洋紡社製の商品名「Kフィルター」或いは東邦化工建設社製の商品名「ソルベントリカ」と称する吸着剤ユニットを使用したVOC吸着回収装置として知られている。
また、粒体状の活性炭を吸着剤として利用した吸着装置としては、塔内部が上半部の吸着部と下半部の脱着部に区画された処理塔と、吸着部に多段に配置された多孔板と、縦管を多数配列した状態で脱着部に配置された水蒸気循環用の脱着チューブと、塔底から吸着部の上部に亙って挿通された活性炭搬送管とを備えた装置が挙げられる。
上記の装置は、吸着操作において、吸着部に供給された活性炭によって各多孔板上に流動層を形成すると共に、吸着部の下部の導入口から導入した被処理気体を活性炭に向流接触させることにより、活性炭にVOCを吸着し、脱着操作において、吸着部から落下した活性炭を脱着部の脱着チューブの隙間を通過させると共に、脱着部の下部のガス導入口から脱着通気用ガスを導入し且つ脱着チューブに加熱用の水蒸気を循環させることにより、活性炭に吸着されたVOCを脱着し、脱着部の上部のガス排出口から脱着用ガス(例えば窒素)と共にVOCを取り出す様に構成されており、また、脱着部で吸着質が脱着された吸着剤を活性炭搬送管によって再び吸着部に気流搬送する様に構成されている。
上記の吸着装置は、1基の処理塔内に吸着部と脱着部を構成したもの、あるいは、2基の処理塔を使用し、1基の処理塔によって吸着部を構成し且つ他の1基の処理塔によって脱着部を構成し、各処理塔間で吸着剤を連続的に気流搬送する様にしたものがあり、これらは、クレハエンジニアリング社製の商品名「ガスタック」(登録商標)と称する溶剤回収・脱臭装置として、あるいは、ダイキン工業社製の商品名「ソルダックス」として知られている。
吸着装置(1)は、図1に示す様に、配管(11)を通じて内部の吸着剤に被処理気体が供給され、配管(12)を通じて100〜200℃の水蒸気または窒素などの不活性ガスが脱着用ガスとして供給され、そして、VOCが殆ど吸着除去された被処理気体が排気ガスとして配管(13)から排気され、脱着用ガス(水蒸気または不活性ガス)と脱着処理されたVOCを含む脱着ガスとが配管(14)から取り出される様に構成されている。なお、吸着装置(1)においては、例えば酢酸エチルが混入し且つその濃度が1000ppmの空気を処理する場合の処理量が10〜1500Nm/minとなる様に、吸着剤の種類、使用量および吸脱着機構が設計される。
吸着装置(1)の下流側には凝縮器(2)が配置される。凝縮器(2)は、上部にガスの導入口が設けられ且つ底部に凝縮液の排出口が設けられた容器と、当該容器内に配置され且つ冷却水などの冷媒が循環する例えばコルゲートフィン型の熱交換器あるいは蛇管方式の熱交換器とから成る所謂コンデンサであり、熱交換器に冷媒を循環させることにより、上記の配管(14)を通じて容器に導入された脱着ガスを凝縮し、凝縮液を容器底部の
配管(15)から取り出す様に構成される。
凝縮器(2)の下流側には分離槽(3)が配置される。分離槽(3)の頂部には、上記の凝縮液取出用の配管(15)が接続され、底部には、分離した水を排出するための配管(16)が付設され、また、上部には、分離された液(被処理液)を取り出すための配管(18)が付設される。分離槽(3)は、配管(15)を通じて導入された凝縮液を比重差で分離し、比重の小さなVOCを主成分とする被処理液を配管(18)から取り出し、比重の大きな水を配管(16)から排出する様に構成される。なお、分離槽(3)の内容積は0.1〜0.5m程度とされる。
分離槽(3)の下流側には排水貯槽(4)及びVOC貯槽(5)が配置される。排水貯槽(4)は、分離槽(3)で分離された水を一時的に貯留する槽であり、排水基準を検査し、また、適当なタイミングでポンプ排水するために設けられる。排水貯槽(4)の上部には、上記の配管(16)が挿入され、底部には、排水用の配管(17)が付設される。一方、VOC貯槽(5)は、分離槽(3)で分離された上記の被処理液を一時的に貯留する槽であり、膜分離装置(6)に被処理液をポンプ供給するために設けられる。VOC貯槽(5)の上部には、上記の配管(18)が接続され、底部には、上記の被処理液を膜分離装置(6)へ供給するための配管(19)が付設される。
分離槽(3)で分離された被処理液には微量の水分が混入しており、これを溶剤として再利用するにはその純度を更に高める必要がある。そこで、本発明の回収装置においては、VOC貯槽(5)の下流側に膜分離装置(6)が配置され、上記の被処理液中の微量水分を更に分離除去する様に構成される。
膜分離装置(6)は、膜モジュール(膜分離装置の構成単位となる分離膜装置)、これに被処理液を送液および循環するポンプ、加熱用ヒーター、冷却器、凝縮器などから構成される。斯かる膜分離装置(6)においては、通常、処理量の変動や保守管理の利便性を考慮し、複数基、例えば2〜10基の膜モジュールが並列または直列に配置される。
膜分離装置(6)には、被処理液供給用の前述の配管(19)、濃縮液取出用の配管(21)及び透過液排出用の配管(20)が接続されており、膜分離装置(6)においては、配管(19)によって送られた前述の被処理液が送液ポンプを介して各膜モジュールに供給され、各膜モジュールで分離された濃縮液が配管(21)を通じて取り出され、各膜モジュールで分離された透過液が配管(20)を通じて排出される様に構成される。
本発明の回収装置の好ましい態様においては、上記の膜分離装置(6)で分離された濃縮液をリサイクル用の再生VOCとして回収する様に構成される。具体的には、膜分離装置(6)の下流側には、配管(21)を通じて取り出された上記の濃縮液を貯留する回収VOC貯槽(8)が設けられる。そして、回収VOC貯槽(8)に付設された配管(23)を通じ、貯留された濃縮液をラミネート等を行う溶剤使用設備へ再生VOCとして供給可能になされている。あるいは、上記の配管(23)を通じ、濃縮液を可搬式容器に充填可能になされている。なお、回収VOC貯槽(8)の内容積は0.05〜30m程度である。
また、本発明の回収装置の好ましい態様においては、VOCの回収率をより高めるため、前述の膜分離装置(6)で分離された透過液(水)を分離槽(3)に返流可能に構成される。すなわち、上記の配管(20)が前述の分離槽(3)の上部に接続される。膜分離装置(6)の透過液排出用の配管(20)を分離槽(3)に接続し、透過液(水)を分離槽(3)に戻すことにより、透過液に同伴する微量のVOCを回収対象とすることが出来、回収率を向上することが出来る。
更に、本発明の好ましい態様においては、膜分離装置(6)で分離回収された濃縮液を更に精製するため、膜分離装置(6)の下流側、回収VOC貯槽(8)の上流側には、膜分離装置(6)で分離された濃縮液を蒸留精製する精製装置(7)が設けられる。具体的には、上記の配管(21)が精製装置(7)に接続されており、上記の濃縮液を精製装置(7)に供給可能に構成される。
精製装置(7)は、例えば、加熱用の水蒸気が流れるジャケット、チューブ式熱交換器、コイル式熱交換器などによって濃縮液(VOC)を炊き上げる蒸留釜と、VOCの蒸気を蒸留する蒸留塔と、蒸留分離されたVOCの蒸気を冷媒配管に接触させて冷却液化する多管式などの冷却凝縮器とを備えている。そして、精製装置(7)には、蒸留精製された濃縮液(留出液)を前述の回収VOC貯槽(8)に回収するための精製VOC取出用の配管(22)が設けられる。
精製装置(7)によって濃縮液を更に蒸留精製した場合には、濃縮液に混入しているイオン性溶解物質,粒子,非溶解性物質などの微量の不純物を確実に除去でき、回収されるVOCの品質を一層向上できる。なお、精製装置(7)(蒸留装置)の処理能力は、0.02〜15m/日程度とされる。また、図示しないが、蒸発釜の底部から抜き出された濃縮廃液は、排気処理されるか又はVOC貯槽(5)に返流される。
次に、上記の回収装置を使用したVOCの回収方法を説明する。VOCの回収においては、先ず、VOCが含まれる空気や窒素などの被処理気体を配管(11)を通じて吸着装置(1)に供給する。吸着装置(1)での吸着操作においては、被処理気体中のVOCを吸着剤に吸着し、VOCが吸着除去された排気ガスを配管(13)から排気し、また、脱着操作においては、水蒸気または不活性ガスを吸着剤に通気させることにより、吸着したVOCを脱着し、VOCが含まれる脱着ガスを配管(14)を通じて凝縮器(2)に供給する。
次いで、凝縮器(2)において上記の脱着ガスを凝縮し、得られた凝縮液を配管(15
)を通じて分離槽(3)に供給する。そして、分離槽(3)において、凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離し、分離槽(3)の上部に分離された被処理液を配管(18)を通じてVOC貯槽(5)に供給し、当該VOC貯槽に一旦貯留する。また、分離槽(3)の底部に分離された水は配管(16)を通じて排水貯槽(4)に供給して排水処理する。
続いて、VOC貯槽(5)に貯留した被処理液を配管(19)を通じて膜分離装置(6)に供給する。膜分離装置(6)においては、膜モジュールに被処理液を導入し、分離膜により、水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する。そして、分離された濃縮液を配管(21)を通じて回収する。また、分離された透過液は配管(20)を通じて再び分離槽(3)に返流し、凝縮液に混合して分離操作を施す。
膜分離装置(6)で分離して得られた濃縮液については、前述の様に、要求される仕様によっては更に純度を高め且つ不純物を除去する必要があり、その場合は、配管(21)を通じて精製装置(7)に濃縮液を供給する。そして、精製装置(7)において濃縮液を蒸留精製し、留出液を回収VOC貯槽(8)に配管(22)を通じて供給する。これにより、精製されたVOCを回収VOC貯槽(8)から配管(23)を通じて溶剤使用設備などへ供給することが出来る。
上記の様に、本発明の回収装置においては、吸着装置(1)において被処理気体から主にVOCを捕集し、これを凝縮器(2)で凝縮し、分離槽(3)において比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離して水を除去した後、更に膜分離装置(6)において分離膜を使用し、被処理液から主に水分を透過液として分離除去するため、再利用可能なより高純度のVOCを濃縮液として回収でき、しかも、膜分離装置(6)で分離された水分を含む透過液を分離槽(3)に返流するため、収率を一層高めることが出来る。そして、膜分離装置(6)で得られた濃縮液を精製装置(7)によって更に蒸留精製した場合には、混入しているイオン性溶解物質などの不純物を確実に除去でき、回収されるVOCの品質を一層向上することが出来る。
次に、前記の膜分離装置(6)に使用する分離膜について説明する。本発明においては、無機多孔質支持体表面にゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体から成り、ゼオライトのSiO/Alモル比が5以上である多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を使用する。
先ず、本発明で使用する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を構成する各成分について、具体的に説明する。なお、以下の説明において、「無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体」を単に「ゼオライト膜複合体」ということがある。
本発明において用いられる無機多孔質支持体としては、表面にゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば特に制限されるものではない。たとえばシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属や、ガラス、カーボン成型体などが挙げられる。
無機多孔質支持体の中でも、基本的成分あるいはその大部分が無機の非金属物質から構成されている固体材料であるセラミックスを焼結したものを含む多孔質の支持体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果があるために特に好ましい。
具体的にはシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、無機多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、無機多孔質支持体とゼオライト、特にCHA型ゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
本発明において用いられる無機多孔質支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に分離できるものであれば制限されるものではなく、具体的には平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられ、いずれの形状のものでも良い。
本発明において用いられる無機多孔質支持体は、その表面(以下「無機多孔質支持体表面」ともいう。)においてゼオライトを結晶化させる。
前記無機多孔質支持体表面が有する平均細孔径は特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
また無機多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて表面をやすり等で研磨してもよい。
なお、無機多孔質支持体表面とは例えばゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であっても良い。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
また、本発明において用いられる無機多孔質支持体の、無機多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではなく、また特に制御される必要は無い。
多孔質支持体の気孔率は通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。無機多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では無機多孔質支持体の強度が低下する傾向がある。
次に、SiO/Alモル比が5以上であるゼオライト結晶について説明する。SiO/Alモル比は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上である。上限としては通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。SiO/Alモル比が前記下限未満では耐久性が低下する傾向があり、前記上限を超過すると疎水性が強すぎるため、透過流束が小さくなる傾向がある。SiO/Alモル比は、後述する水熱合成の反応条件により調整できる。
なお、本発明におけるSiO/Alモル比は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)により得られた数値である。数ミクロンの膜のみの情報を得るために通常はX線の加速電圧を10kVで測定する。
本発明におけるゼオライト膜を構成する主たるゼオライトのフレームワーク密度は、特に制限するものではないが、通常17T/1000Å以下、好ましくは16T/1000Å以下、特に好ましくは15.5T/1000Å以下、最も好ましくは、15T/1000Å以下である。
フレームワーク密度とは、ゼオライトの1000Åあたりの酸素以外の骨格を構成するT元素の数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトとの構造の関係は、ATLASOF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
本発明におけるゼオライト膜を構成する主たるゼオライトは、通常、酸素6−10員環構造を有するゼオライトを含み、好ましくは酸素6−8員環構造を有するゼオライトを含む。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
酸素6−10員環構造を有するゼオライトの一例を挙げれば、AEI、AEL、AFG、ANA、BRE、CAS、CDO、CHA、DAC、DDR、DOH、EAB、EPI、ESV、EUO、FAR、FRA、FER、GIS、GIU、GOO、HEU、IMF、ITE、ITH、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、MEP、MER、MEL、MFI、MFS、MON、MSO、MTF、MTN、MTT、MWW、NAT、NES、NON、PAU、PHI、RHO、RRO、RTE、RTH、RUT、SGT、SOD、STF、STI、STT、TER、TOL、TON、TSC、TUN、UFI、VNI、VSV、WEI、YUG等がある。
好ましい酸素6−8員環構造を有するゼオライトの一例を挙げれば、AEI、AFG、ANA、CHA、EAB、ERI、ESV、FAR、FRA、GIS、ITE、KFI、LEV、LIO、LOS、LTN、MAR、PAU、RHO、RTH、SOD、STI、TOL、UFI等がある。
酸素n員環構造はゼオライトの細孔のサイズを決定するものであり、6員環よりも小さいゼオライトではHO分子のKinetic半径よりも細孔径が小さくなるため透過流束が小さくなり実用的でない。また、酸素10員環構造よりも大きい場合は細孔径が大きくなり、サイズの小さな有機物では分離性能が低下するため、用途が限定的になる。
前記の中でゼオライトの構造としては、上記したSiO/Alモル比を持つものが好ましく、より好ましくは、AEI、CHA、KFI、PAU、RHO、RTH、UFIであり、さらに好ましくは、CHA、LEV、UFIであり、最も好ましくはCHAである。また、ゼオライトとしては、アルミノケイ酸塩であることが好ましい。
次に、CHA型ゼオライトについて説明する。本発明において好適に用いられるCHA型ゼオライトとは、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードでCHA構造のものを示す。天然に産出するチャバサイトと同等の結晶構造を有するゼオライトである。CHA型ゼオライトは3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造をとり、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。
本発明において用いられるCHA型ゼオライトのフレームワーク密度は、14.5T/1000Åである。
本発明において、ゼオライト膜は、ゼオライトが単独で膜となったものでも、前記ゼオライトの粉末をポリマーなどのバインダー中に分散させて膜の形状にしたものでも、各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体でもよい。
それらの中で、後で詳述する多孔質支持体上に前記ゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体が特に好ましい。該ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、全て無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れるためである。
膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じ含んでいてもよい。
本発明におけるゼオライト膜は、一部アモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。好ましくはCHA型のゼオライトを主成分とするゼオライト膜であり、一部、モルデナイト型、MFI型などの他の構造のゼオライトが含まれていても、アモルファス成分などが含有されていてもよく、より好ましくは、実質的にCHA型のゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
本発明において用いられるゼオライト膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常、0.1μm以上であり、好ましくは0.6μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上である。また通常100μm以下であり、好ましくは60μm以下、さらに好ましくは20μm以下の範囲である。膜厚が大きすぎると透過量が低下する傾向があり、小さすぎると選択性や膜強度が低下する傾向がある。
本発明におけるゼオライト膜を形成するゼオライトの粒子径は特に限定されるものではないが、小さすぎると粒界が大きくなるなどして透過選択性などを低下させる傾向があることから、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、上限は膜の厚さ以下である。さらに好ましくはゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じである場合である。ゼオライトの粒子径が膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなるためである。水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径と膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。
本発明において、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体とは、無機多孔質支持体の表面にゼオライトが膜状に固着しているものであり、ゼオライトの一部が無機多孔質支持体の内部にまで固着している状態のものが好ましい。
このようなゼオライト膜複合体を形成するためには、無機多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させて形成させる方法、無機多孔質支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなどで固着させる方法、ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、ゼオライトのスラリーを無機多孔質支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼオライトを無機多孔質支持体に固着させる方法などがある。
本発明において好ましい様態は、無機多孔質支持体表面にゼオライトを膜状に結晶化させたものである。
具体的には無機多孔質支持体表面に例えばCHA型ゼオライトを膜状に結晶化させたものであり、通常は水熱合成により、膜状に結晶化させたものである。
本発明において用いられるゼオライト膜の無機多孔質支持体上の位置は特に限定されるものではないが、管状無機多孔質支持体を用いる場合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面につけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけてもよい。また、無機多孔質支持体の表面に積層させてもよいし、多孔質支持体の表面の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分離性を向上することになる。
本発明の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、X線回折のパターンにおいて2θ=17.9°付近のピークの強度が2θ=20.8°付近のピークの強度の0.5倍以上の大きさであることが好ましい。
ここでいうピークの強度とは測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比でいえば、望ましくは0.5以上、好ましくは1以上、さらに好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上である。上限は特に限定はないが、通常は1000以下である。
本発明の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、ゼオライト膜がCHA型ゼオライトを含む場合、X線回折のパターンにおいて2θ=9.6°付近のピークの強度が2θ=20.8°付近のピークの強度の4倍以上の大きさであることが好ましい。
(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比でいえば、望ましくは4以上、好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上、特に好ましくは10以上である。上限は特に限定はないが、通常は1000以下である。
ここでいう、X線回折パターンとはゼオライトが主として付着している側の表面にCuKαを線源とするX線を照射して、走査軸をθ/2θとして得るものである。測定するサンプルの形状としては、膜複合体のゼオライトが主として付着している側の表面にX線が照射できるような形状なら何でもよく、膜複合体の特徴をよく表すものとして、作成した膜複合体そのままのもの、あるいは装置によって制約される適切な大きさに切断したものが好ましい。
ここでいうX線回折パターンは、膜複合体の表面が曲面である場合には自動可変スリットを用いて照射幅を固定して測定してもかまわない。自動可変スリットを用いた場合のX線回折パターンとは、可変→固定スリット補正を実施したパターンを指す。
ここでいう2θ=17.9°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち17.9°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指し、2θ=20.8°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち20.8°±0.6°の範囲に存在するピークで最大のものを指す。
また2θ=9.6°付近のピークとは基材に由来しないピークのうち9.6°±0.6°の範囲に存在するピークのうち最大のものを指す。
X線回折パターンで2θ=9.6°付近のピークはCOLLECTIONOF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedralsettingで空間群を
Figure 2012045462
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,0,0)の面に由来するピークである。
またX線回折パターンで2θ=17.9°付近のピークはCOLLECTIONOF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedralsettingで空間群を
Figure 2012045462
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,1,1)の面に由来するピークである。
X線回折パターンで2θ=20.8°付近のピークはCOLLECTIONOF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによればrhombohedralsettingで空間群を
Figure 2012045462
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(2,0,−1)の面に由来するピークである。
(1,0,0)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比は、COLLECTION OF SIMULATEDXRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによれば2.5である。そのためこの比が4以上であるということは例えば、CHA構造をrhombohedralsettingとした場合の(1,0,0)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
(1,1,1)面由来のピークの強度と(2,0,−1)の面に由来のピーク強度の典型的な比はCOLLECTION OF SIMULATEDXRD POWDER PATTERNS FOR ZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERによれば0.3である。そのためこの比が0.5以上であるということは例えば、CHA構造をrhombohedralsettingとした場合の(1,1,1)面が膜複合体の表面と平行に近い向きになるようにゼオライト結晶が配向して成長していることを意味すると考えられる。ゼオライト膜複合体においてゼオライト結晶が配向して成長することは分離性能の高い緻密な膜が出来るという点で有利である。
次に、ゼオライト膜の製造方法について説明する。ゼオライト膜の製造方法は、ゼオライトを含む膜が形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、(1)多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる方法、(2)多孔質支持体にゼオライトを無機バインダー、あるいは有機バインダーなどで固着させる方法、(3)ゼオライトを分散させたポリマーを固着させる方法、(4)ゼオライトのスラリーを多孔質支持体に含浸させ、場合によっては吸引させることによりゼオライトを多孔質支持体に固着させる方法などの何れの方法も用いることができる。
これらの中で、多孔質支持体にゼオライトを膜状に結晶化させる方法が特に好ましい。このうち無機多孔質支持体を、ゼオライト製造に用いる反応混合物中に入れて、直接水熱合成することで無機多孔質支持体表面にゼオライトを結晶化させる方法が好ましい。
具体的に好ましい方法として、無機多孔質支持体表面にゼオライトを膜状に結晶化させる方法としては、組成を調整して均一化した水性反応混合物を、無機多孔質支持体を内部に緩やかに固定した、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器に入れて密閉して加熱する。
前記反応混合物の例としてはSi元素源、Al元素源、(必要に応じて)有機テンプレート、および水を含み、さらに必要に応じアルカリ源を加えるのが好ましい。
前記反応混合物に用いるSi元素源、Al元素源は特に限定されるものではない。Si元素源としては無定形シリカ、コロイダルシリカ、シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、無定形アルミのシリケートゲル、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリメチルエトキシシラン等のいずれでも用いることができる。Al元素源としてはアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、無定形アルミノシリケートゲル等のいずれでも用いることができる。
なお、Al元素以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
本発明におけるゼオライトの製造において、必要に応じて有機テンプレート(構造規定剤)を用いることができ、有機テンプレートを用いて合成したものが好ましい。有機テンプレートを用いて合成する方が結晶化したゼオライトのアルミニウム原子に対するケイ素原子の割合が高くなり、耐酸性が向上するためである。有機テンプレートとしては、所望のゼオライト膜を形成しうるものであれば種類は問わず、特に限定されるものではない。
またテンプレートは1種類使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。CHA型の場合について説明すると、USP4544538号公報、US2008/0075656A1号公報記載の有機テンプレートを好適に組み合わせて使用してもよい。具体的には、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオン、3−キナクリジナールから誘導されるカチオン、3−exo−アミノノルボルネンから誘導されるカチオン、等の脂環式アミンから誘導されるカチオンであり、1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンがより好ましい。1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンを有機テンプレートとしたとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトが結晶化する。また、膜が水を選択的に透過するのに十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成しうるほか耐酸性に優れたCHA型ゼオライトが得られる。
1−アダマンタンアミンから誘導されるカチオンのうち、N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンがさらに好ましい。N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンの場合の3つのアルキル基は、3つの独立したアルキル基であり、通常低級アルキル基であり、好ましくはメチル基である。具体的に好ましいものは、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンである。このようなカチオンはCHA型ゼオライトの形成に害を及ぼさないアニオンを伴う。このようなアニオンを代表するものには、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、およびカルボン酸塩が含まれる。水酸化物イオンは特に好適に用いられる。またその他の有機テンプレートとしてはN,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンも用いることができる。この場合もアルキルは3つの独立したアルキルであり、通常低級アルキルである。好ましくはメチルである。最も好ましいのは、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。
前記反応混合物に用いるアルカリ源としては有機テンプレートのカウンターアニオンの水酸化物イオンやNaOH、KOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)などのアルカリ土類金属水酸化物などを用いることができる。
アルカリの種類は特に限定されるものではないが、通常Na、K、Li、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr、Baであり、好ましくはNa、Kであり、より好ましくはKである。アルカリは2種類以上を併用してもよく、具体的にはNaとKを併用するのが好ましい。
反応混合物中のSi元素源とAl元素源の比は通常、それぞれの元素の酸化物のモル比、SiO/Alモル比(以下単にSiO/Al比ということがある。)として表わす。SiO/Al比は、5以上であり、好ましくは8以上であることがCHA型ゼオライト膜が緻密に生成しうる点で好ましく、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上が好ましい。また通常10000以下であり、好ましくは1000以下であり、より好ましくは300以下であり、更に好ましくは100以下である。
SiO/Al比がこの範囲内にあるときCHA型ゼオライト膜が緻密に生成しうるため好ましく、更に生成したCHA型ゼオライトが強い親水性を示し、有機物を含有する混合物中から親水性の化合物、特に水を選択的に透過することができる点で好ましい。また耐酸性に強く脱AlしにくいCHA型ゼオライトが得られる。なお、Al以外に他の元素、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素を含んでいてもかまわない。
SiO/Al比がこの範囲にあるとき、緻密な膜を形成しうるCHA型ゼオライトが結晶化するので好ましい。また、膜が水を選択的に透過するのに十分な親水性を有するCHA型ゼオライトが生成しうるほか耐酸性に優れたCHA型ゼオライトが得られる点で好ましい。
反応混合物中のシリカ源と有機テンプレートの比は、SiOに対する有機テンプレートのモル比(有機テンプレート/SiO比)として、通常0.005以上1以下であり、好ましくは0.01以上0.4以下、さらに好ましくは0.02以上0.2以下である。この範囲にあるとき緻密なCHA型ゼオライト膜が生成しうることに加えて生成したCHA型ゼオライトが耐酸性に強くAlが脱離しにくい。
Si元素源とアルカリ源の比は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属をMであらわし、その価数をn(1または2)であらわすと、M(2/n)O/SiOのモル比として、通常0.02以上0.5以下であり、好ましくは0.04以上0.4以下、さらに好ましくは0.05以上0.3以下である。
また、アルカリ金属の中でKが含まれる場合がより緻密で結晶性の高い膜を生成させるという点で好ましい。その場合のKと、Kを含むすべてのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属とのモル比は、通常0.01−1、好ましくは0.1−1、さらに好ましくは0.3−1である。また、Kの添加は、rhombohedralsettingで空間群を
Figure 2012045462
(No.166)とした時にCHA構造において指数が(1,0,0)の面に由来するピークである2θ=9.6°付近のピーク強度、または(1,1,1)の面に由来するピークである2θ=17.9°付近のピーク強度と、(2,0,−1)の面に由来するピークである2θ=20.8°付近のピーク強度の比を大きくする傾向がある。
Si元素源と水の比は、SiOに対する水のモル比として、通常10以上1000以下であり、好ましくは30以上500以下、さらに好ましくは40以上200以下、特に好ましくは50以上150以下である。反応混合物中の物質のモル比がこれらの範囲にあるとき、緻密なCHA型ゼオライト膜が生成しうる。水の量は緻密なCHA型ゼオライト膜の生成においてとくに重要であり、粉末合成法の一般的な条件よりも水がシリカに対して多い条件のほうが細かい結晶が生成して緻密な膜ができやすい傾向にある。粉末のCHA型ゼオライトを合成する際の水の量は、一般的にはHO/SiOモル比として通常15−50程度であるが、HO/SiOモル比が高い、水が多い条件にすることが好ましく、具体的に好ましくは50以上150以下といった条件下であると、無機多孔質支持体表面にCHA型ゼオライトが緻密な膜状に結晶化し分離性能の高い膜複合体が得られる点で好ましい。
次に、複合体の製造方法について説明する。支持体表面に、気体や液体混合物の分離に適用可能な緻密で、かつ十分な透過流量が達成できるような膜状のCHA型ゼオライトを結晶化させるには、単に上記の文献をそのまま適用するだけでは不十分であり、これらの方法から膜状にする条件を種々検討する必要がある。
本発明における無機多孔質支持体表面に膜状にCHA型ゼオライトを結晶化させる際に、種結晶が存在しなくてもかまわないが、反応系内に種結晶を加えることでCHA型ゼオライトの結晶化を促進できるという点で好ましい。種結晶を加える方法としては特に限定されるものではないが、粉末のCHA型ゼオライトの合成時のように反応混合物中に種結晶を加える方法や、無機多孔質支持体表面上に種結晶を付着させておく方法が可能であり、膜複合体の製造方法として無機多孔質支持体表面上に種結晶を付着させておくことが好ましい。支持体表面上に予め種結晶を付着させておくことで緻密で分離性能良好なゼオライト膜が生成しやすくなる。
本発明において使用する種結晶は、結晶化を促進するゼオライトであれば種類は問わないが、効率よく結晶化させるためにはCHA型ゼオライトであることが好ましい。種結晶として用いられるCHA型ゼオライトは特に限定されるものではないが、その粒子径は小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。通常、0.5nm以上であり、好ましくは1nm以上であり、通常20μm以下であり、好ましくは15nm以下、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下である。
本発明における無機多孔質支持体上に種結晶を付着させる方法は特に限定されるものではないが、種結晶を水などの溶媒に分散させてその分散液に支持体を浸けて表面に種結晶を付着させるディップ法や、種結晶を水などの溶媒と混合してスラリー状にしたものを無機多孔質支持体表面上に塗りこむ方法などがある。種結晶の付着量を制御し、再現性良く膜複合体を製造するにはディップ法が望ましい。
本発明において種結晶を分散させる溶媒は、特に限定されるものではないが、水が好ましい。分散させる種結晶の量は、特に限定されるものではないが、分散液の全重量に対して通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上が好ましく、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。分散させる種結晶の量が少なすぎると無機多孔質支持体上に付着する種結晶の量が少ないため、水熱合成時に支持体表面に部分的にCHA型ゼオライトが生成しない箇所ができることがあり欠陥のある膜となる可能性がある。分散液中の種結晶の量が多すぎるとディップ法によって無機多孔質支持体表面上付着する種結晶の量はほぼ一定となるため、分散させる種結晶の量が多すぎると種結晶の無駄が多くなりコスト面で不利である。
本発明における無機多孔質支持体はディップ法あるいはスラリーの塗りこみによって種結晶を付着させた後、乾燥した後に膜の合成を行うことが望ましい。
支持体表面上に予め付着させておく種結晶の重量は、特に限定されるものではないが、基材1mあたりの重量として、通常、0.01g以上、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、通常100g以下であり、好ましくは50g以下であり、より好ましくは10g以下であり更に好ましくは8g以下である。種結晶の量が前記下限未満の場合には結晶ができにくくなり、膜の成長が不十分になる場合や、膜の成長が不均一になったりする傾向があるために緻密な膜が生成しにくくなることがある。また種結晶の量が前記上限超過の場合には、表面の凹凸が種結晶によって増長されたり、支持体表面から落ちた種結晶によって自発核が成長しやすくなって支持体上の膜成長が阻害されたりする場合があり、緻密な膜が生成しにくくなることがある。
水熱合成により結晶化させる場合、無機多孔質支持体を固定化するに際しては、縦置き、横置きなどあらゆる形態をとることができる。この場合、静置法で結晶化させてもよいし、反応混合物を攪拌させて結晶化させてもかまわない。
ゼオライトを結晶化させる際の温度は、特に限定されるものではないが、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、通常200℃以下であり、好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。反応温度が低すぎる場合、CHA型ゼオライトが結晶化し難くなることがある。反応温度がこの範囲より高すぎる場合はCHA型とは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなる。
加熱時間は、特に限定されるものではないが、通常1時間以上であり、好ましくは5時間以上、更に好ましくは10時間以上であり、通常は10日間以下であり、好ましくは5日以下、より好ましくは3日以下、さらに好ましくは2日以下である。反応時間が短すぎる場合はCHA型ゼオライトが結晶化し難くなることがある。反応時間が長すぎる場合はCHA型とは異なるタイプのゼオライトが生成し易くなることがある。
結晶化時の圧力は特に限定されるものではないが、密閉容器中に入れた反応混合物をこの温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分であるが、窒素などの不活性ガスを加えてもかまわない。
水熱合成により得られたゼオライト膜複合体は、水洗した後に、加熱処理して、乾燥させる。ここで、加熱処理とは、熱をかけてゼオライト膜複合体を乾燥又はテンプレートを使用した場合にテンプレートを焼成することを意味する。
加熱処理の温度は、乾燥を目的とする場合は通常50℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。加熱処理の温度はテンプレートの焼成を目的とする場合通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である
加熱時間は、ゼオライト膜が十分に乾燥、またはテンプレートが焼成する時間であれば特に限定されず、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。上限は特に限定されず、通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内である。
水熱合成を有機テンプレートの存在下で行った場合、得られたゼオライト膜複合体を、水洗した後に、例えば、加熱処理や抽出などにより、好ましくは加熱処理、すなわち焼成により有機テンプレートを取り除くことが適当である。
焼成温度は通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは430℃以上、更に好ましくは480℃以上であり、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下、特に好ましくは750℃以下である。焼成温度が低すぎる場合には有機テンプレートが残っている割合が多くなる傾向があり、ゼオライトの細孔が少なく、そのために分離濃縮の際の透過流束が減少する可能性があり好ましくない。焼成温度が高すぎる場合には支持体とゼオライトの熱膨張率の差が大きくなるためゼオライト膜に亀裂が生じやすくなる可能性があり、ゼオライト膜の緻密性が失われ分離性能が低くなりやすくなることがある。
焼成時間は、昇温速度や降温速度により変動するが、有機テンプレートが十分に取り除かれれば特に限定されるものではないが、1時間以上が好ましく、さらに好ましくは5時間以上である。上限は特に限定されるものではないが、例えば通常200時間以内、好ましくは150時間以内、より好ましくは100時間以内、最も好ましくは24時間以内である。焼成は空気雰囲気で行われることが一般的であるが、酸素が含まれる雰囲気で行うことができる。
焼成の際の昇温速度は、支持体とゼオライトの熱膨張率の差がゼオライト膜に亀裂を生じさせることを少なくするために、なるべく遅くすることが望ましい。通常、5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。また、焼成後の降温速度もゼオライト膜に亀裂が生じることを避けるためにコントロールする必要がある。昇温速度と同様、遅ければ遅いほど望ましい。通常、5℃/分以下、好ましくは2℃/分以下、さらに好ましくは1℃/分以下、特に好ましくは0.5℃/分以下である。通常、作業性を考慮し0.1℃/分以上である。
無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を必要に応じてイオン交換しても良い。イオン交換はテンプレートを用いて合成した場合は通常、焼成などのテンプレートを除去した後に行う。イオン交換するイオンとしてはプロトン、およびNa、K、Liなどのアルカリ金属イオン、およびCa2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+などのアルカリ土類金属イオン、Fe、Cu、Znなどの遷移金属のイオンなどがあげられる。この中でプロトン、およびNa、K、Liなどのアルカリ金属イオンが好ましい。
イオン交換の方法としては、焼成後(テンプレートを使用した場合など)の無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体をNHNO、NaNOなどアンモニウム塩あるいは交換するイオンを含む水溶液、場合によっては塩酸などの酸で通常、室温から100℃の温度で処理後、水洗し、必要に応じて200℃−500℃で焼成する。
本発明で使用するゼオライト膜複合体の形状は特に限定されるものでなく、管状、中空糸状、モノリス型、ハニカム型などあらゆる形状を採用できる。また大きさも特に限定されないが、例えば、管状の場合は、通常長さ2cm以上200cm以下、内径0.5cm以上から2cm以下、厚さ0.5mm以上から4mm以下が実用的で好ましい。
次に、参考のため、本発明で使用する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体の分離・濃縮機能の全般について説明する。この機能は、ゼオライト膜を備えた無機多孔質支持体を介し支持体側又はゼオライト膜側の一方の側に有機物を含む気体または液体の混合物を接触させ、その逆側を混合物が接触している側よりも低い圧力とすることによって混合物からゼオライト膜に透過性がある物質(混合物中の透過性が高い物質)を選択的に透過させる機能である。これにより、混合物から透過性の高い物質を分離することができる。そしてその結果、有機物を含む混合物中の特定の有機物(混合物中の透過性が低い物質)の濃度を高めることで、特定の有機物を分離回収、あるいは濃縮する方法である。具体的に言えば、水と有機物の混合物の場合、通常水がゼオライト膜に対する透過性が高いので、混合物から水と有機物とが分離され、有機物は元の混合物中で濃縮される。前述のパーベーパレーション、ベーパーパーミエーションと呼ばれる分離・濃縮方法はひとつの形態である。
本発明で使用するゼオライト膜複合体の分離機能の一つは、分子ふるいとしての分離であり、CHA型ゼオライトの場合その有効細孔径3.8Å以上の大きさを有する気体分子または液体分子とそれ以下の気体または液体分子との分離に好適に使用される。なお分離に供される分子に上限はないが、分子の大きさは通常、100Å以下程度である。
また、本発明で使用するゼオライト膜複合体のもう一つの分離機能は親水性の差を利用した分離である。ゼオライトの種類にもよるが、一般にはゼオライト骨格中Alが一定量含有されることにより、親水的性質が現れる。ゼオライト膜の結晶化条件を制御すれば結晶中のSiO/Alモル比を制御することは可能である。このような親水性膜を用いれば有機物と水の混合溶液から水分子を選択的に膜透過させることにより有機物を分離、濃縮することができる。すなわち、有機酸類/水、アルコール類/水、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類/水、アルデヒド類/水、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類/水、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドなどの窒素を含む有機化合物(N含有有機物)/水、酢酸エステル等のエステル類/水等の、有機物と水の混合水溶液から水を選択的に透過して有機物を分離、濃縮することができる。この場合に有機物と水との混合物における水の含有量はとくに制限は無く、A型ゼオライトでは構造が壊れてしまう高い水含有量、例えば20重量%以上の水含有量の混合物においても構造が壊れることなく高い選択率と透過量を実現することができる。
また、有機酸/水以外の系においても、有機酸や無機酸が存在していても耐酸性が高いので使用することができる。
本発明は、前記の分離・濃縮機能の中の、有機溶剤−酸−水混合物の系についての分離・濃縮機能を活用したものである。
このように、本発明のゼオライト膜複合体は、高い水含有量の有機物との混合物からの分離や、酸性条件での分離においても高い選択率と透過量が実現できる。そのため通常蒸留で分離している混合物を本発明のゼオライト膜複合体を用いて分離することにより、蒸留に比べて分離に必要なエネルギーを小さくすることができる。本発明のゼオライト膜複合体は、広い範囲の水含有量の混合物からの分離が可能であるので、これまでできなかった系においても分離が可能となる。例えば、これまでA型のゼオライト膜では、高い水含有量の有機物との混合物からの分離ができなかったので、蒸留により90%程度まで有機物を濃縮してからA型ゼオライト膜を使用する必要があった。しかし、本発明のゼオライト膜複合体を用いれば、例えば50%以上の高い水含有量の有機物との混合物からであっても水と有機物を分離し、有機物を濃縮することができる。
以下、参考例および実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
・X線回折(XRD)の測定方法
XRD測定は以下の条件に基づきおこなった。
装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit (Valiable Slit)
試料台:XYZステージ
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
SollerSlit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:240mm
測定条件 X線出力(CuKα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):5.0−70.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.05°
計数時間:99.7sec
自動可変スリット(Automatic−DS):1mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
なお、X線は円筒管の軸方向に対して垂直な方向に照射した。またX線は、できるだけノイズ等がはいらないように、試料台においた円筒管状の膜複合体と、試料台表面と平行な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面ではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
・SEM−EDXの測定方法
装置:
SEM:FE−SEM Hitachi:S−4800
EDX:EDAX Genesis
加速電圧:10kV
倍率5000倍での視野全面(25μm×18μm)を走査し、X線定量分析を行った。
参考例1:
CHA型ゼオライト膜の作成のために、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液をUSP4544538の記載を参考に調製した。以下に例を示す。
5.5gの1−アダマンタンアミン(アルドリッチ社製)を75mlのメタノールに溶解し、24.2gの炭酸カリウムを加え、30分攪拌した。これに、10mlのヨードメタンを滴下させ、1昼夜攪拌した。その後塩化メチレンを50ml加えて固体をろ過した。得られた溶液の溶媒をエバポレーターにより除去して固体を得た。この固体に塩化メチレン130ml加えてろ過、溶媒の除去を2回繰り返した。その後、得られた固体をメタノールを用いて再結晶を行い、再結晶された固体をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、乾燥してN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヨーダイド(TMADI)を得た。その後このTMADIを水に溶解させ、アニオン交換樹脂(三菱化学社製 SA−10A)によりイオン交換し、エバポレーターで濃縮し、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド水溶液を得た。滴定により、この水溶液中のN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシドの濃度は0.75mmol/gであった。また、この水溶液中に含まれるK量は1.84重量%であった。
無機多孔質支持体−(CHA型)ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液6.9gと水103.6gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.43gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、上記のN,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液9.2gを加え(この溶液中にKとして0.17g含有している。)、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.4gを加えて3時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては(株)ニッカトー製のムライトチューブPM(外径12mm、内径9mm)を80mmの長さに切断した後、外表面を耐水性紙やすりを用いて滑らかにして、超音波洗浄機で洗浄したのち乾燥させたものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、ディップ法で上記の方法と同様の方法によりSiO/Al/NaOH/HO/TMADAOH=1/0.033/0.1/40/0.1のゲル組成で160℃、2日間水熱合成して結晶化させた0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。
この種結晶を約1重量%水中に分散させたものに支持体を所定時間浸した後、100℃で5時間以上乾燥させて種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約3g/mであった。この種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で5時間以上乾燥させた。乾燥後、テンプレート焼成前のゼオライト(以下as−madeということがある)の状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・分)であった。
テンプレート焼成前のゼオライト(as−made)の膜複合体を電気炉で550℃、10時間焼成した。このときの昇温速度と降温速度はともに0.5℃/分とした。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/mであった。SEM観察から膜厚は約15μmであった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRD測定は前記の条件によりおこなった。また照射幅を自動可変スリットによって1mmに固定して測定し、MaterialsData, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変スリット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=2.9であり、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
また短冊状に切断した無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体をSEMで観測した結果、表面に結晶が緻密に生成していた。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、22であった。
参考例2:
無機多孔質支持体CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.95gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、参考例1と同様に粒径0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約5g/mであった。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で5時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・min)であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/mであった。SEM観察から膜厚は約15μmであった。
生成したゼオライト膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRD測定は参考例1と同様に行った。生成した膜のXRDと種結晶として使用した粉末のCHA型ゼオライト(USP4544538号公報においてSSZ−13と一般に呼称されるゼオライト、以下SSZ−13として表わす。)であるSSZ−13のXRDの比較を図3に示す。図3において、a)は参考例2の膜の、b)はSSZ−13のXRDを示す。また、図中の*は支持体由来のピークである。生成した膜のXRDでは、粉末のCHA型ゼオライトであるSSZ−13のXRDにくらべ2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きいことがわかる。粉末のCHA型ゼオライトであるSSZ−13の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.2に対し、生成した膜の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=12.6であり、rhombohedral settingにおける(1,1,1)面への配向が推測された。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、17であった。
参考例3:
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液10.5gと1mol/L−KOH水溶液7.0gと水100.4gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.88gを加えて撹拌し溶解させ、透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.37gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)10.5gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、参考例1と同様に粒径2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約2g/mであった。種結晶に用いた粒径2μm程度のCHA型ゼオライトは、セイケム社の25重量%N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液を用いて、SiO/Al/NaOH/KOH/HO/TMADAOH=1/0.066/0.15/0.1/100/0.1のゲル組成で160℃、2日間水熱合成をして結晶化させたものをろ過、水洗、乾燥したものである。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で5時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/ (m・min)であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は130g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRD測定は参考例1と同様に行った。生成した膜のXRDの結果から、2θ=17.9°付近のピークの強度が顕著に大きいことがわかる。生成した膜の(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.0であった。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、20であった。
参考例4:
無機多孔質支持体として多孔質アルミナチューブ(外径12mm、内径9mm)を用いた以外は、参考例3と同様に行って、無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作成した。
生成したCHA型ゼオライト膜のXRDの結果から、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.2であった。また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、17であった。
参考例5:
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液32gと1mol/L−KOH水溶液48gと水457gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)4.0gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)13.5gを加え、さらにコロイダルシリカ (日産化学社製 スノーテック−40)48gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、粒径2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた以外は参考例1と同様の処理を行った。付着した種結晶の重量は約5g/mであった。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してこのテフロン(登録商標)製内筒を1Lのステンレス製オートクレーブに入れ、オートクレーブを密閉し昇温に5時間をかけたのち、160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。反応の間、200rpmで回転する撹拌翼によって反応混合物を混合した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で4時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・min)であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は120g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRD測定は参考例1と同様に行った。生成した膜のXRDを図4に示す。図中の*は支持体由来のピークである。
生成した膜のXRDでは粉末のCHA型ゼオライトであるSSZ−13のXRDにくらべ2θ=9.6°付近のピークの強度が顕著に大きいことがわかる。生成した膜の(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=6.8とCOLLECTION OF SIMULATED XRD POWDER PATTERNS FORZEOLITE Third Revised Edition 1996 ELSEVIERに記載の粉末のCHAのXRDの比((2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=2.5にくらべ著しく大きく、rhombohedral settingにおける(1,0,0)面への配向が推測された。また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、17であった。
参考例6:
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−NaOH水溶液30.1gと水66.0gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)0.057gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)12.7gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)23.6gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、参考例1と同様に0.5μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約3g/mであった。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し160℃で48時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で4時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・min)であった。テンプレート焼成前のゼオライトの膜複合体を電気炉で500℃、5時間焼成した。焼成後の膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は100g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところCHA型ゼオライトが生成していることがわかった。XRD測定は参考例1と同様に行った。生成した膜のXRDを図5に示す。図中の*は支持体由来のピークである。
生成した膜のXRDにおいて(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=1.7であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.3であった。
このように、生成した膜のXRDピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedral settingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれにも配向していないことが推測される。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定しようとしたが、出発の反応混合物のSiO/Alモル比が500であることからゼオライト膜のSiO/Alモル比も非常に高くなることから、正確な値が得られなかった。ゼオライト膜のSEM−EDXでは通常、SiO/Alモル比の測定限界値が100程度と考えられるため、少なくともこのゼオライト膜のSiO/Alモル比は100以上であると推測される。
参考例1A:
参考例1で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いてパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
パーベーパレーション法には図2に示す装置を使用した。図2においてゼオライト膜複合体(105)は、真空ポンプ(109)によって内側が減圧され、被分離液(104)が接触している外側と圧力差が約1気圧になっている。この圧力差によって被分離液(104)中透過物質の水がゼオライト膜複合体(105)に浸透気化して透過する。透過した物質はトラップ(107)で捕集される。一方、酢酸はゼオライト膜(105)の外側に滞留する。一定時間ごとに被分離液(104)の濃度を測定し、その濃度を用いて各時間の分離係数を算出した。なお、図2中、符号(101)はスターラー、(102)は湯浴、(103)は撹拌子、(106)はピラニゲージ、(108)はコールドトラップを表す。
トラップに捕集した透過液、被分離液の組成分析はガスクロマトグラフによって行った。透過開始から約5時間程度で安定してくるので、約5時間後の透過成績を示す。
透過流束は4.0kg/(m・h)、分離係数は384、透過液中の水の濃度は99.74重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例2A:
参考例2で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.8kg/(m・h)、分離係数は544、透過液中の水の濃度は99.81重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例3A:
参考例2で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により80℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は6.0kg/(m・h)、分離係数は649、透過液中の水の濃度は99.84重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例4A:
参考例2で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(10/90重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.4 kg/(m・h)、分離係数は1411、透過液中の水の濃度は99.33重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例5A:
参考例3で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.6kg/(m・h)、分離係数は230、透過液中の水の濃度は99.57重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例6A:
参考例5で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.6kg/(m・h)、分離係数は64、透過液中の水の濃度は98.46重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例7A:
参考例6で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は0.9kg/(m・h)、分離係数は26、透過液中の水の濃度は96.30重量%であった。測定結果を表1に示す。約3時間で透過流束、分離係数、透過液中の水の濃度が安定したのでこの値は約3時間後の値である。
参考例7:
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した以外は参考例2と同様にして無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を作成した。用いた水熱合成のための反応混合物は、1mol/L−NaOH水溶液12.9gと1mol/L−KOH水溶液8.6gと水92.4gを混合したものに水酸化アルミニウム(Al53.5重量%含有、アルドリッチ社製)1.16gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とし、これに有機テンプレートとして、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムヒドロキシド(TMADAOH)水溶液(TMADAOH25重量%含有、セイケム社製)2.91gを加え、さらにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)12.9gを加えて2時間撹拌して調製した。得られた膜複合体の焼成後の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は150g/mであった。
XRD測定を参考例1と同様に行った。
生成した膜の(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=12.8であった。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Alモル比を測定したところ、15であった。
参考例8A:
参考例7で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例1と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸混合溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。透過流束は4.5kg/(m・h)、分離係数は180、透過液中の水の濃度は99.43重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例8:
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−KOH水溶液126gに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)5.7gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)27gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、参考例1と同様に0.2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約3g/mであった。
この0.2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶は以下のように合成した。触媒化成社製のSiO/Al比が7のY型ゼオライト10gを、KOH5gを水100gに溶かした水溶液に加え、2時間攪拌した。この反応混合物をテフロン(登録商標)製内筒に入れてオートクレーブを密閉し100℃7日間加熱した。その後、放冷し、ろ過、水洗してCHA型ゼオライトを得た。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し140℃で108時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で4時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・min)であった。この膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は50g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDにおいて(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.3であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.1であった。
このように、生成した膜のXRDピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedral settingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれにも配向していないことが推測される。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Al比を測定したところ6であった。
参考例9A:
参考例8で得られた無機多孔質支持体-CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例7と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/酢酸水溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は2.0kg/(m・h)、分離係数は12、透過液中の水の濃度は92.28重量%であった。測定結果を表1に示す。
参考例1B:
参考例4で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール水溶液(30/70重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は7.7kg/(m・h)、分離係数は3000、透過液中の水の濃度は99.92重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例2B:
実施例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて実施例7と同様にパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール溶液(10/90重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は4.0kg/(m・h)、分離係数は36000、透過液中の水の濃度は99.97重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例3B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール溶液(30/70重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.8kg/(m・h)、分離係数は31000、透過液中の水の濃度は99.99重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例4B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により50℃の水/2−プロパノール溶液(30/70重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は2.5kg/(m・h)、分離係数は29000、透過液中の水の濃度は99.99重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例5B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により50℃の水/テトラヒドロフラン溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は3.1kg/(m・h)、分離係数は3100、透過液中の水の濃度は99.97重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例6B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により40℃の水/アセトン溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.6kg/(m・h)、分離係数は14600、透過液中の水の濃度は99.99重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例7B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により70℃の水/N−メチル−2−ピロリドン溶液(50/50重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は5.6kg/(m・h)、分離係数は10300、透過液中の水の濃度は99.95重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例8B:
参考例2と同様にして得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により70℃の水/エタノール溶液(86/14重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は1.3kg/(m・h)、分離係数は500、透過液中の水の濃度は99.99重量%であった。測定結果を表2に示す。
参考例8:
無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体はCHA型ゼオライトを無機多孔質支持体上に直接水熱合成することで作製した。
水熱合成のための反応混合物として、以下のものを調製した。
1mol/L−KOH水溶液126gに水酸化アルミニウム(Al 53.5重量%含有、アルドリッチ社製)5.7gを加えて撹拌し溶解させ、ほぼ透明溶液とした。これにコロイダルシリカ(日産化学社製 スノーテック−40)27gを加えて2時間撹拌し、水熱合成用混合物を調製した。
無機多孔質支持体としては参考例1と同様に処理したものを用いた。支持体上には水熱合成に先立ち、実施例1と同様に0.2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶を付着させた。付着した種結晶の重量は約3g/mであった。
この0.2μm程度のCHA型ゼオライトの種結晶は以下のように合成した。触媒化成社製のSiO/Al比が7のY型ゼオライト10gを、KOH5gを水100gに溶かした水溶液に加え、2時間攪拌した。この反応混合物をテフロン(登録商標)製内筒に入れてオートクレーブを密閉し100℃7日間加熱した。その後、放冷し、ろ過、水洗してCHA型ゼオライトを得た。
参考例1と同様にこの種結晶を付着させた支持体を上記反応混合物の入ったテフロン(登録商標)製内筒に垂直方向に浸漬してオートクレーブを密閉し140℃で108時間、自生圧力下で加熱した。所定時間経過後、放冷した後に支持体−ゼオライト膜複合体を反応混合物から取り出し洗浄後100℃で4時間以上乾燥させた。乾燥後のas−madeの状態で円筒管状の膜複合体の一端を封止し、他の一端を真空ラインに接続することで管内を減圧とし、真空ライン設置した流量計で空気の透過量を測定したところ透過量は0ml/(m・min)であった。この膜複合体の重量と支持体の重量の差から支持体上に結晶化したCHA型ゼオライトの重量は50g/mであった。
生成した膜のXRDを測定したところ、CHA型ゼオライトが生成していることがわかった。生成した膜のXRDにおいて(2θ=9.6°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.3であり、(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)=0.1であった。
このように、生成した膜のXRDピークに特異な強度を示すものはなかった。これから例えば、生成した膜がrhombohedralsettingにおける(1,0,0)面、(1,1,1)面のいずれにも配向していないことが推測される。
また、SEM−EDXにより、ゼオライト膜のSiO/Al比を測定したところ6であった。
参考例9B:
参考例8で得られた無機多孔質支持体−CHA型ゼオライト膜複合体を用いて参考例1Aと同様にパーベーパレーション法により70℃の水/2−プロパノール水溶液(30/70重量%)から水を選択的に透過させる分離を行った。
透過流束は3.9kg/(m・h)、分離係数は21、透過液中の水の濃度は90重量%であった。測定結果を表2に示す。
Figure 2012045462
Figure 2012045462
1 :吸着装置
2 :凝縮器
3 :分離槽
4 :排水貯槽
5 :VOC貯槽
6 :膜分離装置
7 :精製装置
8 :回収VOC貯槽
11〜23:配管
101:スターラー
102:湯浴
103:撹拌子
104:被分離液
105:ゼオライト膜複合体
106:ピラニゲージ
107:透過液捕集用トラップ
108:コールドトラップ
109:真空ポンプ

Claims (9)

  1. 揮発性有機化合物(以下、「VOC」と言う。)が含まれる被処理気体からVOCを回収する回収装置であって、被処理気体中のVOCを吸着剤によって吸着し且つ吸着したVOCを水蒸気または不活性ガスの通気により脱着する吸着装置と、当該吸着装置で脱着したVOCが含まれる脱着ガスを凝縮する凝縮器と、当該凝縮器で凝縮された凝縮液を比重差でVOCを主成分とする被処理液と水に分離する分離槽と、当該分離槽で分離された被処理液を分離膜によって更に水分が含まれる透過液と水分が除去された濃縮液とに分離する膜分離装置とから主に構成されるVOCの回収装置において、膜分離装置の分離膜として無機多孔質支持体表面にゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体から成り、ゼオライト膜がSiO/Alモル比が5以上であるゼオライトを含むことを特徴とする、VOCの回収装置。
  2. 前記膜分離装置で分離された透過液を前記分離槽に返流し、前記膜分離装置で分離された濃縮液を回収する様に構成されている請求項1に記載のVOCの回収装置。
  3. 膜分離装置で分離された濃縮液を蒸留精製する精製装置が設けられている請求項1又は2に記載のVOCの回収装置。
  4. 膜分離装置の分離膜が浸透気化膜である請求項1〜3の何れかに記載のVOCの回収装置。
  5. 無機多孔質支持体がセラミックス焼結体を含み、かつゼオライトがCHA型ゼオライトである請求項1〜4の何れかに記載の酸のVOCの回収装置。
  6. ゼオライト膜がCHA型ゼオライト結晶を含み、かつゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍以上である請求項1〜4の何れかに記載の酸のVOCの回収装置。
  7. ゼオライト膜がCHA型ゼオライト結晶を含み、かつゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=9.6°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の4倍以上である請求項1〜4の何れかに記載の酸のVOCの回収装置。
  8. ゼオライト膜表面にX線を照射して得たX線回折パターンにおいて2θ=17.9°付近のピーク強度が、2θ=20.8°付近のピーク強度の0.5倍以上である請求項1〜4の何れかに記載の酸のVOCの回収装置。
  9. 無機多孔質支持体が、アルミナ、シリカ及びムライトの群から選ばれる少なくとも1種類を含む請求項1−8の何れかに記載の酸のVOCの回収装置。
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