JP2014118377A - 有機化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PSAなど吸着塔から水を脱着し、水の脱着により得られた水−有機化合物の混合液を、特定のゼオライト膜を備えた膜分離装置に供給することで上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
そのため、有機化合物と水の混合物から有機化合物のみを高純度で取り出す方法としては、まず蒸留にて大部分の水分を除去し、その後吸着剤を用いた圧力スイング吸着装置(Pressure Swing Absorption、以下PSAとも略称する。)により残りの水分を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
水−有機化合物混合液を吸着塔に導入し、混合液中の水を除去する吸着工程、及び、前記吸着工程において水を吸着した含水吸着塔に有機化合物を導入して、吸着塔から水を脱着する脱着工程、を有する有機化合物の製造方法であって、
前記脱着工程で得られた水−有機化合物混合液を膜分離装置に導入して混合液中の水と有機化合物を分離する分離工程、を有し、
前記膜分離装置は、無機多孔質支持体表面にSiO2/Al2O3モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜を備えた、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を有する、有機化合物の製造方法。
また、前記吸着塔は複数存在し、少なくとも1つの吸着塔において混合物中の水を除去する吸着工程が実施され、また、少なくとも1つの吸着塔においては吸着工程で得られた有機化合物が導入され脱着工程が実施されることが好ましい。
本発明の実施態様に係る有機化合物の製造方法は、水−有機化合物混合液を吸着塔に導入し、混合液中の水を除去する吸着工程、及び吸着工程において水を吸着した含水吸着塔に有機化合物を導入して、吸着塔から水を脱着する工程、を有する。
有機化合物としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類などの水溶性の有機化合物があげられる。本発明は、水−アルコール混合物からアルコールを製造する方法であることが好ましく、水−エタノール混合物からエタノールを製造する方法であることがより好ましい。
精留塔により有機化合物濃度が濃縮された混合液を吸着工程に導入することで、より純度の高い有機化合物を得ることができる。
有機化合物濃度が低い混合液は、まず精留塔に供給され、ある程度濃縮を行うことが好ましい。有機化合物がエタノールの場合、例えばバイオエタノールなどの純度が高くない含水エタノールは、まず精留塔に供給されることが好ましい。
吸着塔は複数存在することが好ましい。複数存在する場合、少なくとも1つの吸着塔において混合物中の水を除去する吸着工程が実施され、また、少なくとも1つの吸着塔においては吸着工程で得られた有機化合物が導入されることで脱着工程が実施される。吸着塔が1つのみ存在する場合には、一定時間吸着工程を実施した後に吸着塔への混合液の供給を止め、吸着工程で得られた有機化合物を再度吸着塔に供給して脱着工程を行う。
従来、PSAなどを用いた吸着工程において吸着塔が吸収した水は、純度の高い有機化合物を吸着塔に導入することで水−有機化合物の混合液として吸着塔から脱着した後、精留塔などに再供給されることが行われていた。しかしながら、精留塔にて再蒸留する際には、液体を蒸発させるための蒸発熱が大量に必要となり、プロセス全体としてエネルギー的に好ましくない。そのため、吸着塔からの水の脱着で発生した水−有機化合物混合液を、分離膜装置により分離することが可能であればエネルギー的に好ましい。
しかしながら、従来広く用いられているA型ゼオライト分離膜は、例えば20重量%以上の水含有量の混合物を導入すると、その構造が壊れてしまう。そのため、吸着塔から排出される水−有機化合物混合液をそのまま膜分離装置に導入することはできなかった。そのため、特許文献2では、吸着塔に有機化合物をパージガスとして供給することで吸着塔から水の脱着を行い、更に吸着塔からのパージガスを膜分離手段に供給することで膜分離装置による分離を可能としている。
具体的に、本実施態様で用いる膜分離装置は、無機多孔質支持体表面にSiO2/Al2O3モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜を備えた、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を有する。以下、本実施態様で用いる無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体(単に、ゼオライト膜複合体とも称する。)を構成する各成分について説明する。
具体的にはシリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などを含むセラミックス焼結体(セラミックス支持体)が挙げられる。その中でもアルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、無機多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、無機多孔質支持体とゼオライト、特にCHA型ゼオライトの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。
また無機多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて、表面をやすり等で研磨してもよい。
なお、無機多孔質支持体表面とは例えばゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であればそれぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であっても良い。たとえば円筒管の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。
多孔質支持体の気孔率は通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。無機多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限超過では無機多孔質支持体の強度が低下する傾向がある。
ここでいう酸素n員環を有するゼオライトのnの値は、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素で構成される細孔の中で最も酸素の数が大きいものを示す。例えば、MOR型ゼオライトのように酸素12員環と8員環の細孔が存在する場合は、酸素12員環のゼオライトとみなす。
本実施態様において用いられるCHA型ゼオライトのフレームワーク密度は、14.5T/1000Åである。
ゼオライトの粉末をポリマーなどのバインダー中に分散させて膜の形状にしたものでも、各種支持体上にゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体でもよい。
それらの中で、後で詳述する多孔質支持体上に前記ゼオライトを膜状に固着させたゼオライト膜複合体が特に好ましい。該ゼオライト膜複合体は支持体を有することによって機械的な強度が増し、取り扱いが容易になり、種々の装置設計が可能であるほか、全て無機物で構成されるため、耐熱性、耐薬品性に優れるためである。
具体的には、Si元素源、Al元素源、少なくともK(カリウム)を含むアルカリ源、および有機テンプレートを含む水性反応混合物を用いて、水熱合成により、CHA型ゼオライトを有するゼオライト膜を無機多孔質支持体上に形成する方法により製造されたものが好ましい。また、無機多孔質支持体上にCHA型ゼオライトを水熱合成により膜状に結晶化させたものが特に好ましい。
本実施態様において用いられるゼオライト膜の無機多孔質支持体上の位置は特に限定さ
れるものではないが、管状無機多孔質支持体を用いる場合、外表面にゼオライト膜をつけてもよいし、内表面につけてもよく、さらに適用する系によっては両面につけてもよい。また、無機多孔質支持体の表面に積層させてもよいし、多孔質支持体の表面の細孔内を埋めるように結晶化させてもよい。この場合、結晶化した膜層の内部に亀裂や連続した微細孔が無いことが重要であり、いわゆる緻密膜を形成させることが分離性を向上することになる。
ここでいうピークの強度とは測定値からバックグラウンドの値を引いたものをさす。(2θ=17.9°付近のピークの強度)/(2θ=20.8°付近のピークの強度)で表されるピーク強度比でいえば、望ましくは0.5以上、好ましくは1以上、さらに好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上である。上限は特に限定はないが、通常は1000以下である。
なお、Al元素以外に他の元素源、例えばGa、Fe、B、Ti、Zr、Sn、Znなどの元素源を含んでいてもよい。
本実施態様に係る分離工程で得られた有機化合物は、その純度が十分に高い場合にはそのままプロダクツとすることも可能であり、また、純度が十分ではない場合には、吸着塔に再導入することができる。
図1は、本発明の実施態様の一例を示すフローシートである。
図1では、例えばバイオエタノールのようなエタノールと水を含む液体を格納する原液タンク10から、原液を精留塔1に供給し、精留塔1の塔頂から濃縮されたエタノール水を得る(例えばエタノール濃度は91.0wt%)。精留塔1の塔頂液は、蒸発塔2において蒸発させた後に、冷却器6で冷却されてエタノール水となり、該エタノール水は吸着脱水塔3aに供給される。吸着脱水塔3aではエタノール水に含まれる水を除去して高純度のエタノールを得(例えばエタノール濃度は99.5wt%)、製品タンク5へと輸送され、プロダクツとなる。
膜分離装置4に導入されたエタノール水は、高純度のエタノールとして得ることができ(例えばエタノール濃度99.5wt%)、製品タンク5に供給される。
図2では、図1に示すプロセスの変形例であり、膜分離装置4に導入した脱着工程で得られたエタノールが、十分に濃度が高いエタノールとならなかった場合(例えばエタノール濃度90.0wt%)、吸着脱水塔3aに再導入することで、エタノールの純度を更に上げる。
この変形例は、吸着脱水塔3bにおける脱着工程から供給されるエタノール水のエタノール濃度、膜分離設備の分離能、などを勘案し、膜分離装置4に導入した後に得られたエタノールの濃度に応じて採用することができる。
1 精留塔
2 蒸発塔
3a、3b 吸着塔
4 膜分離装置
5 製品タンク
6 熱交換器
7 ポンプ
Claims (5)
- 水−有機化合物混合液を吸着塔に導入し、混合液中の水を除去する吸着工程、及び、前記吸着工程において水を吸着した含水吸着塔に有機化合物を導入して、吸着塔から水を脱着する脱着工程、を有する有機化合物の製造方法であって、
前記脱着工程で得られた水−有機化合物混合液を膜分離装置に導入して混合液中の水と有機化合物を分離する分離工程、を有し、
前記膜分離装置は、無機多孔質支持体表面にSiO2/Al2O3モル比が5以上であるゼオライトを含むゼオライト膜を備えた、無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体を有する、有機化合物の製造方法。 - 前記吸着塔に導入される水−有機化合物混合液は精留塔の塔頂液である、請求項1に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記吸着塔は複数存在し、少なくとも1つの吸着塔において混合物中の水を除去する吸着工程が実施され、また少なくとも1つの吸着塔においては吸着工程で得られた有機化合物が導入され脱着工程が実施される、請求項1または2に記載の有機化合物の製造方法。
- 前記分離工程で得られた有機化合物を前記吸着工程に再導入する、請求項1から3のいずれか1項に記載の、有機化合物の製造方法。
- 前記有機化合物がアルコールである、請求項1から4のいずれか1項に記載の有機化合物の製造方法。
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