JP2008086988A - 含水有機化合物の脱水方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 含水有機化合物を蒸留塔に導き、蒸留塔頂から得られた、濃縮された含水有機化合物蒸気を吸着手段によって、高度に濃縮された有機化合物を取出す含水有機化合物の脱水方法において、前記蒸留塔と吸着手段の間に膜分離手段を介在させ、前記蒸留塔の還流比及び/又は前記膜分離手段における膜面積を可変とすることにより、前記蒸留塔頂で濃縮された含水有機化合物蒸気を所定の割合で膜分離手段ついで吸着手段へ供給し、高度に濃縮された有機化合物蒸気として取出すことを特徴とする、含水有機化合物の脱水方法である。
【選択図】 図1
Description
含水有機化合物を蒸留塔に導き、蒸留塔頂から得られた、濃縮された含水有機化合物蒸気を吸着手段によって、高度に濃縮された有機化合物を取出す含水有機化合物の脱水方法において、
前記蒸留塔と吸着手段の間に膜分離手段を介在させ、前記蒸留塔の還流比及び/又は前記膜分離手段における膜面積を可変とすることにより、前記蒸留塔頂で濃縮された含水有機化合物蒸気を所定の割合で膜分離手段ついで吸着手段へ供給し、高度に濃縮された有機化合物蒸気として取出すことを特徴とする、含水有機化合物の脱水方法である。
9.5%程度まで濃縮された無水エタノールを得るシステムに膜分離手段を加える方法であって、これにより、既存のシステムを大きく改変することなく、低コストで無水エタノール化の処理量を向上させることができる。
前記吸着手段が、含水有機化合物を吸着する吸着剤を有する少なくとも2基の吸着塔からなり、一方の吸着塔に含水有機化合物の蒸気を供給し、含水有機化合物の水分を吸着させる吸着工程と、他方の吸着塔に前記吸着工程で得られた有機化合物の蒸気をパージガスとして供給し、吸着剤に吸着した水分を脱着する脱着工程とを行い、
前記蒸留塔の還流比及び/又は前記膜分離手段における膜面積の可変による含水有機化合物蒸気量に応じて、前記吸着/脱着工程の切替時間を制御することを特徴とする請求項1記載の含水有機化合物の脱水方法である。
請求項4に係る発明は、前記吸着手段の脱着工程から排出されたパージガスを第2の膜分離手段に供給し、高度に濃縮された有機化合物を取り出すことを特徴とする請求項1または2記載の含水有機化合物の脱水方法である。
図7において、まず原液を蒸留塔に供給し、連続還流方式によりある程度濃縮(ここでは濃度91.3%)されたエタノール蒸気が塔頂から発生する。この蒸気をPSAに導き、水分を優先的に吸着させることで、高度に濃縮されたエタノール蒸気(濃度99.5%)を得る。この濃縮エタノール蒸気を冷却凝縮させ製品を得る。尚、水分を吸着する吸着剤を有する2基の塔のうち、既に水を吸着した塔に対しもう一方の塔には、塔頂蒸気の一部(約6.5%分)を供給し、同塔を減圧させて吸着剤の再生が行われている。
実施例1の方法は、水分を多く含んだエタノール水溶液(原液)を蒸留塔に導き、蒸留塔塔頂蒸気より濃縮されたエタノール蒸気を発生させ、さらにこの蒸気を圧力変化で吸着/再生を行うPSAにて濃縮エタノール無水化プロセスにおいて、元々存在する蒸留塔とPSAの間に多孔質層+中間層+ゼオライト膜からなる膜分離手段を付加し、同じ蒸留塔での原料供給を増加させ還流比を低下させても膜分離手段で脱水させることで、PSAには従来以上に濃縮した状態で蒸気を供給し、PSAに供給蒸気量が増加した分は吸着/再生の切替時間を短縮することで、無水エタノール生産量を増加させる方法である。
実施例2の方法は、実施例1における蒸留塔+PSAのエタノール無水化プロセスに膜分離手段を付加するプロセスにおいて、原液供給増加と還流比低減により濃度低下・増量した塔頂蒸気を、膜分離手段で従来PSAに供給していた濃度まで濃縮させ、その濃縮蒸気のうち、従来PSAに導いていた量はそのままPSAに供給しPSAの運転手法を変更しない一方、残りの濃縮蒸気は圧縮機で昇圧したのち、第3膜分離手段でPSAで得られる濃度まで濃縮し、全体として無水エタノール生産量を増加させる方法である。
実施例3の方法は、実施例2における蒸留塔+PSAのエタノール無水化プロセスに膜分離手段を付加するプロセスにおいて、PSAでの吸着/再生の切替時間短縮も考慮し、本システムの最適な運転方法により無水エタノール生産量を増大させる方法である。
実施例4の方法は、実施例1〜3における蒸留塔+PSAのエタノール無水化プロセスに膜分離手段を付加するプロセスにおいて、PSAでの脱着工程に用いたパージガスを凝縮させ、その液を蒸留塔の中段に供給することでエタノールの回収率を増大させる方法である。
実施例5の方法は、実施例1〜3における蒸留塔+PSAのエタノール無水化プロセスに膜分離手段を付加するプロセスにおいて、PSAでの脱着工程に用いたパージガスを第2の膜分離手段に供給することでエタノールの回収率を増大させる方法である。
この例は、本発明には属しないものである。比較例1で示した従来技術(蒸留塔+PSA)において、PSAでの脱着工程に用いたパージガスを第4の膜分離手段に供給することでエタノールの回収率を増大させる方法である。この方法によると、既存の含水有機物の脱水設備(蒸留塔+PSA)に第4の膜分離手段を追加するだけで、低コストでエタノール生産量を増大することができる。
実施例7の方法は、実施例1〜4のプロセスに、水/エタノールのような共沸点が存在する他の有機溶剤(例えば水/イソプロピルアルコール)を適用する方法である。
比較例1すなわち従来技術(蒸留塔+PSA)による無水エタノールの生産量
原液供給量1050kg/h(濃度10%)→無水エタノール生産量98.7kg/h(濃度99.5%)
蒸留塔必要熱量946kca1/エタノー ル
エタノール回収率94%
実施例1による無水エタノールの生産量
原液供給量1600kg/h(濃度10%)→無水エタノール生産量150.7kg/h(濃度99.5%)
蒸留塔必要熱量747kcal/エタノール
エタノール回収率94%
実施例2による無水エタノールの生産量
原液供給量2200kg/h(濃度10%)→無水エタノール生産量195.1kg/h(濃度99.5%)
蒸留塔必要熱量696kcal/エタノール
エタノール回収率88%
実施例5による無水エタノールの生産量
原液供給量1600kg/h(濃度10%)→無水エタノール生産量150.7+9.6=160.3kg/h(濃度99.5%)
蒸留塔必要熱量747kcal/エタノール(ただし全必要エネルギーとして圧縮機動力が追加される)
エタノール回収率99.7%
参考例1による無水エタノールの生産量
原液供給量1050kg/h(濃度10%)→無水エタノール生産量98.7+6.7=105.4kg/h(濃度99.5%)
蒸留塔必要熱量946kcal/エタノール(ただし全必要エネルギーとして圧縮機動力が追加される)
エタノール回収率99.8%
還流比大→膜供給蒸気最小、蒸留塔ボトム液濃度低
すなわちエタノールの生産量(回収率)という点で上記2つの要素はトレードオフの関係にある。従って、還流比によってどこかに極大点が存在することが予想される。図8に実施例2のプロセスに対する還流比と製品量の関係を示すが、還流比が1.5弱のところで僅かではあるが極大点が存在するものの、還流比がそれ以下であればほとんど製品量としては同等である。ただし必要な膜面積を考慮すると、還流比が小さくなれば面積も必要になるということで不利になる。以上のことから、膜面積と生産量(回収率)との兼ね合いから最適な還流比が存在することになる。今回の計算条件では還流比が1.4程度で最適運転条件となるが、各々の条件によってプロセス計算ができればそのような提案ができる。
ゼオライト膜は水分子を透過させる膜であることから、水分子がエタノールより少ないことが望ましい(水分子が多い場合であれば、エタノール選択性のある膜を使う方が効率的)。よって膜に供給されるエタノール蒸気濃度は50mol%(72wt%)以上であることが好ましい。
これは元々の運転条件(図1)に合わせて吸着塔を設計しているので、実施例2のような考え方が基本である。初期条件と変更してプロセスを考えるとしても、PSAに供給される蒸気の条件としては以下を満足することが必要と思われる。
供給蒸気量:初期条件に対して1/3〜3倍(バルブ切要時間はこの逆数)
<圧縮機の昇圧範囲>
これは無水エタノールの製品濃度条件と膜分離手段のゼオライト膜を透過した蒸気の凝縮温度(圧力)との関係による。濃度99.5%、30℃凝縮の場合では最低350kPaまでの昇圧が必要であるが、膜面積との兼ね合いから図3および図4のような490kPaが適当である。
Claims (4)
- 含水有機化合物を蒸留塔に導き、蒸留塔頂から得られた、濃縮された含水有機化合物蒸気を吸着手段によって、高度に濃縮された有機化合物を取出す含水有機化合物の脱水方法において、
前記蒸留塔と吸着手段の間に膜分離手段を介在させ、前記蒸留塔の還流比及び/又は前記膜分離手段における膜面積を可変とすることにより、前記蒸留塔頂で濃縮された含水有機化合物蒸気を所定の割合で膜分離手段ついで吸着手段へ供給し、高度に濃縮された有機化合物蒸気として取出すことを特徴とする、含水有機化合物の脱水方法。 - 前記吸着手段が、含水有機化合物を吸着する吸着剤を有する少なくとも2基の吸着塔からなり、一方の吸着塔に含水有機化合物の蒸気を供給し、含水有機化合物の水分を吸着させる吸着工程と、他方の吸着塔に前記吸着工程で得られた有機化合物の蒸気をパージガスとして供給し、吸着剤に吸着した水分を脱着する脱着工程とを行い、
前記蒸留塔の還流比及び/又は前記膜分離手段における膜面積の可変による含水有機化合物蒸気量に応じて、前記吸着/脱着工程の切替時間を制御することを特徴とする請求項1記載の含水有機化合物の脱水方法。 - 前記吸着手段の脱着工程から排出されたパージガスを蒸留塔に再供給することを特徴とする請求項1または2記載の含水有機化合物の脱水方法。
- 前記吸着手段の脱着工程から排出されたパージガスを第2の膜分離手段に供給し、高度に濃縮された有機化合物を取り出すことを特徴とする請求項1または2記載の含水有機化合物の脱水方法。
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