JP2012081463A - 含水有機化合物の脱水濃縮方法及びそれに用いる脱水濃縮装置 - Google Patents

含水有機化合物の脱水濃縮方法及びそれに用いる脱水濃縮装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ゼオライト膜を用いて含水有機化合物から有機化合物を脱水濃縮するにおいて、有機化合物が有機酸である場合の脱水濃縮にも適用可能な、含水有機化合物の脱水濃縮方法、及びそれに用いる脱水濃縮装置を提供する。
【解決手段】無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する分離体が備えられた分離体モジュールに含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮するに当たり、2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有し、前記2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうち少なくとも2以上が、X線回折によるX線パターンにより検出され、且つ、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが1kg/(m・時間)以上で、分離係数αが500以上であるゼオライト膜を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、含水有機化合物の脱水濃縮方法及びそれに用いる脱水濃縮装置に関する。詳しくは、分離膜としてゼオライト膜を用いて含水有機化合物から有機化合物を脱水濃縮するにおいて、有機化合物成分を効率よく分離することができ、又、耐水性、耐酸性を有するゼオライト膜を用いるが故、有機化合物が有機酸である場合の脱水濃縮にも適用可能な、含水有機化合物の脱水濃縮方法、及びそれに用いる脱水濃縮装置に関する。
従来より、含水有機化合物からの脱水濃縮による有機化合物の回収は、化学プロセスにおいては数多くの分野で行われている。例えば、1,4−ジアセトキシブタンの加水分解による1,4−ブタンジオールの製造プロセスにおいては、副生する酢酸のために含水酢酸からの脱水濃縮による酢酸の回収が行われている。そして、この含水酢酸の脱水濃縮は蒸留塔を利用して行うのが一般的である(特許文献1及び2)。又、アセトンとフェノールとを反応させるビスフェノールAの製造プロセスにおいても、蒸留塔により、アセトン、水、フェノール等を含む低沸点成分の蒸留が行われるが、含水フェノールが蒸留塔で脱水濃縮処理される(特許文献3)。しかしながら、蒸留塔の運転には多量の熱源を要するため、これらの従来法はランニングコスト的に有利な方法とは言えず、かかる問題は、特に、蒸留塔での処理量が大きい場合に顕著である。
近時、液体混合物から特定成分を分離する技術として、ランニングコストが低減された無機分離膜を利用した方法が注目されている。そして、その無機分離膜としては、通常、無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が分離体として用いられている。しかしながら、現在までに提案されたゼオライト膜(例えばA型ゼオライト膜等)は十分な耐酸性がないため、含水有機酸からの有機酸の脱水濃縮には適用し得ないのが現状である。
一方、ゼオライトは分子程度の大きさの細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩であって、ゼオライトからなる膜は分子のサイズや形状の違いにより選択的に分子を通過させる性質を有するので、分子篩として幅広い利用が検討され、中でも、含水有機溶剤等からの有機溶剤等の脱水濃縮のための分離膜等の用途への適用が注目されている。
ゼオライトは、例えばA型(LTA)、Y型(FAU)、モルデナイト(MOR)、ベータ型(BEA)、ZSM−5(MFI)、ZSM−11(MEL)等、種々の構造が存在する。尚、括弧内の表記は国際ゼオライト学会が規定した構造コードである。又、製造条件により結晶の大きさ、形状等が異なるため、これらを用いた分離膜の性能は極めて多様である。
一般にゼオライトで形成された膜(ゼオライト膜)を分離膜として使用する場合、その性能は、透過物質の透過流束Q〔kg/(m・時間)〕と分離係数αとにより表すことができる。ここで、分離係数とは、例えば分離対象となる有機化合物と水を分離する場合、分離前の水の濃度をA質量%、有機化合物の濃度をA 質量%とし、膜を透過した
液体又は気体中の水の濃度をB 質量%、有機化合物の濃度をB質量%とすると、
下記式:
α=(B /B )/(A /A
により表されるものであり、分離係数αが大きい程、分離膜の性能が良いことになる。
例えば、MORは、一般に耐酸性が強く、有機酸を含む水溶液の分離膜として用いることができるが、非特許文献1に記載されるように、酢酸50重量%水溶液の分離において
、透過流束Qが0.7kg/(m・時間)であり、その水透過性は低い。又、非特許文献1、2に記載されるように、有機酸以外のイソプロピルアルコール90重量%水溶液の分離においても、透過流束Qが、それぞれ0.66kg/(m・時間)、0.26kg/(m ・時間)と低い。
一方、MFIの一般性能は、非特許文献2〜4に開示されている。例えば、非特許文献2に記載されるように、イソプロピルアルコール90重量%水溶液の分離において、透過流束Qが3.1kg/(m・時間)であり、MORより水透過性は高い。又、非特許文献3に記載されるように、酢酸50重量%水溶液の分離においても透過流束Qは3.96kg/(m・時間)と高い。しかしながら、MFIの分離係数αは、MORより低く、又、酸に対する耐性が低いため、長期間使用する実用場面においては多くの課題があった。
又、2段階の水熱合成によりMORの単相とMFIの単相からなる2層構造を有するゼオライト膜が非特許文献5に開示されている。しかしながら、2段階の合成が必要な上、さらにテンプレート除去のための高温過熱プロセスが必要であり、工程が複雑な上、分離性能が必ずしも良好とはいえなかった。又、このゼオライト膜は基体に近いMFIの単相からなる層が触媒的に機能することを目的としており、本質的に分離性能を改善するという目的を有していないことから、分離性能改善という目的を達成するために必要である薄膜化の可能性は技術的にも極めて低い。
以上のように、ゼオライトは、その構造や性能が多様であるが、ゼオライト分離膜としては、分離性能として、透過流束Q〔kg/(m・時間)〕と分離係数αの両方に優れるものが求められるものの、それらを充分に満足する性能には到っておらず、又、高い分離性能を有しつつ、さらに実用場面での耐水性、耐酸性も、実現し得てはいなかった。
特開平10−204011号公報 特開2001−354603号公報 特開2007−224020号公報
Gang Li, Eiichi Kikuchi, Masahiko Matsukata," Separation of water-acetic acid mixtures by pervaporation using a thin mordenite membrane " ,Separation and Purification Technology 32 (2003) p.199-206 Gang Li, Eiichi Kikuchi, Masahiko Matsukata," The control of phase and orientation in zeolite membranes by the secondary gr owth method" , Microporous and MesoporousMatereials 62 (2003) p.211-220 Gang Li, Eiichi Kikuchi, Masahiko Matsukata," ZMS-5 zeolitemembranes prepared from a clear template-free solution " , Microporous and Mesoporous Matereials 60 (2003) p.225-235 Gang Li, Eiichi Kikuchi, Masahiko Matsukata," A study on the pervaporation of water-acetic acid mixtures through ZMS-5 zeolite membranes" ,Journal of Membrane Science 218 (2003) p.185-194 Oscar de la Iglesia, Silvia Irusta, Reyes Mallada, Miguel Menendez, Joaquin Coronas, Jesus Santamaria," Preparation and characterization oftwo-layered mordenite-ZSM-5 bi-functional membranes " , Microporous and Mesoporous Matereials 93 (2006) p.318-324
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、分離膜としてゼオライト膜を用いて含水有機化合物から有機化合物を脱水濃縮するにおいて、有機化合物成分を効率よく分離することができ、又、耐水性、耐酸性を有するゼオライト膜を用いるが故、有機化合物が有機酸である場合の脱水濃縮にも適用可能な、含水有機化合物の脱水濃縮方法、及びそれに用いる脱水濃縮装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、特定の2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有するゼオライト膜を分離膜に用いることにより、分離性能と、耐水性、耐酸性のいずれをも備えた高性能な脱水濃縮方法が得られることを見出し、本発明に到達したものである。即ち、本発明の要旨は、無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる分離体が備えられた分離体モジュールに含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮するに当たり、ゼオライト膜として、2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有し、前記2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうち少なくとも2以上が下記条件(1) 〜(3) におけるX線回折によるX線パターンにより検出され、且つ、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが1kg/(m・時間)以上で、分離係数αが500以上であるゼオライト膜を用いることを特徴とする、含水有機化合物の脱水濃縮方法、及び、その分離体モジュールを有することを特徴とする、含水有機化合物の脱水濃縮装置、に存する。
(1) 銅(Cu)のX線管球を用いること
(2) X線の出力を1.2kWとすること
(3) X線の波長を1.54058Åとすること
本発明によれば、分離膜としてゼオライト膜を用いて含水有機化合物から有機化合物を脱水濃縮するにおいて、有機化合物成分を効率よく分離することができ、又、耐水性、耐酸性を有するゼオライト膜を用いるが故、有機化合物が有機酸である場合の脱水濃縮にも適用可能な、含水有機化合物の脱水濃縮方法、及びそれに用いる脱水濃縮装置を提供することができる。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法に用いられるゼオライト膜のX線回折によるX線パターンを示すチャートである。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法に用いられるゼオライト膜の断面模式図である。 図2の断面模式図の根拠となる膜の深さ方向のX線回折図である。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法に用いられるゼオライト膜の表面を走査型電子顕微鏡にて観察した写真である。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法に用いられるゼオライト膜におけるMOR型ゼオライト層のX線回折にるX線パターンを示すチャートである。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法の一実施例としてのパーベーパレーション法(PV法)に使用される脱水濃縮装置の概略図である。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法の一実施例としてのベーパーパーミエーション法(VP法)に使用される脱水濃縮装置の概略図である。 本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮装置の一実施例としての吸着装置の概略図である。 本発明の実施例で用いた回分式パーベーパレーション装置の概略図である。 図10は本発明での混合物の各種回収方法による脱水方法の説明図である。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法は、無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる分離体が備えられた分離体モジュールに含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮するに当たり、ゼオライト膜として、2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有し、前記2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうち少なくとも2以上が下記条件(1) 〜(3) におけるX線回折によるX線パターンにより検出され、且つ、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが1kg/(m・時間)以上で、分離係数αが500以上であるゼオライト膜を用いることを特徴とする。
(1) 銅(Cu)のX線管球を用いること
(2) X線の出力を1.2kWとすること
(3) X線の波長を1.54058Åとすること
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法において、含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮する分離体モジュールの分離体は、無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる。
ここで、無機多孔質支持体としては、表面にゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性があり、多孔質であれば特に制限されるものではない。例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素等のセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレス等の焼結金属、テトラフルオロエチレンとパーフルオロスルホン酸のコポリマー(例えば、ナフィオン(登録商標))等の有機高分子成型体、ガラス、カーボン成型体等が挙げられる。
これらの無機多孔質支持体の中でも、基本的成分或いはその大部分が無機の非金属物質から構成されている固体材料であるセラミックスを焼結したものを含む多孔質の支持体は、その一部がゼオライト膜合成中にゼオライト化することで界面の密着性を高める効果があるために特に好ましい。具体的には、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素等を含むセラミックス焼結体が挙げられる。その中でも、アルミナ、シリカ、ムライトのうち少なくとも1種を含む無機多孔質支持体は、無機多孔質支持体の部分的なゼオライト化が容易であるため、無機多孔質支持体とゼオライトとの結合が強固になり緻密で分離性能の高い膜が形成されやすくなる点でより好ましい。
本発明において用いられる無機多孔質支持体の形状は、気体混合物や液体混合物を有効に分離できるものであれば制限されるものではなく、具体的には、管状、平板状、ハニカム状、中空糸状、ペレット状等、種々の形状のもを使用できる。又、その大きさとしては、特に限定されるものではないが、例えば、管状の場合、長さ2cm以上200cm以下、内径0.5cm以上2cm以下、厚さ0.5mm以上4mm以下程度が実用的で好ましい。又、無機多孔質支持体は、単層からなるもの(所謂、対称分離体を形成するもの)、支持体と下地層からなる2層構造のもの(所謂、非対称分離体を形成するもの)等のいずれであってもよく、更に3層以上の積層体からなるものであってもよい。
又、無機多孔質支持体表面が有する平均細孔径は、特に制限されるものではないが、細孔径が制御されているものが好ましく、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm
以上、さらに好ましくは0.1μm以上であり、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下の範囲が好ましい。平均細孔径が小さすぎると透過量が小さくなる傾向があり、大きすぎると支持体自体の強度が不十分になることがあり、支持体表面の細孔の割合が増えて緻密なゼオライト膜が形成されにくくなることがある。又、無機多孔質支持体の表面は滑らかであることが好ましく、必要に応じて表面をやすり等で研磨してもよい。
尚、ここで、無機多孔質支持体表面とは、ゼオライトを結晶化させる無機多孔質支持体表面部分を意味し、表面であれば、それぞれの形状のどこの表面であってもよく、複数の面であってもよい。例えば、管状の支持体の場合には外側の表面でも内側の表面でもよく、場合によっては外側と内側の両方の表面であってよい。又、本発明において用いられる無機多孔質支持体の、無機多孔質支持体表面以外の部分の細孔径は制限されるものではなく、又、特に制御される必要はない。又、平滑性についても同様である。
又、多孔質支持体の気孔率は通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。無機多孔質支持体の気孔率は、気体や液体を分離する際の透過流量を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向となり、前記上限超過では無機多孔質支持体の強度が低下する傾向となる。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法において、含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮する分離体モジュールの分離体は、前記無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる。
本発明において、前記無機多孔質支持体表面に結晶化させて形成される、分離膜としてのゼオライト膜は、2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有し、前記2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうち少なくとも2以上が下記条件(1) 〜(3) におけるX線回折によるX線パターンにより検出されるものである。
(1) 銅(Cu)のX線管球を用いること
(2) X線の出力を1.2kWとすること
(3) X線の波長を1.54058Åとすること
尚、ここで、「2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層」とは、2以上の異なる種類のゼオライト結晶が混在する層である場合、及び、ゼオライト結晶を含む第一の層とこの第一の層とは種類の異なるゼオライト結晶を含む第二の層を有する積層体である場合、の両方の場合を包含する。
そして、本発明において、X線パターンにより検出される2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうちの2種のゼオライトとしては、MOR型ゼオライトは分離係数αが高く耐酸性を有し、又、MFI型ゼオライトは水透過性(透過流束Q)が高いことから、それぞれの長所を補完し合うことができる点で、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトであるのが好ましい。
従って、本発明におけるゼオライト膜のX線パターンとしては、MOR型ゼオライトに由来する、
(i) ピークトップの位置(2θの値)が6.4°以上6.6°以下、9.6°以上9.9°以下、13.3°以上13.6°以下、13.7°以上13.9°以下、及び22.1°以上22.4°以下のいずれか1以上の領域に存在し、
且つ、MFI型ゼオライトに由来する、
(ii)ピークトップの位置(2θの値)が7.7°以上8.0°以下、8.6°以上8.9°未満、8.9°以上9.1°以下、22.8°以上23.1°未満、23.1°以上
23.3°以下、23.5°以上23.7°未満、及び23.7°以上23.9°以下のいずれか1以上の領域に存在する、
ものが好ましい。
具体的に、本願明細書記載の実施例において用いたゼオライト膜について、前記条件(1) 〜(3) におけるX線回折による得られたX線パターンは、図1の通りであり、ピークトップの位置(2θの値)が、MOR型ゼオライトに由来する、6.49°、9.74°、13.45°、13.84°、及び22.29°の位置に確認され、更に、MFI型ゼオライトに由来する、7.86°、8.76°、9.02°、22.97°、23.20°、23.63°、及び23.80°の位置にもピークが確認された。X線回折パターンは正確に測定され得るが、若干の測定誤差を考慮すれば、上述の(i) 及び(ii)の領域にピークを有するものであるといえる。
尚、前述の非特許文献3には、X線回折でMFI相のみが観察されるゼオライト膜を合成した例において、走査型電子顕微鏡により、しばしば大粒の、MOR型ゼオライト結晶が観察されたことが報告されている。そして非特許文献3は、これらの、しばしば大粒のMOR型ゼオライト結晶は、外来から付着したものであることが記載されている。即ち、MFI型ゼオライト結晶とMOR型ゼオライト結晶が同時に観察された非特許文献3のゼオライト膜は、膜の内部からMOR型ゼオライト結晶とMFI型ゼオライト結晶が混在して成長したものではなく、本発明と明らかに異なる構造を示している。又、このような場合、X線回折でその存在が認められなかったのは、大粒の結晶として散在しその量及び量比が少ないため、X線回折により得られるX線パターンには前記(i) のピークは確認されない。又、非特許文献3のゼオライト膜では耐酸性と分離性能の両方を備えた高性能な分離膜は得ることができない。これに対して、本発明におけるゼオライト膜は、膜表面に限らず膜内部においてもMOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトが混在して結晶成長した膜であるといえる。
本発明におけるゼオライト膜の表面を走査型電子顕微鏡により観察すると、ゼオライト膜表面から観察される表面結晶の最大径がいずれも5μm以下であることが確認される。ここで、最大径とは、走査型電子顕微鏡により観察した際に、ゼオライト膜表面に露出して観察される結晶粒の外郭の任意の2点を結んだ距離のうちの最大のものをいう。これに対して、非特許文献3には、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトを混在させて結晶成長させた実験例があり、走査型電子顕微鏡により両方の結晶が観察されることが記載されているが、最大径が5μmを超える大粒のMOR型ゼオライト結晶が散在しており、且つ、X線回折によりMOR型ゼオライト結晶の存在は認められておらず、本発明と明らかに異なる構造を示している。
又、本発明におけるゼオライト膜として、ゼオライト結晶を含む第一の層とこの第一の層とは種類の異なるゼオライト結晶を含む第二の層を有する積層体である場合において、2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうちの好ましい2種のゼオライトとして挙げた前述のMOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトにおける積層構造の具体例としては、下記(a) 及び(b) の層が膜表層から膜内部に向かってこの順に積層された積層体であるものが好ましい。
(a) 実質的にMOR型ゼオライトのみからなる層
(b) MFI型ゼオライトを含む層
又、更に、下記(c) の層を有し、(a) 、(b) 、及び(c) の層が膜表層から膜内部に向かってこの順に積層された積層体であるものが特に好ましい。
(c) MFI型ゼオライトを含み、且つ、金属、セラミックス、及び有機高分子のいずれか1種以上を含む混合層
又、これらの(a) /(b) 積層体、及び(a) /(b) /(c) 積層体において、(b) 層の、M
FI型ゼオライトを含む層が、更にMOR型ゼオライトが混在する層であるものが好ましく、又、(c) 層の、MFI型ゼオライトを含み、且つ、金属、セラミックス、及び有機高分子のいずれか1種以上を含む混合層が、更にMOR型ゼオライトが混在する混合層であるものが好ましい。このような(b) 層や(c) 層等の混合層を有せしめることにより、MOR型ゼオライトの層とMFI型ゼオライトの層とを積層させた場合に比べて、材料特性がスムーズ且つ連続的に漸移し不連続な境界を持たないので、膜全体としての機械的安定性の点で優位性を発現することができる。尚、最表層の (a)層は、分離膜としてのゼオライト膜に耐酸性を付与するものである。
具体的に、本願明細書記載の実施例において用いたゼオライト膜について、微小角入射X線回折による図3に示す結果を根拠にした膜構造の断面模式図を示す図2の通り、膜の最表面は実質的にMOR型ゼオライトのみからなる層(a) を有する。ここで「実質的にMOR型ゼオライトのみからなる層」とは、他種のゼオライトを実質的に含まないことを意味するものであり、ゼオライト以外の不純物等を含まないことを意味するものではない。
そして、図3に示す通り、膜の最表面から最深部へ向かう深さ方向の膜の層構成を、微小角入射X線回折手法によりX線の入射角度を変えることにより詳細に調べた結果、結晶成長させる無機多孔質支持体の上に、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトとを含み、且つ、金属、セラミックス、及び有機高分子のいずれか1種以上の無機多孔質支持体成分を含む混合層(c) を有し、その上に、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトが混在する層(b) を有し、更に最表層としてMOR型ゼオライトの単相層(a) を有することが確認された。
尚、ゼオライト膜の全体の厚みは、膜の成長条件等により異なるが、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。ゼオライト膜の厚みは薄い程好ましいが、通常1μm以上である。又、最表層のMOR型ゼオライトの単相層(a)
の厚みは、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは3μm以下、更に好ましくは2μm以下である。(a) 層の厚みが厚すぎると、透過抵抗が高くなって透過流束が低くなるので好ましくない。又、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトが混在する層(b) の厚みは、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下である。透過抵抗を低くする観点から(b) 層の厚みは薄い程好ましいが、通常0.5μm以上である。
本発明における分離膜としてのゼオライト膜は、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが1kg/(m・時間)以上で、分離係数αが500以上であるものである。
水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離(パーベーパーレーション)したとき、測定開始から45分後における透過流束Qは、1.5kg/(m・時間)以上であるのが好ましく、1.8kg/(m ・時間)以上であるのが特に好ましい。又、分離係数αは、700以上で
あるのが好ましく、1,000以上であるのが更に好ましく、3,000以上であるのが特に好ましい。
尚、ここで、分離係数αとは、前述した通り、例えば分離対象となる有機化合物と水を分離する場合、分離前の水の濃度をA質量%、有機化合物の濃度をA 質量%とし、
膜を透過した液体又は気体中の水の濃度をB 質量%、有機化合物の濃度をB質量%
とすると、下記式:
α=(B /B )/(A /A
により表されるものであり、分離係数αが大きい程、分離膜の性能が良いことになる。
又、本発明における分離膜としてのゼオライト膜は、水30重量%と酢酸70重量%の混合液を該混合液の液温70℃、大気圧条件下で浸透気化分離(パーベーパーレーション)したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが、好ましくは1kg/(m・時間)以上、更に好ましくは1.5kg/(m ・時間)以上、特に好ましくは1.8
kg/(m ・時間)以上であり、分離係数αが、好ましくは400以上、より好まし
くは500以上、更に好ましくは600以上、特に好ましくは650以上で、且つ、測定開始から45分後における透過流束Qに対する測定開始から375分後の透過流束Q375minの減少率が、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
即ち、本発明の分離膜は耐酸性を有しているため、長時間の含水有機酸の脱水濃縮においても膜の劣化が少なく、膜の透過性能が低下しにくいものとなっている。尚、測定開始から45分後における透過流束Qを基準としたのは、測定開始直後の透過流束は、数値的に不安定である場合があるので、測定開始から45分後以降の安定的な数値である透過流束を基準に採用し、具体的には、測定開始45分から50分間における透過流束の平均値をQとし、測定開始から375分後から50分間における透過流束の平均値をQ375minとしている。測定開始時は、通常、分離膜の性能を評価するパーベーパレーション装置の作動時であり、実質的に分離膜が、含水有機化合物(水30重量%と酢酸70重量%の混合液)を分離する開始時点を示す。
本発明において、分離体を構成する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体は、通常、前記無機多孔質支持体表面に、前記ゼオライトの結晶を付着(担持)させ、水熱合成することによってゼオライト膜を形成することによって得られる。
その際、ゼオライトの合成反応に先立って、無機多孔質支持体の表層(下地層)にゼオライトの種結晶を付着させる。ゼオライトの種結晶の平均径dsmと下地層の平均細孔径dtmとの関係が1/3≦dtm/dsm≦6を満足することが好ましく、1≦dtm/dsm≦4を満足することが更に好ましい。例えば種結晶の平均径dsmが0.3μmであり、下地層の平均細孔径dtmが0.6μmであると、dtm/dsmが2となり、上記の関係を満足する。上記の関係を満足することが好ましい理由は、最終的に成膜されるゼオライト膜の膜厚は下地層の平均細孔径dtmとゼオライト種結晶の平均径dsmとの関係で決まるからである。dtm/dsmが1/3より小さい場合、十分に連続的に結晶化したゼオライト膜が得られず、又、ゼオライト膜中のピンホールの発生率が増加して、その結果分離性能が低下する傾向となる。又、dtm/dsmが6より大きい場合、下地層へのゼオライト種結晶の付着量が過度に増大し、その結果、例えばディッピング後の乾燥工程において種結晶中にクラックが生じ、ゼオライト膜成膜後のフィルター材の分離性能が低下する傾向となる。
本発明において、前記ゼオライト膜を得る際には、種結晶の組成、形状、大きさ等を適宜調整するのが好ましい。種結晶を無機多孔質支持体表面に付着させるには、種結晶のゼオライトを水に加えたスラリー溶液を用い、該スラリー溶液に無機多孔質支持体表面を接触させ、付着させた後、乾燥させる。このような方法により付着させる種結晶量は、付着される種結晶が層を形成しない程度に少量であることが好ましい。
ここで、種結晶のゼオライトとしては、例えば、MFI型ゼオライト結晶、又は、MOR型ゼオライト結晶とMFI型ゼオライト結晶の混合物を用いるのが好ましく、これを湿式粉砕法等で通常5μm以下、好ましくは1μm以下の粒径に粉砕した微細粒子を水に入れて混合し撹拌してスラリー溶液とする。その際、スラリー溶液中に含まれる種結晶の濃度は、通常0.1重量以上、好ましくは0.5重量%以上、通常5重量%以下、好ましくは1.5重量%以下とすることが好ましい。
又、種結晶のゼオライトを含むスラリー溶液に無機多孔質支持体表面を接触させるには、無機多孔質支持体の形状に応じて、ディップコート法、スプレーコート法、塗布法、濾過法等の方法を適宜選択する。無機多孔質支持体とスラリー溶液との接触時間は、0.5〜60分間が好ましく、1〜10分間が更に好ましい。
スラリー溶液を付着させた後の乾燥は、高温で乾燥させると、溶媒の蒸発が早く、種結晶粒子の凝集が多くなるため、均一な種結晶付着状態を壊してしまうおそれがあるので好ましくない。このため乾燥は70℃以下で行うのが好ましい。加熱時間を短くするため、室温乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行うのがより好ましい。乾燥は無機多孔質支持体が十分に乾燥するまで行えばよく、乾燥時間は特に限定されないが、通常2〜24時間程度でよい。
種結晶を表面に付着させた無機多孔質支持体に前記ゼオライト膜を形成するには、ゼオライトの反応溶液又はスラリー溶液に該無機多孔質支持体表面を接触させ、付着させた後、合成することによってなされる。その際の合成は、水熱合成法、気相法等の常法により行うことができる。以下水熱合成法を例にとって、ゼオライト膜の合成方法を説明するが、本発明はこの方法のみに限定されない。
水熱合成法においては、原料を水に加えて撹拌し、ゼオライト合成反応に使用する反応溶液又はスラリーを作製する。原料はアルミナ源及びシリカ源と、必要に応じてアルカリ金属源及び/又はアルカリ土類金属源である。アルミナ源としては、水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム塩の他、アルミナ粉末、コロイダルアルミナ等が挙げられる。シリカ源としては、珪酸ナトリウム、水ガラス、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩の他、シリカ粉末、珪酸、コロイダルシリカ、珪素アルコキシド(アルミニウムイソプロポキシド等)等が挙げられる。アルカリ(土類)金属源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。アルカリ金属珪酸塩は、シリカ源及びアルカリ金属源として兼用できる。
シリカ源とアルミナ源のモル比(SiO /Al に換算)は、目的とするゼ
オライトの組成によって適宜決定する。本発明において、好ましいとするMFI型ゼオライトとMOR型ゼオライトが混在する膜とする場合は、それぞれMOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトが混在して形成されるように組成を調節する。尚、反応溶液又はスラリーには、ゼオライトの結晶化促進剤として、例えば、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等を添加してもよい。
種結晶を付着させた無機多孔質支持体表面に、例えば、該無機多孔質支持体を反応溶液又はスラリー中に浸漬する等して、反応溶液又はスラリーを接触させた後、水熱合成処理する。その際の反応温度(反応溶液又はスラリーの温度)は、通常40℃以上、好ましくは80℃以上とし、通常200℃以下、好ましくは150℃以下とする。反応温度が低すぎると、ゼオライトの合成反応が十分に起こらず、又、高すぎると、ゼオライトの合成反応を制御するのが困難であり、均一なゼオライト膜が得られ難い傾向となる。又、その際の反応時間は、反応温度に応じて適宜変更し得るが、一般に1〜100時間であればよい。尚、水系の反応溶液又はスラリーを100℃超の温度に保持する場合、オートクレーブ中で反応させてもよい。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法は、前記無機多孔質支持体表面に分離膜としての前記ゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる分離体が備えられた分離体モジュールに含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮するものである。
ここで、脱水濃縮の対象となる含水有機化合物としては、含水の、枸櫞酸、琥珀酸、エチレンジアミン四酢酸、酒石酸、サリチル酸、蓚酸、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、安息香酸、アクリル酸、アジピン酸、マロン酸、林檎酸、フタル酸、グリコール酸、テレフタル酸、フマル酸等の有機酸類;フェノール類;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;アルデヒド類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド等の窒素含有有機化合物類;酢酸エステル等のエステル類;ヘキサン、トルエン等の有機溶剤類、等が挙げられる。
これらの濃縮対象の有機化合物の中で、本発明の効果をより発現できる有機酸類が好ましい。含水有機酸は、これらの有機酸を取り扱う各種のプロセス、例えば、酸の溶液にシリコン基板を浸漬するシリコン基板の洗浄工程(特開2000−164549号公報)、酢酸を主体とする溶媒中でパラキシレンを酸化してテレフタル酸を製造する工程(特開2006−298905号)から排出される他、前述した、1,4−ブタンジオールの製造プロセス(特開平10−204011号公報、特開2001−354603号公報)、アセトンとフェノールとを反応させるビスフェノールAの製造プロセス(特開2007−224020号公報)からも排出される。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法の原理は、無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体が備えられた分離体モジールの無機多孔質支持体側又はゼオライト膜側の一方の側に含水有機化合物の気体又は液体を接触させ、その逆側を含水有機化合物が接触している側よりも低い圧力とすることによって、含水有機化合物からゼオライト膜に透過性がある物質(含水有機化合物中の水)を選択的に透過させて、含水有機化合物から透過性の高い物質(含水有機化合物中の水)を分離し、その結果、含水有機化合物を脱水濃縮するものである。
この場合に含水有機化合物における水の含有量は特に制限はなく、従来技術におけるA型ゼオライト分離膜では構造が壊れてしまう高い水含有量、例えば20重量%以上の水含有量においても構造が壊れることなく高い選択率と透過量を実現することができる。このように、本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法においては、前述の特定のゼオライト分離を用いているので、高い水含有量の含水有機化合物からの分離や、酸性条件での分離においても高い選択率と透過量が実現できる。そのため、通常蒸留で分離している含水有機化合物を、本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法を用いて分離することにより、蒸留に比べて分離に必要なエネルギーを小さくすることができる。又、これまで、従来技術におけるA型ゼオライト分離膜では、高い水含有量の含水有機化合物からの分離ができなかったので、蒸留により90重量%程度まで有機化合物を濃縮してからA型ゼオライト分離膜を使用する必要があったのに対して、本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法であれば、例えば50重量%以上の高い水含有量の含水有機化合物からであっても、含水有機化合物を脱水濃縮することができる。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法としては、パーベーパレーション法(PV法)とベーパーパーミエーション法(VP法)とに大別される。
PV法では、分離体モジュールの分離膜に、例えば、含水有機酸、含水アルコール、含水有機溶剤等の含水有機化合物の液体を接触させて水を透過させる。即ち、この方式は、透過気化法又は浸透気化法とも呼ばれ、含水有機化合物の液体(供給液)を分離膜を介して蒸発させ、その際、水のみを透過させることにより、有機酸、アルコール、有機溶剤等の有機化合物を分離して濃縮する。供給液は気化熱で冷却されるため、それを補うための加熱手段が必要となる。
図6に示すPV法の場合、2個の分離体モジュール(1、2)が直列に配置され、供給液は、供給ポンプ(51)により、加熱器(11)を経由して第1分離体モジュール(1)に供給される。分離膜を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて凝縮された後にタンク(4)に貯蔵される。分離膜を透過せずに濃縮された含水有機化合物は第1分離膜モジュール(1)に循環されて濃縮処理される。
第1分離体モジュール(1)の循環路から取り出された濃縮液は、中間加熱器(21)を経由して第2分離体モジュール(2)に供給される。そして、上記と同様に、分離膜を透過した水(気体)は冷却器(3)に導入されて凝縮された後にタンク(4)に貯蔵され、分離膜を透過せずに濃縮された含水有機化合物は第2分離体モジュール(2)に循環されて濃縮処理される。そして、最終的に濃縮された有機化合物は、第2分離体モジュール(2)の循環路から取り出される。
第1分離体モジュール(1)及び第2分離体モジュール(2)における液の循環は循環ポンプ(52)及び(53)によって行われる。分離体モジュールの駆動に必要な真空は、真空ポンプ(54)によって与えられ、各分離体モジュールの真空度は配管途中に設けられた圧力制御弁(61)及び(62)によって制御される。タンク(4)に貯蔵された水の排出は、排出用ポンプ(55)によって行われる。
一方、VP法では、分離体モジュールの分離膜に、例えば、含水有機酸、含水アルコール、含水有機溶剤等の含水有機化合物の気体を接触させて水蒸気を透過させる。即ち、この方式は、蒸気透過法とも呼ばれ、含水有機化合物の過熱蒸気(供給ガス)を分離膜に接触させる点がPV法と異なる。従って、図7に示すVP法の場合、第1分離体モジュール(1)の導入配管には蒸発器(12)の他、蒸発器(12)で得られた蒸気を加熱して過熱蒸気を生成するための加熱器(13)が配置される。符号(10)及び(20)は、分離体モジュール内の処理対象を蒸気の状態に維持するための加熱手段を表す。その他の符号の意義は図6に示すPV法の場合と同じである。
なお、図6に示すPV法は循環方式を採用しているが非循環方式を採用してもよい。又、分離体モジュールの駆動は、図6及び図7に示す真空方式に代え、窒素、乾燥空気等を透過側に供給するスイープガス方式を採用してもよい。
本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法は、前述した従来法の蒸留塔の代替手段として利用してもよく、蒸留塔の後工程の手段として利用する、即ち、分離体モジュールの前段工程に配置された蒸留塔から回収された含水有機化合物を分離体モジュールに供給してもよい。
分離体モジュールに蒸留塔の塔底および/または蒸留塔の途中段から回収された、例えば、含水有機酸、含水アルコール、含水有機溶剤等の含水有機化合物の液体(供給液)を供給する場合は一般にPV法が適用され、分離体モジュールに蒸留塔の塔頂および/または蒸留塔の途中段から回収された、例えば、含水有機酸、含水アルコール、含水有機溶剤等の含水有機化合物の気体を供給する場合は一般にVP法が適用される。
図10中(a)は蒸留塔の塔頂から回収された混合物気体をVP法により脱水する方法、(b)は蒸留塔の途中段から回収された混合物気体をVP法により脱水する方法、(c)は、蒸留塔の塔底から回収された混合物気体をPV法により脱水する方法を示す。
本発明においては、分離体モジュールの後段工程に配置された蒸留塔又は吸着装置に分離体モジュールから回収された含水有機化合物の液体又は気体を供給して更に濃縮された有機化合物を回収することができる。
蒸留塔としては、充填式蒸留塔、棚段式蒸留塔等の任意の形式の蒸留塔を採用すること
ができる。又、吸着装置としては、圧力スィング吸着装置(PSA)、温度スィング吸着装置(TSA)、両者を組み合せた圧力温度スィング吸着装置(PTSA)の何れであってもよい。PSAは、圧力を高くすることにより気体を吸着剤に吸着させ、圧力を低くすることにより吸着剤から気体を脱着させる機能を備えている。一方、TSAは、液体を吸着剤に吸着させ、加熱ガス(窒素等)を供給して温度を高くすることにより吸着剤から液体を脱着させる機能を備えている。PSA、TSA、PTSAは、装置構成が比較的簡単であるために広く使用されており、吸着剤としては、脱水能力が高いことから合成ゼオライトである「モレキュラシーブ」(商品名)が好適に使用される。
図8に示すPSA(7)は、図7に示すVP法の第2分離体モジュール(2)の後段工程に配置され、主として、切り替え運転される、第1吸着塔(7a)及び第2吸着塔(7b)の2基の吸着塔からなる。切り替えは、各吸着塔における吸着能の低下によって行われ、吸着運転(脱水運転)の停止された吸着塔は、脱着運転(乾燥運転)に切り替えられる。このようにして、2基の吸着塔の間において、相互に吸着運転と脱着運転とが交互に行われ、切り替え運転は、各管路に配置されたバルブ(図示せず)によって行われる。
先ず、分離体モジュールで濃縮された、例えば、含水有機酸、含水アルコール、含水有機溶剤等の含水有機化合物の蒸気は、蒸気の状態を維持したまま一定の圧力に加圧された状態の第1吸着塔(7a)又は第2吸着塔(7b)に導入される。これにより、吸着運転有機酸、アルコール、有機溶剤等の有機化合物の蒸気は冷却器(71)にて凝縮されて回収される。そして、吸着能の低下した第1吸着塔(7a)又は第2吸着塔(7b)からの水蒸気の脱着は塔内圧力を低下させられることにより行われる。脱着された水蒸気は冷却器(72)にて凝縮されて回収される。なお、冷却器(71)及び/又は(72)に熱交換器を使用して熱回収を行ってもよい。
分離体モジュールの設置個数は、条件により適宜選択され、1基の場合もあれば、図示したように2基以上使用されることもある。これにより、濃度が95重量%以上に濃縮された有機化合物を回収することができる。更なる濃縮は、前述の通り、分離体モジュールの後段工程に配置された蒸留塔又は吸着装置によって行うことができる。吸着装置は、全ての含水有機化合物に適用できる訳ではなく、有機化合物の沸点、モレキュラシーブに対する吸着依存性等を考慮し、適用の可否を決定する必要がある。
尚、分離体モジュールの運転において、運転条件の最適範囲は、分離体モジュールに供給される含水有機化合物の種類により異なるため一概に決定し得ないが、温度、操作圧力等の一般的条件は、公知の運転方法の条件の範囲から適宜選択される、以下のような範囲である。
図6に示すPV法の場合、分離体モジュールに供給される含水有機化合物(液体)の温度は、通常25〜200℃、好ましくは70〜150℃である。操作圧力は、通常0.1〜1.5MPa、好ましくは0.2〜0.8MPaである。
図7に示すVP法の場合、分離体モジュールに供給される含水有機化合物の過熱蒸気の温度は、飽和蒸気圧温度をTとすると、通常T+1〜100℃、好ましくはT+5〜30℃である。操作圧力は、通常0.1〜1.5MPa、好ましくは0.2〜0.8MPaである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、それらは本発明の説明を目的とするものであって、本発明をこれらの態様に限定することを意図したものではない。
[分離体Aの作製]
長さ10cm、外径1.2cm(内径0.9cm)の多孔質のアルミナ支持管(無機多
孔質支持体)の表面にMFI型ゼオライトの種結晶を担持させた。種結晶担持は、湿式ボールミルにより1μm以下の大きさに粉砕したZeolyst社製MFI型ゼオライト結晶(SiO /Al (mol/mol)=32)を用いた。種結晶1重量%のスラリー溶液中に支持管を3分間浸漬した後、3mm/秒の速度で垂直に引き上げ、垂直の状態にして、36℃に設定した乾燥機内に14時間静置した。種結晶担持の後、ゼオライト合成反応溶液として、10Na O:0.15Al :36SiO :960
Oを用い、180℃で10時間水熱合成することによりゼオライト膜を形成し分離
体Aを作製した。
得られた分離体Aのゼオライト膜を、銅(Cu)のX線管球を用い、X線の出力を1.2kWとし、X線の波長を1.54058Åとして、X線回折によりX線パターン測定したところ、図1の通りであった。即ち、ピークトップの位置(2θの値)が、MOR結晶を示すX線パターンである、6.49°、9.74°、13.45°、13.84°、および22.29°の位置に確認され、又、MFI結晶を示すX線パターンである、7.86°、8.76°、9.02°、22.97°、23.20°、23.63°、および23.80°の位置にもピークが確認された。
又、走査型電子顕微鏡にてその表面を観察したところ、図4の写真に示す通りであり、分離体Aのゼオライト膜のゼオライト結晶の最大径がいずれも5μm以下であることが確認された。
更に、分離体Aのゼオライト膜について、膜の最表面から膜深部へ向かう深さ方向の膜の層構成を、微小角入射X線回折手法によりX線の入射角度を変えることにより詳細に調べた結果、図3に示すように、結晶成長させるアルミナ多孔質支持体の上に、MOR型ゼオライトとMFI型ゼオライトとを含み、且つ、アルミナ成分を含む混合層(c) を有し、その上に、MFI型ゼオライトとMOR型ゼオライトが混在する層(b) を有し、更に最表層としてMOR型ゼオライトの単相層(a) を有することが確認された。
[分離体Bの作製]
水熱合成における反応液として、10Na O:0.37Al:36SiO
:1720H Oを用いた以外は、前記分離体Aの作製方法と同様の方法で分離体Bを得た。得られた分離体Bのゼオライト膜を、前記と同じ条件にてX線回折によりX線パターンを測定したところ、前記分離体Aのゼオライト膜と同様に、MFI型ゼオライトとMOR型ゼオライトが混在する層(b) が存在することが確認された。
[分離体Cの作製(比較例用)]
長さ10cm、外径1.2cm(内径0.9cm)の多孔質のアルミナ支持管の表面にMOR型ゼオライトの種結晶を担持させた。種結晶の担持は、1μm以下の大きさに粉砕した東ソー社製MOR型ゼオライト結晶(SiO /Al (mol/mol)=18)を用いた。種結晶1重量%のスラリー溶液中に支持管を3分間浸漬した後、種結晶が担持された支持管を3mm/秒の速度で垂直に引き上げ、垂直の状態にして、36℃に設定した乾燥機内に14時間静置した。種結晶担持の後、ゼオライト合成反応溶液として、10Na O:0.15Al :36SiO :960H Oを用い、180℃で10時間水熱合成することによりゼオライト膜を形成し分離体Cを作製した。
得られた分離体Cのゼオライト膜はMOR型ゼオライトであり、銅(Cu)のX線管球を用い、X線の出力を1.2kWとし、X線の波長を1.54058Åとして、X線回折によりX線パターン測定したところ、図5の通りであり、ピークトップの位置(2θの値)がMOR型ゼオライト結晶を示すX線パターンの位置に確認され、MFI型ゼオライト結晶を示すX線パターンは観察されなかった。
実施例1−1
前記で得られた分離体A、及び分離体Bについて、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧下で、図9に示す回分式パーベーパレーション装置を用いて脱水濃縮した。図9において、分離体2' はガラスフラスコ内の供給混合液3' に浸漬し、分離体2' の片端を金属と高分子チューブで封止し、他方の開放端を連結した真空系ラインの管12' に連結した。供給混合溶液3' を充填したガラスフラスコを75℃の熱媒5' を入れたウオーターバスに入れ、供給混合液3' を撹拌子1' 及びスターラー6' により撹拌し、液温が75℃になるように保持した。透過物質は供給混合溶液3' から膜を透過し液体窒素7' で冷却されたトラップ8' で冷却固化し捕集した(図9の9' )。冷却固化し捕集された透過物質を解凍し、その重量と化学組成を測定することにより、透過流束Qと分離係数αを求めた。尚、化学組成の測定にはガスクロマトグラフ(株)島津製作所製「GC−14B」を用いた。
その測定結果において、測定開始から45分後における透過流束Qは、分離体Aのゼオライト膜では4.6kg/(m・時間)、分離体Bのゼオライト膜では4.4kg/(m ・時間)であった。又、分離係数αは、分離体Aのゼオライト膜では5,200、
分離体Bのゼオライト膜では4,300であった。これらは、いずれも従来のMOR型ゼオライト膜、及びMFI型ゼオライト膜に比べて極めて高い分離性能であった。
実施例1−2
水熱合成における反応液として、10Na O:0.56Al:36SiO
:1720H Oを用い、合成反応時間として、6時間から11時間まで1時間ずつ時間を変えて6種類の分離体を得た。得られた各分離体のゼオライト膜について、前記と同じ条件にてX線回折によりX線パターンを測定したところ、いずれのゼオライト膜においても、前記分離体Aのゼオライト膜と同様に、MFI型ゼオライトとMOR型ゼオライトが混在する層(b) が存在することが確認された。
得られた6種類の分離体について、実施例1−1におけると同じ方法及び条件で、回分式パーベーパレーション装置を用いて膜の透過性能実験を行った。その結果を表1に示す。
表1の結果より、これら各分離体のゼオライト膜は、いずれも、従来のMOR型ゼオライト膜より高い透過流束であり、又、従来のMFI型ゼオライト膜に比べて極めて高い透過分離性能であった。
実施例2〜5、比較例1〜6
前記で得られた分離体Aについて、酢酸70重量%と水30重量%の混合液を用いて、液温70にて脱水濃縮した。
40分の透過時間内において、8.34gの透過物質が分離体Aのゼオライト膜を透過し捕集された。その化学組成は水が99.58重量%であり酢酸が0.42重量%であった。これらの測定データから、透過流束Qは3.3kg/(m・時間)、分離係数αは240と決定された。尚、この透過時間40分の測定は、透過実験開始後195分後に開始された。これに先立ち、20分後、60分後、100分後、155分後、195分後、235分後にそれぞれ20分間、40分間、40分間、55分間、40分間、40分間の透過時間の測定を計6回行った。この総計235分、6回の測定結果から前記の測定値は膜性能が安定しており、20分後には十分安定した測定値を示していることを示すものであった。つまり2回目から6回目の測定の結果透過流束Qと分離係数αは10%以内の変動に収まっていた。
同様の操作により、表2に示すように、前記分離体A、及び分離体Cについて、酢酸50重量%と水50重量%の混合液、酢酸70重量%と水30重量%の混合液、酢酸90重量%と水10重量%の混合液、及び酢酸95重量%と水5重量%の混合液を用い、液温70℃、又は80℃にて、脱水濃縮した。表2にその結果を示す。
表2の結果より、分離体Aのゼオライト膜は、透過流束Qが分離体Cのゼオライト膜のそれと比較して高かった。即ち、実施例2と比較例2、及び、実施例4と比較例6のように混合液の酢酸濃度と液温が同じものを比較した場合、透過流束Qは、分離体Aのゼオライト膜が分離体Cのゼオライト膜より比較的高いことが確認された。尚MFI型ゼオライトのみからなるゼオライト膜は、非特許文献4に記載されるように分離係数αが8〜24である。よって、本発明における分離体Aのゼオライト膜の分離係数は、従来のMFI型ゼオライトのみからなるゼオライト膜と比較して極めて高いことが確認された。
実施例6
前記で得られた分離体Aについて、実際の工業プロセスの条件である高温高圧条件下において膜透過分離性能をパーベーパレーション装置を用いて測定した。供給液はイソプロパノール50重量%と水50重量%の混合液を用いた。温度条件を90℃から130℃まで変えて透過分離性能を測定した。その結果、透過流束Qは、90℃における5.1kg/(m ・時間)から130℃における14.1kg/(m・時間)まで増加した。
又、分離係数αは、270から330まで変化した。各温度における透過流束Qと分離係数αを表3に示す。透過液中へのイソプロパノールの漏洩は高々0.4重量%であり、これは分離プロセスへの実用には充分の性能である。
尚、この実験中に分離体Aのゼオライト膜の性能の劣化は認められなかった。一方、既に商業化されているA型ゼオライト膜は前記実験条件のような含水量が50重量%に及ぶ高含水条件での脱水においては劣化しやすい。即ち、本発明におけるゼオライト膜は従来のゼオライト膜と比較して耐水性に極めて優れた性質を有するといえる。
以上により、本発明の、含水有機化合物の脱水濃縮方法は、従来の脱水濃縮方法に比べて耐水性、耐酸性、及び分離性能のいずれにも優れた性質を兼ね備えたものであり、含水有機化合物の脱水濃縮における産業上の利用可能性が極めて高いことが確認された。
1;第1分離体モジュール
2;第2分離体モジュール
3;冷却器
4;タンク
7;圧力スィング吸着装置
7a;第1吸着塔
7b;第2吸着塔
10;加熱手段
11;加熱器
12;蒸発器
13;加熱器
20;加熱手段
21;中間加熱器
51;供給ポンプ
52;循環ポンプ
53;循環ポンプ
54;真空ポンプ
55;排出ポンプ
61〜63;圧力制御弁
71;冷却器
72;冷却器

Claims (14)

  1. 無機多孔質支持体表面に分離膜としてのゼオライト膜を有する無機多孔質支持体−ゼオライト膜複合体からなる分離体が備えられた分離体モジュールに含水有機化合物を供給して該有機化合物を脱水濃縮するに当たり、ゼオライト膜として、2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層を有し、前記2以上の異なる種類のゼオライト結晶のうち少なくとも2以上が下記条件(1) 〜(3) におけるX線回折によるX線パターンにより検出され、且つ、水10重量%とイソプロピルアルコール90重量%の混合液を該混合液の液温75℃、大気圧条件下で浸透気化分離したとき、測定開始から45分後における透過流束Qが1kg/(m・時間)以上で、分離係数αが500以上であるゼオライト膜を用いることを特徴とする、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
    (1) 銅(Cu)のX線管球を用いること
    (2) X線の出力を1.2kWとすること
    (3) X線の波長を1.54058Åとすること
  2. ゼオライト膜が、X線回折によるX線パターンにおいて、
    (i) ピークトップの位置(2θの値)が6.4°以上6.6°以下、9.6°以上9.9°以下、13.3°以上13.6°以下、13.7°以上13.9°以下、及び22.1°以上22.4°以下のいずれか1以上の領域に存在し、且つ、
    (ii)ピークトップの位置(2θの値)が7.7°以上8.0°以下、8.6°以上8.9°未満、8.9°以上9.1°以下、22.8°以上23.1°未満、23.1°以上23.3°以下、23.5°以上23.7°未満、及び23.7°以上23.9°以下のいずれか1以上の領域に存在する、
    ゼオライト膜である請求項1に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  3. ゼオライト膜における2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層が、2以上の異なる種類のゼオライト結晶が混在する層である請求項1又は2に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  4. ゼオライト膜における2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層が、ゼオライト結晶を含む第一の層と前記第一の層とは種類が異なるゼオライト結晶を含む第二の層を有する積層体である請求項1又は2に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  5. ゼオライト膜における2以上の異なる種類のゼオライト結晶を含む層が、下記(a) 及び(b) の層が膜表層から膜内部に向かってこの順に積層された積層体である請求項4に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
    (a) 実質的にMOR型ゼオライトのみからなる層
    (b) MFI型ゼオライトを含む層
  6. 更に、下記(c) の層を有し、(a) 、(b) 、及び(c) の層が膜表層から膜内部に向かってこの順に積層された積層体である請求項5に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
    (c) MFI型ゼオライトを含み、且つ、金属、セラミックス、及び有機高分子のいずれか1種以上を含む混合層
  7. MFI型ゼオライトを含む層(b) が、更にMOR型ゼオライトが混在する層であり、MFI型ゼオライトを含み、且つ、金属、セラミックス、及び有機高分子のいずれか1種以上を含む混合層(c) が、更にMOR型ゼオライトが混在する混合層である請求項5又は6に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  8. 無機多孔質支持体が、アルミナ、シリカ、及びムライトの群から選ばれる少なくとも1
    種を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  9. 含水有機化合物が、含水有機酸である請求項1乃至8のいずれかに記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  10. 分離体モジュールの前段に配置された蒸留塔から分離された含水有機化合物の液体又は気体を分離膜モジュールに供給する請求項1乃至9のいずれかに記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  11. 蒸留塔の塔底および/または蒸留塔の途中段から分離された含水有機化合物の液体を分離膜モジュールに供給し、パーベーパレーション法により脱水濃縮する請求項10に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  12. 蒸留塔の塔頂および/または蒸留塔の途中段から分離された含水有機化合物の気体を分離膜モジュールに供給し、ベーパーパーミエーション法より脱水濃縮する請求項10に記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  13. 分離体モジュールの後段に配置された蒸留塔又は吸着装置に分離膜モジュールから分離された濃縮含水有機化合物の液体又は気体を供給し、更に脱水濃縮する請求項1乃至12のいずれかに記載の、含水有機化合物の脱水濃縮方法。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の分離体モジュールを有することを特徴とする、含水有機化合物の脱水濃縮装置。
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