JP2000262835A - 混合流体の分離装置及び分離法 - Google Patents

混合流体の分離装置及び分離法

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JP2000262835A JP11072714A JP7271499A JP2000262835A JP 2000262835 A JP2000262835 A JP 2000262835A JP 11072714 A JP11072714 A JP 11072714A JP 7271499 A JP7271499 A JP 7271499A JP 2000262835 A JP2000262835 A JP 2000262835A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明の混合流体の分離装置は、(I)
混合流体中の特定成分を選択的に吸着する吸着剤が充填
された、少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を有
し、それぞれの吸着塔が、該吸着塔からの吸着出口蒸気
を回収するための流路および吸着出口蒸気を他の吸着塔
へ導入するための流路を備えるとともに、上記各吸着塔
への混合流体の供給を切替えうる切替手段を有する圧力
スイング吸着手段と、(II)上記圧力スイング吸着手段
(I)における非吸着成分の濃度を上昇させる膜分離手
段とを備えたことを特徴としている。 【効果】 本発明によれば、第三成分を用いることな
く、混合流体をエネルギー効率よく回収でき、高純度の
製品を得ることができる。また、膜分離手段から圧力ス
イング吸着手段への高濃度成分のリサイクルによって、
高い回収率で混合流体の分離物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、混合流体中の成分を分
離するための装置および方法に関し、より詳しくは、圧
力スイング吸着手段と膜分離手段とを用いて、沸点の近
接している混合流体や、共沸を形成する混合流体に含ま
れる成分を分離精製する方法および装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】沸点の近接している混合物や、共
沸を形成する混合流体は、通常の蒸留で分離することは
困難である。このように沸点の近接している混合物や、
共沸を形成する混合物流体を各成分に分離する公知の方
法としては、新たな共沸を形成する第三成分を混合物流
体に加えて、蒸留分離を行う共沸蒸留や、抽出剤となる
第三成分を加えて、分離したい成分間の比揮発度を増加
させて分離させる抽出蒸留などが知られている。
【0003】しかしながら、第三成分を用いた共沸蒸留
や抽出蒸留による混合流体の分離は、補助材料である第
三成分をさらに混合する必要があるため、原料コストが
かさむという問題がある。また、第三成分を加えて増量
した原料を加熱、蒸発させるため、エネルギーを余分に
消費し、さらに第三成分の分離・回収等のために3〜4
塔の蒸留塔が必要となり設備コストが増大する問題があ
る。
【0004】このため混合流体中の成分を、第三成分を
用いずにエネルギー効率よく、また高回収率で分離する
装置および方法の開発が望まれていた。第三成分を用い
ずに混合流体を分離する方法としては、吸着分離法と膜
分離法とが挙げられる。このうち、吸着分離法として、
混合流体を吸着剤と接触させて特定成分の分離精製を行
う、圧力スイング分離法(PSA)および温度スイング
分離法(TSA)が知られている。
【0005】現在知られている温度スイング分離法は、
混合流体を液相で吸着剤と接触させて混合流体中の成分
を分離精製する方法が一般的である。この方法によれ
ば、吸着剤に吸着しない成分を高純度で得ることができ
るが、それ以外の成分を吸着した吸着剤を脱着再生する
際には、窒素ガスなどの不活性ガスを加熱して大量に使
用する必要があり、エネルギー消費量および窒素ガスな
どの補助原料の消費量が大きいという問題がある。ま
た、液相で吸着を行う場合に、吸着剤の金属成分が液相
中に溶解することのないよう、高純度で高価な吸着剤を
使用する必要があり、経済的でないという問題がある。
さらに温度スイング吸着法では、製品とする成分の回収
率が低いという問題がある。
【0006】圧力スイング分離法(PSA)は、一般に
ガス相で適用され、吸着される成分の分圧差に基づいて
吸脱着されるものである。この分離方法を商業的に用い
ている例としては、水素、窒素などの不活性ガスを、モ
レキュラーシーブなどの吸着剤を用いて常温で圧力スイ
ング分離する場合などが挙げられる。しかしながら、凝
縮性ガスを分離する場合には、高温となることが多く、
吸着性能の低下が懸念されてきた。また、PSA法では
脱着ガス中に製品である非吸着成分が少なからず含まれ
るため、製品の回収率が向上しないという問題があっ
た。
【0007】また、膜分離法は、省エネルギータイプの
分離手段として知られているが、膜分離に供する混合流
体の種類や混合比率により、膜のタイプや運転条件を適
切に選択しなければその効果が発揮できず、効果的な運
転条件の設定が困難であった。さらに、膜分離における
分離の駆動力は分圧差(濃度差)であることから、膜分
離法単独では混合流体を高度に分離することが困難であ
るという問題もあった。
【0008】このため、分離した製品の純度が高く、か
つ製品回収率が良好であって、しかも省エネルギーであ
る混合流体の分離プロセスの開発が強く望まれていた。
【0009】
【発明の目的】本発明は、混合流体を、第三成分を用い
ずにエネルギー効率よく、また高回収率で高純度に分離
できる経済性にも優れた装置および方法を提供すること
を目的とする。
【0010】
【発明の概要】本発明の混合流体の分離装置は、(I)
混合流体中の特定成分を選択的に吸着する吸着剤が充填
された、少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を有
し、それぞれの吸着塔が、該吸着塔からの吸着出口蒸気
を回収するための流路および吸着出口蒸気を他の吸着塔
へ導入するための流路を備えるとともに、上記各吸着塔
への混合流体の供給を切替えうる切替手段を有する圧力
スイング吸着手段と、(II)上記圧力スイング吸着手段
(I)における非吸着成分の濃度を上昇させる膜分離手
段とを備えたことを特徴としている。
【0011】また、本発明の混合流体の分離法は、上記
混合流体の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を
分離するに際して、(A)圧力スイング吸着工程と、
(B)膜分離工程とを有することを特徴としている。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の混合流体の分離装置は、(I)圧力ス
イング吸着手段と、(II)膜分離手段とを備えている。
また、本発明の混合流体の分離法は、この分離装置を用
いて行うものであって、(A)圧力スイング吸着工程
と、(B)膜分離工程とを有している。
【0013】圧力スイング吸着手段(I)および圧力ス
イング吸着工程(A) 本発明で用いる圧力スイング吸着手段は、少なくとも2
つの吸着剤充填塔(以下、吸着塔ということもある)
と、それぞれの吸着塔からの吸着出口蒸気を回収するた
めの流路と、吸着出口蒸気を他の吸着塔の脱着入口部へ
導入するための流路と、各吸着塔が、他の吸着塔へ吸着
出口蒸気を導入しうる切替手段を有している。本発明の
圧力スイング吸着工程はこの圧力スイング吸着手段を用
いて行う。
【0014】本発明では、圧力スイング吸着工程には、
原料である混合流体の全量を直接導入してもよく、ま
た、後述する膜分離装置を用いた膜分離工程によって、
原料混合流体中の非吸着成分の濃度を上昇させた混合流
体を導入してもよく、さらに、加熱器などの手段によっ
て非吸着成分の濃度を上昇させた混合流体を導入しても
よい。
【0015】本発明で用いる圧力スイング吸着手段は、
吸着塔の数が2基以上であればよいが、以下、態様の一
例を、吸着塔が2基である場合について図1により説明
する。本発明では、圧力スイング吸着工程を吸着塔にお
いて蒸気相で行うため、圧力スイング吸着工程の原料と
なる混合流体は、蒸気の形態で圧力スイング吸着塔に導
入される。このため圧力スイング吸着手段は、導入する
混合流体が液体である場合には、混合流体を吸着塔に導
入する前に、加熱蒸発させる手段を有する。
【0016】この加熱蒸発手段は、混合流体を蒸気とな
るまで加熱蒸発できるものであればよいが、吸着塔を経
て得られた非吸着成分蒸気と、圧力スイング吸着工程の
原料である混合流体との間で熱交換が行われるようにす
ると、エネルギー効率がよく特に好ましい。図1におい
て、圧力スイング吸着工程の原料である混合流体は、ラ
イン(112)から圧力スイング吸着手段に気相で導入さ
れる。混合流体が液相である場合には、圧力スイング吸
着手段への導入前の段階に、熱交換器や加熱器などを設
け、混合流体原料を所定温度まで加熱して気化し、蒸気
として圧力スイング吸着手段に供給する。このとき、圧
力スイング吸着手段のライン(115)から留出してくる
非吸着成分蒸気と原料との間で熱交換を行うのが好まし
い。混合流体が蒸気の形態で供給される場合には、熱交
換器や加熱器などは使用しなくてもよい。
【0017】圧力スイング吸着手段(I)は、吸着剤を
充填した固定床の吸着塔(105)、(106)と、吸着塔吸
着入口部(脱着出口部)において混合流体の導入と脱着
流体の回収とを切り替えるための切替え弁(101)、(1
02)、(103)、(104)と、吸着塔吸着出口(脱着入
口)部において非吸着成分蒸気の流出とパージガスの導
入とを切り替えるための切替え弁(107)、(108)、
(109)、(110)と、流量調整弁(111)とから構成さ
れている。
【0018】この構成では、これらの切替え弁の開閉を
操作するのみで、吸着塔(105)および(106)を吸着工
程(a)と脱着/昇圧工程(b)とに交互に供すること
ができる。すなわち、切替え弁(101)、(104)、(10
8)、(109)を開とし、(102)、(103)、(107)、
(110)を閉とすることで、ライン(112)から供給され
た混合流体蒸気は切替え弁(101)、ライン(113)をと
おり吸着塔(105)に供給される。吸着工程側の吸着塔
(105)では、混合流体中の吸着成分が選択的に吸着さ
れ、混合流体中の吸着剤に吸着しない非吸着成分の蒸気
がライン(114)、切替え弁(109)、ライン(115)を
とおり、必要に応じて圧力スイング吸着装置の前段に設
けた熱交換器(図示せず)で冷却され、製品である非吸
着成分が得られる。
【0019】一方、この間切替え弁(109)から流出す
る非吸着成分蒸気の一部は、パージガスとして、真空ポ
ンプおよび圧力調整弁によって、吸着塔(105)よりも
減圧に維持されている脱着/昇圧工程側の吸着塔(10
6)に、ライン(116)、流量調整弁(111)、ライン(1
17)および切替え弁(108)を通じて供給される。これ
により吸着塔(106)中の吸着剤に吸着された混合流体
中の吸着成分が脱着して吸着剤が再生され、吸着塔脱着
出口部よりライン(119)および切替え弁(104)を通じ
て脱着流体(気体または液体)が回収される。このと
き、流量調整弁(111)では、パージガスとして供給さ
れる非吸着成分蒸気の流量が調節される。
【0020】吸着工程側では、混合流体中の吸着成分が
凝縮性の場合、吸着剤に吸着する際に多量の吸着熱が発
生し蓄熱する。このため、吸着工程側の吸着塔吸着出口
部から留出する非吸着成分蒸気の一部をパージガスとし
て脱着/昇圧工程(b)に用いることにより、パージガ
スを加熱する手段を設けることなく、高温のパージガス
を脱着/昇圧工程側に供給することができ、脱着/昇圧
工程(b)による吸着剤再生を効率よく経済的に行うこ
とができる。このように混合流体中の吸着成分が凝縮性
の場合には、非吸着成分蒸気の一部をパージガスとして
使用することにより、加熱した不活性ガスを別途導入し
てパージガスとして用いる必要がない。
【0021】吸着塔(106)からの、脱着した吸着成分
と非吸着成分の一部を含んだ蒸気留出物は、ライン(11
9)、切替え弁(104)、ライン(120)を通じて後続す
る膜分離手段へ抜き出される。この脱着/昇圧工程
(b)は吸着工程(a)と並行して実施される。このよ
うに、吸着塔(105)を吸着工程側、吸着塔(106)を脱
着/昇圧工程側として、吸着工程(a)と脱着/昇圧工
程(b)とを一定時間同時に行ったあと、これに引き続
き、切替え弁(104)を閉じることにより吸着塔(106)
を非吸着成分蒸気の一部で昇圧し、吸着塔(105)と同
圧に近い圧力とする。
【0022】次に、切替え弁(102)、(103)、(10
7)、(110)を開とし、切替え弁(101)、(108)、
(109)を閉(切替え弁(104)は昇圧時にすでに閉とな
っている。)とすることで、吸着塔(105)は減圧され
て脱着/昇圧工程側に、吸着塔(106)は吸着工程側に
切り替わる。また同様に、吸着塔(105)を脱着/昇圧
工程側、吸着塔(106)を吸着工程側として一定時間運
転後、切替え弁(103)を閉として吸着塔(105)を非吸
着成分蒸気の一部で昇圧した後、切替え弁(101)、(1
04)、(108)、(109)を開とし、切替え弁(102)、
(107)、(110)を閉として、吸着工程側と脱着/昇圧
工程側とを切り替える。このような切替え弁の操作を一
定時間毎に交互に繰り返すことにより、圧力スイング吸
着装置の運転を行うことができる。
【0023】このように切替え弁の開閉操作により、吸
着塔(105)および(106)を、吸着工程(a)と脱着/
昇圧工程(b)とに交互に供することによって、混合流
体から連続的に高純度の非吸着成分と、吸着成分と非吸
着成分との混合物を得ることができる。本発明では、圧
力スイング吸着工程において、各工程に係る時間は特に
限定するものではないが、吸着工程(a)を行う吸着時
間は、吸着剤に吸着する吸着成分量が飽和に達するまで
の間であるのがよく、脱着/昇圧工程(b)を行う脱着
時間は、吸着成分を脱着して吸着剤を再生するために充
分な時間であるのがよく、また、切替時間は、脱着/昇
圧工程側を吸着工程側とほぼ同圧とするための時間が確
保できる時間であればよい。
【0024】これらの工程に要する時間は、混合流体中
の吸着成分量、供給原料蒸気量および流速、吸着剤の吸
着容量および吸着剤の量などにより異なるが、上記各条
件を満たせばよく、空気分離や水素分離などの一般的に
行われている圧力スイング吸着法での切替え時間と同様
でよい。吸着工程側においては、混合流体中の吸着成分
の吸着剤への吸着が蒸気で行われる必要があるため、吸
着塔に導入する混合流体蒸気が液化しないように、保温
施工あるいはスチームトレス施工などを行うのが効果的
である。
【0025】上述のように、本発明の方法を二塔式圧力
スイング吸着法に基づいて説明したが、本発明の混合流
体の分離装置および分離方法では、複数の吸着塔による
圧力スイング吸着法を用いればよく、三塔式、四塔式な
ど、吸着塔の数は特に限定されない。例えば、二塔式、
三塔式および四塔式の圧力スイング吸着手段を用いた場
合には、各塔における吸着工程と脱着/昇圧工程との運
転パターンは、図2に示す運転例により行うことができ
る。図2を参照して二塔式圧力スイング吸着手段を用い
た場合について述べると、吸着塔Aにおいて吸着工程を
行う間に、吸着塔Bにおいて減圧・脱着および昇圧を行
う脱着/昇圧工程を行い、両工程を切り替えて、吸着塔
Bにおいて吸着工程を行う間に吸着塔Aにおいて脱着/昇
圧工程を行うことができる。また、この運転パターンは
図2に示す運転例に限定されるものではなく、例えば四
塔の吸着塔を有する四塔式圧力スイング吸着手段におい
て、二塔で同時に吸着工程を行い、残る二塔で同時に脱
着/昇圧工程を行うことができる。このように、本発明
で行う圧力スイング吸着工程では、吸着工程側の吸着塔
から脱着/昇圧工程側の吸着塔へ適宜パージガスを供給
し、各工程を適宜切り替えて行う運転パターンをいずれ
も採用することができる。
【0026】本発明において、吸着塔に充填する吸着剤
は、原料である混合流体の特定成分を選択的に吸着し、
分離できる吸着剤であり、混合流体の分離により回収し
たい成分を吸着せず、それ以外の成分を吸着する吸着剤
を用いるのが望ましい。また、本発明で用いる吸着剤
は、原料である混合流体の蒸気を通気させて、特定成分
を選択的に吸着させるため、粒状で通気がよく、混合流
体中の吸着成分の吸着および脱着時にも形状安定性がよ
いこと、耐久性がよいことなどの条件を兼ね備えている
のが好ましい。
【0027】またさらに、混合流体中の成分に対して、
酸化還元反応、脱水反応、分解反応および重合反応など
の種々の反応に対する触媒活性を持たない吸着剤を用い
るのが好ましい。このような好ましい吸着剤としては、
分離対象である混合流体の成分に応じて適宜選択するの
がよいが、具体的には、たとえば、シリカゲル、活性ア
ルミナ、モレキュラーシーブ(合成および天然産ゼオラ
イト、カーボンモレキュラーシーブ等)、イオン交換樹
脂、硫酸塩無水物、炭酸塩無水物、活性炭、澱粉質、高
分子吸収剤および金属酸化物などが挙げられ、このうち
モレキュラーシーブが特に好ましく用いられる。モレキ
ュラーシーブは、比較的高温において、吸着の分圧依存
性が良いため特に好ましい。
【0028】モレキュラーシーブとしては、平均細孔直
径が0.2〜1.3nmである天然産ゼオライト、合成
ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等、市販の粒
状モレキュラーシーブをいずれも好適に用いることがで
きる。
【0029】膜分離手段(II)および膜分離工程(B) 次に、膜分離手段および膜分離工程について説明する。
本発明で用いる膜分離手段は、吸着成分と非吸着成分と
の混合物から、混合物中の非吸着成分濃度を、膜の非透
過側(一次側)もしくは透過側(二次側)のいずれか一
方において上昇させる膜を有するものであればよく、浸
透気化膜あるいはガス分離膜を有するのが特に好まし
い。また、この膜分離手段に用いられる膜は、本発明の
用途に応じて適宜選択して用いることができ、多孔性あ
るいは非多孔性の無機膜および有機膜のいずれであって
もよく、また、均質あるいは不均質の単独または複合膜
であってもよく、平膜、環状膜、中空糸膜などのいずれ
の形状であってもよい。
【0030】膜分離手段に用いる浸透気化膜としては、
たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステ
ル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リイミド、セルロース系高分子の単独または複合有機膜
などが挙げられ、これらを好ましく用いることができ
る。
【0031】また、膜分離手段に用いるガス分離膜とし
ては、テフロン等のフッ素化樹脂、ポリイミド、ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホ
ン、ポリセルロース、ポリシリコンなどの単独または複
合有機膜;バイコールガラス膜、アルミナ膜、ジルコニ
ア膜、ゼオライト膜、パラジウム合金膜などの無機膜;
などが挙げられ、これらを好ましく用いることができ
る。
【0032】混合流体の分離装置及び方法 本発明の混合流体の分離装置においては、上述の膜分離
手段(II)は、圧力スイング吸着手段(I)の上流側ま
たは下流側のいずれかに設けられる。膜分離手段(II)
が圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられる場
合、膜分離手段には、上記のようにして圧力スイング吸
着手段から抜き出された、吸着成分と非吸着成分との混
合物である脱着流体が導入される。
【0033】まず、浸透気化膜を有する膜分離手段(I
I)を圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けた場
合の態様の一例を図3により説明する。ライン(31
8)、熱交換器(305)、加熱器(306)を通じて、原料
混合流体の全量を圧力スイング吸着工程に供し、圧力ス
イング吸着手段(301)からライン(323)を通じて回収
された、吸着成分と非吸着成分との混合物である脱着流
体は、液相の状態で浸透気化膜を有する膜分離手段(30
2)に導入されるが、膜分離の際に透過側(二次側)に
おいて透過成分が気化するための熱が必要であるため、
圧力スイング吸着手段(301)から回収された脱着流体
を、加熱器(312)により加温した後にライン(326)を
通じて膜分離手段(302)へ導入する。
【0034】浸透気化膜を有する膜分離手段(302)で
は、浸透気化膜の非透過側(一次側)を液相とし、透過
側(二次側)を真空ポンプ(313)によって減圧された
気相として、脱着流体を、浸透気化膜を透過する成分と
透過しない成分とに分離することにより、透過側あるい
は非透過側のいずれかにおいて、圧力スイング吸着手段
における非吸着成分の濃度を上昇させることができる。
【0035】該膜分離手段(302)により得た、非吸着
成分(製品成分)の濃度が上昇した側の流体は、ライン
(327)を通じて、必要に応じて加熱蒸発させて圧力ス
イング吸着手段(301)へリサイクルして導入し、これ
によって、非吸着成分の回収率を高めることができる。
また、吸着成分の濃度が上昇した側の流体は、冷却器
(314)で液化された後、ポンプ(316)によってライン
(331)より系外に排出することができる。
【0036】このように、膜分離手段(II)が、圧力ス
イング吸着手段(I)の下流側に設けられた場合には、
本発明の混合流体の分離装置が、圧力スイング吸着手段
(I)の吸着塔脱着出口部より回収した脱着流体を膜分
離手段(II)に導入する手段を備えており、さらに膜分
離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇し
た流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させる手
段を有しているのが好ましい。
【0037】膜分離手段(II)が圧力スイング吸着手段
(I)の下流側に設けられた混合流体の分離装置が、膜
分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇
した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させる
リサイクル手段を有している場合には、上述のように、
製品成分となる非吸着成分の回収率を大幅に高めること
ができることとなる。
【0038】またこのような、膜分離手段(II)が、圧
力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられた本発明
の混合流体の分離装置を用いて、混合流体を分離する場
合には、上述の態様に示すように、 (A1)(a)混合流体の蒸気を一方の吸着塔に導入
し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着
成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、
(b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方
の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減
圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の
一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着してい
る特定成分を脱着し、続いて吸着塔内を吸着工程圧力ま
で上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程とを行う
とともに、上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)
とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイング吸着
工程。 (B1)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られ
る脱着流体を膜分離手段(II)に導入し、脱着流体中の
非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程。 (C1)膜分離工程で得られた非吸着成分濃度の上昇し
た流体を回収し、圧力スイング吸着工程(A1)に循環
供給する工程。の各工程を有する方法により混合流体を
分離するのが好ましい。
【0039】次に、膜分離手段(II)を圧力スイング吸
着手段(I)の上流側に設けた場合の態様を、上記と同
様、浸透気化膜を有する膜分離手段(II)の例で、図4
により説明する。本態様では、原料である混合流体の全
量と圧力スイング吸着手段(401)の脱着流体とを膜分
離手段(402)に導入する。すなわち、原料の混合流体
はライン(421)、(422)を経由して加熱器(405)で
加熱され膜分離手段(402)に導入されるが、圧力吸着
手段(401)からの脱着流体もライン(419)、(43
0)、(431)を経由し、加熱器(405)の前で上記原料
と混合され膜分離手段(402)に供給される。
【0040】浸透気化膜の膜分離手段(402)では、浸
透気化膜を透過する成分と透過しない成分とに分離され
るが、原料混合流体および脱着流体からの製品成分であ
る非透過側(一次側)の濃度を上昇させて、ライン(42
4)、(425)を経由するとともに加熱器(406)で加熱
され、気相で圧力スイング吸着手段(401)に供給され
る。
【0041】一方、製品成分を殆ど含まない透過側(二
次側)流体は、ライン(433)、冷却器(412)、ドラム
(413)を経由して系外に排出される。このようにし
て、圧力吸着手段(401)の上流側に浸透気化膜の膜分
離手段(402)を設けることにより、製品成分の濃度を
上昇させた流体を圧力吸着手段(401)に供給すること
ができ、吸着手段(401)での負荷を小さくすることがで
きるとともに製品の回収率を上げることができることと
なる。
【0042】次に上記の浸透気化膜をガス分離膜に替え
た膜分離手段(II)を圧力スイング吸着手段(I)の上
流側に設けた例について図5により説明する。原料であ
る混合流体は、気相でガス分離膜を有する膜分離手段
(502)に導入されるため、混合流体が液相である場合
には、熱交換器(503)、蒸発器(504)、加熱器(50
5)などで加熱蒸発させてガス分離膜を有する膜分離手
段(502)に導入する。ガス分離膜を有する膜分離手段
(502)では、ガス分離膜の非透過側(一次側)と透過
側(二次側)とでは100〜2000kPa程度の圧力
差を必要とするため、気相の脱着流体は、昇圧させた後
に膜分離手段(502)へ導入するのがよい。
【0043】ガス分離膜を有する膜分離手段(502)で
は、ガス分離膜を透過する成分と透過しない成分とに分
離することにより、圧力スイング吸着手段における非吸
着成分の濃度を上昇させることができる。該膜分離手段
(502)により得た、非吸着成分(製品成分)の濃度が
上昇した側の成分は、ライン(524)を通じて、圧力ス
イング吸着手段(501)へ導入し、高純度の非吸着成分
を回収する。一方、非吸着成分を殆ど含まない流体は、
ライン(531)、(532)を経由して系外に排出される。
【0044】また、圧力スイング吸着手段(501)から
ライン(530)を通じて回収された、吸着成分と非吸着
成分との混合物である脱着流体は、冷却器(508)、ド
ラム(509)、ポンプ(510)を経由して蒸発器(504)
に導入され、上記原料と混合されて加熱されて膜分離手
段(502)に供給される。すなわち、圧力吸着手段の脱
着流体をガス分離膜を有する膜分離手段(502)にリサ
イクルして導入することができ、それによって、非吸着
成分の回収率を高めることができる。
【0045】このように、膜分離手段(II)が、圧力ス
イング吸着手段(I)の上流側に設けられた場合にも製
品成分となる非吸着成分の回収率を高めることができ
る。またこのような、膜分離手段(II)が、圧力スイン
グ吸着手段(I)の上流側に設けられた本発明の混合流
体の分離装置を用いて、混合流体を分離する場合には、
上述の態様に示すように、 (B2)混合流体を膜分離手段に導入し、脱着流体中の
非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程。 (A2)(a)膜分離工程(B2)から得られる非吸着
成分濃度の上昇した流体の蒸気を、一方の吸着塔に導入
し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着
成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、
(b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方
の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減
圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の
一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着してい
る特定成分を脱着し、続いて吸着塔内を吸着工程圧力ま
で上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と、を行
うとともに、上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程
(b)とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイン
グ吸着工程。 (C2)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られ
る脱着流体を膜分離手段(II)に循環供給する工程。の
各工程を有する方法により混合流体を分離するのが好ま
しい。
【0046】本発明の混合流体の分離手段は、上述した
圧力スイング吸着手段(I)と、膜分離手段(II)とを
備えており、また、本発明の混合流体の分離法はこのよ
うな本発明の混合流体の分離手段を用いて行うことがで
きる。本発明の混合流体の分離手段および分離法によ
り、好適に分離できる混合流体としては、圧力スイング
吸着手段により分離が可能な混合流体を適宜用いること
ができるが、本発明は、共沸を形成する混合物など、一
般の蒸留操作で分離できない混合物を分離する場合に特
に効果的である。
【0047】本発明の原料となる混合流体として好適な
例としては、水分を含む親水性有機溶媒などが挙げら
れ、特に比較的少ない水分を含む親水性有機溶媒から、
水分を除去する場合などに好適に用いることができる。
たとえば、親水性有機溶媒と水との原料混合流体で、水
分量が通常20%以下程度である混合流体から水分を除
去する系では、以下のような態様が好ましく用いられ
る。
【0048】水分を含む親水性有機溶媒である原料混合
流体を熱交換器で加熱して80%程度気化し、さらにス
チームヒーターにより残留する液相を完全に気化して、
圧力スイング吸着手段(I)に導入し、吸着塔内に充填
された水分を選択的に吸着する吸着剤により、原料内の
水分を吸着させる。これにより水分をほぼ完全に除去さ
れた親水性有機溶媒蒸気が吸着塔吸着出口部より得ら
れ、これは前述の熱交換器により原料液と熱交換して凝
縮し、製品受槽に貯蔵される。
【0049】吸着剤に吸着された水分は、5分から60
分程度のサイクルで1〜100kPa程度の減圧下で脱
着される。脱着には水分を除去された親水性有機溶媒蒸
気をパージガスとして用いる。次にこの脱着ガス中の親
水性有機溶媒を回収するために、脱着ガスを液化した
後、浸透気化膜を有する膜分離手段(II)に導入する。
浸透気化膜としては、親水性有機溶媒蒸気を透過せず、
水のみを透過する浸透気化膜を用いるのが好ましい。膜
分離手段において、上述の水のみを透過させる浸透気化
膜を用いた場合には、膜の透過側(二次側)を1〜10
0kPa程度に真空ポンプで減圧し、水を選択的に透過
させる。この水分は凝縮器にて液化され、排水される。
これによって排水中の親水性有機溶媒量を少なくするこ
とができる。膜の非透過側(一次側)では、親水性有機
溶媒濃度が高まるが、親水性有機溶媒は、通常80%以
上の適当な濃度まで膜分離手段で濃縮して、圧力スイン
グ吸着手段にリサイクルする。これにより、脱着ガス中
の親水性有機溶媒が回収され、親水性有機溶媒の回収率
が向上する。
【0050】なお、親水性有機溶媒と水との原料混合流
体において、水分濃度が比較的多い場合には、原料混合
流体を液相のまま、先に浸透気化膜を有する膜分離手段
に導入して親水性有機溶媒をある程度濃縮し、次に親水
性有機溶媒が濃縮された混合流体を圧力スイング吸着手
段に導入して分離を行うと、圧力スイング吸着手段への
負荷が少なく、経済的に分離できるため好ましい。ま
た、液体性状に対してガス分離膜の透過性能が高い場合
や、原料混合流体が気相の場合には、浸透気化膜を有す
る膜分離手段よりも、ガス分離膜を用いるのが好まし
い。
【0051】このような本発明の混合流体の分離手段お
よび分離方法により、混合流体の分離を行うと、圧力ス
イング吸着手段のみまたは膜分離手段のみを用いて混合
流体の分離を行う場合と比較して、分離した成分の回収
率が大幅に向上する。また、本発明の分離手段および方
法によれば、連続運転が可能であり、少量の混合流体を
分離する場合においても、好適に使用でき、コストパフ
ォーマンスがよいという利点がある。また、膜分離によ
り圧力スイング吸着手段のみでは排液とされていた成分
も回収できるため、排液を最小にとどめることができ、
環境汚染に対しても効果的に混合流体の分離を行うこと
ができる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、第三成分を用いること
なく、混合流体をエネルギー効率よく回収でき、高純度
の製品を得ることができる。また、膜分離手段から圧力
スイング吸着手段への高濃度成分のリサイクルによっ
て、高い回収率で混合流体の分離物を得ることができ
る。
【0053】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0054】
【実施例1】<装置>混合流体の分離を行うにあたり、
圧力スイング吸着装置と浸透気化膜を有する膜分離装置
からなる、図3に示す混合流体分離装置を用いた。混合
流体分離装置を構成する圧力スイング吸着装置として
は、ステンレス製吸着塔(外径:60.5mm、内径:
54.9mm、長さ:1m)2本からなる、2塔式圧力
スイング吸着塔を用い、吸着剤として、水を選択的に吸
着する市販のゼオライト3A(東ソー(株)製、商品
名:ゼオラムA−3)を各吸着塔に2000gずつ充填
したものを用いた。また、膜分離装置としては、水蒸気
を透過しエタノール蒸気を透過しない、市販のポリビニ
ルアルコール系浸透気化膜(GFT社製、GFT膜)2
2を有する膜分離装置を用いた。 <混合流体の分離>共沸を形成する混合物である、エタ
ノール94重量%、水6重量%からなる混合流体を原料
として、原料供給速度400g/hで導入し、後記する
膜分離装置からの濃縮液392g/hと合流した。次い
で、熱交換器および加熱器により、90℃の蒸気とし
た。これを圧力スイング吸着装置に導入した。圧力スイ
ング吸着装置の運転条件は、吸着工程側の吸着塔内の初
期温度85℃、脱着/昇圧工程側の吸着塔内圧力(脱着
圧力)6.65kPaの条件であった。
【0055】圧力スイング吸着工程において、各工程の
設定時間は、吸着時間15分、脱着時間10分および昇
圧時間5分であって、1サイクルの所要時間は30分とし
た。圧力スイング吸着装置の吸着工程側では、水分が除
去された無水エタノールが吸着塔の吸着出口蒸気として
得られた。この吸着出口蒸気は、一部を除いて熱交換器
および冷却器で冷却し、製品とした。吸着工程側の吸着
塔の、吸着出口蒸気の一部は、脱着/昇圧工程側の吸着
塔脱着入口部からパージガスとして導入された。これに
より、脱着された水分とパージガスとして用いられた無
水エタノールの混合流体である脱着ガスは、脱着/昇圧
工程側の吸着塔脱着出口部より抜き出され、液化された
後に膜分離装置に供給された。脱着液の組成は、エタノ
ール80重量%、水20重量%であり、脱着液の流出量
は416g/hであった。
【0056】この脱着液を、加熱器にて95℃まで加温
した後、上記浸透気化膜を有する膜分離装置に全量導入
し、非透過側300kPa、透過側6.65kPaにて
膜分離を行ったところ、エタノールは膜の一次側におい
て90重量%まで濃縮された。この濃縮されたエタノー
ルは、圧力スイング吸着装置にリサイクルした。このと
き、膜分離装置からの排水量は26g/hであった。
【0057】この条件により連続的に混合流体の分離を
行ったところ、分離が安定した状態において製品として
得られた無水エタノールは、374g/hで純度99.
99重量%、回収率99.5%であった。
【0058】
【実施例2】<装置>実施例1において、浸透気化膜を
有する膜分離装置を圧力スイング吸着装置の上流に設け
た、図4に示す装置を用いた。 <混合流体の分離>イソプロパノール(IPA)70重
量%、水30重量%からなる混合流体原料515g/h
と、後記する圧力スイング吸着装置の脱着出口部より抜
き出し、液化されてリサイクルされる脱着液360g/
hとを合流した。次いでこの全量を加熱器にて加熱し、
浸透気化膜を有する膜分離装置に導入して膜分離を行っ
たところ、膜の非透過側(一次側)においてイソプロパ
ノールが90重量%まで濃縮され、717g/hで得ら
れた。次にこの濃縮されたイソプロパノールを主体とす
る液を、圧力スイング吸着装置から留出する製品蒸気と
の熱交換により加熱して混合蒸気とした後、圧力スイン
グ吸着装置に導入した。
【0059】一方、膜の透過側(二次側)は、圧力が
6.65kPaであり、99.4重量%の水が158g
/hで排出された。続いて、圧力スイング吸着装置に導
入された混合蒸気について、実施例1と同様の条件で圧
力スイング吸着工程を行ったところ、分離が安定した状
態において、純度99.99重量%の無水イソプロパノ
ール製品が357g/hで得られた。イソプロパノール
の回収率は99%であった。また、圧力スイング吸着工
程において、脱着/昇圧工程側より抜き出された脱着ガ
スは、イソプロパノール80重量%、水20重量%で流
量が360g/hの混合流体であり、前記したように浸
透気化膜を有する膜分離装置にリサイクルした。
【0060】
【実施例3】<装置>混合流体の分離を行うにあたり、
水蒸気を選択的に透過するガス分離膜(宇部興産(株)
製、ポリイミド膜)0.2m2を有する膜分離装置を、
実施例1で用いた圧力スイング吸着装置の上流側に設け
た、図5に示す混合流体分離装置を用いた。 <混合流体の分離>エタノール30重量%、水70重量
%からなる混合流体原料を、180g/hで供給した。
【0061】この原料混合流体を、圧力スイング吸着装
置から留出する製品ガスとの熱交換により加熱したあ
と、蒸発器において、後記する圧力スイング吸着装置か
らリサイクルされる脱着液24g/hと合流して90℃
まで加熱し、蒸発した204g/hをさらに加熱しガス
分離膜を有する膜分離装置に導入した。膜分離装置にお
いて、膜の透過側(二次側)の圧力が4.0kPaとな
る条件で膜分離を回分式で複数回行ったところ、膜の非
透過側(一次側)より、エタノール94重量%、水6重
量%の混合蒸気が、総計77g/h留出し、これを圧力
スイング吸着装置に導入した。
【0062】一方、膜分離装置において、膜の二次側の
ラインからは、水がほぼ100%の水蒸気が得られ、こ
れを冷却器で液化し127g/hで排出された。つづい
て圧力スイング吸着装置に導入された混合蒸気につい
て、実施例1と同様の条件で圧力スイング吸着工程を行
ったところ、分離が安定した状態において、純度99.
99重量%の無水エタノール製品が53g/hで得られ
た。エタノールの回収率は98%であった。また、圧力
スイング吸着装置において、脱着/昇圧工程側より抜き
出された脱着ガスはエタノール80重量%、水20重量
%であり、冷却器で液化した後、蒸発器にリサイクルし
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明で用いる圧力スイング吸着手
段の態様例を示す概略図である。
【図2】 図2は、二塔式、三塔式および四塔式の吸着
塔を用いた、圧力スイング吸着法の運転パターン例を示
す図である。
【図3】 図3は、浸透気化膜を有する膜分離装置を圧
力スイング吸着装置の下流側に備えた、本発明の分離装
置の態様例を示す概略図である。
【図4】 図4は、浸透気化膜を有する膜分離装置を圧
力スイング吸着装置の上流側に備えた、本発明の分離装
置の他の態様例を示す概略図である。
【図5】 図5は、ガス透過膜を有する膜分離装置を圧
力スイング吸着装置の上流側に備えた、本発明の分離装
置のさらに他の態様例を示す概略図である。
【符号の説明】
(105)、(106)… 吸着塔 (301)、(401)、(501)… 圧力スイング吸着部 (302)、(402)… 浸透気化膜を有する膜分離装置 (502)… ガス分離膜を有する膜分離装置 (313)、(414)、(513)… 真空ポンプ (504)… 蒸発器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海 野 洋 茨城県東茨城郡大洗町成田町2205 日揮株 式会社技術研究所内 (72)発明者 齋 藤 熹 敬 神奈川県川崎市川崎区浮島町10番8号 日 本合成アルコール株式会社川崎工場内 (72)発明者 茂 木 清 一 神奈川県川崎市川崎区浮島町10番8号 日 本合成アルコール株式会社川崎工場内 Fターム(参考) 4D006 GA41 KB12 MB03 MC33 MC58 PA03 PB20 PB65 PC80 4D012 CA20 CB16 CD07 CG05 CH08 CJ02 CK01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)混合流体中の特定成分を選択的に吸
    着する吸着剤が充填された、少なくとも2つの吸着剤充
    填塔(吸着塔)を有し、 それぞれの吸着塔が、該吸着塔からの吸着出口蒸気を回
    収するための流路および吸着出口蒸気を他の吸着塔へ導
    入するための流路を備えるとともに、上記各吸着塔への
    混合流体の供給を切替えうる切替手段を有する圧力スイ
    ング吸着手段と、(II)上記圧力スイング吸着手段
    (I)における非吸着成分の濃度を上昇させる膜分離手
    段とを備えたことを特徴とする混合流体の分離装置。
  2. 【請求項2】膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手
    段(I)の下流側に設けられ、 圧力スイング吸着手段(I)の吸着塔脱着出口部より回
    収した脱着流体を膜分離手段(II)に導入する手段と、 膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上
    昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させ
    る手段とを備えた請求項第1項に記載の混合流体の分離
    装置。
  3. 【請求項3】膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手
    段(I)の上流側に設けられ、 膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上
    昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に導入する
    手段と、 圧力スイング吸着手段(I)の吸着塔脱着出口部より回
    収した脱着流体を膜分離手段(II)に循環させる手段と
    を備えた請求項第1項に記載の混合流体の分離装置。
  4. 【請求項4】膜分離手段が、浸透気化膜を有する膜分離
    装置と、真空ポンプとを具備する、 請求項1〜3のいずれかに記載の混合流体の分離装置。
  5. 【請求項5】膜分離手段が、ガス分離膜を有する膜分離
    装置と、蒸発器および/またはコンプレッサーとを具備
    する、請求項1〜3のいずれかに記載の混合流体の分離
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の混合流体
    の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を分離する
    に際して、(A)圧力スイング吸着工程と、(B)膜分
    離工程とを有することを特徴とする混合流体の分離法。
  7. 【請求項7】請求項1または2に記載の混合流体の分離
    装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際し
    て、(A1)(a)混合流体の蒸気を一方の吸着塔に導
    入し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸
    着成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程
    と、 (b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方
    の吸着塔において、 圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記
    吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスと
    して供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着
    し、 続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇
    圧する、脱着/昇圧工程とを行うとともに、 上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替
    える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程と、 (B1)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られ
    る脱着流体を膜分離手段(II)に導入し、脱着流体中の
    非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程と、 (C1)膜分離工程で得られた非吸着成分濃度の上昇し
    た流体を回収し、圧力スイング吸着工程(A1)に循環
    供給する工程とを有することを特徴とする混合流体の分
    離法。
  8. 【請求項8】請求項1または3に記載の混合流体の分離
    装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際し
    て、(B2)混合流体を膜分離手段に導入し、脱着流体
    中の非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程と、(A
    2)(a)膜分離工程(B2)から得られる非吸着成分
    濃度の上昇した流体の蒸気を、一方の吸着塔に導入し、
    混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着成分
    を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、 (b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方
    の吸着塔において、 圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記
    吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスと
    して供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着
    し、 続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇
    圧する、 脱着/昇圧工程とを行うとともに、 上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替
    える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程と、 (C2)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られ
    る脱着流体を膜分離手段(II)に循環供給する工程とを
    有することを特徴とする混合流体の分離法。
  9. 【請求項9】脱着流体中の有用成分が、吸着剤非吸着成
    分である請求項6〜8のいずれかに記載の混合流体の分
    離法。
  10. 【請求項10】混合流体が、共沸を形成する混合物であ
    る請求項6〜9のいずれかに記載の混合流体の分離法。
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