JP3723693B2 - 混合流体の分離装置及び分離法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の技術分野】
本発明は、混合流体中の成分を分離するための装置および方法に関し、より詳しくは、圧力スイング吸着手段と膜分離手段とを用いて、沸点の近接している混合流体や、共沸を形成する混合流体に含まれる成分を分離精製する方法および装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
沸点の近接している混合物や、共沸を形成する混合流体は、通常の蒸留で分離することは困難である。このように沸点の近接している混合物や、共沸を形成する混合物流体を各成分に分離する公知の方法としては、新たな共沸を形成する第三成分を混合物流体に加えて、蒸留分離を行う共沸蒸留や、抽出剤となる第三成分を加えて、分離したい成分間の比揮発度を増加させて分離させる抽出蒸留などが知られている。
【0003】
しかしながら、第三成分を用いた共沸蒸留や抽出蒸留による混合流体の分離は、補助材料である第三成分をさらに混合する必要があるため、原料コストがかさむという問題がある。また、第三成分を加えて増量した原料を加熱、蒸発させるため、エネルギーを余分に消費し、さらに第三成分の分離・回収等のために3〜4塔の蒸留塔が必要となり設備コストが増大する問題がある。
【0004】
このため混合流体中の成分を、第三成分を用いずにエネルギー効率よく、また高回収率で分離する装置および方法の開発が望まれていた。
第三成分を用いずに混合流体を分離する方法としては、吸着分離法と膜分離法とが挙げられる。
このうち、吸着分離法として、混合流体を吸着剤と接触させて特定成分の分離精製を行う、圧力スイング分離法(PSA)および温度スイング分離法(TSA)が知られている。
【0005】
現在知られている温度スイング分離法は、混合流体を液相で吸着剤と接触させて混合流体中の成分を分離精製する方法が一般的である。この方法によれば、吸着剤に吸着しない成分を高純度で得ることができるが、それ以外の成分を吸着した吸着剤を脱着再生する際には、窒素ガスなどの不活性ガスを加熱して大量に使用する必要があり、エネルギー消費量および窒素ガスなどの補助原料の消費量が大きいという問題がある。また、液相で吸着を行う場合に、吸着剤の金属成分が液相中に溶解することのないよう、高純度で高価な吸着剤を使用する必要があり、経済的でないという問題がある。さらに温度スイング吸着法では、製品とする成分の回収率が低いという問題がある。
【0006】
圧力スイング分離法(PSA)は、一般にガス相で適用され、吸着される成分の分圧差に基づいて吸脱着されるものである。この分離方法を商業的に用いている例としては、水素、窒素などの不活性ガスを、モレキュラーシーブなどの吸着剤を用いて常温で圧力スイング分離する場合などが挙げられる。しかしながら、凝縮性ガスを分離する場合には、高温となることが多く、吸着性能の低下が懸念されてきた。また、PSA法では脱着ガス中に製品である非吸着成分が少なからず含まれるため、製品の回収率が向上しないという問題があった。
【0007】
また、膜分離法は、省エネルギータイプの分離手段として知られているが、膜分離に供する混合流体の種類や混合比率により、膜のタイプや運転条件を適切に選択しなければその効果が発揮できず、効果的な運転条件の設定が困難であった。
さらに、膜分離における分離の駆動力は分圧差(濃度差)であることから、膜分離法単独では混合流体を高度に分離することが困難であるという問題もあった。
【0008】
このため、分離した製品の純度が高く、かつ製品回収率が良好であって、しかも省エネルギーである混合流体の分離プロセスの開発が強く望まれていた。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、混合流体を、第三成分を用いずにエネルギー効率よく、また高回収率で高純度に分離できる経済性にも優れた装置および方法を提供することを目的とする。
【0010】
【発明の概要】
本発明の混合流体の分離装置は、水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する装置であって、
混合流体を加熱蒸発させる手段と、
(I)混合流体中の特定成分を選択的に吸着する吸着剤が充填された、少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を有し、
それぞれの吸着塔が、該吸着塔からの吸着出口蒸気を回収するための流路および吸着出口蒸気を他の吸着塔へ導入するための流路を備えるとともに、上記各吸着塔への混合流体の供給を切替えうる切替手段を有する圧力スイング吸着手段と、
(II)上記圧力スイング吸着手段(I)における非吸着成分の濃度を上昇させる膜分離手段と
を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の混合流体の分離法は、水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する方法であって、上記混合流体の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際して、(A)圧力スイング吸着工程と、(B)膜分離工程とを有することを特徴としている。
【0012】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。本発明の混合流体の分離装置は、混合流体を加熱蒸発させる手段と、(I)圧力スイング吸着手段と、(II)膜分離手段とを備えている。また、本発明の混合流体の分離法は、この分離装置を用いて行うものであって、(A)圧力スイング吸着工程と、(B)膜分離工程とを有している。
【0013】
圧力スイング吸着手段(I)および圧力スイング吸着工程(A)
本発明で用いる圧力スイング吸着手段は、少なくとも2つの吸着剤充填塔(以下、吸着塔ということもある)と、それぞれの吸着塔からの吸着出口蒸気を回収するための流路と、吸着出口蒸気を他の吸着塔の脱着入口部へ導入するための流路と、各吸着塔が、他の吸着塔へ吸着出口蒸気を導入しうる切替手段を有している。本発明の圧力スイング吸着工程はこの圧力スイング吸着手段を用いて行う。
【0014】
本発明では、圧力スイング吸着工程には、原料である混合流体の全量を直接導入してもよく、また、後述する膜分離装置を用いた膜分離工程によって、原料混合流体中の非吸着成分の濃度を上昇させた混合流体を導入してもよく、さらに、加熱器などの手段によって非吸着成分の濃度を上昇させた混合流体を導入してもよい。
【0015】
本発明で用いる圧力スイング吸着手段は、吸着塔の数が2基以上であればよいが、以下、態様の一例を、吸着塔が2基である場合について図1により説明する。
本発明では、圧力スイング吸着工程を吸着塔において蒸気相で行うため、圧力スイング吸着工程の原料となる混合流体は、蒸気の形態で圧力スイング吸着塔に導入される。このため圧力スイング吸着手段は、導入する混合流体が液体である場合には、混合流体を吸着塔に導入する前に、加熱蒸発させる手段を有する。
【0016】
この加熱蒸発手段は、混合流体を蒸気となるまで加熱蒸発できるものであればよいが、吸着塔を経て得られた非吸着成分蒸気と、圧力スイング吸着工程の原料である混合流体との間で熱交換が行われるようにすると、エネルギー効率がよく特に好ましい。
図1において、圧力スイング吸着工程の原料である混合流体は、ライン(112)から圧力スイング吸着手段に気相で導入される。混合流体が液相である場合には、圧力スイング吸着手段への導入前の段階に、熱交換器や加熱器などを設け、混合流体原料を所定温度まで加熱して気化し、蒸気として圧力スイング吸着手段に供給する。このとき、圧力スイング吸着手段のライン(115)から留出してくる非吸着成分蒸気と原料との間で熱交換を行うのが好ましい。混合流体が蒸気の形態で供給される場合には、熱交換器や加熱器などは使用しなくてもよい。
【0017】
圧力スイング吸着手段(I)は、吸着剤を充填した固定床の吸着塔(105)、(106)と、吸着塔吸着入口部(脱着出口部)において混合流体の導入と脱着流体の回収とを切り替えるための切替え弁(101)、(102)、(103)、(104)と、吸着塔吸着出口(脱着入口)部において非吸着成分蒸気の流出とパージガスの導入とを切り替えるための切替え弁(107)、(108)、(109)、(110)と、流量調整弁(111)とから構成されている。
【0018】
この構成では、これらの切替え弁の開閉を操作するのみで、吸着塔(105)および(106)を吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とに交互に供することができる。
すなわち、切替え弁(101)、(104)、(108)、(109)を開とし、(102)、(103)、(107)、(110)を閉とすることで、ライン(112)から供給された混合流体蒸気は切替え弁(101)、ライン(113)をとおり吸着塔(105)に供給される。吸着工程側の吸着塔(105)では、混合流体中の吸着成分が選択的に吸着され、混合流体中の吸着剤に吸着しない非吸着成分の蒸気がライン(114)、切替え弁(109)、ライン(115)をとおり、必要に応じて圧力スイング吸着装置の前段に設けた熱交換器(図示せず)で冷却され、製品である非吸着成分が得られる。
【0019】
一方、この間切替え弁(109)から流出する非吸着成分蒸気の一部は、パージガスとして、真空ポンプおよび圧力調整弁によって、吸着塔(105)よりも減圧に維持されている脱着/昇圧工程側の吸着塔(106)に、ライン(116)、流量調整弁(111)、ライン(117)および切替え弁(108)を通じて供給される。これにより吸着塔(106)中の吸着剤に吸着された混合流体中の吸着成分が脱着して吸着剤が再生され、吸着塔脱着出口部よりライン(119)および切替え弁(104)を通じて脱着流体(気体または液体)が回収される。このとき、流量調整弁(111)では、パージガスとして供給される非吸着成分蒸気の流量が調節される。
【0020】
吸着工程側では、混合流体中の吸着成分が凝縮性の場合、吸着剤に吸着する際に多量の吸着熱が発生し蓄熱する。このため、吸着工程側の吸着塔吸着出口部から留出する非吸着成分蒸気の一部をパージガスとして脱着/昇圧工程(b)に用いることにより、パージガスを加熱する手段を設けることなく、高温のパージガスを脱着/昇圧工程側に供給することができ、脱着/昇圧工程(b)による吸着剤再生を効率よく経済的に行うことができる。このように混合流体中の吸着成分が凝縮性の場合には、非吸着成分蒸気の一部をパージガスとして使用することにより、加熱した不活性ガスを別途導入してパージガスとして用いる必要がない。
【0021】
吸着塔(106)からの、脱着した吸着成分と非吸着成分の一部を含んだ蒸気留出物は、ライン(119)、切替え弁(104)、ライン(120)を通じて後続する膜分離手段へ抜き出される。この脱着/昇圧工程(b)は吸着工程(a)と並行して実施される。
このように、吸着塔(105)を吸着工程側、吸着塔(106)を脱着/昇圧工程側として、吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを一定時間同時に行ったあと、これに引き続き、切替え弁(104)を閉じることにより吸着塔(106)を非吸着成分蒸気の一部で昇圧し、吸着塔(105)と同圧に近い圧力とする。
【0022】
次に、切替え弁(102)、(103)、(107)、(110)を開とし、切替え弁(101)、(108)、(109)を閉(切替え弁(104)は昇圧時にすでに閉となっている。)とすることで、吸着塔(105)は減圧されて脱着/昇圧工程側に、吸着塔(106)は吸着工程側に切り替わる。
また同様に、吸着塔(105)を脱着/昇圧工程側、吸着塔(106)を吸着工程側として一定時間運転後、切替え弁(103)を閉として吸着塔(105)を非吸着成分蒸気の一部で昇圧した後、切替え弁(101)、(104)、(108)、(109)を開とし、切替え弁(102)、(107)、(110)を閉として、吸着工程側と脱着/昇圧工程側とを切り替える。このような切替え弁の操作を一定時間毎に交互に繰り返すことにより、圧力スイング吸着装置の運転を行うことができる。
【0023】
このように切替え弁の開閉操作により、吸着塔(105)および(106)を、吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とに交互に供することによって、混合流体から連続的に高純度の非吸着成分と、吸着成分と非吸着成分との混合物を得ることができる。
本発明では、圧力スイング吸着工程において、各工程に係る時間は特に限定するものではないが、吸着工程(a)を行う吸着時間は、吸着剤に吸着する吸着成分量が飽和に達するまでの間であるのがよく、脱着/昇圧工程(b)を行う脱着時間は、吸着成分を脱着して吸着剤を再生するために充分な時間であるのがよく、また、切替時間は、脱着/昇圧工程側を吸着工程側とほぼ同圧とするための時間が確保できる時間であればよい。
【0024】
これらの工程に要する時間は、混合流体中の吸着成分量、供給原料蒸気量および流速、吸着剤の吸着容量および吸着剤の量などにより異なるが、上記各条件を満たせばよく、空気分離や水素分離などの一般的に行われている圧力スイング吸着法での切替え時間と同様でよい。
吸着工程側においては、混合流体中の吸着成分の吸着剤への吸着が蒸気で行われる必要があるため、吸着塔に導入する混合流体蒸気が液化しないように、保温施工あるいはスチームトレス施工などを行うのが効果的である。
【0025】
上述のように、本発明の方法を二塔式圧力スイング吸着法に基づいて説明したが、本発明の混合流体の分離装置および分離方法では、複数の吸着塔による圧力スイング吸着法を用いればよく、三塔式、四塔式など、吸着塔の数は特に限定されない。
例えば、二塔式、三塔式および四塔式の圧力スイング吸着手段を用いた場合には、各塔における吸着工程と脱着/昇圧工程との運転パターンは、図2に示す運転例により行うことができる。図2を参照して二塔式圧力スイング吸着手段を用いた場合について述べると、吸着塔Aにおいて吸着工程を行う間に、吸着塔Bにおいて減圧・脱着および昇圧を行う脱着/昇圧工程を行い、両工程を切り替えて、吸着塔Bにおいて吸着工程を行う間に吸着塔Aにおいて脱着/昇圧工程を行うことができる。また、この運転パターンは図2に示す運転例に限定されるものではなく、例えば四塔の吸着塔を有する四塔式圧力スイング吸着手段において、二塔で同時に吸着工程を行い、残る二塔で同時に脱着/昇圧工程を行うことができる。このように、本発明で行う圧力スイング吸着工程では、吸着工程側の吸着塔から脱着/昇圧工程側の吸着塔へ適宜パージガスを供給し、各工程を適宜切り替えて行う運転パターンをいずれも採用することができる。
【0026】
本発明において、吸着塔に充填する吸着剤は、原料である混合流体の特定成分を選択的に吸着し、分離できる吸着剤であり、混合流体の分離により回収したい成分を吸着せず、それ以外の成分を吸着する吸着剤を用いるのが望ましい。
また、本発明で用いる吸着剤は、原料である混合流体の蒸気を通気させて、特定成分を選択的に吸着させるため、粒状で通気がよく、混合流体中の吸着成分の吸着および脱着時にも形状安定性がよいこと、耐久性がよいことなどの条件を兼ね備えているのが好ましい。
【0027】
またさらに、混合流体中の成分に対して、酸化還元反応、脱水反応、分解反応および重合反応などの種々の反応に対する触媒活性を持たない吸着剤を用いるのが好ましい。
このような好ましい吸着剤としては、分離対象である混合流体の成分に応じて適宜選択するのがよいが、具体的には、たとえば、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ(合成および天然産ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等)、イオン交換樹脂、硫酸塩無水物、炭酸塩無水物、活性炭、澱粉質、高分子吸収剤および金属酸化物などが挙げられ、このうちモレキュラーシーブが特に好ましく用いられる。モレキュラーシーブは、比較的高温において、吸着の分圧依存性が良いため特に好ましい。
【0028】
モレキュラーシーブとしては、平均細孔直径が0.2〜1.3nmである天然産ゼオライト、合成ゼオライト、カーボンモレキュラーシーブ等、市販の粒状モレキュラーシーブをいずれも好適に用いることができる。
【0029】
膜分離手段( II )および膜分離工程(B)
次に、膜分離手段および膜分離工程について説明する。
本発明で用いる膜分離手段は、吸着成分と非吸着成分との混合物から、混合物中の非吸着成分濃度を、膜の非透過側(一次側)もしくは透過側(二次側)のいずれか一方において上昇させる膜を有するものであればよく、浸透気化膜あるいはガス分離膜を有するのが特に好ましい。
また、この膜分離手段に用いられる膜は、本発明の用途に応じて適宜選択して用いることができ、多孔性あるいは非多孔性の無機膜および有機膜のいずれであってもよく、また、均質あるいは不均質の単独または複合膜であってもよく、平膜、環状膜、中空糸膜などのいずれの形状であってもよい。
【0030】
膜分離手段に用いる浸透気化膜としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース系高分子の単独または複合有機膜などが挙げられ、これらを好ましく用いることができる。
【0031】
また、膜分離手段に用いるガス分離膜としては、テフロン等のフッ素化樹脂、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリセルロース、ポリシリコンなどの単独または複合有機膜;バイコールガラス膜、アルミナ膜、ジルコニア膜、ゼオライト膜、パラジウム合金膜などの無機膜;などが挙げられ、これらを好ましく用いることができる。
【0032】
混合流体の分離装置及び方法
本発明の混合流体の分離装置においては、上述の膜分離手段(II)は、圧力スイング吸着手段(I)の上流側または下流側のいずれかに設けられる。
膜分離手段(II)が圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられる場合、膜分離手段には、上記のようにして圧力スイング吸着手段から抜き出された、吸着成分と非吸着成分との混合物である脱着流体が導入される。
【0033】
まず、浸透気化膜を有する膜分離手段(II)を圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けた場合の態様の一例を図3により説明する。
ライン(318)、熱交換器(305)、加熱器(306)を通じて、原料混合流体の全量を圧力スイング吸着工程に供し、圧力スイング吸着手段(301)からライン(323)を通じて回収された、吸着成分と非吸着成分との混合物である脱着流体は、液相の状態で浸透気化膜を有する膜分離手段(302)に導入されるが、膜分離の際に透過側(二次側)において透過成分が気化するための熱が必要であるため、圧力スイング吸着手段(301)から回収された脱着流体を、加熱器(312)により加温した後にライン(326)を通じて膜分離手段(302)へ導入する。
【0034】
浸透気化膜を有する膜分離手段(302)では、浸透気化膜の非透過側(一次側)を液相とし、透過側(二次側)を真空ポンプ(313)によって減圧された気相として、脱着流体を、浸透気化膜を透過する成分と透過しない成分とに分離することにより、透過側あるいは非透過側のいずれかにおいて、圧力スイング吸着手段における非吸着成分の濃度を上昇させることができる。
【0035】
該膜分離手段(302)により得た、非吸着成分(製品成分)の濃度が上昇した側の流体は、ライン(327)を通じて、必要に応じて加熱蒸発させて圧力スイング吸着手段(301)へリサイクルして導入し、これによって、非吸着成分の回収率を高めることができる。
また、吸着成分の濃度が上昇した側の流体は、冷却器(314)で液化された後、ポンプ(316)によってライン(331)より系外に排出することができる。
【0036】
このように、膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられた場合には、本発明の混合流体の分離装置が、圧力スイング吸着手段(I)の吸着塔脱着出口部より回収した脱着流体を膜分離手段(II)に導入する手段を備えており、さらに膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させる手段を有しているのが好ましい。
【0037】
膜分離手段(II)が圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられた混合流体の分離装置が、膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させるリサイクル手段を有している場合には、上述のように、製品成分となる非吸着成分の回収率を大幅に高めることができることとなる。
【0038】
またこのような、膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられた本発明の混合流体の分離装置を用いて、混合流体を分離する場合には、上述の態様に示すように、
(A1)(a)混合流体の蒸気を一方の吸着塔に導入し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、
(b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方の吸着塔において、
圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着し、
続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、
脱着/昇圧工程と
を行うとともに、
上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程。
(B1)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られる脱着流体を膜分離手段(II)に導入し、脱着流体中の非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程。
(C1)膜分離工程で得られた非吸着成分濃度の上昇した流体を回収し、圧力スイング吸着工程(A1)に循環供給する工程。
の各工程を有する方法により混合流体を分離するのが好ましい。
【0039】
次に、膜分離手段(II)を圧力スイング吸着手段(I)の上流側に設けた場合の態様を、上記と同様、浸透気化膜を有する膜分離手段(II)の例で、図4により説明する。
本態様では、原料である混合流体の全量と圧力スイング吸着手段(401)の脱着流体とを膜分離手段(402)に導入する。すなわち、原料の混合流体はライン(421)、(422)を経由して加熱器(405)で加熱され膜分離手段(402)に導入されるが、圧力吸着手段(401)からの脱着流体もライン(419)、(430)、(431)を経由し、加熱器(405)の前で上記原料と混合され膜分離手段(402)に供給される。
【0040】
浸透気化膜の膜分離手段(402)では、浸透気化膜を透過する成分と透過しない成分とに分離されるが、原料混合流体および脱着流体からの製品成分である非透過側(一次側)の濃度を上昇させて、ライン(424)、(425)を経由するとともに加熱器(406)で加熱され、気相で圧力スイング吸着手段(401)に供給される。
【0041】
一方、製品成分を殆ど含まない透過側(二次側)流体は、ライン(433)、冷却器(412)、ドラム(413)を経由して系外に排出される。
このようにして、圧力吸着手段(401)の上流側に浸透気化膜の膜分離手段(402)を設けることにより、製品成分の濃度を上昇させた流体を圧力吸着手段(401)に供給することができ、吸着手段(401)での負荷を小さくすることができるとともに製品の回収率を上げることができることとなる。
【0042】
次に上記の浸透気化膜をガス分離膜に替えた膜分離手段(II)を圧力スイング吸着手段(I)の上流側に設けた例について図5により説明する。
原料である混合流体は、気相でガス分離膜を有する膜分離手段(502)に導入されるため、混合流体が液相である場合には、熱交換器(503)、蒸発器(504)、加熱器(505)などで加熱蒸発させてガス分離膜を有する膜分離手段(502)に導入する。ガス分離膜を有する膜分離手段(502)では、ガス分離膜の非透過側(一次側)と透過側(二次側)とでは100〜2000kPa程度の圧力差を必要とするため、気相の脱着流体は、昇圧させた後に膜分離手段(502)へ導入するのがよい。
【0043】
ガス分離膜を有する膜分離手段(502)では、ガス分離膜を透過する成分と透過しない成分とに分離することにより、圧力スイング吸着手段における非吸着成分の濃度を上昇させることができる。
該膜分離手段(502)により得た、非吸着成分(製品成分)の濃度が上昇した側の成分は、ライン(524)を通じて、圧力スイング吸着手段(501)へ導入し、高純度の非吸着成分を回収する。一方、非吸着成分を殆ど含まない流体は、ライン(531)、(532)を経由して系外に排出される。
【0044】
また、圧力スイング吸着手段(501)からライン(530)を通じて回収された、吸着成分と非吸着成分との混合物である脱着流体は、冷却器(508)、ドラム(509)、ポンプ(510)を経由して蒸発器(504)に導入され、上記原料と混合されて加熱されて膜分離手段(502)に供給される。すなわち、圧力吸着手段の脱着流体をガス分離膜を有する膜分離手段(502)にリサイクルして導入することができ、それによって、非吸着成分の回収率を高めることができる。
【0045】
このように、膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の上流側に設けられた場合にも製品成分となる非吸着成分の回収率を高めることができる。
またこのような、膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の上流側に設けられた本発明の混合流体の分離装置を用いて、混合流体を分離する場合には、上述の態様に示すように、
(B2)混合流体を膜分離手段に導入し、脱着流体中の非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程。
(A2)(a)膜分離工程(B2)から得られる非吸着成分濃度の上昇した流体の蒸気を、一方の吸着塔に導入し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、
(b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方の吸着塔において、
圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着し、
続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、
脱着/昇圧工程と、
を行うとともに、
上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程。
(C2)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られる脱着流体を膜分離手段(II)に循環供給する工程。
の各工程を有する方法により混合流体を分離するのが好ましい。
【0046】
本発明の混合流体の分離手段は、上述した圧力スイング吸着手段(I)と、膜分離手段(II)とを備えており、また、本発明の混合流体の分離法はこのような本発明の混合流体の分離手段を用いて行うことができる。
本発明の混合流体の分離手段および分離法により、好適に分離できる混合流体としては、圧力スイング吸着手段により分離が可能な混合流体を適宜用いることができるが、本発明は、共沸を形成する混合物など、一般の蒸留操作で分離できない混合物を分離する場合に特に効果的である。
【0047】
本発明の原料となる混合流体は、水分を含む親水性有機溶媒であり、特に比較的少ない水分を含む親水性有機溶媒から、水分を除去する場合などに好適に用いることができる。たとえば、親水性有機溶媒と水との原料混合流体で、水分量が通常20%以下程度である混合流体から水分を除去する系では、以下のような態様が好ましく用いられる。
【0048】
水分を含む親水性有機溶媒である原料混合流体を熱交換器で加熱して80%程度気化し、さらにスチームヒーターにより残留する液相を完全に気化して、圧力スイング吸着手段(I)に導入し、吸着塔内に充填された水分を選択的に吸着する吸着剤により、原料内の水分を吸着させる。これにより水分をほぼ完全に除去された親水性有機溶媒蒸気が吸着塔吸着出口部より得られ、これは前述の熱交換器により原料液と熱交換して凝縮し、製品受槽に貯蔵される。
【0049】
吸着剤に吸着された水分は、5分から60分程度のサイクルで1〜100kPa程度の減圧下で脱着される。脱着には水分を除去された親水性有機溶媒蒸気をパージガスとして用いる。
次にこの脱着ガス中の親水性有機溶媒を回収するために、脱着ガスを液化した後、浸透気化膜を有する膜分離手段(II)に導入する。浸透気化膜としては、親水性有機溶媒蒸気を透過せず、水のみを透過する浸透気化膜を用いるのが好ましい。膜分離手段において、上述の水のみを透過させる浸透気化膜を用いた場合には、膜の透過側(二次側)を1〜100kPa程度に真空ポンプで減圧し、水を選択的に透過させる。この水分は凝縮器にて液化され、排水される。これによって排水中の親水性有機溶媒量を少なくすることができる。膜の非透過側(一次側)では、親水性有機溶媒濃度が高まるが、親水性有機溶媒は、通常80%以上の適当な濃度まで膜分離手段で濃縮して、圧力スイング吸着手段にリサイクルする。これにより、脱着ガス中の親水性有機溶媒が回収され、親水性有機溶媒の回収率が向上する。
【0050】
なお、親水性有機溶媒と水との原料混合流体において、水分濃度が比較的多い場合には、原料混合流体を液相のまま、先に浸透気化膜を有する膜分離手段に導入して親水性有機溶媒をある程度濃縮し、次に親水性有機溶媒が濃縮された混合流体を圧力スイング吸着手段に導入して分離を行うと、圧力スイング吸着手段への負荷が少なく、経済的に分離できるため好ましい。また、液体性状に対してガス分離膜の透過性能が高い場合や、原料混合流体が気相の場合には、浸透気化膜を有する膜分離手段よりも、ガス分離膜を用いるのが好ましい。
【0051】
このような本発明の混合流体の分離手段および分離方法により、混合流体の分離を行うと、圧力スイング吸着手段のみまたは膜分離手段のみを用いて混合流体の分離を行う場合と比較して、分離した成分の回収率が大幅に向上する。
また、本発明の分離手段および方法によれば、連続運転が可能であり、少量の混合流体を分離する場合においても、好適に使用でき、コストパフォーマンスがよいという利点がある。また、膜分離により圧力スイング吸着手段のみでは排液とされていた成分も回収できるため、排液を最小にとどめることができ、環境汚染に対しても効果的に混合流体の分離を行うことができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、第三成分を用いることなく、混合流体をエネルギー効率よく回収でき、高純度の製品を得ることができる。また、膜分離手段から圧力スイング吸着手段への高濃度成分のリサイクルによって、高い回収率で混合流体の分離物を得ることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
【実施例1】
<装置>
混合流体の分離を行うにあたり、圧力スイング吸着装置と浸透気化膜を有する膜分離装置からなる、図3に示す混合流体分離装置を用いた。
混合流体分離装置を構成する圧力スイング吸着装置としては、ステンレス製吸着塔(外径:60.5mm、内径:54.9mm、長さ:1m)2本からなる、2塔式圧力スイング吸着塔を用い、吸着剤として、水を選択的に吸着する市販のゼオライト3A(東ソー(株)製、商品名:ゼオラムA−3)を各吸着塔に2000gずつ充填したものを用いた。また、膜分離装置としては、水蒸気を透過しエタノール蒸気を透過しない、市販のポリビニルアルコール系浸透気化膜(GFT社製、GFT膜)2m2を有する膜分離装置を用いた。
<混合流体の分離>
共沸を形成する混合物である、エタノール94重量%、水6重量%からなる混合流体を原料として、原料供給速度400g/hで導入し、後記する膜分離装置からの濃縮液392g/hと合流した。次いで、熱交換器および加熱器により、90℃の蒸気とした。これを圧力スイング吸着装置に導入した。圧力スイング吸着装置の運転条件は、吸着工程側の吸着塔内の初期温度85℃、脱着/昇圧工程側の吸着塔内圧力(脱着圧力)6.65kPaの条件であった。
【0055】
圧力スイング吸着工程において、各工程の設定時間は、吸着時間15分、脱着時間10分および昇圧時間5分であって、1サイクルの所要時間は30分とした。圧力スイング吸着装置の吸着工程側では、水分が除去された無水エタノールが吸着塔の吸着出口蒸気として得られた。この吸着出口蒸気は、一部を除いて熱交換器および冷却器で冷却し、製品とした。吸着工程側の吸着塔の、吸着出口蒸気の一部は、脱着/昇圧工程側の吸着塔脱着入口部からパージガスとして導入された。これにより、脱着された水分とパージガスとして用いられた無水エタノールの混合流体である脱着ガスは、脱着/昇圧工程側の吸着塔脱着出口部より抜き出され、液化された後に膜分離装置に供給された。脱着液の組成は、エタノール80重量%、水20重量%であり、脱着液の流出量は416g/hであった。
【0056】
この脱着液を、加熱器にて95℃まで加温した後、上記浸透気化膜を有する膜分離装置に全量導入し、非透過側300kPa、透過側6.65kPaにて膜分離を行ったところ、エタノールは膜の一次側において90重量%まで濃縮された。この濃縮されたエタノールは、圧力スイング吸着装置にリサイクルした。このとき、膜分離装置からの排水量は26g/hであった。
【0057】
この条件により連続的に混合流体の分離を行ったところ、分離が安定した状態において製品として得られた無水エタノールは、374g/hで純度99.99重量%、回収率99.5%であった。
【0058】
【実施例2】
<装置>
実施例1において、浸透気化膜を有する膜分離装置を圧力スイング吸着装置の上流に設けた、図4に示す装置を用いた。
<混合流体の分離>
イソプロパノール(IPA)70重量%、水30重量%からなる混合流体原料515g/hと、後記する圧力スイング吸着装置の脱着出口部より抜き出し、液化されてリサイクルされる脱着液360g/hとを合流した。次いでこの全量を加熱器にて加熱し、浸透気化膜を有する膜分離装置に導入して膜分離を行ったところ、膜の非透過側(一次側)においてイソプロパノールが90重量%まで濃縮され、717g/hで得られた。次にこの濃縮されたイソプロパノールを主体とする液を、圧力スイング吸着装置から留出する製品蒸気との熱交換により加熱して混合蒸気とした後、圧力スイング吸着装置に導入した。
【0059】
一方、膜の透過側(二次側)は、圧力が6.65kPaであり、99.4重量%の水が158g/hで排出された。
続いて、圧力スイング吸着装置に導入された混合蒸気について、実施例1と同様の条件で圧力スイング吸着工程を行ったところ、分離が安定した状態において、純度99.99重量%の無水イソプロパノール製品が357g/hで得られた。イソプロパノールの回収率は99%であった。また、圧力スイング吸着工程において、脱着/昇圧工程側より抜き出された脱着ガスは、イソプロパノール80重量%、水20重量%で流量が360g/hの混合流体であり、前記したように浸透気化膜を有する膜分離装置にリサイクルした。
【0060】
【実施例3】
<装置>
混合流体の分離を行うにあたり、水蒸気を選択的に透過するガス分離膜(宇部興産(株)製、ポリイミド膜)0.2m2を有する膜分離装置を、実施例1で用いた圧力スイング吸着装置の上流側に設けた、図5に示す混合流体分離装置を用いた。
<混合流体の分離>
エタノール30重量%、水70重量%からなる混合流体原料を、180g/hで供給した。
【0061】
この原料混合流体を、圧力スイング吸着装置から留出する製品ガスとの熱交換により加熱したあと、蒸発器において、後記する圧力スイング吸着装置からリサイクルされる脱着液24g/hと合流して90℃まで加熱し、蒸発した204g/hをさらに加熱しガス分離膜を有する膜分離装置に導入した。
膜分離装置において、膜の透過側(二次側)の圧力が4.0kPaとなる条件で膜分離を回分式で複数回行ったところ、膜の非透過側(一次側)より、エタノール94重量%、水6重量%の混合蒸気が、総計77g/h留出し、これを圧力スイング吸着装置に導入した。
【0062】
一方、膜分離装置において、膜の二次側のラインからは、水がほぼ100%の水蒸気が得られ、これを冷却器で液化し127g/hで排出された。
つづいて圧力スイング吸着装置に導入された混合蒸気について、実施例1と同様の条件で圧力スイング吸着工程を行ったところ、分離が安定した状態において、純度99.99重量%の無水エタノール製品が53g/hで得られた。エタノールの回収率は98%であった。また、圧力スイング吸着装置において、脱着/昇圧工程側より抜き出された脱着ガスはエタノール80重量%、水20重量%であり、冷却器で液化した後、蒸発器にリサイクルした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明で用いる圧力スイング吸着手段の態様例を示す概略図である。
【図2】 図2は、二塔式、三塔式および四塔式の吸着塔を用いた、圧力スイング吸着法の運転パターン例を示す図である。
【図3】 図3は、浸透気化膜を有する膜分離装置を圧力スイング吸着装置の下流側に備えた、本発明の分離装置の態様例を示す概略図である。
【図4】 図4は、浸透気化膜を有する膜分離装置を圧力スイング吸着装置の上流側に備えた、本発明の分離装置の他の態様例を示す概略図である。
【図5】 図5は、ガス透過膜を有する膜分離装置を圧力スイング吸着装置の上流側に備えた、本発明の分離装置のさらに他の態様例を示す概略図である。
【符号の説明】
(105)、(106)… 吸着塔
(301)、(401)、(501)… 圧力スイング吸着部
(302)、(402)… 浸透気化膜を有する膜分離装置
(502)… ガス分離膜を有する膜分離装置
(313)、(414)、(513)… 真空ポンプ
(504)… 蒸発器

Claims (11)

  1. 水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する装置であって、
    混合流体を加熱蒸発させる手段と、
    (I)混合流体中の特定成分を選択的に吸着する吸着剤が充填された、少なくとも2つの吸着剤充填塔(吸着塔)を有し、
    それぞれの吸着塔が、該吸着塔からの吸着出口蒸気を回収するための流路および吸着出口蒸気を他の吸着塔へ導入するための流路を備えるとともに、上記各吸着塔への混合流体の供給を切替えうる切替手段を有する圧力スイング吸着手段と、
    (II)上記圧力スイング吸着手段(I)における非吸着成分の濃度を上昇させる膜分離手段と
    を備えたことを特徴とする混合流体の分離装置。
  2. 膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の下流側に設けられ、
    圧力スイング吸着手段(I)の吸着塔脱着出口部より回収した脱着流体を膜分離手段(II)に導入する手段と、
    膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に循環させる手段と
    を備えた請求項第1項に記載の混合流体の分離装置。
  3. 膜分離手段(II)が、圧力スイング吸着手段(I)の上流側に設けられ、
    膜分離手段(II)から得られた、非吸着成分の濃度が上昇した流体を、圧力スイング吸着手段(I)に導入する手段と、
    圧力スイング吸着手段(I)の吸着塔脱着出口部より回収した脱着流体を膜分離手段(II)に循環させる手段と
    を備えた請求項第1項に記載の混合流体の分離装置。
  4. 膜分離手段が、浸透気化膜を有する膜分離装置と、真空ポンプとを具備する、請求項1〜3のいずれかに記載の混合流体の分離装置。
  5. 膜分離手段が、ガス分離膜を有する膜分離装置と、蒸発器および/またはコンプレッサーとを具備する、請求項1〜3のいずれかに記載の混合流体の分離装置。
  6. 吸着剤が、水分を選択的に吸着する吸着剤であることを特徴とする請求項1〜 5 のいずれかに記載の混合流体の分離装置。
  7. 水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する方法であって、
    請求項1〜のいずれかに記載の混合流体の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際して、
    (A)圧力スイング吸着工程と、
    (B)膜分離工程と
    を有することを特徴とする混合流体の分離法。
  8. 水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する方法であって、
    請求項1または2に記載の混合流体の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際して、
    (A1)(a)混合流体の蒸気を一方の吸着塔に導入し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、
    (b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着し、
    続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と
    を行うとともに、
    上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程と、
    (B1)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られる脱着流体を膜分離手段(II)に導入し、脱着流体中の非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程と、
    (C1)膜分離工程で得られた非吸着成分濃度の上昇した流体を回収し、圧力スイング吸着工程(A1)に循環供給する工程と
    を有することを特徴とする混合流体の分離法。
  9. 水分を含む親水性有機溶媒からなる混合流体から水分を分離する方法であって、
    請求項1または3に記載の混合流体の分離装置を用いて、混合流体から特定成分を分離するに際して、
    (B2)混合流体を膜分離手段に導入し、脱着流体中の非吸着成分濃度を上昇させる膜分離工程と、
    (A2)(a)膜分離工程(B2)から得られる非吸着成分濃度の上昇した流体の蒸気を、一方の吸着塔に導入し、混合流体内の特定成分を選択的に吸着させ、非吸着成分を吸着出口部から蒸気として抜き出す吸着工程と、(b)充填された吸着剤が特定成分を吸着している他方の吸着塔において、圧力を上記吸着工程の吸着塔より減圧した状態で、上記吸着工程で得られた吸着出口蒸気の一部をパージガスとして供給して、吸着剤に吸着している特定成分を脱着し、
    続いて吸着塔内を吸着工程圧力まで上記パージガスで昇圧する、脱着/昇圧工程と
    を行うとともに、
    上記吸着工程(a)と脱着/昇圧工程(b)とを切り替える切り替え操作を有する圧力スイング吸着工程と、
    (C2)脱着/昇圧工程(b)で脱着出口部から得られる脱着流体を膜分離手段(II)に循環供給する工程と
    を有することを特徴とする混合流体の分離法。
  10. 脱着流体中の有用成分が、吸着剤非吸着成分である請求項7〜9のいずれかに記載の混合流体の分離法。
  11. 混合流体が、共沸を形成する混合物である請求項7〜10のいずれかに記載の混合流体の分離法。
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