JP6359600B2 - ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
(a)単量体水溶液および気体の加圧による方法
(b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法
(c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法
から選ばれる少なくともひとつの方法である。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末である。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する製造方法である。
(1−1)「吸水性樹脂粉末」
本発明における「吸水性樹脂粉末」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。なお、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が5[g/g]以上であることをいい、また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が0〜50重量%であることをいう。
本発明における「ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末」とは、繰り返し単位として、アクリル酸および/またはその塩(以下、アクリル酸(塩)と称する)を主成分とする吸水性樹脂粉末を意味する。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Assoiations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Metods)の略称である。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する30分間の自由膨潤後さらに遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する1時間、2.06kPaでの荷重下膨潤後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200gに対して、吸水性樹脂粉末1gを16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。
「PSD」とは、Particle Size Disributionの略称であり、ふるい分級により測定される粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)および粒子径分布幅は欧州公告特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する。
荷重下または無荷重下における膨潤した吸水性樹脂粉末の粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)や、GBP(Gel Bed Permeability)がある。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上Y以下」であることを意味する。また、重量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味し、さらに、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」を意味する。また、(メタ)アクリル酸等に用いられる「(メタ)アクリル」はアクリルまたはメタクリルを意味し、特に断らない限り、常温とは25℃を意味し、常圧とは1気圧を意味する。
本発明に係るポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末は、例えば、以下の方法(I)〜(IV)によって製造することができる。かかる製造方法は好適には連続製造に適用できる。
界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記単量体水溶液を重合する工程(重合工程)と、
得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程(細分化工程)と、
細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程(加熱乾燥工程)と、
を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記の(a)〜(c)
(a)単量体水溶液および気体の加圧による方法
(b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法
(c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法
から選ばれる少なくともひとつの方法であることを特徴とする方法。
上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程(脱泡工程)と、
界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程(重合工程)と、
得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程(細分化工程)と、
細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程(加熱乾燥工程)と、
を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
上記脱泡工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合することを特徴とする方法。
溶解・分散工程は、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程である。以下、具体的に説明する。
本発明で用いられるモノマー(単量体)は、重合により吸水性樹脂粉末となり得るものであれば特に限定されないが、以下に示すようなものが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体等が挙げられる。
上記方法(III)や(IV)に記載の方法において、不活性ガスの微細な気泡をモノマー水溶液に懸濁させる方法としては、モノマー水溶液と不活性ガスのどちらか一方の流体中に、他方の流体をノズルからの噴出によって、両者を混合させる方法が挙げられる。ここで、流体は攪拌ないし圧力(加圧や減圧)で移動している液体ないし気体であり、好ましくは加圧で配管を流れる液体ないし気体が使用される。混合は、液体および気体がそれぞれ流れる各配管を繋ぐことによって行ってもよく、配管を流れる液体および気体の一方を、他方が充填された容器(タンク)へ流すことによって行ってもよい。
(a)単量体水溶液および気体の加圧による方法
(b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法
(c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法
から選ばれる少なくともひとつの方法である。以下、各方法について説明する。
第一の気体の溶解および/または分散方法として、好ましくは、単量体水溶液および気体の加圧による加圧溶解方法が用いられる。具体的には、液中に気体を100〜1000kPa(絶対圧)、さらに好ましくは200〜400kPa、特に好ましくは250〜350kPa程度に絶対圧として加圧して溶解させ、減圧弁を通して液中にフラッシュ操作すると、減圧され過飽和となった気体が液中からマイクロバブルとなり放出される。気体の液中への溶解度はヘンリーの法則(p=HC)に従い、温度と圧力で決定される。かかる加圧によって、一旦溶解させた気泡を経て、分散させた気泡が得られる。
上記加圧溶解方法の一例として、アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液に、気体を過飽和で含有させる方法が挙げられる。したがって、上記して得られる、気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液における該気体成分の濃度は、該気体の所定温度における飽和溶解度に対して1.01〜10倍が好ましく、1.05〜5倍がより好ましく、1.06〜3倍がさらに好ましい。
上記加圧溶解方法(第一の方法)に加えて、第二の気体の溶解および/または分散方法として、好ましくは、単量体水溶液および気体の旋回流の形成が挙げられる。該方法は、気液二相流体を旋回させて出口(混合機の吐出口)で気泡を分散させる方法であり、ガス流量と液流量との比は1/7〜1/15が好ましく、旋回速度は毎秒10〜10000回転が好ましく、さらには100〜1000回転であることがより好ましい。
第三の気体の溶解および/または分散方法として、各種多孔質物質、膜、フィルター等の細孔から気泡を生成させる方法であり、多孔質ガラス(Na2O−CaO−Al2O3−B2O3−SiO2系ガラス)等が使用され、好ましくは、0より高く0.03重量%以下など後述の範囲の界面活性剤が使用される。上記方法は、例えば、木下理化工業株式会社製木下式ガラスボールフィルター(フィルター粒子No.4)を用いて行うことができる。
上記方法(IV)では、モノマー水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合させる。また、上記方法(I)〜(III)においても、モノマー水溶液と不活性ガスとを加圧や旋回流を発生させる機能を有するマイクロバブル発生装置で混合させてもよい。この操作により、発生したマイクロバブルを、重合開始時までモノマー水溶液内に懸濁、保持させておくことができる。マイクロバブル発生には上記(a)〜(c)や後述の(1)〜(8)の1種以上の手法が適用でき、好ましくは(a)または(b)、さらに好ましくは(a)が適用され、必要によりさらに上記せん断力が適用される。
M型マイクロバブル発生装置(株式会社ナノプラネット研究所)
業務用マイクロバブル発生装置SMB−450型(石丸商行有限会社)
マイクロバブル発生装置Mbelife(関西オートメ機器株式会社)
球体内蔵型気泡発生装置MBG型(西田鉄工株式会社)
ポンパレーター(株式会社帝国電機製作所)
マイクロバブルの発生器には入水口と出水口があり、この入水口に、ある一定以上の圧力で液体(水や単量体)を流入させた場合、内部では水の中に混ざっている気体が密度差により中心部に集められ、気体軸が形成される。これによってマイクロバブル発生器の内部には外周と中心部の間で圧力勾配が生じる。この時、気体軸の中心部はほぼ真空状態となり、一方では加圧され噴出しようとする水と、真空状態(超負圧の状態)の気体軸へと流入しようとする水とが衝突し、また旋回しながら気体軸がこの間を通り抜ける時に気体はせん断され微細化してマイクロバブルとなるのである。
本発明に係る製造方法では、上述した方法(a)〜(c)やマイクロバブル発生装置に加えて、下記(1)〜(8)の方法を使用ないし併用することができる。
可動部分がなく、流体が、管内部に固定されたエレメントを通過する際に混合されるスタティックミキサーや、円管内部に螺旋流誘導部と管内部に取り付けられたキノコ状の突起により旋回状に流れる気液2相流を破砕してマイクロバブルが発生されるOHRミキサーが挙げられる。なお、スタティックミキサーを用いた具体例は後述の実施例13、15でも示される。
ガス分散器内に意図的にキャビテーションが発生するように流路を変形させてマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。
ポンプによる渦流攪拌作用とポンプでの昇圧により、液中に気体を加圧溶解させ、溶解しきれない気体を旋回流式マイクロバブル発生器でマイクロ化させる方法が挙げられる。
ストロー部(絞り)に気液を同時に流すと液流速の急激な変化により生成した衝撃波により大気泡が発破させ、マイクロバブルが発生する方法が挙げられる。
攪拌翼を高速回転され、ガスを自給させマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。
超音波周波数、圧力振幅などを適宜設定してマイクロバブルを発生させる方法が挙げられる。
気体(窒素ガス)と水蒸気との混合ガスを液中に細いノズルから吹き込むと、水蒸気が凝集し、凝集しない気体(窒素ガス)の気泡が残る。
水の電気分解でマイクロオーダーの気泡を発生させる方法が挙げられる。
気泡含有方法として上記(a)の加圧溶解方法やマイクロバブル発生装置では、気体と単量体水溶液とは大気圧を超えて加圧(好ましくは、上記(a)に記載の範囲、絶対圧として0.1〜1MPa)された後、大気圧(ないし減圧、特に−10mmHg以内の微減圧)に開放されることで、気泡の量や大きさが制御される。かかる圧力、温度や開放時間、特に開放時間を制御することで、気泡を制御することが好ましい。かかる制御で目的とする高吸水速度で通液性や耐衝撃性の高い吸水性樹脂を得ることができる。
上記方法(I)〜(II)における溶解・分散工程で用いられる気体としては、酸素、空気、窒素、炭酸ガス、オゾンやそれらの混合物等が挙げられるが、重合性から好ましくは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスが使用される。不活性ガスの割合は80vol%以上、さらに好ましくは99vol%以上、より好ましくは99.9vol%以上、特に好ましくは99.99vol%以上であり、圧力は常圧、加圧、減圧で適宜決定される。
上記方法(I)〜(V)における溶解・分散工程では、モノマー水溶液と不活性ガスとの混合を、界面活性剤の存在下で行ってもよい。界面活性剤を用いることで気泡を安定的に懸濁させることができる。
本発明において、必要により脱泡工程を経て重合される単量体水溶液について、大きな気泡は吸水速度に寄与しないばかりか、粉砕時に微粉の原因ともなる。さらに、吸水性樹脂粉末に過大な気泡(孔)が少ないため、吸水性樹脂の形状が均一で耐ダメージ性も向上する。なお、表面架橋後の吸水性樹脂粉末が輸送時やおむつ製造時に表面ダメージを受けて物性が低下することは周知であり、吸水性樹脂粉末の耐ダメージ性(ダメージの物性低下)は、背景技術に記載の特許文献32や特許文献29(何れもペイントシェーカー試験)、特許文献29(Fragibility Index)、特許文献34、特許文献34(SDOV試験)などに記載されている。そこで、気泡は細かいことが好ましく、マイクロバブルないしナノバブル、好ましくはマイクロバブルを含む。
(2−2)脱泡工程
上記方法(II)では、溶解・分散工程によって得られた上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程を含む。また、上記方法(I)〜(V)においても上記脱泡工程をさらに含むことが好ましい。脱泡の有無や大小は、単量体水溶液の濁度や膨張倍率の低下などでも確認できる。
重合工程は、単量体水溶液を重合する工程である。上記方法(I)〜(III)では、界面活性剤不存在下または300ppm以下の存在下で上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する。好ましい界面活性剤量は、方法(IV)の30ppm以下である。重合は常圧、減圧、加圧で行われ、好ましくは常圧(ないしその近傍、通常±10mmHg)で行われる。
本工程で用いられる重合開始剤としては、特に制限はなく、重合させるモノマーの種類、重合条件等に合わせて、通常の吸水性樹脂粉末の製造において利用されているものの中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
上記重合に際しては、さらに必要に応じて、重合前または重合途中の反応系に、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤、キレート剤等を添加してもよい。親水性高分子として、水溶性樹脂または吸水性樹脂が好適に使用され、反応系の粘度を高めたり、気泡発生の沸石として作用させたりすることで発泡を促進してもよい。親水性高分子の使用量は単量体100重量部に対して、好ましくは0重量部より高く50重量部の範囲内、さらに好ましくは0.01〜20重量部である。
本工程で採用される重合方法としては、特に限定されるものではなく、通常の吸水性樹脂粉末の製造方法で用いられるものが採用される。例えば、水溶液重合法、逆相懸濁重合法等を挙げることができる。該水溶液重合法には、モノマー水溶液を静置状態で重合させる静置重合法、攪拌装置内で重合する攪拌重合法等があり、これらの重合法には、各々回分法と連続法がある。また、これらの重合法では、通常、ベルト重合装置や攪拌重合装置が採用されている。
上記重合方法が広く適用できるが、課題解決に特に好適な重合は、水溶液重合、中でも連続ベルト重合または連続ニーダー重合であり、水溶液重合または逆相懸濁重合、中でも水溶液重合では下記温度および濃度で行うことが好ましい。すなわち、特許文献7〜29の発泡重合は知られているが、本発明ではさらに特定の濃度および温度が重要であることが見いだされた。
上記して得られた含水ゲルは含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化される。
加熱乾燥工程では、上記含水ゲル状架橋重合体は乾燥され、乾燥重合体とされる。その乾燥減量(粉末ないし粒子1gを180℃で3時間加熱)から求められる樹脂固形分は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、さらに好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%の範囲に調整され乾燥重合体を得る。
上記加熱乾燥工程後の吸水性樹脂粉末の重量平均粒子径(D50)としては、好ましくは200〜600μmに調製される。より好ましくは200〜550μm、さらに好ましくは250〜500μm、特に好ましくは350〜450μmに調整される。
本発明に係る製造方法では、上述の方法によって得られた水性樹脂粉末を表面加工する工程をさらに含んでいてもよい。
乾燥後の表面架橋工程をさらに含むことによって、本発明の製造方法は、高い加圧下吸水倍率(AAP)および通液性(SFC)の吸水性樹脂粉末の製造方法や巨大スケール(特に1t/hr)での連続生産に適用され、特に高温表面架橋を行う吸水性樹脂粉末に好適に適用される。
本工程で用いることの出来る表面架橋剤としては、種々の有機または無機架橋剤を例示できるが、有機表面架橋剤が好ましく使用できる。物性面で好ましくは、表面架橋剤として、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、(モノ、ジ、またはポリ)オキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物が挙げられ、特に高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物からなる脱水反応性架橋剤を好ましく使用できる。
また、上記有機表面架橋剤以外にイオン結合性表面架橋剤としてポリアミンポリマーや多価金属塩を使用して、通液性などを向上させてもよい。使用される多価金属塩(無機表面架橋剤)は2価以上、好ましくは3価ないし4価値の多価金属の塩(有機塩ないし無機塩)ないし水酸化物が例示できる。使用できる多価金属としてはアルミニウム、ジルコニウム等が挙げられ、乳酸アルミニムや硫酸アルミニムが挙げられる。
表面架橋剤の使用量は吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.001〜10重量部であり、好ましくは0.01〜5重量部で適宜決定される。表面架橋剤に合わせて好ましくは水が使用され得る。その際、必要により親水性有機溶媒が併用され、好ましくは水に対して100重量%以下、より好ましくは50重量%以下で少量併用し得る。親水性有機溶媒は、各種低級アルコールやそのエチレンオキシド付加物など上記米国特許などに例示されるものを用い得るが、特に限定されない。
上記工程以外に、必要により、第2の分級工程、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、微粉除去工程、微粉リサイクル工程等を設けてもよい。さらには、経時色安定性効果やゲル劣化防止等のために、以下の添加剤を単量体またはその重合物に使用してもよい。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]であるポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末が得られる。
本発明に係るポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末は、下記式
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])。
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]である。
紙オムツでのモレを防止するため、上記重合さらには表面架橋を達成手段の一例として、1.9kPaの加圧下さらには4.8kPaの加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率(AAP)が好ましくは20[g/g]以上、より好ましくは22[g/g]以上、さらに好ましくは24[g/g]以上に制御される。AAPは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから通常40[g/g]以下、より好ましくは35[g/g]以下、さらに好ましくは30[g/g]以下である。
無加圧下吸水倍率(CRC)は、好ましくは10[g/g]以上であり、より好ましくは20[g/g]以上、さらに好ましくは25[g/g]以上、特に好ましくは30[g/g]以上に制御される。CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから、好ましくは50[g/g]以下、より好ましくは45[g/g]以下、さらに好ましくは40[g/g]以下である。
紙オムツでのモレを防止するため、上記重合を達成手段の一例として、加圧下での液の通液特性である0.69重量%食塩水流れ誘導性(SFC)は1[×10−7・cm3・s・g−1]以上、好ましくは20[×10−7・cm3・s・g−1]以上、より好ましくは50[×10−7・cm3・s・g−1]以上、さらに好ましくは70[×10−7・cm3・s・g−1]以上、特に好ましくは100[×10−7・cm3・s・g−1]以上に制御される。SFCは周知の測定法であり、例えば、米国特許第5562646号に記載されている方法で規定される。
水可溶分は、好ましくは0〜35重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、さらに好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
20gの生理食塩水に対する吸水性樹脂粉末1gでの吸水速度(FSR)は、通常0.05[g/g/sec]以上、0.1[g/g/sec]以上、0.15[g/g/sec]以上、0.20[g/g/sec]以上、さらには0.25[g/g/sec]以上であることが好ましい。
吸水性樹脂粉末の嵩比重は、通常、0.6〜0.8[g/cm3]であり、好ましくは0.61〜0.75[g/cm3]、さらに好ましくは0.63〜0.70[g/cm3]である。本発明では発泡構造(別称;多孔質構造)であるが、従来に比べ、高い嵩比重を有する。よって、本発明の吸水性樹脂粉末は、おむつ中でもコンパクトで薄型のおむつを実現することができ、さらには、輸送中も容量(袋中の体積)が小さく安価に輸送できるだけでなく、粉末の耐衝撃性にも優れ、優れた物性を維持する。
表面張力(実施例の測定法で規定)は、好ましくは60[mN/m]以上、より好ましくは65[mN/m]以上、さらに好ましくは67[mN/m]以上、特に好ましくは70[mN/m]以上、最も好ましくは72[mN/m]以上であり、実質的な表面張力の低下もない。上限は通常75[mN/m]で十分である。
本発明の吸水性樹脂粉末の用途は特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。この吸収性物品中の、任意に他の吸収性材料(パルプ繊維等)を含む吸収体における吸水性樹脂粉末の含有量(コア濃度)は、30〜100重量%、好ましくは40〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、さらに好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは75〜95重量%で本発明の効果が発揮される。本発明の吸水性樹脂粉末を用いる場合、高吸水速度であり、通液性にも優れ、嵩比重も大きいため、コンパクトで薄型のおむつを提供することができる。
以下、実施例に従って発明を説明するが、本発明は実施例に限定され解釈させるものではない。また、本発明の特許請求の範囲や実施例に記載の諸物性は、以下の測定例1〜9に従って求めた。なお、下記測定法は粒子状吸水剤について記述しているが、吸水性樹脂粉末についても粒子状吸水剤を吸水性樹脂粉末と読み替えて測定される。なお、特に重合工程や脱泡工程は特に断らない限り、常圧で行った。また粉砕以降も常圧(ないし微減圧例えば−10mmHg以内)で行った。
粒子状吸水剤を目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留重量百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50重量%に相当する粒子径を重量平均粒子径(D50)として読み取った。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は式1で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
CRC(無加圧下吸水倍率)は、0.90重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水とも称する)に対する無加圧下で30分の吸水倍率を示す。なお、CRCは、遠心分離機保持容量と称されることもある。
粒子状吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。含水率との関係は以下の様になる。
固形分の測定方法は、以下のように行った。
粒子状吸水剤1.00gを25mlガラス製ビーカー(直径32〜34mm、高さ50mm)に入れた。この際、ビーカーに入れた粒子状吸水剤の上面が水平となるようにした。(必要により、慎重にビーカーをたたく等の処置を行うことで粒子状吸水剤表面を水平にしてもよい。)次に、23℃±0.2℃に調温した0.90重量%塩化ナトリウム水溶液20gを50mlのガラス製ビーカーに量り取り、上記塩化ナトリウム水溶液とガラス製ビーカーの合計重さ(重量W6[g])を測定した。量り取った塩化ナトリウムを、粒子状吸水剤の入った25mlビーカーに丁寧に素早く注いだ。
嵩比重測定器(蔵持科学機器製作所製)を用い、JIS K 3362に準じて測定した。粒度による偏りを無くすため十分に混合された粒子状吸水剤100.0gを、ダンパーを閉めた漏斗に入れた後、速やかにダンパーを開け、粒子状吸水剤を内容量100mlの受器(重量W9[g])に落とした。受器から盛り上がった粒子状吸水剤は、ガラス棒ですり落とした後、粒子状吸水剤の入った受器の重さ(重量W10[g])を0.1gまで正確に量り、数6にしたがって嵩比重を算出した。
十分に洗浄された100mlのビーカーに20℃に調整された生理食塩水50mlを入れ、まず、生理食塩水の表面張力を、表面張力計(KRUSS社製のK11自動表面張力計)を用いて測定した。この測定において表面張力の値が71〜75[mN/m]の範囲でなくてはならない。
SFCは周知の測定法であり、米国特許第5562646号に記載の手法にて測定を行った。
内径60mmのプラスチック製支持円筒の底に、400メッシュのステンレス製金網(目開き:38μm)を融着させたものを用意した。次に、室温(25±2℃)、湿度50RH%の条件下で、この金網上に、吸水性樹脂0.900gを均一に散布した後、その上にピストンとおもりをこの順に載置した。なお、該ピストンは、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒の内壁面との間に隙間が生じず、かつ、上下の動きが妨げられないものであり、また、該おもりは、吸水性樹脂に対して、4.83kPaの荷重を均一に加えることができるように調整されたものである。そして、これら測定装置一式の合計重量Wa(g)を測定した。
次に、測定した重量Wa、Wbから、数7に従って加圧下吸水倍率を算出した。
攪拌レイノルズ数Reは、従来、前記日本特許公開2001−151804号(排水処理用生物固定化担体)など、流体が入った容器(攪拌槽)と攪拌羽根とからなる攪拌装置で攪拌された流体の、流動状態を表すのに用いられるが、本発明においては、米国特許7265190号(対応の日本特許2004−155963号)を参照し、管中を連続的に流れるモノマー液に攪拌操作を加えたときの液の流動状態を、模式的に表すものとして算出し評価した。
長方形の板を右方向あるいは左方向にn回捻ったエレメント(1回ひねりで180度回転する)を有するスタティック型ミキサーを用いて、モノマー混合液を攪拌する場合、攪拌レイノルズ数は以下の式により算出される。
管の途中に置かれた攪拌翼を有する小型攪拌機を用いて、毎秒n回転でモノマー混合液を攪拌する場合、攪拌レイノルズ数は以下の式により算出される。
単量体水溶液の見かけ比重[g/ml]の変化により膨張倍率を求めた。すなわち、0.001g単位で測定できる天秤に載せた、100ml(許容誤差±0.50ml)の高精度メスシリンダー(ほうけい酸ガラス製;内径・約3cm)に、重合に使用する所定温度(重合機に投入する温度)の単量体水溶液を100ml投入して、直後にその重量(a)を測定した。別途、気泡を含有させた単量体水溶液を100ml投入して直後にその重量(b)を測定した。1Lの単量体水溶液の重量比(以下の式)より、気泡含有による見かけ比重の変化をもって、その気泡する単量体の膨張倍率とした。
単量体水溶液の比重は温度や組成で一義的に決まり、上記のように実測されるが、例えば、濃度43%の部分中和アクリル酸ナトリウム水溶液では約1.2[g/ml]前後である。なお、脱泡工程前後による膨潤倍率の変化も同様に測定できる。また、メスシリンダーへの単量体水溶液の投入で温度が有意量に低下する場合、適宜、メスシリンダーは加温してもよい。
濁度とは水の濁りの程度を示す指標である。単量体水溶液の気泡による濁り(白色〜透明)について、濁度色度計を用いて測定した。
測定単位;カオリン濁度[mg/L(度)]
上記範囲において、測定装置および条件(例えば、セルの大きさ)は適宜選択すればよいが、好適な方法として下記に選択される。
セル長 ;10mm(濁度 0〜 500)、5mm(濁度500〜)
[実施例1]
シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中に、アクリル酸461.5g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液4401.4g、脱イオン水(イオン交換水)588.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)11.16gを投入し、溶解(混合)させて単量体水溶液とした。
界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.042gを単量体水溶液中に溶解させたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)459μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の諸物性を表1に示す。
容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸421.7g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)2.754g、0.1重量%ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム水溶液113.43g、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液140.4g、脱イオン水(イオン交換水)292.3gを混合した溶液(A)を作製した。この溶液(A)を40℃に調温しながらマイクロバブル発生装置(株式会社オーラテック社製、型式:OM4−GP−040)を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを該溶液(A)中に導入した。
株式会社オーラテック社製マイクロバブル発生装置(型式:OM4−GP−040)を、木下理化工業株式会社製木下式ガラスボールフィルター(フィルター粒子No.4)に代え、さらに窒素ガスを溶液(A)に1分間導入した以外は、実施例3と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)442μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(4)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(4)の諸物性を表1に示す。
界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.025gを溶液(A)中に溶解させた以外は、実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)451μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(5)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(5)の諸物性を表1に示す。
容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸39.75g、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液379.07g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.995g、脱イオン水(イオン交換水)176.31g、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)0.004gを混合した単量体水溶液を作製した。該単量体水溶液を25℃に調温しながら、マイクロバブル発生装置(株式会社オーラテック社製、型式:OM4−GP−040)を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを導入した。
実施例1において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)455μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(1)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(1)の諸物性を表1に示す。
実施例2において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)448μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(2)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(2)の諸物性を表1に示す。
実施例3において、マイクロバブルを溶液(A)中に導入しなかったこと以外は実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)442μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(3)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(3)の諸物性を表1に示す。
実施例6において、マイクロバブルを単量体水溶液中に導入しなかったこと以外は実施例6と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(4)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(4)の諸物性を表1に示す。
上記特許文献11〜18に準じて炭酸塩を用いて発泡重合を行った。すなわち、比較例3において、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.55gを添加する前に炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)5.2gを添加した以外は比較例3と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)436μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(5)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(5)の諸物性を表2に示す。また、炭酸水素ナトリウムを添加した際の単量体水溶液の様子を図3(写真2)に示す。なお、特許文献11〜18以外でも、その他、前述の日本特許公開2001−151804号(排水処理用生物固定化担体)なども吸水性樹脂や重合体粉末の開示はないが、炭酸塩による発泡重合を開示する。
比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を目開き150μmおよび目開き45μmのJIS標準篩を用いて分級し、150μmを通過し45μmを通過しない粒子91重量%と45μmを通過した粒子9重量%からなる参考吸水性樹脂粉末(1)を得た。
特許文献28に準じて吸水性樹脂粉末の存在下で重合を行った。すなわち、比較例3において、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液17.55gを添加した直後に参考例1で得られた参考吸水性樹脂粉末(1)25.8gを添加した以外は比較例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)457μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(6)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(6)の諸物性を表2に示す。
特許文献23に準じて、気泡分散による発泡重合を行った。
比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を目開き600μmのJIS標準篩を用いて分級し、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)340μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(8)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(8)の諸物性を表2に示す。
実施例3(カオリン濁度;530[mg/L(度)])において、窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを溶液(A)中に導入した後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して単量体水溶液を脱泡(カオリン濁度;0.6[mg/L(度)]、実質透明)した以外は実施例3と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)451μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(7)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(7)の諸物性を表3に示す。
実施例5において、窒素ガスを導入気体として1分間マイクロバブルを溶液(A)中に導入した後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して脱泡した以外は実施例5と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)463μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(8)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(8)の諸物性を表3に示す。
比較例5において、炭酸水素ナトリウムの添加後、そのままポリプロピレン製容器中で240秒間(無攪拌下で)静置して脱泡した後に、4重量%の過硫酸ナトリウム水溶液を添加して重合した以外は比較例5と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.38の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(9)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(9)の諸物性を表3に示す。
比較例7において、窒素気流下で単量体水溶液を3000rpmの高速攪拌を行った後、攪拌回転数を100rpmに低下させて240秒間脱泡した以外は比較例7と同様の操作を行い、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)424μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(10)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(10)の諸物性を表3に示す。
実施例3で得られた吸水性樹脂粉末(3)100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.48重量部、プロピレングリコール0.75重量部、脱イオン水4.0重量部からなる表面架橋剤溶液を、該吸水性樹脂粉末(3)に均一にスプレーし、混合した。表面架橋剤溶液を混合した吸水性樹脂粒子を熱風乾燥機(温度:180℃)で45分間加熱表面架橋処理した。加熱処理後、得られた吸水性樹脂粒子を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで粉砕することで、表面が架橋された吸水性樹脂粒子を得た。
比較例3で得られた比較吸水性樹脂粉末(3)を実施例9と同様に、表面架橋処理および硫酸アルミニウム水溶液、乳酸ナトリウム水溶液、プロピレングリコールからなる混合液を添加した。その後も実施例7と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(11)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(11)の諸物性を表4に示す。
比較例7で得られた比較吸水性樹脂粉末(7)を比較例11と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(12)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(12)の諸物性を表4に示す。
比較例8で得られた比較吸水性樹脂粉末(8)を比較例11と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(13)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(13)の諸物性を表4に示す。
実施例6において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.01gとした以外は、実施例6と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)453μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(10)を得た。得られた吸水性樹脂粒子(10)の諸物性を表5に示す。
実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.02gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)469μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(11)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(11)の諸物性を表5に示す。
実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.03gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分96重量%、重量平均粒子径(D50)450μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(14)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(14)の諸物性を表5に示す。
実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.10gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分95重量%、重量平均粒子径(D50)466μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.39の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(15)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(15)の諸物性を表5に示す。
実施例10において、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(花王株式会社製)の添加量を0.20gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、固形分97重量%、重量平均粒子径(D50)448μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.36の不定形破砕状の比較吸水性樹脂粉末(16)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(16)の諸物性を表5に示す。
実施例1におけるマイクロバブル(窒素ガス)導入前の単量体水溶液900mLを、容量1000mLのメスシリンダーを用いて測り取った。次いで、該単量体水溶液に、実施例1と同様のマイクロバブル発生装置を用いて、0.25〜0.30Mpaの絶対圧力下で5分間マイクロバブル(窒素ガス)を導入し、体積変化を確認した。
比較例5における炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)添加前の単量体水溶液500mLを、容量1000mLのメスシリンダーを用いて測り取った。次いで、該単量体水溶液に、比較例5と同様、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2.2gを添加した。炭酸水素ナトリウム添加後、該単量体水溶液の体積は590mLとなり、該単量体水溶液の膨張倍率は1.18倍であった。
アクリル酸、水酸化ナトリウム、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量487)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および水を原料とするモノマー水溶液を連続的に調整した。アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、モノマー濃度が45重量%、アクリル酸の中和率が70モル%となるように調整し、ポリエチレングリコールジアクリレートはアクリル酸に対して0.05モル%、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンはアクリル酸に対して0.01重量%をモノマー水溶液に加えた。調整後、モノマー水溶液の温度を95±1℃にコントロールした。
上記実施例13(攪拌レイノルズ数41400)について、攪拌レイノルズ数が10000未満の比較例を下記に示す。
アクリル酸、水酸化ナトリウム(48.5重量%水溶液)、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量487)(30重量%水溶液)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および水を原料とするモノマー水溶液を連続的に調整した。アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、モノマー濃度が45重量%、アクリル酸の中和率が70モル%となるように調整し、ポリエチレングリコールジアクリレートはアクリル酸に対して0.05モル%、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンはアクリル酸に対して0.01重量%をモノマー水溶液に加えた。調整後、モノマー水溶液の温度を95±1℃にコントロールした。なお、アクリル酸、水酸化ナトリウム、および水については、事前に窒素を吹き込み、脱酸素操作を行った。
マイクロバブル発生装置としてOHRラインミキサーを使用しなかった以外は、実施例14と同様の操作を行い、吸水性樹脂(b)を得た。この比較吸水性樹脂(b)の物性値は表6に示した通りである。
モノマー水溶液に窒素ガスを注入した後、連続的にスタティック型ミキサーに供給した後に、図6に従い、(A)で不活性ガスを連続混合してモノマー水溶液の循環を行うことで脱泡を行ったこと以外は、実施例13と同様の操作を行い、吸水性樹脂(15)を得た。得られた吸水性樹脂(15)の吸水速度は、0.39[g/g/sec]となった。
上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程における気体の溶解および/または分散方法が、下記の(a)〜(c)
(a)単量体水溶液および気体の加圧による方法
(b)単量体水溶液および気体の旋回流の形成による方法
(c)細孔を通した気体の単量体水溶液への混合による方法
から選ばれる少なくともひとつの方法であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
上記脱泡工程を経た気泡含有単量体水溶液を重合することを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
(ただし、上記FSRは、生理食塩水への20倍膨潤での吸水速度を示す。)
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末である、(1)〜(15)のいずれか1項に記載の製造方法。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋することを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
(吸水速度指数)=(FSR[g/g/sec])×(嵩比重[g/cm3])×(重量平均粒子径[μm])
で規定される吸水速度指数が90以上で、かつ、嵩比重が0.6〜0.8[g/cm3]のポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末。
Claims (14)
- 気体を溶解および/または分散させたアクリル酸系単量体水溶液を得る工程と、
上記単量体水溶液が含有する気泡の一部を脱泡する工程と、
界面活性剤300ppm以下の存在下で、上記気泡を含有する単量体水溶液を重合する工程と、
得られた含水ゲル状架橋重合体を重合時または重合後に細分化する工程と、
細分化した含水ゲル状架橋重合体を加熱乾燥する工程と、
を含む、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法であって、
上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液と不活性ガスとを攪拌レイノルズ数10000以上で混合し、
上記単量体水溶液を重合する工程において、重合開始温度が60℃以上であることを特徴とする、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末の製造方法。 - 吸水性樹脂を連続的に製造する方法であって、
単量体水溶液を500kg/hr以上で使用する、請求項1に記載の製造方法。 - 上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、溶解および/または分散させる上記気体が不活性ガスである、請求項1に記載の製造方法。
- 上記アクリル酸系単量体水溶液を得る工程において、単量体水溶液および気体からなる気液混合物がせん断処理されてなる、請求項1に記載の製造方法。
- 上記脱泡する工程において、開放下で10〜3600秒静置または低速攪拌することによって脱泡する、請求項1に記載の製造方法。
- 気体および単量体水溶液を配管内ないし装置内で大気圧を超えて加圧した後、大気圧近傍に開放する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液を重合する工程において、単量体水溶液中に体積平均径50nm以上100μm以下のマイクロバブルまたはナノバブルを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液を重合する工程において、重合時の最高到達温度が100℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液を重合する工程において、アクリル酸系単量体の濃度が40重量%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- さらに、加熱乾燥する工程後に、ポリアクリル酸系吸水性樹脂粉末を表面架橋する工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 単量体水溶液および気体にせん断力を加えたのち、0.1〜1mPaに加圧し、さらに該加圧を開放する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液と不活性ガスとをマイクロバブル発生装置で混合することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 表面架橋後の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)が20[g/g]以上である、請求項10に記載の製造方法。
- 表面架橋後の吸水性樹脂のSFC(食塩水流れ誘導性)が20[×10 −7 ・cm 3 ・s・g −1 ]以上である、請求項10に記載の製造方法。
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