JP4754169B2 - 吸水性樹脂の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。詳しくは、酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその中和物(中和塩)を必須のモノマー成分として用いる吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂は、体液(尿や血液など)等を吸収させることを目的とする紙オムツ、生理用ナプキンおよび成人用失禁パット等の衛生材料や、土壌用保水剤などの用途において、主要な構成材料として幅広く利用されており、大量に生産され、消費されている。
このような吸水性樹脂としては、例えば、アクリル酸等の酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその中和物(中和塩)を必須のモノマー成分として用い、このモノマー成分を含む溶液を重合させて得られるもの(モノマー成分を重合させて得られるもの)が知られている。
従来、これら吸水性樹脂を製造する方法としては、水溶液重合等の技術がよく知られており、例えば、親水性単量体を含む水溶液を、撹拌下、重合ゲルを砕断しながら重合する方法(例えば、特許文献1参照。)や、単量体を含む水溶液を静置重合する方法(例えば、特許文献2〜6参照。)等を挙げることができる。特に、連続的に重合ゲルを砕断しながら重合する場合には、連続式ニーダー等の中に単量体水溶液を連続的に供給しながら重合反応を行う方法などが採用でき、また、連続的に静置重合する場合には、エンドレスベルト等の上に単量体水溶液を連続的に供給しながら重合反応を行う方法などが採用できる。
このような連続的に吸水性樹脂を製造する方法では、一般的に、所定のモノマー溶液を溶存酸素が十分に除去された状態で重合装置等の実際に重合反応を行う系に連続的に供給しながらモノマー成分の重合を行う(例えば、特許文献7参照。)。この供給段階においては、以下のような問題点が認められる。
すなわち、例えば、周辺温度の上昇やモノマー成分の中和反応時の中和熱や水和熱等によりモノマー溶液の液温が重合反応が開始し得る温度に到達した場合、高濃度のモノマー溶液を供給する場合、モノマー溶液に重合開始剤が添加された場合、モノマー溶液の供給に長時間を要する場合あるいはモノマー溶液の一部が配管内で滞留する場合などでは、重合系に到達するまでに供給用の配管内や装置内部で一部重合反応が進行してしまい製品品質の低下および不均一性等を招くという問題が生じることとなる。また、生成した重合物が上記配管や装置の内部で付着成長し供給ラインが閉塞してしまうという問題も生じる。特に、高濃度あるいは高温のモノマー溶液に重合開始剤を混合した上で重合系に供給する場合にあっては、誘導期間が短く重合反応も速く進むため、より一層困難を極める。
上記問題を直接的かつより簡便に解決する手段としては、モノマー溶液の供給段階において、従来公知の各種重合禁止剤を、この段階での重合を十分に抑制できる量で添加しておく方法が挙げられる。
特開昭57−34101号公報 特開昭62−156102号公報 特開平1−126310号公報 特開平3−174414号公報 特開平4−175319号公報 特開平4−236203号公報 特開平11−199603号公報
しかしながら、連続的な供給に伴い、上記各場合に応じて十分に重合を抑制するためには、過剰量またはそれに近い量の重合禁止剤を投入し続ける必要があり、添加剤コスト面等の経済性などに非常に劣ることとなる。
またさらに、上述のごときモノマー溶液が重合系に供給された後においては、重合禁止剤の過剰存在下で重合反応を進めざるを得ないため、その分、重合反応の開始および進行に必要なエネルギーもより多く供与する必要が生じ、エネルギーコストや設備コスト面等の経済性ひいては吸水性樹脂の生産性に至るまで極めて非効率となるばかりか、吸水性樹脂の物性低下や着色等の問題もあった。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、モノマー溶液を連続的に重合系に供給して重合させ吸水性樹脂を得るにあたり、その供給段階における重合物生成および供給ラインの閉塞を経済的かつ十分に抑制・防止すること、および/または、その供給後の重合反応を経済的かつ生産性よく極めて効率的に行うことができる、吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その過程において、モノマー溶液中の溶存酸素が、該溶液中のモノマー成分の重合を十分に抑制し得る効果(以下、重合抑制作用と言う。)を有することに着目した。この知見を利用して、吸水性樹脂製造の所定の段階で上記溶存酸素量を適宜制御・管理することにより、重合抑制作用を発揮させるか、あるいは、解除すればよいことを見出した。
具体的には、モノマー溶液を重合系に供給する(モノマー溶液が重合系に到達する)までの間においては、少なくとも溶存酸素の前記効果を利用して重合抑制作用が発揮させるようにし、一方、モノマー溶液を重合系に供給したとき(供給した時点あるいはその後)には、モノマー溶液中の溶存酸素を脱気する(すなわち、溶存状態から非溶存状態にして溶液中から放散させて除く)ことを引き金にして重合抑制作用を解除し、モノマー成分の重合を可能とさせるようにすれば、上記課題を一挙に解決し得ることを見出し、それを確認して、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法は、酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、重合系に供給するまでの間、その溶存酸素量を1mg/L以上として、前記モノマー成分の重合記の溶存酸素により抑制することを特徴とする。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法はまた、酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、重合系に供給したときには、前記モノマー溶液中の溶存酸素を脱気して脱気後の前記モノマー溶液中の溶存酸素量を6mg/L未満となるようにし、前記モノマー成分の重合を可能とさせることを特徴とする。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法はまた、酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、前記モノマー溶液を重合系に供給するまでの間、前記モノマー溶液中の溶存酸素量を1mg/L以上とし、前記モノマー溶液を重合系に供給したときには、前記モノマー溶液中の溶存酸素量を6mg/L未満とする、ことを特徴とする。
本発明によれば、モノマー溶液を連続的に重合系に供給して重合させ吸水性樹脂を得るにあたり、その供給段階における重合物生成および供給ラインの閉塞を経済的かつ十分に抑制・防止すること、および/または、その供給後の重合反応を経済的かつ生産性よく極めて効率的に行うことができる、吸水性樹脂の製造方法を提供することができる。
以下、本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明にかかる吸水性樹脂の製造方法(以下、本発明の方法と称することがある。)は、酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて(すなわち、上記モノマー成分を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて)吸水性樹脂を製造する方法において、前記モノマー溶液を重合系に供給するまでの間、前記モノマー成分の重合は前記モノマー溶液中の溶存酸素により抑制するか、および/または、前記モノマー溶液を重合系に供給したときには、前記モノマー溶液中の溶存酸素を脱気して前記モノマー成分の重合を可能とさせるようにしている。
以下、本発明を実施する上での吸水性樹脂の一般的な製造方法を説明するとともに、本発明の方法の特徴であるモノマー溶液中の溶存酸素の利用、すなわちモノマー溶液中の溶存酸素量の制御・管理についても詳細に説明する。
本発明の方法においては、酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマー(以下、単に「酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩」と言うことがある。)を必須成分とするモノマー成分を用いる。
上記酸基含有不飽和モノマーとしては、重合により吸水性樹脂の構成要素となり得るものであれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸および2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和モノマーなどが挙げられる。また、酸基含有不飽和モノマーとしては、重合後に加水分解を行うことによって酸基を含有することとなるモノマー(例えば、アクリロニトリルなど)も挙げられるが、好ましくは、重合反応時に酸基を含有する前述した酸基含有不飽和モノマーである。これら酸基含有不飽和モノマーは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)」を付した名称については、「(メタ)」の部分を「メタ」とする名称、および、「(メタ)」の部分を除いた名称のいずれをも表しているとする。
酸基が中和されている酸基含有不飽和モノマー(酸基含有不飽和モノマーの中和塩)としては、前述した酸基含有不飽和モノマーの酸基がアルカリ成分によって中和されてなる中和塩(中和物)を挙げることができる。具体的には、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、アンモニウムおよびアミン類等の塩、なかでもコスト面等からナトリウム塩が好ましい。
本発明の方法において、酸基の少なくとも一部が中和されている酸基含有不飽和モノマーを必須成分とする場合、その中和率は、特に限定はされないが、衛生用品などの人体に触れる可能性のある用途においては重合後の中和を必要としないことも考慮すると、本発明で使用する酸基含有不飽和モノマーの有する全酸基に対して、40〜90モル%が好ましく、より好ましくは50〜80モル%、さらに好ましくは60〜75モル%である。なお、本発明において「酸基の少なくとも一部が中和されている」とは、使用する酸基含有不飽和モノマーの全量において存在する全ての酸基のうちの少なくとも一部が中和されていればよいことを意味している。よって、個々の酸基含有不飽和モノマーについて見たときに、該モノマーが分子内に有する酸基の一部または全部が中和されていてもよいし、あるいは、全く中和されていない場合があってもよく、特に限定はされない。
酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩としては、アクリル酸および/またはその塩を必須とすることが好ましい。アクリル酸および/またはその塩を必須とする場合において併用できるモノマーとしては、併用しても本発明の効果が発揮され得るものであれば特に限定されないが、好ましくは、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸ならびにその塩(例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩等)や、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレンおよびラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和モノマーなどが挙げられる。これらは1種のみ併用させても、2種以上を組み合わせて併用させてもよい。
酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩として、アクリル酸および/またはその塩を必須とする場合、その使用割合は、酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩の全モノマー成分に対して70モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。このような使用割合で用いることにより、得られる吸水性樹脂の吸収性能がより一層向上すると共に、吸水性樹脂をより一層安価に得ることができる。
本発明の方法で用い得るモノマー成分としては、上記酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩以外にも、他のモノマーを併用することができる。他のモノマーとしては、併用しても本発明の効果が発揮され得るものであれば特に限定はされない。
本発明の方法においては、必須成分としている酸基含有不飽和モノマーおよび/またはその塩の使用割合は、モノマー成分の全使用量に対して、80モル%以上が好ましく、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%である。上記使用割合で用いることにより、吸収特性向上などの効果が得られる。
本発明の方法においてモノマー成分を重合する方法としては、特に限定されず、例えば、水溶液重合、逆相懸濁重合、バルク重合、沈殿重合などが挙げられるが、性能面、重合の制御の容易さ、および、膨潤ゲルの吸収特性等の観点からすれば、水溶液重合や逆相懸濁重合が好ましい。従って、モノマー成分は、溶液状態(特に、水溶液状態)にしてモノマー溶液(特に、モノマー水溶液)として用いることが好ましい。
水溶液重合とは、分散溶媒を用いずにモノマー水溶液を重合させる重合法であり、例えば、米国特許4625001号、同4873299号、同4286082号、同4973632号、同4985518号、同5124416号、同5250640号、同5264495号、同5145906号および同5380808号などの米国特許や、欧州特許0811636号、同0955086号および同0922717号などの欧州特許に記載されている重合方法が採用できる。逆相懸濁重合とは、モノマー水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させて重合させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同5244735号などの米国特許に記載されている重合方法が採用できる。これら重合法に例示のモノマー成分や重合開始剤などを本発明の方法に適用することもできる。
本発明の方法で使用されるモノマー溶液中のモノマー成分の濃度は、モノマー溶液の温度やモノマー成分の種類によって適宜設定することができ、特に限定はされないが、20質量%(重量%)以上であることが好ましく、より好ましくは25〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%である。高濃度で重合しやすい40質量%以上、さらには45質量%以上というモノマー濃度条件において、特に、本発明の優位性は明らかとなってくる。上記モノマー成分の濃度が20質量%未満の場合は、生産性が低くなるおそれがある。
本発明の方法で使用されるモノマー溶液の粘度は、特に限定はされないが、0.1〜500mPa・sであることが好ましく、より好ましくは0.1〜100mPa・s、さらに好ましくは0.1〜50mPa・sである。モノマー溶液の粘度が高すぎると、例えば、供給ライン内の移送や撹拌操作を行うのに過剰な動力が必要となり操作自体が困難となったりコスト高となり、あるいは、重合開始剤等の各種添加剤の混合性も悪化してしまうおそれがある。
本発明の方法により得られる吸水性樹脂においては架橋構造を有するようにする。かかる架橋構造は、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであっても好ましいが、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する架橋剤(吸水性樹脂の内部架橋剤)を、重合反応の際に用いて得られた架橋構造であることがより好ましい。また、重合後の吸水性樹脂に上記架橋剤を反応させて、かかる架橋構造を得ることもできる。
内部架橋剤としては、従来公知の各種内部架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうちから、反応性を考慮して、1種または2種以上を用いることができる。なかでも、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を必須として用いることが好ましい。なお、本明細書においては、「(ポリ)」を付して表している化合物等の名称は、「ポリ」が付された名称および付されていない名称のいずれをも表しているとする。
内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体(吸水性樹脂)内部に導入する場合には、内部架橋剤を、モノマー成分の重合前または重合途中にモノマー溶液に添加するようにすればよい。該添加は、一括添加であっても、連続添加であっても、分割添加であってもよい。
内部架橋剤の使用量は、使用するモノマー成分(架橋剤を除く)全体に対して、0.001〜5モル%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜2モル%、さらに好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.2モル%、最も好ましくは0.03〜0.15モル%である。内部架橋剤の使用量が0.001モル%未満であると、ゲル強度が低下し可溶分が増加するおそれがあり、2モル%を超える場合には、得られる吸水性樹脂が十分な吸収特性を発揮できない(吸収倍率が低下する)おそれがある。
本発明の方法においては、重合反応に際し、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)およびポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤や、キレート剤などを、モノマー溶液に添加してもよい。
本発明の方法において使用できる重合開始剤としては、特に限定はされないが、モノマー成分の種類や重合反応条件などにより、通常の吸水性樹脂製造において使用されている重合開始剤から適宜選択できる。例えば、熱分解型開始剤(例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシドおよびメチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化物;アゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドおよび2,2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等のアゾ化合物など。)や、光分解型開始剤(例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等)およびアゾ化合物など。)などを挙げることができる。なかでも、コスト面や残存モノマー低減能を考慮すると、過硫酸塩が好ましい。より好ましくは、光分解型開始剤と熱分解型開始剤とを併用することである。また、これら重合開始剤とともに、重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。上記還元剤としては、特に限定はされないが、例えば、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)ならびにアミン類等が挙げられる。
重合開始剤は、通常、溶液あるいは分散液といった液状態で用いられる。液状であればそのままモノマー溶液と混合することができる。レドックス系開始剤のように酸化性重合開始剤と還元剤とを組み合わせて用いる場合は、両者のモノマー溶液への混合の仕方は特に限定はされないが、例えば、両者それぞれを一緒にまたは別々に、供給段階のモノマー溶液に合流させたり(合流のさせ方については後述する。)重合系に供給されたモノマー溶液に添加してもよいし、還元剤だけを予め(酸化性重合開始剤を混合する前から)、モノマー溶液あるいはモノマー溶液に用いる液に混合しておいてもよい。
重合開始剤の使用量は、モノマー溶液中の全モノマー成分に対して、通常、0.001〜2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
本発明の方法では、前記モノマー溶液を重合系に供給するまでの間、すなわちモノマー溶液の供給段階において、モノマー溶液中のモノマー成分の重合を溶存酸素により抑制しておくようにすることが重要である。
本発明の方法においては、モノマー溶液を重合系に連続的に供給する方法としては、特に限定はされないが、供給段階での溶存酸素による重合抑制効果の発揮させやすさの点で、例えば、供給配管を通じて各種重合装置等の重合系に連続的に供給することが好ましい。この際、各種調製装置等において調製されたモノマー溶液が、該装置等から直接供給配管に送り込まれて重合系に供給されてもよいし、該装置等から一旦タンク(クッションタンク等)を介したり貯蔵槽に蓄えられたりしてから供給配管に送り込まれて重合系に供給されてもよく、特に限定はされない。また、供給配管を通じての供給においては、密閉した供給配管を用いるようにする。密閉した供給配管としては、モノマー溶液を通じさせて重合系に移送するまでの配管部分全体において、配管内部と配管外部とに実質的に接触する部分が無い(実施し得る条件下において配管外部に配管内部の液体や気体が漏れない)ものであればよく、安全性のため配管形状を工夫して配管内部に空気溜りを設けているようなものも含むとするが、溶存酸素による重合抑制効果を初期段階から均一に発揮させようとすると、上記空気溜りのような特殊な形状部分の無い密閉配管であることが好ましい。
供給配管(以下に述べる各種供給配管もすべて含むとする。)としては、通常よく使用されているステンレス鋼管を用いることが好ましいが、内面がフッ素樹脂コートされた鋼管やフッ素樹脂性の配管を用いることがより好ましい。
モノマー溶液の供給量(時間あたりの供給量)は、所望の吸水性樹脂生産量に合うように適宜調節される。その際、供給配管を通じて供給するにあたっては、配管の管径やモノマー溶液の流速は、流体(モノマー溶液)の性状に応じて適当な範囲内に選べばよく、さらに経済的なども考慮して最適な管径や流速となるようにすればよい。詳しくは、公知の参考書(例えば、「配管工学(著者:小河内美男、工学図書株式会社より出版)」等)を参照することができる。
供給するモノマー溶液としては、前述したように、酸基の少なくとも一部が中和されている酸基含有不飽和モノマーを用いることがある。
本発明においては上記中和反応、すなわち酸基含有不飽和モノマーとアルカリ成分との反応を行う具体的方法やタイミング等は、特に限定はされず、例えば、(i)予め酸基含有不飽和モノマーにアルカリ成分を加えて中和反応させて得られたモノマー溶液を一旦前記タンクや貯蔵槽での過程を経させてから供給配管に送り込んで供給してもよいし、(ii)前記タンクや貯蔵槽において酸基含有不飽和モノマーとアルカリ成分とを反応させ、得られたモノマー溶液を供給配管に送り込んで供給してもよいし、あるいは、(iii)酸基含有不飽和モノマーとアルカリ成分とを供給配管内で連続的に反応させつつ得られたモノマー溶液を供給するようにしてもよい。
上記(iii)の方法としては、具体的には、前記中和は、酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分の供給配管にアルカリ成分の供給配管を合流させることにより連続的に行うようにすることが好ましい。実際には、上記合流は、酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分の供給配管に、アルカリ成分の供給配管を連結させて行うことができる。
前記中和反応に際しては、酸基含有不飽和モノマーとアルカリ成分との中和熱、あるいは、アルカリ成分の水和熱が発生し、この熱によって短時間でモノマー溶液全体の液温が上昇する。通常、モノマー溶液が高温になった場合、モノマー成分の重合が起こりやすくなる一方で、重合抑制能を有するモノマー溶液中の溶存気体(溶存酸素等)も脱気しやすい。よって、中和反応時に発生する酸素等の気体を解放系に逃してしまわず、そのままモノマー溶液と共に(具体的には、発生した気体をモノマー溶液に混合しながら、いわゆるバブリングまたはそれに近い状態で)連続的に重合系まで移送することのできる上記(iii)の方法であれば、供給段階において所望の溶存酸素量をより効率的に確保することができるのである。
前記中和反応に際してはまた、前述した中和時の発生熱を、より効率的に重合系まで保持し重合反応に利用することができる点でも、上記(iii)の方法が好ましい。詳しくは、一旦タンクや貯蔵槽を経由させる上記(i)や(ii)の方法の場合はその経由の時点またはその前後の時間的ロス等により上記中和時の発生熱を損失し易い。また、上記(ii)の方法にあっては、タンク等の容量の大きい系において中和反応を無制限に行うと、過剰な熱とともに大量の気体が発生する恐れがあるなど安全性に劣る場合があるため、例えば、一方のみを大量に仕込んでおいたところに他方を少しずつ加えるようにして発生する熱を反応系全体に吸収させながら過剰に高温になることを避けるように工夫したり、場合によっては反応系全体を冷却したりする必要があり、必然的に発生熱を損失してしまうことになる。さらに、設備上の空間的な側面も考慮すると、タンクや貯蔵槽等を設置することにより、その分、不可避的に設備全体をコンパクトに抑えることができず、中和反応を行う箇所から重合系までの配管等の距離や時間が長くなる。そうすると、必然的に中和による発生熱の保持効率は低下すると考えられる。一方、上記(iii)の方法であれば、前述した配管の合流等の手段により酸基含有不飽和モノマーとアルカリ成分とを接触させた後、中和を十分に行わせるための時間や必要に応じて行うモノマー溶液の撹拌や重合開始剤の添加(詳しくは後述する)等に要する時間などを考慮しさえすれば、すぐに(短時間・短距離で)モノマー溶液を重合系に供給することも可能であり、最大限に中和時の発生熱を利用することができる。
供給段階において、溶存酸素によりモノマー溶液中のモノマー成分の重合を抑制しておく方法としては、特に限定はされないが、一つは、モノマー溶液がもともと有している溶存酸素(溶存気体)(具体的には、例えば、モノマー溶液の調製に用いるモノマー成分を含む液やアルカリ成分を含む液等がもともと有している溶存酸素)を、重合系に供給するまでの段階において必要量保持するようにし、重合抑制能を確保する方法が挙げられる。供給段階においては、前述のように中和反応でモノマー溶液の液温が高くなること、あるいは、設備周辺の雰囲気温度(気温等)が高い場合にも同様に液温が高くなることがあるが、このような場合モノマー溶液から溶存酸素が脱気しやすく、そのまま逃してしまえば必要な溶存酸素量を確保することはできない。よって、具体的には、モノマー溶液およびその調製に用いる液の供給経路全体を密閉した系とすることが望まれる。また、上記(ii)の方法を採用する場合であれば、中和時の発生熱によるモノマー液全体の液温上昇を、前述したような手段で極力抑えるようにすれば、これによっても溶存酸素の脱気を抑制し必要な溶存酸素量を確保することができる。すなわち、供給段階における経路全体において、モノマー溶液の液温が過剰に上昇しないようにする(中和反応のさせ方や経路の冷却など)ことでも必要な溶存酸素量を確保することができる。
二つめの方法としては、供給段階における経路の任意の箇所で、モノマー溶液が必要量の溶存酸素を保持するよう積極的に酸素(酸素を含む気体)を供給することが挙げられる。具体的には、例えば、モノマー溶液やその調製に用いる液に、供給段階全体における溶存酸素の低減量を予測・考慮した上で、予め、必要量の溶存酸素を保持させておく方法や、モノマー溶液の液温上昇等により溶存酸素量が低減しやすい箇所の前後においてモノマー溶液に必要量の溶存酸素を保持させる方法などが挙げられる。具体的手段としては、例えば、酸素またはこれを含む気体(空気等)をバブリングしたり、エジェクタやアスピレータによりノズルから噴射したりすること等が挙げられる。
なお、供給段階においては、上記バブリング等によって、溶存酸素の少なくとも一部がモノマー溶液中に気体として(例えば微小気泡等の状態で)分散している状態となり得るが、この場合は、その後重合系へ供給したときにモノマー溶液から放散(脱気)されにくく重合反応が妨げられるおそれがある。そこで、上記分散状態(微小気泡等の状態)にある酸素等の合一を促し、重合系へ供給したときに放散されやすくするため、供給段階の配管中のモノマー溶液に窒素等の不活性ガスあるいは空気等をさらに少量導入しておくことが好ましい。不活性ガス等の導入量は、限定はされないが、モノマー溶液に対する容積比で、1.0以下が好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。不活性ガス等の導入量が、上記容積比で1.0を超えると、溶存酸素による重合抑制効果を弱めてしまうおそれがある。
溶存酸素により重合抑制効果を得るにあたっては、上記いずれの方法においても、供給段階の経路全体を密閉系にすることが好ましい。ここでいう密閉系も、前述した供給配管に関する密閉系と同様に定義される。
本発明の方法において、溶存酸素によりモノマー溶液中のモノマー成分の重合を抑制するためには、モノマー溶液中の溶存酸素量を、1mg/L以上とすることであり、好ましくは2mg/L以上、さらに好ましくは3mg/L以上とすることである。上記溶存酸素量が1mg/L未満であると、供給段階で重合物が生成するおそれがある。また、後述するように、重合系に供給したときにモノマー溶液中の溶存酸素を脱気することを引き金にして重合を可能とさせることを考慮すると、供給段階におけるモノマー溶液中の溶存酸素量の上限に関しては、15mg/L以下とすることが好ましく、より好ましくは10mg/L以下である。上記溶存酸素量が15mg/Lを超えると、十分に脱気することが困難となり、重合系への供給後から重合開始までの時間が長くなったり重合不良で物性が低下したりするおそれがある。なお、本発明の方法においては、供給段階に供するモノマー溶液あるいはモノマー溶液を調製するための各種溶液(モノマー成分のみの溶液やアルカリ成分を含む溶液など)は、予め適宜(好ましくは重合抑制作用が発揮され得る範囲内で)脱気しておいてもよい。
供給段階におけるモノマー溶液の温度は、前述の中和反応による液温上昇等も考慮すると、60〜110℃である。上記温度が60℃未満であると、後の重合系においての誘導期間や重合反応を可能とさせる(開始させる)までの時間が長くなり、結果として生産性が低下するのみならず、吸水性樹脂の物性も低下するおそれがある。本発明の方法においては、モノマー溶液の温度が60℃以上という比較的高温の場合であっても、モノマー組成等が安定した状態でモノマー溶液を重合系に連続的に供給することができる。また、後述するように、モノマー溶液を重合系に供給することのみによって(別途、モノマー溶液の加熱等を必要とせず)、モノマー溶液から溶存酸素を脱気してモノマー成分の重合を可能とさせ得ることを考慮すると、供給段階におけるモノマー溶液の温度は、60〜110℃であり、好ましくは80〜110℃、さらに好ましくは85〜110℃、さらに好ましくは90〜110℃、さらに好ましくは90〜105℃、特に好ましくは90〜100℃、最も好ましくは95〜100℃である。
本発明の方法においては、重合開始剤の存在下でモノマー溶液中のモノマー成分を重合させる。ここで、モノマー溶液に重合開始剤を供給する手段については、特に限定はされないが、例えば、重合開始剤を含む溶液(以下、重合開始剤溶液と言うことがある。)をその調製装置から直接供給するようにしてもよいし、あるいは、調製した重合開始剤溶液を一旦タンク(クションタンク等)や貯留槽等に蓄えておいて必要時に必要量供給するようにしてもよく、特に限定はされない。また、モノマー溶液に重合開始剤を供給するタイミングについても、特に限定されず、供給段階におけるモノマー溶液の流れ(すなわち重合系に供給されるまでのモノマー溶液)に供給するようにしてもよいし、重合系に供給したとき又はそれ以後の段階のモノマー溶液(すなわち重合系に供給されたモノマー溶液)に供給するようにしてもよいが、引き続き以下では、前者のタイミングで供給する場合について詳しく説明する。
重合開始剤溶液をモノマー溶液に供給する具体的手段としては、特に限定はされないが、例えば、重合開始剤溶液の供給配管をモノマー溶液の供給配管に合流させることにより、供給配管内のモノマー溶液に連続的に供給するようにすることが好ましい。実際には、上記合流は、モノマー溶液の供給配管に、重合開始剤溶液の供給配管を連結させて行うことができる。
重合開始剤溶液は、後述するモノマー溶液と同様に、撹拌してからモノマー溶液に合流させてもよいが、特に撹拌操作を行うことなくモノマー溶液に合流させればよい。
重合開始剤溶液は、モノマー溶液の流れに対して1箇所から合流させてもよいし、複数箇所から同時に合流させてもよい。重合開始剤溶液の供給について、その流速や配管径等は、前述したモノマー溶液と同様に、供給量と流体の種類等を考慮し適宜設定することができる。
モノマー溶液の供給配管に重合開始剤溶液の供給配管を合流させた箇所から、重合装置等の重合系までの供給配管においては、その途中にネジ込み継手やユニオン等をなるべく用いないことが好ましい。それらが存在することにより、継手部分等にデッドスペースが生じやすくモノマー溶液が滞留して重合物が生成するおそれがあり、また、継手部分等において重合物が付着成長するおそれもある。
重合開始剤溶液をモノマー溶液に合流させた後、重合系(重合装置等)までの供給配管の管路長は、重合開始剤の性状やモノマー溶液の撹拌状態、モノマー溶液の温度と重合開始剤の分解速度、および、誘導時間などの各種条件を考慮して適宜設定すればよいが、通常、1cm以上であることが好ましく、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上である。
本発明の方法においては、前述の中和を行う箇所、および/または、上記重合開始剤(重合開始剤溶液)の供給を行う箇所において、モノマー溶液を配管内で撹拌するようにすることが好ましい。前述の中和を行う箇所や上記重合開始剤(重合開始剤溶液)の供給を行う箇所とは、実際にこの中和や供給を行った部分およびその前後の周辺部分を意味しているものとする。従ってモノマー溶液の撹拌は、上記中和や供給を行うまさにその部分で行うようにしてもよいし、その手前の位置で行うようにしても、その後の位置で行うようにしてもよく、特に限定はされない。
このようにモノマー溶液を撹拌することで、上記中和反応をより効率的かつ完全に進めることができ、重合開始剤溶液をより短時間で均一にモノマー溶液に混合することができる。また、供給配管内で完全には均一混合されていなかったとしても、重合系に供給されたときにモノマー溶液が依然として撹拌状態にあれば、重合装置内においてもより混合されやすいという利点がある。
なかでも、中和反応を行った後、かつ、重合開始剤溶液の供給を行う前に撹拌するようにすれば(すなわち撹拌されたモノマー溶液に重合開始剤を合流させるようにすれば)、モノマー溶液に重合開始剤を短時間でより均一に混合することができ、得られる吸水性樹脂の物性を良好なものにすることもできると共に、撹拌機内や配管内での(特に撹拌機内での)重合物の生成による閉塞も効果的に回避することができるため、特に好ましい。
連続的に供給されるモノマー溶液に撹拌操作を加えるための装置としては、通常、液体に対して用いることのできる公知の各種撹拌機が使用でき、特に、モノマー溶液を連続的に流通させている配管の途中で撹拌を行う、インライン構造の撹拌機が好ましい。インライン構造の撹拌機としては、例えば、筒状の配管内に回転可能な撹拌羽根を有する小型撹拌機や、長方形の板を1箇所または2箇所以上で180度ひねって形成したエレメント(混合素子)を配管内に挿入しておき、液流がこのエレメントを通過することで撹拌されるようにするスタティックミキサーなどが挙げられる。また、配管内に噴射ノズル、スロート、オリフィス、邪魔板、分岐管および合流管などを設置して、モノマー溶液に撹拌操作を加えることもできる。
配管中を連続的に流れるモノマー溶液に撹拌操作を加えたときの、モノマー溶液の流動状態は、流体を入れる容器(撹拌槽)と撹拌羽根とからなる撹拌装置で撹拌された流体の流動状態を表すのに用いられる撹拌レイノルズ数を、模式的に適応して評価することができる。このとき、撹拌操作を加えたモノマー溶液の撹拌レイノルズ数Reが50以上となるようにすることが好ましい。一般に、Re<50では層流状態、Re>1000では乱流状態と評価される。また、50<Re<1000の範囲では層流状態と乱流状態が混在する遷移状態と評価される(例えば、「化学工学便覧(改定六版)、p.424、化学工学会編、出版社:丸善」参照。)。
本発明の方法においては、重合反応を一旦中断する場合には、供給配管内に滞留するモノマー溶液を洗い流し出すために配管水洗を行うことが好ましい。これにより、一時中断した後再開する場合も、配管内や各種装置内が重合物で閉塞してしまうことを効果的に防ぐことができる。
本発明の方法では、前記モノマー溶液を重合系に供給したときには、前述したモノマー溶液中の溶存酸素を脱気してモノマー成分の重合を可能とさせることが重要である。
上記重合系では供給されたモノマー溶液(モノマー成分)の重合を行う。重合方法としては、特に限定はされないが、供給されたモノマー溶液を撹拌しながら重合させる撹拌重合法や、供給されたモノマー溶液を静置状態で重合させる静置重合法などが挙げられる。
上記重合系においては、供給されたモノマー溶液(モノマー成分)の重合を行うための重合装置を備える。本発明の方法においては、モノマー溶液を重合系に供給するとは、特に断らない限り、モノマー溶液を重合装置に供給することを意味する。重合装置としては、連続的に供給されるモノマー溶液を連続的に重合させ得る装置であれば特に限定されるものではなく、一般的に吸水性樹脂製造で用いられる公知の重合装置を採用できるが、例えば、前記撹拌重合法により重合する場合は、連続撹拌重合機等が使用され、前記静置重合法により重合する場合は、連続ベルト重合機等が使用される。
連続撹拌重合機に関しては、一軸撹拌機でも使用可能であるが、連続ニーダーなどの複数撹拌軸を備えた撹拌機を用いることが好ましい。
連続ベルト重合機に関しては、特開2000−34305号公報、特開平11−228604号公報、特開昭62−156102号公報などに記載された技術が適用できる。
重合反応は、通常、装置や設備のコンパクト化および簡単化の為、ならびに、操作を容易にする為などを考慮して常圧下で行われるが、モノマー溶液の沸騰温度を下げるために減圧にして行うのも好ましい態様である。
本発明の方法においては、上記重合系としては、重合反応に際して発生する気体等を逃し得る系、あるいは、必要に応じて逃し得る系(以下、解放系と言うことがある。)が好ましく採用できる。
重合系に供給されたモノマー溶液中の溶存酸素を脱気する方法としては、特に限定はされず、例えば、供給されたモノマー溶液を積極的に加熱する方法、あるいは必要に応じて減圧する方法などが採用できる。また、供給されるモノマー溶液自体が既に十分な加熱状態にあった場合(すなわち、前述した供給段階において既にモノマー溶液が十分な加熱状態にあった場合)は、前述のごとく重合系として解放系を採用すれば、モノマー溶液を重合系に供給するだけで該モノマー溶液中の溶存酸素を脱気することもできる。なお、この場合においても、所望の溶存酸素量とする為さらに脱気するときや、より素早く脱気したいときは、必要に応じて、モノマー溶液を積極的に加熱したり、減圧したりしてもよい。
ここで、上記脱気とは、重合系に供給されたモノマー溶液中に溶存している酸素を非溶存状態として該モノマー溶液中から放散させることをいう。なお、一旦放散させた酸素については、再びモノマー溶液中に溶存し得ない条件下に排気することが好ましい。
本発明の方法において、上記脱気をしてモノマー成分の重合を可能とさせることとは、前述の供給段階においてモノマー成分の重合を抑制するために用いていた溶存酸素の少なくとも一部を、上記脱気によりモノマー溶液中から除くことが、上記重合抑制作用を解除させ且つモノマー成分の重合を開始させることの引き金となるようにすること、を意味する。
本発明の方法において、上記脱気によりモノマー成分の重合を可能とさせるためには、上記脱気後のモノマー溶液中の溶存酸素量を、6mg/L未満とすることであり、好ましくは5mg/L未満、さらに好ましくは4mg/L未満、特に好ましくは2mg/L未満とすることである。上記溶存酸素量が6mg/L以上であると、残存する溶存酸素の重合抑制作用により、モノマー成分の重合反応が効率良く行えないおそれがある。
なお、先に述べたように、供給段階に供するモノマー溶液あるいはモノマー溶液を調製するための各種溶液(モノマー成分のみの溶液やアルカリ成分を含む溶液など)を、適当な条件で予め脱気しておいた場合は、本発明でいう上記脱気をより容易かつ短時間で効率的に行うことができ好ましい。
前記モノマー溶液を加熱する方法としては、特に限定はされないが、例えば、連続撹拌重合機等の装置を用いて重合を行う場合は、該装置へ加熱用ジャケットを設置する方法等が挙げられ、連続ベルト重合機等の装置を用いて重合を行う場合は、ベルト面をヒーターにより直接的あるいは間接的に加熱する方法等が挙げられる。
上記加熱の程度は、モノマー溶液の温度を重合開始温度以上にするとともに、モノマー溶液中の溶存酸素を前述のごとくモノマー成分の重合を可能とさせる量まで脱気できる程度であればよく、特に限定はされないが、本発明の方法においては、上記加熱の程度は、一般的に、モノマー溶液の温度を80以上℃となるようにする程度が好ましく、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上である。
前記モノマー溶液を減圧する方法としては、特に限定はされず、公知の減圧方法を適宜採用すればよい。
上記減圧の程度は、モノマー溶液中の溶存酸素を前述のごとくモノマー成分の重合を可能とさせる量まで脱気できる程度であればよく、特に限定はされない。
前述の、モノマー溶液を重合系に供給するだけで該モノマー溶液中の溶存酸素を脱気できる実施態様としては、具体的には、例えば、前記供給段階において、中和反応の際に発生した熱によりモノマー溶液が十分な加熱状態となっている場合や、供給配管等の周辺の雰囲気が高温であることによりモノマー溶液が十分な加熱状態となっている場合等を挙げることができる。これら態様の場合、上記加熱状態のモノマー溶液の温度が重合開始温度以上となっていれば、重合系に供給したときの溶存酸素の脱気のみを引き金として、モノマー成分の重合を可能とさせることができる。
本発明の方法においては、前述のように、モノマー溶液を重合系に供給したときには上記脱気により上記重合を可能とさせるようにするが、詳しくは、上記脱気するタイミングについては、モノマー溶液を重合系に供給した時点以降であれば特に限定はされないことを意味する。すなわち、モノマー溶液を重合系に供給した時点もしくはそれ以降の段階において、モノマー溶液中の溶存酸素を脱気して上記重合を可能とさせるようにする。具体的には、例えば、前記供給段階において既にモノマー溶液が十分な加熱状態であって重合系が解放系である場合であれば、通常、モノマー溶液が重合系に供給された時点から(特に外部からの加熱等の操作を加える必要も無く)溶存酸素を脱気できることになる。一方、重合系が解放系であるか否かに関わらず、モノマー溶液が重合系に供給されただけでは溶存酸素を脱気できない場合は、通常、供給された時点より後の段階において積極的な加熱や減圧等により溶存酸素を脱気することになるが、予め重合系を加熱や減圧等しておけば供給された時点から溶存酸素を脱気することができる。
本発明の方法によれば、特に重合が起こりやすい高温や高濃度のモノマー溶液に対しても、供給段階において、供給配管や各種装置などの供給ライン内部を閉塞等させることなく、重合系への良好な連続供給が実現でき、有用である。また、重合系への供給後においては、前記供給段階において重合抑制作用を発揮させる為に溶存させていた酸素を利用し、逆にモノマー溶液中からこの溶存酸素を脱気することを重合開始の引き金とすることで、経済的かつ生産性よく極めて効率的な重合反応を実現でき、有用である。よって、本発明の方法は、例えば、特開2002−212204号公報に記載の高温・高濃度重合技術の連続化等に好ましく適用され得る。この場合の好ましい重合装置としては、エンドレスベルト式連続重合装置であって、ベルトがフッ素樹脂製または表面がフッ素樹脂コーティングされており、ベルト装置が加熱ないし保温され、蒸発水や蒸発モノマー溶液を回収再利用するシステムを有するものである。また、ベルトはモノマー溶液の逆流防止のために水平であるか、あるいは、モノマー溶液の供給部分がベルトの進行方向の上流側に対して低くなっていることが好ましく、ベルト上から重合ゲルが排出されてから再度上流側の前記供給部分に戻るまでの間に、ベルト洗浄工程が設置されたものがより好ましい。ベルト上に展開されるモノマー溶液の厚みは、溶存酸素の脱気のしやすさを考慮すると、50mm以下であることが好ましく、より好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。上記モノマー溶液の厚みが50mmを超えると、比表面積が減少し、溶存酸素を十分に脱気できないおそれがある。
本発明の吸水性樹脂の製造方法を実施することにより、吸水性樹脂の重合ゲル(含水ゲル状架橋重合体)が得られる。重合の際に、前述の連続ベルト重合機を用いた場合では、帯状に連続した吸水性樹脂の重合ゲルが得られる。また、連続撹拌重合機を用いた場合では、塊状、粒子状、凝集粒子状またはこれらが混在した状態の吸水性樹脂の重合ゲルが得られる。
得られた重合ゲルは、そのままで使用することもできるし、細かく粉砕して使用することもできる。通常は、重合ゲルをさらに乾燥および粉砕して粒子状吸水性樹脂とし、得られた吸水性樹脂粒子はさらに表面架橋(二次架橋)処理されたり、造粒されたりして吸水性樹脂製品として使用される。重合ゲルの乾燥や粉砕および表面架橋処理については、公知の技術を採用することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。特に断りのない限り、測定温度は23±2℃の範囲であるとする。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<無荷重下吸収倍率(GV)の測定>
吸水性樹脂約0.2gを量り取り、不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離器を用いて250×9.81m/s(250G)で3分間水切りを行った後、袋の重量W(g)を測定した。同様の操作を、吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの重量W(g)を測定した。そして、これら重量W、Wから、下記式(1):
GV(g/g)=〔(W−W)/吸水性樹脂の重量〕−1 (1)
に従ってGV(無荷重下吸収倍率)を算出した。
<可溶分量の測定>
250mL容量の蓋付きプラスチック容器に0.9重量%NaCl水溶液(生理食塩水)の184.3gを量り取り、その水溶液中に吸水性樹脂1.00gを加え16時間撹拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを量り取り測定溶液とした。はじめに生理食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量(〔bNaOH〕mL、〔bHCl〕mL)を得た。同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量(〔NaOH〕mL、〔HCl〕mL)を求めた。例えば、アクリル酸とそのナトリウム塩からなる吸水性樹脂の場合、その単量体としての重量平均分子量Mwと上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水性樹脂中の可溶分量を、下記式(2)〜(4)により算出した。
可溶分(wt%)=0.1×Mw×184.3×100×
(〔HCl〕−〔bHCl〕)/(1000×1.0×50.0) (2)
ただし、
Mw=72.06×(1−中和率/100)+94.04×中和率/100 (3)
中和率(モル%)=〔1−(〔NaOH〕−〔bNaOH〕)/
(〔HCl〕−〔bHCl〕)〕×100 (4)
<残存モノマー量の測定>
脱イオン水1000gに吸水性樹脂0.5gを加え、撹拌下で2時間抽出した後、濾紙を用いて膨潤ゲル化した吸水性樹脂を濾別し、濾液中の残存モノマー量を液体クロマトグラフィーで分析した。一方、既知濃度のモノマー標準溶液を同様にして分析して得た検量線を外部標準とし、濾液の希釈倍率を考慮して、吸水性樹脂中の残存モノマー量を求めた。
<溶存酸素量の測定>
超精密型DOメーター(セントラル科学(株)製、製品名:UD−1型)を用いて、モノマー溶液の溶存酸素量を測定した。なお、モノマー溶液の溶存酸素量については、便宜上、重合ゲル化を防ぐために重合開始剤を除いた状態で調製したモノマー溶液について測定した。
重合系に供給される溶存酸素脱気前のモノマー溶液中の溶存酸素量(a)は、断熱材で覆われた500mLのポリプロピレン製の容器中に、供給配管から出てくるモノマー溶液約300mL採取し、すぐに密閉して、室温まで急冷した後のモノマー溶液について測定した溶存酸素量とした。
溶存酸素を脱気した後のモノマー溶液中の溶存酸素量(b)は、断熱材で覆われた500mLのポリプロピレン製の容器中に40mmのスターラーピースを入れ、この容器に、供給配管から出てくるモノマー溶液約100mL採取し、すぐに450rpmで10秒間撹拌してから密閉して、室温まで急冷した後のモノマー溶液について測定した溶存酸素量とした。
〔実施例1〕
48.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液(A)、54.3wt%のアクリル酸水溶液(B)、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量:523)が9.33wt%、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが0.347wt%、46wt%ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム水溶液が0.377wt%、アクリル酸45.0wt%および工業用純水45.0wt%からなる溶液(C)、ならびに、3.0wt%過硫酸ナトリウム水溶液(D)を別々に調製し、それぞれ異なるタンク1〜4(図1参照)に入れて保存した。各タンク内の溶液の液温は、水溶液(A)が33℃、水溶液(B)が11℃、溶液(C)が24℃および水溶液(D)が24℃となるようにした。
図1に示す連続重合装置を用い、各溶液の供給量(流量)を水溶液(A)が17.8kg/h、水溶液(B)が40.3kg/h、溶液(C)が0.778kg/hおよび水溶液(D)が1.03kg/hとなる設定で、供給配管7中においてこれら溶液を混合しモノマー溶液を調製した。上記混合に際しては、図1における分散機6より下流の供給配管7中に、200mL/minの流量で窒素ガスを導入した。供給配管7中のモノマー溶液の温度は97℃で安定させた。供給配管7中のモノマー溶液の溶存酸素量(a)は8.6mg/Lであった。
供給配管7内のモノマー溶液を、続けて重合系としてのベルト重合機8に供給し、重合を行った。ベルト重合機8は、表面がフッ素樹脂コーティングされた長さ3.8m、幅60cmのエンドレスベルト9を備え、該ベルト9上にUVランプが設置され、ベルト9の底面側および重合機8の周囲が約100℃に加熱され且つ保湿され、中央部に蒸発水を回収するための吸気配管を備えている。重合系への供給により溶存酸素を脱気した後のモノマー溶液の溶存酸素量(b)は3.5mg/Lであった。モノマー溶液を供給配管から上記ベルト9上に連続的に供給して重合を行い、帯状の重合ゲル10を得た。
得られた帯状の重合ゲル10を、連続的にミートチョッパーで粉砕し、180℃の熱風で乾燥した後、乾燥物をロールミルで粉砕して、粒子状の吸水性樹脂(1)を得た。
吸水性樹脂(1)をふるいにより分級し、300〜600μmの範囲の吸水性樹脂粒子(1)を得て、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
分散機6のジャケットに冷却水を適量通すことにより供給配管7中のモノマー溶液の温度を89℃となるように調整して安定させた以外は、実施例1と同様にして、粒子状の吸水性樹脂(2)を得た。
なお、供給配管7中のモノマー溶液の溶存酸素量(a)は9.5mg/Lであった。重合系への供給により溶存酸素を脱気した後のモノマー溶液の溶存酸素量(b)は4.8mg/Lであった。
吸水性樹脂(2)をふるいにより分級し、300〜600μmの範囲の吸水性樹脂粒子(2)を得て、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
各タンク1〜4内の溶液の液温を水溶液(A)が25℃、水溶液(B)が7℃、溶液(C)が24℃および水溶液(D)が24℃となるようにし、タンク2内の水溶液(B)を窒素バブリングすることで水溶液(B)の溶存酸素量を1mg/L以下となるようにし、分散機6のジャケットに冷却水を適量通すことにより供給配管7中のモノマー溶液の温度を80℃となるようにして安定させ、重合機8のベルト9の底面側の温度を80℃となるようにした以外は、実施例1と同様にして、粒子状の吸水性樹脂(3)を得た。
なお、供給配管7中のモノマー溶液の溶存酸素量(a)は5.2mg/Lであった。重合系への供給により溶存酸素を脱気した後のモノマー溶液の溶存酸素量(b)は4.3mg/Lであった。
吸水性樹脂(3)をふるいにより分級し、300〜600μmの範囲の吸水性樹脂粒子(3)を得て、その物性を測定した。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
分散機8より下流の供給配管に、新たにガス抜き部分11を設けた以外は、実施例1と同様の操作を行った。しかし、連続操作中に供給配管7内の圧力が徐々に上昇して、操作開始から数十分後には重合機へのモノマー溶液の供給ができなくなった。原因を調べたところ、供給配管7内に重合物の塊が生成して詰まっていた。
Figure 0004754169
本発明にかかる製造方法は、例えば、体液(尿や血液など)等を吸収させることを目的とする紙オムツ、生理用ナプキンおよび成人用失禁パット等の衛生材料、および、土壌用保水剤などの用途において主要な構成材料として幅広く利用できる、吸水性樹脂を得る方法としてこ好ましく適用できる。
本発明の製造方法を実施できる連続重合装置の配置構造の概略図である。
符号の説明
1 水溶液(A)のタンク
2 水溶液(B)のタンク
3 溶液(C)のタンク
4 水溶液(D)のタンク
5 ポンプ
6 分散機(混合機)
7 供給配管
8 ベルト重合機
9 エンドレスベルト(ベルトコンベア)
10 重合ゲル
11 ガス抜き部分

Claims (5)

  1. 酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、
    前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、重合系に供給するまでの間、その溶存酸素量を1mg/L以上として、前記モノマー成分の重合を前記の溶存酸素により抑制
    前記重合開始剤は、これを含む溶液の供給配管を前記モノマー溶液の供給配管に合流させることにより前記モノマー溶液に連続的に供給するようにする、
    ことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
  2. 酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、
    前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、重合系に供給したときには、前記モノマー溶液中の溶存酸素を脱気して脱気後の前記モノマー溶液中の溶存酸素量を6mg/L未満となるようにし、前記モノマー成分の重合を可能とさせ、
    前記重合開始剤は、これを含む溶液の供給配管を前記モノマー溶液の供給配管に合流させることにより前記モノマー溶液に連続的に供給するようにする、
    ことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
  3. 酸基の少なくとも一部が中和されていることがある酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分を含むモノマー溶液を重合開始剤の存在下で連続的に重合させて吸水性樹脂を製造する方法において、
    前記モノマー溶液は、60〜110℃の温度で重合系に供給することとし、かつ、 前記モノマー溶液を重合系に供給するまでの間、前記モノマー溶液中の溶存酸素量を1mg/L以上とし、
    前記モノマー溶液を重合系に供給したときには、前記モノマー溶液中の溶存酸素量を6mg/L未満とし、
    前記重合開始剤は、これを含む溶液の供給配管を前記モノマー溶液の供給配管に合流させることにより前記モノマー溶液に連続的に供給するようにする、
    ことを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記中和は、酸基含有不飽和モノマーを必須とするモノマー成分の供給配管にアルカリ成分の供給配管を合流させることにより連続的に行うようになっている、請求項1から3までのいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 前記溶存酸素の少なくとも一部が前記モノマー溶液中に気体として分散している状態である、請求項1からまでのいずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
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