JP5020637B2 - 吸水性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性樹脂組成物の製造方法および吸水性樹脂組成物に関し、詳しくは、紙おむつの吸水材などに利用される吸水性樹脂組成物を製造する方法と、このような製造方法で得られた吸水性樹脂組成物とを対象にしている。
紙おむつ等に使用される吸水材として、高吸水性ポリマービーズあるいは吸水性樹脂粒子を使用することは、既に良く知られている。
このような用途に使用される吸水性樹脂粒子には、吸水容量や吸水速度が大きいことが要求される。このような基本的特性に加えて、重要な特性に液拡散性がある。
液拡散性とは、紙おむつ等の吸水材に使用したときに、尿などの液体が吸水性樹脂粒子の表面や粒子同士の隙間を迅速に拡散していくような性質を意味している。広い範囲に拡散した液体は、吸水性樹脂粒子群との接触面積が増え吸水され易くなる。吸水性樹脂粒子の最終的な吸水容量や吸水速度は同じ程度であっても、液拡散性が高ければ、総合的な吸水性能が向上する。紙おむつのように、肌が触れる吸水製品の場合、尿などが溜まった状態が長く続くと不快感を与えるが、尿などが広い範囲に拡散してしまえば、そのような不快感が低減される。
従来、吸水性樹脂組成物の液拡散性を向上させる技術が種々提案されている。
例えば、吸水性樹脂粒子に、液透過性向上剤として親水性アモルファスシリカ粒子などを混合することで、液透過性および毛管吸引力が高く、液拡散性に優れた吸水剤を得る技術が示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、吸水性樹脂粒子に電子線や放射線などの活性エネルギー線を照射して、得られる吸水性樹脂粒子の性能向上を図る技術も知られている。
例えば、特定の吸水性樹脂粒子に特定強度の電子線または放射線を照射して、吸水倍率などを向上させる技術が示されている(例えば、特許文献2参照)。
従来における吸水性樹脂粒子の液拡散性を向上させる技術では、いまだ十分な性能が達成できていない。
例えば、特許文献1の技術のように、吸水性樹脂粒子に単に無機粒子を混合するだけでは、液拡散性の向上は十分ではない。特許文献2のように、吸水性樹脂粒子に活性エネルギー線を照射すると、吸水倍率が向上することはあるが、液拡散性は向上しない。
吸水性樹脂粒子を製造する際の、単量体の選択や重合条件の設定を種々に変更することで、製造された吸水性樹脂粒子の液拡散性を向上させることも考えられるが、製造が難しくなったり製造コストが大きく増えたりする。液拡散性は向上するが、その他の特性、例えば、吸水量や加圧下吸収倍率などが低下してしまうのでは、実用性に劣るものとなる。
本発明の課題は、前記した紙おむつの吸水材などとして利用される吸水性樹脂材料として、基本的な吸水性能、生産性などを損なうことなく、実用的に重要な特性である液拡散性を大幅に向上させることである。
特開2004−261797号公報 特開昭59−129232号公報
本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法は、上記の課題を解決するため、紫外線が照射された無機微粒子Bが、吸水性樹脂A100重量部に対して0.01〜10重量部となるように、吸水性樹脂Aと紫外線が照射された無機微粒子Bとを混合する工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法は、上記の課題を解決するため、無機微粒子Bが、吸水性樹脂A100重量部に対して0.01〜10重量部となるように、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとを混合する工程と、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物に紫外線を照射する工程とを含むことを特徴としている。
本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、吸水性樹脂組成物の全量に対して0.1〜5質量%となる量の水を前記混合物に添加後に、前記紫外線を照射する工程が行われることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、前記無機微粒子Bが無機金属酸化物からなることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、前記紫外線の照射が、波長200〜400nmの紫外領域を含む光を、照射量100〜10000mJ/cm、照射強度1〜1000mW/cmで1秒〜60分間照射することにより行われることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、前記吸水性樹脂Aが、質量平均粒子径100〜1000μmの吸水性樹脂粒子であることが好ましい。
本発明に係る吸水性樹脂組成物は、上記の課題を解決するため、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとを含有する吸水性樹脂組成物であり、液拡散速度(LDV)が2.0〜10mm/sであることを特徴としている。
本発明に係る吸水性樹脂組成物では、前記無機微粒子Bは、紫外線を照射されていることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物では、前記無機微粒子Bが、無機金属酸化物であることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物では、前記無機微粒子Bが、二種類以上の無機金属酸化物の混合物であることが好ましい。
また、本発明に係る吸水性樹脂組成物では、二種類以上の無機金属酸化物の前記混合物が、シリカと酸化チタンとを含む混合物であることが好ましい。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法により、吸水性樹脂Aと紫外線照射処理が施された無機微粒子Bとを含み液拡散性(LDV)が格段に優れた吸水性樹脂組成物を得ることができる。
無機微粒子Bそのものは吸水性がなく、吸水性樹脂Aそのものは通常の原料および製造技術で製造されたものであっても、紫外線が照射された無機微粒子Bを吸水性樹脂Aに組み合わせると、単に、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとを混合したものや、吸水性樹脂Aに紫外線照射処理を施しただけの場合に比べて、LDVが格段に向上する。しかも、LDVが格段に向上しても、基本的な吸水性能、具体的には、吸収倍率(CRC)や加圧下吸収倍率(AAP)などが損なわれることもなく、実用的に十分な性能を発揮できる。
他の吸収性能を損なうことなく、LDVの大幅な性能向上が達成できることは、尿などの液体を迅速に吸収することが求められる紙おむつ等の吸水材として、極めて有用である。肌に触れる紙おむつ等の場合、尿などを迅速に広い範囲に拡散させて吸収保持できることは、皮膚に乾いた感触を与え、使用感を極めて良好にすることができる。液体の吸収性能だけでなく、使用感を含む実用的性能を大幅に向上させることができる。
上記吸水性樹脂組成物は、通常の吸水性樹脂の製造技術に、無機微粒子を加えたり、紫外線照射処理を加えたりするだけで、比較的簡単な装置で、簡単かつ能率的に製造することができる。吸水性樹脂の製造に、特別な原料を用いたり、特別な製造方法を適用したりする必要もない。その結果、経済的に生産性良く、性能品質に優れた吸水性樹脂組成物を提供することが可能になる。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
なお、本発明においては、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱い、「主成分」とは50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上含有しているという意味として扱う。また、範囲を示す「X〜Y」は、X以上Y以下であることを示す。
本発明にかかる吸水性樹脂組成物の製造方法は、以下の何れかの工程(I)、(II)を含む。
(I)吸水性樹脂Aと紫外線が照射された無機微粒子Bとを混合する工程
(II)吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物に、紫外線を照射する工程
本発明にかかる吸水性樹脂組成物は、一例として、好ましくは上記製造方法で得られ、前記吸水性樹脂Aと、無機微粒子Bとを含み、液拡散速度(LDV)が2.0〜10mm/sである。
〔吸水性樹脂組成物の性能評価〕
吸水性樹脂組成物の性能を、以下の特性あるいは測定値で評価することができる。各特性の具体的な測定は、後述する実施例の欄で規定される測定方法による。なお、本明細書において、「吸水性」「吸水倍率」「吸水性能」などの用語における「吸水」とは、液体として水のみを対象としているのではなく、食塩水や尿その他の液体を吸液あるいは吸収する場合をも包含している概念である。
液拡散速度(LDV:Liquid Distribution Velocity):吸収体中で液体が拡散する速度を表し、特に、初期の液体を吸収する速度に関係する。値が大きいほど、本発明の目的である液拡散性が優れている。
遠心分離機保持容量(CRC:Centrifuge Retention Capacity):無加圧下吸収倍率とも呼ばれ、吸収体に吸収できる液体の量、基本的な吸収容量を示す。
圧力に対する吸収力(AAP:Absorbency Against Pressure):CRCと共通する吸収容量を示すが、加圧下における吸収容量である点が異なる。加圧下吸収倍率とも呼ばれる。吸収体製品としての使用環境における吸収能力を表す。
食塩水流れ誘導性(SFC:Saline Flow Conductivity):液透過性の良否を表す。膨潤した吸水性樹脂組成物における液体の透過し易さで示す。値が大きいほど液透過性が優れている。
〔吸水性樹脂〕
基本的には、通常の吸水性樹脂がそのまま使用できる。既知の原料、製造方法を適用して製造された吸水性樹脂でよい。
具体的には、後述する製造技術を採用して製造された吸水性樹脂粒子や表面架橋吸水性樹脂粒子、本明細書に挙げられた各文献に記載の吸水性樹脂などが挙げられる。
吸水性樹脂には、粒子、繊維、シート・テープ、ゲルなど、様々な形態を有するものがある。以下の説明では、基本的に、粒子状の吸水性樹脂すなわち吸水性樹脂粒子について説明するが、技術的に問題がない範囲で、粒子以外の形態にも適用される。
吸水性樹脂は、ヒドロゲルを形成しうる水膨潤性水不溶性の架橋重合体である。水膨潤性とは、イオン交換水中において必須に自重の5倍以上、好ましくは50倍から1000倍という多量の水を吸収するものを指す。水不溶性とは、吸水性樹脂中の未架橋の水可溶性成分(水溶性高分子)が好ましくは0〜50質量%、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下のものを指す。
吸水性樹脂として、通液性および液吸い上げ特性の面から、酸基含有不飽和単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂が好ましい。
酸基含有不飽和単量体としては、アクリロニトリルなど重合後の加水分解によって重合後に酸基となる単量体も使用できるが、好ましくは、重合時に酸基を含有する酸基含有不飽和単量体である。
吸水性樹脂は、ポリアクリル酸部分中和物重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、またはこれらの架橋体、カルボキシル基含有架橋ポリビニルアルコール変性物、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等の1種または2種以上を挙げることができる。好ましくは、アクリル酸および/またはその塩(中和物)を主成分とする単量体を重合・架橋することにより得られる架橋構造を有するポリアクリル酸部分中和物重合体である。
単量体が、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする場合、その他の単量体を併用してもよい。例えば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体等が挙げられる。
アクリル酸(塩)以外の単量体を用いる場合には、該アクリル酸(塩)以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸および/またはその塩との合計量に対して、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜10モル%の割合である。その結果、最終的に得られる吸水性樹脂(組成物)の吸収特性がより一層向上すると共に、吸水性樹脂(組成物)をより一層安価に得ることができる。
吸水性樹脂は架橋構造を必須とする。架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に、2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する架橋剤(吸水性樹脂の内部架橋剤)を共重合又は反応させたものが好ましい。
内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート、およびエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトールのような2価以上の多価アルコール類を挙げることができる。
内部架橋剤は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。少なくとも1種または2種類以上の内部架橋剤を使用する場合には、最終的に得られる吸水性樹脂や吸水性樹脂組成物の吸収特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に必須に用いることが好ましい。
内部架橋剤の使用量は前記単量体(架橋剤を除く)に対して、好ましくは0.001〜2モル%、より好ましくは0.005〜1モル%、さらに好ましくは0.005〜0.5モル%、さらに好ましくは0.01〜0.5モル%、さらに好ましくは0.01〜0.2モル%、特に好ましくは0.03〜0.2モル%、最も好ましくは0.03〜0.15モル%の範囲内とされる。上記内部架橋剤の使用量が0.001モル%よりも少ない場合、並びに、2モル%よりも多い場合には、水可溶成分が多くなること、あるいは、吸水倍率が低くなることなど、充分な吸収特性が得られないおそれがある。
上記内部架橋剤を用いて架橋構造を重合体内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記単量体の重合前あるいは重合途中、あるいは重合後、または中和後に反応系に添加するようにすればよい。
本発明に用いられる吸水性樹脂を得るために上述の単量体を重合するに際しては、バルク重合や沈殿重合を行うことが可能であるが、性能面や重合の制御の容易さ、さらに膨潤ゲルの吸収特性の観点から、上記単量体を水溶液とすることによる水溶液重合や逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体の濃度は、水溶液の温度や単量体によって決まり、特に限定されるものではないが、10〜70質量%の範囲内が好ましく、20〜60質量%の範囲内がさらに好ましい。また、上記水溶液重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。
なお、逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に懸濁させる重合法であり、例えば、米国特許4093776号明細書、同4367323号明細書、同4446261号明細書、同4683274号明細書、同5244735号明細書などの米国特許に記載されている。水溶液重合は分散溶媒を用いずに単量体水溶液を重合する方法であり、例えば、米国特許4625001号明細書、同4873299号明細書、同4286082号明細書、同4973632号明細書、同4985518号明細書、同5124416号明細書、同5250640号明細書、同5264495号明細書、同5145906号明細書、同5380808号明細書などの米国特許や、欧州特許0811636号明細書、同0955086号明細書、同0922717号明細書などの欧州特許に記載されている。これら重合法に例示の単量体や開始剤なども本発明では適用できる。
上記の重合を開始させる際には、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤や、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の光重合開始剤を用いることができる。これら重合開始剤の使用量は物性面から通常0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜0.1モル%(対全単量体)である。
重合後、通常は含水ゲル状架橋重合体であり、必要に応じて乾燥し、乾燥の前および/または後で通常粉砕されて吸水性樹脂粒子とする。また、乾燥は通常60℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃、より好ましくは120℃〜200℃の温度範囲で行われる。乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。
〔吸水性樹脂粒子〕
吸水性樹脂粒子の単体での吸水性能が優れていれば、最終的に得られる吸水性樹脂組成物の吸水性能も優れたものになる可能性が高い。本発明では、CRCやAAPを高く維持したまま、吸水性樹脂組成物のLDVあるいはSFCを向上させ、従来達成されなかった高いLDV値(例えば、3.0mm/s以上)を得ることができる。吸水性樹脂粒子として、CRC、AAPなどに優れたものを用いれば、吸水性樹脂組成物についても、それらの性能を良好にすることができる。勿論、吸水性樹脂粒子そのものがLDVやSFCにも優れていれば、さらにLDV、SFCを向上させることができる。
吸水性樹脂粒子や、更には後述の吸水性樹脂組成物は特定の粒子径に調整されたものであることが好ましい。好ましくは、150μm以上で850μm未満の粒子(ふるい分級で規定:JIS Z8801−1:2000)が全体の90質量%以上であり、より好ましくは150μm以上で850μm未満の粒子が全体の95質量%以上であり、さらに好ましくは150μm以上で850μm未満の粒子が全体の98質量%以上である。また、300μm以上の粒子が全体の60質量%以上であることが好ましい。なお、ここで全体とは、吸水性樹脂組成物における全ての吸水性樹脂粒子を意味する。
また、吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径(D50)は、100〜1000μm、好ましくは200〜710μm、より好ましくは200〜600μm、さらに好ましくは300〜600μm、特に好ましくは300〜500μm、最も好ましくは350〜450μmに設定される。なお、吸水性樹脂粒子の粒子径は必要に応じて、造粒などで調製してもよい。
また、本発明に係る吸水性樹脂粒子の粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.1〜0.45、より好ましくは0.25〜0.45、さらに好ましくは0.30〜0.40である。粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
なお、本明細書中における「300μm以上の粒子」とは、後述する篩分級方法で分級された後に測定される300μmの目開きを有するJIS標準篩の上に残った粒子を指す。また、「300μm未満の粒子」とは、同様に後述する分級方法で分級された後に測定される300μmの目開きを有するメッシュを通過した粒子を指す。他の目開きの大きさについても同様である。また、300μmの目開きを有するメッシュで粒子の50質量%が分級される場合、その質量平均粒子径(D50)は300μmである。
吸水性樹脂粒子の粒子形状は、球状、破砕状、不定形状等に限定されるものではないが、粉砕工程を経て得られた不定形破砕状のものが好ましく使用出来る。
なお、吸水性樹脂粒子の粒度調製は、重合、含水重合物粉砕(別称:含水重合物細分化)、乾燥、粉砕、分級、造粒、複数の吸水性樹脂粒子の混合等により適宜行うことができる。
〔表面架橋吸水性樹脂粒子〕
吸水性樹脂粒子として、表面架橋吸水性樹脂粒子が使用できる。表面架橋吸水性樹脂粒子は、前記吸水性樹脂粒子に、さらに、表面架橋(二次架橋)を施す。
表面架橋を行うための架橋剤としては、種々のものがあるが、物性の観点から、一般的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、モノ、ジ、またはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物等が用いられている。
表面架橋剤の具体例として、米国特許6228930号明細書、同6071976号明細書、同6254990号明細書などに例示されている表面架橋剤が使用できる。例えば、モノ,ジ,トリ,テトラまたはポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノールなどの多価アルコール化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドールなどのエポキシ化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等の多価アミン化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;上記多価アミン化合物と上記ハロエポキシ化合物との縮合物;2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン化合物(US6559239);オキセタン化合物;環状尿素化合物;エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネート化合物(US5409771)等が挙げられる。これらの架橋剤の中でも少なくともオキセタン化合物(US2002/72471)、環状尿素化合物、多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10のオキセタン化合物あるいは多価アルコールから選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくは炭素数3〜8の多価アルコールが用いられる。
表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂100質量部に対して、0.001質量部〜10質量部の範囲内が好ましく、0.01質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。
表面架橋には水を用いることが好ましい。この際、使用される水の量は、使用する吸水性樹脂の含水率にもよるが、通常、好ましくは吸水性樹脂100質量部に対し0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲である。また、本発明において、水以外に親水性有機溶媒を用いてもよく、吸水性樹脂100質量部に対して好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0〜5質量部、さらに好ましくは0〜3質量部の範囲である。
さらに、種々の混合方法のうち、必要により水および/または親水性有機溶媒とを予め混合した後、次いで、その水溶液を吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましく、噴霧する方法がより好ましい。噴霧される液滴の大きさは、平均粒子径で1〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。また混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲で水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。
架橋剤と混合後の吸水性樹脂は好ましくは加熱処理される。上記加熱処理を行う際の条件としては、加熱温度(熱媒温度で規定)は、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜250℃であり、加熱時間は、好ましくは1分〜2時間の範囲である。温度と時間の組み合わせの好適例としては、180℃で0.1〜1.5時間、200℃で0.1〜1時間である。
〔吸水性樹脂粒子の特性〕
吸水性樹脂粒子の特性が、最終的に得られる吸水性樹脂組成物の特性に影響を与える。そこで、吸水性樹脂粒子としても、吸水性樹脂組成物に要求される性能に優れたものが望ましい。例えば、以下の特性を備えたものが望ましい。
<含水率>
吸水性樹脂粒子は、得られる吸水性樹脂組成物の物性面から室温でも流動性を示す粉末であることが望ましい。
そのため、吸水性樹脂粒子の含水率(吸水性樹脂粒子に含まれる水分量で規定/粒子1gを直径5cmのアルミカップに均一に広げ、105℃で3時間の乾燥減量で測定)率は、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.2〜30質量%、さらに好ましくは0.3〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の粉末状態である。吸水性樹脂粒子の含水率が40質量%より多い場合は、吸水倍率が低下し、含水率が0.1質量%より少ない場合は、液吸い上げ特性が低下することがある。
<可溶分>
吸水性樹脂粒子の可溶分は少ないほど好ましい。具体的には、可溶分量25質量%以下(下限0質量%)に設定する。より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
吸水性樹脂粒子のCRC値が高いほど、最終的な吸水性樹脂組成物のCRC値も高くなる。通常は、吸水性樹脂粒子のCRC値よりも、吸水性樹脂組成物のCRC値が低くなる。そこで、吸水性樹脂粒子のCRC値を、20〜50g/g、好ましくは20〜45g/g、より好ましくは20〜40g/g、最も好ましくは20〜35g/gに設定しておくことができる。
<圧力に対する吸収力(AAP)>
AAP値についても、吸水性樹脂粒子のAAP値よりも、吸水性樹脂組成物のAAP値が低くなる傾向がある。そこで、吸水性樹脂粒子のAAP値を、10〜35g/g、好ましくは15〜35g/g、より好ましくは18〜30g/gに設定しておくことができる。
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
SFC値については、通常、吸水性樹脂粒子よりも吸水性樹脂組成物のほうが高くなる。しかし、吸水性樹脂粒子のSFC値が高いほうが、吸水性樹脂組成物のSFC値も高くなる傾向がある。そこで、吸水性樹脂粒子のSFC値を、1〜1500×10−7・cm・s・g−1、好ましくは10〜500×10−7・cm・s・g−1に設定しておくことができる。
<液拡散速度(LDV)>
LDV値については、吸水性樹脂粒子に比べて、吸水性樹脂組成物のほうが格段に向上する。したがって、吸水性樹脂粒子のLDVは比較的に低いものであっても構わないが、吸水性樹脂粒子のLDVが高いほど、吸水性樹脂組成物のLDVも高くなる可能性がある。そこで、吸水性樹脂粒子のLDV値を、0.1mm/s以上、好ましくは0.5mm/s以上に設定しておくことができる。
〔無機微粒子〕
無機微粒子は、吸水性樹脂組成物のLDVなどを向上させる機能を果たす。
無機微粒子として、基本的には、通常の化学製品や医薬品などに利用されている無機材料が使用できる。紙おむつ等の衛生用品では、健康に対する安全性などの点で問題のない無機材料を用いる。吸水性樹脂組成物の製造処理、特に、紫外線照射処理によって、目的とする機能が発現し易く、変質や劣化などの問題が生じ難い無機材料が望ましい。
具体的な無機微粒子としては、酸化チタンを包含する光触媒用無機物や、その他の一般的な無機酸化物が使用できる。光触媒用無機物は、光の照射、主には紫外線の照射によって、化学的あるいは物理的な光触媒機能が発現する物質である。本発明では、紫外線の照射によって生じる光触媒用無機物の粒子表面における物理的あるいは化学的な状態の変化により、目的とするLDV向上などの機能が発現する。光触媒用無機物ではなくても、紫外線のような大きなエネルギー線が照射されることで、粒子表面の化学結合が変化し、結果としてLDVの向上などが果たされる各種無機酸化物も使用できる。具体的には、シリカなどの一般的な無機酸化物が挙げられる。また、これら無機微粒子は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。
無機微粒子の形状は、球状のほか、楕円球状、多角体状、燐片状、繊維状、不定形などがあり、何れの形状でもよい。
無機微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による直接観察、散乱光を利用した粒度分布測定機で測定出来る。測定方法は、粒子の大きさにより種々の方法から選択出来る。通常は、該当する粒子径を測定する場合に一般的に用いられている手法を用いる。例えば、透過型電子顕微鏡による直接観察を用い粒子径を測定する方法、動的光散乱法、適切な分散媒を選択しレーザー回折/散乱式粒度分布測定機を用いる方法がある。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定機を用いて測定される値は、一般的には、体積平均粒子径として表される。
無機微粒子の平均粒子径は1nm〜100μmであることが好ましい。より好ましくは1nm〜50μmであり、さらに好ましくは1nm〜1μmであり、最も好ましくは1nm〜100nmである。無機微粒子の粒子径が大き過ぎても小さ過ぎても、目的とする液拡散性の向上が十分に望めない。
無機微粒子は、紫外線照射処理によって、表面が物理的、化学的に変化し、その結果として、吸水性樹脂組成物のLDV向上を果たす。吸水性樹脂組成物のLDV向上に有効であれば、公知あるいは市販の無機微粒子をそのまま使用することができる。
吸水性樹脂組成物の吸水機能は、基本的に、吸水性樹脂粒子が果たすので、無機微粒子には吸水性は要求されない。吸水性があると、却って液拡散性などを阻害する可能性がある。吸水によって溶けたり変質したりしない水不溶性であることが望ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば、タルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライトなどの鉱産物;硫酸アルミニウム14〜18水塩(または無水物)、硫酸カリウムアルミニウム12水塩、硫酸ナトリウムアルミニウム12水塩、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物類;その他の金属塩、金属酸化物および金属水酸化物;親水性のアモルファスシリカ(例、乾式法:トクヤマ社 ReolosilQS−20、沈殿法:DEGUSSA社 Sipernat22S, Sipernat2200)類;酸化ケイ素・酸化アルミ・酸化マグネシウム複合体(例、ENGELHARD社 Attagel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体などの酸化物複合体類;などを挙げる事が出来る。また、米国特許第5164459号公報、欧州特許第761241号公報などに例示されたものも使用可能である。これらの無機微粒子は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。
特に、シリカ、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化タングステン等の無機金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイトが好ましく挙げられる。これらのものを単独で用いても良いし、2種以上使用してもよい。2種類以上の無機微粒子は2種類以上の無機金属酸化物であってもよい。2種類以上の無機金属酸化物とは、具体的には、異なる種類の無機金属酸化物である場合(例えば、シリカと酸化チタンとのような異なる種類の無機金属酸化物の組み合わせ)、異なる2種類以上の無機金属を1化合物中に含む場合(例えば、アルミナシリケートのように、アルミニウム原子とケイ素原子とを含む化合物)、または同種類の金属の酸化物である場合(金属の価数が異なる場合も含む)等が挙げられる。無機微粒子が2種類以上の無機金属酸化物である場合には、シリカと酸化チタンとを含むことが好ましい。
一般的には無機金属酸化物とは金属元素の酸化体であり、典型金属元素の酸化物、遷移金属元素の酸化物が知られている。酸化チタン、シリカなどは遷移金属酸化物である。酸化チタンにはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の3種類の結晶系が存在する。酸化チタンの結晶系としては、特には限定されないが、アナターゼ型が最も光触媒作用を示すためより好ましい。
シリカは一般的には二酸化ケイ素の総称であり、合成非晶質二酸化ケイ素、天然非晶質二酸化ケイ素、結晶性二酸化ケイ素が含まれる。「アエロジル200」(日本アエロジル社製)は合成非晶質シリカに含まれる。
また、これらの無機微粒子は水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒の混合物の分散コロイド状態であってもよい。これら分散コロイド状態の無機微粒子としては、例えば、「Aldrich Ludox HS-30」(Du Pont社製)や、「Aldrich Ludox CL」(Du Pont社製)や、「STS−21」(石原産業社製)などが挙げられる。
無機微粒子Bが2種類以上の無機微粒子の混合物である場合、その混合比率は任意に変化させることが出来る。例えば、無機微粒子Bがシリカと酸化チタンとの2種類の無機微粒子からなる混合物である場合、混合性や求められる吸水性樹脂の物性に応じて最適な添加量(混合質量比率)を決定することが出来る。混合質量比率は、例えば、シリカ:酸化チタン=1:99〜99:1の範囲内が好ましく、より好ましくは10:90〜90:10の範囲内であり、特に好ましくは20:80〜80:20の範囲内であり、最も好ましくは30:70〜70:30の範囲内である。
上述したように、2種類以上の無機微粒子を混合する場合では、それぞれの無機酸化物が特異的に有する性質(粒子形状、粒度、凝集性、嵩比重)を組み合わせることにより、所望の性質を発現させることができる。具体的には、無機微粒子は、種類によって様々な長所と短所とを有している。このため、それぞれの長所と短所とを補完するような組み合わせで、2種類以上の無機微粒子を任意の割合で混合することにより、それぞれの長所の性質を維持した状態で、短所の性質を軽減させることができる。例えば、凝集性を有するシリカと、凝集を抑制する効果を有する酸化チタンとを含む2種類以上の無機酸化物を含む混合物を用いることにより、シリカ単独、酸化チタン単独で用いる場合と比べて吸水性樹脂の混合性が向上し、求める物性であるLDV値を保つことが出来る。
〔その他の成分〕
吸水性樹脂組成物には、吸水性樹脂Aおよび無機微粒子Bに加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の粒子成分や液体成分を添加することもできる。
添加成分としては、消臭剤、抗菌剤、香料、発泡剤、顔料、染料、可塑剤、粘着剤、界面活性剤、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類、キレート剤、殺菌剤、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子、パラフィン、疎水性高分子、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂やユリア樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
紫外線照射処理を施した無機微粒子Bのほかに、同じ材質で紫外線照射処理を施していない無機微粒子を添加することもできる。
吸水性樹脂Aおよび無機微粒子B以外の成分の添加量は、吸水性樹脂Aおよび無機微粒子Bの合計量に対して、0〜15質量%の範囲に設定することができる。
〔吸水性樹脂粒子と無機微粒子との混合〕
吸水性樹脂Aと無機微粒子Bおよびその他の成分との混合は、均一混合が可能であれば、一般的な粒子材料の混合手段が適用できる。通常は、粒子同士をそのまま混合するドライブレンド法が適用されるが、無機微粒子をスラリーあるいはコロイドとして用いる湿式混合が採用される場合もある。
具体的な混合装置としては、通常の混合機、例えば、V型混合機やリボン型混合機、スクリュー型混合機、回転円板型混合機、気流型混合機、バッチ式ニーダー、連続式ニーダー、パドル型混合機などが挙げられる。
〔吸水性樹脂組成物の製造〕
基本的には、通常の吸水性樹脂製造技術を適用して、吸水性樹脂Aと、紫外線が照射された無機微粒子Bとを含む吸水性樹脂組成物を製造すればよい。
吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとは、均一に混合されていることが望ましい。混合方法あるいは混合装置は、通常の吸水性樹脂製造あるいは粒状物などの混合に使用されている技術が適用できる。
吸水性樹脂組成物において、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとを、A:B=100:0.01〜100:10の割合(重量比)で含ませることができる。好ましくは、A:B=100:0.01〜100:8であり、より好ましくはA:B=100:0.01〜100:5であり、特に好ましくはA:B=100:0.01〜100:3であり、最も好ましくはA:B=100:0.01〜100:1である。混合は好ましくは、吸水性樹脂の表面に対して行なわれ、表面が無機微粒子でコートされた吸水性樹脂組成物とされる。吸水性樹脂Aに対して無機微粒子Bが一定量以上は存在しないと、目的とする液拡散性の向上などの効果は達成できない。吸水性樹脂Aの割合が少な過ぎると、本来の吸水性能が十分に発揮されない。
なお、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの合計量は、吸水性樹脂組成物の全体に対して、60質量%以上、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
無機微粒子Bに紫外線処理を施す時期および方法、処理条件は特に限定されない。
無機微粒子Bに紫外線照射処理を施す時期の違いによって、前記(I)、(II)の何れかの工程を採用する。
<紫外線照射処理>
基本的には、通常の吸水性樹脂製造を含む各種化学製品の製造技術で利用されている紫外線照射処理技術、および紫外線照射装置が利用できる。紫外線照射装置としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。紫外線照射処理条件としては、波長200〜400nmの紫外領域を含む光を含んでいればよく、その他の波長を含んでいてもよい。
紫外線照射条件は、照射強度1〜1000mW/cm、照射量100〜10000mJ/cm、で1秒〜60分間照射する。照射強度は、より好ましくは1〜500mW/cmであり、さらに好ましくは1〜300mW/cmであり、最も好ましくは1〜100mW/cmである。照射量は、より好ましくは100〜5000mJ/cmであり、さらに好ましくは100〜3000mJ/cmであり、最も好ましくは100〜1000mJ/cmである。照射時間は、より好ましくは0.2〜30分間であり、さらに好ましくは0.5〜15分間であり、最も好ましくは1〜10分間である。なお、紫外線照射強度は、後述する実施例に記載されている方法で規定される。
紫外線を照射する際には、無機微粒子Bに照射する場合、及び吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物に照射する場合の何れにおいても、紫外線被照射物全体に対して、紫外線を均一に照射することが好ましい。紫外線被照射物を攪拌することにより、紫外線被照射物全体に対して、紫外線を均一に照射することがより好ましい。紫外線照射時に、紫外線被照射物を攪拌する装置としては、一般の攪拌装置を用いることができ、例えば、振動型混合機、リボン型混合機、パドル型混合機等が挙げられる。
一般的に、紫外線の波長が短いほど無機微粒子に対する処理効果が高くなるが、処理装置が複雑になるなどコストが高くつく。エネルギー強度が低いと、目的とする効果が十分に向上しない。紫外線照射処理が強過ぎたり長過ぎたりしても、効果は向上せず、無機微粒子あるいは吸水性樹脂粒子の劣化や損傷が生じ易い。
紫外線照射処理では、処理装置内部の温度が上昇することがある。例えば、常温で処理を開始したときに、最高温度が60℃近くになることがある。但し、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物を、単に60℃まで加熱したとしても、LDVの向上効果はあまり認められない。したがって、紫外線照射によるLDVの向上効果は、温度上昇によるものではない。
<水の添加>
本発明に係る吸水性樹脂組成物の製造方法では、紫外線を照射する前に、前記吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物を含む吸水性樹脂組成物の全量(水添加前の吸水性樹脂組成物の全量)に対して0.1〜5質量%となる量の水を添加することが出来る。添加する水の量は好ましくは、0.1〜1質量%である。
水を添加することで、紫外線照射の効果がより効率的に発現し、LDVを含む吸水性能をより向上させることができる。
水の添加がLDVにおよぼす影響は、無機微粒子Bの種類によって異なる。これは、無機微粒子Bの種類によって、水と無機微粒子Bとのなじみが異なることによるものと考えられる。水とのなじみがよい無機微粒子Bのほうが、紫外線照射処理による性能向上の度合いが大きくなる。
紫外線が照射された無機微粒子Bと吸水性樹脂Aとの混合物に、水を添加することによっても、LDVの向上が達成できる。この場合は、無機微粒子Bの種類によるLDV向上度合いの違いはそれほど認められない。
水の添加によるLDVの向上は、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとの混合物に対して、紫外線照射の前に水を添加することが最も有効である。
無機微粒子Bに水を添加し、紫外線を照射処理したものを吸水性樹脂Aに混合することもLDV等の性能向上に有効である。この場合、吸水性樹脂組成物の全量(水添加前の吸水性樹脂組成物の全量)に対して添加量が0.1〜5質量%となるように水を添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。
〔吸水性樹脂組成物〕
以上に説明した製造工程を経て、吸水性樹脂組成物が得られる。上記以外にも、通常の吸水性樹脂組成物の製造において採用される各種の製造工程を組み合わせて、吸水性樹脂組成物を製造することができる。
例えば、吸水性樹脂組成物の構成成分としては、吸水性樹脂Aおよび無機微粒子Bのほか、本発明の効果を損なわない範囲で、別の添加剤を含んでいてもよい。
吸水性樹脂組成物の形状や寸法は、基本的に、吸水性樹脂と共通している。基本的な特性も、吸水性樹脂と共通する点が多いが、吸水性樹脂に比べて顕著な違いを示す特性もある。なお、吸水性樹脂組成物は粒子状であることが好ましい。
<吸水性樹脂組成物の特性>
吸水性樹脂組成物としては、以下の特性を有するものが望ましい。各特性値は、後述する測定方法で測定されたものである。
液拡散速度(LDV)=2.0〜10mm/s(より好ましくは2.8〜10mm/s、更に好ましくは3.0〜10mm/s、特に好ましくは3.5〜10mm/s)。
遠心分離機保持容量(CRC)=20〜50g/g(より好ましくは、20〜45g/g、更に好ましくは20〜40g/g、最も好ましくは20〜35g/g)。
圧力に対する吸収力(AAP)=10〜35g/g(より好ましくは、15〜30g/g、更に好ましくは18〜30g/g)。
食塩水流れ誘導性(SFC)=1〜1500×10−7・cm・s・g−1(より好ましくは、10〜500×10−7・cm・s・g−1)。
LDVは「液吸い上げ特性」を示すパラメータである。紙おむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品、あるいは、吸収体の性能を向上する上で、CRCは、主に吸収性物品、あるいは、吸収体が液を吸収する量に関係するのに対し、LDVは、主に吸収性物品、あるいは、吸収体中において、液が拡散する速度に関係し、特に、初期の液を吸収する速度に関係する。
SFCが大き過ぎると、吸収体や吸収性物品、例えば、紙おむつに使用した場合、漏れ、肌のかぶれ等の問題を引き起こす問題がある。
AAPが小さ過ぎたり、SFCが小さ過ぎたりすると、吸水性樹脂組成物に体重などの荷重がかかった場合、液体の液拡散および吸収力が劣ることになる。吸収体や吸収性物品中で液体の拡散が行なわれず液がブロッキングを起こす。例えば、紙おむつでの実使用で、漏れ、肌のかぶれ等の問題が発生し易い。
液拡散性を表すLDVに加えて、基本的な吸水性能であるCRC、AAP、SFCなども十分な性能を有することで、各種用途において実用的に優れた性能を発揮することが可能になる。
特に、CRCが20g/g以上と十分に優れている上で、LDVについて、従来の吸水性樹脂組成物では達成困難なほど飛躍的に向上させ、液拡散性に優れた吸水性樹脂組成物となる。
更には、LDVが2.0mm/s以上であれば、おむつ等の実使用時における液拡散性を、従来技術に比べて臨界的に顕著に向上させることができる。
吸水性樹脂組成物は、前記したLDV、SFC、CRC、AAPの他に含水率、可溶分量、粒度について、以下の特性を備えていることが好ましい。
本発明に係る吸水性樹脂組成物の含水率は、吸水性樹脂Aと無機微粒子Bとを含む吸水性樹脂組成物の全体量に対する水分量(吸水性樹脂組成物に含まれる水分量で規定/105℃で3時間の乾燥減量で規定)で規定される。吸水性樹脂組成物に水が添加される場合は、添加後の水分量で規定する。
吸水性樹脂組成物の含水率は、適宜、乾燥ないし水添加によって0.1〜40質量%に設定できる。より好ましくは、0.2〜30質量%であり、更に好ましくは0.3〜15質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。含水率が40質量%よりも高い場合は、吸水倍率の低下を招く場合があり、含水率が0.1質量%より低い場合は、液吸い上げ特性が低下することがある。
吸水性樹脂組成物の可溶分量は、少ないほど好ましい。具体的には、可溶分量を25質量%以下(下限0質量%)に設定する。より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
吸水性樹脂組成物の粒度は、前述した吸水性樹脂粒子の粒度と前述の無機微粒子Bとの混合粒度となる。無機微粒子Bの混合割合によって、吸水性樹脂組成物を好ましい粒度範囲に設定することができる。なお、吸水性樹脂組成物においても、前述した吸水性樹脂粒子の粒度範囲であることが好ましい。
〔吸水性樹脂組成物の用途〕
本発明で得られる吸水性樹脂組成物は、通常の吸水性樹脂組成物が利用されている各種用途に使用することができる。特に、高い液拡散性が要求される用途に適している。
具体的用途として、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられる。また、農園芸、ケーブル止水剤、土木・建築、食品など、従来、吸水性樹脂組成物が利用されていた用途にも使用できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例〕
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を「重量部」又は単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
〔性能評価法〕
吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の諸性能は、以下の方法で測定した。但し、同等の性能評価が可能であれば、吸水性樹脂の技術分野において採用可能な別の測定装置や異なる測定条件を採用することも可能である。
各測定は、特に記載が無い限り、室温(20〜25℃)、湿度50%RHの条件下で行われた。
なお、衛生材料などの最終製品として使用された吸水性樹脂組成物の場合は、吸水性樹脂組成物は吸湿しているので、適宜、吸水性樹脂組成物を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定する。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
遠心分離機保持容量(CRC)は、0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。
吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物0.200gを、不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いて「edana ABSORBENCY II 441.1−99」に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)
=(W1(g)−W0(g))
/(吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の質量(g))−1
<圧力に対する吸収力(AAP)>
圧力に対する吸収力(AAP)は、0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。
内径60mmのプラスチックからなる支持円筒の底に、ステンレス製400メッシュの金網(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20〜25℃)、湿度50%RHの条件下で、該網上に吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物0.900gを均一に散布した。その上に、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストンと錘とをこの順に載置し、この測定装置一式の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙(ADVANTEC東洋株式会社、品名「2」、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
圧力に対する吸収力(AAP)
=(Wb(g)−Wa(g))
/(吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の質量(0.900g))
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。特表平9−509591号公報記載の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて測定する。
容器に均一に入れた吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物(0.900g)を人工尿(1)中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲルのゲル層の高さを記録した。次に0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69質量%食塩水を、一定の静水圧でタンクから膨潤したゲル層に通液させた。このSFC試験は室温(20〜25℃)で行った。コンピューターと天秤を用い、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル(の主に粒子間)を液体が通過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(t=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L0)/139506
ここで、
Fs(t=0):g/sで表した流速
L0:cmで表したゲル層の高さ
ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm
A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm
ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm
およびSFC値の単位は(10−7・cm・s・g−1)である。
測定装置としては、タンクには、ガラス管が挿入されており、ガラス管の下端は、0.69質量%食塩水をセル中の膨潤ゲルの底部から、5cm上の高さに維持できるように配置した。タンク中の0.69質量%食塩水は、コック付きL字管を通じてセルへ供給された。セルの下には、通過した液を補集する容器が配置されており、補集容器は上皿天秤の上に設置されていた。セルの内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)が設置されていた。ピストンの下部には液が通過するのに十分な穴があり、底部には吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物あるいはその膨潤ゲルが、穴へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルターが取り付けてあった。セルは、セルを乗せるための台の上に置かれ、セルと接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、および、純水994.25gを加えたものを用いた。
<質量平均粒子径又は重量平均粒子径(D50)>
吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物を、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmなどのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。なお、ふるいは粒子径に応じて、必要により変更すればよい。
質量平均粒子径(D50)を測定する際の分級方法は、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物10.0gを、室温(20〜25℃)、湿度50%RHの条件下で、上記目開きのJIS標準ふるい(THE IIDA TESTING SIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により、5分間、分級を行った。
<液拡散速度(LDV)>
液拡散速度(LDV)は、特開平5−200068号(EP532002)記載の吸い上げ指数測定装置を用いて測定した。なお、トラフ・シートはSUS304のステンレス鋼グレード2B仕上げで作成した。
20°の角度で設置したトラフ・シートのトラフ溝に粒子状吸水性樹脂組成物1.00g±0.005gを0〜20cmの目盛り間に均等に散布した。さらに、へらを用いて粒子状吸水性樹脂組成物をより均等に分散させた。
液吸い上げに使用する液は、1Lの生理食塩水(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液)に対して、食用青色1号(東京化成工業株式会社)0.01gの割合で着色した生理食塩水を用いた。
液吸い上げ時間(WR)は、貯液槽の液面がトラフの最も低い位置から0.5cm上になるように調整した後、ステレンス鋼のスクリーンメッシュが液と接触することと同時に測定を開始した。液吸い上げ時間(WR)は、液体が10cmに目盛り位置まで吸い上げられた時間(sec)を表す。なお、貯液槽中の液とステンレス鋼のスクリーンメッシュがトラフの最も低い位置から0.5cm上まで浸漬する速度は、液面から垂直方向に1.35〜1.40mm/sの速度で浸漬された。
液拡散速度(LDV)は、次式により算出される。
LDV(mm/s)=100(mm)/WR(s)
<可溶分量>
容量250mlの蓋付きプラスチック容器(直径6cm×高さ9cm)に0.900質量%塩化ナトリウム水溶液184.3gを量り取り、該水溶液中に(粒子状)吸水性樹脂(組成物)1.00gを加え、磁気攪拌子(直径8mm、長さ25mm)を用いて500rpmの回転数で16時間攪拌することにより、(粒子状)吸水性樹脂(組成物)中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVATEC東洋株式会社、品名「2」、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液50.0gを量り取り、測定溶液とした。
まず、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液のみを、0.1N NaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後0.1N HCl水溶液でpH2.7まで滴定して、空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。同様の滴定操作を測定溶液について行なうことにより、滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
例えば、既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩とからなる吸水性樹脂の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量とを基に、吸水性樹脂中の可溶分量を下記式により算出することが出来る。
可溶分量(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
なお、アクリル酸の量が未知である場合は、滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出した。
中和率(mol%)=[1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl])]×100
〔吸水性樹脂組成物の製造〕
<製造例1>
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸505.6g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4430.8g、純水497.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)12.79gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29.34gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き600μmと目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、質量平均粒子径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1)を得た。吸水性樹脂粒子(1)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.0g/g、可溶分は9.0質量%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(1)100質量部に1,4−ブタンジオール0.32質量部、プロピレングリコール0.5質量部、純水2.73質量部の混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を200℃で30分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(A1)を得た。
<製造例2>
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、71.3モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5438g(単量体濃度39質量%)にポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコール繰り返し単位数:9)11.7g(0.10モル%)を溶解させて反応液とした。次に、この反応液から溶存酸素を窒素ガス雰囲気下で30分間除去した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29.34gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に約1〜3mmに細分化された含水ゲル状架橋重合体を取り出した。この含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、175℃で50分間熱風乾燥した。このようにして、不定形で、容易に粉砕される粒子状乾燥物凝集体からなる吸水性樹脂塊状物を得た。
得られた吸水性樹脂塊状物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き600μmのJIS標準篩で分級した。次に、前記の操作で600μmを通過した粒子を目開き150μmのJIS標準篩で分級することで、目開き150μmのJIS標準篩を通過した吸水性樹脂粒子を除去し、吸水性樹脂粒子(2)を得た。吸水性樹脂粒子(2)の可溶分量は7質量%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部に1,4−ブタンジオール0.3質量部、D−ソルビトール0.5質量部、純水2.5質量部の混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を205℃で25分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(A2)を得た。
<実施例1>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)100質量部と光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)1質量部とをステンレス容器中で攪拌し、その後、水1質量部を加え十分に攪拌混合させた。
ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコに上記混合物をいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射した。
照射後、混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ吸水性樹脂組成物(E1)を得た。
<実施例2>
実施例1において、水は混合しない以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E2)を得た。
<実施例3>
ステンレス容器中で、実施例2で得られた吸水性樹脂組成物(E2)に水1質量部を加え、十分に攪拌混合させた。得られた混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ吸水性樹脂組成物(E3)を得た。
<実施例4>
実施例1において、光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)を光触媒用酸化チタン(石原産業製STS−21)スラリー溶液2.5質量部(固形分40%)に変え、水は混合しない以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E4)を得た。
<実施例5>
実施例1において、光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)をシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.3質量部に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E5)を得た。
<実施例6>
実施例5において、シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.3質量部を1質量部に変えた以外は、実施例5と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E6)を得た。
<実施例7>
実施例6において、水は混合しない以外は、実施例6と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E7)を得た。
<実施例8>
ステンレス容器中で、実施例7で得られた吸水性樹脂組成物(E7)に水1質量部を加え、十分に攪拌混合させた。得られた混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ吸水性樹脂組成物(E8)を得た。
<実施例9>
光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射し、紫外線処理光触媒用酸化チタンを得た。紫外線処理光触媒用酸化チタン1質量部に対して製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を100質量部混合し、吸水性樹脂組成物(E9)を得た。
<実施例10>
実施例9において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)を、シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.3質量部に変えた以外は、実施例9と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E10)を得た。
<実施例11>
実施例10において、シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)を、1質量部に変えた以外は、実施例10と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E11)を得た。
<実施例12>
実施例9の吸水性樹脂組成物(E9)に、さらに水1質量部を加え充分に攪拌混合し、その後、混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、吸水性樹脂組成物(E12)を得た。
<実施例13>
実施例10の吸水性樹脂組成物(E10)に、さらに水1質量部を加え充分に攪拌混合し、その後、混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、吸水性樹脂組成物(E13)を得た。
<実施例14>
実施例11の吸水性樹脂組成物(E11)に、さらに水1質量部を加え充分に攪拌混合し、その後、混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、吸水性樹脂組成物(E14)を得た。
<実施例15>
実施例2において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)1質量部を、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)0.5質量部およびシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.5質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E15)を得た。
<実施例16>
光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)とシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)とを1:1の質量比で混合した混合物を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射し、紫外線処理混合物を得た。紫外線処理混合物1質量部に対して製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を100質量部混合し、吸水性樹脂組成物(E16)を得た。
<実施例17>
実施例2において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)1質量部を、0.3質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E17)を得た。
<実施例18>
実施例2において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)1質量部を、0.1質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E18)を得た。
<実施例19>
実施例2において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)1質量部を、2質量部に変えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E19)を得た。
<実施例20>
実施例7において、シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)1質量部を、0.1質量部に変えたこと以外は、実施例7と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E20)を得た。
<実施例21>
実施例7において、シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)1質量部を、2質量部に変えたこと以外は、実施例7と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E21)を得た。
参考例1
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)100質量部と光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)1質量部とをステンレス容器中で攪拌し、その後、水1質量部を加え十分に攪拌混合させた。その後60℃のオーブンで1時間熱硬化させ、得られた混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂組成物(E22)を得た。
参考例2
参考例1において、光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)をシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.3質量部に変えたこと以外は、参考例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E23)を得た。
参考例3
参考例2においてシリカ(日本アエロジル社製アエロジル200)の質量を1質量部に変えたこと以外は参考例2と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(E24)を得た。
参考例4
光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)1質量部に対して製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を100質量部混合し、吸水性樹脂組成物(E25)を得た。
<実施例26>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射した。得られた紫外線処理吸水性樹脂100質量部に対して光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)1質量部混合し、さらに水1質量部を加え、十分攪拌混合をし、その後混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、吸水性樹脂組成物(E26)を得た。
<実施例27>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射した。得られた紫外線処理吸水性樹脂100質量部に対してシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)1質量部を混合し、さらに水1質量部を加え、十分攪拌混合をし、その後混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、吸水性樹脂組成物(E27)を得た。
<比較例1>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を比較吸水性樹脂粒子(C1)とした。
<比較例2>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射した。照射後、組成物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させて、比較吸水性樹脂組成物(C2)を得た。
<比較例3>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)に水1質量部を加え十分に攪拌混合させた。その後60℃のオーブンで1時間熱硬化させ、得られた組成物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ比較吸水性樹脂組成物(C3)を得た。
<比較例4>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)100質量部と光触媒用酸化チタン(石原産業製STS−21)スラリー溶液2.5質量部とをステンレス容器中で攪拌し、十分に攪拌混合させた。その後60℃のオーブンで1時間熱硬化させ、得られた混合物を解砕し目開き600μmのJIS標準篩を通過させ、比較吸水性樹脂組成物(C4)を得た。
<比較例5>
シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)0.3質量部に対して製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を100質量部混合し、比較吸水性樹脂組成物(C5)を得た。
<比較例6>
比較例5において、シリカ(日本アエロジル社製アエロジル200)の質量を1質量部に変えた以外は、比較例5と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂組成物(C6)を得た。
<比較例7>
製造例1で得られた吸水性樹脂粒子(A1)を、ステンレス攪拌羽を備えた石英製セパラブルフラスコにいれ400rpmで攪拌しながら、紫外線(波長200〜400nmを含み、紫外線積算光量計(ウシオ電機製 UIT250、受光器UVD−S254)で測定した照射強度が65kW/cmである紫外線)を、石英製セパラブルフラスコ外壁より9cmの距離から5分間照射した。得られた紫外線処理吸水性樹脂100質量部に対して光触媒用酸化チタン(石原産業製ST−01)1質量部混合し、比較吸水性樹脂組成物(C7)を得た。
<比較例8>
比較例7において、光触媒用酸化チタン(石原産業製 ST−01)をシリカ(日本アエロジル社製 アエロジル200)1質量部に変えた以外は、比較例7と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂組成物(C8)を得た。
<比較例9>
製造例2で得られた吸水性樹脂粒子(A2)を比較吸水性樹脂粒子(C9)とした。
<まとめ>
以上に説明した各実施例および比較例における製造条件の違いを対比して、表1に示す。表中、紫外線照射の項は、紫外線を照射した対象物を示している。水の添加の項は、水の添加時期を、紫外線の照射前、照射後および紫外線非照射で区別するとともに、水の添加量を示している。なお、無機微粒子は吸水性樹脂表面にコートされているため、吸水性樹脂組成物の可溶分や粒度は、吸水性樹脂の可溶分や粒度とほぼ同一であった。
Figure 0005020637
〔試験の結果〕
実施例および比較例で得られた吸水性樹脂組成物、比較吸水性樹脂組成物について、遠心分離機保持容量(CRC)、圧力に対する吸収力(AAP)、食塩水流れ誘導性(SFC)、液拡散速度(LDV)を測定した結果を、表2に示す。
Figure 0005020637
<評価>
(1) 実施例1〜21は、吸水性樹脂粒子(A1)のままである比較例1に比べて、CRC、AAPはそれほど違わないが、SFCは向上しており、LDVは格段に向上している。CRC、AAPよりも、SFCやLDVの性能向上が求められる紙おむつ等の吸水材に適したものとなることが裏付けられる。
なお、SFCの性能向上は、紫外線の照射の有無にはよらず、無機微粒子の存在によるものと考えられる。
実施例2、3、7〜14、26、27については、CRC、AAP、SFCの測定値を記載していないが、実施例1、4〜6と同等であると推定できる。
(2) 実施例1〜8、15、17〜21のように、樹脂粒子Aと無機微粒子Bとの混合物に紫外線照射を行っても、実施例9〜14、16のように、単独で紫外線照射を行った無機微粒子Bを吸水性樹脂A(吸水性樹脂粒子(A1)と混合しても、LDVが向上している。
(3) 比較例7、8のように、紫外線照射を行った吸水性樹脂A(吸水性樹脂粒子(A1)と、紫外線照射を行わない無機微粒子Bとを組み合わせても、LDVはあまり向上しない。
前項(2)の結果と合わせると、紫外線照射は、無機微粒子Bに対して行う必要があることが判る。紫外線照射が、無機微粒子Bの特性や性状を変化させ、その結果として、吸水性樹脂組成物の吸水性能のうちでも、LDVを特異的に向上させる。
(4) 上記の結果から、紫外線照射は、吸水性樹脂Aに対してLDVを向上させるような特別な性状や特性の変化を起こさせるのではないことも判る。
無機微粒子Bへの紫外線照射に大きな技術的意味があるということは、吸水性樹脂Aの内部的特性に大きく影響されるCRC、AAPについては、特に向上するわけではないことと、技術的に整合している。
(5) 水の添加によって、LDVが向上する場合があることも判る。
本発明の吸水性樹脂組成物は、例えば、紙おむつ等の吸水材として有用である。尿などと接触したときに迅速に吸水材の全体に液体を拡散させて吸水することができる。吸水性能が優れ、肌触りなどの使用感にも優れた紙おむつなどを提供することができる。

Claims (3)

  1. 紫外線が照射された無機微粒子Bが、吸水性樹脂A100重量部に対して0.01〜10重量部となるように、吸水性樹脂Aと紫外線が照射された無機微粒子Bとを混合する工程を含み、
    前記無機微粒子Bが無機金属酸化物からなることを特徴とする吸水性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記紫外線の照射が、波長200〜400nmの紫外領域を含む光を、照射量100〜10000mJ/cm、照射強度1〜1000mW/cmで1秒〜60分間照射することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記吸水性樹脂Aが、重量平均粒子径100〜1000μmの吸水性樹脂粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水性樹脂組成物の製造方法。
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