JP4679683B2 - 吸水性重合体の製造方法、及び該重合体の製造装置 - Google Patents

吸水性重合体の製造方法、及び該重合体の製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性単量体を連続式で重合して吸水性重合体(吸水性樹脂、または親水性重合体と同義)を製造する方法、及び該重合体の製造装置に関するものである。より具体的には、重合ゾーン内に設けられた複数の温度検出手段(例えば、非接触温度計)を用いて、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程を含む吸水性重合体の製造方法、及び該重合体の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸水性重合体は、例えば、生理用品、紙おむつ等の衛生用品の吸収材;ドリップ吸収剤;土壌保水剤;等の広い用途に応用されている。これら吸水性重合体は、親水性単量体(以下、単量体と称する)をバッチ式、または、連続式で重合することにより製造される。吸水性重合体の原料としての単量体を連続式で重合する従来装置には、例えば、該単量体を搬送する搬送ベルト(重合ベルト)を備えた重合機が設けられている。そして、単量体は例えば水溶液として重合反応の開始剤等とともに上記搬送ベルト上に連続的に供給され、該搬送ベルト上で連続的に静置重合される。したがって、吸水性重合体の製造を生産性良く行うことができるという利点を有する。
【0003】
ところで、上記単量体を重合して吸水性重合体を製造する際には、重合反応に伴う発熱により単量体の温度(重合反応の反応温度)は大きく変化する。以下、重合反応中の単量体の温度変化を、図3に基づいて具体的に説明する。尚、重合反応中の単量体とは、単量体と該単量体よりなる吸水性重合体との混合体ゲル(反応系)を指すものとする。
【0004】
図3の(A)に示すように、重合反応前半は緩やかに重合反応が進行することにより、該反応温度は緩やかに上昇する。続いて、重合反応のピーク(以下、重合ピークと称する)に近づくにつれて該反応温度は急激に上昇し、ピーク温度に到達する。また、重合反応後半、すなわち、重合ピーク以降の反応においては、該反応温度は、始め急激に低下し、時間の経過とともに低下の度合いが次第に緩やかとなってゆく。
【0005】
このような重合反応中の反応温度の変化は、最終的に製造される吸水性重合体の諸物性や、その生産性に影響を与えることが知られている。例えば、重合ピーク時の反応温度(ピーク温度)の過剰な上昇は、不要な副反応の割合が増加する、吸水性重合体中の可溶分が増加する、吸水性樹脂の加圧下吸収倍率が低下する、等の問題を引き起こす。一方、重合反応後半における反応温度の過剰な低下は、重合反応を不完全なものとし、吸水性重合体中に残存する単量体が増加する、該吸水性重合体の取扱い性が低下する、等の問題を引き起こす。
【0006】
そこで上記問題を解決するべく、重合機において、単量体を一定期間(図3に示す、反応時間0〜t)冷却しながら重合するとともに、冷却後の該単量体を、必要に応じて一定期間(図3に示す、反応時間t以降)加熱しながら重合する吸水性重合体の製造装置が実現された。この製造装置において、重合反応に供された単量体は搬送ベルトにより重合機中を搬送され、始めに、該単量体の温度(反応温度)の過剰な上昇を抑制しながら(すなわち、単量体を一定期間冷却しながら)重合反応が行われる。続いて、該単量体の温度(反応温度)の過剰な低下を抑制しながら(すなわち、単量体を一定期間加熱しながら)重合反応が行われる。この結果、重合反応中の反応温度の変化は図3の(B)に示すようになり、良好な物性を有する吸水性重合体が、生産性良く製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記反応温度の変化のパターンは、微細な条件の変化、より具体的には、例えば、1)単量体が水溶液(以下、単量体水溶液と称する)として重合反応に供される場合の溶存酸素の残存度、2)搬送ベルト上に供給される単量体水溶液の液厚やその初期温度、3)重合反応に供された単量体の冷却・加熱の温度設定、4)重合反応の開始剤の投与量、等が微細に変化することにより、大きく変動する。
【0008】
すなわち、重合反応における、重合ピークのタイミング(ピーク位置)および重合ピーク時のピーク温度等は、微細な条件の変化により変動するものであり、上記例示の吸水性重合体の製造装置を用いた製造方法によっても最終的に製造される吸水性重合体の諸物性や、その生産性を良好なものとすることができない場合がある。
【0009】
例えば、上記ピーク温度が想定よりも高くなった場合には、図3の(C)に示すように、単量体を一定期間冷却することによっても該反応温度の過剰な上昇を充分に抑制することができない虞がある。また、重合ピークのタイミングが想定よりも遅れると、例えば、重合ピークを迎える前に該単量体に対する一定期間の加熱が始まり、図3の(D)に示すように、その反応温度は過剰に上昇する。さらに、上記ピーク温度が想定よりも低くなった場合には、重合反応が不十分にしか行われない虞がある。
【0010】
上記例示のような想定外の重合反応が起こった場合、1)重合反応中に含水ゲルが破裂する、2)搬送ベルト等の搬送手段に粘着して剥離困難となる、また、3)最終製品としての吸水性重合体の諸物性も低下する、等の問題が生じる。しかしながら、諸物性が低下しているか否か、即ち、想定通りの重合反応が起こったか否かは、該吸水性重合体の外見から判断することが困難な場合がある。そして、吸水性重合体の諸物性は、例えば、重合後の含水ゲルに対し、乾燥や(微)粉砕等の加工が施されて最終製品のかたちとされた後に、物性試験により確認される。したがって、上記の吸水性重合体の製造装置を用いた製造方法では、異常に気付かぬまま長時間重合反応が行われ、その結果、不良の吸水性重合体が大量に生産されるとともに、原料としての単量体が無駄になる虞があった。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、想定通りの重合反応が起こっているか否かを早期に判定することのできる吸水性重合体の製造方法、及び該重合体の製造装置を提供することにある。さらには、上記判定に基づき、重合反応を制御する吸水性重合体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法は、上記の課題を解決するために、重合反応に供された、架橋剤を含む親水性単量体の水溶液を連続式で重合することにより吸水性重合体を製造する方法であって、上記親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程を含むことを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はまた、上記の課題を解決するために、重合反応の反応温度を非接触的に検出する上記工程において、重合反応のピーク温度、ピーク位置、並びに、重合反応後半の反応温度、より選択される少なくとも一つを検出し、この検出結果に基づいて重合反応を制御する工程をさらに含むことを特徴としている。
【0014】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はまた、上記の課題を解決するために、上記重合反応は、一定期間冷却条件下で行われ、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程における検出結果に基づき、重合反応のピークが上記一定期間内にくるように、該重合反応を制御することを特徴としている。
【0015】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はさらに、上記の課題を解決するために、上記重合反応の制御が、上記親水性単量体の供給量を変更する、および/または、親水性単量体の温度を変更する、ことにより行われることを特徴としている。
【0016】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法では、上記の課題を解決するために、上記重合反応は搬送ベルト上での静置重合として行われ、上記親水性単量体が親水性単量体水溶液として、液厚1mm〜50mmの範囲内で供給されることを特徴としている。また、本発明にかかる吸水性重合体の製造方法では、上記の課題を解決するために、上記重合反応の反応温度は赤外線放射温度計で測定され、重合反応のピーク温度が60℃〜120℃の範囲内であることを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。尚、これによって、本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔吸水性重合体の製造方法〕
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法は、重合反応に供された親水性単量体(以下に説明する)を連続式で重合することにより吸水性重合体を製造する方法であって、上記親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程を含んでなるものである。
【0019】
本発明において「親水性単量体」とは、吸水性重合体の原料として使用可能な単量体であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、等のアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびその四級塩等のカチオン性不飽和単量体;等を挙げることができる。上記例示の単量体の中でも、アクリル酸、および、そのLi,Na,K等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が主原料として好適に使用される。これらの単量体は、単独で重合反応に使用してもよく、2種類以上のものを混合して使用してもよい。尚、以下、上記の親水性単量体のことを単に単量体と称する。
【0020】
上記「単量体」を水溶液として重合反応に供する場合、該単量体水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、20重量%(質量百分率)〜50重量%であることが好ましく、30重量%〜45重量%であることがより好ましい。上記の濃度が20重量%以上であれば、得られる吸水性重合体の強度を確実に実用可能な値とすることができる。また、50重量%以下であれば重合反応により発生する反応熱の除去が容易であり、重合反応中の突沸、及び得られる吸水性重合体中に含まれる可溶分の増加を防止することができる。
【0021】
また、本発明において「単量体を連続式で重合する」とは、原料としての単量体を連続搬送しながら重合することを指す。単量体を連続搬送するためには、例えば、搬送ベルト(エンドレスタイプのものがより好ましい)等の搬送手段を少なくとも部分的に使用することがより好ましい。この場合、重合反応は搬送ベルト上での静置重合として行われる。「単量体」を水溶液として重合反応に供する場合、上記搬送手段に供給される単量体水溶液の液厚は特に限定されるものではないが、1mm〜50mmの範囲内であることが好ましく、10mm〜40mmの範囲内であることがより好ましく、20mm〜30mmの範囲内であることがさらに好ましい。上記液厚が1mm以上であれば、吸水性重合体の生産を工業的な水準で行うことができる。また、上記液厚が50mm以下であれば重合反応により発生する反応熱の除去が容易であり、重合反応中の突沸、得られる吸水性重合体中に含まれる可溶分の増加、該吸水性重合体の強度の低下を防止することができる。
【0022】
尚、上記重合反応においては、必要に応じて、重合反応の開始剤、架橋剤等の添加剤を使用してもよい。上記開始剤としては、例えば、酸化性開始剤および還元剤を組み合わせてなるレドックス系開始剤;熱分解型開始剤;光重合開始剤;等を挙げることができるが特にこれらに限定されるものではない。これらの開始剤(重合開始剤)は、上記単量体の種類に応じて一種類のみを使用してもよく、複数種のものを組み合わせて使用してもよい。例えば、アクリル酸系単量体を原料として使用する場合には、例えば、過硫酸ナトリウム(NaPs)等の過硫酸塩(酸化性開始剤)とL−アスコルビン酸(塩)(還元剤)との組合せ;過硫酸塩、過酸化水素(いずれも酸化性開始剤)、L−アスコルビン酸(塩)(還元剤)の組合せ;過硫酸塩、過酸化水素(いずれも酸化性開始剤)、アゾ系開始剤(熱分解型開始剤)、L−アスコルビン酸(塩)(還元剤)の組合せ;等が好適に用いられる。また、上記架橋剤は、分子内に2つ以上の官能基を有し、架橋構造の形成に寄与するものであれば特に限定されるものではない。さらに、場合によっては、重合反応終了後に架橋剤を添加し、架橋構造を形成させることもできる。
【0023】
次に、「親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、重合反応の反応温度を非接触的に検出する」ことに関し、「重合反応の反応温度を非接触的に検出する」ことと、「反応温度の検出を、該単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点で行う」こととに分けて説明を行う。
【0024】
「重合反応の反応温度を非接触的に検出する」とは、「重合反応に供された単量体の温度を非接触的に検出する」ことを意味する。すなわち、重合反応に供された単量体の温度を、該単量体に触れることなく間接的に検出(測定を含む)する作業を行うことを指す。重合反応に供された「単量体」とは、重合反応開始から該反応終了までの期間中における上記「単量体」のことを指す。より具体的には、単量体と該単量体よりなる吸水性重合体との混合体(重合体ゲル、場合によっては反応系と称する)を指す。また、上記「単量体」が重合反応に供されたものの、例えば、温度が低すぎる等の原因で該反応が起こらない場合もありうる。このときには、上記「重合反応に供された単量体」とは、吸水性重合体の原料としての「単量体」そのものを指す。重合反応の反応温度の検出が間接的に行われる理由としては、単量体を連続式で重合することを妨げず、かつ、吸水性重合体の生産性を低下させることなく温度を測定することができる事などが挙げられる。すなわち、連続式で重合する場合、温度検出手段を反応系内部に突き刺す(接触させる)ことは工業的には困難だからである。
【0025】
重合反応の反応温度を間接的に検出する方法としては、例えば、電気的温度センサ(白金線温度センサ等)、水晶温度センサ等の各種温度センサ;赤外線放射温度計等の温度計;等の温度検出手段を重合反応に供された単量体近傍に設置し、該単量体近傍の気温、または、反応系の放熱量を温度として検出(測定を含む)する方法等を挙げることができる。このような方法により間接的に検出された単量体の温度は、例えば、直接的な検出温度、すなわち、該単量体に熱電対等を接触させることにより検出(測定を含む)される温度(例えば、該単量体の表面温度)との相関関係を予めもとめておくこと等の方法で、単量体の直接的な検出温度(重合反応の反応温度)に容易に変換することができる。
【0026】
上記例示の温度検出手段の中では、温度計のような別途に変換回路を設ける必要のないものが通常より好ましい。また、温度計のなかでは、物体からの熱放射(赤外線)をとらえて温度を測定する赤外線放射温度計が、熱電対のような熱伝導子を利用する温度計と比較して、非接触で確実に、かつ、迅速に温度を測定することができるためより好ましい。尚、ここでいう温度検出手段は、温度を測定できるものであることがより好ましいが、場合によっては、温度が所定の値以上(または、所定の値以下)となっていることを検出できるものであればよい。
【0027】
また、「反応温度の検出を、単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点で行う」とは、より具体的には、例えば、「単量体の供給地点」、すなわち、「単量体を重合ゾーン(以下、製造装置の説明において詳細に記述する)に投入するモノマー投入ノズル(投入管)」、からの距離が異なる複数の地点で、重合反応の反応温度の検出を行うことを指す。これにより、該反応温度を経時的に検出し、その変化のパターンを容易にモニターすることが可能となる。
【0028】
尚、「反応温度の検出を、単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点で行う」とは、換言すれば、原料としての単量体を搬送ベルト等により連続搬送しながら重合する場合、その搬送方向に異なる複数の地点において重合反応の反応温度の検出を行うことを指す。さらに言い換えれば、重合反応に供された単量体を一定速度で連続搬送しながら重合する場合、搬送時間(すなわち、重合反応に供された時間)が異なる単量体の温度を検出することである。
【0029】
上記反応温度の検出を行うための異なる複数の地点の数や、該地点間の間隔等は特に限定されるものではなく、例えば、重合反応の種類に応じて、または、使用する製造装置に応じて、適宜設定することができる。また、反応温度のうち、A)ピーク温度(重合ピーク時の反応温度)、また場合によっては、B)重合反応後半(重合ピーク後の重合反応)における反応温度は、最終的に製造される吸水性重合体の諸物性、およびその生産性に影響を与えるという点から特に重点的に検出することが好ましい。したがって、少なくとも上記A)の検出が可能な様に、上記地点の数や、該地点間の間隔等を設定することが好ましく、加えて、上記B)の検出が可能な様に、上記地点の数や、該地点間の間隔等を設定することがより好ましい。
【0030】
上記A)、B)の検出が重要であることは、次の観点に基づく。ピーク温度が高すぎる場合、不要な副反応の割合が増加する、吸水性重合体中の可溶分が増加する、吸水性重合体の加圧下吸収倍率が低下する、該吸水性重合体のゲル強度が低下する、開始剤が一時に消費され未反応の単量体が多量に残存する、等の問題を引き起こす。一方、該ピーク温度、または、重合反応後半における反応温度が低すぎる場合、重合反応が不完全なものとなり、吸水性重合体中に残存する単量体が増加する、該吸水性重合体の取扱い性や吸水倍率が低下する、等の問題を引き起こす。すなわち、これら想定外の重合反応は、最終的に製造される吸水性重合体の諸物性や、その生産性を低下させる虞がある。尚、吸水性重合体の取扱い性が低下するとは、例えば、吸水性重合体の粘度が上昇し、上記搬送手段等から剥離困難となる点、該吸水性重合体(含水ゲル状のもの)を粗砕処理、粒状化処理、等する際に練られる点等が挙げられる。
【0031】
尚、上記の「ピーク温度が高すぎる、または、低すぎる」との判定基準や、「重合反応後半における反応温度が低すぎる」との判定基準は、重合反応の種類、最終的に得られる吸水性重合体にもとめられる物性等に応じて決めることができる。また、重合反応のピークのタイミングを判定基準として、想定外の重合反応であるか想定する重合反応であるかの判定を行うこともできる。これらの判定基準としては、例えば、以下に示す「重合反応を制御する工程」の説明において、制御目標として例示された温度範囲(「所定の範囲」として記載)や、ピークのタイミング等を挙げることができる。
【0032】
以上のように本発明にかかる吸水性重合体の製造方法によれば、「重合反応に供された単量体の温度(重合反応の反応温度)を、該単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において非接触的に検出する」ので、該反応温度を経時的に検出(測定を含む)し、その変化のパターンをモニターすることができる。これにより、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となる。特に、ピーク温度周辺や重合反応後半における反応温度の変化のパターンをモニターすることにより、ピーク温度、重合反応のピークのタイミング(ピーク位置)、重合反応後半における反応温度を知ることができ、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となる。
【0033】
尚、想定する重合反応が起こらない場合としては、例えば、以下の1)〜4)に示すものが挙げられる。1)単量体水溶液中の単量体濃度やその溶存酸素除去の程度が、想定したものでなかった場合、2)搬送ベルト上に供給される単量体水溶液の液厚やその初期温度が、想定したものでなかった場合、3)重合反応に供された単量体の冷却・加熱の温度設定が、想定したものでなかった場合、4)重合反応の開始剤の投与量が、想定したものでなかった、等の場合。これら1)〜4)は、エジェクタ等の溶存酸素除去装置、冷却機、加熱機、開始剤の投与装置等の不具合により容易に発生する。
【0034】
重合反応の反応温度の経時的な検出により、想定する重合反応が起こっていない(または、想定する重合反応が起こらなくなる可能性がある)と判定された場合(図3の(C)、(D)参照)には、例えば、即座に製造ラインを停止することにより、不良な吸水性重合体の製造と原料としての単量体の浪費とを最低限に抑えることができる。または、以下に説明する重合反応を制御する工程をさらに含むことで、製造ラインを停止することなく対処することができる。
【0035】
すなわち、本発明にかかる吸水性重合体の製造方法は、上記検出結果に基づいて、例えば、重合反応のピーク温度、および、重合反応後半の反応温度が、所定の範囲内となるように該重合反応を制御する工程をさらに含んでなるものであってもよい。
【0036】
最終的に製造される吸水性重合体の諸物性、およびその生産性を良好なものとするために上記ピーク温度、または重合反応後半の反応温度としてもとめられる値(上記「所定の範囲」)は、重合反応の種類、最終的に得られる吸水性重合体にもとめられる物性等によって異なる。通常、該ピーク温度としては60℃〜120℃の範囲内であることが好ましく、70℃〜105℃の範囲内であることがより好ましく、80℃〜100℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、重合反応後半の反応温度としては通常50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。尚、ここで例示した「所定の範囲」は、重合反応に供された単量体の表面温度として求められる重合反応の反応温度であり、該反応温度をこの制御目標に合うように制御することで、最終的に製造される吸水性重合体の諸物性、およびその生産性が良好となる。
【0037】
また、上記重合反応は、一定期間冷却条件下で行われる(以下、第一の重合反応と称する)場合もある。この場合、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程における検出結果に基づき、重合反応のピークが、上記一定期間内にくるように、該重合反応を制御してもよい。この様にすれば、重合ピークが冷却条件下で行われる期間外にくることがなく、重合反応の反応温度の過剰な上昇が抑制される。
【0038】
さらにまた、上記重合反応は、一定期間冷却条件下で行われ(第一の重合反応)、これに後続して一定期間加熱条件下で行われ(以下、第二の重合反応と称する)る場合もある。この場合には、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程における検出結果に基づき、重合反応のピークが上記第一の重合反応時にくるように、該重合反応を制御してもよい。この様にすれば、重合反応の反応温度の過剰な上昇が抑制されることに加え、重合反応後半において該反応温度が経時的に低下することを確実に抑制することができる。尚、上記第一の重合反応と第二の重合反応との間には、冷却も加熱もなされずに重合反応が行われる期間があってもよい。尚、上記の冷却条件・加熱条件とはそれぞれ、反応系を冷却・加熱できる条件のことをいう。
【0039】
重合反応のピークが上記第一の重合反応時にくるように重合反応を制御する場合、該ピークが第一の重合反応の前半または後半に偏りすぎると、以下に示す問題が生じる虞がある。すなわち、上記ピークが第一の重合反応の前半に偏りすぎると、第一の重合反応が終了するまでに重合反応の反応温度が過剰に低下する虞がある。その結果、残存する単量体や可溶分が増加する虞がある。また、重合反応の反応温度が重合反応に供された単量体の表面温度として検出される場合に上記ピークが第一の重合反応の後半に偏りすぎると、内部の単量体の重合反応のピークが、第一の重合反応時以降に起こる虞がある。そして、含水ゲルの破裂や、残存する単量体および可溶分の増加、等の問題が発生する虞がある。このような場合には、例えば、冷却条件、開始剤の使用量、単量体水溶液中の溶存酸素量、等を調整する方法により重合反応の制御を行えばよい。
【0040】
以上のように本発明にかかる吸水性重合体の製造方法によれば、重合反応の反応温度の非接触的な検出結果に基づいて、例えば、重合反応のピーク温度、および、重合反応後半の反応温度が所定の範囲内となるように重合反応の制御が行われる。また、上記検出結果に基づいて、例えば、重合反応のピークが上記第一の重合反応時にくるように重合反応の制御が行われる。すなわち、想定する重合反応が起こっていない(または、想定する重合反応が起こらなくなる可能性がある)と判定された場合であっても、製造ラインを停止することなく、想定する重合反応へと復帰させることができるという効果を奏する。
【0041】
尚、重合反応を制御する工程で用いられる具体的な制御方法としては、単量体の供給量を変更する、および/または、単量体の温度を変更する、等の方法が挙げられるが、これらに関しては、以下、本発明にかかる製造装置の記載において詳細に説明を行う。
【0042】
〔吸水性重合体の製造装置〕
本発明にかかる吸水性重合体の製造装置は、重合反応に供された単量体(親水性単量体)を連続式で重合する重合ゾーンを備えた吸水性重合体の製造装置であって、上記重合ゾーン内における、単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点に、重合反応に供された上記単量体の温度を非接触的に検出するための温度検出手段が設けられている構成を有する。換言すればすなわち、重合反応の反応温度を、単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において非接触的に検出することができる吸水性重合体の製造装置である。
【0043】
上記製造装置は、例えば、図1に示すように、吸水性重合体の原料としての単量体(モノマー)を貯蔵するモノマータンク11、不活性ガスを供給するエジェクタ12、酸化性開始剤を貯蔵する開始剤タンク13、還元剤を貯蔵する還元剤タンク14、上記単量体、酸化性開始剤、及び還元剤を混合する混合塔15、該混合塔15に設けられたノズル口15aから重合機18内に供給された単量体を搬送方向に搬送する搬送ベルト(搬送手段)16を有しており、さらに、重合機18上部壁には複数の温度検出手段27としての赤外線放射温度計T1 〜T6 が設けられている。尚、図1に示す製造装置において重合ゾーンとは、重合反応が起こるゾーン全体、より具体的には、重合機18を指す。また、混合塔15は、単量体を重合機18に投入するモノマー投入ノズル(投入管)を兼ねている。
【0044】
モノマータンク11には、上記単量体が、例えば水溶液として(以下、単量体水溶液と称する)貯蔵されており、該単量体水溶液はエジェクタ12から供給される不活性ガスにより溶存酸素が除去された後に、単量体供給路17を経由して混合塔15に導入される単量体水溶液中の溶存酸素を除去するための不活性ガスは特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等が好適に使用される。また、単量体水溶液中の溶存酸素の除去方法も特に限定されるものではなく、上記エジェクタ12に代えて、アスピレータにより不活性ガスを導入する方法や、減圧条件下で脱気する方法、これらの方法の組合せなどの従来公知の溶存酸素の除去方法を使用することができる。また、単量体水溶液中の溶存酸素の除去はモノマータンク11内で行うことも可能である。
【0045】
混合塔15に導入された溶存酸素除去済の単量体水溶液に対し、重合反応の開始剤(酸化性開始剤)としての過硫酸ナトリウム(NaPs)が開始剤タンク13より、開始剤供給路13aを経由して供給される。続いて、該単量体水溶液に対し、還元剤としてのL−アスコルビン酸が還元剤タンク14より、還元剤供給路14aを経由して供給される。これにより、単量体、酸化性開始剤、及び還元剤が混合される。尚、重合反応は、重合ゾーン内で開始される。
【0046】
上記単量体水溶液の温度は特に限定されるものではないが、重合反応が開始される直前において10℃〜40℃の範囲内であることが好ましく、15℃〜25℃の範囲内であることがより好ましく、15℃〜20℃の範囲内であることがさらに好ましい。上記単量体水溶液の温度が10℃以上であれば確実に重合反応が開始され、重合反応開始までの誘導期間が長くなりすぎる虞などがない。また、該温度が40℃以下であれば、重合反応により発生する熱の除去が容易であり、重合反応中の突沸、得られる吸水性重合体中に含まれる可溶分の増加、該吸水性重合体の強度の低下を防止することができる。加えて、重合反応の急激な進行を抑止することができるので、酸化性開始剤や還元剤が一時に消費されて未反応の単量体が多量に残存することを確実に防止することができる。
【0047】
モノマー投入ノズルを兼ねる混合塔15に導入された単量体水溶液は、続いてノズル口15aを経由して重合機18内に設けられた搬送ベルト16の上面に供給される。混合塔15の一端に設けられたノズル口15aは、搬送ベルト16による単量体水溶液の搬送方向と同方向に屈曲されている。この屈曲構造は、1)搬送ベルト16の上面への単量体水溶液の供給をスムーズに行うため、2)搬送ベルト16の上面への単量体水溶液の供給量を一定とするため、の構造であるが、特にこの構造に限定されるものではない。搬送ベルト16の上面への単量体水溶液の供給量(フィード量:ノズル口15aの幅が固定されている場合、液厚に相当)は特に限定されるものではない。
【0048】
搬送ベルト16は、より具体的には、同方向に一定速度で回転する駆動軸20・20により支持・駆動されるエンドレスタイプのベルトコンベアであり、その上方に設けられたフード41に覆われるとともに、窒素置換されている。また、搬送ベルト16の上面は、その搬送方向前段側に位置する一定領域(冷却ゾーン18a)が冷却されているとともに、その搬送方向後段側に位置する一定領域(加熱ゾーン18b)が加熱されている。
【0049】
搬送ベルト16の上面を冷却・加熱する方法は特に限定されるものではないが、例えば、冷却機・加熱機を用いて該上面を裏側より冷却・加熱する方法、冷水シャワー・温水シャワーを用いて該上面を裏側より冷却・加熱する方法、等を挙げることができる。冷水シャワーを用いて該上面を裏側より冷却する場合、冷水の温度は特に限定されるものではないが、0℃〜30℃の範囲内であることがより好ましい。また、温水シャワーまたは加熱機を用いて該上面を裏側より加熱する場合、加熱後の該上面の温度は特に限定されるものではないが、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。
【0050】
ノズル口15aを経由して搬送ベルト16の上面に供給(投入)された単量体は、該上面において連続静置重合される。搬送ベルト16の上面における重合反応は、冷却ゾーン18aにおいて一定期間冷却条件下で行われ(第一の重合反応)、これに後続して、加熱ゾーン18bにおいて一定期間加熱条件下で行われ(第二の重合反応)る。これにより、重合反応に供された単量体水溶液は搬送ベルト16により重合機18中を搬送され、始めに、反応温度の過剰な上昇を抑制しながら重合反応が行われる。続いて、該反応温度の過剰な低下を抑制しながら重合反応・熟成が行われ、含水ゲル(吸水性重合体の一形態)19が製造される。
【0051】
また、上記の重合反応、すなわち、第一の重合反応および第二の重合反応は、重合機18の上部壁に取り付けられた赤外線放射温度計T1 〜T6 により、その反応温度が非接触的に測定されながら行われる。上記赤外線放射温度計T1 〜T6 は、図1に示すように、単量体の搬送方向に距離が互いに異なる複数の地点において、上記反応温度の測定を行うものである。これにより、該反応温度を経時的に測定し、その変化のパターンを容易にモニターすることが可能となる。
【0052】
尚、該製造装置において、測定されるべき重合反応の反応温度は、反応系の表面温度(搬送ベルト16の上面に対して遠位側における表面温度)であることがより好ましい。その理由は、製造装置が冷却ゾーン18aや加熱ゾーン18bを有する場合、反応系はその厚さ方向に温度分布を有するためである。より具体的には、冷却ゾーン18aにおける重合反応では、上記反応系の搬送ベルト16近傍は十分に除熱され、上記反応系の表面温度と比較してその反応温度(内部温度と称する)が低くなっている。そして、重合反応の反応温度として該内部温度を採用すると、反応系が加熱ゾーン18bに搬送された際に、例えば、上記表面温度が例えば上記所定の範囲外となることを見逃す可能性があるからである。
【0053】
上記反応温度のうち、A)ピーク温度と、B)重合反応後半における反応温度とは、最終的に製造される吸水性重合体の諸物性、およびその生産性に影響を与えるという点から特に重点的に測定することが望まれる。本製造装置は、加熱ゾーン18bを有するため、重合反応後半における反応温度が所定の温度以下になることは通常なく、上記B)の測定は必須ではない。しかしながら、加熱ゾーン18bに設けられる加熱機等が故障する場合も考えられる。したがって本製造装置において上記赤外線放射温度計T1 〜T6 は、少なくとも上記A)の測定が可能な様に、さらには上記B)の測定が可能な様に、設置されていることが望ましい。また、場合によっては、混合塔15に温度検出手段27を設置する構成としてもよい。尚、重合ゾーン内に設けられる赤外線放射温度計の数や、その設置間隔等は特に限定されるものではない。
【0054】
図1に示す吸水性重合体の製造装置によれば、赤外線放射温度計T1 〜T6 を用いて、「重合反応に供された単量体の温度(重合反応の反応温度)を、単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において非接触的に検出(測定)する」ので、該反応温度を経時的に測定し、その変化のパターンをモニターすることにより、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となる。特に、ピーク温度周辺や、重合反応後半における反応温度の変化のパターンをモニターすることで、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することができる。
【0055】
重合反応の反応温度の経時的な測定により、想定する重合反応が起こっていない(または、想定する重合反応が起こらなくなる可能性がある)と判定された場合には、例えば、即座に製造ラインを停止することにより、不良な吸水性重合体の製造と原料としての単量体の浪費とを最低限に抑えることができる。または、以下に説明するように重合反応を制御することで、製造ラインを停止することなく想定する重合反応へと復帰させることができる。
【0056】
想定する重合反応が起こっていない(または、想定する重合反応が起こらなくなる可能性がある)と判定された場合、例えば、以下のように重合反応の制御が行われる。すなわち、上記反応温度の非接触的な測定結果に基づき、例えば、a)重合反応のピーク温度が上記「所定の範囲」内となるように、b)重合反応後半の反応温度が上記「所定の範囲」内となるように、c)重合反応のピークが上記第一の重合反応時にくるように、該重合反応の制御が行われる。上記a)を満たすように重合反応の制御を行うことにより重合反応の反応温度の過剰な上昇または低下が抑制される。また、上記b)を満たす様に重合反応の制御を行うことにより、重合反応後半における該反応温度の経時的な低下を抑制することができる。さらに、上記c)を満たす様に重合反応の制御を行うことにより重合反応の反応温度の過剰な上昇が抑制される。
【0057】
重合反応の制御は、具体的には、例えば、単量体の供給量を変更する、および/または、単量体の温度を変更する、等の方法により行うことができる。「単量体の供給量を変更する」方法は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ノズル口18aと搬送ベルト16との距離(ノズル高さ)、搬送ベルト16の搬送速度、モノマータンク11から混合塔15への単量体水溶液の供給速度、等を変更することにより、搬送ベルト16の上面への単量体の供給量(ここでは、単量体水溶液の液厚と同義)を変更する方法;単量体水溶液の濃度、等を変更することにより、搬送ベルト16の上面への単量体の供給量を変更する(単量体水溶液の液厚は一定である)方法;等を指す。搬送ベルト16の上面への単量体の供給量を変更することにより、重合反応の反応速度自体を変更することができる。また、単量体水溶液の液厚を変更することにより、反応熱の放散量を変更することができる。これにより、製造ラインを停止することなく該反応温度の変化のパターンを変更し、想定する重合反応へと復帰させることができる。
【0058】
「単量体の温度を変更する」方法は特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、モノマータンク11に貯蔵前の単量体を冷却または加熱しておく方法;モノマータンク11や混合塔15を冷却または加熱する方法;冷却ゾーン18a、および/または、加熱ゾーン18bの設定温度を変更する方法;重合反応に供された単量体に窒素ガス等を供給(噴射)することにより潜熱を奪取する方法;等の、原料としての単量体、および/または、重合反応に供された単量体の温度を変更する方法を指す。これにより、製造ラインを停止することなく該反応温度の変化のパターンを変更し、想定する重合反応へと復帰させることができる。
【0059】
重合反応の制御を目的とする上記例示の制御方法は、単独で使用してもよく、複数を組合せて使用してもよい。また、重合反応の開始剤を使用する場合には、該開始剤の供給量を変更する方法によっても重合反応の制御を行うことができる。さらに、単量体水溶液中の溶存酸素の残存の程度を変更する方法によっても重合反応の制御を行うことができる。より具体的には、単量体水溶液に窒素やアルゴン等の不活性ガスを供給して溶存酸素を除去する場合、単量体水溶液への不活性ガスの供給量を適宜変更することで、重合反応を容易に制御することが可能できる。
【0060】
上記説明のように、重合反応の反応温度の測定、および、必要に応じて重合反応の制御がなされて製造された含水ゲル19は、搬送ベルト16により重合機18から搬出される。搬出された含水ゲル19は、重合機18とゲル粗砕機21との間に設けられた、複数の回転ロール40…により構成されるコロコンベアにより搬送されて、ゲル粗砕機21に搬入される。そして、ゲル粗砕機21により、例えば約10cm角の大きさに粗砕される。続いて、粗砕された含水ゲル19は、ゲル細粒化装置22により粒状化され、例えば、平均粒径0.5mm〜3.0mmの粒状ゲル(吸水性重合体の一形態)とされる。粒状ゲルは、さらに必要に応じて、図示しない乾燥機により乾燥された後にミル型粉砕機により微粉砕され、例えば、平均粒径250μm〜500μmの吸水性微細粒子(吸水性重合体の一形態)とされる。上記ゲル細粒化装置22は特に限定されるものではなく、例えば、ニーダー、ミートチョッパー、堅型粉砕機、シュレッダー、ペレタイザー、スクリュウ式押出機、等を挙げることができる。また、上記ミル型粉砕機は特に限定されるものではなく、例えば、ピンミル、ロールミル、ハンマーミル、等を挙げることができる。
【0061】
尚、本発明にかかる吸水性重合体の製造装置は、想定する重合反応が実現可能なものであれば、図1に例示のものに限定されるものではない。例えば、加熱ゾーン18bを有しない製造装置であってもよく、場合によっては、冷却ゾーン18aを有しない製造装置や、加熱ゾーン18bと冷却ゾーン18aとの双方を有しない製造装置であってもよい。
【0062】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はまた、親水性単量体を連続式で静置重合することにより吸水性重合体を製造する方法において、親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、反応系の表面温度を、重合反応の反応温度として測定する工程を含んでなる方法であっても良い。
【0063】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はさらに、重合反応の反応温度を複数の地点で測定することにより、重合ピーク温度およびピーク位置を検出し、重合反応を制御する工程を含んでなる方法であってもよい。
【0064】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はさらに、反応系の表面温度を熱型赤外線温度計により非接触的に測定する工程を含んでなる方法であってもよい。
【0065】
本発明にかかる吸水性重合体の製造方法はさらに、親水性単量体をベルト面を冷却および/または加熱する装置を備えた駆動するベルト重合装置に供給する工程を含んでなるものであってもよい。
【0066】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0067】
〔実施例1〕
図1に示す製造装置を用いて吸水性重合体の製造を行った。本実施例において、搬送ベルト16は、幅60cm、長さ(すなわち、駆動軸20・20の中心間距離)24mのステンレス製のエンドレスベルトである。また、搬送ベルト16の搬送速度は1m/分であり、また、冷却ゾーン18aの長さは15m、加熱ゾーン18bの長さは9mである。上記冷却ゾーン18aは冷却機により15℃に冷却されており、上記加熱ゾーン18bは加熱機により70℃に加熱されている。また、搬送ベルト16上面近傍の雰囲気は、窒素が供給されることにより、酸素含有量が1体積百分率(vol%)以下となるべく制御されていた。
【0068】
温度検出手段27としての赤外線放射温度計T1 〜T6 はそれぞれ、ベルト面からの高さが約50cmの温度を測定すべく重合機18の上部壁に取り付けられている。より具体的には、赤外線放射温度計T1 〜T5 は、長さ15mの冷却ゾーン18aの上方に3m間隔(冷却ゾーン18aの端部を基点として、順に、3m、6m、9m、12m、15mの位置)で設けられており、赤外線放射温度計T6 は、重合機18の出口近傍(加熱ゾーン18bの上方)に設けられている。尚、本実施例において、赤外線放射温度計T1 〜T6 により測定される温度は、重合反応の反応温度(ここでは、重合反応に供された単量体水溶液の表面温度)と等しいことは予備実験により確認されている。
【0069】
吸水性重合体の原料として70%中和アクリル酸ナトリウム(単量体)を使用した。始めに、該アクリル酸ナトリウムの39重量%水溶液を調製し、該水溶液に架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートを該アクリル酸ナトリウム1モルに対して0.1モルとなるように加えたものをモノマー水溶液(単量体水溶液)としてモノマータンク11に供給した。
【0070】
続いて上記モノマー水溶液をエジェクタ12に供給し、該モノマー水溶液に窒素ガスを連続供給することで溶存酸素の除去を行った。窒素ガス連続供給後のモノマー水溶液中の溶存酸素量は、0.5〜1mg/Lの範囲内となるように制御されていた。また、この時のモノマー水溶液の温度は18〜19℃に保たれていた。溶存酸素除去後のモノマー水溶液は、続いて混合塔15に供給された。混合塔15においては、上記アクリル酸ナトリウム1モルに対し0.12gの過硫酸ナトリウム(NaPs)が開始剤タンク13より供給され、該アクリル酸ナトリウム1モルに対し0.002gのL−アスコルビン酸が還元剤タンク14より供給され、モノマー水溶液と混合された。
【0071】
続いて、上記モノマー水溶液は、ノズル口15aを経由して、その液厚が23mmとなるように搬送ベルト16の上面に連続供給(連続投入)された。搬送ベルト16の上面における重合反応は、赤外線放射温度計T1 〜T6 によりその反応温度を測定しながら行われた。赤外線放射温度計T1 〜T6 による反応温度の測定結果は、順に、30℃、52℃、80℃、95℃、93℃、75℃、であった。図2に、反応時間と反応温度との関係を表す。尚、図2において、反応時間T1〜T6とはそれぞれ、単量体の供給地点から赤外線放射温度計T1 〜T6 の真下の位置に単量体が搬送されるに必要な時間を指している。本実施例では、搬送ベルト16は一定速度(1m/分)で駆動されている。そのため、上記反応時間T1〜T6とは、具体的には、単量体が搬送ベルト16の上面に供給された時点を起点として、順に、3分後、6分後、9分後、12分後、15分後、24分後を指す。
【0072】
上記の測定結果によれば、本実施例における重合反応の反応温度は、赤外線放射温度計T3 〜T5 (反応時間T3〜T5)にかけて上に凸型となっていることが判る。したがって、該重合反応のピークは、赤外線放射温度計T3 〜T5 に対応する位置、すなわち、冷却ゾーン18aの端部を基点として、9m〜15mの位置(冷却ゾーン18a内)において起こっていると推定される。また、重合反応のピーク温度は、100℃前後であると推定される。また、重合反応後半の反応温度は、赤外線放射温度計T6 の測定結果より、常に75℃以上を維持していると推定される。
【0073】
すなわち、本実施例における重合反応は、そのピークが冷却条件下で重合反応(第一の重合反応)が行われる一定期間内にくると推定される。また、そのピーク温度および重合反応後半の反応温度がともに、通常望まれる値、それぞれ順に、60℃〜120℃の範囲内であり、50℃以上であると推定される。したがって、想定する重合反応のもとに含水ゲル19が製造されていると判定される。
【0074】
続いて、含水ゲル19を図1に示すゲル粗砕機21で粗砕後、ゲル細粒化装置22により粒状化して粒状ゲルを得た。そして、該粒状ゲルを170℃で40分間乾燥することにより吸水性重合体Bを得た。吸水性重合体Bは、水の飽和吸収倍率が32(g/g)、可溶分の含有量が7重量%、残存した単量体(残存モノマー)量が300ppm、であり、想定どおりに良好な物性を有することが確認された。尚、水の飽和吸収倍率とは、(吸水性重合体Bに吸収される水の最大量(g))を、(吸水性重合体Bの重量(g))で除した値を指すものとする。
【0075】
〔実施例2〕
上記実施例1と同様の製造装置を用いて、同一の条件下で吸水性重合体の製造を行った。しかしながら、赤外線放射温度計T1 〜T6 による反応温度の測定の結果、図3に示す(C)のパターン同様、重合反応の前半で重合が急激に進行していることが予想された。そこで、重合機18への、モノマー水溶液のさらなる供給を停止した。
【0076】
こうして得られた含水ゲル19を、上記の実施例1と同様の方法で、粗砕、粒状化、乾燥して吸水性重合体Cを得た。吸水性重合体Cは、水の飽和吸収倍率が30(g/g)、可溶分の含有量が10重量%、残存した単量体(残存モノマー)量が800ppm、であり、上記実施例1で得られた吸水性重合体Bと比較してその物性がいずれも劣っていることが確認された。
【0077】
尚、重合機18へのモノマー水溶液の供給を停止することなく、1)過硫酸ナトリウム(NaPs)の供給量、および/または、L−アスコルビン酸の供給量を低減する、2)エジェクタ12による窒素ガスの単位時間当りの供給量を低減する、3)搬送ベルト16上面におけるモノマー水溶液の液厚を薄くする、4)冷却機が、冷却ゾーン18aを冷却水により冷却する場合、該冷却水の温度を下げる、および/または、冷却水の循環量を増加させる、等の方法を選択することにより、重合反応を望ましいパターン、より具体的には図3に示す(B)のパターンとすることができる。
【0078】
〔実施例3〕
上記実施例1と同様の製造装置を用いて、同一の条件下で吸水性重合体の製造を行った。しかしながら、赤外線放射温度計T1 〜T6 による反応温度の測定の結果、図3に示す(D)のパターン同様、重合反応の開始が遅れていることが予想された。そこで、重合機18への、モノマー水溶液のさらなる供給を停止した。
【0079】
こうして得られた含水ゲル19を、上記の実施例1と同様の方法で、粗砕、粒状化、乾燥して吸水性重合体Dを得た。吸水性重合体Dは、水の飽和吸収倍率が34(g/g)、可溶分の含有量が12重量%、残存した単量体(残存モノマー)量が1000ppm、であり、上記実施例1で得られた吸水性重合体Bと比較して、「可溶分の含有量」および「残存した単量体量」が著しく多いことが確認された。
【0080】
尚、重合機18へのモノマー水溶液の供給を停止することなく、1)過硫酸ナトリウム(NaPs)の供給量、および/または、L−アスコルビン酸の供給量を増加させる、2)エジェクタ12による窒素ガスの単位時間当りの供給量を増加させる、3)搬送ベルト16上面に供給されるモノマー水溶液の温度を上げる、4)冷却機が、冷却ゾーン18aを冷却水により冷却する場合には、該冷却水の温度を上げる、等の方法を選択することにより、重合反応を望ましいパターン、より具体的には図3に示す(B)のパターンとすることができる。
【0081】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる吸水性重合体の製造方法によれば、重合反応の反応温度を経時的に検出(測定を含む)し、その変化のパターンをモニターすることができる。これにより、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となるという効果を奏する。特に、ピーク温度周辺や重合反応後半における反応温度の変化のパターンをモニターすることにより、ピーク温度、重合反応のピークのタイミング(ピーク位置)、重合反応後半における反応温度を知ることができ、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となるという効果を奏する。
【0082】
さらに、重合反応の反応温度の非接触的な検出結果に基づいて重合反応の制御を行うことにより、想定する重合反応が起こっていない(または、想定する重合反応が起こらなくなる可能性がある)と判定された場合であっても、製造ラインを停止することなく、想定する重合反応へと復帰させることができるという効果を奏する。
【0083】
以上のように、本発明にかかる吸水性重合体の製造装置によれば、重合反応の反応温度を経時的に検出(測定を含む)し、その変化のパターンをモニターすることができる。これにより、想定する重合反応が起こっているか否かを早期に判定することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる吸水性重合体の製造装置の一例を示す概略の構成図である。
【図2】本発明にかかる製造方法により吸水性重合体を製造する場合における、重合反応に供された単量体の表面温度(重合反応の反応温度)の温度変化のパターンを示すグラフである。
【図3】従来の製造方法により吸水性重合体を製造する場合における、重合反応の反応温度の温度変化のパターンを示すグラフである。
【符号の説明】
15 混合塔(投入管を兼ねる)
18 重合機(重合ゾーン)
19 含水ゲル(吸水性重合体の一形態)
27 温度検出手段

Claims (7)

  1. 重合反応に供された、架橋剤を含む親水性単量体の水溶液を連続式で重合することにより吸水性重合体を製造する方法であって、
    上記親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程を含み、
    上記重合反応の反応温度は赤外線放射温度計で測定され、重合反応のピーク温度が60℃〜120℃の範囲内であり、
    重合反応の反応温度を非接触的に検出する上記工程において、重合反応のピーク温度、ピーク温度を示したタイミングであるピーク位置、並びに、ピーク温度を示した後の重合反応後半の反応温度、より選択される少なくとも一つを検出し、この検出結果に基づいて、親水性単量体の供給量を変更する、親水性単量体の温度を変更する、開始剤の供給量を変更する、単量体水溶液中の溶存酸素の残存の程度を変更する、ことから選択される少なくとも一つにより、重合反応を制御する工程をさらに含むことを特徴とする吸水性重合体の製造方法。
  2. 重合反応に供された、架橋剤を含む親水性単量体の水溶液を連続式で重合することにより吸水性重合体を製造する方法であって、
    上記親水性単量体の供給地点からの距離が異なる複数の地点において、重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程を含み、
    重合反応の反応温度を非接触的に検出する上記工程において、重合反応のピーク温度、ピーク温度を示したタイミングであるピーク位置、並びに、ピーク温度を示した後の重合反応後半の反応温度、より選択される少なくとも一つを検出し、この検出結果に基づいて重合反応を制御する工程をさらに含み、
    上記重合反応の制御が、上記親水性単量体の供給量を変更する、親水性単量体の温度を変更する、開始剤の供給量を変更する、単量体水溶液中の溶存酸素の残存の程度を変更する、ことから選択される少なくとも一つにより行われることを特徴とする吸水性重合体の製造方法。
  3. 親水性単量体の温度を変更する方法は、原料としての単量体、および/または、重合反応に供された単量体の温度を変更する方法であって、単量体を貯蔵するモノマータンクに貯蔵前の単量体を冷却または加熱しておく方法;モノマータンクや、親水性単量体の水溶液を混合する混合塔を冷却または加熱する方法;製造装置の冷却ゾーンおよび/または加熱ゾーンの設定温度を変更する方法;重合反応に供された単量体に窒素ガスを供給することにより潜熱を奪取する方法;から選択されることを特徴とする請求項1または2記載の吸水性重合体の製造方法。
  4. 上記重合反応の反応温度は赤外線放射温度計で測定され、重合反応のピーク温度が60℃〜120℃の範囲内であることを特徴とする請求項2または3記載の吸水性重合体の製造方法。
  5. 上記重合反応は、一定期間冷却条件下で行われ、
    重合反応の反応温度を非接触的に検出する工程における検出結果に基づき、重合反応のピーク位置が上記一定期間内にくるように、該重合反応を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水性重合体の製造方法。
  6. 上記重合反応は搬送ベルト上での静置重合として行われ、
    上記親水性単量体が親水性単量体水溶液として、液厚1mm〜50mmの範囲内で供給されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の吸水性重合体の製造方法。
  7. 上記親水性単量体水溶液の濃度が20重量%〜50重量%であり、上記親水性単量体がアクリル酸系単量体であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の吸水性重合体の製造方法。
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