JP3490339B2 - 吸水性樹脂の製造装置 - Google Patents

吸水性樹脂の製造装置

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JP3490339B2
JP3490339B2 JP13500999A JP13500999A JP3490339B2 JP 3490339 B2 JP3490339 B2 JP 3490339B2 JP 13500999 A JP13500999 A JP 13500999A JP 13500999 A JP13500999 A JP 13500999A JP 3490339 B2 JP3490339 B2 JP 3490339B2
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water
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support belt
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昭人 矢野
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浩司 三宅
勝弘 梶川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸水性樹脂の製造
装置に関するものである。詳しく述べると、吸水倍率が
大きく、かつ可溶分の少ない吸水性樹脂を生産性よく製
造する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自重の数十倍から数百倍の水を吸
収する吸水性樹脂が開発され、生理用品や紙おむつ等の
衛生材料分野をはじめとして農園芸用分野、鮮度保持等
の食品分野、結露防止や保冷材等の産業分野等、吸水や
保水を必要とする用途に種々の吸水性樹脂が使用されて
きている。
【0003】このような吸水性樹脂としては、例えば、
デンプン−アクリルニトリルグラフト重合体の加水分解
物(特公昭49−43395号)、デンプン−アクリル
酸グラフト重合体の中和物(特開昭51−125468
号)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン
化物(特開昭52−14689号)、アクリロニトリル
共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物
(特公昭53−15959号)、またはこれらの架橋
体、逆相懸濁重合によって得られた自己架橋型ポリアク
リル酸ナトリウム(特開昭53−46389号)、ポリ
アクリル酸部分中和物架橋体(特開昭55−84304
号)等が知られている。
【0004】従来、吸水性樹脂を製造する方法として
は、水溶液重合法などの技術が知られており、この例と
しては、特定容器内で親水性ビニル系単量体水溶液を断
熱重合する方法(例えば、特開昭55−108407号
公報等)、双腕ニーダー内で、攪拌により重合ゲルを砕
断しながら重合する方法(例えば、特開昭57−341
01号公報等)等を挙げることができる。
【0005】また、液状反応成分を厚さ少なくとも1c
mの層として可動性無端回転支持ベルト上に適用して重
合させるものにおいて、該液状反応成分を該支持ベルト
から連続的に形成される凹部に収容するとともに、該反
応成分の重合中に該支持ベルトの凹部形状を延ばされた
平坦なベルト形状に連続的に転化し、および生成したポ
リマーリボンゲルが該支持ベルトの曲げられた凹部形状
を該延ばされた平坦なベルト形状に転化する際側端部か
ら該支持ベルトから形成された凹部の中心に向かって連
続的に分離されることを特徴とする水溶性モノマーから
重合体および共重合体を連続的に製造する方法および装
置が提案されている(特開昭62−156102号公
報)。
【0006】しかしながら、このような装置を用いる場
合には、凹部横断面が椀状形状となるために、供給され
る液状原料および生成する吸水性樹脂の断面形状も椀状
形状となりその中央部と両端部とでは厚みが異なり、こ
のため、例えば下面よりの冷却の速度が異なり均一な品
質の吸水性樹脂は得られ難いという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、均一な品質の吸水性樹脂の製造装置を提供する
ことにある。
【0008】本発明の他の目的は、吸水倍率が大きく、
かつ可溶分の少ない吸水性樹脂を生産性よく製造する装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記
(1)〜(12)により達成される。 (1)可動性無端回転支持ベルトと、単量体混合物供給
装置と、吸水性樹脂含水ゲル状物排出装置とを有する吸
水性樹脂製造装置であって、該可動性無端回転支持ベル
トの両側部付近に該支持ベルトと共に移動する側部堰を
有してなる吸水性樹脂の製造装置。 (2)該側部堰は、該単量体混合物供給装置より走行方
向上流から、該単量体混合物供給装置から該吸水性樹脂
含水ゲル状物排出装置までの長さの少なくとも1/10
に相当する位置までの水平度が5mm以内である前記
(1)に記載の吸水性樹脂の製造装置。 (3)該側部堰は、該可動性無端回転支持ベルトの全周
に亘って固着されてなる前記(1)または(2)に記載
の吸水性樹脂の製造装置。 (4)該側部堰は、該単量体混合物供給装置より走行方
向上流から、該単量体混合物供給装置から該吸水性樹脂
含水ゲル状物排出装置までの長さの少なくとも1/10
に相当する位置まで設けられてなる前記(1)〜(3)
のいずれか一つに記載の吸水性樹脂の製造装置。 (5)該側部堰は、高さが20〜50mmの範囲である
前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の吸水性樹脂
の製造装置。 (6)該側部堰は、膨潤係数10%以下の材質が用いら
れてなる前記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の吸
水性樹脂の製造装置。 (7)該側部堰は、中空式である前記(1)〜(6)の
いずれか一つに記載の吸水性樹脂の製造装置。 (8)該可動性無端回転支持ベルトの単量体混合物供給
装置より走行方向上流に該ベルトの走行方向に対してほ
ぼ直交する方向に該ベルトに摺接するように設けられた
端部堰を有してなる前記(1)〜(7)のいずれか一つ
に記載の吸水性樹脂の製造装置。 (9)該端部堰は、回転ロールである前記(8)に記載
の吸水性樹脂の製造装置。 (10)該端部堰は、膨潤係数10%以下の材質が用い
られてなる前記(8)または(9)に記載の吸水性樹脂
の製造装置。 (11)該可動性無端回転支持ベルトは、単量体混合物
供給装置付近で該ベルトの走行方向下流に向けて下り傾
斜が形成されてなる前記(1)〜(10)のいずれか一
つに記載の吸水性樹脂の製造装置。 (12)該可動性無端回転支持ベルトの単量体混合物供
給装置より走行方向下流に該ベルトの走行方向にほぼ直
交する方向に該ベルトに摺接するように設けられた開閉
自在な仮止堰を有してなる前記(1)〜(11)のいず
れか一つに記載の吸水性樹脂の製造装置。
【0010】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しつつ本発明
の実施の形態を説明する。
【0011】図1は、本発明による吸水性樹脂の製造装
置の概略図であり、また図2は、その可動部の概略を示
す斜視図である。
【0012】すなわち、図1〜2に示すように、該製造
装置は、モータ等のような動力源に、必要により変速機
等(いずれも図示せず)を介して連結された一端の回転
体1aと、他端に設けられた他の回転体1bと、該回転
体1aと1bの間に張設された可動性無端回転支持ベル
ト2とよりなるものであり、該支持ベルト上面の一端に
は単量体混合物供給装置が、他端には吸水性樹脂含水ゲ
ル状物排出装置が配設されている。該可動性無端回転支
持ベルト2の両側部付近には、該支持ベルトの走行方向
に沿って全周に亘って該支持ベルトとともに移動する可
撓性側部堰3が固着されている。
【0013】しかして、この可動性無端回転支持ベルト
2は、吸水倍率が大きく、可溶分の少ない吸水性樹脂を
製造するためには、水平であることが重要であり、特に
支持ベルト2の該単量体混合物供給装置から吸水性樹脂
含水ゲル状物排出装置に至る長さの少なくとも10分の
1における鉛直方向の水平度が5mm以内、好ましくは
3mm以内であることが必要である。すなわち、該水平
度が5mmを越えると、液体原料の単量体混合物の支持
ベルト面からの高さが、支持ベルトの走行方向に対して
鉛直方向に異なることになり、そのため重合反応により
発生する重合熱の発生量が場所によって異なることにな
る。すなわち、本発明の目的の一つである均一な品質の
吸水性樹脂を得ることが難しくなる場合がある。
【0014】ここで、可撓性とは、該支持ベルト2を支
持する回転体1a、1bの曲率に対応して変形し得る程
度のものをいう。
【0015】この両側端部付近に固着された可撓性側部
堰3は、前記のように、可撓性のある材料で作られた堰
であれば、いずれも使用でき、該側部堰3の支持ベルト
2への固着手段は、例えば接着剤による接着、挿入ある
いは挟持による固着等いずれでもよい。また、該側部堰
3を構成する材料は、可撓性を有する他に、膨潤係数が
10%以下のものが好ましく、特に5%以下のものが好
ましい。なお、ここに膨潤係数とは、室温(20℃)の
単量体混合物に、少なくとも45cm2の表面積を有す
る材料片を浸漬し、次式に示すように24時間後の重量
変化率をいう。
【0016】
【数1】
【0017】例えば、酸性の単量体混合物に好適なこの
ような材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ塩
化ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、ポリウレタン、フェノキシ、ポリカー
ボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタノー
ル、ナイロン、セルロール、フェノール・ホルムアルデ
ヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹
脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ジアリルフタレートのような合成樹脂あるいは、天
然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・
ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴ
ム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、クロロプロピレン
ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチ
レン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、ニトリ
ル・イソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多
硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのようなゴム材
料、あるいは、ガラス、グラファイト、ブロンズおよび
モリブデンジサルファイドのような無機充填剤あるい
は、ポリイミドのような有機充填剤で複合体を作り補強
した前記合成樹脂を含む。前記物質の中でも、ニトリル
ゴム、シリコーンゴム、クロロプロピレンゴムのような
ゴムやポリエチレンテトラフルオライド、ポリエチレン
トリフルオライド、ポリエチレントリフルオロクロライ
ド、エチレンテトラフルオライド−エチレンコポリマ
ー、プロピレンペンタフルオライド−エチレンテトラフ
ルオライドコポリマー、パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル−エチレンテトラフルオライドコポリマーおよび
ポリフッ化ビニルのようなフッ素樹脂が好ましい。
【0018】ちなみに、代表的な材料の膨潤係数は、次
のとおりである。
【0019】 天然ゴム 0.38% クロロプロピレンゴム 0.70% シリコーン 1.92% 発泡シリコーン 1.04% 該側部堰3の形状は、例えば断面形状が四角形、三角
形、台形、カマボコ形、円形、楕円形、またはこれらの
組合わせが挙げられる。さらには、中空体形、凹溝形等
のものがある。該側部堰3の高さは、重合反応に供され
る単量体混合物層の冷却の効率を考慮すると、10〜5
0mm、好ましくは30〜40mmである。すなわち、
該側部堰3の高さが10mm未満の場合には、供給され
る液状原料の高さが必然的にそれ以下となり、このため
吸水性樹脂の生産性が低下するからである。一方、50
mmを越えると、液状原料の供給量は増やせるが、これ
以上増やしても熱伝導率が悪くなり、内部は1種の断熱
重合となり、しかも側部堰の高さが高くなればなるほど
側部堰3の材料に必要な可撓性を与えることが困難にな
るからである。
【0020】また、図3および4にそれぞれ示すように
支持ベルト2の表面に中空台形状の側部堰3または中空
カマボコ形の側部堰3を、それぞれ接着剤層6を介して
固着させたものがある。さらに、図5に示すように支持
ベルト2の表面に中実四角形の側部堰3を、接着剤層6
を介して固着させたものがある。
【0021】また、図6に示すように、支持ベルト2の
両端部をL字状の側部堰3の底部のスリットに挿入して
挟持させると、接着剤層を介することなく、堰3を支持
ベルト2に固着させることができる。もちろん、この場
合において接着剤層を介して固着を高めてもなんら差し
つかえない。
【0022】該支持ベルト2は、耐食性ならびに耐久性
のある材料で作られたものがいずれも使用できるが、一
例を挙げると、例えばステンレス鋼製のシートが挙げら
れる。
【0023】本発明による吸水性樹脂の製造装置におい
て、前記支持ベルト2の走行方向上流端部付近には、単
量体混合物供給装置7が設けられており、該単量体混合
物供給装置7より重合により吸水性樹脂となる単量体等
の液状の単量体混合物が支持ベルト2の上に供給され
る。
【0024】該支持ベルト上に供給される単量体混合物
は液状であるため、連続製造開始時点において液状の単
量体混合物が走行方向下流に流れるのを防止するため
に、該単量体混合物供給装置より該支持ベルト2の走行
方向下流に、開閉自在な仮止用堰8が走行方向に対して
ほぼ直交する方向に、該支持ベルト2に摺接して設けら
れている。供給された液状の単量体混合物のゲル化が始
まったら、この仮止用堰8を、例えば、油圧シリンダ、
エアシリンダ等の流体圧シリンダ9等を用いて上昇させ
ることにより重合系ベルト2上の走行を可能にする。す
なわち、単量体混合物の先端がいったんゲル化を開始す
れば、このゲル化部分が堰となるので、もはや仮止用堰
8は不必要となるだけでなく、これがあると単量体混合
物の走向を阻害することになる。
【0025】この仮止用堰8は、例えば図7に示すよう
に、回転軸9に枢着して仮止めを施し、原料のゲル化が
始まったら手動により、あるいは機械的手段を用いて、
仮止用堰8を回動させて仮止めを解除することができ
る。また、この仮止用堰8は、該支持ベルト2に接触し
て、必要により上下動可能なローラ形式(図示せず)の
ものであってもよい。
【0026】支持ベルト2の下面には、必要により冷却
装置11および加熱装置12が取付けられている。加熱
装置12においては、温水あるいはその他の伝熱媒が供
給されるかあるいは電熱、遠赤外線等により直接加熱す
るように構成されている。
【0027】また、冷却装置11においては、水あるい
はその他の冷却媒体が噴出管13より支持ベルト2の下
面に向けて噴出するように構成されている。
【0028】該支持ベルト2の単量体混合物供給装置付
近には、単量体混合物供給装置より走行方向上流に、端
部堰14が該支持ベルト2の走行方向に対してほぼ直交
して該支持ベルトに摺接するように設けられている。こ
れは液体単量体混合物が走行方向上流に流れ出し、該支
持ベルト2から溢流するのを防止するためである。
【0029】さらに、端部堰3の断面形状は、例えば、
図8に示すように、下部にフッ素樹脂等の摩擦係数の小
さい耐摩耗性のある材料で作られた少なくとも1個の帯
状摺接部材35を、ベルト2表面に摺接自在に設け、該
摺接部材35は、該摺接部材35に対応して端部堰本体
14に設けられた少なくとも1個の連続した溝39に嵌
挿されており、該摺接部材35と該端部堰本体14との
間には、前記溝39内に緩衝部材38が介在されてい
る。該緩衝部材38としては、ばね、ゴム弾性材、空
気、水、油等の流体を流通させたゴム等の管状体、吸水
性樹脂、吸油性等を充填したゴム等の管状体に、水、油
等を吸収膨潤させたもの等がある。なお、この場合、該
端部堰本体14内に連続する空洞部(図示せず)を穿設
して該空洞部内にブライン、その他の加熱または冷却媒
体を流通させてもよい。なお、該摺動部材の材質も、前
記側部堰の材質と同様であり、膨潤係数が10%以下、
特に5%以下のものが好ましく、その具体例も、側部堰
の場合と同様である。
【0030】本発明において、側部堰3の他の実施態様
は、図9〜10に示すように、該支持ベルト2に固着さ
せることなくベルト2に接して移動する形態である。こ
の形態の側部堰3aを配置する範囲は、少なくとも単量
体混合物供給装置より走行方向上流から、該供給装置か
ら吸水性樹脂含水ゲル状物排出装置に至る長さの1/1
0に相当する位置までである。もちろん、単量体混合物
供給装置から吸水性樹脂含水ゲル状物排出装置に至るま
での全域に側部堰を配置する実施形態を排除する理由は
何らないが、均一な品質の吸水性樹脂を製造する目的に
限っては、上記の1/10に相当する位置までで充分で
ある。ベルトに固着させることなくベルトに接して移動
する形態の側部堰は、例えば可動性無端回転支持ベルト
2と逆方向に回転する回転体1cおよび回転体1dに支
持された可動性無端回転側部堰3aとするが好適であ
る。なお、図9および10において、図1と同一符号
は、同一部材を表わす。
【0031】該支持ベルト2の上部には、図11に示す
ように蓋体18が設けられ、支持ベルト2の上面の反応
域全体を窒素等の不活性ガスでシールするように構成さ
れていてもよい。
【0032】該支持ベルト2の走行方向の先端部の回転
体1bの先には、吸水性樹脂含水ゲル状物排出装置が配
設されている。該排出装置は、例えば生成した吸水性樹
脂含水ゲル状物を排出させるための掻取手段15および
必要により破細手段16が設けられており、掻取られた
吸水性樹脂含水ゲル状物は破細されたのち、ホッパー1
7等により回収される。
【0033】図12は、本発明による吸水性樹脂の製造
装置の他の実施の形態を示すものである。すなわち、同
図に示すように、モータ等のような動力源に、必要によ
り変速機等(いずれも図示せず)を介して連結された一
端の回転体21aと、他端に設けられた他の回転体21
bと、該回転体21aと21bの間に張設された可動性
無端回転支持ベルト22と、該支持ベルト22の両側部
付近に該支持ベルトの走行方向に沿って全周に亘って固
着された可撓性堰23とよりなるものであり、該ベルト
22は、回転体21aと回転体25aの作用により、単
量体混合物供給装置付近では、該支持ベルト22の走行
方向下流に向けて下りの傾斜を形成している。このた
め、液状の単量体混合物が単量体混合物供給装置27よ
り供給された場合、単量体混合物供給装置付近におい
て、未だ液状の単量体混合物が走行方向上流に流れ出し
ベルト22から溢流する心配はない。
【0034】なお、図12において、図1の符号におい
て20をプラスした符号は、図1と同一の部材を表わ
す。
【0035】本発明による装置により重合される液状
単量体混合物としては、吸水性樹脂を生成するものであ
れば、いずれも使用できるが、一例を挙げると、例えば
アクリル酸とアクリル酸ナトリウムのようなアクリル酸
塩との混合物に少量の架橋剤および重合開始剤を配合し
たもの等がある。
【0036】つぎに、本発明による製造装置により吸水
性樹脂を製造する方法の例を説明する。
【0037】まず、図1〜8に示すように、仮止用堰8
を閉じたのち、単量体混合物供給装置7より液状単量体
混合物を支持ベルト2上に流下させると、該液状単量体
混合物は仮止用堰8で止まる。
【0038】この液状単量体混合物は、いったん重合が
開始すると発熱反応であるので、その反応熱を冷却装置
11の作用により冷却する必要がある。冷却方法として
は、例えば噴出管13より水を支持ベルト2の裏面に噴
出させることにより下部より冷却する。この場合、原料
層の厚みが薄いので例えば50mm以下、好ましくは2
0〜50mm、より好ましくは30〜40mmであるの
で、熱伝導率がよく、攪拌することなく均一に冷却する
ことができる。さらに必要があれば、加熱装置12によ
り加熱して重合を完結させる。ついで、重合を終了して
生成した吸水性樹脂は、掻取装置15により該装置から
掻取られ、破細機16で破細したのち、ホッパー17で
回収される。
【0039】また、図11および図12に示す製造装置
の場合も、全く同様である。
【0040】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明による吸水性
樹脂の製造装置について、さらに詳細に説明する。
【0041】実施例中で「部」とは特にことわりがない
限り「重量部」を表すものとする。
【0042】[吸収倍率]吸水性樹脂A(g)(約0.
2g)を不織布製の袋(60mm×60mm)に均一に
入れ、人工尿(硫酸ナトリウム0.200%、塩化カリ
ウム0.200%、塩化マグネシウム6水和物0.05
0%、塩化カルシウム2水和物0.025%、リン酸2
水素アンモニウム0.085%、リン酸水素2アンモニ
ウム0.0015%、脱イオン水99.425%)中に
浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用い
て250Gにて3分間水切りを行なった後、袋の重量W
(g)を測定した。同様の操作を吸水性樹脂を用いずに
行ない、そのときの袋の重量B(g)を測定した。そし
て、得られた重量から次式にしたがって、吸水性樹脂の
吸収倍率を算出した。
【0043】
【数2】
【0044】[可溶分]吸水性樹脂C(g)(約0.5
g)を1000gの脱イオン水中に分散し、16時間攪
拌した後、濾紙で濾過した。次に、得られた濾液50g
を100mlビーカーにとり、該濾液に0.1N−水酸
化ナトリウム水溶液1ml、N/200−メチルグリコ
ールキトサン水溶液10ml、および0.1%トルイジ
ンブルー水溶液4滴を加えた。次いで、上記ビーカーの
溶液を、N/400ポリビニル硫酸カリウム水溶液を用
いてコロイド滴定し、溶液の色が青色から赤紫色に変化
した時点を滴定の終点として滴定量D(ml)を求め
た。また、濾液50gに代えて脱イオン水50gを用い
て同様の操作を行ない、ブランクとして滴定量E(m
l)を求めた。そして、これら滴定量と吸水性樹脂を構
成する単量体の平均分子量Fとから、次式にしたがって
可溶分(重量%)量を算出した。
【0045】
【数3】
【0046】[残存単量体]脱イオン水1000gに吸
水性樹脂0.5gを加え、攪拌下で2時間抽出した後、
膨潤ゲル化した吸水性樹脂を濾紙を用いて濾別し、濾液
中の残存単量体を液体クロマトグラフィーで分析した。
一方、既知濃度の単量体標準溶液を同様に分析して得た
検量線を外部標準とし、濾液の希釈倍率を考慮して、吸
水性樹脂中の残存単量体量を求めた。
【0047】実施例 図1〜3に示す装置を用いて、アクリル酸10.70
部、37%アクリル酸ナトリウム水溶液70.07部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量4
78)0.08部、および脱イオン水19.15部から
なる水溶液を調製し、窒素ガスを導入し脱気した。上記
水溶液1156g/分と窒素ガスを導入し脱気し脱気し
た0.982%V−50(和光純薬工業製アゾ系重合開
始剤)水溶液10g/分、0.982%過硫酸ナトリウ
ム水溶液10g/分、および0.088%L−アスコル
ビン酸水溶液10g/分をラインミキシングした後、さ
らに窒素ガスを導入し脱気した0.0707%過酸化水
素水を10g/分でラインミキシングし、窒素気流雰囲
気下の可動式ベルト重合機に供給した。単量体濃度は3
5重量%、水溶液の厚みは25mmであった。可動式ベ
ルトは140mm/分で駆動させた。1分後に重合が開
始し、反応系温度は20℃であった。重合系は攪拌され
ることなく、ベルト面の温度を10℃にして冷却され
た。7分後に重合系は最高到達温度の86℃を示した。
この後、ベルト面の温度を60℃にして含水ゲル状重合
体を得た。この含水ゲル状重合体の厚さは25mmであ
った。この含水ゲル状重合体をミートチョッパーで解砕
し、160℃、65分間熱風乾燥機で乾燥した。得られ
た乾燥物を粉砕し、吸水性樹脂(1)を得た。
【0048】吸水性樹脂(1)は、吸収倍率65倍、可
溶分12%および残存単量体480ppmであった。
【0049】
【発明の効果】従来ベルト上で単量体混合物を重合し重
合物を得る方法は知られていたが、低粘度の単量体混合
物を、効率よく、しかも安定して優れた性能を有する重
合物とする方法は、本願によって初めて達成された。従
来は、低粘度の単量体混合物をベルト上で重合する際
に、単量体混合物がベルトからこぼれないように供給す
る必要があった。即ち、単量体混合物の厚みを薄く(例
えば10mm以下)供給していた。しかしながら、これ
では生産性が低い。単量体混合物を厚く供給できるよう
にするために、ベルト自体を凹状に変形させ、該凹部に
単量体を供給する方法(特開昭62−156102号公
報)や、ベルト両端部付近に堰を設ける方法が考案され
た。凹状ベルトを用いる方法は、ベルトの材質が制限さ
れるばかりか、ベルトに載った単量体の厚みがベルト走
行方向に鉛直な方向で異なり、重合熱のコントロールを
均一にする事ができず、結果として均一な性能の重合物
を得る事ができなかった。これに対して、本願の装置で
は、水平方向での水平度はもちろんのこと、鉛直方向で
の水平度が極めて高いので、ベルト面積当たり多くの単
量体を載せても、均一な品質の吸水性樹脂の製造が可能
となり、結果的に吸水倍率が大きく、可溶分の少ない吸
水性樹脂を得ることができる。しかも、吸収倍率が大き
く、可溶分の少ない、均一な品質の吸水性樹脂を製造す
る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による吸水性樹脂の製造装置の一実施
態様を示す概略図である。
【図2】 本発明の装置の主要部を示す斜視図である。
【図3】 本発明の装置における側部堰の一例を示す断
面図である。
【図4】 本発明の装置における側部堰の他の例を示す
断面図である。
【図5】 本発明の装置における側部堰のさらに他の例
を示す断面図である。
【図6】 本発明の装置における側部堰のさらに別の例
を示す断面図である。
【図7】 本発明の装置における仮止用堰の一例を示す
断面図である。
【図8】 本発明の装置における端部堰の一例を示す断
面図である。
【図9】 本発明の装置の他の実施態様を示す主要部の
斜視図である。
【図10】 本発明による吸水性樹脂の製造装置の他の
実施態様を示す概略図である。
【図11】 本発明による吸水性樹脂の製造装置のさら
に他の実施態様を示す概略図である。
【図12】 本発明による吸水性樹脂の製造装置のさら
に他の実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d,21a,21b…回転体、 2,22…可動性無端回転ベルト、 3,3a,23…側部堰、 7,27…単量体混合物供給装置、 8,28…仮止用堰、 9…仮止用堰の回転軸、 11,31…加熱装置、 12,32…冷却装置、 14…端部堰、 18,38…蓋体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶川 勝弘 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒内 (56)参考文献 特開 昭61−221202(JP,A) 特開 平1−138210(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 B01J 20/26,20/30

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動性無端回転支持ベルトと、単量体混
    合物供給装置と、吸水性樹脂含水ゲル状物排出装置とを
    有する吸水性樹脂製造装置であって、該単量体混合物供
    給装置はアクリル酸塩、架橋剤および重合開始剤を含む
    単量体混合物を供給するものであり、該可動性無端回転
    支持ベルトの両側部付近に該支持ベルトと共に移動する
    側部堰と、該可動性無端回転支持ベルトの裏面側に設け
    られた冷却装置および加熱装置と、を有してなる吸水性
    樹脂の製造装置。
  2. 【請求項2】 該側部堰は、該単量体混合物供給装置よ
    り走行方向上流から、該単量体混合物供給装置から該吸
    水性樹脂含水ゲル状物排出装置までの長さの少なくとも
    1/10に相当する位置までの水平度が5mm以内であ
    る請求項に記載の吸水性樹脂の製造装置。
  3. 【請求項3】 該側部堰は、該可動性無端回転支持ベル
    トの全周に亘って固着されてなる請求項またはに記
    載の吸水性樹脂の製造装置。
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