JP4180134B2 - 含水吸水性架橋重合体の切断方法 - Google Patents

含水吸水性架橋重合体の切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着性および弾力性に富む塊状の含水吸水性架橋重合体の切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水溶性エチレン性不飽和モノマーを、微量の架橋剤の存在下で水溶液重合を行うことにより含水吸水性架橋重合体が得られることはよく知られている。このようにして得られる半固体状の弾性に富む含水ゲル状吸水性架橋重合体は、ほとんどそのまま使用されることはなく、細断後、乾燥・粉砕工程を経て乾燥粉末とした後、吸水剤として使用されることが多い。
【0003】
このような処理において、先ず、塊状の含水吸水性架橋重合体はより小さい大きさに切断されることが必要であるが、これまで知られている方法としては、重合後の含水吸水性架橋重合体をミートチョッパーで解砕する、又は、ニーダー中で重合しながら得られた含水吸水性架橋重合体を解砕する、又は、重合後の含水ゲルを手でハサミにより細断する、環状切断エッジを対向ロールに押し付けながら切断する等の方法により粗砕されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の方法では、水溶液重合により得られた、含水吸水性架橋重合体をミートチョッパーやニーダーで解砕した場合、含水吸水性架橋重合体は練り込まれ、つまり圧縮されながら解砕されるため、含水吸水性架橋重合体に強大な機械的外力が作用し、その架橋重合鎖が切断され、水可溶性成分量が増加することがあった。特に、含水吸水性架橋重合体が水溶性エチレン性不飽和モノマーを、気泡を含有するように架橋剤の存在下水溶液重合したものである場合には、上記含水吸水性架橋重合体内部に含有される気泡が押しつぶされ、粗砕後の含水吸水性架橋重合体内部に存在していた気泡が減少し、乾燥・粉砕工程を経た後に乾燥粉末として得られる吸水剤としての特性に注目した場合、気泡の減少が比表面積の低下を招くため、水性液体が移行するのに必要な導液空間が十分に確保されず、水性液体の通液性や拡散性等が低下した吸水剤とならざるをえなかった。
【0005】
したがって、従来の粗砕工程を経る方法で得られる吸水剤は、吸水速度や吸水倍率が低下し、また水可溶性成分量が増加する等の吸水特性にとって好ましくない結果を生じるものであった。
【0006】
一方、含水吸水性架橋重合体を手でハサミにより細断する方法の場合、細断時に含水ゲルが含有する気泡を押しつぶすことは回避されるが、生産性が低く、工業的生産には不適であるという問題を生じている。また、この場合、鋏の切刃に粘着性の比較的大きな含水吸水性架橋重合体が付着するために、経時的に切刃の切れ具合が悪くなるという問題があった。また環状切断エッジを対向ロールに押し付けながら切断する方法では、対向ロールへの含水吸水性架橋重合体の押し付けが、弾力性に富む該含水吸水性架橋重合体を変形せしめ、そのために環状切断エッジに含水吸水性架橋重合体が巻き付いて所望の大きさに切断できないばかりか、連続運転ができないなどの問題を生じていた。
【0007】
本発明者らは、含水吸水性架橋重合体の切断時における機械的外力を減少するべく、また工業的に連続的に生産可能な方法について鋭意検討したところ、含水吸水性架橋重合体を回転刃を備えた切断機により切断する方法において、潤滑剤を用いて切断することで、回転刃への含水吸水性架橋重合体の付着というトラブルなく連続的に含水吸水性架橋重合体を切断可能で、水可溶性成分量の増加なく、また速い吸水速度を有する吸水剤が容易に得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の含水吸水性架橋重合体の切断方法は以上の課題を解決するために、含水吸水性架橋重合体を回転刃を備えた切断機により切断する方法において、潤滑剤を用いて切断することを特徴としている。
【0009】
上記の含水吸水性架橋重合体は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下水溶液重合して得られるものである
【0010】
上記の方法によれば、潤滑剤を用いて切断することで、回転刃への上記含水吸水性架橋重合体の付着が著しく低減されるため、切断面がよりシャープとなる。その結果、切断後の含水吸水性架橋重合体の立体構造がより維持されるため、例えば、気泡を含有する上記含水吸水性架橋重合体を切断する際に、上記含水吸水性架橋重合体に含有される気泡が押しつぶされることなく所望の大きさに切断することができる。さらに、乾燥後に得られる吸水剤は、そのままミートチョッパーやニーダーにより解砕する従来の方法と比較して、含水吸水性架橋重合体の立体構造がより維持されるため、解砕に起因する吸水倍率の低下、及び水可溶性成分量の増加の双方を抑制できるものとなっている。
【0011】
上記の含水吸水性架橋重合体は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを架橋剤の存在下、気泡を含有するように水溶液重合したものである
【0012】
上記の方法によれば、得られた含水吸水性架橋重合体はより多くの気泡を含有しており、これを本発明の方法で切断することでより多くの気泡を含水ゲルの内部に残しながら、上記含水吸水性架橋重合体を切断することができる。したがって、本発明の方法では、気泡の含有率が大きいことにより、乾燥後に得られる吸水剤がより大きな表面積を確保できるため、該吸水剤はより高い吸水倍率やより速い吸水速度を得ることができる。
【0013】
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、吸水速度や吸水倍率等の諸物性が良好な吸水剤が得られること、さらには、安全性の観点から、アクリル酸および/またはアクリル酸アルカリ金属塩を用いる
【0014】
上記の方法では、さらに、切断後乾燥され、必要により粉砕された粒子状の吸水剤の表面近傍に対して二次架橋してもよい。これにより、得られる粒子状吸水剤は速い吸水速度、高い吸水倍率、及びより少ない可溶成分量を維持しつつ、加圧下での吸水倍率を増加させたものにできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
【0016】
本発明の含水吸水性架橋重合体の切断方法は、回転刃を備えた切断機により切断する方法において、潤滑剤を用いて切断することを特徴とする。上記含水吸水性架橋重合体は、重合によって含水吸水性架橋重合体を形成し得る水溶性不飽和モノマーを、架橋剤の存在下気泡を含有するように水溶液重合することにより得られる。得られた含水吸水性架橋重合体は本発明の切断方法を経た後、乾燥・粉砕工程を経て、高い吸水倍率を有し、可溶成分量が少なく吸水速度の速い吸水剤とすることができる。
【0017】
本発明の含水吸水性架橋重合体の切断方法は、本発明の回転刃に潤滑剤が付着した状態で切断することにより、含水吸水性架橋重合体が回転刃に付着することなく、その変形を押さえて切断可能で、そのため、含水吸水性架橋重合体の3次元網目構造を破壊することなく切断できるという長所を有する。
【0018】
本発明の含水吸水性架橋重合体の製造に用いる水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、アクリル酸および/またはアクリル酸アルカリ金属塩を挙げることができる。これらモノマーは、一種類のみを用いてもよく、又、二種類以上を適宜混合してもよい
【0019】
上記エチレン性不飽和モノマーを重合する方法としては水溶液重合が挙げられる。
【0020】
上記架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、トリアリルシアヌレート等、ビニル基を分子内に2個以上有する化合物、又は、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル等、分子内にカルボキシル基やスルホン酸基と反応することのできる官能基を2個以上有する化合物等を用いることが好ましい。上記架橋剤の使用量は、反応系における上記モノマーの全量に対して0.0001〜10モル%、好ましくは0.001〜1モル%の範囲内に入ればよい。
【0021】
上記の気泡を含有する含水吸水性架橋重合体の重合方法としては、アゾ系開始剤の存在下での重合法や、発泡剤として炭酸塩(特開平5−237378号公報、特開平7−185331号公報)を用いての重合法、ペンタンやトリフルオロエタン等の水に不溶な発泡剤をモノマー中に分散させての重合法(米国特許第5328935号公報、米国特許第5338766号公報)、固体微粒子状発泡剤を用いての重合法(国際公開WO96/17884号公報)、界面活性剤存在下に不活性気体を分散させながら重合する方法等を用いることができる。必要により重合前はモノマー水溶液を混合するために攪拌するが、重合中はモノマー水溶液を攪拌することなく静置しておくことが好ましい。
【0022】
上記のようにして得られた含水吸水性架橋重合体の含水ゲルの含水率は20〜80重量%の範囲である。含水率が20重量%未満では、切断が困難となったり、気泡を含有する含水吸水性架橋重合体の場合、気泡がつぶれてしまうことがある。又、含水率が80重量%よりも高くなると、切断後の乾燥に時間を要しすぎることになる。
【0023】
本発明において使用される、回転刃としては、円盤状、勾玉状、太刀状など、回転するための軸を備え、切断刃面が曲線を有するものが使用可能である。この様な回転刃を有する切断機としては、例えば図1に示されるようなギロチン型カッターを備えた切断機;図2に示されるような自転しつつ公転する回転刃を有する切断機;図3に示すように刃の少なくとも一部が重なり合いながら回転する軸を異にする対の回転刃を備えた切断機;などのスライサーを挙げることができる。
【0024】
図1の切断機は、機台(11)上に円形ボックス(12)を設け、該ボックス(12)内部に回転刃(13)を配備している。また、円形ボックス(12)の対となる蓋(14)には、潤滑剤が投入できる投入口(15)を備えた潤滑剤の展開溝(16)が設けられている。含水吸水性架橋重合体は、投入口(17)より投入され、潤滑剤と接触しながら回転刃(13)により切断され、搬送ベルト(18)により排出される。
【0025】
同様に図2は本願発明において好適に使用される自転しつつ公転する回転刃を有する切断機の一例を示す。切断機は機台(21)上にボックス(22)を設け、該ボックス(22)内に回転刃(24)を自転(24a)および公転(24b)可能に配備している。ボックス(22)の前面開口に枢着した蓋板(26)に切断すべき含水吸水性架橋重合体を載せるシュート(23)を突設している。排出コンベア(25)がその一端をボックス(22)内に侵入させて後方に向けて配備されている。蓋板(26)の内側には薄い溝(28)が設けられており、投入口(27)より潤滑剤が添加され、回転刃(24)の表面に潤滑剤を付着させることができるようになっている。
【0026】
図3には本願発明において好適に使用される、刃の少なくとも一部が重なり合いながら回転する軸を異にする対の回転刃を備えた切断機の例を示す。軸(32a)はもう一つの軸(32b)と対向しており、軸(32)はそれぞれ複数枚の回転刃(31)を備えている。回転刃(31a)は対向する対の回転刃(31b)と重なり合いながら回転するようになっており、軸(32b)は回転刃(31a)の先端部が侵入できる溝(33)が設けられている。含水吸水性架橋重合体は送りコンベヤ(34)に載せられ、対向する回転刃(31)の間を潤滑剤の噴霧下に通過しながら切断され、排出コンベヤ(35)へと移送される。
【0027】
本発明において回転刃の回転速度および含水吸水性架橋重合体の送り出し速度は、所望する切断後の含水吸水性架橋重合体の大きさに応じてコントロールすれば良い。切断後の含水吸水性架橋重合体の大きさは、例えば、その後の乾燥負荷を考慮するならば通常1mm〜50mm、好ましくは2mm〜30mm程度の大きさである。
【0028】
本発明において使用される回転刃の使用素材としては、炭素鋼、スウェーデン鋼、軸受鋼、セラミックス、バネ鋼、粉末ハイス、合金工具鋼、超硬合金、高速度鋼、ステンライト、ステンレス鋼、フェロチック等の素材を挙げることができる。また、これらの素材は使用にあたり、表面処理をしておいてもよい。回転刃の表面処理方法としては、例えば、浸炭、窒化、ダイクロン処理、アトムロイ処理、ニダックス処理、テフロンコーティング、テフロック、タングステン溶射、硬質クロームメッキ、セラミック溶射などの方法を挙げることができる。
【0029】
本発明において、使用される潤滑剤は、水を含む潤滑剤である。これら潤滑剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0030】
得られる吸水剤の吸水特性を考慮するなら、水、または、水および親水性有機溶媒がより好ましい。このようにすることで、含水吸水性架橋重合体を所望のサイズに成形することが可能となり、含水吸水性架橋重合体の乾燥を容易化、迅速化することができる。
【0031】
本発明において使用される上記潤滑剤の量は、含水吸水性架橋重合体100重量部当たり0.01重量部〜100重量部の範囲内であることが好ましく、0.03重量部〜20重量部の範囲内であることがより好ましい。潤滑剤の使用量が0.01重量部よりも小さい場合、切断時に練られることがあるので好ましくない。一方、100重量部を超えると、その添加量に見合っただけの効果がでなくなることがあり、非経済的であるので好ましくない。
【0032】
本発明において、切断された含水吸水性架橋重合体は、必要により乾燥・粉砕工程を経て、粒子状の吸水剤とすることができるが、さらにその吸水剤粒子の表面近傍を表面架橋剤によって表面を二次架橋することで、表面近傍の架橋密度を高めることが好ましい。本発明の方法で得られた吸水剤は、表面架橋剤を用いて処理されることにより、該吸水剤の通液性、吸水速度、加圧下の吸水倍率、及び通液性が一層向上する。
【0033】
本発明で好適に使用される表面架橋剤としては、具体的には、例えば、(ポリ)エチレングリコール、ジエチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、(ポリ)グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレン・ブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、グルコース、マンニット、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価エポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の多価金属の水酸化物や塩化物等の多価金属化合物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら表面架橋剤は、単独で用いてもよく、又、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0034】
本発明の一実施態様により切断された含水吸水性架橋重合体は、内部全体にわたって気泡(孔)が多数形成され、その気泡が破壊されることなく粗砕された含水吸水性架橋重合体として得ることができる。
【0035】
上記の切断後の含水吸水性架橋重合体は、内部に気泡を多数含有する多孔質となっているため、乾燥工程、必要により粉砕工程を経て、水性液体の通液性や拡散性に優れた、かつ毛細管現象により吸水速度や保水能等が向上した吸水剤とすることができる。
【0036】
このように、本発明の切断方法により、含水吸水性架橋重合体を、潤滑剤を用いて回転刃を備えた切断機により切断することで、含水吸水性架橋重合体の構造がより維持され、含水吸水性架橋重合体の切断時に内部の気泡が押しつぶされることを低減して、含水吸水性架橋重合体の気泡含有率の低下を抑制しながら所望の大きさに切断することができ、結果として、吸水性能に優れる吸水剤を安定に、かつ簡便に得ることができる。
【0037】
本発明の切断方法を経て得られた吸水剤は、優れた吸水性能によって、例えば、紙オムツや生理用ナプキン、失禁パッド、創傷保護材、創傷治癒材等の衛生材料(体液吸収物品);ペット用の尿等の吸収物品;建材や土壌用保水材、止水材、パッキング材、ゲル水嚢等の土木建築用資材;ドリップ吸収材や鮮度保持材、保冷材等の食品用物品;油水分離材、結露防止材、凝固材等の各種産業用物品;植物や土壌等の保水材等の農園芸用物品等、種々の用途に好適に用いられるものとなっている。
【0038】
【実施例】
本発明の含水吸水性架橋重合体の切断方法について以下の実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、以下の説明における部は重量部、%は重量%を表すものとする。
【0039】
まず、得られる吸水剤の各物性の各測定方法について以下に説明する。
【0040】
(a)吸水倍率
吸水剤約0.2gを正確に秤量し、5cm四方の不織布のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封入した。このティーバッグを、人工尿中に室温で浸漬した。1時間後にティーバッグを引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間液切りを行った後、上記ティーバッグの重量W1 (g)を測定した。別途、同様の操作をティーバッグに吸水剤を封入しないで行い、そのときのティーバッグの重量W0 (g)をブランクとして求めた。吸水倍率は次式に基づいて算出した。
【0041】
吸水倍率(g/g)=(W1(g)−W0(g)−吸水性樹脂の重量(g))/吸水性樹脂の重量(g)
上記の人工尿の組成及びそれらの配合量は、以下の通りである。
【0042】
人工尿の組成 各組成の配合量
硫酸ナトリウム 0.200%
塩化カリウム 0.200%
塩化マグネシウム6水和物 0.050%
塩化カルシウム2水和物 0.025%
リン酸2水素アンモニウム 0.035%
リン酸水素2アンモニウム 0.015%
脱イオン水 99.475%
(b)水可溶性成分量
吸水剤0.5gを1000mlの脱イオン水に分散させ、16時間攪拌した後、濾紙で濾過した。そして、得られた濾液を陽イオンコロイド試薬を用いてコロイド滴定し、濾液中に分散している吸水剤のコロイド量を測定することによって、吸水剤の水可溶性成分量(%)を求めた。
【0043】
(c)吸水速度の測定
内径50mm、高さ70mmの有底円筒型のポリプロピレン製カップに、吸水剤1.0gを入れた。次に、該カップに人工尿20gを注いで、該吸水性剤に上記人工尿を均一に吸収させた。そして、人工尿を注いだ時点から、人工尿が全てゲル化し、該人工尿が吸水剤に全て吸収されて見えなくなる状態になるまでの時間を測定した。該測定を3回繰り返し、これらの平均値を吸水速度(秒)とした。
【0044】
実施例1
アクリル酸306部、37%アクリル酸ナトリウム3230部、ポリエチレグリコール(n=8)ジアクリレート12部、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリレート(商品名:レオドールTW−S120、花王株式会社製)0.3部、純水1330部および10%過硫酸ナトリウム水溶液20部を含む単量体水溶液を調整した。この単量体水溶液と窒素とを株式会社愛工舎製ホイップオートZを用いて流体混合し、単量体水溶液中に窒素ガスの気泡を分散せしめ、気泡が分散した単量体水溶液を調整した。この気泡含有単量体水溶液に2重量%亜硫酸水溶液100部を加え、直ちに重合を開始せしめた。引き続き、気泡が分散した状態で温度25〜95℃で1時間静置重合を行った。
【0045】
この様にして得られた内部に多量の気泡を含むスポンジ状含水状吸水性架橋重合体を、図1の切り身スライサーを用いて、潤滑剤として50%エタノール水溶液を該含水吸水性架橋重合体に対して1%の割合となるように添加しながら20mm角に切断し、その後160℃の熱風乾燥機中で90分間乾燥を行った。乾燥物を卓上粉砕機で粉砕し、開口が850μmの篩通過物を分取して平均粒径280μmの吸水剤(1)を得た。得られた吸水剤(1)の吸水倍率、吸水速度および水可溶性成分量はそれぞれ50.7g/g、15秒および9.5%であった。
【0046】
実施例2
吸水剤(1)100部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03部、プロピレングリコール1部、純水3部、イソプロパノール2部よりなるカルボキシル基と反応しうる官能基を複数有する化合物を含む水性液を添加し、185℃で60分間加熱して、その表面近傍が2次架橋処理された吸水剤(2)を得た。得られた吸水剤(2)の吸水速度、吸水倍率、水可溶性成分量、はそれぞれ8秒、37.7g/g、8.5%であった。
【0047】
比較例1
実施例1で得られたスポンジ状の含水吸水性架橋重合体(1)を、潤滑剤である50%エタノール水溶液を添加することなく実施例1と同様の切断処理を行ったが、含水吸水性架橋重合体(1)は切断されず、該吸水性架橋重合体が回転刃に付着し、切断機が停止してしまった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の含水吸水性架橋重合体の切断方法は、以上のようにアクリル酸および/またはアクリル酸アルカリ金属塩を架橋剤の存在下で気泡を含有するように水溶液重合して得られる含水吸水性架橋重合体を、潤滑剤を用いて、回転刃を備えた切断機により切断する方法である。
【0049】
それゆえ、上記方法は、含水吸水性架橋重合体を切断する場合にゲルの構造がより維持され、含水吸水性架橋重合体が含有する気泡が、含水吸水性架橋重合体切断時に押しつぶされることを抑制できる。
【0050】
このため、上記方法では得られる吸水剤において、より優れた吸水倍率と、より少ない可溶成分量とを維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示すスライサーの斜視図である。
【図2】本発明の一実施態様を示すスライサーの斜視図である。
【図3】本発明の一実施態様を示すスライサーの斜視図である。

Claims (4)

  1. 含水吸水性架橋重合体を回転刃を備えた切断機により切断する方法において、
    上記含水吸水性架橋重合体は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを、気泡を含有するように、反応系における該水溶性エチレン性不飽和モノマーの全量に対して0.0001〜10モル%の範囲内である架橋剤の存在下で水溶液重合して得られた、含水率が20〜80重量%の範囲のものであり、
    上記水溶性エチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸および/またはアクリル酸アルカリ金属塩であり、
    上記含水吸水性架橋重合体は気泡を含有し、該含水吸水性架橋重合体を、回転刃を備えたスライサーを使用して、水を含む潤滑剤を用いて、該回転刃に該潤滑剤が付着した状態で切断することを特徴とする含水吸水性架橋重合体の切断方法。
  2. 上記水溶性エチレン性不飽和モノマーに、窒素ガスの気泡を分散させることを特徴とする請求項1記載の含水吸水性架橋重合体の切断方法。
  3. 上記潤滑剤は、水、または、水および親水性有機溶媒であることを特徴とする請求項1又は2記載の含水吸水性架橋重合体の切断方法。
  4. 切断後に乾燥・粉砕を経て粒子状の吸水剤とした後、さらにその吸水剤粒子の表面近傍を表面架橋剤によって二次架橋することを特徴とする請求項1,2又は3記載の含水吸水性架橋重合体の切断方法。
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