JP4261853B2 - 吸水性樹脂、吸水性樹脂粒子、およびその製造方法 - Google Patents

吸水性樹脂、吸水性樹脂粒子、およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙おむつや生理ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料、結露吸水シート、農園芸保水材、土木用止水材、メディカルシーツ等の医療材料、食品用鮮度保持材、食品用ドリップ吸収材等の用途に好適に用いられる吸水性樹脂、吸水性樹脂粒子、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料には、体液を吸収させることを目的としてパルプ等の親水性繊維およびアクリル酸(塩)等を主原料とする水膨潤性架橋重合体である吸水性樹脂がその構成材料として幅広く利用されている。近年、これら紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料は、高機能かつ薄型化が進み、衛生材料1枚あたりの吸水性樹脂の使用量や、吸水性樹脂と親水性繊維等からなる吸収体全体に対する吸水性樹脂の重量割合が増加する傾向にある。つまり、かさ比重の小さい親水性繊維を少なくし、吸水性に優れ、かつ、かさ比重の大きい吸水性樹脂を多く使用することにより、吸収体における吸水性樹脂の比率を高め、これにより吸水量を低下させることなく衛生材料の薄型化を図っている。
【0003】
しかしながらこのように親水性繊維の比率を低め、吸水性樹脂を増加させた衛生材料は単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましい方向であるが、実際のおむつの使用状況における液体の分配・拡散を考えた場合には、むしろ問題が生じてくる。多量の吸水性樹脂は吸水により柔らかいゲル状となり、いわゆるゲルブロッキングという液の拡散を大きく妨げる現象をひき起こす。このような問題を避け、吸収体の吸収特性を維持するためには親水性繊維と吸水性樹脂の比率はおのずと制限され、衛生材料の薄型化にも限界が生じてくる。
従来吸収体中の液の拡散を高め、吸収材料をより効率的に使用するために液の分配・拡散方法や液拡散部材が種々検討されており、これらの部材を用いた吸収性物品も種々知られている。これらの例としては、吸収体の親水性繊維の特定領域が高密度に圧縮された吸収パッド(米国特許4,781,710号)、強度、比表面積の異なる2種以上の繊維を湿式で成形、結合させた、特定の吸い上げ特性を有する流体分配材料(国際特許97/45087号)、高内部相エマルションを用いて製造された連続気泡を有するフォーム状吸収材料(米国特許5,387,207号、米国特許5,134,007号、米国特許6,107,538号)、好ましくは連続気泡を有するフォーム状吸収材料を用いた狭いクロッチ幅を有し、クロッチ領域の吸収能力が吸収性コアの全吸収能力の40%以下である吸収性コア(国際特許98/43573号、特表2000−510365号)等が挙げられる。
【0004】
また紙おむつのような吸収性物品の液の吸収効率を高め、保持するために液獲得のための部材が提案されている。このような液獲得部材としては架橋されたセルロース(特開昭63−264971号)、特定の液浸透率指数を有する排出処理層(特開平5−261126号)等が知られている。
しかしながら、上記液拡散部材により分配・拡散された液を貯蔵させるための貯蔵材料として吸水性樹脂を用いた場合、用いる液拡散部材によってはその中の液がほとんど吸水性樹脂に移行して吸収されず吸水性樹脂が液貯蔵部材として効率よく作用しないことが判明した。特に液拡散部材として垂直方向の吸い上げ能力が非常に高い材料、たとえば先述したような高内部相エマルションを用いて製造された内部に微細な連続気泡を有する多孔質重合体等を用いた場合には、驚くべきことにその性状によっては吸水性樹脂が該多孔質重合体からほとんど液を吸収できず、吸水性樹脂本来の貯蔵機能を全く発揮できない場合があることが判明した。そのため液が吸収体中で十分に拡散できたとしても、それを貯蔵する機能が良好に働かないため、期待された吸収量よりはるかに少ない容量で吸収性物品から液漏れが生じる等の現象が認められた。
【0005】
この問題を解決すべき技術として、上記吸水性樹脂のような浸透圧による吸収材と表面積の大きい材料(たとえば上記高内部相エマルションを用いて製造された連続気泡を有する粒子状の多孔質フォーム状吸収材料や、ガラスマイクロ繊維等)とを組み合わせた、毛管吸収能力の高い液貯蔵部材が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照。)。
しかしこの手法によれば液貯蔵部材として上記のような複数の材料を組み合わせ用いるため、これらの材料を組み合わせて液貯蔵材料を製造するための新たな装置が必要で工程が煩雑になるのみならず、吸水性樹脂の吸収能力はその周辺に表面積の大きい材料が存在しても、まだまだ低いレベルにあるという問題がある。さらに用いる表面積の大きい材料が吸水性樹脂よりも吸収能力が低い場合には、全体の液貯蔵部材としての液吸収貯蔵能力が低下するという問題もある。
【0006】
また、前述のように液獲得部材を存在させることにより、たしかに初期の状態において液は迅速に吸収体中に取り込まれるが、吸収量が増大するにつれ、ある時期以降においては吸水性樹脂と親水性繊維等からなる吸収体が液獲得部材中に存在する液を吸収しきれなくなり、吸収速度が逆に遅くなったり、戻り量が増大したりする場合が認められた。
また現状の薄型といわれる吸収性物品においても、まだまだその重量は重く、厚みも厚いものであり、商品の流通、陳列スペース、購入、外出時の使用等においてはまだまだ満足のいくものではなく、さらなる薄型化の要求がある。このために吸収体中の吸水性樹脂濃度をさらに増加させた場合、たとえば嵩高い親水性繊維の使用量を低減し、吸水性樹脂を主体とする吸水性樹脂層を液貯蔵部材として用いようとした場合には、先述したような吸水性樹脂のゲルブロッキングという問題が一段とクローズアップされ、目的とする吸収容量が実現できなくなる場合があった。
【0007】
吸水性樹脂を主体とする吸水性樹脂層を液貯蔵部材として用いる技術としては、第1の繊維材料と第1の超吸収材料からなる第1の構造体と、第2の繊維材料と第1の超吸収材料より吸収速度の速い第2の超吸収材料からなる第2の構造体を備えた吸収コア(例えば、特許文献3参照。)、液捕捉層とゲル層透過値が特定量以上の超吸収材料からなる超吸収材層とからなる上部組立体および、液体の貯蔵のための空隙空間をもった上層と加圧下吸収倍率が特定範囲の超吸収材層とを収容する下層を有する特定構造の下部組立体を有する吸収体(例えば、特許文献4参照。)、吸水性ポリマーが不織布の繊維間に保持された第1吸収層と、親水性繊維の集合体からなる第2吸収層を有しており、第1吸収層が液透過性表面シート側に位置している吸収性物品(例えば、特許文献5参照)、湿潤可能な繊維と表面架橋された吸水性樹脂からなるゲルブロッキングのない吸収体で、繊維と該表面架橋された吸水性樹脂中の吸水性樹脂の重量割合が75〜95重量%であり、荷重下での体積増加率が600秒後15%以上である吸収体(例えば、特許文献6参照。)等が知られている。
【0008】
これらの上記特許文献3や特許文献4には吸収体中の液貯蔵位置を下部から上部に移していく吸収体の構成に関する技術、特許文献5にはおむつの裏面シートのざらつきをなくする技術、特許文献6には吸収体の膨潤状態の空隙率を規定した技術が開示されているが、液を受け止めた液獲得部材と吸水性樹脂層との液の分配関係は述べられていない。
またパルプと吸水性樹脂の合計量に対して吸水性樹脂の比率が10〜90重量%の体液吸収物品で、パルプ繊維空間に保持された液をポリマーに移行させるために体液吸引吸収性能が特定の吸水性ポリマーを用いる技術も出願されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0009】
しかしこの場合に用いられているポリマーは嵩比重の比較的小さい、不定形度の高いポリマーであり、ポリマーの周囲にあるパルプの隙間に保持した液を素早く吸収させるという、いわゆる吸水速度が重要視されており、同様に液獲得部材と吸水性樹脂層との液の分配関係については記載されていない。
なお、従来、吸水性樹脂の吸収能力を測定した例として、負の圧力の無い状態での吸収能力の測定についての開示がある(例えば、特許文献8参照。)。
【0010】
【特許文献1】
国際公開第99/47184号パンフレット
【0011】
【特許文献2】
米国特許第6107538号明細書
【0012】
【特許文献3】
特表平8−511973号公報
【0013】
【特許文献4】
特表平8−511974号公報
【0014】
【特許文献5】
特開2000−286505号公報
【0015】
【特許文献6】
国際公開第01/30290号パンフレット
【0016】
【特許文献7】
特開2001−276124号公報
【0017】
【特許文献8】
国際公開第88/01282号パンフレット
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述した問題点を解決するため、液拡散部材および吸水性樹脂を用いる吸収体や吸収性物品において、表面積の大きい材料等の補助材料を用いずとも液拡散部材から吸水性樹脂に液が十分に受け渡され吸収される、すなわち液の拡散能力および貯蔵能力の両者に優れた吸収体、おび吸収性物品に好適に使用できる吸水性樹脂および吸水性樹脂粒子を提供すること、および、液獲得部材および吸水性樹脂を用いる吸収体や吸収性物品において、吸水性樹脂濃度をより高めた場合であっても、液獲得部材から吸水性樹脂に液が良好に移行し、繰り返し液を吸収してもその液獲得機能が大きく低下せず、ドライ感、液の戻り量に優れ、かつより薄型、軽量化を実現する吸収体、おび吸収性物品に好適に使用できる吸水性樹脂および吸水性樹脂粒子を提供することにある。以下、本発明の吸水性樹脂粒子を使用して得られる吸収体、および吸収性物品を、本発明にかかる吸収体、および本発明にかかる吸収性物品と言うことがある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、これまでに吸水性樹脂の能力としては知られていない吸水性樹脂単体の毛管吸収能力という性能に着目し、液拡散部材や液獲得部材の毛管吸収能力と吸水性樹脂の毛管吸収能力との間に以下に述べる特定の関係を成立させることで、上記特許文献1(国際公開第99/47184号パンフレット)に記載されているような表面積の大きい材料等の他の補助的な吸い上げ材料を用いなくても吸水性樹脂が液拡散部材から液を良好に吸収しうること、および、吸水性樹脂が液獲得部材から液を良好に吸収しうることを見いだした。前記毛管吸収能力とは、後に詳しく説明するが、図1に略図を示した装置を用いて測定するものであり、測定試料(吸水性樹脂)を液溜容器の生理食塩水の水面より数十cm高い位置に置いて、その高さでの水柱による負の圧力に抗して液を吸い上げる毛管吸収能力を測定するものである。従来、負の圧力の無い状態、つまり、液溜容器の液面と試料位置が同じ高さでの吸収能力を測定した例は見られるが(特許文献8:国際公開第88/01282号パンフレット)、吸水性樹脂単体について、このような負の圧力下における毛管吸収能力が測定された例はなく、本発明の方法で測定した吸水性樹脂の毛管吸収能力と吸収体の性能との相関関係も知られていなかった。すなわち液拡散部材や液獲得部材の特性に応じて上記関係を維持するような性能を有する吸水性樹脂を用いて吸収体および吸収性物品を作成すれば、吸収体中で液の拡散から貯蔵、獲得から貯蔵、または獲得から貯蔵・拡散というシステムが良好に作用し、非常に簡単な製造プロセスで非常に優れた液吸収能力を示す吸収体および吸収性物品が提供できる事を見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0020】
さらに、重量平均粒子径(本発明の吸水性樹脂の重量平均粒子径測定法は、後に説明する通り、篩い分けによって求められるもので、篩目径の重量平均である)が特定範囲にあり、粒子に吸液させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率と無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が特定範囲にある吸水性樹脂を原料粉末として使用すること、及び、水分散性微粒子の分散液をバインダーとして使用すると、極めて効率よく、吸水性樹脂微粉末を造粒することができ、かつ強固な接着性、かつ再分散性を有する、本発明の吸収体、吸収性物品に好適に使用できる吸水性樹脂粒子を容易に得られ、優れた吸収特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂は、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を主成分とする吸水性樹脂であって、重量平均粒子径が50〜300μmであり、0cmの高さにおける毛管吸収倍率が20(g/g)以上であり、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上である。
ただし、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは、吸液位置の高さH1が液貯蔵容器の液面の高さH2よりも高い位置(高度差が40cm)にある状態で吸水性樹脂0.44gが加圧下(0.06psi)のもと30分間で吸収する液の量から計算される吸収倍率である。
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法は、重量平均粒子径が50〜300μm、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmのポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を主成分とする吸水性樹脂に、水分散性微粒子の分散液を添加することにより重量平均粒子径を50%以上上昇させることを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
[1]毛管吸収能力
本発明で用いる毛管吸収能力は、一般的に、紙、パルプ等のような毛細管現象によって液を吸い上げ、吸収する材料の吸収力を評価するために従来から用いられている評価項目であり、後述する装置を用いて吸液位置を種々の高さに変化させた状態で試料の単位重量あたりに吸収する液量を測定することにより、試料の有する毛管吸収力、液の吸上げ能力を評価する。本発明における毛管吸収能力である毛管吸収倍率の具体的な測定方法については後述する実施例において詳細に記載するが、同一原理の下での測定法がたとえば Textile Research Journal Vol.57, 356(1967)、“Absorbency”(Chatterjee, Textile Science and Technology, Vol.7, 1985)、特開平8−52349号公報、国際特許99/47184号等にも記載されている。
【0029】
本発明における、吸液位置の高さH1が液貯蔵容器の液面の高さH2よりも高い位置にある状態で吸水性樹脂が所定時間内に吸収する液の吸収倍率を測定する吸水性樹脂の評価方法は上述した手法を吸水性樹脂ではじめて行うことにより、その値により、吸水性樹脂の、液拡散部材や液獲得部材等の他の基材からの液吸収能力を正しく判断しうることを見いだしたものである。その測定精度を高め、吸収体の性能との相関性を高くするためには吸液位置の高さH1と液貯蔵容器の液面の高さH2の高度差が20〜60cmの状態で評価することが好ましく、30〜50cmの高度差を付けることがより好ましい。
【0030】
本発明における毛管吸収能力には毛管吸収倍率および毛管吸収指数の2種類がある。本発明における毛管吸収倍率は、その吸液位置と液貯蔵容器の液面とに高低差をつけた状態で30分間に試料が吸収する液の量(倍率)を測定する。吸液位置と液貯蔵容器の液面との高低差が40cmの場合が「40cmの高さにおける毛管吸収倍率」、吸液位置と液貯蔵容器の液面との高低差が0cmの場合が「0cmの高さにおける毛管吸収倍率」と定義される。
また本発明における毛管吸収指数は、その吸液位置と液貯蔵容器の液面とに高低差をつけた状態で30分間に試料が吸収する毛管吸収倍率の値を、液貯蔵容器の液面との高さの差を0cmとして30分間に試料が吸収する0cmの高さにおける毛管吸収倍率の値で除することにより求められる。「40cmの高さにおける毛管吸収指数」とは吸液位置と液貯蔵容器の液面との高低差が40cmの場合の「40cmの高さにおける毛管吸収倍率」の値を、液貯蔵容器の液面との高低差が0cmの場合の「0cmの高さにおける毛管吸収倍率」の値で除することにより求められる。
【0031】
現在市販されて多量に衛生材料に用いられている吸水性樹脂はアクリル酸(塩)を主原料とするポリアクリル酸(塩)架橋重合体であり、液体を吸収するメカニズムは、パルプのような毛管吸収ではなく、基本的には被吸収液と高分子電解質であるポリマー自身の浸透圧差に由来する。しかし液の垂直方向の吸上げ能力に優れた液拡散部材や液獲得部材から該部材が保持している液を吸水する吸水性樹脂の能力はこれまでに吸水性樹脂の能力として一般的に知られている吸収倍率、吸水速度、加圧下の吸収倍率、ゲル層の液通液性等の吸収特性からだけでは全く予測できないものであった。
【0032】
本発明者らは液拡散部材や液獲得部材と同様に吸水性樹脂においても毛管吸収能力という能力に着目し検討したところ、吸水性樹脂の種類により毛管吸収能力が大きく異なること、さらに液拡散部材や液獲得部材の毛管吸収能力と特定の関係を有する毛管吸収能力の吸水性樹脂を該液拡散部材や液獲得部材と組み合わせて用いることによって、液拡散部材や液獲得部材から吸水性樹脂が液を良好に吸収、貯蔵できることを見いだした。さらにこの関係を維持するように設計した吸収体は非常に優れた液吸収効率をしめすこと、またこのような吸収体を用いた紙おむつ等の吸収性物品は吸水性樹脂がおむつ全体にわたって非常に有効に使われるため、おむつ全体の吸収能力も非常に大きくできること、またこの高い吸収能力を所望の実使用レベルの吸収能力に調整することで、より部材の少ない、薄型の、動きやすいおむつが製造できることを見いだした。
【0033】
本発明において吸水性樹脂の毛管吸収能力を発現させるためには、吸水性樹脂の物理的形状に由来する毛管吸引力と、表面架橋処理することで発現する種々のポリマー自身の浸透圧に由来する吸水特性とのバランスが非常に重要であると考えられる。
[2]液拡散部材と吸水性樹脂を含む吸収体
(2−1)液拡散部材と吸水性樹脂の毛管吸収能力の関係
本発明における、液拡散部材と吸水性樹脂の毛管吸収能力の関係について説明する。
【0034】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂としては、液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をA(ただしA≧0.10)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが以下の式を満足するものである。
B/A≧0.7 …(式1)
本発明に必要な吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの値は用いる液拡散部材の特性、すなわち用いる液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aによって異なり、上記B/A≧0.7の関係を満足しておれば液拡散部材から吸水性樹脂へ液が良好に分配され、吸水性樹脂が良好に液を吸収貯蔵することができる。B/Aが0.7に満たない場合は吸水性樹脂が液拡散部材から液を吸収することが困難で、液拡散部材からの液分配率が低くなり、おむつにこれらの吸収体を組み込んでも吸水性樹脂の吸収量が向上しない場合があり、液貯蔵部材として吸水性樹脂が良好に作用しない。好ましくは吸水性樹脂としてB/A≧1.3を満たすもの、より好ましくは吸水性樹脂としてB/A≧1.5を満たすものである。またB/Aの値が2.0を越える場合には、液拡散部材の液拡散率が低下する場合があり、注意を有する。なお、以降、B/Aの値のことを液拡散貯蔵係数1と称する場合がある。
【0035】
また本発明に用いることのできる別の吸水性樹脂としては、該液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率をC(ただしC≧2.0(g/g))としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが以下の式を満足するものである。
D/C≧0.7 …(式2)
本発明に必要な吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの値は用いる液拡散部材の特性、すなわち用いる液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cによって異なり、上記D/C≧0.7の関係さえ満足しておれば液拡散部材から吸水性樹脂へ液が良好に分配され、吸水性樹脂が良好に液を吸収貯蔵することができる。D/Cが0.7に満たない場合は吸水性樹脂が液拡散部材から液を吸収することが困難で、液貯蔵部材として良好に作用しない。好ましくは吸水性樹脂としてD/C≧1.3を満たすもの、より好ましくは吸水性樹脂としてD/C≧1.5を満たすものである。またD/Cの値が10を越える場合には、液拡散部材の液拡散率が低下する場合があり、注意を有する。なお以降D/Cの値のことを液拡散貯蔵係数2と称する場合がある。
【0036】
本発明では、上記した液拡散貯蔵係数1、液拡散貯蔵係数2いずれもが本発明の範囲を満たしていることがより好ましい。片方のみしか満たしていない場合には、吸水性樹脂の液拡散部材からの液吸収能力が使用条件によっては良好に発揮されないこともあるので注意を有する。
また本発明は、特定の関係を有する液拡散部材と吸収性樹脂からなる吸収体であるが特定の関係を有する液拡散部材と吸収性樹脂からなる液移送・吸収システムとしても作用する。すなわち本発明は、液拡散部材と吸水性樹脂を含む吸収体であって、該液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をA(ただしA≧0.10)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが以下の式を満足するものを用いることを特徴とする液移送・吸収システム、
B/A≧0.7 …(式1)
および、液拡散部材と吸水性樹脂を含む吸収体であって、該液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率をC(ただしC≧2.0(g/g))としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが以下の式を満足するものを用いることを特徴とする液移送・吸収システム、
D/C≧0.7 …(式2)
をも提供することができる。
(2−2)液拡散部材
本発明に使用することのできる液拡散部材とは、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aが0.10以上であり、かつ、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cが2.0(g/g)以上である、本質的にヒドロゲル形成能を持たない材料と定義され、吸収体または吸収体を有する吸収性物品に加えられた液を、その吸収体のより広い面積に拡散させるための材料であり、特に実使用の形態においてもそのような機能を十分に発揮できるために、多孔質構造を有し垂直方向の液吸い上げ能力に優れているものである。また液拡散部材自体が一定レベルの液の保持、吸収、貯蔵能力を有しているものがより好ましい。
【0037】
本発明に用いることのできる液拡散部材は、液の拡散・吸い上げ能力に優れているものであり、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aが0.10以上であることが必要である。従来の紙おむつ用に用いられるフラップパルプ等の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは本発明の測定法によれば0.05以下であり、このような毛管吸収指数Aが0.10未満の材料では液の垂直方向の吸い上げ能力が小さく、拡散部材全面や吸収体全体に液を拡散させることが困難であり、吸収体全体の材料が効率的に使用されない。好ましくは40cmの高さにおける毛管吸収指数Aが0.20以上、より好ましくは0.30以上、もっとも好ましくは0.40以上のものである。
【0038】
また、本発明に用いることのできる液拡散部材は、0cmの高さの毛管吸収倍率が10(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液拡散部材として液の輸送容量が大きく、液の吸収、保持、貯蔵という観点からも機能できるため優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が20(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が30(g/g)以上である。
本発明に用いることのできる別の液拡散部材は、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cが2.0(g/g)以上であることが必要である。従来の紙おむつ用に用いられるフラップパルプ等の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは1.0(g/g)以下であり、このような40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cが2.0(g/g)未満の材料では液の垂直方向の吸い上げ能力が小さく、液拡散部材全面や吸収体全体に液を拡散させることが困難であり、吸収体全体の材料が効率的に使用されない。好ましくは40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cが5.0(g/g)以上、より好ましくは10.0(g/g)以上のものである。
【0039】
また同様に、本発明に用いることのできる別の液拡散部材は0cmの高さの毛管吸収倍率が10(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液拡散部材として液の輸送容量が大きく、液の吸収、保持、貯蔵という観点からも機能できるため優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が20(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が30(g/g)以上である。
本発明に用いることのできる液拡散部材は上記条件を満たしたものであり、かつ吸水性樹脂と併用され吸収体に使用される。
【0040】
両者の関係は先述したように液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をAとしたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数BがB/A≧0.7を満足すること、好ましくはB/A≧1.3を満足すること、または、液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率をC(ただしC≧2.0(g/g))としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率DがD/C≧0.7を満足すること、好ましくはD/C≧1.3を満足することが必要である。また、両者がB/A≧0.7およびD/C≧0.7を同時に満たすことがより好ましい。さらに好ましくは両者がB/A≧1.3およびD/C≧1.3を同時に満たすことである。
【0041】
また、本発明に用いることのできる液拡散部材は、後述する液の垂直方向に液を吸い上げる能力である吸い上げ高さが30cm以上のものが好ましく、より好ましくは40cm以上、さらに好ましくは50cm以上のものである。30cm以下の場合は、吸収体の液拡散率が低く、吸収体全体が有効に利用できない。
液拡散部材の形状としては、シート状、繊維状、粒子状、短冊状等の形状をとり得るが、一般的にはシート状が好ましい。その際、液拡散部材の坪量としては50〜500g/m2程度が好ましく、より好ましくは100〜200g/m2程度である。
【0042】
また、液拡散部材がその部材内で密度差や密度勾配、拡散能力差や拡散能力勾配を有する場合や、本発明の関係を満たさない第2の液拡散部材をさらに用いる場合には、吸水性樹脂により近い部分の液拡散部材の毛管吸収能力が上記関係をみたすようにすることが好ましい。
このような液拡散部材としては高内部相エマルション(HIPE)を重合して得られる多孔質重合体、所定密度を有する繊維材(たとえばセルロースパルプや不織布)、ウレタンスポンジやセルローススポンジ等のフォーム材料等が挙げられる。好ましくは優れた垂直方向の吸い上げ能力、吸い上げ量、吸い上げ速度を有するものであり、中でも以下に説明する高内部相エマルション(HIPE)を重合して得られる多孔質重合体が好ましい。
【0043】
a.高内部相エマルション(HIPE)を重合して得られる多孔質重合体からなる液拡散部材
本発明における液拡散部材として好適に用いることのできる多孔質重合体は、分散相(内相)である水相と外相である油相の比率(W/O比)が約3/1以上の高内部相エマルション(HIPE)を重合させることにより得られる。HIPEから多孔質重合体を製造する方法としては、例えば、米国特許5,189,070号、米国特許5,250,576号、米国特許5,252,619号、米国特許5,290,820号、米国特許5,358,974号、米国特許5,252,619号、米国特許5,670,101号、米国特許6,204,298号等に記載されているが、このようにして得られた多孔質重合体は、孔径の微細な連続気泡の低密度のフォーム状態のものであり、条件を選ぶことで所望の吸収特性、たとえば非常に優れた液の拡散・吸い上げ特性等を有する重合体フォームを製造することができる。
【0044】
HIPEの使用原料は、重合性単量体成分、および界面活性剤を含有する油相と水を含有する水相であり、重合性単量体成分としては重合により架橋構造を形成しうる分子内に1個の重合性不飽和基を有する重合性単量体および/または分子内に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体等が挙げられる。さらに、必要に応じて、重合開始剤、塩類、その他の添加剤を油相および/または水相を構成する任意成分として含有するものであってもよい。
重合性単量体としては、好ましくは、少なくとも1部は(メタ)アクリル酸エステルを含むものであり、具体的には、スチレン等のアリレン単量体;スチレン、エチルスチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル化合物;その他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−オクタデシルアクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブテン等が例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記架橋性単量体としては、分子内に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する化合物、または重合により架橋構造を形成できる化合物であればよく、上記重合性単量体と同様に、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であれば特に制限されるものではない。具体的には、架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、p−エチル−ビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラン等の酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有単量体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記架橋性単量体の使用量は、上記重合性単量体と該架橋性単量体からなる重合性単量体成分全体の重量に対し、0.1〜90重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量%の範囲である。
また油相中に用いる界面活性剤としては、水相を乳化し得るものであれば特に制限はなく、従来公知のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。なかでもノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤を併用するとHIPEの安定性が改良される場合がある。
【0047】
上記界面活性剤の使用量は、重合性単量体と架橋性単量体からなる重合性単量体成分全体の重量100重量部に対し、1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは3〜15重量部である。
上記水は、水道水、純水、イオン交換水の他、多孔質重合体を製造して得た廃水をそのまま、または所定の処理を行ったものを使用することができる。上記水の使用量は、所望する液拡散性能によって適宜選択することができる。すなわち、水の使用量は、HIPEの水相/油相(W/O)比を変化させることによって多孔質重合体の空孔比率が決定されることから目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択すれば、自ずと決定される。
【0048】
重合開始剤としては、通常の重合で使用できるものであればよく、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム等の過酸化物等の水溶性重合開始剤や油溶性重合開始剤の何れも使用することができる。さらに、上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせてなるレドックス重合開始剤系を使用しても良い。この場合、重合開始剤としては、水溶性、油溶性の何れも使用することができ、水溶性レドックス重合開始剤系と油溶性レドックス重合開始剤系とを併用してもよい。
【0049】
塩類としては、HIPEの安定性を改良するために必要であれば使用してもよい。上記塩類としては、具体的には、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。これらの塩類は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加することが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定性の観点から多価金属塩が好ましい。
この様な塩類の使用量は、水100重量部に対し、0.1〜20重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。
【0050】
さらに、他の各種添加剤が有する性能・機能を付加することにより液拡散部材としての多孔質重合体の性能の向上につながるものであれば、そのような各種添加剤を適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、塩基および/または緩衝剤を加えても良い。このような添加剤としては、活性炭、無機粉末、有機粉末、金属粉末、消臭剤、抗菌剤、防かび剤、香料、各種高分子、界面活性剤などが例示できる。
本発明に用いることのできるHIPEの乳化方法については、特に制限されるものではないが、例えば、重合性単量体成分および界面活性剤、さらに必要に応じて添加し得る重合開始剤、その他の添加剤からなる油相を構成する成分を所定温度で撹拌し均一の油相を調製し、一方、目的とする使用量にて、水に、さらに必要に応じて添加し得る重合開始剤、塩類、その他の添加剤からなる水相を構成する成分を加えながら撹拌し、所定のHIPEの温度に加温して均一の水相を調製する。次に、上記により調製された、重合性単量体成分、界面活性剤などの混合物である油相と、水、水溶性塩などの混合物である水相とを合一し、所定のHIPEの乳化温度にて、効率良く混合撹拌して最適な剪断力をかけ、乳化することによってHIPEを安定に調製することができる。
【0051】
HIPEの水相/油相(W/O)比(重量比)は、適宜選択することができるものであり、特に制限されるものではなく、先に規定したとおり3/1以上のものであればよいが、好ましくは10/1〜250/1、特には10/1〜100/1である。W/O比を変化させることによって多孔質重合体の空孔比率が決定され、それによって液拡散部材の液拡散能力、液吸い上げ能力、液保持能力が変化しうる。したがって、本発明の目的とする液拡散部材を製造する場合、W/O比は10/1〜100/1程度、より好ましくは20/1〜80/1程度である。
【0052】
上記HIPEの製造装置としては、特に制限されるものではなく、従来公知の製造装置、例えば、プロペラ型、櫂型、タービン型などの羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ピンミキサー類、ラインミキサー類、スタティックミキサー類などが例示でき、これらを単独、またはこれらを種々組み合わせて用いれば良い。
油中水滴型高分散相エマルションを形成させる乳化工程でのHIPEの乳化温度は、通常40〜110℃の範囲である。
重合開始剤を混合したHIPEは、所望の形態に成形される。本発明では得られた多孔質重合体を液拡散部材として用いるために成形の形状はシート状であることが好ましいが、円筒容器にHIPEを加えて重合させた後にシート状に切り出しても良いし、種々の形態(粒子状、繊維状、フィルム状等)の多孔質重合体を最終製品として液拡散機能を有する形態に加工しても良い。シート状の場合、その厚さは問わないが、最終製品の形態として厚みが10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下、特に好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.5mm以下程度である。あまり厚い場合には液拡散部材として吸収性物品に用いた場合に装着感が低下する恐れがある。
【0053】
HIPEの重合方法は特に制限されるものではなく、従来公知のHIPEの重合法を適宜利用することができる。通常は、HIPE中の構造が破壊されない条件下、静置重合法で熱を与える事で重合させる。この場合、かかるHIPEをバッチごとに重合するバッチ重合でも、あるいは連続的にたとえば加熱ゾーン中にフィードしながら、キャストして重合する連続重合でもよい。該重合温度は、通常40〜110℃の範囲であるが、生産性を考慮した場合、重合温度は高い方が好ましく、例えば、好ましくは60℃〜110℃、より好ましくは80℃〜105℃程度、重合時間は数十秒〜30分の範囲で均一な性状の多孔質重合体を得ることが生産性の上から好ましい。これらの詳細な製造方法としては特願平2000−203744等に記載されている。
【0054】
重合後得られた多孔質重合体は、通常、圧縮、減圧吸引およびこれらの組み合わせによって脱水され、その種類によっては元の厚みの数分の1に圧縮した形態にすることができる。さらに多孔質重合体の表面状態を改良するなどの目的で、多孔質重合体を純水や任意の添加剤を含む水溶液、溶剤で洗浄してもよいし、そののち必要であれば、熱風、赤外線、マイクロ波などで加熱乾燥してもよく、また加湿して水分を調整してもよい。さらに最終製品に用いられるための所望の形状、サイズに切断して各種用途に応じた製品に加工してもよい。
b.その他の液拡散部材
本発明で用いることのできるその他の液拡散部材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ブタジエンスチレンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム等の合成高分子からなる発泡体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成繊維を接着または結合させた繊維集合体;レーヨン繊維;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース繊維、ポリアミド繊維等の親水性繊維を圧着、接着または結合した繊維集合体等が例示され、形状としてはシート状、繊維状、粒子状があげられるが、中でもシート状のものが好ましい。好ましくはセルロース繊維、レーヨン繊維等の親水性繊維を圧着、または接着、結合した繊維集合体である。これらの液拡散部材は吸収体や吸収性物品の製造時にライン中で製造してもよい。
【0055】
本発明におけるこれらa.b.に示した液拡散部材の必要性能は前述したとおりである。
(2−3)吸水性樹脂
本発明の吸水性樹脂とは、親水性架橋重合体であって、水性液体と、例えば粒子状の前記重合体が接触すると該重合体粒子が該液体を粒子内に吸収して膨潤し、水性液体を含んだヒドロゲルを形成しうる性質を持つ重合体(水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体)、および、該水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体に添加剤を加えたものであって、該添加剤の量が該水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体と該添加剤の合計量に対して30重量%未満であるものを包含するものである。
【0056】
これまで吸水性樹脂は樹脂の内外の浸透圧差によって液を吸収するものとして紙おむつ等液貯蔵部材として用いられてきたが、本発明者は吸水性樹脂の吸収倍率、加圧下の吸収倍率等これまで知られている物性が同じ場合でも樹脂の種類により液拡散部材等から液を吸収する場合にその吸収挙動が大きく異なることに着目した。そして、本発明者が鋭意検討したところ、吸水性樹脂単体でも、毛管吸収能力が大きく異なること、液拡散部材の毛管吸収能力と吸水性樹脂の毛管吸収能力の関係がある特定の条件を満たした場合に、吸水性樹脂は液拡散部材より良好に液を受け取り貯蔵できることを見いだした。
【0057】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂としては、先述したように液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をA(ただしA≧0.10)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが、B/A≧0.7を満足するもの、好ましくはB/A≧1.3を満足するもの、さらに好ましくはB/A≧1.40を満足するものである。
本発明に必要な吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの値は用いる液拡散部材の特性、すなわち用いる液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aによって異なり、上記B/A≧0.7の関係を満足しておれば液拡散部材から吸水性樹脂へ液が良好に分配され、吸水性樹脂が液を良好に吸収貯蔵することができる。好ましくは吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが0.4以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上のものである。
【0058】
また本発明に使用する吸水性樹脂は、0cmの高さの毛管吸収倍率が30(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液拡散部材から吸い上げた液を多量に把持できるため液の吸収能力という観点から優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が40(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が50(g/g)以上の吸水性樹脂である。
また本発明に用いることのできる別の吸水性樹脂としては、該液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率をC(ただしC≧2.0(g/g))としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率DがD/C≧0.7を満足するもの、好ましくはD/C≧1.3を満足するもの、さらに好ましくはD/C≧1.40を満足するものである。
【0059】
本発明に必要な別の吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの値は、用いる液拡散部材の特性、すなわち用いる液拡散部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cによって異なり、上記D/C≧0.7の関係を満足しておれば液拡散部材から吸水性樹脂へ液が良好に分配され、吸水性樹脂が液を良好に吸収貯蔵することができる。好ましくは吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上、より好ましくは20(g/g)以上、さらに好ましくは25(g/g)以上、最も好ましくは30(g/g)以上のものである。
【0060】
また同様に、本発明に使用する吸水性樹脂は、0cmの高さの毛管吸収倍率が30(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液拡散部材から吸い上げた液を多量に把持できるため液の吸収能力という観点から優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が40(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が50(g/g)以上の吸水性樹脂である。
また、本発明に使用する吸水性樹脂は、2.07kPa(0.3psi)加圧下の吸水倍率が20〜50g/gのものであると、吸収体が加圧された状態にあっても良好な吸収性を維持できるので好ましく、25〜40g/gのものがより好ましい。
【0061】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂は上記条件を満たしたものであり、液拡散部材と併用され吸収体に使用される。
吸水性樹脂の形状としては粒子状、繊維状、シート状、短冊状等をとり得るが、一般的には粒子状のものが好ましい。好ましくはアクリル酸(塩)を主原料とする基本粒子の重量平均粒子径が250μm以下の粒子状のもので、粒子の粒径分布が狭いものが好ましい。また製法としては水溶液重合、逆相懸濁重合等を用いることができるが、逆相懸濁重合により得られたものが好ましい。また取り扱い性の面から、本発明の毛管吸収能力を維持しながら上記基本粒子からなる吸水性樹脂は造粒され、重量平均粒子径が上記範囲よりはずれてもよい。
【0062】
本発明では吸水性樹脂として上記関係を満たす樹脂と上記関係を満たさない吸水性樹脂を併用してもよいが、本発明の効果を最大限に発揮させるには上記関係を満たした樹脂のみを用いることが好ましい。また、液拡散部材により近い部分の吸水性樹脂の毛管吸収能力が上記関係をみたすものとなるように樹脂を配置することが好ましい。
本発明で用いることができる吸水性樹脂としては、例えば、親水性単量体を重合して得ることができる水膨潤性架橋重合体が例示でき、なかでもアクリル酸またはその塩等を主成分とするポリアクリル酸(塩)系架橋重合体が好ましい。具体的には部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号、同第4654039号、同第5250640号、同第5275773号、欧州特許第456136号等)、架橋され部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号)等が挙げられる。ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体としては、重合体中の酸基の50〜90モル%が中和されていることが好ましく、塩としてはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを例示する事ができる。
【0063】
本発明に用いられる吸水性樹脂や中でも好ましく用いられるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体としては、主成分として用いられる単量体(たとえば上記アクリル酸またはその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。他の単量体の具体例としては、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体などを挙げることができる。これらのアクリル酸以外の他の単量体の使用量は通常全単量体中0〜30モル%が好ましく、より好ましくは0〜10モル%である。
【0064】
本発明に用いられる吸水性樹脂に架橋構造を導入する方法として、架橋剤を使用しない自己架橋型のものや、2個以上の重合性不飽和基或は2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合または反応させるもの等を例示できる。好ましくは内部架橋剤を共重合または反応させたものである。
これらの内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N´−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。またこれらの内部架橋剤は2種以上使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂の吸水特性などから、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることが好ましく、その使用量としては前記単量体成分に対して0.005〜3モル%、より好ましくは0.01〜1.5モル%である。
【0065】
なお重合に際しては、澱粉・セルロ−ス、澱粉・セルロ−スの誘導体、ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
本発明に用いられる吸水性樹脂を得る為に上記したアクリル酸またはその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、バルク重合や沈澱重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体を水溶液として、水溶液重合、逆相懸濁重合を行うことが好ましい。かかる重合方法は、従来公知であって例えば、米国特許第4625001号、同4769427号、同4873299号、同4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同4690996号、同4721647号、同4738867号、同4748076号などに記載されている。
【0066】
また重合を行うにあたり、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、紫外線や電子線などの活性エネルギー線等を用いることができる。また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としても良い。これらの重合開始剤の使用量は通常0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜0.5モル%である。
【0067】
上記の重合により得られた吸水性樹脂の形状は一般に不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等である。
本発明に用いられる40cmの高さにおける毛管吸収指数や毛管吸収倍率に優れた吸水性樹脂を得る為には、その粒子表面が表面架橋剤によって架橋されていることが好ましい。
吸水性樹脂の表面架橋に用いることの出来る表面架橋剤としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アジチニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、および、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン;登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物又は塩化物等の多価金属化合物等が挙げられる。
【0068】
なかでも溶解度パラメーターが互いに異なる表面架橋剤を組み合わせて用いることが好ましい。好ましくは溶解度パラメーターが25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])以上の第一表面架橋剤、溶解度パラメーターが25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])未満の第二表面架橋剤を組み合わせたものである。表面架橋剤の溶解度パラメーターに関しては米国特許5,422,405等に記載されている。
表面架橋剤の使用量は吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部程度が好ましい。5重量部を越える場合や、0.001重量部未満の場合には、本発明の範囲内の表面架橋層を得ることが困難になる場合がある。
【0069】
本発明の表面架橋剤と吸水性樹脂との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量も一般に、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.5重量部を越え、10重量部以下が好ましく、1重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。
また、表面架橋剤やその水溶液を混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、0.1重量部〜10重量部の範囲内がより好ましい。また、第三物質として欧州特許第0668080号公報に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。
【0070】
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されないが、たとえば、吸水性樹脂を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂に直接、水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等が例示できる。また混合温度、すなわち、混合前の吸水性樹脂粉末の温度、表面架橋剤を含む処理剤の温度をともに特定の範囲に制御することで表面架橋層の厚みや重量割合が本発明の範囲にコントロールしやすい場合がある。また水を用いて混合する場合には、水に不溶な微粒子状の粉体や、界面活性剤等を共存させてもよい。
【0071】
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後、通常加熱処理を行い、架橋反応を遂行させる。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、吸水性樹脂粉体温度を40℃以上250℃以下とするのが好ましい。処理温度が40℃未満の場合には、優れた吸水特性を有する吸水剤を得ることができないことがある。処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂の劣化を引き起こし、性能が低下する場合があり注意を要する。加熱処理時間は1分〜2時間程度、好ましくは5分〜1時間程度である。
以上述べてきた中でも本発明に用いることのできる40cmの高さにおける毛管吸収指数B、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dに優れた吸水性樹脂を得るための好ましい方法としては、
(1)重量平均粒子径が250μm以下、好ましくは40〜200μm、より好ましくは70〜150μmの範囲のカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、該カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメーターが25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])以上の第1表面架橋剤、および、溶解度パラメーター25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])未満の第2表面架橋剤の存在下に加熱処理する方法、
(2)逆相懸濁重合で得られた重量平均粒子径が250μm以下、好ましくは40〜200μm、より好ましくは70〜150μmの範囲のカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、含水率が10%以下で表面架橋剤の存在下に2.07kPa(0.3psi)下での加圧下の吸収倍率が20(g/g)以上、好ましくは25(g/g)以上、好ましくは30(g/g)以上になるように加熱処理した後に溶剤で処理する方法、
(3)重量平均粒子径100〜1000μmのカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、多価アルコール、またはアルキレンカーボネートの存在下表面架橋処理を行った後に特定粒度の篩により分級し、重量平均粒子径が300μm以下、好ましくは重量平均粒子径が10〜250μm、より好ましくは70〜150μmの粒子を得る方法、
等が例示できる。
【0072】
このような手法により、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが例えば15(g/g)以上、好ましくは20(g/g)以上、もっとも好ましくは25(g/g)以上の吸水性樹脂が得られ本発明に好適に使用できる。また上記手法により40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが例えば0.4以上、好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上という吸水性樹脂が得られ本発明に好適に使用できる。
なかでも上記(2)の方法の表面架橋処理された重量平均粒子径250μm以下の逆相懸濁重合で得られたポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を主成分とする吸水性樹脂が好ましく、条件を選択することにより、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが例えば25(g/g)以上という、これまでになく優れた樹脂が得られる。なお表面架橋処理の有無は特願平11−309105号記載の方法等で判別することができる。
【0073】
なお本発明の吸水性樹脂は水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体にさらに二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸またはその塩、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白等塩類等の水不溶性微粒子状無機粉体;消臭剤、香料、抗菌剤、ポリアミン等のカチオン性高分子化合物、接着剤、粘着剤、発泡剤、顔料、染料、肥料、酸化剤、還元剤、水等の添加剤を添加して、該水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体に内包または付着させることによって、吸水性樹脂にさらなる機能を付与、あるいは高めたものであってもよい。上記添加剤の使用割合は、水膨潤性水不溶性ヒドロゲル形成性重合体と添加剤の合計量に対して30重量%未満が好ましく、より好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満である。
(2−4)吸収体
本発明の吸収体は、液拡散部材および吸水性樹脂を、本発明の液拡散貯蔵係数1およびまたは液拡散貯蔵係数2を満足するように組み合わせて得られる。
【0074】
また、本発明の吸収体は、吸い上げ高さ30cm以上の液拡散部材、および液貯蔵部材に40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上の吸水性樹脂を用いることでも得られる。
さらに本発明の吸収体は、吸い上げ高さ30cm以上の液拡散部材、および液貯蔵部材に表面架橋処理された重量平均粒子径250μm以下の吸水性樹脂を用いることでも得られる。
本発明の吸収体は、液拡散部材、吸水性樹脂の他に、本発明の意図する液拡散・貯蔵システムを妨げない限り、他の材料を用いてもよい。他の材料の例としては親水性繊維、不織布、紙、ティッシュ等が例示できる。上記の親水性繊維としては、例えば、木材から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の繊維等が挙げられる。上記例示の繊維のうち、セルロース繊維が好ましい。また、親水性繊維は、ポリアミドやポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維を含有していてもよい。尚、親水性繊維は、上記例示の繊維に限定されるものではない。不織布としてはスパンボンド、ケミカルボンド、スパンレース方式等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン等の不織布が例示できる。
【0075】
吸収体における吸水性樹脂と液拡散部材の割合は任意の範囲で選択が可能であるが、吸水性樹脂と液拡散部材の合計量に対する吸水性樹脂の重量割合は、好ましくは5重量%以上99重量%以下、より好ましくは20重量%以上90重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上80重量%以下である。
特に、吸水性樹脂と液拡散部材の合計量に対する吸水性樹脂の重量割合が75重量%以上90重量%以下の場合には、相対的に液拡散部材の使用量を少なくすることができるため、形状面において、より軽量で薄型の吸収体が作製できるために好ましい。また吸水性樹脂と液拡散部材の合計量に対する吸水性樹脂の重量が75重量%以上90重量%以下の吸収体を製造する為には該吸水性樹脂として吸水性樹脂が40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上のものを用いることがより好ましい。吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上のものを用いた場合には、液拡散部材から吸水性樹脂への液の移行、分配が良好になるため、液拡散部材としての貯蔵能力があまり求められなくなり、液拡散部材の使用量を大きく低減できる。その際の液拡散部材としては高内部相エマルションを重合して得られる多孔質重合体であり、その吸い上げ高さが30cm以上のものを用いることが好ましい。
【0076】
吸水性樹脂の配置位置としては、液拡散部材の背面、液拡散部材の前面、液拡散部材の背面側の一部、液拡散部材の前面側の一部、液拡散部材の間、液拡散部材中等が例示でき、これらの配置方法を組み合わせてもよい。なかでも液拡散部材の背面側に吸水性樹脂を配置することが好ましく、さらに吸水性樹脂は層状で存在していることが好ましい。また吸水性樹脂の坪量としては50〜500g/m2程度である。
吸水性樹脂の配置状態としては、液拡散部材の全面に対して均一に存在している状態、特定のパターン状に存在している状態、密度勾配をもって存在している状態、液拡散部材の中央にのみ存在している状態、液拡散部材の前後のみに存在している状態等が例示される。
【0077】
また、吸水性樹脂は、それ自体を従来公知の手法でシート状にしたり、固定化する基材上に散布したり、袋詰めにしたり、粘着性を付与させたりした後に液拡散部材と組み合わせても良い。さらに吸水性樹脂と液拡散部材とは接着性バインダーを用いて接着させてもよい。
上記の接着性バインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、1−ブテン−エチレン共重合体等のポリオレフィン繊維等の熱融着繊維や接着性を有するエマルション、ホットメルト接着剤等が例示できる。これら接着性バインダーは、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0078】
なお本発明の吸収体においても、さらに、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸またはその塩、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白等塩類等の水不溶性微粒子状無機粉体;消臭剤、香料、抗菌剤、ポリアミン等のカチオン性高分子化合物、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還元剤、水等を添加し、吸収体にさらなる機能を付与させることもできる。
[3]液獲得部材と吸水性樹脂層を含む吸収体
(3−1)液獲得部材と吸水性樹脂(層)の毛管吸収能力の関係
本発明における、液獲得部材と吸水性樹脂(層)の毛管吸収能力の関係について説明する。
【0079】
液獲得部材と組み合わせられる吸水性樹脂層は、吸水性樹脂を250g/m2以上の散布量で含むことが好ましく、膨潤時に吸水性樹脂が実質連続層となるように構成される。250g/m2未満の場合には吸収体の飽和吸収量が小さくなり、液獲得層を十分に乾かすことができず、ドライ感に劣り、液の戻り量が増大する傾向が見られる。より好ましくは吸水性樹脂層の散布量は300g/m2以上、さらに好ましくは350g/m2以上、特に好ましくは400g/m2以上である。
吸水性樹脂層は、吸水性樹脂のみ、または、吸水性樹脂と他の吸水性あるいは親水性材料との混合物で構成される。吸水性樹脂以外の吸水性あるいは親水性材料としては、パルプ、レーヨン、ポリエステル、ナイロンなどの天然繊維、再生繊維、合成繊維などの繊維、およびこれらの親水性化処理物などを例示することができる。吸水性樹脂層における吸水性樹脂の割合は、吸収体を薄く、しかも吸水量を多くできる点で、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、吸水性樹脂のみからなること(すなわち、100重量%)が特に好ましい。
【0080】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂としては、該液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をE(ただしE<0.1)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが以下の式を満足するものである。
B/E≧10 …(式3)
また、本発明に用いることのできる吸水性樹脂層としては、前記液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をE(ただしE<0.1)としたときに、前記吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収指数Fが以下の式を満足するものである。
【0081】
F/E≧10 …(式4)
本発明に必要な吸水性樹脂または吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収指数BまたはFの値は、用いる液獲得部材の特性、すなわち用いる液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数Eによって異なり、上記B/E≧10またはF/E≧10の関係を満足しておれば液獲得部材から吸水性樹脂へ液が良好に吸収され、吸水性樹脂が液獲得部材を十分に乾かすことができる。B/EまたはF/Eが10に満たない場合は吸水性樹脂が液獲得部材から液を十分吸収できず、液獲得部材は濡れた感じのままであり、次回の液を瞬時に受け止めることができない。好ましくは吸水性樹脂としてB/E≧20またはF/E≧20を満たすもの、より好ましくは吸水性樹脂としてB/E≧30またはF/E≧30を満たすものである。なお、以降、B/EまたはF/Eの値のことを液獲得貯蔵係数1と称する場合がある。また、Bは吸水性樹脂単独、Fは吸水性樹脂層から吸水性樹脂が単離困難な場合などに吸水性樹脂層をそのまま用いて求めた毛管吸収指数を意味する。
【0082】
本発明に用いることのできる吸収体としては、液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが1.0(g/g)以下であり、前記吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが5(g/g)以上のものである。
また、本発明に用いることのできる別の吸収体としては、前記液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが1.0(g/g)以下であり、前記吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Hが5(g/g)以上のものである。
液獲得部材と吸水性樹脂または吸水性樹脂層がこれらの関係を満足しておれば、液獲得部材から吸水性樹脂へ液が良好に分配され、吸水性樹脂が良好に液獲得部材を乾かせ、かつ液を吸収貯蔵することができる。
【0083】
DまたはHが5(g/g)に満たない場合は吸水性樹脂が液獲得部材から液を十分に吸収することが困難で、液獲得部材が乾かずに戻り量の非常に多いものとなる。好ましくは、本発明に必要な吸水性樹脂または吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収倍率DまたはHの値は10(g/g)以上、より好ましくは15(g/g)以上、最も好ましくは20(g/g)以上である。また、以降、液獲得部材のD/FまたはH/Fの値を液獲得貯蔵係数2とした場合、好ましくはこの値が30以上、より好ましくは50以上である。
本発明では、上記した液獲得貯蔵係数1、D、Hの値のいずれもが本発明の範囲を満たしていることがより好ましい。片方のみしか満たしていない場合には吸水性樹脂の液獲得部材からの液吸収能力が使用条件によっては良好に発揮されないこともあるので注意を要する。前述と同様に、Dは吸水性樹脂単独、Hは吸水性樹脂層から吸水性樹脂が単離困難な場合などに吸水性樹脂層をそのまま用いて求めた毛管吸収倍率を意味する。
(3−2)液獲得部材
本発明に使用することのできる液獲得部材とは、吸収体または吸収体を有する吸収性物品に加えられた液を、瞬時に捕捉し、吸収体の外部に出さない役割を担う部材であり、40cmの高さにおける毛管吸収指数Eが0.10未満であり、かつ、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが1.0(g/g)以下である材料と定義され、一般的には、力がかかったり、吸水した後でも液を捕捉するための空間を維持できるような構造を有するものである。
【0084】
本発明に用いることのできる液獲得部材は、液の獲得能力、液の放出能力に優れているものであり、40cmの高さにおける毛管吸収指数Eが0.1未満であることが必要である。従来の紙おむつ用に用いられるフラップパルプ等の40cmの高さにおける毛管吸収指数Eは本発明の測定法によれば0.04であり、このようなものも本発明の液獲得部材として用いることができるが、この値が小さい方が液獲得性、液放出性に優れるため好ましい。毛管吸収指数Eが0.10以上の材料は液を比較的強く材内部に保持してしまい、繰り返し液を吸収する場合にその液獲得性能が急激に低下するため、もれや、ウエット感、戻り量等が改善されにくい。好ましくは40cmの高さにおける毛管吸収指数Eが0.03以下のものである。
【0085】
また、本発明に用いることのできる液獲得部材は、0cmの高さの毛管吸収倍率が5(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液獲得部材として液の獲得量が大きく、液の瞬間吸収、一時貯蔵に優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が10(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が15(g/g)以上である。
本発明に用いることのできる別の液獲得部材は、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが1.0(g/g)以下であることが必要である。従来の紙おむつ用に用いられるフラップパルプ等の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gは0.5(g/g)程度であり、このようなものも本発明の液獲得部材として用いることができるが、この値が小さい方が液獲得性、液放出性に優れるため好ましい。40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが1.0(g/g)を越える材料は液を比較的強く部材内部に保持してしまい、繰り返し液を吸収する場合に、その液獲得性能が急激に低下するため、もれや、ウエット感、戻り量等が改善されにくい。好ましくは40cmの高さにおける毛管吸収倍率Gが0.4(g/g)以下、より好ましくは0.2(g/g)以下のものである。
【0086】
また同様に、本発明に用いることのできる別の液獲得部材は0cmの高さの毛管吸収倍率が5(g/g)以上であることが好ましいが、液の保持を大きな目的としない場合にはこの限りではない。しかし、一般に、0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液獲得部材として液の獲得量が大きく、液の瞬間吸収、一時貯蔵に優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が10(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が15(g/g)以上である。
本発明に用いることのできる液獲得部材は上記条件を満たしたものであり、かつ吸水性樹脂(層)と併用され吸収体に使用される。
【0087】
両者の関係は先述したように液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をE(ただしE<0.1)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数BがB/E≧10を満足すること、または、該吸水性樹脂層として40cmの高さにおける毛管吸収指数FがF/E≧10を満足することが必要である。
また、両者の関係は液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収倍率をG(ただしG≦1.0(g/g))としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが5(g/g)以上を満足すること、または、該吸水性樹脂層として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Hが5(g/g)以上を満足することが必要である。
【0088】
さらに、両者がB/E≧10およびD≧5.0を同時に満たすこと、または両者がF/E≧10およびH≧5.0を同時に満たすことがより好ましい。
液獲得部材の形状としては、シート状、繊維状、繊維集合体、粒子状、短冊状等の形状をとり得るが、一般的にはシート状が好ましい。その際、液獲得部材の坪量としては50〜500g/m2程度が好ましく、より好ましくは100〜200g/m2程度である。
また、液獲得部材がその部材内で密度差や密度勾配、獲得能力差や獲得能力勾配を有する場合や、本発明の関係を満たさない第2の液獲得部材・液拡散部材をさらに用いる場合には、吸水性樹脂により近い部分の液獲得部材の毛管吸収能力が上記関係をみたすようにすることが好ましい。
【0089】
本発明で用いることのできる液獲得部材としては、フラップパルプ、架橋処理を施したセルロース繊維、嵩高い構造の不織布等の合成繊維、高内部相エマルション(HIPE)を重合して得られる多孔質重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ブタジエンスチレンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム等の合成高分子からなる発泡体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の合成繊維を接着または結合させた繊維集合体;レーヨン繊維;セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース繊維、ポリアミド繊維等の親水性繊維を圧着、接着または結合した繊維集合体等が例示される。好ましくは架橋処理を施したセルロース繊維、嵩高い構造の不織布等の合成繊維、高内部相エマルション(HIPE)を重合して得られる多孔質重合体である。
(3−3)吸水性樹脂
これまで吸水性樹脂は樹脂の内外の浸透圧差によって液を吸収するものとして紙おむつ等液貯蔵部材として用いられてきたが、本発明者は吸水性樹脂の吸収倍率、加圧下の吸収倍率等これまで知られている物性が同じ場合でも樹脂の種類により液獲得部材等から液を吸収する場合にその吸収挙動が大きく異なることに着目した。そして、本発明者が鋭意検討したところ、吸水性樹脂単体でも、毛管吸収能力が大きく異なること、液獲得部材の毛管吸収能力と吸水性樹脂の毛管吸収能力の関係がある特定の条件を満たした場合に、吸水性樹脂は液獲得部材より良好に液を受け取り貯蔵できることを見いだした。
【0090】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂としては、先述したように液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数をE(ただしE<0.10)としたときに、該吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが、B/E≧10を満足するもの、好ましくはB/E≧20を満足するもの、さらに好ましくはB/E≧30を満足するものである。吸水性樹脂は吸収体から取り出した吸収性樹脂層のまま測定してもよく、その場合、該吸水性樹脂層として40cmの高さにおける毛管吸収指数Fが、F/E≧10を満足するもの、好ましくはF/E≧20を満足するもの、さらに好ましくはF/E≧30を満足するものである。
【0091】
本発明に必要な吸水性樹脂の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bや吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収指数Fの値は用いる液獲得部材の特性、すなわち用いる液獲得部材の40cmの高さにおける毛管吸収指数Eによって異なり、上記B/E≧10あるいはF/E≧10の関係を満足しておれば液獲得部材から吸水性樹脂、または吸水性樹脂層へ液が良好に移行され、吸水性樹脂が液を良好に吸収貯蔵し、液獲得部材を乾かすことができる。好ましくは吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収指数Bや吸水性樹脂層の40cmの高さにおける毛管吸収指数Fが0.2以上、より好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上のものである。
【0092】
また本発明に使用する吸水性樹脂は、0cmの高さの毛管吸収倍率が20(g/g)以上であることが好ましい。0cmの高さの毛管吸収倍率が高いほど、液獲得部材から吸い上げた液を多量に把持できるため液の吸収能力という観点から優れた吸収体が得られる。より好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が30(g/g)以上、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が40(g/g)以上の吸水性樹脂である、さらに好ましくは0cmの高さの毛管吸収倍率が50(g/g)以上の吸水性樹脂であるが、この0cmの高さの毛管吸収倍率があまり高い場合には液拡散部材を使用していても吸収体の中に液が進入しにくくなる場合があり注意を要する。
【0093】
また本発明に用いることのできる別の吸水性樹脂としては、吸水性樹脂として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが、好ましくは5(g/g)以上のもの、より好ましくは10(g/g)以上を満足するもの、さらに好ましくは15(g/g)以上のもの、最も好ましくは20(g/g)以上のものである。吸水性樹脂は吸収体から取り出した吸収性樹脂層のまま測定してもよく、その場合、該吸水性樹脂層として40cmの高さにおける毛管吸収倍率Hが、好ましくは5(g/g)以上のもの、より好ましくは10(g/g)以上を満足するもの、さらに好ましくは15(g/g)以上のもの、最も好ましくは20(g/g)以上のものである。
【0094】
本発明に用いることのできる吸水性樹脂は上記条件を満たしたものであり、本発明の要件を満たす液獲得部材と併用され吸収体に使用される。
吸水性樹脂の形状としては粒子状、繊維状、シート状、短冊状等をとり得るが、一般的には粒子状のものが好ましい。また製法としては水溶液重合、逆相懸濁重合等を用いることができる。
本発明では吸水性樹脂として上記関係を満たす樹脂と上記関係を満たさない吸水性樹脂を併用してもよいが、本発明の効果を最大限に発揮させるには上記関係を満たした樹脂のみを用いることが好ましい。また、液獲得部材により近い部分の吸水性樹脂の毛管吸収能力が上記関係をみたすものとなるように樹脂を配置することが好ましい。
【0095】
本発明で用いることができる吸水性樹脂の例示、当該吸水性樹脂の原料となる単量体の例示と使用量、架橋構造の導入方法、内部架橋に関する説明、重合の際の添加剤の例示と使用量、重合方法、得られる吸水性樹脂の形状、表面架橋に関する説明、吸水性樹脂にさらなる機能を付与するための添加剤の説明は、先の(2−3)の項で述べたものと同様である。
本発明に用いることのできる40cmの高さにおける毛管吸収指数B、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dに優れた吸水性樹脂を得るための好ましい方法としては、
(1)重量平均粒子径が100〜500μm、より好ましくは200〜400μmの範囲のカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、該カルボキシル基と反応可能な、溶解度パラメーターが25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])以上の第1表面架橋剤、および、溶解度パラメーター25.6[(J/cm31/2](12.5[(cal/cm31/2])未満の第2表面架橋剤の存在下に加熱処理する方法、
(2)逆相懸濁重合で得られた重量平均粒子径が250μm以下、好ましくは40〜200μm、より好ましくは70〜150μmの範囲のカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、含水率が10%以下で表面架橋剤の存在下に0.3psi下での加圧下の吸収倍率が20(g/g)以上、好ましくは25(g/g)以上、好ましくは30(g/g)以上になるように加熱処理した後に溶剤で処理する方法、
(3)重量平均粒子径100〜600μmのカルボキシル基を有する吸水性樹脂前駆体を、多価アルコール、またはアルキレンカーボネートの存在下で特定表面架橋層を有するように処理を行った後に特定粒度の篩により分級し、重量平均粒子径が400μm以下、好ましくは重量平均粒子径が100〜400μmの粒子を得る方法、
等が例示できる。
【0096】
このような手法により、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが例えば10(g/g)以上、好ましくは15(g/g)以上、もっとも好ましくは25(g/g)以上の吸水性樹脂が得られ本発明に好適に使用できる。また上記手法により40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが例えば0.2以上、好ましくは0.4以上、さらに好ましくは0.6以上という吸水性樹脂が得られ本発明に好適に使用できる。
(3−4)吸収体
本発明の吸収体は、上記特性を満足した液獲得部材および吸水性樹脂層を組み合わせて得られる。その吸水性樹脂層は、先に記載した通りの吸水性樹脂量と構成を有するものである。
【0097】
本発明の吸収体中には、その吸水性樹脂層は250g/m2以上の散布量であることが好ましく、膨潤時に吸水性樹脂が実質連続層となるように構成される。250g/m2未満の場合には吸収体の飽和吸収量が小さくなり、液獲得層を十分に乾かすことができず、ドライ感に劣り、液の戻り量が増大する傾向が見られる。好ましくは吸水性樹脂層の散布量は300g/m2以上、より好ましくは350g/m2以上、さらに好ましくは400g/m2以上である。
本発明で用いることができる吸水性樹脂は、本発明の意図する液獲得・貯蔵システムを妨げない限り、当該吸水性樹脂に少量の親水性繊維、合成繊維等の他の基材を組み合わせてもよいが、液獲得部材からの液の移行を最大限に発揮させるためには吸水性樹脂それ自体を散布し、上記した散布量の吸水性樹脂層を形成させることが好ましい。
【0098】
本発明の吸収体中には、液獲得部材、吸水性樹脂に加えて、本発明の意図する液獲得・貯蔵システムを妨げない限り、他の材料を用いてもよい。他の材料の例としては親水性繊維、不織布、紙、ティッシュ等が例示できる。上記の親水性繊維としては、例えば、木材から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の繊維等が挙げられる。上記例示の繊維のうち、セルロース繊維が好ましい。また、親水性繊維は、ポリアミドやポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維を含有していてもよい。尚、親水性繊維は、上記例示の繊維に限定されるものではない。不織布としてはスパンボンド、ケミカルボンド、スパンレース方式等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン等の不織布が例示できる。
【0099】
本発明の吸収体は、液獲得部材と吸水性樹脂層がそれぞれ1層づつからなることが好ましい。液獲得部材が2層以上ある場合には吸収性物品中のすべての液獲得部材から吸水性樹脂層に液が良好に吸収されず、ドライ感や、戻り量に劣ったものとなる場合がある。
吸収体における吸水性樹脂層と液獲得部材の割合は任意の範囲で選択が可能であるが、液獲得部材と吸水性樹脂層の総重量に対する吸水性樹脂層の重量割合が70重量%以上であることが好ましい。より好ましくは80重量%以上95重量%以下である。
【0100】
また吸収体の液飽和吸収量における吸水性樹脂層の液吸収量の重量割合が80重量%以上であることが好ましい。より好ましくは80重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以上95重量%以下である。
本発明の液獲得部材、吸水性樹脂層の使用量は目的とする吸収性物品の大きさにもよるが、子供用おむつのLサイズを想定した場合、液獲得部材で好ましくは0.5〜4g、より好ましくは1〜2g程度、吸水性樹脂層で好ましくは10〜30g、より好ましくは15〜20g程度である。
吸水性樹脂層の配置位置としては、液獲得部材の背面(吸収性物品の液不透過性裏面シート側)、液獲得部材の前面、液獲得部材の背面側の一部、液獲得部材の前面側の一部、液獲得部材の間、液獲得部材中等が例示でき、これらの配置方法を組み合わせてもよい。なかでも液獲得部材の背面側に吸水性樹脂層を配置することが好ましい。吸水性樹脂層の配置状態としては、液獲得部材の全面に対して均一に存在している状態、特定のパターン状に存在している状態、筋状に存在している状態、密度勾配をもって存在している状態、液獲得部材の中央にのみ存在している状態、液獲得部材の前後のみに存在している状態等が例示されるが、液獲得部材の存在する面積より吸水性樹脂層の存在する面積の方が大きいことが好ましい。好ましくは液獲得部材の面積1に対する吸水性樹脂層の面積比は1.2以上、より好ましくは2以上である。
【0101】
また、吸水性樹脂や吸水性樹脂層は、それ自体を従来公知の手法でシート状にしたり、固定化する基材上に散布したり、袋詰めにしたり、粘着性を付与させたりした後に液獲得部材と組み合わせても良い。さらに吸水性樹脂層と液獲得部材とは接着性バインダーを用いて接着させてもよい。
上記の接着性バインダーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、1−ブテン−エチレン共重合体等のポリオレフィン繊維等の熱融着繊維や接着性を有するエマルション、ホットメルト接着剤等が例示できる。これら接着性バインダーは、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。この場合は吸水性樹脂単独のみならず、固定化された状態での吸水性樹脂層としての毛管吸収能力が本発明の範囲を満たしていることがより好ましい。
【0102】
なお本発明の吸収体においてもさらに二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、タルク、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、珪酸またはその塩、粘土、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白等塩類等の水不溶性微粒子状無機粉体;消臭剤、香料、抗菌剤、ポリアミン等のカチオン性高分子化合物、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還元剤、水等を添加し、吸収体にさらなる機能を付与させることもできる。
なお、本発明にかかる前記の吸収体、すなわち、液獲得部材と吸水性樹脂層を含む吸収体は、前述の液拡散部材をさらに含んでいても良い。この場合、前述の、本発明にかかる液拡散部材と吸水性樹脂を含む吸収体の有する特徴と、本発明にかかる液獲得部材と吸水性樹脂層を含む吸収体の有する特徴との両方を併せ持つ吸収体は、本発明の効果をより一層発揮できるために好ましい。
[4]吸収性物品
本発明にかかる吸収性物品は、一般的には上記構成の本発明にかかる吸収体、すなわち、前記の液拡散部材と吸水性樹脂を含む吸収体、あるいは、前記の液獲得部材と吸水性樹脂層を含む吸収体を、液透過性シートと、液不透過性シートとで挟持してなる。そして、該吸収性物品は、上記構成の吸収体を有してなるので、上述したような優れた吸水特性を備えている。吸収性物品としては、具体的には、例えば、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料、メディカルシート、結露吸水シート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明の吸収性物品は優れた吸水特性を備えているので、例えば該吸収性物品が紙おむつである場合には、液の吸収効率が非常に高くなり、尿の漏れを防止することができると共に、いわゆるドライ感を付与したり、薄型軽量化を実現することができる。
【0103】
上記の液透過性シートと称する材料は水性液体を透過する性質を備えた材料、例えば不織布;織布;ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等からなる多孔質の合成樹脂フィルム等が挙げられる。上記の液不透過性シートは、水性液体を透過しない性質を備えた材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂フィルム;これら合成樹脂と不織布との複合材からなるフィルム;上記合成樹脂と織布との複合材からなるフィルム等が挙げられる。尚、液不透過性シートは、蒸気を透過する性質を備えていてもよい。
【0104】
以上のように、本発明では液拡散部材や液獲得部材の毛管吸収能力と特定の関係を有する毛管吸収能力の吸水性樹脂を該液拡散部材や液獲得部材と組み合わせて用いるため、液拡散部材や液獲得部材から吸水性樹脂が液を良好に吸収、貯蔵でき、非常に優れた液吸収効率を示す。すなわち本発明によれば液の拡散から貯蔵というシステムが良好に作用し、非常に簡単な製造プロセスで非常に優れた液拡散・貯蔵能力を示す吸収体および吸収性物品が提供できる。
このような吸収体を用いて製造した紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の吸収性物品は部材の液の吸収効率が高いため部材全体が液吸収のために有効に使われ、高い吸収能力を示す。またこのような吸収効率の高い吸収体や吸収性物品の吸収能力を、従来の市販おむつの吸収量レベルと同等に設計した場合には、使用する液拡散部材や液獲得部材、あるいは吸水性樹脂の使用量が従来品よりより低減でき、軽い、薄型おむつを経済的に製造できる。
[5]吸水性樹脂粒子
本発明にかかる吸水体および吸水性物品に用いることができる吸水性樹脂は、前述に述べた通りであるが、特に好適な吸水性樹脂として、本発明においては、以下に説明するような吸水性樹脂粒子とその製造方法をも提供する。
【0105】
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法は、重量平均粒子径が50〜300μm、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmの吸水性樹脂に、水分散性微粒子の分散液を添加することにより重量平均粒子径を50%以上上昇させることを特徴とする。
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法において用いることのできる吸水性樹脂は、重量平均粒子径が50〜300μm、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmのものである。
【0106】
これらのものは、前述した本発明の吸水体や吸水性物品に用いる吸水性樹脂を製造する際に、重量平均粒子径、粒度分布、表面架橋剤、表面架橋層の厚み等を最適化することで得られる。たとえばその手法としては
▲1▼カルボキシル基を有する吸水性樹脂を、多価アルコール、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、またはアルキレンカーボネート、またはオキサゾリドン化合物等の該カルボキシル基と反応可能な、表面架橋剤の存在下に加熱処理し、該表面架橋層が一定の範囲内になるように表面架橋処理する方法、
▲2▼カルボキシル基を有する吸水性樹脂を、該カルボキシル基と反応可能な、表面架橋剤の存在下に加熱処理し、かつ特定範囲の分子量のカチオン性ポリマーを添加する方法、
等が例示できる。なお表面架橋層の厚みの求め方については特願2000−329501号等に記載されている。カチオン性ポリマーは特開平5−31360号、特開平6−370号等に例示されている。
【0107】
このような手法により得られた無荷重下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%かつ無荷重下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmの吸水性樹脂を原料粉末として使用する。
また、本発明の吸水性樹脂粒子は、乾燥時には強固な造粒性を有するものであるが、多量の液と接触時には結合が外れ再分散性を有するものである。造粒粒子を、例えば生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時は、再分散して自由に吸液、膨潤する状態をもたらし、無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmを有するものである。
【0108】
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法において用いることのできる吸水性樹脂の重量平均粒子径は50〜300μmであるが、より効果的に本発明にかかる吸水性樹脂粒子を得るためには、好ましくは100〜300μm、より好ましくは150〜250μmである。
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法において用いることのできる吸水性樹脂の、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率は30〜50%であるが、より効果的に本発明にかかる吸水性樹脂粒子を得るためには、好ましくは35〜45%である。
【0109】
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法において用いることのできる吸水性樹脂の、無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径は80〜150μmである。
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法は、上述の特徴を有する吸水性樹脂に、水分散性微粒子の分散液を添加することにより重量平均粒子径を50%以上上昇させることを特徴とする。
本発明で使用できる水分散性微粒子としては、例えば、粉末状無機物質としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化チタン、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、リン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、珪酸またはその塩、粘度、珪藻土、ベントナイト、ゼオライト、カオリン、ハイドロタルサイト、活性白等塩類等の水不溶性微粒子状無機粉体やその他の金属酸化物などがあげられる。特に二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化チタンが好ましい。
【0110】
この水分散性微粒子は、一般的には重量平均1次粒子径(個々の粒子の重量平均粒子径。複数個の粒子が凝集し、あるいは造粒されている場合は、凝集あるいは造粒される前の個々の粒子の重量平均粒子径。)が3.0μm以下であることが好ましく、3.0μm〜0.005μmであることがより好ましく、平均で0.1μmもしくはそれ以下の極めて細い粒子状物であることが好ましい。
上記含有させる水分散性微粒子の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対して一般的に0.1〜5重量部であることが好ましく、好ましくは0.3〜2.0重量部の範囲である。一般に粉末状無機物質の添加量が0.1重量部未満では造粒物が得られないか、得られても効果が乏しい。一方、分散微粒子の量が5重量部より多い場合は、造粒物としては塊状物が得られるか、造粒物が得られても粗大粒子となり吸収性能に悪影響を及ぼすことがあり、また添加に見合うさらなる効果が期待できず不経済である。これらの範囲で添加量を変化させることにより粒度分布の範囲の狭い任意の粒子径を有する粒子が得られる。
【0111】
本発明に用いる水分散性微粒子は、水の浸透性、吸水性樹脂の膨潤性を阻害しないような性質を持ち、結合する成分が液の浸透吸収を妨げず、しかも膨潤時のブロッキングを起こさずに吸水性樹脂の吸収能力を十分発揮させる。また造粒された吸水性樹脂粒子は、強固な造粒性を有するものであり乾燥時には粉塵もなく、吸液時には水分散性微粒子が水を導入、分配するとともに結合が外れ、吸水性樹脂が自由に吸液、膨潤する特性を持つことを見出した。
本発明では前記の水分散性微粒子を水または水性媒体に分散させた分散液として使用する。
【0112】
使用する分散液の量は、吸水性樹脂100重量部に対して、好ましくは3〜100重量部の範囲である。分散液の量が3重量部未満では造粒物が得られないか、得られても効果が乏しい。一方、分散液の量が100重量部を超えると造粒物としては塊状物が得られるか、造粒物が得られても粗大粒子となり好ましくない。
水分散性微粒子としては、水性媒体中に分散したときに、いわゆる構造粘性を示し、6.7重量%濃度分散液の粘度(ブルックフィールド回転粘度計、6rpm、25℃)が0.5Pa・s以上であるものが好ましい。
【0113】
水分散性微粒子量および分散液中の水量は、吸水性樹脂の粒子表面積や表面状態により、最適造粒状態を得るために、それぞれの添加量を設定選択することが必要である。
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂と水分散性微粒子の分散液とを混合し、得られた混合物を加熱乾燥して得られる。吸水性樹脂と水分散性微粒子の分散液を混合する方法としては、吸水性樹脂粉体に該処理溶液を噴霧或いは滴下・混合するのが一般的である。混合に使用する混合機としては、均一に混合するために混合力の大きいものが好ましいが、通常の混合機、捏和機を用いることができる。例えば円筒型混合機、二重円錐型混合機、V型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動化型混合機、回転円板型混合機、気流型混合機、双腕型捏和機、インターナルミキサー、マラー型捏和機、ロールミキサー、スクリュー型押出機等である。吸水性樹脂粉体にこれらの処理溶液を混合して得られた混合物を加熱するには、通常の乾燥器や加熱炉を用いることができる。例えば溝型攪拌乾燥器、回転乾燥器、円盤乾燥器、捏和乾燥器、流動層乾燥器、気流乾燥器、赤外線乾燥器、誘電加熱乾燥器等である。加熱処理温度は、好ましくは40〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲である。
【0114】
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の製造方法においては、上記水分散性微粒子の分散液の添加によって、得られる吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径が添加前から50%以上上昇する。
上記方法により得られた本発明の吸水性樹脂粒子は、高い毛管吸引力をなど、従来の方法では得ることのできなかった吸収特性を有するものである。さらに、水溶性微粒子の分散液が優れたバインダーとして働くために、得られた顆粒の機械的強度が著しく向上しており、実使用にあっては吸水性樹脂微粉末の飛散を著しく押さえることができるものである。
【0115】
すなわち、本発明にかかる吸水性樹脂粒子は、重量平均粒子径が50〜300μm、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmの吸水性樹脂を造粒してなる吸水性樹脂粒子であって、前記吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径が造粒前から50%以上上昇されてなる。
本発明にかかる吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径は、好ましくは150〜600μm、より好ましくは200〜500μm、さらに好ましくは200〜400μmである。
【0116】
本発明にかかる吸水性樹脂粒子は、40cmにおける毛管吸収倍率が7g/g以上であることが好ましく、より好ましくは15g/g以上、さらに好ましくは25g/g以上である。
本発明の吸水性樹脂粒子は、その改善された吸収特性のため、例えば粉砕バルブと混合されて使用されることによって特に優れた効果を発揮するものである。粉砕パルプとの混合物は、マット状に成形されることにより、例えば紙おむつ、生理用ナプキン等の吸収体の吸水性樹脂層として好適に使用できる。本発明者によって、吸収速度を限りなく速くすることは、逆にその荷重下における吸収速度が低下するものであることが実証された。従って、適当な範囲に吸収速度が制御されることは特にこの用途に好ましい。40cmにおける毛管吸収倍率が7(g/g)以上の範囲に制御されることは、本発明において臨界的な意味を持つものである。更に、本発明の吸水性樹脂粒子は150μmの金網を通過する粒子の割合が造粒前の50%以下であるので粉塵の飛散が少ない利点をも有しており、これまでにない新規な吸水性樹脂粒子を提供するものである。
【0117】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、液拡散部材、液獲得部材、吸水性樹脂、吸収体および吸収性物品の諸性能は以下の方法で測定した。
吸水性樹脂などの試料は、ポリプロピレン製密封容器などの湿気を通さない容器に保存したものを使用し、以下の各種測定は25±1℃、60±5%RHの条件下で行った。
1.毛管吸収倍率および毛管吸収指数
本発明の毛管吸収倍率および毛管吸収指数は、0cm(等水位)および40cmの負の圧力勾配における所定時間内での吸水性樹脂と液拡散部材または液獲得部材の液体の吸収能力を0.419kPa(0.06psi)荷重下で測定する。第1図、第2図を参照して、これらの毛管吸収能力を測定するための装置および方法を記載する。
1−A.40cmの高さにおける毛管吸収能力(図1)
1)多孔質ガラス板1の液吸収面を有する直径60mmのグラスフィルター2(グラスフィルター粒子番号#3、(株)相互理化学硝子製作所製のBuchner型フィルター、TOP17G−3(code No.1175−03))の下部に導管3をつなぎ、この導管3を直径10cmの液溜容器4の下部に備え付けられている口に接続する。前記グラスフィルターの多孔質ガラス板は平均孔径が20〜30μmであって、その毛管力によって60cmの液面高さの差を付けた状態でも水柱の負圧に抗して多孔質ガラス板内に水を保持することができ、空気の導入がない状態を保てるものである。グラスフィルター2に高さを上下させるための支持リング5をはめ、系に生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)6を満たし、液溜容器を天秤上7に載せる。導管中、およびグラスフィルターの多孔質ガラス板の下部に空気がないことを確認してから液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差が40cmになるように調節してグラスフィルターをスタンド8に固定する。
2)多孔質ガラス板1上に測定試料9(吸水性樹脂、液拡散部材または液獲得部材)を以下の条件で載置し、さらにその上に直径59mmの荷重10(0.06psi)を載せ、30分後に測定試料9に吸収された生理食塩水の値(W40)を測定する。
・測定試料9が吸水性樹脂の場合:0.44gをロート中のガラスフイルター上に均一にすばやく散布する。
・測定試料9が液拡散部材または液獲得部材の場合:直径57mmの円形に打ち抜いたサンプルを作成し、乾燥状態での重量(Wi)を測定したのち多孔質ガラス板1上載置し測定する。
1−B.0cmの高さにおける毛管吸収能力(図2)
図2に示す、外気吸入パイプ11、導管12、ガラスフィルター13、生理食塩水14を貯蔵するための液溜容器15および天秤16を有する測定装置(ただし外気吸入パイプ11の下端は生理食塩水中14に没しており、ガラスフィルター13の位置は外気吸入パイプ11の下端よりごくわずかに高い位置に固定されている)のガラスフィルター13上にろ紙17を載せた。ろ紙17表面全体は生理食塩水で濡れた状態になっている。
【0118】
底に400メッシュ(目開き38μm)の金網18を貼着した直径60mmのプラスチック円筒19の金網上に測定試料9を上記条件で載せ、さらにその上に直径59mmの荷重10(0.06psi)を載せた吸液器具を用意した。ガラスフィルター13上のろ紙17上にこの吸液器具を載置し30分後に測定試料9に吸収された生理食塩水の値(W0)を測定する。
本発明の毛管吸収倍率、毛管吸収指数は以下の式で求められる。
1) 液拡散部材の40cmの高さの毛管吸収倍率C(g/g)=吸収量(W40)(g)/吸液前の測定試料の重量(Wi)(g)
2) 液獲得部材の40cmの高さの毛管吸収倍率G(g/g)=吸収量(W40)(g)/吸液前の測定試料の重量(Wi)(g)
3) 吸水性樹脂の40cmの高さの毛管吸収倍率D(g/g)=吸収量(W40)(g)/0.44(g)
4) 液拡散部材の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)=吸収量(W0)(g)/吸液前の測定試料の重量(Wi)(g)
5) 液獲得部材の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)=吸収量(W0)(g)/吸液前の測定試料の重量(Wi)(g)
6) 吸水性樹脂の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)=吸収量(W0)(g)/0.44(g)
7) 液拡散部材の40cmの高さの毛管吸収指数A=液拡散部材の40cmの高さの毛管吸収倍率C(g/g)/液拡散部材の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)
8) 液獲得部材の40cmの高さの毛管吸収指数E=液獲得部材の40cmの高さの毛管吸収倍率G(g/g)/液獲得部材の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)
9) 吸水性樹脂の40cmの高さの毛管吸収指数B=吸水性樹脂の40cmの高さの毛管吸収倍率D(g/g)/吸水性樹脂の0cmの高さの毛管吸収倍率(g/g)
2.吸い上げ高さ
液拡散部材を幅2cm、長さ90cmの状態に準備する。液拡散部材の下端2cm程度が生理食塩水に浸かるようにして液拡散部材を垂直90度に立てかける。液の蒸発がない様にして72時間後に吸液した高さをもとめる。液拡散部材の下端0〜10cmの吸収倍率を100とし、高さ方向に2cmきざみで材をカッターナイフを用いて切断してそれぞれの吸収倍率を求め、下端の吸収倍率の90%の吸収倍率を示す高さを液拡散部材の吸い上げ高さ(cm)とした。
3.吸収倍率
約0.20g(Wp1)の吸水性樹脂を不織布製の袋(60x60mm)に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、重量Wa(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂を用いないで行い、そのときの重量Wb(g)を測定した。そして、これらの重量Wa、Wbから、次式に従って吸水性樹脂の吸収倍率(g/g)を算出した。
【0119】
吸収倍率(g/g)=[重量Wa(g)−重量Wb(g)]/吸水性樹脂の重量Wp1(g)
4.加圧下の吸収倍率
1−Bと同様の図2の装置を用い、加圧下の吸収倍率を測定した。荷重10の代わりに重量を増加させ2.07kPa(0.3psi)および4.83kPa(0.7psi)の圧力になるようにそれぞれ調整した荷重20および荷重21を準備した。底に400メッシュ(目開き38μm)の金網18を貼着した直径60mmのプラスチック円筒19の金網上に吸水性樹脂約0.44g(Wp2)を散布しその上に上記荷重20(2.07kPa(0.3psi)時)または荷重21(4.83kPa(0.7psi)時)を載せた吸液器具を図2のガラスフィルター13上のろ紙17上に載置し30分後に吸水性樹脂に吸収された生理食塩水の値(Wc)を測定する。以下の式を用いて2.07kPa(0.3psi)、4.83kPa(0.7psi)それぞれの加圧下の吸収倍率を求めた。
【0120】
加圧下の吸収倍率(g/g)=Wc/Wp2
5.粒度分布・重量平均粒子径
吸水性樹脂を目開き850μm、600μm、500μm、300μm、150μm、75μm、45μmの篩(必要であれば、さらにJIS標準篩を追加する)を用いて分級し、各篩上に残った樹脂の重量割合を求めた。また重量平均粒子径は分級した後残留百分率Rを対数確率紙にプロットし、R=50%に相当する粒径を重量平均粒子径とした。
6.液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率
液拡散部材を直径57mm円形に裁断したのち予め乾燥、秤量(Wd)(g)した後、この液拡散部材を十分な量の生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に浸した。液を吸収して膨潤した試料を容器から取り出し、試料の一端を支持して1分間つるして液切りした後、直ちに吸液した試料の重量(We)(g)を測定した。
【0121】
上記液切り後の液拡散部材上に、吸水性樹脂0.44gを均一になるように撒き、吸収体を作成した。0.41kPa(0.06psi)荷重下で30分間吸水性樹脂を接触させた後の液拡散部材の重量(Wf)(g)を再度測定し、以下の式により吸収体の液拡散部材中からの液の分配率を測定した。
液分配率(%)=(We−Wf)/(We−Wd)×100
7.液拡散部材を含む吸収体、吸収性物品の製造例と吸収性物品(モデルおむつ)の性能評価
約14gの吸水性樹脂をヒートロンペーパー(帝国パルプ工業、GSP−22、目付け22.4g/m2)上に11×38cmの範囲に均一に散布したのち、吸水性樹脂に対して5〜10重量%のイオン交換水をスプレーして湿潤させ、吸水性樹脂をシート状に成形した。該シートを一夜放置して乾燥した後にその上に大きさ11×38cmの各種液拡散部材を積層し、ヒートロンペーパーの余剰部分で全体を包んで、液拡散部材と吸水性樹脂からなる本発明の吸収体を作成した。
【0122】
大きさ12×40cmの液非透過性の長方形ポリエチレンフィルム(坪量18g/m2)の上に、上記吸収体を液拡散部材が上部になるように載せ、その上から大きさ12×40cmの液透過性ポリエステル不織布を積層し、サイドをテープで接着して吸収性物品(モデルおむつ)を作製した(図3および図4)。
直径14.7cm、長さ46cmの塩ビ管を垂直方向に半分に切り取り、その半円筒の両端、接線方向に20×30cmの大きさの板を貼付けることでU字型の器具を準備した。このU字型器具を90度倒した状態(⊂の形状)に置き、その内側に上記モデルおむつを固定した。この状態は子供がうつ伏せ寝をしたおむつの装着状態を想定している。このおむつを上記器具ごと37℃に保ち、このうつ伏せ寝想定の状態で生理食塩水50ccを20分間隔でおむつ中心部より漏れるまで追尿を続けた。
【0123】
漏れが発生した時点でおむつを取り出し、液拡散部材中の液の拡散率(%)、漏れた時点でのおむつの総吸収量(おむつ最終重量−吸液前のおむつ重量)(g)、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量(g)、おむつの上部半分(うつ伏せ寝を想定したお尻側)の吸水性樹脂の液吸収量(g)を求めた。
8.液獲得部材を含む吸収体、吸収性物品の製造例と吸収性物品の性能評価方法液体非透過性の裏面シートとして大きさ14×40cmの長方形ポリエチレンフィルム(坪量18g/m2)の上に、吸水性樹脂を12×38cmの面積に16.4g散布した(吸水性樹脂の散布量360g/m2)。排尿位置を考えてその中央部よりややずらした位置に大きさ8×24cm(坪量160g/m2)の液獲得部材を積層して吸収体を構成した。
【0124】
その上に液透過性表面材として12×40cmの長方形ポリエステル不織布(坪量20g/m2)を載置して、モデル的な吸収性物品を得た。
上記吸収性物品を机上に平面状に固定し、その上に12×40cmのアクリル板(中央部分に液注入のための直径70mmの円筒が具備されている)および、1.3kgの荷重を載せた。
37℃に調整した生理食塩水75mlを円筒の中に注ぎ、表面シートから液が吸収性物品内部に中に吸収し終わった時間(通液時間)と液透過性表面材から液が液獲得部材または吸水性樹脂に吸収され液透過性表面材の表面近傍に空気が入り表面材表面が白くなるまでの時間(白化時間)を測定した。
【0125】
60分経過後に液獲得部材を吸収性物品より取り出しその重量を測定した。その値よりもとの液獲得部材重量を差し引き、液獲得部材中の残存液量を求めた。測定後、再び元の吸収性物品に戻した。
さらにこれらの操作を計4回、60分毎に繰り返し、4回目注入後の60分間後にアクリル板を取除き、液獲得部材の重量を測定し、吸収性物品に戻した後に、吸収性物品をキッチンペーパー(王子製紙(株)ネピア、46×22cm)15枚を重ねたもので覆い、12kgの荷重(アクリル板14×40cm込)を1分間かけて、キッチンペーパーに逆戻りした液量(戻り量)を測定した。
【0126】
また、前記4回目注入後の60分間後に液透過性表面材の上部より吸収コア中の液拡散面積を測定した(Scm2)。
本発明の吸収性物品中の拡散面積は以下の式で求められる。
拡散面積(%)=液拡散面積(Scm2)/吸収体面積(12×38cm)
9.吸水性樹脂の飽和膨潤時の粒子間隙間率および吸水性樹脂の粒子間平均隙間半径、吸水性樹脂粒子の飽和膨潤時の隙間率および吸水性樹脂粒子の平均隙間半径
図1に示す測定装置を用いて吸水性樹脂および吸水性樹脂粒子の飽和膨潤時の隙間率および平均隙間半径を測定した。
【0127】
毛細管力で半径Rの管を液体が上昇する高さhは、液体の表面張力をγ、接触角をθ、重力加速度をg、液体の密度をρとすると、h=2γcosθ/ρgRと表わされる(P.K.Chatterjee編、「ABSORBENCY」(ELSEVIER)のp36の式(2)p=2γcosθ/Rc(Laplace equation)、及びp37の式(5)Leq=p/ρgの両式から誘導し、Leqをh、RcをRと表記した)。図1の装置においてタンクと測定セルとのヘッド差を0からh(cm)まで持ち上げることにより、膨潤ゲルや吸収体においてそのゲル粒子間や吸収体の隙間に存在していた液体のうちR(μm)という毛細管半径(隙間)より大きい径に保持されていた隙間水が放出され抜け出ていく。従って飽和膨潤され、隙間空間を完全に液で満たされたゲルを高さ0cmから上昇させていき、それぞれ所定の高さでのゲル層の残存隙間液量を測定することで、膨潤ゲル中の隙間半径(毛細管半径)の分布が求められる。
【0128】
以下本発明では、h=2γcosθ/ρgRの式を用いて各々の高さhにおいて求められるサンプルの毛細管半径Rの値をサンプルの隙間半径と定義する。タンクと測定セルとのヘッド差を0から60(cm)まで1cm、2cm、5cm、10cm、20cm、30cm、60cmと段階的に持ち上げることで、それぞれの高さに対応するRの値を有する隙間に保持されていた液が排出されていく。この排出液量を測定することでサンプルの隙間半径(毛細管半径)の分布が計算でき、その値を対数確率紙にプロットし、d50の値を平均隙間半径とする。本実施例ではh=2γcosθ/ρgRの式においてγ:生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)の表面張力(0.0728N/m)、θ:接触角(0°)、ρ:生理食塩水の密度(1000kg/m3)、g:重力加速度9.8m/s2の値を用いるものとする。これにより1cm、2cm、5cm、10cm、20cm、30cm、60cmの位置で保持されている液体はそれぞれ1485、743、297、149、74.3、49.5、24.8μmの隙間半径(毛細管半径)に保持されていると求められる。
10.無荷重下の隙間率および平均隙間半径
1)多孔質ガラス板1(グラスフィルター粒子番号#3;平均孔径20〜30μm程度で60cmの高さの差を付けた状態で空気の導入がないもの)の液吸収面を有する直径60mmのグラスフィルター2の下部に導管3をつなぎ、この導管3を直径10cmの液溜容器4の下部に備え付けられている口に接続する。グラスフィルター2に高さを上下させるための支持リング5をはめ、系に生理食塩水6を満たし、液溜容器を天秤上7に載せる。導管中、およびグラスフィルターの多孔質ガラス板の下部に空気がないことを確認してから液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差が60cmになるように調節してグラスフィルターをスタンド8に固定し天秤の値を0にする。
2)多孔質ガラス板1上に測定試料9(吸水性樹脂、吸収体)を以下の条件で載置する。
・測定試料9が吸水性樹脂の場合:約0.9g(W)をグラスフィルターの多孔質ガラス板1上に均一にすばやく散布する。
・測定試料9が吸収体の場合:直径57mmの円形に打ち抜いたサンプルを作成し、乾燥状態での重量(W)を測定したのち多孔質ガラス板1上に載置し測定する。
3)液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差を−3cmにして(多孔質ガラス板1の方が低い位置)20分間試料を膨潤させる。この時、試料が生理食塩水で完全に浸り、空気の泡が無い状態にする。
4)液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差を0cmにして40分放置し飽和膨潤させに天秤の値を記録する(A0)。なお40分で飽和膨潤しない試料の場合には時間を延長する場合もある。
5)液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差を1cmにして7分間後に天秤の値を記録する(A1)。この隙間水が排出されるまでの平衡時間は試料の隙間径により延長した方がいい場合もある。
6)同様に液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差を2、5、10、20、30、60cmと上昇させていきそれぞれ7分間後に天秤の値を記録する(A2、A5、A10、A20、A30、A60)。
7)液溜容器4中の生理食塩水6上部の液面レベルと多孔質ガラス板1の上部のレベルの高さの差60cmで保持している隙間水を完全に取り除くため試料を取り出し遠心分離(250G、6分)してその重量Bを測定する。
8)(A0−B)が試料中の全隙間水の量であり、(A1、A2、A5、A10、A20、A30、A60)からそれぞれBの値を引いた値が1、2、5、10、20、30、60cmの高さで累積隙間水量となる。先述したように1cm、2cm、5cm、10cm、20cm、30cm、60cmの位置で保持されている液体はそれぞれ最大1485、743、297、149、74.3、49.5、24.8μmの隙間半径(毛細管半径)に保持されていると求められるため、全隙間水量(A0−B)に対するそれぞれの高さでの累積隙間水量の%を計算し、この値と上記毛細管半径の値とを対数確率紙にプロットする(一例を挙げれば、(A2−B)/(A0−B)×100の値がグラフの743μm上にプロットされる)。このグラフの累積隙間量の50%に相当する隙間半径の値(d50)を求め試料の平均隙間半径(μm)とする。
9)試料隙間率は以下の式で求められる。
【0129】
隙間率=(A0−B)/{A0+W/(サンプルの真比重)}×100
10)さらに測定値を確認するため標準サンプルとして350〜500μmおよび1000〜1180μmの球状ガラスビーズを用いて本手法により平均隙間半径を求めたところ、それぞれ86μm、217μmと求められた。
(参考例1)吸水性樹脂(1)の製造方法
アクリル酸21.6部及びアクリル酸ナトリウムの37重量%水溶液228.6部、N,N´−メチレンビスアクリルアミド0.0185部(対モノマー0.01モル%)、ヒドロキシエチルセルロース0.106部、イオン交換水53部を用いてモノマー濃度35重量%、中和率75%の単量体水溶液を得、この単量体水溶液に過硫酸カリウム0.09部を溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。
【0130】
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および滴下ロートを付した四つ口セパラブルフラスコ中にシクロヘキサン800部を取り、分散剤としてショ糖脂肪酸エステル(HLB=6)4部を加えて溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。次いで、単量体水溶液を上記セパラブルフラスコに攪拌下に加えて分散させた。その後、浴温を65℃に昇温して重合反応を開始させた後、2時間この温度に保持して重合を完結させた。重合終了後、共沸脱水により大部分の水分を取除いた後、濾過し更に100℃で減圧乾燥することにより含水率8%の樹脂を得た。ステンレス製ビーカー中で、得られた樹脂100部にエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1部、水3部、イソプロパノール1部を混合し、得られた混合物を120℃で30分間加熱処理を行なったのち粒子を前記と同様のセパラブルフラスコに移し、粒子の5倍量(重量)のメタノールを加えて、60℃で10分間攪拌し、次いで濾紙で濾過して粒子を分離した後、60℃で2時間、50〜100mmHg減圧下で乾燥して、吸水性樹脂(1)を得た。吸水性樹脂(1)の重量平均粒子径は105μmであった。また吸水性樹脂の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は45.5(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは27.4(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Bは0.60であった。
【0131】
(参考例2)吸水性樹脂(2)の製造方法
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の33重量%水溶液5500部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)5部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4部およびL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0132】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、重量平均粒子径が360μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が3重量%の不定形破砕状の樹脂を得た。
得られた樹脂100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、グリセリン0.75重量部と、水3重量部、乳酸0.3部、イソプロピルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤組成液を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(2´)を得た。得られた吸水性樹脂(2´)をさらに目開き250μmの金網を通過させ、篩い下の吸水性樹脂(2)を得た。吸水性樹脂(2)の重量平均粒子径は120μmであった。また吸水性樹脂の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は33.8(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは19.4(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Bは0.57であった。吸水性樹脂(2)の粒度分布は、150〜850μmが31%、150μm以下は69%であった。
【0133】
(参考例3)吸水性樹脂(3)の製造方法
アクリル酸ナトリウム(中和率71モル%)の38重量%水溶液5500部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)8.1部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4部およびL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、20〜95℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0134】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し106μmの篩上に残る、重量平均粒子径が400μmの不定形破砕状の樹脂を得た。
得られた樹脂100重量部に、1,4−ブタンジオール0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部、水3重量部とからなる表面架橋剤組成液を混合した。上記の混合物を210℃で30分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(3)を得た。吸水性樹脂(3)の重量平均粒子径は420μmであった。また吸水性樹脂の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は37.8(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは4.30(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Bは0.11であった。吸水性樹脂(3)の粒度分布は、150〜850μmが95%、150μm以下は5%であった。
【0135】
(参考例4)液拡散部材(1)の製造方法
高内部相油中水型エマルション(HIPE)を用い多孔質架橋重合体の液拡散部材を製造した。HIPEを形成するための水相として、無水塩化カルシウム20.7部と過硫酸カリウム0.415部を純水394部に溶解した。別にスチレン0.438部、2−エチルヘキシルアクリレート5.449部、55%ジビニルベンゼン3.459部の混合物にジグリセロールモノオレエート0.654部を添加し油相とした。水相は温度80℃、流量75.2cm3/s、油相は温度22℃、流量1.88g/sでそれぞれ別々にピン型の攪拌羽根付き混合装置に連続供給し、1600rpmで攪拌混合することにより、79℃の高内部相油中水型エマルションを得た。
【0136】
得られた高内部相油中水型エマルションをPETフィルムで覆われた駆動ベルト上に厚みを5mmで成形し、上面をさらにPETフィルムで覆い、内部温度95℃に設定された硬化炉を移動速度1.5m/minで通過させて10分間で重合させ、湿潤状態の多孔質架橋重合体を得た。この湿潤状態の重合体を脱水し、含水率20%まで乾燥して、厚さ1mmの多孔質重合体である液拡散部材(1)を得た。液拡散部材(1)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は33.6(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは14.2(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.42であった。また吸い上げ高さは45cmであった。
【0137】
(参考例5)液拡散部材(2)の製造方法
液拡散部材(1)の製造方法で用いた油相を、スチレン1.649部、2−エチルヘキシルアクリレート5.449部、55%ジビニルベンゼン2.248部の混合物にジグリセロールモノオレエート0.654部を添加したものに変更した以外は同様の操作を行い含水率22%、厚さ1mmの液拡散部材(2)を得た。液拡散部材(2)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は27.0(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは7.6(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.28であった。また吸い上げ高さは35cmであった。
【0138】
(参考例6)液拡散部材(3)の製造方法
子供用使い捨ておむつに使用する綿状パルプを湿潤させ、吸引後圧縮することにより、密度0.3g/cm3で坪量260g/m2に積層された液拡散部材(3)を得た。液拡散部材(3)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は6.6(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは2.1(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.32であった。また吸い上げ高さは30cmであった。
(参考例7)液拡散部材(4)の製造方法
子供用使い捨ておむつに使用する綿状パルプ(密度0.03g/cm3で坪量260g/m2)を液拡散部材(4)として使用した。液拡散部材(4)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は13.7(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは0.5(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.04であった。また吸い上げ高さは10cm未満であった。
【0139】
(実施例1)
液拡散部材を含む吸収体と吸収性物品の製造例の項に記載した方法によって、吸水性樹脂(1)と液拡散部材(1)を組合せた吸収体(1)を得た。該吸収体を構成する吸水性樹脂(1)および液拡散部材(1)の毛管吸収指数と毛管吸収倍率は各参考例に示した通りであり、液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=1.4、液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=1.9であった。
【0140】
吸収体(1)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(1)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(1)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ47%、165gと非常に優れた値を示した。
(実施例2)
吸水性樹脂(2)と液拡散部材(1)を組合わせた吸収体(2)を得た。液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=1.4、液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=1.4であった。
【0141】
吸収体(2)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(2)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(2)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ23%、102gと優れた値を示した。
(比較例1)
吸水性樹脂(3)と液拡散部材(1)を組合わせた吸収体(3)を得た。液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=0.3、液拡散部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=0.3であった。
【0142】
吸収体(3)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(3)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(3)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ13%、33gであった。
実施例1、2、比較例1より同じ液拡散部材を用いた場合でも吸水性樹脂の毛管吸収能力との関係が本発明の関係をみたすものと、満たさないものでは吸水性樹脂へ液の分配率がことなり、おむつ中の吸水性樹脂の吸収性が大きく異なることが示される。
【0143】
(実施例3)
液拡散部材(1)をさらに半分の厚みになるようにスライスし厚さ約0.5mmの液拡散部材(1´)を得、吸水性樹脂(1)と組合わせた吸収体(4)を得た。液拡散部材(1´)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=1.9、液拡散部材(1´)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=2.2であった。吸水性樹脂と液拡散部材の合計量に対する吸水性樹脂の重量割合は80重量%であった。
【0144】
吸収体(4)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(4)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(4)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ52%、81gと優れた値を示した。
実施例1、3と比較例4より吸収性物品(1)から液拡散部材の量をさらに低減させた吸水性物品(3)は現状の市販おむつのである比較例4のおむつに比べて使用部材量が30%も低減されているにもかかわらず液の総吸収量はまだまだ高いレベルにある。このように本発明の吸収体を用いることでさらに軽量、薄型のおむつの設計が可能になる。
【0145】
(実施例4)
吸水性樹脂(1)と液拡散部材(2)を組合わせた吸収体(5)を得た。液拡散部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=2.1、液拡散部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=3.6であった。
吸収体(5)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(5)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(5)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ51%、77gと優れた値を示した。この場合おむつに使用する部材が低減でき、より薄型で性能に優れたおむつが製造できる。
【0146】
(比較例2)
吸水性樹脂(3)と液拡散部材(2)を組合わせた吸収体(6)を得た。液拡散部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=0.4、液拡散部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=0.6であった。
吸収体(6)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(6)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(6)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表1に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ13%、17gと低かった。
【0147】
実施例4、比較例2からも、同じ液拡散部材を用いているが吸水性樹脂の毛管吸収能力との関係が本発明の関係をみたすものと、満たさないものでは液拡散部材からの吸水性樹脂への液分配率、おむつ中の吸水性樹脂の吸収量が大きく異なることがわかる。
(実施例5)
吸水性樹脂(1)と液拡散部材(3)を組合わせた吸収体(7)を得た。液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=1.9、液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=13.0であった。
【0148】
吸収体(7)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(7)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(7)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表2に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ87%、121gと優れた値を示した。しかし液拡散部材(3)は0cmの高さにおける毛管吸収倍率が6.6(g/g)と低いためおむつの総吸収量としては低めであった。
【0149】
(実施例6)
吸水性樹脂(2)と液拡散部材(3)を組合わせた吸収体(8)を得た。液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=1.8、液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=9.2であった。
吸収体(8)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(8)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(8)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表2に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力がそれぞれ84%、122gと優れた値を示した。しかし液拡散部材(3)は0cmの高さにおける毛管吸収倍率が6.6(g/g)と低いためおむつの総吸収量としては低めであった。
【0150】
(実施例7)
吸水性樹脂(3)と液拡散部材(3)を組合わせた吸収体(9)を得た。液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=0.4、液拡散部材(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比、D/C=2.0であった。
吸収体(9)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(9)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(9)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表2に示したが、液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率は66%と優れているものの、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液拡散部材からの液の吸収能力は33gであった。このことから吸水性樹脂(3)と液拡散部材(3)の組み合わせは使用方法により吸水性樹脂の液吸収能力が発揮されにくい場合があるため注意を有する。
【0151】
実施例5〜7は0cm、40cmの高さにおける毛管吸収倍率の低い液拡散部材を用いた例である。実施例5,6は液拡散部材から吸水性樹脂の液分配率が高く、液拡散部材からの吸水性樹脂への液分配率、おむつ中の吸水性樹脂の吸収量が大きい。実施例7は液拡散貯蔵係数2のみが本願の範囲の例である。また実施例5〜7は液拡散部材の0cm、40cmの高さにおける毛管吸収倍率が低いためおむつの総吸収量は低い。
(比較例3)
吸水性樹脂(3)と液拡散部材(4)を組合わせた吸収体(10)を得た。液拡散部材(4)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=2.9、液拡散部材(4)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dの比D/C=8.1と高いものの、液拡散部材(4)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは0.5(g/g)であり、液拡散部材(4)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.04(g/g)と低く、液拡散能力が低いものである。
【0152】
吸収体(10)を用いて液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率を求め、さらに吸収体(10)を用いてモデルおむつとしての吸収性物品(10)を作成し、液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量、おむつ中の吸水性樹脂の液吸収量、おむつの上部半分の吸水性樹脂の液吸収量を求めた。結果を表2に示した。液拡散部材から吸水性樹脂への液分配率は84%と優れているものの、おむつ中の液拡散率は64%と低く、俯せ寝を想定したおむつの上側半分での吸水性樹脂の液の吸収量も16gと非常に低かった。
(比較例4)
本発明の吸収体に代えて、市販の子供用おむつ(P&Gパンパースさらさらケア、サイズL,おむつ重量57g、吸収体重量24.0g:吸水性樹脂12.4g、綿状パルプ12.2g)を吸収性物品(11)とした。吸収性物品(11)の液拡散部材中の液の拡散率、漏れた時点でのおむつの総吸収量を求めた。結果を表2に示したがおむつ中の液拡散率は62%と低かった。
【0153】
【表1】
Figure 0004261853
【0154】
【表2】
Figure 0004261853
【0155】
(参考例8)吸水性樹脂(4)の製造方法
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の33重量%水溶液5500部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)4.9部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4部およびL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0156】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、重量平均粒子径が340μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が3重量%の不定形破砕状の樹脂を得た。
得られた樹脂100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、プロピレングリコール0.9重量部と、水3重量部、イソプロピルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤組成液を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(4)を得た。吸水性樹脂(4)の重量平均粒子径は347μmであった。また吸水性樹脂(4)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は39.9(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは11.4(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Bは0.29であった。
【0157】
(参考例9)吸水性樹脂(5)の製造方法
アクリル酸ナトリウム(中和率71モル%)の38重量%水溶液5500部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)8.1部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4部およびL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、20〜95℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0158】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmの篩を通過し106μmの篩上に残る、重量平均粒子径が400μmの不定形破砕状の樹脂を得た。
得られた樹脂100重量部に、1,4−ブタンジオール0.3重量部と、プロピレングリコール0.5重量部、水3重量部とからなる表面架橋剤組成液を混合した。上記の混合物を210℃で30分間加熱処理したあと親水性二酸化ケイ素微粉末(日本アエロジル社製、アエロジル200)0.5部を加えて表面部分にコーティングし、吸水性樹脂(5)を得た。吸水性樹脂(5)の重量平均粒子径は500μmであった。また吸水性樹脂(5)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は37.4(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは2.8(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Bは0.08であった。
【0159】
(参考例10)液獲得部材(1)
液獲得部材として、市販の子供用おむつ(P&Gパンパースさらさらケア、サイズL,おむつ重量57g)に用いられていた上下を不織布で覆われた状態の架橋セルロースをとりだし、8cm×30cmの大きさで液獲得部材(1)として使用した。また液獲得部材(1)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は14.4(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは0.18(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.014であった。
(参考例11)液獲得部材(2)
液獲得部材として、子供用おむつに使用する綿状パルプ3gを8cm×30cmの大きさに広げシート化し、液獲得部材(2)として使用した(密度0.03g/cm3で坪量260g/m2)。液獲得部材(2)の0cmの高さにおける毛管吸収倍率は13.8(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは0.53(g/g)、40cmの高さにおける毛管吸収指数Aは0.038であった。
【0160】
(実施例8)
吸水性樹脂(4)16.4gを12×38cmの面積に散布して散布量360g/m2の吸水性樹脂層を形成させ、その上に前述の作成方法に従い液獲得部材(1)(12×24cm、重量3.8g)を載置した吸収体(12)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(4)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=20.7、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Cは0.18(g/g)であり、吸水性樹脂(4)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは11.4(g/g)あった。
【0161】
吸収体(12)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(12)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表3に示したが、白化時間も速く、液獲得部材中の残存液量が少なく、戻り量も少ないことから、液獲得部材から吸水性樹脂層が液を良好に吸収しドライ感に優れたおむつが得られることがわかる。
(実施例9)
実施例8と同様にして吸水性樹脂(2)と液獲得部材(1)を組合わせた吸収体(13)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=41.0、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.18(g/g)であり、吸水性樹脂(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは19.4(g/g)あった。
【0162】
吸収体(13)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(13)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表3に示したが、白化時間も速く、液獲得部材中の残存液量が少なく、戻り量も少ないことから、液獲得部材から吸水性樹脂層が液を良好に吸収しドライ感に優れたおむつが得られることがわかる。
(実施例10)
実施例8と同様にして吸水性樹脂(1)と液獲得部材(1)を組合わせた吸収体(14)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=43.0、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.18(g/g)であり、吸水性樹脂(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは27.4(g/g)あった。
【0163】
吸収体(14)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(14)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表3に示したが、白化時間も速く、液獲得部材中の残存液量が少なく、戻り量も少ないことから、液獲得部材から吸水性樹脂層が液を良好に吸収しドライ感に優れたおむつが得られることがわかる。
(実施例11)
実施例8と同様にして吸水性樹脂(4)と液獲得部材(2)を組合わせた吸収体(15)を得た。液獲得部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(4)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=7.6、液獲得部材(2)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.53(g/g)であり、吸水性樹脂(4)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは11.4(g/g)あった。
【0164】
吸収体(15)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(15)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表3に示したが、白化時間も速く、液獲得部材中の残存液量が少なく、戻り量も少ないことから、液獲得部材から吸水性樹脂層が液を良好に吸収しドライ感に優れたおむつが得られることがわかる。
(比較例5)
実施例8と同様にして吸水性樹脂(5)と液獲得部材(1)を組合わせた吸収体(16)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(5)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=5.4、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.18(g/g)であり、吸水性樹脂(5)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは2.8(g/g)あった。
【0165】
吸収体(16)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(16)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表4に示したが、白化時間が遅く、液獲得部材中の残存液量、戻り量も多くことから液獲得部材から吸水性樹脂層への液の吸収がスムーズに行えていないことがわかる。
(比較例6)
実施例8と同様にして吸水性樹脂(3)と液獲得部材(1)を組合わせた吸収体(17)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=8.1、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.18(g/g)であり、吸水性樹脂(3)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは4.3(g/g)あった。
【0166】
吸収体(17)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(17)を作成し、通液時間、白化時間、液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表4に示したが、白化時間が遅く、戻り量も多いことから液獲得部材から吸水性樹脂層への液の吸収がスムーズに行えていないことがわかる。
(比較例7)
吸水性樹脂(4)8.2gと子供用おむつに使用する綿状パルプ8.2gを混合し、12×38cmのブレンドコアを作成した。このものの毛管吸収能力を表4に示した。液獲得部材(1)と上記ブレンドコアを表4に記載の使用量で組み合わせ、吸収体(18)を得た。液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収指数Aに対する上記ブレンドコアの40cmの高さにおける毛管吸収指数Bの比B/A=5.6、液獲得部材(1)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率は0.18(g/g)であり、上記ブレンドコアの40cmの高さにおける毛管吸収倍率は2.3(g/g)あった。
【0167】
吸収体(18)を用いて前述の作成方法に従いモデルおむつとしての吸収性物品(18)を作成し、吸液速度、液拡散材のドライ速度、1時間後の液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表4に示したが、白化時間が遅く、液獲得部材中の残存液量、戻り量も多くことから液獲得部材から吸水性樹脂層への液の吸収がスムーズに行えていないことがわかる。
(比較例8)
実施例8において液拡散部材を用いない他は同様の操作を行いモデルおむつとしての吸収性物品(19)を作成し、吸液速度、液拡散材のドライ速度、1時間後の液獲得部材中の残存液量、戻り量を求めた。結果を表4に示したが、通液時間が非常に遅く、液がスムーズに吸収されないことがわかる。
【0168】
【表3】
Figure 0004261853
【0169】
【表4】
Figure 0004261853
【0170】
(参考例12)吸水性樹脂(6)の製造方法
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の33重量%水溶液5500部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)4.9部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム2.4部およびL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0171】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに30メッシュの金網で分級することにより、重量平均粒子径が280μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が5重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体を得た。
得られた吸水性樹脂前駆体100重量部に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05重量部と、プロピレングリコール0.9重量部と、水3重量部、イソプロピルアルコール1重量部とからなる表面架橋剤組成液を混合した。上記の混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、吸水性樹脂(6)を得た。吸水性樹脂(6)の重量平均粒子径は265μmであった。また吸水性樹脂(6)の40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは11.4(g/g)であった。吸水性樹脂(6)の粒度分布は、150〜850μmの粒子が90重量%、150μm未満の粒子が10重量%であった。
【0172】
(参考例13)水分散性微粒子の分散液
水分散性微粒子として、アエロジル200(超微粒子の酸化硅素、日本アエロジル株式会社製)5重量部をイオン交換水70重量部を高速攪拌混合機(2000rpm)で2時間混合させた。混合後、24時間で室温放置し、水分散性微粒子の分散液を得た。水分散性微粒子の粘度は1000cpsであった。
(実施例12)
吸水性樹脂(6)100重量部に対して、参考例13で得た水分散性粒子の分散液を7重量部添加混合し、60℃で30分放置後、混合物を解砕し、全ての粒子を850μmの開孔を有する金網を通過せしめ本発明の吸水性樹脂粒子(1)を得た。この物の粒度分布は、150〜850μmの粒子が97重量%、150μm以下の粒子が3重量%であった。また重量平均粒子径は500μmであった。結果を表5に示した。
【0173】
得られた吸収性樹脂粒子(1)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(20)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。
(実施例13)
参考例13で得た水分散性粒子の分散液を7重量部とイオン水13重量部を混合し分散液を得た。吸水性樹脂(2)100重量部に対して、分散液を20重量部添加混合し、60℃で30分放置後、混合物を解砕し、全ての粒子を850μmの開孔を有する金網を通過せしめ本発明の吸水性樹脂粒子(2)を得た。この物の粒度分布は、150〜850μmの粒子が85重量%、150μm以下の粒子が15重量%であった。また重量平均粒子径は308μmであった。
【0174】
得られた吸収性樹脂粒子(2)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(21)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。
(比較例9)
吸水性樹脂(2)100重量部に対して、アエロジル200(二酸化珪素微粉末、日本アエロジル株式会社製)を0.5重量部を加えて吸収性樹脂を混合し、更にイオン交換水20重量部を添加混合した。60℃で30分放置後、混合物を解砕し、全ての粒子を850μmの開孔を有する金網を通過せしめ吸水性樹脂粒子(3)を得た。この物の粒度分布は、150〜850μmの粒子が59重量%、150μm以下の粒子が41重量%であった。また重量平均粒子径は174μmであった。
【0175】
得られた吸収性樹脂粒子(3)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(22)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。
(比較例10)
吸水性樹脂(2)100重量部に対して、イオン交換水20重量部を添加混合し、60℃で30分放置後、混合物を解砕し、全ての粒子を850μmの開孔を有する金網を通過せしめ吸水性樹脂粒子(4)を得た。この物の粒度分布は、150〜850μmの粒子が61重量%、150μm以下の粒子が39重量%であった。また重量平均粒子径は180μmであったが、脆く崩壊し易いものであった。
【0176】
得られた吸収性樹脂粒子(4)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(23)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。
(比較例11)
得られた吸収性樹脂(2)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(24)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。吸収体を作成の際、粉塵が飛散し取扱い性が困難であった。
【0177】
(比較例12)
得られた吸収性樹脂(3)と液獲得部材(2)を用い、前述の方法に従い、モデルおむつとしての吸収性物品(25)を作成し、通液時間、拡散面積、戻り量を上記評価方法に従って評価し表5に示した。
なお、本明細書において、実施例7−8および実施例11−13は、参考例として扱われるものである。
【0178】
【表5】
Figure 0004261853
【0179】
【発明の効果】
本発明によれば、液拡散部材および吸水性樹脂を用いる吸収体や吸収性物品において、表面積の大きい材料等の補助材料を用いずとも液拡散部材から吸水性樹脂に液が十分に受け渡され吸収される、すなわち液の拡散能力および貯蔵能力の両者に優れた吸収体、吸収性物品、および該吸収体、吸収性物品に好適に使用できる吸水性樹脂を提供することができ、また、液獲得部材および吸水性樹脂を用いる吸収体や吸収性物品において、吸水性樹脂濃度をより高めた場合であっても、液獲得部材から吸水性樹脂に液が良好に移行し、繰り返し液を吸収してもその液獲得機能が大きく低下せず、ドライ感、液の戻り量に優れ、かつより薄型、軽量化を実現する吸収体、吸収性物品、および該吸収体、吸収性物品に好適に使用できる吸水性樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における毛管吸収倍率、毛管吸収指数を求めるための測定に用いる測定装置の概略の断面図である。この装置では40cmの高さの毛管吸収倍率が測定される。
【図2】本発明における毛管吸収倍率、毛管吸収指数を求めるための測定に用いる測定装置の概略の断面図である。この装置では0cmの高さの毛管吸収倍率、および吸水性樹脂の加圧下の吸収倍率が測定される。
【図3】本発明における吸収性物品の概略の斜視図。
【図4】本発明における吸収性物品の概略の断面図。
【符号の説明】
1 多孔質ガラス板
2 グラスフィルター
3 導管
4 液溜容器
5 支持リング
6 生理食塩水
7 天秤
8 スタンド
9 測定試料(吸水性樹脂または液拡散部材)
10 荷重(0.41kPa(0.06psi))
11 外気吸入パイプ
12 導管
13 ガラスフィルター
14 生理食塩水
15 液溜容器
16 天秤
17 ろ紙
18 金網
19 プラスチック円筒
10 荷重(0.41kPa(0.06psi))
20 荷重(2.07kPa(0.3psi))
21 荷重(4.83kPa(0.7psi))
31 液透過性ポリエステル不織布
32 吸水性樹脂
33 液拡散部材
34 液非透過性ポリエチレンフィルム
35 ヒートロンペーパー
36 接着テープ

Claims (8)

  1. ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を主成分とする吸水性樹脂であって、重量平均粒子径が50〜300μmであり、0cmの高さにおける毛管吸収倍率が20(g/g)以上であり、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dが15(g/g)以上の吸水性樹脂。
    ただし、40cmの高さにおける毛管吸収倍率Dは、吸液位置の高さH1が液貯蔵容器の液面の高さH2よりも高い位置(高度差が40cm)にある状態で吸水性樹脂0.44gが加圧下(0.06psi)のもと30分間で吸収する液の量から計算される吸収倍率である。
  2. 40cmの高さにおける毛管吸収指数Bが0.4以上である、請求項1記載の吸水性樹脂。
    ただし、毛管吸収指数B=(40cmの高さにおける毛管吸収倍率D)/(0cmの高さにおける毛管吸収倍率)。
  3. 2.07kPa(0.3psi)加圧下の吸収倍率が20〜50(g/g)である、請求項1または2記載の吸水性樹脂。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の吸水性樹脂に、水不溶性微粒子状無機粉体を含む、吸水性樹脂粒子。
  5. 重量平均粒子径が50〜300μmの吸水性樹脂を造粒してなる粒子である、請求項4に記載の吸水性樹脂粒子。
  6. 吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径が造粒前から50%以上上昇されてなる、請求項4または5に記載の吸水性樹脂粒子。
  7. 重量平均粒子径が50〜300μm、生理食塩水(0.9重量%NaCl水溶液)に飽和膨潤させた時の無加圧下における飽和膨潤時の粒子間隙間率が30〜50%、かつ無加圧下における飽和膨潤時の粒子間平均隙間半径が80〜150μmのポリアクリル酸(塩)系架橋重合体を主成分とする吸水性樹脂に、水分散性微粒子の分散液を添加することにより重量平均粒子径を50%以上上昇させることを特徴とする、吸水性樹脂粒子の製造方法。
  8. 水分散性微粒子として、重量平均1次粒子径が3μm以下の粉末を用いる、請求項7に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
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