JP5008790B2 - 表面架橋吸水性樹脂および吸水性樹脂の表面架橋方法 - Google Patents

表面架橋吸水性樹脂および吸水性樹脂の表面架橋方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙オムツ(使い捨てオムツ)や生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料に好適に用いられる表面架橋吸水性樹脂、これを得るための吸水性樹脂の表面架橋方法、および、前記表面架橋吸水性樹脂を吸水剤として用いた吸収性物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料には、その構成材として、体液を吸収させることを目的とし吸水性樹脂が幅広く使用されている。
上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの架橋体、及びカチオン性モノマーの架橋体等が知られている。
【0003】
上記の吸水性樹脂が備えるべき特性としては、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水量や吸収速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上げる吸引力等が挙げられる。しかしながら、これらの諸特性間の関係は必ずしも正の相関関係を示さず、例えば、無加圧下の吸収倍率の高いものほど加圧下の吸収特性は低下してしまう。
このような、吸水性樹脂の吸水諸特性をバランス良く改良する方法として吸水性樹脂の表面近傍を架橋する技術が知られており、これまでに様々な方法が開示されている。
【0004】
例えば、架橋剤として、多価アルコールを用いる方法(特開昭58−180233号公報、特開昭61−16903号公報)、多価グリシジル化合物、多価アジリジン化合物、多価アミン化合物、多価イソシアネート化合物を用いる方法(特開昭59−189103号公報)、グリオキシサールを用いる方法(特開昭52−117393号公報)、多価金属を用いる方法(特開昭51−136588号公報、特開昭61−257235号公報、特開昭62−7745号公報)、シランカップリング剤を用いる方法(特開昭61−211305号公報、特開昭61−252212号公報、特開昭61−264006号公報)、アルキレンカーボネートを用いる方法(独国特許第4020780号公報)等が知られている。また、架橋反応時に、架橋剤の分散性を向上させる目的で不活性無機粉末を存在させる方法(特開昭60−163956号公報、特開昭60−255814号公報)、二価アルコールを存在させる方法(特開平1−292004号公報)、水とエーテル化合物とを存在させる方法(特開平2−153903号公報)、一価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、有機酸塩、ラクタム等を存在させる方法(欧州特許第555692号公報)、リン酸を存在させる方法(特表平8−508517号公報)も知られている。
【0005】
しかしながら、これまでの吸水性樹脂の表面近傍を単に架橋するという技術では近年のますます高度化された吸水性樹脂の要求性能に十分対応するのが困難になってきた。例えば、近年、衛生材料においては、吸水性樹脂の使用量が多くなる一方、薄型化が図られる傾向にある。このような薄型化が図られた、いわゆる樹脂濃度の高い衛生材料の構成材に使用される吸水性樹脂に所望される諸特性として、無加圧下での吸収倍率、高加圧下での吸収倍率、通液性等の吸収特性が挙げられるが、上記表面架橋によりこれらの値をバランスを取りながら追い求めても、やはり物性間にはある程度の相反する相関が依然として存在し、ある物性を重視して製造した樹脂が使用条件によっては衛生材料中で十分な物性を示さないことがあることが判明した。
【0006】
すなわち、薄型化の図られた衛生材料中で吸水性樹脂が十分その性能を発揮し、常に吸収特性を高度に維持するためには、これまでにいわれているような、架橋剤の種類を限定したり、無加圧下での吸収倍率、高加圧下での吸収倍率、通液性等の吸収特性を表面架橋の尺度として追い求めたりして表面架橋条件を設定しただけでは、いまだ全体として満足のいく性能を安定的に衛生材料に付与できていないというのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、衛生材料等に用いる場合に吸水性樹脂の樹脂濃度を高くしても優れた吸収特性を示すことができる表面架橋吸水性樹脂を提供することと、これを得るための新しい表面架橋方法および前記表面架橋吸水性樹脂を吸水剤として用いた吸収性物品を提供することとにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく、これまでの表面架橋吸水性樹脂について、特に、その表面架橋構造について、詳しく検討した結果、従来の表面架橋吸水性樹脂において、その表面架橋層の厚みの制御にまだまだ問題があり、吸水性能をある時点から低下させる場合があることが判明した。
表面架橋層が厚すぎると、表面架橋層が吸水性樹脂の吸水能力を妨げると考えられるため、これまでも、表面架橋後の吸水倍率を大きく低下させない架橋方法が提案されてきた。しかし、本発明者の詳しく観察したところでは、このようにして得られた従来の、比較的薄いと思われている表面架橋層であっても、吸水性樹脂の吸水能力を大きくは妨げないものの、まだまだ厚すぎるものであって、膨潤時や膨潤後に表面架橋層中にクラックが入ることが判明した。このクラックにより、吸水性樹脂に対する表面架橋処理効果の一部が、特に経時的に失われていたのである。
【0009】
このように、本発明者が吸水性樹脂の表面架橋構造について詳しく検討した結果、これまでのような、無加圧下での吸収倍率や高加圧下での吸収倍率のバランスや、通液性等の吸収特性に着目して最適化を行うのではなく、吸水性樹脂の粒子表面に形成される表面架橋層の厚みに着目し、該厚みを非常にうすい、サブミクロン単位の特定範囲に制御すること、または、吸水性樹脂全体に対する表面架橋層の重量%を特定範囲に制御することで、衛生材料等に用いる場合に樹脂濃度を高くしても常に優れた吸収特性を示すことができる表面架橋吸水性樹脂(吸水剤)となると想到した。
【0010】
本発明者が表面架橋層厚みと吸水性能を種々検討した結果、表面架橋層の厚みとしては、1000nm以下であることが必要であること、また、膨潤時のクラックを考えた場合、50nm以上が必要であることを見出した。これらの架橋層の厚みから吸水性樹脂全体に対する表面架橋層の重量%としては、0.3〜3重量%であることが必要であることも見出した。
ここで、上に言う、表面架橋層の厚みや重量%は、ベースポリマーとしての吸水性樹脂に対し表面架橋処理を行って得られる表面架橋吸水性樹脂を飽和膨潤させて樹脂内部を可溶化処理した後に残存する表面架橋層の平均厚みであり、平均重量%を意味する。表面架橋層はベースポリマーとしての吸水性樹脂粒子の表面全体を均一に覆っていることが好ましいが、一部を覆うだけであっても良い。
【0011】
つぎに、本発明者は、このような厚み制御を容易とさせる方法についても、詳しく検討した。すなわち、上述のごとき表面架橋層厚みの制御の十分になされた表面架橋吸水性樹脂を安定的に製造できる、吸水性樹脂の表面架橋方法についても検討した結果、表面架橋処理に当たっては、吸水性樹脂に対し表面架橋処理を行って得られる表面架橋吸水性樹脂を飽和膨潤させて樹脂内部を可溶化処理した後に残存する表面架橋層の厚みが50nm以上、1000nm以下となる条件を満たすか、および/または、吸水性樹脂全体に対する表面架橋層の重量%が0.3〜3重量%となる条件を満たすかする架橋処理条件で行うのであるが、このことは、例えば、ベースポリマーとしての吸水性樹脂および/または表面架橋剤含有液の各温度を一定範囲内に保っておくことで制御しやすいし、吸水性樹脂と表面架橋剤含有液の温度差を一定範囲内に保っておくことでも制御しやすい。
【0012】
本発明者が見出した上記表面架橋吸水性樹脂の性能向上手法は、これまでに検討されてきた手法とは全く異なり、特定範囲の厚みか重量%を有する表面架橋層を形成させるということが最大の特徴であって、吸水性樹脂に対する性能向上のための手法として特に有効である。
かくして、本発明は完成された。
したがって、本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂は、アクリル酸および/またはその塩を主成分とし前記主成分に対して他の単量体が30モル%以下である親水性単量体を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂の表面を架橋してなる表面架橋吸水性樹脂であって、表面架橋層の厚みが100〜600nmであることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、アクリル酸および/またはその塩を主成分とし前記主成分に対して他の単量体が30モル%以下である親水性単量体を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂に表面架橋剤を接触させて前記吸水性樹脂の表面を架橋処理する方法であって、前記架橋処理を、吸水性樹脂に対し表面架橋処理を行って得られる表面架橋吸水性樹脂を飽和膨潤させて樹脂内部を可溶化処理した後に残存する表面架橋層の厚みが100〜600nmとなる条件を満たす架橋処理条件で行うことを特徴とし、具体的には、吸水性樹脂に表面架橋剤含有液を接触させる際に、前記吸水性樹脂の温度を5〜20℃にしておくか、および/または、前記表面架橋剤含有液の温度を0〜20℃にしておく。また、吸水性樹脂に表面架橋剤含有液を接触させる際における、前記吸水性樹脂と表面架橋剤含有液の温度差を0〜20℃にしておく。
【0014】
本発明にかかる吸収性物品は、吸水剤と繊維基剤を含み前記吸水剤の量が吸水剤と繊維基材の合計重量に対し40重量%以上である吸収性物品であって、前記吸水剤として、上記本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂を用いることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂は、表面架橋層の厚みが50nm以上、1000nm以下であるか、および/または、表面架橋層の樹脂全体に対する重量割合が0.3〜3%である。
吸水性樹脂の平均粒径としては、限定する訳ではないが、100〜1000μmであることが、好ましい。
本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂は、このように、吸水性樹脂の表面架橋層の厚みを、実際厚みか重量割合で制御したものであるが、表面架橋層の厚みについて「モダーン・スーパー・アブソーベント・ポリマー・テクノロジー(Modern Superabsorbent Polymer Technology)」(Dow chemical company, 1997 WILEY−VCH)にその厚みを求める測定法が提案されている。それによると、表面架橋層の厚みはほぼ100μm程度であるとの記載がある。また、特開平6−20046号公報に、表面架橋の架橋深さはベースの粒子半径の40%以下、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下ということも記載されており、これによれば、平均粒子半径を200μm(平均粒径400μm)と仮定した場合、架橋層の厚みは80μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下ということになる。
【0016】
本発明者は、吸水性樹脂の表面架橋層をはじめて実際に単離して(殻として得て)、この厚みと吸収特性の関係、吸水性樹脂全体に対する架橋層の重量%と吸収特性の関係について鋭意検討した結果、表面架橋層を、これまでに報告されている厚みより非常にうすい、サブミクロン単位でコントロールした場合に、または吸水性樹脂全体に対する架橋層の重量%を非常に少量の特定範囲内にコントロールした場合に、得られた表面架橋吸水性樹脂(吸水剤)は樹脂濃度が40重量%以上と高い吸収性物品においても、常に優れた吸収特性を示すことを見い出したものである。
【0017】
表面架橋層の単離は、表面層の安定性と内部の安定性の差を利用し、内部を可溶化することで行なうことができ、以下の方法を用いることが出来る。
すなわち、塩基性染料であるメチレンブルー0.0050(g/l)程度を溶解させた脱イオン水500mlに、表面架橋された吸水性樹脂(または吸水剤)0.06gを混合し一晩放置する。この飽和膨潤ゲルを90メッシュ金網でろ過し、得られたゲルをシール可能なポリエチレン袋にいれ口をシールし、90℃の温水を加えたビーカーに袋ごと投入し、90℃で18時間加熱する。これにより、樹脂内部が選択的に可溶化され表面架橋層は可溶化されずに、含水ゲルとして残存し、図1に示されるように塩基性染料で着色された薄膜が残存する。内部の可溶化が不十分な場合はさらに加熱時間を延長してもよい。このことは、粒子表面近傍に膨潤倍率、架橋密度の異なる表面架橋層が存在していることを示す。この表面架橋層と可溶化により生成した水溶性のポリマーとをデカンテーション、遠心分離等の操作で分離する。表面架橋層の厚みは、得られた表面架橋層を乾燥させその断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて解析する。
【0018】
また、その他の表面架橋層の厚みの測定方法として、例えば、吸水性樹脂表面部分を機械的に切削し、表面からの組成変化を調べる方法、膨潤時の表面部分と内部の膨潤倍率の差を検出し厚みを決定する方法等が挙げられる。
表面架橋層の重量%は、同様に内部を可溶化させ可溶化後に残存する表面架橋層のもとの樹脂全体に対する重量%を定量するもので、以下の方法を用いることができる。
500ml蓋付きガラスビンに脱イオン水100gを加え表面架橋された吸水性樹脂(または吸水剤)0.100gを添加膨潤させ2時間放置後90℃で18時間加熱して可溶化処理を行なう。内部の可溶化が不十分な場合はさらに加熱時間を延長してもよい。加熱中に蒸発した水分を加えたのち、0.100g/lメチレンブルー水溶液25.0mlを加えさらに22時間撹拌した後、着色した表面架橋層の分散液を20,000rpmで20分間遠心分離し、得られた上澄み液の650nmにおける吸光度を測定する。標準品として表面架橋層に相当する架橋密度の上記吸水性樹脂と同じ中和率を有するポリアクリル酸ナトリウムの架橋体(例えば重合時のモノマー濃度が40重量%程度で架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド等を3mol%以上程度用いた架橋体)と同中和率の水溶性ポリアクリル酸ナトリウムの微粉末をそれぞれ0.1/99.9、1/99、2/98、5/95(重量%)の比でそれぞれの全重量が0.100gになるよう調整し、100gの脱イオン水に混合した分散液にメチレンブルー水溶液(0.100g/l)25mlを加え上記と同様に22時間撹拌した後遠心分離し、上澄み液の650nmの吸光度を測定する。それぞれ架橋層が0.1重量%、1重量%、2重量%、5重量%残存した場合の吸光度に相当する。これらから得られた吸光度の検量線をもとに、測定サンプルの吸光度から表面架橋層の重量%を求めることができる。
【0019】
本発明において、表面架橋処理を施す好適な条件は、ベースポリマーとして以下に述べる標準吸水性樹脂を作製しておいて選択決定すると容易に判別できるため好ましく、他のベースポリマーを用いる場合は同様の処理条件を施せばよい。
すなわち、本発明の標準吸水性樹脂とは、内部が可溶化しやすい構造を有する球状の含水率5〜10%、粒径150〜250μmの吸水性樹脂であり、たとえばモノマー濃度30重量%の中和率75モル%のアクリル酸部分中和物水溶液にヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)0.05mol%程度(対モノマー) および開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩0.016mol%程度を溶解させ、ショ糖脂肪酸エステル を溶解させたシクロヘキサン中で逆相懸濁重合し、共沸脱水、乾燥、分級し含水率5〜10重量%、粒径150〜250μmに調整することにより得られる。架橋剤、開始剤量等は内部の可溶化のしやすさにより最適化してもよい。
【0020】
本発明にかかる吸水性樹脂の表面処理方法は、例えば、このような標準吸水性樹脂に表面架橋を行ない、まず標準表面架橋吸水性樹脂を得、この標準表面架橋吸水性樹脂の樹脂内部を可溶化処理した後に残存する表面架橋層の厚み、または表面架橋層の樹脂全体に対する重量%を上記測定方法により測定し、残存する表面架橋層の厚みが50〜1000nmとなる条件、または残存する表面架橋層の重量%が標準表面架橋吸水性樹脂に対し0.3〜3重量%となる条件となる表面架橋方法を選択し、同じ方法を一般のベースポリマーとしての吸水性樹脂に適用すればよいが、必ずしも、この標準吸水性樹脂を用いることは必要でない。
【0021】
本発明では、この標準吸水性樹脂をベースポリマーとして用いて、表面架橋吸水性樹脂を製造してもよい。
表面架橋層の厚みや重量%が上記本発明の範囲を満足させるために選択すべき表面架橋条件としては、ベースポリマーとして用いる吸水性樹脂の温度や表面架橋剤含有液の温度・組成、ベースポリマーたる吸水性樹脂に前記表面架橋剤含有液を混合する等して接触させる方法、混合温度、加熱処理温度、加熱処理時間等が挙げられ、これらの架橋条件を調整し表面架橋方法を選択する。そして標準吸水性樹脂を用いた場合には、同方法を一般のベースポリマーとしての吸水性樹脂に適用することで達成される。
【0022】
本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、上に述べるようにして選択決定される条件で、ベースポリマーとしての吸水性樹脂に表面架橋剤含有液を接触させて前記吸水性樹脂の表面を架橋処理するようにしても良いが、中でも表面架橋剤含有液として、温度0〜20℃の表面架橋剤含有液を用いる方法が好ましい。
本発明の吸水性樹脂の表面架橋に用いることの出来る表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アジチニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、および、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン;登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物又は塩化物等の多価金属化合物等が挙げられる。
【0023】
これまでは表面架橋反応の終点は吸水性樹脂や吸水剤の物性をコントロールしながら決定していた。特に表面架橋剤が多価アルコール化合物やアルキレンカーボネート化合物のごとき架橋反応が脱水に由来するエステル結合を形成する場合には、従来反応の終点が見極めにくい場合があった。しかし本発明の新規な吸水性樹脂の表面架橋方法によれば、非常に薄い特定の範囲内で架橋層の厚みを形成させる、または表面架橋層の樹脂全体に対する重量%を非常に少量の特定の範囲内にコントロールするため、より安定的に、同一性能の吸水剤が得られ、本手法を用いることで吸水特性に優れた吸収性物品を安定的に得ることが出来る。特に表面架橋剤が多価アルコールを用いた場合に本発明の表面処理方法は特に有利である。
【0024】
表面架橋剤の使用量はベースポリマーとしての吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部程度である。5重量部を越える場合や、0.001重量部未満の場合には、本発明の範囲内の表面架橋層を得ることが困難になる場合がある。
本発明の表面架橋剤とベースポリマーとしての吸水性樹脂の混合の際には水を用いてもよい。水の使用量も一般に、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、0.5を越え、10量部以下が好ましく、1重量部〜5重量部の範囲内がより好ましい。
【0025】
また、表面架橋剤やその水溶液を混合する際には親水性有機溶媒や、第三物質を用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部に対して、50重量部以下が好ましく、0.1重量部〜10重量部の範囲内がより好ましい。また、第三物質として欧州特許第0668080号公報に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。
【0026】
ベースポリマーとしての吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されないが、たとえばベースポリマーとしての吸水性樹脂を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、ベースポリマーとしての吸水性樹脂に直接、水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等が例示できる。また混合温度、すなわち混合前の吸水性樹脂粉末の温度、表面架橋剤を含む処理剤の温度をともに特定の範囲に制御することで表面架橋層の厚みや重量%が本発明の範囲にコントロールしやすい場合がある。混合前の吸水性樹脂の温度としては一般的には0〜60℃であるが、好ましくは5〜20℃であり、表面架橋剤含有液の温度としては一般的には0〜30℃であるが、好ましくは0〜20℃、より好ましくは5〜10℃である。水を用いて混合する場合には、水に不溶な微粒子状の粉体や界面活性剤等を共存させてもよい。
【0027】
ベースポリマーとしての吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後、通常加熱処理を行い、架橋反応を遂行させる。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、 40℃以上250℃以下が好ましい。処理温度が 40℃未満の場合には、均一な架橋構造が形成されず、従って、本発明の特定の厚みの表面架橋層を有した吸水剤を得ることができないことがある。処理温度が 250℃を越える場合には、吸水性樹脂の劣化を引き起こし、性能が低下する場合があり注意を要する。加熱処理時間は1分〜2時間程度、好ましくは5分〜1時間程度である。
本発明は上記により得られた表面架橋吸水性樹脂内部を可溶化処理した後に残存する表面架橋層の厚み、表面架橋層の重量%を測定し、厚みが50〜1000nmとなるように、または表面架橋層の重量%が標準表面架橋吸水性樹脂に対し0.3〜3重量%となるように処理剤組成、混合温度、混合条件、加熱処理温度、加熱処理時間等の表面架橋条件を選択するというものである。ベースポリマーとして標準吸水性樹脂を用いた場合は同様の処理を目的とするベースポリマーとしての吸水性樹脂に行なうというものである。本発明でベースポリマーとして標準吸水性樹脂を用いることにより、表面架橋層の単離が容易に行なえ、形状や性状がさまざまである一般のベースポリマーとしての吸水性樹脂の場合と異なり、目的とする架橋層の厚み、表面架橋層の重量%を容易に判断できる場合がある。そして、この同じ方法を、形状や性状がさまざまである一般のベースポリマーとしての吸水性樹脂に適用することにより、どのような吸水性樹脂に対しても好ましい厚みの表面架橋層を形成させることが出来る。また表面架橋層の厚みや、その重量%を特定範囲に制御することで樹脂の倍率、樹脂粒子間の粘着性、弾性が決定され、これにより加圧下での液の拡散、吸収量、通液性等が最適化されるものと考えられる。そのために本発明の吸水性樹脂(吸水剤)は樹脂濃度の高い吸収性物品に使用した場合にも優れた性能を示すものと考えられる。もちろん、目的とするベースポリマーは、標準吸水性樹脂であってもよい。
【0028】
表面架橋層の厚みが1000nmを超えた場合は、該架橋層により内部の膨潤が規制され、吸収量が低くなったり。また使用時のせん断力等で架橋層が膨潤時に剥離、崩壊しやすく、樹脂内部の可溶性成分が溶出しやすくなる。また厚みが50nmに満たない場合は表面架橋層が非常に薄すぎて、衝撃力、せん断力等で物性が大きく低下し、使用時に表面架橋層が容易にくだけ、ぬめり感が生じ、通液性等に劣る。表面架橋層の厚みは、好ましくは100〜600nm、より好ましくは200〜500nmである。表面架橋層の重量%が樹脂に対し3重量%を超えた場合も同様に、該架橋層により内部の膨潤が規制され、吸収量が低くなる。樹脂濃度の高い状態では、使用時のせん断力等で架橋層が膨潤時に剥離、崩壊しやすく、樹脂内部の可溶性成分が溶出しぬめり感等が感じられ、ドライ感に劣ったものとなる。また重量%が樹脂に対し0.3重量%に満たない場合は表面架橋層が非常に薄すぎて、衝撃力、せん断力等で物性が大きく低下し、使用時に表面架橋層が容易にくだけ、同様にぬめり感が生じ、通液性等に劣るものとなる。好ましくは0.5〜2重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%である。
【0029】
本発明の表面架橋方法に用いることの出来るベースポリマーとしての吸水性樹脂は、特に制限はしないが、典型的にはアクリル酸及び/又はその塩(中和物)を主成分とする親水性単量体を重合・架橋することにより得られ、イオン交換水中において50倍から1000倍という多量の水を吸収し、ヒドロゲルを形成する従来公知の樹脂であり、その形状としては球形、不定形、顆粒状等特に限定されないが、通常の表面処理操作の困難さから不定形状、好ましくは不定形破砕状のものが好適である。また、上記ベースポリマーとしての吸水性樹脂としては、該樹脂中の未架橋の水可溶成分が通常25重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下のものが用いられる。
【0030】
上記アクリル酸塩としては、アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩等を例示することができる。上記ベースポリマーとしての吸水性樹脂は、その構成単位としてアクリル酸10モル%〜40モル%およびアクリル酸塩90モル%〜60モル%(但し、両者の合計量は100モル%とする)の範囲にあるものが好ましい。アクリル酸及び/又はその塩を主成分とする親水性単量体を重合して吸水性樹脂を得るに際しては、必要に応じて、これらアクリル酸又はその塩に併用して、アクリル酸以外の単量体を含有していてもよい。
アクリル酸以外の単量体としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。
【0031】
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法において、アクリル酸以外の単量体を用いる場合には、該アクリル酸以外の単量体は、主成分として用いるアクリル酸及びその塩との合計量に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合である。上記アクリル酸以外の単量体を上記の割合で用いることにより、得られる樹脂の吸水特性がより一層向上すると共に、吸水性樹脂をより一層安価に得ることができる。
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法に用いられるベースポリマーとしての吸水性樹脂を得るために上述のアクリル酸又はその塩を主成分とする親水性単量体を重合するに際しては、バルク重合や沈殿重合を行うことが可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、上記親水性単量体を水溶液とすることによる水溶液重合又は逆相懸濁重合を行うことが好ましい。尚、上記親水性単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体の濃度は、特に限定されるものではないが、10重量%〜70重量%の範囲内が好ましく、20重量%〜40重量%の範囲内がさらに好ましい。また、上記水溶液重合又は逆相懸濁重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。
【0032】
上記の重合を開始させる際には、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤を用いることができる。
さらに、これら重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用し、両者を組み合わせることによりレドックス系開始剤とすることもできる。上記の還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】
これら重合開始剤の使用量は、通常0.001モル%〜2モル%、好ましくは0.01モル%〜0.1モル%である。これら重合開始剤の使用量が0.001モル%未満の場合には、未反応の単量体が多くなり、従って、得られる吸水性樹脂中の残存単量体量が増加するので好ましくない。一方、これら重合開始剤の使用量が2モル%を超える場合には、得られる吸水性樹脂中の水可溶成分量が増加するので好ましくない場合がある。
また、重合開始剤を用いる代わりに、反応系に放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより重合反応の開始を行ってもよい。尚、上記重合反応における反応温度は、特に限定されるものではないが、20℃〜90℃の範囲内が好ましい。また、反応時間も特に限定されるものではなく、親水性単量体や重合開始剤の種類、反応温度等に応じて適宜設定すればよい。
【0034】
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法において用いられるベースポリマーとしての吸水性樹脂としては、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであってもよいが、一分子中に、2個以上の重合性不飽和基や、2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させたものがさらに好ましい。
これら内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0035】
これら内部架橋剤は、単独で用いてもよく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、これら内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割添加してもよい。2種類以上の内部架橋剤を使用する場合には、得られる吸水性樹脂の吸水特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を必須に用いることが好ましい。
これら内部架橋剤の使用量は、前記親水性単量体に対して、0.005モル%〜2モル%の範囲内であることが好ましく、0.01モル%〜1モル%の範囲内とすることがさらに好ましい。上記内部架橋剤の使用量が0.005モル%よりも少ない場合、並びに、2モル%よりも多い場合には、所望の吸水特性を備えた吸水性樹脂が得られない虞れがある。
【0036】
上記内部架橋剤を用いて架橋構造を吸水性樹脂内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記親水性単量体の重合時あるいは重合後、または重合、中和後に反応系に添加するようにすればよい。
なお、上記重合に際しては、反応系に、炭酸(水素)塩、二酸化炭素、アゾ化合物、不活性有機溶媒等の各種発泡剤;澱粉・セルロース、澱粉・セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子;各種界面活性剤;次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0037】
上記重合反応により得られた吸水性樹脂がゲル状である場合には、該吸水性樹脂は、通常乾燥され、必要により粉砕される。
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法に用いることのできるベースポリマーとしての吸水性樹脂の含水率は特に限定されないが、通常1重量%以上20重量%以下、好ましくは3重量%以上15重量%以下、最も好ましくは5重量%以上10重量%以下である。
本発明の吸水性樹脂の表面処理方法に用いることのできるベースポリマーとしての吸水性樹脂の粒子形状は、球状、破砕状、不定形状等特に限定されるものではないが、好ましくは不定形破砕状のものである。不定形破砕状の吸水性樹脂は、従来その形状から特に均一に表面架橋を行なうことが困難であり、吸収性物品に用いた場合に予想した性能が発現し難い場合があったが、本発明の手法によれば、比較的均一な、特定の厚みを有する吸水剤が得られるため、安定した吸収性物品の性能を示すことが出来る。
【0038】
ベースポリマーとしての吸水性樹脂の粒径は通常平均粒径が100〜1000μm、好ましくは150〜600μm、より好ましくは200μmを越えて500μm以下のものである。
本発明の吸収性物品は、吸水剤と繊維基剤を含み該吸水剤の量が吸水剤と繊維基材の合計重量に対し40重量%以上であり、該吸水剤として前記本発明にかかる特定厚みか重さを有する表面架橋吸水性樹脂、好ましくは平均粒径100〜1000μmの吸水性樹脂をベースポリマーとした表面架橋吸水性樹脂を用いることが特徴である。
【0039】
吸水剤の含有量が40重量%未満の場合は吸収性物品が比較的厚めのものになり、戻り量等の吸収特性に劣ったものになる。また、吸水剤のベースポリマーの平均粒径が100〜1000μmを外れた場合は、吸収性物品に導入する場合に粉塵が生じる等の作業性の問題や、樹脂濃度が高いため物理的な大きさからくる使用時の違和感等の問題が生ずることがある。表面架橋層の厚みが1000nmを超えるか、および/または、重さが3重量%を超えた場合は、該架橋層が内部の膨潤を規制し吸収性物品の吸収量が低くなると言う前述した問題のほかに、樹脂濃度の高い状態では使用時のせん断力等で架橋層が膨潤時に剥離、崩壊しやすく、樹脂内部の可溶性成分が溶出しぬめり感等が感じられ、ドライ感に劣ったものとなり加圧下での吸収量も低下するという問題も生じる。他方、表面架橋層の厚みが50nmに満たさないか、および/または、重さが0.3重量%を下回る場合は、表面架橋層が非常に薄すぎて、衝撃力、せん断力等で物性が大きく低下するという、前述の問題のため、おむつの製造時や、使用時に表面架橋層がくだけやすく、同様にぬめり感が生じ、通液性等に劣り加圧下での吸収量も低下する。
【0040】
本発明の吸収性物品は、吸水剤と繊維基剤からのみからなるものでもよいし、吸水剤と繊維基剤からなる吸収体が液不透過性シートや液透過性液透過性シートでカバーされたいわゆる紙おむつや、生理用ナプキンの形態であってもよい。
本発明の吸水性樹脂、吸収性物品にさらに消毒剤、消臭剤、抗菌剤、香料、各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これにより、吸水剤、吸収性物品に種々の機能を付与させることもできる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお表面架橋層の厚みの測定法、表面架橋層の重量%の求め方はは先に述べたとおりである。
(1)吸収性物品の吸収倍率
吸水剤75重量部と、木材粉砕パルプ25重量部を、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合物を100mm×100mmの大きさのウエブに形成した後、このウェブを圧力2kg/cm2(約196kPa)で1分間プレスすることにより、坪量が約0.035g/cm2の測定に使用する吸収性物品を得た。
【0042】
次に、シャーレ上に直径 120mmのガラスフィルタを置き、その上に濾紙を載置した。この濾紙上にポリエチレンテレフタレートからなり、中央部に12.5mm×100mmの長方形の開口部を有する厚さ0.1mmの矩形状に形成されているシートを、その開口部がガラスフィルタの中心部に位置するようにして載置した。次いでシート上に内寸法が100mm×100mmに形成されている支持角筒をその中心部がガラスフィルタの中心部に一致するようにして載置した。
シャーレに生理食塩水を満たし、液面がガラスフィルターの上部よりやや高い位置になるようにした。その後、支持角筒内部のシート上に上記吸収性物品を載置し、この吸収性物品上に重りを載置した。重りは吸収性物品に対して20g/cm2(約1.96kPa)の荷重を均一に加えることができるようにその重量が調整されている。なお、吸収性物品および重りの載置動作は素早く行った。シート上に吸収性物品を載置した時点から60分後に吸収性物品を取り除き、吸水した生理食塩水の重量W1(g)を測定し、上記の重量W1から次式に従って吸水開始から60分後の吸収性物品の吸収倍率(g/g)を算出した。
【0043】
吸収性物品の吸収倍率(g/g)=重量W1(g)/吸収性物品の重量(g)
(2)吸収性物品の吸収量
吸水剤70重量部と木材粉砕パルプ30重量部とをミキサーを用いて乾式混合した。次いで得られた混合物を400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×350mmの大きさのウェブに成形した(坪量約0.05g/cm2)。さらに、このウェブを圧力2kg/cm2(約196kPa)で5秒間プレスすることにより吸収体を得、さらに、液不透過性のポリプロピレンからなり、いわゆるレッグギャザーを有するバックシート(液不透過性シート)、上記の吸収体、および液透過性のポリプロピレンからなるトップシート(液透過性シート)を両面テープを用いてこの順に互いに貼着すると共に、この貼着物に2つのいわゆるテープファスナーを取り付けることにより吸収性物品を得た。
【0044】
上記の吸収性物品をいわゆるキューピー人形に装着し、該人形をうつ伏せ状態にした後、吸収性物品と人形との間にチューブを差込み、人体において排尿を行う位置に相当する位置に1回当たり50mlの生理食塩水を60分間隔で順次注入した。そして、注入した生理食塩水が吸収性物品に吸収されなくなって漏れ出した時点で上記の注入動作を終了し、このときまでに注入した生理食塩水の量を測定した。
上記の測定を4回繰り返した後得られた測定値の平均を求め、この値を吸収性物品の吸収量とした。
【0045】
(参考例1 ベースポリマーとしての標準吸水性樹脂の合成)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および滴下漏斗を付した反応器にシクロヘキサン8000部をとり、分散剤としてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、DK−エステルF−50)25.2部を加えて溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。別にモノマー濃度30%の中和率75%のアクリル酸部分中和物水溶液3000部にヒドロキシエチルセルロース9.0部(HECダイセルSP−850、ダイセル化学工業株式会社製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)2.43部および開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩0.44部を溶解させたのち、窒素ガスを吹き込んで水溶液内に存在する溶存酸素を追い出した。
【0046】
次いで、このモノマー水溶液を上記反応容器に加えて攪拌、分散させ、その後60℃に昇温して重合反応を開始させた。2時間この温度に保持して重合を完了し、その後シクロヘキサンとの共沸脱水により含水ゲル中の水を留去した後、ろ過し、80℃で減圧乾燥させ目開き150μmおよび250μmの金網を用いて分級し150〜250μmの粒度範囲の含水率6.4%の球状のベースポリマーとしての標準吸水性樹脂を得た。
(参考例2 不定形破砕状ベースポリマーの合成1)
アクリル酸ナトリウム(中和率75モル%)の33重量%水溶液5500部に、架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)3.92部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、攪拌翼を有する重合反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.5部およびL−アスコルビン酸0.125部を添加したところ、凡そ1分後に重合が開始した。そして、30〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0047】
得られた含水ゲル状重合体は、その径が約7mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュの金網上に広げ、 150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を粉砕し、さらに20メッシュの金網で分級することにより、平均粒径が360μmで、しかも、粒径が106μm未満の粒子の割合が2重量%の不定形破砕状のベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を得た。
(参考例3 球状のベースポリマーの合成)
撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管および滴下漏斗を付した反応器にシクロヘキサン8000部をとり、分散剤としてショ糖脂肪酸エステル (第一工業製薬社製、DK−エステルF−50 )25.2部を加えて溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。別にモノマー濃度30%で中和率75%のアクリル酸部分中和物水溶液3000部にヒドロキシエチルセルロース9.0部(HECダイセルSP−850、ダイセル化学工業株式会社製)、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=8)2.43部および開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩0.44部を溶解させたのち、窒素ガスを吹き込んで水溶液内に存在する溶存酸素を追い出した。
【0048】
次いで、このモノマー水溶液を上記反応容器に加えて攪拌、分散させ、その後60℃に昇温して重合反応を開始させた。2時間この温度に保持して重合を完了し、その後シクロヘキサンとの共沸脱水により含水ゲル中の水を留去した後、ろ過し、80℃で減圧乾燥させ目開き850μmの金網を通過させ、含水率8.1%の球状のベースポリマーとしての吸水性樹脂(2)を得た。
(実施例1)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部、プロピレングリコール0.9重量部、水3.0重量部、イソプロピルアルコール3.0重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を霧状にして噴霧し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は15℃、表面架橋剤含有液の液温は10℃であった。得られた混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(1)を得た。表面架橋吸水性樹脂(1)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0049】
(実施例2)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて実施例1と同様の表面架橋処理を行ない表面架橋吸水性樹脂(2)を得た。表面架橋吸水性樹脂(2)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
表面架橋吸水性樹脂(2)を吸水剤(1)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し吸収性物品(1)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(実施例3)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤として1,4−ブタンジオール0.9重量部、水3.0重量部、イソプロピルアルコール3.0重量部からなる表面架橋剤含有液を霧状にして噴霧し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は15℃、表面架橋剤含有液の液温は12℃であった。得られた混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(3)を得た。表面架橋吸水性樹脂(3)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0050】
(実施例4)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて実施例3と同様の表面架橋処理を行ない表面架橋吸水性樹脂(4)を得た。表面架橋吸水性樹脂(4)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
表面架橋吸水性樹脂(4)を吸水剤(2)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し吸収性物品(2)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(実施例5)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてプロピレングリコール2.0重量部、水4.0重量部、イソプロピルアルコール1.0重量部からなる表面架橋剤含有液を霧状にして噴霧し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は15℃、表面架橋剤含有液の液温は15℃であった。得られた混合物を195℃で60分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(5)を得た。表面架橋吸水性樹脂(5)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0051】
(実施例6)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて実施例5と同様の表面架橋処理を行ない表面架橋吸水性樹脂(6)を得た。表面架橋吸水性樹脂(6)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
表面架橋吸水性樹脂(6)を吸水剤(3)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し吸収性物品(3)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(実施例7)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてグリセリン1.0重量部、水3.0重量部、イソプロピルアルコール30重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を滴下し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は15℃、表面架橋剤含有液の液温は15℃であった。得られた混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(7)を得た。表面架橋吸水性樹脂(7)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0052】
(実施例8)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて実施例7と同様の表面架橋処理を行ない表面架橋吸水性樹脂(8)を得た。表面架橋吸水性樹脂(8)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
表面架橋吸水性樹脂(8)を吸水剤(4)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し吸収性物品(4)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(実施例9)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1重量部、水3.0重量部、イソプロピルアルコール3.0重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を霧状にして噴霧し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は15℃、表面架橋剤含有液の液温は8℃であった。得られた混合物を195℃で60分間加熱処理することにより、表面架橋吸水性樹脂(9)を得た。表面架橋吸水性樹脂(9)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0053】
(実施例10)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて実施例9と同様の表面架橋処理を行ない表面架橋吸水性樹脂(10)を得た。表面架橋吸水性樹脂(10)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
表面架橋吸水性樹脂(10)を吸水剤(5)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し本発明の吸収性物品(5)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(実施例11)
実施例1において参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂に対して行なったのと同様の表面架橋処理を、参考例3で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(2)を用いて行ない表面架橋吸水性樹脂(11)を得た。表面架橋吸水性樹脂(11)の表面架橋層の厚みは380μm、重量%0.95重量%であった。
【0054】
表面架橋吸水性樹脂(11)を吸水剤(6)として上記した本発明の吸収性物品(6)をそれぞれ作成し吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
(比較例1)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてグリセリン1.0重量部、水10重量部、イソプロピルアルコール30重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を滴下し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は25℃、表面架橋剤含有液の液温は25℃であった。得られた混合物を195℃で60分間加熱処理することにより、比較用表面架橋吸水性樹脂(1)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(1)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0055】
(比較例2)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて比較例1と同様の表面架橋処理を行ない比較用表面架橋吸水性樹脂(2)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(2)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
比較用表面架橋吸水性樹脂(2)を比較用吸水剤(1)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し比較用吸収性物品(1)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した
(比較例3)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部、プロピレングリコール0.9重量部、水3.0重量部、イソプロピルアルコール30重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を滴下し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は25℃、表面架橋剤含有液の液温は25℃であった。得られた混合物を195℃で80分間加熱処理することにより、比較用表面架橋吸水性樹脂(3)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(3)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0056】
(比較例4)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて比較例3と同様の表面架橋処理を行ない比較用表面架橋吸水性樹脂(4)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(4)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
比較用表面架橋吸水性樹脂(2)を比較用吸水剤(2)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し比較用吸収性物品(2)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した
(比較例5)
参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂100重量部に対し、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.03重量部、水1.0重量部、イソプロピルアルコール3.0重量部からなるからなる表面架橋剤含有液を噴霧し混合した。混合前の標準吸水性樹脂の粉温度は25℃、表面架橋剤含有液の液温は25℃であった。得られた混合物を195℃で40分間加熱処理することにより、比較用表面架橋吸水性樹脂(5)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(5)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
【0057】
(比較例6)
参考例2で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(1)を用いて比較例5と同様の表面架橋処理を行ない比較用表面架橋吸水性樹脂(6)を得た。比較用表面架橋吸水性樹脂(6)の表面架橋層の厚み、重量%を測定し結果を表1に示した。
比較用表面架橋吸水性樹脂(6)を比較用吸水剤(3)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し比較用吸収性物品(3)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
【0058】
(比較例7)
比較例1において参考例1で得られたベースポリマーとしての標準吸水性樹脂に対して行なったのと同様の表面架橋処理を、参考例3で得られたベースポリマーとしての吸水性樹脂(2)を用いて行ない比較用表面架橋吸水性樹脂(7)を得た。比較用吸水性樹脂(4)の表面架橋層の厚み、重量%は1030μm、3.38%であった。
比較用表面架橋吸水性樹脂(7)を比較用吸水剤(4)として上記した吸収性物品をそれぞれ作成し比較用吸収性物品(4)として吸収倍率、吸収量を求めた。結果を表2に示した。
【0059】
【表1】
Figure 0005008790
【0060】
【表2】
Figure 0005008790
【0061】
実施例から明らかなように標準吸水性樹脂を用いて表面架橋を行ない、得られた表面架橋層の厚みまたは架橋層の重量%が本発明の範囲に入るような表面架橋方法をベースポリマーとしての吸水性樹脂に施した場合、得られる表面架橋層の厚みまたは架橋層の重量%も本発明の範囲に入り、その吸水剤を用いた吸収性物品は吸水速度、吸水量ともに優れたものとなる。表面架橋剤溶液組成により得られる吸収性物品の吸収性能は大きく変化し、吸収性物品の吸収性能を決定する最大の要因が形成される表面架橋層の厚みやその重量%であるということが表1、2からも明らかであり、本発明の範囲にこれら架橋層の厚みまたは架橋層の重量%をコントロールさえすれば性能の優れた吸水性樹脂が得られ、樹脂濃度の高い吸収性物品に好ましく使用できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂は、表面架橋層の厚みが非常に薄い範囲であり、該表面架橋層の厚みについて、特定の厚み範囲、特定の重量割合を持つよう、コントロールされたものであるため、安定した高い吸水特性を有し、衛生材料等に用いる場合に吸水性樹脂の重量%(樹脂濃度)を高くしても優れた吸収特性を示す。
本発明にかかる吸水性樹脂の表面架橋方法は、上記本発明にかかる表面架橋吸水性樹脂を安定して容易に得させる。
【0063】
本発明にかかる吸収性物品は、上記本発明の表面架橋吸水性樹脂を吸水剤として用いるため、該吸水剤が繊維基材との合計量に対し40重量%以上と高いものであっても、優れた吸水性能を発揮することができ、薄型化を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 吸水性樹脂から単離された表面架橋層の光学顕微鏡写真である(膨潤状態)。

Claims (10)

  1. アクリル酸および/またはその塩を主成分とし前記主成分に対して他の単量体が30モル%以下である親水性単量体を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂の表面を架橋してなる表面架橋吸水性樹脂であって、表面架橋層の厚みが100〜600nmであることを特徴とする、表面架橋吸水性樹脂。
  2. 表面架橋層の樹脂全体に対する重量割合が0.3〜3%である、請求項1に記載の表面架橋吸水性樹脂。
  3. 前記吸水性樹脂が不定形破砕状であり、その平均粒径が100〜1000μmである、請求項1または2に記載の表面架橋吸水性樹脂。
  4. 前記吸水性樹脂が球状である、請求項1または2に記載の表面架橋吸水性樹脂。
  5. 前記表面架橋に用いられる表面架橋剤が多価アルコールである、請求項1から4までのいずれかに記載の表面架橋吸水性樹脂。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の表面架橋吸水性樹脂を得るための吸水性樹脂の表面架橋方法において、アクリル酸および/またはその塩を主成分とし前記主成分に対して他の単量体が30モル%以下である親水性単量体を重合・架橋することにより得られる吸水性樹脂に該吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部の表面架橋剤および該吸水性樹脂の固形分100重量部に対して0.5を超え、10重量部以下の水を含む表面架橋剤含有液を接触させて前記吸水性樹脂の表面を架橋処理する方法であって、吸水性樹脂に表面架橋剤含有液を接触させる際に、前記吸水性樹脂の温度を5〜20℃にしておくか、および/または、前記表面架橋剤含有液の温度を0〜20℃にしておくことを特徴とする、吸水性樹脂の表面架橋方法。
  7. 水性樹脂に表面架橋剤含有液を接触させる際における、前記吸水性樹脂と表面架橋剤含有液の温度差を0〜20℃にしておく、請求項6に記載の吸水性樹脂の表面架橋方法。
  8. 前記吸水性樹脂が不定形破砕状であり、その平均粒径が100〜1000μmである、請求項6または7に記載の吸水性樹脂の表面架橋方法。
  9. 表面架橋剤が多価アルコールである、請求項6から8までのいずれかに記載の吸水性樹脂の表面架橋方法。
  10. 吸水剤と繊維基剤を含み前記吸水剤の量が吸水剤と繊維基材の合計重量に対し40重量%以上である吸収性物品であって、前記吸水剤として、請求項1から5までのいずれかに記載の表面架橋吸水性樹脂を用いていることを特徴とする、吸収性物品。
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