JPH10244151A - 吸水剤の製造方法および吸水剤 - Google Patents

吸水剤の製造方法および吸水剤

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JPH10244151A
JPH10244151A JP7077097A JP7077097A JPH10244151A JP H10244151 A JPH10244151 A JP H10244151A JP 7077097 A JP7077097 A JP 7077097A JP 7077097 A JP7077097 A JP 7077097A JP H10244151 A JPH10244151 A JP H10244151A
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water
carboxyl group
agent
solvent
crosslinking
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JP7077097A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Takai
等 高井
Tomikatsu Suzuki
富勝 鈴木
Tomoyuki Tamabuchi
智之 玉淵
Masashi Date
雅志 伊達
Kenji Tanaka
健治 田中
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常圧下における吸収量を高いレベルに維持
し、且つ高荷重下においても優れた吸収量を発揮する、
特に、大人用紙おむつに好適な吸水剤の製造方法を提供
する。 【解決手段】 カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子
をカルボキシル基と反応し得る架橋剤で処理し反応させ
て表面近傍が架橋された吸水剤を製造する際、該樹脂粒
子としてカルボキシル基の中和度60〜90モル%のも
のを用い、架橋反応の溶媒として比誘電率25以上の多
価アルコール系有機溶剤を含む有機溶剤と水との混合溶
媒で、該多価アルコール系有機溶剤と水との合計に対す
る水の比率が質量基準で40〜80%となる混合溶媒を
用い、架橋剤はポリグリシジル化合物を使用し、樹脂粒
子に対する水の量を1〜8質量%にコントロールし、該
混合溶媒の存在下、該多価アルコール系有機溶剤がカル
ボキシル基と架橋反応を起こさない温度条件下、架橋反
応を行うことにより吸水剤を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸水剤の製造方法お
よび吸水剤に関する。更に詳しくは、大きな荷重が加わ
った状態においても高い吸水能力を発現する、衛生材
料、特に大人紙おむつに好適な吸水剤の製造方法および
吸水剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、生理用ナプキン、子供用紙お
むつなどの衛生材料や、ペットシート、ドリップ吸収シ
ートなどの吸水性シート材料などに粉末状の吸水性樹脂
が幅広く用いられている。これらの用途では、赤ちゃん
やペット動物の体重やドリップ発生食品の質量が加わっ
た状態でも吸収力を発揮する必要があることから、荷重
下における吸収能力を高めるために、吸水性樹脂粒子の
表面近傍を架橋剤で表面架橋する方法が数多く提案され
ている。その代表的な例として、 多価グリシジル化合物、多価アジリジン化合物、多価
アミン化合物などの架橋剤と吸水性樹脂粉末とを無溶媒
状態で混合し、必要により熱処理を行う方法(特開昭5
9ー189103号公報)、 水分含量が10〜40質量%の親水性ポリマー含水物
をポリグリシジルエーテル化合物で表面架橋する方法
(特開昭62ー50255号公報)、 粉末状の吸水性高分子を、水およびエーテル化合物の
存在下、2個以上の官能基を有する架橋剤で表面架橋す
る方法(特開平2−153903号公報)、 水及び炭素数4〜6の2価アルコール(ジエチレング
リコールを除く)の存在下で表面架橋を行う方法(特開
平1−292004号公報)、 水性液に溶解し得る無機酸や有機酸などの添加剤の存
在下で表面架橋を行う方法(特開平7−278230号
公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの方法によっ
て、比較的低い荷重下(例えば、20g/cm2の荷重
下)における吸収量の向上はある程認められるものの、
重い荷重が加わった状態で排尿される大人紙おむつに要
求される、高い荷重下(例えば、60g/cm2の荷重
下)における吸収量については十分満足のいくものでは
なかった。すなわち、上記の方法では、吸水性樹脂の
カルボキシル基と架橋剤のグリシジル基等との反応の場
となる溶剤が存在しないことから、反応率が低く、且つ
均質な架橋反応が得られにくいため、低い荷重下ですら
十分な吸収量が得られないという問題点がある。上記
の方法では、ポリマーの含水率が10〜40質量%と高
いため、架橋剤が吸水性樹脂粒子の内部深くにまで浸透
して架橋されることから、ある程度の荷重下吸収量しか
得られないとともに、無荷重下での吸収量も低下してく
る。更に、多量の水が存在することにより、表面架橋時
に吸水性樹脂粒子相互間に凝集が生じて塊状になりやす
く、作業性が悪いという問題もある。上記の方法で
は、分散剤として使用するエーテル化合物の種類によっ
ては、架橋剤とカルボキシル基との反応性が低くなるこ
とから、高荷重下のみならず低い荷重下においても十分
な吸収量が得られにくいという欠点がある。上記の方
法では、架橋処理の際の凝集によってダマが発生して架
橋が不均一となるという現象はある程度避けることはで
きるが、本発明者等によるグリシジル化合物を用いた確
認試験結果によれば、60g/cm2のような高荷重下
では十分な吸収量を得ることができなかった。この原因
として、反応温度が50〜250℃であることから、条
件によっては2価アルコールの水酸基とカルボキシル基
とがエステル結合架橋を生じて、不均一な架橋密度分布
となったためか、あるいは、水を2〜40質量%用いる
ことから、条件によっては上記の方法の場合と同じ結
果になったものと推定される。上記の方法において
も、比較的低い荷重下(例えば、20g/cm2の荷
重)における吸収量はある程度高い値が得られるもの
の、高荷重下(例えば、60g/cm2の荷重)におけ
る吸収量については十分満足のいくものではない。
【0004】元来、生理用ナプキンや子供用紙おむつを
適用対象として開発されてきた上記のような吸水性樹脂
を、赤ちゃんより体重が重い大人を着用対象とした大人
紙おむつに適用するには十分な高荷重下吸収性能を発揮
せず、その結果、多量の吸水性樹脂を使用して吸収性能
の不足分をカバーしなければならないと言う問題点があ
った。近年、高齢化社会を迎えるにおよんで、大人用紙
おむつの普及がめざましくなってきたことから、高い荷
重下においても高い吸収能力を発現する吸水剤の出現が
強く望まれている。従来の技術の延長で、高荷重下にお
ける吸収量を高めようとすれば、重合時あるいは表面架
橋時の架橋剤の使用量を増やして架橋度を上げ、ゲルを
硬くする方法が考えられる。しかしながら、この方法に
よると、高荷重下での吸収量を多少は高めることができ
るものの、無荷重下での吸収量の低下が大きくなりすぎ
て実用的でなくなるという問題が生じる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高荷重下
において高い吸収能力を発現し、且つ無荷重下において
も十分な吸収量を示す吸水剤およびその製造方法につい
て、表面架橋時のエポキシ基とカルボキシル基の反応に
おいて、適切な反応の場を与えてやれば上記の目的が達
成できるとの着想のもと、鋭意検討を行った。その結
果、カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子に、特定の
物性を有する有機溶剤と水の混合溶媒の存在下、架橋剤
として反応性の高いポリグリシジル化合物を用い、特定
範囲の温度および特定量の水の存在下で架橋反応を行わ
せることにより、無荷重下の吸収量を高いレベルで維持
したままで、高荷重下における吸収量を高めることがで
きることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明
は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子(A)を、
該カルボキシル基と反応し得る架橋剤で処理し、反応さ
せて、表面近傍が架橋された吸水剤を製造する方法にお
いて、 該吸水性樹脂粒子(A)としてカルボキシル基の中和
度が60〜90モル%のものを用い、 架橋反応の溶媒として比誘電率25以上の多価アルコ
ール系有機溶剤(B)を含む有機溶剤と水との混合溶媒
であって、(B)と水との合計に対する水の比率が質量
基準で40〜80%となる混合溶媒を用い、 架橋剤としてポリグリシジル化合物(C)を使用し、 (A)に対する水の量を1〜8質量%にコントロール
し、 該混合溶媒の存在下、且つ(B)がカルボキシル基と
架橋反応を起こさない温度条件下、(A)と(C)の架
橋反応を行うことを特徴とする吸水剤の製造方法;並び
に、上記製造方法で得られ、無荷重下における生理食塩
水に対する吸収量が45g/g以上、60g/cm2
高荷重下における生理食塩水に対する吸収量が15g/
g以上である吸水剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、カルボキシル基
を有する吸水性樹脂粒子(A)としては、例えば、ポリ
アクリル酸部分中和物の架橋体、自己架橋型ポリアクリ
ル酸中和物、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体塩
の架橋物、デンプンーアクリロニトリルグラフト重合体
架橋物の加水分解物、酢酸ビニルーアクリル酸エステル
共重合体のケン化物、アクリル酸塩ーアクリルアミド共
重合体架橋物またはこの加水分解物、アクリル酸と2−
アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸の共重合
体塩の架橋物、イソブチレンー無水マレイン酸共重合体
塩の架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース塩などの
吸水性樹脂の1種以上の粒子が挙げられる。上記におい
て塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩、アミン塩(メチルアミン、トリメチルアミンなど
のアルキルアミンの塩;トリエタノールアミン、ジエタ
ノールアミンなどのアルカノールアミンの塩など)など
が挙げられ、カルボキシル基がこれらの塩となるよう部
分中和された吸水性樹脂の粒子が用いられる。好ましい
塩はナトリウム塩である。上記のうちで好ましい吸水性
樹脂粒子は、最終的に得られる吸水性樹脂の吸収性能を
考慮すると、アクリル酸及び/またはその塩を主構成単
位とするエチレン性不飽和単量体の架橋重合体である。
また中和度は、得られる吸水剤の吸水性能およびpHが
中性付近で安全であるという観点から、通常60〜90
モル%、さらに好ましくは65〜80モル%である。す
なわち、10〜40モル%のカルボン酸基を含有する吸
水性樹脂が本発明に好適に使用される。好ましいカルボ
ン酸基の含有量は20〜35モル%である。この中和
は、重合前のモノマー段階で行ってもよく、重合後乾燥
前の段階の重合ゲルの状態で行ってもよい。好ましく
は、高分子量のポリマーが得られることから、アクリル
酸を架橋重合し、次いで重合体中のカルボキシル基を中
和する方法である。
【0007】上記の吸水性樹脂粒子(A)は、通常、重
合時に架橋剤を使用して架橋された親水性架橋重合体で
ある。重合時の架橋剤としては、重合性単量体(例え
ば、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムなど)と共重合
可能な二重結合を少なくとも2個有する架橋剤、共重合
可能な二重結合とカルボキシル基と反応可能な官能基と
を有する架橋剤、カルボキシル基と反応可能な官能基を
少なくとも2個有する架橋剤の何れもが使用可能であ
る。好ましくは、共重合可能な二重結合を少なくとも2
個有する架橋剤である。更に好ましくは、少なくとも2
個のアリルエーテル基を含有する架橋剤である。一般
に、エーテル結合は、エステル結合やアミド結合と比較
すると耐加水分解性が大きいことから、少なくとも2個
のアリルエーテル基を含有する架橋剤で架橋された吸水
性樹脂を使用することにより、水の存在下で加熱処理し
て表面架橋を行っても、架橋剤の加水分解などによって
吸収性能が低下することがないので好適である。この様
な少なくとも2個のアリルエーテル基を含有する架橋剤
の例としては、テトラアリルオキシエタン、ペンタエリ
スリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。該吸水
性樹脂粒子(A)の製造法については、特に限定はな
く、従来公知の製造法が適用できる。例えば、ラジカル
触媒を使用して水溶液重合を行った後に乾燥、粉砕する
方法、逆相懸濁重合を行った後、乾燥する方法等、何れ
の方法も好適に採用可能である。また、バルク重合、沈
殿重合あるいは放射線重合などを行うことも可能であ
る。(A)の形状、粒径についても特に限定はない。粒
径については通常50〜1,000ミクロンが95%以
上、好ましくは100〜850ミクロンが95%以上で
ある。吸水性樹脂粒子(A)の含水率については特に制
限されないが、通常10%以下、好ましくは8%以下で
ある。含水率が10%を越える場合は、架橋剤が内部ま
で浸透しやすくなり、無荷重下の吸収量を著しく低下さ
せる場合があるため好ましくない。
【0008】本発明の実施、および本発明の効果を発現
させるには、架橋反応時の溶媒の組成が重要な要件の一
つである。この溶媒は水と有機溶剤からなる混合溶媒で
あるが、有機溶剤として比誘電率が25以上の多価アル
コール系有機溶剤(B)を少なくとも1種含むことを必
須とする。好ましくは、比誘電率が30〜90の範囲で
ある。該物性を有する混合溶媒は、架橋剤(C)を吸水
性樹脂粒子(A)に混合する際に、ダマの発生等により
架橋剤の分布が不均一となることを防止するのみでな
く、架橋剤(C)の(A)内部への浸透をコントロール
し、且つ(A)の表面近傍の架橋密度の分布を制御する
働きをしているものと考えられる。同時に、比誘電率が
25以上の多価アルコールは、グリシジル基とカルボキ
シル基との反応率を高める作用もあることから、効率的
な架橋反応が実現できる。これらの相乗効果により、高
荷重下においても高い吸収性能を発揮し、無荷重下の吸
収性能も高いレベルを維持させることができるものと考
えられる。ここで比誘電率とは、コンデンサーの真空の
場合の静電容量をC0、試料物質を挿入した場合の静電
容量をCとした時のC/C0の値である。比誘電率が2
5以上の多価アルコール系有機溶剤(B)としては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール類、グリセリン等
が例として挙げられる。尚、混合後の比誘電率が25以
上であれば、(B)以外の有機溶剤を任意に混合使用す
ることも可能である。
【0009】沸点が架橋反応させる温度より高い(B)
を選択することにより、水の蒸発が進行している状態に
あっても、比誘電率の高い(B)が常に存在して架橋反
応の場を与えることから、カルボキシル基とグリシジル
基との反応が効率的に進行するので好ましい。好ましい
沸点は170℃以上であり、さらに好ましくは180℃
以上である。このような沸点の(B)を選択することに
より、防爆型のような複雑な加熱反応設備を必要としな
い点からも経済的である。
【0010】本発明において、混紡溶媒中における水に
比率は、(B)と水との合計質量に対して40〜80質
量%、好ましくは、50〜70質量%である。水の比率
が40%未満の場合、(B)と水との混合溶媒が(A)
にほとんど浸透しなくなることから、架橋剤(C)の浸
透も低下する。更に(C)のグリシジル基と(A)のカ
ルボキシル基との反応性も低下する。その結果、高荷重
下での吸収性能に優れた吸水剤が得られ難くなる。一
方、水の比率が80%を越える場合、吸水性樹脂粒子相
互間に凝集が生じて塊状になりやすく、表面架橋時の作
業性が悪くなる。更に、架橋剤(C)と(A)との均一
混合性が低下することから、架橋が不均一となり、高荷
重下での吸収性能が低下する。
【0011】(A)に対する、(B)および水の合計添
加量は、(A)の種類と(A)の架橋の程度、(B)の
種類、(B)と水との比率、得られる吸水剤の性能目標
などによって種々変化させることができるが、(A)の
質量に基づいて、通常2〜10質量%、好ましくは3〜
8質量%である。
【0012】本発明において、架橋剤(C)の(A)内
部への浸透度合い(浸透深さ)、および(A)と(C)
との反応性を調節するために、(A)に対する水の添加
量をコントロールすることが重要である。水の添加量
は、目的とする吸水剤の目標性能により種々変化させる
ことができるが、高荷重下での吸収性能を向上させるに
は、(A)に対して1〜8質量%にコントロールするの
が好ましい。さらに好ましくは、2〜6質量%である。
(A)に対する水の添加量は、水と(B)との比率、お
よび混合溶媒の添加量によってコントロールすることが
できる。水の量が1質量%未満の場合、(C)の(A)
内部への浸透が不十分となるとともに、(A)と(C)
の反応の場も乏しくなることから、高荷重下での吸収量
の高い吸水剤が得られない。一方、水の量が8質量%を
越えると、(C)が(A)の内部深くにまで浸透して架
橋されてしまい、無荷重下での吸収量、高荷重下での吸
収量ともに低下する結果となる。尚、吸水性樹脂は通常
数パーセントの水分を含有しているが、本発明において
構成要件とする水はかかる吸水性樹脂が内部に均一に包
含している組成としての水を意味するものではなく、架
橋処理の際に添加する水を意味する。
【0013】本発明において、ポリグリシジル化合物
(C)としては、従来公知のジおよび3価以上のグリシ
ジル化合物が使用可能であり、例えば、エチレングルコ
ールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロ
ールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグ
リシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等が
挙げられる。これらは2種以上を併用して使用してもよ
い。また、(C)として、分子量400以下のジグリシ
ジル化合物(C1)と、グリシジル基を3個以上有する
分子量500以上のグリシジル化合物(C2)を併用す
ることにより、本発明の効果をさらに高めることができ
るので好ましい。ここで、グリシジル化合物の分子量と
は、グリシジル化合物のエポキシ含量(エポキシ基1当
量当たりの質量)に平均エポキシ官能基数を乗じた値で
ある。上記(C1)と(C2)の併用により、低分子量
である(C1)は(A)の比較的表層内部にまで浸透し
て架橋構造を形成し、さらに、高分子量である(C2)
が(A)の比較的表層で強い架橋構造を形成して、適度
な架橋勾配となることから、無荷重下での吸収量と高荷
重下での吸収量とを高いレベルでバランスさせることが
可能となる。さらに、高分子量の架橋剤は安全性の観点
でも好ましく、且つ得られる吸水剤は高湿度下における
ブロッキング(塊状物の形成)がほとんどなく、粉体の
取り扱い性が改善される。この併用する場合の(C1)
と(C2)の合計に対する(C2)の割合は、通常80
質量%を超えない量、好ましくは10〜60質量%であ
る。分子量400以下のジグリシジル化合物(C1)の
例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロ
ピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロール
ジグリシジルエーテル等が挙げられる。また、分子量5
00以上でグリシジル基を少なくとも3個有する多価グ
リシジルエーテル化合物(C2)の例としては、ジグリ
セロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポ
リグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエ
ーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル
等が挙げられる。
【0014】(C)の(A)に対する使用量は、(C)
の種類、(A)の種類と(A)の架橋の程度、得られる
吸水性樹脂の性能目標などによって種々変化させること
ができるが、通常、(A)の質量に基づいて、0.01
〜2質量%、好ましくは0.05〜1質量%である。
(C)の量が0.01質量%未満では、表面架橋の効果
が十分に発現しない。一方2質量%を越えると、架橋が
過多となりすぎて逆に無荷重下および高荷重下における
吸収性能を共に低下させる結果となる。(C)は、通
常、混合溶媒に溶解または分散して(A)に添加され
る。(C)と混合溶媒との混合は、(A)に添加される
時点で混合されておればよく、(C)を混合溶媒に事前
混合する、あるいは(C)と混合溶媒とを別々に用意
し、ラインブレンドなどによる直前混合も可能である。
(A)に(C)および混合溶媒を添加する際に、(A)
表面への均一なヌレ性を付与する目的で、界面活性剤類
などの助剤を併用することも可能である。
【0015】(A)に、(B)と水との混合溶媒および
(C)を、噴霧あるいは滴下などの方法で処理する工業
的な装置としては、通常の混合機でよく、例えば、円筒
型混合機、スクリュー型混合機、タービュライザー、ナ
ウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型
ニーダー、万能混合機、流動層式混合機、気流型混合
機、回転円盤型混合機、ロールミキサーなどが挙げられ
る。
【0016】上記のように処理して得られた混合物を架
橋反応させるには加熱操作を要するが、加熱する温度条
件も本発明においては重要な構成要件である。すなわ
ち、(B)の水酸基が(A)のカルボキシル基と反応し
ない温度条件とする必要がある。アルコール類の水酸基
とカルボン酸のエステル結合反応は、通常180℃以上
の高温で進行する。このような高温で加熱処理すると、
反応の場として添加した(C)が架橋反応に関与するこ
とから、架橋度を正確にコントロールすることができ
ず、不均一な架橋密度分布となる。その結果、無荷重下
および高荷重下での吸収性能の悪化を招くことになる。
更に、(A)自身の熱による劣化を生じることもあり、
この場合においても吸収性能が低下する。上記のことか
ら、本発明においては(C)が(A)のカルボキシル基
と架橋反応を起こさない温度条件下で、(A)と(C)
の架橋反応を行うことが重要である。好ましい温度範囲
は、90℃〜170℃、さらに好ましくは、100℃〜
160℃、特に好ましくは105℃〜155℃である。
架橋反応させる温度が90℃未満の場合、反応に時間を
要し、架橋効率が低下する。温度が170℃を越える場
合、エステル結合架橋が進行することがあるため、無荷
重下での吸収性能の低下を招く場合がある。加熱時間
は、通常5分から90分。好ましくは、10分から60
分である。この加熱は、必要により不活性気流(窒素、
ヘリウム、炭酸ガスなど)雰囲気下あるいは減圧下で実
施してもよい。不活性気流雰囲気下あるいは減圧下で加
熱処理することにより、吸水性樹脂の着色、酸化、熱劣
化を抑制することが可能となる。また、必要により、加
熱処理した後に冷却工程を加えることもできる。
【0017】この加熱操作には通常の乾燥機や加熱機が
使用でき、工業的な装置として、例えば熱風乾燥機、回
転式乾燥機、パドルドライヤー、円盤型乾燥機、流動層
式乾燥機、ベルト式乾燥機、ナウター型乾燥機、ロータ
リーキルン、赤外線乾燥機などが挙げられる。なお、上
記の混合と加熱操作とを同時に、同じ装置で行うことも
可能である。ここで反応とは、(A)と(C)による架
橋反応である。
【0018】本発明の表面近傍が(C)で架橋された粒
子状の吸水剤の表層からの架橋深さについては、(A)
の粒径、得られる吸水性樹脂の性能目標などによっても
異なるが、通常(A)の半径の40%以下、好ましくは
30%以下である。
【0019】本発明において、チオール化合物、1価ア
ミン化合物、有機カルボン酸化合物からなる群から選ば
れる少なくとも1種の反応促進剤(D)の存在下で表面
架橋を行うことにより、架橋の反応性および効率をさら
に向上することができる。(D)の例としては、チオー
ル化合物(メルカプトエタノール、チオリンゴ酸、メル
カプト酢酸等)、1価アミン化合物(トリエタノールア
ミン、トリイソプロパノールアミン等)、有機カルボン
酸化合物(アジピン酸、酢酸等)などが挙げられる。好
ましくはチオール化合物および有機カルボン酸化合物で
あり、更に好ましくはイオウ原子を含有したチオール化
合物であり、特に好ましくは常温で固体状であり、効果
に優れると言う点でチオリンゴ酸である。(D)の使用
量は、(C)1質量部に対して、通常0.01〜1質量
部、好ましくは0.02〜0.5質量部である。(D)
の量が0.01質量部未満では、添加の効果が乏しく、
(A)と(C)との反応性の向上が認められない。一
方、1質量部を越える量を添加しても効果に大差がない
ことから非経済的である。(D)は、(B)と水との混
合溶媒中に存在させておくのが好ましいが、加熱処理ま
での時間が短い(例えば1時間以内)、あるいは保存温
度が15℃以下であれば、(B)、水、および(C)の
混合液中、あるいは(C)と一緒に存在させておくこと
も可能である。
【0020】本発明の製造方法で得られる吸水剤は、使
用目的により吸収性能を任意にコントロールすることが
できるが、生理食塩水に対する無荷重下における吸収量
が45g/g以上、好ましくは50g/g以上である。
さらに、生理食塩水に対する高荷重下(60g/cm2
荷重)における吸収量が15g/g以上、好ましくは2
0g/g以上である。なお、生理食塩水とは、塩化ナト
リウム水溶液(濃度0.9質量%)である。更に、本発
明の吸水剤は、吸水後のゲルのドライ感が良好であり、
さらっとした感触を示す。また、使用した架橋剤の残存
もほとんど無い。
【0021】本発明の方法における任意の段階で、防腐
剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、塩類、無機質粉
末、有機質繊維状物などを添加することができ、その量
は得られた吸水性樹脂に対して通常5質量%以下であ
る。また、本発明の吸水剤を更に造粒や成型してもよ
い。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。無荷重下吸収量、低荷重下吸収量、高荷重下吸収量
および吸水後のドライ感は下記の方法により測定した。
以下、特に定めない限り、%は質量%を示す。
【0023】<無荷重下吸収量>250メッシュのナイ
ロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10c
m)に吸水剤1gを入れ、生理食塩水(濃度0.9%)
中に60分間浸漬した後、15分間吊るして水切りして
から増加質量を測定する。 <低荷重下吸収量>250メッシュのナイロン網を底面
に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、
高さ60mm)内に吸水剤0.1gを入れて均一に均
し、この吸水剤の上に20g/cm2の荷重となるよう
に外径30mmの分銅を乗せる。生理食塩水60mlの
入ったシャーレー(直径:12cm)の中に吸水剤の入
ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして
浸し、放置する。吸水剤が生理食塩水を吸収して増加し
た質量を60分後に測定し、その値の10倍値を高荷重
下吸収量とした。 <高荷重下吸収量>250メッシュのナイロン網を底面
に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、
高さ60mm)内に吸水剤0.1gを入れて均一に均
し、この吸水剤の上に60g/cm2の荷重となるよう
に外径30mmの分銅を乗せる。生理食塩水60mlの
入ったシャーレー(直径:12cm)の中に吸水剤の入
ったプラスチックチューブをナイロン網側を下面にして
浸し、放置する。吸水剤が生理食塩水を吸収して増加し
た質量を60分後に測定し、その値の10倍値を高荷重
下吸収量とした。 <吸水後のドライ感>生理食塩水に対する無荷重下吸収
量を測定した後の吸水ゲルを、密封条件下、40℃で1
時間静置した後、手のひらで軽く押さえ、そのドライ感
を以下の基準の4段階で評価した。 ◎:ドライ感良好 ○:◎よりやや劣るが、実用上満足できる程度のドライ
感 △:ドライ感が乏しく、若干ベトツキを感じる ×:ベトツキ感が大きい
【0024】吸水性樹脂の製造例1 アクリル酸200g、架橋剤としてメチレンビスアクリ
ルアミド0.4g、イオン交換水600gを混合して重
合性単量体水溶液を調整し、この混合液を断熱重合可能
な重合槽に投入した。溶液中に窒素ガスを導入すること
により、溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下、溶液
温度を5℃とした。この重合溶液に、35%過酸化水素
水0.03g、アスコルビン酸0.005g、V−50
(和光純薬工業製アゾ系触媒)0.1gを添加した。約
10分後に重合開始を示す温度上昇が確認され、約3時
間後に最高温度に到達した。更に4時間熟成して含水ゲ
ル状重合体を得た。この含水ゲル状重合体600gを小
型ニーダーを用いて小片に砕断した後、これに50%の
NaOH水溶液120gを添加し、カルボキシル基の7
2モル%をナトリウム塩とした。この中和された含水ゲ
ルを熱風乾燥した後、20〜145メッシュの粒度に粉
砕して含水率4.2%の吸水性樹脂粒子(A−1)を得
た。
【0025】吸水性樹脂の製造例2 製造例1において、架橋剤としてメチレンビスアクリル
アミドに代えて、ペンタエリスリトールトリアリルエー
テルを同量使用した以外は製造例1と同様にして、含水
率4.0%の吸水性樹脂粒子(A−2)を得た。
【0026】吸水性樹脂の製造例3 製造例2において、ペンタエリスリトールトリアリルエ
ーテルの量を0.8gに代える以外は製造例2と同様に
して、含水率3.8%の吸水性樹脂粒子(A−3)を得
た。
【0027】吸水性樹脂の製造例4 製造例1において、水440gにアクリル酸200gを
溶解し、水溶液の温度が35度以上にならないように冷
却化を行いながら、50%NaOH水溶液160gを徐
々に添加してカルボン酸基の72モル%を中和した。こ
の溶液にメチレンビスアクリルアミド0.4gを溶解
し、断熱重合可能な重合槽に投入した。溶液中に窒素ガ
スを導入することにより、溶液中の溶存酸素量を0.1
ppm以下、溶液温度を5℃とした。この重合溶液に、
35%過酸化水素水0.03g、アスコルビン酸0.0
05g、V−50を0.1g添加した。約10分後に重
合開始を示す温度上昇が確認され、約3時間後に最高温
度に到達した。更に4時間熟成して含水ゲル状重合体を
得た。この含水ゲル状重合体600gを小型ニーダーを
用いて小片に砕断した後、熱風乾燥し、20〜145メ
ッシュの粒度に粉砕して、含水率3.8%の吸水性樹脂
粒子(A−4)を得た。
【0028】実施例1 あらかじめエチレングリコールジグリシジルエーテル
0.6g、水25g、エチレングリコール(比誘電率:
37.7)10gを混合して表面架橋剤溶液(a)を作
成した。吸水性樹脂粒子(A−1)60gを内容量2リ
ットルのジューサーミキサーに入れ、攪拌しながら表面
架橋剤溶液(a)3.5gを添加して十分混合した。こ
の混合物を、120℃に調整した熱風乾燥機で40分間
加熱し、本発明の吸水剤(1)を得た。吸水剤(1)の
性能評価結果を表1に示す。
【0029】実施例2 実施例1において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、あ
らかじめエチレングリコールジグリシジルエーテル0.
6g、水15g、エチレングリコール20gを混合して
作成した表面架橋剤溶液(b)を使用する以外は実施例
1と同様にして吸水剤(2)を得た。吸水剤(2)の性
能評価結果を表1に示す。
【0030】実施例3 実施例1において、吸水性樹脂粒子(A−1)に代え
て、吸水性樹脂粒子(A−2)を用いる以外は実施例1
と同様にして吸水剤(3)を得た。吸水剤(3)の性能
評価結果を表1に示す。
【0031】実施例4 実施例3において、表面架橋剤溶液(a)の使用量を
5.5gに増やす以外は実施例2と同様にして吸水剤
(4)を得た。吸水剤(4)の性能を表1に示す。
【0032】実施例5 実施例2において、エチレングリコールに代えて、ジエ
チレングリコール(比誘電率:31.7)を同量用いる
以外は実施例2と同様にして吸水剤(5)を得た。吸水
剤(5)の性能評価結果を表1に示す。
【0033】実施例6 実施例1において、吸水性樹脂粒子(A−1)に代え
て、吸水性樹脂粒子(A−3)を用いる以外は実施例1
と同様にして吸水剤(6)を得た。吸水剤(6)の性能
評価結果を表1に示す。
【0034】実施例7 実施例1において、吸水性樹脂粒子(A−1)に代え
て、吸水性樹脂粒子(A−4)を用いる以外は実施例1
と同様にして吸水剤(7)を得た。吸水剤(7)の性能
評価結果を表1に示す。
【0035】実施例8 実施例2において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、エ
チレングリコールジグリシジルエーテルを0.4g、ポ
リグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名:デナ
コールEX−512,平均エポキシ官能基数約4;ナガ
セ化成工業(株)製)0.2g、水25g、エチレング
リコール10gを混合して作成した表面架橋剤溶液
(c)を用いる以外は実施例2と同様にして吸水剤
(8)を得た。吸水剤(8)の性能評価結果を表1に示
す。
【0036】実施例9 実施例7において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、実
施例8で作成した表面架橋剤溶液(c)を使用する以外
は実施例5と同様にして吸水剤(9)を得た。吸水剤
(9)の性能評価結果を表1に示す。
【0037】実施例10 実施例1において、表面架橋剤溶液(a)に反応促進剤
としてチオリンゴ酸0.2gを更に添加して作成した表
面架橋剤溶液(d)を使用する以外は実施例1と同様に
して吸水剤(10)を得た。吸水剤(10)の性能評価
結果を表1に示す。
【0038】実施例11 実施例6において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、実
施例10で作成した表面架橋剤溶液(dを使用する以外
は実施例6と同様にして吸水剤(11)を得た。吸水剤
(11)の性能評価結果を表1に示す。
【0039】実施例12 実施例7において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、実
施例10で作成した表面架橋剤溶液(d)を使用する以
外は実施例7と同様にして吸水剤(12)を得た。吸水
剤(12)の性能評価結果を表1に示す。
【0040】比較例1〜4 吸水性樹脂の製造例1〜4で得た吸水性樹脂粒子(A−
1)を比較例1、吸水性樹脂粒子(A−2)を比較例
2、吸水性樹脂粒子(A−3)を比較例3、吸水性樹脂
粒子(A−4)を比較例4とし、これらの性能評価結果
を表2に示す。
【0041】比較例5 実施例1において、表面架橋剤溶液(a)に代えて、エ
チレングリコールジグリシジルエーテル0.6g、水5
g、エチレングリコール30gを混合して表面架橋剤溶
液(e)を作成し、吸水性樹脂(A−1)60gに表面
架橋剤溶液(e)を3.5g添加することで、(A−
1)に対する水の量を0.83%とする以外は、実施例
1と同様にして比較吸水剤(1)を得た。比較吸水剤
(1)の性能評価結果を表2に示す。
【0042】比較例6 実施例1において、表面架橋液(a)に代えて、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル0.6g、水30
g、エチレングリコール5gを混合して表面架橋剤液
(f)を作成し、吸水性樹脂粒子(A−1)60gに表
面架橋剤溶液(f)を6g添加することで、(A−1)
に対する水の量を8.57%とする以外は、実施例1と
同様にして比較吸水剤(2)を得た。比較吸水剤(2)
の性能評価結果を表2に示す。
【0043】比較例7 実施例2において、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテルに代えて、架橋剤として多価アミン化合物である
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を同量使
用する以外は実施例2と同様にして比較吸水剤(3)を
得た。比較吸水剤(3)の性能評価結果を表2に示す。
【0044】比較例8 特開平7−278225号公報の実施例1に準じて、あ
らかじめエチレングリコールジグリシジルエーテル0.
5g、添加剤として乳酸5gおよび水30gを混合し、
比較の表面架橋剤溶液(g)を作成した。製造例4の吸
水性樹脂粒子(A−4)60gを内容量2リットルのジ
ューサーミキサーに入れ、攪拌しながら上記表面架橋剤
溶液(g)2.13gを添加して十分混合した。この混
合物を、120℃に調整した熱風乾燥機で40分間加熱
し、比較吸水剤(4)を得た。比較吸水剤(4)の性能
評価結果を表2に示す。
【0045】比較例9 特開平7−278225号公報の実施例2に準じて、あ
らかじめ、グリセロール5g、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル0.5g、クエン酸5g、水30gお
よびイソプロピルアルコール(比誘電率:19.9;沸
点:82.3℃)10gを混合して、比較の表面架橋剤
溶液(h)を作成した。比較例5において、表面架橋剤
溶(e)3.5gに代えて(h)を2.73g使用し、
熱風乾燥機の温度を200℃に調整して加熱処理する以
外は比較例5と同様にして、比較吸水剤(5)を得た。
比較吸水剤(5)の性能評価結果を表2に示す。
【0046】比較例10 特開平1−292004号公報の実施例7に準じて、あ
らかじめ、エチレングリコールジグリシジルエーテル1
g、水50gおよび1,3−ブタンジオール10g
(1,3−ブタンジオールと水との合計質量に対する水
の比率は83.3質量%)を混合して、比較の表面架橋
剤溶液(i)を作成した。比較例5において、表面架橋
剤溶(e)3.5gに代えて(i)を3.66g使用
し、熱風乾燥機の温度を140℃に調整して加熱処理す
る以外は比較例5と同様にして、比較吸水剤(6)を得
た。比較吸水剤(6)の性能評価結果を表2に示す。
【0047】比較例11 実施例7において、熱風乾燥機の温度を200℃に調整
して加熱処理する以外は実施例7と同様にして比較吸水
剤(7)を得た。比較吸水剤(7)の評価結果を表2に
示す。
【0048】
【表1】 *1)荷重下吸収量:20g/cm2の低荷重下における吸収量 *2)荷重下吸収量:60g/cm2の高荷重下における吸収量
【0049】
【表2】 *1)荷重下吸収量:20g/cm2の低荷重下における吸収量 *2)荷重下吸収量:60g/cm2の高荷重下における吸収量
【0050】
【発明の効果】本発明の製造方法は、次のような効果を
奏する。 特定の比誘電率を有する有機溶剤と水との混合溶媒を
使用することから、架橋剤のグリシジル基と吸水性樹脂
のカルボン酸基との反応性が高く、効率的に架橋反応を
行わせることができる。 有機溶剤と水との比率、吸水性樹脂に対する水の量を
調節することにより、架橋剤の吸水性樹脂粒子内部への
浸透を適切にコントロールできることから、樹脂粒子の
表面近傍の架橋密度を最適化でき、且つ架橋が均質であ
る。 架橋剤溶液の処理および加熱反応の過程で、吸水性樹
脂粒子相互間に凝集が起こって塊状になることがなく、
作業性が良好である。 分子量および官能基数の異なる架橋剤を併用すること
により、架橋密度および架橋勾配の最適化をさらに適切
に行うことができる。 さらに反応促進剤を併用することにより、吸水性樹脂
粒子と架橋剤との反応性が更に高まる。 適当な沸点の有機溶剤を選定することで、防爆型の設
備を必要としなくなることから、設備コストが安価な製
造方法である。
【0051】上記〜の効果を有することから、本発
明の方法で得られる吸水剤は次のような特性を有する。 無荷重下および荷重下のいずれの条件においても、優
れた吸収能力を示す。特に、従来の表面架橋方法に比べ
て、高荷重下(例えば、60g/cm2の荷重) にお
ける吸収性能に優れる。 被吸収液と接触したときに吸水剤がママコを生成しな
い。すなわち、非ゲルブロッキング性に優れる。従っ
て、吸収速度も速い。 吸水後のゲルのドライ感が良好であり、さらっとした
感触を示す。従って、紙おむつ等に使用した場合、排尿
後のおむつ表面のドライ感が良好となる。 経血、血液、体液などの粘性の高い液に対しても優れ
た吸収性能を発揮する。 架橋剤の残存が無く、安全性が高い。 高湿度条件下においても吸湿ブロッキング(塊状物の
形成)が少なく、粉体流動性も良好なことから、粉体の
取り扱い作業性が良好である。
【0052】上記効果を奏することから、本発明の吸水
剤は、吸収性当材、衛生材料(紙おむつ、生理用ナプキ
ン、失禁用パッド、手術用アンダーパッド等)などの人
体に接する用途、特に高荷重下における吸収性能を要望
される大人用紙おむつに有用である。更に、土圧の加わ
った状態における吸水力が要求される土壌保水剤;高い
安全性が要求される青果物等の鮮度保持剤、肉類、魚介
類等のドリップ吸収剤、保冷剤等の食品と接触する可能
性のある用途など、種々の用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊達 雅志 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 (72)発明者 田中 健治 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子
    (A)を、該カルボキシル基と反応し得る架橋剤で処理
    し、反応させて、表面近傍が架橋された吸水剤を製造す
    る方法において、 該吸水性樹脂粒子(A)としてカルボキシル基の中和
    度が60〜90モル%のものを用い、 架橋反応の溶媒として比誘電率25以上の多価アルコ
    ール系有機溶剤(B)を含む有機溶剤と水との混合溶媒
    であって、(B)と水との合計に対する水の比率が質量
    基準で40〜80%となる混合溶媒を用い、 架橋剤としてポリグリシジル化合物(C)を使用し、 (A)に対する水の量を1〜8質量%にコントロール
    し、 該混合溶媒の存在下、且つ(B)がカルボキシル基と
    架橋反応を起こさない温度条件下、(A)と(C)の架
    橋反応を行うことを特徴とする吸水剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 架橋反応をさせる温度が100℃〜16
    0℃である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)が、少なくとも2個のアリルエー
    テル基を有する架橋剤で架橋された吸水性樹脂粒子であ
    る請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 (A)が、アクリル酸と少なくとも2個
    のアリルエーテル基を有する架橋剤とをラジカル共重合
    し、次いで重合体中のカルボキシル基の60〜90モル
    %を中和して得られる吸水性樹脂粒子である請求項1〜
    3のいずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (C)として、分子量400以下のジグ
    リシジル化合物と、分子量が500以上でグリシジル基
    を3個以上有するグリシジル化合物とを併用する請求項
    1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 (B)の沸点が170℃以上である請求
    項1〜5のいずれか記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 架橋反応をチオール化合物、1価アミン
    化合物、有機カルボン酸化合物からなる群から選ばれる
    少なくとも1種の反応促進剤(D)の存在下に行う請求
    項1〜6のいずれか記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法
    で得られ、無荷重下における生理食塩水に対する吸収量
    が45g/g以上、60g/cm2の高荷重下における
    生理食塩水に対する吸収量が15g/g以上である吸水
    剤。
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