JPH06287220A - 吸水性樹脂の製造法 - Google Patents

吸水性樹脂の製造法

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JPH06287220A
JPH06287220A JP5098832A JP9883293A JPH06287220A JP H06287220 A JPH06287220 A JP H06287220A JP 5098832 A JP5098832 A JP 5098832A JP 9883293 A JP9883293 A JP 9883293A JP H06287220 A JPH06287220 A JP H06287220A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 カルボン酸基およびカルボン酸塩基を有する
吸水性樹脂粒子に、分子内に少なくとも2個のアジチジ
ニウム塩基を有し、且つ少なくとも1000の重量平均
分子量を有する高分子架橋剤を添加し、吸水性樹脂粒子
の表面近傍を効率的に架橋して得られる吸水性樹脂の製
造法。 【効果】 高分子架橋剤を用いるため、吸水性樹脂粒子
内部への架橋剤の浸透が少なく、吸水性樹脂粒子の表面
近傍を効率的に架橋できる。従って、常圧吸収量並びに
加圧吸収量が高い吸水性樹脂が製造できる。また、該架
橋剤は、カルボン酸基ないしはカルボン酸塩基と反応性
の高いアジチジニウム塩基を、分子内に多数含むため、
架橋効率が高く、且つ安全性及び粉体流動性の良好な吸
水性樹脂を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は吸水性樹脂の製造法に関
する。更に詳しくは、加圧吸収量が高くかつ安全性の高
い吸水性樹脂の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】吸水性樹脂は、その驚異的な吸水能力か
ら、パルプや吸水紙に変わる素材として、紙おむつ、生
理用品などの衛生用品に使用されているのをはじめ、そ
の特性を生かし、保水材、止水材などの用途や食品加工
用途などにも幅広く使用されつつある。衛生用品用の吸
水性樹脂の場合、組成的には、ポリアクリル酸やポリメ
タクリル酸の部分中和塩が一般的であるが、紙おむつな
どに使用される場合は、単に常圧吸収量(無荷重状態で
の尿などに対する吸収量)が高いだけでなく、加圧吸収
量(荷重下での吸収量)の高いことが要求される。加圧
吸収量を高くするためには、荷重に耐えて尿などを吸収
する必要があることから、架橋度を高める必要がある。
しかしながら、公知の方法により、共重合性架橋剤の使
用量を増やして均一な架橋を行なった場合、架橋度のア
ップにより加圧吸収量は増加するが常圧吸収量の低下を
生じる欠点がある。そして、この常圧吸収量の低下によ
り加圧吸収量のアップにも限界が生じてくる。この問題
を解決する方法として、吸水性樹脂内部の架橋度を小さ
くして常圧吸収量を保持し、カルボン酸基および/また
はカルボン酸塩基と反応する官能基をすくなくとも2個
有した架橋剤で吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋して架
橋度を大きくする、いわゆる表面架橋の方法が提案され
ている。この場合架橋剤としては、エチレングリコール
ジグリシジルエーテルなどに代表されるエポキシ化合物
(例えば特開昭57-44627号公報)、グリセリンなどに代
表される多価アルコール(例えば特開昭58-180223号公
報)、多価アミン化合物、多価アジリジン化合物もしく
は多価イソシアネート化合物(例えば特開昭59-189103
号公報)、アミノ基を有する多価エポキシ化合物(特開
昭63-195205号公報)、エピハロヒドリンとアンモニ
ア、エチレンジアミンなどの低分子1級アミンとの反応
物(特開平2-248404号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の架橋剤は比較的低分子量であることから、表面架橋を
行なう際に架橋剤が吸水性樹脂粒子の比較的内部まで浸
透し、結果として、均一架橋ほどではないにしろ粒子内
部まで架橋され、常圧吸収量の低下を生じる。また、架
橋剤としてグリセリンなどの多価アルコールや多価アミ
ンを使用した場合は、架橋反応を行わせるために通常18
0℃以上での加熱が必要であり、この様な高温での処理
では吸水性樹脂自体の熱架橋や熱劣化が起こるため、架
橋度のコントロールが難しいばかりでなく、常圧吸収量
および加圧吸収量低下の原因となる。更に、エチレング
リコールジグリシジルエーテルなどに代表されるのエポ
キシ化合物、分子内にアミノ基を有するエポキシ化合
物、多価アミン化合物、多価アジリジン化合物、多価イ
ソシアネート化合物などの架橋剤は、架橋剤そのもの皮
膚刺激性が比較的強く、乳幼児などの皮膚と接触する可
能性のある衛生用品用の吸水性樹脂の架橋剤として使用
する場合には、未反応架橋剤が残存した場合の安全性が
懸念される。一方、エピハロヒドリンとアンモニア、エ
チレンジアミンなどの低分子の1級アミンとの反応物を
架橋剤として使用した場合は、反応物の組成が単にエピ
ハロヒドリンのエポキシ基とアミンが付加した形の化合
物であり、この化合物は分子内には活性な官能基が存在
しないため、加熱しても有効な架橋が行えず、目的であ
る加圧吸収量の向上効果が不十分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を鑑みて、吸水性樹脂の表面近傍を効率的に架橋で
き、高い常圧吸収量と高い加圧吸収量の双方を満足し、
更に架橋剤のそのものの安全性が高く表面架橋剤および
これを用いた吸水性樹脂についてを鋭意検討した結果、
本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、カルボン酸基およびカ
ルボン酸塩基を有する吸水性樹脂粒子(A)100重量部
に、分子内にアジチジニウム塩基を少なくとも2個有
し、且つ少なくとも1,000の重量平均分子量を有する高
分子架橋剤(B)0.01〜10重量部を添加し、該吸水性樹
脂粒子(A)の表面近傍を加熱架橋して得られる吸水性
樹脂の製造法である。
【0006】本発明において吸水性樹脂粒子(A)とし
ては、カルボン酸基および/またはカルボン酸塩基を有
する吸水性樹脂粒子であれば特に限定はなく、例えばポ
リアクリル酸部分中和物の架橋体、自己架橋型ポリアク
リル酸部分中和物、デンプン−アクリル酸塩グラフト共
重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリルグラフト重
合体架橋物の加水分解物、ビニルアルコール−アクリル
酸塩共重合体、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体
架橋物、アクリル酸塩−アクリロニトリル共重合体架橋
物の加水分解物、アクリル酸塩と2-アクリルアミド-2-
メチル プロパンスルホン酸塩の共重合体架橋物、架橋
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和物、カル
ボキシメチルセルロース塩の架橋物などの1種以上が挙
げられる。これらのうち好ましいものは、最終的に得ら
れる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、カルボン酸基お
よび/またはカルボン酸塩基を多く有する吸水性樹脂、
すなわちポリアクリル酸部分中和物の架橋体および自己
架橋型ポリアクリル酸部分中和物である。
【0007】ここで、カルボン酸塩に用いられる塩とし
ては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、リ
チウム塩などが挙げられる。これらのうちで好ましいも
のは、ナトリウム塩である。
【0008】該吸水性樹脂粒子(A)の製造法および形
状については特に限定はなく、逆相懸濁重合法により得
られるパ−ル状の吸水性樹脂、水溶液重合後の乾燥物を
粉砕して得られるリン片状、塊状、岩状、顆粒状あるい
は無定形状の吸水性樹脂などが挙げられる。またこれら
の吸水性樹脂粒子を造粒したものであってもよい。
【0009】該吸水性樹脂粒子(A)の粒径については
特に限定はなく、通常10〜140メッシュである。しかし
ながら、紙おむつなどの衛生用品用途に使用する場合、
表面積の大きな細かい粒子は吸収速度が速くなりすぎて
尿の横への拡散を阻害すること、更に細かい粒子は基材
のパルプ層からの抜けを生じやすいことから、好ましい
粒径は通常20〜60メッシュの粒子が全体の70重量%以上
を有するもの、更に好ましくは、20〜42メッシュの粒子
が全体の70重量%以上を有するものである。
【0010】本発明においてアジチジニウム塩を少なく
とも2個有する高分子架橋剤(B)は、通常分子内に少
なくとも2個の2級アミンを有する高分子ポリアミン化
合物(1)とエピハロヒドリン(2)とを縮合反応させ
て合成される化合物である。(1)と(2)との縮合反
応によりアジチジニウム塩含有ポリマーが得られること
は、例えば〔「Appita,Vol.37(No.
3),1983」233〜236頁〕に記載されてい
る。尚、ここでアジチジニウム塩とは、下記化1に示す
反応生成物の構造を有するものである。
【0011】
【化1】
【0012】アミン化合物として、1級のポリアミン化
合物を使用し、エピハロヒドリンと縮合させた場合は、
1級アミンとエポキシ基との付加反応及び分子間での4
級化反応が優先し、カルボン酸基およびカルボン酸塩基
と活性が高いアジチジニウム塩基を生じる分子内での閉
環反応がうまく進行せず、また3級アミン化合物を使用
した場合は、閉環反応自体が起こらないので好ましくな
い。
【0013】分子内に少なくとも2個の2級アミンを有
する高分子ポリアミン化合物(1)としては、エチレン
イミンの重合物であるポリエチレンイミン化合物;ポリ
グリシジルエーテル化合物(ペンタエリスリトールポリ
グリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジル
エーテルなど)と低分子アミン化合物(エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)
との縮合反応により得られる縮合型高分子ポリアミン化
合物;上記の多価グリシジルエーテル化合物にアミン化
合物(モノアミン化合物、ジアミン化合物、ポリアミン
化合物など)を付加した高分子ポリアミン化合物;グル
シジル(メタ)アクリレート等の重合物〔ポリグリシジ
ル(メタ)アクリレート、ポリアリルグリシジルエーテ
ルなど〕に上記のアミン化合物を付加させた高分子ポリ
アミン化合物;アミン類のマイケル付加反応が可能なオ
レフィン系化合物(エチレングリコールジアクリレー
ト、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリア
クリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールポリアクリレートなど)と上記の低分子ポリ
アミン化合物との付加反応により得られる付加型高分子
ポリアミン化合物;エポキシ基とマイケル付加が可能な
オレフィンを分子内に持つ化合物(グリシジル(メタ)
アクリレートなど)と上記の低分子ポリアミンとの付加
型高分子ポリアミン化合物;およびこれらの2種以上の
混合物などが挙げられる。これらのうち好ましいもの
は、分子内に少なくとも4個の2級アミンを有する高分
子ポリアミン化合物である。ここで、高分子ポリアミン
化合物(1)として分子内にアミド基を有する化合物
(例えば、アジピン酸とジエチレントリアミンとの縮合
反応物などポリアミドポリアミン化合物)を用いると、
後に述べる吸水性樹脂の加熱架橋の際に、アミド基間の
イミド化反応とアンモニアガスの発生が起こり、結果と
してポリアミン化合物の主鎖の切断を招くことがあるた
め好ましくない。更に、アミド基が分子鎖の中に入って
くることにより2級アミン当量が大きくなるばかりでな
く、分子内における2級アミン基の分布が不均一となる
ため好ましくない。
【0014】エピハロヒドリン(2)としては、エピク
ロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリ
ンなどを例示することができる。
【0015】(1)と(2)との縮合反応は、(1)に
(2)を添加し、通常20〜100℃で数時間加熱反応すれ
ばよく、この縮合反応により、本発明のアジチジニウム
塩を2個有する高分子架橋剤(B)が合成される。
【0016】該高分子ポリアミン化合物(1)に対する
エピハロヒドリン(2)の添加量は、ポリアミン化合物
中の2級アミンの含量に対して、通常10〜200モル%、
好ましくは50〜150モル%である。エピハロヒドリンの
添加量が、10モル%未満では高分子架橋剤(B)中のア
ジチジニウム塩の含量が低くなりすぎて活性が低くな
り、吸水性樹脂粒子(A)との架橋反応がうまく行えな
いばかりでなく、分子内に多量のアミノ基を残すことと
なり、架橋剤そのものの安全性の面で好ましくない。一
方、エピハロヒドリンの添加量が200モル%を超える
と、該縮合反応物中に多量の未反応のエピハロヒドリン
が残存することとなり、非経済的であるばかりか、安全
性の観点からも好ましくない。
【0017】本発明における高分子架橋剤(B)の重量
平均分子量は、通常1,000以上、好ましくは5,000〜100,
000、更に好ましくは10,000〜100,000ある。重量平均分
子量が1,000未満の場合、該(B)を吸水性樹脂粒子
(A)に添加した時に(A)の比較的内部にまで浸透す
るため、粒子内部まで架橋され、常圧吸収量の低下をき
たす。さらに、皮膚への浸透性が比較的高い低分子の化
合物が未反応のまま吸水性樹脂に残存した場合、皮膚に
対する安全性が懸念される。一方、重量平均分子量が10
0,000を超えると、該(B)をそのまま、あるいは
(B)を水性溶液にして(A)に添加する際に、(B)
あるいは(B)水溶液の粘度が高すぎて均一な添加が難
しくなり、結果として、十分な加圧吸収量をもつ吸水性
樹脂が得られなくなるだけでなく、得られた吸水性樹脂
の粉体流動性も低下することがある。
【0018】該高分子架橋剤(B)のアジチジニウム塩
の官能基数は、少なくとも2個、好ましくは4個以上で
ある。アジチジニウム塩の官能基数が2個未満の場合、
架橋反応は進行しない。したがって、加圧吸収量の向上
は認められない。
【0019】(1)と(2)との縮合反応させた後、必
要により、酸を加えてpHを4〜9、好ましくはpHを5
〜8に調整することができる。加える酸としては、生成
したアジチジニウム塩基と反応しない酸であればいずれ
でも良く、例えば燐酸、塩酸、硫酸、硝酸などを例示で
きる。
【0020】本発明において、(B)の(A)に対する
添加量は、(B)の種類、(A)の種類およびその架橋
度、得られる吸水性樹脂の性能目標などによっても異な
るが、(A)100部に対して重量比で、通常0.01〜10
部、好ましくは0.05〜5部、更に好ましくは0.1〜3部で
ある。この(B)の添加量が0.01部未満では、架橋効果
が十分発現せず加圧吸収量の向上が少なく、10部を超え
ると架橋密度が過大となりすぎて常圧吸収量、加圧吸収
量ともに低下する。
【0021】(B)を(A)に添加する方法については
特に限定はないが、例えば(A)に(B)を添加した後
に攪拌混合する方法、(A)を攪拌しながら(B)を添
加する方法、(A)を高速で攪拌しながら(B)の水溶
液をスプレー添加する方法等が挙げられる。
【0022】本発明において、(B)と共に更に水溶性
化合物(C)の水溶液を併用して添加することにより、
(B)を(A)の表面に均一に添加することができる。
この場合、(B)と(C)との併用のしかたについては
特に限定はなく、(B)と(C)の水溶液を別々に
(A)に添加する方法、(B)と(C)との双方を溶解
した水溶液を(A)に添加する方法等が挙げられる。
【0023】水溶性化合物(C)は、1価アルコールの
アルキレンオキサイド付加物(a)およびラクタム類
(b)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
且つ前記(A)および(B)に不活性な化合物である。
1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(a)と
しては、メタノールのエチレンオキサイド付加物、エタ
ノールのエチレンオキサイド付加物、ブチルアルコール
のエチレンオキサイド付加物、メタノールのエチレンオ
キサイド/プロピレンオキサイド(ブロックまたはラン
ダム)付加物等が挙げられる。ラクタム類(b)として
は、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−
バレロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
これら(C)として例示したものうちで好ましいもの
は、1価アルコールのエチレンオキサイド付加物であ
り、特に好ましいものは1価アルコールのエチレンオキ
サイド2〜10モル付加物である。
【0024】本発明において、(C)の水溶液中の濃度
は、(C)の種類によって種々変化させることができる
が、吸水性樹脂粒子(A)の(C)水溶液に対する吸水
倍率が5倍以下、好ましくば3倍以下となるように(C)
の濃度を設定するのが好ましい。この濃度は、通常2〜7
0重量 %、好ましくは5〜60重量%である。例えば、
(C)として(a) を使用した場合は10〜60重量%、
(C)として(b)を使用した場合は5〜40重量%の濃
度とするのが特に好ましい。(C)の水溶液濃度が2重
量%未満の場合、(A)の該水溶液に対する吸水倍率が
5倍を超えるため、(A)を該混合水溶液で処理したと
きに(A)が半膨潤状態となり、膨潤粒子相互間に凝集
が起こって塊状になりやすく、(A)の表面近傍を均質
に架橋させることが難しくなる。その結果、得られた吸
水性樹脂の加圧吸収量は低下する。一方、(C)の水溶
液濃度が濃度が70重量%を超えると、(A)と(B)の
架橋反応に必要な水分量を確保するためには、多量の混
合水溶液で処理しなければならず非経済的である。
【0025】本発明において上記(C)の水溶液の添加
量は、(C)の水溶液の種類、濃度により種々変化させ
ることができるが、(A)100重量部に対して通常0.1〜
10重量部、好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは2〜5
重量部である。(C)の水溶液の添加量が1重量部未満
では(B)を(A)に均一に添加する効果が乏しく、10
重量部を超えると、架橋反応に時間がかかるばかりでな
く、得られた吸水性樹脂の吸収性能を低下させる場合が
あり実用的ではない。
【0026】(A)に、(B)、または(B)および
(C)の水溶液の添加に使用する装置としては、通常の
混合機でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混
合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウタ
ー型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニー
ダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合
機、ロールミキサーなどが挙げられる。
【0027】上記のように処理して得られた(A)の表
面近傍を、(B)または(B)と(C)の水溶液の混合
物を用いて加熱架橋反応させる温度は、(B)の種類お
よび添加量、または(C)の水溶液における水の量によ
っても異なるが、通常80〜180℃、好ましくは100〜160
℃である。80℃未満の温度では、架橋反応に長時間を要
するので経済的でないばかりか、(B)の種類や添加量
によっては本発明の効果が発現するのに十分な程度に架
橋反応が進行しないことがあり、その結果優れた加圧吸
収量を有する吸水性樹脂が得られない。一方、180℃を
超える温度では、吸水性樹脂の着色や熱架橋による吸収
性能の低下を生じる。この加熱架橋は、上記の混合と同
時に行ってもよい。
【0028】この加熱架橋に使用する装置としては通常
の乾燥機や加熱機でよく、例えば気流乾燥機、回転式乾
燥機、パドルドライヤー、円盤型乾燥機、流動層乾燥
機、ベルト式乾燥機、ナウター式加熱機、赤外線乾燥機
などを使用することができる。
【0029】この加熱は、必要により真空中あるいは不
活性気流雰囲気下で実施することができる。真空中ある
いは不活性気流雰囲気下で加熱することにより、より高
い温度で加熱架橋を行っても、吸水性樹脂の着色、酸
化、熱劣化等を抑制することが可能となる。不活性気流
の例としては、窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどが挙げら
れる。
【0030】本発明の方法により得られる吸水性樹脂の
吸収性能は、吸水性樹脂の使用目的により種々変化させ
ることができるが、生理食塩水に対する常圧吸収量(無
荷重状態での吸収量)が通常50g/g以上、好ましくは55g
/g以上である。更に、生理食塩水に対する加圧吸収量
(荷重下での吸収量)が30g/g以上、好ましくは35g/g以
上である。ここで生理食塩水とは、濃度0.9重量%の塩
化ナトリウム水溶液である。
【0031】本発明の吸水性樹脂のように優れた加圧吸
収量を有する吸水性樹脂は、紙おむつや生理用ナプキン
などの衛生用品の吸収剤として好適に使用することがで
きる。特に紙おむつに適用した場合、紙おむつの吸収能
力が向上するだけでなく、吸尿後の紙おむつ表面のドラ
イ感の向上や漏れの低減にも効果がある。
【0032】本発明の吸水性樹脂は、本発明の方法にお
ける任意の段階で、防腐剤、防かび剤、殺菌剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質
粉末、有機質繊維状物などを添加したものとすることが
できる。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。以下において、部は重量部、%は重量%を示す。
【0034】本発明の吸水性樹脂の性能は次の方法で測
定した。 常圧吸収量:250メッシュのナイロン網で作成したティ
ーバッグに吸水性樹脂1gを入れ、 生理食塩水(濃度0.9
重量%)中に、30分間浸漬した後、引き上げて15分間水
切りし、増加重量を測定した。この値を常圧吸収量とし
た。 加圧吸収量:250メッシュのナイロン網を底面に貼った
円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内
に吸水性樹脂0.1gを入て均一に広げ、この上に20g/cm2
の荷重となるように外径30mmの分銅を乗せる。生理食塩
水60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に吸水性樹
脂の入ったチューブをナイロン網側を下面にして30分間
浸漬する。30分後の増加重量の10倍値を加圧吸収量とし
た。 吸水性樹脂の粉体流動性(指数):パウダーテスター
(ホソカワミクロン〓製)を用いて、吸水性樹脂粉末の
安息角、スパチュラ角、圧縮度、均一度の4項目を測定
し、粉体流動性指数を求めた。粉体流動性指数と粉体の
流れ安さとの関係は下記の通りである。 粉体流動性指数; 80以上:粉体流動性は極めて良好 70〜80:粉体流動性は良好 60〜70:粉体流動性はやや不良 60以下:粉体流動性は不良 紙おむつによるドライネスの評価: (1)モデル紙おむつの作成:14cm×36cmの大きさに裁断
したポリエチレンシートに、同じ大きさのティシュペー
パーと坪量200g/m2のフラッフパルプを重ねる。次いで
吸水性樹脂5gをフラッフパルプ上に均一に散布し、更に
坪量100g/m2のフラッフパルプとティッシュペーパーお
よび不織布をこの順で重ねる。この積層物を5kg/cm2
圧力で90秒間プレスすることによりモデル紙おむつを作
成した。 (2)ドライネスの測定:人工尿(塩化ナトリウム0.9%、
尿素8%、硫酸マグネシウム0.03%、塩化カルシウム0.0
3%の水溶液)150mlをモデル紙おむつの中央部に注ぎ、
30分後の紙おむつ表面のドライ感を10人のパネラーで
指触判定し、平均値を次の4段階で表示した。 ◎:ドライ感良好 ○:◎よりやや劣るが、満足出来る程度のドライ感 △:ドライ感が乏しく、若干ベトツキ感あり ×:ベトツキ感が大きい
【0035】製造例1〔高分子架橋剤(イ)の合成〕 攪拌機を備えた500mlの反応容器に、分子量約10,000の
ポリエチレンイミン〔「エポミンSP−200」;(株)
日本触媒製〕43部と水153部を入れ、60℃に加熱した。
内容物の温度を60℃に保ちながら、更にエピクロルヒド
リン92.5部を滴下ロートを用いて1時間かけて徐々に滴
下し、60℃で5時間攪拌を継続して反応させた。反応終
了後、塩酸(36%水溶液)11.5部を加え、60℃で更に2
時間攪拌を継続し、高分子架橋剤(イ)の水溶液(架橋
剤濃度50%)を得た。この高分子架橋剤(イ)水溶液の
pHは5.3であり、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)を用いて測定した重量平均分子量は約
22,000であった。
【0036】製造例2〔高分子架橋剤(ロ)の合成〕 攪拌機を備えた1,000mlの反応容器に、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル87部とトリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル300部を入れ、50℃に加熱した。
内容物の温度を50℃に保ちながら、エチレンジアミン30
部を滴下ロートを用いて2時間かけて滴下し、50℃で6時
間攪拌を継続して反応さることにより、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテルとエチレンジアミンとが縮合
し、分子内に2級アミンを多数含む反応物を得た。次い
で、内容物の温度を60℃に昇温し、エピブロモヒドリン
140部を2時間かけて滴下し、60℃でさらに5時間攪拌し
て反応を継続した。反応終了後、リン酸15部と水300部
を加え、60℃で更に2時間攪拌を継続し、高分子架橋剤
(ロ)の水溶液(架橋剤濃度30%)を得た。この高分子
架橋剤(ロ)水溶液のpHは6.1であり、GPCを用い
て測定した重量平均分子量は約31,000であった。
【0037】製造例3〔高分子架橋剤(ハ)の合成〕 攪拌機を備えた1,000mlの反応容器に、エチレングリコ
ールジアクリレート85部とトリエチレングリコールモノ
メチルエーテル200部を入れ、30℃に加熱した。内容物
の温度を30℃に保ちながら、ジエチレントリアミン51部
を滴下ロートを用いて2時間かけて滴下し、30℃で6時間
攪拌を継続して反応させることにより、エチレングリコ
ールジアクリレートとジエチレントリアミンとがマイケ
ル付加反応で縮合し、分子内に2級アミンを多数含む反
応物を得た。次いで、内容物の温度を60℃に昇温し、エ
ピクロロヒドリン92.5部を2時間かけて滴下し、60℃で
さらに5時間攪拌して反応を継続した。反応終了後、リ
ン酸10部と水200部を加え、60℃で更に1時間攪拌を継
続し、高分子架橋剤(ハ)の水溶液(架橋剤濃度37%)
を得た。この高分子架橋剤(ハ)水溶液のpHは5.8で
あり、GPCを用いて測定した重量平均分子量は約15,0
00であった。
【0038】製造例4〔高分子架橋剤(ニ)の合成〕 製造例1において、分子量約10,000のポリエチレンイミ
ンに代えて、分子量約100,000のポリエチレンイミン
〔「エポミンP−1020」;(株)日本触媒製〕を高分
子ポリアミン化合物として用いた以外は製造例1と同様
にして、高分子架橋剤(ニ)の水溶液(架橋剤濃度50
%)を得た。この高分子架橋剤(ニ)水溶液のpHは5.
3であり、GPCを用いて測定した重量平均分子量は約2
60,000であった。
【0039】実施例1 アクリル酸ナトリウム72モル%、アクリル酸27.95モル
%およびメチレンビスアクリルアミド0.05モル%からな
るアクリル酸塩系単量体の25%水溶液1,000部に過酸化
水素0.01部よびアスコルビン酸0.02部を添加し、窒素雰
囲気中、重合開始温度10℃で5時間断熱重合し、ゲル状
重合体を得た。このゲル状重合体を150℃に設定したベ
ルト式熱風乾燥機で乾燥後、20〜60メッシュの粒度に粉
砕して吸水性樹脂粒子(a)を得た。吸水性樹脂(a)
中の粒度分布を測定したところ、20〜42メッシュの割合
は、全体の75%であった。該吸水性樹脂粒子(a)100
部を容量2,000mlのジューサーミキサーに入れて高速攪
拌をつづけながら、製造例1で得た高分子架橋剤(イ)
水溶液1部を水4部で希釈した水溶液を噴霧して十分混合
した。得られた混合物を150℃で約30分間加熱処理して
本発明の吸水性樹脂[1]を得た。吸水性樹脂粒子
(a)および本発明の吸水性樹脂[1]の常圧吸収量、
加圧吸収量、粉体流動性およびモデル紙おむつでのドラ
イネスを測定し、これらの性能測定結果を表1に示し
た。
【0040】実施例2 実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(a)100部を容量
2,000mlのジューサーミキサーに入れて高速攪拌をつづ
けながら、高分子架橋剤(イ)水溶液1部と水2部および
トリエチレングリコールモノメチルエーテル2部との混
合水溶液5部を噴霧して十分混合した。得られた混合物
を150℃で約30分間加熱処理して本発明の吸水性樹脂
[2]を得た。得られた吸水性樹脂[2]の性能測定結
果を表1に示した。
【0041】実施例3 実施例1において、高分子架橋剤(イ)水溶液1部を水4
部で希釈した水溶液に代えて、製造例2で得た高分子架
橋剤(ロ)水溶液1.5部と水2部およびトリエチレングリ
コールモノメチルエーテル1.5部との混合水溶液5部を使
用する以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂[3]を
得た。得られた吸水性樹脂[3]の性能測定結果を表1
に示した。
【0042】実施例4 実施例1において、高分子架橋剤(イ)水溶液1部を水4
部で希釈した水溶液に代えて、製造例3で得た高分子架
橋剤(ハ)水溶液1.5部と水2部およびトリエチレングリ
コールモノメチルエーテル1.5部との混合水溶液5部を使
用する以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂[4]を
得た。得られた吸水性樹脂[4]の性能測定結果を表1
に示した。
【0043】実施例5 実施例1において、高分子架橋剤(イ)に代えて、製造
例4で得た高分子架橋剤(ニ)を使用する以外は実施例
1と同様にして吸水性樹脂[5]を得た。得られた吸水
性樹脂[5]の性能測定結果を表1に示した。
【0044】実施例6 実施例2において、高分子架橋剤(イ)に代えて、高分
子架橋剤(ニ)を使用する以外は実施例2と同様にして
吸水性樹脂[6]を得た。得られた吸水性樹脂[6]の
性能測定結果を表1に示した。
【0045】実施例7 実施例2において、トリエチレングリコールモノメチル
エーテル2部に代えてε−カプロラクタム1部を使用する
以外は実施例2と同様にして吸水性樹脂[7]を得た。
得られた吸水性樹脂[7]の性能測定結果を表1に示し
た。
【0046】実施例8 実施例2において、吸水性樹脂粒子の粒度を42〜200メ
ッシュに代えた吸水性樹脂粒子(b)を使用する以外は
実施例2と同様にして吸水性樹脂[8]を得た。 該
(b)および得られた吸水性樹脂[8]の性能測定結果
を表1に示した。
【0047】実施例9 実施例1において、吸水性樹脂粒子(a)に代えてデン
プン−アクリル酸ナトリウムグラフト共重合体架橋物
〔「サンウェットIM−1000」;三洋化成工業(株)
製〕の20〜40メッシュの粒度の吸水性樹脂粒子(c)を使用
する以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂[9]を得
た。該(c)および得られた吸水性樹脂[9]の性能測
定結果を表1に示した。
【0048】比較例1 実施例1において、高分子架橋剤(イ)水溶液1部を水4
部で希釈した水溶液に代えて、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル(EGDG)の10%水溶液5部を使用し
た以外は実施例1と同様にして比較の吸水性樹脂[1
0]を得た。尚、吸水性樹脂[10]中の残存EGDG
含量を高速液体クロマトグラフィー〔島津製作所(株)
製、LC−6A〕を用いて測定したところ、約150ppmの
残存EGDGが検出された。得られた比較の吸水性樹脂
[10]の性能測定結果を表1に併記した。
【0049】比較例2 攪拌機を備えた1000mlの反応容器に、N,N’−ジメチ
ルエチレンジアミン88部と水270部を入れ、60℃に加熱
した。内容物の温度を60℃に保ちながら、更にエピクロ
ルヒドリン185部を滴下ロートを用いて1時間かけて徐
々に滴下し、60℃で5時間攪拌を継続して反応させた。
反応終了後、塩酸(36%水溶液)8部を加え、60℃で更
に2時間攪拌を継続し、架橋剤(ホ)の水溶液(架橋剤
濃度50重量%)を得た。この架橋剤(ホ)水溶液のpH
は5.6であり、GPC用いて測定した重量平均分子量は
約270であった。実施例1において、高分子架橋剤
(イ)に代えて、上記で合成した低分子架橋剤(ホ)水
溶液を同量使用した以外は実施例1と同様にして比較の
吸水性樹脂[11]を得た。得られた比較の吸水性樹脂
[11]の性能測定結果を表1に併記した。
【0050】比較例3 エピクロルヒドリン3部、エチレンジアミン0.49部、メタノ
ール30部を混合攪拌して、50℃で15時間反応させて、低分
子の架橋剤(ヘ)溶液を得た。この架橋剤(ヘ)液のp
Hは、9.6であり、GPCを用いて測定した重量平均分
子は約400であった。実施例1において、高分子架橋剤
(イ)水溶液1部を水4部で希釈した水溶液にに代えて、
上記で合成した低分子架橋剤(ヘ)溶液1部を水1部で希
釈した水溶液5部を使用した以外は、実施例1と同様に
して比較の吸水性樹脂[12]を得た。 得られた比較
の吸水性樹脂[12]の性能測定結果を表1に併記し
た。
【0051】比較例4 攪拌機を備えた1000mlの反応容器に、アジピン酸146部
と水260部を入れ、80℃に加熱した。内容物を80℃に保
ちながら、ジエチレントリアミン103部を滴下ロートを
用いて4時間かけて滴下し、滴下後、80℃で更に3時間攪
拌を継続し、ポリアミドポリアミン化合物の水溶液を得
た。次いで、内容物の温度を60℃に冷却し、内容物の温
度を60℃に保ちながら、更にエピクロルヒドリン92.5部
を滴下ロートを用いて1時間かけて徐々に滴下し、60℃
で5時間攪拌を継続して反応させた。反応終了後、塩酸
(36%水溶液)6部を加え、60℃で更に2時間攪拌を継続
し、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリン樹脂
(ト)水溶液(架橋剤濃度50重量%)を得た。この
(ト)水溶液のpHは7.2であり、GPC用いて測定し
た重量平均分子量は約33,000であった。実施例1におい
て、高分子架橋剤(イ)水溶液に代えて、上記で合成し
たポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリン樹脂
(ト)水溶液を同量使用した以外は実施例1と同様にし
て比較の吸水性樹脂[13]を得た。得られた比較の吸
水性樹脂[13]の性能測定結果を表1に併記した。
【0052】比較例5 実施例1において、高分子架橋剤(イ)水溶液1部を水4
部で希釈した水溶液にに代えて、市販のポリアミドポリ
アミン/エピクロルヒドリン樹脂〔「カイメン−557
H」;ディックハーキュレス(株)製〕の10%水溶液5部
を使用した以外は、実施例1と同様にして比較の吸水性
樹脂[14]を得た。得られた比較の吸水性樹脂[1
4]の性能測定結果を表1に併記した。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の方法は次のような効果を奏す
る。 本発明の製造法で用いられる架橋剤は高分子量である
ことから、吸水性樹脂内部にまで架橋剤は浸透せず、吸
水性樹脂粒子の表面近傍だけを効率的に架橋できる。 本発明における高分子架橋剤は、カルボン酸基および
/またはカルボン酸塩基との反応性が高いアジチジニウ
ム塩基を分子内に多数有しているため、加熱架橋後に未
反応架橋剤が残存することがない。 本発明における高分子架橋剤は、多価アルコールや多
価アミン化合物の場合と違って、比較的低い温度で表面
架橋させることができる。従って、加熱架橋時に吸水性
樹脂の熱架橋や着色を生じることがない。 本発明における高分子架橋剤は、アミド基のような加
水分解や熱に弱い官能基を含まないため、耐加水分解性
や熱安定性に優れる。 本発明における架橋剤は高分子量であることから皮膚
などへの浸透性が低く、さらに アミド基などを含まな
いことから、架橋剤自身の安全性が高い。 架橋剤の溶媒として特定の水溶性化合物の水溶液を使
用することにより、さらに均質な表面架橋を行うことが
できる。すなわち、この水溶性化合物の水溶液は吸水性
樹脂粒子にほとんど吸収されないことから、架橋剤を吸
水性樹脂粒子に添加・混合する課程で吸水性樹脂粒子相
互間の凝集が起こらず、均一な添加・混合が行えるとと
もに、作業性が良好である。 有機溶剤を使用しないため、防爆構造の設備を必要と
せず経済的であり、さらに有機溶剤を除去する工程も不
要である。
【0055】また、本発明の方法により得られる吸水性
樹脂は次のような特性を有する。 常圧吸収量、加圧吸収量ともに高い。 ゲル強度が高く、且つゲルの剪断安定性に優れる。ま
た、耐加水分解性および熱安定性も良好である。 水と接触したときにママコにならず、適当な吸収速度
を有する。 吸水後のゲルのドライ感が良好である。 粉体の流動性が良好である。 高湿度条件下においても吸湿による粒子同士の凝集が
少ない。 皮膚刺激性などに関する安全性が高い。
【0056】更に、本発明の方法により得られる吸水性
樹脂を使用した紙おむつは次のような特性を有する。 吸尿後の紙おむつ表面のドライ感、サラット感が良好
である。 吸水性樹脂が適当な吸収速度を持つため、紙おむつ内
での尿の拡散性が良く、紙おむつ全体で尿を効率よく吸
収できる。 紙おむつからの尿の漏れが少ない。
【0057】上記効果を奏することから、本発明の方法
により得られる吸水性樹脂は、衛生材料(子供用および
大人用紙おむつ、生理用ナプキン、失禁用パッド等)等
の人体に接する衛生用品用の吸収剤として特に好適に使
用することができる。更に、鮮度保持材、保冷材、ドリ
ップ吸収材などの食品類と接する用途;ペット尿の固化
剤;廃血液の固化剤;乾燥剤;植物や土壌などの保水
剤;油中水分の除去剤;ヘドロなどの凝固剤;結露防止
剤;土木建築用の止水材やパッキング材;電線ケーブル
や光ファイバーケーブルの止水材などの各種用途に有用
である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸基およびカルボン酸塩基を有
    する吸水性樹脂粒子(A)100重量部に、分子内にアジ
    チジニウム塩基を少なくとも2個有し、且つ分子量が少
    なくとも1,000の重量平均分子量を有する高分子架橋剤
    (B)0.01〜10重量部を添加し、該吸水性樹脂粒子
    (A)の表面近傍を加熱架橋して得られる吸水性樹脂の
    製造法。
  2. 【請求項2】 (A)100重量部に、(B)0.01〜10重
    量部と、さらに下記水溶性化合物(C)の水溶液(濃度
    2〜70重量%)0.1〜10重量部を添加し、該吸水性樹脂粒
    子(A)の表面近傍を加熱架橋して得られる請求項1記
    載の製造法。水溶性化合物(C):1価アルコールのア
    ルキレンオキサイド付加物およびラクタム類からなる群
    から選ばれる少なくとも1種であり、且つ(A)および
    (B)に不活性な水溶性化合物。
  3. 【請求項3】 (B)の重量平均分子量が、5,000〜10
    0,000である請求項1および2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 (B)が分子内にアジチジニウム塩基を
    少なくとも4個有する請求項1〜3のいずれか記載の製
    造法。
  5. 【請求項5】 (B)が、分子内にアミド基を含まず且
    つ少なくとも4個の2級アミンを有する高分子ポリアミ
    ンと、エピハロヒドリンとの縮合物である請求項1〜4
    のいずれか記載の製造法。
  6. 【請求項6】 (A)に対する(B)の添加量が、0.05
    〜5重量%である請求項1〜5のいずれか記載の製造
    法。
  7. 【請求項7】 加熱架橋させる温度が80〜180℃である
    請求項1〜6のいずれか記載の製造法。
  8. 【請求項8】 該吸水性樹脂の常圧吸収量が少なくとも
    55g/gで、且つ加圧吸収量が少なくとも35g/gである請求
    項1〜7のいずれか記載の製造法。
  9. 【請求項9】 該吸水性樹脂が衛生用品に使用される吸
    収剤である請求項1〜8のいずれか記載の製造法。
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