JPWO2019069630A1 - 重合体粒子及びその製造方法、並びに該粒子を有する塗工液組成物、シート、樹脂成形体、繊維及び粘度調整剤 - Google Patents

重合体粒子及びその製造方法、並びに該粒子を有する塗工液組成物、シート、樹脂成形体、繊維及び粘度調整剤 Download PDF

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Abstract

【課題】カルボキシル基含有水溶性モノマーと架橋性モノマーを水中で共重合すると、ゲル化を起こすため、安定して粒子を形成することが困難である。これに対して、ニトリル基やエステル結合を持った疎水性モノマーを共重合した粒子をヒドラジンで架橋し、加水分解によってカルボキシル基を形成する方法が知られているが、製造工程が多く、使用できるモノマーに制約があった。本発明の目的は、加水分解工程が不要で、ゲル化も起こさずに、水系溶媒中で少ない工程で簡便に得ることのできるカルボキシル基含有架橋重合体粒子を提供することにある。【解決手段】酸型および/または塩型であるカルボキシル基と架橋構造を有する粒子であって、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーおよびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含有する混合物を重合したものであることを特徴とする重合体粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、水系溶媒中においてカルボキシル基を有するビニル系水溶性モノマーからゲル化を起こすことなく直接的に得ることのできる重合体粒子、該粒子を製造する方法および該粒子を用いた各種素材に関する。
従来カルボキシル基を含有し、架橋構造をもった粒子は吸水性ポリマーとして広く知られている。この重合方法としてはカルボキシル基含有モノマーと水溶性架橋剤を水系で溶液重合した後、乾燥し粉砕して得る方法、疎水性溶媒を使用しての逆相懸濁重合などで行われている。通常カルボキシル基を含有した水溶性モノマーと架橋性モノマーを水溶媒中で重合を行うと、水溶性ポリマーが形成した後に架橋構造を形成する。その際、溶媒である水がポリマー内部に取り込まれゲル化を起こす。そのため、安定して粒子を形成することが困難であった。
ゲル化させることなく水溶媒中でカルボキシル基含有架橋重合体粒子を得るために、カルボキシル基を誘導できるニトリル基やエステル結合を持った疎水性のモノマーを共重合組成に有する重合粒子をヒドラジンで架橋し、その後水酸化ナトリウムなどの強塩基を使用したニトリル基、エステル結合の加水分解によってカルボキシル基を形成する方法が知られている(特許文献1)。この方法の場合、加水分解工程が増え生産性が悪くなり、また、強塩基条件を経るためカルボキシル基を誘導させる目的以外のモノマーは強塩基条件に耐えうるものでなければならないなどの制約があった。
特開平8−225610号公報
以上のように、カルボキシル基含有架橋重合体粒子の合成を水溶媒中で直接的に行うことは困難であった。本発明は、かかる従来技術の現状を鑑みて創案されたものであり、その目的は、加水分解工程が不要で、ゲル化も起こさずに、水系溶媒中で少ない工程で簡便に得ることのできるカルボキシル基含有架橋重合体粒子およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、カルボキシル基含有のビニル系水溶性モノマーとポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の混合物が、水難溶性を有するものとなること、さらには該混合物が水系溶媒中でも液滴状に分散でき、架橋剤とゲル化することなく反応を行えることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下の手段により達成される。
(1)酸型および/または塩型であるカルボキシル基と架橋構造を有する粒子であって、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーおよび該モノマーの重量に対し10〜100重量%のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含有する混合物を重合したものであることを特徴とする重合体粒子。
(2)カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合が全体の混合物重量に対し20〜80重量%であることを特徴とする(1)に記載の重合体粒子。
(3)架橋構造を構築する架橋剤の割合が全体のモノマー重量に対し0.1〜50重量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載の重合体粒子。
(4)架橋剤がビニル系架橋性モノマーであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の重合体粒子。
(5)ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物がビニル系モノマーであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の重合体粒子。
(6)カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマー、架橋剤およびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水系溶媒中で液滴状に分散させて重合する重合体粒子の製造方法。
(7)カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーおよびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水系溶媒中で液滴状に分散させて重合させ、次いで架橋剤を反応させる重合体粒子の製造方法。
(8)重合後にさらに塩型調整処理を行うことを特徴とする(6)または(7)に記載の重合体粒子の製造方法。
(9)(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体粒子と樹脂を混合してなる塗工液組成物。
(10)(9)に記載の塗工液組成物を塗布したシート。
(11)(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体粒子を含有する樹脂成形体。
(12)(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体粒子を含有する繊維。
(13)(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体粒子を含有する粘度調整剤。
本発明においては、有機溶媒中でなくとも、水系溶媒中においてカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーからゲル化することなく少ない工程で簡便にカルボキシル基含有架橋重合体粒子を得ることが出来る。このため、かかる重合体粒子は、従来のカルボキシル基含有架橋重合体粒子に比べて安価に製造することができ、吸湿性、消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性等が求められる様々な用途により広く展開することが可能である。また、本発明の重合体粒子は、モノマー組成や架橋度合を特定の範囲に調整することにより、従来にない特性を有する粘度調整剤として利用することも可能である。
実施例11で作成したシートの吸放湿特性を示す図である。 実施例13で作成した重合体粒子の粘度調整効果を示す図である。
●重合体粒子について
本発明における重合体粒子は、酸型および/または塩型カルボキシル基と架橋構造を有するものであり、カルボキシル基を含有するビニル系水溶性モノマーおよびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含有する混合物を重合したものである。また、前記架橋構造は架橋剤によって構築される。かかる本発明の重合体粒子においては、これらの成分以外の重合性モノマーやその他の機能性材料を加えて重合してもよい。
また、重合体粒子に含まれるカルボキシル基のカウンターイオンの状態は特に限定されず、酸型でも塩型でもよく、両者が混在していても構わない。塩型の場合については、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属、NH4、アミン等の有機の陽イオン等を挙げることが出来る。後述するようにこれらの酸型、塩型によって発揮される機能が異なってくるので、所望の機能を勘案して、カウンターイオンの種類を適宜選択することができる。
重合体粒子に含まれるカルボキシル基量としては、カルボキシル基に由来する機能を十分に得られ、かつゲル化などの問題点を発生させないようにする観点から、好ましくは2〜8mmol/gであり、より好ましくは3〜7mmol/g、さらに好ましくは3〜6mmol/gである。
また、本発明の重合体粒子の平均粒子径としては、重合方法や重合条件により制御することができる。例えば、乳化重合等で得られる水分散体状態のものの場合は、10〜1000nm、好適には30〜500nmのものを得ることができ、懸濁重合で得られる粉末状の粒子であれば、1〜150μm、好適には1〜100μmのものを得ることができる。
●カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーについて
本発明におけるカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーとは、カルボキシル基とビニル基を分子構造中に持ち、かつ20℃、一気圧において同重量の水と混合した際に相分離しないものである。このようなモノマーとしては、例えばメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸などが挙げられる。
重合体粒子に含まれるカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合は、全体のモノマー重量に対し、好ましくは20〜80重量%である。かかる範囲のうち、吸湿性、消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性に主眼を置く場合には、40重量%を超え、75重量%未満であることがより好ましく、50重量%を超え、65重量%未満であることがさらに好ましい。また、粘度調整剤用途に用いる場合には、20〜60重量%がより好ましく、40〜60重量%がさらに好ましい。カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合が20重量%未満であると得られる重合体粒子のカルボキシル基由来の機能や増粘効果が十分に得られないことがあり、逆に80重量%を超えると重合時に水系溶媒中へ溶解するモノマーが増加し、水溶性ポリマーが副生して、重合系の過度の増粘、収率の低下などが引き起こされ安定して重合体粒子を得られないことがある。
●架橋剤について
本発明に採用する架橋剤としては、分子内にカルボキシル基と反応できる官能基を複数有する化合物や分子内に二重結合を複数持ったビニル系架橋性モノマーが挙げられる。カルボキシル基と反応できる官能基を持った架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する化合物、エポクロス(登録商標、日本触媒社製)などのオキサゾリン基を有する化合物、ケミタイト(登録商標、日本触媒社製)などのアジリジン基を有する化合物、カルボジライト(登録商標、日清紡ケミカル社製)などのカルボジイミド基を有する化合物が挙げられ、ビニル系架橋性モノマーとしては、分子内に二重結合を複数有するモノマーであれば特に限定はなく、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等を挙げることができる。また、分子内にカルボキシル基と反応できる官能基と二重結合を両方有する、例えばグリシジルメタクリレートなどの架橋剤も使用できる。なかでも単位重量あたりの二重結合の数が多く、反応性が高いアリル(メタ)アクリレートが好ましい。これら架橋剤は複数選択することもできる。
重合体粒子に含まれる架橋剤の割合は、全体のモノマー重量に対し0.1〜50重量%であることが好ましい。かかる範囲のうち、吸湿性、消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性に主眼を置く場合には、20〜40重量%であることがより好ましい。また、粘度調整剤用途に用いる場合には、0.1〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることがさらに好ましい。架橋剤が少なすぎると、カルボキシル基を塩型に変換した際、親水性が高まり重合体粒子が水に溶解することがある。また、架橋剤には重合体粒子の膨潤性の抑制効果があるが、使用量に対する効果は量が多くなるに従って小さくなることから、50重量%を超えて用いることは効果的とは言えない。
なお、本発明において、架橋剤は重合体粒子の重合時に併用して架橋構造を構築させてもよいし、重合体粒子を合成した後に、架橋剤を添加して架橋構造を構築させてもよい。
●ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物について
本発明に採用するポリオキシアルキレン鎖を有する化合物とは、分子構造中にポリオキシアルキレン鎖を有するものである。代表的な例としては、アルコキシポリエチレングリコールアクリレート、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アルコキシポリプロピレングリコールアクリレート、アルコキシポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、EO変性グリセリントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートなどの重合性化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリマーなどが挙げられる。特に、親水性の高いポリオキシエチレン鎖を有する化合物であることが好ましく、その中でも1個のビニル基を有するものが好適である。
上記のようなポリオキシアルキレン鎖を有する化合物は、上述したカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーと混合することで、水系溶媒中でもカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーを水に対して難溶性にすることができる。この理由は定かでないが、かかる化合物とモノマーを混合した際に両者に存在する親水性部分で会合が起こって親水性が弱まり、得られる混合物では疎水性が強まることによるものだと考えられる。これにより、水系溶媒中であってもかかる混合物を液滴状に分散することが可能となり、重合してもゲル化することなく重合体粒子を得ることが可能となるのではないかと考えられる。
また、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の割合としては、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマー重量に対し、好ましくは10〜100重量%であり、より好ましくは25〜100重量%である。これより多い、あるいは少ない量では水に対する難溶化への効果が少なくなり、重合中にゲル化、あるいは過度の増粘が起こり安定して重合体粒子を得ることが困難となる。
●その他の重合性モノマーについて
本発明の重合体粒子に共重合することのできるその他の重合性モノマーとしては、上述のモノマー混合物が水系溶媒に液滴状に分散することを阻害しない限り、どのようなものでも採用することができる。代表的な例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート、スチレン、酢酸ビニル、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、p−スチレンスルホン酸ソーダなどを挙げることができる。
特に、本発明の重合体粒子を粘度調整剤用途に使用する場合においては、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーよりも疎水性の高いモノマーを共重合すると、揺変性を発現できるようになる。この理由は定かではないが、粒子間における疎水性部分の相互作用が起こりやすくなるためであると考えられる。かかる疎水性の高いモノマーとしては、メタクリル酸メチルやアクリル酸エチルなどを挙げることができる。
●機能性材料について
本発明の重合体粒子に添加することのできる機能性材料としては、重合系中に共存させたときに、モノマー混合物の分散や重合反応を阻害しない限り、どのようなものでも採用することができる。代表的な例としては、顔料、光触媒粒子、紫外線吸収剤、抗菌剤などを挙げることができる。
●製造方法について
上述してきた本発明の重合体粒子の製造方法としては、カルボキシル基を含むビニル系水溶性モノマーおよびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水系溶媒中で液滴状に分散させて重合する方法であれば特に限定されないが、以下の方法を例示することができる。
(1)水系溶媒中で乳化剤とカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマー、架橋剤およびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水溶性開始剤によって乳化重合する方法
(2)カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマー、架橋剤およびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の混合溶液に油溶性開始剤を溶解し、該混合液を分散剤存在下で水系溶媒中に分散させて懸濁重合する方法
なお、上記(1)および(2)の方法において、架橋剤を重合時ではなく、重合後に添加して反応させる方法も採用できる。
(1)の方法においては乳化剤を添加する代わりに、p−スチレンスルホン酸ソーダのようなイオン性官能基を含むモノマーなどを加えることで、ソープフリー乳化重合を行うことも可能である。この場合、イオン性官能基を含むモノマーは全体のモノマー重量に対して1〜5重量%用いることが望ましい。
また、水溶性開始剤としては、過酸化水素、過硫酸塩、過マンガン酸塩、塩素酸塩などが挙げられ、これらは複数の組合せでも使用することができる。
(2)の方法における分散剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機塩類が挙げられる。
また、油溶性開始剤としては、アゾ系または過酸化物系が用いられる。アゾ系開始剤では2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートなどが挙げられ、これらは複数の組合せでも使用することができる。
また、上記の各方法における水系溶媒としては、通常、水が単独で用いられるが、水に有機溶媒を溶解させた混合溶媒を用いることもできる。かかる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。併用する有機溶媒の割合としては、混合溶媒の全重量に対して、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満である。
上述のような方法で得られた重合体粒子に含まれるカルボキシル基のカウンターイオンについては、カルボキシル基を含むビニル系水溶性モノマーとして酸型のカルボキシル基を有するものを採用した場合には酸型となるが、用途に応じて、全部又は一部を塩型に変換することができる。塩型への変換方法としては、目的とする金属塩基あるいはアミン化合物による酸型カルボキシル基の中和が挙げられる。また、酸型への変換方法としては、無機酸による処理などを挙げることができる。
酸型カルボキシル基を含有する重合体粒子(以下、酸型重合体粒子ともいう)では塩基物質の吸着による消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性などの機能が期待され、塩型カルボキシル基を有する重合体粒子(以下、塩型重合体粒子ともいう)では吸湿性、酸性物質の吸着による消臭性、増粘効果などが期待でき、また酸型、塩型のカルボキシル基が共存することで両者の機能を付与することもできる。
●本発明の重合体粒子を含有する各種素材について
上述してきた本発明の重合体粒子は、塗工液組成物に添加してシートなどに塗布したり、樹脂成形体や繊維に練り込んだり、付着させたりすることによって、各種素材にカルボキシル基由来の吸湿性、消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性などの様々な機能を付与することができる。添加量としては、所望の機能を発現させることができる量を設定すればよいが、一般的には、各種素材の本発明の重合体粒子が添加される部分において、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有させることが望ましい。一方、添加量が多いほど素材の機械的特性が低下するため、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下の添加量に止めることが望ましい。
塗工液組成物としては、本発明の重合体粒子と樹脂を混合してなる塗工液組成物があり、有機溶剤に溶解させた樹脂と本発明の重合体粒子を混合して作製するものや、水系樹脂と本発明の重合体粒子とを混合して作製するものが挙げられる。そして、かかる塗工液組成物をベースとなる基材に塗布することにより、様々な機能性シートを作成することができる。
前者の塗工液組成物は合成皮革や人工皮革を構成する樹脂に添加することで、各皮革に本発明の重合体粒子の機能を付与することができる。合成皮革であれば、ポリウレタン樹脂と該組成物を混合して合成皮革の表皮層を構成することができ、また、人工皮革であれば、不織布基材をポリウレタン樹脂で処理する工程においてポリウレタン樹脂と該組成物を混合して人工皮革を製造することができる。一方、後者の塗工液組成物の場合には、合成皮革、人工皮革、不織布、生地などのシートに塗布することで、各シートに本発明の重合体粒子の機能を付与することができる。
樹脂成形体としては本発明の重合体粒子を含有したフィルムなどが挙げられる。本発明の重合体粒子を含有することで前述してきた粒子の特性を付与できることは勿論のこと、透湿性フィルムを作製することも可能である。
本発明の重合体粒子を含有した繊維は、繊維の表面にバインダーなどを用いて本発明の重合体粒子を固着させることによって得ることができる。また、合成繊維などの場合には紡糸原液に本発明の重合体粒子を混合して紡糸を行うことによって得ることができる。ここで、ベースとなる繊維としては、綿、羊毛、絹、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタンなどを挙げることができる。
本発明の重合体粒子を含有した繊維は、通常の繊維と同様に各種繊維製品に適用することができ、これらの製品に上述した各種機能を付与することができる。例えば、合成皮革、人工皮革、不織布、生地などのシートを構成する繊維として使用すれば、該重合体粒子の機能を付与したシートを製造することができる。
また、本発明の重合体粒子においては、架橋の度合いを低くすると、水膨潤性が高まるので、水系媒体に分散させた場合に、粘度を高める効果が得られる。この増粘効果を利用して、水系の塗料、インク、樹脂組成物などの粘度調整剤として使用することができる。特に、本発明の重合体粒子においては、従来の粘度調整剤とは異なり、重合体粒子の濃度増加に対して、急激な粘度上昇や塗料成分等の凝集が起こりにくいという特徴を有している。
この理由は定かではないが、以下のように推定される。すなわち、従来の粘度調整剤は塗料等の液体状組成物中に溶解し、長い線状分子として顔料などの液体状組成物中の成分と会合してネットワークを形成することにより、増粘効果を発現している。一方、本発明の重合体粒子の場合には、架橋構造を有するために水に溶解することはなく、粒子の独立性を保ったまま膨潤して体積が増大すると考えられる。そして、この体積増大により塗料成分が移動しにくくなって粘度が増加するものと考えられる。このため、本発明の重合体粒子においては、急激な粘度上昇や液体状組成物中の成分の凝集が起こりにくくなるものと考えられる。
また、本発明の重合体粒子を粘度調整剤として用いる方法としては、まず、酸型重合体粒子エマルジョンの状態で、増粘対象となる塗料、インク、樹脂組成物などの液体状組成物に添加した後、アルカリ性化合物を添加して中和することにより、増粘効果を発現させる方法を採ることができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び百分率は、断りのない限り重量基準で示す。まず、各特性の評価方法について説明する。
[平均粒子径]
<1>エマルジョン
大塚電子製粒径測定システム「ELSZ−2」を使用して水を分散媒として測定した結果を散乱光強度分布で表し、そのメディアン径をもって平均粒子径とした。
<2>粉末
島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−200V」を使用して水を分散媒として測定し、体積基準で表した粒子径分布から、平均粒子径を求めた。
[カルボキシル基量]
十分乾燥した酸型の試料1gを精秤し(X[g])、これに200mlの水を加えた後に攪拌しながら0.1NNaOH水溶液を滴下していき、常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からH型カルボキシル基に消費されたNaOH水溶液消費量(Y[ml])を求め、次式によって試料中に含まれるカルボキシル基量を算出した。
カルボキシル基量[mmol/g]=0.1Y/X
なお、Na型やK型の試料については、これらの塩型に変換する前の酸型の試料を用いて測定を実施した。
[増粘性および揺変性]
酸型重合体粒子エマルジョンに水を加え固形分2%まで希釈した後、水酸化ナトリウムを添加してpH10に調整した。pH調製後の粘度をBROOKFIELD製のB型粘度計DV−II+を用い、液温を30℃に調整し、60RPMでの値を測定した。このときの粘度が100mPa・s以上であるものを増粘性良好と判断する。また、30RPMでの粘度についても同様に測定し、チクソトロピーインデックス(TI値)を次式によって算出する。
TI値=(30rpmでの粘度)/(60rpmでの粘度)
このときTI値が2以上あるものを揺変性良好と判断する。
[飽和吸湿率]
試料を十分に乾燥させ重量を測定する(Wds[g])。次に乾燥させた重合体粒子を温度20℃で相対湿度65%RHに調整された恒温恒湿器に16時間放置し、吸湿した試料の重量を測定する(Wws[g])。以上の結果をもとに、飽和吸湿率を次式により算出する。
飽和吸湿率(重量%)=(Wws−Wds)/Wds×100
[実施例1]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸70重量部、メタクリル酸アリル24重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(新中村化学製)24重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例2]
実施例1で得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウム水溶液を添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例3]
実施例1で得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化カリウム水溶液を添加していき、該エマルジョンのpHをpH10に調整することでK型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例4]
反応槽に水460重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ3.9重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸90重量部、メタクリル酸アリル2.4重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート24重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例5]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ3.9重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸36重量部、メタクリル酸アリル60重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート20重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例6]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ3.9重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸42重量部、メタクリル酸アリル32重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート42重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例7]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ3.9重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸72重量部、メタクリル酸アリル37重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート8重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例8]
反応槽に水680重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ3.9重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸68重量部、メタクリル酸アリル24重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート24重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例9]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸70重量部、メタクリル酸アリル24重量部、およびPEG4000N(平均分子量3,000、三洋化成製)20重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。得られた酸型重合体粒子エマルジョンに水酸化ナトリウムを添加していき、該エマルジョンのpHを10に調整することでNa型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例10]
反応槽に水456重量部および5重量%ポリビニルアルコール24重量部を入れた後、メタクリル酸71重量部、メタクリル酸アリル25重量部、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート25重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1重量部からなる混合物を添加し分散させる。次いで60℃で2時間懸濁重合を行った。得られた粒子分散液に水酸化ナトリウムをpH10になるまで添加した後、水洗、脱水、乾燥を行うことでNa型重合体粒子の粉末を得た。
[比較例1]
反応槽に水526重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸72重量部およびメタクリル酸アリル46重量部の混合物を入れ、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、重合を開始した。重合が進むにつれて反応溶液の過度の増粘が観察され、最終的にはゲル化した。
上述した実施例および比較例で得られた重合体粒子の特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2019069630
実施例1〜10に示すように、本発明においては、有機溶媒を使用せずとも、水系溶媒中においてカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーから、吸湿性能の高いカルボキシル基含有架橋重合体粒子を得ることが出来る。一方、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を使用しなかった比較例1においては、重合中にゲル化が進行し、重合体粒子を得ることができなかった。
[実施例11]
実施例1で作製した18重量%酸型重合体粒子エマルジョン100重量部、水系アクリル樹脂である50重量%ボンコートAB−886(DIC製)36重量部を混合し、塗工液を作製した。得られた塗工液を固形分として50g/mとなるように10cm×10cmのナイロン不織布の片面に塗布し、120℃で30分間乾燥することで重合体粒子担持シートを得た。次いで塗布面側をアルミテープでマスキングしたサンプルを作製した。また、酸型重合体粒子エマルジョンを混合しないこと以外は前記と同様にして、比較サンプルを作製した。
これらのサンプルを30℃、40%RH条件下で16時間調湿した後、30℃、90%RH条件に移し吸湿に伴う重量変化(吸湿量)を1時間測定した。その後、サンプルを30℃、40%RH条件下に戻したときの放湿に伴う重量変化を1時間測定した。このサイクルを2回実施したときの結果を図1に示す。なお、吸湿量は1mに換算した値を採用している。図1に示されたように本発明の重合体粒子を担持することで不織布に吸放湿性が付与された。
[実施例12]
反応槽に水524重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸24重量部、メタクリル酸アリル0.6重量部、アクリル酸エチル84.7重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート8.3重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
[実施例13]
反応槽に水524重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸アリル0.6重量部、アクリル酸エチル36.3重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート20.7重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
[参考例1]
反応槽に水524重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸78.5重量部、メタクリル酸アリル12重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート27.1重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
[比較例2]
反応槽に水524重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸12重量部、メタクリル酸アリル0.6重量部、アクリル酸エチル100.9重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート4.1重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
[比較例3]
反応槽に水524重量部、91.8重量%p−スチレンスルホン酸ソーダ2.6重量部、および塩化第1鉄0.012重量部を入れ、次いで、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸アリル0.096重量部、アクリル酸エチル36.8重量部、およびメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート20.7重量部の混合物を分散させて、60℃に昇温した。次に、5.0重量%ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液10重量部及び、5.7重量%過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を添加し、1時間重合を行うことで酸型重合体粒子エマルジョンを得た。
上述した実施例および比較例で得られた重合体粒子の特性を評価した結果を表2に示す。また、水を加えて固形分40%としたアクリル−スチレン系エマルジョン「ボンコート5400EF」(DIC社製)に、実施例13の酸型重合体粒子エマルジョンを0〜0.7%の範囲で加え、水酸化ナトリウムでpH7〜9の範囲に入るように調整したときの重合体粒子の添加量と「ボンコート5400EF」の粘度の関係を図2に示す。なお、粘度測定は上記の[増粘性および揺変性]の項に記載した方法と同じ方法で実施した。
Figure 2019069630
実施例12、13のようにカルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合を20〜60重量%の範囲とし、さらに架橋剤の割合を低下させると、低固形分領域においても良好な増粘性、揺変性を得ることができる。また、参考例1および比較例2より、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合が20〜60重量%の範囲外であると粘度調整剤としての使用には適さないことがわかる。ただし、参考例1については飽和吸湿率が64%であり、吸湿性の優れたものであった。また、比較例3は、架橋剤の割合が極端に低いため、水酸化ナトリウムで処理することによって水溶性となり粒子状態を維持することができなかった。また、図2に示すように、本発明の重合体粒子は、粘度調整剤として用いた場合、1%以下の実用的な添加量の範囲おいて急激な粘度変化が起こさないものである。

Claims (13)

  1. 酸型および/または塩型であるカルボキシル基と架橋構造を有する粒子であって、カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーおよび該モノマーの重量に対し10〜100重量%のポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を含有する混合物を重合したものであることを特徴とする重合体粒子。
  2. カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーの割合が全体の混合物重量に対し20〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合体粒子。
  3. 架橋構造を構築する架橋剤の割合が全体のモノマー重量に対し0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の重合体粒子。
  4. 架橋剤がビニル系架橋性モノマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体粒子。
  5. ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物がビニル系モノマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合体粒子。
  6. カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマー、架橋剤およびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水系溶媒中で液滴状に分散させて重合する重合体粒子の製造方法。
  7. カルボキシル基含有ビニル系水溶性モノマーおよびポリオキシアルキレン鎖を有する化合物を混合し、水系溶媒中で液滴状に分散させて重合させ、次いで架橋剤を反応させる重合体粒子の製造方法。
  8. さらに塩型調整処理を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の重合体粒子の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体粒子と樹脂を混合してなる塗工液組成物。
  10. 請求項9に記載の塗工液組成物を塗布したシート。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体粒子を含有する樹脂成形体。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体粒子を含有する繊維。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体粒子を含有する粘度調整剤。
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