JP2010540207A - 吸水剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂粒子は水溶性不飽和単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、本明細書において、吸水性樹脂のことを水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体と称することがある。)の粒子である。
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在している。なお、ここで、上記吸水性樹脂粒子の表面とは、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分を示すものとする。なお、ここで、長径とは、粒子表面(外気にさらされている部分)上の任意の2点をとった場合、この2点間の距離が最大となる長さをいう。
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在している。本発明で用いられる多価カチオンは、水溶性の多価カチオンであれば特に限定されるものではない。多価カチオンが水溶性であることによって、有機酸(塩)や吸水性樹脂粒子と相互作用しやすいので、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることが可能となる。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在する吸水剤である。なお、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとについては上記(2)(3)で、吸水性樹脂粒子については上記(1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
また、本発明には、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、並びに、水溶性多価カチオンが存在する吸水剤を製造する方法も含まれる。本発明の吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を少なくとも含んでいればよい。これによって、CRCとSFCのバランスに優れる吸水剤を製造することができる。
本発明において吸水体は、本発明の上記吸水剤を含むものである。上記吸水体を適当な素材と組み合わせることにより、たとえば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、吸水体について説明する。
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
=(W1(g)−W0(g))/(吸水剤の質量(g))−1
<4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)>
圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。図1は、AAPの測定装置を示す断面図である。
=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水剤の質量(0.900g))
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水剤の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど、吸水剤は、高い液透過性を有することとなる。本実施例においては、米国特許第5849405号明細書記載のSFC試験に準じて行った。図2は、SFCの測定装置を示す概略図である。
=(Fs(t=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L0)/139506
ここで、Fs(t=0):g/sで表した流速、L0:cmで表したゲル層の高さ、ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm3)、A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm2)、ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm2)及びSFC値の単位は(10−7・cm3・s・g−1)である。
国際公開第2004/69915号パンフレット記載の質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)試験に準じて行った。
上記、質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)の測定方法と同様の分級操作を行い、目開き150μmのふるいを通過した量から目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合(質量%)を求めた。
吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。含水率との関係は以下の様になる。
固形分(質量%)=100−含水率(質量%)
固形分の測定方法は、以下のように行った。
固形分(質量%)=((W2−W0)/W1)×100
<水可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gをはかり取り、その水溶液中に吸水剤1.00gを加え16時間、スターラーを回転させ攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
(参考例1)
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸434.0g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4356.9g、純水660.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)9.69gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液16.21gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液23.16gを攪拌しながら添加したところ、およそ20秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オレイン酸ナトリウムの33.9質量%エタノール溶液(水:エタノールを1:1の質量比で混合した溶媒に溶解させたもの)を2.94質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。この混合物に、さらに硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)を2.24質量部添加した。添加は、同様に溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを吸水剤(1)とした。
実施例1の、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液の添加量を4.48質量部に変更した以外は実施例1と同様にして吸水剤を製造した。こうして得られたものを吸水剤(2)とした。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを純水89gに溶解させた水溶液を作成した。この水溶液を500mlのビーカーに入れて90℃に保った。この90℃に保たれた溶液をホモディスパーで攪拌(攪拌速度2000rpm程度)しながら、90℃に加温したステアリン酸を10gゆっくりと滴下して、ステアリン酸の乳化液を作成した。この液(液温90℃)を急速に10℃まで冷却し、すぐに室温に戻した。こうして乳白色のステアリン酸乳化液(A)を得た。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例2で得られたステアリン酸乳化液(A)を5質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。この混合物に、さらにポリエチレンイミン(日本触媒製P−1000、数平均分子量約7万)の30質量%水溶液を1.67質量部添加した。添加は、同様に溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを吸水剤(3)とした。
実施例3で得られた吸水剤(3)100質量部に、硫酸アルミニウム27質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)0.80質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.134質量部、プロピレングリコール0.016質量部からなる混合液を添加した。添加は吸水剤(3)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた粒子をそれぞれ目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、吸水剤(4)を得た。
実施例2で得られた吸水剤(2)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(5)とした。
実施例3で得られた吸水剤(3)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(6)とした。
実施例4で得られた吸水剤(4)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(7)とした。
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部、オレイン酸ナトリウム0.001質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理した。加熱後、得られた粒子100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)2.24質量部を添加した。添加は粒子を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた粒子をそれぞれ目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、吸水剤(8)を得た。
吸水性樹脂粒子(1)を比較吸水剤(1)とした。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オレイン酸ナトリウムの33.9質量%エタノール溶液を2.94質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(2)とした。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)を2.24質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(3)とした。
特開2005−344103号の実施例7を参考に以下の実験を行った。
硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)2質量部に対し、50%乳酸ナトリウム水溶液1質量部を混合し、透明な均一溶液を得た。吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、この水溶液3質量部を攪拌下均一に混合し、60℃で1時間乾燥させた。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(4)とした。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例2で得られたステアリン酸乳化液(A)を5質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(5)とした。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、ポリエチレンイミン(日本触媒製P−1000、数平均分子量約7万)の30質量%水溶液を1.67質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(6)とした。
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、モノステアリン酸アルミニウム(構造式Al(OH)2(C17H35COO))の粉末を1質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(7)とした。
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で25分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(2)を得た。この吸水性樹脂粒子(2)を用いて、実施例1と同じ操作を行った。こうして吸水剤(9)を得た。
吸水性樹脂粒子(2)を比較吸水剤(8)とした。
実施例9で得られた吸水性樹脂粒子(2)を用いて、比較例2と同じ操作を行った。得られた吸水剤を比較吸水剤(9)とした。
実施例10で得られた吸水性樹脂粒子(2)を用いて、比較例3と同じ操作を行った。得られた吸水剤を比較吸水剤(10)とした。
32 ガラス管
33 0.69質量%食塩水
34 コック付きL字管
35 コック
40 容器
41 セル
42 ステンレス製金網
43 ステンレス製金網
44 膨潤ゲル
45 ガラスフィルター
46 ピストン
47 ピストン中の穴
48 補集容器
49 上皿天秤
100 プラスチックの支持円筒
101 ステンレス製400メッシュの金網
102 膨潤ゲル
103 ピストン
104 荷重(おもり)
105 ペトリ皿
106 ガラスフィルター
107 濾紙
108 0.9質量%食塩水
Claims (16)
- 吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含むことを特徴とする吸水剤。
- 上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとは、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在することを特徴とする請求項1に記載の吸水剤。
- 上記有機酸及び/又はその塩は、炭素数9以上の炭化水素鎖を分子中に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水剤。
- 上記吸水性樹脂粒子は、表面架橋されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記有機酸及び/又はその塩の含有量が、吸水剤全体に対して0.0001〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記水溶性多価カチオンの含有量が、吸水剤全体に対して0.001〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記有機酸及び/又はその塩がカルボキシル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の吸水剤。
- 上記塩は、有機酸と1価カチオンとの塩であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記水溶性多価カチオンは、水溶性多価金属塩であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 上記水溶性多価カチオンは、水溶性カチオン性高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸水剤。
- 吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤を製造する方法であって、
吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を含むことを特徴とする吸水剤の製造方法。 - さらに、吸水性樹脂の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記混合工程が上記表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることを特徴とする請求項12に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記混合工程は、吸水性樹脂粒子に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、水溶性多価カチオンと同時又は水溶性多価カチオンの添加前に混合されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
- 上記水溶性多価カチオンは、水溶液として混合されることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
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