JP2010540207A - 吸水剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含むことを特徴とする吸水剤。吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤を製造する方法であって、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を含むことを特徴とする吸水剤の製造方法。

Description

本発明は、吸水剤及びその製造方法に関するものであり、特に、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等に好適に用いることができる吸水剤及びその製造方法に関するものである。
従来より、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料においては、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水剤とを構成材料とする吸水体が幅広く用いられている。
近年、これら衛生材料には利便性向上のため薄型化が要求されている。そのため、吸水体において、かさ比重の小さい親水性繊維の比率を低くし、吸水性に優れ、かつ、かさ比重の大きい吸水剤の比率を高めている。このように吸水体中における吸水剤の使用量を高めることによって、吸水量等の物性を低下させることなく、衛生材料の薄型化を図っている。
しかしながら、このように親水性繊維の比率を低くし、吸水剤の比率を高めた衛生材料は、単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましいが、実際のおむつ等としての使用状況における液体の分配、拡散を考えた場合には、むしろ問題が生じてくる。例えば、多量の吸水剤は吸水により柔らかいゲル状となり、液体の吸水剤内部への吸収を妨げるゲルブロッキングという現象を引き起こし、衛生材料中の液の拡散性を劇的に低下させる。このような問題を避け、吸収体の吸収特性を維持するためには、親水性繊維と吸水剤との比率はおのずと制限され、衛生材料の薄型化にも限界が生じている。
このゲルブロッキングを抑制し、かつ十分な吸水量を達成するためには、遠心分離機保持容量(CRC)等で表される吸収倍率と食塩水流れ誘導性(SFC)等であらわされる液透過性のバランスに優れる吸水剤を得ることが必要となっている。しかし、この2つの関係は、一方を高めるともう一方が低下する関係にあるため、両方の関係(バランス)を十分なレベルまで高めることは困難である。かかる課題を達成するための手段として、例えば以下に挙げるような技術が知られている。
特許文献1には、3価以上のカチオンで処理されてなる吸水性樹脂が開示されている。特許文献2には、吸水性樹脂に静電又は立体スペーサーを用いる技術が開示されている。特許文献3には、毛細吸引力と液透過性の両方の物性を併せ持つ吸水剤を提供するために、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体を架橋重合して得られた、不定形破砕状粒子の表面がさらに架橋処理されてなる吸水性樹脂粒子及び液透過性向上剤を含む粒子状吸水剤が開示されている。
ところで、吸収倍率と液透過性とのバランスを向上させることを目的とする特許文献1〜3以外にも、吸水性樹脂の様々な物性を向上させるために、種々の添加剤を混合することが提案されている。
例えば、刊行物4には、塩水溶液に対し優れた吸収性能を有する耐塩性吸収剤組成物を提供することを目的として、吸水性樹脂と、カルボキシル基またはその塩を有するアニオン性界面活性剤とからなる吸収剤組成物が提案されている。
また、刊行物5には、吸湿時及び含水率が0〜20質量%の乾燥状態においても、粉体流動性に優れ、粒子状吸水剤の搬送時等の取り扱い性が良好であり、粒子状吸水剤の製造時や運搬時、吸収物品等を作成する際に受ける機械的衝撃力による吸水性能や吸湿時の流動性の低下が少なく、安定かつ優れた吸水特性を有する粒子状吸水剤を得ることを目的として、表面架橋構造を有する粒子状の吸水性樹脂を含むとともに、分子内の炭素数が7個以上である有機酸の多価金属塩を含む粒子状吸水剤が提案されている。
また、刊行物6には、吸水特性(ママコ現象防止性、分散性、吸収速度および吸収能)、粉体流動性を改善するだけでなく、粉塵防止性を有する高吸水性樹脂組成物を提供することを目的として、高吸収性樹脂粉末100重量部に、ステアリン酸0.1〜5重量部および無機質粉末0.1〜1.0重量部を配合してなる高吸水性樹脂組成物が開示されている。
また、刊行物7には、吸水性樹脂粒子と金属化合物とを混合して吸水剤を製造するにあたって、金属成分が吸水性樹脂粒子内部に浸透するのを抑制できるような吸水剤の製造方法を提供し、高い通液性と均一な物性を発現させることを目的として、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子と、低炭素数の有機酸(塩)と、水溶性多価金属塩とを混合する吸水剤の製造方法が提案されている。
また、刊行物8には、加圧下吸収倍率(AAP)、加圧下のゲル層の通液速度(FRUP)、生理食塩水流れ誘導性(SFC)に優れ、長時間これらの効果が持続するような吸水性樹脂を提供することを目的として、吸水性樹脂粒子と特定の範囲に架橋されたカチオン性高分子化合物とを混合する吸水剤の製法が提案されている。
国際公開第2001/74913号パンフレット(公開日:2001年10月11日) 米国特許出願公開第2002/0128618号明細書(公開日:2002年9月12日) 国際公開第2004/069915号パンフレット(公開日:2004年8月19日) 日本国公開特許公報「特開平6−345980号公報(公開日:1994年12月20日) 日本国公開特許公報「特開2004−261796号公報(公開日:2004年9月24日) 日本国公開特許公報「特開昭63−105064号公報(公開日:1988年5月10日) 日本国公開特許公報「特開2005−344103号公報(公開日:2005年12月15日) 日本国公開特許公報「特開2003−62460号公報(公開日:2003年3月4日)
上記特許文献1〜3に開示されている技術は、多価金属塩(金属カチオン)、無機粒子、ポリカチオン等の液透過性向上効果を有する添加剤を吸水性樹脂に添加することで、吸収倍率と液透過性の関係向上を達成する技術であるが、依然としてその関係(バランス)は十分なレベルまで達しておらず、さらなる向上が期待されている。また、上記特許文献4〜8に開示されている技術によっても、吸収倍率と液透過性の関係(バランス)は十分なレベルまで達していない。
具体的には、吸水剤を実際に使用する上で、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とを兼ね備えていることが吸水剤に要求されるものの、従来の技術ではこれらの物性を十分満たすには至っていない。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤とその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを存在させた吸水剤が、従来の技術で得られる吸水剤と比べて、飛躍的に遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。
本発明にかかる吸水剤は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含むことを特徴としている。
本発明にかかる吸水剤では、当該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在することが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記有機酸及び/又はその塩は、炭素数9以上の炭化水素鎖を分子中に含むことが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子は、表面架橋されたものであることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記有機酸及び/又はその塩の含有量が、吸水剤全体に対して0.0001〜5質量%であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記水溶性多価カチオンの含有量が、吸水剤全体に対して0.001〜5質量%であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記有機酸及び/又はその塩がカルボキシル基を有する化合物であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記塩は、有機酸と1価カチオンとの塩であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記水溶性多価カチオンは、水溶性多価金属塩であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤では、上記水溶性多価カチオンは、水溶性カチオン性高分子化合物であることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤を製造する方法であって、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を含むことを特徴としている。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、並びに、水溶性多価カチオンが存在する吸水剤を製造する方法であって、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を含む製造方法であってもよい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、さらに、吸水性樹脂の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程が上記表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程は、吸水性樹脂粒子に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、水溶性多価カチオンと同時又は水溶性多価カチオンの添加前に混合されることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記水溶性多価カチオンは、水溶液として混合されることが好ましい。
本発明にかかる吸水剤は、以上のように、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む構成、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在する構成を備えているので、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れた吸水剤及びその製造方法を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、吸水剤の吸収容量を示す遠心分離機保持容量(CRC)と液透過性を示す食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水性樹脂を得ることで、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤とその製法を提供することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
図1は、実施例においてAAPの測定に用いた測定装置を示す概略図である。 図2は、実施例においてSFCの測定に用いた測定装置を示す概略図である。
以下、本発明について説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。また、本発明では重量及び質量、重量%及び質量%は同様の意味であり、文中での使用は質量及び質量%に統一する。
まず、以下で使用する略語について定義する。本明細書において、CRC(Centrifuge Retention Capacity)とは遠心分離機保持容量であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、SFC(Saline Flow Conductivity)とは食塩水流れ誘導性であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、AAP(Absorbency against Pressure)とは4.83kPaの圧力に対する加圧下吸収力であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、D50(Distribution)とは質量平均粒子径であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、σζは粒度分布の対数標準偏差であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、本明細書において、食塩水とは塩化ナトリウム水溶液(0.9質量%)を意味する。
本発明にかかる吸水剤は吸水性樹脂粒子を含んでおり、さらに分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含んでいる水性液体の吸収固化剤である。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子を主成分として含み、さらに分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含んでいるものであればよい。従って、本発明で吸水剤は、吸水性樹脂粒子を主成分とし、さらに分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含み、必要により少量の添加剤及び/又は水を含有していてもよい。ここで「主成分」とは、吸水性樹脂粒子の含有量が吸水剤全体に対して50質量%以上であることをいう。吸水性樹脂粒子の含有量は吸水剤全体中、より好ましくは60質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以上99.999質量%以下であり、特に好ましくは95質量%以上99.999%質量以下であり、最も好ましくは98質量%以上99.999質量%以下である。
また、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0.0001質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.001質量%以上5質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以上3質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以上1質量%以下である。
上記有機酸及び/又はその塩の吸水剤全体に対しての含有量が0.0001質量%以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記有機酸及び/又はその塩の吸水剤全体に対しての含有量が5質量%以下であることにより添加量に見合ったSFCの向上効果が期待できるため好ましい。
また、水溶性多価カチオンの吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0.001質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下である。
上記水溶性多価カチオンの吸水剤全体に対しての含有量が0.001質量%以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記水溶性多価カチオンの吸水剤全体に対しての含有量が5質量%以下であることにより添加量に見合ったSFCの向上効果が期待できるため好ましい。
本発明にかかる吸水剤中の吸水性樹脂粒子、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、及び、水溶性多価カチオン以外の成分としては、通常は水が主成分とされ、さらには必要に応じて少量の添加剤が使用される。
なお、上記吸水剤は水性液体の吸収固化剤であるが、かかる水性液体としては、水に限らず、尿、血液、糞、廃液、湿気や蒸気、氷、水と有機溶媒及び/又は無機溶媒との混合物、雨水、地下水等、水を含めば特定に制限されないが、好ましくは、尿、特に人尿を挙げることができる。
以下、(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子、(2)分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、(3)水溶性多価カチオン、(4)吸水剤、(5)吸水剤の製造方法、(6)吸水体について順に説明する。
(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂粒子は水溶性不飽和単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、本明細書において、吸水性樹脂のことを水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体と称することがある。)の粒子である。
水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体の具体例としては、例えば、部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号明細書、米国特許第4654039号明細書、米国特許第5250640号明細書、米国特許第5275773号明細書、欧州特許第456136号明細書等)、架橋されて部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号明細書)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号明細書)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号明細書)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号明細書)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号明細書)等を挙げることができる。
本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子は、中でも、上記水溶性不飽和単量体として、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体を重合して得られるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体からなる吸水性樹脂の粒子であることがより好ましい。ここで、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体とは、アクリル酸及び/又はその塩を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む単量体を重合して得られる架橋重合体をいう。
また、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体中の酸基は、その50モル%以上90モル%以下が中和されていることが好ましく、60モル%以上80モル%が中和されていることがより好ましい。また、ポリアクリル酸塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を例示することができる。中でも、ポリアクリル酸塩はより好ましくはナトリウム塩である。塩を形成させるための中和は重合前に単量体の状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂粒子として好ましく用いることができるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体は、主成分として用いられる単量体(アクリル酸及び/又はその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。
他の単量体の具体例としては、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミド等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、それらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等を挙げることができる。これら他の単量体の使用量は、全単量体中0モル%以上30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0モル%以上10モル%以下である。
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、内部架橋構造を有する架橋重合体であることが好ましい。上記吸水性樹脂粒子に内部架橋構造を導入する方法としては、架橋剤を使用しないで自己架橋によって導入する方法、1分子中に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法等を例示することができる。中でも内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法を用いることがより好ましい。
上記内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの内部架橋剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性等から、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることがより好ましい。
上記内部架橋剤の使用量は全単量体に対して0.005モル%以上3モル%以下であることがより好ましく、より好ましくは0.01モル%以上1.5モル%以下、最も好ましくは0.05モル%以上0.2モル%以下である。
重合に際しては、澱粉−セルロース、澱粉−セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、上記したアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、バルク重合、逆相懸濁重合、沈澱重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体を水溶液にする水溶液重合を行うことがより好ましい。かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、米国特許出願公開2002/40095号明細書等に記載されている。
重合を行うにあたっては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、紫外線や電子線等の活性エネルギー線等を用いることができる。また、ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としてもよい。これらの重合開始剤の使用量は、全単量体に対して、0.001モル%以上2モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01モル%以上0.5モル%以下である。
上記の重合により得られた吸水性樹脂粒子の形状は、一般には、不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等であるが、不定形破砕状であることがより好ましい。吸水性樹脂粒子が不定形破砕状であれば、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、及び、水溶性多価カチオンを、吸水性樹脂粒子の表面により効率的に存在させることができる。
上記架橋重合体が水溶液重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち含水ゲル状架橋重合体(以下、本明細書において含水ゲルと略称することがある)である場合、該含水ゲル状架橋重合体を、乾燥し、乾燥の前及び/又は後で通常粉砕して吸水性樹脂粒子とする。なお、本発明において、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、固形分が乾燥前と比較して上昇すればよいが、固形分が90質量%以上、上限は99質量%程度まで上昇することがより好ましい。乾燥は重合と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよいが、より好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。本発明では、乾燥後の吸水性樹脂の固形分は好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。固形分が低くなってしまうと、流動性が悪くなり製造に支障をきたすばかりか、吸水性樹脂が粉砕できなくなり、特定の粒度分布に制御できなくなってしまう場合がある。なお、ここで、吸水性樹脂の固形分は、後述する測定方法により測定される値をいう。
本発明では、乾燥は、乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして100℃〜250℃の範囲で行われる。100℃未満の温度では、未乾燥物が発生してしまい、粉砕に支障をきたすばかりか、粒度分布の制御が困難になるおそれがある。また、乾燥の温度が250℃以上では、吸水性樹脂にダメージを与えてしまう結果、水可溶分量の上昇が起こり、諸物性の向上効果も見られない場合がある。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01〜10m/sec、より好ましくは0.1〜5m/secの範囲である。
乾燥温度の範囲はより好ましくは130℃〜220℃、さらに好ましくは150℃〜200℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、及び乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう適宜選択される。乾燥時間は、通常10〜120分、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。乾燥時間が10分未満では、吸水性樹脂粒子の内部のポリマー鎖に起こる変化が小さく、そのため十分な改善効果が得られないと考えられ、そのため諸物性の向上効果が見られない場合がある。また、乾燥時間が120分以上では、吸水性樹脂にダメージを与えてしまう結果、水可溶分量の上昇が起こり、諸物性の向上効果も見られない場合がある。
得られた吸水性樹脂は粉砕機によって粉砕される。粉砕は乾燥前、中、後のいずれに行っても良いが、好ましくは乾燥後である。上記粉砕機は特に限定されるものではないが、例えばロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、フラッシュミル等が用いられる。この中でも、粒度分布を制御するためにはロールミルを用いることがより好ましい。粒度分布を制御するため連続して2回以上粉砕することがより好ましく、連続して3回以上粉砕することがさらに好ましい。また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであっても異なっていてもよい。異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
上記のようにして粉砕された吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するため、特定の目開きの篩で分級してもよい。篩で分級するために用いる分級機は特に限定されるものではないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等が用いられ、好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。また、篩の目開きは好ましくは1000μm〜300μm、より好ましくは900μm〜400μm、さらに好ましくは710μm〜450μmの範囲である。これらの範囲から外れると目的の粒度分布が得られない可能性がある。
上記のようにして分級された吸水性樹脂粒子をさらに特定の粒度分布に制御するため、さらに分級することで、特定の粒子径未満の粒子の一部又はすべてを除去してもよい。かかる工程において用いられる分級機も特に限定されるものではないが、たとえば上記で例示されたものが好ましく用いられ、他には微粉型分級装置(遠心力式、慣性力式等)等が用いられる。本工程において、好ましくは粒子径が200μm未満、より好ましくは150μm未満、最も好ましくは106μm未満の粒子径である粒子の、一部又はすべてが除去される。
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、その表面近傍が表面架橋剤である有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤によって表面架橋されていることがより好ましい。このように、吸水剤に含まれる吸水性樹脂はその表面近傍が、表面架橋剤によって架橋されていることにより、膨潤した吸水剤に圧力をかけた際に生じる液の戻り量を減少させることができる。そのため、AAP、言い換えれば、圧力に対する吸収力を高めることができる。
表面架橋剤による表面架橋はどの段階で行ってもよいが、より好ましくは吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するための操作を行った後に行われる。
表面架橋処理に用いることのできる表面架橋剤としては、吸水性樹脂粒子の有する官能基、例えば、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤を挙げることができる。中でも、かかる水溶性有機表面架橋剤をより好適に用いることができる。
かかる表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、及び、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン:登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、多価オキセタン化合物等のオキセタン化合物;等を挙げることができる。
上記表面架橋剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも多価アルコールは、安全性が高く、吸水性樹脂粒子の表面の親水性を向上させることができる点で好ましい。
上記表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
表面架橋剤と吸水性樹脂粒子との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、0.5質量部を越え、10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下の範囲内がより好ましい。
また、表面架橋剤又はその水溶液と吸水性樹脂粒子とを混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を混合助剤として用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、国際公開第2004/069915号に記載された親水性溶媒を用いることができる。
親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0質量部以上5質量部以下の範囲内であることがより好ましい。
また、上記第三物質として欧州特許第0668080号明細書に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用するものであっても良いが、表面架橋後に吸水性樹脂粒子の吸水性能を低下させないものであることが好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、沸点が100℃以下の親水性有機溶媒を含まない表面架橋剤と混合、加熱により架橋されたものであることが好ましい。吸水性樹脂粒子が沸点100℃以下の親水性有機溶媒を含む場合、当該親水性有機溶媒の気化により表面架橋剤の吸水性樹脂粒子表面での存在状態が変化し、SFC等の物性が十分に満たされない場合がある。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とをより均一に混合するため、水溶性無機塩(より好ましくは、過硫酸塩)を、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する際に共存させることがより好ましい。水溶性無機塩の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下の範囲内が好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内がより好ましい。すなわち、上記吸水性樹脂粒子に対して0.01質量%以上1.0質量%以下の水溶性無機塩好ましくは過硫酸塩を含む有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤との混合、加熱によって架橋されたものであることが好ましい。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されるものではないが、例えば、吸水性樹脂粒子を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂粒子に直接、水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等を例示することができる。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合した後、通常、加熱処理を行い、架橋反応を遂行させることが好ましい。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、40℃以上250℃以下であることが好ましく、100℃以上240℃以下であることがより好ましく、150℃以上230℃以下であることがさらに好ましい。加熱処理温度が40℃未満の場合には、AAPやSFC等の吸収特性が十分に改善されない場合がある。また、加熱処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂粒子の劣化を引き起こし、各種物性が低下する場合があり注意を要する。加熱処理時間は、好ましくは1分以上2時間以下、より好ましくは5分以上1時間以下である。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下、最も好ましくは300μm以上400μm以下である。吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径が100μm以上600μm以下の範囲を外れた場合、液透過性・拡散性が著しく低下、又は吸収速度が大幅に低下し得る。このような吸水性樹脂粒子を、例えば、オムツに用いた場合、液の漏れ等を引き起こすおそれがある。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、175μm以上710μm以下の吸水性樹脂粒子が、50%質量以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下である吸水性樹脂粒子が吸水剤に用いられることで、得られる吸水剤の粉塵量を抑制することができる。そのため、吸水剤の製造の際に吸水性樹脂粒子に含まれる微粒子が飛散することに起因する安全衛生上の問題を防止することができ、得られる吸水剤の物性が低下することを抑制することができる。なお、上記割合が5質量%を超えた場合、吸水剤の製造の際に粉塵が発生し易くなるので、安全衛生上の問題が生じ得る、又は吸水体の物性低下を招く等のおそれがある。
さらに、上記吸水性樹脂粒子としては、質量平均粒子径が300μm以下である微紛状の吸水性樹脂粒子(以下適宜「微粉」と記す)を造粒、乾燥、粒度調整し、表面架橋したものを用いてもよい。また、粉砕して得られる一次粒子の不定形破砕状の吸水性樹脂粒子に微紛の造粒物を一部混合した吸水性樹脂粒子を用いてもよい。微粉の造粒物を吸水性樹脂粒子に一部混合した場合には、吸水速度、米国特許出願公開2005/0003191A1号公報に記載されている固定された高さ吸収(FHA)等の吸収特性が一層優れた吸水剤を得ることが出来る。吸水性樹脂粒子に含まれる微粉の造粒物の混合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上である。なお、微粉の粒子径は分級される篩目径で示される。
微粉の造粒物の作成方法としては、微粉を再生する公知の技術が使用可能である。例えば、温水と微粉とを混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号明細書)や、微粉と単量体水溶液とを混合し重合する方法(米国特許第5264495号明細書)、微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号明細書)、微粉を十分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号明細書)、微粉と重合ゲルとを混合する方法(米国特許第5478879号明細書)等を用いることが可能である。
中でも、微粉の造粒物の作成方法としては、上記の温水と微粉とを混合し、乾燥する方法を用いることがより好ましい。当該方法により造粒された吸水性樹脂粒子は、多孔質構造(特開2004−261797号公報に記載されている多孔質構造と同義の構造)を有しているため好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、多孔質構造を有する粒子を好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上含んでいることが好ましい。吸水性樹脂粒子が、多孔質構造を有する微粉の造粒物を含むことによって、上記吸水性樹脂粒子及びそれを含む吸水剤は、固定された高さ吸収(FHA)に優れたものとなる。
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のCRCは、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。CRCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは60(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)未満の場合、吸水性樹脂粒子を吸水剤に用いた場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、CRCが50(g/g)よりも大きい場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなる場合がある。
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のAAPは、8(g/g)以上、好ましくは16(g/g)以上であり、より好ましくは20(g/g)以上であり、さらに好ましくは21(g/g)以上である。AAPの上限値は、特に限定されないが、好ましくは30(g/g)以下である。AAPが8(g/g)未満の場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、上記吸水剤に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のSFCは、好ましくは10(10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは30(10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは50(10−7・cm・s・g−1)以上、特に好ましくは100(10−7・cm・s・g−1)以上である。SFCが10(10−7・cm・s・g−1)未満の場合、液透過性が向上せず、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。SFCの上限は特に指定されないが、好ましくは3000(10−7・cm・s・g−1)以下であり、より好ましくは2000(10−7・cm・s・g−1)以下である。SFCが3000(10−7・cm・s・g−1)よりも大きい場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体での液漏れが発生する場合がある。
本実施の形態にかかる吸水性樹脂粒子は、水可溶分量が好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。水可溶分量が35質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなることがある。また吸水性樹脂粒子が吸水体に使用された場合、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウエット:Re−Wet)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
(2)分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在している。なお、ここで、上記吸水性樹脂粒子の表面とは、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分を示すものとする。なお、ここで、長径とは、粒子表面(外気にさらされている部分)上の任意の2点をとった場合、この2点間の距離が最大となる長さをいう。
吸水性樹脂粒子の表面に分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在していることによって、吸水剤のCRCを低下させることなく、SFCを向上させることができる。言い換えれば、吸水剤の液透過性が向上することとなる。なお、液透過性向上のためには、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとは、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分に含まれていればよいが、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分に含まれていることがより吸水剤の物性を向上させる。
上記有機酸としては、特に限定されるものではないが、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機スルフィン酸、有機ホスフィン酸、有機ホスホン酸、有機リン酸、アルキル硫酸、アミノ酸、これらの塩(無機酸塩、有機酸塩)等を挙げることができる。中でも、本発明で用いられる有機酸は、多価カチオンとの反応性の観点から、カルボキシル基を有する化合物であることが好ましい。よって、上記有機酸は、有機カルボン酸であることがより好ましい。
また、上記有機酸は、脂肪酸であってもよいし、石油酸であってもよいし、高分子酸であってもよい。中でも、本発明で用いられる有機酸は、安全性、混合性、性能の観点から脂肪酸であることがより好ましい。
また、上記有機酸は、分子内の炭素数が10以上30以下であれば特に限定されるものではないが、分子内の炭素数の下限が12以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましい。また、分子内の炭素数の上限は、30以下であることが好ましく、24以下であることがさらに好ましい。分子内の炭素数が10以上であることにより、液透過性向上の効果により優れるため好ましい。また、分子内の炭素数が30以下であることにより混合性や取扱い性が良好、且つ、SFCの向上効果が大きいため好ましい。
これにより、吸水性樹脂粒子間に存在する上記有機酸及び/又はその塩の疎水基同士が、吸水性樹脂間において、水中で水に溶けないで、疎水性相互作用により集合して安定化すると考えられる。それゆえ、吸水性樹脂間に安定した隙間ができて液透過性が向上すると考えられる。
上記有機カルボン酸としては、直鎖状であっても枝分かれ状であっても環状であってもよいし、飽和であっても不飽和であってもよいが、より具体的には、例えば、ヘキサデセン酸(パルミトイル酸)、cis−9−オクタデセン酸(オレイン酸)、11−オクタデセン酸(バクセン酸)、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸(リノール酸)、オクタデカトリエン酸(リノレン酸)、牛脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸等の不飽和脂肪酸;デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラドコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサドコサン酸(セロチン酸)、オクタドコサン酸(モンタン酸、メリシン酸)等の飽和脂肪酸;安息香酸、ミリスチシン酸、ナフテン酸、ナフトエ酸、ナフトキシ酢酸等の石油酸;ポリスルホン酸等の高分子酸を挙げることができる。
本発明に用いられる有機酸は、炭素数9以上の炭化水素鎖を分子中に有する脂肪酸であることがより好ましい。これにより長鎖炭化水素鎖が吸水性樹脂粒子間に存在することになり、吸水性樹脂粒子間に存在する上記脂肪酸の疎水基同士が、吸水性樹脂間において、水中で水に溶けないで、疎水性相互作用により集合して安定化すると考えられる。それゆえ、吸水性樹脂間に安定した隙間ができて液透過性が向上すると考えられる。ここで、かかる炭化水素鎖としては、炭素数9以上の炭化水素鎖であればよいが、より好ましくは炭素数11以上の炭化水素鎖であり、さらに好ましくは炭素数13以上の炭化水素鎖である。また、かかる炭化水素鎖の上限は、混合性や取扱い性、SFCの向上効果の観点から、29以下であることがより好ましい。なお、有機酸が混合物の場合炭素数は平均値で表される。また、本発明に用いられる有機酸としては、同様に炭素数9以上の炭化水素鎖を分子中に有する他の有機酸も好適に用いることができる。
上記炭化水素鎖は飽和であっても不飽和であってもよい。すなわち、炭素原子間の二重結合を1以上含んでいてもよいし、三重結合を1以上含んでいてもよいし、二重結合と三重結合とをそれぞれ1以上含んでいてもよい。
中でも、本発明に用いられる有機酸は、炭素数9以上の直鎖アルキル鎖を分子中に有する脂肪酸であることがさらに好ましい。これにより長鎖アルキル鎖が吸水性樹脂粒子間に存在することになり、吸水性樹脂粒子間に存在する上記脂肪酸の疎水基同士が、吸水性樹脂間において、水中で水に溶けないで、疎水性相互作用により集合して安定化すると考えられる。それゆえ、吸水性樹脂間に安定した隙間ができて液透過性が向上すると考えられる。ここで、かかるアルキル鎖としては、炭素数9以上のアルキル鎖であればよいが、より好ましくは炭素数11以上のアルキル鎖であり、さらに好ましくは炭素数13以上のアルキル鎖である。また、かかるアルキル鎖の上限は特に限定されるものではないが、混合性や取扱い性、SFCの向上効果の観点から、29以下であることがより好ましい。また、炭素数9以上の直鎖アルキル鎖を分子中に有する限り、かかる脂肪酸は、不飽和脂肪酸であっても、飽和脂肪酸であってもよい。なお、有機酸が混合物の場合炭素数は平均値で表される。また、本発明に用いられる有機酸としては、他の有機酸であってもよく、例えば、同様に炭素数9以上の直鎖アルキル鎖を分子中に有する他の有機酸も好適に用いることができる。かかる有機酸としては、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アルキルリン酸等を挙げることができる。
上記有機酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明で用いられる上記有機酸の塩としても、特に限定されるものではないが、1価カチオンとの塩であることがより好ましく、具体的には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;アミン塩;トリエタノールアミン塩等を挙げることができる。上記有機酸の塩として1価のカチオンとの塩を用いることにより、後述の多価カチオンと作用しやすく、性能に優れるため好ましい。
また、上記有機酸の塩としては、上記有機酸と上記塩とを組み合わせたものであれば特に限定されるものではない。なお、有機酸の塩は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在する炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩は、有機酸のみであってもよいし、有機酸の塩のみであってもよいし、有機酸と有機酸の塩との混合物であってもよい。
(3)水溶性多価カチオン
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在している。本発明で用いられる多価カチオンは、水溶性の多価カチオンであれば特に限定されるものではない。多価カチオンが水溶性であることによって、有機酸(塩)や吸水性樹脂粒子と相互作用しやすいので、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることが可能となる。
ここで、水溶性とは、25℃の水100gに対して1g以上溶解することをいう。また、本発明で用いられる多価カチオンは、25℃の水100gに対して1g以上溶解するものであればよいが、25℃の水100gに対して10g以上溶解するものであることがより好ましく、25℃の水100gに対して20g以上溶解するものであることがさらに好ましい。
本発明で用いられる水溶性多価カチオンは、2価以上のカチオンであれば特に限定されるものではないが、例えば、水溶性多価金属塩、水溶性カチオン性高分子化合物等を好適に用いることができる。
本発明で用いられる水溶性多価金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等を好適に用いることができる。中でも、本発明で用いられる水溶性多価金属塩は、アルミニウム化合物であることがより好ましく、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム等をさらに好適に用いることができる。
また、吸収する水性液体との溶解性の観点から、上記水溶性多価金属塩は、結晶水を有する水溶性多価金属塩であることがより好ましい。
上記水溶性多価金属塩は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる水溶性多価金属塩は、中でも、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム18水塩、硫酸アルミニウム14〜18水塩であることが特に好ましい。
本発明において水溶性多価金属塩は、水溶液として吸水性樹脂と混合することが好ましい。かかる場合、水溶性多価金属塩の濃度は、混合性やSFC向上効果の観点から30質量%〜飽和濃度であることが好ましい。水溶性多価金属塩の濃度が30質量%以上であることにより、吸水性樹脂中への浸透が抑制され、均一な混合が可能となるとともに、SFC向上効果を高めることができる。また、水溶性多価金属塩の濃度が飽和濃度以下であることにより、塩の析出によるダスト粉末の発生を抑えることができるため好ましい。
また、本発明で用いられる水溶性カチオン性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアミン、エチレンイミンのグラフトにより変成された変性ポリアミドアミン、プロトン化ポリアミドアミン、ポリアミドアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アミン類とエピクロルヒドリンとの縮合物、ポリ(ビニルベンジルジアルキルアンモニウム)、ポリ(ジアリルアルキルアンモニウム)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルジアルキルアミン)、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、変性ポリビニルアミン、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)の部分加水分解物、(N−ビニルホルムアミド)−(N−ビニルアルキルアミド)共重合体の部分加水分解物、ポリアルキルアミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルテトラヒドロピリジン、ポリジアルキルアミノアルキルビニルエーテル、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリアリルアミン、ポリアミジン、澱粉やセルロースのカチオン化物等;これらの塩;これらの求電子試薬との反応物等を挙げることができる。
これらの水溶性カチオン性高分子化合物は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる水溶性カチオン性高分子化合物は、重量平均分子量が好ましくは2000以上であり、より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは10000以上である。重量平均分子量が2000未満であると期待する効果が得られなくなるおそれがある。また、上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量の上限は特に限定されるものではないが、100万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量が、100万以下であることにより、粘度が低くなり、取り扱い性や混合性に優れるため好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC、粘度測定、静的光散乱等の公知の方法で測定することができる。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含んでいればよいが、添加剤としてさらに水不溶性無機粒子を含んでいることがより好ましい。本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子の表面に上記水不溶性無機粒子を含んでいることがさらに好ましい。ここで吸水性樹脂粒子の表面とは上述したとおりである。なお、吸水性樹脂粒子の表面に存在することは走査型電子顕微鏡(SEM)等で確認することができる。
吸水剤が水不溶性無機粒子を含んでいることによって、吸水剤の通液性がさらに向上すると共に、吸湿時の取り扱い性がさらに向上することとなる。
上記水不溶性無機粒子の具体例としては、例えば、タルク、クレー、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライト等の鉱産物;二酸化珪素、酸化チタン等の金属酸化物;天然ゼオライト、合成ゼオライト等の珪酸(塩);硫酸カルシウム、酸化アルミニウム等の水不溶性多価金属塩類;親水性のアモルファスシリカ(例えば、日本アエロジル社製Aerosil200、乾式法:トクヤマ社 ReolosilQS−20、沈殿法:DEGUSSA社Sipernat22S,Sipernat2200)類;亜鉛と珪素、又は、亜鉛とアルミニウムを含む複合含水酸化物(例えば、国際公開WO2005/010102号に例示);酸化ケイ素・酸化アルミニウム・酸化マグネシウム複合体(例えば、ENGELHARD社 Attagel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体等の酸化物複合体類、等を挙げることが出来る。また、米国特許第5164459号公報、欧州特許第761241号公報等に例示されたものも使用可能である。このうち二酸化ケイ素及び珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が0.001〜200μmの範囲の微粒子である二酸化ケイ素及び珪酸(塩)がさらに好ましい。
上記水不溶性無機粒子は、一次粒子の質量平均粒子径が5〜50nmであり、かつ90質量%以上が1次粒子の凝集粒子であるものが好ましい。また、1次粒子の凝集粒子の質量平均粒子径が20μm以下であるものが好ましい。
また、上記水不溶性無機粒子は、BET法による比表面積が30〜330m/gであるものが好ましい。
中でも、本発明の吸水剤は、上記水不溶性無機粒子として二酸化ケイ素を含んでいることがさらに好ましい。また、二酸化ケイ素は、乾式法で製造されたアモルファスのフュームドシリカ(以下、アモルファスシリカと呼ぶことがある)であることがさらに好ましい。クォーツと呼ばれる二酸化ケイ素等は、健康上の問題を引き起こす可能性があるため本発明では好ましくない。
(4)吸水剤
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在する吸水剤である。なお、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとについては上記(2)(3)で、吸水性樹脂粒子については上記(1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
本発明にかかる吸水剤は、より好ましくは、水溶性不飽和単量体を重合して得られ、内部架橋構造を有し、表面架橋された吸水性樹脂粒子と分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤であって、吸水時に吸水性樹脂粒子間及び/又はその吸水性樹脂粒子表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが存在することが好ましい。これにより、高いCRCに加えて、従来なかった驚くべき液透過性向上効果を得ることができる。この理由の一つとしては、上記有機酸及び/又はその塩に含まれる疎水基同士の疎水性相互作用による分子間結合により、吸水性樹脂粒子間に存在する上記化合物の疎水基同士が、集合して安定化すると考えられる。それゆえ、吸水性樹脂間に安定した隙間ができて液透過性が向上すると考えられる。また、理由は明らかではないが、上記有機酸及び/又はその塩、並びに、水溶性多価カチオンのいずれかのみでは、上記液透過性向上効果が得られないことから、水溶性多価カチオンを共に存在させることにより、上記有機酸及び/又はその塩と水溶性多価カチオンとの両方が相乗的に働いて顕著に優れた液透過性向上効果が得られると考えられる。
また、上記吸水剤中の、炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが表面に存在する吸水性樹脂粒子は、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは300μm以上400μm以下である。上記の範囲を外れた場合、液透過性が低下し、吸水剤への液の取り込み速度が著しく悪化する場合がある。すなわち、吸収速度が大幅に低下し、例えばオムツに用いた場合、液の漏れ等を引き起こすおそれがある。
また、本発明で用いる吸水剤中の、炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが表面に存在する吸水性樹脂粒子が175μm以上710μm以下の吸水剤が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。
また、上記吸水剤中の、炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが表面に存在する吸水性樹脂粒子は、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が5質量%を超えた場合、吸水剤の製造の際に粒子の飛散による安全衛生上の問題が生じる。また、得られた吸水体の物性が低下する場合がある。
また、上記吸水剤中の、炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが表面に存在する吸水性樹脂粒子は、粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.20以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.30以上0.40以下である。この範囲を外れると液透過性が低下し、吸水体への液の取り込み速度が著しく悪化する場合がある。
また、上記吸水剤は、CRCが、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは60(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)未満の場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、遠心分離機保持容量(CRC)が60(g/g)よりも大きい場合、吸水体に使用された時に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
本発明にかかる吸水剤は、SFCが、好ましくは30(10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは50(10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは100(10−7・cm・s・g−1)以上、さらに好ましくは150(10−7・cm・s・g−1)以上であり、特に好ましくは170(10−7・cm・s・g−1)以上、最も好ましくは200(10−7・cm・s・g−1)以上である。SFCが30(10−7・cm・s・g−1)未満の場合、吸水体に使用された時に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。SFCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは3000(10−7・cm・s・g−1)以下である。これを超えると、上記吸水性樹脂粒子の項で記載したような問題が生じる可能性がある。
本発明にかかる吸水剤は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、好ましくは8(g/g)以上であり、より好ましくは16(g/g)以上であり、さらに好ましくは20(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは30(g/g)以下である。4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が8(g/g)未満の場合、吸水体に使用された時に、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
上記吸水剤は、水可溶分量が、35質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。吸水剤の水可溶分量が35質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなることがある。また、オムツ中で長時間使用した際に、CRC、AAPなどが経時的に低下することがある。
また、本発明の吸水剤は親水性を付与されているものであることが好ましい。吸水剤を親水化するための技術としては、例えば、WO2005/044915に記載の4価以上のポリオールを少なくとも表面に含有する吸水性樹脂を用いる方法、特開2006−233008号に記載の吸水性樹脂に無機微粒子を添加しUV照射する方法、特願2007−504791号に記載の水不溶性無機微粒子を含有し特定の条件を満たす吸水剤組成物を用いる方法、米国特許出願公開第2005−0288182号に記載の水溶性多価金属塩と尿素誘導体を含む吸水性樹脂を用いる方法、特願2006−188668号に記載の親水性の無機微粒子を添加する方法等従来公知の方法を好適に使用することができる。
(5)吸水剤の製造方法
また、本発明には、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩、並びに、水溶性多価カチオンが存在する吸水剤を製造する方法も含まれる。本発明の吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を少なくとも含んでいればよい。これによって、CRCとSFCのバランスに優れる吸水剤を製造することができる。
本発明において吸水性樹脂粒子と、上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂粒子に上記有機酸及び/又はその塩を含む溶液又は分散液及び水溶性多価カチオンを含む溶液又は分散液を混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記各溶液又は各分散液を噴霧して混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記有機酸及び/又はその塩或いは水溶性多価カチオンをそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
中でも本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記有機酸及び/又はその塩或いは水溶性多価カチオンは、そのまま混合してもよいが、溶液又は分散液で混合されることがより好ましい。これにより、混合が均一にできるため、好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記有機酸及び/又はその塩は、溶液、乳化液、又は、懸濁液として混合されることがさらに好ましい。
ここで、上記有機酸及び/又はその塩が溶液で混合される場合用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;エタノール、メタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール、炭化水素、ポリエチレングリコール等の有機溶媒を好適に用いることができる。また、かかる溶液中の上記有機酸及び/又はその塩の濃度は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、上記有機酸及び/又はその塩が懸濁液で混合される場合用いられる分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;アルコール等の有機溶媒等を好適に用いることができる。中でも、水をより好適に用いることができる。また、かかる分散液中の上記有機酸及び/又はその塩の濃度は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上質量80%以下であることがより好ましい。また、分散剤として、さらに水溶性ポリマー、界面活性剤、ポリエチレングリコール等を添加してもよい。
さらに、上記有機酸及び/又はその塩は、溶液又は懸濁液のほかにも、乳化剤とともに分散媒中で乳化液として、吸水性樹脂粒子と混合してもよい。かかる場合の分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;アルコール等の有機溶媒等を好適に用いることができる。また、乳化剤としては、特に限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を用いればよい。また、かかる乳化液中の上記有機酸及び/又はその塩の濃度は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上質量80%以下であることがより好ましい。
また、本発明にかかる吸水剤の製造方法では、水溶性多価カチオンは、水溶液として混合されることがさらに好ましい。また、かかる水溶液中の上記水溶性多価カチオンの濃度は10質量%以上飽和濃度以下であることが好ましく、20質量%以上飽和濃度以下であることがより好ましい。
また、吸水性樹脂粒子に、上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する順序も特に限定されるものではないが、吸水性樹脂粒子に、上記有機酸及び/又はその塩が、水溶性多価カチオンと同時又は水溶性多価カチオンの添加前に混合されることがより好ましい。中でも、吸水性樹脂粒子に、上記有機酸及び/又はその塩が、水溶性多価カチオンの添加前に混合されることがさらに好ましい。これにより、より高いCRCとより優れた液透過性向上効果を達成することができる。
また、上記混合工程を行う時期は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂の重合後であればいつ行ってもよい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、その表面近傍が表面架橋されていることがより好ましく、かかる吸水性樹脂粒子を用いる場合には、上記混合工程は、吸水性樹脂粒子の表面近傍を表面架橋剤によって架橋する工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることがより好ましい。かかる場合、本発明の吸水剤の製造方法は、さらに、重合により得られた吸水性樹脂の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含んでいる。
ここで、混合工程が行われる、表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後とは、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合と同時であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合物を加熱処理している間であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合物を加熱処理した直後であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後であってもよいし、また、これらの複数の段階で混合を行ってもよい。
中でも上記混合工程は、高いCRCとより優れた液透過性向上効果を得るという観点からは、上記表面架橋工程の後、例えば、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理した直後、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後等に行われることがより好ましく、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後に行われることが特に好ましい。
また、上記混合工程では、吸水性樹脂粒子に上記有機酸及び/又はその塩と水溶性多価カチオンとを混合する時又は混合後に、混合物は、30℃以上150℃未満、より好ましくは、40℃以上100℃未満で、1〜240分、より好ましくは、10〜120分、保持されることが好ましい。
また、上記混合工程で、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する具体的な混合方法は特に限定されるものではなく、公知の撹拌装置を用いて混合することができる。かかる撹拌装置としては、例えば、パドルブレンダー、リボンミキサー、ロータリーブレンダー、ジャータンブラー、プラウジャーミキサー、モルタルミキサー、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機、レディゲミキサー等を好適に用いることができる。また、かかる攪拌装置は、吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む混合物を加熱する加熱装置を備えていてもよいし、加熱装置によって加熱した上記混合物を冷却する冷却装置を備えていてもよい。上記攪拌装置によって攪拌を行う時間は特に限定されるものではないが、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
上記吸水剤の製造方法においては、上記吸水性樹脂粒子を不定形破砕状にするため、上記吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与えた後に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンと、吸水性樹脂粒子とを混合することが好ましい。吸水性樹脂粒子が不定形破砕状であるので、吸水性樹脂粒子の表面またはその近傍の少なくとも何れか一方に分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを効率よく含ませることができ、得られる吸水剤の物性を向上させることができる。
ここで、機械的ダメージとは、ガラス・金属などを吸水性樹脂粒子に衝突させることにより、物理的衝撃を与えることをいう。
吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与える方法としては、吸水性樹脂粒子に衝撃を与えることができれば特に限定されるものではない。たとえば、ガラス製容器に吸水性樹脂粒子およびガラスビーズを入れた後、振盪することによって機械的ダメージを与える方法(ペイントシェーカーテスト)を挙げることができる。また、その他の吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与える方法としては、吸水性樹脂粒子を、円筒形の容器にボールなどと共に入れて回転させる方法(ボールミル)、攪拌翼を有する撹拌機内で撹拌する方法、パドルドライヤー(パドル翼を有する加熱機、冷却機)を通過させる方法、粉砕機で粉砕する方法、空気輸送により輸送する方法、吸水性樹脂粒子の粒子同士を衝突または摩擦させる方法を挙げることができる。
上述したペイントシェーカーテスト(PS)とは、直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、直径6mmのガラスビーズ10g、吸水性樹脂または吸水剤30gを入れてペイントシェーカー(東洋製機製作所 製品No.488)に取り付け、800cycle/min(CPM)で振盪するものであり、装置詳細は特開平9−235378号公報に開示されている。
振盪時間は10〜30分間である。振盪後、目開き2mmのJIS標準篩でガラスビーズを除去し、ダメージを与えられた吸水性樹脂粒子が得られる。
(6)吸水体
本発明において吸水体は、本発明の上記吸水剤を含むものである。上記吸水体を適当な素材と組み合わせることにより、たとえば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、吸水体について説明する。
吸水体とは、血液や体液、尿等を吸収する、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる、吸水剤とその他の素材からなる成形された組成物のことである。用いられる素材の例としては、セルロース繊維が挙げられる。セルロース繊維の具体例としては、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。好ましいセルロース繊維は木材パルプ繊維である。これらセルロース繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していてもよい。本発明にかかる吸水剤を吸水体の一部として使用する際には、吸水体中に含まれる上記吸水剤の質量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上の範囲である。吸水体中に含まれる本発明の吸水剤の質量が、20質量%未満になると、十分な効果が得られなくなるおそれがある。
本発明にかかる吸水剤とセルロース繊維とから吸水体を得るには、たとえば、セルロース繊維からなる紙、マット等に上記吸水剤を散布し、必要によりこれらの紙、マット等で挟持する方法、セルロース繊維と吸水剤とを均一にブレンドする方法、等吸水体を得るための公知の手段を適宜選択することができる。より好ましい方法としては、吸水剤とセルロース繊維とを乾式混含した後、圧縮する方法を挙げることができる。この方法により、セルロース繊維からの吸水剤の脱落を著しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、たとえば50℃以上200℃以下である。
本発明にかかる吸水剤は、吸水体に使用された場合、諸物性に優れるため、液の取り込みが早く、また、吸水体表層の液の残存量が少ない、非常に優れた吸水体が得られる。
本発明にかかる吸水剤は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用することができる。具体的には、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジ又はオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。中でも、本発明にかかる吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の、糞、尿又は血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
吸水体は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる場合、(a)着用者の体に隣接して配置される液体透過性のトップシート、(b)着用者の身体から遠くに、着用者の衣類に隣接して配置される、液体に対して不透過性のバックシート、及び(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸水体、を含んでなる構成で使用されることが好ましい。吸水体は二層以上であっても良いし、パルプ層等とともに用いても良い。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
吸水性樹脂又は吸水剤の諸性能は、以下の方法で測定した。特に記載が無い限り下記の測定は室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。
なお、衛生材料等の最終製品として使用された吸水剤の場合は、吸水剤は吸湿しているので、適宜、吸水剤を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定すればよい。また、本実施例及び比較例において使用された吸水剤の固形分はすべて94質量%以上であった。また、以下の測定方法の記載は吸水剤の測定を例に挙げているが、同様の方法で吸水性樹脂粒子の物性も測定することができる。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
吸水剤0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W(g)を測定した。また、同様の操作を吸水剤を用いずに行い、その時の質量W(g)を測定した。そして、これらW、Wから、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)
=(W(g)−W(g))/(吸水剤の質量(g))−1
<4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)>
圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。図1は、AAPの測定装置を示す断面図である。
図1に示す測定装置を用い、内径60mmのプラスチックの支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網101(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20℃以上25℃以下)、湿度50RH%の条件下で、金網101上に吸水剤0.900gを均一に散布し、その上に、試験体102である吸水剤に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒100との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置し、この測定装置10の全体の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水108(20℃以上25℃以下)をガラスフィルター106の上面と同じ液面になるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙107(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置10の一式を上記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置10の一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)
=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水剤の質量(0.900g))
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水剤の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど、吸水剤は、高い液透過性を有することとなる。本実施例においては、米国特許第5849405号明細書記載のSFC試験に準じて行った。図2は、SFCの測定装置を示す概略図である。
図2に示す測定装置において、タンク31にはガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%食塩水33をセル41中のゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置されている。また、タンク31中の0.69質量%食塩水33は、コック付きL字管34を通じてセル41へ供給されるよう構成されている。セル41の下には、透過した液を補集する捕集容器48が配置されており、補集容器48は上皿天秤49の上に設置されている。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が透過するのに十分な穴47があり、底部には吸水剤あるいはその膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セル41を乗せるための台の上に置かれ、セル41と接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網43の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、及び、純水994.25gを加えたものを用いた。
図2に示す測定装置を用い、容器40に均一に入れた吸水剤(0.900g)を人工尿(1)中で2.07kPa(0.3psi)の加圧下、60分間膨潤させゲル44とした。その後、ゲル44のゲル層の高さを記録し、次に2.07kPa(0.3psi)の加圧下、0.69質量%の食塩水33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20℃以上25℃以下)で行った。試験ではコンピューターと天秤とを用い、時間の関数として、20秒間隔でゲル層を透過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を透過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(t=0)×L)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L)/139506
ここで、Fs(t=0):g/sで表した流速、L:cmで表したゲル層の高さ、ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm)、A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm)、ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm)及びSFC値の単位は(10−7・cm・s・g−1)である。
液の透過が早すぎて、静水圧が上記に満たない場合は、上記ΔPの値を食塩水の液面の高さから計算された値に変更してSFCを計算することができる。
<質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)>
国際公開第2004/69915号パンフレット記載の質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)試験に準じて行った。
<目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合>
上記、質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)の測定方法と同様の分級操作を行い、目開き150μmのふるいを通過した量から目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合(質量%)を求めた。
<吸水剤の固形分>
吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。含水率との関係は以下の様になる。
固形分(質量%)=100−含水率(質量%)
固形分の測定方法は、以下のように行った。
底面の直径が約5cmのアルミカップ(質量W)に、約1gの吸水剤を量り取り(質量W)、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させる。乾燥後のアルミカップ+吸水剤の質量(W)を測定し、以下の式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=((W−W)/W)×100
<水可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gをはかり取り、その水溶液中に吸水剤1.00gを加え16時間、スターラーを回転させ攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
はじめに0.90質量%食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。
同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
例えば既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩が主成分の吸水剤の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水剤の水可溶分量を以下の計算式により算出することができる。未知量の場合は滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出する。
水可溶分(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
(参考例1)
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸434.0g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4356.9g、純水660.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)9.69gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液16.21gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液23.16gを攪拌しながら添加したところ、およそ20秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、185℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)350μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.33の不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得た。吸水性樹脂(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は34.0(g/g)、水可溶分は9.0質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は1.0質量%であった。
得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部、過硫酸ナトリウム0.1質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。
(実施例1)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オレイン酸ナトリウムの33.9質量%エタノール溶液(水:エタノールを1:1の質量比で混合した溶媒に溶解させたもの)を2.94質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。この混合物に、さらに硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)を2.24質量部添加した。添加は、同様に溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを吸水剤(1)とした。
(実施例2)
実施例1の、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液の添加量を4.48質量部に変更した以外は実施例1と同様にして吸水剤を製造した。こうして得られたものを吸水剤(2)とした。
(参考例2)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gを純水89gに溶解させた水溶液を作成した。この水溶液を500mlのビーカーに入れて90℃に保った。この90℃に保たれた溶液をホモディスパーで攪拌(攪拌速度2000rpm程度)しながら、90℃に加温したステアリン酸を10gゆっくりと滴下して、ステアリン酸の乳化液を作成した。この液(液温90℃)を急速に10℃まで冷却し、すぐに室温に戻した。こうして乳白色のステアリン酸乳化液(A)を得た。
(実施例3)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例2で得られたステアリン酸乳化液(A)を5質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。この混合物に、さらにポリエチレンイミン(日本触媒製P−1000、数平均分子量約7万)の30質量%水溶液を1.67質量部添加した。添加は、同様に溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを吸水剤(3)とした。
(実施例4)
実施例3で得られた吸水剤(3)100質量部に、硫酸アルミニウム27質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)0.80質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.134質量部、プロピレングリコール0.016質量部からなる混合液を添加した。添加は吸水剤(3)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた粒子をそれぞれ目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、吸水剤(4)を得た。
(実施例5)
実施例2で得られた吸水剤(2)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(5)とした。
(実施例6)
実施例3で得られた吸水剤(3)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(6)とした。
(実施例7)
実施例4で得られた吸水剤(4)100質量部に、日本アエロジル社製Aerosil(登録商標)200を0.30質量部添加し混合したものを吸水剤(7)とした。
(実施例8)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部、オレイン酸ナトリウム0.001質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理した。加熱後、得られた粒子100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)2.24質量部を添加した。添加は粒子を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた粒子をそれぞれ目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、吸水剤(8)を得た。
(比較例1)
吸水性樹脂粒子(1)を比較吸水剤(1)とした。
(比較例2)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オレイン酸ナトリウムの33.9質量%エタノール溶液を2.94質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(2)とした。
(比較例3)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)を2.24質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(3)とした。
(比較例4)
特開2005−344103号の実施例7を参考に以下の実験を行った。
硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(浅田化学工業株式会社製、酸化アルミニウム換算で8質量%)2質量部に対し、50%乳酸ナトリウム水溶液1質量部を混合し、透明な均一溶液を得た。吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、この水溶液3質量部を攪拌下均一に混合し、60℃で1時間乾燥させた。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(4)とした。
(比較例5)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例2で得られたステアリン酸乳化液(A)を5質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(5)とした。
(比較例6)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、ポリエチレンイミン(日本触媒製P−1000、数平均分子量約7万)の30質量%水溶液を1.67質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(6)とした。
(比較例7)
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、モノステアリン酸アルミニウム(構造式Al(OH)(C1735COO))の粉末を1質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に混合されるように行った。得られた混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。得られた乾燥物を目開き710μmのJIS標準篩を通過させた。こうして得られたものを比較吸水剤(7)とした。
吸水剤(1)〜(3)、比較吸水剤(1)〜(7)のCRC、SFC、AAPを測定した結果を表1に示した。
Figure 2010540207
表1に示すように、本発明の実施例で得られた吸水剤は、高い吸収倍率(遠心分離機保持容量(CRC))と、非常に高い加圧下の液透過性(食塩水流れ誘導性(SFC))を示した。また、かかる効果は、吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが共に存在する場合に得られることが示された。
(実施例9)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で25分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(2)を得た。この吸水性樹脂粒子(2)を用いて、実施例1と同じ操作を行った。こうして吸水剤(9)を得た。
(比較例8)
吸水性樹脂粒子(2)を比較吸水剤(8)とした。
(比較例9)
実施例9で得られた吸水性樹脂粒子(2)を用いて、比較例2と同じ操作を行った。得られた吸水剤を比較吸水剤(9)とした。
(比較例10)
実施例10で得られた吸水性樹脂粒子(2)を用いて、比較例3と同じ操作を行った。得られた吸水剤を比較吸水剤(10)とした。
吸水剤(9)、比較吸水剤(8)〜(10)のCRC、SFC、AAPを測定した結果を表2に示した。
Figure 2010540207
表2に示すように、本発明の実施例9で得られた吸水剤は、比較例8〜10で得られた吸水剤との比較において、高い吸収倍率(遠心分離機保持容量(CRC))と、非常に高い加圧下の液透過性(食塩水流れ誘導性(SFC))を示した。また、かかる効果は、吸水性樹脂粒子の表面に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとが共に存在する場合に得られることが示された。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明にかかる吸水剤、並びに吸水剤の製造方法にて得られる吸水剤は、吸収倍率と加圧下の液透過性のバランスに優れるため、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。
例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジ又はオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。
また、本発明における吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の、糞、尿又は血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
31 タンク
32 ガラス管
33 0.69質量%食塩水
34 コック付きL字管
35 コック
40 容器
41 セル
42 ステンレス製金網
43 ステンレス製金網
44 膨潤ゲル
45 ガラスフィルター
46 ピストン
47 ピストン中の穴
48 補集容器
49 上皿天秤
100 プラスチックの支持円筒
101 ステンレス製400メッシュの金網
102 膨潤ゲル
103 ピストン
104 荷重(おもり)
105 ペトリ皿
106 ガラスフィルター
107 濾紙
108 0.9質量%食塩水

Claims (16)

  1. 吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含むことを特徴とする吸水剤。
  2. 上記有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとは、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在することを特徴とする請求項1に記載の吸水剤。
  3. 上記有機酸及び/又はその塩は、炭素数9以上の炭化水素鎖を分子中に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水剤。
  4. 上記吸水性樹脂粒子は、表面架橋されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水剤。
  5. 上記有機酸及び/又はその塩の含有量が、吸水剤全体に対して0.0001〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水剤。
  6. 上記水溶性多価カチオンの含有量が、吸水剤全体に対して0.001〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水剤。
  7. 上記有機酸及び/又はその塩がカルボキシル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の吸水剤。
  8. 上記塩は、有機酸と1価カチオンとの塩であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸水剤。
  9. 上記水溶性多価カチオンは、水溶性多価金属塩であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸水剤。
  10. 上記水溶性多価カチオンは、水溶性カチオン性高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸水剤。
  11. 吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを含む吸水剤を製造する方法であって、
    吸水性樹脂粒子と、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩と、水溶性多価カチオンとを混合する混合工程を含むことを特徴とする吸水剤の製造方法。
  12. さらに、吸水性樹脂の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の吸水剤の製造方法。
  13. 上記混合工程が上記表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることを特徴とする請求項12に記載の吸水剤の製造方法。
  14. 上記混合工程は、吸水性樹脂粒子に、分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、水溶性多価カチオンと同時又は水溶性多価カチオンの添加前に混合されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  15. 上記分子内の炭素数が10以上30以下の有機酸及び/又はその塩が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
  16. 上記水溶性多価カチオンは、水溶液として混合されることを特徴とする請求項11〜15のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
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