JP5047616B2 - 吸水剤およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、紙おむつや生理ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料などに好適に用いられる吸水剤およびその製造方法に関するものである。
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料には、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水性樹脂とをその構成材料とする吸収体が幅広く利用されている。
近年、これら衛生材料は、高機能かつ薄型化が進み、衛生材料1枚あたりの吸水性樹脂の使用量や、吸水性樹脂と親水性繊維とからなる吸収体全体に対する吸水性樹脂の比率が増加する傾向にある。つまり、かさ比重の小さい親水性繊維を少なくし、吸水性に優れ且つかさ比重の大きい吸水性樹脂を多く使用することにより、吸収体中における吸水性樹脂の比率を高め、吸水量を低下させることなく衛生材料の薄型化を図っている。
親水性繊維の比率を低くし、吸水性樹脂の比率を高めた衛生材料は、単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましい。しかし、実際のおむつ等としての使用状況における液体の分配および拡散を考えた場合には、むしろ問題が生じてくる。例えば、多量の吸水性樹脂は吸水により柔らかいゲル状となり、ゲルブロッキングという現象を引き起こす。その結果、衛生材料中の液の拡散性を劇的に低下させる。このような問題を避け、吸収体の吸収特性を維持するためには、親水性繊維と吸水性樹脂との比率はおのずと制限される。このため、衛生材料の薄型化にも限界が生じていた。
そこで、例えば、特許文献1には、共有結合性の架橋結合を形成する内部架橋剤と、多価金属による架橋結合を形成する内部架橋剤とを、吸水性樹脂の内部架橋剤として併用することで、吸水速度の遅い吸水性樹脂を製造することが開示されている。ここでは、多価金属は内部に均一に存在している。また、特許文献1には、製造された吸水性樹脂を、有機架橋剤によって、表面架橋することも開示されている。
また、例えば、特許文献2〜4には、吸水性樹脂に対し、多価金属による表面処理と、表面架橋剤による有機表面架橋処理とを併用することが開示されている。この併用による効果は、主に、吸水性樹脂の凝集の抑制、および、通液性の向上である。この場合、多価金属は、吸水性樹脂粒子の表面近傍にのみ存在している。
また、特許文献5には、造粒によって、吸水性樹脂を製造する方法が開示されている。また、特許文献5には、表面架橋剤として多価金属を用いることも開示されている。
しかしながら、このような吸水性樹脂を用いた吸収体であっても、その吸収特性を維持するには、不十分である。
ところで、吸水性樹脂は、吸水性を有する架橋重合体である。吸水性樹脂粒子の表面近傍には、架橋構造を形成するための表面架橋処理が施されている場合がある。表面架橋処理は、吸水性樹脂粒子の吸水性能を適宜に制御して各種性能のバランスを取るために施される。
吸水性樹脂は、一般に、微粉(吸水性樹脂微粒子)の含有量の少ないものが好ましい。吸水性樹脂中の微粉含有量が多いと、衛生材料が尿を吸収したときに、その微粉が、衛生材料中でゲルブロックを形成する。ゲルブロックの形成は、通液性を低下させる要因となる。
また、吸水性樹脂中に微粉を含ませたままであると、吸水性樹脂を取り扱う時に、その微粉が粉塵となって散逸する。このため、吸水性樹脂の歩留まりを低下させる要因ともなる。さらに、粉塵となった微粉は、労働安全衛生上の問題を惹き起こすこともある。ここで、微粉とは、例えば、粒子径が150μm以下の微細粒子からなるものであり、吸水性樹脂を製造する過程で生じる。特に、労働安全衛生上の問題を引き起こすと考えられる粉塵とは、例えば、粒子径が10μm以下の微細粒子のことを言う。例えば、微粉の形態としては、例えば、逆相懸濁重合時の微粒子ゲル、および、吸水性樹脂となる重合ゲルの乾燥物を粉砕したり粉砕物を分級したりする工程などで生じるものなどである。
そこで、吸水性樹脂の製造過程において微粉を回収し、前工程に戻すこと(リサイクル)もなされる。しかし、微粉そのものは、再使用しにくいため、微粉を造粒して再使用される。微粉を造粒する方法はこれまでいくつか提案されている(例えば特許文献6参照)。
本発明者等は、微粉の造粒について、以下のような問題に気がついた。
すなわち、造粒は微粉に水性液を添加して行われる。しかし、微粉の表面積は大きい。このため、表面架橋処理されていない微粉の場合、水性液に接した部分の微細粒子が直ちに水性液を吸収する。その結果、ママコ(継粉)が生じて不均一なゲル化が起こる。このため、造粒効率が悪くなる上、造粒物から微粉への再生率も高かった。
一方、表面架橋処理された微粉の場合、造粒時にママコは生じにくい。しかし、表面架橋処理された微粉は、表面架橋処理により表面の接着性が低く、その微粉どうしの結合力が弱まっている。このため、造粒物は、機械的な衝撃を受けたときに壊れやすい。吸水性樹脂の製造過程には、重合ゲルの乾燥物を粉砕したり、得られた粉砕物を分級したりする工程がある。したがって、これらの工程中に機械的衝撃を受けたときに、造粒物が微粉に戻ることがある。造粒物が製品化された後も、貯蔵中や衛生材料その他の用途において使用する過程において、造粒物が壊れることがある。
米国特許出願公開2002/193492号公報 米国特許第632352号明細書 日本国公表特許公報 特表2002−539281号公報 国際公開2004/113452号パンフレット 日本国公開特許公報 特開平11−254429号公報 日本国公開特許公報 特開平11−106514号公報 日本国公開特許公報 特開平11−254429号公報
本発明の目的は、従来の吸水性樹脂よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた、吸水剤とその製造方法とを提供することである。
また、本発明の別の目的は、機械的強度に優れる、製品としても使用でき、リサイクル原料としても使用できる、吸水性樹脂造粒物と、造粒効率の良いその製造方法と、その用途を提供することにある。さらには、微粉含有量が少ない低粉塵性の吸水剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A)および(B)の工程を含む。
(A)表面処理されていない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(B)表面処理された吸水性樹脂微粒子を、表面処理されていない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
これにより、表面処理されていない吸水性樹脂粒子の内部に、表面処理された吸水性微粒子が局在化して存在する構造(海島構造)が形成される。この吸水性樹脂粒子を含む吸水剤は、従来よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、しかも加圧時の保水能力に優れるという吸水特性を有する。
上記の目的を達成するために、本発明の吸水剤の別の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A’)および(B’)の工程を含む。
(A’)表面処理された吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(B’)表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を、表面処理された吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
これにより、表面処理された吸水性樹脂粒子の内部に、表面処理されていない吸水性微粒子が局在化して存在する構造(海島構造)が形成される。この吸水性樹脂粒子を含む吸水剤は、従来よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、しかも加圧時の保水能力に優れるという吸水特性を有する。
上記の目的を達成するために、本発明の吸水剤は、上記いずれかの吸水剤の製造方法により得られたものである。
この吸水剤は、吸水性樹脂粒子の内部に、吸水性樹脂微粒子が局在化されている。したがって、従来よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、しかも加圧時の保水能力に優れるという吸水特性を有する吸水剤を提供できる。
上記の目的を達成するために、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、上記内部架橋構造は、共有結合を含むものであり、上記吸水性樹脂粒子の内部は、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造となっているものである。
この吸水剤は、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩が局在化されている。したがって、従来よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、しかも加圧時の保水能力に優れるという吸水特性を有する吸水剤を提供できる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって充分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
AAPの測定装置の概略図である。 SFCの測定装置の概略図である。 本発明にかかる吸水剤の製造方法の概略図である。 本発明にかかる別の吸水剤の製造方法の概略図である。 本発明にかかるさらに別の吸水剤の製造方法の概略図である。 本発明における吸水性樹脂粒子の構造の模式図である。 海島構造を有する吸水性樹脂粒子の断面の概略図である。 図7(a)の吸水性樹脂粒子の表面が、第2の水溶性多価金属塩でコートされた吸水性樹脂粒子の断面の概略図である。 本発明における吸水性樹脂粒子の断面を、電子線マイクロアナライザによって観察した図である。 本発明にかかる吸水性樹脂粒子の断面を、電子線マイクロアナライザによって観察した図である。 粉塵量の測定装置の概略図である。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
(1)本発明の概要
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも吸水性樹脂粒子の内部に、多価金属塩を局在化させることにより、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れる等の吸収特性を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
より詳細には、従来の吸水性樹脂は、水溶性多価金属塩を内部に均一に存在させていたため、架橋されすぎてしまい、吸水量が低下する場合があった。また、多価金属塩が水溶性である場合、水溶性多価金属塩を内部に不均一に存在させることは、非常に困難であった。
そこで、本発明者が鋭意に検討した結果、
(i)水溶性多価金属塩を含む吸水性微粒子を、水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂の内部に含有させる;または
(ii)水溶性多価金属塩を含まない吸水性微粒子を、水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂の内部に含有させることによって、海島構造を有する吸水性樹脂粒子が形成されることを見出した。海島構造とは、水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有することを示す。これにより、従来のように大きく吸水倍率を低下させることなく、吸水性樹脂粒子の強度を、向上させることが可能となった。つまり、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた吸水剤を実現した。
さらに、本発明者は、種々検討し実験を重ねた結果、造粒に供する微粉として、表面処理を未だ受けていない微粉と表面架橋処理をすでに受けている微粉とを併せて用いることとすれば、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
(2)本発明の詳細
本発明の吸水剤は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤である。本発明の吸水剤は、上記内部架橋構造として、共有結合を含むものであり、上記吸水性樹脂粒子の内部は、表面処理された吸水性樹脂微粒子または表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造となっている。
ここで、吸水性樹脂粒子および吸水剤の表面処理とは、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍に施された、化学的修飾または物理的修飾を示す。
化学的修飾とは、例えば、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍に、架橋結合(化学的な結合)が形成されていることを示す。架橋結合は、共有結合性の架橋結合であっても、イオン結合性の架橋結合であってもよい。
共有結合性の架橋結合は、有機表面架橋剤を用いた表面架橋処理によって形成できる。有機表面架橋剤は、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍に存在する官能基(特にカルボキシル基)と反応し得る官能基を、2個以上有するものである。例えば、吸水性樹脂粒子が部分中和架橋ポリアクリル酸である場合、有機表面架橋剤は、多価アルコール,多価グリシジル化合物,多価アミン,エチレンカーボネート,2−オキサゾリジノンなどである。
イオン結合性の架橋結合は、水溶性多価金属塩を用いた表面処理によって形成できる。多価金属塩は、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍に存在する官能基(特にカルボキシル基)と、イオン結合し得る多価金属を含むものである。多価金属は、例えば、3価のアルミニウムなどである。
一方、物理的修飾とは、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍が、付着または被覆によって修飾されていることを示す。物理的修飾は、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍が、上記多価アルコール等により被覆されていること、または、水溶性多価金属により化学的結合を伴わずに被覆されていることなどを示す。言い換えれば、物理的修飾は、例えば、上記多価アルコールまたは水溶性多価金属が、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍に、付着していることを示す。
このように、化学的修飾は、吸水性樹脂粒子の表面と何らかの化学結合を伴う修飾である。また、物理的修飾は、そのような化学結合を伴わない、付着または被覆などによる修飾である。
本実施形態では、表面処理の一例として、表面架橋処理が施された吸水剤およびその製造方法について説明するが、本発明はこの説明により何ら限定されるものではない。
本発明の吸水剤は、内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含んでいる。そして、本発明の吸水剤は、上記吸水性樹脂粒子の表面近傍が、表面架橋剤によって架橋されており、上記吸水性樹脂粒子の内部に、第1の無機化合物(好ましくは第1の水溶性多価金属塩)が局在化して存在する構造(第1の無機化合物(好ましくは第1の水溶性多価金属塩)を含有する部分と含有しない部分とが存在する海島構造)を有することを特徴としている。また、本発明の吸水剤は、上記吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が、第2の無機化合物(好ましくは第2の水溶性多価金属塩)により被覆されていることが好ましい。本発明の吸水剤は、従来よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、しかも加圧時の保水能力に優れるという吸水特性を有するものである。
なお、本実施形態では、第1の無機化合物および第2の無機化合物として、主に、第1の水溶性多価金属塩,第2の水溶性多価金属塩を用いる場合について説明するが、これに限定されるものではない。
〔吸水性樹脂粒子〕
本発明で用いる吸水剤の最大の特徴は、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩が局在化して存在(点在)する構造(海島構造)を有することである。
以下、本発明の吸水剤の主成分である吸水性樹脂粒子について説明する。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する粒子である。この吸水性樹脂粒子は、水溶性不飽和単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、吸水性樹脂とも言う)の粒子であって、少なくとも生理食塩水(0.90質量%NaCl水溶液)の吸収倍率が5倍以上、好ましくは10倍以上である、球形或いは不定形の粒子形状のものである。なお、本発明においては、吸水性樹脂粒子を単に吸水性樹脂と称することもある。
水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体の具体例としては、部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号明細書、米国特許第4654039号明細書、米国特許第5250640号明細書、米国特許第5275773号明細書、欧州特許第456136号明細書等)、架橋されて部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号明細書)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号明細書)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号明細書)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号明細書)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号明細書)等が挙げられる。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、アクリル酸および/またはその塩を含む単量体を重合して得られるアクリル酸および/またはアクリル酸塩を構成単位として含むポリアクリル酸(塩)系架橋重合体からなる吸水性樹脂の粒子であることが好ましい。本発明においてポリアクリル酸(塩)系架橋重合体とは、全構成単位中、アクリル酸および/またはその塩を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む単量体を重合して得られる架橋重合体である。また、重合体中の酸基は、その50〜90モル%が中和されていることが好ましく、60〜80モル%が中和されていることがより好ましく、塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などを例示する事ができる。塩を形成させるための中和は重合前に単量体の状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
本発明に好ましく用いられる吸水性樹脂粒子であるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体としては、主成分として用いられる単量体(アクリル酸および/またはその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。他の単量体の具体例としては、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸などのアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびそれらの四級塩などのカチオン性不飽和単量体などを挙げることができる。これらアクリル酸および/またはその塩以外の単量体の使用量は、全単量体中0〜30モル%が好ましく、より好ましくは0〜10モル%である。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、内部架橋構造を有する架橋重合体である。ここで、内部架橋構造とは、内部架橋構造の架橋結合様式として、例えば、共有結合性の架橋結合、および、イオン結合性の架橋結合などを有する構造である。
本発明に用いられる吸水性樹脂粒子に内部架橋構造を導入する方法として、架橋剤を使用しない自己架橋によって導入する方法や、1分子中に2個以上の重合性不飽和基および/または2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合または反応させて導入する方法等を例示できる。好ましくは、内部架橋剤を共重合または反応させて導入する方法である。この方法により、共有結合性の架橋結合を形成できる。
なお、イオン結合性の架橋結合は、後述のように、第1の水溶性多価金属塩により形成することができる。
これらの共有結合性の内部架橋のための内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。これらの内部架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性などから、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることが好ましく、その使用量としては全単量体に対して0.005〜3モル%が好ましく、より好ましくは0.01〜1.5モル%である。
重合に際しては、澱粉−セルロース、澱粉−セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。重合に際しては、親水性高分子を例えば0〜30重量%、および/または、連鎖移動剤を例えば0〜1重量%、重合系に添加してもよい。
本発明に用いられる吸水性樹脂粒子を得るために、上記したアクリル酸および/またはその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、水溶液重合、バルク重合、逆相懸濁重合、沈澱重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体を水溶液として、水溶液重合を行うことが好ましい。かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、米国特許出願公開2002/40095号公報などに記載されている。
重合を行うにあたり、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、紫外線や電子線などの活性エネルギー線等を用いることができる。また、ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としても良い。これらの重合開始剤の使用量は、全単量体に対して、0.001〜2モル%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5モル%である。
上記の重合により得られた吸水性樹脂粒子の形状は、一般には、不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等であるが、本発明に用いられる吸水性樹脂粒子は粒子状であるので、乾燥後に粉砕して得られるような不定形破砕状のものを用いると、より本発明の効果が大きくなるので好ましい。
アクリル酸および/またはその塩を主成分とするなどして水溶液重合により得られた単量体は重合によりゲルを形成する。このゲルは所望の粒径にまで粉砕される。この粉砕は、必要に応じ乾燥させてから、重合ゲルをミートチョッパー、ニーダー、カッターミル等に掛けて行う。重合をニーダー中で行うようにすると、生成するゲルを粉砕しながら重合することができる。
重合を逆相懸濁重合で行えば、吸水性樹脂は予め、粒子状で得られるが、重合系から取り出したとき、粒子が互いに軽く結着していることがある。吸水性樹脂に対し後述する表面架橋処理を施したときも、粒子が互いに軽く結着していることがある。このときには、粒子結着物は、必要に応じ乾燥させたのち、個々の粒子にばらすよう、解砕される。
乾燥物の粉砕や解砕は、例えば、振動ミル、ロールグラニュレーター(特開平9−235378号公報、段落0174参照)、ナックルタイプ粉砕機、ロールミル(特表2002−527547号公報、段落0069参照)、高速回転式粉砕機(ピンミル、ハンマーミル、スクリューミル、ロールミルなど、特開平6−41319号公報、段落0036参照)、円筒状ミキサー(特開平5−202199号公報、段落0008参照)によって行うことができる。気流乾燥機等を用いると、粉砕しながら乾燥することもできる。
重合ゲルや懸濁粒子などの乾燥には、通常の乾燥機や加熱炉を用いることができるが、共沸脱水により乾燥することもできる。乾燥機としては、例えば、熱風乾燥機、溝型攪拌乾燥機、回転乾燥機、円盤乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
乾燥温度は、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜230℃、さらに好ましくは160〜210℃である。
得られる乾燥物は、固形分の割合が、好ましくは50〜100質量%(含水率50〜0質量%)であり、より好ましくは85〜100質量%(含水率15〜0質量%)、さらに好ましくは90〜98質量%(含水率10〜2質量%)である。なお、固形分の割合は、通常、アルミカップやガラスシャーレ上で1gを180℃で3時間乾燥した後の乾燥減量により求める。
なお、後述のように、上記乾燥、粉砕・解砕を経て得られた吸水性樹脂は、分級などによって、所定のサイズ(粒子径)を有するもの(表面架橋前の吸水性樹脂)であることが好ましい。また、後述する吸水性樹脂粒子の造粒物についても、必要に応じて非造粒物である吸水性樹脂と一緒に、好ましくは、分級によって、所定のサイズに整えられたものである。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、その表面近傍が表面架橋処理されたものであることが好ましい。表面近傍を表面処理しておくと、その吸水性能が改善・向上・制御されて、諸性能間のバランスが良くなる。吸水性樹脂粒子に対する表面架橋処理はこのために行われる。
表面架橋処理は、表面架橋剤を用いて行っても良いし、その他の公知の表面架橋処理方法でもよい。ここで、表面架橋剤は、共有結合性の架橋構造を形成し得るものであればよい。
表面架橋処理に用いることのできる表面架橋剤としては、吸水性樹脂粒子の有する官能基、特に、カルボキシル基と反応し、架橋構造を形成し得る有機架橋剤や多価金属化合物が挙げられる。特に好ましくは以下に挙げられる有機架橋剤が用いられる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、および、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン:登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、多価オキセタン化合物などのオキセタン化合物;等が挙げられる。このような有機架橋剤を用いれば、共有結合性の表面架橋構造を形成できる。これら表面架橋剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも多価アルコールは、安全性が高く、吸水性樹脂粒子表面の親水性を向上させることができる点で好ましい。
表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましい。
表面架橋剤と吸水性樹脂粒子との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。
表面架橋剤やその水溶液を混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を混合助剤として用いてもよい。
親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール等が挙げられる。親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、0.1質量部〜5質量部の範囲内がより好ましい。
また、第三物質として米国特許第5610208号明細書に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用しても良いが、表面架橋後に吸水性樹脂粒子の吸水性能を低下させないものが好ましい。特に沸点が150℃未満の揮発性アルコール類は表面架橋処理時に揮発してしまうので、残存物が残らず望ましい。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とをより均一に混合するため、非架橋性の水溶性無機塩基類(好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカリ金属水酸化物、および、アンモニアあるいはその水酸化物)や、非還元性アルカリ金属塩pH緩衝剤(好ましくは炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩等)を、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する際に共存させても良い。これらの使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.005〜10質量部の範囲内が好ましく、0.05〜5質量部の範囲内がより好ましい。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する混合方法は、例えば、吸水性樹脂粒子を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂粒子に直接、水および/または親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等が例示できる。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合した後、通常、加熱を行い、架橋反応を遂行させることが好ましい。上記加熱温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、40℃以上250℃以下が好ましく、150℃以上250℃以下がより好ましい。加熱温度が40℃未満の場合には、加圧下の吸収倍率等の吸収特性が10分に改善されない場合がある。加熱温度が250℃を超える場合には、吸水性樹脂粒子の劣化を引き起こし、各種性能が低下する場合があり注意を要する。加熱時間は、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは5分〜1時間である。
本発明における吸水性樹脂粒子が加熱されたものである場合、加熱の方法は、例えば、欧州特許第530517号明細書、欧州特許第603292号明細書、国際公開第95/05856号パンフレット等に記載されている、乾燥後の吸水性樹脂粒子をさらに加熱する方法が挙げられる。
表面架橋処理(熱処理を含む)のために加熱された吸水性樹脂粒子は、粒子どうしが軽く結着していることがあるので、この結着を解くために、前述した解砕処理を施されていてもよい。また、表面架橋処理の前段階で、分級などにより一旦、粒子径を整えていても、表面架橋処理により、粒子径が変化していることがあるので、再度、分級処理を施すこともある。すなわち、表面架橋処理後の吸水性樹脂は、表面架橋処理中に生成する凝集物や微粉を含んでいる。表面架橋処理後の吸水性樹脂から所定の粒子サイズを有する製品としての吸水性樹脂を得るためには、表面架橋処理の際に生成した凝集物の解砕や分級、あるいは、表面架橋処理の際および凝集物の解砕の際などに生成した微粉の分級を行うことが必要となるのである。
この解砕処理・分級処理の前には吸水性樹脂を冷ましておくことが好ましい。このときに用いる冷却装置の種類は限定されないが、例えば、内壁その他の伝熱面が35℃程度の水によって冷却された2軸攪拌乾燥機などで吸水性樹脂を冷却することができる。
表面架橋処理後の吸水性樹脂の解砕と分級は何れを先に行っても良い。
解砕は、通常の解砕装置を用いればよく、例えば、フラッシュミル等のナイフカッター式解砕機を用いて解砕することが挙げられる。分級を行うための装置は、通常の分級装置であれば特に限定されず、例えば、振動ふるいや気流分級機などを使用することができる。この解砕処理や分級処理については、すでに述べたことも参照されて良い。
なお、表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉を得る工程は後述するが、表面架橋処理後の解砕、分級工程で得ることがもっとも好ましく、最終製品を得るためのより最終工程に近い表面架橋処理後の解砕、分級工程で表面架橋処理を受けている吸水性樹脂微粉を製品より取り除くことで、微粉含有量の少なく、粉塵性の低い吸水性樹脂得ることが出来る。また、本工程で表面処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉を取り除くことによって、吸水性樹脂の性能のうち、とりわけ食塩水流れ誘導性(SFC)が向上した吸水性樹脂を得ることが出来る。
本発明における吸水性樹脂粒子の最大の特徴は、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造(ミクロドメイン−サイトバインディング構造)となっていることである。すなわち、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩が局在化して存在する構造を有することである。言い換えれば、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩の多価金属によるイオン結合性の架橋構造が、局在化(点在)している。
ここで、「第1の水溶性多価金属塩が局在化して存在する」とは、第1の水溶性多価金属塩が、吸水性樹脂粒子内部に均一存在しないことを示している。第1の水溶性多価金属塩が、吸水性樹脂粒子内部に局在化しているか否かは、例えば、吸水性樹脂製樹脂粒子の断面を、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer;以下「EPMA」と略す)測定により観察によって、確認することができる。
なお、上記吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を局在化して存在させる方法としては、例えば、後述のように、内部架橋構造を有し、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、含有させることが例示される。
このように、本発明で用いる吸水性樹脂粒子には、例えば、内部架橋構造として、共有結合性の架橋構造と、第1の水溶性多価金属塩によるイオン性の架橋構造とが形成されている。さらに、吸水性樹脂粒子の表面には、共有結合性の表面架橋構造も形成されている。そして特に、この吸水性樹脂粒子の内部には、第1の水溶性多価金属塩による内部架橋構造が、吸水性樹脂粒子内部に、局在化して存在する(海島構造)。これにより、後述の実施例に示すように、第1の水溶性多価金属塩による内部架橋構造が、吸水性樹脂粒子内部に局在化していない場合(海島構造を有さない場合)に比べて、顕著に、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れるという、吸水特性を吸水剤に与える。
つまり、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂内部のイオン性の架橋結合により、可溶分の溶出が抑制されるため、例えば、おむつの表面がさらっとする。また、吸水性樹脂粒子の表面は、表面架橋されているため、内部のゲル強度が高くなる。さらに、吸水性樹脂粒子は、その表面架橋により、通液性も向上するため、液の取り込みも良好となる。また、後述のように、吸水性樹脂粒子は、AAP/CRCが高いため、保持できる吸水量に対して、加圧下の保持能力が高い。このため、液の戻り(wet back)も少なくなる。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子では、上記海島構造における、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分の長径が10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。これにより、海島構造を形成した際の効果が大きくなる。したがって、吸水性樹脂の特性を向上することができる。上記の長径は、例えば、以下の方法で測定することができる。まず、吸水性樹脂粒子を、エポキシ樹脂包埋した後、硬化処理を行う。その後、800番,1500番のエメリーペーパーで面出しする。この面出しは、吸水性樹脂粒子の中心を通る断面がでるように行う。この吸水性樹脂粒子の断面を、電子線マイクロアナライザ(例えば、島津製作所製 製品名:EPMA−1610)を用いて観察する。これにより、多価金属を含有する部分を特定することができる。なお、電子線マイクロアナライザの条件は、加圧電圧を15kV,試料電流を50nA,ビームサイズを1μmとすればよい。このようにして、長径を求めることができる。
図8および図9は、電子線マイクロアナライザによる、吸水性樹脂粒子の断面を示す図である。これらの図において、黒い部分がエポキシ樹脂であり、灰色部分が吸水性樹脂粒子である。そして、吸水性樹脂粒子内に存在する白い部分が第1の水溶性多価金属塩(図面では硫酸アルミニウム)である。これらの図に示されるように、本発明では、吸水性樹脂粒子内に、第1の水溶性多価金属塩が、不均一に存在している。
図8の吸水性樹脂粒子は、長径が84μm,38μm,および18μmである硫酸アルミニウムを含有する部分がある。一方、図9の吸水性樹脂粒子は、長径が41μm,28μm,および18μmの硫酸アルミニウムを含有する部分がある。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、表面架橋剤による架橋部位の少なくとも一部が、第2の水溶性多価金属塩により被覆されていることが好ましい。つまり、共有結合性の架橋結合により表面架橋された吸水性樹脂粒子の表面に、さらに、イオン性の架橋結合が形成される。これにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子の表面の一部または全てが、さらに、第2の水溶性多価金属塩により、表面架橋される。このため、上記の吸水特性が、より高くなる。
ここで、第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩について説明する。
第1の水溶性多価金属塩は、最終的に、実質的に吸水性樹脂粒子内部に含まれる水溶性多価金属塩である。また、第1の水溶性多価金属塩は、吸水性樹脂粒子内部で、海島構造を形成する。第1の水溶性多価金属塩は、吸水性樹脂粒子表面から、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上内部に存在する。
一方、第2の水溶性多価金属塩は、最終的に、実質的に吸水性樹脂粒子表面に含まれる水溶性多価金属塩である。第2の水溶性多価金属塩は、吸水性樹脂粒子の表面から、好ましくは20μm以内に存在する。
なお、上記「実質的に吸水性樹脂粒子表面に含まれる」とは、吸水性樹脂粒子表面の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上に、含まれることを示す。
第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩における「水溶性多価金属塩」とは、pH1〜12の範囲内の任意のpHで、多価金属イオンが水溶液中に溶けることができるものであって、100gの水溶液中に、好ましくは1ppm以上、より好ましくは10ppm以上存在できるものを示す。
第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩は、3価および/または4価の金属の塩であることがより好ましい。以下、第1の水溶性多価金属塩と第2の水溶性多価金属塩とを区別しない場合には、単に、「水溶性多価金属塩」とする。
本発明で使用することができる3価の水溶性多価金属塩としては、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、塩化鉄(III),塩化セリウム(III),塩化ルテニウム(III),塩化イットリウム(III),塩化クロム(III)などの、アルミニウム,鉄,セリウム,ルテニウム,イットリウム,またはクロムの、塩化物,硫酸塩,硝酸塩,過硫酸塩,亜硫酸塩,炭酸塩,リン酸塩,水溶性の有機酸塩(例えば、カルボン酸等)などを例示することができる。
また、本発明で使用することができる4価の水溶性多価金属塩としては、硫酸ジルコニウム,6−フッ化ジルコニウムナトリウム,炭酸ジルコニウムアンモニウム,炭酸ジルコニウムカリウム,炭酸ジルコニウムナトリウム,硫酸チタン,酸化亜鉛,および合成ゼオライトなどを例示することができる。
また、これらの水溶性多価金属塩は、尿などの吸収液との溶解性の点からもこれらの結晶水を有する塩を使用するのが好ましい。特に好ましいのは、アルミニウム化合物(アルミニウム塩)、中でも、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウムが好ましく、硫酸アルミニウムが特に好ましく、硫酸アルミニウムの水溶液は最も好適に使用することが出来る。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、第1の水溶性多価金属塩と第2の水溶性多価金属塩とは、同一であっても、異なるものであってもよい。
なお、第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩以外に用いることのできる、第1の無機化合物および第2の無機化合物としては、例えば、親水性アモルファスシリカ類,鉱産物,その他の多価金属塩類などの無機酸化物を挙げることができる。親水性のアモルファスシリカ類としては、例えば、乾式法:トクヤマ社製Reolosil QS−20,沈殿法:DEGUSSA社 Sipernat 22S,Sipernat 2000等を挙げることができる。鉱産物としては、例えば、タルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライトなどを挙げることができる。また、多価金属塩類しては、例えば、酸化ケイ素・酸化アルミニウム・酸化マグネシウム複合体(例えば、ENGELHARD社製 Attagel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体などの無機酸化物など)、酸化チタン、酸化亜鉛、および合成ゼオライトなどを挙げることができる。なお、米国特許第5164459号公報などに例示されたものも、第1の無機化合物および第2の無機化合物として使用することもできる。なお、第1の無機化合物と第2の無機化合物とは、同一であっても、異なるものであってもよい。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子では、吸水性樹脂粒子内部に含有させる第1の水溶性多価金属塩の含有量が、吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜1質量%であり、第2の水溶性多価金属塩の含有量が、上記吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜4質量%であり、第1の水溶性多価金属塩の含有量は、第2の水溶性多価金属塩の含有量よりも少ないことことが好ましい。第1の水溶性多価金属塩の含有量が、第2の水溶性多価金属塩の含有量よりも多いと、吸水倍率が低下する虞がある。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子では、第1の水溶性多価金属塩と、第2の水溶性多価金属塩との比が、1:10〜10:11であることが好ましく、1:7〜10:13であることがより好ましく、1:5〜10:17であることが特に好ましい。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、好ましくは粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.20〜0.45であり、さらに好ましくは0.27〜0.43、最も好ましくは0.30〜0.40である。粒度分布の対数標準偏差(σζ)は粒度分布の広がりを示す数値である。粒度分布の対数標準偏差(σζ)の値が小さいほど粒度分布の幅が狭いことを表している。粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.20未満の場合には、粒度分布が狭すぎるため、液の拡散・通液性と毛管力のバランスが悪くなる恐れがある。0.45を超える場合には、取り扱い性に問題が出たり、液の拡散・通液性と毛管力のバランスが悪くなる恐れがある。
このような粒子径を有する吸水性樹脂粒子は、水溶液重合で得られた吸水性樹脂(粒子)を粉砕したもの、あるいはこれらを篩いに掛けて粒度を調整することによって好ましく得ることができる。また、300μm以下(好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下)の粒子径の吸水性樹脂粒子の微粉(吸水性樹脂微粒子)を造粒し粒度調整したものを用いても良く、粉砕して得られる一次粒子の不定形破砕状の粒子に微粉の造粒物を一部混合した吸水性樹脂粒子を用いても良い。言い換えれば、吸水性樹脂微粒子(例えば、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性微粒子)は、目開き300μm(好ましくは200μm、さらに好ましくは150μm)のふるいを透過できる大きさであることが好ましい。吸水性樹脂粒子の造粒物を一部混合した場合には、吸水速度、毛管吸収倍率などの吸収特性が一層優れた吸水剤を得ることが出来る。微粉の造粒物の混合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
微粉造粒物の作成方法としては、微粉を再生する公知の技術が使用可能である。例えば、温水と吸水性樹脂粒子の微粉を混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号明細書)や、吸水性樹脂粒子の微粉を単量体水溶液と混合し重合する方法(米国特許第5264495号明細書)、吸水性樹脂粒子の微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号明細書)、吸水性樹脂粒子の微粉を10分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号明細書)、吸水性樹脂粒子の微粉と重合ゲルを混合する方法(米国特許第5478879号明細書)などを用いることが可能であるが、好ましくは前記の温水と吸水性樹脂粒子の微粉を混合し乾燥する方法が用いられる。なお、粒子径は分級される篩目径で示される。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、造粒されたもの(造粒粒子)であることが好ましい。これにより、造粒粒子には、共有結合性の内部架橋構造と、第1の水溶性多価金属塩によるイオン結合性の架橋構造とが、確実に含まれる。つまり、造粒粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を局在化することが可能となる。この造粒粒子は、例えば、共有結合性の内部架橋構造を有する吸水性樹脂の微粒子(微粉)と、第1の水溶性多価金属塩によるイオン結合性の内部架橋構造を有する吸水性樹脂の微粒子(微粉)との混合物を造粒することにより得られる。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子の粒径や粒径分布に特に制限は無いが、粒径が比較的小さく、小粒径成分の多い粒径分布のものを用いると、吸水速度、毛管吸収倍率などの吸水性能の向上が顕著であるので好ましい。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、遠心分離機保持容量(CRC)が、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは10(g/g)以上であり、さらに好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは20(g/g)以上であり、特にに好ましくは25(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは100(g/g)以下であり、より好ましくは70(g/g)以下であり、さらに好ましくは50(g/g)以下である。遠心分離機保持容量(CRC)が5(g/g)未満の場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、遠心分離機保持容量(CRC)が60(g/g)よりも大きい場合、特に100(g/g)よりも大きい場合、通液性に優れる吸水剤を得ることができなくなる虞がある。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは10(g/g)以上であり、さらに好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは18(g/g)以上であり、さらに好ましくは20(g/g)以上であり、特に好ましくは22(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは50(g/g)以下である。4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が5(g/g)未満の場合、通液性に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、食塩水流れ誘導性(SFC)が、好ましくは10(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは30(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは40(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは50(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは100(×10−7・cm・s・g−1)以上である。この値が高くなるほど、通液性も高くなる。上限値は、特に限定されないが、好ましくは2000(×10−7・cm・s・g−1)以下である。食塩水流れ誘導性(SFC)が10(×10−7・cm・s・g−1)未満の場合、水溶性多価金属塩を添加しても、通液性が向上しないことがある。
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、水可溶分量が、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。水可溶分量が35質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、通液性に劣ったものとなることがある。また、オムツ中で長時間使用した際に、吸収特性(CRCやAAPなど)が経時的に低下することがある。
以上のような吸水性樹脂粒子は、本発明の吸水剤の主成分である。この吸水剤では、主成分である吸水性樹脂粒子の含有量は、少なくとも10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%(つまり吸水剤が吸水性樹脂粒子からなること)である。ここで、主成分である吸水性樹脂粒子は、少なくとも、共有結合性の架橋構造と、第1の水溶性多価金属塩によるイオン性の架橋構造とが形成された内部架橋構造、および、共有結合性の表面架橋構造を有しており、さらに、吸水性樹脂粒子内部に、第1の水溶性多価金属塩が局在化しているもの(海島構造を有する吸水性樹脂粒子)を含んでいればよい。すなわち、後述の実施例および図4に示すように、少なくとも実施例2の吸水性樹脂粒子を含んでいるものであっても、実施例1の吸水性樹脂粒子を含んでいるものであっても、それらの混合物であってもよい。
すなわち、本発明の吸水剤では、例えば、海島構造を有する吸水性樹脂粒子の含有量が、10質量%〜100質量%であり、そのような海島構造を有さない(内部に第1の吸水性樹脂粒子が点在しない)吸水性樹脂粒子の含有量が、0質量%〜90質量%であり、これらの吸水性樹脂粒子を合計した含有量が、80質量%以上であることが好ましい。
さらに、上記吸水性樹脂粒子は、少なくとも実施例1〜実施例4のいずれかの吸水性樹脂粒子を含んでいれば、さらに、比較例1〜3の吸水性樹脂粒子も含んでいてもよい。これにより、従来の吸水剤よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた、吸水剤を提供することができる。
〔吸水剤の製造方法〕
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記のような吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A)および(B)の工程を含む。
(A)表面処理されていない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(B)表面処理された吸水性樹脂微粒子を、表面処理されていない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
好ましくは、本発明にかかる吸水剤の製造方法は、以下の(C)工程を含む。
(C)表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、表面処理されていない吸水性樹脂粒子の加熱、または、表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
特に好ましくは、本発明にかかる吸水剤の製造方法は、以下の(a)〜(c)の工程を含んでいる。
(a)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c)第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程(表面架橋処理)。
つまり、(A)〜(C)の表面処理されていない吸水性樹脂粒子が、(a)〜(c)の第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子である。(A)〜(C)の表面処理された吸水性樹脂粒子が、(a)〜(c)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子である。
上記(a)工程では、内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する。この工程は、共有結合性架橋剤の存在下に行うため、得られる吸水性樹脂粒子は、共有結合性の架橋構造を有する。なお、(a)工程の吸水性樹脂粒子は、第1の水溶性多価金属塩を含んでいない。また、共有結合性架橋剤としては、前述の内部架橋剤を好適に利用できる。
一方、上記(b)工程は、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる。これにより、吸水性樹脂粒子内部には、第1の水溶性多価金属塩由来の多価金属イオンによるイオン結合性の架橋結合構造が形成される。なお、(b)工程では、第1の水溶性多価金属塩の一部が、吸水性樹脂表面に存在してもよい。
このように、上記(a)工程および(b)工程により、共有結合性の架橋構造と、イオン結合性の架橋構造とを有する、内部架橋構造の吸水性樹脂粒子が得られる。しかも、上記(b)工程により、第1の水溶性多価金属塩は、吸水性樹脂粒子の内部に局在化して存在するようになる。つまり、多価金属イオンによるイオン結合性の架橋構造によって、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造が形成される。言い換えれば、吸水性樹脂粒子の内部に、多価金属イオンによるイオン結合性の架橋構造が、点在する。すなわち、吸水性樹脂粒子の内部に、多価金属イオンによるイオン結合性の架橋構造が、均一に(非局在化して)形成されるのではなく、吸水性樹脂粒子の内部に不均一に(局在化して)形成される。
なお、上記(a)工程は、第1の水溶性多価金属塩の存在下に行わない。これは、第1の水溶性多価金属塩の存在下、上記(a)工程を行うと、第1の水溶性多価金属塩は、吸水性樹脂粒子の内部に局在化せず、均一に存在してしまうからである。ただし、第1の水溶性多価金属塩を、吸水性樹脂粒子の内部に不均一に存在させることができれば、上記(a)工程を、第1の水溶性多価金属塩の存在下に行ってもよい。
そして、上記(c)工程では、上記(a)工程および(b)工程を経て得られた、吸水性樹脂粒子(第1の水溶性多価金属塩を内部に含む吸水性樹脂粒子)の表面近傍に、架橋が形成される。
したがって、上記(a)〜(c)工程により得られた吸水性樹脂粒子は、共有結合性の架橋構造と、イオン結合性の架橋構造とを有する内部架橋構造とともに、その吸水性樹脂粒子の表面にも共有結合性の架橋構造を有する表面架橋構造を有する構成である。しかも、この吸水性樹脂粒子の内部には、吸水性樹脂粒子の内部に局在化して存在する(海島構造)。このような吸水性樹脂粒子は、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れるという、吸水特性を吸水剤に与える。
本発明の吸水剤の製造方法では、さらに、
(d)上記(c)工程により得られた吸水性樹脂粒子の表面に、第2の水溶性多価金属塩を添加する工程を有することが好ましい。
上記(d)工程により、上記(c)工程により表面架橋された吸水性樹脂粒子の一部の表面架橋部位が、第2の水溶性多価金属塩により被覆される。つまり、上記表面架橋された吸水性樹脂粒子表面の少なくとも一部に、さらに、第2の水溶性多価金属塩によるイオン結合性の架橋構造が形成される。つまり、吸水性樹脂粒子の表面架橋構造は、共有結合性の架橋構造に加えて、イオン結合性の架橋構造も有するようになる。これにより、上記の吸収特性をさらに高めることができる。
なお、上記(d)工程は、(c)工程により得られた、表面架橋された吸水性樹脂粒子に、第2の水溶性多価金属塩を添加することによって、その粒子表面近傍に、第2の水溶性多価金属塩による架橋構造が形成されれば、どのような手法で行ってもよい。
ここで、第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩としては、好ましくは3価および/または4価の原子価を有する水溶性多価金属の塩であり、粉末状である。本発明において製造される吸水剤がおむつなどの衛生材料用の吸収体に利用されることを考えれば、吸水剤を着色せず、人体に対する毒性の低いものを選ぶのが好ましい。第1の水溶性多価金属塩と第2の水溶性多価金属塩とは、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
吸液時に水溶性多価金属塩の効果をより効率的に長時間持続させるために、常温の純水に5質量%以上の濃度で溶解し得る水溶性多価金属塩を選択することが好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上溶解し得るものを選択して使用する。
本発明で使用することができる水溶性多価金属塩は、粒子状であってもよく、その粒子径は、混合性の観点より、吸水性樹脂粒子の粒子径より小さいことが好ましい。質量平均粒子径は500μm以下のものが好ましく、より好ましくは400μm以下である。性能の観点からは、さらに好ましくは150μm以下の粒子を、該水溶性多価金属塩の全体に対して、20質量%以上含む粒子であり、最も好ましくは30質量%以上含む粒子である。
本発明において水溶性多価金属塩は、水溶液として吸水性樹脂粒子と混合することが好ましい。この場合、多価金属イオン(例えば、アルミニウムイオン)が吸水性樹脂粒子の内部に浸透・拡散することを防ぐために、水溶液は、飽和濃度に対して50質量%以上の濃度が好ましく、より好ましくは60質量%以上の濃度、さらに好ましくは70質量%以上の濃度、さらに好ましくは80質量%以上の濃度、特に好ましくは90質量%以上の濃度である。もちろん、飽和濃度で用いてもよい。
本発明によって得られる吸水剤は、吸水剤の主成分である吸水性樹脂粒子100質量部に対して、第1の水溶性多価金属塩と第2の水溶性多価金属塩とを、それらの合計量として0.002〜5質量部含むことが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。ただし、第1の水溶性多価金属塩は、0.001質量部〜1質量部の範囲内であり、第2の水溶性多価金属塩は、0.001質量部〜4質量部の範囲内である。また、前述のように、第1の水溶性多価金属塩の含有量は、第2の水溶性多価金属塩の含有量よりも少ない。
また、第1の水溶性多価金属塩のみを含み第2の水溶性多価金属を含まない場合は、第1の水溶性多価金属塩が、0.1〜2質量部の範囲内とする。
これら水溶性多価金属塩が、許容最小値よりも少ないと目的とする通液性や耐ブロッキング性の向上が得られない点で好ましくない。また、水溶性多価金属塩が許容最大値よりも多い場合はCRCやAAPなどの吸収特性が劣るおそれがある。
ここで、上記(b)工程で用いる第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子は、目開き300μm、好ましくは200μmのふるいを透過できる大きさであることが好ましい。つまり、(b)工程を行う前に、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を分級する工程(分級工程)を有することが好ましい。これにより、吸水性樹脂内部に、全体として均一に水溶性多価金属塩を分散すると同時に、海島構造を形成することによって、部分的には不均一に水溶性多価金属塩を存在させることができる。
分級工程を行えば、所定のサイズに達しない微細粒子からなる微粉を取り除き回収することができる。分級工程は、吸水剤の製造における各工程(例えば、解砕、分級等の整粒工程)において、例えば150μm以下の微粉を、吸水剤から取り除くことを含むものである。分級を行うための装置は、通常の分級装置であれば特に限定されず、例えば、振動ふるいや気流分級機やバグフィルターなどを使用することができる。
微粉を取り除いて得られる吸水性樹脂粒子(造粒物および/または非造粒物)の粒子径は、好ましくは100〜850μmの範囲、より好ましくは150〜850μmの範囲、さらに好ましくは200〜700μmの範囲、最も好ましくは200〜600μmの範囲であり、質量平均粒子径は、好ましくは200〜600μmの範囲、より好ましくは200〜500μmの範囲である。また、その質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)が、0.2〜0.45であることが好ましい。
このような分級工程によって、微細粒子からなる微粉が回収される。なお、微細粒子とは、分級点や分級効率により変わるが、粒子径100〜300μm以下の粒子を90重量%以上含むものを示す。
また、上記(b)工程における、第1の水溶性多価金属塩を吸水性樹脂粒子内部に添加する方法は、吸水性樹脂の造粒中に行う方法と、吸水性樹脂の重合前および/または重合中に行う方法とがある。
図3は、吸水性樹脂の造粒中に行う方法の模式図である。図3に示すように、この方法は、例えば、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子(微粉)と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子(微粉)とを混合して造粒する。そして、その後の乾燥および粉砕によって、海島構造を有する吸水性樹脂粒子が形成される。次に、この海島構造を有する吸水性樹脂粒子の表面近傍に、有機架橋剤によって表面架橋処理を施す。最後に、表面架橋した吸水性樹脂粒子に、第2の水溶性多価金属塩を添加する。これにより、表面架橋された吸水性樹脂粒子の表面の一部が、第2の水溶性多価金属塩によってコートされた吸水性樹脂粒子が形成される。
ここで、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子と含まない吸水性樹脂微粒子との合計を100質量%とすると、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子は、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましく、15質量%〜30質量%であることが特に好ましい。つまり、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子:第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子は、50:50〜95:5であることが好ましい。このような範囲とすることにより、得られた造粒粒子は、その内部に、第1の水溶性多価金属塩がより局在化した構造となる。
第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂の微粒子と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂の微粒子との混合は、特に制限無く、ホッパーやタンクに両者を導入することにより混合することができる。混合する際、攪拌することもできる。また、それらの造粒は、造粒装置に両者を導入することもできる。さらに、このような造粒による方法以外にも、吸水性樹脂微粒子の造粒を、第1の水溶性多価金属塩存在下に行ってもよい。
一方、図4は、(a)工程の重合前および/または重合中に、上記(b)工程を行う方法を示す図である。この方法では、(a)工程における、水溶性不飽和単量体の重合前および/または重合中に、第1の水溶性多価金属塩を添加する。すなわち、共有結合性架橋剤の存在下に行うモノマー(水溶性不飽和単量体)の重合前および/または重合中に、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を添加する。これによって、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子と、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子とを混合することになる。そして、その後の乾燥および粉砕によって、海島構造を有する吸水性樹脂粒子が形成される。海島構造を有する吸水性樹脂粒子の形成後の処理は、図3と同様である。このような処理によっても、第1の水溶性多価金属塩が粒子内部に局在化した構造(海島構造)を有する吸水性樹脂粒子を形成することができる。なお、図4の方法では、実際には、第1の水溶性金属塩が非局在化した(均一に存在する)構造も含まれる場合がある。
また、図5は、第1の水溶性多価金属を含まない含水ゲル状吸水性樹脂を用いて、上記(b)工程を行う方法を示す図である。この方法では、上記(b)工程を、含水率が20質量%以上(好ましくは30質量%以上100質量%以下)の含水ゲル状吸水性樹脂と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子との混合(混錬)により行う。そして、その後の乾燥および粉砕によって、海島構造を有する吸水性樹脂粒子が形成される。これにより、吸水性樹脂内部に、全体として均一に第1の水溶性多価金属塩を分散すると同時に、海島構造を形成することによって、部分的には不均一に第1の水溶性多価金属塩を存在させることができる。海島構造を有する吸水性樹脂粒子の形成後の処理は、図3および図4と同様である。
図7(a)は、図3〜図6の処理によって得られる海島構造を有する吸水性樹脂粒子の断面の概略図であり、図7(b)は、図7(a)の吸水性樹脂粒子の表面の一部が、第2の水溶性多価金属塩にコートされた吸水性樹脂樹脂粒子の断面の概略図である。
図3〜図6の処理によって得られる吸水性樹脂粒子は、その粒子内部に第1の水溶性多価金属塩が内部に点在した海島構造を有しており(図7(a),図7(b))、さらに、その粒子表面の一部が第2の水溶性多価金属塩でコートされている(図7(b))。
このように、本発明では、吸収性樹脂粒子を造粒することが好ましい。
すなわち、本発明の吸水剤は、吸水性樹脂粒子の造粒物を含んでいる、または、吸水性樹脂粒子の造粒物からなることが好ましい。この造粒物は、表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂(表面処理されていない吸水性樹脂粒子)の微粉と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂(表面処理された吸水性樹脂粒子)の微粉とを造粒してなるものである。また、この造粒物は、表面処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉とを予め混合しておいて造粒する方法によって製造できる。
表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉(「表面架橋前の微粉」と言うこともある)と、表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉(「表面架橋後の微粉」と言うこともある)との配合割合は、99:1〜1:99の範囲であり、好ましくは99:1〜50:50の範囲、より好ましくは99:1〜60:40の範囲である。
表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉は、それぞれ、水溶性不飽和単量体を重合し、得られる架橋重合体を表面架橋処理して製品としての吸水性樹脂を得る製造全工程中の別々の工程から得られるものであってもよいし、共通の工程から得られるものであってもよい。これらの微粉は、前述した粉砕・解砕・分級工程から得られる微粉のみでなく、加熱処理装置や製品ホッパー等の各機器に備わったバグフィルターなどから得ることもできる。
本発明において、造粒物である吸水性樹脂を得る方法としては、表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉をそれぞれ造粒したのち混合する方法や、表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉との混合物を造粒する方法などがある。造粒物の機械的強度やプロセスの簡便さの観点からすれば、後者、すなわち、表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉とを混合したのち造粒する方法が好ましい。
表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉との混合は、特に制限無く、ホッパーやタンクに両者を導入することにより混合することができる。混合する際、攪拌することもできる。また、造粒する装置に両者を導入することもできる。機械的強度の高い造粒物を得るために、表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉は、造粒がなされる前に混合されいることが好ましい。
本発明において、吸水性樹脂の微粉を造粒する方法としては、前述の微粉造粒物の作成方法を適用することができる。微粉の造粒は、水の存在下で行うことが好ましい。より好ましくは、表面架橋前の微粉と表面架橋後の微粉の混合物に水性液体を添加して造粒を行うことである。水性液は、水に限定されず、水溶性あるいは水分散性の各種バインダーや多価金属の塩、先述した表面架橋処理に用いられる各種表面架橋剤を含んでいても良い。
表面架橋前の吸水性樹脂粒子の微粉と表面架橋後の吸水性樹脂粒子の微粉との混合物に水性液体を混合すると、表面架橋前の吸水性樹脂粒子の微粉のみに水性液体を混合するよりも、水性液体が微粉全体に均一に混合され、水性液体が混合されていない継粉部分(ママコ)が生成しにくくなる。一方、表面架橋後の吸水性樹脂粒子の微粉のみを水性液体で造粒すると機械的強度に劣った造粒物が得られ易いが、混合物を用いることにより機械的強度の優れた造粒物が得られる。
本発明における好ましい実施形態の1つは、アルミニウム等の多価金属塩(水溶性多価金属塩)の存在下で吸水性樹脂粒子の微粉を造粒することである。アルミニウム等の多価金属塩の存在下で微粉を造粒することにより、機械的強度が更に向上した造粒物である吸水性樹脂粒子を得ることができる。また、造粒物の収率を向上させることができるようになる。アルミニウム等の多価金属塩は、造粒する際に添加しても良いが、造粒前の微粉が多価金属塩をすでに含んでいるようであってもよい。例えば、多価金属塩の存在下に表面架橋を行ったり、表面架橋後に多価金属塩を粉体または水溶液の形で添加することで、造粒前の微粉に多価金属塩を含ませることができる。
吸水性樹脂粒子の造粒物は、そのまま、吸水剤に含めて製品としてもよいし、吸水剤の製造工程にリサイクルしてもよい。
吸水性樹脂粒子の造粒物を、そのまま、製品とする場合は、例えば、造粒後に乾燥し粉砕し、さらに分級することが好ましい。乾燥・粉砕・分級の方法は、前述した乾燥・粉砕・分級の方法をそのまま採用することができる。
製品としての、吸水性樹脂粒子の造粒物の吸水性能については、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)が、10〜40(g/g)の範囲、好ましくは15〜35(g/g)の範囲である。2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)が、10(g/g)よりも小さいと、オムツ等の衛生材料に用いたとき戻り量が多くなったり、尿が漏れ易くなる恐れがある。
このような吸水性樹脂粒子の造粒物には、以下のような用途がある。すなわち、第1の用途は、吸水性樹脂粒子または吸水剤の製造工程での原料の1つとしてリサイクルすることであり、第2の用途は、そのまま、吸水剤に用いる製品とすることである。
<第1の用途>
第1の用途は、上記リサイクルに関わるものである。すなわち、表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂(表面処理されていない吸水性樹脂粒子)の微粉と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂(表面処理された吸水性樹脂粒子)の微粉とを造粒してなる吸水性樹脂粒子の造粒物を、吸水性樹脂粒子または吸水剤を製造する過程のいずれかの段階の系中に添加する工程を含むことである。
造粒物を添加する工程としては、吸水性樹脂粒子または吸水剤の製造工程中の1つ以上であれば制限はなく、例えば、単量体水溶液調製工程、重合工程、乾燥工程、粉砕・解砕・分級工程、表面処理工程、貯蔵工程等が挙げられる。各工程の輸送工程で添加することもできる。最終製品としての吸水性樹脂非造粒物に対し、吸水性樹脂造粒物を添加することもできる。
具体的には、重合前の単量体水溶液に添加したり、重合途中あるいは重合後のゲルに添加したり、粉砕工程で添加したり、表面架橋剤の混合工程に添加したりすることができる。リサイクルする場合の吸水性樹脂造粒物は、必ずしも、乾燥、粉砕されている必要はなく、水性液体を混合した造粒物のままで添加することもできる。
リサイクル方法としては、吸水性樹脂の微粉を、そのままの形で、単量体水溶液や重合途中もしくは重合後のゲルに添加して、リサイクルする方法が知られている。しかし、この方法は、微粉を単量体に混合しようとすると、微粉がママコを生成しやすいため、均一に混合することが容易でなかった。しかも、重合ゲルに添加する場合には、発生する水蒸気が配管や装置内面に付着してしまうという問題もあった。これに対し、吸水性樹脂の微粉を造粒物の形で単量体水溶液や重合ゲルに添加する場合は、そうしたママコの発生や、配管や装置内面への付着を防ぐことができて、吸水性樹脂の微粉のリサイクルを工業的に有利に行うことができる。
<第2の用途>
第2の用途は、最終製品として用いることである。吸水性樹脂粒子の造粒物は、粒子径を所定の範囲に整えたものであれば、そのままで、使用することができる。ただし、好ましくは、以下に述べるように、吸水性樹脂粒子の非造粒物と混合して使用することである。なお、吸水性樹脂粒子の造粒物は、単独で使用する場合であっても、必要に応じ、その粒子表面近傍をさらに架橋処理しておくのが良い。
つまり、本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子を含む吸水性樹脂組成物であってもよい。最終製品としての用途は、この吸水性樹脂組成物に関わるものである。吸水性樹脂組成物が、吸水性樹脂粒子の造粒物と吸水性樹脂粒子の非造粒物とを含む場合、吸水性樹脂粒子の造粒物は、分級により粒径が整えられていることが好ましい。例えば、吸水性樹脂粒子の造粒物は、100〜850μmの範囲の粒子を含むよう、好ましくは150〜850μmの範囲の粒子を98重量%以上(好ましくは99重量%以上)含むように分級されていることが好ましい。さらに好ましくは、その質量平均粒子径が、200〜500μmであり、その質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)が、0.2〜0.45となるように、分級されていることが好ましい。
吸水性樹脂組成物中の吸水性樹脂造粒物の割合は、1〜100重量%、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。
本発明では、吸水性樹脂粒子の表面近傍がさらに架橋処理されていることが好ましい。例えば、表面架橋された吸水性樹脂粒子の一部を、第2の水溶性多価金属塩により被覆(表面架橋)する。表面架橋する方法としては、有機架橋剤による表面架橋前、表面架橋中、および表面架橋後の少なくともいずれかの段階で、第2の水溶性多価金属塩を含む水溶液を添加することが好ましい。これ以外にも、第2の水溶性多価金属塩をドライブレンドする方法、第2の水溶性多価金属塩をドライブレンドするとともに適当なバインダーを添加方法、または、第2の水溶性多価金属塩を熱融着する方法によっても実施できる。
なお、本発明においては、親水性有機溶媒を、水溶性多価金属塩とともに、吸水性樹脂粒子と混合することが好ましい。
親水性有機溶媒としては、前述の表面架橋処理で併用してもよい親水性有機溶媒が挙げられる。特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類が好ましく、中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンが好ましい。これらは1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明によって得られる吸水剤は、親水性有機溶媒を吸水剤の主成分である吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0を超え、1質量部以下の範囲で含まれていることが好ましく、より好ましくは0を超え、0.1質量部以下の範囲、特に好ましくは0を超え、0.02質量部以下の範囲である。親水性有機溶媒を用いることにより、水溶性多価金属塩をさらに均一に吸水性樹脂粒子に混合することが可能となる。
本発明において表面架橋処理された吸水性樹脂粒子に、第2の水溶性多価金属塩を添加し、その後混合する装置としては、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機、レディゲミキサーなどを挙げることができる。混合方法としては、バッチ式、連続式、その併用のいずれも採用できる。工業的生産の観点から連続混合がより好ましい。混合の際の回転数は特に制限はないが、吸水性樹脂がダメージを受けない程度の回転数が好ましい。具体的には1〜3000rpmの範囲が好ましく、より好ましくは2〜500rpm、さらに好ましくは5〜300rpmである。3000rpmを超えると吸水性樹脂の粉化が生じ、吸水特性が低下する点で好ましくない。また1rpmを下回ると混合性が10分でなく、目的とする通液性や耐ブロッキング性の向上効果が得られない。
また、前記溶液を混合する前の表面架橋された吸水性樹脂粒子の粉温としては特に制限はないが、室温〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜80℃である。100℃を超えると混合性が低下し、目的とする吸収特性や耐ブロッキング性の向上効果が得られない。
本発明において表面架橋処理された吸水性樹脂粒子と、水溶性多価金属とを混合する際の混合時間としては、特に制限はないが、好ましくは1秒〜20分、より好ましくは10秒〜10分、さらに好ましくは20秒〜5分である。混合時間が20分を越えてもそれに見合うだけの効果が得られず、逆に吸水性樹脂の粉化を引き起こすおそれがある。
よって、本発明の吸水剤を得るための混合条件としては、表面架橋された吸水性樹脂粒子の粉温が50〜80℃、回転数は5〜300rpm、混合時間は20秒〜5分であることが最も好ましい。本条件下で得られた混合後の吸水剤は取り扱い性に優れ、付着や凝集などの問題を引き起こさない。よって、その後の吸水剤の取り扱い性を向上させるための乾燥工程を必要としない。
本発明にかかる吸水剤においては、本発明の効果を10分に発揮させるために、吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が、3価および/または4価の水溶性多価金属塩によって被覆されていることが好ましい。さらに、その被覆は、吸水性樹脂粒子の表面全体の被覆ではないことがより好ましい。吸水性樹脂粒子の表面全体が被覆されると、有機架橋剤による表面架橋全体が被覆されてしまうため、吸収速度(例えば、遠心分離機保持容量(CRC)や4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)など)が大きく低下するおそれがある。
なお、本発明にかかる吸水剤の製造方法では、(a)〜(c)の工程に代えて、(a’)〜(c’)工程を行うこともできる。
(a’)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c’)吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
これにより、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子内部に、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造が形成された吸水性樹脂粒子を含む吸水剤を製造できる。
〔吸水剤〕
本発明によって得られる吸水剤は、内部架橋と表面架橋とを有する吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩によるイオン結合性の架橋構造が局在化して形成されているため、従来の吸水性樹脂よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた吸水剤となる。
本発明によって得られる吸水剤の含水率は10質量%未満が好ましく、特に好ましくは5質量%未満である。
本発明によって得られる吸水剤は、遠心分離機保持容量(CRC)が、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは10(g/g)以上であり、さらに好ましくは15(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは100(g/g)以下であり、より好ましくは70(g/g)以下であり、さらに好ましくは50(g/g)以下である。遠心分離機保持容量(CRC)が5(g/g)未満の場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、遠心分離機保持容量(CRC)が100(g/g)よりも大きい場合、通液性に優れる吸水剤を得ることができなくなる虞がある。
本発明によって得られる吸水剤は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは10(g/g)以上であり、さらに好ましくは15(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは50(g/g)以下である。4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が5(g/g)未満の場合、通液性に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。その結果、例えば、オムツに用いた場合、戻り量、いわゆるRe−wetが多くなり、赤ちゃんの肌あれを引き起こすことがある。
本発明によって得られる吸水剤は、食塩水流れ誘導性(SFC)が、好ましくは10(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは40(×10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは100(×10−7・cm・s・g−1)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは2000(×10−7・cm・s・g−1)以下である。食塩水流れ誘導性(SFC)が30(×10−7・cm・s・g−1)未満の場合、水溶性多価金属塩を添加しても、通液性が向上しないことがある。その結果、例えば、オムツのコア中での吸水性樹脂粒子の濃度が30質量%以上、より具体的には50質量%以上の場合において、尿の吸収速度が遅くなり、漏れを引き起こす恐れがある。
本発明の吸水剤は、ホイバッハ・ダストメータによる10分値粉塵量が、200ppm以下であることが好ましい。言い換えれば、本発明の吸水剤は、この集塵量が、200ppm以下となる作業環境で、製造されることが好ましい。なお、粉塵量は、ホイバッハ・ダストメータ(Heubach DUSTMETER)、測定モードTypeIでの測定値を示す。
このような吸水剤は、低粉塵性に優れるため、安全衛生上問題となる粉塵を低減することができ、吸水剤を使用した製品、例えば紙おむつの製造の際に、作業者が暴露する粉塵量を低減することができ、作業環境を向上させることができる。
すなわち、吸水剤の製造時に、200ppm以下の粉塵が含まれる場合、作業環境への粉塵の揮散は目視では確認できないレベルとなる。さらに、集塵機のフィルターが詰まりやすい等の問題が起こりにくくなり、作業性も向上する。また、安全衛生上問題となる作業雰囲気の空気中の粉塵量も低減させることができる。
吸水剤の製造時に、500ppmを超える粉塵が含まれる場合、吸水性樹脂粒子を充填したフレコンバックから他の貯蔵層(例えばホッパー)に充填する際に、作業環境への粉塵の揮散を目視で確認レベルとなる。
また、吸水剤の製造時に、500〜300ppmの範囲の粉塵が含まれる場合、作業環境への粉塵の揮散を、かろうじて目視で確認することできる。しかし、この場合、集塵機のフィルターが詰まりやすい等の問題が発生することがある。
〔吸水体〕
本発明によって得られる吸水剤は、適当な素材と組み合わせることにより、例えば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、吸水体について説明する。
吸水体とは、血液や体液、尿などを吸収する、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる、吸水剤とその他の素材からなる成形された組成物のことであり、用いられる素材の例としては、例えば、セルロース繊維が挙げられる。セルロース繊維の具体例としては、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。好ましいセルロース繊維は木材パルプ繊維である。これらセルロース繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していてもよい。本発明によって得られる吸水剤を吸水体の一部として使用する際には、吸水体中に含まれる本発明によって得られる吸水剤の質量が、好ましくは20質量%以上の範囲である。吸水体中に含まれる本発明によって得られる吸水剤の質量が、20質量%未満になると、十分な効果が得られなくなるおそれがある。
本発明によって得られる吸水剤とセルロース繊維から吸水体を得るには、例えば、セルロース繊維からなる紙やマットに吸水剤を散布し、必要によりこれらで挟持する方法、セルロース繊維と吸水剤を均一にブレンドする方法、など吸水体を得るための公知の手段を適宜選択できる。好ましくは、吸水剤とセルロース繊維を乾式混合した後、圧縮する方法である。この方法により、セルロース繊維からの吸水剤の脱落を著しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、例えば50〜200℃である。また、吸水体を得るために、米国特許第5849405号明細書、米国特許出願公開2003/060112号公報に記載されている方法も好ましく用いられる。
本発明によって得られる吸水剤は、吸水体に使用された場合、諸物性に優れるため、液の取り込みが早く、また、吸水体表層の液の残存量が少ない、非常に優れた吸水体が得られる。
本発明によって得られる吸水剤は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジまたはオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。また、本発明によって得られる吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキンなどの、糞、尿または血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
吸水体は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる場合、(a)着用者の体に隣接して配置される液体透過性のトップシート、(b)着用者の身体から遠くに、着用者の衣類に隣接して配置される、液体に対して不透過性のバックシート、および(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸水体、を含んでなる構成で使用されることが好ましい。吸水体は二層以上であっても良いし、パルプ層などとともに用いても良い。
このように、本発明によれば、従来の吸水性樹脂よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた吸水剤を提供できる。したがって、高い通液性と均一な物性が発現でき、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。特に、本発明の吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキンなどの、糞、尿または血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
また、本発明にかかる吸水剤(吸水性樹脂組成物)は、衛生材料中でゲルブロックを形成し、通液性を低下させる要因となる微粉の含有量が少なく、吸水性樹脂を取り扱う時に粉塵となって散逸する粉塵の量も少ない。したがって、吸水性樹脂の歩留まりが向上するとともに、労働安全衛生上も有益である。
さらに、本発明にかかる吸水剤の製造方法において、造粒工程を行うことによって、吸水性樹脂粒子の造粒物を含む吸水剤を効率良く製造できる。得られた吸水剤は、機械的強度にも優れている。
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂の造粒物を原料の1つとしてリサイクルしているため、リサイクル品の添加時にママコを生じることなく、添加することができる。しかも、このリサイクル使用により、吸水性樹脂の生産性を大いに向上させることができるのである。また、本発明にかかる吸水剤の製造方法は、製造時に粉塵となって散逸する粉塵の量も少ないので、吸水剤の生産性が向上するとともに、労働安全衛生上も有益である。
以上のように、本発明の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A)および(B)の工程を含む。
(A)表面処理されていない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(B)表面処理された吸水性樹脂微粒子を、表面処理されていない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
また、本発明の吸水剤の製造方法では、表面処理されていない吸水性樹脂粒子と、表面処理された吸水性樹脂微粒子との質量比が、99:1〜50:50であることが好ましい。
本発明の吸水剤の別の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A’)および(B’)の工程を含む吸水剤の製造方法。
(A’)表面処理された吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(B’)表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を、表面処理された吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、表面処理された吸水性樹脂粒子と、表面処理されていない吸水性樹脂微粒子との質量比が、99:1〜50:50であることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、さらに、以下の(C)工程を含むことが好ましい。
(C)表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、表面処理されていない吸水性樹脂粒子の加熱、または、表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、さらに、以下の(C’)工程を含むことが好ましい。
(C’)表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、表面処理された吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(A)工程および(B)工程が、それぞれ、以下の(a)工程および(b)工程であることが好ましい。
(a)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(A’)工程および(B’)工程が、それぞれ、以下の(a’)工程および(b’)工程であることが好ましい。
(a’)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(C)工程が、以下の(c)工程であることが好ましい。
(c)第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(C’)工程が、以下の(c’)工程であることが好ましい。
(c’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、第1の水溶性多価金属を含む吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の吸水剤の製造方法では、さらに、(d)上記(c)工程により得られた吸水性樹脂粒子の表面に、第2の水溶性多価金属塩を添加する工程を含むことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、さらに、(d)上記(c’)工程により得られた吸水性樹脂粒子の表面に、第2の水溶性多価金属塩を添加する工程を含むことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(b)工程では、吸水性樹脂粒子内部に含有させる第1の水溶性多価金属塩の含有量を、上記吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜1質量%とし、
上記(d)工程では、上記第2の水溶性多価金属塩の添加量を、上記吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜4質量%とし、
さらに、上記第1の水溶性多価金属塩の含有量を、第2の水溶性多価金属塩の添加量よりも、少なくすることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩が、アルミニウムを含むものであることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子は、目開き300μmのふるいを透過できる大きさであることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(b)工程を、(a)工程の吸水性樹脂粒子と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子との造粒により行うことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記造粒を、水存在下で行うことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(b)工程を、(a)工程の重合前および/または重合中に行うことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(b)工程を、含水率が20質量%以上の含水ゲル状吸水性樹脂と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子との混合により行うことが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(c)工程で用いる表面架橋剤が、多価アルコールを含むものであることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法では、上記(c’)工程で用いる表面架橋剤が、多価アルコールを含むものであることが好ましい。
本発明の吸水剤は、前記いずれかの本発明の吸水剤の製造方法によって得られたものである。
本発明の吸水剤は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、上記内部架橋構造は、共有結合を含むものであり、上記吸水性樹脂粒子の内部は、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造となっている。
本発明の吸水剤は、上記吸水性樹脂粒子の表面近傍は、表面架橋剤によって架橋されていることが好ましい。
本発明の吸水剤は、上記吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が、第2の水溶性多価金属塩により被覆されていることが好ましい。
本発明の吸水剤は、上記第1の水溶性多価金属塩を含有する部分は、その長径が10μm以上の部分を含むことが好ましい。
本発明の吸水剤は、第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩が、アルミニウムを含むものであることが好ましい。
本発明の吸水剤は、上記吸水剤の質量平均粒子径が、200〜500μmであり、その質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)が、0.20〜0.45であることが好ましい。
本発明の吸水剤は、上記海島構造を有する吸水性樹脂粒子の含有量が、10質量%〜100質量%であり、海島構造を有さない吸水性樹脂粒子の含有量が、0質量%〜90質量%であり、これらの吸水性樹脂粒子を合計した含有量が、80質量%以上であることが好ましい。
本発明の吸水剤は、食塩水流れ誘導性(SFC)が、10(×10−7・cm・s・g−1)であることが好ましい。
本発明の吸水剤は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、5(g/g)以上であることが好ましい。
本発明の吸水剤は、ホイバッハ・ダストメータによる10分値粉塵量が、200ppm以下であることが好ましい。
本発明の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴としている。
(a)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c)第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の別の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(a’)〜(c’)の工程を含むことを特徴としている。
(a’)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c’)吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
また、本発明の吸水剤は、上記の目的を達成するために、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、上記内部架橋構造は、共有結合を含むものであり、上記吸水性樹脂粒子の表面近傍は、表面架橋剤によって架橋されており、上記吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造となっていることを特徴としている。
このような、本発明の吸水剤およびその製造方法によれば、吸水性樹脂粒子の内部に、第1の水溶性多価金属塩を局在化できるため、従来の吸水性樹脂よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた吸水剤を提供できるという効果を奏する。
なお、特許文献1には、多価金属塩による表面処理については開示されていない。また、特許文献1の実施例には、内部架橋として、共有結合による架橋結合と多価金属による架橋結合とを併用した吸水性樹脂を、表面架橋剤を用いずに加熱のみすることが開示されているにすぎない。また、特許文献1では、多価金属が、吸水性樹脂内部に均一に存在してしまっているため、吸水量が低下する場合がある。
また、特許文献2〜4には、内部架橋剤として共有結合性の架橋結合と多価金属による架橋結合とを併用することは開示されていない。
また、特許文献5には、表面架橋時に多価金属を、有機架橋剤と併用してもよいことが記載されているものの、実際には、それらを併用して吸水性樹脂は製造されていない。
なお、本発明の吸水剤の製造方法は、以下のように表現することもできる。
〔1〕本発明の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(a)〜(c)の工程を含むことを特徴としている。
(a)第1の無機化合物を含まない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b)第1の無機化合物を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の無機化合物を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c)第1の無機化合物を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、第1の無機化合物を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
〔2〕本発明の別の吸水剤の製造方法は、水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(a’)〜(c’)の工程を含むことを特徴としている。
(a’)第1の無機化合物を含む吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
(b’)第1の無機化合物を含まない吸水性樹脂微粒子を、第1の無機化合物を含む吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程;
(c’)吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
本発明の吸水剤は、吸水性樹脂造粒物を含んでいてもよく、その吸水性樹脂造粒物は、表面架橋処理を未だ受けていない(表面処理されていない)吸水性樹脂の微粉と表面架橋処理をすでに受けている(表面処理された)吸水性樹脂の微粉とを造粒してなるものであってもよい。
本発明の吸水剤(または吸水性樹脂造粒物)は、造粒後の粒子表面近傍がさらに架橋されたものであってもよい。
本発明の吸水剤(または吸水性樹脂造粒物)は、造粒物が多価金属塩を含むものであってもよい。
本発明の吸水剤(または吸水性樹脂造粒物)は、分級により粒径が整えられているものであってもよい
本発明の吸水剤は、このような吸水性樹脂造粒物と、吸水性樹脂非造粒物とを含んでなる吸水性樹脂組成物であってもよく、それに加えて、分級により粒径が整えられているものであってもよい。吸水性樹脂組成物であってもよい。
このように、上記吸水性樹脂造粒物を含む吸水剤は、表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉(吸水性樹脂微粒子)と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉(吸水性樹脂微粒子)とを造粒してなるものである。この吸水性樹脂造粒物は、造粒後の粒子表面近傍がさらに架橋されていることが好ましく、また、造粒物が多価金属塩を含むものであることが好ましい。吸水性樹脂造粒物を製品として取り扱う場合は、吸水性樹脂造粒物を分級により粒径を整えることが好ましい。しかし、吸水性樹脂造粒物を、リサイクル原料として取り扱われる場合は、通常、分級する必要はない。
上記吸水性樹脂造粒物の製造方法は、表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉とを予め混合しておいて造粒する工程を含む方法であってもよい。
上記吸水性樹脂造粒物の製造方法は、造粒を水の存在下で行ってもよい。
上記吸水性樹脂造粒物の製造方法は、表面架橋処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉と表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉とを造粒してなる吸水性樹脂造粒物を、吸水性樹脂を製造する過程のいずれかの段階の系中に添加する工程を含む方法であってもよい。
上記吸水性樹脂造粒物の製造方法は、吸水性樹脂造粒物を添加する系が、吸水性樹脂となる重合体を得るためのモノマー水溶液であってもよい。
上記吸水性樹脂造粒物の製造方法は、吸水性樹脂造粒物を添加する系が、吸水性樹脂となる重合体を得るための重合途中または重合後のゲルであってもよい。
上記の各方法によれば、吸水性樹脂の造粒に供する微粉として、表面処理を未だ受けていない吸水性樹脂の微粉と、表面架橋処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉とを併せて用いるようにしている。このため、機械強度に優れる吸水性樹脂造粒物にすることが出来て、製品として使用することも、リサイクル原料として使用することもできる。しかも、造粒効率も高くなる。また、分級により、最終製品から、表面処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉を取り除くことも出来る。このため、分級した吸水性樹脂粒子(吸水性樹脂造粒物)を用いれば、微粉含有量の少ない、低粉塵性の吸水剤を製造することができる。
さらには、驚くべきことに最終製品の吸水性樹脂粒子から、表面処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉を取り除くことによって、吸水剤の性能のうち、とりわけ食塩水流れ誘導性(SFC)が向上した吸水剤を得ることが出来る。また、最終製品から表面処理をすでに受けている吸水性樹脂の微粉を取り除くことで、並行して粉塵も除去される。このため、労働安全衛生上問題となる粉塵を低減することができる。これにより、吸水性樹脂粒子(または吸水性樹脂造粒物)を使用した製品(吸収体)、例えば紙おむつの製造の際に、作業者が暴露する粉塵量を低減することができ、作業環境を向上させることもできる。
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と記し、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。本発明において、「質量」と「重量」とは、同様の意味である。
吸水性樹脂粒子または吸水剤(試料)の諸性能は、以下の方法で測定した。特に記載が無い限り下記の測定は室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。
なお、衛生材料などの最終製品として使用された吸水剤の場合は、吸水剤は吸湿しているので、適宜、吸水剤を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定すればよい。また、本発明の実施例および比較例において使用された吸水剤の含水率はすべて6質量%以下であった。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
吸水性樹脂粒子または吸水剤0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂粒子または吸水剤を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)
=(W1(g)−W0(g))/(吸水性樹脂粒子または吸水剤の質量(g))−1
<4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)>
4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。
図1に示す装置を用い、内径60mmのプラスチックの支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網101(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、該網上に吸水性樹脂粒子または吸水剤0.900gを均一に散布し、その上に、吸水性樹脂粒子または吸水剤に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置し、この測定装置一式の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水108(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙107(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
圧力に対する吸収力(AAP)
=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水性樹脂粒子または吸水剤の質量(0.900g))
<2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)>
試料(吸水性樹脂粒子または吸水剤)に対して2.07kPa(0.3psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整した他は4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)の測定と同様の操作を行い、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)を求めた。
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水性樹脂粒子または吸水剤の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。
米国特許第5849405号明細書(特開昭記載の食塩水流れ誘導性(SFC)試験に準じて行った。
図2に示す装置を用い、容器40に均一に入れた吸水性樹脂粒子または吸水剤(0.900g)を人工尿(1)中で0.3psi(2.07kPa)の加圧下、60分間膨潤させ、ゲル44のゲル層の高さを記録し、次に0.3psi(2.07kPa)の加圧下、0.69質量%食塩水33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20〜25℃)で行った。コンピューターと天秤とを用い、時間の関数として20秒間隔でゲル層を通過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を通過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速とが得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータとだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速とを使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(t=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L0)/139506
ここで、
Fs(t=0):g/sで表した流速
L0:cmで表したゲル層の高さ
ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm
A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm
ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm
およびSFC値の単位は(10−7・cm・s・g−1)である。
図2に示す装置としては、タンク31には、ガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%食塩水33をセル41中の膨潤ゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置した。タンク31中の0.69質量%食塩水33は、コック付きL字管34を通じてセル41へ供給された。セル41の下には、通過した液を補集する容器48が配置されており、補集容器48は上皿天秤49の上に設置されていた。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が通過するのに十分な穴47があり、底部には吸水性樹脂粒子または吸水剤あるいはその膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セルを乗せるための台の上に置かれ、セルと接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網43の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、および、純水994.25gを加えたものを用いた。
<質量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)>
吸水性樹脂粒子または吸水剤を目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmなどのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50質量%に相当する粒子径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。また、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は下記の式で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
σζ=0.5×ln(X2/X1)
(X1はR=84.1%、X2はR=15.9%の時のそれぞれの粒子径)
質量平均粒子径(D50)および粒度分布の対数標準偏差(σζ)を測定する際の分級方法は、吸水性樹脂粒子または吸水剤10.0gを、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、目開き850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、45μmのJIS標準ふるい(THE IIDA TESTING SIEVE:径8cm)に仕込み、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型(回転数:60Hz 230rpm、衝撃数:60Hz 130rpm)、SER.No.0501)により、5分間、分級した。
<水可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gをはかり取り、その水溶液中に吸水性樹脂粒子または吸水剤1.00gを加え16時間、スターラーを回転させ攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
はじめに0.90質量%食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。
同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
例えば既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩とからなる吸水性樹脂粒子または吸水剤の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量とをもとに、吸水性樹脂粒子または吸水剤中の可溶分量を以下の計算式により算出することができる。未知量の場合は滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出する。
可溶分(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100。
<ペイントシェーカーテスト>
ペイントシェーカーテスト(PS)とは、直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、直径6mmのガラスビーズ10g、吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物30gを入れてペイントシェーカー(東洋精機製作所 製品No.488)に取り付け、800cycle/min(CPM)で振盪するものであり、装置詳細は特開平9−235378号公報に開示されている。
振盪時間を30分間としたものをペイントシェーカーテスト1、10分間としたものをペイントシェーカーテスト2とする。
浸透後、目開き2mmのJIS標準篩でガラスビーズを除去し、ダメージを与えられた吸水性樹脂粒子または吸水性樹脂組成物が得られる。
<粉塵量(粉塵性)>
下記の条件で所定時間にガラス繊維濾紙に吸引され捕捉されたダストの質量増をもって、吸水性樹脂の粉塵量を測定した。測定装置としては独国 Heubach Engineering GmbH製 ホイバッハ・ダストメータ(Heubach DUSTMETER)、測定モードTypeIで実施した。測定時の雰囲気の温度湿度は25℃(±2℃),相対湿度20〜40%,常圧で行った。図10は、粉塵量を測定する装置の概略図である。測定方法は以下のように行った。
(1)回転ドラム200に、測定サンプルの吸水性樹脂100.00g入れる。
(2)保留粒子径0.5μm(JIS P3801)で、直径50mmのガラス繊維濾紙(例えばADVANTEC製,GLASS FIBER,GC−90ないしその相当品を直径50mmに加工)の質量を0.00001g単位まで測定する。[Da]g
(3)回転ドラム200に大型粒子分離機201を取り付け、ガラス繊維濾紙204を装着したフィルターケース202を取り付ける。
(4)ダストメータにおける制御部203の測定条件を、下記のように設定し測定する。ドラム回転数:30R/min、吸引風量:20L/min、Time(測定時間):10分。
(5)所定時間後、ガラス繊維濾紙204の質量を、0.00001g単位まで測定する[Db]。
粉塵量は、以下のようにして算出する。
粉塵量[ppm]=([Db]−[Da])/100.00×1000000。
(製造例1)
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸396.7g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4198.1g、純水348.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)8.64gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液26.43gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液22.02gを攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き850μmおよび目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、粒子径850〜150μm、質量平均粒子径350μmの不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1a)、および粒子径が150μm以下の不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1b)を得た。吸水性樹脂粒子(1a)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.0g/g、水可溶分は10.0質量%であった。
得られた吸水性樹脂粒子(1)100質量部に1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を200℃で30分間加熱した。さらに、その粒子を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。次に、この粒子に前記ペイントシェーカーテスト1を行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1a−1)を得た。
次に、吸水性樹脂粒子(A)100質量部に、硫酸アルミニウム14−18水和物0.4質量部、乳酸ナトリウム0.1質量部、純水0.5質量部からなる水溶液を均一に添加し、60℃で1時間乾燥させた。得られた乾燥物に前記ペイントシェーカーテスト2を行い、その後目開き850μmおよび目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、粒子径850〜150μmの不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1a−2)、および粒子径が150μm以下の不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1b−2)を得た。吸水性樹脂粒子(1b−2)には、0.4質量%の硫酸アルミニウムが含まれていた。
(実施例1)
吸水性樹脂粒子(1b)85質量部と吸水性樹脂粒子(1b−2)15質量部とを均一に混合し、60℃に加温した。この加温された混合部に、90℃の温水120質量部を素早く加え、1分間高速攪拌した。得られた含水ゲルを180℃で50分間乾燥し、次いでロールミルで粉砕し、後目開き600μmおよび目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1b−3)を得た。得られた吸水性樹脂粒子(1b−3)100質量部に1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を200℃で30分間加熱した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(1b−4)を得た。次に、吸水性樹脂粒子(1b−4)100質量部に、硫酸アルミニウム14−18水和物0.4質量部、乳酸ナトリウム0.1質量部、純水0.5質量部からなる水溶液を均一に添加し、60℃で1時間乾燥させ、不定形破砕状の吸水剤(1)を得た。
(実施例2)
吸水性樹脂粒子(1b−4)を吸水剤(2)とした。
(実施例3)
吸水性樹脂粒子(1b)85質量部と、吸水性樹脂粒子(1b−2)15質量部とを均一に混合し、60℃に加温した。この加温された混合部に、90℃の温水120質量部を素早く加え、1分間高速攪拌した。得られた含水ゲルを180℃で50分間乾燥し、次いでロールミルで粉砕し、後目開き600μm,500μm,425μm,300μm,150μmのJIS標準篩で、分級・調合することにより、質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)が、0.46である不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(3b−3)を得た。得られた吸水性樹脂粒子(3b−3)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部、および純水3.0質量部の混合液からなる表面処理剤を、均一に混合した後、混合物を、200℃で30分間加熱した。さらに、加熱して得られた粒子を、目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(3b−4)を得た。得られた吸水性樹脂粒子(3b−4)を吸水剤(3)とした。
(実施例4)
吸水性樹脂粒子(1b−3)を吸水剤(4)とした。
(比較例1)
吸水性樹脂粒子(1b)100質量部を60℃に加温した。この加温された吸水性樹脂粒子(1b)に、90℃の温水120質量部を素早く加え、1分間高速攪拌した。得られた含水ゲルを180℃で50分間乾燥し、次いでロールミルで粉砕し、後目開き600μmおよび目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(2b−2)を得た。この吸水性樹脂粒子(2b−2)を比較吸水剤(1)とした。
(比較例2)
比較例1で得られた吸水性樹脂粒子(2b−2)100質量部に1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面処理剤を均一に混合した後、混合物を200℃で30分間加熱した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、吸水性樹脂粒子(2b−3)を得た。この吸水性樹脂粒子(2b−3)を比較吸水剤(2)とした。
(比較例3)
次に、吸水性樹脂粒子(2b−3)100質量部に、硫酸アルミニウム14−18水和物0.4質量部、乳酸ナトリウム0.1質量部、純水0.5質量部からなる水溶液を均一に添加し、60℃で1時間乾燥させ、不定形破砕状の比較吸水剤(3)を得た。
図4は、このような実施例1〜4,比較例1〜3の吸水剤を示す模式図である。図4のように、実施例1,2および4では、いずれも、第1の水溶性多価金属塩である硫酸アルミニウムが、吸水性樹脂粒子の内部に局在化しており、その他の比較例では、硫酸アルミニウムが均一に存在している。また、実施例1,2,比較例2,3では、吸水性樹脂粒子が、共有結合性の表面架橋剤により表面架橋されており、実施例1および比較例3では、さらにその表面架橋部位の一部が、第2の水溶性多価金属塩である硫酸アルミニウムにより表面架橋されている。
表1に吸水剤(1)〜(4)(実施例1〜4)、比較吸水剤(1)〜(3)(比較例1〜3)の1hr可溶分、SFC、AAP/CRC×100、CRC、AAPそれぞれの値を示す。これらの値より、本発明の吸水剤が可溶分が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れることは明らかである。
Figure 0005047616
表2に、吸水剤(1)〜(4)、比較吸水剤(1)〜(3)の粒度分布を測定した結果を示す。吸水剤(2)と吸水剤(3)との比較により、質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)は、0.45以下であることが好ましいことがわかる。
Figure 0005047616
なお、表2において、「Aμm以上」とは、分級操作後に、目開きAの篩の上に残存した吸水性樹脂粒子または吸水剤を示す。また、「Bμm以下」とは、分級操作後に、目開きBの篩を通過した吸水性樹脂粒子または吸水剤を示す。また、「A〜Bμm」とは、分級操作後に、目開きAの篩を通過し、目開きBの篩の上に残存した吸水性樹脂粒子または吸水剤を示す。
(製造例2)
シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸506質量部、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4431質量部、純水581質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)8.3質量部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29質量部および0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24質量部を攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間熱風乾燥を行い、乾燥後の架橋重合体をロールミルで粉砕し、粉砕物を目開き850μmと目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、質量平均粒子径450μmで不定形粒子状の非造粒物である吸水性樹脂(10A)と、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(10a)を得た。850μmの篩を通過しなかった粗大な吸水性樹脂は再度粉砕し分級した。不定形粒子状の吸水性樹脂(10A)100質量部に対し、微粉である吸水性樹脂(10a)15質量部が得られた。表面架橋前の吸水性樹脂(10A)の遠心分離機保持容量(CRC)は36g/g、水可溶分は10質量%であった。
次いで、不定形粒子状の吸水性樹脂(10A)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部および純水3.0質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、混合物を200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理した。混合物の平均滞留時間は約50分であった。加熱物を冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、製品としての、吸水性樹脂(10B)と、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(10b)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。吸水性樹脂(10B)100質量部に対し、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(10b)3質量部が得られた。
製品としての吸水性樹脂(10B)の遠心分離機保持容量(CRC)は30g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.5g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は40(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例5)
製造例2で得られた表面架橋前の微粉(10a)15質量部と表面架橋後の微粉(10b)1質量部との混合物に95℃の温水18質量部を混合したのち、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、次いで、ロールミルで粉砕し、850μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、粒子状の造粒物である吸水性樹脂(10)を得た。850μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は20質量%であった。
粒子状の造粒物である吸水性樹脂(10)の遠心分離機保持容量(CRC)は32g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は16g/gであった。
(実施例6)
製造例2で得られた表面架橋前の微粉(10a)15質量部と表面架橋後の微粉(10b)3質量部との混合物に95℃の温水20質量部を混合したのち、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、次いで、ロールミルで粉砕し、850μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、粒子状造粒物である吸水性樹脂(20)を得た。850μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は18質量%であった。
粒子状の造粒物である吸水性樹脂(20)の遠心分離機保持容量(CRC)は29g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は18g/gであった。
(比較例4)
製造例2で得られた表面架橋前の微粉(10a)16質量部に95℃の温水18質量部を混合したのち、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、次いで、ロールミルで粉砕し、850μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、粒子状の造粒物である比較吸水性樹脂(21)を得た。850μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は22質量%であった。
粒子状の造粒物である比較吸水性樹脂(21)の遠心分離機保持容量(CRC)は33g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は9g/gであった。
(比較例5)
製造例2で得られた表面架橋後の微粉(10b)16質量部に95℃の温水18質量部を混合したのち、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、次いで、ロールミルで粉砕し、850μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、造粒物である比較吸水性樹脂(22)を得た。850μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は40質量%であった。
微粉量がこのように多い(40質量%)と言うことは、表面架橋後の微粉のみを用いて造粒すると、得られた造粒物の機械的強度が弱いため、重合ゲルの粉砕時や粉砕物の分級時に、いったん得られた造粒物の粒子どうしの結合が解けて、再び細分化が起きたことを表している。
粒子状の造粒物である比較吸水性樹脂(22)の遠心分離機保持容量(CRC)は17g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は15g/gであった。
(実施例7)
表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と実施例5で得られた表面架橋前の粒子状造粒物である吸水性樹脂(10)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、製品としての吸水性樹脂(30)を得た。
150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は3質量%であった。また、得られた吸水性樹脂(30)の粉塵量は150ppmであった。
混合物である吸水性樹脂(30)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.2g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は38(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例8)
表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と実施例2で得られた表面架橋前の粒子状造粒物である吸水性樹脂(20)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、混合物である吸水性樹脂(40)を得た。150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は2.5質量%であった。また、得られた吸水性樹脂(40)の粉塵量は100ppmであった。
混合物である吸水性樹脂(40)の遠心分離機保持容量(CRC)は30.2g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は42(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例9)
製造例2で得られた表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と実施例6で得られた粒子状造粒物である吸水性樹脂(20)18質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、混合物である吸水性樹脂(50)を得た。150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は2.2質量%であった。また、得られた吸水性樹脂(50)の粉塵量は110ppmであった。
混合物である吸水性樹脂(50)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.5g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.4g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は41(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例10)
製造例2で得られた微粉である吸水性樹脂(10a)15質量部と表面処理後の微粉である吸水性樹脂(10b)1質量部との混合物に95℃の温水18質量部を混合し含水ゲル状吸水性樹脂(61)を得た。
次いで、この含水ゲル状吸水性樹脂(61)34重量部を、製造例1における重合後の細分化された含水ゲル状架橋重合体100重量部と一緒に、50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間、熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、目開き850μmと目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、質量平均粒子径450μmの不定形粒子状の吸水性樹脂(60A)と、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂(60a)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。不定形粒子状の吸水性樹脂(60A)100質量部に対し、造粒物ではあるが微粉の吸水性樹脂(60a)15質量部が得られた。
表面架橋前の吸水性樹脂(60A)の遠心分離機保持容量(CRC)は35g/g、水可溶分は10質量%であった。
次いで、表面架橋前の不定形粒子状の吸水性樹脂(60A)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部および純水3.0質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、製品としての、吸水性樹脂(60)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。
製品としての、吸水性樹脂(60)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は38(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例11)
シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸506質量部、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4431質量部、純水581質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)7.7質量部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に実施例10で得られた含水ゲル状吸水性樹脂(61)243質量部を添加し攪拌すると、含水ゲル状吸水性樹脂(61)はママコを形成することなく反応液中に分散した。引き続き、10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29質量部と0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24質量部を攪拌しながら添加したところ、およそ2分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを攪拌粉砕しながら、20〜95℃で重合を続け、重合が開始してから30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間、熱風乾燥し、乾燥後の架橋重合体をロールミルで粉砕し、目開き850μmと目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、質量平均粒子径450μmの不定形粒子状の吸水性樹脂(70A)を得た。
表面架橋前の不定形粒子状の吸水性樹脂(70A)の遠心分離機保持容量(CRC)は36g/g、水可溶分は11質量%であった。
次いで、表面架橋前のこの不定形粒子状の吸水性樹脂(70A)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部および純水3.0質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、混合物を200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理した。混合物の平均滞留時間は約50分であった。加熱物を冷却して、目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、製品としての、不定形粒子状の吸水性樹脂(70)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。
製品としての、不定形粒子状の吸水性樹脂(70)の遠心分離機保持容量(CRC)は30.1g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は40(10−7・cm・s・g−1)であった。
(製造例3)
製造例2において、表面架橋後の加熱物を冷却したのち、該冷却物100質量部に、25%硫酸アルミニウム水溶液2.5質量部および50%乳酸ナトリウム水溶液0.5質量部からなる混合液3質量部を混合し、室温で30分間静置した。
引き続き、該混合物を目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、製品としての吸水性樹脂(100B)と、150μmの篩を通過した表面架橋されてはいるが微粉である吸水性樹脂(100b)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。製品としての吸水性樹脂(100B)100質量部に対し、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(100b)3質量部が得られた。表面架橋後の微粉である吸水性樹脂(100b)は硫酸アルミニウムを2%含んでいた。
製品としての吸水性樹脂(100B)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は65(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例12)
製造例2で得られた微粒である吸水性樹脂(10a)15質量部と製造例3で得られた表面架橋後の微粉である吸水性樹脂(100b)3質量部との混合物に95℃の温水20質量部を混合し、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、ロールミルで粉砕し、850μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、不定形粒子状の造粒物である吸水性樹脂(80)を得た。850μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の造粒物である吸水性樹脂の割合は15質量%であった。
不定形粒子状の造粒物である吸水性樹脂(80)の遠心分離機保持容量(CRC)は28g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は19g/gであった。
(実施例13)
表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と実施例8で得られた表面架橋前の多価金属を含んだ粒子状造粒物である吸水性樹脂(80)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却したのち、該冷却物100質量部に、25%硫酸アルミニウム水溶液2.5質量部および50%乳酸ナトリウム水溶液0.5質量部からなる混合液3質量部を混合し、室温で30分間静置した。
目開き850μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、混合物である吸水性樹脂(90)を得た。150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は1.5質量%であった。また、得られた吸水性樹脂(90)の粉塵量は90ppmであった。製品としての吸水性樹脂(90)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は62(10−7・cm・s・g−1)であった。
(比較例6)
実施例7と同様に、表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と実施例1で得られた表面架橋前の粒子状造粒物である吸水性樹脂(10)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmのJIS標準篩で分級することにより、850μm以下の粒度を有する、製品としての吸水性樹脂(31)を得た。なお、850μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。混合物である吸水性樹脂(31)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.0g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は28(10−7・cm・s・g−1)であった。また、得られた吸水性樹脂(31)の粉塵量は250ppmであった。
(比較例7)
実施例7と同様に、表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と比較例1で得られた表面架橋前の粒子状造粒物である吸水性樹脂(21)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmのJIS標準篩で分級することにより、850μm以下の粒度を有する、製品としての吸水性樹脂(12)を得た。混合物である吸水性樹脂(41)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は25(10−7・cm・s・g−1)であった。また、得られた吸水性樹脂(41)の粉塵量は300ppmであった。
(比較例8)
実施例7と同様に、表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(10A)100質量部と比較例2で得られた表面架橋前の粒子状造粒物である吸水性樹脂(22)16質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却して、目開き850μmのJIS標準篩で分級することにより、850μm以下の粒度を有する、製品としての吸水性樹脂(51)を得た。混合物である吸水性樹脂(51)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.8g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.8g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は25(10−7・cm・s・g−1)であった。また、得られた吸水性樹脂(51)の粉塵量は500ppmであった。
(製造例4)
シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸506質量部、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4431質量部、純水581質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)11.5質量部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に10質量%過硫酸ナトリウム水溶液29質量部および0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24質量部を攪拌しながら添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、20〜95℃で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で50分間熱風乾燥を行い、乾燥後の架橋重合体をロールミルで粉砕し、粉砕物を目開き710μmと目開き150μmのJIS標準篩で分級することにより、質量平均粒子径346μm、質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)0.31で不定形粒子状の非造粒物である吸水性樹脂(30A)と、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(30a)を得た。710μmの篩を通過しなかった粗大な吸水性樹脂は再度粉砕し分級した。不定形粒子状の吸水性樹脂(30A)100質量部に対し、微粉である吸水性樹脂(30a)18質量部が得られた。表面架橋前の吸水性樹脂(30A)の遠心分離機保持容量(CRC)は32g/g、水可溶分は7質量%であった。
次いで、不定形粒子状の吸水性樹脂(30A)100質量部に、1,4−ブタンジオール0.4質量部、プロピレングリコール0.6質量部および純水3.0質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、混合物を200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理した。混合物の平均滞留時間は約50分であった。表面架橋後の加熱物を冷却したのち、該冷却物100質量部に、25%硫酸アルミニウム水溶液2.5質量部および50%乳酸ナトリウム水溶液0.5質量部からなる混合液3質量部を混合し、室温で30分間静置した。
引き続き、該混合物を目開き710μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、製品としての吸水性樹脂(30B)と、150μmの篩を通過した表面架橋されてはいるが微粉である吸水性樹脂(30b)を得た。なお、710μm篩上にあった表面架橋後の吸水性樹脂は篩を通過するまで解砕した。製品としての吸水性樹脂(30B)100質量部に対し、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(30b)3質量部が得られた。表面架橋後の微粉である吸水性樹脂(30b)は硫酸アルミニウムを3%含んでいた。
製品としての吸水性樹脂(30B)の遠心分離機保持容量(CRC)は26.5g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.5g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は140(10−7・cm・s・g−1)であった。
(実施例14)
製造例2で得られた表面架橋前の微粉(30a)18質量部と表面架橋後の微粉(30b)3質量部との混合物に95℃の温水24質量部を混合したのち、得られた含水ゲルを180℃で乾燥し、次いで、ロールミルで粉砕し、710μmと150μmの篩で分級することにより、2つの篩間で、粒子状造粒物である吸水性樹脂(100)を得た。710μmの篩を通過した造粒物である吸水性樹脂中、150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は20質量%であった。
粒子状の造粒物である吸水性樹脂(100)の遠心分離機保持容量(CRC)は25g/g、2.07kPaの圧力に対する吸収力(AAP2)は16g/gであった。
(実施例15)
表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(30A)100質量部と実施例10で得られた表面架橋前の多価金属を含んだ粒子状造粒物である吸水性樹脂(100)21質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却したのち、該冷却物100質量部に、25%硫酸アルミニウム水溶液2.5質量部および50%乳酸ナトリウム水溶液0.5質量部からなる混合液3質量部を混合し、室温で30分間静置した。
目開き710μmと150μmのJIS標準篩で分級することにより、2つの篩間で、質量平均粒子径360μm、質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)0.38で不定形粒子状の非造粒物である吸水性樹脂(11B)と、150μmの篩を通過した微粉である吸水性樹脂(11b)を得た。150μmの篩を通過した微粉の吸水性樹脂の割合は2質量%であった。また、得られた吸水性樹脂(11B)の粉塵量は150ppmであった。製品としての吸水性樹脂(11B)の遠心分離機保持容量(CRC)は26.5g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.4g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は120(10−7・cm・s・g−1)であった。
(比較例9)
表面架橋前の粒子状非造粒物である吸水性樹脂(30A)100質量部と実施例14で得られた表面架橋前の多価金属を含んだ粒子状造粒物である吸水性樹脂(100)21質量部との混合物に、1,4−ブタンジオール0.46質量部、プロピレングリコール0.70質量部および純水3.5質量部を混合してなる表面処理剤溶液を鋤型混合機で均一に混合し、200℃に加熱されたパドルミキサー中で加熱処理し、冷却したのち、該冷却物100質量部に、25%硫酸アルミニウム水溶液2.5質量部および50%乳酸ナトリウム水溶液0.5質量部からなる混合液3質量部を混合し、室温で30分間静置した。
目開き710μmのJIS標準篩で分級することにより、質量平均粒子径350μm、質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)0.40で不定形粒子状の非造粒物である吸水性樹脂(71)を得た。また、得られた吸水性樹脂(11B)の粉塵量は350ppmであった。製品としての吸水性樹脂(71)の遠心分離機保持容量(CRC)は26.2g/g、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は23.2g/g、食塩水流れ誘導性(SFC)は100(10−7・cm・s・g−1)であった。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明によれば、従来の吸水性樹脂よりもさらに、水可溶分量が少なく、通液性に優れ、加圧時の保水能力に優れた吸水剤を提供できる。したがって、高い通液性と均一な物性が発現でき、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジまたはオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。また、本発明によって得られる吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキンなどの、糞、尿または血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。

Claims (32)

  1. 水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A)および(B)の工程を含む吸水剤の製造方法。
    (A)表面処理されていない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
    (B)表面処理された吸水性樹脂微粒子を、表面処理されていない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
  2. 表面処理されていない吸水性樹脂粒子と、表面処理された吸水性樹脂微粒子との質量比が、99:1〜50:50である請求項1に記載の吸水剤の製造方法。
  3. 水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、以下の(A’)および(B’)の工程を含む吸水剤の製造方法。
    (A’)表面処理された吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
    (B’)表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を、表面処理された吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
  4. 表面処理された吸水性樹脂粒子と、表面処理されていない吸水性樹脂微粒子との質量比が、99:1〜50:50である請求項3に記載の吸水剤の製造方法。
  5. さらに、以下の(C)工程を含む請求項1または2に記載の吸水剤の製造方法。
    (C)表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、表面処理されていない吸水性樹脂粒子の加熱、または、表面処理された吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
  6. さらに、以下の(C’)工程を含む請求項3または4に記載の吸水剤の製造方法。
    (C’)表面処理されていない吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、表面処理された吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
  7. 上記(A)工程および(B)工程が、それぞれ、以下の(a)工程および(b)工程である請求項1または2に記載の吸水剤の製造方法。
    (a)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
    (b)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
  8. 上記(A’)工程および(B’)工程が、それぞれ、以下の(a’)工程および(b’)工程である請求項3または4に記載の吸水剤の製造方法。
    (a’)第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子であって、共有結合性架橋剤の存在下、水溶性不飽和単量体を重合し内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を形成する工程;
    (b’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂粒子内部に含有させる工程。
  9. 上記(C)工程が、以下の(c)工程である請求項5に記載の吸水剤の製造方法。
    (c)第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子の加熱、または、第1の水溶性多価金属塩を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
  10. 上記(C’)工程が、以下の(c’)工程である請求項6に記載の吸水剤の製造方法。
    (c’)第1の水溶性多価金属塩を含まない吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた、第1の水溶性多価金属を含む吸水性樹脂粒子の加熱、または、吸水性樹脂微粒子を内部に含有させた吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合および加熱により、その吸水性樹脂粒子の表面近傍を架橋する工程。
  11. さらに、(d)上記(c)工程により得られた吸水性樹脂粒子の表面に、第2の水溶性多価金属塩を添加する工程を含む請求項9に記載の吸水剤の製造方法。
  12. さらに、(d)上記(c’)工程により得られた吸水性樹脂粒子の表面に、第2の水溶性多価金属塩を添加する工程を含む請求項10に記載の吸水剤の製造方法。
  13. 上記(b)工程では、吸水性樹脂粒子内部に含有させる第1の水溶性多価金属塩の含有量を、上記吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜1質量%とし、
    上記(d)工程では、上記第2の水溶性多価金属塩の添加量を、上記吸水性樹脂粒子100質量部に対して、0.001〜4質量%とし、
    さらに、上記第1の水溶性多価金属塩の含有量を、第2の水溶性多価金属塩の添加量よりも、少なくする請求項11に記載の吸水剤の製造方法。
  14. 第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩が、アルミニウムを含むものである請求項11に記載の吸水剤の製造方法。
  15. 第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子は、目開き300μmのふるいを透過できる大きさである請求項7に記載の吸水剤の製造方法。
  16. 上記(b)工程を、(a)工程の吸水性樹脂粒子と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子との造粒により行う請求項7に記載の吸水剤の製造方法。
  17. 上記造粒を、水存在下で行う請求項16に記載の吸水剤の製造方法。
  18. 上記(b)工程を、(a)工程の重合前および/または重合中に行う請求項7に記載の吸水剤の製造方法。
  19. 上記(b)工程を、含水率が20質量%以上の含水ゲル状吸水性樹脂と、第1の水溶性多価金属塩を含む吸水性樹脂微粒子との混合により行う請求項7に記載の吸水剤の製造方法。
  20. 上記(c)工程で用いる表面架橋剤が、多価アルコールを含むものである請求項9に記載の吸水剤の製造方法。
  21. 上記(c’)工程で用いる表面架橋剤が、多価アルコールを含むものである請求項10に記載の吸水剤の製造方法。
  22. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法によって得られた吸水剤。
  23. 水溶性不飽和単量体を重合して得られる内部架橋構造を有する吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、
    上記内部架橋構造は、共有結合を含むものであり、
    上記吸水性樹脂粒子の内部は、第1の水溶性多価金属塩を含有する部分と含有しない部分とを有する海島構造となっている吸水剤。
  24. 上記吸水性樹脂粒子の表面近傍は、表面架橋剤によって架橋されている請求項23に記載の吸水剤。
  25. 上記吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が、第2の水溶性多価金属塩により被覆されている請求項23に記載の吸水剤。
  26. 上記第1の水溶性多価金属塩を含有する部分は、その長径が10μm以上の部分を含む請求項23,24または25に記載の吸水剤。
  27. 第1の水溶性多価金属塩および第2の水溶性多価金属塩が、アルミニウムを含むものである請求項25に記載の吸水剤。
  28. 上記吸水剤の質量平均粒子径が、200〜500μmであり、
    その質量平均粒子径の対数標準偏差(σζ)が、0.20〜0.45である請求項23,24または25に記載の吸水剤。
  29. 上記海島構造を有する吸水性樹脂粒子の含有量が、10質量%〜100質量%であり、
    海島構造を有さない吸水性樹脂粒子の含有量が、0質量%〜90質量%であり、
    これらの吸水性樹脂粒子を合計した含有量が、80質量%以上である請求項23,24または25に記載の吸水剤。
  30. 食塩水流れ誘導性(SFC)が、10(×10−7・cm・s・g−1)である請求項23,24または25に記載の吸水剤。
  31. 4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、5(g/g)以上である請求項23,24または25に記載の吸水剤。
  32. ホイバッハ・ダストメータによる10分値粉塵量が、200ppm以下である請求項23,24または25に記載の吸水剤。
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