JP6300657B2 - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
その中でも定着工程はエネルギーを比較的多く要する工程であり、省エネルギー化と高画質化を両立するシステムや材料の開発が重要な技術課題となっている。材料面からのアプローチとして、トナー中にワックスを含有させることで定着部材との離型性を向上させるとともに、定着時に融解したワックスにより結着樹脂を可塑化させることで低温定着性能を向上させることができる。
そこで、融解温度幅が狭いワックスを用いることで、トナーを保存(保管)する際にはワックスが融解せず、定着を行う温度で迅速に融解させる技術が知られている。特許文献1には、トナーにおける示差走査型熱量計で測定された吸熱ピークの半値幅が、8℃以下であるワックスを用いる技術が開示されている。
その一方で、融解温度幅が狭いワックスを用いると定着画像の耐摺擦性や画像ムラの観点からは不利である。特許文献2には、示差走査熱量計により求められた離型剤の吸熱ピークの半値幅が10℃以上18℃以下と、半値幅がある程度広いワックスを用いる技術が開示されている。(特許文献2参照)
が、画像表面をコートする成分が少ないために画像表面の滑り性には劣ることに起因すると考えられる。
特許文献2のようにDSCにより求められた吸熱ピークの半値幅が広いワックスは、融解温度幅が広い。したがって、画像表面をコートする低融点成分のワックスと、定着画像内部に残って画像強度を確保する高融点成分のワックスが存在するために定着画像の耐摺擦性などの定着画像の信頼性の観点からは有利である。しかし、融解温度幅が広いために耐熱保存性を確保させようとするとワックスの融点を上げざるを得ず、低温定着性と耐熱保存性のバランス取りの観点からは不利である。
以上のように、従来の技術ではワックスの融解特性の制御から低温定着性と耐熱保存性のバランスをとりつつ、定着画像の信頼性の向上を果たすことは困難であった。
本発明の目的は、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナー、および、そのようなトナーの製造方法を提供することにある。
結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーであって、
示差走査熱量計により測定された該トナーの第1昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1℃と、第2昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2℃との比W1/W2が、0.50以上0.90以下であることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
上記トナーを製造する方法であって、
結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーの製造方法であって、
下記(工程a)および(工程b)の条件でトナーを熱処理する工程を含み、
下記(工程a)を下記(工程b)より前に行う
ことを特徴とするトナーの製造方法である:
(工程a)該結着樹脂と該炭化水素ワックスの存在下で示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で該トナーを60分間以上熱処理する工程、
(工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内の温度であって、かつ、該炭化水素ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように該トナーを60分間以上熱処理する工程。
クスの吸熱ピークの半値幅が狭いことが好ましいのは定着工程より前である。そして、定着画像の信頼性が求められるのは定着工程より後である。したがって、トナー中のワックスの吸熱ピークの半値幅が広いことが好ましいのは定着工程より後である。すなわち、定着工程を経る前と後でトナー中のワックスの半値幅が変わることで課題を解決し得ると考えた。
ここで、DSCの測定はJIS K 7121(国際規格はASTM D3418−82)に準拠して行う。本発明において、DSCの測定には、例えば「Q1000」(TA
Instruments社製)を用いることができ、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。
これを電子写真法でのプロセスに当てはめると、第1昇温過程はトナーが定着工程で熱を受ける前のトナーの熱物性を測定していることとなる。さらに、200℃という定着工程相当の熱エネルギーにより融解した後に10℃/分で冷却されるため、第2昇温過程では定着画像トナーの熱物性を測定していることに相当すると考えられる。
本発明のトナーは、前記W1/W2が0.50以上0.90以下であり、この範囲にあることで定着工程を経る前はワックスの吸熱ピークの半値幅が狭く、定着工程を経た後は該半値幅が広くなるトナーが得られる。W1/W2が0.50未満のトナーも本発明の効果を発現し得ると考えられるが、本発明者の検討では作成することができなかった。W1/W2が0.90を超えるトナーは定着工程前後でのワックスの吸熱ピークの変化が少ないため、本発明の効果が得られない。
の関係について、結晶サイズが均一である場合は半値幅が狭く、結晶サイズが不均一である場合には半値幅が広くなることが知られている。したがって、本発明においては、トナーが定着工程より前はワックスの結晶サイズを均一にさせ、定着工程で融解した後に結晶サイズを不均一にさせる技術が重要であると考えた。
さらに、W1とW2の関係を本発明の範囲に調整するには、後述する熱処理工程をトナーの製造工程に含めて、該炭化水素ワックスの結晶サイズを調整することで可能である。例えば、得られるトナーのW1を小さくし、W2を大きくするためには、後述する熱処理の(工程a)および(工程b)を経ることで可能である。
クスがその構造や分別しやすい分子量分布であることから好ましいものである。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:各々の原子または原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子または原子団のモル体積)
本計算方法の詳細については、向井淳二他著「技術者のための実学高分子」66頁(講談社、1981年)、ポリマーハンドブック(第4版、A Willey−interscience Publication)等に記載されており、本実施形態においても同様の方法を適用する。
炭化水素ワックスのその他の物性としては、25℃での密度が0.95(g/cm3)以上、針入度が1.5(10−1mm)以下、好ましくは1.0(10−1mm)以下である。これらの範囲をはずれると、低温時に変化しやすく保存性、現像性に劣りやすくなってくる。
さらに、炭化水素ワックスの酸価が2.0mgKOH/g未満、好ましくは1.0mgKOH/g未満である。この範囲を超えると、結着樹脂との界面接着力が大きく、融解時の相分離が不充分になりやすい。そのため良好な離型性が得られにくく、高温時の耐オフセット性が良好でなく、また、トナーの摩擦帯電特性に悪影響を与え、現像性、耐久性に問題が出ることがある。
これら炭化水素ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して20質量部以下で用いることが好ましく、2質量部以上15質量部以下で用いることがより好ましく効果的である。
(GPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー(株)製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0mL/分
試料:0.15%の試料を0.4mL注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
本発明におけるワックス類の針入度は、JIS K−2207に準拠し測定される値である。具体的には、直径約1mmで頂角9°の円錐形先端を持つ針を一定荷重で貫入させたときの貫入深さを0.1mmの単位で表した数値である。本発明中での試験条件は試料温度が25℃、加重100g、貫入時間5秒である。
酸価は、試料1g中に含まれる酸基を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K5902に準ずる。密度は25℃でJIS K6760、軟化点はJIS K2207に準じて測定される値である。
(工程a)結着樹脂と炭化水素ワックスの存在下、示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で60分間以上熱処理を行う工程。
(工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内、かつ該ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように60分間以上熱処理を行う工程。
これらの工程を経ることによって、製造したトナーのW1が狭く、W2が広いトナーが得られることを見出した。
これは、トナー製造時の(工程a)でワックスと結着樹脂を十分に相溶させてから結晶化をさせることで、ワックス単独で結晶化するよりも様々なサイズの結晶を生成しやすくなったと推測している。また、(工程b)でワックスの結晶サイズを制御するためにも、(工程a)でワックスを一度十分に融解させておくことが必要であると考えられる。その後に、(工程b)の温度条件で熱処理を行うことで、ワックスの結晶化を促進させることができる。一般的には、結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内で熱処理を行うことでワックスの結晶化は起こるが、ワックスの融解が起きる温度範囲内では、結晶化したワックスの融解が起こるため避ける必要がある。また、本発明者の検討では(工程b)の熱処理中の温度変動幅を4.0℃以下とすることで、W1を狭くし得ることを見出した。これは、ワックスを均一なサイズに制御できたためと推測している。熱処理時間が短い場合には、半値幅は十分に狭くならないため、60分以上行うことが必要である。
なお、(工程b)における「該発熱ピークの温度範囲内、かつ該ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として」とは、それぞれの温度条件を満たすある特定の温度を中心温度として設定することを意味する。
(工程a)において、熱処理を行う時間の上限は、トナーを製造する際の時間的な効率性の観点から、720分以下であることが好ましく、240分以下であることがより好ましい。
また、(工程b)においても、熱処理を行う時間の上限は、トナーを製造する際の時間的な効率性の観点から、2880分以下であることが好ましく、640分以下であることがより好ましい。
ここで、ワックスの補外融解開始温度と補外融解終了温度はJIS K 7121に準拠して求める。すなわち、補外融解開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。補外融解終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、融解ピークの高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。ワックスの結晶化ピークに関しては、冷却過程において結晶化が徐々に続いて補外結晶化終了温度では適切に求められないことが多い。そこで、結晶化に由来する発熱ピークの低温側と高温側それぞれベースラインからの立ち上がり温度を求めてワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲とする。立ち上がり温度は、ベースラインから明らかにピーク曲線が離れたと認められる温度であり、すなわち、ピーク曲線の微分値が正で、微分値の増加が大きくなり始める温度、あるいは微分値が負から正になる温度である。
重合工程において重合性単量体組成物の分散液をサンプリングし、0.4gを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した15gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)を用いてろ過を行い、濾液2μLをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、あらかじめスチレンを用いて作成した検量線により未反応スチレンの量を算出し、アセトンで抽出した総スチレン量との比により、重合率を測定する。
用いることができる測定装置および測定条件は、例えば下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(
3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
ここで、Q1、Q2、Tg1、Tg2の値も前述した方法と同じ条件でDSCを測定することで求める。Q1、Q2の算出はJIS K 7122に準拠し、転移前後でベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結んでできた部分の面積から吸熱量Q1、Q2を求める。該ワックスの吸熱ピークが結着樹脂や他のワックス、その他材料由来するピークと重なっている場合はピーク分離を行ってから吸熱量を求める。Tg1とTg2の算出はJIS K 7121に準拠し、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。なお、階段状変化部分とエンタルピー緩和による吸熱ピークが重なって上記方法では補外ガラス転移開始温度を求めることが困難な場合、エンタルピー緩和による吸熱ピークの補外開始温度を補外ガラス転移開始温度として用いる。
なお、Q1/Q2の値やTg1/Tg2の値を本発明の範囲に調整する方法として、炭化水素ワックスの結晶化度をコントロールすることが挙げられる。そのための方法として、例えば(工程b)における熱処理の温度、時間を調整する方法を挙げることができる。
0J/g以下であり、Q2の好ましい範囲は2J/g以上20J/g以下である。
また、Tg1の好ましい範囲は45℃以上65℃以下であり、Tg2の好ましい範囲は30℃以上60℃以下である。Tg1が45℃未満である場合にはトナーの耐熱保存性の観点から好ましくなく、Tg1が65℃を超える場合には低温定着性の観点から好ましくない。さらに、Tg2が30℃未満である場合には定着画像のドキュメントオフセット性の観点から好ましくなく、Tg2が60℃を超える場合には低温定着性の観点から好ましくない。
本発明のトナーを粉砕法で作製するには結着樹脂、炭化水素ワックス、着色剤、必要に応じて、金属化合物、磁性体、荷電制御剤、その他の添加剤等を、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ナウターミキサー等の混合機により充分混合してから(混合工程)、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて融解混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ(溶融混練工程)、冷却固化後、ジェットミル、ターボミル、クリプトロン、イノマイザのような粉砕機を用いて粉砕し(粉砕工程)、;エルボージェット、ターボプレックス、ディスパージェンセパレータのような分級機を用いて、分級を行って本発明に係るトナーを得ることができる。
用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合物として用いられる。該スチレン系共重合体の合成方法としては、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法および乳化重合法のいずれでもよい。
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、分子量5000以上100000以下の領域に分子量の極大値を有するスチレン系重合体を得るときには好ましい。
反応温度としては、使用する溶媒、開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃以上230℃以下で行うのが良い。溶液重合においては、溶媒100質量部に対してモノマー30質量部以上400質量部以下で行うのが好ましい。さらに、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合できる。
乳化重合法は、水にほとんど不溶のモノマーを乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、および重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤および荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として優れた方法である。
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になりやすく、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要であるので懸濁重合が簡便で特に好ましい方法である。
懸濁重合法において重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散安定剤としては、一般に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
とが望まれる。具体的には、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイドが挙げられる。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上2.00質量部以下使用することが好ましい。
また、これらの重合法において使用する重合開始剤の種類としては、油溶性開始剤および/または水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いることも可能である。
次に、ポリエステル樹脂の組成について説明する。ポリエステル樹脂は以下のアルコール成分および酸成分を用いて、通常一般に知られている縮重合を行うことにより得ることができる。
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸のようなアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエス
テルのようなジカルボン酸類およびその誘導体が挙げられる。
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、およびこれらの無水物、低級アルキルエステル、テトラカルボン酸もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステルのような多価カルボン酸類およびその誘導体が挙げられる。
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1mol%以上60mol%以下であることが好ましい。
発明のトナー中には上記結着樹脂成分の他に、該結着樹脂成分の含有量より少ない割合で以下の化合物を含有させてもよい。例えばシリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。
3,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
さらに本発明のトナーは磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物が挙げられる。
本発明のトナーには帯電制御剤をトナー粒子に配合(内部添加)、もしくは混合(外部添加)して用いることにより、トナーの帯電量を所望の値に制御することができる。
トナーの負帯電制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類がある。
これらの帯電制御剤をトナーに内部添加する場合、結着樹脂に対して0.1質量%以上10質量%以下添加することが好ましい。
外添剤として用いられるシリカ、アルミナ、チタニアの微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2/g以上(特に30m2/g以上400m2/g以下)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してこれらの微粉体を0.01質量部以上8質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下使用するのが良い。
また、該微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムのような複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムのような金属塩;カオリンのような粘土鉱物;アパタイトのようなリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素のようなケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトのような炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムが好ましい。
さらに、次のような滑剤粉末を添加することもできる。テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボンのようなフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛のような脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルのような脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸およびアミノ酸誘導体が挙げられる。
(1)耐熱保存性の評価/耐ブロッキング性
約10gのトナーを100mLのポリカップに入れ、温度45℃、湿度95%環境に7日放置した後、目視で評価する。
(評価基準)
A:凝集物は見られない。
B:凝集物はわずかに見られるが、容易に崩れる。
C:凝集物は見られるが、容易に崩れる。
D:凝集物は見られるが、振れば崩れる。
E:凝集物をつかむことができ、容易に崩れない。
トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)を使用し、受像紙(80g/m2)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm2)を形成した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿下、プロセススピードを200mm/秒に設定し、130℃以上230℃以下の範囲で設定温度を5℃おきに変化させながら、各温度で上記トナー画像の定着を行った。得られた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる温度を低温側の定着開始温度とした。この
温度が低いほど低温定着性に優れている。画像濃度の測定は「マクベス反射濃度計RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する反射濃度を測定した。
(2)の試験において、190℃の定着温度にて得られた先端ベタ画像中心を谷折りし、その部分に荷重1MPaを10秒間掛け、さらに4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦した。ベタ画像の破壊状況を目視で確認し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:折り曲げ部の先端ベタ画像に、欠損部がない。
B:折り曲げ部の先端ベタ画像に、顕微鏡で拡大観察すると欠損部が認められる。
C:折り曲げ部の先端ベタ画像に、軽微な欠損部があるが実使用上問題ない。
D:折り曲げ部の先端ベタ画像に、目視で確認される欠損部がある。
E:折り曲げ部の先端ベタ画像に、明らかな欠損部があり、実使用上問題となる。
ワックスがブリードアウトするとトナー表面の疎水化度が上がるため、メタノール濡れ性試験において疎水化度を測定した。(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーと、放置されていないトナーについてメタノール濡れ性の測定を行い、下記式により、疎水化度変化率を求めた。疎水化度変化率が大きいほど、高温高湿環境下においてワックスのブリードアウトが起きていることとなる。
式:疎水化度変化率=(放置後トナーの疎水化度)/(放置無しトナーの疎水化度)
疎水化度は、メタノール濡れ性試験により以下の通り求めた。まず、水60mLを直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、トナー粒子を目開き150μmのメッシュで振るい、メッシュを通ったトナー粒子0.1gを精秤して、上記の水が入れられた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」((株)レスカ製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、300rpmの速度で撹拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを0.8mL/分の滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。この曲線より、50%の透過率となるときのメタノール濃度を疎水化度とした。
(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーのDSC第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度と、放置されていないトナーのDSC第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度の測定を行い、その差を求めた。
(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーとシリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)を用いて、32.5℃,湿度80%の環境で15,000枚のプリント試験を行った。15,000枚プリント試験終了後にベタ画像を出力し、該ベタ画像の濃度を(2)と同じ方法で測定し、面内の最高濃度と最低濃度との濃度差を評価した。トナーが高温高湿環境下でダメージを受けると、カート
リッジ内の動きが悪くなり濃度ムラが発生する。ランク分けは以下のように行った。表には試験中の最悪値を表示する。
A:濃度差0.05未満
B:濃度差0.05以上0.10未満
C:濃度差0.10以上0.15未満
D:濃度差0.15以上0.20未満
E:濃度差0.20以上
(ワックスの製造例)
本実施例と比較例にて用いたワックスについて、それらの熱物性を表1に示す。これらワックスは以下のようにして製造した。
ワックス1は、原油から得られたスラックワックスを溶剤法により精製を行って得られたものである。溶剤にはトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤を用い、80℃にて原料ワックスを溶解し、0.2℃/分で68℃まで冷却し1時間保持した後、濾過した。濾別したワックスを新しい混合溶剤で2回洗浄した後、ワックスを取り出し、溶剤を溶剤回収装置にて分離し、水素化精製を行った。次に、溶剤にメチルイソブチルケトンを用い、80℃にてワックスを溶解して0.2℃/分で75℃まで、0.1℃/分で69℃まで冷却し1時間保持した後、濾過した。濾別したワックスを新しい溶剤で3回洗浄した後、ワックスを取り出し、溶剤を溶剤回収装置にて分離し、水素化精製を行ってワックス1を得た。
(溶解工程)
下記材料を、60℃に加温し30分間溶解混合した。
・スチレン 70質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12) 8質量部
・ワックス1 9質量部
・カーボンブラック(BET比表面積=80m2/g、吸油量=120mL/100g)8質量部
・E−88(オリエント化学工業(株)製) 1質量部
・亜鉛フタロシアニン 0.1質量部
(重合性単量体組成物の調製工程)
溶解工程で得られた溶解液に下記材料を混合し、重合性単量体組成物を調製した。
・重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 10質量部
(造粒工程)
イオン交換水332質量部にNa3PO4・12H2Oを5質量部投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて3500rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液27質量部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
前記水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
(重合工程)
重合容器に前記重合性単量体組成物の造粒液を投入して、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック(株)製)で撹拌しつつ、70℃に昇温して10時間反応させた。
重合率が95%以上まで上がった段階でトナー分散液をサンプリングして乾燥させ、DSCにて熱物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
(工程a)
重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。容器内の内容物の温度が100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分が得られるまで100℃で240分間熱処理を行うことで、残存モノマーを留去しながら(工程a)の熱処理を行った。
(工程b)
(工程a)終了後、100℃から毎分0.5℃で冷却を行った。温度が64.0℃に到達したところで、64.0℃を中心として、温度変動幅が2.0℃となるように制御しながら、180分間(工程b)の熱処理を行った。その後、30℃まで毎分0.25℃で冷却を行った。
(洗浄・固液分離・乾燥工程)
得られたトナー粒子分散液に塩酸を添加して撹拌し、トナー粒子を覆ったCa3(PO4)2を溶解した後に加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これを水中に投入して撹拌し、再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。トナーケーキの水への再分散と固液分離とを、Ca3(PO4)2が十分に除去されるまで繰り返し行った後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー((株)セイシン企業製)にて乾燥を行い、トナー粒子を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
(外添工程)
得られたトナー粒子100質量部に、シリコーンオイルとヘキサメチルシラザンで処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(BET比表面積120m2/g)2.5質量部を外添して、重量平均粒径6.1μmのトナー1を得た。
(評価)
得られたトナーの熱物性測定結果を表3に、前述した評価方法に従って評価を行った結果を表4に示す。
(溶解工程)で添加したワックスと、(工程b)の温度を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程b)における、温度変動幅と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程a)における、熱処理温度と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程b)における、熱処理温度を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(溶解工程)で添加したワックスと、(工程b)の温度を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。なお、比較例1ではエステルワックス(エステル系ワックス)を用いており、炭化水素ワックスは含まれていないため、炭化水素ワックスの熱物性から求めるべき製造条件を、エステルワックスであるワックス4の熱物性を測定して求めた。
(溶解工程)で添加したワックスを表2のように変え、(工程b)で熱処理を行わずに冷却を行った以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(溶解工程)における温度を90℃、時間を240分行って(工程a)とし、(重合工程)後の(工程a)は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程a)における、熱処理温度と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程b)における、熱処理温度と温度変動幅、熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
(工程b)において熱処理を行う代わりに、徐冷を行った。徐冷条件は(工程a)終了後に、100℃から毎分0.5℃で70℃まで冷却を行い、70℃から50℃は毎分0.1℃で冷却を行い、50℃から30℃までは毎分0.25℃で冷却を行った。それ以外は
実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
Claims (13)
- 結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーであって、
示差走査熱量計により測定された
該トナーの第1昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1(℃)と、
第2昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2(℃)と、
の比W1/W2が、0.50以上0.90以下であることを特徴とするトナー。 - 該第1昇温過程における該吸熱ピークの吸熱量Q1(J/g)と、該第2昇温過程における該吸熱ピークの吸熱量Q2(J/g)との比Q1/Q2が、1.1以上1.5以下であり、
該示差走査熱量計により測定されたトナーの第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg1(℃)と、第2昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg2(℃)との差Tg1−Tg2が、5.0℃以上15.0℃以下である請求項1に記載のトナー。 - 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅が、2.0℃以上12.0℃以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークのピーク温度が、60℃以上90℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
- 該結着樹脂が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体またはスチレン−メタクリル酸エステル共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
- 該炭化水素ワックスの含有量が、該結着樹脂100質量部に対して20質量部以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
- 該半値幅W2が、3.7℃以上13.2℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーを製造する方法であって、
結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーの製造方法であって、
下記(工程a)および(工程b)の条件でトナーを熱処理する工程を含み、
下記(工程a)を下記(工程b)より前に行うことを特徴とするトナーの製造方法。
(工程a)該結着樹脂と該炭化水素ワックスの存在下で示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で該トナーを60分間以上熱処理する工程。
(工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内の温度であって、かつ、該炭化水素ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように該トナーを60分間以上熱処理する工程。 - 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅が、2.0℃以上12.0℃以下である請求項8に記載のトナーの製造方法。
- 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークのピーク温度が、60℃以上90℃以下である請求項8または9に記載のトナーの製造方法。
- 該結着樹脂が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体またはスチレン−メタクリル酸エステル共重合体である請求項8〜10のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 該炭化水素ワックスの含有量が、該結着樹脂100質量部に対して20質量部以下である請求項8〜11のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
- 該半値幅W2が、3.7℃以上13.2℃以下である請求項8〜12のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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