JP2015028616A - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

トナーおよびトナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナー、および、そのようなトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーであって、示差走査熱量計により測定されたトナーの第1昇温過程における炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1℃と、第2昇温過程における炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2℃との比W1/W2が、0.50以上0.90以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像(静電荷像)を現像するために用いられる静電潜像現像用トナー(以下単に「トナー」とも表記する。)、および該トナーの製造方法に関する。さらに詳細には、低温定着性と耐熱保存性(耐熱保管性)のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナー、および該トナーの製造方法に関する。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されており、高画質化や省エネルギー化を始めとする性能の向上が求められている。電子写真法では、まず、帯電、露光工程により電子写真感光体(像保持体)上に静電潜像を形成する。次いで、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写工程、定着工程を経て可視化された像(定着画像)を得る。
その中でも定着工程はエネルギーを比較的多く要する工程であり、省エネルギー化と高画質化を両立するシステムや材料の開発が重要な技術課題となっている。材料面からのアプローチとして、トナー中にワックスを含有させることで定着部材との離型性を向上させるとともに、定着時に融解したワックスにより結着樹脂を可塑化させることで低温定着性能を向上させることができる。
ワックスにより低温定着性能を向上させるという観点からは、融点の低いワックスを用いることが好ましい。その一方で、融点の低いワックスは低い温度で融解するために、トナーの耐熱保存性が損なわれてしまい、低温定着性と耐熱保存性を両立させることは困難である。
そこで、融解温度幅が狭いワックスを用いることで、トナーを保存(保管)する際にはワックスが融解せず、定着を行う温度で迅速に融解させる技術が知られている。特許文献1には、トナーにおける示差走査型熱量計で測定された吸熱ピークの半値幅が、8℃以下であるワックスを用いる技術が開示されている。
その一方で、融解温度幅が狭いワックスを用いると定着画像の耐摺擦性や画像ムラの観点からは不利である。特許文献2には、示差走査熱量計により求められた離型剤の吸熱ピークの半値幅が10℃以上18℃以下と、半値幅がある程度広いワックスを用いる技術が開示されている。(特許文献2参照)
特開2012−13859号公報 特開2011−70001号公報
特許文献1のように示差走査型熱量計(以下「DSC」とも表記する。)により求められた吸熱ピークの半値幅が狭いワックスは、ワックスの融解温度幅が狭い。したがって、トナーを保存(保管)する温度でのワックスの融解を防ぎ、所望の温度で迅速に融解させることで、耐熱保存性を確保しつつ低温定着性を向上させる観点からは有利である。一方で、定着画像の耐摺擦性などの画像信頼性の観点からは不利である。これは、融点の低いワックスを用いた場合にはトナーからワックスが迅速に染み出て画像表面をコートするため、画像表面の滑り性が向上するが定着画像の強度には劣る。一方で、融点の高いワックスを用いた場合には定着画像内部に高融点ワックスが残るために定着画像強度は向上する
が、画像表面をコートする成分が少ないために画像表面の滑り性には劣ることに起因すると考えられる。
特許文献2のようにDSCにより求められた吸熱ピークの半値幅が広いワックスは、融解温度幅が広い。したがって、画像表面をコートする低融点成分のワックスと、定着画像内部に残って画像強度を確保する高融点成分のワックスが存在するために定着画像の耐摺擦性などの定着画像の信頼性の観点からは有利である。しかし、融解温度幅が広いために耐熱保存性を確保させようとするとワックスの融点を上げざるを得ず、低温定着性と耐熱保存性のバランス取りの観点からは不利である。
以上のように、耐熱保存性と低温定着性のバランス取りをする観点からは吸熱ピークの半値幅が狭いワックスを用いればよく、定着画像の信頼性を向上する観点からは該半値幅がある程度広いワックスを用いればよい。しかし、両者はお互いの効果を阻害する関係であるため、ブレンドなどの組み合わせ技術は困難である。
以上のように、従来の技術ではワックスの融解特性の制御から低温定着性と耐熱保存性のバランスをとりつつ、定着画像の信頼性の向上を果たすことは困難であった。
本発明の目的は、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナー、および、そのようなトナーの製造方法を提供することにある。
本発明は、
結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーであって、
示差走査熱量計により測定された該トナーの第1昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1℃と、第2昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2℃との比W1/W2が、0.50以上0.90以下であることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
上記トナーを製造する方法であって、
結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーの製造方法であって、
下記(工程a)および(工程b)の条件でトナーを熱処理する工程を含み、
下記(工程a)を下記(工程b)より前に行う
ことを特徴とするトナーの製造方法である:
(工程a)該結着樹脂と該炭化水素ワックスの存在下で示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で該トナーを60分間以上熱処理する工程、
(工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内の温度であって、かつ、該炭化水素ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように該トナーを60分間以上熱処理する工程。
本発明によれば、ワックスの融解特性を適切に制御することにより、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナー、およびトナーの製造方法を提供することができる。
本発明者はこの課題を解決するにあたり、ワックスの融解特性について検討を行った。前述の通り、耐熱保存性と低温定着性のバランス取りをする観点からは吸熱ピークの半値幅が狭いワックスを用いれば良く、定着画像の信頼性を向上する観点からは該半値幅がある程度広いワックスを用いれば良い。ここで、耐熱保存性と低温定着性のバランス取りが求められるのは電子写真プロセスの定着工程より前である。したがって、トナー中のワッ
クスの吸熱ピークの半値幅が狭いことが好ましいのは定着工程より前である。そして、定着画像の信頼性が求められるのは定着工程より後である。したがって、トナー中のワックスの吸熱ピークの半値幅が広いことが好ましいのは定着工程より後である。すなわち、定着工程を経る前と後でトナー中のワックスの半値幅が変わることで課題を解決し得ると考えた。
本発明のトナーは、DSCにより測定されたトナーの第1昇温過程における炭化水素ワックス(炭化水素系ワックス)の融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1℃と、第2昇温過程における炭化水素ワックス(炭化水素系ワックス)の融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2℃との比W1/W2が0.50以上0.90以下である。
ここで、DSCの測定はJIS K 7121(国際規格はASTM D3418−82)に準拠して行う。本発明において、DSCの測定には、例えば「Q1000」(TA
Instruments社製)を用いることができ、装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いた。
トナーの測定は、まずトナー約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いた。第1昇温過程では測定試料を20℃から200℃まで10℃/分で昇温しながら測定を行った。その後、200℃で10分間保持した後に200℃から20℃まで10℃/分で冷却する冷却過程を行いながら測定を行った。さらに、20℃で10分間保持した後に、第2昇温過程では再び20℃から200℃まで10℃/分で昇温を行いながら測定を行った。この測定条件によって得られるDSC曲線に基づいて、第1昇温過程におけるワックスに由来する吸熱ピークの半値幅を算出することによって半値幅W1℃が得られる。同様に第2昇温過程におけるワックスに由来する吸熱ピークの半値幅を算出することによって半値幅W2℃が得られる。該ワックスの吸熱ピークが結着樹脂や他のワックス、その他材料由来するピークと重なっている場合はピーク分離を行ってから半値幅を求める。なお、半値幅とは、吸熱ピークのベースラインからピーク最大高さにおける2分の1高さにおけるピークの温度幅のことである。
トナーをDSCで測定する際の第1昇温過程では、製造したトナーそのものの熱物性を測定することができる。第2昇温過程では200℃に10分保持され、10℃/分で冷却された熱履歴を受けたトナーの熱物性を測定することができる。
これを電子写真法でのプロセスに当てはめると、第1昇温過程はトナーが定着工程で熱を受ける前のトナーの熱物性を測定していることとなる。さらに、200℃という定着工程相当の熱エネルギーにより融解した後に10℃/分で冷却されるため、第2昇温過程では定着画像トナーの熱物性を測定していることに相当すると考えられる。
本発明のトナーは、前記W1/W2が0.50以上0.90以下であり、この範囲にあることで定着工程を経る前はワックスの吸熱ピークの半値幅が狭く、定着工程を経た後は該半値幅が広くなるトナーが得られる。W1/W2が0.50未満のトナーも本発明の効果を発現し得ると考えられるが、本発明者の検討では作成することができなかった。W1/W2が0.90を超えるトナーは定着工程前後でのワックスの吸熱ピークの変化が少ないため、本発明の効果が得られない。
本発明のW1とW2の関係を有するトナーを得るための技術として、本発明者はトナー中でのワックスの結晶サイズを制御する技術が重要であると考えた。ワックスの吸熱ピークの半値幅は、使用するワックスの純度やトナーへの添加量、結晶サイズなどの因子によって決まるパラメーターである。この中でワックスの純度やトナーへの添加量を定着工程の前後で変えることは困難である。一方で、ワックスの結晶サイズを定着工程の前後で変えることに関しては、定着工程においてトナーが一度融解するために可能ではないか、と考えた。一般的に、結晶が融解するときに観測される吸熱ピークの半値幅と結晶サイズと
の関係について、結晶サイズが均一である場合は半値幅が狭く、結晶サイズが不均一である場合には半値幅が広くなることが知られている。したがって、本発明においては、トナーが定着工程より前はワックスの結晶サイズを均一にさせ、定着工程で融解した後に結晶サイズを不均一にさせる技術が重要であると考えた。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーである。本発明者らは、炭化水素ワックスを用いた場合はW2が広くなりやすいことを見出した。これは、炭化水素ワックスは比較的結晶化速度が速いがゆえに、熱を受けて融解した後の冷却過程にて温度が低下しながら様々な大きさの結晶を形成しやすいためと考えられる。したがって、電子写真プロセスの定着工程で融解した後に、定着画像中で温度が低下しながら様々な結晶サイズを形成し、小さな結晶サイズの物は画像表面の滑り性向上に寄与し、大きな結晶サイズの物は画像強度に寄与し得ると考えられる。
さらに、W1とW2の関係を本発明の範囲に調整するには、後述する熱処理工程をトナーの製造工程に含めて、該炭化水素ワックスの結晶サイズを調整することで可能である。例えば、得られるトナーのW1を小さくし、W2を大きくするためには、後述する熱処理の(工程a)および(工程b)を経ることで可能である。
本発明に好ましく用いられる炭化水素ワックスの熱物性としては、該ワックス単独でDSCを測定したときに観測される、融解に由来する吸熱ピークのピーク温度(融解ピーク温度)が60℃以上90℃以下であり、該吸熱ピークの半値幅が2.0℃以上12.0℃以下である。該融解ピーク温度と該半値幅が上記範囲にあることで、耐熱保存性と低温定着性のバランスがとりやすいために好ましい。該融解ピーク温度が60℃未満である場合は耐熱保存性の観点から好ましくない。また、該融解ピーク温度が90℃を超える場合は低温定着性の観点で好ましくない。さらに、本発明のトナーを水系媒体中で製造する場合には、後述の(工程a)にてワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で熱処理することができなくなる可能性がある。該半値幅が2.0℃未満である場合は、本発明の実施形態を取った場合でもW2が十分に広くならない場合があり、12.0℃を超えるような場合には逆に、W1が十分に狭くならない場合がある。ただし、用いるワックス単独の熱物性に関してはトナー中での結着樹脂や着色剤、その他材料との構造や配合比、あるいはトナー製造条件等によっても変動するため、前記ワックス単独での熱物性を限定するものではない。ワックス単独での熱物性の測定は、前記JIS K 7121に準拠した方法と同様の方法、測定条件で測定することができる。該融解ピーク温度と該半値幅はワックスの製造条件や保存(保管)状態などの熱履歴を排除するため、第2昇温過程での値を用いる。融解ピーク温度とはベースラインからピークの高さが最も高い点における温度である。
本発明に用いられる炭化水素ワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、一酸化炭素および水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素などから、特定の成分を抽出分別した炭化水素ワックスが用いられる。プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留を利用した分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別が行われる。すなわちこれらの方法で、低分子量分を除去したもの、低分子量分を抽出したものや、さらにこれらから低分子量分を除去したものなどである。
母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの。例えばジントール法、ヒドロコール法、あるいはワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素や、エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、好ましい。特に、アルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素ワッ
クスがその構造や分別しやすい分子量分布であることから好ましいものである。
本発明の具体的な実施形態においては、後述の(工程a)において樹脂とワックスを相溶させる工程を有するため、結着樹脂とワックスとの溶解性パラメーター(溶解パラメーターまたは溶解度パラメーターとも称される。以下SP値と称することがある。)の差が2.0以下であると相溶しやすいために好ましい。SP値は、Fedorの方法により算出する。具体的には、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)に詳しく、下記の式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:各々の原子または原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子または原子団のモル体積)
本計算方法の詳細については、向井淳二他著「技術者のための実学高分子」66頁(講談社、1981年)、ポリマーハンドブック(第4版、A Willey−interscience Publication)等に記載されており、本実施形態においても同様の方法を適用する。
また、炭化水素ワックスの分子量分布で好ましい範囲は、数平均分子量(Mn)が500以上1200以下、重量平均分子量(Mw)が800以上4000以下、ピーク分子量(Mp)が700以上3000以下である。このような分子量分布を持たせることにより、トナーに好ましい熱特性を持たせることができる。すなわち、上記範囲より分子量が小さくなると熱的影響を過度に受けやすく、耐ブロッキング性、現像性に劣るようになり、上記範囲より分子量が大きくなると、外部からの熱を効果的に利用できず、優れた定着性、耐オフセット性を得ることができない。
炭化水素ワックスのその他の物性としては、25℃での密度が0.95(g/cm)以上、針入度が1.5(10−1mm)以下、好ましくは1.0(10−1mm)以下である。これらの範囲をはずれると、低温時に変化しやすく保存性、現像性に劣りやすくなってくる。
また、炭化水素ワックスの140℃における融解粘度が、100cP以下、好ましくは50cP以下、特に好ましくは20cP以下である。融解粘度が100cPを超えるようになると、可塑性、離型性に劣るようになり、優れた定着性、耐オフセット性に影響を及ぼすようになる。また、軟化点が130℃以下であることが好ましく、特に好ましくは120℃以下である。軟化点が130℃を超えると、離型性が特に有効に働く温度が高くなり、耐オフセット性に影響を及ぼすようになる。
さらに、炭化水素ワックスの酸価が2.0mgKOH/g未満、好ましくは1.0mgKOH/g未満である。この範囲を超えると、結着樹脂との界面接着力が大きく、融解時の相分離が不充分になりやすい。そのため良好な離型性が得られにくく、高温時の耐オフセット性が良好でなく、また、トナーの摩擦帯電特性に悪影響を与え、現像性、耐久性に問題が出ることがある。
これら炭化水素ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して20質量部以下で用いることが好ましく、2質量部以上15質量部以下で用いることがより好ましく効果的である。
本発明において炭化水素ワックスの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
(GPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー(株)製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0mL/分
試料:0.15%の試料を0.4mL注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
本発明におけるワックス類の針入度は、JIS K−2207に準拠し測定される値である。具体的には、直径約1mmで頂角9°の円錐形先端を持つ針を一定荷重で貫入させたときの貫入深さを0.1mmの単位で表した数値である。本発明中での試験条件は試料温度が25℃、加重100g、貫入時間5秒である。
また、炭化水素ワックスの融解粘度は、ブルックフィールド型粘度計を用いて測定される値であり、条件は、測定温度140℃、ずり速度1.32rpm、試料10mLである。
酸価は、試料1g中に含まれる酸基を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数であり、JIS K5902に準ずる。密度は25℃でJIS K6760、軟化点はJIS K2207に準じて測定される値である。
本発明の実施形態としては炭化水素ワックスを含むが、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックスおよびこれらのグラフト化合物、ブロック化合物のような誘導体などを必要に応じて組み合わせて使用することもできる。
本発明の具体的な実施形態としては、さらに、トナーの製造方法も含み、該トナーの製造方法において、下記(工程a)および(工程b)の条件でトナーを熱処理する工程を含み、(工程a)を(工程b)より前に行う。
(工程a)結着樹脂と炭化水素ワックスの存在下、示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で60分間以上熱処理を行う工程。
(工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内、かつ該ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように60分間以上熱処理を行う工程。
これらの工程を経ることによって、製造したトナーのW1が狭く、W2が広いトナーが得られることを見出した。
これは、トナー製造時の(工程a)でワックスと結着樹脂を十分に相溶させてから結晶化をさせることで、ワックス単独で結晶化するよりも様々なサイズの結晶を生成しやすくなったと推測している。また、(工程b)でワックスの結晶サイズを制御するためにも、(工程a)でワックスを一度十分に融解させておくことが必要であると考えられる。その後に、(工程b)の温度条件で熱処理を行うことで、ワックスの結晶化を促進させることができる。一般的には、結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内で熱処理を行うことでワックスの結晶化は起こるが、ワックスの融解が起きる温度範囲内では、結晶化したワックスの融解が起こるため避ける必要がある。また、本発明者の検討では(工程b)の熱処理中の温度変動幅を4.0℃以下とすることで、W1を狭くし得ることを見出した。これは、ワックスを均一なサイズに制御できたためと推測している。熱処理時間が短い場合には、半値幅は十分に狭くならないため、60分以上行うことが必要である。
なお、(工程b)における「該発熱ピークの温度範囲内、かつ該ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として」とは、それぞれの温度条件を満たすある特定の温度を中心温度として設定することを意味する。
(工程a)において、熱処理を行う時間の上限は、トナーを製造する際の時間的な効率性の観点から、720分以下であることが好ましく、240分以下であることがより好ましい。
また、(工程b)においても、熱処理を行う時間の上限は、トナーを製造する際の時間的な効率性の観点から、2880分以下であることが好ましく、640分以下であることがより好ましい。
なお、上記製造方法においてはワックスの融解や結晶化に由来するピークの温度がポイントの1つとなっているが、これらは材料単体としての値ではなくトナー化したときの値とする。材料としての熱物性と、それを用いたトナーにおける熱物性は密接な関係に有るが、その関係は結着樹脂や着色剤などの構造や配合比、あるいはトナーの製造方法等によっても変動するため、前記ワックス単独での熱物性を限定するものではない。測定条件は前述した方法と同じ条件で行い、ワックスの補外融解開始温度と補外融解終了温度は第2昇温過程での値を用いる。ワックスの結晶化ピークは冷却過程での値を用いる。
ここで、ワックスの補外融解開始温度と補外融解終了温度はJIS K 7121に準拠して求める。すなわち、補外融解開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。補外融解終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、融解ピークの高温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。ワックスの結晶化ピークに関しては、冷却過程において結晶化が徐々に続いて補外結晶化終了温度では適切に求められないことが多い。そこで、結晶化に由来する発熱ピークの低温側と高温側それぞれベースラインからの立ち上がり温度を求めてワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲とする。立ち上がり温度は、ベースラインから明らかにピーク曲線が離れたと認められる温度であり、すなわち、ピーク曲線の微分値が正で、微分値の増加が大きくなり始める温度、あるいは微分値が負から正になる温度である。
熱処理を行う工程は結着樹脂と炭化水素ワックスの存在下で行うことが必要である。したがって、重合法により製造する場合には重合率が80%以上、より好ましくは95%以上の状態で行うことが好ましい。また、熱処理を行う工程は結着樹脂と炭化水素ワックスの存在下であれば特に限定はされない。乾式製造法によりトナーを製造する場合、例えば(工程a)は融解混錬時や融解混錬後に行ってもよく、(工程b)はそれより後であれば(工程a)に続けて行うこともできるし、粗砕後や微粉砕後、外添後などに行うこともできる。湿式製造法により製造する場合、例えば(工程a)は反応中、若しくは反応後に行ってもよく、(工程b)はそれより後であれば(工程a)に続けて行ってもよいし、乾燥を行いながら、若しくはそれ以降の工程で行ってもよい。湿式製造法においては(工程a)はトナーを分散媒に分散させた状態で行うことが融着を防ぐ観点から好ましい。
重合法によりトナーを製造する場合の重合率は、トナー粒子中の未反応スチレンの定量を、ガスクロマトグラフィー(GC)により以下のようにして測定し、算出することができる。
重合工程において重合性単量体組成物の分散液をサンプリングし、0.4gを精秤しサンプルビンに入れる。これに精秤した15gのアセトンを加えてフタをした後、よく混合し、発振周波数42kHz、電気的出力125Wの卓上型超音波洗浄器(例えば、商品名「B2510J−MTH」、ブランソン社製)にて超音波を30分間照射する。その後、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)を用いてろ過を行い、濾液2μLをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、あらかじめスチレンを用いて作成した検量線により未反応スチレンの量を算出し、アセトンで抽出した総スチレン量との比により、重合率を測定する。
用いることができる測定装置および測定条件は、例えば下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:HP社 INNOWax(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:(1)50℃で10分ホールド、(2)10℃/分で200℃まで昇温、(
3)200℃で5分ホールド
注入口:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分)
スプリット比:5.0:1.0
検出器:250℃(FID)
上記本発明の実施形態により得られたトナーについて評価を行ったところ、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れるトナーを得ることができた。また、異質の効果として、炭化水素ワックスはブリードアウトが起きやすい性質を持っているが、高温高湿環境下に長期放置してもブリードアウトが起きにくく、熱物性の経時変化が少ないことを見出した。その結果、高温高湿環境下に長期にわたって保存(保管)したトナーでも現像性の経時劣化が少ないことが分かった。これは、トナー中でのワックス結晶サイズが均一なためにトナーの歪が少なくなり、その結果高温高湿環境下に長期放置した場合でも応力緩和が起きにくくなったためと推測している。
また、本発明のトナーのさらに好ましい形態としては、トナーの第1昇温過程における炭化水素ワックスの融解に由来するピークの吸熱量Q1J/gと、第2昇温過程における炭化水素ワックスの融解に由来するピークの吸熱量Q2J/gとの比Q1/Q2が、1.1以上1.5以下である。さらに、示差走査熱量計により測定されたトナーの第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg1℃と、第2昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg2℃との差Tg1−Tg2が5.0℃以上15.0℃以下であることが特に好ましい。
ここで、Q1、Q2、Tg1、Tg2の値も前述した方法と同じ条件でDSCを測定することで求める。Q1、Q2の算出はJIS K 7122に準拠し、転移前後でベースラインから離れる点とベースラインに戻る点とを直線で結んでできた部分の面積から吸熱量Q1、Q2を求める。該ワックスの吸熱ピークが結着樹脂や他のワックス、その他材料由来するピークと重なっている場合はピーク分離を行ってから吸熱量を求める。Tg1とTg2の算出はJIS K 7121に準拠し、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とする。なお、階段状変化部分とエンタルピー緩和による吸熱ピークが重なって上記方法では補外ガラス転移開始温度を求めることが困難な場合、エンタルピー緩和による吸熱ピークの補外開始温度を補外ガラス転移開始温度として用いる。
なお、Q1/Q2の値やTg1/Tg2の値を本発明の範囲に調整する方法として、炭化水素ワックスの結晶化度をコントロールすることが挙げられる。そのための方法として、例えば(工程b)における熱処理の温度、時間を調整する方法を挙げることができる。
Q1とQ2の関係、およびTg1とTg2の関係が上記範囲内であるトナーは耐熱保存性、高温高湿環境下でのトナーの熱物性経時変化、低温定着性がさらに優れる。Q1、Q2、Tg1、Tg2はそれぞれ前記W1とW2と同様に定着工程前のトナーの熱物性と定着工程後の熱物性に相当すると考えられる。すなわち、上記Q1とTg1はトナーが定着工程で熱を受ける前のワックスの吸熱量とガラス転移温度に相当し、Q2とTg2はトナーが定着工程で熱を受けた後のワックスの吸熱量とガラス転移温度に相当すると考えられる。したがって、Q1とQ2の関係、Tg1とTg2の関係が上記範囲にあるトナーは定着工程前はワックスが結晶化していてガラス転移温度が高いため、耐熱保存性やトナーを保管する際の経時変化の面で有利である。そして、定着工程で熱を受けたときにワックスと結着樹脂が相溶してガラス転移温度が下がるため、低温定着化の面で有利となると考えられる。
本発明のトナーにおけるQ1とQ2の好ましい範囲はトナーへのワックス添加量によっても変わるため一義に定められるものではないが、Q1の好ましい範囲は3J/g以上2
0J/g以下であり、Q2の好ましい範囲は2J/g以上20J/g以下である。
また、Tg1の好ましい範囲は45℃以上65℃以下であり、Tg2の好ましい範囲は30℃以上60℃以下である。Tg1が45℃未満である場合にはトナーの耐熱保存性の観点から好ましくなく、Tg1が65℃を超える場合には低温定着性の観点から好ましくない。さらに、Tg2が30℃未満である場合には定着画像のドキュメントオフセット性の観点から好ましくなく、Tg2が60℃を超える場合には低温定着性の観点から好ましくない。
本発明のトナーおよびトナーの製造方法は、例えば粉砕法などの乾式製造法に用いることができる。また、懸濁重合法などの湿式製造法においても用いることができる。
本発明のトナーを粉砕法で作製するには結着樹脂、炭化水素ワックス、着色剤、必要に応じて、金属化合物、磁性体、荷電制御剤、その他の添加剤等を、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ナウターミキサー等の混合機により充分混合してから(混合工程)、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて融解混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散または溶解せしめ(溶融混練工程)、冷却固化後、ジェットミル、ターボミル、クリプトロン、イノマイザのような粉砕機を用いて粉砕し(粉砕工程)、;エルボージェット、ターボプレックス、ディスパージェンセパレータのような分級機を用いて、分級を行って本発明に係るトナーを得ることができる。
結着樹脂としては、下記の重合体の使用が可能である。例えば、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独もしくは2つ以上用いられる。スチレン系単重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよく、また混合樹脂でもかまわない。
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を
用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンのようなジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これら架橋剤は単独もしくは混合物として用いられる。該スチレン系共重合体の合成方法としては、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法および乳化重合法のいずれでもよい。
塊状重合法では、高温で重合させて停止反応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることもできるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。溶液重合法では低分子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、分子量5000以上100000以下の領域に分子量の極大値を有するスチレン系重合体を得るときには好ましい。
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコール、ベンゼンが用いられる。スチレンモノマー混合物の場合はキシレン、トルエンまたはクメンが好ましい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。
反応温度としては、使用する溶媒、開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃以上230℃以下で行うのが良い。溶液重合においては、溶媒100質量部に対してモノマー30質量部以上400質量部以下で行うのが好ましい。さらに、重合終了時に溶液中で他の重合体を混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合できる。
乳化重合法は、水にほとんど不溶のモノマーを乳化剤で小さい粒子として水相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であり、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、および重合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、着色剤および荷電制御剤その他の添加物との混合が容易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造方法として優れた方法である。
しかし、添加した乳化剤のため生成重合体が不純になりやすく、重合体を取り出すには塩析などの操作が必要であるので懸濁重合が簡便で特に好ましい方法である。
懸濁重合においてはまず、結着樹脂を合成するための重合性単量体、炭化水素ワックス、および着色剤をホモジナイザーおよび超音波分散機のような攪拌機によって均一に溶解または分散せしめた重合性単量体組成物を形成する(重合体組成物の調製工程)。次に、分散剤を含有する水相中で高せん断力を有する撹拌機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに造粒する(造粒工程)。水系溶媒100質量部に対して、モノマー100質量部以下(好ましくは10質量部以上90質量部以下)で行うのがよい。重合温度は、一般的には50℃以上90℃以下の温度に設定して重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。重合開始剤を添加する場合、任意の時期と所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧もしくは減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散安定剤としては、一般に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられるが、より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているこ
とが望まれる。具体的には、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイドが挙げられる。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上2.00質量部以下使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001質量%以上0.1質量%以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウ厶が好ましく用いられる。
また、これらの重合法において使用する重合開始剤の種類としては、油溶性開始剤および/または水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄または過酸化水素が挙げられる。
これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いることも可能である。
次に、ポリエステル樹脂の組成について説明する。ポリエステル樹脂は以下のアルコール成分および酸成分を用いて、通常一般に知られている縮重合を行うことにより得ることができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールおよびその誘導体、ジオール類、が挙げられる。
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸のようなアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエス
テルのようなジカルボン酸類およびその誘導体が挙げられる。
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、およびこれらの無水物、低級アルキルエステル、テトラカルボン酸もしくはその無水物もしくはその低級アルキルエステルのような多価カルボン酸類およびその誘導体が挙げられる。
全成分のモル数のうち、アルコール成分としては40mol%以上60mol%以下であることが好ましく、より好ましくは45mol%以上55mol%以下であり、酸成分としては40mol%以上60mol%以下であることが好ましく、より好ましくは45mol%以上55mol%以下である。
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1mol%以上60mol%以下であることが好ましい。
発明のトナー中には上記結着樹脂成分の他に、該結着樹脂成分の含有量より少ない割合で以下の化合物を含有させてもよい。例えばシリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフィンの共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられる結着樹脂は、先述の通りワックスとのSP値の差が2.0以下であることが好ましい。また、GPCにより測定されるピーク分子量が5000以上30000以下の低分子量樹脂と、重量平均分子量が150000以上の高分子量樹脂、あるいはTHF不溶分(ゲル成分)となった架橋成分を有する樹脂、あるいはゲル成分となった樹脂をともに用いることが好ましい。低分子量樹脂と高分子量樹脂あるいはゲル成分含有樹脂は溶媒中で湿式混合してもよいし、トナー製造時に乾式混合することもできる。さらに、低分子量の樹脂の中にゲル成分となった樹脂あるいはゲル成分を分散させた樹脂でもよい。また低分子量樹脂存在下で、高分子量樹脂、ゲル成分含有樹脂、ゲル成分を合成してもよい。また高分子量樹脂、ゲル含有樹脂、ゲル成分存在下で低分子量樹脂を合成してもよい。また、他の分子量を持つ樹脂と混合して用いてもよい。結着樹脂およびトナーのGPCによるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラハイドロフラン)を毎分1mLの流速で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー(株)製あるいは、昭和電工(株)製の分子量が10以上10以下程度のものを用い、10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,80
3,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguard columnの組み合わせを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうし、THFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、さらに12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm以上0.5μm以下、例えば、マイショリディスクH−25−5、東ソー(株)製、エキクロディスク25CR、ゲルマンサイエンスジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/mL以上5mg/mL以下となるように調整する。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、公知の着色剤を使用することができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー3,7,10,12〜15,17,23,24,60,62,74,75,83,93〜95,99,100,101,104,108〜111,117,123,128,129,138,139,147,148,150,166,168〜177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.ディスパースイエロー42,64,201,211が挙げられる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5〜7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独または混合、さらには固溶体の状態で用いることができる。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.5質量部以上20質量部以下となるように添加して用いられることが好ましい。
さらに本発明のトナーは磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割を兼ねることもできる。本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物が挙げられる。
本発明に用いられる磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましく、重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
本発明のトナーには帯電制御剤をトナー粒子に配合(内部添加)、もしくは混合(外部添加)して用いることにより、トナーの帯電量を所望の値に制御することができる。
トナーの正帯電制御剤としては、ニグロシンおよびその脂肪酸等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩およびこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;これらの単独或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料のような帯電制御剤が特に好ましく用いられる。
トナーの負帯電制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類がある。
これらの帯電制御剤をトナーに内部添加する場合、結着樹脂に対して0.1質量%以上10質量%以下添加することが好ましい。
本発明におけるトナーの粒径は、画像の高精細、高解像の観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター株式会社製)と、測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定および算出することができる。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ、アルミナ、チタニアのような微粉末を外添することが好ましい。外添は、トナー粒子に所望の添加剤を添加し、スーパーミキサーやヘンシェルミキサーのような混合機により充分混合し、トナーを得ることができる。
外添剤として用いられるシリカ、アルミナ、チタニアの微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m/g以上(特に30m/g以上400m/g以下)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対してこれらの微粉体を0.01質量部以上8質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下使用するのが良い。
また、該微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
また、現像性、耐久性を向上させるために次の無機粉体を添加することも好ましい。マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、スズ、アンチモンの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン
酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムのような複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムのような金属塩;カオリンのような粘土鉱物;アパタイトのようなリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素のようなケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトのような炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムが好ましい。
さらに、次のような滑剤粉末を添加することもできる。テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン、フッ化カーボンのようなフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛のような脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルのような脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸およびアミノ酸誘導体が挙げられる。
本発明のトナーは、通常一成分および二成分系現像剤として、いずれの現像剤にも使用できる。例えば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー粒子中に含有させた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵したマグネットを利用し、磁性トナーを搬送および帯電する方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレードやファーブラシなどを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送する方法がある。一方、二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーとともに、キャリアを用い現像剤として使用する。キャリアとしては、主として鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる単独および複合フェライト状態で構成される。一般的には、上記無機酸化物を焼成・造粒することにより、あらかじめ、キャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられている。また、キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕・分級して低密度分散キャリアを得る方法や、無機酸化物とモノマーの混合物を水系媒体中で懸濁重合して重合キャリアを得る方法なども利用することが可能である。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、実施例で行った評価について、その方法を以下に述べる。
(1)耐熱保存性の評価/耐ブロッキング性
約10gのトナーを100mLのポリカップに入れ、温度45℃、湿度95%環境に7日放置した後、目視で評価する。
(評価基準)
A:凝集物は見られない。
B:凝集物はわずかに見られるが、容易に崩れる。
C:凝集物は見られるが、容易に崩れる。
D:凝集物は見られるが、振れば崩れる。
E:凝集物をつかむことができ、容易に崩れない。
(2)低温定着性の評価
トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)を使用し、受像紙(80g/m)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm)を形成した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿下、プロセススピードを200mm/秒に設定し、130℃以上230℃以下の範囲で設定温度を5℃おきに変化させながら、各温度で上記トナー画像の定着を行った。得られた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の濃度低下率が10%以下となる温度を低温側の定着開始温度とした。この
温度が低いほど低温定着性に優れている。画像濃度の測定は「マクベス反射濃度計RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する反射濃度を測定した。
(3)定着画像の信頼性の評価/耐摺擦性
(2)の試験において、190℃の定着温度にて得られた先端ベタ画像中心を谷折りし、その部分に荷重1MPaを10秒間掛け、さらに4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦した。ベタ画像の破壊状況を目視で確認し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:折り曲げ部の先端ベタ画像に、欠損部がない。
B:折り曲げ部の先端ベタ画像に、顕微鏡で拡大観察すると欠損部が認められる。
C:折り曲げ部の先端ベタ画像に、軽微な欠損部があるが実使用上問題ない。
D:折り曲げ部の先端ベタ画像に、目視で確認される欠損部がある。
E:折り曲げ部の先端ベタ画像に、明らかな欠損部があり、実使用上問題となる。
(4)ブリードアウトの評価/高温高湿環境放置での疎水化度変化率
ワックスがブリードアウトするとトナー表面の疎水化度が上がるため、メタノール濡れ性試験において疎水化度を測定した。(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーと、放置されていないトナーについてメタノール濡れ性の測定を行い、下記式により、疎水化度変化率を求めた。疎水化度変化率が大きいほど、高温高湿環境下においてワックスのブリードアウトが起きていることとなる。
式:疎水化度変化率=(放置後トナーの疎水化度)/(放置無しトナーの疎水化度)
疎水化度は、メタノール濡れ性試験により以下の通り求めた。まず、水60mLを直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、トナー粒子を目開き150μmのメッシュで振るい、メッシュを通ったトナー粒子0.1gを精秤して、上記の水が入れられた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」((株)レスカ製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、300rpmの速度で撹拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを0.8mL/分の滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、メタノール滴下透過率曲線を作成する。この曲線より、50%の透過率となるときのメタノール濃度を疎水化度とした。
(5)熱物性経時変化の評価/高温高湿環境放置でのTg変化
(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーのDSC第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度と、放置されていないトナーのDSC第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度の測定を行い、その差を求めた。
(6)高温高湿環境放置後の画像耐久試験
(1)の試験において、45℃、湿度95%環境に7日間放置されたトナーとシリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(商品名:CLC700、キヤノン(株)製)を用いて、32.5℃,湿度80%の環境で15,000枚のプリント試験を行った。15,000枚プリント試験終了後にベタ画像を出力し、該ベタ画像の濃度を(2)と同じ方法で測定し、面内の最高濃度と最低濃度との濃度差を評価した。トナーが高温高湿環境下でダメージを受けると、カート
リッジ内の動きが悪くなり濃度ムラが発生する。ランク分けは以下のように行った。表には試験中の最悪値を表示する。
A:濃度差0.05未満
B:濃度差0.05以上0.10未満
C:濃度差0.10以上0.15未満
D:濃度差0.15以上0.20未満
E:濃度差0.20以上
以下、具体的な製造例について述べる。
(ワックスの製造例)
本実施例と比較例にて用いたワックスについて、それらの熱物性を表1に示す。これらワックスは以下のようにして製造した。
ワックス1は、原油から得られたスラックワックスを溶剤法により精製を行って得られたものである。溶剤にはトルエンとメチルエチルケトンの混合溶剤を用い、80℃にて原料ワックスを溶解し、0.2℃/分で68℃まで冷却し1時間保持した後、濾過した。濾別したワックスを新しい混合溶剤で2回洗浄した後、ワックスを取り出し、溶剤を溶剤回収装置にて分離し、水素化精製を行った。次に、溶剤にメチルイソブチルケトンを用い、80℃にてワックスを溶解して0.2℃/分で75℃まで、0.1℃/分で69℃まで冷却し1時間保持した後、濾過した。濾別したワックスを新しい溶剤で3回洗浄した後、ワックスを取り出し、溶剤を溶剤回収装置にて分離し、水素化精製を行ってワックス1を得た。
ワックス2は、石炭または天然ガスを原料にフィッシャートロプシュ法で得られる炭化水素を真空蒸留して、ワックス1と同様の方法を用いて、制御温度、洗浄回数を変更して精製して得られたフィッシャートロプシュワックスである。
ワックス3は従来のチーグラー法で製造されたポリエチレンを原料に、ワックス1と同様の方法を用いて、制御温度、洗浄回数を変更して精製して得られたポリエチレンワックスである。
ワックス4は、以下の手順に従って作製した。ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900質量部、カルボン酸成分1400質量部、アルコール成分1300質量部、p−トルエンスルホン酸130質量部を加えた。撹拌下6時間乾留した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄、精製して得られたエステルワックスがワックス4である。
Figure 2015028616
〔実施例1〕
(溶解工程)
下記材料を、60℃に加温し30分間溶解混合した。
・スチレン 70質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12) 8質量部
・ワックス1 9質量部
・カーボンブラック(BET比表面積=80m/g、吸油量=120mL/100g)8質量部
・E−88(オリエント化学工業(株)製) 1質量部
・亜鉛フタロシアニン 0.1質量部
(重合性単量体組成物の調製工程)
溶解工程で得られた溶解液に下記材料を混合し、重合性単量体組成物を調製した。
・重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 10質量部
(造粒工程)
イオン交換水332質量部にNaPO・12HOを5質量部投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて3500rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液27質量部を添加し、Ca(POを含む水系媒体を得た。
前記水系媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N雰囲気下において、クレアミックスにて4500rpmで15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
(重合工程)
重合容器に前記重合性単量体組成物の造粒液を投入して、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック(株)製)で撹拌しつつ、70℃に昇温して10時間反応させた。
重合率が95%以上まで上がった段階でトナー分散液をサンプリングして乾燥させ、DSCにて熱物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
(工程a)
重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。容器内の内容物の温度が100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分が得られるまで100℃で240分間熱処理を行うことで、残存モノマーを留去しながら(工程a)の熱処理を行った。
(工程b)
(工程a)終了後、100℃から毎分0.5℃で冷却を行った。温度が64.0℃に到達したところで、64.0℃を中心として、温度変動幅が2.0℃となるように制御しながら、180分間(工程b)の熱処理を行った。その後、30℃まで毎分0.25℃で冷却を行った。
(洗浄・固液分離・乾燥工程)
得られたトナー粒子分散液に塩酸を添加して撹拌し、トナー粒子を覆ったCa(POを溶解した後に加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これを水中に投入して撹拌し、再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。トナーケーキの水への再分散と固液分離とを、Ca(POが十分に除去されるまで繰り返し行った後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー((株)セイシン企業製)にて乾燥を行い、トナー粒子を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
(外添工程)
得られたトナー粒子100質量部に、シリコーンオイルとヘキサメチルシラザンで処理された一次粒径12nmの乾式シリカ(BET比表面積120m/g)2.5質量部を外添して、重量平均粒径6.1μmのトナー1を得た。
(評価)
得られたトナーの熱物性測定結果を表3に、前述した評価方法に従って評価を行った結果を表4に示す。
〔実施例2〕〜〔実施例4〕
(溶解工程)で添加したワックスと、(工程b)の温度を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔実施例5〕〜〔実施例10〕
(工程b)における、温度変動幅と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔実施例11〕〜〔実施例12〕
(工程a)における、熱処理温度と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔実施例13〕〜〔実施例14〕
(工程b)における、熱処理温度を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔比較例1〕
(溶解工程)で添加したワックスと、(工程b)の温度を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。なお、比較例1ではエステルワックス(エステル系ワックス)を用いており、炭化水素ワックスは含まれていないため、炭化水素ワックスの熱物性から求めるべき製造条件を、エステルワックスであるワックス4の熱物性を測定して求めた。
〔比較例2〕〜〔比較例3〕
(溶解工程)で添加したワックスを表2のように変え、(工程b)で熱処理を行わずに冷却を行った以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔比較例4〕
(溶解工程)における温度を90℃、時間を240分行って(工程a)とし、(重合工程)後の(工程a)は行わなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔比較例5〕〜〔比較例6〕
(工程a)における、熱処理温度と熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔比較例7〕〜〔比較例10〕
(工程b)における、熱処理温度と温度変動幅、熱処理時間を表2のように制御した以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
〔比較例11〕
(工程b)において熱処理を行う代わりに、徐冷を行った。徐冷条件は(工程a)終了後に、100℃から毎分0.5℃で70℃まで冷却を行い、70℃から50℃は毎分0.1℃で冷却を行い、50℃から30℃までは毎分0.25℃で冷却を行った。それ以外は
実施例1と同様の方法でトナーを作製した。熱物性測定結果を表3に、評価結果を表4に示す。
Figure 2015028616
Figure 2015028616
Figure 2015028616
表4より明らかなように、本発明の「実施例1〜14」のトナーは「比較例1〜11」のトナーと比較して、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れている。また、本発明のトナーの製造方法により得られたトナーは、低温定着性と耐熱保存性のバランスがとれ、定着画像の信頼性にも優れる。

Claims (11)

  1. 結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーであって、
    示差走査熱量計により測定された
    該トナーの第1昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W1℃と、
    第2昇温過程における該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅W2℃と、
    の比W1/W2が、0.50以上0.90以下である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 該第1昇温過程における該吸熱ピークの吸熱量Q1J/gと、該第2昇温過程における該吸熱ピークの吸熱量Q2J/gとの比Q1/Q2が、1.1以上1.5以下であり、
    該示差走査熱量計により測定されたトナーの第1昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg1℃と、第2昇温過程における補外ガラス転移開始温度Tg2℃との差Tg1−Tg2が、5.0℃以上15.0℃以下である
    請求項1に記載のトナー。
  3. 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅が、2.0℃以上12.0℃以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークのピーク温度が、60℃以上90℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 該結着樹脂が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体またはスチレン−メタクリル酸エステル共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 該炭化水素ワックスの含有量が、該結着樹脂100質量部に対して20質量部以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナーを製造する方法であって、
    結着樹脂、着色剤および炭化水素ワックスを含むトナーの製造方法であって、
    下記(工程a)および(工程b)の条件でトナーを熱処理する工程を含み、
    下記(工程a)を下記(工程b)より前に行う
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
    (工程a)該結着樹脂と該炭化水素ワックスの存在下で示差走査熱量計により測定された該炭化水素ワックスの補外融解終了温度よりも10℃以上高い温度で該トナーを60分間以上熱処理する工程。
    (工程b)示差走査熱量計により測定された、該炭化水素ワックスの結晶化に由来する発熱ピークの温度範囲内の温度であって、かつ、該炭化水素ワックスの補外融解開始温度未満の温度を中心として、温度変動幅が4.0℃以下となるように該トナーを60分間以上熱処理する工程。
  8. 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワックスの融解に由来する吸熱ピークの半値幅が、2.0℃以上12.0℃以下である請求項7に記載のトナーの製造方法。
  9. 該炭化水素ワックスを単独で示差走査熱量計により測定したときの、該炭化水素ワック
    スの融解に由来する吸熱ピークのピーク温度が、60℃以上90℃以下である請求項7または8に記載のトナーの製造方法。
  10. 該結着樹脂が、スチレン−アクリル酸エステル共重合体またはスチレン−メタクリル酸エステル共重合体である請求項7〜9のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  11. 該炭化水素ワックスの含有量が、該結着樹脂100質量部に対して20質量部以下である請求項7〜10のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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