JP2006267142A - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 Download PDF

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洋介 鶴見
Yuka Ishihara
由架 石原
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Abstract

【課題】 低温定着性と保存性、流動性に優れた性能を示す電子写真用トナー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 結着樹脂、着色剤及び低融点化合物を少なくとも含有する静電荷像現像用トナーであって、該低融点化合物がトナー内に最大長が0.1〜1μmのドメインを有し、該静電荷像現像用トナーの1回目の昇温時の示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をA、2回目の昇温時のDSC吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をBとしたとき、B/Aが式(1)の関係にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
0.01<B/A<0.5 (1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真法で用いられる静電荷像現像用トナーおよびその製造方法に関する。
電子写真方式による静電荷像を経て画像情報を可視化する画像形成方法は、現在様々な分野で利用されている。近年、デジタル化や高度な画像処理技術の進展が進み、より高画質を得るための技術が要求されている。
この様な、高画質化の要求に対して、静電荷像現像用(電子写真用)トナーの小径化、粒度分布の均一化が進められている。しかしながら、従来の混練粉砕法では小径化に限界があり、また粒度分布の均一化についても、分級工程を経てもなお、十分に高画質化に対応できるものではない。
一方では環境を重視した、低エネルギー、低コスト、ロングライフも静電荷現像用トナーに求められている。特に、CO2削減は環境面で重要であり、静電荷像現像用トナーによる達成手段としては、定着技術の観点では、定着工程を低い温度で行う低温定着が挙げられる。
低温定着を達成する方法としては、トナーの結着樹脂に低いガラス転移点のものを用いる方法が一般的に行われている。しかしながら、低ガラス転移点の結着樹脂を用いたトナーは、低温定着性は得られるものの、トナーの保管性や現像機内での凝集性、固着性といったトナーの安定性を著しく悪化させてしまう。
また、低温定着を達成する手段として、特許文献1や特許文献2に結着樹脂として結晶性樹脂を用いる方法が提案されている。これらの方法は、定着温度を下げることは可能であるが、定着時に溶融したトナーが紙中に染み込みすぎて、均一で高濃度の画像が得られないという問題が生じる。
更に、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、非晶性樹脂と併用する技術が数多く提案されている。例えば、特許文献3では、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術が開示され、特許文献4〜7では、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した重合体を用いる技術が開示されている。しかし、非晶性樹脂が結晶性樹脂より多い場合には、非晶性樹脂が連続相となり結晶性樹脂が分散相となるが、この場合、トナー全体の溶融は非晶性樹脂の軟化温度に支配され、低温定着は困難である。逆に、結晶性樹脂が非晶性樹脂よりも多い場合は、非晶性樹脂を併用することによる効果が十分に得られない。
また、低温定着を低融点ワックスを使用することにより達成しようとする提案が、特許文献8や特許文献9に示されている。これらの方法は、ワックスを離型剤として用い、定着時に溶融したワックスが画像表面に染み出すことにより剥離性を持たせる方法であるが、これらの方法では、ワックスの溶融粘度が低くなりオフセットが生じやすく、また、融点よりも十分に高い温度でしか効果が無い。更には、結着樹脂とワックスの相溶性や結着樹脂の溶融粘度にワックスの染み出しが依存し、低温定着への達成手段となりにくいのが現状である。
特公平4−24702号公報 特開平9−329917号公報 特開平2−79860号公報 特開平1−163756号公報 特開平4−81770号公報 特開平4−155351号公報 特開平5−44032号公報 特開平4−107567号公報 特開平8−114942号公報
本発明は、上記の問題点を解消した静電荷像現像用トナーおよびその製造方法を提供するものである。即ち、本発明の目的は、低温定着性と保存性、流動性に優れた性能を示す静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明者は上記従来技術における問題点を克服するために鋭意検討した結果、以下の(1)により上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。好ましい実施態様である(2)〜(4)と共に以下に記載する。
(1)結着樹脂、着色剤及び低融点化合物を少なくとも含有する静電荷像現像用トナーであって、該低融点化合物がトナー内に最大長が0.1〜1μmのドメインを有し、該静電荷像現像用トナーの1回目の昇温時の示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をA、2回目の昇温時のDSC吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をBとしたとき、B/Aが式(1)の関係にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
0.01<B/A<0.5 (1)
(2)前記低融点化合物由来の吸熱ピーク面積Bに対して、20℃〜60℃のピーク面積が、面積Bの2.0%〜20.0%である(1)に記載の静電荷像現像用トナー、
(3)離型剤を含有する(1)または(2)に記載の静電荷像現像用トナー、
(4)少なくとも結着樹脂粒子、着色剤粒子および低融点化合物粒子を水系分散媒中に分散する分散工程、分散した粒子を金属イオンによって凝集させる凝集工程、および凝集粒子を熱融着する熱融着工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該熱融着工程が前記低融点化合物の融点以下の温度で行われる(1)〜(3)いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の静電荷像現像用トナーは、低温定着性と保存性、流動性に優れた性能を両立することができる。
本発明の静電荷像現像用トナー(本明細書において、単に「トナー」ともいう。)は、結着樹脂、着色剤及び低融点化合物を少なくとも含有する静電荷像現像用トナーであって、該低融点化合物がトナー内に最大長が0.1〜1μmのドメインを有し、該静電荷像現像用トナーの1回目の昇温時の示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をA、2回目の昇温時のDSC吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をBとしたとき、B/Aが式(1)の関係にあることを特徴とする。
0.01<B/A<0.5 (1)
以下に本発明の静電荷像現像用トナーに使用される各成分、静電荷像現像用トナー及びその製造方法について詳述する。
(低融点化合物)
本発明に使用する低融点化合物は、静電荷像現像用トナーに含有されたときに、該静電荷像現像用トナーの1回目の昇温時の示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をA、2回目の昇温時のDSC吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をBとしたとき、0.01<B/A<0.5の関係にある。好ましくは、0.05<B/A<0.3である。
上記関係をもつ低融点化合物は、該トナーの結着樹脂との相溶性が良く、定着時に結着樹脂に対し相溶し、可塑化を行う。その結果、本発明のトナーは良好な低温定着性を示す。
B/Aが0.01以下である場合、トナーの結着樹脂の可塑化が大きすぎて粉体流動性や、保管安定性を悪化させてしまう。逆にB/Aが0.5以上の場合、トナーの結着樹脂の溶融粘度低下が不十分で、低温定着性に優れたトナーが得られない。
図1(a)は、1回目の昇温時の示唆走査熱量計により測定される吸熱曲線を模式的に表した一例である。また、図1(b)は、2回目の昇温時の示唆走査熱量計により測定される吸熱曲線を模式的に表した一例である。
DSCによる1回目の昇温では低融点化合物のピークが多く存在することから、トナーの状態では、低融点化合物と結着樹脂との相溶はあまり行われていない状態であり、トナーの粉体特性や現像機内での粒子安定性は保持されている。これに対し、DSCの2回目の昇温で低融点化合物由来のピーク面積が減少することから、2回目昇温時には、低融点化合物と結着樹脂が相溶した状態となっていると考えられる。即ち、溶融状態(1回目の昇温)での低融点化合物と結着樹脂との相溶が行われたと考えられる。B/Aを制御することで、より低温での定着が可能となり、トナーの粉体特性や保存性、流動性と低温定着性が両立できる。
上記のDCS吸熱曲線および吸熱ピークの測定はパーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC−7を用いて行うことができる。具体的には、装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、ASTM D3418−82に則して、昇温速度10℃/minで測定する。室温付近から150℃まで昇温させたときに得られる1回目の昇温時のDSC吸熱曲線と、150℃から−30℃まで降温させ、前履歴を取り除いた後、同様に昇温させたときに得られる2回目の昇温時のDSC吸熱曲線を使用する。尚、上記の測定において、降温は同様に10℃/minにて行う。
測定されたDSC吸熱曲線より、吸熱ピーク面積を以下のようにして得ることができる。即ちDSC吸熱曲線の60℃〜100℃の温度範囲のベースラインと吸熱曲線で挟まれる領域の面積を測定することにより、60℃〜100℃の吸熱ピーク面積であるA(1回目昇温時)及びB(2回目昇温時)が得られる。
図1(a)及び図1(b)において、吸熱曲線とベースラインで挟まれる領域は斜線で示されている。斜線部のうち、60℃と100℃からの点線で囲まれた領域をそれぞれ面積A及び面積Bをする。
また、該低融点化合物は、融点が60〜100℃であることが好ましい。より好ましい融点は75〜90℃である。
融点はDSC吸熱曲線から測定できる。前記DSC吸熱曲線測定と同様にパーキンエルマー社製のDSC−7を用い、ASTM D3418−82に則して、室温付近から10℃/minの昇温速度で150℃まで昇温し、次いで−30℃まで10℃/minの速度で降温し、更に150℃まで再び昇温する。2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度を融点とする。
融点が上記範囲内であると、結着樹脂の可塑化が適度に行われ、トナーの保存性や流動性が良好であるので好ましい。また、低温定着時における結着樹脂の可塑化が十分であり、画像欠損を生じ難いので好ましい。即ち、融点が60〜100℃の範囲にあると、トナーにしたときの結着樹脂の可塑化が過度に行われず、良好なトナー粉体特性、保存性、流動性が得られ、また、低温定着時の低融点化合物の溶融が良好であり、好ましい。
該低融点化合物は、同様にDSCで測定される2回目昇温時の吸熱曲線の60℃〜100℃の吸熱ピーク面積(B)に対して、該低融点化合物由来の2回目の昇温時の20℃〜60℃以下のピーク面積が、面積Bの2.0〜20.0%であることが好ましい。より好ましくは、5.0〜15.0%である。20℃〜60℃以下のピーク面積が面積(B)の2.0〜20.0%の範囲にあると、低融点化合物による結着樹脂の可塑化が良好であり、好ましい。
図1(b)を参照すれば、20℃〜60℃の吸熱ピーク面積(図の斜線部)と60℃〜100℃の吸熱ピーク面積(図の斜線部)を指す。尚、発熱ピーク面積についてはこれを吸熱ピーク面積としては考慮しないものである。
低融点化合物は、トナー内に最大長が0.1〜1μmのドメインを有する。0.2〜0.8μmであることが好ましく、0.3〜0.6μmであることがより好ましい。このようなドメインを有するとトナーの状態では結着樹脂と相溶しておらず、トナーの粉体特性や保存性、流動性が良好である。また、最大長が上記範囲内であると、低融点化合物のトナー表面への顔出しが少なく流動性や熱特性に好適である。
トナー内の低融点化合物のドメインは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて次のようにして確認できる。まず、トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばLEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。更に、この観察用サンプルを四酸化ルテニウム雰囲気下となっているデシケーター内に放置し、染色を行う。染色の判断は、同時に放置したテープの染色具合により判断できる。この様にして染色された観察サンプルをTEMにより観察することができる。(約5000倍)。このとき、四酸化ルテニウムで染色することで、その濃淡から結着樹脂や離型剤と判別することができる。
前記に用いられる低融点化合物を具体的に挙げると以下のようになる。低分子量のポリオレフィン系化合物の酸化物または酸付加物、或いは脂肪酸エステル、アミド化合物、高級アルコールなどを挙げることができる。
本発明で用いられる低融点化合物は、分子中に極性基を有することが好ましい。好ましい極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基が挙げられる。
本発明で用いる低融点化合物は、より好ましくは、分子中に極性基を持つエステル化合物、アミド化合物である。極性の強い低融点化合物は結着樹脂との相溶性が良いため好ましい。
本発明の低融点化合物は、静電荷像現像用トナー中にトナー固形分に対して1〜20重量%の範囲で含有させることにが好ましい。上記範囲にあると、低温定着とトナー粉体特性、保存性、流動性を両立させることができるので好ましい。更に好ましい範囲は、5〜15重量%である。
これらの低融点化合物を、水中にイオン性界面活性剤、高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱しながら、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断を付与して微粒子化することにより、1μm以下の低融点化合物粒子の分散液を作製することができる。この分散液中の低融点化合物粒子の粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)で測定することができる。後述する離型剤についても同様にして分散液を調製することができる。
(結着樹脂)
本発明に用いられる結着樹脂(以下、単に樹脂ともいう。)または結着樹脂粒子(以下、樹脂微粒子ともいう。)は、特に制限はないが、一般に乳化重合法などによりイオン性界面活性剤を含有する樹脂微粒子分散液を調製して使用する。また、溶剤に溶解した後、水媒体に相転する相転乳化や、樹脂の極性や添加剤を利用した自己乳化法による樹脂微粒子分散液を用いても良い。
本発明で使用する樹脂または樹脂微粒子として使用できる重合体は多岐にわたり特に制限はないが、ビニル系単量体を含むエチレン性不飽和単量体の単独重合体または共重合体が好ましく使用できる。これらの単独重合体または共重合体を構成する単量体としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β―カルボキシエチルアクリレートが例示できる。これらの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上共重合して得られる共重合体、さらにはこれらの混合物を使用することができる。
また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、これらと前記エチレン性不飽和付加重合体樹脂との混合物や、これらの共存下でエチレン性不飽和単量体を重合して得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
重合開始剤としては、いずれか適当な重合開始剤、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤、ドデカンチオール等のチオール類、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等が挙げられる。
一方、本発明のトナーにおいてポリエステル樹脂を用いることも好ましい。ポリエステル樹脂においては、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いるポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールから合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造とするためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
本発明で使用する結着樹脂のガラス転移温度(ガラス転移点)は50〜70℃であることが好ましく、55〜65℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であると、低温定着に好適であるので好ましい。
本発明に使用する結着樹脂の重量平均分子量Mwは、5,000〜50,000であることが好ましく、特にビニル系単量体を含むエチレン性不飽和単量体の単独重合体または共重合体(ビニル系樹脂)の場合には8,000〜40,000であることがより好ましく、ポリエステル樹脂の場合には8,000〜30,000であることがより好ましい。
エチレン性不飽和単量体を重合する場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂微粒子分散液を作製することができる。また、その他の樹脂の場合は、油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば樹脂をそれらの溶剤に溶かして水中にイオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機で水中に微粒子として分散させ、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂微粒子分散液を作製することができる。これらの分散液中の樹脂微粒子の粒径は例えばレーザー回析式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)で測定することができる。
分散液中の樹脂微粒子の粒径は、100〜300nmであることが好ましく、150〜250nmであることがより好ましい。粒径が上記範囲内であると、得られるトナーの粒度分布が狭く、また、遊離粒子を生じず、トナーの性能や信頼性が向上するので好ましい。
(着色剤)
本発明に使用する着色剤は公知のものを使用でき、例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピクメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
さらに、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
本発明に使用される着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。着色剤の添加量は、トナーの結着樹脂100重量%に対して1〜20重量%の範囲で添加される。黒色着色剤として磁性体を用いるときには、他の着色剤とは異なり、30〜100重量%の範囲で添加される。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性粉末、又はフェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。特に、本発明では、水層中でトナーを得るために、磁性体の水層移行性が重要である。好ましくは表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
また、これらの着色剤は単独で、又は混合し、さらには固溶体の状態でも使用できる。これらの着色剤は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
また、これら着色剤粒子は、極性を有する界面活性剤を用い、前記ホモジナイザーで水系溶媒に分散されることが好ましい。
着色剤粒子の体積平均粒子径は100〜300nmであることが好ましく、より好ましくは150〜250nmである。体積平均粒子径を上記範囲内とすることでトナーの発色性、色再現性、OHP透過性等を向上させることができるので好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、上記の結着樹脂、着色剤および低融点化合物の他に、必要に応じて離型剤や内添剤、帯電制御剤、無機微粒子、有機微粒子、滑剤、研磨材などの添加剤を含有することが可能である。
(離型剤)
本発明のトナーに離型剤を含有させることは定着時の剥離性を向上させるため好ましい。離型剤として使用する具体的な物質を例示すると以下のようになる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量のポリオレフィン系ワックスやカルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物、石油系ワックス及びそれらの変性物などを挙げることができる。
好ましくはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックスであり、特に好ましくは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが使用できる。パラフィンワックス、ポリエチレンワックスのように分極が小さな離型剤は、トナーの結着樹脂との親和性が低く、定着時の離型剤染み出しが容易に行われるため好ましい。
これらの離型剤は、酸価及び水酸基価が3以下が好ましい。更に好ましくは酸価、水酸基価ともに0.1未満である。この酸価、水酸基価がこの条件を満たしていると、結着樹脂及び前記の低融点化合物との親和性が小さいために両者の相溶を邪魔しない。また、結着樹脂との親和性が小さいことから、定着時に画像表面に染み出しやすく、離型が容易で好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーに使用する離型剤の融点は、60〜120℃であることが好ましく、85〜100℃であることがより好ましい。
また、分散液中の離型剤粒子の体積平均粒子径は150〜300nmであることが好ましく、180〜300nmであることがより好ましい。体積平均粒径が上記範囲内であると、トナー粒子間の組成の偏在を抑制することができ、トナーの性能や信頼性が向上するので好ましい。尚、前記平均体積粒径は、レーザー回折式粒度分布測定器や遠心式粒度分布測定器などを用いて測定することができる。
(帯電制御剤)
本発明では、トナーの帯電性を一層向上させ安定化させるために帯電制御剤を配合することができる。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料などを使用することができるが、凝集や熱融着時の安定性に影響するイオン強度の制御、廃水の汚染低減のためには、水に溶解しにくい材料の方が好ましい。
(無機微粒子、有機微粒子)
本発明では、トナーの帯電性安定化のために、湿式で無機微粒子を添加することができる。無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基に分散して使用することができる。
また、流動性付与やクリーニング性向上の目的で、通常トナーの製造におけると同様に、トナーを乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの有機微粒子を乾燥状態で剪断力をかけてトナー表面に添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることができる。
本発明のトナーは、製造方法に限定されず、何れの方法によっても製造することができるが、以下の方法で製造されることが好ましい。即ち、少なくとも結着樹脂粒子、着色剤粒子および低融点化合物粒子を水系分散媒中に分散する分散工程、分散した粒子を金属イオンによって凝集させる凝集工程、および凝集粒子を熱融着する熱融着工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、該熱融着工程が前記低融点化合物の融点以下の温度で行われる製造方法であることが好ましい。
熱融着が前記低融点化合物の融点以下の温度で行われると、トナー中では前記低融点化合物がトナーの結着樹脂との相溶性をあまり示さず、結着樹脂を可塑化しないため好ましい。また、トナー中のドメイン1個の大きさが小さくなり、分散も良好で、定着時に均一に結着樹脂を可塑化し、良好な低温定着性を得られるため好ましい。これらの効果により、トナーの状態では、結着樹脂の可塑化があまり行われずにトナー流動性や保管性が良好であり、定着時に結着樹脂の可塑化が進み、低温定着が良好なトナーを得ることができるので好ましい。
尚、低融点化合物の融点は、低融点化合物を単体で測定し、前述したように、パーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC−7を用いて行うことができる。具体的には、装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、ASTM D3418−82に則して、昇温速度10℃/minで測定する。室温付近から150℃まで昇温させたときに得られる1回目の昇温時のDSC吸熱曲線と、150℃から−30℃まで降温させ、前履歴を取り除いた後、同様に昇温させたときに得られる2回目の昇温時のDSC吸熱曲線を使用する。尚、上記の測定において、降温は同様に10℃/minにて行う。低融点化合物の融点は、2回目の昇温時の吸熱ピーク温度である。
上記の分散工程では、結着樹脂粒子、着色剤粒子および低融点化合物粒子をそれぞれ水系分散媒中に分散することが好ましい。即ち、結着樹脂粒子分散液(以下、樹脂微粒子分散液ともいう。)、着色剤粒子分散液および低融点化合物粒子分散液を作製し、これを混合することが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法では、さらに離型剤を添加することが好ましく、離型剤粒子は分散工程で添加することが好ましい。即ち、結着樹脂粒子、着色剤粒子、低融点化合物粒子および離型剤粒子をそれぞれ水系分散媒中に分散し(分散工程)、これらの分散液の混合溶液を金属イオンによって凝集させ(凝集工程)、さらに凝集粒子を熱融着して(熱融着工程)製造することが好ましい。
他の添加剤は、結着樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、低融点化合物粒子分散液または離型剤粒子分散液中のいずれかに分散させてもよいし、添加剤を分散させてなる分散液を添加して混合してもよい。
また、イオン界面活性剤を含む樹脂微粒子分散液を、着色剤粒子分散液及び低融点化合物粒子分散液と混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を熱融着し、洗浄、乾燥してトナーを得ることができる。
また、以下の方法でトナーを得ることも好ましい。樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液及び低融点化合物粒子分散液を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、結着樹脂のガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定化する。第2段階としてイオン的バランスのずれを補填するような極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂微粒子と追加樹脂微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま合一させたものでも良い。更に、この凝集の段階的操作は複数回繰り返し実施してもよい。この2段階法は低融点化合物と着色剤の内包性を向上させるのに有効である。
前記の2段階法について詳述すると、前記凝集工程と熱融着工程との間に、凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)をさらに含むものである。
付着工程では、凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、微粒子分散液を添加混合して、凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される微粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本明細書では「追加微粒子」と記載する場合がある。追加微粒子としては、樹脂微粒子の他に低融点化合物粒子、離型剤粒子、着色剤粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。微粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、微粒子(追加微粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布をシャープにすることができ、高画質化に寄与する。
また、付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や低融点化合物などの内添物のトナー表面露出を低減でき、結果として帯電性や寿命を向上させることができる。さらに、熱融着工程における融着時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融着時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善可能となる点で有利である。さらに、この方法を用いれば、熱融着工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
前記凝集粒子の凝集工程及び/または各種微粒子の付着工程においては、分散液の極性を調整するイオン性界面活性剤の種類と量とを選択して、凝集及び/または付着の程度を制御することができる。例えば、アニオン性界面活性剤を含有する溶液に樹脂微粒子を分散させ、カチオン性界面活性剤を含有する溶液に着色剤を分散させ、そして、両者を混合することにより、樹脂微粒子と着色剤粒子等を凝集させることができる。
また、混合される分散液に含まれるイオン性界面活性剤の極性及び配合量のバランスを予めずらしておき、そのバランスのずれを補填するような極性及び量のイオン性界面活性剤を添加することにより凝集及び/または付着を行うことも可能である。
凝集工程では、極性の異なる樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液と低融点化合物粒子分散液、および必要に応じて離型剤粒子分散液とを混合して凝集粒子を形成する方法や、樹脂微粒子、着色剤、低融点化合物および必要に応じて離型剤粒子分散液を混合してなる分散液に対し、該分散液とは異なる極性を有する界面活性剤を添加して凝集粒子を形成する方法などを採用することができる。
熱融着工程は、低融点化合物の2回目の昇温時におけるDSC曲線から測定される低融点化合物化合物の吸熱ピーク温度、即ち融点以下で行われることが定着性を確保できる点で好ましい。低融点化合物化合物の吸熱ピーク温度、即ち融点以下で行われることにより、過度に相溶が進まないためであると推定される。また、熱融着工程は結着樹脂のガラス転移点以上の温度で行われることが好ましい。
本発明では、熱融着の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得ることができるが、洗浄工程は、帯電性を発現・維持するため、十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
分散工程で使用される分散媒は水系分散媒であり、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水を主成分とし、アルコールなどの水混和性溶媒を少量(30容量%以下)含んでいても良い。水混和性溶媒は、1種単独で含んでも良く、2種以上を併用してもよい。
前記凝集工程で用いる金属イオンとしては、2価以上の電荷を有する無機金属塩を使用することができる。前記無機金属塩を構成する金属元素は、周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号では、第2族〜第8族、第11族〜第13族に相当)に属する2価以上の電荷を有するものである。
具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属重合体などを上げることができる。その中でも、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上で、同じ価数のときにも重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
前記凝集剤の添加量は、本発明を阻害しない範囲であれば特に限定されるものではないが、具体的には、分散液に対して0.01〜10質量%の範囲、好ましくは0.05〜5質量%の範囲、より好ましくは0.1〜2質量%の範囲である。添加量が0.01質量%を下回ると、結着樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、低融点化合物粒子分散液等の分散液が不安定になり、その結果、凝集を生じたり、また、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生ずるなどの問題がある。また、10質量%を超えると、凝集粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になる。
本発明のトナーの製造方法において、樹脂微粒子の乳化重合、着色剤の分散、樹脂微粒子の添加分散、低融点化合物や離型剤の分散、それらの凝集、又は、その安定化などの目的で用いる界面活性剤を例示すると、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、及びアミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤を使用することができる。また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。これらの分散手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
本発明におけるトナーの酸価は、低融点化合物粒子、着色剤粒子等のトナー中への内包性を向上させ、安定させるばかりではなく、帯電性にも重要であり、5〜50mg−KOHの範囲が好ましい。酸価が上記の範囲にあると、低融点化合物粒子、着色剤粒子等の内包性、安定性が向上し適切な帯電が得られる。また、酸価を付与する成分が適量であり、架橋を生じないため良好な定着性が得られる。
本発明のトナーは、トナー粒子の体積平均粒径D50vが3〜9μmの範囲であることが好ましい。その体積平均粒度分布指標GSDv(D84v/D16v)が1.30以下であることが好ましく、また、その体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が0.95以上であることが好ましい。いずれの場合にも、画質の細線再現性に優れた画像を形成できる静電荷現像用トナーの提供を可能にする。更に好ましい範囲は、D50vが4〜8μm、GSDvが1.0〜1.28、GSDv/GSDpが0.95〜1.2である。本発明のトナーの体積平均粒径D50vが上記の範囲内にあると、トナーの帯電性が適切となり、良好な現像性が得ら、高い解像力が得られる。体積平均粒度分布指標GSDvが上記の範囲内にあると、高い解像力が得られる。体積平均粒度分布指標と数平均粒度分布指標の比(GSDv/GSDp)が上記の範囲内にあると、良好な帯電性が得られ、トナーの飛散、カブリ等の画像欠陥が生じないので好ましい。
本発明において、体積平均粒径、体積平均粒度分布指標及び数平均粒度分布指標は、例えばコールターカウンターTA−II(ベックマン−コールター社製)、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定することができる。粒度分布は分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数、それぞれに小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を体積平均粒径D16v、数平均粒径D16pと定義し、また累積84%となる粒径を体積平均粒径D84v、数平均粒径D84pと定義し、これらを用いて体積平均粒度分布指標GSDvはD84v/D16vより求め、数平均粒度分布指標GSDpはD84p/D16pより算出した。
本発明の静電荷像現像用トナーは、不定形から球形までの何れのものも使用することができるが、本発明のトナーの形状係数SF1を110〜140の範囲にすることにより、現像性、および転写性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することができるので好ましい。形状係数SF1のより好ましい範囲は、125〜138である。形状係数SF1は、形状係数の平均値であり、次の方法で算出する。スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて、周囲長および投影面積から、下記式によりSF1を求め、平均値を得たものである。
Figure 2006267142
式中、MLはトナー粒子の周囲長を示し、Aは粒子の投影面積を示す。
本発明の静電荷現像用トナーの帯電量は絶対値で、20〜80μC/gの範囲が好ましく、25〜35μC/gの範囲がさらに好ましい。帯電量がこの範囲にあると、背景汚れ(カブリ)が発生しにくく、また良好な画像濃度が得られるので好ましい。
静電荷現像用トナーの夏場(高温高湿)における帯電量と冬場(低温低湿)における帯電量の比は、0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.7〜1.3の範囲が更に好ましい。この範囲にあると帯電性の環境依存性が低く、帯電の安定性が良好であるので好ましい。
本発明のトナーのガラス転移点(Tg)は49〜60℃が好ましい。更に好ましくは51〜56℃である。Tgが49〜60℃の範囲であれば、トナーの保存性やドキュメントオフセットなどの画像耐久性に良好で好ましく使用できる。
本発明のトナーは、現像装置内に帯電付与構造をもつ一般に一成分現像剤という使用方法で使用されるのに加え、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と呼ばれる方式でも使用される。キャリアは、フェライト、鉄粉などを芯剤として、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ましい。用いられる芯材(キャリア芯材)は、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キャリア芯材の体積平均粒径としては、トナーの体積平均粒径の3〜10倍が好ましい。
被覆樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。またこれらの共重合樹脂でもかまわない。キャリアの被膜樹脂としては上述樹脂中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また帯電を制御する目的で、樹脂微粒子や、無機微粒子などを被覆樹脂中に分散して使用してもよい。
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を微粒子化し被膜樹脂の融点以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。
上記方法により形成される樹脂被膜量は、キャリア芯材に対して0.5〜10重量%の量を被覆して用いられる。トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100の範囲であり、3:100〜20:100の範囲がより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は限定されるものではない。
本発明のトナーは、次の方法で製造した。即ち、下記の樹脂微粒子分散液(結着樹脂粒子分散液)、着色剤粒子分散液、低融点化合物粒子分散液および離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定量混合撹拌しながら、無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、上記各粒子の凝集体を形成した。無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から中性の範囲に調整した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し、熱融着させた。その後、十分な洗浄・固液分離・乾燥の工程を経て所望のトナーを得た。以下に、それぞれの材料の調製方法、凝集粒子の作製方法の具体例を示す。
(樹脂微粒子分散液1の調製)
(油層)
スチレン(和光純薬工業(株)製) 30重量部
アクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製) 10重量部
β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華(株)製) 1.3重量部
ドデカンチオール(和光純薬工業(株)製) 0.4重量部
(水層1)
イオン交換水 17重量部
アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル製) 0.4重量部
(水層2)
イオン交換水 40重量部
アニオン性界面活性剤(ダウファックス、ダウケミカル製) 0.05重量部
ペルオキソ二硫酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製) 0.4重量部
上記の油層成分と水層1の成分をフラスコに入れて攪拌混合し単量体乳化分散液とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で十分に置換し、攪拌をしながらオイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。反応容器内に上記の単量体乳化分散液を3時間かけて徐々に滴下し、乳化重合を行った。滴下終了後更に75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させた。
得られた樹脂微粒子は、レーザー回析式粒度分布測定装置LA−700((株)堀場製作所製)で樹脂微粒子の体積平均粒径D50vを測定したところ200nmであり、示差走査熱量計(DSC−7、パーキネルマー社製)を用いて昇温速度10℃/分で樹脂のガラス転移点を測定したところ56℃であり、分子量測定器(HLC−8020、東ソー(株)製)を用い、THFを溶媒として重量平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ15,000であった。
これにより体積平均粒径200nm、固形分42%、ガラス転移点56℃、重量平均分子量Mwが15,000の樹脂微粒子分散液1を得た。
(樹脂微粒子分散液2の調製)
エチレングリコール(和光純薬工業(株)製) 50重量部
ネオペンチルグリコール(和光純薬工業(株)製) 65重量部
テレフタル酸(和光純薬工業(株)製) 96重量部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2重量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に3時間脱水縮合反応を継続し、酸価が7.0mgKOH/g、重量平均分子量10,000、ガラス転移点60℃であるポリエステル樹脂を得た。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30%、ガラス転移点60℃、重量平均分子量Mwが10,000の樹脂微粒子分散液2を得た。
(着色剤粒子分散液の調製)
シアン顔料 10重量部
(C.I.PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製)
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2重量部
イオン交換水 80重量部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、(株)スギノマシン製)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤粒子分散液を得た。
(低融点化合物粒子分散液1の調製)
低融点化合物1 50重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2重量部
イオン交換水 200重量部
上記成分を120℃に加熱して、IKE社製、ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径225nm、固形分20%の低融点化合物粒子分散液1を得た。
(低融点化合物粒子分散液2〜6の調製)
低融点化合物1の代わりに、表1に示した低融点化合物2〜6を使用し、同様にして低融点化合物粒子分散液2〜6を得た。但し、低融点化合物3のみ、アニオン性界面活性剤をノニオン性界面活性剤(エマルゲン147、花王(株)製)、5重量部に代えて分散液を作製した。それぞれの分散液の低融点化合物粒子の体積平均粒径は次のとおりであった。尚、固形分はいずれも20%であった。
低融点化合物粒子分散液2 240nm
低融点化合物粒子分散液3 230nm
低融点化合物粒子分散液4 250nm
低融点化合物粒子分散液5 240nm
低融点化合物粒子分散液6 255nm
(離型剤粒子分散液の調製)
パラフィンワックス(HNP9、日本精鑞(株)製) 50重量部
アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2重量部
イオン交換水 200重量部
上記成分を120℃に加熱して、IKE社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径240nm、固形分20%の離型剤粒子分散液を得た。
〔実施例1〕
(トナー1の製造)
樹脂微粒子分散液1 150重量部
着色剤粒子分散液 30重量部
低融点化合物粒子分散液1 50重量部
ポリ塩化アルミニウム 0.4重量部
上記の成分を丸型ステンレス製フラスコ中でIKE社製のウルトラタラックスT50を用い十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で80分保持した後、ここに上記と同じ樹脂微粒子分散液1を緩やかに70重量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら82℃まで加熱して3時間保持した。降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに40℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、濾液のpHが6.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナーを得た。
トナー1の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.0μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は132で丸みを帯びたポテト形状であることが観察された。更に、このトナーに、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)微粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物微粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、静電荷像現像用トナー1を作製した。
(トナーのDSC吸熱曲線の測定)
トナーのDCS吸熱曲線の測定はパーキネルマー社製の示差熱走査熱量計DSC−7を用いて行った。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、ASTM D3418−82に則して、昇温速度10℃/minで測定した。室温付近から150℃まで昇温させたときに得られる1回目の昇温時のDSC吸熱曲線と、150℃から−30℃まで降温させ、前履歴を取り除いた後、同様に昇温させたときに得られる2回目の昇温時のDSC吸熱曲線を使用した。尚、上記の測定において、降温は同様に10℃/minにて行った。
また、2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度を融点とした。
このようにして得られたDSC曲線の1回目の昇温時の低融点化合物由来の60℃〜100℃の吸熱ピーク面積(A)と2回目の昇温時の60℃〜100℃のピーク面積(B)の比(B/A)を算出した。さらに、2回目の昇温時の低融点化合物由来の60℃〜100℃の吸熱ピーク面積に対する20℃〜60℃のピーク面積を測定した。
(トナーのドメインの観察)
トナー内の低融点化合物のドメインを、トナー粒子をマイクロトームによりスライスした試料を作製し、四酸化ルテニウム処理を施し、透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察・測定した(約5000倍)。
任意のトナー粒子100個について観察を行った。
(トナーの保存性、流動性)
製造されたトナーの保存性、流動性は以下の凝集度試験により確認した。
45℃の雰囲気下で24時間保存し、保存トナーを105μmの開口を有する網上に投入し、一定振動を加えて網上に残ったトナー量を測定した。凝集度を下記式に従って計算し、目標凝集度20%以下を合格とし、保存特性を判定した。
凝集度=(網上残量/投入量)×100
(定着性)
製造されたトナーの定着性として、定着温度90℃と180℃での画像欠損を確認した。
試験はDocuColor1250改造機を用いて、トナー載り量0.6g/m2に調整して画だしした後、オイル供給装置のない外部定着器を用いて、Nip幅6.5mm、定着速度90mm/secにて定着した。定着温度は定着ロール表面温度で制御し、90℃または180℃を設定温度とした。
90℃設定温度での結果を低温定着性能とし、定着画像を25mm×25mmのソリッドとして定着したのち、一定荷重の重りを用いて折り曲げし、その部分の画像欠損が無いものを○、わずかに筋上に欠損するものを△、折り曲げ部分が大きく欠損するものを×とし、更にオフセットが生じたものも×とした。
180℃設定温度で上記同様に定着したものが、オフセットしないものを○、薄っすらオフセットしたものを△、濃く画像がオフセットしたものを×とし、定着のラチチュードを確認した。
(試験結果)
トナー1のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー1のTEM写真を観察した結果、染色された低融点化合物は0.1〜1.0μmのドメインを有していた。
トナー1の凝集度は18%であり良好で、90℃の定着性は○、180℃での定着性は薄っすらオフセットし、△であった。
〔実施例2〕
実施例1において、低融点化合物粒子分散液1を使用する代わりに、低融点化合物粒子分散液2を同重量部使用し、また、樹脂微粒子分散液1の代わりに樹脂微粒子分散液2を200重量部すること及び融着温度を85℃にする以外は全く同様にしてトナー2を得た。
トナー2の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は128で球形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー2のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー2のTEM写真を観察した結果、染色された低融点化合物は0.1〜1.0μmのドメインを有していた。
このトナーの凝集度は18%であり良好で、90℃の定着性は○、180℃での定着性は薄っすらオフセットし、△であった。
〔実施例3〕
実施例1において、低融点化合物粒子分散液1を使用する代わりに、低融点化合物粒子分散液3を同重量部使用する以外は全く同様にしてトナー3を得た。
トナー3の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は130で丸みを帯びたポテト形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー3のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー3のTEM写真を観察した結果、染色された低融点化合物は0.1〜1.0μmのドメインを有していた。
このトナーの凝集度は20%であり良好で、90℃の定着性は折り曲げでやや欠損が生じ△、180℃での定着性は薄っすらオフセットし、△であった。
〔実施例4〕
実施例1において、低融点化合物粒子分散液1を投入の際に離型剤粒子分散液も同様に投入し、以降は全く同様にしてトナー4を得た。
トナー4の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は133でポテト形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー4のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー4のTEM写真を観察した結果、染色された低融点化合物は0.1〜1.0μmのドメインを有していた。
このトナーの凝集度は19%であり良好で、90℃の定着性は○、180℃での定着性は○であった。
〔比較例1〕
実施例1において、低融点化合物粒子分散液1を使用する代わりに、低融点化合物粒子分散液4を同重量部使用する以外は全く同様にしてトナー5を得た。
トナー5の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は132で丸みを帯びたポテト形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー5のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー5のTEM写真を観察した結果、低融点化合物のドメインは染色されず、その最大直径は1.0μmを超えていた。
このトナーの凝集度は20%であり良好で、90℃の定着性はオフセットを生じ×、180℃での定着性は薄っすらオフセットし、△であった。
〔比較例2〕
実施例2において、低融点化合物粒子分散液2を使用する代わりに、低融点化合物粒子分散液5を同重量部使用する以外は全く同様にしてトナー6を得た。
トナー6の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。ルーゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は129で丸みを帯びたポテト形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー6のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー6のTEM写真を観察した結果、低融点化合物のドメインは薄っすら染色され、その最大直径は0.1〜1.0μmをであった。
このトナーの凝集度は55%であり不良で、90℃の定着性はオフセットを生じ×、180℃での定着性はオフセットし、×であった。
〔比較例3〕
実施例1において、低融点化合物粒子分散液1を使用する代わりに、低融点化合物粒子分散液6を同重量部使用する以外は全く同様にしてトナー7を得た。
トナー7の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ6.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。ゼックス社製のルーゼックス画像解析装置で形状観察を行ったところ、粒子の形状係数SF1は135でポテト形状であることが観察された。
(試験結果)
トナー7のDSC吸熱曲線での測定結果を表1に示す。
トナー7のTEM写真を観察した結果、低融点化合物のドメインは染色されず、その最大直径は1.0μmを超えていた。
このトナーの凝集度は19%であり良好で、90℃の定着性はオフセットを生じ×、180℃での定着性は薄っすらオフセットし、△であった。
表1および表2に結果を示す。
Figure 2006267142
低融点化合物4は下記の通り作製した。
シェル製のフィッシャートロプシュワックスFT70を50g、トルエン250gをフラスコに入れ、90℃まで加熱した。1時間攪拌しながら放置したのち、90℃温度のままろ過を行い、固形物を回収した。更に2回繰り返し、低融点化合物4を得た。
Figure 2006267142
図1(a)は、1回目の昇温時の示唆走査熱量計により測定される吸熱曲線を模式的に表した一例である。また、図1(b)は、2回目の昇温時の示唆走査熱量計により測定される吸熱曲線を模式的に表した一例である。

Claims (4)

  1. 結着樹脂、着色剤及び低融点化合物を少なくとも含有する静電荷像現像用トナーであって、
    該低融点化合物がトナー内に最大長が0.1〜1μmのドメインを有し、
    該静電荷像現像用トナーの1回目の昇温時の示差走査熱量計(DSC)により測定される吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をA、2回目の昇温時のDSC吸熱曲線における該低融点化合物に由来する60℃〜100℃の吸熱ピーク面積をBとしたとき、B/Aが式(1)の関係にあることを特徴とする
    静電荷像現像用トナー。
    0.01<B/A<0.5 (1)
  2. 前記低融点化合物由来の吸熱ピーク面積Bに対して、20℃〜60℃のピーク面積が、面積Bの2.0%〜20.0%である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 離型剤を含有する請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 少なくとも結着樹脂粒子、着色剤粒子および低融点化合物粒子を水系分散媒中に分散する分散工程、
    分散した粒子を金属イオンによって凝集させる凝集工程、および
    凝集粒子を熱融着する熱融着工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    該熱融着工程が前記低融点化合物の融点以下の温度で行われる請求項1〜3いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017062414A (ja) * 2015-09-25 2017-03-30 富士ゼロックス株式会社 光輝性トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2018088001A (ja) * 2013-06-27 2018-06-07 キヤノン株式会社 トナーおよびトナーの製造方法
JP2018156095A (ja) * 2014-07-31 2018-10-04 三洋化成工業株式会社 トナーの製造方法

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