JP4525510B2 - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法で用いられる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
電子写真方式などによる静電荷像形成を経て画像情報を可視化する画像形成方法は、現在様々な分野で利用されている。また、デジタル化や高度な画像処理技術の進展が進み、更に高画質を得るための技術が要求されている。特にカラー機の普及が顕著であり、カラー現像を含めた高画質化がより要求されている。そして、この様な、高画質化の要求に対しては、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)の小径化、粒度分布の均一化が進められている。
一方、環境を重視した、低エネルギー、低コスト、ロングライフといった要求もトナーに対して強く求められている。特に、CO2削減は環境面で重要である。トナーによる達成手段としては、トナーの製造にかかるエネルギーを少なくすることが挙げられる。前記の混練粉砕法では、熱溶融による混練工程、粉砕工程、更には粒度の均一化を図るために分級工程が必要となり多くの製造エネルギーが必要になる。低エネルギーでトナーを製造する方法としては、水系分散媒に分散させた樹脂微粒子、着色剤微粒子などを金属イオンを用いて凝集させ、低温で熱融着させトナーを得る方法が考えられる。この方法では、高い熱による混練や、分級工程を必要とせずに、低いエネルギーでトナーを製造することが可能となる。
また、複写機やプリンターにおいて、低エネルギー化を考えたとき、定着工程を低い温度で行う低温定着が挙げられる。
低温定着をトナーにより達成する方法としては、トナーの結着樹脂に低いガラス転移点の樹脂を用いる方法が一般的に行われている。しかしながら、低ガラス転移点の結着樹脂を用いたトナーは、低温定着性は得られるものの、トナーの保管性や現像機内での凝集性、固着性といったトナーの安定性を著しく悪化させてしまう。
また、低温定着を達成する手段として、結晶性樹脂を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの方法は、定着温度を下げることは可能であるが、定着時に溶融したトナーが紙中に染み込みすぎて、均一で高濃度の画像が得られないという問題が生じる。
さらに、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、非晶性樹脂と併用する技術が数多く提案されている。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術や(例えば、特許文献3参照)、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した重合体を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献4〜7参照)。しかし、非晶性樹脂が結晶性樹脂より多い場合には、非晶性樹脂が連続相となり結晶性樹脂が分散相となるが、この場合、トナー全体の溶融は非晶性樹脂の軟化温度に支配され、低温定着は困難である。また、非晶質樹脂に対してより可塑性の高い結晶性樹脂を用いることで低温定着を可能にする場合、トナーの結着樹脂に低いガラス転移点の樹脂を用いるのと同様にトナーの安定性が損なわれ、同時に、結晶性樹脂の体積抵抗の低さから、特に高温高湿環境下での帯電性が悪く、転写性が悪くなる。
逆に、結晶性樹脂が非晶性樹脂よりも多い場合は、非晶性樹脂を併用することによる効果が十分に得られない。
また、低温定着を低融点ワックスを使用することにより達成しようとする提案がなされている(例えば、特許文献8、9参照)。これらの方法は、ワックスを離型剤として用い、定着時に溶融したワックスが画像表面に染み出すことにより剥離性を持たせる方法であるが、これらの方法では、ワックスの溶融粘度が低くなりオフセットが生じやすく、また、融点よりも十分に高い温度でしか効果が無い。更には、結着樹脂とワックスの相溶性や結着樹脂の溶融粘度にワックスの染み出しが依存し、低温定着への達成手段となりにくいのが現状である。
特公平4−24702号公報 特開平9−329917号公報 特開平2−79860号公報 特開平1−163756号公報 特開平4−81770号公報 特開平4−155351号公報 特開平5−44032号公報 特開平4−107567号公報 特開平8−114942号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、低温定着性と高温高湿環境下での優れた転写性能とを両立することができる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記従来技術における問題点を克服するために鋭意検討した結果、以下の手段により上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
<1> 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が結晶性樹脂を含み、該結晶性樹脂が、下記式1、式2、及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステル、及び/または、下記式2、式3及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステルである静電荷像現像用トナーである。
(式1)COOH−R1−S−R2−COOH
(式2)COOH−R3−COOH
(式3)OH−R4−S−R5−OH
(式4)OH−R6−OH
上記式中、R 3 、及びR 6は環構造を含んでもよい脂肪族炭化水素基、及び/または、芳香族炭化水素基を表し、 1 、R 2 、R 4 、及びR は炭素数が2〜4の範囲の直鎖アルキレン基を表す。これらは各々同一であっても異なっていてもよい。
<2> 前記結晶性ポリエステル中の硫黄原子含有モノマー比率が5〜20モル%の範囲であり、かつ、前記結晶性ポリエステルのエステル濃度が0.074〜0.105の範囲である<1>に記載の静電荷像現像用トナーである。
<3> さらに、離型剤を含む<1>に記載の静電荷像現像用トナーである。
<4> <1>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
水系分散媒中に少なくとも樹脂微粒子及び着色剤粒子を分散する分散工程と、分散した各粒子を凝集させて凝集粒子とする凝集工程と、該凝集粒子を熱融着する熱融着工程と、を含む静電荷像現像用トナーの製造方法である。
本発明によれば、低温定着性と高温高湿環境下での優れた転写性能とを両立することができる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が結晶性樹脂を含み、該結晶性樹脂が、下記式1、式2、及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステル、及び/または、下記式2、式3及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステルであることを特徴とする。
(式1)COOH−R1−S−R2−COOH
(式2)COOH−R3−COOH
(式3)OH−R4−S−R5−OH
(式4)OH−R6−OH
上記式中、R 3 、及びR 6は環構造を含んでもよい脂肪族炭化水素基、及び/または、芳香族炭化水素基を表し、 1 、R 2 、R 4 、及びR は炭素数が2〜4の範囲の直鎖アルキレン基を表す。これらは各々同一であっても異なっていてもよい。
すなわち、本発明の静電荷像現像用トナーは結着樹脂として結晶性樹脂を含有し、該結晶性樹脂は、上記モノマーを重合してなるためその分子中にS(硫黄原子)を含み、分子鎖中にチオエーテル構造を持つこととなる。分子鎖中にチオエーテル構造が入ることで、従来用いられていた通常の結晶性ポリエステルに比べ、低温定着性と帯電性とを高いレベルで両立できる。特に、チオエーテル構造が入ることで同じ定着性能をもつ単純なエステル基に基づく帯電の環境依存性に対して緩和される。
また、前記チオエーテル構造は感光体への付着性が良好であることから、特に高温高湿下での転写性が問題となるが、本発明においては、重合成分として硫黄原子を含むジカルボン酸と共に硫黄原子を含まないジカルボン酸を、あるいは、硫黄原子を含むジアルコールと共に硫黄原子を含まないジアルコールを用いることにより、チオエーテル構造の間隔、密度を一定範囲に制御することができ、高温高湿環境下での転写性低下を抑制することができる。
さらに、非晶性樹脂と本発明における結晶性樹脂とを併用する場合、温度に対する結晶の可逆性が、従来の結晶性ポリエステルよりも強く、低温定着性とトナー保存性との両立に有利である。
本発明における結晶性樹脂は、前記式1、式2、及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステル、及び/または、前記式2、式3及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステルである。具体的にその構成モノマーの組み合わせは、(1)S含有ジカルボン酸、Sを含有しないジカルボン酸及びSを含有しないジオール、または、(2)Sを含有しないジカルボン酸、S含有ジオール及びSを含有しないジオールからなり、本発明においては、これらの縮重合反応から得られた結晶性ポリエステルのいずれか、または(1)及び(2)の組み合わせからなるものの両方を用いることができる。
ただし、生成物の融点の観点からは、(1)のS含有ジカルボン酸を含む結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。
前記式1〜式4中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は環構造を含んでもよい脂肪族炭化水素基、及び/または、芳香族炭化水素基を表す。これらは同一であっても異なっていてもよい。
上記脂肪族炭化水素としては、炭素数が2〜4の範囲の直鎖アルキレン基、炭素数が5〜6の範囲の環構造を含む基などが好ましい。特に好ましくは、炭素数が2〜4の範囲の脂肪族飽和炭化水素である。
具体的には、前記S含有ジカルボン酸としては、3,3’−チオジプロピオン酸やチオジ酪酸などのチオカルボン酸、S含有ジオールとしては、2,2’−チオジエタノール、3,3’−チオジプロパノールなどのチオジアルコールが挙げられる。
なお、S含有ジカルボン酸やS含有ジオールとしては、式1、式3に示されるものを必須として含んでいればよく、3,3’−ジチオジプロピオン酸などのジチオジカルボン酸や2,2’−ジチオジエタノール、3,3’−ジチオジプロパノールなどのジチオジアルコールを、最終的な樹脂の全モノマーに対するモル比が0.1〜20モル%の範囲で含有してもかまわない。ジチオ成分は、樹脂の溶融粘度を低下させるため、低温定着には有利であるが、樹脂の体積抵抗を低くするため、帯電性能を悪化させる。しかし、上記範囲であれば、低温定着と高温高湿下での転写性とは両立できる。
また、上記と組み合わせるSを含有しないジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等不飽和脂肪族ジカルボン酸;リンゴ酸等のヒドロキシジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;などを挙げることができる。
これらの中で好ましくは、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸など、すなわち、メチレン基数が6〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸である。これらのジカルボン酸は、後述するエステル濃度を本発明の好ましい範囲に調整したとき、結晶性が強く、温度変化による結晶の可逆性を発現しやすいために好ましい。
また、前記と組み合わされるSを含有しないジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、ブンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ノナンジオール、ドデカンジオール等を挙げることができる。好ましくは、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール及びドデカンジオールなど、すなわち、メチレン基数が6〜12の飽和脂肪族ジアルコールである。これらのジオールも、エステル濃度を本発明の好ましい範囲に調整したとき、結晶性が高く、温度による可逆性を発現しやすいために好ましい。
本発明における結晶性樹脂は、このようなジカルボン酸及びジアルコールを重縮合して得られる結晶性ポリエステルである。
前記結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させる。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と供に重縮合させるとよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
このようにして重合して得られた結晶性ポリエステルの融点は55℃〜100℃の範囲であることが好ましく、60〜80℃の範囲であることがより好ましい。融点がこの範囲であると、低温定着性が良好で好適である。
上記融点は次のようにして測定できる。パーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC−7を用い、装置の検出部の温度補正にインジウム及び亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプル用としてはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、室温から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、150℃から−30℃まで10℃/minの速度で降温し、更に−30℃から150℃まで10℃/minの速度で昇温し、2回目の昇温時の最大吸熱ピーク温度を融点とした。
また、前記結晶性ポリエステルの重量平均分子量は5000〜30000の範囲であることが好ましく、5000〜18000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、同様に低温定着性が良好で好適である。
上記重量平均分子量は、THF(テトラヒドロフラン)可溶物を、東ソー(株)製のHLC−8020を用いて測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
具体的には、カラムとしてTSK gei,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶解液としてTHFを用い、測定条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
本発明における結晶性ポリエステルは、樹脂中のS(硫黄原子)含有モノマーの比率が5〜20モル%の範囲であることが好ましい。より好ましくは8〜12モル%の範囲である。S含有モノマーの比率が5〜20モル%の範囲にあると、低温定着性と高温高湿下の帯電性能とが良好であり好適である。一方、比率が5モル%未満であると、低温定着性を維持するためには、高温高湿下での帯電量が低下してしまう程に添加しなければならない場合がある。20モル%よりも多いと、前記チオエーテル構造の比率が高くなり現像後のトナーと感光体との付着性が高くなりすぎ、高温高湿下での転写効率が悪くなる場合がある。
また、前記結晶性ポリエステルのエステル濃度は0.074〜0.105の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.080〜0.090の範囲である。エステル濃度が0.074〜0.105の範囲であると、低温定着性と帯電性能とのバランスが良好であり好適である。一方、エステル濃度が0.074未満であると、エステル基に対する炭化水素基比率が多くなりすぎ、高温高湿下の帯電性能は良好なものの低温定着性は悪化する場合がある。エステル濃度が0.105より高くなると、エステル基に対する炭化水素基比率が少なくなり、低温定着性は良好なものの、高温高湿下での帯電量低下や感光体への付着性が高くなり、高温高湿下での転写性が悪化する場合がある。
本発明における上記エステル濃度は、該当ポリマーのエステル基数と高分子鎖を構成する炭素数との比で定義され、前記3種のモノマーから構成される結晶性ポリエステルでは下記式5または式6のように表される。
M=2/〔(Cad+Cal+2)÷m1〕+2/〔(Sad+Cal+2)÷(1−m1)〕 ・・・ (式5)
M=2/〔(Cad+Sal+2)÷m2〕+2/〔(Cad+Cal+2)÷(1−m2)〕 ・・・ (式6)
上式中のMはエステル濃度を表し、CadはSを含まないジカルボン酸モノマー中の炭素数、CalはSを含まないジアルコールモノマー中の炭素数、SadはSを含むジカルボン酸モノマー中の炭素数と硫黄原子数との和、SalはSを含むアルコールモノマー中の炭素数と硫黄原子数との和、m1は該当樹脂におけるSを含むジカルボン酸のジカルボン酸モノマー全体に対するモル比、m2は該当樹脂におけるSを含むジアルコールの全ジアルコールモノマーに対するモル比を各々表す。
以下に、本発明の静電荷像現像用トナーに使用されるその他の各成分、静電荷像現像用トナー及びその製造方法等について詳述する。
本発明のトナーにおける結着樹脂には、前記結晶性ポリエステル以外に非晶質のポリエステル樹脂を併用してもかまわない。非晶質ポリエステル樹脂を併用すると、トナーの保存性や、帯電の環境依存性が少なくなるため好ましい。
本発明に使用可能な非晶質ポリエステル樹脂は、例えば以下に例示される多価カルボン酸と多価アルコールとから合成される。但し、これに制限されるものではない。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;等が挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらの1種又は2種以上用いることができる。また、これら多価カルボン酸の中では、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好な定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが好ましく、ジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類;等が挙げられる。
多価アルコールとしてはこれらの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中では、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、芳香族ジオールがより好ましい。また、良好な定着性を確保するため架橋構造あるいは分岐構造をとることが好ましく、ジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を併用してもよい。
なお、前記多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸及び/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基及び/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
前記非晶質ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、前記結晶性ポリエステルにおいて説明した方法と同様の方法を用いることができる。
本発明で使用可能な非晶質ポリエステルのガラス転移点は52〜68℃の範囲であることが好ましく、55〜64℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であると、トナーの熱特性、粉体特性が好適であるので好ましい。
本発明で使用可能な非晶質ポリエステルの重量平均分子量Mwは、5000〜50000の範囲であることが好ましく、8000〜30000の範囲であることがより好ましい。
本発明において、結着樹脂中における結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルを含む場合、結晶性ポリエステル量Aの非晶性ポリエステル量Bに対する質量比(A/B)は10〜50%の範囲であることが好ましく、20〜35%の範囲であることがより好ましい。
A/Bにおける結晶性ポリエステル量が50%を超えると、帯電量の環境安定性が悪くなる場合がある。一方、10%に満たないと、低温定着に十分な溶融特性が得られない場合がある。
これらの結着樹脂をトナーに用いる場合の態様は、特に制限はないが、例えば後述する湿式での製造方法に用いる場合は、イオン性界面活性剤を含有する樹脂微粒子分散液を調製して使用する。該樹脂微粒子分散液は、溶剤に溶解した後、水系媒体に相転する相転乳化や、樹脂の極性や添加剤を利用した自己乳化法、或いは、樹脂の融点以上の温度で水系媒体とイオン性界面活性剤の下で溶融分散による樹脂微粒子分散液を用いても良い。
これらの樹脂微粒子分散液の体積平均粒径は120〜300nmの範囲であることが好ましく、160〜280nmの範囲であることがより好ましい。体積平均粒径が上記範囲内であると、得られるトナーの粒度分布が狭く、また遊離粒子を生じないため、トナーの性能や信頼性向上の点から好ましい。
なお、樹脂微粒子分散液の粒径は、堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置LA−700により測定することができる。
次に、本発明における着色剤について説明する。
本発明に使用可能な着色剤は、公知のものを使用でき、例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。また、黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピクメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
さらに、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。
本発明に使用される着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。着色剤の添加量は、トナーの結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲が好ましい。黒色着色剤として磁性体を用いるときには、他の着色剤とは異なり、30〜100質量部の範囲で添加されることが好ましい。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性粉末、又はフェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。特に本発明では、水層中でトナーを得るために、磁性体の水層移行性が重要である。好ましくは表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
これらの着色剤は、単独もしくは混合し、更には固溶体の状態で使用できる。これらの着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
更に、これらの着色剤が後述する湿式法によるトナー製造に用いられる場合には、極性を有する界面活性剤を用い、前記ホモジナイザーによって水系に着色剤粒子として分散される。
着色剤粒子の体積平均粒子径は120〜360nmであることが好ましく、より好ましくは160〜260nmである。体積平均粒子径を上記範囲内とすることでトナーの発色性、色再現性、OHP透過性等を向上させることができるので好ましい。前記平均体積粒径は、樹脂粒子同様にレーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定することができる。
本発明における着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。上記着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜20質量部の範囲が好ましい。
本発明においては、必要により離型剤を用いることができる。本発明のトナーに離型剤を含有させることは、定着時の剥離性を向上させるため好ましい。
離型剤として使用可能な物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量のポリオレフィン系ワックスやカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのうちでは、好ましくはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックスであり、特に好ましくは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが使用できる。パラフィンワックス、ポリエチレンワックスのように分極が小さな離型剤は、トナーの結着樹脂との親和性が低く、定着時の離型剤染み出しが容易に行われるため好ましい。
本発明のトナーに使用する離型剤の融点は、60〜120℃の範囲であることが好ましく、85〜105℃の範囲であることがより好ましい。また、離型剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対し4〜20質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲であることがより好ましい。
また、前記と同様、湿式のトナー製造に用いる場合は離型剤粒子の分散液とすることができ、離型剤粒子の体積平均粒子径は120〜360nmの範囲であることが好ましく、160〜300nmの範囲であることがより好ましい。体積平均粒径が上記範囲内であると、トナー粒子間の組成の偏在を抑制することができ、トナーの性能や信頼性が向上するので好ましい。尚、前記平均体積粒径は、樹脂粒子同様にレーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定することができる。
本発明のトナーに用いられ得る前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
まず本発明では、トナーの帯電性を一層向上させ安定化させるために帯電制御剤を配合することができる。帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料などを使用することができるが、凝集や熱融着時の安定性に影響するイオン強度の制御、廃水の汚染低減のためには、水に溶解しにくい材料の方がよい。
また本発明では、トナーの帯電性安定化のために、湿式で無機微粒子を添加することができる。無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外添剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基に分散して使用することができる。
また、流動性付与やクリーニング性向上の目的で、通常トナーの製造におけると同様に、トナーを乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの有機微粒子を乾燥状態で剪断力をかけてトナー表面に添加して流動性助剤やクリーニング助剤として用いることができる。
本発明の静電荷像現像用トナーを湿式法により作製する方法については後述する。
一方、混練粉砕法で本発明におけるトナー粒子を得る場合は、まず、前記樹脂(結着樹脂)、着色剤、離型剤等を、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機で混合した後、エクストリューダーのような1軸または2軸の押し出し機にて混練する。これを圧延、冷却した後、I式ミル、KTM、ジェットミルなどで代表される機械式または気流式粉砕機で微粉砕を行い、その後エルボージェット等のコアンダ効果を使用した分級機や、ターボクラッシュファイアーやアキュカットのごとき気流分級機を使用し分級を行う。さらに、作製したトナー粒子表面に樹脂微粒子等を乾式で打ち込む等の処理を行ってもよい。
本発明のトナーの体積平均粒径は3〜5.5μmの範囲であることが好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が5.5μmを超えると、粗大粒子の比率が高くなり、定着工程を経て得られる画像の細線や微小ドットの再現性、および階調性が低下する。一方、トナー粒子の体積平均粒径が3μm未満となると、トナーの粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、像担持体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う他の工程における種々の不具合が生じる。
また、本発明に用いるトナー粒子の粒子径分布指標としては、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であることが好ましく、数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpが0.95以上であることがより好ましい。体積分布指標GSDvが1.30を超えると、前述の定着画像の凹凸が大きくなるため、光沢度にむらが生じやすくなる場合がある。また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比が0.95未満の場合、小粒径トナーの量が増加し、トナー1個あたりに含有される離型剤量にむらが生じやすくなり、結果として剥離不良が生じ所望の光沢度が得られない場合がある。
上記に関し、更に好ましい範囲は、D50vが4.0〜5.2μmの範囲、GSDvが1.0〜1.28の範囲、GSDv/GSDpが0.95〜1.2の範囲である。トナーの体積平均粒径D50vが上記の範囲内にあると、目的の発色を得るために必要なトナーの量が少なくでき、低エネルギーでの定着が可能となり、低温定着性に有利であり好ましい。また、同様に感光体から転写残りが少なく、転写性に有利であるため好ましい。体積平均粒度分布指標GSDvが上記の範囲内にあると、高い解像力が得られる。体積平均粒度分布指標と数平均粒度分布指標の比(GSDv/GSDp)が上記の範囲内にあると、良好な帯電性が得られ、トナーの飛散、カブリ等の画像欠陥が生じないので好ましい。
なお、前記体積平均粒径、粒度分布指標の値は、次のようにして測定し算出した。まず、測定器としてコールターカウンターTAII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積、数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v(この値を体積平均粒径とする)、D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標GSDvは、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度分布指標GSDpは、(D84p/D16p)1/2として定義される。
さらに、本発明におけるトナーの形状係数SF1は110〜140の範囲にあることが好ましい。
形状係数SF1が110未満であると、感光体上の転写残トナーのブレードクリーニング性を損ない、140を超えるとトナーの流動性が低下し、初期から転写性に悪影響を及ぼすことがある。形状係数SF1のより好ましい範囲は125〜138の範囲である。
ここで上記形状係数SF1は、下記式7により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式7
上記式7中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式7によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
本発明におけるトナーの酸価は、結晶性樹脂、着色剤粒子等のトナー中への内包性を向上させ、安定させるばかりではなく、帯電性にも重要であり、5〜50mgKOH/gの範囲が好ましい。酸価が上記の範囲にあると、結晶性樹脂、着色剤粒子等の内包性、安定性が向上し適切な帯電が得られる。また、酸価を付与する成分が適量であり、架橋を生じないため良好な定着性が得られる。
なお、本発明のトナーが非晶質ポリエステルを含む場合、トナーのガラス転移点(Tg)は50〜65℃の範囲が好ましい。更に好ましくは52〜60℃の範囲である。Tgが50〜65℃の範囲であれば、トナーの保存性やドキュメントオフセットなどの画像耐久性に良好で好ましく使用できる。
本発明の静電荷像現像用トナーの帯電量については、絶対値で20〜80μC/gの範囲が好ましく、25〜35μC/gの範囲がより好ましい。前記帯電量が20μC/g未満であると背景汚れ(カブリ)が発生しやすくなり、80μC/gを超えると画像濃度が低下し易くなる。また、前記静電荷像現像用トナーの夏場(高温多湿)における帯電量と冬場(低温低湿)における帯電量の比率としては、0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.7〜1.3の範囲がより好ましい。前記比率がこれらの範囲外にあると帯電性の環境依存性が強く、帯電の安定性に欠け実用上好ましくない。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
上記本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、特に制限されないが、前述のように本発明のトナーの構造制御を効率的に行える等から、下記本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法を用いることが好ましい。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について、より詳細に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、水系分散媒中に少なくとも樹脂微粒子及び着色剤粒子を分散する分散工程と、分散した各粒子を凝集させて凝集粒子とする凝集工程と、該凝集粒子を熱融着する熱融着工程と、を含むことを特徴とする。
上記分散工程では、樹脂微粒子、着色剤粒子をそれぞれ水系分散媒中に分散することが好ましい。即ち、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液を作製し、これを混合することが好ましい。前記各分散液の作製法としては、例えば樹脂微粒子分散液は、水系媒体と、結着樹脂及び必要に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。
その際、加熱するか、或いは有機溶剤に樹脂を溶解させることにより、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができるが、できるだけ有機溶剤は環境汚染の観点から使わない方がよい。また、乳化粒子の安定化や水系媒体の増粘のため、分散剤を使用することもできる。
分散工程で使用される分散媒は水系分散媒であり、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水を主成分とし、アルコールなどの水混和性溶媒を少量(30容量%以下)含んでいても良い。水混和性分散媒は、1種単独で含んでも良く、2種以上を併用してもよい。
前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。
前記分散剤として無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、微粒子を得る目的で、分散剤中にて無機化合物の微粒子を生成する方法を採用してもよい。
前記分散剤の使用量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲が好ましい。また、分散手段としては、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
本発明のトナーの製造方法では、さらに離型剤を添加することが好ましく、離型剤粒子は分散工程で添加することが好ましい。即ち、樹脂微粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子をそれぞれ水系分散媒中に分散し(分散工程)、これらの分散液の混合溶液を例えば金属イオンによって凝集させ(凝集工程)、さらに凝集粒子を熱融着して(熱融着工程)製造することが好ましい。
他の添加剤は、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、または離型剤粒子分散液中のいずれかに分散させてもよいし、添加剤を分散させてなる分散液を添加して混合してもよい。
凝集工程で用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
前記無機金属塩としては、2価以上の電荷を有する無機金属塩を使用することができる。前記無機金属塩を構成する金属元素は、周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族(IUPACの1989年無機化学命名法改訂版による族番号では、第2族〜第8族、第11族〜第13族に相当)に属する2価以上の電荷を有するものである。
具体的には、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
前記凝集剤の添加量は、本発明を阻害しない範囲であれば特に限定されるものではないが、具体的には、分散液に対して0.01〜10質量%の範囲、好ましくは0.05〜5質量%の範囲、より好ましくは0.1〜2質量%の範囲である。添加量が0.01質量%を下回ると、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液等の分散液が不安定になり、その結果、凝集を生じたり、また、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生ずるなどの問題がある。また、10質量%を超えると、凝集粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になる。
凝集工程、熱融着工程としては、例えば、イオン性界面活性剤を含む樹脂微粒子分散液を、着色剤粒子分散液と混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、結晶性ポリエステルの融点、及び非晶性樹脂(さらには後述のシェル層構成樹脂を含む)のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も低いガラス点移温度を有する樹脂のガラス転移温度)のうち最も低い温度以上に加熱して前記凝集粒子を熱融着し、洗浄、乾燥してトナーを得ることができる。
具体的に、本発明における熱融着工程は、前記融点、ガラス転移点のうち最も低い温度をT℃としたとき、T+10〜T+30℃の範囲で行われることが好ましい。
また、以下の方法でトナーを得ることも好ましい。すなわち、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、結着樹脂のガラス転移点(非晶質ポリエステルを含む場合)以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定化する。第2段階としてイオン的バランスのずれを補填するような極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂微粒子と追加樹脂微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより、凝集粒子形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま熱融着させたものでも良い。更に、この凝集の段階的操作は複数回繰り返し実施してもよい。この2段階法は、結晶性樹脂と離型剤及び着色剤の内包性を向上させるのに有効である。
前記の2段階法について詳述すると、前記凝集工程と熱融着工程との間に、凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)をさらに含むものである。
付着工程では、凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、微粒子分散液を添加混合して、凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される微粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、本明細書では「追加微粒子」と記載する場合がある。追加微粒子としては、樹脂微粒子の他に、離型剤粒子、着色剤粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。微粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、微粒子(追加微粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布をシャープにすることができ、高画質化に寄与する。
また、上記付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や低融点化合物などの内添物のトナー表面露出を低減でき、結果として帯電性や寿命を向上させることができる。さらに、熱融着工程における融着時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融着時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制したりすることができ、コストの削減や品質の改善可能となる点で有利である。さらに、この方法を用いれば、熱融着工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
前記凝集粒子の凝集工程及び/または各種微粒子の付着工程においては、分散液の極性を調整するイオン性界面活性剤の種類と量とを選択して、凝集及び/または付着の程度を制御することができる。例えば、アニオン性界面活性剤を含有する溶液に樹脂微粒子を分散させ、カチオン性界面活性剤を含有する溶液に着色剤を分散させ、そして、両者を混合することにより、樹脂微粒子と着色剤粒子等を凝集させることができる。
また、混合される分散液に含まれるイオン性界面活性剤の極性及び配合量のバランスを予めずらしておき、そのバランスのずれを補填するような極性及び量のイオン性界面活性剤を添加することにより凝集及び/または付着を行うことも可能である。
熱融着工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナーを得ることができるが、洗浄工程は、帯電性を発現・維持するため、十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
本発明のトナーは、現像装置内に帯電付与構造をもつ一般に一成分現像剤という使用方法で使用されるのに加え、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤と呼ばれる方式でも使用される。キャリアは、フェライト、鉄粉などを芯剤として、樹脂で被膜されたキャリアであることが好ましい。用いられる芯材(キャリア芯材)は、特に制限はなく鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キャリア芯材の体積平均粒径としては、トナー平均粒径の3〜10倍が好ましい。
被覆樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。またこれらの共重合樹脂でもかまわない。キャリアの被膜樹脂としては上述樹脂中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。また帯電を制御する目的で、樹脂微粒子や、無機微粒子などを被覆樹脂中に分散して使用してもよい。
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を微粒子化し被膜樹脂の融点以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。
上記方法により形成される樹脂被覆量は、キャリア芯材に対して0.5〜10質量%の量を被覆して用いられる。また、二成分現像剤としてのトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100の範囲であり、3:100〜20:100の範囲がより好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらにより本発明は限定されるものではない。
<トナーの作製>
下記実施例、比較例で用いたトナーは、次の方法で製造した。即ち、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、および離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定量混合撹拌しながら、無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、上記各粒子の凝集体を形成した。無機水酸化物で系内のpHを弱酸性から弱アルカリ性の範囲に調整した後、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し、熱融着させた。その後、十分な洗浄・固液分離・乾燥の工程を経て所望のトナーを得た。以下に、それぞれの材料の調製方法、凝集粒子の作製方法の具体例を示す。
なお、下記における樹脂分子量、微粒子分散径等は前述の方法により測定した。また、酸価の測定は、樹脂(トナー)を2g秤量し、テトラヒドロフラン160mlに溶解、または溶解性の不十分なものについては溶解したのち、この試料を用いJIS K0070−1992の電位差滴定法により行った。
(結晶性ポリエステルの合成)
−結晶性ポリエステル1−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 16質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 94質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル1を得た。
得られた結晶性ポリエステル1の融点は、パーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC−7を用いて測定した結果、69℃であった。重量平均分子量は東ソー社製の分子量測定器HLC−8020を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定したところ、15000であった。また、この結晶性ポリエステル1のエステル濃度は0.087、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.09であった。上記測定条件は以下同様である。
−結晶性ポリエステル2−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 30質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 77質量部
・ドデカンジオール(宇部興産(株)製) 101質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル2を得た。
得られた結晶性ポリエステル2の融点は76℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル2のエステル濃度は0.083、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.17であった。
−結晶性ポリエステル3−
・3,3’−チオジプロパノール(和光純薬工業(株)製) 25質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 115質量部
・デカンジオール(和光純薬工業(株)製) 58質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル3を得た。
得られた結晶性ポリエステル3の融点は70℃、重量平均分子量は17000であった。また、この結晶性ポリエステル3のエステル濃度は0.087、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.17であった。
−結晶性ポリエステル4−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 16質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 94質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて190℃まで温度を上げ、190℃で更に2時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル4を得た。
得られた結晶性ポリエステル4の融点は67℃、重量平均分子量は4000であった。また、この結晶性ポリエステル4のエステル濃度は0.087、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.09となる。
−結晶性ポリエステル5−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 16質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 94質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて220℃まで温度を上げ、220℃で更に8時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル5を得た。
得られた結晶性ポリエステル5の融点は71℃、重量平均分子量は35000であった。また、この結晶性ポリエステル5のエステル濃度は0.087、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.09であった。
−結晶性ポリエステル6−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 32質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 75質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル6を得た。
得られた結晶性ポリエステル6の融点は65℃、重量平均分子量は12000であった。また、この結晶性ポリエステル6のエステル濃度は0.099、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.18であった。
−結晶性ポリエステル7−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 32質量部
・デカン二酸(和光純薬工業(株)製) 65質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル7を得た。
得られた結晶性ポリエステル7の融点は68℃、重量平均分子量は12000であった。また、この結晶性ポリエステル7のエステル濃度は0.105、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.18であった。
−結晶性ポリエステル8−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 18質量部
・テトラデカン二酸(東京化成(株)製) 103質量部
・デカンジオール(宇部興産(株)製) 101質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて220℃まで温度を上げ、220℃で更に6時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル8を得た。
得られた結晶性ポリエステル8の融点は78℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル8のエステル濃度は0.078、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.1であった。
−結晶性ポリエステル9−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 9質量部
・テトラデカン二酸(東京化成(株)製) 116質量部
・デカンジオール(宇部興産(株)製) 101質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて220℃まで温度を上げ、220℃で更に6時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル9を得た。
得られた結晶性ポリエステル9の融点は80℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル9のエステル濃度は0.073、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.05であった。
−結晶性ポリエステル10−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 18質量部
・デカン二酸(和光純薬工業(株)製) 81質量部
・ヘキサンジオール(和光純薬工業(株)製) 59質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.02質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル10を得た。
得られた結晶性ポリエステル10の融点は63℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル10のエステル濃度は0.111、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.1であった。
−結晶性ポリエステル11−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 50質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 52質量部
・ドデカンジオール(宇部興産(株)製) 101質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて220℃まで温度を上げ、220℃で更に6時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル11を得た。
得られた結晶性ポリエステル11の融点は70℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル11のエステル濃度は0.087、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.28であった。
−結晶性ポリエステル12−
・3,3’−チオジプロピオン酸(和光純薬工業(株)製) 5質量部
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 109質量部
・デカンジオール(和光純薬(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル12を得た。
得られた結晶性ポリエステル12の融点は79℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル12のエステル濃度は0.084、S含有モノマーの全モノマーに対するモル比は0.03であった。
−結晶性ポリエステル13−
・ドデカン二酸(東京化成(株)製) 115質量部
・ドデカンジオール(宇部興産(株)製) 101質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.02質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて220℃まで温度を上げ、220℃で更に6時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル13を得た。
得られた結晶性ポリエステル13の融点は82℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル13のエステル濃度は0.077であり、S含有モノマーは含まない。
−結晶性ポリエステル14−
・オクタン二酸(和光純薬工業(株)製) 87質量部
・デカンジオール(和光純薬工業(株)製) 87質量部
上記のモノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.02質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて200℃まで温度を上げ、200℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、反応を終了させた。反応液を冷却後、固液分離を行い得られた固形物を40℃、真空状態の下乾燥を行い結晶性ポリエステル14を得た。
得られた結晶性ポリエステル14の融点は70℃、重量平均分子量は15000であった。また、この結晶性ポリエステル14のエステル濃度は0.1であり、S含有モノマーは含まない。
以上の結晶性ポリエステルの特性をまとめて表1に示す。
Figure 0004525510
(各分散液の調製)
−結晶性樹脂微粒子分散液1−
・結晶性ポリエステル1 50質量部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が180nmになったところで回収した。このようにして固形分20質量%の結晶性樹脂微粒子分散液1を得た。
−結晶性樹脂微粒子分散液2〜14−
結晶性樹脂微粒子分散液1の調製において、結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2〜14を各々使用した以外は同様にして、結晶性樹脂微粒子分散液2〜14を得た。それぞれの分散液における樹脂微粒子の体積平均粒径はいずれも180nmであり、固形分はいずれも20質量%であった。
−非晶質樹脂微粒子分散液1−
・エチレングリコール(和光純薬工業(株)製) 50質量部
・ネオペンチルグリコール(和光純薬工業(株)製) 65質量部
・テレフタル酸(和光純薬工業(株)製) 96質量部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が10.0mgKOH/g、重量平均分子量12,000、ガラス転移点60℃である非晶質ポリエステルを得た。
次いで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30質量%、ガラス転移点60℃、重量平均分子量Mwが12,000の非晶質樹脂微粒子分散液1を得た。
−非晶質樹脂微粒子分散2−
・エチレングリコール(和光純薬工業(株)製) 37質量部
・ネオペンチルグリコール(和光純薬工業(株)製) 65質量部
・1,9−ノナンジオール(和光純薬工業(株)製) 32質量部
・テレフタル酸(和光純薬工業(株)製) 96質量部
上記モノマーをフラスコに仕込み、1時間をかけて温度200℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2質量部投入した。更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間をかけて240℃まで温度を上げ、240℃で更に4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.4mgKOH/g、重量平均分子量が13,000、ガラス転移点が62℃である非晶質ポリエステルを得た。
次いで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm2の条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30質量%、ガラス転移点62℃、重量平均分子量Mwが13,000の非晶質樹脂微粒子分散液2を得た。
−着色剤粒子分散液−
・シアン顔料(PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製) 10質量部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2質量部
・イオン交換水 80質量部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、(株)スギノマシン製)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20質量%の着色剤粒子分散液を得た。
−離型剤粒子分散液−
・パラフィンワックス(HNP−9、日本精鑞(株)製) 50質量部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製) 2質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径200nm、固形分20質量%の離型剤粒子分散液を得た。
<実施例1>
(トナーの製造)
・非晶質樹脂微粒子分散液1 150質量部
・着色剤粒子分散液 25質量部
・結晶性樹脂微粒子分散液1 50質量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4質量部
・イオン交換水 100質量部
上記の成分を混合し、丸型ステンレス製フラスコ中でIKA社製のウルトラタラックスT50を用い十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここに上記と同じ非晶質樹脂微粒子分散液1を緩やかに70質量部追加した。
その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。反応終了後、降温速度を2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。これをさらに30℃のイオン交換水3Lを用いて再分散し、15分間300rpmで攪拌・洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続してトナー粒子1を得た。
トナー粒子1の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μmであり、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。更に、このトナー粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)微粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物微粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、静電荷像現像用トナー1を作製した。
(現像剤の調製)
作製した静電荷像現像用トナー1を用い、ポリメタクリレート(綜研化学社製)を1質量%コートした体積平均粒径50μmのフェライトキャリアに対し、トナー濃度が5質量%になるように秤量し、ボールミルで5分間攪拌・混合し現像剤(1)を調製した。
(トナーの評価)
−転写性−
製造されたトナー1の転写性は、下式8で表される転写効率により確認した。
転写効率(%)=(転写後に感光体に残されたトナー質量)÷(転写前の感光体上のトナー質量)×100 ・・・ 式7
試験はDocuCenterColor400(富士ゼロックス社製)に前記現像剤(1)を装填し、2×5cmのベタ面を現像、転写することで確認を行った。具体的には、転写前の感光体上にトナーの載り量が1.8g/m2になるように調整し、転写前のトナー質量と転写後の感光体に残された転写し切れなかったトナー質量とを、各々粘着テープに転写することで測定した。なお、試験は30℃、88%RHの環境下(高温高湿下)で行った。
評価基準は以下のようにして判断した。
○:転写効率が90%以上。
△:転写効率が80%以上90%未満。
×:転写効率が80%未満。
−定着性−
製造されたトナーの定着性を、定着温度90℃での画像欠損を確認した。
試験はDocuCenterColor400を用いて、トナー載り量を0.6g/m2に調整して、25mm×25mmのソリッド画像を未定着画像としてを出力した後、これを、オイル供給装置のない外部定着器を用いて、Nip幅6.5mm、定着速度90mm/secにて定着した。定着温度は定着ロール表面温度で制御し、90℃を設定温度とした。
評価は、定着画像を一定荷重の重りを用いて折り曲げし、その部分の画像欠損が無いものを○、わずかに筋上に欠損するものを△、折り曲げ部分が大きく欠損するものを×とした。また、定着による画像転移(オフセット)についても確認を行い、オフセットの無いものを○、薄っすらオフセットが生じたものを△、オフセットが生じたものを×とした。
以上の評価結果をまとめて表1に示す。
<実施例2>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液2を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子2を得た。
トナー粒子2の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子2を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例3>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液3を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子3を得た。
トナー粒子3の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子3を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例4>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液4を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子4を得た。
トナー粒子4の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。
このトナー粒子4を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例5>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液5を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子5を得た。
トナー粒子5の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子5を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例6>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液6を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子6を得た。
トナー粒子6の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子6を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例7>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液7を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子7を得た。
トナー粒子7の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。
このトナー粒子7を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例8>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液8を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子8を得た。
トナー粒子8の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.4μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子8を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例9>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液8を用い、着色剤粒子分散液と同時に離型剤粒子分散液20質量部を加えた以外は全く同様にしてトナー粒子9を得た。
トナー粒子9の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子9を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例10>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液8を用い、非晶質樹脂微粒子分散液1の代わりに非晶質樹脂微粒子分散液2を用いた以外は全く同様にしてトナー10を得た。
トナー10の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.20であった。
このトナー粒子10を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例11>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液9を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子11を得た。
トナー粒子11の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子11を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例12>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液10を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子12を得た。
トナー粒子12の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子12を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例13>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液11を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子13を得た。
トナー粒子13の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子13を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<実施例14>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液12を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子14を得た。
トナー粒子14の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子14を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<比較例1>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液13を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子15を得た。
トナー粒子15の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.1μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.21であった。
このトナー粒子15を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
<比較例2>
実施例1のトナーの製造において、結晶性樹脂微粒子分散液1の代わりに結晶性樹脂微粒子分散液14を用いた以外は全く同様にしてトナー粒子16を得た。
トナー粒子16の体積平均粒径D50vをコールターカウンターで測定したところ5.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.22であった。
このトナー粒子16を用いて、実施例1と同様に静電荷像現像用トナー、現像剤を作製し、同様の評価を行った。
結果をまとめて表2に示す。
Figure 0004525510
表2に示すように、実施例に用いた本発明における結晶性ポリエステルを用いたトナーでは、低温定着性を維持しつつ高温高湿下での転写性も良好であった。一方、比較例では低温定着性、転写性に何らかの問題が発生した。

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂が結晶性樹脂を含み、該結晶性樹脂が、下記式1、式2、及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステル、及び/または、下記式2、式3及び式4で示される構造を持つモノマーを重合して得られる結晶性ポリエステルであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    (式1)COOH−R1−S−R2−COOH
    (式2)COOH−R3−COOH
    (式3)OH−R4−S−R5−OH
    (式4)OH−R6−OH
    上記式中、R 3 、及びR 6 は環構造を含んでもよい脂肪族炭化水素基、及び/または、芳香族炭化水素基を表し、 1 、R 2 、R 4 、及びR は炭素数が2〜4の範囲の直鎖アルキレン基を表す。これらは各々同一であっても異なっていてもよい。
  2. 前記結晶性ポリエステル中の硫黄原子含有モノマー比率が5〜20モル%の範囲であり、かつ、前記結晶性ポリエステルのエステル濃度が0.074〜0.105の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. さらに、離型剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    水系分散媒中に少なくとも樹脂微粒子及び着色剤粒子を分散する分散工程と、分散した各粒子を凝集させて凝集粒子とする凝集工程と、該凝集粒子を熱融着する熱融着工程と、を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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