JP2003270843A - 静電荷像現像用トナー及び画像作製方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び画像作製方法

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JP2003270843A
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Tsuneaki Kawanishi
恒明 川西
Ryuichi Shimizu
龍一 清水
Shigenori Taniguchi
重徳 谷口
Junji Kobayashi
順二 小林
Tadahiro Kaneko
忠広 金子
Nobuyoshi Hoshi
信義 保志
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Koki Holdings Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Koki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性、耐久性、保存安定性が良好でトナーに
よるキャリアスペントによる現像剤寿命の低下、及びト
ナーによる感光体フィルミングによる感光体寿命の低下
が起こり静電荷像現像用トナーを提供する。 【解決手段】定着用樹脂とワックスを含む静電荷像現像
用トナーにおいて、高分子量重合体成分(HP体)と低
分子量重合体成分(LP体)とよりなる主成分樹脂組成
物を含有してなる定着用樹脂と、炭化水素系ワックスを
含む静電荷像現像用トナーとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法、静電記録法等において形成された静電荷潜像を
可視像化する静電荷像現像用トナー及び画像作製方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】印刷もしくは記録法の内、例えば電子写
真法においては、光導電性感光体を帯電、露光し、感光
体上に静電荷潜像を形成し、次いでこの静電荷潜像を樹
脂をバインダーとして着色剤等を含有せしめた微粒子状
トナーによって現像し、得られたトナー像を記録紙上に
転写し定着して記録画像が得られる。
【0003】このような静電像記録工程では、微粒子状
トナーによる静電荷潜像の現像と記録紙上への定着が特
に重要な工程であり、従来においてはトナーを現像する
方法として、高速、高画質現像が可能なトナーと磁性キ
ャリアとより成る二成分現像剤を用いる磁気ブラシ現像
法がよく用いられている。また、トナーを定着する方法
としては、熱効率が高く高速定着が可能な熱ローラ定着
法がよく用いられている。
【0004】一方、最近においては、情報機器の発展に
伴い、光導電性感光体の露光にレーザビームを用い、コ
ンピュータの指示による変調信号によって記録画像をド
ットで再現するレーザビームプリンタが発達している。
特に、最近のレーザビームプリンタでは、より一層の高
画質の画像作製が求められるため、レーザビームの径を
絞り込んで小さくし、ドット密度が600〜1200d
pi(dots/inch)と高くなっている。これに
伴い、微細になった静電荷潜像を現像する目的で、トナ
ー及びキャリアの粒子径も小さくなり、体積平均粒径が
10μm以下の微粒子トナーと重量平均粒径が100μ
m以下の微粒子キャリアの適用が進められている。
【0005】一方、定着においては前記の熱ローラ定着
が多用されているが、プリンタの過熱劣化を抑制し、機
内の部品の熱劣化を防止すること。定着機を作動せしめ
てから定着が可能になるまでのウォームアップ時間を短
くすること。また、記録紙に熱が吸収されることによる
定着不良を防止して、連続通紙による画質の維持を可能
にすること。過熱による記録紙のカールと火災を防止す
ること。熱ローラへ加える荷重を減らし、定着機の構造
を簡易化、小形化すること等の観点から、定着用ヒータ
及び駆動モータの消費電力を下げて、熱ローラの温度を
より低温で、また、熱ローラの圧力をより低圧力で定着
できるトナーの開発が望まれている。
【0006】この様に、微粒子で低温、低圧力で定着出
来る高性能なトナーの開発が望まれている。一方、前記
の様にトナーを10μm以下に微粒子化した場合、以下
の様な問題が発生する。即ち、現像工程においては、微
粒子トナーを使用することにより高画質が得られるが、
非画像部へのトナー付着(カブリ)とトナー飛散が生じ
易く、流動性の低下によるトナー搬送等のハンドリング
性も低下し易い。更に、微粒子トナーの付着力の強さと
耐衝撃性の弱さにより、トナーによるキャリア汚染(キ
ャリアスペント)が起こり易くなり、現像剤寿命が低下
し易い。また、定着に関しては同一付着量の画像におい
て同等の定着強度を得るために、粒子径の大きなトナー
よりも多くのエネルギーを要し、トナー製造時には、粉
砕、分級工程での歩留まりが低下するため、トナーのコ
ストが高くなる。微粒子トナーではこれら多くの問題が
生じ、通常平均粒径5μm未満のトナーは実用化するこ
とが難しく、トナーの平均粒径を5〜10μmの範囲に
分級し、トナーの外添剤、外添処方の改良によりトナー
の流動性を高めて用いる。
【0007】一方、キャリアについてはトナーの小粒径
化に伴い、重量平均粒径を100μm以下の小粒径と
し、キャリアの比表面積を高めて、トナーとの摩擦帯電
性を向上せしめる。しかし、30μm未満のキャリアで
はキャリアの磁力が低下し、静電荷像保持部材上に静電
吸引力で付着し易くなるため、キャリアの平均粒径を3
0〜100μmの範囲に分級し、必要に応じて表面を樹
脂でコートして用いる。
【0008】これらの粒度分布の改善と流動性、帯電性
の改良により、微粒子トナー及び現像剤は複写機、プリ
ンタ等で実用化される様になった。しかし、実機で印刷
を行う場合、特に毎分10頁以上の高速印刷を繰り返す
場合には、上記の微粒子トナー特有の問題が生じ、トナ
ーによるキャリアスペントによる現像剤寿命の低下、及
びトナーによる感光体フィルミングによる感光体寿命の
低下が起こり易くなる。
【0009】また、画像の定着強度が得られにくく、特
に、定着工程において、熱ローラの温度と圧力を高める
必要があり、そのため、定着機の高信頼化、簡易小形
化、コスト低減を図りにくい問題があった。
【0010】トナーの定着性能向上のため、定着用樹脂
にワックスを添加することは知られている。例えば、特
開昭52−3304号公報、特開昭52−3305号公
報、特開昭57−52574号公報等の技術が開示され
ている。
【0011】ワックス類は、トナーの低温時や高温時の
熱ローラへの付着、いわゆるオフセット現象を防止し、
低温時のトナーの定着性の向上のために用いられ、最近
では、低温定着の観点から低融点ワックスが着目されて
いる。
【0012】例えば、特開平5−313413号公報に
はトナーの低温定着性、耐オフセット性、非凝集性を改
善するため、特定の分子量分布を有するビニル系共重合
体に140℃での粘度が1万ポイズ以下のエチレンまた
はプロピレンとα−オレフィン共重合体を添加すること
が開示されている。
【0013】また、同様の目的で、特開平7−2874
13号公報には示差走査熱量計(DSC)による吸収熱
量のピーク(融点)が75〜85℃のパラフィンワック
スを添加すること、特開平8−314181号公報、特
開平9−179335号公報、特開平9−319139
号公報にはDSCによる融点が85〜100℃の天然ガ
ス系フィッシャートロピッシュワックスを添加するこ
と、特開平6−324513号公報にはDSCによる融
点が85〜110℃のポリエチレンワックスを添加する
こと、特開平7−36218号公報には融点が50℃以
下の成分を蒸留法等によって除去したDSCの融点が7
0〜120℃のポリエチレン系ワックスを添加するこ
と、特開平8−114942号公報には重量平均分子量
(Mw)が1千未満のポリエチレンワックスを添加する
ことが開示されている。
【0014】一方、低融点ワックスをトナーに添加する
とトナーの耐熱性、耐久性、保存安定性が低下する。そ
れを改良するため特開平6−123994号公報では重
量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.5以
下のワックスを用いること、特開平7−209909号
公報では140℃における溶融粘度が0.5〜10mP
a・sであり、且つ針入度が3.0dmm以下であるエ
チレン系オレフィン重合体ワックスを用いること、特開
平7−287418号公報では平均分子量が1千以上の
フィッシャートロピッシュワックスを用いることが開示
されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術を用
いてトナーの定着性能を向上させることが可能だが、低
融点ワックスを用いる場合、特に、微粒子トナーでは、
トナーの耐熱性、耐久性、保存安定性を維持した上での
定着性能の向上が難しく、実用に供し得るトナー及び画
像作製方法を提供することができなかった。
【0016】本発明の目的は、トナーの耐熱性、耐久
性、保存安定性が良好でトナーによるキャリアスペント
による現像剤寿命の低下、及びトナーによる感光体フィ
ルミングによる感光体寿命の低下が起こりにくく、ま
た、定着に要するエネルギーが小さく、熱ローラ定着方
式を採用した場合に熱ローラの温度と圧力を低下させる
ことが可能で、且つ、オフセット現象が発生し難いトナ
ーを提供し、それを用いた安定した画像作製方法を提供
することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、定着用樹
脂とワックスを含む静電荷像現像用トナーにおいて、定
着用樹脂は、高分子量重合体成分(HP体)と低分子量
重合体成分(LP体)とよりなる主成分樹脂組成物を含
有してなり、主成分樹脂組成物は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーによって測定されたクロマトグラ
フにおいて、HP体が分子量450,000を越え、L
P体が分子量20,000未満の領域にメインピークを
有し、HP体とLP体の重量比が20/80〜60/4
0の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)が200,0
00以上であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子
量(Mn)が20以上であり、ワックスは炭化水素系ワ
ックスであり、少なくともその構成成分として、1.5
を越える重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)を有し、140℃における溶融粘度が10mPa・
s未満であり、X線回折法による結晶化度が90%未満
のワックスを含有し、前記トナーの溶融開始温度(Tf
b)が、前記トナーの示差走査熱量計により測定される
DSC曲線において、昇温時の吸収熱量曲線の前記ワッ
クスに帰属される吸熱ピークの最大値に対応した融点
(Tmp)とTmp<Tfb<110℃の関係を有し、
ガラス転移点(Tg)が50℃を越えることにより達成
される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。一
般に、トナーの定着用樹脂には、前記熱ローラ定着用と
してビニル系共重合体、特にスチレン〜(メタ)アクリ
ル系樹脂が用いられ、最近ではポリエステル系樹脂も用
いられる様になった。しかし、ポリエステル系樹脂は一
般に吸水性の高い極性基(水酸基、カルボキシル基)を
有し、トナーが吸湿し易く、トナーの帯電特性が変化し
易い面があり、依然としてスチレン〜(メタ)アクリル
系樹脂がトナー用樹脂の主流となっている。この定着用
樹脂にワックス類を添加し、トナーの定着性能を向上す
る。
【0019】ワックス類は、一般にトナーのオフセット
防止剤として古くから用いられているが、反面、トナー
の耐熱性、耐久性、保存安定性が低下し、融着が発生し
易くなったりする問題点がある。ワックス類には多くの
種類があり、その機能に応じて使い分けられるが、トナ
ーのオフセット防止の面から、非極性で熱ロールに非粘
着性の炭化水素系ワックスが最適である。
【0020】炭化水素系ワックスは、分子量分布を持っ
たポリオレフィン分子の集合体であり、その特性は、分
子量分布に大きく依存する。一般に、炭化水素系ワック
スの効果は高温オフセットの防止に加え、低分子量成分
を多くすることで低温オフセットの防止や低温定着の向
上にも効果を発揮する。
【0021】しかしながら、定着性能向上のために低分
子量成分を増加させると、トナーの耐熱性や耐久性、保
存安定性が低下し、現像剤のキャリア、感光体への融着
も発生し易くなる。このため既存の炭化水素系ワックス
の低分子量成分を徹底的にカットし、分子量分布をシャ
ープにすることが試みられている。即ち、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定できる分子量分
布において、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/M
n)が1.5以下、好ましくは1.45以下となる様に、
ワックスの分子量分布をシャープにする(特開平6−1
23994号公報)。
【0022】しかしながら、本発明者等の検討によれ
ば、炭化水素系ワックスの分子量分布を上記の様にシャ
ープにすると、トナーの耐熱性、耐久性、保存安定性は
向上するが、定着性能が不十分になり、特に、微粒子ト
ナーにおいては、毎分10頁以上の高速印刷を繰り返す
場合には定着性能が低下することが分かった。
【0023】そこで、本発明者等は炭化水素系ワックス
を種々検討し、低分子量成分を適度に含有せしめ、重量
平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.5を越
えるワックスをトナーに適用し、諸特性を評価した結
果、140℃における溶融粘度が10mPa・s未満で
あり、X線回折法による結晶化度が90%未満であり、
示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、
昇温時の吸収熱量曲線のピークの最大値で定義されるワ
ックスの融点(Tmp)が110℃未満であれば、トナ
ーの定着性能を大幅に向上できることが分かった。
【0024】本発明においては、炭化水素系ワックスの
分子量分布を1.5を越える様に拡大するが、十分な定
着性と耐オフセット性を得るためには、140℃におけ
るワックスの溶融粘度が10mPa・s未満であり、X
線回折法による結晶化度が90%未満と小さくなる様
に、分子量分布を制御する必要がある。ワックスの溶融
粘度と結晶化度がこの範囲を越えて大きくなると、微粒
子トナーを用いた高速定着では、十分な定着性と耐オフ
セット性を得ることができない。
【0025】本発明の炭化水素系ワックスを定着用樹脂
に適量添加し、トナーの定着性能を大幅に向上すること
ができる。しかし、本発明のワックスは分子量分布が大
きく、低粘度であるためトナーに添加した場合、トナー
の耐熱性、耐久性、保存安定性が低下し易い。これらを
悪化させないためにはワックスの140℃における溶融
粘度が4mPa・sを越えること、及び又は、X線回折
法による結晶化度が75%を越える様に、ワックスの分
子量分布を調節する必要がある。この様な炭化水素系ワ
ックスは、その一例として、工業的にはチーグラ触媒ま
たはメタロセン触媒を用いた中圧法または低圧法ポリエ
チレン重合法によって得られたポリエチレンの低重合物
を精製して得ることができる。即ち、ポリエチレンの低
重合物から油分、オリゴマー等を真空蒸留法等で除去
し、それから得られる留出残液を必要に応じて高温、高
減圧下で低分子量成分を適度に除去して得られ、具体例
としては、ヤスハラケミカル社製の商品名ネオワックス
L、同AL、同LS、同CL、同ACL等が挙げられ
る。
【0026】本発明においては、更に、定着用樹脂の分
子量分布とトナーの溶融物性を適宜、選定する必要があ
る。定着用樹脂にはスチレン〜(メタ)アクリル系樹脂
を用いるが、通常スチレン〜(メタ)アクリル系樹脂
は、高分子量重合体成分(HP体)と低分子量重合体成
分(LP体)とより成り、前者はトナーの耐オフセット
性、後者は定着強度の確保に有効であり、両者の組成バ
ランスはトナーの保存性に影響するといわれている。樹
脂の分子量分布は、テトラヒドロフラン等溶媒に可溶な
成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによっ
て測定することができる。本発明者らは、本発明のワッ
クスを添加する場合について、定着用樹脂の分子量分布
について検討し、樹脂のHP体のメインピークが分子量
450,000を越え、LP体のメインピークが分子量
20,000未満であり、HP体とLP体の重量比が2
0/80〜60/40の範囲にあり、重量平均分子量
(Mw)が200,000以上であり、重量平均分子量
(Mw)/数平均分子量(Mn)が20以上であるこ
と。また、この樹脂と本発明のワックスを用いて得られ
たトナーの溶融物性として、トナーの溶融開始温度(T
fb)が、トナーの示差走査熱量計により測定されるD
SC曲線において、昇温時の吸収熱量曲線の前記ワック
スに帰属される吸熱ピークの最大値に対応した融点(T
mp)とTmp<Tfb<110℃の関係を有し、トナ
ーのガラス転移点(Tg)が50℃を越える様に設定し
た場合に本発明のワックスの性能を最大限発揮でき、良
好な定着性能と耐熱性、耐久性、保存安定性を有するト
ナーが得られることが分かった。その結果、トナーの定
着性能が良いにも係わらず、耐熱性、耐久性、保存安定
性も良好で、トナーによるキャリアスペントによる現像
剤寿命の低下、及びトナーによる感光体フィルミングに
よる感光体寿命の低下が起こりにくく、安定した静電ト
ナー像作製方法を提供できる。
【0027】本発明において、定着用樹脂の分子量分布
は、耐オフセット性と定着強度を得る観点から、HP体
のメインピークを450,000を越える様にし、LP
体のメインピークを20,000未満とし、HP体とL
P体の重量比を20/80〜60/40の範囲とする。
HP体のメインピークが450,000以下では耐オフ
セット性が低下する場合があり、LP体のメインピーク
が20,000以上では定着強度が低下する。また、驚
くべきことにHP体のメインピークが450,000以
下では定着強度、特に記録媒体からのトナーの剥離強度
が低下することが分かった。これはトナーの剥離強度の
向上にはトナーの定着用樹脂の高分子量成分が関与して
おり、定着用樹脂の高分子量成分による機械的強度の向
上が有効であると考えられる。また、HP体とLP体の
重量比は20/80〜60/40の範囲とする。HP体
とLP体の重量比が20/80未満では、トナーの耐オ
フセット性が低下し、60/40を越える場合にはトナ
ーの定着強度が低下する。定着用樹脂全体の重量平均分
子量(Mw)は200,000以上、重量平均分子量
(Mw)/数平均分子量(Mn)は20以上とする。樹
脂全体の重量平均分子量が200,000未満ではトナ
ーの保存性が低下し、重量平均分子量(Mw)/数平均
分子量(Mn)が20未満では、トナーの耐オフセット
性が低下する。
【0028】この様な樹脂とワックスを用いたトナーに
おいて、トナーの溶融開始温度(Tfb)は、トナーの
示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、
昇温時の吸収熱量曲線のワックスに帰属される吸熱ピー
クの最大値に対応した融点(Tmp)とTmp<Tfb
<110℃の関係を有し、且つ、トナーのガラス転移点
(Tg)が50℃を越える様に樹脂とワックスを配合す
れば、十分な定着性能と耐熱性、耐久性、保存安定性を
有するトナーを得ることができる。
【0029】定着性能を向上させるために、ワックスの
融点(Tmp)を110℃未満とする必要があるが、更
に、ワックスの融点(Tmp)をトナーの溶融開始温度
(Tfb)より低くし、トナーが定着工程で溶融を開始
する前にワックスを溶融せしめ、トナーの定着ロールへ
の離型効果を高めてオフセットを防止し、定着強度を高
める。また、トナーのガラス転移点(Tg)は50℃を
越える様に設定し、トナーの保存安定性を確保する。
【0030】本発明において炭化水素系ワックスの分子
量分布は高温でのゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)により次の条件で測定される。 (GPC測定条件) 装置:ALC/GPC 150−C plus型(ウォ
ーターズ社製) 分離カラム:GMH−HT30cm×2、GMH
HTL30cm×2(東ソー社製) カラム温度:140℃ 移動相:o−ジクロロベンゼン 検出器:示差屈折計 流速:1.0ml/min 試料濃度:0.2wt% 注入量:200μl 以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単
分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲
線を使用し、Mark−Houwink−Sakura
daの式あるいは粘度式から導き出される換算式でポリ
エチレン換算することによって算出される。
【0031】また、定着用樹脂の分子量分布はGPCに
より次の条件で測定される。 (GPC測定条件) 装置:HLC−8120GPC(TOSOH社製) 分離カラム:TSKgel Super HM−H/H4
000/H3000/H2000 カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm カラム温度:40℃ 移動相:テトラヒドロフラン(THF) 圧力:13.6MPa 検出器:示差屈折計 流速:0.6ml/min 試料濃度:3g/l THF 注入量:20μl 以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単
分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲
線を使用し、HP体とLP体の分子量、両者の重量比、
樹脂全体の分子量、分子量分布等を求める。
【0032】本発明において、ワックスの溶融粘度はブ
ルックフィールド型粘度計を用い、140℃の値を測定
する。また、ワックスの結晶化度はX線回折法により、
次の条件で測定される。 X線:Cu−Kα線(グラファイトモノクロメータによ
り単色化) 波長λ=1.5406オングストローム 出力 40kV、40mA 光学系:反射法、スリットDS、SS=1°、RS=
0.3mm 測定範囲:2θ=10°〜35° ステップ間隔:0.02° 走査速度:2θ/θ連続スキャン1.00°/分 以上の条件で測定し、試料のX線回折プロファイルを3
本の結晶ピークと非晶散乱に分離し、それらの面積から
下式により結晶化度を算出する。 結晶化度(%)=Ic/(Ic+Ia)×100 Ic:各結晶ピーク面積の和 Ia:各結晶ピーク面積の和+非晶散乱面積 一方、DSC測定ではワックスの熱のやり取りを測定
し、その挙動を観測するので、測定原理から超高感度の
熱流束型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。
例えば、TAインスツルメンツ社製の2910が使用で
きる。測定条件としては、ワックス又はトナーを約5m
g計量してDSCに載置し、1分間に50mlの窒素ガ
スを吹き込み、20℃から160℃の間を1分間あたり
10℃の割合で昇温させ、次に160℃から20℃に1
分間あたり10℃の割合で降温し、前履歴を取った後、
再度1分間あたり10℃の割合で昇温させ、その時の図
2に示すDSC吸収熱量曲線の最大ピークより、ワック
ス又はトナーの吸熱ピークの最大値に対応した融点(T
mp)を求める。一方、トナーのガラス転移点(Tg)
は、上記のDSC測定において、トナーの吸収熱量曲線
を測定し、定着用樹脂に帰属される吸収熱量曲線の図2
に示すショルダーよりTgを求めることができる。
【0033】本発明において、トナーの溶融開始温度
(Tfb)は、定荷重押出し形細管式レオメータ(島津
製作所製フローテスタCFT−500C形)を用い、昇
温法で図3に示すピストンストロークの流動過程より溶
融開始温度を測定し、Tfbとする。この際、フローテ
スタの測定条件は、荷重20kgf/cm、ダイ径1
mm、ダイ長さ10mm、昇温速度6℃/分とする。
【0034】本発明のトナーにおいて、炭化水素系ワッ
クスの添加量は、定着用樹脂に対し0.5〜20wt%
添加することが好ましい。0.5wt%未満ではトナー
の定着性能を改良する効果が少なくなり、20wt%を
越えるとトナーの耐熱性、耐久性、保存安定性が極度に
低下する。また、他のワックス類を併用しても構わない
が、本発明の炭化水素系ワックスの性能が損なわれない
様に注意して用いる必要がある。
【0035】本発明の定着用樹脂に使用されるビニル系
共重合体としては、その構成単位として、スチレン系単
量体及び/又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体を
含み、これ以外のビニル系単量体を含むことができる。
【0036】本発明におけるスチレン系単量体の具体例
としては、スチレンの他にo−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレ
ン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチ
レン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,
4−ジクロルスチレン等を挙げることができる。
【0037】本発明におけるアクリル酸エステルもしく
はメタクリル酸エステル単量体の具体例としては、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ス
テアリル、等のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキル
エステル類の他、アクリル酸2−クロルエチル、アクリ
ル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メ
タクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル
酸ビスグリシジル、ジメタクリ酸ポリエチレングリコー
ル、メタクリロキシエチルホスフェート等を挙げること
ができ、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アク
リル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどが
特に好ましく用いられる。
【0038】本発明におけるその他のビニル系単量体と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリ
ル酸、クロトン酸等のアクリル酸及び又はそのα−ある
いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、シト
ラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びその
モノエステル誘導体及びジエステル誘導体、コハク酸モ
ノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノメ
タクリロイルオキシエチルエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等を挙げるこ
とができる。
【0039】また、定着用樹脂とワックスとの相溶性を
向上させるため、定着用樹脂を合成する際に合成の全部
又は一部の過程でワックスを共存させる共存重合法で樹
脂を作製してもよい。
【0040】ワックスの存在下で共存重合法で定着用樹
脂を作製する方法においてビニル系共重合体としては、
その構成単位として、スチレン系単量体及び/又は(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体を含み、これ以外のビ
ニル系単量体を含むことができる。
【0041】なお、ビニル系共重合体は主として2個以
上の重合可能な二重結合を有する単量体、例えばジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコール
ジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリ
レート、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニ
ルスルフィド、ジビニルスルホン等の架橋剤で一部、架
橋されていても良い。
【0042】本発明のトナーには帯電制御剤をトナー粒
子に配合(内部添加)、もしくは混合(外部添加)して
用いることにより、トナーの帯電量を所望の値に制御す
ることができる。
【0043】トナーの正帯電制御剤としては、ニグロシ
ン及びその脂肪酸等による変性物;トリブチルベンジル
アンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン
酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート
の如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体である
ホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔
料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、
高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオク
チルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド
などのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレー
ト、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボ
レートの如きジオルガノスズボレート類;これらの単独
或いは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ニグロシン系、四級アンモニウム塩、
トリフェニルメタン系染料の如き帯電制御剤が特に好ま
しく用いられる。
【0044】トナーの負帯電制御剤としては、有機金属
錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯
体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカ
ルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。
他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及
びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル
類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0045】これらの帯電制御剤をトナーに内部添加す
る場合、定着用樹脂に対して0.1〜10wt%添加す
ることが好ましい。
【0046】本発明のトナーにおいては、現像性、流動
性、帯電安定性、耐久性向上のため、シリカ微粉末を外
部添加することが好ましい。
【0047】本発明に用いられるシリカ微粉末は、BE
T法で測定した窒素吸着による比表面積が30m/g
以上のものが好ましく、トナーに対して0.01〜5w
t%の範囲で外部添加する。また、必要に応じてシリカ
微粉末を各種有機ケイ素化合物等の処理剤、あるいは種
々の処理剤で疎水化、もしくは帯電性を制御して用いら
れる。
【0048】更に、トナーへの他の添加剤としては、例
えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリ沸化
ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、中でもポリ沸化ビニリ
デンが好ましい。或いは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素
粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤、中で
もチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは例えば酸
化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与
剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。凝集防止剤、
或いは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸
化アンチモン粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤、
また、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上
剤として少量用いることもできる。
【0049】本発明のトナーは、二成分系現像剤として
用いる場合には、キャリアと混合して用いられる。この
場合、トナーとキャリアとの混合比はトナー濃度として
2〜10wt%が好ましい。
【0050】本発明に用い得るキャリアとしては、公知
のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト、マ
グネタイト、ガラスビーズ及びこれらの表面をフッ素系
樹脂、ビニル系樹脂或いはシリコーン系樹脂等でコート
したものが用いられる。
【0051】本発明のトナーは通常はトナーとキャリア
からなる二成分現像剤として用いられるが、トナーに更
に磁性材料を含有させ磁性トナーとして一成分現像剤と
しても用いられる。この場合、磁性材料は着色剤の役割
を兼ねることができる。本発明において、磁性トナー中
に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイ
ト、フェライトの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのよ
うな金属或いはこれらの金属のアルムニウム、コバル
ト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、
カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステ
ン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が
挙げられる。
【0052】これら磁性体は平均粒径が2μm以下、好
ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好ましく、トナ
ー中に含有させる量としては、定着用樹脂に対し、30
〜70wt%が良い。
【0053】本発明のトナーに使用し得る着色剤として
は、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。トナー
の着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラッ
ク、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトー
ルイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリ
ザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、イン
ダンスレンブルーがある。これらは定着画像の光学濃度
を維持するのに必要十分な量が用いられ、好ましくは樹
脂に対し0.2〜15wt%添加する。
【0054】更に同様の目的で染料が用いられる。例え
ば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系
染料、メチン系染料があり、これらは樹脂に対し0.2
〜15wt%添加する。
【0055】本発明における静電荷像現像用トナーを作
製するには、定着用樹脂、炭化水素系ワックス、帯電制
御剤、着色剤としての顔料または染料、磁性粉、更に必
要に応じて他のワックスや添加剤をヘンシェルミキサ
ー、スーパーミキサーの如き混合機により十分に混合し
てから加熱ロール、ニーダ、エクストルーダーの如き熱
溶融混練機を用いて溶融混練して素材類を十分に混合せ
しめた後、冷却固化後粗粉砕、微粉砕及び分級を行って
平均粒径が5〜10μmのトナーを得る。更に、必要に
応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機
によりトナーの表面に付着混合せしめ、添加剤を外部添
加したトナーを得ることができる。
【0056】本発明のトナーは、静電荷像保持部材上に
形成された静電荷潜像をトナーとキャリアから構成され
る二成分現像剤を用いて顕像化し、顕像化したトナー像
を記録媒体上に転写し、静電荷像保持部材上に残留した
トナー像を清掃すると共に、記録媒体上に転写したトナ
ー像を定着して記録画像を得る静電像記録工程におい
て、特に良好な定着性能を示し、トナーの耐熱性、耐久
性、保存安定性も良好で、トナーによるキャリアスペン
トによる現像剤寿命の低下、及びトナーによる感光体フ
ィルミングによる感光体寿命の低下が起こりにくく、安
定した静電トナー像作製方法を提供することができる。
【0057】以下、本発明の実施例について説明する
が、これによって本発明が限定されるものではない。 (実施例)スチレン−アクリル系共重合体樹脂86wt
%、クロム含金属染料(オリエント化学工業社製 商品
名:ボントロンS−34)1wt%、カーボンブラック
(三菱化学社製 商品名:MA−100)8wt%、炭
化水素系ワックス(ヤスハラケミカル社製 商品名:ネ
オワックスAL)5wt%の配合からなるトナー原料を
スーパーミキサーで予備混合し、二軸混練機で熱溶融混
練後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で
分級して平均粒径が9μmの粒子を得た。更に前記粒子
に疎水性シリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロ
ジルR972)0.8wt%を添加し、ヘンシェルミキ
サーで攪拌し、前記粒子の表面に疎水性シリカを付着さ
せたトナーを得た。
【0058】前記炭化水素系ワックスは中低圧法ポリエ
チレン低重合物の精製品で、重量平均分子量/数平均分
子量(Mw/Mn)は1.71、140℃における溶融
粘度は8.5mPa・s、X線回折による結晶化度は8
3%であり、DSCの最大吸収熱量ピークは83℃に融
点がある。
【0059】次に、トナーについて下記の方法で定着性
能と保存安定性の評価を行った。 (1)非オフセット温度範囲 OPCを感光体として用いた電子写真方式のレーザビー
ムプリンタにおいて、OPCの帯電電位−650V、残
留電位−50V、現像バイアス電位−400V、現像部
コントラスト電位350Vで、毎分60枚の印刷速度
(印刷プロセス速度26.7cm/sec)で画像作製
を行った。現像機には、キャリアとして、導電剤含有シ
リコーン系樹脂でコートした重量平均粒径が100μm
のマグネタイトキャリア(電気抵抗4.1×10Ω・
cm)を使用し、トナー濃度2.5wt%で現像剤を調
製し、磁気ブラシ現像法で現像ギャップ(感光体と現像
ロールスリーブ間の距離)を0.8mmとし、感光体と
現像ロールを同方向で移動し、両者の周速比(現像ロー
ル/感光体)を3とし、反転現像で画像を作製した。定
着機は、アルミニウム製芯金をフッ素樹脂(テトラフル
オロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合体:PFA)のチューブで薄く被覆し(厚さ40μ
m)、中心部にヒータランプを設置したものを熱ロール
とし、アルミニウム製芯金にゴム硬度約30度のシリコ
ーンゴム層(厚さ7mm)を設置し、最外層をPFAチ
ューブで被覆したものをバックアップロールとし、定着
条件は、プロセス速度26.7cm/sec、熱ロール
とバックアップロールの外径φ60mm、押し付け荷重
50kgf、両者の接触域(ニップ)の幅約7mmと
し、熱ロールの制御温度を変化させ、熱ロールの各表面
温度での定着画像の白紙部の汚れからオフセットを評価
した。なお、熱ロールには元来シリコーンオイルを含浸
したノーメックスペーパ巻き取りタイプの清掃機を設置
するが、オフセットを評価する場合には清掃機を取り外
し、シリコーンオイルレスの状態で厚紙(厚さ約200
μm)と薄紙(厚さ約100μm)に画像を記録し、前
者で低温オフセット、後者で高温オフセットを評価し
た。 (2)定着強度 前記定着機の熱ロールの表面温度を175℃に設定し、
厚紙(厚さ約200μm)に記録された1インチ角のベ
タ黒画像とレーザビーム1オン4オフ間隔の線画につい
て、それぞれテープ剥離試験と擦り試験を行い、画像の
定着強度を評価した。
【0060】テープ剥離試験は、ベタ黒画像にスコッチ
メンディングテープ810を貼り付け、テープ引き剥が
し前後の画像濃度を反射濃度計(マクベス社製RD−9
14)で測定し、下記式よりテープ剥離強度を求めた。
【0061】 テープ剥離強度(%)=IDa/IDb×100 IDa:テープ剥離後のベタ黒画像の反射濃度 Idb:テープ剥離前のベタ黒画像の反射濃度 擦り試験は、線画を200gfの荷重でワットマン濾紙
44で擦り、濾紙の汚れ具合を白色度計で評価し、汚れ
た濾紙と汚れていない濾紙との光の反射率の比をハンタ
ー値(%)で求め、擦り強度(%)とした。 (3)保存安定性 トナーを金属製シャーレに入れ、調湿剤で湿度を65%
RHにコントロールしたデシケータ中に50℃で24時
間放置し、トナーの凝集の程度を目視で評価した。
【0062】種々の分子量分布を有するスチレン−アク
リル系共重合体樹脂を用いたトナーについて、樹脂の分
子量分布とトナー特性との関係を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1の評価結果から分かる様に、本発明の
トナーは150℃ないし165℃から215℃を越える
高温までオフセットが発生しにくく、非オフセットの温
度範囲を確保でき、定着機の温度が多少変動しても定着
後の画像に汚れが発生しにくい。また、定着温度175
℃における定着強度はテープ剥離強度、擦り強度共に8
0%以上あり、実用に供し得る定着強度が得られた。こ
れに対し、比較例1〜7の各トナーでは定着性能もしく
は保存性が不十分であり、実用に供し難いことが分かっ
た。
【0065】また、比較例8では、実施例7において、
炭化水素系ワックスとしてネオワックスALの替わりに
重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.
2、140℃における溶融粘度が6.0mPa・s、X
線回折による結晶化度が93%、融点93℃のポリエチ
レンワックス(東洋ペトロライト社製PW655)を用
いた。その結果、表1に示す様に非オフセット温度範囲
が狭くなり、定着強度が低下した。
【0066】比較例9では、実施例7において、炭化水
素系ワックスとしてネオワックスALの替わりに重量平
均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.17、1
40℃における溶融粘度が7.8mPa・s、X線回折
による結晶化度が90%、融点94℃のフィッシャート
ロピッシュワックス(日本精鑞社製FT−100)を用
いた。その結果、表1に示す様に比較例8と同様に非オ
フセット温度範囲が狭くなり、定着強度が低下した。
【0067】比較例10では、実施例7において、炭化
水素系ワックスとしてネオワックスALの替わりに重量
平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.21、
140℃における溶融粘度が13.7mPa・s、X線
回折による結晶化度が90%、融点110℃のポリエチ
レンワックス(東洋ペトロライト社製PW1000)を
用いた。その結果、表1に示す様にトナーのTfbがT
mpより小さくなり、比較例9と同様に低温オフセット
が発生し易くなり、定着強度が大幅に低下した。
【0068】実施例1〜10の各トナーを前記のレーザ
ビームプリンタに適用し、連続印刷を行ったところ、3
0万頁の連続印刷を繰り返してもトナーによるキャリア
スペントによる現像剤寿命の低下、及びトナーによる感
光体フィルミングによる感光体寿命の低下が起こらず、
安定した画像を得ることができた
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電記録工程の実施例。
【図2】DSC吸収熱量曲線による融点、ガラス転移点
の測定例を示す説明図。
【図3】定荷重押し出し形細管式レオメータによる溶融
開始温度の測定例を示す説明図。
【符号の説明】
1は帯電器、2は感光体、3は露光器、4は現像ロー
ル、5は現像器、6は記録媒体、7は転写器、8は定着
用熱ロール、9は定着用バックアップロール、10はイ
レーズ光源、11は清掃機である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 順二 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 金子 忠広 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 保志 信義 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 CA04 CA14 EA03 EA06 EA07 EA10

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定着用樹脂とワックスを含む静電荷像現像
    用トナーにおいて、 定着用樹脂は、高分子量重合体成分(HP体)と低分子
    量重合体成分(LP体)とよりなる主成分樹脂組成物を
    含有してなり、主成分樹脂組成物は、ゲルパーミエーシ
    ョンクロマトグラフィーによって測定されたクロマトグ
    ラフにおいて、HP体が分子量450,000を越え、
    LP体が分子量20,000未満の領域にメインピーク
    を有し、HP体とLP体の重量比が20/80〜60/
    40の範囲にあり、重量平均分子量(Mw)が200,
    000以上であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分
    子量(Mn)が20以上であり、 ワックスは炭化水素系ワックスであり、少なくともその
    構成成分として、1.5を越える重量平均分子量(M
    w)/数平均分子量(Mn)を有し、140℃における
    溶融粘度が10mPa・s未満であり、X線回折法によ
    る結晶化度が90%未満のワックスを含有し、前記トナ
    ーの溶融開始温度(Tfb)が、前記トナーの示差走査
    熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の
    吸収熱量曲線の前記ワックスに帰属される吸熱ピークの
    最大値に対応した融点(Tmp)とTmp<Tfb<1
    10℃の関係を有し、ガラス転移点(Tg)が50℃を
    越えることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 【請求項2】前記ワックスの140℃における溶融粘度
    が4mPa・sを越え、10mPa・s未満であること
    を特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】前記ワックスのX線回折法による結晶化度
    が75%を越え、90%未満であることを特徴とする請
    求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】前記ワックスの140℃における溶融粘度
    が4mPa・sを越え、10mPa・s未満であり、X
    線回折法による結晶化度が75%を越え、90%未満で
    あることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用ト
    ナー。
  5. 【請求項5】静電荷像保持部材上に形成された静電荷潜
    像をトナーとキャリアから構成される二成分現像剤を用
    いて顕像化し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写
    し、静電荷像保持部材上に残留したトナー像を清掃する
    と共に、記録媒体上に転写したトナー像を定着して記録
    画像を得る静電像記録工程において、前記トナーは、少
    なくとも定着用樹脂及びワックスを含む静電荷像現像用
    トナーであり、前記定着用樹脂は、高分子量重合体成分
    (HP体)と低分子量重合体成分(LP体)とより成る
    主成分樹脂組成物を含有して成り、前記主成分樹脂組成
    物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによっ
    て測定されたクロマトグラフにおいて、HP体が分子量
    450,000を越え、LP体が分子量20,000未満
    の領域にメインピークを有し、HP体とLP体の重量比
    が20/80〜60/40の範囲にあり、重量平均分子
    量(Mw)が200,000以上であり、重量平均分子
    量(Mw)/数平均分子量(Mn)が20以上であり、
    前記ワックスは炭化水素系ワックスであり、少なくとも
    その構成成分として、1.5を越える重量平均分子量/
    数平均分子量(Mw/Mn)を有し、140℃における
    溶融粘度が10mPa・s未満であり、X線回折法によ
    る結晶化度が90%未満のワックスを含有し、前記トナ
    ーの溶融開始温度(Tfb)が、前記トナーの示差走査
    熱量計により測定されるDSC曲線において、昇温時の
    吸収熱量曲線の前記ワックスに帰属される吸熱ピークの
    最大値に対応した融点(Tmp)とTmp<Tfb<1
    10℃の関係を有し、ガラス転移点(Tg)が50℃を
    越えることを特徴とする静電荷像現像用トナーを用いた
    画像作製方法。
  6. 【請求項6】前記ワックスの140℃における溶融粘度
    が4mPa・sを越え、10mPa・s未満であること
    を特徴とする請求項5記載の静電荷像現像用トナーを用
    いた画像作製方法。
  7. 【請求項7】前記ワックスのX線回折法による結晶化度
    が75%を越え、90%未満であることを特徴とする請
    求項5記載の静電荷像現像用トナーを用いた画像作製方
    法。
  8. 【請求項8】前記ワックスの140℃における溶融粘度
    が4mPa・sを越え、10mPa・s未満であり、X
    線回折法による結晶化度が75%を越え、90%未満で
    あることを特徴とする請求項5記載の静電荷像現像用ト
    ナーを用いた画像作製方法。
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