JP2003207928A - 電子写真用トナー及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真用トナー及び画像形成装置

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JP2003207928A
JP2003207928A JP2002258195A JP2002258195A JP2003207928A JP 2003207928 A JP2003207928 A JP 2003207928A JP 2002258195 A JP2002258195 A JP 2002258195A JP 2002258195 A JP2002258195 A JP 2002258195A JP 2003207928 A JP2003207928 A JP 2003207928A
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Ryuichi Shimizu
龍一 清水
Junji Kobayashi
順二 小林
Tadahiro Kaneko
忠弘 金子
Nobuyoshi Hoshi
信義 保志
Tsuneaki Kawanishi
恒明 川西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】定着に要するエネルギーが小さく、且つオフセ
ット現象が発生し難く、低温で高い剥離強度と擦り強度
の両方を備え、流動性、耐熱性、耐久性、保存安定性が
良好なトナーを提供する。 【解決手段】定着用樹脂、着色剤及びワックスを含む電
子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、少なくと
も、数平均分子量が600以下の炭化水素ワックスと、
数平均分子量が600以下で140℃における溶融粘度
が15mPa・s未満で、且つ結晶化度が95%未満であ
るポリエチレンワックスとを含有し、上記パラフィンワ
ックスと上記ポリエチレンワックスの割合は1:10〜
2:1の範囲にあり、前記トナーの示差走査熱量計によ
り測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量曲線の吸熱
ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけるオン
セット温度が65℃以下である電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
印刷法、静電記録法等により形成された静電荷潜像を可
視像化する際に用いられる電子写真用トナー並びにその
電子写真用トナーを用いた画像形成装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えば電子写真法においては、光導電性
感光体を帯電、露光し、感光体上に静電荷潜像を形成
し、次いでこの静電荷潜像を、樹脂をバインダーとして
着色剤等を含有せしめた微粒子状トナーによって現像
し、得られたトナー像を記録紙上に転写した後、該記録
紙にトナー像を定着して記録画像を形成している。この
ような記録画像の形成工程では、微粒子状トナーによる
静電荷潜像の現像と記録紙上への定着が特に重要な工程
である。
【0003】従来、トナーによる静電荷潜像の現像の方
法として、トナーと磁性キャリアより成る二成分現像剤
を用いる磁気ブラシ現像法が広く用いられている。ま
た、トナーを記録紙に定着する方法としては、熱効率が
高く高速定着が可能な熱ローラ定着法及びフィルム等を
用い熱応答性を向上させた定着法が実用化されている。
【0004】かかる定着法を用いる場合には、 (1) 定着機を作動せしめてから定着が可能になるまでの
ウォームアップ時間を短くする。 (2) 記録紙に熱が吸収されることによる定着不良を防止
して、連続通紙による画質の維持を可能にする。 (3) 過熱による記録紙のカールと火災を防止する。 (4) 熱ローラへ加える荷重を減らし、定着機の構造を簡
易化、小形化する。等の観点から、定着用ヒータ及び駆
動モータの消費電力を下げて、熱ローラの温度をより低
温で、また、熱ローラの圧力をより低圧力で定着できる
トナーの開発が望まれていた。
【0005】一方、最近の画像形成装置においては、情
報機器の発展に伴い、光導電性感光体の露光にレーザビ
ームを用い、コンピュータの指示による変調信号によっ
て記録画像をドットで再現するレーザビームプリンタが
発達している。特に、最近のレーザビームプリンタで
は、より一層の高画質の画像作成が求められるため、レ
ーザビームの径を絞り込んで小さくし、ドット密度が60
0〜1200dpi(dots/inch)ー及びキャリアの粒子径も小さ
くなり、体積平均粒径が10μm以下の小粒径トナーと重
量平均粒径が100μm以下の小粒径キャリアの適用が進め
られている。
【0006】しかしながら小粒径トナーはトナー製造時
に粉砕、分級工程での歩留まりが低下するため、トナー
のコストが高くなる。このため、通常4μm未満のトナー
を実用化することは難しく、トナーの平均粒径を4〜10
μmの範囲とし微粒子トナーをカットし、トナーの外添
剤、外添処方の改良によりトナーの流動性を高めて用い
るのが一般的である。
【0007】一方、キャリアについてはトナーの小粒径
化に伴い、重量平均粒径を100μm以下の小粒径とし、キ
ャリアの比表面積を高めて、トナーとの摩擦帯電性を向
上させている。しかし、30μm未満のキャリアではキャ
リアの磁力が低下し、静電荷像保持部材上に静電吸引力
で付着し易くなるため、キャリアの平均粒径を30〜100
μmの範囲に分級し、必要に応じて表面を樹脂でコート
して用いている。
【0008】これらの粒度分布の改善と流動性、帯電性
の改良により、小粒径トナー及び現像剤は複写機、プリ
ンタ等の画像形成装置で実用化される様になった。しか
し、実機で印刷を行う場合、特に毎分10頁以上の印刷を
繰り返す場合には、上記の小粒径トナー特有の問題が生
じ、トナーによるキャリアスペントによる現像剤寿命の
低下、及びトナーによる感光体フィルミングによる感光
体寿命の低下が起こり易くなる。
【0009】また、小粒径トナーは定着に関しては同一
の定着強度を得るために、粒子径の大きなトナーよりも
多くのエネルギーを要し、画像の定着強度が得られにく
く、特に定着工程において、熱ローラの温度と圧力を高
める必要があり、そのため、定着機の高信頼化、簡易小
形化、コスト低減を図りにくいという課題があった。従
って、このような課題を解決するためトナーの定着性向
上が強く求められていた。
【0010】トナーの定着性能向上のために定着用樹脂
にワックスを添加することは既に知られている。例え
ば、特開昭52−3304号公報、特開昭52−3305号公報、特
開昭57−52574号公報等に上記技術が開示されている。
こうしたワックス類は、トナーの低温時や高温時の熱ロ
ーラへの付着、いわゆるオフセット現象を防止する目的
で添加されている。
【0011】例えば、特開平5−313413号公報にはトナ
ーの低温定着性、耐オフセット性、非凝集性を改善する
ため、特定の分子量分布を有するビニル系共重合体に14
0℃での粘度が1万ポイズ以下のエチレンまたはプロピレ
ンとα−オレフィン共重合体を添加することが開示され
ている。
【0012】また、同様の目的で、特開平7−287413号
公報には示差走査熱量計(DSC)による吸収熱量のピーク
(融点)が75〜85℃のパラフィンワックスを添加するこ
と、特開平8−314181号、特開平9−179335号、特開平9
−319139号各公報にはDSCによる融点が85〜100℃の天然
ガス系フィッシャートロピッシュワックスを添加するこ
と、特開平6−324513号公報にはDSCによる融点が85〜11
0℃のポリエチレンワックスを添加すること、特開平7−
36218号公報には融点が50℃以下の成分を蒸留法等によ
って除去したDSCの融点が70〜120℃のポリエチレン系ワ
ックスを添加すること、特開平8−114942号公報には重
量平均分子量(Mw)が1千未満のポリエチレンワックスを
添加することが開示されている。
【0013】一方、低融点ワックスをトナーに添加する
とトナーの流動性、耐熱性、耐久性、保存安定性が低下
する。それを改良するため、特開平6−123994号公報に
は重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.5以下の
ワックスを用いること、特開平7−209909号公報には140
℃における溶融粘度が0.5〜10mPa・sであり、且つ針入
度が3.0dmm以下であるエチレン系オレフィン重合体ワッ
クスを用いること、特開平7−287418号公報には平均分
子量が1千以上のフィッシャートロピッシュワックスを
用いること、特開平10−104875号公報には所定の粘度を
示すパラフィンワックスとフィッシャートロピッシュワ
ックスを併用する事が開示されている。
【0014】これらの従来技術を用いてトナーの定着性
能を向上させることも可能であるが、印刷装置の高速化
また省エネルギーの観点からさらなる低温定着性をもっ
たトナーが求められているのが実情である。また、近年
は両面、多重、縮小編集などで装置内を何度も通紙する
事により画像は擦られることになるため従来にも増して
擦りに対する耐久性が求められている。さらにランニン
グコストの低減、メンテナンス回数の削減等により高い
耐久性を持った電子写真用現像剤が求められていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のニーズに適合した電子写真用トナーを提供することに
ある。具体的には、本発明の解決しようとする課題は、
定着に要するエネルギーが小さく、熱ローラ定着方式を
採用した場合に熱ローラの温度と圧力を低下させること
ができ、且つ、オフセット現象が発生し難く、低温で高
い剥離強度と擦り強度の両者を備え、流動性、耐熱性、
耐久性、保存安定性が良好なトナーを提供することであ
り、更には、トナーによるキャリアスペントによる現像
剤寿命の低下がおこり難く、また、トナーによる感光体
フィルミングによる感光体寿命の低下が起こりにくい電
子写真用トナーを提供することにある。
【0016】本発明の更に他の目的は、上記のような電
子写真用トナーを用いた安定した画像形成装置を提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワッ
クスを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックス
は、少なくとも、数平均分子量が600以下の炭化水素
ワックスと、数平均分子量が600以下で140℃にお
ける溶融粘度が15mPa・s未満で、且つ結晶化度が9
5%未満であるポリエチレンワックスとを含有し、上記
炭化水素ワックスと上記ポリエチレンワックスの割合は
1:10〜2:1の範囲にあり、前記トナーの示差走査
熱量計により測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量
曲線の吸熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱に
おけるオンセット温度が65℃以下である電子写真用ト
ナーに特徴がある。
【0018】さらに具体的には、本発明は、少なくとも
定着用樹脂、着色剤及びワックスを含む電子写真用トナ
ーにおいて、上記ワックスは、少なくとも、数平均分子
量が600以下のアルファオレフィンと、数平均分子量
が600以下で140℃における溶融粘度が15mPa・
s未満であり、結晶化度が95%未満であるポリエチレ
ンワックスとを含有し、アルファオレフィンとポリエチ
レンワックスの割合が1:10〜2:1の範囲にあり、
前記トナーの示差走査熱量計により測定されるDSC曲
線の昇温時の吸収熱量曲線の吸熱ピークの最大値が75
℃以下にあり、吸熱におけるオンセット温度が65℃以
下である電子写真用トナーに特徴がある。
【0019】さらに本発明は、少なくとも定着用樹脂、
着色剤及びワックスを含む電子写真用トナーにおいて、
上記ワックスは、少なくとも、数平均分子量が300〜
600のパラフィンワックスと、数平均分子量が600
以下で140℃における溶融粘度が10mPa・s未満
で、且つ結晶化度が90%未満であるポリエチレンワッ
クスとを含有し、上記パラフィンワックスと上記ポリエ
チレンワックスの割合は1:10〜2:1の範囲にあ
り、前記トナーの示差走査熱量計により測定されるDS
C曲線の昇温時の吸収熱量曲線の吸熱ピークの最大値が
75℃以下にあり、吸熱におけるオンセット温度が55
℃以下である電子写真用トナーに特徴がある。
【0020】また、本発明の他の特徴は、静電荷保持部
材上に形成された静電荷潜像を上述のトナーを用いて顕
像化し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写し、記
録媒体上に転写したトナー像を定着して記録画像を得る
ように画像形成装置を構成したことにある。以下本発明
について詳細に説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】(トナーの構成成分等)本発明の
電子写真トナーは、少なくとも定着用樹脂、着色剤およ
びワックスを含む。ワックスは、数平均分子量が600
以下の炭化水素ワックスとさらに数平均分子量が600
以下であり140℃における溶融粘度が15mPa・s未
満であり、結晶化度が95%未満であるポリエチレンワ
ックスを含有する。
【0022】数平均分子量が600以下の炭化水素ワッ
クスは低温でシャープに溶融しやすいためトナー中に含
有する事により、少ない熱量でトナーは容易に溶融し易
くなり、少ない熱量でトナーは用紙等記録媒体の中に浸
透固化してアンカー効果を発揮し引き剥がしに対する強
度を得やすくなる。さらに数平均分子量が600以下の
炭化水素ワックスは連続印刷を行ってもトナーによるキ
ャリアスペントによる現像剤寿命の低下を起こしにくい
ことが判った。熱ローラ定着方式を採用した場合、数平
均分子量が600以下の炭化水素ワックスを含有すると
低温で高い引き剥がし強度を得る事ができる。しかし数
平均分子量が600以下の炭化水素ワックスのみである
と定着時にトナーがローラー等に付着しさらに用紙等に
再付着するオフセットが発生しやすい。
【0023】近年のトナーに求められる特性は、両面、
多重、縮小編集などで装置内を何度も通紙する事により
画像は擦られることになるため、従来にも増して擦りに
対する耐久性が求められている。この擦りについてはト
ナー中に含まれるワックスが効果的であり、トナー表面
に染みだしトナー画像と用紙が擦れた場合でもワックス
の滑剤の効果により相手方の用紙を汚しにくいという効
果がある。この擦りに対する耐久性の効果は多量の印刷
物を重ねて印刷する場合や自動用紙送り機構の付いた画
像読取り装置等で使用するとき、名刺、カード等厚紙に
印刷するときに顕著に現れ、印刷速度が低速から高速ま
で良好な結果が得られる。特に高速(40枚/分以上)
領域ではさらに顕著な効果が得られる。
【0024】この擦りに対する耐久性をもったワックス
を種々検討したところ、数平均分子量が600以下で1
40℃における溶融粘度が15mPa・s未満であり、結
晶化度が95%未満であるポリエチレンワックスがこの
擦りに対する耐久性が効果的である事を見出した。さら
に本特性を満足するポリエチレンワックスは低温から溶
融し高温でもホットオフセットの発生しないワックスの
離型効果も兼ね備えている。
【0025】本検討のなかで見出した数平均分子量が6
00以下で140℃における溶融粘度が15mPa・s未
満であり、結晶化度が95%未満であるポリエチレンワ
ックスのポリエチレンワックスを使用するトナーは従来
のトナーと比較し優れた擦り耐久性を有するが、省エネ
ルギー化、高速化をもとめる要求はさらに厳しいもので
ある。本発明者はさらに検討を重ねた結果、前記数平均
分子量が600以下の炭化水素ワックスと、数平均分子
量が600以下で140℃における溶融粘度が15mPa
・s未満であり、結晶化度が95%未満であるポリエチ
レンワックスの割合が1:10〜2:1の範囲で使用す
ることで上記の要求に応えうることを見出した。
【0026】すなわち、上記の範囲で使用すると、炭化
水素ワックスの低温でシャープに溶融しやすい特性によ
り、少ない熱量でトナーは容易に溶融し易くなり、少な
い熱量でトナーは用紙等記録媒体の中に浸透固化してア
ンカー効果を発揮し引き剥がしに対する強度を得やすく
なる一方、数平均分子量が600以下で140℃におけ
る溶融粘度が15mPa・s未満であり、結晶化度が95
%未満であるポリエチレンワックスの擦りに対する優れ
た耐久性を両立する事ができることが判った。炭化水素
ワックスの割合が1:10より少ないと引き剥がしに対
する強度が不足するようになり、2:1よりも多くなる
と擦りに対する耐久性が低下しまたホットオフセットが
発生しやすくなる。
【0027】また、この時トナーの示差走査熱量計によ
り測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量曲線の吸熱
ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけるオン
セット温度が65℃以下である事が必要とされる。
【0028】前記数平均分子量が600以下の炭化水素
ワックスと数平均分子量が600以下で140℃におけ
る溶融粘度が15mPa・s未満であり、結晶化度が95
%未満であるポリエチレンワックスの割合が1:10〜
2:1の範囲にあっても、トナーの吸収熱量曲線の吸熱
ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけるオン
セット温度が65℃以下にないという事は、前記炭化水
素ワックス及びポリエチレンワックスがごく一部にしか
使用されず、実質上定着性を向上させる効果が得られな
い事を意味するものである。
【0029】したがって前記数平均分子量が600以下
の炭化水素ワックスと数平均分子量が600以下で14
0℃における溶融粘度が15mPa・s未満であり、結晶
化度が95%未満であるポリエチレンワックスの割合が
1:10〜2:1の範囲にあり、かつトナーの吸収熱量
曲線の吸熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱に
おけるオンセット温度が65℃以下、さらには吸熱にお
けるオンセット温度が55℃以下にあることが好まし
い。一方、オンセット温度が30℃以下になると連続印
刷中の現像剤温度の上昇、高温環境下での印刷時にトナ
ーが軟化し、流動性の低下や現像剤中のトナー濃度の変
動が大きくなり、トナーの凝集等が起りやすくなる。
【0030】本発明の電子写真用トナーにおいて使用さ
れる炭化水素ワックスは数平均分子量が600以下であ
り、求める特性に応じて使い分けることができ、分子量
250〜450の範囲にあるものが好ましい。例えばパ
ラフィンワックス、オレフィンワックスが使用できる。
【0031】また本発明に使用されるポリエチレンワッ
クスは、その機能に応じて使い分けられ、分子量が60
0以下であり、140℃における溶融粘度が15mPa・
s未満(好ましくは13mPa・s未満、特に好ましく
は10mPa・s未満)であり、X線回折法による結晶
化度が95%未満(好ましくは93%以下、特に好まし
くは90%以下)であり、さらに好ましくはは重量平均
分子量/数平均分子量の比率(Mw/Mn)が1.5を
超えるポリエチレンワックスが好ましい。 ワックスの
含有量は定着樹脂100重量部に対し0.1〜20重量
部の範囲で使用できる。
【0032】次に、上記炭化水素ワックスとしてパラフ
ィンワックスを使用した場合の詳細について説明する。
パラフィンワックスを使用したときの、本発明の電子写
真トナーは、少なくとも、数平均分子量が300〜60
0のパラフィンワックスとさらに数平均分子量が600
以下で140℃における溶融粘度が10mPa・s未満で
あり、結晶化度が90%未満であるポリエチレンワック
スを含有する。
【0033】数平均分子量が300〜600のパラフィ
ンワックスは低温でシャープに溶融しやすいため、トナ
ー中に含有する事により、少ない熱量でトナーは容易に
溶融し易くなり、少ない熱量でトナーは用紙等記録媒体
の中に浸透固化してアンカー効果を発揮し引き剥がしに
対する強度を得やすくなる。さらに数平均分子量が30
0〜600のパラフィンワックスは連続印刷を行っても
トナーによるキャリアスペントによる現像剤寿命の低下
を起こしにくいことが判った。
【0034】熱ローラ定着方式を採用した場合、数平均
分子量が300〜600のパラフィンワックスを含有す
ると低温で高い引き剥がし強度を得る事ができる。しか
し、数平均分子量が300〜600のパラフィンワック
スのみであると、定着時にトナーがローラー等に付着
し、さらに用紙等に再付着するオフセットが発生しやす
い。
【0035】本発明者の検討によると、数平均分子量が
600以下で140℃における溶融粘度が10mPa・s
未満であり、結晶化度が90%未満であるポリエチレン
ワックスは、擦りに対する耐久性に優れていると同時
に、低温から溶融し高温でもホットオフセットの発生し
ないワックスの離型効果も兼ね備えていることが判明し
た。
【0036】本発明者はさらに検討を重ねた結果、前記
数平均分子量が300〜600のパラフィンワックス
と、数平均分子量が600以下で140℃における溶融
粘度が10mPa・s未満であり、結晶化度が90%未満
であるポリエチレンワックスの割合が1:10〜2:1
の範囲で使用することで、パラフィンワックスの低温で
シャープに溶融しやすい特性により、少ない熱量でトナ
ーは容易に溶融し易くなり、少ない熱量でトナーは用紙
等記録媒体の中に浸透固化してアンカー効果を発揮し引
き剥がしに対する強度を得やすくなる一方、数平均分子
量が600以下で140℃における溶融粘度が10mPa
・s未満であり、結晶化度が90%未満であるポリエチ
レンワックスの擦りに対する優れた耐久性を両立する事
ができることが判った。
【0037】パラフィンワックスの割合が1:10より
少ないと引き剥がしに対する強度が不足するようにな
り、2:1よりも多くなると擦りに対する耐久性が低下
し、またホットオフセットが発生しやすくなる。
【0038】また、この時トナーの示差走査熱量計によ
り測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量曲線の吸熱
ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけるオン
セット温度が55℃以下である事が必要とされる。
【0039】前記数平均分子量が300〜600のパラ
フィンワックスと数平均分子量が600以下で140℃
における溶融粘度が10mPa・s未満であり、結晶化度
が90%未満であるポリエチレンワックスの割合が1:
10〜2:1の範囲にあっても、トナーの吸収熱量曲線
の吸熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけ
るオンセット温度が55℃以下にないという事は、前記
パラフィンワックス及びポリエチレンワックスがごく一
部にしか使用されず、実質上定着性を向上させる効果が
得られない事を意味するものである。したがって前記数
平均分子量が300〜600のパラフィンワックスと数
平均分子量が600以下で140℃における溶融粘度が
10mPa・s未満であり、結晶化度が90%未満である
ポリエチレンワックスの割合が1:10〜2:1の範囲
にあり、かつトナーの吸収熱量曲線の吸熱ピークの最大
値が75℃以下にあり、吸熱におけるオンセット温度が
55℃以下にある必要がある。
【0040】本発明の電子写真用トナーにおいては、使
用されるパラフィンワックスが減圧蒸留留出油から分離
精製されたワックスで分子量が300〜600のものを
用い求める特性に応じて使い分けることができ、分子量
400〜550の範囲にあるものが好ましい。
【0041】また本発明に使用されるポリエチレンワッ
クスは、その機能に応じて使い分けられ、分子量が60
0以下であり、140℃における溶融粘度が10mPa・
s未満かつ結晶化度が90%未満で溶融粘度が10mPa
・s未満(好ましくは9mPa・s未満、特に好ましく
は8mPa・sよりも大きく9mPa・s未満)であ
り、X線回折法による結晶化度が90%未満(好ましく
は75%よりも大きく90%未満、特に好ましくは80
%以上85%以下)であり、さらに好ましくは重量平均
分子量/数平均分子量の比率(Mw/Mn)が1.5を
超えるポリエチレンワックスが好ましい。また、ワック
スの含有量は定着樹脂100重量部に対し0.1〜20
重量部の範囲で使用できる。
【0042】(構成成分等の測定方法) (1)ワックスの分子量分布 本発明においてワックスの分子量分布は、高温でのゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の
条件で測定される。 (GPC測定条件) 装置:ALC/GPC 150-C(ウォーターズ社) 分離カラム:GMH-HT60cm×1、GMH-HTL60cm×1(東ソー社
製) カラム温度:135℃ 移動相:o-ジクロロベンゼン 検出器:示差屈折計 流速:1.0ml/min 試料濃度:0.15wt% 注入量:400μl 以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単
分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量こう正
曲線を使用し、Mark-Houwink-Sakuradaの式あるいは粘
度式から導き出される換算式でポリエチレン換算するこ
とによって算出される。
【0043】(2)ワックスのDSC ワックスのDSC測定は、トナーを約5mg計量してDSCに載
置し、1分間に50mlの窒素ガスを吹き込み、20℃から16
0℃の間を1分間あたり10℃の割合で昇温させ、次に160
℃から20℃に急冷させ、前履歴を取った後、再度1分間
あたり10℃の割合で昇温させ、その時のDSC吸収熱量曲
線のピークを求めた。
【0044】(3)ワックスの結晶化度 ワックスの結晶化度はX線回折法により次の条件で測定
される。 X線:Cu−Kα線(グラファイトモノクロメータによ
り単色化) 波長λ=1.5406オングストローム 出力 40kV、40mA 光学系:反射法、スリットDS,SS=1°、RS=0.
3mm 測定範囲:2θ=10°〜35° ステップ間隔:0.02° 走査速度:2θ/θ連続スキャン1.00°/分 以上の条件で測定し、試料のX線回折プロファイルを3
本の結晶ピークと非晶散乱に分離し、それらの面積から
下式により結晶化度を算出する。 結晶化度(%)=Ic/(Ic+Ia)×100 Ic:各結晶ピーク面積の和 Ia:各結晶ピーク面積の和+非晶散乱面積 (4)トナーの粒度 トナーの粒度は種々の方法により測定されるが、本発明
ではコールターカウンターを用いて行った。アパーチャ
ーは100μmのものを用い測定装置はコールターカウ
ンターTA−2型(コールター社)を用い個数分布、体
積分布を測定した。この時、測定試料は界面活性剤を加
えた電解液中に測定トナーを加え超音波分散機で1分間
分散させたものを50000個測定した。トナーの平均粒径
は4〜10μmが好ましく、さらにトナー中に含まれる
4μm以下の粒子割合を25個数%以下に抑える事が好
ましい。さらに4μm以下の割合を15個数%以下に抑
える事で、さらに耐久性も向上する。二成分現像剤では
キャリアと数%のトナーを混合しトナーとキャリアの摩
擦によってトナーを帯電させるが、4μm以下のトナー
はキャリアから分離しにくくキャリアと長時間接触する
ためキャリア表面にスペントを起こしやすい。また4μ
m以下の微粒子トナーは非画像部へのトナー付着(カブ
リ)と定着時に粒径の大きなトナーと比較し多くの熱エ
ネルギーを要し、低温定着性には不利である。したがっ
てトナー中における4μm以下の割合は全トナー粒子数
の25個数%以下が良く、好ましくは全トナー粒子数の
15個数%以下が良く、更に好ましくは10個数%以下
が良い。
【0045】(5)トナーのDSC トナーのDSC測定は、トナーを約5mg計量してDS
Cに載置し1分間に50mlの窒素ガスを吹き込み20℃
から200℃まで昇温し、200℃から0℃まで10℃
/minで冷却し前歴を取った後、再度10℃/minの割合
で昇温させその時のDSC吸収熱量曲線より最大吸熱ピ
ーク及びオンセット温度を求めた。複数の吸熱ピークが
観測される場合には、それらに帰属するオンセット温度
の中で最も低いオンセット温度を求める。なお、オンセ
ット温度は、吸熱ピーク曲線の微分値が最も小さくなる
点において曲線の接線を引き、接線とベースラインとの
交点の温度と定義する。
【0046】(定着用樹脂)本発明のトナーに使用され
る定着用樹脂としては、例えば、以下の樹脂が挙げられ
る。ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニ
ルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;
スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニル
トルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合
体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-
メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメ
タクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリ
ル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合
体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレ
ン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン
共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-ア
クリロニトリル-インデン共重合体の如きスチレン系共
重合体;更にはポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然
変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ア
クリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリ
コーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリア
ミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、
ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クロマン-イン
デン樹脂、石油系樹脂が挙げられるが、好ましくはスチ
レン系共重合体もしくはポリエステル樹脂である。
【0047】また、前記したポリエステル樹脂にスチレ
ン〜アクリルをグラフト共重合させた低吸湿性の樹脂も
使用できる。なお、スチレン系重合体またはスチレン系
共重合体は架橋されていてもよく、混合樹脂でも構わな
い。
【0048】低温で定着し高温オフセットを防止する為
には、例えばスチレン〜(メタ)アクリル系樹脂の場
合、高分子量重合体と低分子量重合体よりなり、前者は
トナーの耐オフセット性、後者は定着強度の確保に有効
である。両者の組成のバランスは低温定着性及び耐オフ
セット性を両立するために重要でありさらに保存性にも
影響すると言われている。
【0049】スチレン〜(メタ)アクリル系樹脂の分子
量分布はテトラヒドロフランに可溶な成分をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定
する事ができる。GPC測定で分子量が50万を超える
高分子量重合体成分と分子量が2万以下の低分子量成分
を20:80〜60:40の範囲になるような樹脂とす
ることで低温定着性及び耐オフセット性を達成する事が
できる。
【0050】また定着用樹脂とワックスとの相溶性を向
上させるため、定着用樹脂を合成する際に合成の全部又
は一部の過程でワックスを共存させる共存重合法で作成
してもよい。ワックスの存在下で共存重合法で定着樹脂
を作成する方法においてビニル系共重合体としては、そ
の構成単位として、スチレン系単量体及び/又は(メタ)
アクリル酸エステル単量体を含み、これ以外のビニル系
単量体を含むことができる。
【0051】本発明におけるワックスを共存させる共存
重合を合成の全部又は一部の過程で行うことにより、該
ワックスを均一に分散させたビニル系共重合体を少なく
ともその構成要素として得ることができる。なお、ビニ
ル系共重合体は主として2個以上の重合可能な二重結合
を有する単量体、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナ
フタレン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-
ブタンジオールジメタクリレート、ジビニルアニリン、
ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスル
ホン等の架橋剤で一部、架橋されていても良い。
【0052】ビニル重合体の構成単位としてのスチレン
系単量体の具体例としては、スチレンの他にオルトメチ
ルスチレン、メタメチルスチレン、アルファメチルスチ
レン、2,4-ジメチルスチレン等を挙げることができる。
【0053】ビニル重合体の構成単位としてのアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステル系単量体の具
体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸
イソブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸
イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ド
デシル、メタクリル酸ステアリル、等のアクリル酸又は
メタクリル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2-ク
ロルエチル、アクリル酸フェニル、α-クロルアクリル
酸メチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシ
ジル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホス
フェート等を挙げることができ、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メ
タクリル酸ブチルなどが特に好ましく用いられる。
【0054】ビニル重合体の構成単位としてのその他の
ビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、
α-エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸及び
そのα-あるいはβ-アルキル誘導体、フマル酸、マレイ
ン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン
酸及びそのモノエステル誘導体及びジエステル誘導体、
コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハ
ク酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等を
挙げることができる。
【0055】(帯電制御剤)本発明のトナーには帯電制
御剤をトナー粒子に配合(内部添加)、もしくは混合(外
部添加)して用いることにより、トナーの帯電量を所望
の値に制御することができる。
【0056】トナーの正帯電制御剤としては、ニグロシ
ン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジ
ルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸、
テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如
き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホス
ホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、ト
リフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、高級脂
肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルス
ズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどの
ジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジ
オクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート
の如きジオルガノスズボレート類;これらの単独或いは
2種類以上を組み合わせて用いることができる。これら
の中でも、ニグロシン系、四級アンモニウム塩、トリフ
ェニルメタン染料の如き帯電制御剤が特に好ましく用い
られる。
【0057】トナーの負帯電制御剤としては、有機金属
錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯
体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカ
ルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。
他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及
びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル
類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
これらの帯電制御剤をトナーに内部添加する場合、定着
用樹脂に対して0.1〜10wt%添加することが好ましい。
【0058】(外部添加剤)本発明のトナーにおいて
は、現像性、流動性、帯電安定性、耐久性向上のため、
シリカ微粉末等を外部添加することが好ましい。本発明
に用いられるシリカ微粉末等は、BET法で測定した窒素
吸着による比表面積が30m2/g以上のものが好ましく、
トナーに対して0.01〜5wt%の範囲で外部添加する。ま
た、必要に応じてシリカ微粉末を各種有機ケイ素化合物
等の処理剤、あるいは種々の処理剤で疎水化、もしくは
帯電性を制御して用いられる。処理剤の種類ならびにシ
リカ微粉末の粒子径により流動性、耐久性、保存安定性
等が変るため目的に応じて選択される。
【0059】更に、例えばテフロン(登録商標)樹脂粉
末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリ沸化ビニリデン粉末の
如き滑剤粉末、中でもポリ沸化ビニリデンが好ましい。
或いは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ス
トロンチウム粉末の如き研磨剤、中でもチタン酸ストロ
ンチウムが好ましい。或いは例えば酸化チタン粉末、酸
化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤、中でも特に疎
水性のものが好ましい。凝集防止剤、或いは例えばカー
ボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化アンチモン粉
末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤、また、逆極性の
白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用
いることもできる。
【0060】(磁性材料)本発明のトナーは磁性材料を
含有する事ができる。磁性材料は着色剤の役割を兼ねる
ことができる。本発明において、トナー中に含まれる磁
性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライ
トの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或い
はこれらの金属のアルムニウム、コバルト、銅、鉛、マ
グネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、カルシウム、マ
ンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの
ような金属との合金及びその混合物が挙げられる。これ
ら磁性体は平均粒径が2μm以下、好ましくは0.1〜0.5μ
m程度のものが好ましく、トナー中に含有させる量とし
ては、定着用樹脂に対し、0.1〜200wt%が良い。
【0061】(着色剤)本発明のトナーに使用し得る着
色剤としては、任意の適当な顔料または染料が挙げられ
る。トナーの着色剤としては、例えば顔料としてカーボ
ンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、
ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレー
キ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブル
ー、インダンスレンブルーがある。これらは定着画像の
光学濃度を維持するのに必要十分な量が用いられ、好ま
しくは樹脂に対し0.2〜15wt%添加する。更に同様の目
的で染料が用いられる。例えば、アゾ系染料、アントラ
キノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があ
り、これらは樹脂に対し0.2〜15wt%添加する。
【0062】(キャリア)本発明に用い得るキャリアと
しては、公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フ
ェライト、マグネタイト、ガラスビーズ及び磁性体微粒
子をバインダー樹脂中に分散させた樹脂キャリアが使用
可能であり、キャリア表面にコーティング層を設ける事
が出来る。キャリアの帯電特性、電気抵抗値等はバイン
ダー樹脂、帯電性微粒子、コーティング層によって制御
できる。
【0063】樹脂キャリアに用いられるバインダー樹脂
は、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂やフェノ
ール樹脂等の熱硬化性樹脂が例示できる。
【0064】磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガ
ンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(M
n、Ni、Zn、Mg、Cu等)を一種又は二種以上含
有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマ
グネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有す
る鉄や合金の粒子を使用できる。その形状は、粒状、球
状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する
場合は、鉄等の強磁性微粒子を用いる事が好ましい。ま
た、化学的な安定性を考慮するとマグネタイト、ガンマ
酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト
等のマグネトプランバイト型フェライトを用いる事が好
ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を選択する事に
より所望の磁化を有する樹脂キャリアを得る事ができ
る。この時のキャリアの磁気特性は、1000エルステ
ッドにおける磁化の強さは30〜150emu/gが好
ましい。
【0065】このような樹脂キャリアは、磁性体微粒子
と絶縁性バインダー樹脂との溶融混練物をスプレードラ
イヤーで噴霧して製造したり、磁性体微粒子の存在下に
水性媒体中でモノマーないしプレポリマーを反応、硬化
させ縮合型バインダー中に磁性体微粒子が分散された樹
脂キャリアを製造できる。
【0066】キャリアの表面には、正または負帯電性の
微粒子または導電性微粒子を固着させたり、樹脂をコー
ティングして帯電性を制御できる。表面のコート材とし
ては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、
フッ素系樹脂等が用いられ、さらに正または負帯電性の
微粒子または導電性微粒子を含んでコーティングする事
ができる。本発明のトナーとキャリアとの混合比は、ト
ナー濃度として2〜10wt%が好ましい。
【0067】(トナーの製造方法)本発明にかかる電子
写真用トナーを作製するには、まず、数平均分子量が6
00以下の炭化水素ワックスと数平均分子量が600以
下で140℃における溶融粘度が15mPa・s未満であ
り、結晶化度が95%未満であるポリエチレンワックス
を1:10〜2:1の範囲とし、定着用樹脂、帯電制御
剤、着色剤としての顔料または染料、磁性粉、更に必要
に応じて添加剤、ワックスを均一に分散した定着用樹脂
を組合せてヘンシェルミキサー、スーパーミキサーの如
き混合機により十分混合する。
【0068】あるいは、数平均分子量が300〜600
のパラフィンワックスと、数平均分子量が600以下で
140℃における溶融粘度が10mPa・s未満であり、
結晶化度が90%未満であるポリエチレンワックスを
1:10〜2:1の範囲とし、定着用樹脂、帯電制御
剤、着色剤としての顔料または染料、磁性粉、更に必要
に応じて添加剤、ワックスを均一に分散した定着用樹脂
を組合せてヘンシェルミキサー、スーパーミキサーの如
き混合機により十分混合する。
【0069】その後、加熱ロール、ニーダ、エクストル
ーダーの如き熱溶融混練機を用いて溶融混練して素材類
を十分に混合せしめる。そしてその後、冷却固化する。
冷却固化した後、微粉砕及び分級を行ってトナーを得
る。この時の粉砕方法としては高速気流中にトナーを包
含させ、衝突板にトナーを衝突させそのエネルギーで粉
砕するジェットミル方式やトナー粒子同士を気流中で衝
突させる粒子間衝突方式、更には高速に回転したロータ
ーと狭いギャップ間にトナーを供給し粉砕する機械式粉
砕法等が使用できる。
【0070】ジェットミル方式や粒子間方式は衝突エネ
ルギーによってトナーを粉砕するため、粉砕したトナー
粒子の形状は比較的尖っているが、機械式粉砕法を用い
た場合、トナーはギャップ間で擦られながら粉砕され、
かつこの時に発生する摩擦熱によりトナー表面は球形化
され易い。特に小粒径化及び低温定着化を目標とするト
ナーにおいては、特開平7−287413号で指摘され
るような粉砕時にトナーが衝突板に溶けて付着する現象
も発生せず、さらに小粒径化及び低分子量のワックスを
含有したときに特有の現象であるトナー流動性の低下を
防止する事もできる。したがって微粉砕には機械式粉砕
法を用いることが好ましい。粉砕・分級されたトナーは
更に、必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー
の如き混合機によりトナーに付着混合せしめ、添加剤を
外部添加したトナーを得ることができる。
【0071】また、モノマーを重合し高分子化する際に
着色材、帯電制御材、ワックス等を存在させて重合する
いわゆる重合法によってもトナーを得ることができる。
更には、マイクロカプセル化する方法によってもトナー
を得ることができる。
【0072】以下、本発明の実施例について説明する
が、これによって本発明が限定されるものではない。 (実施例1)スチレン−アクリル系共重合樹脂(三洋化
成工業社製 商品名:ハイマーSB316 Mw238
000、Mn3500)86wt%、クロム含金属染料
(オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS-34)1w
t%、カーボンブラック(三菱化学社製 商品名:MA-10
0)8wt%及びパラフィンワックス(日本精蝋社製 商品
名:HNP−3 ポリエチレン換算分子量Mn440、
DSC吸熱ピーク53.3℃、67.8℃)1.0wt%
及びポリエチレンワックス(ヤスハラケミカル社製 商
品名ネオワックスAL ポリエチレン換算分子量Mn4
30、DSC吸熱ピーク83.7℃、98.4℃、10
1.6℃、140℃における溶融粘度8.5cp、結晶
化度83%)4.0wt%の配合からなる原料をスーパー
ミキサーで予備混合し、二軸混練機で熱溶融混練後、冷
却した後粉砕し、その後乾式気流分級機で分級して平均
粒径が9μmの粒子を得た。更に該粒子に疎水性シリカ
(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR972)0.8wt
%を添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌し、該粒子の表
面に疎水性シリカを付着させ実施例1のトナーを得た。
なおこの時のトナーの平均粒径は9.0μm、4μm以
下のトナーは8.2個数%であった。
【0073】(比較例1)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:HNP−11 ポリエチ
レン換算分子量Mn390、DSC吸熱ピーク60.9
℃、70.6℃)5wt%を使用したほかは実施例1と同
様に作成し比較例1のトナーを得た。なおこの時のトナ
ーの平均粒径は8.8μm、4μm以下のトナーは1
0.3個数%であった。
【0074】(実施例2)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:HNP−11 ポリエチ
レン換算分子量Mn390、DSC吸熱ピーク60.9
℃、70.6℃)3wt%及びポリエチレンワックス(ヤ
スハラケミカル社製 商品名ネオワックスAL ポリエ
チレン換算分子量Mn430、DSC吸熱ピーク83.
7℃、98.4℃、101.6℃、140℃における溶
融粘度8.5cp、結晶化度83%)2wt%を用いた以
外は実施例1と同様にして実施例2のトナーを得た。な
おこの時のトナーの平均粒径は8.9μm、4μm以下
のトナーは6.7個数%であった。
【0075】(実施例3)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:HNP−3 ポリエチレ
ン換算分子量Mn440、DSC吸熱ピーク53.3
℃、67.8℃)2.5wt%及びポリエチレンワック
ス(ヤスハラケミカル社製 商品名ネオワックスLS
ポリエチレン換算分子量Mn380、DSC吸熱ピーク
74.2℃、94.3℃における溶融粘度8.5cp、
結晶化度83%)2.5wt%を用いた以外は実施例1
と同様にして実施例3のトナーを得た。なおこの時のト
ナーの平均粒径は9.2μm、4μm以下のトナーは
5.2個数%であった。
【0076】(実施例4)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:HNP−11 ポリエチ
レン換算分子量Mn390、DSC吸熱ピーク60.9
℃、70.6℃)2wt%及びポリエチレンワックス(東
洋ペトロライト社製 商品名PW655Nポリエチレン
換算分子量Mn530、DSC吸熱ピーク62.2℃、
92.7℃、140℃における溶融粘度6cp、結晶化
度93%)3wt%を用いた以外は実施例1と同様にして
実施例4のトナーを得た。なおこの時のトナーの平均粒
径は9.0μm、4μm以下のトナーは7.3個数%で
あった。
【0077】(実施例5)ワックスとしてアルファオレ
フィン(東洋ペトロライト社製 商品名:VYBAR2
53 ポリエチレン換算分子量Mn310、DSC吸熱
ピーク46.4℃、63.2℃)1.5wt%及びポリエ
チレンワックス(東洋ペトロライト社製 商品名PW6
55N ポリエチレン換算分子量Mn530、DSC吸
熱ピーク62.2℃、92.7℃、140℃における溶
融粘度6cp、結晶化度93%)3.5wt%を用いた以
外は実施例1と同様にして実施例5のトナーを得た。な
おこの時のトナーの平均粒径は8.8μm、4μm以下
のトナーは6.2個数%であった。
【0078】(実施例6)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:SP−0145 ポリエ
チレン換算分子量Mn290、DSC吸熱ピーク49.
0℃、63.5℃)2.5wt%及びポリエチレンワック
ス(三井化学社製 商品名ハイワックス100P ポリ
エチレン換算分子量Mn550、DSC吸熱ピーク10
5.2℃、117.7℃、140℃における溶融粘度1
2.7cp、結晶化度90%)2.5wt%を用いた以外
は実施例1と同様にして実施例6のトナーを得た。なお
この時のトナーの平均粒径は9.2μm、4μm以下の
トナーは7.5個数%であった。
【0079】(比較例2)ワックスとしてポリプロピレ
ンワックス(三洋化成工業社製 商品名ビスコール66
0P ポリエチレン換算分子量Mn1070 、DSC
吸熱ピーク140.0℃)5wt%を用いた以外は実施
例1と同様にして比較例2のトナーを得た。なおこの時
のトナーDの平均粒径は9.1μm、4μm以下のトナ
ーは8.6個数%であった。
【0080】(比較例3)ワックスとしてポリエチレン
ワックス(東洋ペトロライト社製 商品名:PW100
0 ポリエチレン換算分子量Mn820、DSC吸熱ピ
ーク 110.0℃、140℃における溶融粘度13.
7cp、結晶化度90%)5wt%を用いた以外は実施例
1と同様にして比較例3のトナーを得た。なおこの時の
トナーの平均粒径は8.7μm、4μm以下のトナーは
9.4個数%であった。
【0081】(比較例4)ワックスとしてパラフィンワ
ックス(日本精蝋社製 商品名:HNP−11 ポリエチ
レン換算分子量Mn390、DSC吸熱ピーク60.9
℃、70.6℃)3wt%及びフィッシャートロピッシュ
ワックス(サゾール社製 商品名SPRAY30 ポ
リエチレン換算分子量Mn520、DSC吸熱ピーク9
1.9℃、140℃における溶融粘度6.9cp、結晶
化度90%)2wt%を用いた以外は実施例1と同様にし
て実施例2のトナーを得た。なおこの時のトナーの平均
粒径は9.0μm、4μm以下のトナーは7.7個数%
であった。
【0082】次に、前記実施例及び比較例の現像剤につ
いて下記の方法で定着性能と保存安定性の評価を行っ
た。 (1)非オフセット温度範囲 OPCを感光体として用いた電子写真方式のレーザビーム
プリンタにおいて、OPCの帯電電位-650V、残留電位-50
V、現像バイアス電位-400V、現像部コントラスト電位35
0Vで、毎分60枚の印刷速度(印刷プロセス速度26.7cm/se
c)で画像作製を行った。現像機には、現像用磁気ロール
が静電荷保持部材の進行方向と順方向に回転する現像用
磁気ロールと逆方向に回転する現像用磁気ロールを有す
るセンターフィード方式の現像装置を用い現像ギャップ
(感光体と現像ロールスリーブ間の距離)を0.8mmとし、
反転現像で画像を作製した。定着機は、アルミニウム製
芯金をフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン〜パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体:PFA)のチューブ
で薄く被覆し(厚さ40μm)、中心部にヒータランプを設
置したものを熱ロールとし、アルミニウム製芯金にゴム
硬度約30度のシリコーンゴム層(厚さ7mm)を設置し、最
外層をPFAチューブで被覆したものをバックアップロー
ルとし、定着条件は、プロセス速度26.7cm/sec、熱ロー
ルとバックアップロールの外径Φ60mm、押し付け荷重50
kgf、両者の接触域(ニップ)の幅約7mmとし、熱ロールの
制御温度を変化させ、熱ロールの各表面温度での定着画
像の白紙部の汚れからオフセットを評価した。なお、熱
ロールには元来シリコーンオイルを含浸したノーメック
スペーパ巻き取りタイプの清掃機を設置するが、オフセ
ットを評価する場合には清掃機を取り外し、シリコーン
オイルレスの状態で厚紙(厚さ約200μm)と薄紙(厚さ約1
00μm)に画像を記録し、前者で低温オフセット、後者で
高温オフセットを評価した。
【0083】(2)定着強度 前記定着機の熱ロールの表面温度を175℃に設定し、厚
紙(厚さ約200μm)に記録された1インチ角のベタ黒画像
とレーザビーム1オン4オフ間隔の線画について、それぞ
れテープ剥離試験と擦り試験を行い、画像の定着強度を
評価した。
【0084】テープ剥離試験は、ベタ黒画像にスコッチ
メンディングテープ810を貼り付け、テープ引き剥がし
前後の画像濃度を反射濃度計(マクベス社製RD-914)で測
定し、下記式よりテープ剥離強度を求めた。
【0085】テープ剥離強度(%)=テープ剥離後のベタ
黒画像の反射濃度/テープ剥離前のベタ黒画像の反射濃
度×100 擦り試験は、線画を200gfの荷重でワットマン濾紙44で
擦り、濾紙の汚れ具合を白色度計で評価し、汚れた濾紙
と汚れていない濾紙との光の反射率の比をハンター値
(%)で求め、擦り強度(%)とした。
【0086】(3)保存安定性 トナーを金属製シャーレに入れ、調湿剤で湿度を91%RH
にコントロールしたデシケータ中に50℃で24時間放置
し、トナーの凝集の程度を目視で評価した。上記項目の
トナーの評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】表1の評価結果から分かるように本発明の
現像剤は低温から高温までオフセットが発生しにくく、
非オフセットの温度範囲が広いため、定着機の温度が多
少変化しても定着後の画像に汚れが発生しにくい。ま
た、定着温度175℃における定着強度はテープ剥離強
度で90%以上、擦り強度で80%以上有りテープ剥離
強度と擦り強度の両者ともに非常に高い定着強度が得ら
れた。これに対し比較例1のトナーでは175℃以上で
ホットオフセットが発生した。比較例2及び比較例3の
トナーではオフセットの発生しない温度範囲が狭く定着
強度も十分に得られなかった。比較例4のトナーについ
てはテープ剥離強度については90%以上の特性が得ら
れたが、擦り強度については80%に到達できなかっ
た。これら実施例で得られた画像を市販の自動現行送り
装置の付いた複写機で20回繰返し原稿として使用し画
像の汚れを確認したが画像に汚れは発生しなかった。一
方、比較例1〜4の画像では20回の繰返しで画像に多
少の汚れを生じた。
【0089】また、後述のレーザビームプリンタに適用
し、実施例について連続印刷を行ったが、30万頁の連続
印刷を繰り返してもトナーによるキャリアスペントによ
る現像剤寿命の低下、及びトナーによる感光体フィルミ
ングによる感光体寿命の低下が起こらず、安定した画像
を得ることができた。
【0090】(画像形成装置)次に本発明の電子写真用
トナーを用いた画像形成装置の例を図1を用いて説明す
る。画像形成装置は、帯電器2で帯電させた静電荷保持
部材1上に光学装置8にて形成された静電荷潜像を現像
装置3で顕像化し、顕像化したトナー像を用紙である記
録媒体4上に転写し、静電荷保持部材1上に残留したト
ナー像を清掃部材7で清掃すると共に、記録媒体4上に
転写装置5で転写したトナー像を定着装置6で定着して
記録画像を得るように構成されている。
【0091】静電荷保持部材1の例としてはドラム状の
感光体があげられる。前記画像形成装置においては、特
に低温でも良好な定着性能を示し、擦りに対して強く、
トナーの流動性、耐熱性、耐久性、保存安定性も良好
で、トナーによるキャリアスペントによる現像剤寿命の
低下、及びトナーによる感光体フィルミングによる感光
体寿命の低下が起こりにくく、安定した画像形成方法を
提供することができる。
【0092】本発明に使用される現像装置3は静電荷保
持部材の移動速度によって選択されるが、静電荷保持部
材の移動速度の速い高速プリンタ等の場合は、1本の現
像ロールの現像では必ずしも十分でなく、複数の現像ロ
ール11,12を使用し、現像領域を増して現像時間を
伸ばし現像することも行われる。複数の現像ロールを使
用した場合、1本の現像ロール方式と比較して高い現像
能力が得られる事により、高面積画像印刷への対応や印
刷品質が向上するばかりでなく、現像剤13中のトナー
含有量を低減ずる事ができ、かつ、現像ロール回転スピ
ードを低減する事が可能であり、トナーの飛散、現像剤
への負荷低減によるトナーによるキャリアスペントを防
止し現像剤の長寿命化が更に可能となる。なお、図1中
の現像装置3内において、9はトナー、10はキャリア
であり攪拌部材14によって攪拌される。
【0093】さらに複数の現像ロールを用いる現像方式
において、静電荷保持部材の進行方向と順方向に現像ロ
ールが回転する一方向現像は高い現像能力を有するが、
背景のかぶりが出やすい事や画像先端部の欠け、磁気ブ
ラシのはけ目が出やすい。
【0094】一方、静電荷保持部材1の進行方向と逆方
向に現像ロールが回転する一方向現像は、画像部後端の
欠けはあるものの背景のかぶりは少なく、磁気ブラシの
はけ目も出にくいので安定した画像が得られる。しか
し、前記逆方向現像は、静電荷保持部材と接する実効ト
ナー量が少ないため現像能力は少ない事がある。これに
対してセンターフィード方式は、上記した順方向現像ロ
ール12及び逆方向現像ロール11の両方を兼ね備えて
いるため上記両現像法式の課題を克服できる。センター
フィード方式の現像装置は、一般に複数の現像ロール1
1,12と規制部材15を用いた方式が知られている。
【0095】このような現像方式と本発明の電子写真用
トナーを組合せて使用する事により、画像に優れ定着に
要するエネルギーが小さく、熱ローラ定着方式を採用し
た場合に熱ローラの温度と圧力を低下させることが可能
で、且つ、オフセット現象が発生し難く、トナーの流動
性、耐熱性、耐久性、保存安定性が良好でトナーによる
キャリアスペントによる現像剤寿命の低下、及びトナー
による感光体フィルミングによる感光体寿命の低下が起
こりにくく安定した画像を作成することができる。
【0096】
【発明の効果】以上の説明によって明らかなように、本
発明にかかる電子写真用のトナーは、定着に要するエネ
ルギーが小さく、熱ローラ定着方式を採用した場合に熱
ローラの温度と圧力を低下させることができ、且つ、オ
フセット現象が発生し難く、低温で高い剥離強度と擦り
強度の両方を満足することができるという効果がある。
【0097】また、流動性、耐熱性、耐久性、保存安定
性が良好でトナーによるキャリアスペントによる現像剤
寿命の低下、及びトナーによる感光体フィルミングによ
る感光体寿命の低下が起こりにくいという優れた効果を
発揮する。また、この電子写真用トナーを用いることに
より、安定した画像形成装置を提供することができると
いう効果も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である電子写真用トナーを
用いた画像形成装置の模式図である。
【符号の説明】
1…静電荷保持部材、2…帯電器、3…現像装置、4…
記録媒体、5…転写装置、6…定着装置、7…清掃部
材、8…光学装置、9…トナー、10…キャリア、11
…逆方向現像ロール、12…順方向現像ロール、13…
現像剤、14…攪拌部材、15…規制部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/08 501 G03G 9/08 101 (72)発明者 小林 順二 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 金子 忠弘 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 保志 信義 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 川西 恒明 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 CA13 CA14 EA03 EA05 EA06 EA07 EA10 2H077 AD02 AD06 AD13 AD16 AE06 EA03 EA21

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が600以下の炭化水素ワッ
    クスと、数平均分子量が600以下で140℃における
    溶融粘度が15mPa・s未満で、且つ結晶化度が95%
    未満であるポリエチレンワックスとを含有し、上記炭化
    水素ワックスと上記ポリエチレンワックスの割合は1:
    10〜2:1の範囲にあり、前記トナーの示差走査熱量
    計により測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量曲線
    の吸熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけ
    るオンセット温度が65℃以下であることを特徴とする
    電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が600以下のアルファオレ
    フィンと、数平均分子量が600以下で140℃におけ
    る溶融粘度が15mPa・s未満であり、結晶化度が95
    %未満であるポリエチレンワックスとを含有し、アルフ
    ァオレフィンとポリエチレンワックスの割合が1:10
    〜2:1の範囲にあり、前記トナーの示差走査熱量計に
    より測定されるDSC曲線の昇温時の吸収熱量曲線の吸
    熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸熱におけるオ
    ンセット温度が65℃以下であることを特徴とする電子
    写真用トナー。
  3. 【請求項3】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が300〜600のパラフィ
    ンワックスと、数平均分子量が600以下で140℃に
    おける溶融粘度が10mPa・s未満で、且つ結晶化度が
    90%未満であるポリエチレンワックスとを含有し、上
    記パラフィンワックスと上記ポリエチレンワックスの割
    合は1:10〜2:1の範囲にあり、前記トナーの示差
    走査熱量計により測定されるDSC曲線の昇温時の吸収
    熱量曲線の吸熱ピークの最大値が75℃以下にあり、吸
    熱におけるオンセット温度が55℃以下であることを特
    徴とする電子写真用トナー。
  4. 【請求項4】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が600以下の炭化水素ワッ
    クスと、数平均分子量が600以下で140℃における
    溶融粘度が15mPa・s未満で、且つ結晶化度が95%
    未満であるポリエチレンワックスとを含有し、上記炭化
    水素ワックスと上記ポリエチレンワックスの割合は1:
    10〜2:1の範囲にあることを特徴とする電子写真用
    トナー。
  5. 【請求項5】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が600以下のアルファオレ
    フィンと、数平均分子量が600以下で140℃におけ
    る溶融粘度が15mPa・s未満であり、結晶化度が95
    %未満であるポリエチレンワックスとを含有し、アルフ
    ァオレフィンとポリエチレンワックスの割合が1:10
    〜2:1の範囲にあることを特徴とする電子写真用トナ
    ー。
  6. 【請求項6】少なくとも定着用樹脂、着色剤及びワック
    スを含む電子写真用トナーにおいて、上記ワックスは、
    少なくとも、数平均分子量が300〜600のパラフィ
    ンワックスと、数平均分子量が600以下で140℃に
    おける溶融粘度が10mPa・s未満で、且つ結晶化度が
    90%未満であるポリエチレンワックスとを含有し、上
    記パラフィンワックスと上記ポリエチレンワックスの割
    合は1:10〜2:1の範囲にあることを特徴とする電
    子写真用トナー。
  7. 【請求項7】請求項3又は6において、上記パラフィン
    ワックスの分子量が400〜550の範囲にあることを
    特徴とする電子写真用トナー。
  8. 【請求項8】請求項3又は6において、上記ポリエチレ
    ンワックスは、140℃における溶融粘度が8mPa・
    sよりも大きく9mPa・s未満であり、X線回折法に
    よる結晶化度が80%以上85%以下であり、さらに重
    量平均分子量/数平均分子量の比率(Mw/Mn)が
    1.5を超えることを特徴とする電子写真用トナー。
  9. 【請求項9】請求項1乃至6のいずれかおいて、上記ワ
    ックスの含有量は定着樹脂100重量部に対し0.1〜
    20重量部の範囲にあることを特徴とする電子写真用ト
    ナー。
  10. 【請求項10】請求項1又は4において、上記炭化水素
    ワックスは、分子量が250〜450の範囲にあること
    を特徴とする電子写真用トナー。
  11. 【請求項11】請求項1又は4において、上記ポリエチ
    レンワックスは、140℃における溶融粘度が10mP
    a・s未満であり、X線回折法による結晶化度が90%
    以下であり、さらに重量平均分子量/数平均分子量の比
    率(Mw/Mn)が1.5を超えることを特徴とする電
    子写真用トナー。
  12. 【請求項12】請求項1乃至6のいずれかにおいて、上
    記定着用樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィー(GPC)測定で分子量が50万を超える高分子量
    重合体成分と分子量が2万以下の低分子量成分を20:
    80〜60:40の範囲になるような樹脂とすることを
    特徴とする電子写真用トナー。
  13. 【請求項13】請求項12において、定着用樹脂に対し
    て0.1〜10wt%の帯電制御剤を添加したことを特徴とす
    る電子写真用トナー。
  14. 【請求項14】請求項1乃至6のいずれかにおいて、ト
    ナーに対して0.01〜5wt%の範囲でシリカ微粉末が外部
    添加されていることを特徴とする電子写真用トナー。
  15. 【請求項15】請求項1乃至6のいずれかにおいて、平
    均粒径が2μm以下であって、定着用樹脂に対し0.1〜200
    wt%の磁性材料を含有していることを特徴とする電子写
    真用トナー。
  16. 【請求項16】請求項1乃至6のいずれかにおいて、上
    記定着用樹脂に対し0.2〜15wt%の着色剤が添加されて
    いることを特徴とする添加する電子写真用トナー。
  17. 【請求項17】静電荷保持部材上に形成された静電荷潜
    像を顕像化し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写
    し、記録媒体上に転写したトナー像を定着して記録画像
    を得る画像形成装置において、請求項1乃至6のいずれ
    かに記載された電子写真用トナーを用いたことを特徴と
    する画像形成装置。
  18. 【請求項18】少なくとも複数の現像用磁気ロールを使
    用する現像装置であって、現像用磁気ロールが静電荷保
    持部材の進行方向と順方向に回転する現像用磁気ロール
    と逆方向に回転する現像用磁気ロールを有するセンター
    フィード方式の現像装置によって静電荷潜像を顕像化
    し、顕像化したトナー像を記録媒体上に転写し、記録媒
    体上に転写したトナー像を定着して記録画像を得る画像
    形成装置において、請求項1乃至6のいずれかに記載さ
    れた電子写真用トナーを用いたことを特徴とする画像形
    成装置。
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US7813674B2 (en) 2004-01-09 2010-10-12 Ricoh Company, Ltd. Developing toner for electrophotography and electro-photographic device

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