JP6204914B2 - 低蛋白質米の製造方法及び低蛋白質米を用いた食品 - Google Patents

低蛋白質米の製造方法及び低蛋白質米を用いた食品 Download PDF

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Description

本発明は、低蛋白質米の製造方法、及びかかる製造方法により得られた低蛋白質米を調理して得られる食品に関する。
本願は、2012年8月8日に日本に出願された、特願2012−176505号、及び2012年10月5日に日本に出願された、特願2012−223444号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
腎臓病により、腎臓での尿素窒素の排出機能が低下した人は、体内での蛋白質分解による尿素窒素の生成を抑制するために、蛋白質の摂取量を制限しなければならない。
蛋白質の摂取を制限する食事は、通常、食事の量そのものを少なくしたり、摂取する食事の種類を制限するため、摂取エネルギーの低下や、栄養素の摂取不足の原因となる。
近年、主に腎臓病患者を対象として、蛋白質の含量を低減させた米、いわゆる低蛋白質米が提案されている。しかし、蛋白質分解酵素を作用させて得られた低蛋白質米を乾燥して得られる低蛋白質乾燥米は、米粒が脆く、流通時に米粒が崩壊してしまうという問題が生じてしまうことがあった。
そこで、レトルトパックされた低蛋白質米が開発されているが、低蛋白質米は蛋白質含量が少なくなっているため味にコクがなく、また、レトルトパックされた低蛋白質米は、長期の保存性には優れるものの、あらかじめパックされた米の量が決まっているため、必要な量を量り取って使用するということができないという問題があった。さらに、レトルトパックされた低蛋白質米は、かなりの量の水分を含有し、容量及び重量も大きくなってしまうことから、生米と同じ量の米を流通させようとした場合に、物流コストが高くなってしまうという問題があった。
かかる欠点を解消する手段として、特許文献1に、原料米に含まれる蛋白質を蛋白質分解酵素で分解し、得られた低蛋白質米を蒸してから乾燥するという方法が開示されている。
特開平8−38077号公報
しかしながら、酵素反応により得られた低蛋白質米を蒸してから乾燥することにより得られた低蛋質米は、米粒が流通時に崩壊しにくくなるものの、炊飯時に米粒の一部が崩壊したり、数粒の米粒が付着したものが多く存在してしまうという問題が生じることがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流通時及び炊飯時に米粒が崩壊しにくく、炊飯時に米粒の付着が少ない低蛋白質米の製造方法、及びかかる製造方法により得られた低蛋白質米を用いた食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば下記の態様を有する。
すなわち、本発明の第一の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることを特徴とする低蛋白質米の製造方法である。
本発明の第一の態様において、前記油で揚げる条件は、100℃以上150℃未満で60〜300秒間、又は150℃以上185℃以下で20〜50秒間揚げることが好ましい。
本発明の第二の態様は、第一の態様の製造方法により得られる低蛋白質米を調理して得られる、炊飯米やチャーハンなどの食品である。
本発明の第三の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることを特徴とする低蛋白質揚げ米の製造方法である。
本発明の第三の態様において、前記油で揚げる条件は、100℃以上150℃未満で60〜600秒間、又は150℃以上185℃以下で20〜50秒間揚げることが好ましい。
本発明の第三の態様において、処理米を洗浄後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後油で揚げても良い。
本発明の第三の態様において、浸漬する90℃以下の油は、5〜75℃の油であることが好ましい。
本発明の第四の態様は、第三の態様の製造方法により得られる低蛋白質揚げ米を調理して得られる、炊飯米やチャーハンなどの食品である。
本発明の第五の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理をすることを特徴とする低蛋白質蒸し米の製造方法である。
本発明の第五の態様において、浸漬する90℃以下の油は、5〜75℃の油であることが好ましい。
本発明の第六の態様は、第五の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米を調理して得られる、おにぎりやチャーハンなどの食品である。
本発明の第七の態様は、第五の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米を乾燥することを特徴とする低蛋白質蒸し米の乾燥品の製造方法である。
本発明の第八の態様は、第七の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米の乾燥品を調理して得られる、炊飯米やチャーハンなどの食品である。
本発明の第九の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることにより製造される低蛋白質揚げ米である。
本発明の第九の態様において、前記油で揚げる条件は、100℃以上150℃未満で60〜600秒間、又は150℃以上185℃以下で20〜50秒間であることが好ましい。
本発明の第九の態様において、前記洗浄後に、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後油で揚げてもよい。
本発明の第九の態様において、浸漬する90℃以下の油は、5〜75℃の油であることが好ましい。
本発明の第十の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理をすることにより製造される低蛋白質蒸し米である。
本発明の第十の態様において、前記90℃以下の油は、5〜75℃の油であることが好ましい。
本発明の第十一の態様は、第十の態様の低蛋白質蒸し米を乾燥することにより製造される低蛋白質蒸し米の乾燥品である。
また、本発明は以下の側面を有する。
(1)生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、及び油が付着した前記米を糊化することを含む、低蛋白質米の製造方法、
(2)前記米へ油を付着させることが、油に米を浸漬させること、油を含有する油含有浸漬水に米を浸漬させること、油含有乳化液浸漬液に米を浸漬させること、及び米に油を塗布した後に水で洗浄することからなる群より選ばれる少なくとも1の工程である、(1)に記載の低蛋白質米の製造方法、
(3)前記米を糊化することが、米を油で揚げること、米を蒸し処理すること、及び米をレトルト処理することからなる群より選ばれる少なくとも1の工程である、(1)又は(2)に記載の低蛋白質米の製造方法、
(4)前記米へ油を付着させること、及び米を糊化することを、米を油で揚げることにより行う、(1)に記載の低蛋白質米の製造方法、
(5)前記米を糊化することの後に、さらに、米を乾燥させることを含む、(1)又は(2)に記載の低蛋白質米の製造方法、
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法で得られる低蛋白質米を調理して得られる食品、
(7)生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることを特徴とする低蛋白質揚げ米の製造方法、
(8)(7)に記載の製造方法で得られる低蛋白質揚げ米を調理して得られる食品、
(9)生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理をすることを特徴とする低蛋白質蒸し処理米の製造方法、
(10)(9)に記載の製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米を調理して得られる食品、
(11)(9)に記載の製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米を乾燥することを特徴とする低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法、
(12)(11)に記載の製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米の乾燥品を調理して得られる食品、
(13)生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることにより製造される低蛋白質揚げ米、
(14)生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理をすることにより製造される低蛋白質蒸し処理米、及び
(15)(14)に記載の低蛋白質蒸し処理米を乾燥することにより製造される低蛋白質蒸し処理米の乾燥品。
本発明により、流通時及び炊飯時に米粒が崩壊しにくく、炊飯時に米粒の付着が少ない低蛋白質米(低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品)の製造方法を提供することができる。したがって、本発明の製造方法で得られる低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品を用いると、低蛋白質米を、レトルトパックされた米ではなく、生米と同じように流通させることができる。同じ量の米であっても、水分を多く含むレトルトパックされた低蛋白質米に比べて容量及び重量が小さくなることから、物流面で有利となる。
また、本発明の製造方法で得られる低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、生米と同じような形態であるから、レトルトパックされた米と違って米の使用量を自由に調整することができ、使いやすく、種々の料理に広く使用することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば、味にコクがあり、かつエネルギーが高い低蛋白質米を製造することができる。蛋白質含量を低減していない通常の米と比較して、エネルギーが高いので、腎臓病患者が、本発明の製造方法で得られた低蛋白質米を摂取することで、摂取エネルギーの低下を防止することができる。
また、本発明の製造方法で得られた低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、水分が少ないことから衛生性が高くなる。
本発明における低蛋白質米とは、蛋白質分解処理、洗浄処理、及び糊化処理を経た米で、生米よりも蛋白質含量が少なくなった米のことである。その形態としては、揚げ米、蒸し処理米及びその乾燥品、レトルト処理米等が挙げられる。
ここで、蒸し処理米とは、米を蒸し処理することにより得られる米のことであり、蒸し処理米の乾燥品とは、蒸し処理米を乾燥して得られる乾燥米のことである。米の蒸し処理の方法として、米を蒸すこと、米を蒸し焼きにすること、米に加熱水蒸気を当てること等が挙げられる。このような蒸し処理によって得られる蒸し処理米としては、蒸し米、蒸し焼き米、加熱水蒸気処理米等が挙げられ、蒸し処理米の乾燥品としては、蒸し米の乾燥品、蒸し焼き米の乾燥品、加熱水蒸気処理米の乾燥品等が挙げられる。
なお、明細書において、わかりやすく説明するために、低蛋白質米について、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米を油で揚げることにより糊化したものを「低蛋白質揚げ米」、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米を蒸し処理することにより糊化したものを「低蛋白質蒸し処理米」、低蛋白質蒸し処理米を乾燥したものを「低蛋白質蒸し処理米の乾燥品」、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米を蒸すことにより糊化したものを「低蛋白質蒸し米」、低蛋白質蒸し米を乾燥したものを「低蛋白質蒸し米の乾燥品」、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米を蒸し焼きすることにより糊化したものを「低蛋白質蒸し焼き米」、低蛋白質蒸し焼き米を乾燥したものを「低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品」、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米に加熱水蒸気を当てることにより糊化したものを「低蛋白質加熱水蒸気処理米」、低蛋白質加熱水蒸気処理米を乾燥したものを「低蛋白質加熱水蒸気処理米の乾燥品」、蛋白質分解処理及び洗浄処理した米をレトルト処理することにより糊化したものを「低蛋白質レトルト処理米」と言うことがある。
本発明における低蛋白質米としては、蛋白質含量が0.1〜4質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
本発明の1つの側面の低蛋白質米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、及び油が付着した米を糊化することを含む、低蛋白質米の製造方法である。
本発明において、生米の種類は特に限定されるものではなく、インディカ米、ジャポニカ米等を使用することができる。特に、本発明は、蛋白質分解処理後に米粒が崩壊しやすいインディカ米に対し効果を発揮することができる。
本発明における蛋白質分解処理とは、米中の蛋白質を分解することである。
本発明において、蛋白質分解処理は、特に限定されるものではなく、蛋白質分解酵素による蛋白質分解処理や乳酸菌による発酵処理等、公知の方法を使用することができる。
蛋白質分解酵素は、市販のものを使用することができ、例えば、プロテアーゼM(天野エンザイム(株)製)を使用することができる。
酵素による蛋白質分解反応は、pH3〜6の溶液で行うのが好ましく、pH4〜5の溶液で行うのがより好ましい。かかる溶液として、酢酸緩衝液やクエン酸緩衝液等の緩衝液を用いることができるが、これらに限定されない。
蛋白質分解処理をする反応液は、前記pHの溶液に蛋白質分解酵素を添加することにより調製することができ、反応液中の蛋白質分解酵素の含量は、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%、最も好ましくは0.3〜0.7質量%である。
蛋白質分解処理をする反応液の量は、原料の生米の質量の1.5〜10倍量の質量であることが好ましく、3〜7倍量の質量であることがより好ましく、4〜6倍量の質量であることが最も好ましい。
前記蛋白質分解処理としては、20℃〜60℃で、2時間〜50時間、生米を前記反応液に浸漬させることが好ましく、30℃〜50℃で10時間〜40時間、生米を前記反応液に浸漬させることがより好ましく、40℃〜45℃で15時間〜30時間、生米を前記反応液に浸漬させることが特に好ましい。
原料の生米に対して上記蛋白質分解処理を行うことで、米中の蛋白質含量を0.1〜2g/100g、好ましくは0.1〜1g/100gに調整することができる。したがって、蛋白質含量を、原料の生米中の蛋白質含量の1/10〜1/30程度に減少させた低蛋白質米を製造することができる。米中の蛋白質含量は、ケルダール法で測定することができる。
本発明において、蛋白質分解処理をする際、反応液に乳化剤を添加してもよい。乳化剤を添加することにより、米からのデンプンの流出を抑えることができると考えられる。
乳化剤としては、一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられ、レシチンが好ましい。
蛋白質分解処理後、米を洗浄することが好ましい。洗浄により、米から蛋白質分解物を除去することができる。洗浄時に米粒の形状をより維持させておくために、洗浄水には、先に説明をした緩衝液、又は緩衝液として汎用する塩の水溶液を用いることが好ましい。
処理米を洗浄後、金ザル等で米を水切りすることが好ましい。水切りの時間は、10分間〜60分間が好ましい。
前記米へ油を付着させることは、油に米を浸漬させること、油を含有する油含有浸漬水に米を浸漬させること、油含有乳化液浸漬液に米を浸漬させること、及び米に油を塗布した後に水で洗浄することからなる群より選ばれる少なくとも1の工程であることが好ましい。
前記油に米を浸漬させることにおいて使用する油は、浸漬時に液体状態の油であれば良く、植物油や動物油を使用することができ、具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、これらの油の水添油、前記何れかの油のエステル交換油等から選ばれる1種又は2種以上を使用することができ、これらの中でも、菜種油、大豆油が好ましい。例えば、融点50℃のパーム水添油や融点26℃のヤシ油を使用する場合は、25℃では固体なので、使用する油が液体状態となる温度で浸漬処理を行うことが好ましい。例えば、パーム水添油を使用する場合は50〜90℃、ヤシ油を使用する場合は26〜90℃で浸漬処理を行うことが好ましい。
前記油に米を浸漬させることにおける浸漬する油の温度及び浸漬の時間は、5〜90℃で5秒間〜60分間であることが好ましく、5〜80℃で5秒間〜30分間がより好ましく、10〜70℃で5秒間〜30分間がさらに好ましい。
油への浸漬処理は、米に付着した水のほとんどが除去できる条件であれば良く、具体的には5秒間以上の浸漬を1回以上行うのが好ましく、10秒間〜24時間の浸漬を1回以上行うのがより好ましく、2回〜10回行うのがさらにより好ましい。比較的短い製造時間で効率よく水を除去したい場合、例えば、浸漬させるお米に物理的な振動を与えながら5秒間〜10分間の浸漬を1回〜10回行うことが好ましい。また、製造の作業効率を高めるために、人が作業をしない時間帯、具体的には、蛋白質分解処理後1晩〜1日間(16〜24時間)、油への浸漬を1回行ってもよい。
前記油含有浸漬水は、油及び水を含む。油含有浸漬水に含まれる油としては前述のものが挙げられ、菜種油、大豆油が好ましい。
前記油含有浸漬水における油の量としては、原料の生米1gに対して、0.17ml以上が好ましく、0.17〜2.5mlがより好ましく、0.18〜1.5mlがさらに好ましく、0.18〜1mlが特に好ましく、0.18〜0.7mlが最も好ましい。
前記油含有浸漬水における油の含量は、原料の生米1gに対する油の量が上記範囲内であれば特に限定されないが、前記油含有浸漬水中、4〜50%(vol./vol.)が好ましく、4〜30%(vol./vol.)がより好ましく、4〜20%(vol./vol.)がさらに好ましく、4〜10%(vol./vol.)が特に好ましい。
前記油含有浸漬水における水の含量は、原料の生米1gに対する油の量が上記範囲内であれば特に限定されないが、前記油含有浸漬水中、50〜96%(vol./vol.)が好ましく、70〜96%(vol./vol.)がより好ましく、80〜96%(vol./vol.)さらに好ましく、90〜96%(vol./vol.)が特に好ましい。
生米100質量部に対する前記油含有浸漬水の量は、原料の生米1gに対する油の量が上記範囲内であれば特に限定されないが、生米100質量部に対し、100〜1000質量部が好ましく、200〜800質量部がより好ましく、300〜700質量部がさらに好ましく、400〜600質量部が特に好ましい。
前記油含有浸漬水に米を浸漬させることにおける、油含有浸漬水の温度及び浸漬の時間は、5〜90℃で5秒間〜60分間であることが好ましく、5〜80℃で5秒間〜30分間がより好ましく、10〜70℃で5秒間〜30分間がさらに好ましい。
油含有浸漬水に米を浸漬させる方法としては、米が入った金ザルを、油含有浸漬水を入れた容器に入れて、米を油含有浸漬水に浸漬させる方法が挙げられる。
金ザルとしては、ステンレスザルを使用することができ、また、その形は特に限定されず、丸型であっても、角型であっても良い。
使用する金ザルの大きさは、低蛋白質米の製造スケールによって異なってくるが、金ザルに原料生米を入れたときに、原料生米が金ザルの容積の1〜80%を占めるような大きさのものを使用することが好ましく、10〜70%を占めるような大きさのものを使用することがより好ましい。使用する金ザルの大きさは、上記の範囲以外の大きさのものも使用できるが、浸漬作業の効率の点から、上記範囲の大きさが好ましい。
具体的には、生米の重量が15〜25g程度の場合、直径50〜60mm、深さ35〜45mmのステンレス丸型ザルを使用することができる。また、生米の重量が150〜350g程度の場合、直径150〜180mm、深さ65〜75mmのステンレス丸型ザルを使用することができる。また、生米の重量が1000〜2000g程度の場合、縦220〜260mm、横300〜350mm、高さ70〜90mmのステンレス角型ザルを使用することができる。
また、油含有浸漬水を入れる容器は、プラスチック製容器、ステンレス製容器等各種素材のものを使用することができ、また、その形は特に限定されず、丸型であっても、角型であっても良いが、ザルと同じ型のものを使用すると効率が良い。
使用する容器の大きさは、低蛋白質米の製造スケールによって異なってくるが、容器に入れる金ザルの容積の1.05〜3倍の容積のものが好ましく、1.1〜2倍の容積のものがより好ましい。使用する容器の大きさは、上記の範囲以外の大きさのものも使用できるが、浸漬作業の効率の点から、上記範囲の大きさが好ましい。
具体的には、直径50〜60mm、深さ30〜40mmのステンレス丸型ザルを使用する場合、直径55〜65mm、深さ35〜45mmのプラスチック丸型容器を使用することができる。また、直径150〜180mm、深さ65〜75mmのステンレス丸型ザルを使用する場合、直径160〜200mm、深さ70〜90mmのステンレス丸型容器を使用することができる。また、縦260〜280mm、横340〜360mm、高さ80〜110mmのステンレス角型ザルを使用する場合、縦300〜360mm、横400〜500mm、高さ120〜160mmのプラスチック角型容器を使用することができる。
前記油含有乳化液浸漬液は、水、油及び乳化剤を含む。前記油含有乳化液浸漬液に含まれる油としては前述のものが挙げられ、菜種油が好ましい。前記乳化剤としては、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらから選択される少なくとも1の乳化剤が好ましく、レシチンがより好ましい。
前記油含有乳化液浸漬液中の油の含量は、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。
前記油含有乳化液浸漬液中の乳化剤の含量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.02〜5質量%がより好ましく、0.03〜5質量%がさらに好ましい。
前記油含有乳化液浸漬液中の水の含量は、40〜98.99質量%が好ましく、65〜97.98質量%がより好ましく、77〜96.97質量%がさらに好ましい。
生米100質量部に対する前記油含有乳化液浸漬液の量は、100〜1000質量部が好ましく、150〜500質量部がより好ましく、150〜300質量部がさらに好ましい。
前記油含有乳化液浸漬液に米を浸漬させることにおける、油含有乳化液浸漬液の温度及び浸漬の時間は、5〜50℃で1〜60分間であることが好ましく、5〜40℃で1〜30分間がより好ましく、10〜40℃で1〜30分間がさらに好ましい。
米に油を塗布する方法としては、米に油を噴霧する(すなわちスプレーする)方法が好ましい。また、米に油を塗布した後は、米を水で洗浄することが好ましい。
米を洗浄する際の水の温度及び時間は、5〜90℃で5秒間〜60分間であることが好ましく、5〜80℃で5秒間〜30分間がより好ましく、10〜70℃で5秒間〜30分間がさらに好ましい。
本発明の別の側面の低蛋白質米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、及び米を糊化することを含む、低蛋白質米の製造方法であって、前記米を糊化することが、米を油で揚げること、米を蒸し処理すること、及び米をレトルト処理することからなる群より選ばれる少なくとも1の工程であることが好ましい。
前記米を蒸し処理する方法としては、米を蒸すこと、米を蒸し焼きにすること、米に加熱水蒸気を当てること等が挙げられる。
ここで、糊化とは、水が共存した状態での加熱により澱粉が糊状になることをいう。
米を蒸す方法としては、沸騰水と米を入れた容器を常用の蒸し器に入れて蒸すこと等が挙げられる。米を蒸す時間は、1〜120分間が好ましく、5〜60分間がより好ましく、5〜30分間がさらに好ましい。
米を蒸し焼きにする方法としては、スチームオーブンを使用する方法等が挙げられる。
米を蒸し焼きにする際の温度及び時間は、100〜180℃で3〜30分間が好ましく、100〜160℃で3〜30分間がより好ましく、100〜140℃で3〜30分間がさらに好ましい。
米に加熱水蒸気を当てる方法としては、米に加熱水蒸気を吹きかけて蒸すこと等が挙げられる。米に加熱水蒸気を当てることにおける水蒸気の温度及び水蒸気を当てる時間は100〜500℃で1秒間〜60分間が好ましく、150〜450℃で1秒間〜30分間がより好ましく、200〜400℃で1秒間〜15分間がさらに好ましい。
本発明における米のレトルト処理とは、米を炊飯後包装すること、米を包装後に加熱する、又は米を包装後に加圧及び加熱することである。
本発明の別の側面の低蛋白質米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米に油を付着させること、油が付着した米を糊化させること、及び糊化した米を乾燥させることを含む。この場合、前記米を糊化することが、米を蒸すこと、米を蒸し焼きにすること、米に加熱水蒸気を当てること、及び米をレトルト処理することからなる群より選ばれる少なくとも1つの工程であることが好ましい。
本発明の別の側面の低蛋白質米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米に油を付着させること、及び油が付着した米を糊化させることを含む。この場合、前記米に油を付着させること及び油が付着した米を糊化させることを、油で揚げることにより行うことが好ましい。これは、本発明の第一の態様の低蛋白質米の製造方法、すなわち、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることを特徴とする、低蛋白質米、すなわち低蛋白質揚げ米、の製造方法である。
米を油で揚げるという1つの処理で、米に油を付着させ、また、油が付着した米を糊化するという2つのことを行うことができる。そして、米を油で揚げた場合、米の中の水分含量が減少するため、その後さらに、米を乾燥しなくても良い。
使用する油としては、通常揚げ処理に使用される植物油や動物油を使用することができ、具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、牛脂、豚脂、これらの油の水添油、前記何れかの油のエステル交換油等から選ばれる1種又は2種以上を使用することができ、これらの中でも、菜種油、大豆油が好ましい。
米を揚げる時の油の温度及び揚げ時間の条件は、米の水分を減少させ、かつ、米が焦げない条件であれば良い。具体的には、100℃以上150℃未満の低温揚げ処理の場合、60〜600秒間揚げるのが好ましく、60〜420秒間揚げるのがより好ましく、60〜300秒間揚げるのがさらに好ましく、70〜250秒間揚げるのが特に好ましく、80〜250秒間揚げるのが最も好ましい。
また、150℃以上185℃以下の高温揚げ処理では、20〜50秒間揚げるのが好ましく、20〜40秒間揚げるのがより好ましく、25〜35秒間揚げるのが最も好ましい。
また、低温揚げ処理、及び高温揚げ処理の両方を行っても良い。低温揚げ処理と高温揚げ処理の両方を行う場合は、どちらを先に行ってもよいが、最初に低温揚げ処理をすることが好ましい。
このように、蛋白質分解処理した生米を揚げ処理することで、米の水分含量を、3〜15質量%、好ましくは3〜10質量%に減らすことができる。米の保存性や衛生性の観点から、米の水分含量を3〜10質量%に減少させることが好ましい。
上記のようにして得られる低蛋白質揚げ米は、一度に多量の米を揚げて製造する場合、揚げ処理後に、米同士が付着してしまう傾向にある。揚げ処理後に米同士が付着したお米であっても、その後、炊飯や蒸し調理により米はばらばらになるため、味にはまったく問題なく使用することができる。
揚げ処理後に、米同士の付着のない、ばらばらの状態の低蛋白質揚げ米を得たい場合には、洗浄した米に付着した水分を除去することが好ましい。洗浄した米に付着した水分を除去する方法としては、例えば、酵素処理した米を洗浄後、油で揚げる前に、ウエス等で、米に付着した水分を除去するという方法が挙げられる。効率的に米に付着した水分を除去するためには、酵素処理した米を洗浄後、油で揚げる前に、米を90℃以下の油、好ましくは5〜75℃の油、より好ましくは15〜65℃の油、最も好ましくは25〜45℃の油に浸漬して水を除去することが好ましい。
本発明の別の側面の低蛋白質米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、及び米を糊化することを含む。そして、前記米へ油を付着させることが、油に米を浸漬させること、油を含有する油含有浸漬水に米を浸漬させること、油含有乳化液浸漬液に米を浸漬させること、及び米に油を塗布した後に水で洗浄することからなる群より選ばれる少なくとも1つの工程であり、前記米を糊化することの後に、さらに、米を乾燥させることを含むことが好ましい。
米を乾燥させる方法としては、棚式乾燥機、平型乾燥機、コンベア式乾燥機、ドラム式乾燥機などを用いた方法が挙げられ、棚式乾燥機を用いた方法が好ましい。
米を乾燥させる時の温度及び時間は、20〜90℃で0.1〜8時間が好ましく、40〜90℃で0.5〜6時間がより好ましく、60〜80℃で1〜4時間がさらに好ましい。
ただし、レトルト処理により米を糊化させる場合、レトルト食品は通常の場合、商品として乾燥品よりも水分を多く含むものであることから、レトルト処理後は米の乾燥を行わなくてもよい。
また、このように、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させ、米を蒸し処理した後に、米を乾燥させることを含む本発明の低蛋白質米の製造方法により製造された低蛋白質蒸し処理米の乾燥品や、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げるという本発明の低蛋白質米の製造方法により製造された低蛋白質揚げ米は、低蛋白質米が固化し、米の崩壊を防止することができる。その結果、低蛋白質米を、レトルトパックされた米ではなく、生米と同じように流通させることができる。同じ量の米であっても、水分を多く含むレトルトパックされた低蛋白質米に比べて容量及び重量が小さくなることから、物流面で有利となる。
また、本発明の製造方法で得られた低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、生米と同じような形態であるから、レトルトパックされた米と違って米の使用量を自由に調整することができ、使いやすく、種々の料理に広く使用することができる。
本発明の製造方法によれば、味にコクがあり、かつエネルギーが高い低蛋白質米を製造することができる。蛋白質含量を低減していない通常の米と比較して、米のエネルギーが高いので、腎臓病患者が、本発明の製造方法で得られた低蛋白質米を摂取することで、摂取エネルギーの低下を防止することができる。
本発明の低蛋白質揚げ米、及び低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、流通時及び炊飯時に米粒が崩壊しにくく、コクがあり、かつエネルギーが高いという特徴が挙げられる。
酵素処理した米を洗浄後、油で揚げる前に、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去すれば、製造時又は炊飯等の調理時に米の米同士の付着のない、ばらばらの状態のお米を得ることができる。
本発明のまた別の側面の食品は、先に説明をした製造方法で得られる低蛋白質米を調理して得られる。そして、特に、低蛋白質米として低蛋白質揚げ米を使用する場合が、前記第四の態様の食品である。
本発明の低蛋白質米の調理方法としては、例えば、炊飯、蒸し調理等が挙げられる。
低蛋白質米を、炊飯器を用いて炊飯する場合、米と水の質量の割合は1:0.5〜2が好ましく。1:0.7〜1.5がより好ましく、1:0.8〜1.2が特に好ましい。
本発明において蒸し調理とは、沸騰水と米を入れた容器を常用の蒸し器に入れて蒸し調理することや、加熱水蒸気を吹きかけて蒸し状態で調理することをいう。本発明の低蛋白質米を蒸し調理する場合、沸騰水と米の質量の割合は、1:0.5〜2が好ましく、1:0.7〜1.5がより好ましく、1:0.8〜1.2が特に好ましい。蒸し調理は、常用の蒸し器に入れて3〜15分間程度蒸し処理することが好ましい。
また、本発明の低蛋白質米は、生米と同じように調理することで各種食品を作ることができる。かかる食品として、例えば、炊飯米、おにぎり、もち、チャーハン、フォー、パン等が挙げられる。
本発明のまた別の側面の低蛋白質蒸し処理米の製造方法は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理することを特徴とする低蛋白質蒸し処理米の製造方法である。そして、前記低蛋白質蒸し処理米の製造方法において、蒸し処理を、蒸すという方法で行う場合が、前記第五の態様の低蛋白質蒸し米の製造方法である。
使用する生米は、先に説明をした低蛋白質揚げ米の製造方法で使用するものと同じものを使用することができ、また、蛋白質分解処理の方法、処理米の洗浄の方法、及び水切りの方法についても、先に説明をした低蛋白質揚げ米の製造方法における方法と同じ方法で行うことができる。
本発明における処理米の油への浸漬処理について説明をする。
油への浸漬処理は、米に付着した水のほとんどが除去できる条件であれば良く、具体的には5秒間以上の浸漬を1回以上行うのが好ましく、10秒間〜24時間の浸漬を1回以上行うのがより好ましく、2回〜10回行うのがさらにより好ましい。比較的短い製造時間で効率よく水を除去したい場合、例えば、浸漬させるお米に物理的な振動を与えながら5秒間〜10分間の浸漬を1回〜10回行う方法を行えば良い。また、製造の作業効率を高めるために、人が作業をしない時間帯、具体的には、蛋白質分解処理後1晩〜1日間(16〜24時間)、油への浸漬を1回行ってもよい。
油への浸漬処理を行うことにより、蒸し処理をしても、蒸し処理後の米粒同士の付着がほとんどなくなると考えられる。
浸漬に使用する油は、浸漬時に液体状態の油であれば良く、具体的には、大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、これらの油の水添油、前記何れかの油のエステル交換油等から選ばれる1種又は2種以上を使用することができ、これらの中でも、菜種油、大豆油が好ましい。例えば、融点50℃のパーム水添油や融点26℃のヤシ油を使用する場合は、25℃では固体なので、使用する油が液体状態となる温度で浸漬処理を行うことが好ましい。例えば、パーム水添油を使用する場合は50〜90℃、ヤシ油を使用する場合は26〜90℃で浸漬処理を行うことが好ましい。
本発明における蒸し処理について説明をする。
本発明における蒸し処理としては、例えば、米を蒸すこと、米を蒸し焼きにすること、米に加熱水蒸気を当てること等が挙げられる。
米を蒸す方法としては、沸騰水と米を入れた容器を常用の蒸し器に入れて蒸し調理することや、加熱水蒸気を吹きかけて蒸し状態に調理することをいう。蒸し調理する場合、沸騰水と米の質量の割合は、1:0.5〜2が好ましく、1:0.7〜1.5がより好ましく、1:0.8〜1.2が特に好ましい。蒸し調理は、常用の蒸し器に入れて3〜15分間程度蒸し処理することが好ましい。
米を蒸し焼きにする方法としては、スチームオーブンを使用する方法等が挙げられる。
米を蒸し焼きにする際の温度及び時間は、100〜180℃で3〜30分間が好ましく、100〜160℃で3〜30分間がより好ましく、100〜140℃で3〜30分間がさらに好ましい。
本発明の製造方法によれば、蒸し処理後に米粒同士の付着がほとんどない低蛋白質蒸し処理米を製造することができる。
本発明のまた別の側面の食品は、先に説明をした製造方法で得られる低蛋白質蒸し処理米を調理して得られる、おにぎりやチャーハンなどの食品である。そして、前記低蛋白質蒸し処理米が、第五の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米である場合の調理食品が、前記第六の態様のおにぎりやチャーハンなどの食品である。
本発明の製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米は、そのまま食したり、調理して食品を製造したりすることができ、レトルトパックをして長期保管することもできる。調理の方法としては、成形調理、炒め調理等が挙げられ、例えば、おにぎり、チャーハン等の各種食品を作ることができる。レトルトパックした低蛋白質蒸し米は、電子レンジやお湯等で温めることにより、食することができる。
本発明のまた別の側面の低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法は、先に説明をした製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米を乾燥することを特徴とする低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法である。そして、前記低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法において、低蛋白質蒸し処理米が、前記第五の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米である場合が、前記第七の態様の低蛋白質蒸し米の乾燥品の製造方法である。
低蛋白質蒸し処理米を温風乾燥機等で乾燥することで、低蛋白質蒸し処理米の乾燥品を得ることができる。この低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、油への浸漬処理をしているため、米粒同士の付着がほとんどない。
本発明のまた別の側面の食品は、先に説明をした製造方法により得られる低蛋白質蒸し処理米の乾燥品を調理して得られる、炊飯米やチャーハンなどの食品である。そして、前記低蛋白質蒸し処理米の乾燥品が、第七の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米の乾燥品である場合の調理食品が、前記第八の態様の炊飯米やチャーハンなどの食品である。
低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、乾燥前の蒸し処理米と違って生米と同じような形態であるから、米の使用量を自由に調整することができ、使いやすく、炊飯米やチャーハン等の食品に広く使用することができる。
本発明のまた別の側面の低蛋白質揚げ米、すなわち前記第九の態様は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、油で揚げることにより製造される低蛋白質揚げ米である。第九の態様における低蛋白質揚げ米の製造に関する説明は、前記第三の態様の低蛋白質揚げ米の製造方法に関する説明と同様である。
本発明のまた別の側面の低蛋白質蒸し処理米は、生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米を90℃以下の油に浸漬して水を除去し、その後蒸し処理をすることにより製造される低蛋白質蒸し処理米である。前記低蛋白質蒸し処理米の製造に関する説明は、先に記載をした低蛋白質蒸し処理米の製造に関する説明と同様である。そして、前記蒸し処理を、蒸すという方法で行って製造される低蛋白質蒸し米が、前記十の態様の低蛋白質蒸し米である。
第十の態様における低蛋白質蒸し米の製造に関する説明は、前記第五の態様の低蛋白質蒸し米の製造に関する説明と同様である。
本発明のまた別の側面の低蛋白質蒸し処理米の乾燥品は、先に説明をした低蛋白質蒸し処理米を乾燥することにより製造される低蛋白質蒸し処理米の乾燥品である。低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造に関する説明は、先に記載をした低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法に関する説明と同様である。そして、前記低蛋白質蒸し処理米の乾燥品において、低蛋白質蒸し処理米が、前記第十の態様の製造方法により得られる低蛋白質蒸し米である場合が、前記第十一の態様の低蛋白質蒸し米の乾燥品である。
第十一の態様の低蛋白質蒸し米の乾燥品の製造に関する説明は、前記第七の態様の乾燥品の製造方法に関する説明と同様である。
本発明のまた別の側面の低蛋白質米の製造方法は、
生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、
油が付着した前記米を糊化すること、及び
前記米を糊化することの後に、さらに、米を乾燥させることを含み、
前記米へ油を付着させることが、油を含有する油含有浸漬水に米を浸漬させることであり、
前記米を糊化することが、米を蒸し焼きにすることであり、
前記油含有浸漬水は、水及び油を含み、
前記油が大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、これらの油の水添油、及び前記何れかの油のエステル交換油からなる群より選択される少なくとも1の油であり、
前記油含有浸漬水中の油の含量が、前記生米1gに対して0.17〜2.5mlであり、
前記油含有浸漬水中の油の含量が、4〜50%(vol./vol.)であり、
前記油含有浸漬水中の水の含量が、50〜96%(vol./vol.)であり、
生米100質量部に対する前記油含有浸漬水の量が、100〜1000質量部であることが好ましい。
本発明のまた別の側面の低蛋白質米の製造方法は、
生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、米へ油を付着させること、
油が付着した前記米を糊化すること、及び
前記米を糊化することの後に、さらに、米を乾燥させることを含み、
前記米へ油を付着させることが、油含有乳化液浸漬液に米を浸漬させることであり、
前記米を糊化することが、米を蒸し焼きにすることであり、
前記油含有乳化液浸漬液は、水、油及び乳化剤を含み、
前記油が大豆油、菜種油、コーン油、麺実油、紅花油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム分別油、これらの油の水添油、及び前記何れかの油のエステル交換油からなる群より選択される少なくとも1の油であり、
前記乳化剤がレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1の乳化剤であり、
前記油含有乳化液浸漬液中の油の含量が、1〜50質量%であり、
前記油含有乳化液浸漬液中の乳化剤の含量が、0.01〜10質量%であり、
前記油含有乳化液浸漬液中の水の含量が、40〜98.99質量%であり、
前記生米100質量部に対する前記油含有乳化液浸漬液の量が、100〜1000質量部であり、
前記米を蒸し焼きにすることが、100〜180℃の水蒸気を3〜30分間当てることであることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪低蛋白質米の製造(1)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して各種低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%、及び乳化剤製剤(商品名:リョートーエステルSMO、三菱化学フーズ(株)製、組成:ショ糖脂肪酸エステル3.5%、グリセリン脂肪酸エステル3.5%、オリゴ糖43%、水50%)2質量%を溶解し、反応液を調製した。インディカ米(生米)75gに反応液350mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水350mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質米を製造した。
[比較例1]
(インディカ米風乾処理)
水切りしたインディカ米を70℃で90分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[比較例2]
(インディカ米蒸し処理)
水切りしたインディカ米を蒸し器に入れて5分間蒸し、その後、70℃で90分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[実施例1]
(インディカ米揚げ処理)
水切りしたインディカ米を180℃のコーン油(商品名:日清コーン油、日清オイリオグループ(株)製)で30秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
<米の水分含量の測定>
米の水分含量を、水分計(SMART SYSTEM 5,CEM Corporation製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006204914
本発明の製造方法により、水分含量が10質量%以下の保存性の良い低蛋白質米を得ることができた。
<米の蛋白質含量の測定>
米の乾燥物中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006204914
蛋白質分解酵素による蛋白質分解処理を行うことによって、原料米の1/10程度まで蛋白質含量を低減させることができた。蛋白質含量は、100g乾燥重量当たりの量を算出しているため、水切りした米を、風乾、蒸し処理、又は揚げ処理した後の米(比較例1、2の米、又は実施例1の米)の蛋白質含量は、表2に示す水切りした米の蛋白質含量と同じ含量であると考えられる。
<米の崩壊性の評価>
米10gを、目開き1400μmのふるいをセットした振とう器(ミニふるい振とう器 MVS−1,アズワン製)を用いて、振とうを3分間行った。3分後、ふるい上で米粒の崩壊状態を目視で確認した。振とう後、米粒が崩壊しておらず、米粒の形状を維持していた場合にはA、振とう後、米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していなかった場合にはBと評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0006204914
米をふるいにかけて、物理的な負荷を加えると、比較例1と比較例2の米粒は崩壊したが、実施例1と実施例2の米粒は崩壊しなかった。このことから、揚げ処理を行うことにより、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、その結果、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
<炊飯米及び蒸し調理米のかたさの評価>
原料インディカ米(生米)又は実施例1の米を炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。
また、炊飯と同じ割合の沸騰水を実施例1の米に入れ、蒸し器で蒸し調理を行い、蒸し調理米を作った。得られた炊飯米及び蒸し調理米について、以下の方法により、かたさを測定した。
炊飯米及び蒸し調理米を、それぞれ直径40mm、高さ15mmの容器に10g充填したものについて、直線運動により物質の圧縮応力を測定する装置(RE−33005 RHEONER、YAMADEN製)により、かたさを測定した。測定は、直径20mm、高さ8mmの樹脂製のプランジャーを用いて、圧縮速度10mm/s、クリアランス5mmで2回圧縮により行った。
その結果を表4に示す。
Figure 0006204914
実施例1の炊飯米は、原料生米の炊飯米よりかたさ荷重が小さく、実施例1の米の蒸し調理米は、原料米の炊飯米よりかたさ荷重が大きかったが、両方とも食するには問題のないかたさであった。
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、比較例1、2、及び実施例1、2の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、以下の評価基準で評価を行った。その結果を表5〜7に示す。
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
Figure 0006204914
Figure 0006204914
Figure 0006204914
比較例1の米の炊飯米は、外観は悪く、非常にやわらかいので、おいしくないという評価であった。一方、実施例1の米の炊飯米は、色及び米粒の形状の点では、インディカ米の炊飯米とほぼ同じで、味の点では市販の低蛋白質米よりもコクがあり、おいしいという評価であった。また、比較例2の米の炊飯米は、全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊し、実施例1の米の炊飯米に比べやわらかく、おいしいという評価ではなかった。
≪低蛋白質米の製造(2)≫
原料の生米として、インディカ米又はジャポニカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液80mlを添加し、42℃で16時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米又はジャポニカ米の低蛋白質米を製造した。
[比較例3]
(インディカ米風乾処理)
水切りしたインディカ米を室温で30分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[比較例4]
(ジャポニカ米風乾処理)
水切りしたジャポニカ米を室温にて30分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質ジャポニカ米を得た。
[実施例2]
(インディカ米揚げ処理)
水切りしたインディカ米を180℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で30秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
[実施例3]
(ジャポニカ米揚げ処理)
水切りしたジャポニカ米を180℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で30秒間揚げ、低蛋白質ジャポニカ米(低蛋白質ジャポニカ揚げ米)を得た。
<米の水分含量の測定>
米の水分含量を、加熱乾燥式水分計(MS−70、A&D(株)製)を用いて測定した。その結果を表8に示す。
Figure 0006204914
本発明の製造方法により、水分含量が10質量%以下の保存性の良い低蛋白質米を得ることができた。
<米の蛋白質含量の測定>
米の乾燥物中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表9に示す。
Figure 0006204914
蛋白質分解酵素による蛋白質分解処理を行うことによって、どちらの米種においても原料米の1/25程度まで蛋白質含量を低減させることができた。蛋白質含量は、100g乾燥重量当たりの量を算出しているため、水切りした米を、風乾、又は揚げ処理した後の米(比較例3、4の米、又は実施例2、3の米)の蛋白質含量は、表9に示す水切りした米の蛋白質含量と同じ含量であると考えられる。
<米の崩壊性の評価>
先に記載した評価方法と同じ方法で、原料の生米及び製造した低蛋白質米の米粒の崩壊状態を評価した。その結果を表10に示す。
Figure 0006204914
米をふるいにかけて、物理的な負荷を加えると、比較例3と比較例4の米粒は崩壊したが、実施例2と実施例3の米粒は崩壊しなかった。したがって、揚げ処理を行うことにより、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、その結果、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、比較例3、4、及び実施例2、3の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、以下に記載する外観(2)以外は、先に記載した評価基準と同じ評価基準で評価を行った。
〔外観(2)〕
比較例3、及び実施例2について
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
比較例4、及び実施例3について
A:原料ジャポニカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料ジャポニカ米(生米)より白く違和感がある。
その結果を表11〜14に示す。
Figure 0006204914
Figure 0006204914
Figure 0006204914
Figure 0006204914
比較例3および比較例4の米の炊飯米は、外観は悪く、非常にやわらかいので、おいしくないという評価であった。一方、実施例2及び実施例3の米の炊飯米は、色及び米粒の形状の点では、インディカ米やジャポニカ米の炊飯米とほぼ同じで、味の点では市販の低蛋白質米よりもコクがあり、おいしいという評価であった。
≪米のエネルギー、脂質含量、ミネラル類含量の評価≫
実施例2と比較例3の低蛋白質米のエネルギー、脂質含量、及びミネラル類含量の分析を行った。その結果を表15に示す。脂質は酸分解法で、ナトリウム含量とカリウム含量は原子吸光光度法(定量下限:1mg/100g)で、リン含量はICP発光分析法で、灰分は直接灰化法で測定した。炭水化物量は、試料全体から、水分、蛋白質、脂質、及び灰分の量を控除して得られた量とした。
さらに、各分析値に栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)によるエネルギー換算係数を乗じて、実施例2の米と比較例3の米のエネルギーを求めた。すなわち、蛋白質については4kcal/g、脂質については9kcal/g、炭水化物については4kcal/gの係数を乗じた。
Figure 0006204914
上記結果より、本発明の製造方法により得られる低蛋白質米は、低蛋白質米を風乾処理して得られた低蛋白質米に比べ、脂質量が多く、それによりエネルギーが高いことが確認できた。
≪低蛋白質米の製造(3)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.65質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米(生米)75gに反応液350mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。
酵素処理した米に、水350mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。
洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質米を製造した。
[実施例4]
(インディカ米低温揚げ処理)
水切りしたインディカ米を130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で90秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
<米の崩壊性の評価>
先に記載した評価方法と同じ方法で、得られた低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)の米粒の崩壊状態を評価した。結果を表16に示す。
Figure 0006204914
上記結果より、低温揚げ処理を行っても、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、実施例A4の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、おいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、先に記載した評価基準と同じ評価基準で評価を行った。その結果を表17に示す。
Figure 0006204914
これらの結果から、130℃で90秒間揚げた場合でも、180℃で揚げた場合と同様、米粒が崩壊しにくく、優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
≪低蛋白質米の製造(4)≫
原料の生米として、インディカ米又はジャポニカ米を使用して、低温で揚げ処理をした低蛋白質揚げ米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米又はジャポニカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米又はジャポニカ米の低蛋白質揚げ米を製造した。
[実施例5]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、インディカ米)
25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))75mlを入れた容器を用意し、水切りしたインディカ低蛋白質米(150g)が入った金ザルを、前記菜種油が入った容器に入れて米を油に5秒間浸漬させた。その後容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを菜種油が入った容器に入れることで、再度米を油に5秒間浸漬させた。この浸漬操作を繰り返し行い、5秒間の浸漬を計10回行った。この操作により、米に付着していた水が除去され、油の入った容器の底に水滴がたまっていた。浸漬処理した米を、金ザルで油切りをした後、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.8質量%)を得た。
[実施例6]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、ジャポニカ米)
水切りしたインディカ米に代えて、水切りしたジャポニカ米を用いて実施例5と同様の製造を行い、低蛋白質ジャポニカ揚げ米(水分12.6質量%)を得た。
[実施例7]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、インディカ米)
25℃の菜種油に代えて、75℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))を用いて、インディカ米について実施例5と同様の製造を行い、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.5質量%)を得た。
[実施例8]
(油浸漬処理せずに低温揚げ処理、インディカ米)
浸漬処理の有無の効果を確認するために、水切りしたインディカ米を、油の浸漬処理を行わないで、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.6質量%)を得た。
<米粒の付着状態の観察>
低温で揚げ処理をすることにより得られた低蛋白質インディカ揚げ米、又は低蛋白質ジャポニカ揚げ米の米粒の付着状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表18に示す。
〔米粒の付着状態〕
A:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
B:数粒の米粒が付着したものが少し存在している。
C:数粒の米粒が付着したものが多く存在している。
Figure 0006204914
表18の結果からわかるように、130℃の低温で揚げ処理をした場合、浸漬処理を行わない場合よりも、浸漬処理を行った方が、米粒の付着がないことがわかった。ただ、実施例8の米粒の多くが付着した低蛋白質インディカ揚げ米も、物理的な力を加えると、米粒の付着をほぐすことができる程度の付着であった。また、この後に説明をする実験結果からもわかるように、実施例8の米粒の多くが付着した低蛋白質インディカ揚げ米であっても、炊飯をすると、米粒の付着はほとんど認められず、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質炊飯米が得られることがわかった。
<炊飯米の官能評価>
実施例5の低蛋白質インディカ揚げ米、実施例6の低蛋白質ジャポニカ揚げ米、実施例7の低蛋白質インディカ揚げ米、及び実施例8の低蛋白質インディカ揚げ米(浸漬処理なし)それぞれを、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。
<炊飯米の官能評価基準>
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
実施例5、実施例7及び実施例8について
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
実施例6について
A:原料ジャポニカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料ジャポニカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
Figure 0006204914
これらの結果から、揚げ処理をする前に油への浸漬処理をしなかった実施例8では、数粒の米粒が付着したものが多く存在していたが、炊飯すると、米粒の付着はほとんど認められず、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質炊飯米が得られることがわかった。また、揚げ処理をする前に浸漬処理をした実施例5〜7は、浸漬処理をしない場合と同様、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
ジャポニカ米についても、インディカ米と同様、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
≪油浸漬回数による水の除去状況の確認≫
先に説明をした低蛋白質米の製造(4)で得られた水切り前の低蛋白質インディカ米を用いて、油浸漬処理による水の除去状況を確認した。
まず、水切り前の低蛋白質インディカ米15gを金ザルに入れて水切りし、除去した水の量を測定した(測定値:3603μl)。次に、水切りをした低蛋白質インディカ米を、25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))200mlを入れた容器に入れて5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、油を切った。
このとき使用した浸漬油を遠心管に入れ、遠心処理(条件:3000rpm、10分間)をして水を分離させた。遠心管の底にたまった水をマイクロピペットで定量し、その水の量を、浸漬回数1回の米から除去した水の量とした。続いて、油切をした米を、別の25℃の菜種油200mlを入れた容器に入れて再度5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し油を切った。このとき使用した浸漬油を遠心管に入れ、遠心処理(条件:3000rpm、10分間)をして水を分離させた。遠心管の底にたまった水をマイクロピペットで定量し、その水の量を、浸漬回数2回の米から除去した水の量とした。同様にして、菜種油への浸漬を計9回行い、各浸漬処理ごとに米から除去した水の量を定量した。除去した水の量を表20に示す。
得られた各サンプル米を、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米を得た。
<米粒の付着状態の観察>
得られた低蛋白質インディカ揚げ米の米粒の付着状態を目視で観察し、実施例5〜8と同じ評価基準で評価した。結果を表20に示す。
Figure 0006204914
表20の結果から、水切りした米について5秒間の油浸漬を1回行えば、米の付着水の大部分が除去でき、揚げ処理後の米粒の付着も減少することがわかった。また、水切りした米について5秒間の油浸漬を2回以上行えば、揚げ処理後の米粒の付着がないことがわかった。水切りした米について、5秒間の油浸漬を6回以上行った場合、除去される水がほとんどなかったことから、5秒間の油浸漬を5回行うことで、米の付着水のほとんどが除去されたと考えられる。
≪低蛋白質米の製造(5)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し米及びその乾燥品を製造した。
[実施例9]
(油浸漬処理後、蒸し処理、乾燥)
25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))75mlを入れた容器を用意し、水切りしたインディカ低蛋白質米(15g)が入った金ザルを、菜種油が入った容器に入れて米を油に5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを容器に入れることで、再度米を油に5秒間浸漬させた。この浸漬操作を繰り返し行い、5秒間の浸漬を計10回行った。この操作により、米に付着していた水が除去され、油の入った容器の底に水滴がたまっていた。浸漬処理した米を、金ザルで油切りをした後、市販の蒸し器で5分間蒸し処理をし、低蛋白質インディカ蒸し米を得た。得られた低蛋白質インディカ蒸し米を、乾燥機(製品名:DN−62、ヤマト科学株式会社製)を用いて65℃で2時間乾燥し、低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品(水分11.4質量%)を得た。乾燥米は、水分が少ないため、生のお米のように硬い米粒であった。
[比較例5]
(油浸漬処理せずに蒸し処理、乾燥)
浸漬処理の有無の効果を確認するために、水切りしたインディカ米を、油の浸漬処理をせずに、市販の蒸し器で5分間蒸し処理をし、低蛋白質インディカ蒸し米を得た。得られた低蛋白質インディカ蒸し米を、65℃で2時間乾燥し、低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品(水分11.3質量%)を得た。乾燥米は、水分が少ないため、生のお米のように硬い米粒であった。
<米粒の付着状態の観察>
得られた低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品の米粒の付着状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表21に示す。
A:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
B:数粒の米粒が付着したものが少し存在している。
C:数粒の米粒が付着したものが多く存在している。
D:米粒から澱粉が溶出し、ほとんどの米粒が付着して塊状となっている。
Figure 0006204914
表21の結果からわかるように、低蛋白質蒸し米は、油の浸漬処理を行わないと、数粒の米粒が付着したものが多く存在していたが、油の浸漬処理を行うと、米粒同士の付着がないものが得られることがわかった。
このことから、低蛋白質蒸し米については、酵素処理後、蒸す前に、油で浸漬処理をすることが有効であることがわかった。
<炊飯米の官能評価>
実施例9の低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品、及び比較例5の低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。得られた炊飯米の外観、やわらかさ、コク、おいしさ(好み)について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表22に示す。
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
Figure 0006204914
表22の結果からわかるように、低蛋白質蒸し米の乾燥品の炊飯米は、油の浸漬処理を行うことにより、米粒同士の付着がないものが得られることがわかった。
このことから、低蛋白質蒸し米の乾燥品については、酵素処理後、蒸す前に、油で浸漬処理をすることが有効であることがわかった。
≪低蛋白質米の製造(6)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、およびその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
[実施例10〜16]
(油含有浸漬水に浸漬処理後、蒸し焼き処理、乾燥)
表23に示す量の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))及び水(以下、油含有浸漬水という)を入れた容器を用意し、水切りした低蛋白質インディカ米が入った金ザルを、油含有浸漬水が入った容器に入れて米を油含有浸漬水に浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを容器に入れることで、再度米を油含有浸漬水に浸漬後、容器から金ザルを取り出し水切りをした。このようにして2回の浸漬処理をした低蛋白質インディカ米を、120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、インディカ米をひっくり返してさらに10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。得られた低蛋白質蒸し焼き米を自然乾燥することで、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
<外観観察>
得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品の外観を目視で観察し、米粒の付着状態及び未糊化米の程度について、以下の評価基準で評価をした。結果を表23に示す。
〔米粒の付着状態〕
無し:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
有り:数粒の米粒が付着したものが存在している。
〔未糊化米の程度〕
無し:原料(生米)と同程度の白さである。
有り:原料(生米)より白く違和感がある。
表23の米粒の付着状態の観察結果からわかるように、低蛋白質蒸し焼き米は、酵素処理後、蒸し焼きをする前に、油含有浸漬水に浸漬処理をすると、米が付着せず、未糊化米も発生しないことがわかった。
<炊飯米の官能評価>
実施例10〜16で得られたインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)を用いて実施例9の炊飯米と同じ方法で炊飯し、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表23に示す。
〔炊飯米の官能評価基準〕
A:炊飯米には、つや、透明感、粘り、こくがあり、インディカ米の炊飯米と同程度の食感。
B:こくはあるが、つや、透明感、粘りがない。
C:つや、透明感がなく、こくもなく、パサパサした食感。
Figure 0006204914
≪低蛋白質米の製造(7)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。表24に示す量のインディカ米に反応液を添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液を添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
[実施例17〜27]
(油含有浸漬水に浸漬処理後、蒸し焼き処理、乾燥)
表24又は表25に示す条件で、実施例10と同様にして、低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品の製造を行った。実施例25で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品中の蛋白質含量をケルダール法で測定すると、その値は0.81質量%であったことから、今回の処理により低蛋白質米が製造されていることが確認できた。
<外観観察>
得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品の外観を目視で観察し、米粒の付着状態及び未糊化米の程度について、以下の評価基準で評価をした。結果を表24又は25に示す。
〔米粒の付着状態〕
無し:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
有り:数粒の米粒が付着したものが存在している。
〔未糊化米の程度〕
無し:原料(生米)と同程度の白さである。
有り:原料(生米)より白く違和感がある。
表24及び表25の米粒の付着状態の観察結果からわかるように、低蛋白質蒸し焼き米は、酵素処理後、蒸し焼きをする前に、油含有浸漬水に浸漬処理をすると、米が付着せず、未糊化米も発生しないことがわかった。
<炊飯米の官能評価>
実施例17〜27で得られたインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)を用いて実施例9の炊飯米と同じ方法で炊飯し、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表24又は25に示す。
〔炊飯米の官能評価基準〕
A:炊飯米には、つや、透明感、粘り、こくがあり、インディカ米の炊飯米と同程度の食感。
B:こくはあるが、つや、透明感、粘りがない。
C:つや、透明感がなく、こくもなく、パサパサした食感。
Figure 0006204914
Figure 0006204914
≪低蛋白質米の製造(8)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%を溶解し、反応液を調製した。前記インディカ米(生米)1200gに前記反応液4.0Lを添加し、40℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水4Lを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
[実施例28]
(乳化浸漬液の製造)
表26に示す配合にて乳化浸漬液を以下の方法で製造した。植物油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)にペースト状レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ(株)製)を添加し、湯浴で80℃に加熱することで、レシチンを植物油に溶かし、レシチン含有植物油を得た。常温の水に、室温に戻した前記レシチン含有植物油を添加し、ミキサー(装置名:VITA−PREP3、VITA−MIX社(米国)製)を用いて、1分間撹拌して乳化をすることで、乳化浸漬液を得た。
Figure 0006204914
(インディカ米の乳化浸漬液による浸漬処理後、蒸し焼き、乾燥)
前記乳化浸漬液2Lを入れたステンレストレーに、酵素処理し水切りしたインディカ米が入った金ザルを入れ、前記インディカ米を乳化浸漬液に5分間浸漬した。乳化浸漬液から前記インディカ米が入った金ザルを取出し、乳化浸漬液を良く切った。その後、インディカ米を120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、インディカ米をひっくり返してさらに10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。その後、低蛋白質蒸し焼き米を70℃で2時間乾燥させ、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
≪低蛋白質米の製造(9)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%を溶解し、反応液を調製した。前記インディカ米(生米)1100gに前記反応液4.0Lを添加し、40℃で20時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水4Lを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
[実施例29]
(乳化浸漬液の製造)
表27に示す配合にて乳化浸漬液を以下の方法で製造した。植物油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)にペースト状レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ(株)製)を添加し、湯浴で80℃に加熱することで、レシチンを植物油に溶かし、レシチン含有植物油を得た。常温の水に、室温に戻した前記レシチン含有植物油を添加し、ミキサー(装置名:VITA−PREP3、VITA−MIX社(米国)製)を用いて、1分間撹拌して乳化をすることで、乳化浸漬液を得た。
Figure 0006204914
(インディカ米の乳化浸漬液による浸漬処理後、蒸し焼き、乾燥)
前記乳化浸漬液2Lを入れたステンレストレーに、酵素処理し水切りしたインディカ米が入った金ザルを入れ、前記インディカ米を乳化浸漬液に5分間浸漬した。乳化浸漬液から前記インディカ米が入った金ザルを取出し、乳化浸漬液を良く切った。その後、インディカ米を120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。その後、低蛋白質蒸し焼き米を70℃で2時間乾燥させ、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
<米の水分含量の測定>
実施例28及び29の米の水分含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表28に示す。
<米の蛋白質含量の測定>
原料のインディカ米並びに実施例28及び29で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表28に示す。
<炊飯米の官能評価>
実施例28及び29で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を実施例1と同じ方法で炊飯し、実施例1の「外観(1)」及び「おいしさ又は好み」と同じ評価基準で官能評価を行った。その結果を表28に示す。
Figure 0006204914
生米を蛋白質分解処理、洗浄することにより得られた低蛋白質米を、蒸し焼きにする前に、油を乳化した乳化液に浸漬することで、低蛋白質米の固化及び炊飯後の味にさらに良い影響を与えることがわかった。
本発明は、流通時及び炊飯時に米粒が崩壊しにくく、炊飯時に米粒の付着が少ない低蛋白質米の製造方法を提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、味にコクがあり、かつエネルギーが高い低蛋白質米を製造することができるので、食品の製造の分野において好適に利用できる。

Claims (5)

  1. 生米を蛋白質分解処理し、得られた処理米を洗浄した後、前記処理米に油を付着させる工程と、その後、蒸し処理によって糊化する工程と、を含み、
    前記油を付着させる工程は、90℃以下の油に前記処理米を浸漬して水を除去すること、油を含有する油含有浸漬水に前記処理米を浸漬させること、油含有乳化液浸漬液に前記処理米を浸漬させること、及び前記処理米に油を塗布した後に水で洗浄すること、からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程であり、
    前記油含有浸漬水中の油の含有量は4〜50%(vol./vol.)であり、
    前記油含有乳化液浸漬液中の油の含量は1〜50質量%であること、
    を特徴とする低蛋白質蒸し処理米の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で得られる低蛋白質蒸し処理米を乾燥することを特徴とする低蛋白質蒸し処理米の乾燥品の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法で得られる低蛋白質蒸し処理米の乾燥品を調理することを特徴とする食品の製造方法。
  4. 請求項1に記載の製造方法で得られる低蛋白質蒸し処理米を調理することを特徴とする食品の製造方法。
  5. 請求項1に記載の製造方法で得られる低蛋白質蒸し処理米をレトルトパックすることを特徴とするレトルトパックした低蛋白質蒸し処理米の製造方法。
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