JP5971944B2 - 低水分量の油脂含有食品の酸敗臭抑制方法 - Google Patents
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また、酸化しにくい固形脂や水素添加油脂を使うことによって酸化劣化を抑える試みも行われてきたが、口解けの悪さやトランス脂肪酸の発生などのデメリットもあり、近年では敬遠される傾向にあるので、使用後の食品の食味や外観への悪影響の少ないものも望まれる。
また、片状ナッツ類をトッピングした菓子の表面に、砂糖を噴霧してコーティングすることで酸敗臭を低減できることが知られている(特許文献1参照)が、低水分量の油脂含有食品に砂糖を配合しても酸敗臭の発生を低減することは不十分であった(後述比較例1参照)。
このように、低水分量の油脂含有食品の食味や外観への悪影響が少なく、かつ低水分量の油脂含有食品から発生する酸敗臭を簡便にかつ良好に抑制させることが望まれている。
〔2〕 前記糖組成物が、4糖の分岐オリゴ糖及び/又は3糖の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含むものである前記〔1〕記載の酸敗臭抑制方法。
〔3〕前記糖組成物が、4糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り10質量%以上含む糖組成物である前記〔1〕又は〔2〕記載の酸敗臭抑制方法。
〔4〕 前記糖組成物が、パノースを固形分当り25質量%以上含む糖組成物である前記〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載の酸敗臭抑制方法。
〔6〕 前記糖組成物が、4糖の分岐オリゴ糖及び/又は3糖の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含むものである前記〔5〕記載の水分活性0.5以下の油脂含有食品の製造方法。
〔7〕 食物に含有させることにより水分活性0.5以下の油脂含有食品の酸敗臭を抑制する剤であって、食物に3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させるように用いることを特徴とする、前記糖組成物を有効成分とする酸敗臭抑制剤。
しかし、このように低水分量の食品にしたにも拘らず、油脂分を多少なりとも含むと酸敗臭が発生し、食品の風味が損なわれることとなり、食品としての価値を低下させてしまう。特に水分活性0.5以下の油脂含有食品では、発生する酸敗臭が強くなる傾向にある。
また、低水分量の油脂含有食品の酸敗臭を抑制する点からすると、低温(例えば、4℃未満)条件下での保存などが望ましい。しかし、流通性及び簡便性の点からすると、これより高い温度、例えば常温以上でも、低水分量の油脂含有食品の酸敗臭を抑制でき、保存できる方が望ましい。例えば、10〜25℃程度以上、特に25℃以上になる夏場の条件下でも保存できるものが望ましい。
また、本発明者は、この油脂含有食品が、25℃で6ヶ月後の酸敗臭の発生がほとんどないことから、夏場のような高い温度条件下での常温保存も可能であることを見出した。さらに、本発明者は、4糖の分岐オリゴ糖が、3糖の分岐オリゴ糖よりも、より酸敗臭の発生を抑制できることも見出した。
また、油ちょう食品及び焼成食品などは通常酸敗臭が発生し易いので、これら食品に本開示の前記糖組成物を使用する酸敗臭抑制方法を適用するのは好適である。特に、油ちょう食品に本開示の酸敗臭抑制方法を適用するのは好適である。
前記油ちょう食品及び焼成食品として、例えば、上記の「低水量の油脂含有食品」の例示が挙げられ、これらを油ちょう及び焼成等の調理手段によって分類することが可能である。
前記油ちょう食品として、例えば、油ちょう菓子類、揚げ物類、油ちょう即席めん類などが挙げられ、より具体的には、例えば、揚げ玉、米菓、フライ麺、ポテトチップスなどが挙げられる。
また、前記焼成食品として、例えば、焼成菓子類、シリアル食品類などが挙げられ、より具体的には、例えば、クッキー、ビスケット、クラッカーなどが挙げられる。
より具体的には、例えば、食物中に3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖組成物を配合するか又は添加混合すること;食物の表面に3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖組成物を塗布や付着させること;食物を3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖組成物に浸漬することなどが挙げられる。
このときの3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖組成物の状態として、特に限定されず、例えば、固体、顆粒、粉体や液体(例えば、溶液)などが挙げられる。
また、この「食物」は、未加熱のもの(例えば、精穀物、粉砕物、切断物、成形物、粉末、生地原料、生地など);油ちょう、乾燥、焼成、電子レンジ処理、蒸し、茹で、煮炊きなどの加熱処理が施されたものの何れでもよく、これらは適宜所定の形状に成形されていてもよい。
この食物の原材料として、一般的に食品に使用されている原材料であれば特に限定されないが、例えば、穀物類(例えば、米類、麦類、大豆、トウモロコシなど)、野菜類(例えば、ジャガイモなど)、畜肉類、魚介類及び果物類などが挙げられる。食物には、必要に応じて、無機塩、酸、アミノ酸類、核酸、糖類、天然調味料、香辛料、賦形剤などの食品に使用可能な添加物を含有させてもよい。
この「加熱処理」として、例えば、加熱乾燥、油ちょう、焼成、電子レンジ処理、蒸し、茹で、煮炊きなどが挙げられる。これらを適宜複数組み合わせてもよい。このうち、油ちょう及び焼成、特に油ちょうにより得られた低水分量の油脂含有食品に本開示の前記糖組成物を使用する酸敗臭抑制方法等を適用するのが好適である。
なお、加熱処理後に、さらに食品の水分含量を所定範囲内にまで低減化するための処理手段を行ってもよい。当該処理手段として、例えば、油ちょう、焼成、凍結乾燥及び風乾燥などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することが可能である。
加熱温度は、特に限定されず、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは100〜200℃、よりさらに好ましくは120〜180℃である。このときの加熱時間は、特に限定されないが、作業効率の点から、1〜30分間程度が好ましい。このような範囲の加熱温度や時間により得られる低水分量の油脂含有食品に本開示の前記糖組成物を使用する酸敗臭抑制方法等を適用するのが好適である。
この油脂の含有量は、油脂を少量でも含有することで食品から酸敗臭が生じることがあるが、該油脂含有食品中、1〜60質量%程度、好ましくは10〜60質量%程度、さらに好ましくは15〜60質量%程度である。しかし、後述の3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖組成物を用いることにより、この酸敗臭発生の抑制をすることができるようになる。
前記油脂を単独で又は2種以上組み合わせて適宜使用してもよい。
前記3糖以上の分岐オリゴ糖として、例えば、パノース、イソマルトトリオース、イソマルトシルマルトース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース等が挙げられる。これらの1種又は2種以上のものを使用してもよい。
また、前記3糖以上の分岐オリゴ糖として、例えば、α−1,6グルコシド結合のみで構成される3糖以上のオリゴ糖(例えば、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース等);α−1,4グルコシド結合とα−1、6グルコシド結合とを有する3糖以上のオリゴ糖(例えば、パノース、イソパノース、イソマルトシルマルトース等)などが挙げられる。
このうち、好ましくは3糖の分岐オリゴ糖(好適にはパノース、イソマルトトリオース)及び4〜5糖の分岐オリゴ糖であり、より好ましくは4糖の分岐オリゴ糖である。これらは酸敗臭を良好に抑制することができるので有利である。さらに、3糖の分岐オリゴ糖及び4糖の分岐オリゴ糖を併用すると、低水分量の油脂含有食品から発生する酸敗臭を非常に良好に抑制できるので有利である。
これに対し、3糖の分岐オリゴ糖であるパノース及びイソマルトトリオースを用いる場合、食味や外観への悪影響が少なく、かつ低水分量の油脂含有食品から発生する酸敗臭を簡便にかつ良好に抑制できる。
このとき、3糖以上の分岐オリゴ糖の含有量が固形分当たり25質量%以上含む糖組成物を用いる場合に、食味や外観への悪影響が少なく、かつ低水分量の油脂含有食品から発生する酸敗臭を良好に抑制する効果が認められている。
そして、4糖の分岐オリゴ糖画分及び3糖の分岐オリゴ糖画分を含有する糖組成物は、4糖の分岐オリゴ糖画分よりも、より良好に低水分量の油脂含有食品から発生する酸敗臭を抑制できるので、有利である。
糖組成物中のパノースの含有量は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは12質量%以上、特に好ましくは25質量%以上であるのが、酸敗臭抑制の点で望ましい。
なお、本開示に使用する糖組成物には、上述の効果を発揮する範囲内で、上述の分岐オリゴ糖以外のオリゴ糖(例えば直鎖オリゴ糖)や単糖などが含まれていてもよい。
分岐オリゴ糖を含有する糖組成物の製造方法について、一例として、以下に説明するが、これに限定されるものではない。
分岐オリゴ糖を含有する糖組成物は、原料澱粉を液化酵素(例えば、α−アミラーゼ)又は酸により加水分解(液化)後、少なくともトランスグルコシダーゼ(具体的には、α−グルコシダーゼの一種で分岐構造を生成する酵素)を用いて加水分解(「糖化」ともいう)及び糖転移反応を行うことによって得ることができる。得られた分岐オリゴ糖を含有する糖組成物(糖転移物)のDE(dextrose equivalent)は、50〜80程度のものが好ましい。
さらに糖化及び糖転位反応の際に、トランスグルコシダーゼに加えて、他のα−グルコシダーゼ、β−アミラーゼ、枝切酵素(例えば、プルラナーゼ、イソアミラーゼなど)などの1種以上を用いると、糖転移効率が向上するので、好適である。
より好適な例示として、原料澱粉の液化後、β−アミラーゼとトランスグルコシダーゼを使用する方法が挙げられ、このときに枝切酵素も使用することも可能である。
原料澱粉は、主にトウモロコシ澱粉(例えば、コーンスターチ)を原料とするのが好適であるが、小麦粉澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉などその他の原料澱粉を1種以上用いることもできる。
酸加水分解としては、塩酸、硫酸などの無機酸や酢酸など有機酸を使用し、pH2〜5にて20〜100℃で適宜反応させればよい。
前記酵素反応条件(例えば、反応pH、反応温度など)は、使用する酵素や目的とする生成物に応じて適宜調整すればよい。
得られた糖化液や糖組成物などをさらに分離精製する際に、ろ過、活性炭による脱色、イオン交換樹脂による脱塩、濃縮を適宜行えばよい。さらに、クロマト分離により分画して目的とする分岐オリゴ糖の含有量を高めることもできる。
原料澱粉(好適にはコーンスターチ)20〜40質量%(好適には30質量%)の懸濁液をpH5〜6.5(好適には6)とした後、α−アミラーゼを添加して100〜110℃(好適には105℃)に5〜15分間(好適には10分間)加熱処理して得た澱粉液化液を60℃程度に冷却し、β−アミラーゼとトランスグルコシダーゼを添加し、55〜65℃(好適には60℃)で反応させることにより本開示の分岐オリゴ糖を含有する糖組成物を調製する。さらに、クロマト分離により単糖を除去して本開示の分岐オリゴ糖高含有シラップを調製することも可能である。
前記斯様に得られる分岐オリゴ糖を含む糖組成物は、より具体的にはパノース 5〜35質量%、好適には25〜35質量%含むものが好ましく、また4糖の分岐オリゴ糖 1〜20質量%、好適には6〜18質量%含むものが好ましい。
すなわち、前記3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を有効成分とする酸敗臭抑制剤であって、この酸敗臭抑制剤を、食物に、3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させるように使用することが可能である。
前記酸敗臭抑制剤は、前記3糖以上の分岐オリゴ糖の他、必要に応じて、無機塩、酸、アミノ酸類、核酸、糖類、天然調味料、香辛料、賦形剤などの飲食品に使用可能な添加物を含有させて製造することが可能である。なお、前記酸敗臭抑制剤の状態は、液状・固形状の何れでもよい。
前記該低水分量の油脂含有食品は、食味や外観も良く、長期間保存(特に夏場を経るような保存)でも酸敗臭を抑制することが可能な食品である。そして、一定保存期間の品質が維持されるので商品ロスが少なく、また、低水分含量の油脂含有食品の製造工程で前記糖組成物を食物に前記特定量となるよう含有させればよいので、作業の簡便さの点や製造コストの点からも有利である。
るものではない。
糖組成物1、糖組成物2、糖組成物3、パノース(株式会社林原生物化学研究所)、イソマルトトリオース(株式会社林原生物化学研究所)。
砂糖(三井製糖株式会社)、ブドウ糖(昭和産業株式会社)、マルトース(和光純薬工業株式会社)、イソマルトース(株式会社林原生物化学研究所)、マルトトリオース(和光純薬工業株式会社)。
各糖質の3糖以上の分岐オリゴ糖の含有量及び状態は表2に示す。
実施例5に使用した糖組成物3は、前記糖組成物1と同様の方法で調製した澱粉液化液を60℃程度に冷却し、β−アミラーゼとトランスグルコシダーゼを添加して糖化反応を行い、DEが70の糖化液を得た。さらに、活性炭・イオン精製処理後、濃縮し、クロマト分離装置に供して単糖を除去して調製した。
以下の配合(表1)でバッター液を調整した。天ぷら粉は金天ぷら粉(昭和産業株式会社製)を用い、シラップは、固形分75質量%のものを用いた。バッター液を菜種油(昭和キャノーラ油)にて180℃、1分間油ちょうして揚玉を作成した。遠心脱油機で1500rpmで1分間脱油後、25℃で6ヶ月保存後に、油脂の酸敗臭の強さを官能評価(表3)した。この官能評価の結果(n=20の平均得点)を以下の表2に示す。
なお、これらの揚げ玉の油脂含有量は49.5〜50.5重量%の間であった。このときの測定方法は、基準油脂分析法:1.5-1996(ソックスレー抽出法)に準拠して行った。
糖質を添加することにより揚げ玉からの酸敗臭の発生はある程度は抑制されるが、比較例1〜5の糖質の場合、必ずしも効果は充分ではなかった。具体的には、マルトースやマルトトリオースのようなα−1,4結合のオリゴ糖では酸敗臭の抑制効果は低かった。
これに対し、実施例1、2及び5の糖組成物1〜3(3糖以上の分岐オリゴ糖)、パノース(実施例3)、イソマルトトリオース(実施例4)を添加すると、長期間保存でも、揚げ玉からの酸敗臭の発生を十分に抑制することができた。この中でも実施例1の糖組成物は最も酸敗臭抑制効果が高かった。
また、ブドウ糖にもある程度の酸敗臭の発生抑制効果が見られたが、揚げ玉に着色やこげた臭い、苦味などが発生してしまい、外観や食味に悪影響をおよぼし、好ましくなかった。
この結果より、3糖以上の分岐オリゴ糖を多く含むみ、かつ、4糖の分岐オリゴ糖を含む糖組成物に酸敗臭の発生抑制効果が高く、こげや苦味の発生が少ないことが分かった。
上述の糖組成物1を、ゲル濾過クロマトグラフィー(セファデックスG‐25 GEヘルスケア)にて、1〜2糖の画分1(比較例6)、3糖分岐オリゴ糖の画分2(実施例6)、4糖分岐オリゴ糖の画分3(実施例7)で、分画した。
各画分を用いて上述の試験例1に準拠して揚げ玉を作成し、評価した。また、3糖分岐オリゴ糖の画分2と4糖分岐オリゴ糖の画分3を固形分で半量ずつ(具体的には、0.5質量%ずつ合計1%)となるように添加した揚げ玉を作成し、同時に評価した(実施例8)。これらの揚げ玉の油脂含有量は49.5〜50.5重量%の間であった。官能評価の結果(n=20の平均得点)を表4に示す。
3糖の分岐オリゴ糖と4糖の分岐オリゴ糖の各オリゴ糖において酸敗臭の発生抑制効果が見られ、特に4糖分岐オリゴ糖の画分3に顕著に酸敗臭の発生抑制効果が見られた。また、3糖分岐オリゴ糖の画分2と4糖分岐オリゴ糖の画分3を固形分で半量ずつ添加した実施例8においては、更に相乗的に酸敗臭の発生抑制効果が高まる事が分かった。
すなわち、酸敗臭の発生抑制には3糖以上の分岐オリゴ糖を含む糖粗製物に効果があり、特に4糖の分岐オリゴ糖の酸敗臭の発生抑制効果が著しく高く、更には3糖分岐オリゴ糖と4糖分岐オリゴ糖を併用することで相乗的にその効果が高まった。
試験例1に準拠して、揚玉を調製した。
試験糖質として上述の糖組成物1を用い、添加量を固形分として0質量%(比較例7)、0.1質量%(実施例9)、0.5質量%(実施例10)、1.0質量%(実施例11)、3.0質量%(実施例12)、5.0質量%(実施例13)、7.0質量%(比較例8)とした。試験糖質と天ぷら粉の配合(水を添加していない状態)は表5に示すとおりとし、各試験区のバッター液の総重量が260gとなるよう水を加えて調整した。これらの揚げ玉の油脂含有量は49.5〜50.5重量%の間であった。官能評価の結果(n=20の平均得点)を表5に示す。
上述の糖組成物1を0.1質量%添加すると酸敗臭の抑制効果が得られた。7質量%添加することでコゲが発生してしまい食品として食味及び外観が好ましくなかった。
すなわち、3糖以上の分岐オリゴ糖を含有する糖組成物の添加量は、固形分として7質量%未満にするのが望ましく、特にコゲ臭の発生と酸敗臭の抑制のバランスを考慮すると、固形分として0.1質量%〜5質量%が好ましかった。
小麦粉40質量部、でん粉5質量部、〔実施例1の糖組成物1〕 0.4質量部(水以外の原料中の固形分0.65質量%)、重曹0.5質量部、水55質量部を混合し、バッター生地を作製した。バッターを円形に成形し、約180℃の食用油にて10分間フライし、含水率が5%の乾燥天ぷらを得た。フライ直後に醤油を吹き付けて、回転数300rpmで30秒間遠心分離脱油を行うことにより、味付けされた乾燥天ぷらを得た(油脂含有量50質量%)。得られた乾燥天ぷらを30℃6ヶ月保存し、風味について官能評価を行った。その結果、実施例1の糖組成物1を添加した乾燥天ぷらは、油脂の劣化臭が抑制され、香ばしい風味が残っていた。
即席麺用準強力粉(昭和産業株式会社製)200質量部に対して、〔実施例1の糖組成物1〕 1質量部(水以外の原料中の固形分0.38質量%)添加して、ミキシング、圧延した後、幅1.5mmに切り出した。蒸し器で2分間蒸した後、パーム油(植田製油株式会社製)で150℃2分間フライして即席麺(油脂含有量15質量%)を製造した。対象として実施例1の糖組成物1を添加しないフライ麺も同様に試作した。それぞれの試験区を30℃で6ヶ月保存後、お湯で戻して、官能により酸敗臭の有無を評価した。その結果、実施例1の糖組成物1を添加したフライ麺は、添加していないフライ麺に比べて、油脂の酸化劣化臭が抑えられていた。
うるち粉99質量部に対して、〔実施例1の糖組成物1〕 1質量部(水以外の原料中の固形分0.75質量%)を混合し更に20質量%となるように加水した後、蒸練機でアルファー化して生地を作った。生地を冷却した後、圧延、型抜きし、70℃の熱風で水分20質量%までに乾燥した。更に乾燥した生地を室温で15時間寝かせた後、70℃の熱風で水分10質量%まで乾燥した。乾燥生地を菜種油(昭和キャノーラ:昭和産業株式会社製)で200℃5分間フライして揚げ煎餅(油脂含有量30質量%)とした。対象として実施例1の糖組成物1を添加しない生地も作成し同様にフライした。得られた揚げ煎餅を30℃6ヶ月間保存して、風味について官能評価を行った。実施例1の糖組成物1を添加した揚げ煎餅は油脂の酸化臭の発生が抑えられていた。
小麦粉150質量部、ラード30質量部、砂糖54質量部、〔実施例1の糖組成物1〕 8質量部(水以外の原料中の固形分2.80質量%)、食塩0.75質量部、重曹0.75質量部、炭酸アンモニウム0.75質量部、さらに水28質量部を混合し生地を作製した。180℃で15分焼成後、クッキー(油脂含有量13質量%)を30℃で2ヶ月保存した。風味について官能評価を行った。実施例1の糖組成物1を添加したクッキーは、色、風味ともに良好で、油脂の劣化臭の発生が抑えられ香ばしい香りが残っていた。なお、糖質無添加のクッキーでは、30℃で18日の保存により油脂の酸化臭が発生した。
コーングリッツ88.5重量部、コーン油10.0重量部、〔実施例1の糖組成物1〕 1質量部(水以外の原料中の固形分0.74質量%)、食塩0.5重量部を混合し、さらに最終的に水分13%となるように加水して生地を調製した。得られた生地を株式会社スエヒロEPM製2軸エクストルーダー(EA−20)を使用してパフスナックを製造した。得られたパフスナック(油脂含有量10質量%)を30℃6ヶ月保存後して風味について官能評価を行った。
実施例1の糖組成物1を添加したパフスナックは油脂の酸化臭が抑えられ、風味が良好であった。
10.0kgのじゃがいもをスライサーで薄切りにし、〔実施例1の糖組成物1〕の3質量%水溶液に漬けて10分間置いて、水分を十分切ったところ10.5kgであった。100℃で10分間処理し、表面を乾燥した。この時、〔実施例1の糖組成物1〕はジャガイモ中に固形分として0.15質量%含まれていた。180℃の菜種油の中にいれて3分間熱し、熱いうちに調味料で味付けしてポテトチップを得た(油脂含有量35重量%)。ポテトチップを密封容器に入れ、30℃で6ヶ月保存したが油脂の酸化臭の発生が抑えられていた。
〔1〕 食物に含有させることにより水分活性0.5以下の油脂含有食品の酸敗臭を抑制する方法であって、食物に3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させることを特徴とする酸敗臭抑制方法。
〔2〕 前記糖組成物が、4糖の分岐オリゴ糖及び/又は3糖の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含むものである前記〔1〕記載の酸敗臭抑制方法。
〔3〕前記糖組成物が、4糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り10質量%以上含む糖組成物である前記〔1〕又は〔2〕記載の酸敗臭抑制方法。
〔4〕 前記糖組成物が、パノースを固形分当り25質量%以上含む糖組成物である前記〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載の酸敗臭抑制方法。
〔5〕 食物に、3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させ、加熱処理して得られる、水分活性0.5以下の油脂含有食品の製造方法。
〔6〕 前記糖組成物が、4糖の分岐オリゴ糖及び/又は3糖の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含むものである前記〔5〕記載の水分活性0.5以下の油脂含有食品の製造方法。好適には、前記〔1〕〜〔5〕記載の糖組成物を用いる製造方法。
〔7〕 食物に含有させることにより水分活性0.5以下の油脂含有食品の酸敗臭を抑制する剤であって、食物に3糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り25質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させるように用いることを特徴とする、前記糖組成物を有効成分とする酸敗臭抑制剤。好適には、前記〔1〕〜〔5〕記載の糖組成物を用いる剤。
Claims (3)
- 食物に含有させることにより水分活性0.5以下の油脂含有食品の酸敗臭を抑制する方法であって、食物に3糖の分岐オリゴ糖及び4糖の分岐オリゴ糖を固形分当り合計20質量%以上含む糖組成物を7質量%未満含有させることを特徴とする酸敗臭抑制方法。
- 前記糖組成物が、4糖以上の分岐オリゴ糖を固形分当り10質量%以上含む糖組成物である請求項1記載の酸敗臭抑制方法。
- 前記糖組成物が、パノースを固形分当り25質量%以上含む糖組成物である請求項1又は2記載の酸敗臭抑制方法。
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