JP4098815B2 - 高栄養価α化加工米 - Google Patents

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Description

この発明は、玄米又は搗精白米に動植物の栄養粉末、植物性栄養液や植物油を付着、含浸させてα化加工処理をし、栄養価の高い米として加工した高栄養価α化加工米に関する。
一般の米市場で提供される米種類として、玄米及び搗精白米の通常の米以外にも無洗米、早炊き米と呼ばれるものや、加工即席米飯、α化加工米など種々のものがある。無洗米は単に予め洗米処理されているだけで、α化されていない通常の米に属し、無洗であっても水への浸漬等は必要である。早炊き米は、半炊飯してある程度のα化をし、一定の水分率を保って気密包装し、炊飯時間を短縮させただけのものが多く、長期保存ができない。加工即席米飯は、完全に炊飯されたご飯で、炊き上ったものを急速凍結したものである。
これに対しα化加工米は、予め加熱して90%以上の高いα化度とし、真空減圧により冷却乾燥処理をしたものであり、単に一定量の水を加えるだけで通常の半分程度の短時間で簡単に研がずに炊飯でき、又食味の均一化された美味しいご飯となり、長期保存も可能である等種々の長所を有する。このようなα化加工米を得る方法及び装置の一例として特許文献1により開示されたものが知られている。この特許文献1による方法及び装置では、気密性容器内でマイクロ波照射により加熱が行なわれ、含水量が20〜40%の範囲に調整される。
他の例として、特許文献2による「早炊き用加工米の製造方法」も知られている。この特許文献2の早炊き用加工米は、半炊飯された早炊き米ではなく、いわゆるα化加工米の一種であり、α化は90%以上である。この方法では、マイクロ波加熱、真空冷却で水分を20〜25%とする一次加工の後、澱粉分解物質を含む溶液に浸漬、脱水し、その後再度マイクロ波加熱で水分を30〜50%とする二次加工が行なわれ、二次加工により含まれる水分を不活性水分として長期保存を可能とするというものである。
特開平5−56760号公報 特開平11−56267号公報 特開2000−245364号公報
ところで、α化加工米は他の加工米と比較すると、水洗(水研)が不用、水を加えるだけで食味、風味のよい炊飯が通常の半分程の短い時間で出来、長期保存も可能である等消費者にとって極めて便利で魅力のある加工米飯商品として市場で販売されている。しかし、かかる従来のα化加工米は、従来の一般的な処理方法と同様に、加工の初期の段階で必ず水洗いをした後水の中に浸漬している。これは、次のような理由による。
搗精された精白米は、搗精によって殻皮と糊粉層(いわゆる糠分)の98%以上が研削され、精白度38〜41の精白米とされるが、糊粉層の一部が極く少量残り、この部分の脂肪と蛋白質が古くなると腐敗する酸化現象が生じ、炊飯によって脂肪を分解できないため美味しく炊き上がらない。このため、炊飯する最初の段階で上記糊粉層を水洗により出来るだけ除去することは勿論、α化加工の処理をする場合でも加工の初期の段階でできるだけ糊粉層を水洗により予め除去する必要があると考えられているからである。従って、一般的には精白米は搗精後10日位までは食味もよいが、その後は20日、30日と期間が経過するにつれて食味が大きく劣化することとなる。
このように酸化腐敗した脂肪と蛋白質を付着したままでは食味が劣化する。しかし、搗精後糊粉層が硬化しても加熱により分解できれば食味への影響は小さくなり、従って糊粉層は必ずしも除去する必要はないが、従来は水洗いによって必ず除去するようにしている。
α化加工米のねらいは上述した種々の利点を得るにあるが、一方無洗米などの加工米では食味は勿論であるが、同時に栄養価の高い加工米とする試みも行なわれている。このような加工米の一例として特許文献3による加工米製造方法及び装置が公知である。この特許文献3の方法では予め搗精後の精白米の表面に残留する糊粉層(残留アリューロン層)を除去した無洗米の米粒の表面にカルシウム、マグネシウム、鉄分、ビタミンのうち少なくとも1種類の栄養素を含む白糠を被覆して栄養価の高い加工米を得るようにしている。
しかし、上記加工米はあくまでα化加工されていない無洗米についてその表面に白糠を付着させただけのものであり、α化加工米としての利便性はなく、炊飯時間が長い、長期保存ができない、又製造過程では水洗いを必ず必要とするなどの種々の問題を含んだままであり、栄養成分が付着された無洗米であるというだけである。又、α化加工米については加工処理工程が無洗米と全く異なるため、α化加工米に対し栄養価の高いα化加工米を得る試みとしての提案はなされたことがない。
又、前述したようにα化加工の処理をする場合、処理工程の初期段階では水洗した後水に浸漬するのが一般的であるが、α化加工される米の量が多くなれば、処理工場における水の使用量は1日当り数百トンという大量の水が使用されることとなり、水を大量消費する点及びこれによる処理経費の増大という大きな問題があり、かつこの処理後の水を外部へどのように浄化処理して排出するかも問題となる。
この発明は、上述した種々の問題に留意して、加工工程では水で研ぐことなく、かつ炊飯の際も水で研ぐことなく単に水を加えるだけで簡単に通常の半分程度の短い時間で美味しいご飯となり、かつ長期保存もできるというα化加工米の長所を有しながら、しかも動植物の栄養成分、栄養液及び油を含み、かつα化加工された高栄養価α化加工米を提供することを課題とする。
この発明は、上記の課題を解決する手段として、玄米又は搗精白米の原料米を研磨して玄米表層セルロース又は白米表面糠を除去した米粒の表面に動植物の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油のうちの少なくとも1つの栄養成分を、適量の水とともに加えて混合し、栄養粉末、栄養液及び植物油の少なくとも1つの栄養成分を付着させ、その原料米に気密性の加熱室内でマイクロ波照射による加熱と米粒からの水分の蒸発による蒸らし作用で米粒をα化させ、この加熱で米粒を膨らましてその表面に微細孔、微細クラックを生じさせてこの加熱で生じる米粒内からの水分の蒸気で溶解した栄養成分を米粒内に含浸させ、減圧処理による冷却乾燥で前記微細孔、微細クラックを閉じて栄養成分を米粒内に閉じ込め、所定範囲の水分量を含むように加工した高栄養価α化加工米としたのである。
前記高栄養価α化加工米に対して、動植物の栄養粉末として、動物の肉、魚介類の身、野菜、果物、茸類の少なくとも1つを微細な粉末状として用いたものとすることができる。
上記の高栄養価α化加工米を得る加工方法として、玄米又は搗精白米を含む所定量の原料米を研磨して玄米表層のセルロース又は白米表面の糠を取り除き、この原料米に動植物の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油又はそのいずれか若しくはそのいくつかに適量の水を加えて混合し、さらに真空攪拌することにより原料米の周囲にむらなく付着させ、上記原料米に気密性の加熱室内でマイクロ波を照射して加熱し、加熱による米粒からの水分の蒸気で溶解した栄養粉末、栄養液、油の栄養成分を米粒内に含浸させ、さらにこの加熱米を真空容器に移し、所定の減圧処理をして冷却乾燥させ、この冷却加工により栄養成分を米粒内に閉じ込め、所定範囲の含水量に調整することから成る高栄養価α化加工米の加工方法を採用することが出来る。
又、その方法を実施する装置として、玄米又は搗精白米を含む原料米を研磨して玄米表層のセルロース又は白米表面の糠を取り除く研米機と、研磨された原料米に動植物の栄養粉末、植物性栄養液及び植物性の油又はそのいくつかと適量の水を混合して栄養成分を付着させる混合機と、これら栄養成分をさらに真空状態で原料米と攪拌して原料米の周囲にむらなく吸着させる真空攪拌機とを備え、上記原料米を加熱室に入れてマイクロ波を照射し、加熱された米粒からの水分の蒸気で溶解した栄養粉末、栄養液及び油の栄養成分を含浸させ、真空容器に移して所定の減圧をし、この減圧により冷却乾燥させるα化加工手段により栄養成分を米粒内に閉じ込め、所定範囲の含水量に調整する構成とした高栄養価α化加工米の加工装置とすることができる。
上記のように構成した加工方法及び装置では、原料米の研磨と栄養成分を付着させる前処理と、マイクロ波照射と減圧による冷却乾燥でα化加工米とする処理が行なわれ、上記α化加工処理をする際に栄養成分を米粒内に含浸させる処理をも加えて高栄養価米のα化加工米が得られる。この加工方法では、水による洗米及び水への浸漬は省略される。玄米表層のセルロースや米粒表面の糊粉層(いわゆる糠成分)を水研ぎにより除去することなく、又米粒を水に浸漬することもなくセルロース又は糠成分に含まれる糖分、油脂などを殆ど研磨により除去するからである。従って、この加工方法はドライ加工方式である。
前処理工程では、まず原料米の玄米又は白米に対し米粒表面に動植物成分などの栄養成分、栄養液、植物油、味などを絡み易くするための表面処理として研磨処理が行われる。一般に米には13.5%〜15%の水分が含まれ、玄米の乾燥度、古米、古古米、モチ米、破砕米などの米の処理、経過状態や種類等によって含水率はそれぞれ異なるが、搗精処理された精白米は一般に14.5%〜15%の含水率の状態で出荷される。従って、後工程のα化加工処理をする際に加熱により水分が蒸発し、消失する分は、別途α化加工処理の前に最小限必要量の水を加えればよく、前処理工程の段階で必ず水分を加えなければならないというものではない。
研磨処理では、例えばスクリュー式の研磨機などで玄米のセルロース又は白米の糊粉層を可能な限り取り除く。但し、玄米/白米の米粒の表面には微細な多数の筋などがあるため、その筋に沿って若干残留するものなど100%除去することは困難である。しかし、微量に残留する糊粉層等に含まれる糖分、油脂などの米味成分は後のα化加工で米粒内部に吸収されるから、若干残留分が残ってもよい。そして、この原料米に動植物性の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油又はそのいずれか若しくはそのいくつかが水と共に混合される。水の量は後工程のα化加工処理で失われる水分に相当する量であり、水を加えないままではα化加工の際にマイクロ波による加熱で加熱むらが生じ、均一な加熱処理が妨げられるのを防止するのに必要とされる。
上記混合処理は栄養成分を原料米の表面に粗く付着からませる処理であり、粗処理工程である。次に、上記原料米と栄養成分と水を混合したものをさらに真空(減圧)攪拌して、原料米の周囲に栄養成分をむらなく付着させる。なお、栄養成分に水を加えて混合してさらに真空撹拌する段階では加えられた水は米粒にほぼ全量吸収される量である。ここで、動植物性の栄養粉末は予め動物の肉や魚貝類の身、あるいは野菜や果物を乾燥させて細かく破砕し、粒径が80〜200メッシュ程度の粒子状に粉砕されたものが準備され、原料米に付着される。栄養液は青汁、緑茶などである。これらの栄養粉末、栄養液、植物油には、澱粉、蛋白質、脂質、炭水化物(糖類)、ビタミン、及びカルシウム、マグネシウム、鉄などの種々のミネラル成分などが含まれており、特に食生活で不足気味となる特定のビタミンのエキスを多く含ませてもよい。
上記のように栄養粉末、栄養液及び植物油を米粒の周囲にまんべんなく付着させた状態で直ちに原料米は加熱室に入れられる。この加熱室には気密性の容器が用いられる。加熱室の原料米にマイクロ波を照射すると、米粒内部に含まれる水分も加熱され3〜5%の水分が蒸気として蒸発し、この水蒸気が同時に加湿蒸らしの作用もする。上記マイクロ波照射による加熱と加湿蒸らし作用を所定時間行なっている間の一定時間、90%以上の高いα化度となる品温に保持することにより米粒内部のα化が行なわれる。これにより米粒の糊粉層(糠部)の脂肪と蛋白質が分解され、このため脂肪の酸化による劣化が生じなくなる。又、同時に米粒周囲に付着している栄養成分、油も水蒸気で分解される。
マイクロ波の照射は、加熱室内の原料米をマイクロ波の有効加熱距離内に置き、その距離内の所定厚さの円盤状にして加熱が行なわれる。マイクロ波加熱では米粒内部の水分に反応して内部から急速に加熱されるため、均一な加熱が行なわれる。このマイクロ波加熱の際、米粒は熱で少しずつ膨らみ、その表面に微細孔、微細クラックが生じて大きくなり、水蒸気で分解された糊粉層の脂肪、蛋白質は勿論、栄養成分、油の分解された成分も、外部へ出た水分に代って米粒内に吸収される。
次に、このように糊粉層の脂肪、蛋白質や栄養成分、油脂の分解された成分を内部に吸収した高温状態の米は真空容器へ移され、そこで急激に減圧が行なわれ、これにより急速冷却される。所定の低圧状態では脂質酸化成分のアルデヒド類などが気化されて排出され、米粒の温度が急速に下がり冷却される。この冷却により栄養成分の多くは米粒内にさらに吸収されて微細孔、微細クラックが閉じ、米粒は半固形化され、α化加工された栄養価の高い高栄養価α化加工米が得られる。
以上、詳細に説明したように、この発明の高栄養価α化加工米は、玄米又は搗精白米を含む所定量の原料米を研磨して玄米表層のセルロース又は白米表面の糠を取り除き、この原料米に動植物の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油のうちの少なくとも1つを、適量の水とともに加えて混合し、さらに真空攪拌することにより原料米の周囲にむらなく付着させ、上記原料米に気密性の加熱室内でマイクロ波を照射して加熱し、加熱による米粒からの水分の蒸気で溶解した栄養粉末、栄養液、油の栄養成分を米粒内に含浸させ、さらにこの加熱米を真空容器に移し、所定の減圧処理をして冷却乾燥させ、この冷却加工により栄養成分を米粒内に閉じ込め、所定範囲の含水量に調整することにより得られる高栄養価加工米としたから、これを炊飯する際に水研ぎすることなく単に水を加えるだけで、短時間で美味しいご飯となり、かつ長期保存もできるというα化加工米の長所を有し、かつ栄養価の高い高栄養価α化加工米を提供することができるという利点が得られる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1はこの発明による高栄養価α化加工米の加工方法を実施する装置の全体概略構成図、図2はその平面図を示す。図示のように、玄米又は搗精された精白米等の原料米は、適宜混米して所定量の原料米を切り出す切出機構を備えた貯米サイロ1に一時貯留される。C1 、C2 は貯米サイロ1から原料米を搬出するコンベアである。搬出された原料米は、研米機2において研磨され、玄米であれば表層のセルロース、白米では糊粉層(糠)が除去され、所定量が定量容器3に収容され、コンベアC3 により次の工程へ運ばれる。なお、研米機2の詳細については後で説明する。
搬送された定量容器3内の原料米は混合機4に投入され、ここで糠成分が除去された原料米には、動植物性の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油とさらに水とが混合され、コンベアC4 により次の工程の真空攪拌機5へ移される。図4に真空攪拌機5の概略構成を示す。5aは真空タンク、5bは回転ドラム、5cは扉、5dは図示しない真空ポンプへの接続管、5eは真空メータ、5M はモータである。この真空攪拌機5へは上記の原料米と栄養成分、水などの混合物がドラム5b内に投入され、扉5cを閉じて回転ドラム5bをモータ5M で回転させて攪拌され、栄養粉末等が付着される。
栄養粉末、栄養液及び油、味を付着された原料米は加熱容器6で加熱された後、マイクロ波照射器により加熱する電磁加熱室7へ送られ、ここでマイクロ波の照射により加熱蒸煮と蒸らしにより原料米のα化(微泡発泡化)をしながら原料米に付着した栄養成分を米内部に浸透させる。使用されるマイクロ波照射器は、複数のマイクロ波発振器から成り、例えば発振周波数2450MHz、出力1.2kwのものが使用される。その後、原料米は真空冷却室8へ送られ、そこで減圧して真空冷却され、半固形状の加工米とされる。
5 は次の工程へ加工米を送るコンベアであり、加工米はほぐし機9へ送られる。このほぐし機9では、加工米が真空冷却されたときに流出する澱粉が加工米の表面を包み、糊化し硬化して米粒と米粒が部分的に粘着されるため、これをばらばらにほぐす作業が行なわれる。C6 は次工程へ加工米を送るコンベアであり、送られた加工米が計量機10で計量され、その後自動包装機11で袋詰めされ、自動包装された加工米をコンベアC7 で箱詰め機12へ送り、箱詰めされる。
図3に研米機の概略構成を示す。研米機2は、(a)図に示すように、ケーシング20内に上方のホッパ21に続く原料米供給路23にスクリュー形式の供給ロール24の2組を互いに平行に配置してモータ24M の駆動により供給ロール24を駆動して、ホッパ21から流量調整ロール22により落下する原料米の流量を調整するから、原料米を所定の供給速度で送り、下段に設けた研米スクリュー25でモータ25M の駆動により供給ロールの送り方向と反対方向へ原料米を送りながらスクリュー外面の多数の刃物エッジで研磨し、研磨された原料米は排出路2L から外部へ排出されるように構成されている。
研米スクリュー25の刃物エッジで研磨されて落下する玄米の表層のセルロース又は白米表面の糠は、研米スクリュー25の下部の分離スクリーン26から落下し糠室27に貯留される。分離スクリーン26は、原料米は落下しないが除去されて細片状に破砕された糠片は落下する程のサイズのメッシュに設定されており、糠片を捕捉するために設けられている。糠室27は糠を落下させるために負圧室として形成されており、フィルタ(F)28を介して吸引ブロア29をモータ29M で駆動して吸引圧を付与し、排気は排気路30を介して行なうようになっている。31は研米スクリュー25の駆動モータの負荷を調整する調整ダイヤルである。
上記のように構成した実施形態の加工装置では、次のように加工処理が行なわれる。以下の加工処理の工程を理解し易くするため図5のフローチャートに工程の流れを示している。なお、原料米としては玄米と搗精白米のいずれも含まれるが、以下では主として搗精白米を処理する場合について説明する。玄米の場合も搗精白米の場合に準じて処理される。
貯米サイロ1から移送される原料米は、洗米することなく、又水に浸漬することもなく、直ちに研米機2へ送られ、ここで白米表面の糠を取り除く。研米機2では、一般の無洗米、加工米であれば水洗いで除去される糠成分に相当する量の糠が除去され、米粒表面を水、動植物性の栄養粉末、栄養液、植物油、味などを絡み易くするように表面処理される。原料米の搗精白米は、搗精されて出荷される際の含水率は14〜15%であるが、研米機2で研磨しただけでは白米の含水率は変化しない。
研米機2から排出される量は5〜10Kg程度(一般に一釜分として扱われる量)の設定量で定量容器3に収容され、混合機4へ送られる。混合機4では、動植物性の栄養粉末、植物性栄養液や植物油などと共に所定量の水を定量容器3からの定量分の原料米に加えて混合される。この混合処理は、原料米と水と栄養粉末等をかき混ぜるだけであり、大まかに原料米の米粒表面に栄養粉末等をからませて付着させる粗処理工程である。なお、上記所定量の水は、例えば5kgの白米に対しては300cc程度であり、その全量が米粒に混合の処理過程で吸収される量である。
次に、真空攪拌機5では動植物性の栄養粉末、植物性の栄養液(エキス)及び植物油又はそのいくつかが攪拌され、米粒の外周にむらなく付着される。なお、この真空攪拌機5では、例えば真空圧として700〜730mmHgの真空状態に設定され、攪拌が行なわれる。この真空処理によって米粒内の水分が外へ出て、米粒外周に付着又は存在している栄養成分等と攪拌混合され、所定時間の攪拌終了後真空攪拌機5の蓋を開放すると、内部が大気圧に戻る際に再び米粒は水分が内部に吸収されるため、米粒外周にさらにむらなく栄養成分等が吸着されるのである。
上記動植物性の栄養粉末は、動物の肉、魚貝類の身、野菜、果物、茸等の食物を予め粒状に粒径80〜200メッシュ程度に微細に粉砕処理し、かつ乾燥させて粉末状としたものである。従って、この栄養粉末には蛋白質、脂肪、澱粉、ビタミン、ミネラル等あらゆる栄養素材が含まれている。
例えば、緑黄色野菜等はカロチン、ビタミンA、ビタミンC、ポリフェノール、ミネラル等を多く含み、動物の肉や魚貝類の身はタンパク質、脂質、ビタミンB、カルシウムを含み、植物油は脂質、ビタミンB1などを多く含む。なお、植物油としては、アボカド油、パーム油、オリーブ油、サフラワ油など植物から得られる全ての油が対象である。又、植物性栄養液は緑黄野菜汁、果実汁、海草汁等であり、野菜汁として青汁、緑茶、あるいはカボチャ、ニンジン等の液汁、海草汁としての明日葉、桑葉、ウコン、大麦若葉が含まれる。従って、これらの栄養粉末、植物性栄養液及び植物油、味は、どのような割合で混合するか、又どれだけの量を混合するかは任意である。
上記原料米は加熱容器6で予熱され、電磁加熱室7でマイクロ波が照射されるが、このときマイクロ波の有効加熱距離は図示の例ではマイクロ波発振器から約200mm以内であり、均一に加熱するため予め原料米は厚さ70〜90mm程度の円盤状に盛り上げた状態で有効加熱距離内となるように電磁加熱室7内に置かれている。マイクロ波が照射されて加熱されると米粒内の水分が蒸気となって外へ出、この蒸気で粉末が溶けて流動状となった栄養成分が米粒の中へ浸透する。マイクロ波加熱では米粒の周囲表面はもとより内部の温度も十分高くなり、このため米粒内部へ栄養成分が浸透し易くなるからである。
米粒から出る水蒸気は、又蒸らし作用もする。従って、このマイクロ波照射による加熱と蒸らし作用により110℃以上の品温とし、90%以上のα化度の加工が行なわれる。この加熱、蒸らしにより米粒の糊粉層の脂肪と蛋白質が分解されるため、最初の段階で精白米を水洗いしなくてもα化加工には影響がなく、脂肪の酸化による食味の劣化は生じない。なお、水蒸気の蒸発で3〜5%の水蒸気が放出される。マイクロ波加熱は8〜12分間の範囲で行い、3〜5分間原料米の品温を110℃前後の温度に保持し均一に蒸煮されると、その後マイクロ波加熱を停止して2〜3分間蒸らしをする。蒸らしは、上記米粒内からの水蒸気による。この蒸らしの工程で温度が100℃に下がった原料米を真空冷却室8へ移す。
真空冷却室8では室内の空気、水蒸気を吸引ポンプにより排出して急速減圧すると、超低圧下での沸点まで冷却され、米粒の内部まで急激に沸騰状態となり、米粒内の水分が気化して放出される。例えば、大気圧(1気圧)下で脂質酸化成分のアルデヒド類の多くは沸点は179℃であるが、気圧を下げ1.3×103 Pa(10Torr)の低気圧とすると62℃で沸騰する。従って、脂質酸化成分の多くは気圧を下げることにより蒸発し、外部へ除去することができる。この時、同時に米粒の表面に微細孔、微細クラックが発生し、米粒の表面に付着している栄養成分がさらに内部へ浸透した状態でクラックが閉じて冷却加工され、この加工米は半固形状となる。
以上のようなドライ方式のα化加工処理では、真空撹拌機における減圧撹拌、大気圧への戻し、電磁加熱室内でのマイクロ波照射による加熱、真空冷却室での急速冷却が繰り返される度に水分が米粒内、外へ出入りし、マイクロ波照射による加熱では水分が急速に蒸発する。このため、急速冷却後の米粒は、栄養成分を混合しない状態で同じドライ方式のα化加工処理をした場合には、米粒表面に多数のクラックが生じる。
又、発泡状の多数の微細孔を有する表面となり、通常の白米表面が半透明白色であるのに対して、この場合は、雪のような白色(発泡スチロールの白色と類似)となる。このことから、米粒内部の組織は、擬似スポンジ化されていると推定される。又、米粒の大きさは、通常のα化加工米より若干小さくなる。このような状態となる微細発泡化加工米(α化加工米の一種)に上記のような加工処理を経て栄養成分が含浸された高栄養価加工米が得られるのである。
なお、栄養成分の含浸はその種類によって表面からある程度の深さから奥深くまで種々異なる。例えば次の通りである。
ウコンのエキス 米粒径全般の1/2以上の深さ
大麦若葉 米粒径全般の表面から0.1〜0.2m/m
明日葉 米粒径全般の表面から0.1m/m
植物油 米粒径全般の3/4以上の深さ
以上の結果から分るように、含浸される栄養成分の分子状態の大きさによって含浸される深さは種々異なる。
上記加工米は、半固形状となる際に米粒同士が互いに粘着(くっつく)しているため、真空冷却室8から取り出された後ほぐし機9で米粒を一粒一粒に分離した状態に十分ほぐし、その後計量機10へ送り、計量後に自動包装機11により加工米を気密包装する。このとき、6〜12箇月の長期保存のため脱酸素材を気密包装袋内に同封して包装をする。さらに、箱詰め機12によりダンボール等の箱に詰めて出荷される。
玄米又は搗精白米の表面を研磨して付着させた栄養成分を米粒内に含浸させたα化加工された高栄養価α化加工米は一般の米流通業を通じて広く消費者全般に利用される。
実施形態のα化加工装置の全体概略構成図 同上の平面図 研米機の概略構成を示す図 真空攪拌機の概略構成を示す図 α化加工工程の順序を示すフローチャート
符号の説明
1 貯米サイロ
2 研米機
3 定量容器
4 混合機
5 真空攪拌機
6 加熱容器
7 電磁加熱室
8 真空冷却室
9 ほぐし機
10 計量機
11 自動包装機
12 箱詰め機

Claims (2)

  1. 玄米又は搗精白米の原料米を研磨して玄米表層セルロース又は白米表面糠を除去した米粒の表面に動植物の栄養粉末、植物性栄養液及び植物油のうちの少なくとも1つの栄養成分を、適量の水とともに加えて混合し、栄養粉末、栄養液及び植物油の少なくとも1つの栄養成分を付着させ、その原料米に気密性の加熱室内でマイクロ波照射による加熱と米粒からの水分の蒸発による蒸らし作用で米粒をα化させ、この加熱で米粒を膨らましてその表面に微細孔、微細クラックを生じさせてこの加熱で生じる米粒内からの水分の蒸気で溶解した栄養成分を米粒内に含浸させ、減圧処理による冷却乾燥で前記微細孔、微細クラックを閉じて栄養成分を米粒内に閉じ込め、所定範囲の水分量を含むように加工した高栄養価α化加工米。
  2. 前記動植物の栄養粉末として、動物の肉、魚介類の身、野菜、果物、茸類の少なくとも1つを微細な粉末状として用いたことを特徴とする請求項1に記載の高栄養価α化加工米。
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