JP5973658B2 - アクリル系樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明はアクリル系樹脂フィルムに関する。より詳細に、本発明は、加飾用フィルムなどとして有用な、耐薬品性および耐水性に優れ、製造コストの低いアクリル系樹脂フィルムに関する。
表面にフィルムを被せることによって外観を美しくする処理、いわゆる加飾処理が、多くの製品において行われている。加飾処理には、インサート成形、インモールド成形、真空成形、真空圧空成形などの方法が用いられている。加飾処理に使用されるフィルムとしてアクリル系樹脂フィルムが知られている。
アクリル系樹脂フィルムとして、例えば、特許文献1には、メタクリル酸メチル50〜99重量%とアクリル酸アルキルエステル50〜1重量%を共重合してなるアクリル系樹脂95〜50重量%と、ゴム弾性層を含む多層構造アクリル系重合体5〜50重量%を分散した樹脂組成物からなるアクリルフィルムまたはシートが開示されている。
特許文献2には、メタクリル酸メチル単位80質量%以上およびこれと共重合可能なビニル系単量体単位20質量%以下からなるメタクリル系樹脂60〜98質量%と、多層構造重合体粒子40〜2質量%と、シリコーン微粒子とからなるメタクリル系樹組成物からなるフィルムまたはシートが開示されている。
特許文献3には、メタクリル酸メチルに由来する単位80質量%以上およびこれに共重合可能なビニル系単量体に由来する単位20質量%以下からなるメタクリル系熱可塑性重合体と、アクリル系多層重合体粒子と、ヒンダードアミン類と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、脂肪酸金属塩類とを含有するメタクリル系樹脂組成物からなるフィルムが開示されている。
特許文献4には、メタクリル酸メチル50質量%以上およびこれと共重合可能なビニル単量体50質量%以下からなるアクリル系熱可塑性重合体と、ゴム含有重合体とを含むアクリル樹脂組成物をTダイから溶融押出し、実質的にバンク(樹脂溜まり)が無い状態で、複数の金属ロール、非金属ロールおよび/または金属ベルトにより挟持することにより、実質的に圧延されることなく面転写させて製膜して成るアクリル樹脂フィルムが開示されている。
また、耐薬品性を改良するために、例えば、外層に硬化樹脂層を設けたフィルム(特許文献5)、ポリマー分子鎖中に(メタ)アクリル酸構造を有する樹脂から成るフィルム(特許文献6、7)、またはイミド化(メタ)アクリル構造を有する樹脂からなるフィルム(特許文献8)が提案されている。
特開平10−279766号公報 特開2004−263034号公報 特開2012−180454号公報 特開2002−3620号公報 特開2008−265062号公報 特開2009−235236号公報 特開2010−236085号公報 特開2010−18720号公報
これら先行技術文献に記載のアクリル系樹脂フィルムは、日焼け止め用のローションやクリーム、虫除け剤などの薬品に対する耐性が劣ったり、耐水性に劣ったり、コスト高になったりする欠点がある。
本発明の目的は、加飾用フィルムなどとして有用な、耐薬品性および耐水性に優れ、製造コストの低いアクリル系樹脂フィルムを提供することである。
メタクリル酸メチル単独重合体は分解しやすく耐熱性が低いと言われている。メタクリル酸メチル単独重合体は溶融粘度が高いので、溶融成形性に劣るとも言われている。また、重合時にダイマーなどが副生し、それらが含まれたままのメタクリル酸メチル単独重合体をフィルム成形すると目やになどの欠点を生じやすいとも言われている。このため、メタクリル酸メチル単独重合体はキャスト重合において実用化されているにすぎない。成形加工用のメタクリル樹脂は、前記特許文献に具体的に開示されているように、メタクリル酸メチル50〜99重量%とアクリル酸アルキルエステル50〜1重量%とを共重合させて製造される。
このような背景技術において、前記目的を達成するために検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
〔1〕メタクリル酸メチル単位が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位が1質量%以下であるアクリル系熱可塑性樹脂成分70〜95質量%と、
架橋ゴム粒子成分5〜30質量%と
を含有する樹脂組成物からなる厚さ20〜300μmのアクリル系樹脂フィルム。
〔2〕アクリル系熱可塑性樹脂成分が、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸アルキルエステル単位とからなる共重合体(C)、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とアクリル酸アルキルエステル単位のみからなる重合体(B)とが混合されたもの、およびメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位からなる共重合体(C)とが混合されたもの、からなる群より選ばれる少なくとも1つである、〔1〕に記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔3〕アクリル系熱可塑性樹脂成分が、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)を少なくとも含有するものであり、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)の含有量が80質量%以上である、〔1〕に記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔4〕メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)は、二重結合含有量が0.02mol%未満で、硫黄含有量が400〜700ppmで、且つトリマー含有量が50ppm以下である、〔3〕に記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔5〕架橋ゴム粒子成分は、その平均粒子径が0.05〜1μmである、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔6〕架橋ゴム粒子成分は、内層の少なくとも1層が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位を主に有する架橋ゴム重合体(I)を含有して成る層で且つ最外層が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位を主に有する熱可塑性重合体(II)を含有して成る層で構成されているアクリル系多層重合体粒子を含有してなるものである、〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔7〕該アクリル系樹脂フィルムが、二軸延伸されたものである〔1〕〜〔6〕のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔8〕アクリル系熱可塑性樹脂成分が、メタクリル酸メチルからなる塊状重合品である、〔1〕〜〔7〕のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
〔9〕メタクリル酸メチル単位が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位が1質量%以下であるアクリル系熱可塑性樹脂成分70〜95質量%と、
架橋ゴム粒子成分5〜30質量%と
を含有する樹脂組成物を、Tダイから押し出し、
次いで、ノンバンクにて厚さ20〜300μmに成形することを含む
〔1〕〜〔8〕のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
〔10〕少なくともメタクリル酸メチルからなる単量体を塊状重合して、アクリル系熱可塑性樹脂成分を得る工程をさらに有する〔9〕に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、耐薬品性および耐水性に優れ、製造コストが低い。本発明のアクリル系樹脂フィルムは、特に、日焼け止め用のローションやクリーム、虫除け剤などの薬品に対する耐性に優れる。本発明のアクリル系樹脂フィルムは、種々の製品の加飾処理に好ましく用いることができる。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、アクリル系熱可塑性樹脂成分と架橋ゴム粒子成分とを含有する樹脂組成物からなるフィルムである。
アクリル系熱可塑性樹脂成分は、メタクリル酸メチル単位の量が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位の量が1質量%以下、好ましくはメタクリル酸メチル単位の量が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位の量が1質量%未満、さらに好ましくはメタクリル酸メチル単位の量が99.2質量%以上且つアクリル酸アルキルエステル単位の量が0.8質量%以下、さらにより好ましくはメタクリル酸メチル単位の量が99.5質量%以上且つアクリル酸アルキルエステル単位の量が0.5質量%以下、最も好ましくはメタクリル酸メチル単位の量が100質量%のものである。
アクリル系熱可塑性樹脂成分は、全体としてメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位の量が前記範囲にある限り、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位が、一つの樹脂重合体に含まれていてもよいし、二つ以上の樹脂重合体に別々に含まれていてもよい。
一つの樹脂重合体にメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位が含まれているアクリル系熱可塑性樹脂成分としては、例えば、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位からなる共重合体(C)が挙げられる。
二つ以上の樹脂重合体にメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位が別々に含まれているアクリル系熱可塑性樹脂成分としては、例えば、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とアクリル酸アルキルエステル単位のみからなる重合体(B)とが混合されたものや、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位からなる共重合体(C)とが混合されたものが挙げられる。
これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂成分は、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)を少なくとも含有するもの、すなわち、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とアクリル酸アルキルエステル単位のみからなる重合体(B)とが混合されたもの、またはメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体(C)とが混合されたものが好ましい。この際、アクリル系熱可塑性樹脂成分にメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)が特定量以上含まれていることが特に好ましい。重合体(A)が特定量以上含まれることによって、耐薬品性が優位に向上するからである。アクリル系熱可塑性樹脂成分に含まれるメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)の量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
アクリル系熱可塑性樹脂成分に含まれるメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位はそれぞれメタクリル酸メチルおよびアクリル酸アルキルエステルが炭素−炭素二重結合において付加重合反応することによって形成される。
アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
アクリル系熱可塑性樹脂成分は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5万以上15万以下、より好ましくは6万以上15万以下、さらに好ましくは7万以上10万以下である。アクリル系熱可塑性樹脂成分は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比(以下、この比を分子量分布と表記することがある。)が、好ましくは1.7〜2.6、より好ましくは1.7〜2.3、特に好ましくは1.7〜2.0である。分子量分布が小さいと樹脂組成物の成形加工性が低下する傾向となる。分子量分布が大きいと樹脂組成物から得られるフィルムの耐衝撃性が低下し、脆くなる傾向がある。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、アクリル系熱可塑性樹脂成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で分析し標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。また、アクリル系熱可塑性樹脂成分の重量平均分子量や分子量分布は、アクリル系熱可塑性樹脂成分を製造する際に使用する重合開始剤および連鎖移動剤の種類や量、二つ以上の樹脂重合体の混合比などを調整することによって制御できる。
本発明に好適に用いられるメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)は、二重結合含有量が、好ましくは0.02mol%未満、より好ましくは0.015mol%未満である。
二重結合含有量は、重合体(A)を製造する際に用いる重合開始剤や連鎖移動剤の使用量、重合反応時の温度、並びに重合に要する時間などを調節することによって制御することができる。例えば、重合開始剤の量を少なくすること、連鎖移動剤の量を多くすること、重合反応時の温度を下げること、および重合に要する時間を長くすることが、二重結合含有量を減らす上で好ましい。
二重結合含有量D(mol%)は次のようにして算出する。まず、測定対象の樹脂を重水素化クロロホルムに溶解させて15〜20質量%の溶液を得る。該樹脂に対して10質量%相当のトリス(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジナート)ユウロピウムをピークシフト試薬として添加し、H1−NMRを、12時間以上積算して測定する。二重結合に由来するピーク(共鳴周波数5.5ppm及び6.2ppm)の積分強度の合計Xとメトキシ基に由来するピーク(共鳴周波数3.6ppm)の積分強度Yに基づいて、数式 D=(X/2)/(Y/3)×100 により算出する。
また、本発明に好適に用いられるメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)は、硫黄含有量が、好ましくは400〜700ppmである。
硫黄含有量は、重合体(A)を製造する際に用いる硫黄系連鎖移動剤、過硫酸塩系重合開始剤などの硫黄含有化合物の使用量を調節することによって制御できる。結合硫黄原子はスルフィド基の状態でメタクリル樹脂の末端に結合していることが好ましい。
硫黄含有量は、次のようにして算出する。測定対象の樹脂をクロロホルムに溶解し、n−ヘキサンにて再沈殿させたのち80℃で12時間以上真空乾燥する。続いてその試料を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、加熱炉温度400℃で分解し、ガスを900℃の炉に通したのち、0.3%過酸化水素水で吸収する。吸収液は適宜純水で希釈し、イオンクロマトグラフ分析(DIONEX製ICS−1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量し、その値と試料の秤量値より樹脂中の硫黄原子の質量割合を算出する。
さらに、本発明に好適に用いられるメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)は、トリマー含有量が、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。トリマーは、沸点が高く、粘凋な液体であり、樹脂重合体から除去するのが難しい。このため50ppmを超えると、耐薬品性を低下させるだけでなく、フィルム製膜時に目ヤニ欠点を発生させやすい。トリマー含有量は、重合体(A)の精製条件などを調整することによって制御できる。
トリマー含有量は、次のようにして算出する。測定対象の樹脂をクロロホルムに溶解させて溶液を得、該溶液からヘキサンで抽出分離し、ガスクロマトグラフィーによりトリマーを定量する。その値と試料の秤量値より樹脂中のトリマーの質量割合を算出する。
前記のような二重結合含有量、硫黄含有量およびトリマー含有量を満たす重合体(A)を用いると、耐薬品性および耐水性のバランスが高度に良好となる。
アクリル系熱可塑性樹脂成分として用いられる前記の重合体(A)、(B)および(C)(以下、樹脂重合体と言うことがある。)は、所定の単量体単位構成となる重量割合でメタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸アルキルエステル(以下、重合反応原料ということがある。)を重合させることによって得られる。
樹脂重合体の製造に用いられる重合反応原料は、イエロインデックスが2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。重合反応原料のイエロインデックスが小さいと、着色が殆んどないフィルムが高い生産効率で得られやすい。なお、イエロインデックスは、日本電色工業株式会社製の測色色差計ZE−2000を用い、JIS Z−8722に準拠して測定した値である。
樹脂重合体の製造における重合反応は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などにより行うことができる。重合体(B)および(C)は、特に制約なく公知の方法で製造することができる。重合体(A)は、好ましくは塊状重合法または溶液重合法、より好ましくは塊状重合法で製造することができる。塊状重合法は不純物の少ない重合体を得やすい。塊状重合は連続塊状重合が好ましい。重合反応は重合反応原料に重合開始剤を添加することによって開始される。また、連鎖移動剤を重合反応原料に添加することによって、得られる樹脂重合体の重量平均分子量などを調節できる。なお、重合反応原料は、溶存酸素量が、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下、最も好ましくは3ppm以下である。溶存酸素量がこのような範囲にある重合反応原料を用いると重合反応がスムーズに進行し、シルバーや着色のないフィルムが得られやすい。
前記重合開始剤は、反応性ラジカルを発生するものであれば特に限定されない。例えば、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエ−ト、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエ−ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド 、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。これらのうち、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。
かかる重合開始剤は、1時間半減期温度が、好ましくは60〜140℃、より好ましくは80〜120℃である。また、塊状重合に用いられる重合開始剤は、水素引抜き能が、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。これら重合開始剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、重合開始剤の添加量や添加方法などは、目的に応じて適宜設定すればよく特に限定されるものでない。例えば、塊状重合に用いられる重合開始剤の量は、重合反応原料100質量部に対して、好ましくは0.0001〜0.02質量部、より好ましくは0.001〜0.01質量部、さらに好ましくは0.005〜0.007質量部である。
なお、水素引抜き能は、α−メチルスチレンダイマーを使用したラジカルトラッピング法、即ちα−メチルスチレンダイマートラッピング法によって測定することができる。当該測定は、次のようにして行われる。まず、ラジカルトラッピング剤としてのα−メチルスチレンダイマーの共存下で重合開始剤を開裂させてラジカル断片を生成させる。生成したラジカル断片のうち、水素引抜き能が低いラジカル断片はα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉される。一方、水素引抜き能が高いラジカル断片はシクロヘキサンから水素を引き抜き、シクロヘキシルラジカルを発生させ、該シクロヘキシルラジカルがα−メチルスチレンダイマーの二重結合に付加して捕捉され、シクロヘキサン捕捉生成物を生成する。そこで、シクロヘキサン、またはシクロヘキサン捕捉生成物を定量することで求められる、理論的なラジカル断片発生量に対する水素引抜き能が高いラジカル断片の割合(モル分率)を水素引抜き能とする。
前記連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートなどのアルキルメルカプタン類などが挙げられる。これらのうちn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどの単官能アルキルメルカプタンが好ましい。これら連鎖移動剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、重合反応原料100質量部に対して、好ましくは0.1〜1質量部、より好ましくは0.15〜0.8質量部、さらに好ましくは0.2〜0.6質量部、特に好ましくは0.2〜0.5質量部である。また、連鎖移動剤の使用量は、重合開始剤100質量部に対して、好ましくは2500〜7000質量部、より好ましくは3500〜4500質量部、3800〜4300質量部である。
溶液重合に用いられる溶剤は、重合反応原料と、これから得られる樹脂重合体に対して溶解能を有するものであれば特に制限されないが、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が好ましい。これらの溶剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。かかる溶剤の使用量は、重合反応原料100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下である。溶剤の使用量が多いほど、反応液の粘度が下がり、取り扱い性が良好となるが、生産性が低下する傾向がある。
連続塊状重合法による場合、重合反応原料の重合転化率は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは35〜65質量%にする。なお、重合転化率が高すぎると粘度上昇のために大きな攪拌動力が必要となる傾向がある。重合転化率が低すぎると、残存する単量体の除去が不十分となり、フィルムにシルバーなどの外観不良を起こす傾向がある。未反応単量体は重合反応液から回収して再び重合反応に使用することができる。回収された単量体のイエロインデックスは回収時などに加えられる熱によって高くなることがある。回収された単量体は、適切な方法で精製して、イエロインデックスを小さくすることが好ましい。
塊状重合法または溶液重合法を行う装置としては、攪拌機付きの槽型反応器、攪拌機付きの管型反応器、静的攪拌能力を有する管型反応器などが挙げられる。これら反応器を1基以上用いてもよいし、また、異なる反応器2基以上を組み合せて用いてもよい。また、装置は回分式または連続流通式のどちらであってもよい。用いる攪拌機は、反応器の様式に応じて選択することができる。攪拌機として、例えば、動的撹拌機、静的攪拌機が挙げられる。本発明に用いられる樹脂重合体を得るために最も好適な装置は、連続流通式槽型反応器を少なくとも一つ有するものである。複数の連続流通式槽型反応器は直列に繋いでもよいし、並列に繋いでもよい。
槽型反応器には、通常、反応槽内の液を撹拌するための撹拌手段、重合反応原料や重合副資材などを反応槽に供給するための供給部、反応槽から反応生成物を抜き出すための抜出部とを有する。連続流通式の反応では、反応槽に供給する量と反応槽から抜き出す量とをバランスさせて、反応槽内の液量がほぼ一定になるようにする。反応槽の容積に対する反応槽内の液量は、好ましくは1/4以上、より好ましくは1/4〜3/4、さらに好ましくは1/3〜2/3である。
撹拌手段としては、マックスブレンド式撹拌装置、中央に配した縦型回転軸の回りを回転する格子状の翼を有する撹拌装置、プロペラ式撹拌装置、スクリュー式撹拌装置などが挙げられる。これらのうちでマックスブレンド式撹拌装置が均一混合性の点から好ましく用いられる。
重合反応原料、重合開始剤および連鎖移動剤は、それら全てを反応槽に供給する前に混合して反応槽に供給してもよいし、それらを別々に反応槽に供給してもよい。本発明においては全てを反応槽に供給する前に混合して反応槽に供給する方法が好ましい。
重合反応原料、重合開始剤および連鎖移動剤の混合は、窒素ガスなどの不活性雰囲気中で行うことが好ましい。また、連続流通式の操業を円滑に行うために、それぞれを貯留するタンクから管を介して反応槽の前段に設けた混合器に連続的に供給しつつ、混合し、得られた混合物を反応槽に連続的に流すことが好ましい。該混合器は動的撹拌機または静的攪拌機を備えたものであることができる。
重合反応時の温度は、好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜140℃である。重合反応の時間は、好ましくは0.5〜4時間、より好ましくは1〜3時間である。なお、連続流通式反応器の場合、重合反応時間は反応器における平均滞留時間である。重合反応時間が短すぎると重合開始剤の必要量が増える。また重合開始剤の増量により重合反応の制御が難しくなるとともに、分子量の制御が困難になる傾向がある。一方、重合反応時間が長すぎると反応が定常状態になるまでに時間を要し、生産性が低下する傾向がある。また、重合は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
重合終了後、必要に応じて、未反応の単量体および溶剤を除去する。除去方法は特に制限されないが、加熱脱揮が好ましい。脱揮法としては、平衡フラッシュ方式や断熱フラッシュ方式が挙げられる。特に断熱フラッシュ方式では、好ましくは200〜300℃、より好ましくは220〜270℃の温度で脱揮を行う。200℃未満では脱揮に時間を要し、脱揮不十分になりやすい。脱揮が不十分なときには成形品にシルバーなどの外観不良を起こすことがある。逆に300℃を超えると酸化、焼けなどによって組成物が着色する傾向がある。
上記方法により製造した重合体(A)は、耐熱分解性に優れフィルム成形も容易にできる上、メタクリル酸メチルの3量体(トリマー)から概ね10量体の所謂オリゴマーをほとんど含んでおらず、トリマーで代表すると50ppm以下であり、耐薬品性に優れたものである。重合体(A)、(B)および(C)は、前述した単量体単位の含有割合となるように、1種単独で若しくは2種以上を混合して、アクリル系熱可塑性樹脂成分として用いる。
本発明においては、後述する架橋ゴム粒子どうしの膠着による取り扱い性の低下または溶融混練時の分散性の低下を抑制し、成形品の表面性が低下するのを抑制するために、前記アクリル系熱可塑性樹脂成分として粒子状のもの(以下、分散用粒子(b)と呼ぶ。)を含めることが好ましい。該分散用粒子(b)は水に分散したポリマーラテックスまたはポリマーディスパージョンとして、架橋ゴム粒子が水に分散させてなるポリマーラテックスに混合することによって配合することができる。該分散用粒子(b)は、架橋ゴム粒子の平均粒子径よりも小さい平均粒子径を有するものであることが好ましい。具体的に、分散用粒子(b)の平均粒子径は、好ましくは0.04〜0.12μm、より好ましくは0.05〜0.1μmである。
分散性の効果などの観点から、分散用粒子(b)はアクリル系熱可塑性樹脂成分のうちに、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%含まれる。また、分散用粒子(b)の量は架橋ゴム粒子に対する質量比で、好ましくは0/100〜60/40、より好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜40/60である。
本発明に係る樹脂組成物に含有されるアクリル系熱可塑性樹脂成分の量は、樹脂組成物全体に対して、通常、70〜95質量%、好ましくは75〜90質量%、より好ましくは80〜85質量%である。
本発明に用いられる架橋ゴム粒子成分は、架橋ゴム重合体を少なくとも含有するものであれば特に制限されない。架橋ゴム重合体としては、例えば、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位を主に有し、必要に応じて架橋性単量体に由来する単位および/またはその他のビニル系単量体に由来する単位をさらに有する架橋ゴム重合体(I)などが挙げられる。
本発明に好適に用いられる架橋ゴム粒子成分はアクリル系多層重合体粒子であることが好ましい。アクリル系多層重合体粒子は、粒子の芯から外殻に向かって略同心円状に複数の層が積層されてなるものである。該アクリル系多層重合体粒子は、層間に隙間が無く繋がっていることが好ましい。
アクリル系多層重合体粒子の内層は1または2以上の層で構成されている。該内層は、少なくとも1層が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位を主に有する架橋ゴム重合体(I)を含有して成る層である。
アクリル系多層重合体粒子の最外層は炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位を主に有する熱可塑性重合体(II)を含有してなる層である。
アクリル系多層重合体粒子の内層の少なくとも1層に含有される架橋ゴム重合体(I)は、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位を主に有する。
炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。共役ジエン系単量体としては、ブタジエンおよびイソプレンが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋ゴム重合体(I)における炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位の量は、架橋ゴム重合体(I)の全質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70〜99質量%、さらに好ましくは80〜98質量%である。
架橋ゴム重合体(I)は、架橋性単量体に由来する単位を有することが好ましい。架橋性単量体としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアネートなどの多官能性単量体が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋ゴム重合体(I)における架橋性単量体に由来する単位の量は、架橋ゴム重合体(I)の全質量に対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
架橋ゴム重合体(I)は、その他のビニル系単量体に由来する単位を有してもよい。その他のビニル系単量体は前記のアクリル酸アルキルエステル単量体および架橋性単量体に共重合可能なものであれば特に限定されない。その他のビニル系単量体の例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル単量体;スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;およびN−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体;が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋ゴム重合体(I)における、その他のビニル系単量体に由来する単位の量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは5〜35質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
アクリル系多層重合体粒子が2以上の内層で構成される場合には、内層は前記架橋ゴム重合体(I)を含有して成る層以外に重合体(III)を含有して成る層を有してもよい。重合体(III)は、特に限定されないが、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位と、必要に応じて架橋性単量体に由来する単位および/またはその他のビニル系単量体に由来する単位とを有するものであることが好ましい。
炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
重合体(III)における炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位の量は、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは85〜99質量%、さらに好ましくは90〜98質量%である。
重合体(III)における架橋性単量体としては、前述の重合体(I)において例示した架橋性単量体と同じものが挙げられる。重合体(III)における、架橋性単量体に由来する単位の量は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.02〜2質量%である。
重合体(III)における、その他のビニル系単量体は、前記のメタクリル酸アルキルエステル単量体および架橋性単量体と共重合可能なものであれば特に限定されない。重合体(III)における、その他のビニル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル単量体;酢酸ビニル;スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β−不飽和カルボン酸;およびN−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(III)におけるその他のビニル系単量体に由来する単位の量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは1〜15.99質量%、さらに好ましくは2〜9.98質量%である。
アクリル系多層重合体粒子の最外層に含有される熱可塑性重合体(II)は、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位を主に有するものである。
炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体としては、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちメタクリル酸メチルが好ましい。
熱可塑性重合体(II)における炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位の量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
熱可塑性重合体(II)は、その他のビニル系単量体に由来する単位を有していてもよい。その他のビニル系単量体は前記のメタクリル酸アルキルエステル単量体に共重合可能なものであれば特に限定されない。熱可塑性重合体(II)における、その他のビニル系単量体としては、前述の重合体(III)において例示したその他のビニル系単量体と同じものが挙げられる。
熱可塑性重合体(II)における、その他のビニル系単量体に由来する単位の量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
アクリル系多層重合体粒子の積層構造は、最外層と内層とを有するものであれば特に限定されない。例えば、芯(内層)が架橋ゴム重合体(I)−外殻(最外層)が熱可塑性重合体(II)の2層重合体粒子、芯(内層)が重合体(III)−内殻(内層)が架橋ゴム重合体(I)−外殻(最外層)が熱可塑性重合体(II)の3層重合体粒子、芯(内層)が架橋ゴム重合体(I)−第一内殻(内層)が重合体(III)−第二内殻(内層)が架橋ゴム重合体(I)−外殻(最外層)が熱可塑性重合体(II)の4層重合体粒子などのさまざまな積層構造が可能である。これらの中で、芯(内層)が重合体(III)−内殻(内層)が架橋ゴム重合体(I)−外殻(最外層)が熱可塑性重合体(II)の3層重合体粒子が好ましく; 芯(内層)がメタクリル酸メチル80〜99.95質量%、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体0〜19.95質量%および架橋性単量体0.05〜2質量%を重合してなる重合体(III)を含有して成る層であり、内殻(内層)が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体80〜98質量%、芳香族ビニル単量体1〜19質量%および架橋性単量体1〜5質量%を重合してなる架橋ゴム重合体(I)を含有してなる層であり、外殻(最外層)がメタクリル酸メチル80〜100質量%および炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体0〜20質量%を重合してなる熱可塑性重合体(II)を含有して成る層で構成される3層重合体粒子がより好ましい。アクリル系多層重合体粒子の透明性の観点から、隣り合う層の屈折率の差が、好ましくは0.005未満、より好ましくは0.004未満、さらに好ましくは0.003未満になるように各層に含有される重合体を選択することが好ましい。
アクリル系多層重合体粒子における内層と最外層との質量比は、好ましくは60/40〜95/5、より好ましくは70/30〜90/10である。内層において、架橋ゴム重合体(I)を含有してなる層が占める割合は、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
本発明に用いられる架橋ゴム粒子成分の平均粒子径は、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μmである。これらの範囲において、粒子径の異なる2種以上の架橋ゴム粒子を組み合わせることも可能である。このような範囲内の平均粒子径、特に0.1〜0.3μmの平均粒子径を有する架橋ゴム粒子成分を用いると、成形品の外観上の欠点を著しく低減できる。なお、本明細書における平均粒子径は、光散乱法によって測定される、体積基準の粒径分布における算術平均値である。
架橋ゴム粒子成分の製造法は特に制限されないが、乳化重合法が好適である。具体的には、架橋ゴム重合体(I)を構成する単量体を乳化重合することによって得ることができる。また、架橋ゴム粒子成分としてのアクリル系多層重合体粒子は、アクリル系多層重合体粒子の最内層を構成する単量体の乳化重合を行ってシード粒子を得、このシード粒子の存在下に各層を構成する単量体を逐次添加して順次最外層までの重合を行うことによって得ることができる。
乳化重合法に用いられる乳化剤としては、例えば、アニオン系乳化剤であるジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩; ノニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなど; ノニオン・アニオン系乳化剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのアルキルエーテルカルボン酸塩;が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ノニオン系乳化剤およびノニオン・アニオン系乳化剤の例示化合物におけるエチレンオキシド単位の平均繰返し単位数は、乳化剤の発泡性が極端に大きくならないようにするために、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
乳化重合に用いられる重合開始剤は特に限定されない。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;パースルホキシレート/有機過酸化物、過硫酸塩/亜硫酸塩などのレドックス系開始剤が挙げられる。
乳化重合で得られるポリマーラテックスからの架橋ゴム粒子成分の分離取得は、塩析凝固法、凍結凝固法、噴霧乾燥法などの公知の方法によって行うことができる。これらの中でも、架橋ゴム粒子成分に含まれる不純物を水洗により容易に除去できる点から、塩析凝固法および凍結凝固法が好ましく、凍結凝固法がより好ましい。凍結凝固法においては凝集剤を用いないので耐水性に優れたアクリル系樹脂フィルムが得られやすい。
なお、凝固工程前にポリマーラテックスに混入した異物を除去するため、目開き50μm以下の金網などでポリマーラテックスを濾過することが好ましい。アクリル系熱可塑性樹脂成分との溶融混練において均一に分散させ易いという観点から、架橋ゴム粒子成分を1000μm以下の凝集粒子として取り出すことが好ましく、500μm以下の凝集粒子として取り出すことがより好ましい。なお、凝集粒子の形態は特に限定されず、例えば、最外層部分で相互に融着した状態のペレット状でもよいし、パウダー状やグラニュー状の粉体でもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物に含ませる架橋ゴム粒子成分の量は、30〜5質量%、好ましくは25〜10質量%、より好ましくは20〜15質量%である。また、本発明に用いられる樹脂組成物は、アクリル系熱可塑性樹脂成分に対する架橋ゴム粒子成分の質量比が、好ましくは5/95〜30/70、より好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは15/85〜20/80である。
本発明に用いられる樹脂組成物には、その他必要に応じて各種の添加剤を好ましくは0.5質量%以下の範囲で、より好ましくは0.2質量%以下の範囲で含有してもよい。添加剤の含有量が多すぎると、フィルムにシルバーなどの外観不良を起こしたり、耐水性が低下することがある。
添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単独で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、その割合は特に制限されないが、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量比で、好ましくは1/5〜2/1、より好ましくは1/2〜1/1である。
リン系酸化防止剤としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化社製;商品名:アデカスタブHP−10)、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名:IRGAFOS168)などが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は、紫外線被照による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、本発明のフィルムを前記のような特性が要求される用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]](アデカ製;商品名アデカスタブLA−31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;商品名TINUVIN234)などが好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形品の黄色味を抑制できる。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、日立製作所社製U−3410型分光光度計を用いて、波長380〜450nmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(Mw)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×Mw
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類が挙げられる。
離型剤は、フィルムの金型からの離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、好ましくは2.5/1〜3.5/1、より好ましくは2.8/1〜3.2/1である。
高分子加工助剤は、メタクリル樹脂組成物を成形する際、厚さ精度および薄膜化に効果を発揮する化合物である。高分子加工助剤は、通常、乳化重合法によって製造することができる、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子である。該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。
高分子加工助剤は、極限粘度が3〜6dl/gであることが好ましい。極限粘度が小さすぎると成形性の改善効果が低い傾向がある。極限粘度が大きすぎると樹脂組成物の溶融流動性の低下を招く傾向がある。
本発明に用いられる樹脂組成物には、耐衝撃性改質剤を用いてもよい。耐衝撃性改質剤としては、アクリル系ゴムもしくはジエン系ゴムをコア層成分として含むコアシェル型改質剤;ゴム粒子を複数包含した改質剤などが挙げられる。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、樹脂重合体を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造された樹脂重合体に添加してもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物は、230℃および3.8kg荷重の条件におけるメルトフローレートが、好ましくは8g/10分以上、より好ましくは8〜30g/10分、さらに好ましくは8〜25g/10分、最も好ましくは10〜20g/10分である。なお、メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した値である。
また、本発明に用いられる樹脂組成物は、シリンダ温度280℃および成形サイクル4分で得られる射出成形品の光路長200mmのイエロインデックス(YI4)と、シリンダ温度280℃および成形サイクル1分で得られる射出成形品の光路長200mmのイエロインデックス(YI1)との差が、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下である。また、シリンダ温度280℃および成形サイクル1分で得られる射出成形品の光路長200mmのイエロインデックス(YI1)は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。なお、イエロインデックスは、日本電色工業株式会社製の測色色差計ZE−2000を用い、JIS Z−8722に準拠して測定した値である。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、前述の樹脂組成物を、キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法、圧縮成形法などの公知の方法で成形することによって得ることができる。これらフィルム成形法のうち、前述の樹脂組成物を、Tダイから押し出し、次いでノンバンクにて成形することを含む方法が好ましい。
使用するTダイは、特に限定されないが、Tダイ内での溶融された樹脂組成物の流動性を安定化させる観点から、ハンガーコートタイプのTダイが好ましい。
また、使用するTダイは、フィルムの厚さムラを少なくするため、フィルムの厚さを測定して目標とする厚さにリップ開度を微調整するフィードバック機構を有する自動調整ダイが好ましい。リップ開度は、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。このリップ開度で吐き出される溶融樹脂(メルトカーテン)を後述するロール若しくはベルトで引き取りバンクのない状態として製膜することで、厚さ20〜300μmのアクリル系樹脂フィルムを得ることができ、その結果としてフィルムの残留歪や熱収縮率を低くすることができる。なお、樹脂組成物を押出すために、一軸押出機、二軸押出機などの公知の押出機を用いることができる。効率的にモノマー、ダイマー等の低分子量成分を除去するためにベント設備を有する押出機が好ましい。押出温度は、通常、240℃〜290℃、好ましくは250〜280℃である。
Tダイリップより吐出される溶融樹脂組成物は、冷されながら、ロールまたはベルトにて引き取られ、フィルム状に成形される。フィルムの引取りは一つのロールまたはベルトで行ってもよいが、本発明においては、アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性を向上させ、アクリル系樹脂フィルムに印刷処理した際の印刷抜けを抑制することができるという観点から、二つ以上のロールまたはベルトで挟持して引き取ることが好ましい。ロールまたはベルトとしては、公知のものを用いることができ、例えば、金属製ロール、金属製ベルト、非金属製ロールが挙げられる。
金属製ロールとしては、ステンレス鋼製や鉄鋼製などの金属剛体ロールや金属弾性ロールにクロムめっき、セラミックス溶射等の処理を行いかつ、研磨による鏡面化されたタッチロール;金属スリーブ(金属製薄膜パイプ)と成型用ロールからなるスリーブタッチ方式で使用されるロールなどが挙げられる。金属製ベルトとしては、ステンレス鋼製や鉄鋼製などのエンドレスベルトなどが挙げられる。非金属製ロールとしては、シリコンゴム製などのロールなどが挙げられる。これらのうち、残留歪を低く抑えることができるという観点から、金属弾性ロールが好ましい。
二つ以上のロールまたはベルトで挟持して引き取る場合に、吐出された溶融樹脂組成物はノンバンク(樹脂溜まりを実質的に形成させない状態)で挟持することが好ましい。ノンバンク状態は、例えば、ダイのリップ開度を0.5〜1mmとし、2つのロールの回転数を調整することにより実現することができる。また、ロールの線圧は5〜50N/mmとすることが好ましい。ロール線圧の調整によってロール面の形状(鏡面や凹凸面)が正確に転写されたフィルムを得ることができる。バンク(樹脂溜まり)を形成することなく製膜した場合は、冷却過程にある樹脂組成物が圧延されることなく面転写される。その結果、得られるアクリル系樹脂フィルムは、残留歪がより少なく、熱収縮率がより低く、且つ耐薬品性がより高くなる。
なお、複数のロールまたはベルトのうち、少なくとも1つのロールまたはベルトの表面に所望の凹凸を設けることによって、エンボス加工、マット加工などの形状加工をアクリル系樹脂フィルムに施すことができる。
また、本発明には、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂を押出成形し、ついで延伸したフィルムも含まれる。延伸の方法は、特に限定されない。例えば、流れ方向(MD)に延伸する方法(縦延伸法)、MDに対して斜めに延伸する方法、幅方向(TD)に延伸する方法(横延伸法)、縦延伸と横延伸とを順次に行う方法(逐次二軸延伸法)、MDとTDに同時に延伸する方法(同時二軸延伸法)などが挙げられる。本発明においては二軸延伸されたアクリル系樹脂フィルムが好適に用いられる。
本発明のアクリル系樹脂フィルムには、加飾処理のために、必要に応じて片面または両面に絵柄や文字などを印刷することができる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソグラフ印刷法、シルクスクリーン印刷法などが挙げられる。
前述の様にして得られる本発明のアクリル系樹脂フィルムは、加飾処理に好適に用いることができる。加飾処理の方法は、特に限定されない。例えば、本発明のアクリル系樹脂フィルムをそのまま、あるいは少なくとも1方の面に印刷を施して被加飾品の表面にラミネーションする方法(ラミネーション成形法);本発明のアクリル系樹脂フィルムを被加飾品の形状に合わせて真空または圧空成形し、これを射出成形用金型に設置し、次いで射出成形を行うことによって射出成形と同時に加飾処理を行う方法(インサート成形法);射出成形用金型キャビティー内で本発明のアクリル系樹脂フィルムを真空または圧空成形し、次いで射出成形を行うことによって射出成形と同時に加飾処理を行う方法(インモールド成形法)、金型キャビティー内で本発明のアクリル系樹脂フィルムを真空状態で被加飾品の表面に沿わせ、その後圧空・プレス成形により加飾処理を行う方法(真空・圧空成形法、TOM成形法)等を挙げることができる。
被加飾品の成形に用いられる熱可塑性樹脂としては、本発明のアクリル系樹脂フィルムとの接着性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。また、ポリオレフィン樹脂等の熱融着し難い基材樹脂の場合においても、接着剤層を本発明のアクリル系樹脂フィルムに積層させておいて、それを用いることによって、加飾処理を行うことができる。
また、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、他の熱可塑性樹脂シート又は熱可塑性樹脂フィルム(以下、基材シートということがある。)に積層させて積層フィルムを得、この積層フィルムを、前記のラミネーション法、インサート法またはインモールド成形法、真空成形法、真空・圧空成形法(例えばTOM成形法など)、にて、被加飾品の表面に積層させ、加飾することができる。
更に、本発明のアクリル系樹脂フィルムの片面若しくは両面に、ハードコート層、防汚層、光線を制御する機能層(例えば、赤外線を反射若しくは吸収する層、波長変換層、光触媒層)などを設けることができる。また、本発明のアクリル系樹脂フィルムの片面若しくは両面に、粘着層を設け、他のフィルムに貼り合わせるなどして機能フィルムとして使用することができる。
なお、基材シートを構成する熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、艶消し剤および/または着色剤を含むアクリル樹脂等が挙げられる。基材シートと本発明のアクリル系樹脂フィルムとの積層は、加熱によるラミネーション、接着剤や粘着剤を使用したラミネーション等により行うことができる。また、基材シートに絵柄などを印刷しておいて、その印刷面に本発明のアクリル系樹脂フィルムを積層することができる。
本発明のアクリル系樹脂フィルムの用途は特に制限されない。例えば、車両外装、車両内装等の車両加飾部品;壁材、ウィンドウフィルム、浴室壁材等の建材部品;食器、玩具等の日用雑貨;掃除機ハウジング、テレビジョンハウジング、エアコンハウジング等の家電加飾部品;キッチンドア表装材等のインテリア部材;船舶部材;タッチパネル表装材、パソコンハウジング、携帯電話ハウジング等の電子通信機;液晶保護板、導光板、導光フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、各種ディスプレイの前面板および表装材、拡散板などの光学関係部品;太陽電池若しくは太陽光発電用パネル表装材などの太陽光発電部材などが挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例および比較例における物性値の測定または評価は、以下の方法により行った。
(架橋ゴム粒子の平均粒子径)
堀場製作所社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−910を用いて測定した。
(アクリル系熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn))
高速液体クロマトグラフィー装置に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用カラムとして島津製作所(株)製「GPC−802」、「HSG−30」、「HSG−50」および昭和電工(株)製「Shodex A−806」を直列に繋ぎ、検出器として示差屈折率検出器、溶離液としてテトラヒドロフランをそれぞれ用い、溶離液流量1.5ml/分の条件下で分析した。分子量既知の標準ポリスチレンとの較正からアクリル系熱可塑性樹脂の重量平均分子量および分子量分布を決定した。なお、アクリル系熱可塑性樹脂0.12gを秤量し、これに20mlのテトラヒドロフランを加えてアクリル系熱可塑性樹脂を溶解させ、次いで孔径0.5μmのメンブランフィルターで濾過したものを試料溶液として用いた。
(二重結合含有量)
測定対象の樹脂を重水素化クロロホルムに溶解させて20質量%の溶液を得た。該樹脂に対して10質量%相当のトリス(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジナート)ユウロピウムをピークシフト試薬として添加し、H1−NMRを、12時間以上積算して測定した。
二重結合に由来するピーク(共鳴周波数5.5ppm及び6.2ppm)の積分強度の合計Xとメトキシ基に由来するピーク(共鳴周波数3.6ppm)の積分強度Yに基づいて、数式 D=(X/2)/(Y/3)×100 により二重結合含有量を算出した。
(硫黄含有量)
測定対象の樹脂をクロロホルムに溶解し、n−ヘキサンにて再沈殿させたのち、沈殿した試料を80℃で12時間以上真空乾燥した。続いてその試料を適量精秤して、硫黄燃焼装置にセットし、加熱炉温度400℃で分解し、ガスを900℃の炉に通したのち、0.3%過酸化水素水で吸収した。
吸収液は適宜純水で希釈し、イオンクロマトグラフ分析(DIONEX製ICS−1500,カラム:AS12A)により硫酸イオンを定量し、その値と試料の秤量値より樹脂中の硫黄原子の質量割合を算出した。
(トリマー含有量)
測定対象の樹脂をクロロホルムに溶解させて溶液を得、該溶液からヘキサンで抽出分離し、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−14A)によりトリマーを定量した。その値と試料の秤量値より樹脂中のトリマーの質量割合を算出した。
(重合転化率)
ガスクロマトグラフ((株)島津製作所製、GC−14A)に、カラム(GLC−G−230 Sciences Inc.製、INERT CAP 1(df=0.4μm、I.D.0.25mm、長さ60m))を繋ぎ、injection温度180℃、detector温度180℃、カラム温度を昇温速度10℃/分で60℃から200℃に昇温する条件にて分析した。
(耐薬品性)
表1に示す日焼け止め剤0.05〜0.25gをフィルム表面に塗布し、その上にガーゼ、アルミニウム板(75mm×150mm×1mm)およびおもり(500g)を載せて、表1に示す温度下で1時間放置した。その後、おもり、アルミニウム板およびガーゼを取り除きフィルム表面を観察し、以下の基準で評価した。
○ : 外観変化なし
△ : ガーゼ痕が残っていないが、僅かに白化
× : ガーゼ痕が残った
(耐水性)
フィルムを80℃の温水に24時間浸漬した。温水からフィルムを取り出し、それの外観変化を観察し、以下の基準で評価した。
○ : 外観変化なし
△ : 僅かに白化
× : 白化が著しい
Figure 0005973658
<参考例1>[架橋ゴム粒子(A1)の製造]
(1)攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管および還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部および炭酸ナトリウム0.7質量部を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にした。そこに、過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間攪拌した。これに、メタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(2)次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間攪拌した。その後、アクリル酸ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%およびメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
(3)次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間攪拌した。その後、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%およびn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。以上の操作によって、架橋ゴム粒子(A1)を含むラテックスを得た。架橋ゴム粒子(A1)を含むラテックスを凍結して凝固させた。次いで水洗・乾燥して架橋ゴム粒子(A1)を得た。当該粒子(A1)の平均粒子径は0.23μmであった。
<参考例2>[樹脂重合体(B1)の製造]
メタクリル酸メチル100質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量80000の樹脂重合体(B1)を製造した。樹脂重合体(B1)の物性値などを表2に示す。
<参考例3>[樹脂重合体(B2)の製造]
メタクリル酸メチル90質量%およびアクリル酸メチル10質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量60000の樹脂重合体(B2)を製造した。樹脂重合体(B2)の物性値などを表2に示す。
<参考例4>[樹脂重合体(B3)の製造]
メタクリル酸メチル94質量%およびアクリル酸メチル6質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量60000の樹脂重合体(B3)を製造した。樹脂重合体(B3)の物性値などを表2に示す。
<参考例5>[樹脂重合体(B4)の製造]
メタクリル酸メチル80質量%およびアクリル酸ブチル20質量%からなる単量体を塊状重合することによって重量平均分子量2000000の樹脂重合体(B4)を製造した。樹脂重合体(B4)の物性値などを表2に示す。
Figure 0005973658
<実施例1>
架橋ゴム粒子(A1)16質量部とアクリル系熱可塑性樹脂成分としての樹脂重合体(B1)84質量部とをヘンシェルミキサーで混合し、40mmφの一軸押出機にて溶融混練してペレット状樹脂組成物を得た。このペレット状樹脂組成物を用いて、Tダイを設置した二軸押出機で溶融押出した。次いでダイリップのリップ開度1mmで吐き出された溶融樹脂組成物を金属弾性ロールと剛体ロールで30N/mmの線圧をかけて引き取って、厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(1)を得た。アクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例2>
金属弾性ロールと剛体ロールの回転数を変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ75μmのアクリル系樹脂フィルム(2)を得た。アクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例3>
架橋ゴム粒子(A1)16質量部および樹脂重合体(B1)84質量部を、架橋ゴム粒子(A1)16.4質量部、樹脂重合体(B2)78質量部および樹脂重合体(B1)8質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(3)を得た。樹脂重合体(B2)78質量部および樹脂重合体(B1)8質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例4>
樹脂重合体(B1)84質量部を、樹脂重合体(B1)75質量部、樹脂重合体(B3)8質量部および樹脂重合体(B4)1質量部に変更し、金属弾性ロールと剛体ロールの回転数を変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルム(4)を得た。樹脂重合体(B1)75質量部、樹脂重合体(B3)8質量部および樹脂重合体(B4)1質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例5>
架橋ゴム粒子(A1)16質量部および樹脂重合体(B1)84質量部を、架橋ゴム粒子(A1)20質量部とアクリル系熱可塑性樹脂成分としての樹脂重合体(B1)80質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(5)を得た。アクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例6>
架橋ゴム粒子(A1)16質量部および樹脂重合体(B1)84質量部を、架橋ゴム粒子(A1)20質量部、樹脂重合体(B1)71質量部、樹脂重合体(B3)8質量部および樹脂重合体(B4)1質量部に変更し、金属弾性ロールと剛体ロールの回転数を変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルム(6)を得た。樹脂重合体(B1)71質量部、樹脂重合体(B3)8質量部および樹脂重合体(B4)1質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例1>
架橋ゴム粒子(A1)16質量部および樹脂重合体(B1)84質量部を、架橋ゴム粒子(A1)20質量部、樹脂重合体(B2)10質量部、樹脂重合体(B3)68.5質量部および樹脂重合体(B4)1.5質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(7)を得た。樹脂重合体(B2)10質量部、樹脂重合体(B3)68.5質量部および樹脂重合体(B4)1.5質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例2>
比較例1と同じ方法で厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルム(8)を得た。樹脂重合体(B2)10質量部、樹脂重合体(B3)68.5質量部および樹脂重合体(B4)1.5質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例3>
樹脂重合体(B1)84質量部を、樹脂重合体(B3)84質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(9)を得た。樹脂重合体(B3)84質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例4>
樹脂重合体(B1)84質量部を、樹脂重合体(B1)50質量部、樹脂重合体(B3)34質量部に変更した以外は実施例1と同じ方法で厚さ125μmのアクリル系樹脂フィルム(10)を得た。樹脂重合体(B1)50質量部、樹脂重合体(B3)34質量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂成分の物性を表3に示す。フィルムの評価結果を表4に示す。
Figure 0005973658
Figure 0005973658
以上の結果から、本発明のアクリル系樹脂フィルムは耐薬品性および耐水性に優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. メタクリル酸メチル単位が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位が1質量%以下であるアクリル系熱可塑性樹脂成分70〜95質量%と、
    内層の少なくとも1層が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位および/または共役ジエン系単量体に由来する単位を主に有する架橋ゴム重合体(I)を含有して成る層で且つ最外層が炭素原子数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体に由来する単位を主に有する熱可塑性重合体(II)を含有して成る層で構成されているアクリル系多層重合体粒子を含有してなる架橋ゴム粒子成分5〜30質量%と
    を含有する樹脂組成物からなる厚さ20〜300μmのアクリル系樹脂フィルム。
  2. アクリル系熱可塑性樹脂成分が、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)、メタクリル酸メチル単位とアクリル酸アルキルエステル単位とからなる共重合体(C)、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とアクリル酸アルキルエステル単位のみからなる重合体(B)とが混合されたもの、およびメタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)とメタクリル酸メチル単位およびアクリル酸アルキルエステル単位からなる共重合体(C)とが混合されたもの、からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のアクリル系樹脂フィルム。
  3. アクリル系熱可塑性樹脂成分が、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)を少なくとも含有するものであり、メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)の含有量が80質量%以上である、請求項1に記載のアクリル系樹脂フィルム。
  4. メタクリル酸メチル単位のみからなる重合体(A)は、二重結合含有量が0.02mol%未満で、硫黄含有量が400〜700ppmで、且つトリマー含有量が50ppm以下である、請求項3に記載のアクリル系樹脂フィルム。
  5. 架橋ゴム粒子成分は、その平均粒子径が0.05〜1μmである、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
  6. クリル系樹脂フィルムが延フィルムである請求項1〜のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルム。
  7. メタクリル酸メチル単位が99質量%より多く且つアクリル酸アルキルエステル単位が1質量%未満であるアクリル系熱可塑性樹脂成分70〜95質量%と、
    架橋ゴム粒子成分5〜30質量%と
    を含有する樹脂組成物を、Tダイから押し出し、
    次いでノンバンクにて厚さ20〜300μmに成形することを含む
    請求項1〜5のいずれかひとつに記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
  8. 少なくともメタクリル酸メチルからなる単量体を塊状重合して、アクリル系熱可塑性樹脂成分を得る工程をさらに有する、請求項に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
  9. 成形した後、二軸延伸することをさらに有する請求項7または8に記載のアクリル系樹脂フィルムの製造方法。
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