JP2003253016A - 表面加飾用アクリルフィルム及びそれで加飾された成形体 - Google Patents

表面加飾用アクリルフィルム及びそれで加飾された成形体

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JP2003253016A
JP2003253016A JP2002058621A JP2002058621A JP2003253016A JP 2003253016 A JP2003253016 A JP 2003253016A JP 2002058621 A JP2002058621 A JP 2002058621A JP 2002058621 A JP2002058621 A JP 2002058621A JP 2003253016 A JP2003253016 A JP 2003253016A
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acrylic
resin
layer
rubber particles
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Yosuke Tsukuda
陽介 佃
Hiroshi Koyama
浩士 小山
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面光沢が高く、特にフィルムの片面に金属
又は金属酸化物からなる薄膜を形成した場合にも、射出
成形金型内で他の樹脂に貼合された後で良好な意匠性を
発現し得る表面加飾用アクリルフィルムを提供する。 【解決手段】 アクリル系ゴム粒子を含有し、少なくと
も片方の面の中心線平均粗さRa が0.01〜0.05μ
m である表面加飾用アクリルフィルムが提供される。こ
のフィルムは有利には、Tダイから溶融押出しされたア
クリル系ゴム粒子含有アクリル系樹脂を、2本の鏡面ロ
ールに接触させ、線圧300N/cm以上の押し付け圧力
にて挟み込んだ状態で製膜される。また、上記のアクリ
ルフィルムと、その中心線平均粗さRa が上記範囲にあ
る片面に設けられた金属又は金属酸化物からなる薄膜と
を備える表面加飾用アクリルフィルム、さらにこのフィ
ルムが表層に一体化された積層成形体も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面加飾用のアク
リルフィルムに関するものである。詳しくは、表面平滑
性に優れたアクリルフィルムであって、金属や金属酸化
物による蒸着性に優れ、外観意匠性の良好な表面加飾用
のアクリルフィルムに関するものである。本発明はま
た、かかるアクリルフィルムの片面に金属及び/又は金
属酸化物の薄層が形成されたフィルム、さらにはそのフ
ィルムで加飾された樹脂成形体にも関係している。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の内装、家庭電器製品
の外装などには、射出成形による樹脂成形体が広く用い
られている。かかる成形体を装飾するために、例えば、
射出成形同時貼合法と呼ばれる手法が採用されている。
射出成形同時貼合法には、装飾が施された樹脂フィルム
又はそれが一方の側に配された積層フィルムを射出成形
の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方の側から溶融樹
脂を射出して、射出成形体を形成すると同時にその成形
体に上記の樹脂フィルムを貼合する方法、装飾が施され
た樹脂フィルム又はそれが一方の側に配された積層フィ
ルムを、真空成形等で予備成形してから射出成形金型内
に挿入し、そこに溶融樹脂を射出してフィルムと一体化
する方法、装飾が施された樹脂フィルム又はそれが一方
の側に配された積層フィルムを、射出成形金型内で予備
成形した後、そこに溶融樹脂を射出して、樹脂と一体成
形する方法などがある。このような射出成形同時貼合法
は、例えば、特公昭 63-6339号公報、特公平 4-9647 号
公報、特開平 7-9484 号公報などに記載されている。
【0003】一方、フィルムへの装飾方法としては、印
刷による絵柄の付与や、蒸着法により金属又は金属酸化
物からなる薄膜を形成させて金属光沢を付与する方法な
どが知られている。そして、上記の射出成形同時貼合法
には、耐候性に優れるとともに、表面光沢、表面硬度及
び表面平滑性も良好であることから、アクリル系樹脂フ
ィルムが好ましく採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この射出成
形同時貼合法において、表層となるべき樹脂フィルムに
アクリル系樹脂を用いた場合、フィルム表面の粗度が貼
合後の製品外観に影響する。特に、表面に金属又は金属
酸化物の薄膜が形成されたフィルムを用いた場合には、
射出成形された樹脂との一体貼合後に、金属光沢が低下
するなど、意匠性が損なわれるため、その改善が望まれ
ていた。特開平 8-323934 号公報や特開平11-147237号
公報には、メタクリル樹脂にアクリル系ゴム粒子が配合
され、射出成形同時貼合に好適に用いられるアクリル系
樹脂フィルムが開示されているが、表面粗さを小さく抑
制する手法については、具体的に記載されていない。ま
た、これらの公報に記載されたフィルムを用い、射出成
形同時貼合法により他の熱可塑性樹脂の表面を加飾した
場合、又は、これらのフィルムの表面に金属又は金属酸
化物からなる薄膜を形成し、射出成形同時貼合法により
他の熱可塑性樹脂の表面を加飾した場合、光沢が低下す
ることがあり、その場合には成形品表面をバフ等で研磨
して意匠性を高めなければならず、生産効率が低下する
ことになる。
【0005】そこで、表面光沢がより高く、特にフィル
ムの片面に金属又は金属酸化物からなる金属光沢を呈す
る薄膜を形成した場合にも、射出成形金型内で他の樹脂
に貼合された後の光沢を低下させることがなく、良好な
意匠性を発現し得る表面加飾用アクリルフィルムの開発
が強く要望されていた。
【0006】このような状況に鑑み、本発明者らは鋭意
研究を行った結果、アクリルフィルムの表面粗さを特定
範囲に制御すれば、表面光沢が改善され、曇価が小さく
なること、またこのフィルムは、その片面に金属又は金
属酸化物からなる薄膜を形成した場合に高い反射率が得
られ、その薄膜側に他の熱可塑性樹脂を射出すれば、優
れた意匠性を発現できること、そして当該フィルムを用
いた積層フィルムも種々の成形に適すること、さらには
当該フィルムを表面に有する射出成形品は、光沢等の意
匠性に優れることを見出した。本発明者らは、これに種
々の検討を加えて、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、アクリル系ゴム粒子を含有し、少なくとも片方の面
の中心線平均粗さRa が0.01〜0.05μm である表
面加飾用アクリルフィルムが提供される。このフィルム
は有利には、Tダイから溶融押出しされたアクリル系ゴ
ム粒子含有アクリル系樹脂を、2本の鏡面ロールに接触
させ、線圧300N/cm以上の押し付け圧力にて挟み込
んだ状態で製膜される。
【0008】またこのアクリル系樹脂フィルムは、その
片面、特に中心線平均粗さRa が上記範囲にある面に、
金属及び/又は金属酸化物からなる薄膜を形成して、金
属光沢を有する加飾フィルムとすることができる。した
がって本発明によれば、アクリル系ゴム粒子を含有し、
少なくとも片方の面の中心線平均粗さRa が 0.01〜
0.05μmであるアクリルフィルムと、その中心線平均
粗さRa が上記範囲にある片面に設けられた金属及び/
又は金属酸化物からなる薄膜とを備える表面加飾用アク
リルフィルムも提供される。
【0009】これらのフィルムは、射出成形品の表層を
構成するフィルムとして有利に使用される。そこで本発
明によれば、上記の表面加飾用アクリルフィルムが表層
に一体化されたアクリルフィルム積層成形体も提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の表面加飾用アクリルフィルムは、少なく
とも片方の面の中心線平均粗さRa が0.01〜0.05
μm のものである。好ましくは、フィルムの両面がとも
に、この中心線平均粗さRa の範囲に入るようにする。
中心線平均粗さRa は、 JIS B 0601 に規定されてい
る。フィルム表面の中心線平均粗さRa が0.01μmを
下回ると、フィルム自身を巻き形状としたときにブロッ
キングを起こしやすく、取り扱いが難しくなる。一方、
フィルム表面の中心線平均粗さRa が0.05μmを越え
ると、フィルム表面の粗度による反射光の散乱が大きく
なり、意匠性を損なうことになる。また、この表面に金
属又は金属酸化物の薄膜を設ける場合に、そのフィルム
表面の中心線平均粗さRa が大きいと、蒸着面の反射率
が低下し、意匠性を損なうことになる。
【0011】本発明では、このような中心線平均粗さR
a を有するフィルムを、アクリル系ゴム粒子を含有する
アクリル系樹脂で構成する。母相はメタクリル樹脂であ
り、具体的には、メタクリル酸メチルを主成分とし、ガ
ラス転移温度が40〜105℃の範囲にあるものが好ま
しい。より具体的には、メタクリル酸メチルが少なくと
も50重量%、及びそれと共重合可能な少なくとも1種
のビニル単量体が50重量%以下からなる共重合体であ
る。好ましい共重合割合は、メタクリル酸メチル50〜
99.5重量% 、さらには50〜99重量%、及びそれ
と共重合可能な少なくとも1種のビニル単量体50〜
0.5重量% 、さらには50〜1重量%の範囲である。
メタクリル樹脂のガラス転移温度を40〜105℃とす
るには、メタクリル酸メチルに共重合される単量体の種
類と量を調整する。つまり、メタクリル酸メチルの単独
重合体のガラス転移温度は約106℃であるが、それと
の共重合に用いる単量体の単独重合体のガラス転移温度
が低ければ、その単量体を用いた共重合体のガラス転移
温度は低下する。
【0012】ここで、メタクリル酸メチルと共重合され
るビニル単量体は、例えば、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルのような、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エ
ステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸
フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなア
クリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸のよう
な不飽和脂肪酸、スチレン、α−メチルスチレン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、
フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが
挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸エステル類
が好適に用いられる。アクリル酸エステルの中では、特
にアクリル酸アルキルが好適であり、そのアルキル部分
の炭素数は1〜8程度であることができる。アルキル部
分の炭素数が多いものほど、少量の共重合でメタクリル
樹脂のガラス転移温度を下げることができる。
【0013】母相のメタクリル樹脂としては特に、メタ
クリル酸メチル50〜99重量%とアクリル酸アルキル
50〜1重量%を共重合してなるものが好適であり、こ
の共重合体を単独で、又は複数の共重合体の混合物とし
て用いることができる。混合物とする場合は、全体でガ
ラス転移温度が40〜105℃の範囲にあればよい。メ
タクリル樹脂のガラス転移温度が105℃を越えると、
本発明のフィルムを金型内貼合して形状を賦形する際
に、このフィルムを賦形可能な温度域に保つことが困難
になるため、好ましくない。また、そのガラス転移温度
が40℃未満であると、それにゴム粒子を含有させたフ
ィルムの耐熱性が低くなるため、実用上好ましくない。
メタクリル樹脂のガラス転移温度は、60℃以上、さら
には80℃以上であるのが一層好ましい。
【0014】メタクリル樹脂の重合方法は特に限定され
ず、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法で行
うことができる。また、好適なガラス転移温度を得るた
め、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るた
めに、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。
連鎖移動剤の量は、単量体の種類及び組成に応じて、適
宜決定すればよい。
【0015】このようなメタクリル樹脂にゴム粒子を分
散させてフィルム化する。ここで用いるゴム粒子はアク
リル系のものであり、具体的には、アクリル酸アルキル
50〜99.9重量%と、これに共重合可能な他のビニ
ル単量体の少なくとも1種0〜49.9重量%と、共重
合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量
体の重合で得られる弾性共重合体の層を有する重合体1
00重量部の存在下に、メタクリル酸エステル50〜1
00重量%と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、
これらに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1
種0〜49重量%とからなる単量体10〜400重量部
を重合させることにより、後者の単量体からの重合層を
前記弾性共重合体の表面に少なくとも1層結合してなる
ゴム含有重合体が有利に用いられる。
【0016】このゴム粒子は、例えば、弾性共重合体用
の上記成分を乳化重合法等により、少なくとも一段の反
応で重合させて弾性共重合体を得、この弾性共重合体の
存在下、上記したメタクリル酸エステルを含む単量体を
乳化重合法等により、少なくとも一段の反応で重合させ
て製造することができる。このような複数段階の重合に
より、後段で用いるメタクリル酸エステルを含む単量体
は弾性共重合体にグラフト共重合され、グラフト鎖を有
する架橋弾性共重合体が生成する。すなわち、このゴム
粒子は、アクリル酸アルキルをゴムの主成分として含む
多層構造を有するグラフト共重合体となる。なお、弾性
共重合体の重合を二段以上で行う場合、又はその後のメ
タクリル酸エステルを主成分とする単量体の重合を二段
以上で行う場合には、いずれも、各段の単量体組成では
なく、全体としての単量体組成が上記範囲内にあればよ
い。
【0017】このゴム粒子において、弾性共重合体を構
成するために用いるアクリル酸アルキルとしては、例え
ば、アルキル基の炭素数が1〜8のものが挙げられる。
なかでも、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘ
キシルのような、アルキル基の炭素数4〜8のものが好
ましい。
【0018】弾性共重合体を構成するために所望に応じ
て用いられ、アクリル酸アルキルに共重合可能な他のビ
ニル単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二重結合を
1個有する単官能の化合物であり、具体的には、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シク
ロヘキシルのようなメタクリル酸エステル、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのような
ビニルシアン化合物などが、好適なものとして挙げられ
る。
【0019】弾性共重合体を構成するために用いる共重
合性の架橋性単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二
重結合を少なくとも2個有するものであればよく、例え
ば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオ
ールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カ
ルボン酸ジエステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸
アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のア
ルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジア
リル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、ト
リメチロールプロパントリアクリレートのような多価ア
ルコールの不飽和カルボン酸エステル、ジビニルベンゼ
ンなどを挙げることができる。なかでも、不飽和カルボ
ン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニル
エステルが好ましい。これらの架橋性単量体は、それぞ
れ単独で、又は必要により2種以上組み合わせて使用す
ることができる。
【0020】以上のような、アクリル酸アルキルを主体
とする単量体の重合により得られる弾性共重合体には、
メタクリル酸エステル50〜100重量%と、アクリル
酸エステル0〜50重量%と、これらに共重合可能な他
のビニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とから
なる単量体をグラフトさせる。弾性共重合体にグラフト
させる単量体の主成分であるメタクリル酸エステルとし
ては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例
えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。任意に用
いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸シクロヘキシルのような、アクリル酸のアルキ
ルエステルが挙げられ、またメタクリル酸エステル及び
/又はアクリル酸エステルに共重合可能で、任意に用い
られる他のビニル単量体としては、例えば、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのよう
なビニルシアン化合物などが挙げられる。
【0021】グラフトさせる単量体は、前記弾性共重合
体の層が表面となった重合体100重量部に対して、好
ましくは10〜400重量部、より好ましくは20重量
部以上、またより好ましくは200重量部以下の割合で
使用し、一段以上の反応で重合することができる。ここ
で、グラフトさせる単量体の使用量を10重量部以上と
することにより、弾性共重合体の凝集が生じにくく、フ
ィルムとした際に表面の凹凸不良を生じにくくなる。ま
た、グラフトさせる単量体の量があまり多くなると、ゴ
ム粒子を分散させた樹脂全体の流動性の低下が起こり、
フィルム成膜が困難になりやすいことから、前記弾性共
重合体の層が表面となった重合体100重量部あたり、
好ましくは400重量部以下、より好ましくは200重
量部以下とする。
【0022】前記弾性共重合体層の内側に、メタクリル
酸エステルを主体とする硬質重合体層を設けて、少なく
とも3層からなる多層構造のゴム粒子とすることもでき
る。この場合には、最内層を構成する硬質層の単量体を
最初に重合させ、得られる硬質重合体の存在下で、上記
の弾性共重合体を構成する単量体を重合させ、さらに得
られる弾性共重合体の存在下で、上記のメタクリル酸エ
ステルを主体とし、グラフトされる単量体を重合させれ
ばよい。
【0023】ここで、最内層となる硬質重合体層は、メ
タクリル酸エステル70〜100重量%と、それに共重
合可能な他のビニル単量体0〜30重量%とからなる単
量体を重合させたものが好ましい。メタクリル酸エステ
ルとしては、メタクリル酸のアルキルエステル、特にメ
タクリル酸メチルが有利である。任意に用いられる他の
ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロ
ヘキシルのようなアクリル酸エステル、スチレンのよう
な芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニ
ルシアン化合物などが挙げられる。また他のビニル単量
体の一つとして、共重合性の架橋性単量体を用いるのも
有効である。架橋性単量体としては、先に弾性共重合体
を構成する成分として例示したのと同様の、1分子内に
重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合
物を用いることができる。
【0024】このような多層構造のゴム粒子は、例え
ば、特公昭 55-27576 号公報(= USP3,793,402)や特
開平 1-252653 号公報に開示されている。特に、上記し
た3層構造のものが好ましく、特公昭 55-27576 号公報
の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つであ
る。また、アクリル酸アルキルを主体とする弾性共重合
体層を20〜60重量%含むものがより好ましい。
【0025】ゴム粒子の平均粒子径は、上記弾性共重合
体層の径として0.05〜0.4μm程度の範囲にあるの
が好ましい。ゴム粒子を製造するための乳化重合におけ
る乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節するこ
とによって、ゴム粒子の平均粒子径を制御することがで
きる。なお、ゴム粒子の平均粒子径は、そのゴム粒子を
メタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面にお
いて、酸化ルテニウムによるゴム成分の染色を施し、電
子顕微鏡で観察して、染色された粒子外層部の直径から
求めることができる。すなわち、アクリル酸アルキルを
主成分とする弾性共重合体層を含むゴム粒子をメタクリ
ル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色する
と、母相のメタクリル樹脂は染色されず、ゴム粒子の最
外層にメタクリル酸エステル主体の硬質層がある場合は
その硬質層も母体樹脂と混和して染色されず、アクリル
酸アルキルを主成分とする弾性共重合体層のみが染色さ
れるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状
に観察される部分の直径から、粒子径を求めることがで
きる。弾性共重合体層の内側に硬質重合体層が存在する
場合は、最内層の硬質重合体も染色されず、その外側の
弾性重合体層が染色された2層構造の状態で観察される
ことになるが、この場合のゴム粒子の平均粒子径は、2
層構造の外側、すなわち弾性重合体層の外径で考えれば
よい。
【0026】上記したメタクリル樹脂にゴム粒子を分散
させるにあたり、両者の割合は、メタクリル樹脂を95
〜50重量%、そしてゴム粒子を5〜50重量%とする
のが好ましい。ゴム粒子の量が5重量%未満では、フィ
ルムとした場合の衝撃強度が低くなるうえに、破断伸び
が小さくなり、金型内での成形に伴う伸びに追随でき
ず、破れを生じることがあるため、好ましくない。また
ゴム粒子の量が50重量%を越えると、フィルムとした
場合の表面硬度が低くなるため、好ましくない。なお、
単層構造のゴム粒子を用いた場合には、得られるフィル
ムの表面硬度が低くなる傾向にある。上記したような、
最内層がメタクリル酸エステルを主体とする硬質重合体
であり、中間層がアクリル酸アルキルを主体とする弾性
共重合体であり、最外層がメタクリル酸エステルを主体
とする硬質重合体である3層構造のアクリル系ゴム粒子
を用いた場合には、内層が弾性共重合体で外層が硬質重
合体である2層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合
と比較して、弾性率や表面硬度、耐摩耗性などの向上が
認められる。
【0027】メタクリル樹脂にゴム粒子を分散させる方
法は、両者を均一に混合する方法であれば特に制限され
るものではないが、一般的には、両者を十分に混合し、
熱可塑性樹脂を溶融混合できる押出機を用いて分散させ
る。この溶融混合の際、周知のヒンダードフェノール系
酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止
剤、また紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤の
ような耐候剤、さらには難燃剤、着色剤、顔料、無機系
充填剤などの各種添加剤を配合してもよい。紫外線吸収
剤として一般的には、ベンゾトリアゾール系やベンゾフ
ェノン系の紫外線吸収剤が、それぞれ単独で又は2種以
上混合して用いられるが、フィルムからの揮発をなく
し、また印刷絵柄や金属又は金属酸化物からなる薄膜の
劣化を防止する観点から、高分子量のベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤が好ましい。このような高分子量のベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例として、2,2′
−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール〕が挙げられる。紫外線吸収剤を配合す
る場合、その添加量は、フィルムを構成するメタクリル
樹脂及びゴム粒子の合計に対して、少なくとも0.1重
量%(1,000ppm )とするのが好ましく、さらには
0.3重量%以上配合するのがより好ましい。また、通
常は2重量%以下でよい。
【0028】以上説明したメタクリル樹脂及びゴム粒子
を混合し、必要に応じてその他の添加剤を配合した混合
物をフィルム化するのであるが、フィルム化にあたって
は、例えば、この混合物(ゴム粒子含有アクリル系樹
脂)をTダイから溶融押出しした後、フィルムの両面を
ロール表面に接触させて成形する両面チルロール押出成
形法、Tダイからの溶融押出し後にフィルムの両面を金
属ベルトに接触させて成形するベルト冷却押出法、上記
混合物を溶剤に溶かした状態で基板上に流延し、次いで
溶剤を蒸発させる溶剤キャステイング法などの方法が採
用できる。これらのなかでも、良好な表面状態のフィル
ムが得られることから、フィルムの両面を金属ロール又
は金属ベルトに接触させて成形する両面チルロール押出
成形法又はベルト冷却押出法により製造するのが好まし
い。この際に用いるロール又はベルトは、いずれも鏡面
となっているものが好ましい。
【0029】このように両面から鏡面を押し付ける場
合、その圧力が高いほど、表面平滑なフィルムが得られ
る。例えば、両面を2本の鏡面金属ロールで挟み込む押
出成形法において、金属ロールによる挟み込み圧力は、
フィルムにかかる線圧として、300N/cm以上となる
ようにするのが好ましく、さらには500N/cm以上の
線圧で挟み込むのが一層好ましい。線圧がこれより低い
場合は、ロール鏡面の転写性が劣り、十分な表面平滑性
が得られない。本発明で規定する中心線平均粗さRa の
小さいフィルム表面とするためには、このような高い線
圧を付与するのが好ましいことから、2本の鏡面ロール
で挟み込んだ状態で製膜する方法が一層好ましい。
【0030】こうして得られるアクリルフィルムは、そ
の厚みが0.1〜0.6mmの範囲にあるのが好ましい。こ
のフィルムは、通常、片面に絵柄等を印刷して意匠層と
した状態、又は片面を着色して意匠層とした状態、例え
ば、片面に金属又は金属酸化物の薄層からなる意匠層を
設けた状態で、射出成形同時貼合に用いられる。アクリ
ルフィルムの両面で中心線平均粗さRa が異なる場合、
特に一方の面が本発明で規定する中心線平均粗さRa =
0.1〜0.5μm を満足しない場合は、この中心線平均
粗さRa を満足する面に対して、上記の意匠層を設け
る。このようにフィルムの両面で中心線平均粗さRa が
異なる場合には、意匠層を設ける面を特定しなければな
らないことからしても、両面がこの中心線平均粗さRa
を満足するフィルムとするのが好ましい。
【0031】また、これらの意匠層が設けられたフィル
ムを射出成形同時貼合に適用するにあたっては、意匠層
の設けられた面が、射出成形金型内で溶融射出される樹
脂側となるように配置される。これは、最終成形品とな
った状態で、透明なアクリルフィルム層(クリアー層)
による意匠層の深みを出すことを目的としているためで
ある。つまり、透明なアクリルフィルム層の下に意匠層
を存在させることにより、深み感のある着色状態が得ら
れる。アクリルフィルム層の厚みが0.1mm 未満では、
意匠層の深み感が乏しくなるため、好ましくない。ま
た、工業的に射出成形同時貼合を金型内で実施しようと
すれば、連続的にフィルムを金型内に供給する方式が望
ましいが、アクリルフィルムの厚みが0.6mm を越える
と、連続的なロール状で巻けなくなるため、好ましくな
い。
【0032】工業的に好ましい生産方式として、射出成
形金型に連続的にフィルムを供給する場合には、アクリ
ルフィルムの巻き重量の低減及び真空成形時の賦型性の
観点から、アクリルフィルムの厚みは、0.1〜0.2mm
の範囲とするのが一層好ましい。一方、アクリルフィル
ム厚みが0.2mm を超える場合には、枚葉で金型内に供
給するのが有利である。
【0033】本発明において、アクリルフィルムの片面
に金属又は金属酸化物の薄層からなる意匠層を設ける場
合、金属としては、例えば、アルミニウム、珪素、マグ
ネシウム、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、
金、インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタンなどを
使用することができ、また金属酸化物としては、例え
ば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸
化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化
銀、酸化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、
酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸
化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化
ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリ
ブデン、酸化バナジウム、酸化バリウムなどを使用する
ことができる。これらの金属及び金属酸化物は、それぞ
れ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用い
てもよい。これらのなかでもアルミニウムは、優れた意
匠性を有し、かつ工業的にも安価に入手できるので、特
に好ましい。これらの金属及び/又は金属酸化物の薄層
を設ける方法は、一般には真空蒸着によるが、イオンプ
レーティング、スパッタリング、CVD(Chemical Vap
or Deposition :化学気相堆積)などの方法によっても
よい。金属及び/又は金属酸化物からなる蒸着膜の厚さ
は、一般的には 50〜1,000Å程度である。
【0034】また別の形態として、上記のアクリルフィ
ルムを多層フィルムの最外層として用いることもでき
る。つまり、本発明のアクリルフィルムに、塩化ビニル
フィルムやABS(アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合)樹脂フィルム等の他の樹脂フィルムを裏
打ちして多層フィルムとし、これを射出成形同時貼合に
用いることも可能である。もちろん、上記のように、ア
クリルフィルムの片面に金属及び/又は金属酸化物の薄
層からなる意匠層を設け、その意匠層の外側に、他の樹
脂フィルムを裏打ちすることもできる。
【0035】本発明のアクリルフィルムを用いた射出成
形同時貼合法について説明すると、上記のアクリルフィ
ルムを射出成形の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方
の側から溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると
同時にその成形体に上記フィルムを貼合する方法や、こ
のフィルムを予備成形してから射出成形金型内に挿入
し、金型の一方の側から溶融樹脂を射出してフィルムと
一体化する方法、このフィルムを射出成形金型内で予備
成形した後、その金型の一方の側から溶融樹脂を射出し
てフィルムと一体化する方法などが採用できる。
【0036】最初に掲げた、未成形のフィルムそれ自体
を射出成形の雌雄金型間に挿入し、その一方の面側に溶
融樹脂を射出する方法を、狭義の意味で射出成形同時貼
合法と呼ぶこともあるが、本明細書では、その他の方法
も含めて、フィルムそれ自体又はその予備成形物が配置
された射出成形金型に、一方の側から溶融樹脂を射出し
て樹脂とフィルムを一体貼合する方法を、広く射出成形
同時貼合法と呼ぶことにする。
【0037】二番目に掲げた、フィルムを予備成形して
から射出成形金型内に挿入し、金型の一方の側から溶融
樹脂を射出する方法は、インサート成形法とも呼ばれ
る。この場合は、予め熱成形によってフィルムに形状を
付与したものを、射出成形同時貼合に用いることにな
る。すなわち、まずアクリルフィルムを予備成形し、予
備成形されたフィルムを射出成形金型に挿入した後、本
体となる熱可塑性樹脂が射出される。予備成形のための
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形な
どが採用される。真空成形によって予備成形する場合に
ついてさらに具体的に説明すると、射出成形用金型の形
状に適合するようにアクリル系樹脂フィルムを真空成形
機にて成形した後、その真空成形された三次元形状のフ
ィルムを射出成形用金型キャビティの内面に密着させ、
金型の型締めを行った後に、熱可塑性樹脂を射出し、ア
クリル系樹脂フィルムと熱可塑性樹脂とを貼合させるこ
とになる。
【0038】三番目に掲げた、フィルムを射出成形金型
内で予備成形した後、その金型の一方の側から溶融樹脂
を射出する方法は、インモールド成形法とも呼ばれる。
この場合は、例えば、インモールド成形可能な金型を取
り付けた射出成形機を用い、フィルムの送り出し装置、
そのフィルムの加熱装置及び吸引装置(例えば真空ポン
プ)を備えた射出成形用金型のキャビティ内面に、フィ
ルムをその透明層がキャビティ内面と接するように密着
させた後に、熱可塑性樹脂を射出成形することになる。
【0039】このような、インサート成形法やインモー
ルド成形法などを包含する射出成形同時貼合法は、例え
ば、特公昭 63-6339号公報、特公平 4-9647 号公報、特
開平7-9484 号公報などに記載の方法に準じて行うこと
ができる。射出成形の際の樹脂温度や射出圧力等の条件
は、用いる樹脂の種類等を勘案して適宜設定される。こ
の際、アクリルフィルムの片面に印刷層や金属又は金属
酸化物の薄層からなる意匠層を有する場合は、その意匠
層が射出成形される樹脂側となるように、換言すればア
クリルフィルムが最表面となるように配置される。
【0040】このような射出成形同時貼合において、金
型内に溶融射出され、本発明のアクリルフィルムが一体
貼合される樹脂としては、例えば、ABS(アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂
などが使用可能であるが、でき上がる最終製品の耐衝撃
性、寸法安定性などの観点からは、ABS樹脂又はポリ
カーボネート樹脂が好ましく用いられる。
【0041】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定され
るものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及
び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、以下の
例におけるゴム粒子の平均粒子径及びフィルムの表面物
性の測定方法は、次のとおりである。
【0042】〔ゴム粒子の平均粒子径の測定〕ゴム粒子
をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフ
ィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5% 四酸
化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、ゴム粒子
部分(弾性共重合体部分)を染色した。さらに、ミクロ
トームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した
後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真か
ら無作為に100個の染色されたゴム粒子部を選択し、
その各々の粒子径を算出した後、その平均値を平均粒子
径とした。
【0043】〔中心線平均表面粗さRa の測定〕JIS B
0601 に従い、カットオフを0.8mmとし、半径3μmの
測定触針を用いて、表面粗さ計〔(株)東京精密製の
“サーフコム 570A型”〕にて測定した。
【0044】〔樹脂フィルムの光沢度の測定〕JIS K 71
05 に従って、60度鏡面光沢度を測定した。
【0045】〔金属蒸着フィルムの鏡面光沢度の測定〕
JIS Z 8741 に規定される方法3に従い、60度鏡面光
沢度を測定した。
【0046】実施例1 メタクリル樹脂として、メタクリル酸メチル97.8%
及びアクリル酸メチル2.2% のモノマー組成からバル
ク重合法により得られた樹脂のペレット(ガラス転移温
度103℃)を用いた。またゴム粒子としては、特公昭
55-27576 号公報(= USP 3,793,402)の実施例3に準
じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメ
タクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間
層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及
び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の
弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルに少量のア
クリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる
球形3層構造であり、弾性共重合体層の平均粒子径が
0.24μmのものを用いた。
【0047】上に示したメタクリル樹脂ペレット80部
とゴム粒子20部とをスーパーミキサーで混合し、二軸
押出機で溶融混錬して、ペレットとした。次いでこのペ
レットを、東芝機械(株)製の65mmφ一軸押出機を用
い、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、8
0℃に温度設定した鏡面を有する二本のポリシングロー
ルで押し付け圧力980N/cm にて、フィルムの両面
を挟み込んで冷却し、厚さ120μm のアクリルフィル
ムを得た。このフィルムの中心線平均表面粗さRa 及び
光沢度を測定し、結果を表1に示した。
【0048】続いて、このフィルムの片面にコロナ放電
処理を施した後、同じ面に真空蒸着法にてアルミニウム
を蒸着した。アルミニウム層の厚みは、200Åであっ
た。この蒸着フィルムの60度鏡面光沢度を測定し、結
果を表1に示した。なお、鏡面光沢度は、アクリルフィ
ルム側(アルミニウム蒸着層と反対側の面)で測定し
た。
【0049】この蒸着フィルムを、蒸着層が基材の熱可
塑性樹脂に接する側となるようにして、真空成形可能な
射出成形金型の雌型キャビティ表面にセットし、非接触
式加熱板によりフィルムを120℃に加熱後、真空成形
にてフィルムをキャビティ面に追従させた。続いて型締
めした後、日本エイアンドエル(株)製のABS樹脂
“GA-501”を、シリンダー温度230℃設定の射出成形
機にて射出して、ABS樹脂基材の表面に金属光沢を有
する意匠のアクリルフィルムが一体化された成形品を得
た。この成形品について、目視観察により外観の意匠性
を以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
【0050】〔意匠性の評価基準〕 深みがあり、意匠性に優れる……○ 深みがなく、意匠性に劣る………×
【0051】比較例1 T型ダイを介して押し出した樹脂の冷却を、80℃に温
度設定した鏡面を有する一本のポリシングロールに添わ
せ、他面は空気層に開放する方法で行ったこと以外は、
実施例1と同様の方法でアクリル系樹脂フィルムを作製
した。また、これを用いて、実施例1と同様の方法で、
ただし、ポリシングロールに沿わせて冷却した面にアル
ミニウム層を設けた蒸着フィルムとし、さらにそこにA
BS樹脂を射出して成形品とした。これらについて実施
例1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0052】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アクリルフィルム 蒸着フィルム 成形品 中心線平均表面粗さRa 光沢度 鏡面光沢度 意匠性 片面 他面 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例1 0.03μm 0.03μm 148 % 930 % ○ ────────────────────────────── 比較例1 0.08μm 0.11μm* 120 % 820 % × ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ * 空気層に開放して冷却した面のRa
【0053】
【発明の効果】本発明の表面加飾用フィルムは、高い光
沢が要求される製品に好適である。特に、片面に金属又
は金属酸化物の薄層を蒸着した表面加飾用フィルムは、
反射率が高く、金属光沢をもった意匠性が発現できるも
のとなる。そして、これらの加飾用フィルムで表面を加
飾することにより、意匠性の高い成形品とすることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA33 AA77 AD02 BB06 BC01 BC16 4F100 AA17B AB01B AB10 AK25 AK25A AN02A BA02 BA07 DD07A DE01A EJ55 HB00 JK15A JM02B JN21 YY00A 4J002 BG061 BN032 BN052 BN122 GF00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系ゴム粒子を含有し、少なくとも
    片方の面の中心線平均粗さRa が0.01〜0.05μm
    であることを特徴とする、表面加飾用アクリルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】Tダイから溶融押出しされたアクリル系ゴ
    ム粒子含有アクリル系樹脂を、線圧300N/cm以上の
    押し付け圧力にて2本の鏡面ロールで挟み込んだ状態で
    製膜してなる請求項1記載の表面加飾用アクリルフィル
    ム。
  3. 【請求項3】アクリル系ゴム粒子を含有し、少なくとも
    片方の面の中心線平均粗さRa が0.01〜0.05μm
    であるアクリルフィルムと、その中心線平均粗さRa が
    上記範囲にある片面に設けられた金属及び/又は金属酸
    化物からなる薄膜とを備えることを特徴とする、表面加
    飾用アクリルフィルム。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の表面加飾用アクリルフィ
    ルムが、そのアクリルフィルム側を表層として表面に配
    置されてなることを特徴とする、加飾された成形体。
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