JP2003326554A - 表面加飾用アクリルフィルム及びそれで加飾された成形体 - Google Patents

表面加飾用アクリルフィルム及びそれで加飾された成形体

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JP2003326554A
JP2003326554A JP2002139952A JP2002139952A JP2003326554A JP 2003326554 A JP2003326554 A JP 2003326554A JP 2002139952 A JP2002139952 A JP 2002139952A JP 2002139952 A JP2002139952 A JP 2002139952A JP 2003326554 A JP2003326554 A JP 2003326554A
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film
acrylic
layer
resin
rubber particles
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English (en)
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Yosuke Tsukuda
陽介 佃
Hiroshi Koyama
浩士 小山
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス転移温度が100℃付近のアクリルフ
ィルムであっても、予備成形を伴う射出成形同時貼合法
に適用した場合に、良好な成形性を実現できる表面加飾
用アクリルフィルムを提供し、このアクリルフィルムが
表面層となった加飾フィルム、さらにそのフィルムで表
面加飾された成形体を提供する。 【解決手段】 アクリル系ゴム粒子を含有し、160℃
の雰囲気で10分間加熱処理したときの少なくとも一方
向における収縮率が15〜35%の範囲にある表面加飾
用アクリルフィルムが提供される。ガラス転移温度が9
0℃〜106℃の範囲にあるフィルムに対して有効であ
る。このフィルムは有利には、Tダイから溶融押出しさ
れた後2本の鏡面ロールに接触させ、線圧300N/cm
以上の押し付け圧力にて挟み込んだ状態で製膜される。
このフィルムの表面に印刷層又は着色層を設けた加飾フ
ィルム、またこれを表層とした成形体も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面加飾用のアク
リルフィルムに関するものである。詳しくは、特定範囲
の加熱収縮率を有し、射出成形同時貼合に適用した場合
の意匠性に優れたアクリルフィルムに関するものであ
る。本発明はまた、このアクリルフィルムを一つの層と
する加飾フィルム、さらにはそれを用いて表面が加飾さ
れた成形体にも関係している。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車の内装、家庭電器製品
の外装などには、射出成形による樹脂成形体が広く用い
られている。かかる成形体を装飾するために、例えば、
射出成形同時貼合法と呼ばれる手法が採用されている。
射出成形同時貼合法には、装飾が施された樹脂フィルム
又はそれが一方の側に配された積層フィルムを射出成形
の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方の側から溶融樹
脂を射出して、射出成形体を形成すると同時にその成形
体に上記の樹脂フィルムを貼合する方法、装飾が施され
た樹脂フィルム又はそれが一方の側に配された積層フィ
ルムを、真空成形等で予備賦形してから射出成形金型内
に挿入し、そこに溶融樹脂を射出してフィルムと一体化
する方法、装飾が施された樹脂フィルム又はそれが一方
の側に配された積層フィルムを、射出成形金型内で予備
成形した後、そこに溶融樹脂を射出して、樹脂と一体成
形する方法などがある。このような射出成形同時貼合法
は、例えば、特公昭 63-6339号公報、特公平 4-9647 号
公報、特開平 7-9484 号公報などに記載されている。
【0003】こうした射出成形同時貼合法には、耐候性
に優れるとともに、表面光沢、表面硬度及び表面平滑性
も良好であることから、アクリルフィルムが好ましく採
用されている。一方、フィルムへの装飾方法としては、
印刷により絵柄を付与する方法や、蒸着法により金属又
は金属酸化物からなる薄膜を形成させて金属光沢を付与
する方法などが知られている。
【0004】上記した射出成形同時貼合法においては、
予備成形が行われるのが一般的であり、この予備成形で
は、アクリルフィルムをガラス転移温度よりも摂氏温度
で数十度高い温度に加熱することにより軟化させ、その
後、所定の形状の型に添わせて賦形を行うことになる。
かかる予備成形工程において、従来知られているアクリ
ルフィルムを使用した場合、加熱の際にアクリルフィル
ムに皺が生じたり、破れが生じたりする場合があった。
このような場合には、射出後の製品表面に不良が発生
し、好ましくなかった。
【0005】かかる問題に対して、特開 2002-3620号公
報には、100℃雰囲気下で10分間加熱処理した後の
収縮率が10%以下であるアクリルフィルムが提案され
ている。この公報に具体的に開示される技術では、ガラ
ス転移温度が90℃付近にあるアクリルフィルムが用い
られ、フィルム温度130℃で真空成形による予備賦形
が行われている。この公報に開示される技術は、加熱収
縮率が小さいほど好ましいというものであり、加熱収縮
率を小さくするための手段が採用されている。
【0006】ところで、上述のとおり、射出成形同時貼
合に先立ってアクリルフィルムを予備成形する場合、そ
のアクリルフィルムのガラス転移温度より摂氏温度で数
十度高いところまで加熱されるが、ガラス転移温度が9
0℃以上、特に100℃付近にあるアクリルフィルムで
は、100℃での加熱収縮率を規定しても、予備成形時
やその後の樹脂射出時に発生しやすい皺や破れに対して
は、ほとんど意味をなさないことが明らかになってき
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、ガラス転移温度が90℃以上、とりわけ100℃付
近にあるアクリルフィルムであっても、予備成形を伴う
射出成形同時貼合法に適用した場合に、皺や破れ等の不
具合を生じることなく、良好な成形性を実現できる表面
加飾用アクリルフィルムを提供することにある。
【0008】本発明のもう一つの目的は、かかるアクリ
ルフィルムが表面層となった加飾フィルムを提供し、さ
らにはその加飾フィルムで表面が加飾された成形体を提
供することにある。
【0009】上記の状況に鑑み、本発明者らは鋭意研究
を行った結果、前記特開 2002-3620号公報の開示とは異
なり、実際の予備成形温度に近い160℃付近では、少
なくとも一方向で加熱収縮がある程度発生するアクリル
フィルムのほうが、予備成形における加熱時の不良発生
を抑制できることを見出した。かかる知見をもとに、さ
らに種々の検討を加えて、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、アクリル系ゴム粒子を含有し、160℃の雰囲気で
10分間加熱処理したときの少なくとも一方向における
収縮率が15〜35%の範囲にある表面加飾用アクリル
フィルムが提供される。このように加熱収縮率が特定範
囲となるようにすることは、ガラス転移温度が90℃〜
106℃の範囲にあるフィルムに対して特に有効であ
る。このフィルムは、有利には、Tダイから溶融押出し
されたアクリル系ゴム粒子含有アクリル系樹脂を、2本
の鏡面ロールに接触させ、線圧300N/cm以上の押し
付け圧力にて挟み込んだ状態で製膜される。
【0011】このアクリルフィルムは、有利には、その
片面に印刷層を設けた状態で、又は着色層を設けた状態
で、表面加飾に用いられる。そこで本発明によれば、ア
クリル系ゴム粒子を含有し、160℃の雰囲気で10分
間加熱処理したときの少なくとも一方向における収縮率
が15〜35%の範囲にあるアクリルフィルムの表面
に、印刷層又は着色層が設けられている加飾フィルムも
提供され、さらには、そのアクリルフィルム側を表層と
して、熱可塑性樹脂の表面に配置してなる加飾された成
形体も提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の表面加飾用アクリルフィルムは、160
℃の雰囲気で10分間加熱処理したときの少なくとも一
方向における収縮率が15〜35%のものである。上記
温度での加熱収縮率がこの範囲より小さいと、予備成形
時の加熱によるフィルムの軟化で発生するフィルムの垂
れが皺不良につながりやすいため、好ましくない。一
方、加熱収縮率がこの範囲より大きいと、破れが発生し
やすくなるため、好ましくない。この加熱収縮率は、1
5〜30%の範囲にあるのがより好ましい。
【0013】本発明では、このような加熱収縮率を有す
るフィルムを、アクリル系ゴム粒子を含有するアクリル
系樹脂で構成する。母相はメタクリル樹脂であり、具体
的には、メタクリル酸メチルを主成分とし、ガラス転移
温度が90〜106℃の範囲にあるものが好ましい。よ
り具体的には、メタクリル酸メチルが少なくとも50重
量%、及びそれと共重合可能な少なくとも1種のビニル
単量体が50重量%以下からなる共重合体である。好ま
しい共重合割合は、メタクリル酸メチル50〜99.5
重量% 、さらには99重量%以下、また70重量%以
上、及びそれと共重合可能な少なくとも1種のビニル単
量体50〜0.5重量% 、さらには1重量%以上、また
30重量%以下の範囲である。メタクリル樹脂のガラス
転移温度を90〜106℃とするには、メタクリル酸メ
チルに共重合される単量体の種類と量を調整する。つま
り、メタクリル酸メチルの単独重合体のガラス転移温度
は約106℃であるが、それとの共重合に用いる単量体
の単独重合体のガラス転移温度が低ければ、その単量体
を用いた共重合体のガラス転移温度は低下する。
【0014】ここで、メタクリル酸メチルと共重合され
るビニル単量体は、例えば、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルのような、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エ
ステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸
フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなア
クリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸のよう
な不飽和脂肪酸、スチレン、α−メチルスチレン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、
フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが
挙げられる。これらのなかでも、アクリル酸エステル類
が好適に用いられる。アクリル酸エステルの中では、特
にアクリル酸アルキルが好適であり、そのアルキル部分
の炭素数は1〜8程度であることができる。アルキル部
分の炭素数が多いものほど、少量の共重合でメタクリル
樹脂のガラス転移温度を下げることができる。本発明で
は、ガラス転移温度をあまり下げることは好ましくない
ので、アクリル酸エステルとしては、アルキル部分の炭
素数の少ないもの、例えば、アクリル酸メチルやアクリ
ル酸エチルが好ましく用いられる。
【0015】母相のメタクリル樹脂としては特に、メタ
クリル酸メチル50〜99重量%、好ましくは70〜9
9重量%と、アクリル酸アルキル50〜1重量%、好ま
しくは30〜1重量%を共重合してなるものが好適であ
り、この共重合体を単独で、又は複数の共重合体の混合
物として用いることができる。混合物とする場合は、全
体でガラス転移温度が90〜106℃の範囲にあればよ
い。メタクリル樹脂のガラス転移温度が106℃を越え
ると、本発明のフィルムに賦形して金型内貼合する際
に、このフィルムを賦形可能な温度域に保つことが困難
になるため、好ましくない。また、そのガラス転移温度
が90℃を下回ると、それにゴム粒子を含有させたフィ
ルムの耐熱性が低くなるため、実用上好ましくない。メ
タクリル樹脂のガラス転移温度は、95℃以上であるの
が一層好ましい。このメタクリル樹脂にゴム粒子を配合
した樹脂組成物ないしフィルムのガラス転移温度も、同
様に90〜106℃の範囲にあるのが好ましく、さらに
は95℃以上であるのがより好ましい。
【0016】メタクリル樹脂の重合方法は特に限定され
ず、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法で行
うことができる。また、好適なガラス転移温度を得るた
め、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るた
めに、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。
連鎖移動剤の量は、単量体の種類及び組成に応じて、適
宜決定すればよい。
【0017】このようなメタクリル樹脂にゴム粒子を分
散させてフィルム化する。ここで用いるゴム粒子はアク
リル系のものであり、具体的には、アクリル酸アルキル
50〜99.9重量%と 、これに共重合可能な他のビニ
ル単量体の少なくとも1種0〜49.9重量%と、共重
合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量
体の重合で得られる弾性共重合体の層を有する重合体1
00重量部の存在下に、メタクリル酸エステル50〜1
00重量%と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、
これらに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1
種0〜49重量%とからなる単量体10〜400重量部
を重合させることにより、後者の単量体からの重合層を
前記弾性共重合体の表面に少なくとも1層結合してなる
ゴム含有重合体が有利に用いられる。
【0018】このゴム粒子は、例えば、弾性共重合体用
の上記成分を乳化重合法等により、少なくとも一段の反
応で重合させて弾性共重合体を得、この弾性共重合体の
存在下、上記したメタクリル酸エステルを含む単量体を
乳化重合法等により、少なくとも一段の反応で重合させ
て製造することができる。このような複数段階の重合に
より、後段で用いるメタクリル酸エステルを含む単量体
は弾性共重合体にグラフト共重合され、グラフト鎖を有
する架橋弾性共重合体が生成する。すなわち、このゴム
粒子は、アクリル酸アルキルをゴムの主成分として含む
多層構造を有するグラフト共重合体となる。なお、弾性
共重合体の重合を二段以上で行う場合、又はその後のメ
タクリル酸エステルを主成分とする単量体の重合を二段
以上で行う場合には、いずれも、各段の単量体組成では
なく、全体としての単量体組成が上記範囲内にあればよ
い。
【0019】このゴム粒子において、弾性共重合体を構
成するために用いるアクリル酸アルキルとしては、例え
ば、アルキル基の炭素数が1〜8のものが挙げられる。
なかでも、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘ
キシルのような、アルキル基の炭素数4〜8のものが好
ましい。
【0020】弾性共重合体を構成するために所望に応じ
て用いられ、アクリル酸アルキルに共重合可能な他のビ
ニル単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二重結合を
1個有する単官能の化合物であり、具体的には、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シク
ロヘキシルのようなメタクリル酸エステル、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのような
ビニルシアン化合物などが、好適なものとして挙げられ
る。
【0021】弾性共重合体を構成するために用いる共重
合性の架橋性単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二
重結合を少なくとも2個有するものであればよく、例え
ば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオ
ールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カ
ルボン酸ジエステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸
アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のア
ルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジア
リル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、ト
リメチロールプロパントリアクリレートのような多価ア
ルコールの不飽和カルボン酸エステル、ジビニルベンゼ
ンなどを挙げることができる。なかでも、不飽和カルボ
ン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニル
エステルが好ましい。これらの架橋性単量体は、それぞ
れ単独で、又は必要により2種以上組み合わせて使用す
ることができる。
【0022】以上のような、アクリル酸アルキルを主体
とする単量体の重合により得られる弾性共重合体には、
メタクリル酸エステル50〜100重量%と、アクリル
酸エステル0〜50重量%と、これらに共重合可能な他
のビニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とから
なる単量体をグラフトさせる。弾性共重合体にグラフト
させる単量体の主成分であるメタクリル酸エステルとし
ては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例
えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。任意に用
いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸シクロヘキシルのような、アクリル酸のアルキ
ルエステルが挙げられ、またメタクリル酸エステル及び
/又はアクリル酸エステルに共重合可能で、任意に用い
られる他のビニル単量体としては、例えば、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのよう
なビニルシアン化合物などが挙げられる。
【0023】グラフトさせる単量体は、前記弾性共重合
体の層が表面となった重合体100重量部に対して、好
ましくは10〜400重量部、より好ましくは20重量
部以上、またより好ましくは200重量部以下の割合で
使用し、一段以上の反応で重合することができる。ここ
で、グラフトさせる単量体の使用量を10重量部以上と
することにより、弾性共重合体の凝集が生じにくく、フ
ィルムとした際に表面の凹凸不良を生じにくくなる。ま
た、グラフトさせる単量体の量があまり多くなると、ゴ
ム粒子を分散させた樹脂全体の流動性の低下が起こり、
フィルム成膜が困難になりやすいことから、前記弾性共
重合体の層が表面となった重合体100重量部あたり、
好ましくは400重量部以下、より好ましくは200重
量部以下とする。
【0024】前記弾性共重合体層の内側に、メタクリル
酸エステルを主体とする硬質重合体層を設けて、少なく
とも3層からなる多層構造のゴム粒子とすることもでき
る。この場合には、最内層を構成する硬質層の単量体を
最初に重合させ、得られる硬質重合体の存在下で、上記
の弾性共重合体を構成する単量体を重合させ、さらに得
られる弾性共重合体の存在下で、上記のメタクリル酸エ
ステルを主体とし、グラフトされる単量体を重合させれ
ばよい。
【0025】ここで、最内層となる硬質重合体層は、メ
タクリル酸エステル70〜100重量%と、それに共重
合可能な他のビニル単量体0〜30重量%とからなる単
量体を重合させたものが好ましい。メタクリル酸エステ
ルとしては、メタクリル酸のアルキルエステル、特にメ
タクリル酸メチルが有利である。任意に用いられる他の
ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロ
ヘキシルのようなアクリル酸エステル、スチレンのよう
な芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニ
ルシアン化合物などが挙げられる。また他のビニル単量
体の一つとして、共重合性の架橋性単量体を用いるのも
有効である。架橋性単量体としては、先に弾性共重合体
を構成する成分として例示したのと同様の、1分子内に
重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合
物を用いることができる。
【0026】このような多層構造のゴム粒子は、例え
ば、特公昭 55-27576 号公報(= USP3,793,402)や特
開平 1-252653 号公報に開示されている。特に、上記し
た3層構造のものが好ましく、特公昭 55-27576 号公報
の実施例3に記載のものは、好ましい組成の一つであ
る。また、アクリル酸アルキルを主体とする弾性共重合
体層を20〜60重量%含むものがより好ましい。
【0027】ゴム粒子の平均粒子径は、上記弾性共重合
体層の径として0.05〜0.4μm程度の範囲にあるの
が好ましい。ゴム粒子を製造するための乳化重合におけ
る乳化剤の添加量や単量体の仕込み量などを調節するこ
とによって、ゴム粒子の平均粒子径を制御することがで
きる。なお、ゴム粒子の平均粒子径は、そのゴム粒子を
メタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面にお
いて、酸化ルテニウムによるゴム成分の染色を施し、電
子顕微鏡で観察して、染色された粒子外層部の直径から
求めることができる。すなわち、アクリル酸アルキルを
主成分とする弾性共重合体層を含むゴム粒子をメタクリ
ル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色する
と、母相のメタクリル樹脂は染色されず、ゴム粒子の最
外層にメタクリル酸エステル主体の硬質層がある場合は
その硬質層も母体樹脂と混和して染色されず、アクリル
酸アルキルを主成分とする弾性共重合体層のみが染色さ
れるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状
に観察される部分の直径から、粒子径を求めることがで
きる。弾性共重合体層の内側に硬質重合体層が存在する
場合は、最内層の硬質重合体も染色されず、その外側の
弾性重合体層が染色された2層構造の状態で観察される
ことになるが、この場合のゴム粒子の平均粒子径は、2
層構造の外側、すなわち弾性重合体層の外径で考えれば
よい。
【0028】上記したメタクリル樹脂にゴム粒子を分散
させるにあたり、両者の割合は、メタクリル樹脂を95
〜50重量%、そしてゴム粒子を5〜50重量%とする
のが好ましい。ゴム粒子の量が5重量%未満では、フィ
ルムとした場合の衝撃強度が低くなるうえに、破断伸び
が小さくなり、金型内での成形に伴う伸びに追随でき
ず、破れを生じることがあるため、好ましくない。また
ゴム粒子の量が50重量%を越えると、フィルムとした
場合の表面硬度が低くなるため、好ましくない。なお、
単層構造のゴム粒子を用いた場合には、得られるフィル
ムの表面硬度が低くなる傾向にある。上記したような、
最内層がメタクリル酸エステルを主体とする硬質重合体
であり、中間層がアクリル酸アルキルを主体とする弾性
共重合体であり、最外層がメタクリル酸エステルを主体
とする硬質重合体である3層構造のアクリル系ゴム粒子
を用いた場合には、内層が弾性共重合体で外層が硬質重
合体である2層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合
と比較して、弾性率や表面硬度、耐摩耗性などの向上が
認められる。
【0029】メタクリル樹脂にゴム粒子を分散させる方
法は、両者を均一に混合する方法であれば特に制限され
るものではないが、一般的には、両者を十分に混合し、
熱可塑性樹脂を溶融混合できる押出機を用いて分散させ
る。この溶融混合の際、周知のヒンダードフェノール系
酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止
剤、また紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤の
ような耐候剤、さらには難燃剤、着色剤、顔料、無機系
充填剤などの各種添加剤を配合してもよい。紫外線吸収
剤として一般的には、ベンゾトリアゾール系やベンゾフ
ェノン系の紫外線吸収剤が、それぞれ単独で又は2種以
上混合して用いられるが、フィルムからの揮発をなく
し、また印刷絵柄や金属又は金属酸化物からなる薄膜の
劣化を防止する観点から、高分子量のベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤が好ましい。このような高分子量のベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例として、2,2′
−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)フェノール〕が挙げられる。紫外線吸収剤を配合す
る場合、その添加量は、フィルムを構成するメタクリル
樹脂及びゴム粒子の合計に対して、少なくとも0.1重
量%(1,000ppm )とするのが好ましく、さらには
0.3重量%以上配合するのがより好ましい。また、通
常は2重量%以下でよい。
【0030】以上説明したメタクリル樹脂及びゴム粒子
を混合し、必要に応じてその他の添加剤を配合した混合
物をフィルム化するのであるが、フィルム化にあたって
は、例えば、この混合物(ゴム粒子含有アクリル系樹
脂)をTダイから溶融押出しした後、フィルムの片面を
ロール表面に接触させて成形する片面チルロール押出成
形法、溶融樹脂を2本のロールで挟み込んで成形する両
面ロール押出成形法、Tダイからの溶融押出し後にフィ
ルムの両面を金属ベルトに接触させて成形するベルト冷
却押出法、上記混合物を溶剤に溶かした状態で基板上に
流延し、次いで溶剤を蒸発させる溶剤キャステイング法
などの方法が採用できる。これらのなかでも、適当な加
熱収縮率を示し、かつ、表面状態の良好なフィルムが得
られることから、フィルムの両面を金属ロールに挟み込
んで成形する両面ロール押出成形法が好ましい。この際
に用いるロールは、いずれも鏡面となっているものが好
ましい。
【0031】このように両面から鏡面を押し付ける場
合、実質的に、樹脂溜まりが存在する状態で行うのが好
ましく、また、その圧力が一定値より高ければ、押し出
し方向におけるフィルムの加熱収縮率が適当な値とな
り、かつ表面平滑なフィルムが得られる。例えば、両面
を2本の鏡面金属ロールで挟み込む押出成形法におい
て、金属ロールによる挟み込み圧力は、フィルムにかか
る線圧として、300N/cm以上となるようにするのが
好ましく、さらには500N/cm以上の線圧で挟み込む
のが、表面光沢を向上させる観点から一層好ましい。線
圧がこれより低い場合は、適当な加熱収縮率が得られに
くく、かつ、ロール鏡面の転写性が劣り、十分な表面平
滑性が得られない。本発明で規定する範囲の加熱収縮率
を有するフィルムを得るためには、このような高い線圧
を付与するのが好ましいことから、2本の鏡面ロールで
挟み込んだ状態で製膜する方法が最も好ましい。
【0032】こうして得られるアクリルフィルムは、そ
の厚みが0.1〜0.6mmの範囲にあるのが好ましい。こ
のフィルムは、通常、片面に絵柄等を印刷して意匠層と
した状態で、又は片面に着色した樹脂層を設けて意匠層
とした状態で、射出成形同時貼合に用いられる。なお、
アクリルフィルム自体が、透明層と、少なくとも1層の
着色された層との複層構成になっていてもよい。
【0033】また、このような意匠層が設けられたフィ
ルムを射出成形同時貼合に適用するにあたっては、意匠
層の設けられた面が、射出成形金型内で溶融射出される
樹脂側となるように配置される。これは、最終成形品と
なった状態で、透明なアクリルフィルム層(クリアー
層)による意匠層の深みを出すことを目的としているた
めである。つまり、透明なアクリルフィルム層の下に意
匠層を存在させることにより、深み感のある着色状態が
得られる。アクリルフィルム層の厚みが0.1mm未満で
は、意匠層の深み感が乏しくなるため、好ましくない。
また、工業的に射出成形同時貼合を金型内で実施しよう
とすれば、連続的にフィルムを金型内に供給する方式が
望ましいが、アクリルフィルムの厚みが0.6mm を越え
ると、連続的なロール状で巻けなくなるため、好ましく
ない。
【0034】工業的に好ましい生産方式として、射出成
形金型に連続的にフィルムを供給する場合には、アクリ
ルフィルムの巻き重量の低減及び真空成形時の賦型性の
観点から、アクリルフィルムの厚みは、0.1〜0.2mm
の範囲とするのが一層好ましい。一方、アクリルフィル
ム厚みが0.2mm を超える場合には、枚葉で金型内に供
給するのが有利である。
【0035】本発明のアクリルフィルムを用いて成形品
を得る方法としては、射出成形同時貼合法が挙げられ
る。具体的には、予めこのフィルムを予備成形してから
射出成形金型内に挿入し、金型の一方の側から溶融樹脂
を射出してフィルムと一体化する方法、又は、フィルム
を射出成形金型内で予備成形した後、その金型の一方の
側から溶融樹脂を射出してフィルムと一体化する方法な
どが採用できる。
【0036】未成形のフィルムそれ自体を射出成形の雌
雄金型間に挿入し、その一方の面側に溶融樹脂を射出す
る方法を、狭義の意味で射出成形同時貼合法と呼ぶこと
もあるが、本明細書では、その他の方法も含めて、フィ
ルムそれ自体又はその予備成形物が配置された射出成形
金型に、一方の側から溶融樹脂を射出して樹脂とフィル
ムを一体貼合する方法を、広く射出成形同時貼合法と呼
ぶことにする。
【0037】最初に掲げた、フィルムを予備成形してか
ら射出成形金型内に挿入し、金型の一方の側から溶融樹
脂を射出する方法は、インサート成形法とも呼ばれる。
この場合は、予め熱成形によりフィルムに形状を付与し
たものを、射出成形同時貼合に用いることになる。すな
わち、まずアクリルフィルムを予備成形し、予備成形さ
れたフィルムを射出成形金型に挿入した後、本体となる
熱可塑性樹脂が射出される。予備成形のための熱成形と
しては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などが採用
される。真空成形によって予備成形する場合についてさ
らに具体的に説明すると、射出成形用金型の形状に適合
するようにアクリル系樹脂フィルムを真空成形機にて成
形した後、その真空成形された三次元形状のフィルムを
射出成形用金型キャビティの内面に密着させ、金型の型
締めを行った後に、熱可塑性樹脂を射出し、アクリル系
樹脂フィルムと熱可塑性樹脂とを貼合させることにな
る。
【0038】二番目に掲げた、フィルムを射出成形金型
内で予備成形した後、その金型の一方の側から溶融樹脂
を射出する方法は、インモールド成形法とも呼ばれる。
この場合は、例えば、インモールド成形可能な金型を取
り付けた射出成形機を用い、フィルムの送り出し装置、
そのフィルムの加熱装置及び吸引装置(例えば真空ポン
プ)を備えた射出成形用金型のキャビティ内面に、フィ
ルムをその透明層がキャビティ内面と接するように密着
させた後に、熱可塑性樹脂を射出成形することになる。
【0039】このような、インサート成形法やインモー
ルド成形法などを包含する射出成形同時貼合法は、例え
ば、特公昭 63-6339号公報、特公平 4-9647 号公報、特
開平7-9484 号公報などに記載の方法に準じて行うこと
ができる。射出成形の際の樹脂温度や射出圧力等の条件
は、用いる樹脂の種類等を勘案して適宜設定される。こ
の際、アクリルフィルムの片面に印刷層や着色層からな
る意匠層を有する場合は、その意匠層が射出成形される
樹脂側となるように、換言すればアクリルフィルムが表
層となるように配置される。
【0040】このような射出成形同時貼合において、金
型内に溶融射出され、本発明のアクリルフィルムが一体
貼合される樹脂としては、例えば、ABS(アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹
脂、これらのブレンド物などが使用可能であり、ブレン
ド物の例として、ABS/ポリカーボネート複合樹脂な
どが挙げられる。なかでも、でき上がる最終製品の耐衝
撃性、寸法安定性などの観点からは、ABS樹脂又はポ
リカーボネート樹脂が好ましく用いられる。
【0041】本発明によれば、こうしてアクリルフィル
ムが積層された、好ましくはアクリルフィルムの表面に
印刷層又は着色層が設けられ、そのアクリルフィルム側
を表層として積層され、加飾された熱可塑性樹脂成形体
が、フィルムに皺や破れなどを生ずることなく、したが
って高い意匠性で製造できる。
【0042】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定され
るものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及
び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、以下の
例におけるゴム粒子の平均粒子径の測定方法は、次のと
おりである。
【0043】〔ゴム粒子の平均粒子径の測定〕ゴム粒子
をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフ
ィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5% 四酸
化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、ゴム粒子
部分(弾性共重合体部分)を染色した。さらに、ミクロ
トームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した
後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真か
ら無作為に100個の染色されたゴム粒子部を選択し、
その各々の粒子径を算出した後、その平均値を平均粒子
径とした。
【0044】実施例1 メタクリル樹脂として、メタクリル酸メチル97.8%
及びアクリル酸メチル2.2% のモノマー組成からバル
ク重合法により得られた樹脂のペレット(ガラス転移温
度103℃)を用いた。またゴム粒子としては、特公昭
55-27576 号公報(= USP 3,793,402)の実施例3に準
じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルに少量のメ
タクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間
層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及
び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質の
弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルに少量のア
クリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる
球形3層構造であり、弾性共重合体層の平均粒子径が
0.24μmのものを用いた。
【0045】上に示したメタクリル樹脂ペレット80部
とゴム粒子20部とをスーパーミキサーで混合し、二軸
押出機で溶融混錬して、ペレットとした。次いでこのペ
レットを、東芝機械(株)製の65mmφ一軸押出機を用
い、設定温度275℃のT型ダイのスリット(中央部分
のスリット間隔0.7mm )から押し出し、80℃に温度
設定した鏡面を有する2本のポリシングロールで押し付
け圧力600N/cmにて、フィルムの両面を挟み込んで
冷却し、厚さ125μm のアクリルフィルムを得た。こ
のとき、2本のロール間には、実質的に樹脂溜まりが存
在する条件で成形を行った。このアクリルフィルムのガ
ラス転移温度を、示差走査熱量測定装置(DSC)によ
り測定したところ、99℃であった。また、このフィル
ムについて、以下の方法により160℃の雰囲気で10
分間加熱したときの加熱収縮率を測定したところ、押出
方向に23%、それと垂直の方向(幅方向)に0.5%
であった。
【0046】〔加熱収縮率の測定〕120mm角サイズに
切り出したアクリルフィルムに、一辺100mmの正方形
をカッター刃で罫描きした。次に、槽内温度が160℃
に設定された熱風循環オーブンにこのフィルムを10分
間放置し、加熱炉から取り出した後、正方形の辺の長さ
を測定した。この際、フィルムの製膜方向(押出方向)
の長さは二辺の長さの平均値とし、それと直交する方向
(幅方向)の長さも二辺の長さの平均値とした。そして
下式より、押出方向及び幅方向それぞれにおける加熱収
縮率(%)を計算した。
【0047】
【0048】続いて、このフィルムの片面にグラビア印
刷法にて茶色の着色層を5μm 厚みで印刷して、印刷フ
ィルムを得た。この印刷フィルムを、事前に80℃設定
の熱風循環オーブンにて乾燥した後、以下の熱成形に供
した。すなわち、長さ500mm、幅500mmサイズの印
刷フィルムを、真空圧空成形機(布施真空(株)製の
“CUPF1015-PWB”)にセットし、4辺をクランプ枠に固
定した。クランプ枠の上下には、それぞれ遠赤外線ヒー
ターパネルが備え付けられている。これら上下のヒータ
ーパネルの温度を、上パネルは350℃、下パネルは3
00℃にそれぞれ設定し、フィルムの表面温度が160
℃になるまで加熱した。フィルム表面温度が160℃に
なったところで遠赤外線ヒーターパネルを系外に退避さ
せた後、真空成形用金型を加熱フィルムに接触させ、型
とフィルムとの間の空気をアクリルフィルムの印刷され
ていない側から真空引きすることにより、加飾フィルム
を賦形し、送風機により冷却固化を行った後に、予備成
形された加飾フィルムを取り出した。このとき、加熱
後、賦形前のフィルムの状態を目視で観察し、以下の基
準で判定して、結果を表1に示した。
【0049】〔予備加熱時のフィルムの外観評価〕 皺又は破れが発生していない……○ 皺又は破れが発生している………×
【0050】また、得られた予備賦形体の外観を目視で
観察したところ、皺や割れなどの不良は認められず、良
好な予備賦形体を得ることがでた。
【0051】この予備賦形体を、印刷層が基材樹脂に接
する側となるように、射出成形金型の雌型キャビティ表
面にセットし、型締めした後、日本エイアンドエル
(株)製のABS樹脂“GA-501”を、シリンダー温度2
30℃設定の射出成形機にて射出して、ABS樹脂基材
の表面に優れた光沢を有する意匠のアクリルフィルムが
一体化された成形品を得た。この成形品について、目視
観察により外観の意匠性を以下の基準で評価し、結果を
表1に示した。
【0052】〔成形品の意匠性評価〕 皺や破れなどの不良がなく、意匠性に優れる……○ 皺や破れなどの不良があり、意匠性に劣る………×
【0053】比較例1 T型ダイを介して押し出した樹脂の冷却を、80℃に温
度設定した鏡面を有する一本のポリシングロールに添わ
せ、他面は空気層に開放する方法で行ったこと以外は、
実施例1と同様の方法でアクリルフィルムを作製した。
また、このフィルムを用いて、実施例1と同様の方法
で、ただし、ポリシングロールに沿わせて冷却した面に
印刷層を設けたフィルムとし、さらにそこに同様にAB
S樹脂を射出して成形品とした。これらについて実施例
1と同様の評価を行い、結果を表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】本発明の表面加飾用フィルムは、優れた
意匠性が要求される製品に対して好適である。特に、予
備成形を行い、その片面に熱可塑性樹脂を射出してフィ
ルム貼合成形品を製造する場合に、外観不良がなく、意
匠性の高い成形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA33 AA86 AD02 AF61Y AH11 AH12 BA01 BB03 BB06 BC01 4F206 AD05 AD09 AD20 AD29 JA07 JB13 JF05 JL02 4J002 BG04W BG04X BG05W BG05X FA08X FD050 FD070 GF00 GN00 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系ゴム粒子を含有し、160℃の
    雰囲気で10分間加熱処理したときの少なくとも一方向
    における収縮率が15〜35%の範囲にあることを特徴
    とする、表面加飾用アクリルフィルム。
  2. 【請求項2】ガラス転移温度が90℃〜106℃の範囲
    にある請求項1記載の表面加飾用アクリルフィルム。
  3. 【請求項3】Tダイから溶融押出しされたアクリル系ゴ
    ム粒子含有アクリル系樹脂を、線圧300N/cm以上の
    押し付け圧力にて2本の鏡面ロールで挟み込んだ状態で
    製膜してなる請求項1又は2記載の表面加飾用アクリル
    フィルム。
  4. 【請求項4】アクリル系ゴム粒子を含有し、160℃の
    雰囲気で10分間加熱処理したときの少なくとも一方向
    における収縮率が15〜35%の範囲にあるアクリルフ
    ィルムの表面に、印刷層又は着色層が設けられているこ
    とを特徴とする、加飾フィルム。
  5. 【請求項5】請求項4記載の加飾フィルムが、そのアク
    リルフィルム側を表層として、熱可塑性樹脂の表面に配
    置されてなることを特徴とする、加飾された成形体。
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