JP2003258968A - 携帯電話本体の表面加飾用アクリル系樹脂フィルム及びそれの携帯電話本体部材への適用 - Google Patents

携帯電話本体の表面加飾用アクリル系樹脂フィルム及びそれの携帯電話本体部材への適用

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JP2003258968A
JP2003258968A JP2002058622A JP2002058622A JP2003258968A JP 2003258968 A JP2003258968 A JP 2003258968A JP 2002058622 A JP2002058622 A JP 2002058622A JP 2002058622 A JP2002058622 A JP 2002058622A JP 2003258968 A JP2003258968 A JP 2003258968A
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Japan
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acrylic resin
film
resin film
resin
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JP2002058622A
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English (en)
Inventor
Yosuke Tsukuda
陽介 佃
Hiroshi Koyama
浩士 小山
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低コストで、表面に傷がつきにくく、
意匠性に優れた携帯電話とすることができるアクリル系
樹脂フィルムを提供し、それを用いて携帯電話本体部材
を製造する。 【解決手段】 メタクリル樹脂にゴム粒子が分散したア
クリル系樹脂からなり、50μm 以上500μm 以下の
厚みを有する携帯電話本体の表面加飾用アクリル系樹脂
フィルムが提供される。このフィルムは、携帯電話本体
10の製造に用いられる。具体的には、このアクリル系
樹脂フィルムを射出成形金型内に配置し、その一方の面
側から熱可塑性樹脂を射出して、携帯電話本体部材を成
形すると同時に上記フィルムを表面に一体貼合すること
により、携帯電話本体部材が製造される。これにより、
上記のアクリル系樹脂フィルムが、他の熱可塑性樹脂か
らなる成形体の表面に一体成形されてなる樹脂製携帯電
話本体部材となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話本体を構
成する樹脂部材の表面加飾に用いられるアクリル系樹脂
フィルムに関するものである。本発明はまた、かかるア
クリル系樹脂フィルムで表面が加飾された携帯電話本体
部材及びその製造方法にも関係している。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話が広く普及してきてい
る。携帯電話の代表的な形状を図1〜図3にそれぞれ斜
視図で示すが、いずれも、表示窓1、操作部3、アンテ
ナ4などで構成されている。図1に示すものは、最も一
般的な携帯電話であり、特別なカバー機構を有しない。
図2に示すものは、不使用時に操作部3を蓋5で覆う構
造となっている。図3に示すものは、表示窓1を含む表
示部2が、不使用時には閉じて操作部3を覆う構造とな
っている。
【0003】表示窓1、操作部3のボタン、アンテナ4
などを除く本体10は、その意匠性や装飾性のために、
各種着色が施されて、製造、販売されている。携帯電話
本体は通常、いくつかの部材(本明細書では、それぞれ
を携帯電話本体部材と呼ぶ)に分けて成形され、それら
を組み立てて構成されている。そして従来、この種の携
帯電話本体部材は、例えば、ABS(アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂やポリオレフィン
系樹脂などの熱可塑性樹脂で形成されており、意匠性の
発現のために着色する場合は、これら樹脂に着色剤を含
有させる方法が採用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で
は、表面が傷つきやすく、また樹脂全体を着色すること
からコスト高になるという問題があった。そこで本発明
者らは、樹脂製の携帯電話本体に対し、適度な表面硬度
を与えて表面に傷がつきにくくするとともに、着色品も
容易に製造しうる技術を開発すべく研究を行った結果、
ある種のアクリル系樹脂フィルムを用い、それが樹脂成
形品の表面となるように配置すれば、適度な表面硬度が
得られること、またこのアクリル系樹脂フィルムを着色
しておくか、又はアクリル系樹脂フィルム自体は無色透
明のままで、それと母体樹脂との間に着色層を配置すれ
ば、母体樹脂を着色しなくても、意匠性が良好で着色さ
れた携帯電話本体部材を容易に製造できることを見出し
た。
【0005】したがって本発明の目的の一つは、表面に
傷がつきにくく、しかも意匠性に優れた携帯電話を与え
ることができ、また比較的低コストで携帯電話本体部材
とすることができるアクリル系樹脂フィルムを提供する
ことにある。本発明のもう一つの目的は、かかるアクリ
ル系樹脂フィルムを用いて、表面に傷がつきにくく、意
匠性にも優れた携帯電話本体部材を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散したアクリル系
樹脂からなり、50μm 以上500μm 以下の厚みを有
する携帯電話本体の表面加飾用アクリル系樹脂フィルム
が提供される。
【0007】このアクリル系樹脂フィルムは、携帯電話
本体を構成する成形体の表面に配置して、表面硬度と意
匠性に優れた携帯電話本体部材とすることができる。し
たがって本発明によれば、上記のアクリル系樹脂フィル
ムが、他の熱可塑性樹脂からなる成形体の表面に一体成
形されてなる樹脂製携帯電話本体部材も提供される。
【0008】このアクリル系樹脂フィルムを用いて携帯
電話本体部材を製造するには、インサート成形やインモ
ールド成形などの、いわゆる射出成形同時貼合法を採用
するのが有利である。そこで本発明によれば、上記のア
クリル系樹脂フィルムを射出成形金型内に配置し、その
一方の面側から熱可塑性樹脂を射出して、携帯電話本体
部材を成形すると同時に上記フィルムを表面に一体貼合
することにより、携帯電話本体部材を製造する方法も提
供される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明では、メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散
したアクリル系樹脂からなるフィルムを、携帯電話本体
の表面加飾に用いる。このアクリル系樹脂フィルムは、
50μm 以上500μm 以下の厚みとする。フィルムの
厚みをこの範囲とすることにより、表面平滑性に優れ、
高い意匠性を発現するとともに、表面硬度にも優れた製
品を得ることができる。フィルムの厚みが50μm を下
回ると、十分な表面硬度を達成することができない。一
方、その厚みが500μm を越えると、フィルムとして
の安定成膜性が低下するほか、剛性が増すことにより二
次加工性も低下する傾向にある。
【0010】このアクリル系樹脂フィルムを構成するメ
タクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重
合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体や、そ
れを主成分とする共重合体であることができる。メタク
リル酸エステルとしては、通常メタクリル酸のアルキル
エステルが用いられ、そのアルキル基は、炭素数1〜4
程度でよい。共重合体とする場合は、メタクリル樹脂の
共重合成分として有利であることが知られているアクリ
ル酸エステルや、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化
合物などが用いられる。
【0011】このメタクリル樹脂は、より具体的には、
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキ
ル50〜100重量%と、アクリル酸エステル0〜50
重量%と、これらに共重合可能な他のビニル単量体の少
なくとも1種0〜49重量%とからなる単量体の重合に
より得られる熱可塑性重合体であるのが好ましい。ここ
で、アクリル酸エステルは、より好ましくは0.1〜5
0重量%の範囲、さらに好ましくは0.5〜50重量%
の範囲で用いられ、したがって、メタクリル酸アルキル
のより好ましい共重合割合は50〜99.9重量%の範
囲、さらに好ましい共重合割合は50〜99.5重量%
の範囲である。なお、本明細書において単に「単量体」
というときは、ある単量体1種からなる場合のみなら
ず、複数の単量体が混合された状態、いわゆる単量体混
合物も包含するものとする。
【0012】上記の熱可塑性重合体を構成するメタクリ
ル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げら
れるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられ
る。アクリル酸エステルとしては、通常アクリル酸のア
ルキルエステルが用いられ、そのアルキル基は、炭素数
1〜8程度でよい。例えば、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが挙げられる。ま
た、メタクリル酸アルキル及び/又はアクリル酸エステ
ルに共重合可能な他のビニル単量体としては、従来から
メタクリル樹脂の分野で知られている各種単量体が使用
でき、例えば、スチレンのような芳香族ビニル化合物
や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物など
が挙げられる。
【0013】メタクリル樹脂は前述のとおり、炭素数1
〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステ
ル50〜100重量%、より好ましくは50〜99.9
重量%と、アクリル酸エステル0〜50重量%、より好
ましくは0.1〜50重量%と、これらに共重合可能な
他のビニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とか
らなる単量体を重合させて得られるものが好適であり、
この範囲に入る重合体を単独で、又は2種以上の重合体
の混合物として用いることができる。このメタクリル樹
脂は、ガラス転移温度が40℃以上であるのが好まし
く、さらには60℃以上のガラス転移温度を有するもの
が一層好ましい。メタクリル樹脂のガラス転移温度が4
0℃未満では、得られるフィルムの耐熱性が低くなるた
め、実用上好ましくない。ガラス転移温度は、メタクリ
ル酸エステルと共重合される他の単量体の種類と量を変
化させることにより、適宜設定できる。なお、メタクリ
ル酸メチルの単独重合体のガラス転移温度は約106℃
であるので、メタクリル酸エステルとしてメタクリル酸
メチルを用いる場合、得られるメタクリル樹脂のガラス
転移温度は、通常106℃以下となる。
【0014】メタクリル樹脂の重合方法は特に限定され
ず、通常の懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の方法で行
うことができる。また、好適なガラス転移温度を得るた
め、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るた
めに、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。
連鎖移動剤の量は、単量体の種類及び組成に応じて、適
宜決定すればよい。
【0015】このようなメタクリル樹脂にゴム粒子を分
散させるのであるが、このゴム粒子は、その平均粒子径
が0.1μm 以上0.4μm 以下の範囲にあるのが好まし
い。ゴム粒子の平均粒子径がこの範囲にあると、耐衝撃
性が高く、表面硬度に優れ、表面平滑なフィルムを得る
ことができる。ゴム粒子の平均粒子径は、さらに好まし
くは0.2μm以上、また0.35μm以下である。ゴム粒
子の平均粒子径があまり小さいと、表面硬度が低下する
ほか、フィルムが脆くなりやすい傾向にある。一方、そ
の平均粒子径があまり大きいと、フィルムの表面平滑性
を損なうため、好ましくない。
【0016】また、このゴム粒子は、アクリル系のもの
が好ましく、より具体的には、アクリル酸アルキル50
〜99.9重量%と、これに共重合可能な他のビニル単
量体の少なくとも1種0〜49.9重量%と、共重合性
の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体の
重合で得られる弾性共重合体の層を有する重合体100
重量部の存在下に、メタクリル酸エステル50〜100
重量%と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、これ
らに共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0
〜49重量%とからなる単量体10〜400重量部を重
合させることにより、後者の単量体からの重合層を前記
弾性共重合体の表面に少なくとも1層結合してなり、前
記弾性共重合体層の平均粒子径が0.2μm 以上0.4μ
m 以下のゴム含有重合体が有利に用いられる。この重合
の際、反応条件を調節して、弾性共重合体層の平均粒子
径が0.1μm 以上0.4μm 以下となるようにすればよ
い。
【0017】このゴム粒子は、例えば、弾性共重合体用
の上記成分を乳化重合法等により、少なくとも一段の反
応で重合させて弾性共重合体を得、この弾性共重合体の
存在下、上記したメタクリル酸エステルを含む単量体を
乳化重合法等により、少なくとも一段の反応で重合させ
て製造することができる。このような複数段階の重合に
より、後段で用いるメタクリル酸エステルを含む単量体
は弾性共重合体にグラフト共重合され、グラフト鎖を有
する架橋弾性共重合体が生成する。すなわち、このゴム
粒子は、アクリル酸アルキルをゴムの主成分として含む
多層構造を有するグラフト共重合体となる。なお、弾性
共重合体の重合を二段以上で行う場合、又はその後のメ
タクリル酸エステルを主成分とする単量体の重合を二段
以上で行う場合には、いずれも、各段の単量体組成では
なく、全体としての単量体組成が上記範囲内にあればよ
い。
【0018】上記のゴム粒子において、弾性共重合体を
構成するために用いるアクリル酸アルキルとしては、例
えば、アルキル基の炭素数が1〜8のものが挙げられ
る。なかでも、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチ
ルヘキシルのような、アルキル基の炭素数4〜8のもの
が好ましい。
【0019】弾性共重合体を構成するために所望に応じ
て用いられ、アクリル酸アルキルに共重合可能な他のビ
ニル単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二重結合を
1個有する単官能の化合物であり、具体的には、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シク
ロヘキシルのようなメタクリル酸エステル、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのような
ビニルシアン化合物などが、好適なものとして挙げられ
る。
【0020】弾性共重合体を構成するために用いる共重
合性の架橋性単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二
重結合を少なくとも2個有するものであればよく、例え
ば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオ
ールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カ
ルボン酸ジエステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸
アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のア
ルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジア
リル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、ト
リメチロールプロパントリアクリレートのような多価ア
ルコールの不飽和カルボン酸エステル、ジビニルベンゼ
ンなどを挙げることができる。なかでも、不飽和カルボ
ン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニル
エステルが好ましい。これらの架橋性単量体は、それぞ
れ単独で、又は必要により2種以上組み合わせて使用す
ることができる。
【0021】以上のような、アクリル酸アルキルを主体
とする単量体の重合により得られる弾性共重合体には、
メタクリル酸エステル50〜100重量%と、アクリル
酸エステル0〜50重量%と、これらに共重合可能な他
のビニル単量体の少なくとも1種0〜49重量%とから
なる単量体をグラフトさせる。弾性共重合体にグラフト
させる単量体の主成分であるメタクリル酸エステルとし
ては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例
えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。任意に用
いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸シクロヘキシルのような、アクリル酸のアルキ
ルエステルが挙げられ、またメタクリル酸エステル及び
/又はアクリル酸エステルに共重合可能で、任意に用い
られる他のビニル単量体としては、例えば、スチレンの
ような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのよう
なビニルシアン化合物などが挙げられる。
【0022】グラフトさせる単量体は、前記弾性共重合
体の層が表面となった重合体100重量部に対して、好
ましくは10〜400重量部、より好ましくは20重量
部以上、またより好ましくは200重量部以下の割合で
使用し、一段以上の反応で重合することができる。ここ
で、グラフトさせる単量体の使用量を10重量部以上と
することにより、弾性共重合体の凝集が生じにくく、フ
ィルムとした際に表面の凹凸不良を生じにくくなる。ま
た、グラフトさせる単量体の量があまり多くなると、ゴ
ム粒子を分散させた樹脂全体の流動性の低下が起こり、
フィルム成膜が困難になりやすいことから、前記弾性共
重合体の層が表面となった重合体100重量部あたり、
好ましくは400重量部以下、より好ましくは200重
量部以下とする。
【0023】前記弾性共重合体層の内側に、メタクリル
酸エステルを主体とする硬質重合体層を設けて、少なく
とも3層からなる多層構造のゴム粒子とすることもでき
る。この場合には、最内層を構成する硬質層の単量体を
最初に重合させ、得られる硬質重合体の存在下で、上記
の弾性共重合体を構成する単量体を重合させ、さらに得
られる弾性共重合体の存在下で、上記のメタクリル酸エ
ステルを主体とし、グラフトされる単量体を重合させれ
ばよい。このような最内層を硬質重合体層とする少なく
とも3層構造のゴム粒子は、フィルムとしたときの弾性
率や表面硬度などの点で、より好ましいものである。
【0024】ここで、最内層となる硬質重合体層は、メ
タクリル酸エステル70〜100重量%と、それに共重
合可能な他のビニル単量体0〜30重量%とからなる単
量体を重合させたものが好ましい。メタクリル酸エステ
ルとしては、メタクリル酸のアルキルエステル、特にメ
タクリル酸メチルが有利である。任意に用いられる他の
ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロ
ヘキシルのようなアクリル酸エステル、スチレンのよう
な芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニ
ルシアン化合物などが挙げられる。また他のビニル単量
体の一つとして、共重合性の架橋性単量体を用いるのも
有効である。架橋性単量体としては、先に弾性共重合体
を構成する成分として例示したのと同様の、1分子内に
重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合
物を用いることができる。このような3層構造のゴム粒
子は、例えば、特公昭 55-27576 号公報(= USP 3,79
3,402)に開示されている。特に同公報の実施例3に記
載のものは、好ましい組成の一つである。
【0025】このような少なくとも3層からなる多層構
造のゴム粒子とする場合、最外層としてグラフトさせる
メタクリル酸エステル主体の単量体の量10〜400重
量部は、最内層となる硬質重合体及び中間層となる弾性
共重合体の合計100重量部を基準とすればよい。
【0026】本発明において、ゴム粒子の平均粒子径
は、乳化重合における乳化剤の添加量や単量体の仕込み
量などを調節することによって、0.1μm 以上0.4μ
m 以下の範囲内で適当な値に設定すればよい。なお、ゴ
ム粒子の平均粒子径は、そのゴム粒子をメタクリル樹脂
と混合してフィルム化し、その断面において、酸化ルテ
ニウムによるゴム成分の染色を施し、電子顕微鏡で観察
して、染色された粒子外層部の直径から求めることがで
きる。すなわち、アクリル酸アルキルを主成分とする弾
性共重合体層を含むゴム粒子をメタクリル樹脂に混合
し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相のメ
タクリル樹脂は染色されず、ゴム粒子の最外層にメタク
リル酸エステル主体の硬質層がある場合はその硬質層も
母体樹脂と混和して染色されず、アクリル酸アルキルを
主成分とする弾性共重合体層のみが染色されるので、こ
うして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される
部分の直径から、粒子径を求めることができる。弾性共
重合体層の内側に硬質重合体層が存在する場合は、最内
層の硬質重合体も染色されず、その外側の弾性重合体層
が染色された2層構造の状態で観察されることになる
が、この場合のゴム粒子の平均粒子径は、2層構造の外
側、すなわち弾性重合体層の外径で考えればよい。
【0027】メタクリル樹脂中にゴム粒子を分散させて
アクリル系樹脂フィルムとするのであるが、両者の割合
は、メタクリル樹脂を50〜95重量部、そしてゴム粒
子を5〜95重量部の範囲とするのが好ましい。ゴム粒
子の量が少なすぎると、フィルム化するのが困難にな
り、またその量が多すぎると、適当な表面硬度が得られ
にくくなる。
【0028】このゴム粒子は、その中に占める前記した
アクリル酸エステル主体の弾性共重合体が、全ての成
分、すなわち、メタクリル樹脂及びゴム粒子の合計10
0重量部を基準に、3〜35重量部となるようにするの
が好ましい。さらには、この弾性共重合体は、メタクリ
ル樹脂及びゴム粒子の合計100重量部を基準に5重量
部以上、また25重量部以下となるようにするのがより
好ましい。メタクリル樹脂とゴム粒子の合計100重量
部あたり、弾性共重合体の量が3重量部以上となるよう
にすれば、フィルムが脆くなることなく、製膜性を向上
させることができる。一方、弾性共重合体の量があまり
多くなると、フィルムの透明性や表面硬度が失われる傾
向となる。
【0029】メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散したア
クリル系樹脂フィルムは、通常の添加剤、例えば、紫外
線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止
剤、帯電防止剤、界面活性剤などを含有してもよい。な
かでも紫外線吸収剤は、より長時間の耐候性に優れた携
帯電話本体部材を与える点で好ましく用いられる。紫外
線吸収剤としては、例えば、一般に用いられるベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニルエステル系紫
外線吸収剤などが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤として具体的には、2,2′−メチレンビス
〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノー
ル〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−
2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−
3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕
−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert
−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾト
リアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2
−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾト
リアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒ
ドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロ
キシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)−
2H−ベンゾトリアゾールなどが例示される。2−ヒド
ロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的に
は、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2
−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシ−4′−クロロベンゾフェノン、2,
2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノンなどが例示される。また、サリチル酸フェニル
エステル系紫外線吸収剤として具体的には、p−tert−
ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェ
ニルサリチル酸エステルなどが例示される。
【0030】これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独
で、又は2種以上混合して用いることができる。紫外線
吸収剤を配合する場合、その量は、メタクリル樹脂及び
ゴム粒子の合計100重量部を基準に、通常0.1重量
部以上であり、好ましくは0.3重量部以上、また好ま
しくは2重量部以下である。
【0031】本発明による携帯電話本体の表面加飾用ア
クリル系樹脂フィルムは、その鉛筆硬度がH以上、すな
わちH又はそれより硬くなるようにするのが好ましい。
鉛筆硬度がH以上であれば、携帯電話本体部材における
最表面構成材料として好適に用いることができる。鉛筆
硬度は、 JIS K 5400 に規定される鉛筆引っかき値で表
示される。フィルムの鉛筆硬度は、母相となるメタクリ
ル樹脂の種類、そこに分散させるゴム粒子の種類や量な
どを変更することで、適当な値に調節できる。
【0032】以上説明したメタクリル樹脂及びゴム粒子
を混合し、必要に応じてその他の添加剤を配合した混合
物をフィルム化することにより、アクリル系樹脂フィル
ムが製造される。その製造法としては、溶融流延法、T
ダイ法やインフレーション法のような溶融押出法、カレ
ンダー法など、いずれの方法を用いてもよい。なかで
も、上記混合物を、例えばTダイから溶融押出しし、得
られるフィルム状物の少なくとも片面をロール又はベル
トに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィ
ルムが得られる点で好ましい。とりわけ、フィルムの表
面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点からは、上記
混合物を溶融押出成形して得られるフィルム状物の両面
をロール表面又はベルト表面に接触させてフィルム化す
る方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルト
は、いずれも金属製であるのが好ましい。またロール
は、その表面が鏡面となっているものが好ましい。した
がって、好ましい形態として、上記メタクリル樹脂及び
ゴム粒子を含有するアクリル系樹脂をTダイから溶融押
出しした後、少なくとも1本の鏡面ロールに接触させ
て、より好ましくは2本の鏡面ロールに接触させて挟み
込んだ状態で、製膜する方法が挙げられる。
【0033】また、このアクリル系樹脂フィルムは、着
色されていてもよい。着色法としては、メタクリル樹脂
とゴム粒子との混合物自体に顔料又は染料を含有させ、
フィルム化前の樹脂自体を着色する方法、アクリル系樹
脂フィルムを、染料が分散した液中に浸漬して着色させ
る染色法などが挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。このアクリル系樹脂フィルムは、その少なくとも
一方の面に、絵柄などの印刷が施されたり、金属又は金
属酸化物の薄層からなる意匠層が設けられたりしてもよ
い。印刷や金属又は金属酸化物の薄層は、深みのある外
観を与えるうえで、別の熱可塑性樹脂と接する側に施す
のが好ましい。また、金属又は金属酸化物の薄層を設け
た面にヘアーライン加工等により筋模様を付すこともで
きる。
【0034】金属又は金属酸化物の薄層を設ける場合、
金属としては、例えば、アルミニウム、珪素、マグネシ
ウム、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、
インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタンなどを使用
することができ、また金属酸化物としては、例えば、酸
化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化イン
ジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸
化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジ
ルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、
酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマ
ス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデ
ン、酸化バナジウム、酸化バリウムなどを使用すること
ができる。これらの金属及び金属酸化物は、それぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いても
よい。これらのなかでもアルミニウムは、優れた意匠性
を有し、かつ工業的にも安価に入手できるので、特に好
ましい。これらの金属及び/又は金属酸化物の薄層を設
ける方法は、一般には真空蒸着によるが、イオンプレー
ティング、スパッタリング、CVD(Chemical VaporDe
position :化学気相堆積)などの方法によってもよ
い。蒸着膜の厚さは、一般的には 50〜1,000Å程
度である。
【0035】アクリル系樹脂フィルムは、その片面に他
の熱可塑性樹脂からなる層が少なくとも1層積層されて
もよい。アクリル系樹脂フィルムの片面に印刷層や金属
又は金属酸化物の薄層を有する場合は、その印刷面又は
薄層面に他の樹脂を積層することになる。別の熱可塑性
樹脂との積層一体成形法としては、例えば、アクリル系
樹脂フィルムと熱可塑性樹脂とをそれぞれ別個に、予め
フィルム状に成形しておき、加熱ロール間で連続的にラ
ミネートする方法、プレスで熱圧着する方法、圧空又は
真空成形すると同時に積層する方法、接着層を介在させ
てラミネートするウェットラミネーション法、予め成形
した一方の樹脂フィルムに、Tダイから溶融押出しされ
るもう一方の樹脂をラミネートする方法などが挙げられ
る。これらの方法を用いる場合、フィルム状に成形され
たアクリル系樹脂は、もう一方の熱可塑性樹脂基材と貼
合される側の面に、例えば、コロナ処理などが施されて
もよいし、接着層が設けられてもよい。
【0036】また、片面に積層される他の熱可塑性樹脂
を着色しておき、アクリル系樹脂フィルムは無色透明の
ままで、着色樹脂側に携帯電話本体となる樹脂が貼合成
形されるようにすれば、深み感のある着色状態を呈する
携帯電話本体部材とすることができる。
【0037】アクリル系樹脂フィルムとの積層に適した
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹
脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、他の(メタ)アクリル樹脂、ABS(アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂など
が挙げられる。これらのなかでも、ABS(アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂は、好まし
いものの一つである。
【0038】本発明のアクリル系樹脂フィルムを用いて
携帯電話本体部材を製造するには、別の熱可塑性樹脂と
一体成形することにより、このアクリル系樹脂フィルム
が成形品の最表層となるように配置される。一体成形に
あたっては、例えば、携帯電話本体部材を構成する熱可
塑性樹脂にこのアクリル系フィルムを貼合した状態のシ
ートを用意し、それを真空成形や圧空成形などの方法
で、アクリル系樹脂フィルムが最表層となるように成形
して、携帯電話本体部材とすることもできるが、この
他、インサート成形と呼ばれる手法やインモールド成形
と呼ばれる手法などを包含する、いわゆる射出成形同時
貼合法も有利に採用される。
【0039】この射出成形同時貼合法についてさらに詳
しく述べると、上記のアクリル系樹脂フィルムを射出成
形の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方の側から溶融
樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時にその成
形体に上記フィルムを貼合する方法や、このフィルムを
予備成形してから射出成形金型内に挿入し、金型の一方
の側から溶融樹脂を射出してフィルムと一体化する方
法、このフィルムを射出成形金型内で予備成形した後、
その金型の一方の側から溶融樹脂を射出してフィルムと
一体化する方法などが採用できる。
【0040】最初に掲げた、未成形のフィルムそれ自体
を射出成形の雌雄金型間に挿入し、その一方の面側に溶
融樹脂を射出する方法を、狭義の意味で射出成形同時貼
合法と呼ぶこともあるが、本明細書では、その他の方法
も含めて、フィルムそれ自体又はその予備成形物が配置
された射出成形金型に、一方の側から溶融樹脂を射出し
て樹脂とフィルムを一体貼合する方法を、広く射出成形
同時貼合法と呼ぶことにする。
【0041】二番目に掲げた、フィルムを予備成形して
から射出成形金型内に挿入し、金型の一方の側から溶融
樹脂を射出する方法は、インサート成形法とも呼ばれ
る。この場合は、まずアクリル系樹脂フィルムを予備成
形し、予備成形されたフィルムを射出成形金型に挿入し
た後、本体を構成する熱可塑性樹脂が射出される。予備
成形のための熱成形としては、真空成形、圧空成形、真
空圧空成形などが採用される。真空成形によって予備成
形する場合についてさらに具体的に説明すると、射出成
形用金型の形状に適合するようにアクリル系樹脂フィル
ムを真空成形機にて成形した後、その真空成形された三
次元形状のフィルムを射出成形用金型キャビティの内面
に密着させ、金型の型締めを行った後に、熱可塑性樹脂
を射出し、アクリル系樹脂フィルムと本体部材を構成す
る熱可塑性樹脂とを貼合させることになる。
【0042】三番目に掲げた、フィルムを射出成形金型
内で予備成形した後、その金型の一方の側から溶融樹脂
を射出する方法は、インモールド成形法とも呼ばれる。
この場合は、例えば、インモールド成形可能な金型を取
り付けた射出成形機を用い、フィルムの送り出し装置、
そのフィルムの加熱装置及び吸引装置(例えば真空ポン
プ)を備えた射出成形用金型のキャビティ内面に、フィ
ルムをその透明層がキャビティ内面と接するように密着
させた後に、熱可塑性樹脂を射出成形することになる。
【0043】このような、インサート成形法やインモー
ルド成形法などを包含する射出成形同時貼合法は、例え
ば、特公昭 63-6339号公報、特公平 4-9647 号公報、特
開平7-9484 号公報などに記載の方法に準じて行うこと
ができる。
【0044】この際、アクリル系樹脂フィルムの片面に
他の熱可塑性樹脂の層が設けられた積層フィルムを用い
る場合には、積層された他の熱可塑性樹脂が射出成形さ
れる樹脂側となるように、換言すればアクリル系樹脂フ
ィルムが最表面となるように配置される。アクリル系樹
脂フィルムの片面に、印刷層や金属又は金属酸化物の薄
層からなる意匠層を有する場合は、その意匠層が射出成
形される樹脂側となるように、換言すればアクリル系樹
脂フィルムが最表面となるように配置される。
【0045】携帯電話の本体部材を構成する熱可塑性樹
脂は特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂が使用でき
る。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、他の(メタ)アクリル樹脂、
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合)樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ
単独で使用できることはもちろん、複数の樹脂のブレン
ド物として用いられてもよい。このようなブレンド物と
しては、例えば、ポリカーボネート/ABSブレンド樹
脂、ポリブチレンテレフタレート/ABSブレンド樹脂
などが挙げられる。
【0046】アクリル系樹脂フィルムを着色しておけ
ば、携帯電話本体を構成する樹脂全体を着色することな
く、所望の色に着色された携帯電話本体とすることがで
きる。一方、アクリル系樹脂フィルムは透明なままとし
ておき、射出される樹脂との間に別の着色フィルムを挟
んで成形することによっても、所望の色に着色された携
帯電話本体とすることができ、この場合には、透明なア
クリル系樹脂フィルムの下に着色層が存在することにな
るので、深み感のある着色状態を呈するものとなる。透
明なアクリル系樹脂フィルムの片面全面に所望の色の印
刷処理を施すか又は薄い着色層を形成しておき、その着
色面側に携帯電話本体を構成する樹脂を射出することに
よっても、深み感のある着色状態を発現することができ
る。
【0047】こうして得られる携帯電話本体は、その最
表層に本発明のアクリル系樹脂フィルムが積層された状
態となり、深み感、表面硬度、表面平滑性などに優れ、
高い意匠性が発揮される。
【0048】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定され
るものではない。なお、例中、含有量ないし使用量を表
す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、
実施例における測定又は評価方法は次のとおりである。
【0049】〔ゴム粒子の平均粒子径の測定〕ゴム粒子
をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフ
ィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5% 四酸
化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、ゴム粒子
部分(弾性共重合体部分)を染色した。さらに、ミクロ
トームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した
後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真か
ら無作為に100個の染色されたゴム粒子部を選択し、
その各々の粒子径を算出した後、その平均値を平均粒子
径とした。
【0050】〔表面硬度〕JIS K 5400 に従って、鉛筆
引っかき値を測定した。
【0051】〔意匠性〕目視観察により、携帯電話本体
の外観の深み感を以下の基準で判定した。 深みがあり、意匠性に優れる……○ 深みがなく、意匠性に劣る………×
【0052】実施例1 メタアクリル樹脂として、メタクリル酸メチル97.8
% 及びアクリル酸メチル2.2% のモノマー組成から
バルク重合法により得られた樹脂のペレット(ガラス転
移温度103℃)を用いた。またゴム粒子としては、特
公昭 55-27576 号公報(= USP 3,793,402)の実施例3
に準じて製造され、最内層がメタクリル酸メチルに少量
のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、
中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレ
ン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟
質の弾性共重合体、最外層がメタクリル酸メチルに少量
のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体から
なる球形3層構造であり、弾性共重合体層の平均粒子径
が0.24μmのものを用いた。このゴム粒子における中
間層の弾性共重合体は、このゴム粒子全体のうち45%
であった。
【0053】上に示したメタクリル樹脂ペレット80部
とゴム粒子20部とをスーパーミキサーで混合し、二軸
押出機で溶融混錬して、ペレットとした。次いでこのペ
レットを、東芝機械(株)製の65mmφ一軸押出機を用
い、設定温度275℃のT型ダイを介して押し出し、ポ
リシングロールに両面が完全に接するようにして冷却
し、厚さ120μm のアクリルフィルムを得た。このフ
ィルムにおいて、ゴム粒子中の弾性共重合体は、フィル
ム全体のうち9%となる。このフィルムにつき、JIS K
5400 に従って表面の鉛筆引っかき値を測定したとこ
ろ、Hであった。
【0054】このアクリルフィルムの片面に、グラビア
印刷方式にて銀色の着色層を5μm厚みで印刷して、印
刷フィルムを得た。この印刷フィルムに、真空成形法に
て予備賦形を行って、携帯電話本体の表面形状とし、こ
れを、印刷層側が射出される樹脂と接するように、同様
の携帯電話本体の形状を有する射出金型に挿入した。携
帯電話本体部材を構成する熱可塑性樹脂として、日本エ
イアンドエル(株)製のABS樹脂“GA-501”を用い、
シリンダー温度230℃設定の射出成形機にて上記金型
に射出して、表層にアクリルフィルムが一体貼合された
携帯電話本体の成形品を得た。この成形品のアクリルフ
ィルム側表面硬度と意匠性を評価し、結果を表1に示し
た。
【0055】実施例2 実施例1で用いたのと同じ印刷前のアクリルフィルムの
片面に、真空蒸着法にてアルミニウムの薄層を設けた。
アルミニウム層の厚みは、200Åであった。この金属
光沢を有する蒸着フィルムの蒸着面に、フィルムの幅方
向に0.1mm 間隔の突起を有する金属板を接触させ、長
さ方向に滑らせることで、蒸着面に均一な筋状の模様、
いわゆるヘアーライン柄を形成させた。このヘアーライ
ン柄を有するアクリルフィルムを、蒸着層が基材の樹脂
に接する側となるようにして、真空成形可能な射出成形
金型の雌型キャビティ表面にセットし、非接触式加熱板
によりフィルムを120℃に加熱後、真空成形にてフィ
ルムをキャビティ面に追従させた。続いて型締めした
後、日本エイアンドエル(株)製のポリカーボネート/
ABSブレンド樹脂“T-105 ”(後の表では「ABS/PC」
と略記する)を、シリンダー温度260℃で射出して、
携帯電話本体の成形品を得た。この成形品のアクリルフ
ィルム側表面硬度と意匠性を評価し、結果を表1に示し
た。
【0056】比較例1 印刷アクリルフィルムを用いず、携帯電話本体部材を構
成する熱可塑性樹脂として、日本エイアンドエル(株)
製のABS樹脂ペレット“GA-501”97.99%と、東
洋アルミニウム(株)製で平均粒子径38μm のアルミ
ニウム粉末2%と、チタンイエロー染料0.01% と
を、田辺プラスチック機械(株)製の40mmφ一軸押出
機により樹脂温度265℃で溶融混練して得られた銀色
の着色ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして
射出成形を行い、携帯電話本体の成形品を得た。この成
形品の表面硬度と意匠性を評価し、結果を表1に示し
た。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂フィルムを用
い、それが最表面となるようにして携帯電話本体部材を
成形すれば、表面硬度に優れ、意匠性も良好なものとな
る。特にこのアクリル系樹脂フィルムは、携帯電話本体
部材を構成する樹脂を射出成形する際に本体部材に貼合
する方法、例えば、インサート成形法やインモールド成
形法などを包含する射出成形同時貼合法に、有利に適用
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】携帯電話の一形態を示す斜視図である。
【図2】携帯電話の別の形態を示す斜視図である。
【図3】携帯電話のさらに別の形態を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1……表示窓、 2……表示部、 3……操作部、 4……アンテナ、 5……蓋、 10……携帯電話本体。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA33 AD02 AE12 AF22 AH12 BB06 4J002 BG04X BG05W BG06W FB26X GF00 GQ00 5K023 AA07 BB01 BB04 BB26 LL06 QQ04 QQ05 RR05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタクリル樹脂中にゴム粒子が分散したア
    クリル系樹脂からなり、50μm 以上500μm 以下の
    厚みを有することを特徴とする、携帯電話本体の表面加
    飾用アクリル系樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】メタクリル樹脂は、炭素数1〜4のアルキ
    ル基を有するメタクリル酸アルキル50〜100重量%
    と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、これらに共
    重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜49
    重量%とからなる単量体の重合により得られる熱可塑性
    重合体である、請求項1記載のアクリル系樹脂フィル
    ム。
  3. 【請求項3】ゴム粒子は、0.1μm 以上0.4μm 以下
    の平均粒子径を有する請求項1又は2記載のアクリル系
    樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】ゴム粒子は、アクリル酸アルキル50〜9
    9.9重量%と、これに共重合可能な他のビニル単量体
    の少なくとも1種0〜49.9重量%と、共重合性の架
    橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体の重合
    で得られる弾性共重合体の層を有する重合体100重量
    部の存在下に、メタクリル酸エステル50〜100重量
    %と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、これらに
    共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜4
    9重量%とからなる単量体10〜400重量部を重合さ
    せることにより、後者の単量体からの重合層を前記弾性
    共重合体の表面に少なくとも1層結合してなり、前記弾
    性共重合体層の平均粒子径が0.1μm以上0.4μm以下
    のゴム含有重合体である、請求項3記載のアクリル系樹
    脂フィルム。
  5. 【請求項5】ゴム粒子は、弾性共重合体層の内側に硬質
    重合体層を含む多層構造のものである請求項4記載のア
    クリル系樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】メタクリル樹脂50〜95重量部、及びゴ
    ム粒子5〜50重量部を含有し、ゴム粒子中の前記弾性
    共重合体の量は、メタクリル樹脂及びゴム粒子の合計1
    00重量部あたり3〜35重量部である、請求項4又は
    5記載のアクリル系樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】表面の鉛筆硬度がH又はそれより硬い値を
    示す請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系樹脂フ
    ィルム。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル
    系樹脂フィルムが、他の熱可塑性樹脂からなる成形体の
    表面に一体貼合されてなることを特徴とする、樹脂製携
    帯電話本体部材。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル
    系樹脂フィルムを射出成形金型内に配置し、その一方の
    面側から熱可塑性樹脂を射出して、携帯電話本体部材を
    成形すると同時に上記フィルムを表面に一体貼合するこ
    とを特徴とする、携帯電話本体部材の製造方法。
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