JP4003459B2 - アクリル系樹脂積層フィルム及びそれを用いた積層成形品 - Google Patents

アクリル系樹脂積層フィルム及びそれを用いた積層成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工時に白化を起こしにくく、かつ表面硬度及び柔軟性に優れたアクリル系樹脂積層フィルム、並びにそれを用いた積層成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系樹脂は、透明性、透光性、表面光沢及び耐候性に優れており、さらに、表面硬度が高く、意匠性にも優れていることから、例えば、自動車の内装用資材、家電製品の外装用資材、建築用資材(エクステリア)などにおいて、屋内外を問わず、幅広く利用されている。しかし、アクリル系樹脂は一般に、柔軟性に乏しく、耐衝撃性が低いことから、外部からの荷重又は衝撃によって破損しやすいという問題を有している。そこで、アクリル系樹脂中にゴム粒子を配合することによって、透明性や表面光沢等の特性を維持しつつ、柔軟性を付与することが試みられている。しかしながら、柔軟性を付与するために配合したゴム粒子の種類や量等によっては、十分な表面硬度が得られないことや、成形加工時に折り曲げや引張りによる白色化を生じることがあった。その結果、アクリル系樹脂本来の透明性、透光性、表面光沢、表面硬度、意匠性などが損なわれて、前述の内装又は外装用資材や建築用資材として利用する際に支障をきたすことがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、柔軟性を維持しつつ、成形時の折り曲げ加工や引張り加工においても白化が生じにくいアクリル系樹脂材料を開発すべく、鋭意研究を行った結果、特定の曲げ弾性率を有する2種の層を組み合わせることによって、かかる目的が達成できることを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、ゴム粒子を含有し、曲げ弾性率が1,500MPa以下であるアクリル系樹脂からなる軟質層の少なくとも片面に、曲げ弾性率が1,600MPa以上であるアクリル系樹脂からなる硬質層が配置されてなり、その硬質層が、
0.1〜30μmで、かつ積層フィルム全体の厚みに対して50%以下の厚みを有するアクリル系樹脂積層フィルムを提供するものである。このアクリル系樹脂積層フィルムは、その硬質層が最外層となるように、他の熱可塑性樹脂と一体成形して、積層成形品とすることができる。他の熱可塑性樹脂がフィルムで供給されれば、アクリル系樹脂積層フィルムの硬質層が最外層となるように一体成形してフィルム状積層品とすることができるほか、積層と同時に所定形状に成形して、各種形状を有する積層成形品とすることもできる。これらのアクリル系樹脂積層フィルム又はそれを積層した成形品は、折り曲げ又は引張りを含む成形加工に適用することによって、適度の表面硬度及び柔軟性を有し、白色化の少ない成形品とすることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアクリル系樹脂積層フィルムの例を、図1及び図2に断面の模式図で示す。本発明においては基本的に、軟質層11がゴム粒子12を含有し、その少なくとも一方の面に、硬質層15を形成する。軟質層11の一方の面に硬質層15を設けて積層フィルム10とした例が図1に示されており、また、軟質層11の両方の面に硬質層15,15を設けて積層フィルム20とした例が図2に示されている。
【0006】
軟質層11は、ゴム粒子12を含有し、そして柔軟性の観点から、曲げ弾性率が1,500MPa以下のアクリル系樹脂で構成する。軟質層11の曲げ弾性率は、好ましくは約1,300MPa以下であり、さらには約1,200MPa以下であるのが一層好ましい。軟質層11の曲げ弾性率が大きくなると、柔軟性に欠け、それを含む積層フィルムのハンドリング性が低下する。なお、本明細書でいう曲げ弾性率は、 JIS K 7171 に従って測定される値である。
【0007】
軟質層11のアクリル系樹脂を構成するゴム粒子12は、上記の曲げ弾性率を実現できるものであればよいが、アクリル系のものが好ましく、具体的には例えば、アルキルの炭素数が4〜8であるアクリル酸アルキルエステルと多官能単量体、必要に応じて他の単官能単量体を共重合させて得られるゴム弾性体を含有するものが挙げられる。このような共重合体からなる単層のアクリル系ゴム粒子のほか、このような共重合体を一つの層とする多層構造のアクリル系ゴム粒子も使用できる。ここで用いる多官能単量体は、1分子中に少なくとも2個の重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどが挙げられる。また、任意に共重合成分とされる他の単官能単量体としては、例えば、スチレン、核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0008】
アクリル酸アルキルエステルと多官能単量体、必要に応じて他の単官能単量体を共重合させて得られるゴム弾性体を含有する多層構造のアクリル系ゴム粒子には、2層、3層又はそれより多くの層からなるものが包含される。2層構造のアクリル系ゴム粒子としては、例えば、上記のアクリル酸アルキルエステルを含む単量体を共重合させてゴム弾性体からなる内層を形成し、次いでメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合させ、硬質重合体からなる外層を形成して得られるゴム粒子が挙げられる。3層構造のアクリル系ゴム粒子としては、例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合させて得られる硬質重合体を最内層とし、それの存在下に上記のアクリル酸アルキルエステルを含む単量体を共重合させてゴム弾性体からなる中間層を形成し、さらにメタクリル酸メチルを主成分とする単量体を重合させ、硬質重合体からなる最外層を形成して得られるゴム粒子が挙げられる。このような3層構造のアクリル系ゴム粒子は、例えば、特公昭 55-27576 号公報などに記載の方法により、製造することができる。軟質層11を構成するゴム粒子12は、3層構造のものよりは、最内層に硬質重合体を含まない2層構造又は単層構造のものが、比較的少量で曲げ弾性率を調整できることから、好ましい。
【0009】
軟質層11を構成するアクリル系樹脂は、例えば、上記のようなアクリル酸アルキルエステルと多官能単量体を含む単量体混合物を共重合させたゴム弾性体からなる層を含む単層又は多層構造のゴム粒子を得た後、さらにメタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合させて樹脂母体を形成する方法、上記と同様にして得られる単層又は多層構造のゴム粒子を、ゴム成分を含まないアクリル系樹脂と溶融混練する方法などによって、製造することができる。ここで、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体の重合物又はゴム成分を含まないアクリル系樹脂は、メタクリル酸アルキルエステルの単独重合体であるポリメタクリル酸アルキルのほか、メタクリル酸アルキルエステルと他の単量体、例えばアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などでありうる。メタクリル酸アルキルエステルは、そのアルキルの炭素数が1〜4程度でありうるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、共重合成分としてアクリル酸アルキルエステルを用いる場合、そのアルキルの炭素数は、1〜8程度であることができる。共重合体とする場合は、メタクリル酸アルキルエステル単位が50〜99重量%程度、そしてアクリル酸アルキルエステル単位が50〜1重量%程度の割合となるようにするのが好ましい。
【0010】
最外層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体であり、その中にゴム弾性体が包み込まれているアクリル系ゴム粒子においては、それを母体のアクリル系樹脂に混合すると、ゴム粒子の最外層が母体樹脂と混和するため、その断面において、酸化ルテニウムによるゴム成分への染色を施し、電子顕微鏡で観察した場合、そのゴム粒子が、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がゴム弾性体であり、外層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体である2層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合には、そのゴム弾性体部分が染色されて単層構造の粒子として観察され、また、最内層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体であり、中間層がゴム状弾性体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体である3層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合には、最内層である粒子中心部分が染色されず、粒子外層部のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。
【0011】
2層構造のゴム粒子を用いる場合、電子顕微鏡で観察されるその平均粒径は、一般に10〜200nm程度である。このゴム粒子において、粒径をあまり小さくすることは、製造上困難であり、また粒径があまり大きくなると、得られる積層フィルムの成形時に白化を生じやすくなる傾向にある。3層構造のゴム粒子を用いる場合、電子顕微鏡で観察されるその平均粒径は、一般に100〜350nm程度である。本明細書において、ゴム粒子の平均粒径とは、このように、ゴム粒子を母体樹脂に混合して断面を酸化ルテニウムで染色したときに、染色されてほぼ円形状に観察される部分の径の平均値である。
【0012】
軟質層11の曲げ弾性率は、母体樹脂の組成、用いるゴム粒子の種類や量、その粒子径などによって変動するが、軟質層11におけるゴム粒子12は、この層を構成するゴム粒子を含むアクリル系樹脂全体の量を基準に、20重量%以上、さらには25重量%以上、とりわけ40重量%以上存在させるのが好ましい。特に、本発明における好ましい形態の一つである前記した2層構造のゴム粒子を用いる場合は、軟質層11全体、すなわち軟質層を構成するゴム粒子を含むアクリル系樹脂全体の量を基準に、2層構造のゴム粒子が40重量%以上となるように配合するのが有利である。軟質層11におけるゴム粒子の量があまり少ないと、曲げ弾性率を1,500MPa以下とするのが困難となり、軟質層11が柔軟性に欠け、その層を含む積層フィルムのハンドリング性が低下する。軟質層11中のゴム粒子12の含有量は、通常90重量%程度までであるが、本発明をより効果的に実施するためには、ゴム粒子の量が70重量%程度までとなるように、母体樹脂やゴム粒子の種類を選択するのが好ましい。母体樹脂とゴム粒子の関係についてより具体的に説明すると、母体樹脂が事実上メタクリル酸アルキルエステル、特にメタクリル酸メチルの単独重合体である場合に比べ、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステル等との共重合体のほうが、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、単層又は2層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合のほうが、3層構造のアクリル系ゴム粒子を用いた場合に比べ、一般に少ない量で曲げ弾性率を小さくすることができる。使用する母体樹脂の種類や、ゴム粒子の種類及び量を、曲げ弾性率が1,500Mpa以下、好ましくは1,300Mpa以下となるように組み合わせて、アクリル系樹脂からなる軟質層11とする。
【0013】
例えば、メタクリル酸メチル80重量%とアクリル酸ブチル20重量%の共重合体であるアクリル系樹脂を母体樹脂とし、内層がアクリル酸アルキルエステルと多官能単量体を含む単量体混合物を共重合させた架橋ゴム弾性体、外層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体であり、平均粒径が約75nmの2層構造ゴム粒子を用いた場合には、軟質層中の2層構造ゴム粒子を約40重量%以上とするのが好ましい。また、母体樹脂が事実上メタクリル酸メチルの単独重合体である場合には、上記2層構造のゴム粒子を約60重量%以上とするのが好ましい。このように、事実上メタクリル酸メチルの単独重合体を軟質層の母体樹脂とする場合には、ゴム粒子の量が多く必要になることから、この面でも、母体樹脂としてはメタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステル等との共重合体を用いるのが有利である。単層構造のアクリル系ゴム粒子を用いる場合、その添加量は、上記よりさらに少なくてよいことがある。一方、最内層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体、中間層がアクリル酸アルキルエステルを主たる単量体とする架橋ゴム弾性体、最外層がメタクリル酸メチルを主たる単量体とする硬質重合体である3層構造のゴム粒子を用いる場合には、2層構造のゴム粒子よりも多く用いる必要があり、また場合によっては、径の小さい粒子又は、ゴム弾性体である中間層が多い粒子を採用することで、その量が少なめでも、軟質層11に所望の曲げ弾性率を付与できるようにすることも可能である。
【0014】
一方、硬質層15は、表面硬度の観点から曲げ弾性率が1,600MPa以上のアクリル系樹脂で構成する。硬質層15の曲げ弾性率は、約1,800Mpa以上、さらには約2,500MPa以上であるのが一層好ましい。また、前述した内装用や外装用の資材においては、一般的に表面材として、鉛筆硬度がB以上(B又はそれより硬い)であることが要求されることから、本発明のアクリル系樹脂積層フィルムにおいても、硬質層15は鉛筆硬度がB以上であるのが好ましい。鉛筆硬度は、 JIS K 5400 に従って測定される鉛筆引っかき値で表示される。硬質層15の曲げ弾性率が大きければ、一般に鉛筆硬度も高くなるが、曲げ弾性率が小さくなると、鉛筆硬度も低くなり、十分な表面硬度が実現しにくくなる。この硬質層15の鉛筆硬度はHB以上、さらにはH以上であるのがより好ましい。
【0015】
硬質層15を構成するアクリル系樹脂は、例えば、メタクリル酸アルキルエステルの単独重合体であるポリメタクリル酸アルキルや、メタクリル酸アルキルエステルと他の単量体、例えばアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などでありうる。ここで、メタクリル酸アルキルエステルは、そのアルキルの炭素数が1〜4程度でありうるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、共重合成分としてアクリル酸アルキルエステルを用いる場合、そのアルキルの炭素数は、1〜8程度であることができる。共重合体とする場合は、メタクリル酸アルキルエステル単位が50〜99重量%程度、そしてアクリル酸アルキルエステル単位が50〜1重量%程度の割合となるようにするのが好ましい。これらの樹脂それ自体の曲げ弾性率は、通常約1,800Mpa以上である。
【0016】
硬質層15は、成形時の白化防止を重視する観点からは、事実上ゴム粒子を含有しないアクリル系樹脂で構成するのが好ましい。一方で、積層フィルムに柔軟性ないしは加工性を付与するために、上記したゴム弾性体を中間層とする3層構造のアクリル系ゴム粒子を含有するアクリル系樹脂で硬質層15を構成することができる。この3層構造のアクリル系ゴム粒子については、先に軟質層のところで行ったのと同様の説明があてはまる。
【0017】
このような3層構造のアクリル系ゴム粒子を存在させる場合、その量は、各層を構成する原料の種類によっても変動するが、一般には、硬質層15を構成する3層構造のアクリル系ゴム粒子を含むアクリル系樹脂全体の量を基準に、約80重量%以下であり、好ましくは約60重量%以下、さらに好ましくは約25重量%以下である。例えば、硬質層15を構成するアクリル系樹脂の母体が、メタクリル酸メチル80重量%とアクリル酸ブチル20重量%の共重合体である場合には、3層構造のアクリル系ゴム粒子の量は、硬質層15を構成するこのゴム粒子を含むアクリル系樹脂全体の量を基準に、通常約60重量%程度までであり、好ましくは約25重量%以下である。また、硬質層15を構成するアクリル系樹脂の母体が、事実上メタクリル酸メチルの単独重合体である場合には、3層構造のアクリル系ゴム粒子の量は、通常約80重量%程度まで許容される。3層構造のアクリル系ゴム粒子をあまり多く含有させると、積層フィルムの柔軟性は向上するものの、成形時の白化を十分に抑制しにくくなる。また、かかる3層構造のアクリル系ゴム粒子を用いる場合は、通常0.1重量%以上配合される。
【0018】
硬質層15の厚みは、0.1〜30μmであり、かつアクリル系樹脂積層フィルム10又は20全体の厚みの50%以下となるようにする。硬質層15は、その厚みが1〜15μm であるのがより好ましく、またアクリル系樹脂積層フィルム10又は20全体の厚みに対して20%以下の厚みであるのがより好ましい。このように、積層フィルム10又は20全体のうち、硬質層15の厚みを比較的小さくすることで、軟質層11により得られる柔軟性を維持するとともに、表面硬度を向上させ、さらには成形時の白化を抑制することができる。硬質層15の厚みが30μm より大きくなると、柔軟性が欠如するか、又は成形時の白化が増大する傾向となる。また、硬質層15の厚みが0.1μmより小さくなると、表面硬度が低下する結果となる。さらに、硬質層15の厚みが、アクリル系樹脂積層フィルム10又は20全体の厚みに対して50%を上回ると、軟質層11に基づく柔軟性が損なわれ、積層フィルム全体のハンドリング性が低下する傾向となる。
【0019】
本発明においては、以上説明した如く、曲げ弾性率が1,500MPa以下、好ましくは約1,300MPa以下であるアクリル系樹脂を軟質層11とし、曲げ弾性率が1,600MPa以上、好ましくは約1,800MPa以上であるアクリル系樹脂を硬質層15とするのであるが、両層の曲げ弾性率の差はある程度大きいほうが好ましく、例えば、その差が約500MPa以上、さらには約800MPa以上、とりわけ約1,000MPa以上であるのが好ましい。
【0020】
またこの積層フィルムは、図1に示す如く、軟質層11の片面に硬質層15を積層した形で用いられることが多いが、所望により図2に示す如く、軟質層11の両面に硬質層15,15を配置することもできる。軟質層11の両面に硬質層15,15を配置する場合、先に述べた硬質層の厚みは、両層の合計で考える。
【0021】
軟質層11及び硬質層15を構成するそれぞれのアクリル系樹脂層は、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、無機系染料、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤などの添加剤を含有してもよい。なかでも紫外線吸収剤は、より長時間の耐候性に優れた積層成形体を与える点で好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、例えば、一般に用いられるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤などが挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として具体的には、2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが例示される。2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′−クロロベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノンなどが例示される。また、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤として具体的には、p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルなどが例示される。
【0022】
これらの紫外線吸収剤は、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。紫外線吸収剤を配合する場合、その量は、ゴム粒子を含有する場合はそれを含めてアクリル系樹脂組成物100重量部あたり、通常約0.1重量部以上であり、好ましくは約0.3重量部以上、また約2重量部以下である。
【0023】
本発明のアクリル系樹脂積層フィルムは、その全体厚みが50〜800μm 程度となるようにするのが好ましい。この全体厚みは、約60μm 以上となるようにするのがより好ましく、また用途によっても異なるが、約500μm 以下、さらには約300μm 以下となるようにすることも十分可能である。
【0024】
このアクリル系樹脂積層フィルムは、例えば、軟質層11を構成するアクリル系樹脂と硬質層15を構成するアクリル系樹脂とを、それぞれ別個に、予めシート状又はフィルム状に成形しておき、加熱ロール間で連続的にラミネートする方法、プレスで熱圧着する方法、圧空又は真空成形すると同時に積層する方法、接着層を介在させてラミネートする方法(ウェットラミネーション)、軟質層11を構成するアクリル系樹脂と硬質層15を構成するアクリル系樹脂とを同時に押出し、両面をロール表面又は金属ベルト表面に接触させてシート化又はフィルム化する共押出法、予めシート状又はフィルム状に成形された軟質層11を構成するアクリル系樹脂基材又は硬質層15を構成するアクリル系樹脂基材に、Tダイから溶融押出したもう一方の層を構成するアクリル系樹脂をラミネートする方法などによって、製造することができる。それぞれのアクリル系樹脂を予めシート状又はフィルム状にするには、例えば、Tダイから溶融押出されたアクリル系樹脂の両面を、ロール表面又は金属ベルト表面に接触させた状態で成形するのが好ましい。シート状又はフィルム状に成形されたアクリル系樹脂は、もう一方のアクリル系樹脂基材と積層される側の面に、例えば、コロナ処理などが施されてもよいし、接着層が設けられてもよい。また、シート状又はフィルム状に成形された後に、絵柄などが印刷されてもよい。
【0025】
本発明のアクリル系樹脂積層フィルムは、例えば、別の熱可塑性樹脂と一体成形することにより、成形品の最表層に配置される。このとき、好ましくは、硬質層15が最外層となるように配置される。また、このアクリル系樹脂積層フィルムの少なくとも一方の面に、絵柄などの印刷を施しておいて、これを別の熱可塑性樹脂と一体成形するのも有効である。印刷は、深みのある印刷模様を与えるうえで、別の熱可塑性樹脂と接する側、具体的には、図1に示すような2層積層フィルムの場合は軟質層11側、また図2に示すような3層積層フィルムの場合はその一方の面側に施すのが好ましい。
【0026】
アクリル系樹脂積層フィルムと別の熱可塑性樹脂との一体成形法としては、例えば、アクリル系樹脂積層フィルムと熱可塑性樹脂とをそれぞれ別個に、予めシート状又はフィルム状に成形しておき、加熱ロール間で連続的にラミネートする方法、プレスで熱圧着する方法、圧空又は真空成形すると同時に積層する方法、接着層を介在させてラミネートする方法(ウェットラミネーション)、予めシート状又はフィルム状に成形されたアクリル系樹脂積層フィルム基材に、Tダイから溶融押出した熱可塑性樹脂をラミネートする方法などによって得られる多層積層フィルムを用いるインサート成形法又は熱成形法、アクリル系樹脂積層フィルムの軟質層11側に所望により印刷を施した後、熱可塑性樹脂を型内で成形と同時に貼合する射出成形法などが挙げられる。これらの方法を用いる場合には、シート状又はフィルム状に成形されたアクリル系樹脂は、もう一方の熱可塑性樹脂基材と貼合される側の面に、例えばコロナ処理などが施されてもよいし、接着層が設けられてもよい。
【0027】
本発明のアクリル系樹脂積層フィルムと一体成形するのに適した熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いたアクリル系樹脂材料は次のとおりであり、以下、それぞれの記号で表示する。
【0029】
アクリル系樹脂A: メタクリル酸メチルを主成分とし、20重量%のアクリル酸ブチルが共重合されているもの。
【0030】
3層構造アクリル系ゴム粒子B: 特公昭 55-27576 号公報の実施例3に準じて製造され、最内層が、メタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋重合体、中間層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質のゴム弾性体、最外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなり、アクリル系樹脂に混和したときの平均粒径が約240nmのもの。
【0031】
3層構造アクリル系ゴム粒子C: 上記3層構造アクリル系ゴム粒子Bと同じ原料及び同じ層構成で製造されるが、重合条件の変更により、アクリル系樹脂に混和したときの平均粒径が約145nmとなったもの。
【0032】
2層構造アクリル系ゴム粒子D: 内層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質のゴム弾性体、外層が、メタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなり、アクリル系樹脂に混和したときの平均粒径が約75nmのもの。
【0033】
実施例1
アクリル系樹脂Aのペレット80重量部と3層構造アクリル系ゴム粒子B20重量部とを溶融混練して、硬質層用樹脂ペレットとした。この樹脂から板状の試験片を作製し、 JIS K 7171 に従って測定した曲げ弾性率は2,960MPaであった。一方、アクリル系樹脂Aのペレット34重量部と2層構造アクリル系ゴム粒子D66重量部とを溶融混練して、軟質層用樹脂ペレットとした。なお、この軟質層用樹脂から板状の試験片を作製し、 JIS K 7171 に従って測定した曲げ弾性率は1,150MPaであった。
【0034】
上記の硬質層用樹脂ペレットを65mmφ一軸押出機に投入し、一方で、軟質層用樹脂ペレットを別の45mmφ一軸押出機に投入した。次に、設定温度255℃のフィードブロック方式多層ダイスを介して、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0035】
実施例2
アクリル系樹脂Aのペレットをそのまま硬質層用とした。この樹脂から板状の試験片を作製し、 JIS K 7171 に従って測定した曲げ弾性率は3,200Mpaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0036】
実施例3
実施例2と同じく、板状試験片としたときの曲げ弾性率が3,200MPaであるアクリル系樹脂Aのペレットをそのまま硬質層用とした。一方、アクリル系樹脂Aのペレット55重量部と2層構造アクリル系ゴム粒子D45重量部とを溶融混練して、軟質層用樹脂ペレットとした。この軟質層用樹脂から板状の試験片を作製し、JIS K 7171に従って測定した曲げ弾性率は1,200MPaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0037】
実施例4
実施例2と同じく、板状試験片としたときの曲げ弾性率が3,200MPaであるアクリル系樹脂Aのペレットをそのまま硬質層用とした。一方、アクリル系樹脂Aのペレット10重量部と3層構造アクリル系ゴム粒子C90重量部とを溶融混錬して、軟質層用樹脂ペレットとした。この軟質層用樹脂から板状の試験片を作製し、JIS K 7171に従って測定した曲げ弾性率は1,250MPaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0038】
実施例5
アクリル系樹脂Aのペレット70重量部と2層構造アクリル系ゴム粒子D30重量部とを溶融混練して、硬質層用樹脂ペレットとした。この樹脂から板状の試験片を作製し、 JIS K 7171 に従って測定した曲げ弾性率は1,650MPaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0039】
比較例1
アクリル系樹脂Aのペレット70重量部と3層構造アクリル系ゴム粒子B30重量部とを溶融混練して、軟質層用樹脂ペレットとした。この樹脂から板状の試験片を作製し、 JIS K 7171 に従って測定した曲げ弾性率は2,300MPaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0040】
比較例2
実施例2と同じく、板状試験片としたときの曲げ弾性率が3,200MPaであるアクリル系樹脂Aのペレットをそのまま硬質層用とした。一方、アクリル系樹脂Aのペレット67重量部と2層構造アクリル系ゴム粒子D33重量部とを溶融混練して、軟質層用樹脂ペレットとした。この軟質層用樹脂から板状の試験片を作製し、JIS K 7171に従って測定した曲げ弾性率は1,550MPaであった。その他は実施例1に準じて、最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが10μm 、軟質層厚みが115μm となるように共押出を行い、共押出しされたフィルム状積層物の両面がポリシングロール(金属ロール)に完全に接するようにして冷却した。こうして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0041】
比較例3
最終的に得られる積層フィルムの硬質層厚みが50μm 、軟質層の厚みが75μm となるように、2種類の樹脂の吐出速度を変えた以外は、実施例2と同様にして、2種のアクリル系樹脂からなる総厚み125μm の積層フィルムを得た。
【0042】
以上の実施例及び比較例で得られた積層フィルムについて以下の試験を行い、結果を表1に示した。
【0043】
〔鉛筆硬度試験〕
JIS K 5400-1990 「塗料一般試験方法」の「8.塗膜の抵抗性に関する試験方法」、「8.4 鉛筆引っかき値」に従って、積層フィルムにおける硬質層の表面硬度を測定した。
【0044】
〔柔軟性試験〕
JIS K 5400-1990 「塗料一般試験方法」の「8.塗膜の抵抗性に関する試験方法」、「8.1 耐屈曲性」に従って、積層フィルムの耐屈曲性を評価し、柔軟性があったものを○、試験片が破断し、柔軟性に欠けるものを×と表示した。
【0045】
〔白化性試験〕
JIS K 7113-1995 「プラスチックの引張試験方法」に従って引張試験を行い、その前後における破断部の曇価(ヘイズ)を測定して、白化度の指標とした。曇価の測定は、 JIS K 7105-1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って行い、引張試験前の積層フィルムの曇価H1 及び引張試験後の積層フィルムの曇価H2 から、試験前後における曇価の差ΔH(=H2−H1)を求めた。ΔHが大きいほど、引張試験に伴う白化が顕著に発生したことを意味する。
【0046】
【表1】
Figure 0004003459
【0047】
表1から明らかなように、軟質層の曲げ弾性率が高い比較例1では白化の発生が顕著であるのに対し、軟質層の曲げ弾性率を小さくすることによって、白化の発生を十分に抑制することができる。ただ、比較例2のように、軟質層の曲げ弾性率が1,500MPaを越え、かつ硬質層がゴム粒子を含まない場合や、比較例3のように、硬質層が厚い場合には、柔軟性に欠けるものとなる。これに対し、実施例1〜5の積層フィルムは、白化の発生が抑制されているとともに、柔軟性にも優れたものとなっている。なお、実施例5のように、軟質層が2層構造のゴム粒子を含有するか、ないしはその曲げ弾性率が比較的低い場合には、白化防止及び柔軟性の点では良好であるものの、硬質層の表面硬度も低くなる傾向にあるので、硬質層の曲げ弾性率は1,800MPa以上となるようにするのが好ましい。実施例1〜4の積層フィルムでは、十分な表面硬度及び柔軟性を有するとともに、引張試験後の白化の発生も極めて小さかった。したがって、これらのアクリル系樹脂積層フィルムによれば、アクリル系樹脂本来の表面硬度を維持し、また柔軟性を確保しながら、成形時に白色化することのない成形品を得ることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明のアクリル系樹脂積層フィルムは、成形時の白化防止性及び柔軟性に優れ、また材料を適切に選択することによって表面硬度にも優れたものとすることができるため、例えば、自動車内装用資材、家電外装用資材、建築用エクステリア資材など、折り曲げや引張りなどの成形を伴う成形品の表面材に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層フィルムの一形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係る積層フィルムの別の形態を示す断面模式図である。
【符号の説明】
10,20……積層フィルム、
11……軟質層、
12……ゴム粒子、
15……硬質層。

Claims (12)

  1. ゴム粒子を含有し、曲げ弾性率が1,500MPa以下であるアクリル系樹脂からなる軟質層の少なくとも片面に、曲げ弾性率が1,600MPa以上であるアクリル系樹脂からなる硬質層が配置されてなり、該硬質層が、0.1〜30μmで、かつ積層フィルム全体の厚みに対して50%以下の厚みを有することを特徴とするアクリル系樹脂積層フィルム。
  2. 軟質層の曲げ弾性率が1,300MPa以下である請求項1記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  3. 軟質層中に存在するゴム粒子が、ゴム弾性体を内層とする2層構造のアクリル系ゴム粒子である請求項1又は2記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  4. 軟質層中に存在するゴム粒子が、10〜200nmの平均粒径を有する請求項3記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  5. 軟質層が、その軟質層全体の重量を基準に、2層構造のアクリル系ゴム粒子を40重量%以上含有する請求項3又は4記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  6. 軟質層を構成する母体樹脂がメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体であり、軟質層中に存在するゴム粒子がゴム弾性体を内層とする2層構造のアクリル系ゴム粒子であって、その含有量が、軟質層全体の重量を基準に40重量%以上である請求項1又は2記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  7. 硬質層の曲げ弾性率が1,800MPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  8. 硬質層が、事実上ゴム粒子を含まないアクリル系樹脂からなる請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  9. 硬質層が、その硬質層全体の重量を基準に、ゴム弾性体を中間層とする3層構造のアクリル系ゴム粒子を60重量%以下の割合で含有する請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系樹脂積層フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のアクリル系樹脂積層フィルムと熱可塑性樹脂とが、該アクリル系樹脂積層フィルムの硬質層が最外層となるように一体成形されてなることを特徴とする積層成形品。
  11. 該アクリル系樹脂積層フィルムの少なくとも片面に印刷が施されている請求項10記載の積層成形品。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載のアクリル系樹脂積層フィルム又は請求項10若しくは11記載の積層成形品を、折り曲げ又は引張りを含む成形加工に適用することを特徴とする、適度の表面硬度及び柔軟性を有し、白色化の少ないアクリル系樹脂層を含む成形品の製造方法。
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