JP4449688B2 - アクリル積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、貼合用フィルムとして有用なアクリル積層フィルムに関する。
アクリルフィルムは、透明性や耐候性に優れ、表面硬度も高いことから、例えば、電気製品の光学部品、自動車の内装部品、看板、建材等、屋内又は屋外用途の各種成形品に対して、表面を保護するための貼合用フィルムとして、好ましく用いられる。また、アクリルフィルムの表面に反射防止処理や防汚処理等の表面処理を施して、これを成形品に貼合することにより、成形品に反射防止性や防汚性等の表面機能を付与することもできる。このような貼合用フィルムとしては、貼合面側とその反対面側とで、それぞれ所望の物性を持たせることができる点から、積層フィルムを用いるのが有利である。
アクリル積層フィルムとしては、例えば、特開2001−260288号公報(特許文献1)に、ゴム粒子を含有する柔軟層と、ゴム粒子を含有しない表面層とからなり、柔軟層の厚さが全体の50%以上である積層フィルムが開示されている。また、特開2002−292808号公報(特許文献2)には、ゴム粒子を含有する曲げ弾性率1500MPa以下の軟質層と、ゴム粒子を含有する又は含有しない曲げ弾性率1600MPa以上の硬質層とからなり、硬質層の厚さが全体の50%以下である積層フィルムが開示されている。
特開2001−260288号公報 特開2002−292808号公報
しかしながら、従来のアクリル積層フィルムは、貼合性が必ずしも十分でないため、成形品から剥がれ易いことがある。また、表面硬度や製膜性が必ずしも十分でないため、傷が付き易かったり、破断し易かったりすることがある。そこで、本発明の目的は、貼合性に優れ、表面硬度及び製膜性の点でも優れるアクリル積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を行った結果、特定の組成、厚さ及び物性を有する2種の層を組み合わせることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、メタクリル樹脂を50重量%以上含有するアクリル材料(A)からなる第1層と、アクリルゴム粒子を含有し、アクリル材料(A)よりビカット軟化温度が少なくとも5℃低いアクリル材料(B)からなる第2層とから構成され、第1層及び第2層の厚さがそれぞれ10〜500μm及び1〜100μmであり、第1層の厚さが第2層の厚さより大きいことを特徴とする積層フィルムを提供するものである。
本発明の積層フィルムは、貼合性に優れ、表面硬度及び製膜性の点でも優れている。
本発明の積層フィルムは、メタクリル樹脂を主体とするアクリル材料(A)からなる第1層と、アクリルゴム粒子を必須とするアクリル材料(B)からなる第2層とから構成されるものである。ここで、第2層のアクリル材料(B)は、第1層のアクリル材料(A)に比べて軟質で、熱融着し易い性質を有している。一方、第1層のアクリル材料(A)は、第2層のアクリル材料(B)に比べて硬質で、表面硬度に優れ、また耐溶剤性にも優れるので、表面処理を施し易い。したがって、本発明の積層フィルムを貼合用途に使用する場合は、アクリル材料(B)からなる第2層を被貼合体側に向けて貼合層とし、アクリル材料(A)からなる第1層を被貼合体とは反対側に向けて表面層とするのが有利である。
第1層のアクリル材料(A)は、メタクリル樹脂を50重量%以上含有するものである。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上と、他の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。具体的には、メタクリル酸アルキル50〜100重量%と、アクリル酸エステル0〜50重量%と、これら以外の単量体0〜30重量%とからなる単量体の重合により得られる熱可塑性重合体が、好ましく用いられる。なお、本明細書において、単に「単量体」というときは、ある単量体1種からなる場合のみならず、複数の単量体が混合された状態、所謂単量体混合物も包含するものとする。
ここで、メタクリル酸アルキルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜4程度である。中でもメタクリル酸メチルが好ましい。また、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸エステル以外の単量体は、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であり、例えば、スチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。
アクリル材料(A)は、アクリル材料(B)同様、アクリルゴム粒子を含有するのが、フィルムの耐衝撃性や製膜性の点で好ましい。アクリル材料(A)に含まれうるアクリルゴム粒子の量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。ただし、アクリルゴム粒子の量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、またフィルムに表面処理を施す場合、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下する。したがって、アクリル材料(A)に含まれるアクリルゴム粒子の量は、50重量%以下であるが、好ましくは40重量%以下である。
アクリル材料(A)に含まれうるアクリルゴム粒子は、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものであってもよいし、この弾性重合体を1つの層とする多層構造のものであってもよい。この弾性重合体としては、具体的には、アクリル酸アルキル50〜99.9重量%と、これ以外の単官能単量体0〜49.9重量%と、多官能単量体0.1〜10重量%とからなる単量体の重合により得られる架橋弾性共重合体が、好ましく用いられる。
ここで、アクリル酸アルキルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは4〜8である。また、アクリル酸アルキル以外の単官能単量体は、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であり、例えば、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、スチレンのような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。また、多官能単量体は、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する架橋性の化合物であり、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートやブタンジオールジ(メタ)アクリレートのような多価アルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとはメタクリレート又はアクリレートをいい、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸又はアクリル酸をいう。
多層構造のアクリルゴム粒子は、2層、3層又はそれより多くの層からなるものである。2層構造のアクリルゴム粒子としては、例えば、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を内層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とするものが挙げられる。また、3層構造のアクリルゴム粒子としては、例えば、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を内層とし、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を中間層とし、メタクリル酸エステルを主体とする重合体を外層とするものが挙げられる。多層構造のアクリルゴム粒子は、例えば特公昭55−27576号公報等に記載の方法により、調製することができる。特に、同公報の実施例3に記載のものは、3層構造のアクリルゴム粒子として好ましい組成のひとつである。
アクリル材料(A)に含まれうるアクリルゴム粒子は、フィルムの表面硬度の点から、少なくとも3層の多層構造を有するものが好ましい。なお、アクリルゴム粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、アクリル材料(A)に含まれうるアクリルゴム粒子は、フィルムの耐衝撃性の点から、その平均粒子径が150nm以上であるのが好ましく、180nm以上であるのがより好ましい。一方、フィルムの透明性の点から、その平均粒径が500nm以下であるのが好ましく、300nm以下であるのがより好ましい。
アクリルゴム粒子の平均粒子径は、重合開始剤の種類や量、また重合時間等を調節することによって、好ましい値に設定することができる。なお、ここで取り上げるアクリルゴム粒子の平均粒子径は、そのゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、その断面において酸化ルテニウムによるゴム成分の染色を施し、電子顕微鏡で観察して、染色された部分の直径から求めることができる。すなわち、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体層を含むゴム粒子をメタクリル樹脂に混合し、その断面を酸化ルテニウムで染色すると、母相のメタクリル樹脂は染色されず、弾性重合体層の外側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体が存在する場合は、この外層重合体も染色されず、弾性重合体層のみが染色されるので、こうして染色され、電子顕微鏡でほぼ円形状に観察される部分の直径から、粒子径を求めることができる。弾性重合体層の内側にメタクリル酸エステルを主体とする重合体が存在する場合は、この内層重合体も染色されず、その外側の弾性重合体層が染色された2層構造の状態で観察されることになるが、この場合のゴム粒子の平均粒子径は、2層構造の外側、すなわち弾性重合体層の外径で考えればよい。
第2層のアクリル材料(B)は、アクリルゴム粒子を必須に含有するものである。このアクリルゴム粒子は、上で述べたアクリル材料(A)に含まれうるアクリルゴム粒子と同様、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものであってもよいし、この弾性重合体を1つの層とする2層、3層又はそれより多くの層からなる多層構造のものであってもよい。アクリル材料(B)に含まれるアクリルゴム粒子の量は、通常30重量%以上であり、好ましくは50重量%以上である。
アクリル材料(B)に含まれるアクリルゴム粒子は、フィルムの柔軟性や製膜性の点から、単層構造又は2層構造を有するものが好ましい。なお、アクリルゴム粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、アクリル材料(B)に含まれるアクリルゴム粒子は、フィルムの耐衝撃性の点から、その平均粒子径が10nm以上であるのが好ましく、30nm以上であるのがより好ましい。一方、フィルムの透明性や貼合性の点から、その平均粒径が150nm以下であるのが好ましく、80nm以下であるのがより好ましい。
本発明の積層フィルムでは、第1層のアクリル材料(A)のビカット軟化温度に比べて、第2層のアクリル材料(B)のビカット軟化温度が、少なくとも5℃、好ましくは10℃以上、低くなるようにする。すなわち、アクリル材料(A)のビカット軟化温度をVST(a)で表し、アクリル材料(B)のビカット軟化温度をVST(b)で表したとき、VST(a)−VST(b)≧5℃、好ましくはVST(a)−VST(b)≧10℃となるようにする。このようにビカット軟化温度に所定の差を設けることにより、フィルムの貼合性を向上させることができる。VST(a)−VST(b)<5℃であると、フィルムの貼合性が十分に得られないと共に、フィルムに表面処理が施されている場合に、クラックの発生等の問題が生じ易くなる。また、アクリル材料(A)のビカット軟化温度は90℃以上であるのが好ましく、アクリル材料(B)のビカット軟化温度は90℃以下であるのが好ましい。なお、ビカット軟化温度はJIS K 7206に従って測定される。
上記のようにビカット軟化温度に所定の差を設けるため、アクリル材料(A)及びアクリル材料(B)の組成を、先に述べた要件を満たす範囲で適宜調整する。具体的には、先ずアクリル材料(A)の組成を定め、このアクリル材料(A)よりビカット軟化温度が少なくとも5℃低くなるように、アクリル材料(B)の組成を定めればよい。このために、アクリル材料(B)がアクリルゴム粒子以外に含有しうる成分としては、例えば、メタクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂のような母相を構成しうる樹脂が挙げられる。
アクリル材料(B)のビカット軟化温度を効果的に下げるために、可塑剤を含有させるのも有効である。また、アクリル材料(B)に含まれるアクリルゴム粒子の平均粒子径が大きくなると、フィルムの貼合性が低下する傾向にあるところ、可塑剤を含有させることにより、フィルムの貼合性の低下を抑制することができるので、アクリルゴム粒子の平均粒子径を大きくすることができ、フィルムの耐衝撃性を高めることができる。
可塑剤の種類は、フィルムの透明性や製膜性への影響、さらにはブリードアウト性等も考慮して、適宜選択されるが、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキルオキシカルボニル基を分子内に少なくとも2個有する化合物、すなわち多価カルボン酸の炭素数4以上のアルキルエステルが好ましく用いられる。かかる化合物の例としては、O−アセチルトリブチルシトレート(O−アセチルクエン酸トリブチル)、ジイソノニルアジペート(アジピン酸ジイソノニル)、ジブチルフタレート(フタル酸ジブチル)等が挙げられる。
アクリル材料(B)に含まれうる可塑剤の量は、好ましくは1重量%以上である。ただし、可塑剤の量があまり多いと、その蒸散によりフィルムの製膜性に悪影響を及ぼすことがあるため、通常20重量%以下である。
なお、アクリル材料(A)及び(B)にはそれぞれ、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。中でも紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで好ましく用いられる。紫外線吸収剤の例としては、2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4′−クロロベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤、p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。アクリル材料(A)及び/又は(B)に紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
以上説明したアクリル材料(A)及び(B)を用いて、各々の層を有する多層構成になるようにフィルム化することにより、本発明の積層フィルムが製造される。その際、アクリル材料(A)からなる第1層の厚さは10〜500μmとし、アクリル材料(B)からなる第2層の厚さは1〜100μmとし、かつ、第1層の厚さが第2層の厚さより大きくなるようにする。第1層の厚さをあまり小さくすると、表面処理を施す場合に、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下し、あまり大きくすると、フィルムのハンドリング性が低下し、生産効率の低下を招き易い。一方、第2層の厚さをあまり小さくすると、均一な厚さのフィルムが得られ難くなり、あまり大きくしても、フィルムの貼合性の向上は見られない。さらに、第1層の厚さが第2層の厚さ以下であると、表面処理を施す場合に、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下したり、フィルムのハンドリング性が低下したり、フィルムの耐衝撃性が低下したりすることがある。第1層の厚さ/第2層の厚さの比は1より大きいが、好ましくは2〜12である。
本発明の積層フィルムを得るための多層フィルム化の方法としては、例えば、フィードブロックを用いる方法、マルチマニホールドダイを用いる方法等、一般に知られる種々の方法を用いることができる。中でも、アクリル材料(A)及び(B)を、例えばフィードブロックを介して積層し、Tダイから多層溶融押出成形し、得られる積層フィルム状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、フィルムの表面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点からは、上記多層溶融押出成形して得られる積層フィルム状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルトにおいて、第2層用のアクリル材料(B)と接するロール表面又はベルト表面は、アクリル材料(B)との剥離性を高める手法、例えば、エンボス加工、フッ素樹脂処理、セラミック処理のような表面処理加工等が行ってあるのが好ましい。また第1層用のアクリル材料(A)と接するロール表面又はベルト表面は、フィルム表面への平滑性付与の為に、その表面が鏡面となっているものが好ましい。
こうして得られる積層フィルムは、通常、無色透明であって、JIS K 7015に従って測定される全光線透過率が60%以上、さらには80%以上であるのがよい。かかる透明積層フィルムは、表示部材用途等の透明基板に対して機能を付与するための貼合用フィルムとして、好適に用いられる。
本発明の積層フィルムは、屋内又は屋外用途の各種成形品に対して、表面を保護するための貼合用フィルムとして、好ましく用いられる。また、反射防止処理や防汚処理等の表面処理を施して、これを成形品に貼合することにより、成形品に反射防止性や防汚性等の表面機能を付与することもできる。さらに、絵柄の印刷や着色を施して、これを成形品に貼合することにより、成形品に意匠性を付与することもできる。
本発明の積層フィルムを成形品に貼合する場合は、アクリル材料(B)からなる第2層を成形体側に向けて接するようにし、熱融着させる方法が好ましく採用される。かかる方法によれば、接着剤乃至粘着剤を用いなくとも貼合を行うことができる。貼合は連続的又は非連続的に行うことができるが、特に被貼合体である成形品が透明基板である場合は、連続貼合法が好ましく採用される。連続貼合法としては、例えば、積層フィルムの第2層側を熱ロール、遠赤外線等の熱線もしくは熱風等で加熱しながら、透明基板と積層フィルムの第2層側が接するようにロールで挟み込む方法、遠赤外線等の熱線もしくは熱風等により予め加熱した透明基板に、積層フィルムの第2層側が接するようにロールもしくは連続ベルト等で挟み込む方法、これらの方法を併用する方法等が挙げられる。また、非連続貼合法としては熱プレス法が一般的である。
成形品に表面機能を付与するために積層フィルムに表面処理を施す場合、この表面処理としては、例えば、低反射処理や反射防止処理、防汚処理、ハードコート処理等が挙げられ、必要により2つ以上の処理を併用して施してもよい。これらの表面処理は、一般的に知られる方法、例えば、連続的又は非連続的な塗布、蒸着、スパッタリング等により行うことができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら制限されるものではない。例中、含有量乃至使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、アクリルゴム粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定した。
〔ゴム粒子の平均粒子径の測定〕
ゴム粒子をメタクリル樹脂と混合してフィルム化し、得られたフィルムを適当な大きさに切り出し、切片を0.5%四酸化ルテニウム水溶液に室温で15時間浸漬し、ゴム粒子部分(架橋弾性重合体部分)を染色した。さらに、ミクロトームを用いて約80nmの厚さにサンプルを切断した後、透過型電子顕微鏡で写真撮影を行った。この写真から無作為に100個の染色されたゴム粒子部を選択し、その各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒子径とした。
また、各例で使用したメタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子は次のとおりである。
メタクリル樹脂:
メタクリル酸メチル97.8%及びアクリル酸メチル2.2%のモノマー組成から、バルク重合法により得られた樹脂ペレット。
3層構造アクリルゴム粒子(1):
内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋弾性共重合体、外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる球形3層構造であり、架橋弾性重合体層の平均粒子径が220nmの粒子。
3層構造アクリルゴム粒子(2):
内層がメタクリル酸メチルに少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質重合体、中間層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋弾性共重合体、外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる球形3層構造であり、架橋弾性重合体層の平均粒子径が180nmの粒子。
2層構造アクリルゴム粒子:
内層がアクリル酸ブチルを主成分としてさらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された架橋弾性共重合体、外層がメタクリル酸メチルに少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質重合体からなる球形2層構造であり、架橋弾性重合体層の平均粒子径が70nmの粒子。
実施例1
〔アクリル材料(A)の調製〕
メタクリル樹脂70部と3層構造アクリルゴム粒子(1)30部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混錬して、アクリル材料(A)のペレットとした。このアクリル材料(A)のJIS K 7206に従って測定されるビカット軟化温度〔以下、VST(a)と記す〕は94.3℃であった。
〔アクリル材料(B)の調製〕
2層構造アクリルゴム粒子90部とO−アセチルトリブチルシトレート(表中、ATBCと記す)10部とを二軸押出機で溶融混錬して、アクリル系樹脂(B)のペレットとした。このアクリル材料(B)のJIS K 7206に従って測定されるビカット軟化温度は65.8℃〔以下、VST(b)と記す〕であった。
〔積層フィルムの作製〕
上で得たアクリル材料(A)及び(B)を、それぞれ65mmφ一軸押出機〔東芝機械(株)製〕及び45mm一軸押出機〔東芝機械(株)製〕に投入し、溶融させた。この溶融したアクリル材料(A)及び(B)を、フィードブロック方式にて積層し、設定温度275℃のT型ダイスを介して押し出し、ポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却し、積層フィルムを作製した。この時、アクリル材料(A)からなる第1層の厚さが110μmになり、アクリル材料(B)からなる第2層の厚さが20μmになり、積層フィルム全体の厚さが130μmになるように、各押出機の回転数とポリシングロールの間隔を調整した。
実施例2
アクリル材料(B)として、2層構造アクリルゴム粒子90部とジイソノニルアジペート(表中、DINAと記す)10部とを二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。VST(b)は69.1℃であった。
実施例3
アクリル材料(B)として、2層構造アクリルゴム粒子97部とO−アセチルトリブチルシトレート3部とを二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。VST(b)は82.2℃であった。
実施例4
アクリル材料(B)として、2層構造アクリルゴム粒子を二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。VST(b)は87.5℃であった。
実施例5
アクリル材料(B)として、実施例4同様、2層構造アクリルゴム粒子を二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用し、かつ、アクリル材料(A)からなる第1層の厚さが200μmになり、アクリル材料(B)からなる第2層の厚さが50μmになり、積層フィルム全体の厚さが250μmになるようにした以外は、実施例1と同様の操作を行った。
比較例1
アクリル材料(B)として、3層構造アクリルゴム粒子(2)を二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。VST(b)は90.2℃であった。
比較例2
アクリル材料(A)として、メタクリル樹脂40部と3層構造アクリルゴム粒子(1)60部とをスーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用し、かつ、アクリル材料(B)として、実施例4同様、2層構造アクリルゴム粒子を二軸押出機で溶融混錬して得たペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。VST(a)は91.3℃であった。
以上の実施例1〜5並びに比較例1及び2で得た積層フィルムの製膜性、表面硬度、貼合性を、それぞれ以下の方法で評価し、結果を表1に示した。
〔製膜性〕
各例における積層フィルムの作製の過程で、5時間以上フィルムの破断なく製膜が可能であったものを○、5時間で数回のフィルム破断が発生したものを△、5時間の間にフィルム破断が頻発し、収率が極めて低くなったものを×とした。
〔表面硬度〕
JIS K 5400に従って、第1層の表面の鉛筆引っかき値を測定した。
〔貼合性〕
基材としてメタクリル樹脂板〔住友化学工業(株)製のスミペックスE〕を用い、この基材を予め100℃に加熱した後、ロール温度を100℃乃至110℃に設定したロール(ゴムロール、ニップ線圧3000N/m)に、積層フィルムの第2層と基材とが接するようにに挿入し、貼合した。室温まで冷却後、カッターナイフにより1mm間隔で100マスの碁盤目の切り込みを入れ、セロハンテープ〔ニチバン(株)製〕で剥がれ性を確認した。マスが全く剥がれない場合を○、数個のマスが剥がれる場合を△、10個以上のマスが剥がれる場合を×とした。
Figure 0004449688

Claims (7)

  1. メタクリル樹脂を50重量%以上含有し、さらに平均粒子径が180〜500nmであるアクリルゴム粒子を含有するアクリル材料(A)からなる第1層と、平均粒子径が10〜150nmであるアクリルゴム粒子を含有し、アクリル材料(A)よりビカット軟化温度が少なくとも5℃低いアクリル材料(B)からなる第2層とから構成され、第1層及び第2層の厚さがそれぞれ10〜500μm及び1〜100μmであり、第1層の厚さが第2層の厚さより大きいことを特徴とする積層フィルム。
  2. アクリル材料(A)が、10重量%以上40重量%以下のアクリルゴム粒子を含有する請求項1に記載の積層樹脂フィルム。
  3. アクリル材料(A)に含有されるアクリルゴム粒子が、少なくとも3層の多層構造を有する請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. アクリル材料(B)に含有されるアクリルゴム粒子が、単層構造又は2層構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. アクリル材料(B)が、さらに可塑剤を含有する請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. アクリル材料(B)に含有される可塑剤が、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキルオキシカルボニル基を分子内に少なくとも2個有する化合物である請求項に記載の積層フィルム。
  7. アクリル材料(B)からなる第2層が成形品に貼合される請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
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